説明

光学装置

【課題】
協同コネクタを構成する他のファイバ・フェルールを正確に位置決めしつつ受容することを可能にする。
【解決手段】
光学装置は、光ファイバと、基板上に設けられた光学デバイスと、このデバイス基板が取付けられた回路基盤と、光学デバイスと回路基盤との電気接続体と、デバイス基板に設けられた溝とを有し、光ファイバの基端又は基端の近傍の第1ファイバ・セグメントは溝内でデバイス基板に固定され、光ファイバの末端側の第2ファイバ・セグメントが回路基盤に固定されている。回路基盤にはフェルール・ホルダが固定され、このフェルール・ホルダ内に固定されたフェルール・スリーブ及びファイバ・フェルールとが設けられ、光ファイバの第2セグメントがファイバ・フェルールに受容・固定され、フェルール・スリーブは、外側スリーブと、この外側スリーブに嵌めこまれた内側スリーブとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する優先権主張
本出願は、(i)2006年3月3日に出願された米国仮出願第60/778,777号、(ii)2006年8月2日に出願された米国仮出願第60/821,181号、及び、(iii)2007年3月2日に出願された米国通常出願第11/681,352号に基づく優先権を主張するものであり、上記出願の各々は参照することにより本明細書において完全に示されたものとして本明細書の一部を構成する。
【0002】
本発明の分野は、回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバに結合する準備ができた光学的構成要素のパッケージ化は、電気通信用の光学デバイスの製造プロセスにおいて不経済で時間の掛かる部分である。光ファイバ間の迅速な接続を可能とするコネクタが利用可能であり、各ファイバの端部は、協働する一対のコネクタの片方を備えている。斯かるコネクタを備えてパッケージ化された光学デバイスを提供するために、多くの場合、パッケージ内には光ファイバの短寸セグメントが採用され、一端はそのデバイスに対して光学的に連結されると共に、コネクタ内へと終端する他端は、協働するコネクタを備えた別の光ファイバに結合するのに利用可能であるというのが実状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの典型的な用途において、光学デバイスは使用のためには電子的回路機構に結合される。斯かる状況においては、ファイバ結合された光学デバイスを回路基盤上に直接的に取付け、該デバイスと回路機構との間の結合を促進することが望まれる。本明細書中においては、斯かる回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイス、及び、その作製方法及び使用法の種々の実施形態が開示される。
【0005】
光学装置は、光ファイバと、デバイス基板上の光学デバイスと、回路基盤と、上記光学デバイスと上記回路基盤との間の少なくとも一つの電気接続体とを具備する。上記デバイス基板は、上記光ファイバを受容する溝であって上記光ファイバの基端を位置決めして該光ファイバと上記光学デバイスとを光学的に連結させる溝を有する。上記光ファイバの基端に若しくはその近傍にある第1セグメントは上記溝内において上記デバイス基板に固定される。上記デバイス基板は上記回路基盤上に取付けられ、且つ、(上記第1ファイバ・セグメントの末端側である)上記光ファイバの第2セグメントは上記回路基盤に固定される。
【0006】
上記光学装置を作成する方法は、上記光学デバイスと共に上記デバイス基板を上記回路基盤上に取付ける段階と、上記少なくとも一つの電気接続体を構築する段階と、上記第1ファイバ・セグメントを上記溝内において上記基板に固定して光学的に連結させる段階と、上記第2ファイバ・セグメントを上記回路基盤に対して固定する段階とを具備する。単一片の回路基盤材料に対して複数のデバイス基板が固定されると共に、該回路基盤材料は、電気接続体を構築した後で且つ各光ファイバを対応デバイス基板及び回路基盤材料に固定した後に、個別的な回路基盤へと分割され得る。
【0007】
