説明

光学読取り用の符号化用紙

【課題】単位エリア毎に多数の情報を符号化が可能な光学読取り用の符号化用紙を提供する。また、その符号化情報を取り出すための装置を提供する。
【解決手段】表面と、前記表面に配列された複数のマークとを備え、前記複数のマークが配列された前記表面上で、複数のラスター点で互いに交差するラスター線を有するラスターが特定可能であり、前記複数のマークには、各々対応するラスター点からずれて配置され、当該ずれの方向によって前記情報の少なくとも一部が符号化される、第1の複数のマークが含まれ、前記複数のマークにはまた、前記対応するラスター点を特定するために用いることができるように前記表面に置かれた、第2の複数のマークが含まれ、少なくとも前記第1の複数のマークは、実質的に同じ大きさを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化パターンを備えた製品に関し、この符号化パターンは、それぞれが、少なくとも2つの異なる値の1つを表す多数のマークを備えている。本発明は、また、このような符号化パターンの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
異なるタイプのマークによって、ある表面上に、符号化された情報を記憶することは、既に知られている。
【0003】
例えば、米国特許番号5、852,434には、書き込み面上の多数の位置のX及びY座標を符号化する位置符号化パターンが記載されている。この位置符号化パターンは、これを連続的に読むことにより、ユーザが、書き込み面上に生成したグラフィカル情報を電子的に記録することを可能にする。
【0004】
上記米国特許番号5,852,434には、位置符号化パターンの構成の3つの例が挙げられている。第1の例において、パターンは複数のドットからなり、各ドットは3つの同心円から構成されている。最外円はX座標を表し、中間円がY座標を表している。これら外側の円は両方とも16分割されており、これらの埋まり具合により異なる数字が示される。つまり座標X,Yの各ペアは固有の外観を有する複雑なシンボルで符号化される。
【0005】
第2の例では、書き込み面の各点の座標は、バーコードによって表されており、X座標のためのバーコードはY座標のためのバーコードの上に配置されている。
【0006】
第3の例として、格子縞パターンを用いてX座標とY座標が符号化可能であると記載されている。しかしながら格子縞パターンの構成や座標への変換方法については説明されていない。
【0007】
公知のパターンには、該パターンが複雑なシンボルから構成されるという問題がある。シンボルを小さくするほど、パターン化された書き込み面の製造が一層困難となり、位置決定を誤る危険性が高くなる。一方シンボルを大きくするほど、位置解像度が低下してしまう。
【0008】
さらに、プロセッサは複雑なシンボルを解釈しなければならないことから、検出された位置符号化パターンの処理が一層複雑になるという問題もある。
【0009】
また、位置決定をできるようにするためには、少なくとも1つのシンボルを完全に記録する必要があり、このため位置符号化パターンの記録に用いる検出器又はセンサーを、4つのシンボルが同時に記録できるようにしなくてはならない。従って、必要とされるセンサーの面と、1つの位置を定義する位置符号化パターンの面との比は大きくなる。
【0010】
EP 0 578 692に、四角い形をしたセルで構成される位置符号化パターンが記載されている。セルの値は、それらの外観、例えば、色で決まる。セルは、分離ゾーンによって分離でき、これによって同じ色の2つの隣り合うセルは区別できる。この位置符号化パターンは、特定の数のセル(これはシンボルである)が協働して1つの位置を符号化するという点において、米国特許番号5,852,434と異なっている。この符号化は、更に、フローティング(浮動的)であり、これは、前述の数のセルを含むパターンの任意の部分表面が、位置を符号化することを意味する。各セルは、従って、複数の位置の符号化に寄与する。このようにして、必要とされるセンサーの面と、1つの位置を定義する位置符号化パターンの部分との比は、前述の米国特許における場合より小さくなる。更に、各セルは、より単純であり、従って、位置符号化パターンを復号化するプロセッサは、より少ない数の異なる要素を認識できれば足りる。しかしながら、プロセッサは、少なくとも2種類のセルの場所を決定し、区別できる必要がある。
【0011】
EP 0 171 284 B1は、水平線及び垂直線で構成される他のフローティング位置符号化パターンを示しており、ここで、垂直線は水平方向の位置を符号化し、水平線は垂直方向の位置を符号化している。これらの線は、1mmの倍数となる位置ごとに見つけられる。このような位置における線の存在は、1を符号化し、このような位置における線の不存在は、0を符号化している。
【0012】
しかしながら、線の間の交点を記録することは困難なので、線のパターンを記録し、復号化することは困難である。更に、センサーが基準に対し平行に保持されず、その結果、これらの線がもはや平行でなく見えるというケースがしばしば起こる。従って、線が実際に無いのかどうかを決定することが困難になる。更に、多数連続して線が無い部分を作ると、復号化が困難になる。また、情報容量は小さい。
【0013】
出願人によるスウェーデン特許出願第9901954−9号(1999年5月28日に出願され、本願の出願の時点では公衆に利用可能でなく、従って、先行技術とならない)には、フローティング型の更なる位置符号化パターンが記載され、ここで、位置情報は、第1及び第2のサイズのドットによって、グラフィカルに符号化されており、第1のサイズのドットは0に対応し、第2のサイズのドットは1に対応している。複数のドットが協働して1つの位置の座標を符号化する。
【0014】
一般的な要求として、面上に情報を記憶するのに用いられる符号化パターンは、単位エリア毎に多数の情報を符号化できるようなものでなければならないと共に、違う種類の干渉の影響下にあるときでさえ、検出及び復号化が単純なものでなければならない。
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、従って、少なくとも公知の符号化パターンと同程度かそれ以上によくこの要求を満たす符号化パターンを備えた製品を提供することにある。
【0016】
この目的は、請求項1に従う製品によって達成される。
【0017】
本発明は、更に詳細には、複数のマークを備えた符号化パターンを有する製品に関し、各マークが、少なくとも2つの異なる値の1つを表している。符号化パターンは、複数の基準位置を備えており、前記マークのそれぞれは、前記複数の基準位置の1つに関連付けられ、各マークの値は、その基準位置に対するそのマークの場所によって決定される。
【0018】
先行技術において、符号化は、通常、1又は複数のシンボルやマークの外観を用いて達成され、各シンボルやマークの値は、その外観によって決定される。その結果、符号化パターンを復号化する装置は、異なるシンボルやマークを認識できるものでなければならず、これは、干渉に対する感度を増大し、復号化をより困難にする。
