説明

光学部品および該光学部品を使用した照明燈

【課題】 放射光の斑が極力低減できる光学部品を提供すること。
【解決手段】 透光性部材からなる中実柱状体の一端側に、頂部を中実柱状体の中心線に一致させて錐状凹部を形成し、一方、前記中実柱状体の他端側に、頂部を前記中実柱状体の中心線に一致させて透光性部材からなる錘状凸部を形成すると共に、前記錘状凸部の頂部に光源収容穴を形成し、前記光源収容穴に設置した光源からの光を前記錘状凸部の周面と前記錘状凹部の周面で反射して、前記中実柱状体の中心線と直交する全方位へ反射するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均一な光を放射するのに適した光学部品および該光学部品を使用した照明燈に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透光性部材からなる中実柱状体の一端面に、頂角が90度であってその頂部を中実柱状体の中心線に一致させて円錐凹部を形成し、該円錐凹部の内面に反射部材層を蒸着手段等により形成して、反射膜と円錐凹部内面との境界面を反射面とし、前記中心線上を通って他端面から入射した光線を、中心線と直交する全方位へ反射するようにした光学部品が知られている。(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2000−18946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に開示された光学部品を使用し、他端面から光を入射させて中心線と直交する全方位へ光を反射して放射させようとした場合、上記境界面に均一に光が当たらないので、放射光に斑ができるという問題がある。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、放射光の斑が極力低減できる光学部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の光学部品は、透光性部材からなる中実柱状体の一端側に、頂部を中実柱状体の中心線に一致させて錐状凹部を形成し、一方、前記中実柱状体の他端側に、頂部を前記中実柱状体の中心線に一致させて透光性部材からなる錘状凸部を形成すると共に、前記錘状凸部の頂部に光源収容穴を形成し、前記光源収容穴に設置した光源からの光を前記錘状凸部の周面と前記錘状凹部の周面で反射して、前記中実柱状体の中心線と直交する全方位へ反射するように構成されていることを特徴とする。
前記中実柱状体としては、円柱,角柱が挙げられる。その場合には、錐状凹部および錐体凸部は、中実柱状体の形状に対応するする円錐状、角錐状であることが好ましいが、錐状凹部と錐体凸部とで形状が異なっていてもよい。
また、光学部品の材質は、合成樹脂,ガラス等が挙げられ、透明度の高いものが好ましい。
また、錐状凹部の周面と錐体凸部の周面とは、ほぼ平行に形成されることが好ましく、また、錐状凹部および錐状凸部のそれぞれの頂角は、中実柱状体の周面から放射される放射光の光量が均一になるように決定されることが好ましい。
【0006】
請求項2の照明燈は、請求項1に記載の光学部品と、前記光源とを備えることを特徴とする。
この場合の光源としては、LED,蛍光灯,白熱灯等を採用することができ、さらには、グラスファイバーを使用し、該グラスファイバーを介して、上記各光源の光を導いてもよい。LEDを使用する場合には、その種類を変更することによって色のバリエーションが可能となる。
【0007】
請求項3の照明燈は、請求項1に記載の光学部品と、前記光学部品からの光を前記中実柱状体の中心線に平行な方向へ反射するリフレクタとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明の光学部品によれば、光源収容穴に設置した光源からの光が錘状凸部の周面で反射し、均一化して錘状凹部の周面に導かれるので、中実柱状体の中心線と直交する全方位へ放射される光の斑が少なくなる。
【0009】
請求項2の発明の照明燈によれば、中実柱状体の中心線と直交する全方位へ放射される光の斑が少なくなるので、中実柱状体の中心線と直交する全方位を均一に証明することができる。
【0010】
請求項3の発明の照明燈によれば、中実柱状体の中心線と直交する全方位へ放射される光の斑が少なくなるので、リフレクタで中実柱状体の中心線と平行な方向に放射される光を均一にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明に係る光学部品および該光学部品を使用した照明燈を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る光学部品の斜視図、図2は図1におけるA−A線断面図、図3は図1の光学部品を使用した照明燈を示した斜視図、図4は図3におけるB−B線断面図、図5は図3の照明燈を街灯として使用した状態を示した斜視図、図6は図3の照明燈を非常灯として使用した斜視図、図7は他の照明燈を示した斜視図、図8は図7におけるC−C線断面図、図9は図7の照明燈を野外表示燈として使用した状態を示した斜視図、図10は本発明に係る光学部品の他の実施形態を示した断面図である。
【0012】
図1に示した光学部品1は、特に限定はされないが、アクリル等の透明度の高い材料によって形成されている。この光学部品1は、大別すると、中実柱状体2と、該中実柱状体から後方に延設された錐状凸部3とによって形成されている。そして、中実柱状体2の先端面には、該中実柱状体と中心線を一致させて錐状凹部4が形成されている。一方、錐状凸部3の後端には、後方に開口する光源収容穴5が形成されている。なお、実施形態の中実柱状体2は円柱状とされ、錐状凸部3は円錐状凸部とされ、錐状凹部4は円錐状凹部とされている。
そして、この光学部品1の穴5には、光源6として、LEDが収容され、照明主体7が構成されている。
【0013】
この照明主体7では、図2に示すように、光源6の光のうち大半が錐状凸部3の周面3aで反射し、その反射光が錐状凹部4の周面4aで反射して、中実柱状体2の周面2aから外方へ放射される。この場合、光を可及的に横方向に放射させるには、例えば、光を錐状凹部4の周面4aに可及的に向けるため錐状凸部3の周面3をミラー面として構成することが好ましい。また、光を可及的に横方向に放射させるには、例えば、光を中実柱状体2の周面2aに向けるため円錐状凹部4の周面4a錐形周面4aをミラー面として構成することが好ましい。この場合のミラー面は、金属膜を蒸着させたり、金属泊を貼り付けたりすることによって容易に得られる。