回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイスに関する目的及び利点は、図面中に示され且つ以下の記述説明に開示された例示的な実施形態又は特許請求の範囲を参照すれば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイス、及びハウジングの例示的な実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、ハウジング内の回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイスの例示的な実施形態の平面図である。
【図3】図3は、回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイス用のハウジングの例示的な実施形態の側面図である。
【図4】図4A〜図4Cは、回路基盤に対して固定された光ファイバの概略断面図である。
【図5】回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイス、及びハウジングの例示的な実施形態の斜視図である。
【図6】図6は、回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイスの例示的な実施形態の斜視図である。
【図7】図7は、回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイスの例示的な実施形態の平面図である。
【図8】図8は、回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイスの例示的な実施形態の側面図である。
【図9】図9は、回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイス、及びレセプタクル・ハウジングの例示的な実施形態の斜視図である。
【図10】図10は、回路基盤上にファイバ結合式光学デバイスを取付けるプロセスの概略図である。
【図11】図11は、回路基盤上にファイバ結合式光学デバイスを取付けるプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図中に示された実施形態は例示的なものであり、本発明の開示内容又は添付の特許請求の範囲を限定すると解釈されるべきでない。
【0010】
図1〜図3には光学装置が示され、該光学装置は、光ファイバ120と、デバイス基板110上の一個以上の光学デバイス112と、回路基盤102と、光学デバイス112と回路基盤102との間の少なくとも一つの電気接続体118とを具備する。光学デバイス112は、任意の所望の光学的構成要素若しくはデバイス又は一群の光学的構成要素若しくはデバイスを具備し、該光学デバイスとしては(限定するものではないが)、一個以上のレーザ、他の光源、変調器、光検出器、他の光学的受信器、他の能動的な光学的構成要素若しくはデバイス、光学的導波路、光学的結合器、反射器、レンズ、格子、アイソレータ、フィルタ、他の受動的な光学的構成要素、又は、他の所望の光学的構成要素が挙げられる。電気接続体118は、(a)回路基盤102上の配線若しくは接点105又は回路基盤102上の電子的構成要素103と、(b)デバイス112、又は、該光学デバイス112に結合されたデバイス基板110上の配線若しくは接点との間における一本以上のワイヤ結合線を具備する。電気接続体118としては、他の任意で適切な形式若しくは構成が採用され得る。デバイス基板110は溝116を有しており、該溝は、光ファイバ120の基端を受容して位置決めすることで、光ファイバ120の基端と光学デバイス112との間の光学的連結を確立する。光ファイバ120の基端又はその近傍の第1ファイバ・セグメントは、(各図中で殆ど目立たない)溝116においてデバイス基板110に固定される。光ファイバ120の基端の“近傍”とは、光ファイバ120の基端が、溝116を越えて延在することもあるが、該光ファイバ120と光学デバイス112との間の光学的連結に実質的に影響するほどのファイバ基端の移動を許容するほどには延在しないことを意味する。デバイス基板110は回路基盤102上に取付けられると共に、(上記第1ファイバ・セグメントの末端側の)光ファイバ120の第2セグメントは回路基盤102に固定される。