【0019】
本発明によれば、各マークの値は、その基準位置に対してどのように配置されているかによって、決定される。この値はマークの場所に基づいているので、全てのマークは、同じ外観を有して良い。この結果、符号化パターンは、製品に適用する上で単純になる。更に、マークの検出が、簡単になり、符号化パターンの一部でない製品上の他のマークの存在によって影響されない。更に、この符号化パターンは、光学技術以外の他の技術、例えば、化学的、電気的又は機械的なパターンを用いて、より簡単に実現することもできる。このマークのデザインは、また、マークが光学的に読み取られるものであるとき、符号化パターンを備えた製品がより美的に満足いくものになるであろうことを意味している。最後に、情報の密度に対してマークの間の距離を大きくでき、これは、符号化パターンが、読み取りの間に起こる動きによる不鮮明さに対して、低感度であることを意味している。
【0020】
基準位置は、ここでは、検出可能な位置であり、且つ、この基準位置に対して異なるやり方でマークが配置できることを意味している。基準位置は、製品上に印すことができるが、これらはまた、仮想であって間接的に検出できるものであってよい。
【0021】
また、マークが表している値は、好ましくは数の値であるが、字あるいはある種のシンボルのような、文字の値であってもよいことが指摘される。
【0022】
マークの場所は、好ましくは、その重心によって決定することができ、これは、不規則な形状のマークの使用を可能とし、製品にパターンを適用するときの要求を少なくする。
【0023】
好適な実施形態において、各基準位置には、1つのマークが割り当てられる。これにより、全ての値がマークにより符号化されるという利点が得られる。マークの欠如は、従って、常にエラーを意味する。
【0024】
マークは、基準位置の中及び外の双方に配置できる。2値パターンの可能な表現として、例えば、基準位置内のマークが0を表し、基準位置の外のマークが1を表す(又は、これらが反対でもよい)ようにすることができる。
【0025】
好適な実施形態においては、しかしながら、実質的に全てのマークが、それらの基準位置に対しずらされている。このようにすると、パターンはランダムであり、同時に、肉眼でもそうと分かるほどに均一である。
【0026】
しかしながら、何らかの特定のパラメータ、例えば、仮想ラスターの位置を示すために、2、3のマークが、それらの基準位置内に置かれることができるようにすべきである。
【0027】
更に、好適な実施形態において、実質的に全てのマークは、それらの基準位置に対して同じ距離だけずらされている。基準位置がどこに配置されているかが分かれば、基準位置から所定の距離においてマークを探せば十分であり、マークの場所の決定が容易になり、エラーのリスクが軽減される。更に、基準位置からの適切な距離にマークがあることを検出すれば足りる。このマークの外観は重要度が低く、そのため、製品上にパターンを適用する場合の精度の要求を低減する。
【0028】
特に好ましい実施形態においては、各マークは、その基準位置に対し4つの直交方向の1つの方向に、ずらされる。そうすれば、基準位置を知ることにより、マークを、4つの異なる方向において探すだけでよい。これは、マークの場所の決定を容易にし、高速化する。更に、このパターンの部分でなく、4つの直行方向に沿わないところに置かれたマークは、検出されず、従って、パターンの復号化に影響を与える危険性がないので、エラーのリスクが軽減される。
【0029】
基準位置に対するマークの場所を決定できるためには、基準位置を知る必要がある。この目的のために、符号化パターンは、好ましくは、ラスター線を備えたラスターを備え、ラスター線の交点が、マークの基準位置を規定する。基準位置は、従って、製品上に、規則的に配列される。これは、検出を容易にし、エラーのリスクを低減する。更に、これは、仮想ラスターの使用を可能にする。
【0030】
好適な実施形態において、ラスター線間の距離は、おおよそ250μmから300μm、好ましくは、300μmである。これは、情報の高密度化を可能にするが、依然、信頼性のある検出が可能である。
【0031】
好適な実施形態において、ラスター線は、また、直角に交差するグリッド(格子)、好ましくは、正方形のグリッド(格子)を形成する。後者の例で、ラスター線間の距離は、従って、両方向において同じである。
【0032】
好適な実施形態において、更に、各マークは、ラスター線の1つに沿ってずらされる。ラスターを知れば、ラスター線が表現している確定した方向に沿ってサーチを行なうことによって、効率的な方法でマークの場所を決定できる。
【0033】
好適な実施形態において、各マークは、その基準位置から、ラスター線間の距離の1/4から1/8、好ましくは1/6の距離だけずらされている。このずれが、ラスター線の間隔のおおよそ1/6であるとき、マークが属する基準位置がどちらかを決定することは比較的容易である。もし、ずれがラスター線の間隔のおおよそ1/8よりも小さいと、検出が難しくなり、解像度の要求が大きくなり過ぎる可能性がある。もし、ずれがラスター線の間隔のおおよそ1/4よりも大きいと、マークがどちらの基準位置に属しているかを決めるのが難しくなる可能性がある。このことは、センサー又は検出器によって記録された符号化パターンの描写がゆがんでいた場合に、特に当てはまる。描写のゆがみは、例えば、光学センサーが、符号化パターンが配列されている表面に対して角度をつけて保持された場合に生じ得る。従って、上述したように好ましいラスター線間距離が300μmであれば、好ましいずれは50μmとなる。
【0034】
ラスター線を備えるラスターは、それがマークを検出する装置によって直接読み取られることができるように、表面上に指標することができる。しかしながら、この場合、ラスターはまた、装置により検出され、マークと区別できるようにされなければならない。好適な実施形態においては、ラスターは仮想のものであり、これは、ラスターが如何なる方法によっても製品上に印されないが、マークの場所からその位置が特定できるものであることを意味する。このように、ラスターは、製品から読み取られるのではなく、マークによって間接的に決定される。
【0035】
既に述べたように、実質的に全てのマークは、好適な実施形態において、実質的に同じ外観を有している。これは、製品上にマークを配列することをより簡単にする。
【0036】
マークは、好ましくは、何らかの単純な幾何学形状を有している。これらは、したがって、おおよそ、円形、三角形又は矩形であることが好ましい。これらは、塗り潰されても又そうでなくともよいが、前者のほうが、検出がより簡単になるので好ましい。
【0037】
