説明

光導波路およびその製造方法

【課題】 配線板間の接続のための新たな部品を要することがなく、従って、接続箇所を減らすことができ、これにより製造コストおよび接続損失の低減を図ることができる光導波路およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 クラッド層とコア層1とを含み、コア層1を介して信号光を入射−伝播−出射する光導波路である。クラッド層とコア層1とからなる導波路層を複数含み、かつ、複数の導波路層が少なくとも一部において積層されてなる。クラッド層が下部クラッド層と上部クラッド層とからなる上記光導波路の製造方法である。下部クラッド層の塗工後に、塗工された下部クラッド層に対し凹凸パターンが形成されたモールドをプレスして、凹凸パターンを下部クラッド層表面に転写することにより下部クラッド層に溝部を形成し、溝部内にコア層1を塗工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光導波路およびその製造方法に関し、詳しくは、配線板、特には、電気配線と光配線との併用により構成される電気・光混載配線板において、電気配線部とともに配設されて用いられる光導波路およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器内の電気配線板においては、信号の伝送速度向上を目的として、光配線の技術が導入されてきている。具体的には、配線板内に光配線として光導波路が適用され、電気配線層と積層して使用されている。このような、電気配線と光配線との混載により構成された配線板は、一般に、電気・光混載配線板と呼ばれる。
【0003】
かかる電気・光混載配線板に関しては、これまでに種々検討がなされてきており、例えば、特許文献1には、高密度実装または小型化が可能で、しかも光部品の実装が電気部品の実装と同じ方法で行える光・電気配線基板の実現を目的として、電気配線が埋設された電気配線基板と、光導波路が埋設された光基板とが積層された光・電気配線基板において、光基板を、電気配線基板に形成された柱状導電性ガイドにより貫通させる技術が記載されている。また、特許文献2、3等にも、電気・光混載配線板に係る改良技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−340906号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2003−287637号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】特開2004−163722号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、上記のような電気・光混載配線板において用いられる光導波路は、直線状やY字分岐状等のコアパターンを予め設計することにより製品化されていた。従って、実際の配線板において発光素子や受光素子等の実装用に使用する場合には、これら素子の実装位置、実装方向、実装個数等が千差万別であるために、それぞれの使い方に合わせて設計、製造を行う必要があり、製品化までのリードタイム、コスト面で不利であるという問題があった。
【0005】
そこで本発明の目的は、上記問題を解決して、実装時における個々のケースに応じた設計、製造の必要をなくして、製品化までのリードタイムを短縮し、かつ、コストの低減を図ることができる光導波路およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、複数の導波路層にて光導波路を形成することで、導波路コアの配設領域を所望に設定することが可能となり、これにより上記問題を解消できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の光導波路は、クラッド層とコア層とを含み、該コア層を介して信号光を入射−伝播−出射する光導波路において、前記クラッド層とコア層とからなる導波路層を複数含み、かつ、該複数の導波路層が少なくとも一部において積層されてなることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の光導波路の製造方法は、前記クラッド層が下部クラッド層と上部クラッド層とからなる上記光導波路の製造方法であって、該下部クラッド層の塗工後に、塗工された該下部クラッド層に対し凹凸パターンが形成されたモールドをプレスして、該凹凸パターンを該下部クラッド層表面に転写することにより該下部クラッド層に溝部を形成し、該溝部内に前記コア層を塗工することを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本発明の他の光導波路の製造方法は、上記本発明の光導波路の製造方法において、フォトブリーチング材料を含む単層膜を、一または二方向からマスク部材により被覆するマスク工程と、前記単層膜に対し、該マスク部材を介して一または二方向から光を照射する光照射工程と、前記単層膜から該マスク部材を剥離する剥離工程と、を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