上記第2ファイバ・セグメントは回路基盤102に直接的に固定されるか、又は、回路基盤102に対して固定されたファイバ緩衝体122を通過する。緩衝体122は典型的には、ポリ塩化ビニル(PVC)、Hytrel(登録商標)、ナイロン、Kevlar(登録商標)、又は、他の適切な材料の内の一つ以上を含んで成ると共に、任意の適切な緩衝体材料又は緩衝体材料の組み合わせは本開示内容又は添付の各請求項の有効範囲内に収まるものとする。緩衝体122は、本明細書において以下に開示される後続的な組立て、処理加工又は硬化段階に適合する単一種類若しくは複数種類の材料を含んで成るのが好ましい。
【0011】
なお、本明細書中に開示される任意の実施形態において、単一のデバイス基板上には複数本の光ファイバを受容する複数本の溝が形成されてもよい。上記複数本の光ファイバは上記デバイス基板上の一個以上の光学デバイスに対して光学的に連結されると共に、上記デバイス基板は回路基盤上に取付けられる。本明細書中に開示される任意の実施形態において、複数本の光ファイバは、記述されたように、上記デバイス基板及び上記回路基盤に固定され得る。
【0012】
上記光学装置は、上記第2ファイバ・セグメントを(直接的に若しくは緩衝体122を介して)回路基盤102に固定する接着剤140を更に具備する(図4A〜図4C)。接着剤140は典型的に、その塗布操作の少なくとも一部分の間において所定位置へと流動されて硬化された材料を含んで成る。たとえば接着剤140は、硬化済みポリマ、再流動ポリマ、再流動半田、再流動ガラス、溶融ガラス・フリット、又は、他の同様に適切な材料を含んで成る。適切な硬化済みポリマの一例は硬化済みエポキシ樹脂であると共に、塗布操作の間において流動しない接着剤などの他の適切な接着剤又は接着手段も採用され得る。所望であれば、緩衝体122上には捲縮チューブ(crimp tube)124が捲縮され、該捲縮チューブが接着剤140により回路基盤102に対して固定され(図4A〜図4C)、これにより緩衝体122が回路基盤102に固定される。捲縮チューブ124が存在すると、緩衝体122は接着剤140により回路基盤102により確実に取付けられるという結果が観察されている。接着剤140は、捲縮チューブ124の少なくとも一部分と、該捲縮チューブ124の一端若しくは両端を越える緩衝体122の部分とを覆ってもよい。
【0013】
回路基盤102に対する緩衝体122の取付け(又は、光ファイバ120の上記第2セグメントの直接的取付け)をより確実にするために、上記装置は更に、回路基盤102内への凹所132又は該回路基盤上の突出部134(それぞれ、図4A及び図4B)を備え得る。凹所132又は突出部134は、固定された緩衝体122のセグメントの近傍に位置決めされると共に、少なくとも部分的に接着剤140により覆われる。凹所132は、回路基盤102を貫通する貫通孔であって接着剤140が少なくとも部分的に充填される貫通孔を具備する。各図において凹所132は緩衝体122の固定部分から側方に変位して示されるが、これらの箇所は例示的である。各凹所132は、緩衝体122から側方に変位されて、又は、緩衝体122の直下に、又は、他の任意で適切な位置に配置されることで、回路基盤102に対する緩衝体122(又は光ファイバ120又は捲縮チューブ124)の接着を増進し得る。突出部134は、任意の適切な態様で回路基盤102上に形成されるか又はそれに対して固定された部材であって、少なくとも部分的に接着剤140により覆われた部材を具備する。回路基盤102に対する緩衝体122(又は光ファイバ120又は捲縮チューブ124)の接着を増進するように、任意の適切な構成の突出部134が採用され得る。その様に固定される部材は回路基盤102上に取付けられた電気構成要素を具備してもよく、該電気構成要素は、半田又は(例えばエポキシ樹脂の如き)接着剤により回路基盤102に対して固定され得ると共に、回路基盤102上における電子回路の一部分の役割も果たし得る。
【0014】