マークは、その基準位置を覆うべきでなく、従って、ずれ量の倍(すなわち、200%)以上の大きさの直径を持つべきでない。しかしながら、これは厳格なものではなく、所定量の重なり合い(例えば、240%)は許容できる。最初に、センサーの解像度とパターンを生成するのに使用する印刷処理における要求によって、最小のサイズが決定される。しかしながら、センサーにおける粒子やノイズの問題を避ける目的から、実用上、マークは、ずれ量のおおよそ50%より小さな直径とすべきでない。
【0038】
符号化パターンは、検出器で検出できる上述のタイプのマークを生成するために用いることができる如何なる要素によっても実現し得る。この要素は、電気的なものや化学的なもの、又は何らかの他のタイプのものとすることができる。しかしながら、符号化パターンは、好適には、製品上への配列をより簡単にするために、光学的に読み取れるものである。これは、例えば、製品上に印刷することができる。
【0039】
好適な実施形態において、符号化パターンは、赤外光により読み取ることができる。このようにして、赤外光で読み取ることができない情報を、符号化パターンの読み取りと干渉することなく、その上に重ねることができる。
【0040】
好適な実施形態において、マークは、符号化パターンによって占められる表面における、0.25%から20%、好ましくはおおよそ9%を占有する。パターンが、例えば、白い紙のシート上に印刷される場合、この例では、紙は、淡いグレーがかるだけであり、これは、実質的に通常の紙と同じ状態を呈することを意味する。
【0041】
符号化パターンは、好ましくは、製品上の複数の位置を符号化する位置符号化パターンであり、各位置は、複数のマークによって符号化される。しかしながら、符号化パターンは、また、他の情報を符号化するために用いられてもよい。
【0042】
本製品は、符号化パターンを備えることができる如何なる製品であってもよい。これは、物理的な製品である必要はなく、電子的なもの、例えば、コンピュータ・スクリーン上の画像や表面でもよく、ここに、符号化パターンが電子的に重ねられる。
【0043】
本発明の他の側面によれば、本発明は、それぞれが少なくとも2つの異なる値のうちの1つを表している複数のマークと、複数の基準位置とを備える符号化パターンの使用法に関し、前記複数のマークのそれぞれは、前記複数の基準位置のうちの1つに関係付けられており、各マークの値が、対応する基準位置に対するその場所によって決定付けられる。
【0044】
このようなパターンの使用法における利点は、製品上の符号化パターンについての説明から明らかである。製品上の符号化パターンに関し述べられた特徴は、当然、符号化パターンの使用法にも当てはまる。この使用法は、例えば、製品上に符号化パターンを印刷すること、あるいはこの符号化パターンを電子的な形態で記憶すること、もしくはこの符号化パターンを復号化することからなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
以下、添付の図面を参照し実施形態に従って、本発明を詳細に説明する。
【0046】
【図1】図1は、位置符号化パターンを備えた本製品の一実施形態を図示している。
【図2】図2は、本発明の一実施形態におけるマークのデザイン及び配置の方法を図示している。
【図3】図3は、位置を符号化するのに使用する4×4のシンボルの例を図示している。
【図4】図4は、位置の決定に用いることができる装置を図示している。
【図5】図5は、三角状ラスターを用いた位置符号化パターンを示している。
【図6】図6は、六角状ラスターを用いた位置符号化パターンを示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は紙のシート1の形をした製品の一部を示しており、その表面2の少なくとも一部上には、位置決定を可能にする光学的に読取り可能な位置符号化パターン3が設けられている。
【0048】
位置符号化パターンは、マーク4を備えており、これは、「パターン」としての外観を備えるよう、表面2に整然と配列されている。紙のシートは、X座標軸とY座標軸を有する。位置の決定は、本製品の表面全域で実行することができる。他の例においては、位置決定を可能とする表面が、製品の小部分を構成するようにできる。
【0049】
パターンは、例えば、この表面に書かれ又は作図された情報の電子的描写を提供するために用いることができる。電子的描写は、ペンで表面に書き込みを行っている間に提供することができ、これは、位置符号化パターンの読み取りにより、紙のシート上のペンの位置を連続的に決定することによって可能となる。
【0050】
位置符号化パターンは、仮想ラスター及び複数のマーク4を備え、仮想ラスターは、目にも見えず、また表面上の位置を決定するための装置によって直接検出することもできないものであり、また、複数のマークのそれぞれは、その場所に依存して、以下に説明する1から4の4つの値のうちの1つを表している。ここで、明確にする目的から、図1の位置符号化パターンは、拡大して示されていることが指摘されなければならない。更に、配列されて示されているのは、紙のシートの一部のみである。
【0051】
位置符号化パターンは、全書き込み表面上の部分表面の位置が、この部分表面上のマークによって一意に決定されるよう配列されている。第1及び第2の部分表面5a,5bは、図1において破線で示されている。第2の部分表面は、部分的に第1の部分表面と重なっている。第1の部分表面5a上の位置符号化パターンの部分(ここでは、4×4のマーク)は、第1の位置を符号化し、第2の部分表面5b上の位置符号化パターンの部分は、第2の位置を符号化する。位置符号化パターンは、従って、隣り合う第1及び第2の位置に関し部分的に同じである。このような位置符号化パターンを、本明細書では、「フローティング(浮動的)」と呼ぶ。各部分表面は、特定の位置を符号化する。
【0052】
図2a〜dは、マークのデザイン方法及びその基準位置6に対する配置方法を示している。基準位置6(これは、また、ラスター点と呼ぶことができる。)は、ラスター線8の交点により表される。マーク7は、円形のドットの形をしている。マーク7及びラスター点6は、これらで、シンボルを構成する。
【0053】
一実施形態において、ラスター線間の距離は300μmであり、ラスター線間の角度は90度である。他のラスター線間の間隔も可能であり、例えば、100dpiの倍数の解像度を有しているプリンタやスキャナに合わせるために、254μmが可能であるが、これは、25.4mm/100(すなわち、254μm)の点の間の距離に対応している。
【0054】
マークの値は、従って、基準位置に対してマークがどこに配置されているかに依存している。図2の例では、4つの位置が可能であり、それらは、基準位置から伸びている各ラスター線上にある。基準位置からのずれは、全ての値に関し、同じ大きさである。
【0055】
各マーク7は、基準位置6に対してずらされており、その基準位置の上にはマークは無い。更に、基準位置毎にただ1つのマークだけがあり、このマークは、その基準位置に対してずらされている。これを、パターンを構成するマークに適用する。表面上には、パターンの一部でなく、従って、符号化に寄与しない他のマークがあってよい。このようなマークは、例えば、小さい塵、表面上の絵や図形からの意図しない点やマーク、意図されたマークであってよい。表面上のパターン化されたマークの位置は、十分に定義されているので、パターンは、このような干渉の影響を受けない。