【0014】
図3は、このような照明主体7を使用した照明燈10を示している。符号11は支柱を示し、この支柱11は、図4に示したように、円柱状の基台12の上部周縁に透明円筒体13を立設し、該円筒体の上端に蓋14を被せた構造となっている。この支柱11における透明円筒体13によって囲まれた領域には中空部15が形成されている。そして、この中空部15内には上記照明主体7が収容されている。なお、透明円筒体13を透明角筒体として構成してもよい。
【0015】
この照明燈10は、図5に示したように、公園等の屋外の地面に設置されたり、図6に示したように、屋内の天井等に設置される。
【0016】
図7は、他の形態の照明燈20に使用される照明主体21を示している。この照明主体21は、上記した光学部品1の後部を覆うようにして、弧状の凹反射面22aを有するリフレクタ22を配設するとともに、光学部品1の穴5に光源6を収容している。
【0017】
この照明主体21では、図8に示したように、光源6の光が錐状凸部3の周面3aで反射し、その反射光が錐状凹部4の周面4aで反射して、中実柱状体2の周面2aから外方へ放射され、さらに、リフレクタ22の凹反射面22aで反射されて、前方に放射される。
【0018】
照明燈20は、図9に示したように、この照明主体21の複数個を、支持板23に設置したもので、工事現場の野外サイン等として使用される。
【0019】
なお、上記実施形態の光学部品1では、中実柱状体2の端面と同一の大きさの底面を有する錐状凸部3を連設させているが、図10に示したように、中実柱状体2の端面よりも小さな底面を有する錐状凸部3を連設させたものであってもよい。
【0020】
本発明に係る照明燈としては、上記したものの他、キャンプ用ライト,車内燈,手元ライト,農業ハウス照明燈等に適用することができる。
【0021】
また、上記実施形態では、錐状凹部4を持つ中実柱状体2と錐状凸部3を一体化したが、例えば、錐状凹部4を持つ中実柱状体2と錐状凸部3とを別体とするなど、2つ又はそれ以上の部品を組み合わせて上記1つの光学部品1と同じ形状としてもよい。ただし、それらの部品は同じ材質であり、その境界面が密着していることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る光学部品の一実施の形態を示した斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】本発明に係る光学部品を使用した照明燈を示した斜視図である。
【図4】図3におけるB−B線断面図である。
【図5】図3に示した照明燈の設置態様を示した斜視図である。
【図6】図3に示した照明燈の他の設置態様を示した斜視図である。
【図7】本発明に係る光学部品を使用した他の照明主体を示した斜視図である。
【図8】図7におけるC−C線断面図である。
【図9】他の照明主体を使用した照明燈を示した斜視図である。
【図10】本発明に係る光学部品の他の形態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 光学部品
2 中実柱状体
2a 周面
3 錐状凸部
3a 周面
4 錐状凹部
4a 周面
5 穴
6 光源
7 照明主体
10 照明燈
11 支柱
12 基台
13 透明円筒体
14 蓋
15 中空部
20 照明燈
21 照明主体
22 反射板
22a 凹反射面
23 支持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性部材からなる中実柱状体の一端側に、頂部を中実柱状体の中心線に一致させて錐状凹部を形成し、一方、前記中実柱状体の他端側に、頂部を前記中実柱状体の中心線に一致させて透光性部材からなる錘状凸部を形成すると共に、前記錘状凸部の頂部に光源収容穴を形成し、前記光源収容穴に設置した光源からの光を前記錘状凸部の周面と前記錘状凹部の周面で反射して、前記中実柱状体の中心線と直交する全方位へ反射するように構成されていることを特徴とする光学部品。
【請求項2】
請求項1に記載の光学部品と、前記光源とを備えることを特徴とする照明燈。
【請求項3】
請求項1に記載の光学部品と、前記光学部品からの光を前記中実柱状体の中心線に平行な方向へ反射するリフレクタとを備えることを特徴とする照明燈。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性部材からなる中実柱状体の一端側に、頂部を前記中実柱状体の中心線に一致させて錐状凹部を形成し、一方、前記中実柱状体の他端側に、頂部を前記中実柱状体の中心線に一致させて、前記中実柱状体と一体に透光性部材からなる錘状凸部を形成すると共に、前記錘状凸部の頂部にその頂部側に開口する光源収容穴を形成し、前記光源収容穴に設置した光源からの光を前記錘状凸部の周面と前記錘状凹部の周面で反射して、前記中実柱状体の中心線と直交する全方位へ反射するように構成されていることを特徴とする光学部品。
【請求項2】
透明円筒体又は透明角筒体が設けられその筒体に囲まれた領域に中空部が形成された支柱を備え、前記中空部に、中心線が鉛直方向に延在するように請求項1記載の光学部品が収容されると共に該光学部品の光源収容穴に光源が設置され、前記透明円筒体又は前記透明角筒体を通じて外部に光を放射するように構成されていることを特徴とする照明燈。
【請求項3】
請求項1記載の光学部品と、弧状の凹反射面を有するリフレクタと、前記リフレクタの内側中央部に設置される光源とを備え、前記光学部品は前記リフレクタの凹反射面側に設けられ、前記光学部品の光源収容穴は前記リフレクタ側に開口し、前記光源収容穴に前記光源が設置されていることを特徴とする照明燈。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−12588(P2006−12588A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187762(P2004−187762)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(598088620)株式会社シーズ (7)
【出願人】(597059063)有限会社谷村玩具研究所 (3)
【Fターム(参考)】