上記装置は、デバイス基板110に固定された上記第1の(すなわち基端側の)ファイバ・セグメントと、(直接的に、又は、緩衝体122を介し、又は、捲縮チューブ124を介して)回路基盤102に固定された上記第2ファイバ・セグメントとの間において、光ファイバ120の一部の下方にて回路基盤102上にファイバ支持部材130を更に具備する。光ファイバ120の少なくとも一部分は、ファイバ支持部材130に固定される。光ファイバ120の少なくとも一部分をファイバ支持部材130に固定するために、接着剤142が採用される(図4C)。本明細書において上述したように、接着剤142はその塗布操作の少なくとも一部分の間において所定位置へと流動されて硬化された材料を含んで成ると共に、硬化済みポリマ、再流動ポリマ、再流動半田、再流動ガラス、溶融ガラス・フリット、又は、他の同様に適切な接着剤若しくは接着手段を含んで成る。適切な材料の一例は硬化済みエポキシ樹脂であると共に、塗布操作の間において流動しない接着剤などの他の適切な接着剤又は接着手段が採用されてもよい。ファイバ支持部材130は、任意の適切な態様で回路基盤102上に形成され又はそれに対して固定された部材であって、接着剤142により少なくとも部分的に覆われた部材を具備する。ファイバ支持部材130は回路基盤102上に取付けられた電気構成要素を具備し、該電気構成要素は、半田若しくは(たとえばエポキシ樹脂の如き)接着剤により回路基盤102に固定されると共に、回路基盤102上における電子回路の一部分の役割も果たし得る。接着剤140及び142は、(図4Cのように)個別的な体積の材料から成り得るか、又は協働して、緩衝体122(又はファイバ120又は捲縮チューブ124)の固定部分、及びファイバ支持部材130に固定された光ファイバ120の部分を少なくとも部分的に覆う単一体積の材料から成り得る。
【0015】
上記装置は更に、溝116の少なくとも一部分の上方に位置されたファイバ保持体114であって、デバイス基板110に対して固定されることで光ファイバ120の上記第1セグメントを溝116内においてデバイス基板110に固定するファイバ保持体114を具備する。ファイバ保持体114をデバイス基板110に対して固定するために、米国特許公開第2006/0002664A1号明細書に記載されたように(各図においては目立たない)接着剤が採用されてもよく、該明細書は参照することにより、本明細書において完全に示されたものとして本明細書の一部を構成する。ファイバ保持体に対して上記明細書中に開示された配置構成又は適合機構の任意のものは、本開示内容又は添付の特許請求の範囲内に留まりながら採用され得る。上述したように、上記接着剤は、その塗布操作の少なくとも一部分の間において所定位置へと流動されて硬化された材料を含んで成ると共に、硬化済みポリマ、再流動ポリマ、再流動半田、再流動ガラス、溶融ガラス・フリット、又は、(たとえば硬化済みエポキシ樹脂の如き)他の同様に適切な接着剤若しくは接着手段を含んで成る。塗布操作の間において流動しない接着剤などの、他の適切な接着剤又は接着手段も採用され得る。
【0016】
上記光学装置は、光学デバイス112と、上記光ファイバの端部との間に屈折率整合材料を更に具備する。斯かる屈折率整合材料は、塗布操作の間に所定位置へと流入してから固まり若しくは硬化せしめられるか、又は、他の任意で適切な手段により光学デバイス112と上記光ファイバの端部との間に載置される。適切な材料の一例は屈折率整合シリコーン・ポリマであり、他の任意で適切な材料が採用され得る。上記光学装置は更に、(図10及び図11に示されたように)光学デバイス112、デバイス基板110、及び、上記光ファイバの基端セグメント120を実質的に覆う封入材704を具備する。斯かる封入材は、使用環境から上記装置を保護する役割を果たすと共に、任意の適切な材料を含んで成る。適切な封入材材料の一例はシリコーン・エラストマであり、他の任意で適切な材料が採用され得る。必要とされ又は所望されるならば上記装置は、回路基盤102に固定されたハウジング104であって、光学デバイス112、デバイス基板110及び上記光ファイバの基端セグメント120を含む回路基盤102の領域を実質的に包囲する壁部を有するというハウジング104を更に具備しても良く、且つ、該装置は上記包囲領域を実質的に覆う蓋体を更に具備する。(採用されたならば)封入材は、ハウジング104により包囲された回路基盤102の領域の全て又は一定部分を実質的に覆う。必要とされ又は所望されるならば、ハウジング104若しくは回路基盤102に対しては応力除去又は屈曲制限構造106が取付けられ、回路基盤102の近傍における光ファイバの屈曲が制限される。