【0056】
一実施形態において、マークは、基準位置6に対し、ラスター線8に沿って50μmだけずれた位置にある。このずれは、好ましくは、ラスター間隔の1/6であり、こうすれば、特定のマークが属する基準位置を決定することが相対的に容易となる。このずれは、少なくともラスター間隔のおおよそ1/8とすべきであり、そうしなければ、ずれの決定が困難になり、解像度の要求が高くなる。一方で、このずれは、マークが属する基準位置を決定できるようにするためには、ラスター間隔のおおよそ1/4以下とすべきである。
【0057】
ずれは、ラスター線に沿っている必要は無く、マークを分割された四分区間内に配置することができる。しかしながら、マークがラスター線に沿ってずらされている場合には、マーク間の距離が最小値を持ち、以下に詳細に説明するように、ラスター線を再現することに用いることができるという利点がある。
【0058】
各マークは、おおよそずれ量と同じか僅かに小さい半径を有するおおむね円形ドットで構成されている。半径は、ずれ量の25%から120%とできる。この半径が、ずれ量よりもはるかに大きい場合、ラスター線を決定することが困難となる。この半径が極めて小さい場合、マークを記録するためにより高い解像度が要求される。
【0059】
マークは、円や丸まったものである必要は無く、正方形や三角形等のようなあらゆる好適な形状を使用することができる。
【0060】
通常、各マークは、センサーチップの複数の画素をカバーするものであり、一実施形態においては、これらの画素の重心が記録又は計算され、続く処理で使用される。従って、マークの正確な形状は、重要ではない。よって、要求されるずれ量をマークの重心が備えていることが保証できるという条件で、相対的に簡単な印刷処理が使用できる。
【0061】
以下では、図2aのマークは値1を、図2bのマークは値2を、図2cのマークは値3を、図2dのマークは値4を表している。
【0062】
各マークは、従って、1から4の4つの値のうちの1つを表している。これは、位置符号化パターンが、X座標用の第1の位置符号と、Y座標用の第2の位置符号に分割できることを意味している。この分割は、以下のようになる。
【0063】
【表1】

【0064】
このように、各マークの値は、Xコード用の第1の値(この場合はビット)、及びYコード用の第2の値(この場合はビット)に変換される。この方法で、2つの完全に独立したビットパターンがパターンを用いて得られる。逆にいえば、2又はそれ以上のビットパターンを組み合わせて、図2に従う複数のマークによりグラフィカルに符号化される1つの共有パターンにすることができる。
【0065】
各位置は、複数のマークにより符号化される。この例では、二次元、すなわち、X座標とY座標の位置を符号化するために、4×4のマークを使用する。
【0066】
位置コードは、1と0の数字列から構成されるが、そのビット列には、その数字列内で同じ4ビットの並びが1度しか現れないという特性がある。ビット列は循環的なものであり、数字列の終わりを数字列の先頭に結合した場合にも、同様にその特性が適用される。従って、4ビットの並びは、常時、ビット列内で一意に決まった位置番号を持っている。
【0067】
ビット列が4ビットの並びに対して前述した特性を持っている場合、そのビット列は最大16ビット長にできる。しかし、この例では、以下のように7ビット長のビット列を使用する。
「0001010」
【0068】
このビット列は、列内の位置番号を符号化する以下のような7つの一意な4ビットの並びを含む。
【0069】
【表2】

【0070】
X座標の符号化では、符号化される表面全域に渡って、ビット列は縦列内に順に書き込まれ、左の縦列K0はX座標のゼロ(0)に対応する。1つの縦列において、ビット列は、従って、連続して複数回繰り返される。
【0071】
符号化は、隣り合う縦列内の隣り合うビット列間における差、すなわち位置のずれに基づく。差の大きさは、隣り合う縦列が、ビット列内におけるどの位置番号(すなわち、ビットの並び)で始まるかによって決まる。
【0072】
具体的には、第1の縦列Kn内の4ビットの並びにより符号化され、従って値0〜6を持ち得る位置番号(一方の位置番号)と、隣り合う縦列Kn+1内の対応する「高さ」における隣り合う4ビットの並びにより符号化される位置番号(他方の位置番号)との間の、7を法とする差Δnを取る場合、その結果(差)は、2つの縦列に沿ったどの場所で、すなわち、どの「高さ」のところで、その差が作り出されたかに拘わらず、同じになる。従って、2つの縦列の2つのビットの並びについての位置番号間の差を使用して、Y座標の全てに対して独立で不変であるX座標を符号化できる。
【0073】
この例では、表面上の各位置が4×4のマークを含む部分表面により符号化されているので、4つの垂直のビットの並びがあり、従って、それぞれが値0から6を持つ3つの差を、X座標を符号化するために利用できる。
【0074】
パターンは、コード・ウィンドウFに分割され、各コード・ウィンドウは4×4のマークからなるという特性を有する。従って、4つの水平のビットの並び及び4つの垂直のビットの並びが利用でき、3つの差がX方向で生成でき、4つの位置がY方向で得られる。これら3つの差及び4つの位置は、X方向及びY方向における部分表面の位置を符号化する。X方向で隣り合うウィンドウは、図1に示すように、共通の縦列を持つ。従って、最初のコード・ウィンドウF0,0は、縦列K0,K1,K2,K3からのビットの並び、及び横行R0,R1,R2,R3からのビットの並びを含んでいる。X方向では差が用いられるので、X方向及びY方向へ斜めに次に来るウィンドウ、すなわちウィンドウF1,1は、縦列K3,K4,K5,K6からと、横行R4,R5,R6,R7からのビットの並びを含んでいる。X方向における符号化のみを考えるとき、コード・ウィンドウは、Y方向に無制限に伸びるものとして考えることができる。同様に、Y方向における符号化のみを考えるとき、コード・ウィンドウは、X方向に無制限に伸びるものとして考えることができる。このようなY方向及びX方向にそれぞれ無制限に伸びる第1及び第2のコード・ウィンドウは、協同して図1に示したタイプのコード・ウィンドウ、例えばF0,0を構成する。
【0075】
各ウィンドウは、X方向におけるウィンドウの位置を与えるウィンドウ座標Fxと、Y方向におけるウィンドウの位置を与えるウィンドウ座標Fyとを有する。従って、ウィンドウと縦列との間の対応関係は、以下のようになる。
i = 3 Fx
j = 4 Fy
【0076】
符号化は、以下のような方法、すなわち、差のうちの1つΔ0が常に値1または2になり、これは、X方向におけるコード・ウィンドウの位置を表す番号の最下位桁S0を指し、他の2つの差Δ1,Δ2が3〜6の範囲の値になり、これらは、コード・ウィンドウの座標のための2つの上位桁S1,S2を指すようにして行われる。従って、X座標用の差が0になることは、コードパターンが対称的になってしまうので、許容されない。言い換えると、縦列は、その差が、以下のようになるように符号化される。
(3〜6); (3〜6); (1〜2); (3〜6); (3〜6); (1〜2); (3〜6); (3〜6); (1〜2); (3〜6); (3〜6);…
【0077】
従って、各X座標は、3と6の間の2つの差Δ1,Δ2、これに続く1か2の1つの差Δ0によって符号化される。最小の差Δ0から1を差し引き、他の差から3を差し引くと、3つの数字S2,S1,S0が得られるが、これは、混合基数において、X方向におけるコード・ウィンドウの位置番号を直接与え、ここから、X座標が、以下に示す例のように、直接決定できる。コード・ウィンドウの位置番号は、以下になる。
2 × (4×2) + S1 × 2 + S0 × 1
【0078】
前述した原理を使用して、コード・ウィンドウ0,1,2,…,31を、3個の差により表される3つの数字からなるコード・ウィンドウの位置番号を用いて符号化できる。これらの差が、上記の数字列に基づいたビットパターンを使用して符号化される。ビットパターンは最終的に、図2のマークを使用してグラフィカルに符号化される。
【0079】
多くの場合、4×4のマークからなる部分表面を読み込んだとき、多くの場合において、部分表面は1つのコード・ウィンドウに一致しないので、X座標を符号化する完全な位置番号を得ることができないが、X方向における隣接する2つのコード・ウィンドウをカバーするので、2つの位置番号の部分を得ることができる。そして、各番号の最下位桁S0は、常に1か2であるので、どの桁が最下位のものであるか分かり、完全な位置番号を容易に再構築することができる。
【0080】
Y座標は、コード・ウィンドウを用いたX座標で使用したのとほぼ同じ原理に従って符号化される。循環型の数字列(Xの符号化に使用したのと同じ数字列)は、位置を符号化する表面に渡って、水平な横行内に繰り返して、書き込まれる。X座標の場合とちょうど同じ様に、これらの横行は、数字列内の異なる位置から、すなわち異なるビットの並びを使用して、始める。しかし、Y座標に対しては差を使用せず、各横行のその数字列の開始位置に基づいた値を使用して座標を符号化する。4×4のマークのX座標が決定されると、その4×4のマークのYコード内に含まれている横行について、数字列内の開始位置が実際に決定できる。
【0081】
Yコードにおいて、最上位桁S0は、これを特定の範囲内の値を持つただ1つの数にすることによって、判断される。この例では、4つの横行のうちの1つを、この横行がコード・ウィンドウ内の最下位桁S0に関係していることを示すために、数字列内の位置0〜1から始め、他の3つの横行を、コード・ウィンドウ内の他の桁S1,S2,S3を示すために、数字列内の位置2〜6の何れかから始める。従って、Y方向に、以下のような値の並びが存在する。
(2〜6); (2〜6); (2〜6); (0〜1); (2〜6); (2〜6); (2〜6); (0〜1); (2〜6); …
【0082】
従って、各コード・ウィンドウは、2と6の間の3個の値、並びにこれに続く0と1の間の値を使用して符号化される。
【0083】
小さい値から0を差し引き、他の値から2を差し引くと、X方向と同様な方法で、混合基数におけるY方向の位置S3,S2,S1,S0が得られ、この位置からコード・ウィンドウの位置番号を直接決定できる。すなわち、
3 ×(5×5×2)+S2 ×(5×2)+S1 × 2 +S0 × 1
【0084】
上記の方法を使用して、コード・ウィンドウに関し、X方向の4×4×2=32個の位置番号を符号化できる。各コード・ウィンドウは、3つの縦列からのビット並びを備え、これは、3×32=96個の縦列、すなわちX座標を与える。更に、コード・ウィンドウに関し、Y方向に5×5×5×2=250個の位置番号を符号化できる。このような位置番号のそれぞれは、4つの横行からの水平なビット並びを備え、これは、4×250=1000個の行、すなわちY座標を与える。このように、合計して96000個の座標位置を符号化できる。
【0085】
しかし、Xの符号化は差に基づいているので、最初のコード・ウィンドウにおける1番目の数字列が始まる位置を選択できる。この1番目の数字列が7個の異なった位置から始められることを考慮すると、7×96000=672000個の位置を符号化できる。X及びY座標が決定された場合、最初の縦列K0にある1番目の数字列の開始位置が計算できる。1番目の数字列の前述した7個の異なる開始位置は、製品上の異なる頁や書き込み面を符号化できるようにする。
【0086】
理論上、4×4のシンボル(それぞれが4つの値を持つ)を持った部分表面は、44*4個の位置を符号化でき、これは、4,294,967,296個の位置に相応する。部分表面の位置における浮動的な決定を可能とするために、6000(4294967296/672000)を超える冗長性がある。
【0087】
冗長性は、一部は、前記差の大きさにおける制約に含まれており、また一部は、16のうちの7ビットだけを位置コードに使用したことに含まれている。しかしながら、この後者のことは、部分表面の回転位置を決定するのに用いることができる。前記ビット列内の次のビットが前記4ビットの並びに追加された場合、5ビットの並びが得られる。5番目のビットは、使用される部分表面の直ぐ外の隣接ビットを読むことによって得られる。このような追加ビットは、通常、容易に利用できる。
【0088】
センサーによって読み取られる部分表面は、4つの異なる回転位置、すなわち、コード・ウィンドウに対し0、90、180又は270度回転している可能性がある。部分表面が回転しているこれらのケースにおいて、コードの読み取りは、しかしながら、読み取られたコードが、それが0度の回転角で読み取られた場合と比較して、X方向又はY方向の何れか又は双方に反転及び逆転させたものになる。ここでは、マークの値の復号化として僅かに異なる復号化が使用され、それは、以下のテーブルに従うものとする。
【0089】
【表3】

【0090】
前述の5ビットの並びは、正しい方向で、且つ、逆転も反転もされていない形でのみ、前記7ビット列内に現れるという性質を持っている。これは、ビット列(0001010)がただ2つの「1」を含んでいるという事実から明らかである。従って、全ての5ビットの並びは、少なくとも3つの0を含んでいなければならず、これは、逆転した時には(もし反転しているのであればその時にも)、起こりえない3つの1になる。よって、ビット列内の位置番号を持っていない5ビットの並びが見つけられたときは、この部分表面は、おそらく回転されていると結論付けることができ、新しい位置が検査される。
【0091】
本実施形態に従う発明を更に説明するために、次に、前述の実施形態における位置コードに基づく具体的な例を示す。
【0092】
図3は、位置を決定するために装置によって読み込まれる4×4のマークを含む画像の一例を示している。