【0017】
各図に示されたように、回路基盤102は実施可能な限り小寸に作成される一方、更に大寸のシステム回路板上に、該システム回路板上の複数の構成要素又はサブアセンブリの一つとして取付けられるのに適している。斯かるいわゆる「ボードレット(boardlet)」構成によれば、ファイバ結合式光学デバイス(送信器、受信器、双方向送受信機など)は電子的デバイスへと容易に一体化されることで、上記光ファイバを介した上記電子的デバイスに対する光学的データ伝送が可能とされる。斯かる構成において回路基盤102は、該回路基盤102と上記システム回路板との間の電気接続を可能とするのに適した任意の構造又は適合機構を具備する。たとえば図1〜図3において電気接続は、回路基盤102の縁部上に形成された接点150を介して確立される。或いは、回路基盤102を貫通してピンが予め挿入されて回路基盤102の下方へと突出し、上記システム回路板上に適切に構成されたレセプタクルと協働してもよい。これらの「ボードレット」配置のいずれにおいても、上記システム回路板上に該「ボードレット」を位置決めすべく機械的な整列ピンが配備される。斯かる整列ピンは、上記システム回路板上の協働孔に対して任意の適切な態様で係合すべく配置されると共に、回路基盤102上に、又は、該回路基盤102の全体に亘って延在するハウジング104上に配備され得る。(不図示の)別の代替実施形態において光学デバイス基板110及び光ファイバ緩衝体122は、電子的デバイス内への一体化のためにシステム回路板に対して直接的に固定されてもよい(従って、それは回路基盤102と称される)。斯かる構成は、「チップ・オン・ボード」と称されることもある。別の代替実施形態(図5)においては、協働する導電部材を有するレセプタクル・スロット内へと挿入される回路基盤102の縁部まで、導電配線160が延在する。斯かる配置構成はたとえば、回路基盤102を(該基盤上の光学デバイス110と共に)、いわゆる能動的な光ファイバケーブル内へと組み込むために適切である。
【0018】
上記光学装置を作成する方法は、一個以上の光学デバイス112と一本の溝116とを備えたデバイス基板110を回路基盤102上に取付ける段階と、光学デバイス112と回路基盤102との間に単一若しくは複数の電気接続体118を確立する段階と、光ファイバ120の第1(基端)セグメントを溝116内においてデバイス基板110に固定する段階と、(上記第1ファイバ・セグメントの末端側の)光ファイバ120の第2セグメントを回路基盤102に固定する段階とを具備する。上記第2ファイバ・セグメントは、回路基盤102に直接的に固定されるか、又は、ファイバ緩衝体122又は捲縮チューブ124を介して固定される。上記方法は、本明細書中において上記で多様に記載したように、緩衝体122又は光ファイバ120を回路基盤102に固定するために接着剤140を塗布する段階を更に具備する。上記方法は更に、本明細書中において上記で多様に記載したように、接着剤142の塗布操作を含め、ファイバ支持部材130を回路基盤102上に位置決めする段階と、光ファイバ120の少なくとも一部分をファイバ支持部材130に固定する段階とを更に具備する。上記方法は、本明細書中において上記で多様に記載したように、接着剤の塗布操作を含め、溝116の少なくとも一部分の上方にてデバイス基板110にファイバ保持体114を固定することで、上記第1ファイバ・セグメントを溝116内においてデバイス基板110に固定する段階を更に具備する。上記方法は、光学デバイス112、デバイス基板110、光ファイバの基端セグメント120を封入材704により実質的に覆う段階、又は、光学デバイス112、デバイス基板110、光ファイバの基端セグメント120を含む該回路基盤102の領域を実質的に覆うハウジング104を回路基盤102に固定する段階を更に具備する。
【0019】
図6〜図9には、回路基盤に取付けられたファイバ結合式光学デバイスの代替実施形態が示され、この実施形態では光ファイバ120の第2セグメントは、回路基盤102に固定されたレセプタクル・コネクタ600に接続される。レセプタクル・コネクタ600は、ファイバ・フェルール602、フェルール・ホルダ604及びフェルール・スリーブ606を具備する。光ファイバ120はフェルール602に固定され、該ファイバの末端はフェルール602の末端と実質的に面一であり、該ファイバの基端はフェルール602の基端から突出し、且つ、該ファイバの第2セグメントはフェルール602内とされる(該第2セグメントは典型的にはエポキシ又は他の適切な接着剤により上記フェルールに固定され、或いは上記ファイバを上記フェルールに固定する任意の適切な手段が採用される)。本実施形態における光ファイバ120は(必須ではないが)典型的には、任意の緩衝体又は外側被覆が外されている。ファイバ・フェルール602は、セラミック又は他の適切な材料を備えて成る。フェルール・ホルダ604はプラスチック、金属、又は、他の適切な材料を備えて成ると共に、ファイバ・フェルール602は、圧力嵌め、接着剤、保持器、戻り止め、溶接などの任意の適切な態様でフェルール・ホルダ604に固定される。ファイバ・フェルール602及びフェルール・ホルダ604が組立てられたとき、光ファイバ120の基端はフェルール・ホルダ604の基端から突出する一方、光ファイバ120及びファイバ・フェルール602のそれぞれの末端はフェルール・ホルダ604内に配置される。フェルール・ホルダ604は接着剤又は他の適切な手段により回路基盤102に固定されることで、光ファイバ120の第2セグメントを(ファイバ・フェルール602及びフェルール・ホルダ604を介して)回路基盤102に固定する。フェルール・ホルダ604は、光ファイバ120の第1セグメントをデバイス基板110上の溝116内に位置決めすべく、回路基盤102上に位置決めされる。光ファイバ120の上記第1セグメントは、本明細書中で上述された態様を含む任意の適切な態様で、溝116内においてデバイス基板110に固定される。デバイス基板110、及び、光ファイバ120の上記基端は、本明細書において上述したようにハウジング内に封入若しくは包囲される。
【0020】
図6〜図9に示された例において、フェルール・ホルダ604は回路基盤102に係合するための部材604a及び604bを備える。本明細書中に開示された各例の内の任意の例を含め、自身の塗布操作の少なくとも一部分の間において所定位置へと流動する接着剤が採用され、他の適切な手段が採用されてもよい。部材604a若しくは604b上又は回路基盤102上の溝、凹所、貫通孔又は突出部は、後時的に硬化して保持部材を形成する流動材料の一定部分を受容することで、流動接着剤の効力を増進させる。接着剤、半田、クランプ、クリップ、ピン、保持器、戻り止め、溶接(レーザ、超音波、抵抗など)又は他の適切な手段を用いてフェルール・ホルダ604が回路基盤102に固定されるのを可能とするために、該フェルール・ホルダ604の他の適切な配置機構が採用されてもよい。
【0021】
フェルール・スリーブ606は、別の(不図示の)協働コネクタのファイバ・フェルールを受容することで、この別のファイバ・フェルール内の光ファイバを、光学的端部結合のために光ファイバ120の末端と整列させるべく配置される。斯かる整列を促進するために上記フェルール・スリーブは、内側スリーブ606a及び外側スリーブ606bを具備する。内側スリーブ606aは、たとえば、ファイバ・フェルール602と協働コネクタの別のファイバ・フェルールとの実質的に同心的な整列を確実とするために配置されたセラミック分割スリーブを具備する。外側スリーブ606bは内側スリーブ606aよりも大きな内径を有することで、該外側スリーブ606b内への他方のファイバ・フェルールの挿入を更に容易に可能とすると共に、内側スリーブ606a内へと上記他方のファイバ・フェルールを案内する。スリーブ606の他の適切な配置構成が採用され得ると共に、本開示内容又は添付の特許請求の範囲内に収まるものとする。
【0022】