これらの4×4のマークは、次の値を持っている。
4 4 4 2
3 2 3 4
4 4 2 4
1 3 2 4
【0093】
これらの値は、次の2進XコードとYコードを表している。
Xコード: Yコード:
0 0 0 0 0 0 0 1
1 0 1 0 0 1 0 0
0 0 0 0 0 0 1 0
1 1 0 0 1 0 1 0
【0094】
Xコード内の垂直方向のビットの並びは、ビット列内の位置2 0 4 6を符号化している。縦列間の差は−2 4 2であり、7を法とする剰余は5 4 2になる。これは、混合基数で、(5−3)×8+(4−3)×2+(2−1)=16+2+1=19というコード・ウィンドウの位置番号を符号化している。最初に符号化されるコード・ウィンドウは位置0である。よって、1〜2の範囲内にあり、部分表面の4×4のマーク内に見られるこの差は、20番目の差になる。更に、このような差のそれぞれに対する全部で3つの縦列が存在し、開始の縦列が存在するので、4×4のXコードの一番右の縦方向の並びがXコードの61番目(縦列60)の縦列に属し(3×20+1=61)、一番左の縦方向の並びが58番目(縦列57)に属する。
【0095】
Yコードの水平方向のビットの並びは、数字列内の位置0 4 1 3を符号化する。これらの水平方向のビットの並びは、58番目の縦列から始まるので、横行の開始位置は、これらの数字から57を引いたものの7を法とする剰余であり、開始位置が6 3 0 2になる。混合基数の数に変換すると、これは6−2、3−2、0−0、2−2=4 1 0 0になる。ここで、3番目の桁が注目している数字内の最下位桁である。次に、4番目の桁が次の数字内の最上位桁である。この場合、これは、注目している数字内のものと同じにならなければならない(注目している数字が位置の全てで取り得る最大の数から構成される場合に、例外が発生する。その場合、次の数字の始まりが、注目している数字の始まりよりも1大きくなることが分かる)。
【0096】
位置番号は、混合基数で、0×50+4×10+1×2+0×1=42になる。
従って、Yコードの3番目の水平ビットの並びが、43番目のコード・ウィンドウに属し、これは0か1の開始位置を持ち、そして、このようなコード・ウィンドウのそれぞれについて全部で4行あるので、3番目の行が43×4=172番になる。
従って、この例で、4×4のマークを備える部分表面の一番左上の角の位置が(58,170)になる。
【0097】
4×4グループにおけるXコード内の垂直ビットの並びが横行170上で始まるので、全パターンのX縦列は、数字列の位置((2 0 4 6)−169) mod 7=1 6 3 5から始まる。最後の開始位置(5)と最初の開始位置の間で、数字0〜19が混合基数で符号化され、混合基数での数字0〜19の表記を合計することによって、これらの縦列の間の合計差を得る。これを行なう簡単なアルゴリズムがこれら20個の数字を生成し、直接それらの数を合計することになる。結果の総和をsと呼ぶことにすると、頁や書き込み面は、(5−s)mod7によって得られる。
【0098】
コード・ウィンドウを識別できるようにするために、部分表面においてどのビットが最下位のものであるかを決定する他の方法を、以下に説明する。最下位ビット(LSB)は、部分表面の差すなわち横行での位置番号における最小の数として定義される。このようにして、座標の最大使用可能な数の減少(冗長性)は、相対的に小さい。例えば、前述の例のX方向における初めの幾つかの第1のコード・ウィンドウは、全て、LSB=1で、他の桁として2と6の間の数を持つことができ、これは25個のコード・ウィンドウとなり、次のコード・ウィンドウは、LSB=2、及び3と6の間の他の数を持つことができ、これは16個のコード・ウィンドウとなり、次のコード・ウィンドウは、LSB=3、及び4と6の間の他の数を持つことができ、これは9個のコード・ウィンドウとなり、次のコード・ウィンドウは、LSB=4、及び5と6の間の他の数を持つことができ、これは4個のコード・ウィンドウとなり、次のコード・ウィンドウは、LSB=5、及び6である他の数を持つことができ、これは1個のコード・ウィンドウとなり、総計で、前述の例の32個に対し、55個のコード・ウィンドウを持つ。
【0099】
上記の例で、一実施形態が説明され、その中で、各位置は4×4のマークを使用して符号化され、7ビットの数字列が使用された。もちろん、これは、ほんの一例にすぎない。位置は、より多くのまたはより少ない数のマークを使用して符号化できる。両方の方向で同じ数である必要がない。数字列を異なった長さにし、2進数以外にしても良いし、他の基数、例えば16進コードに基づくことも可能である。X方向の符号化とY方向の符号化に異なった数字列を使用可能である。マークは、異なる個数の値を表すことも可能である。
【0100】
実用的な例において、部分表面として、6×6のマークからなるものが使用され、この場合、ビット列は、最大26ビット、すなわち64ビットとすることができる。しかしながら、部分表面の回転位置を決定する能力を持たせるために、51ビットのビット列、すなわち51個の位置を使用する。このようなビット列の例は、以下のとおりである。
000001100011111010101101100110100010100111011110010
【0101】
このような6×6のマークからなる部分表面は、理論上、46*6個の位置を符号化でき、前述の0.3mmのラスター寸法では、巨大な表面となる。
【0102】
7ビット列を用いた前述のものと同様の方法で、本発明に従えば、前記特性は、部分表面を、少なくともその中央において、部分表面の両側の1ビットを含むように拡大して、6×6のシンボルの部分表面内の3番目及び4番目の行において、8個のマーク(部分表面の各側に1個ずつ)が読まれるようにし、これをY方向も同様とするという方法で利用できる。前述の51ビットを含むビット列は、6ビットのビット並びが、ただ1度だけ出現し、6ビットの前述のビット並びを含む8ビットの並びが、ただ1度だけ出現し、決して逆転した位置又は反転及び逆転されたときには出現しないという特性を有している。このようにして、部分表面の回転位置は、横行3、横行4、縦列3及び/又は縦列4における8ビットを読むことによって、決定できる。回転位置が分かれば、部分表面は、処理を続ける前に、正しい位置に回転することができる。
【0103】
できるだけランダムなパターンを得ることが望ましく、こうすれば、過度に対称的な領域は出現しない。6×6のマークを備える部分表面が、図2a〜2dに従った異なる位置の全てを有するマークを含むパターンを得ることが望ましい。更にばらつき度を増大し、繰り返しの特性を避けるために、「シャッフル」と呼ばれる方法が使用できる。各水平ビット並びは、所定の開始位置から始まる。しかしながら、ずれ量が分かっているのなら、各横行毎に、水平方向における開始位置をずらすことができる。これは、隣接する横行に対し、各最下位ビット(LSB)に別々のずれベクトルを割り当てることにより行うことができる。このずれベクトルは、各横行が水平方向にずらされる量を規定する。これは、見た目には図1のY軸が「スパイク状」であるかのように理解できる。