フェルール・ホルダ604は、その外側面上にて、(図9に示された)レセプタクル構造体608に係合し又はそれと協働するように設定若しくは適合化される。図6〜図9の好適な実施形態においてはフェルール・ホルダ604の外側面上に円周溝605が示され、該溝はレセプタクル構造体608の内方突出フランジ609を受容する。フェルール・ホルダ604をレセプタクル構造体608内に係合するために他の任意で適切な機械的配置構成が採用され得ると共に、斯かる任意の適切な配置構成は本開示内容又は添付の特許請求の範囲内であると考えられるものとする。レセプタクル構造体608は典型的には、システム回路板610に固定される。レセプタクル構造体608は、フェルール・ホルダ604が該レセプタクル構造体608に係合する結果として回路基盤102がシステム回路板610に対して(容認可能な許容範囲内で)適切に位置決めされるように、回路板610上に位置決めされる。フェルール・ホルダ604がレセプタクル構造体608に対して一旦係合されたなら、回路基盤102は半田、接着剤又は他の適切な手段によりシステム回路板610に固定される。もし半田付けされるなら、その半田は、(示された例のように)接点150、導電ピン、又は、他の適切な構造を利用して(本明細書中において上述されたように)回路基盤102とシステム回路板610との間の電気接続をも提供する。図9の例において、(回路板610に固定された)レセプタクル構造体608にフェルール・ホルダ604が係合する結果、回路基盤102上の接点150は回路板610上の接点612と整列する。或いは、回路基盤102とシステム回路板610との間には(たとえばワイヤ結合線などの)他の電気接続体が採用される。なお、システム回路板610は、必要とされ又は所望されるならばレセプタクル構造体608を越えて延在し得るが、図9において全体的集合体の種々の部品の相対位置を視認することができるようにレセプタクル構造体608よりも小寸として示される。
【0023】
本明細書中に開示された任意の実施形態に対し、単一連続片の回路基盤材料上に複数のファイバ結合式光学デバイスが取付けられてもよい。これは、複数のファイバ結合式光学デバイスが取付けられたシステム回路板を構築するために行われる。或いは、単一片の回路基盤材料上に複数のファイバ結合式デバイスが取付けられることで、基盤取付け済みデバイスの製造が促進される。斯かる多重基盤組立てプロセスの例は、図10及び図11に概略的に示される。これらの例の各々において、複数の回路基盤102は全て、接続帯片702を含む単一片の回路基盤材料の一部である。必要とされ又は所望されるならば、上記回路基盤材料は罫書かれ、部分的に切断され、又は、別様に適合化されることで、帯片702からの各回路基盤102の後時的な分離が促進される。複数の回路基盤は帯片702に取付けられたままとされる一方、(組立てられた光学デバイスを備える)対応の光学デバイス基板110が各回路基盤102に固定され、且つ、対応する回路基盤102上のデバイス基板110と電気配線との間には一切の必要な電気接続がなされる。
【0024】
複数の回路基盤102を依然として帯片702に取付けたままとしてから、対応する光ファイバ120が各回路基盤102上へと組み付けられる。図10において各光ファイバ120は、(図6〜図9におけるのと同様に)レセプタクル・コネクタ600と共に回路基盤に対してそれぞれ固定される。封入材704を適用した後、各回路基盤102は帯片702から分離されることで、複数の個別的な「ボードレット」取付け型のファイバ結合式光学デバイスをもたらす。図11において、対応するファイバ120は回路基盤102に対し、(図1〜図3におけるのと同様に)接着剤、支持部材130及び捲縮チューブ124により固定される。ハウジング104を組み付け、封入材704を適用し、且つ、応力除去構造106を組み付けた後、各回路基盤102は帯片702から分離されることで複数の個別的な「ボードレット」取付け型のファイバ結合式光学デバイスがもたらされる。斯かる多重基盤組立てプロセスにおいては、ファイバ120をデバイス基板110及び回路基盤102に対して固定する任意の適切な方法が採用され得ると共に、斯かる全ての適切な方法は本開示内容又は添付の特許請求の範囲内に収まるものとする。(図10及び図11の例におけるように)斯かる多重基盤組立て処置によれば、多数のボードレット取付け型のファイバ結合式光学デバイスの製造において相当の節約が実現され得る。
【0025】
本開示内容又は添付の特許請求の範囲の目的に対し、(i)たとえば「…若しくは…のいずれか」、「…の内の一つのみ」、又は、同様の表現を使用して別様に明示的に述べられている、あるいは、(ii)列挙された選択肢の2つ以上が特定の前後関係において相互に排他的であって、その場合に「又は」という接続詞は相互に排他的でない選択肢を伴う組み合わせのみを包含している、ということがなければ、「又は」という接続詞は包括的に解釈されるものとする(たとえば、「犬又は猫」は「犬、若しくは、猫、若しくは、両方」と解釈され、たとえば、「犬、猫、又は、鼠」は、「犬、若しくは、猫、若しくは、鼠、若しくは、任意の2つ、若しくは、3つ全て」と解釈される)。本開示内容又は添付の特許請求の範囲の目的に対し、「具備する」、「備える」及び「有する」という表現は非限定的な用語であり、これらの用語のそれぞれの後に「少なくとも」という表現が追随したときと同じ意味である。
【0026】
開示された好適な実施形態及び方法の均等物は、本開示内容及び/又は添付の特許請求の範囲内に収まるべきことが意図される。また、開示された好適な実施形態及び方法及びそれらの均等物は、本開示内容又は添付の特許請求の範囲内に留まりながら改変され得ることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと、
デバイス基板上に設けられており、前記光ファイバと光学的に連結する光学デバイスと、
前記デバイス基板が取付けられ、実質的に平坦な上面を有する回路基盤と、
前記光学デバイスと前記回路基盤との間の少なくとも一つの電気接続体と、
を具備し、
前記デバイス基板には、前記光ファイバを受容する溝であって前記光ファイバの基端を位置決めして前記光ファイバと前記光学デバイスとの間の光学的連結を確立する溝が設けられており、
前記光ファイバにおける、基端、又は前記基端の近傍の第1ファイバ・セグメントが、前記溝内において前記デバイス基板に固定され、
前記光ファイバにおける末端側の第2ファイバ・セグメントが前記回路基盤に固定され、
前記回路基盤に固定されたフェルール・ホルダと、
前記フェルール・ホルダ内に受容されて前記フェルール・ホルダに固定されたフェルール・スリーブ及びファイバ・フェルールと、
を更に具備し、
前記光ファイバの第2セグメントが前記ファイバ・フェルールを貫通して前記ファイバ・フェルールに受容され且つ固定され、前記光ファイバの末端が前記ファイバ・フェルールの末端と実質的に面一であり、
前記ファイバ・フェルールの末端は、前記フェルール・スリーブ内に受容され、
前記フェルール・スリーブは、外側スリーブと、前記外側スリーブの内径よりも小さな外径を有し且つ前記外側スリーブに嵌めこまれた内側スリーブと、を具備し、
前記フェルール・ホルダには前記フェルール・スリーブが嵌めこまれ、
前記フェルール・ホルダ及び前記内側スリーブには前記ファイバ・フェルールが嵌めこまれ、
前記ファイバ・フェルール、前記フェルール・ホルダ、前記内側スリーブ及び前記外側スリーブは同心的に整列している、光学装置。
【請求項2】
前記光学装置は、前記回路基盤に固定されたハウジングであって、前記回路基盤における、前記光学デバイス、前記デバイス基板及び前記第1及び第2ファイバ・セグメントを含む領域を実質的に包囲する壁部を有するハウジングを具備し、
前記フェルール・ホルダ、前記フェルール・スリーブ及び前記ハウジングは、協働する光ファイバ・コネクタに係合して、前記光ファイバの末端と別の光ファイバとの間の光学的端部結合を確立するように配置される、請求項1に記載の光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−163985(P2012−163985A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−117217(P2012−117217)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【分割の表示】特願2008−558485(P2008−558485)の分割
【原出願日】平成19年3月3日(2007.3.3)
【出願人】(592228756)ホーヤ コーポレイション ユーエスエイ (12)
【氏名又は名称原語表記】HOYA CORPORATION USA
【住所又は居所原語表記】101 METRO DRIVE,SUITE 500,SAN JOSE,CA 95110,U.S.A.
【Fターム(参考)】