【0104】
4×4のコード・ウィンドウを用いた上述の例において、このずれベクトルは、LSB=0に対し、1,2,4,0とすることができ、LSB=1に対し、2,2,3,0とすることができる。これは、2と0をそれぞれ差し引いた後、処理を続ける前に、上述のずれ量がビット並びの位置番号から差し引かれる(5を法とする剰余で)こととなることを意味する。上述の例において、Y座標に関し、混合基数で数41 0 0(S2,S1,S0,S4)が得られ、ここで、右から2つめの数が最下位桁(LSB)である。ずれベクトル1,2,4,0が数字4と1に用いられるので(LSB=0)、2が4から引かれてS2=2となり、4が1から引かれて(5を法とする剰余で)S1=2となる。数字S0=0は変わらずに残る(最下位桁に対するずれベクトルの値は、常に0である)。最後に、数字S4は、次のコード・ウィンドウに属し、これはLSB=1であり、第2のずれベクトルが使用される。従って、2が0から差し引かれ(5を法とする剰余で)、S4=3となる。
【0105】
同様の方法が、Y座標のコードを変えるために使用できる。しかしながら、上述の例においては差0が使用されておらず、コードは既に相対的にランダムに分散されているので、X座標を変える必要性は小さい。
【0106】
上記の例で、マークをドットとしているが、もちろん、別の外観にすることもできる。例えば、マークは、仮想ラスター点から始まり、そこから特定の位置に伸びる線や楕円から構成できる。ドット以外の他のシンボル、たとえば、正方形、長方形、三角形、円、楕円とすることができ、また、塗り潰されたものでも、そうでないものでもよい。
【0107】
上記の例では、マークは、正方形の形の部分表面内で、位置の符号化に使用されている。部分表面は例えば、六角形などの別の形にすることも可能である。マークは、直交するラスターにおけるラスター線に沿って配置される必要はなく、他の方法、例えば60度などの他の角度のラスターにおけるラスター線に沿って、配置され得る。極座標系を使用してもよい。
【0108】
図5及び図6に示すように、三角形又は六角形の形をしたラスターを使用することもできる。例えば、図5に示すように、三角形のラスターでは、各マークを6つの異なる方向にずらすことができ、66*6の部分表面位置に相応するより膨大な容量を提供する。図6の六角形のラスター、蜂の巣状パターンでは、各マークは、ラスター線に沿って3つの異なる方向にずらすことができる。
【0109】
前述したように、マークは、必ずしもラスター線に沿ってずらされる必要はなく、他の方向にずらす、例えば、正方形ラスター・パターンが用いられるときには、それぞれを四分区間内に配置することができる。六角形ラスター・パターンにおいては、マークを4又はそれ以上の異なる方向、例えば、ラスター線に沿うものとラスター線に対し60度の角度にある線に沿うものとで6つの異なる方向にずらすことができる。
【0110】
位置コードを検出できるようにするには、仮想ラスターが決定されることが必要である。これは、方形ラスター・パターンにおいては、異なるマーク間の距離を調べることによって行うことができる。2つのマーク間の最も短い距離は、水平方向において値1と3又は垂直方向において値2と4を持つ2つの隣接したマークから導かれるはずなので、これらのマークは、2つのラスター点の間の1つのラスター線上にある。このようなマークの組みが検出された場合に、関連するラスター点(基準位置)が、ラスター点間の距離とラスター点からのマークのずれ量の知識を使用して決定され得る。1度、2つのラスター点の位置が決定されると、他のマークへの測定された距離を使用して、ラスター点間の距離の知識から、次のラスター点が決定できる。
【0111】
マークがラスター線に沿って50μmずれており、ラスター線間は300μm離れている場合、2つのマークの最小距離、例えば値1と3を持ったマークにおける距離は200μmになる。次に小さい距離は、例えば、値1と2を持ったマークの間であり、これは255μmとなる。従って、最小距離と次に小さい距離との間には、相対的に区別可能な差がある。他の斜め方向のものまでの差は、また大きいものである。しかしながら、ずれ量が50μmより大きくなる、例えば、75μm(1/4)以上である場合、升目の斜め方向のものが問題を引き起こし、マークが属する基準位置の決定が困難となり得る。ずれ量が50μm以下、例えば、おおよそ35μm(1/8)以下の場合、最小距離は230μmとなり、267μmである次の距離とで大きな差がない。この場合、光学読み取りに対する要求が増大する。
【0112】
マークは、それ自身のラスター点を覆うべきでなく、従って、ずれ量の2倍以上の直径(200%)を持つべきでない。しかしながら、これは厳密なものではなく、所定のオーバーラップ(例えば、240%)は許容できる。最初に、センサーの解像度及びパターンを生成するのに使用する印刷プロセスでの要求によって、この最小サイズが決定される。しかしながら、マークは、ゴミやセンサーのノイズによる問題を避けるために、実用上、ずれ量のおおよそ50%より小さな直径とすべきでない。
【0113】
位置決定のための装置の一実施形態が、図4に図示される。装置は、おおよそペンと同じ形をしたケース11を備える。ケースの一方の短辺には開口12がある。この短辺は、位置決定が行なわれる表面に接触するか、または、表面から近い距離に保持されるように意図されている。
【0114】
ケースは、光学部品、電子回路部品および電源を基本的に含んでいる。
光学部品は、画像化されることになる表面を照明する少なくとも1個の発光ダイオード13、及び、二次元画像を記録するCCDやCMOSセンサーなどの光感知エリアセンサー14を備える。必要であれば、装置は、ミラー及び/又はレンズ系などの光学系を備えてよい。発光ダイオードは、赤外線発光ダイオードとすることができ、センサーは赤外線光に反応するものとすることができる。
装置の電源は、ケースの独立した区画に取り付けられた電池15から供給される。
電子回路部品は、センサー14により記録された画像に基づいて位置を決定するための画像処理手段16、詳細には、センサーからの画像を読み、それらの画像に基づいて位置決定を実行するようプログラムされたプロセッサを備えたプロセッサ・ユニットを含んでいる。
【0115】
本実施形態において、装置は、また、ペン先17を備えており、これを用いて、位置決定が実行されることとなる表面上に、通常の顔料による書き込みをすることができる。ペン先17は、ユーザが使うかどうかを選択できるよう出没自在である。特定の用途において装置は、ペン先を全く必要としない。
【0116】
顔料による書き込みは、好ましくは、赤外光に対し透過のタイプのものであり、マークは、好ましくは、赤外光を吸収する。赤外光を発光する発光ダイオードと赤外光に反応するセンサーを用いることによって、パターンに対する前述した書き込みに干渉されることなく、パターンの検出ができるようになる。
【0117】
装置は、また、ボタン18を備え、これによって、装置は、起動され、制御される。また、装置は、装置から及び装置へ情報を、例えば、赤外線、無線波又は超音波などを使用して、無線伝送するためのトランシーバ19を有する。装置はまた、位置又は記録した情報を表示するためのディスプレイ20を備える。
【0118】
テキストを記録する装置が、出願人のスウェーデン特許第9604008−4号に説明されている。この装置は、適切な方法でプログラムすれば、位置決定のために使用できる。顔料による書き込みのために本装置が使用される場合には、ペン先を備える必要がある。
【0119】
装置は、異なる物理的なケースに分けることができ、第1のケースは、位置符号化パターンの画像を記録し、これらを第2のケース内に含まれる部品に転送するために必要な部品を含み、前記第2のケース内の部品において、記録された画像に基づいて位置決定が実行される。
【0120】
前述のように、位置決定は、画像内でマークの場所を決定し、これを復号化すると共に、これによって得られたコードから位置を決定するソフトウェアを備えているプロセッサによって、実行される。当業者であれば、前述の例に基づいて、位置符号化パターンの部分画像に基づいて位置決定を実行するソフトウェアを設計することができるであろう。
【0121】
更に、前述の記載に基づいて、当業者は、位置符号化パターンを印刷するためのソフトウェアを設計することができるであろう。
【0122】
前記実施形態において、パターンは、光学的に読み取り可能なものであり、従って、センサーは光学的なものである。前述したように、パターンは、光学的な要素以外の要素に基づくことができる。この場合、センサーは、もちろん、対象の要素を読むことができるタイプのものでなければならない。このような要素の例としては、化学的、聴覚的又は電磁的なマークがある。容量性又は誘導性マークを用いることもできる。
【0123】
前述の実施形態において、ラスターは直交グリッドであった。これはまた、他の形状、例えば、60度の角度を有する菱形グリッド、三角又は六角グリッドなどでもよい。
【0124】
ずれは、4方向より多いものも少ないものも使用でき、例えば、六角仮想ラスターに沿う3方向のずれが使用できる。直交ラスターにおいては、ラスターの再現を容易にするために、2つのずれのみを使用してもよい。しかしながら、4方向におけるずれが好ましく、また、6か8方向も、本発明の範囲に含むことができる。
【0125】
前記実施形態においては、利用できる最長の循環数字列は使用されていない。その結果として、各種の方法で使用可能な冗長度が得られている。この冗長度は、例えば、エラー訂正、失われた又は隠れたマークの置き換えなどを行うために使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマークを備えた符号化パターンを有する製品であって、前記マークのそれぞれが少なくとも2つの異なる値のうちの1つを表しており、前記符号化パターンが、また、複数の基準位置を備えており、前記複数のマークのそれぞれが前記複数の基準位置の1つに関連付けられ、前記各マークの値がその基準位置に対するその位置によって示されていることを特徴とする製品。
【請求項2】
前記各基準位置に、1つのマークが割り当てられている請求項1に記載の製品。
【請求項3】
略全てのマークが、その基準位置に対してずらした位置にある請求項1又は2に記載の製品。
【請求項4】
略全てのマークが、その基準位置に対して同じ距離だけずらした位置にある請求項3に記載の製品。
【請求項5】
各マークが、その基準位置に対して直交する4方向のうちの1つの方向にずらした位置にある先行する請求項の何れか1つに記載の製品。
【請求項6】
前記符号化パターンが、ラスター線を有するラスターを備え、該ラスター線の交点が、前記マークの基準位置を規定する先行する請求項の何れか1つに記載の製品。
【請求項7】
前記ラスター線間の距離が、おおよそ250μmから300μmの間である請求項6に記載の製品。
【請求項8】
前記ラスター線の形状が、矩形グリッド、好ましくは正方形グリッドである請求項6又は7に記載の製品。
【請求項9】
各マークが、前記ラスター線の1つに沿ってずらされている請求項6,7又は8に記載の製品。
【請求項10】
各マークが、ラスター線間の距離の1/4から1/8、好ましくは1/6の距離だけ、その基準位置からずらされている請求項6〜9の何れか1つに記載の製品。
【請求項11】
前記ラスターが仮想のものである請求項6〜10の何れか1つに記載の製品。
【請求項12】
全ての前記マークが、おおよそ同じ外形を有している先行する請求項の何れか1つに記載の製品。
【請求項13】
前記マークが、おおよそ円形、三角形又は矩形である先行する請求項の何れか1つに記載の製品。
【請求項14】
前記マークの有効直径が、その基準位置に対する前記マークのずれ量のおおよそ50%から240%である請求項4〜13の何れか1つに記載の製品。
【請求項15】
前記符号化パターンが光学的に読み取り可能なものである先行する請求項の何れか1つに記載の製品。
【請求項16】
前記符号化パターンが赤外光により読み取り可能なものである先行する請求項15に記載の製品。
【請求項17】
前記製品が、前記符号化パターンを備えた表面を有している先行する請求項の何れか1つに記載の製品。
【請求項18】
前記マークが、前記符号化パターンを備える表面の0.25%から20%、好ましくはおおよそ9%を構成する先行する請求項の何れか1つに記載の製品。
【請求項19】
前記符号化パターンが、前記製品上の複数の位置を符号化する位置符号化パターンであり、該各位置が、複数のマークによって符号化されている先行する請求項の何れか1つに記載の製品。
【請求項20】
前記製品が、紙のシートである先行する請求項の何れか1つに記載の製品。
【請求項21】
複数のマークを備えた符号化パターンの使用法であって、前記マークのそれぞれが少なくとも2つの異なる値のうちの1つを表しており、前記符号化パターンが、また、複数の基準位置を備えており、前記複数のマークのそれぞれが前記基準位置に関連付けられ、前記各マークの値がその基準位置に対するその位置によって決定されていることを特徴とする符号化パターンの使用法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−182329(P2010−182329A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−74743(P2010−74743)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【分割の表示】特願2001−528918(P2001−528918)の分割
【原出願日】平成12年10月2日(2000.10.2)
【出願人】(506145326)アノト アクティエボラーク (49)
【Fターム(参考)】