成としたことにより、導波路コアの配設領域を所望に設定することで、複数層で構成される面内の導波路コアの存在する部位であれば、どこからでも光信号を取り出すことが可能となるため、使用目的等に応じてケースバイケースで設計、製造を行うことが不要となり、これにより、実装用光導波路の標準化、共通化を行うことができるとともに、リードタイムの大幅な短縮およびコストダウンを実現することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明の光導波路は、クラッド層とコア層とを含み、コア層を介して信号光を入射−伝播−出射するものであって、クラッド層とコア層とからなる導波路層を複数含み、かつ、かかる複数の導波路層が少なくとも一部において積層されてなる点に特徴を有する。
【0012】
図1(a)に、本発明の光導波路のコア層1A、1Bのみを取り出した概略斜視図を示す。本発明においては、複数の導波路層を設けることで、図示するように、光を伝播する経路となるコア層1の配設領域の自由度が大幅に広がるため、所望のコア層形状を形成することで、使用目的等に応じた設計を行わなくても、コア層1の存在する部位であればどこからでも、所望に応じて適宜光を取り出すことが可能となる。
【0013】
本発明においては、複数の導波路層が少なくとも一部で積層されてなるものであれば、その全体の導波路形状や積層形状、材質等については、特に制限されるものではない。コア層は例えば、図示するように、積層された複数の導波路層のうちの二層間で、コア層1A、1Bが互いに直交するよう設けることができ、好適には、積層された複数の導波路層のうちの二層の少なくとも一部に、層間で互いに直交する2つの方向に夫々、略平行に延びる複数本のコア層1A、1Bが形成されるように、即ち、光導波路層を上面から見た場合に、複数のコア層が全体として格子状をなすように配設することが好ましい。
【0014】
本発明の光導波路は、配線板内で光配線として用いることができ、特には、電気・光混載配線板内に電気配線部とともに配設されて好適に用いられる。図2に、本発明の光導波路を用いた配線板の一例としての電気・光混載配線板の一構成例を示す。図示する電気・光混載配線板は、コア層1とクラッド層2(下部のクラッド層)とを含む本発明の光導波路10と、電気配線部(図示せず)を含む電気配線層40とが積層されてなり、光導波路10は、例えば、発光素子31と受光素子32との間で光信号を伝達する。なお、図中の符号3は上部のクラッド層を表しており、また、説明の簡略のため、導波路層は一層のみで示している。本発明に係る配線板については、光導波路を用いた光配線が適用できるものであれば、その具体的構成については特に制限されるものではない。
【0015】
本発明に係る複数の導波路層は、直接積層してもよく、また、電気配線層40を介して積層してもよく、特に制限されるものではないが、電気配線層40を介して積層する場合には、導波路層間で光をやり取りする部位については、電気配線層40に孔を開けて光路を確保することが必要となる。また、クラッド層を介してコア層1間で光信号のやり取りをする場合も同様である。一方、クラッド層を介することなく一対のコア層1が対向する構成とする場合には、コア層1間に、信号を送る光の波長領域において吸収の少ない、好ましくは吸収損失が0.2dB/cm以下の樹脂からなる接着層6(図1(c)参照)を設けることで、一つの導波路層内のコア層に光を伝播させる際の、他の導波路層内のコア層への光の漏れを防止することができる。かかる樹脂としては、例えば、光インプリント法に使用する光硬化材料として後に挙げるものを、適宜選択して用いることができる。なお、複数の導波路層間の接着は、通常は、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのオリゴマーとアクリレートモノマーの混合物等からなる光学接着剤を用いて行うことができ、また、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いてもよい。かかる熱硬化性樹脂としては、信号光の波長領域において吸収の少ない材料であればよく、例えば、ポリイミド、エポキシ、アクリルなどを用いることができ、特に制限されるものではない。また、光硬化性樹脂としては、信号光の波長領域において吸収の少ない材料であればよく、例えば、後述するインプリント法に用いられる材料などを用いることができ、特に制限されるものではない。特には、クラッド層と同じ材料で接着を行うことが好ましく、例えば、一方の導波路部を上部クラッド層なしで作製し、上下反転させて貼り合わせることも可能である。
【0016】
また、図示するように、本発明の光導波路10においては、例えば、ミラー50またはそれに準ずるスリット構造を用いて光の進行方向を変えることができる。ミラー50は、光の進行方向に対しある程度の角度をもって、例えば、45°をなす方向に設けることができ、例えば、図示するように、光の進行方向に対し45°をなしかつコア層面に対しても45°をなす方向に設けた二個のミラー50を組み合わせることで、下層のコア層1から上層のコア層1へと光路を変更し、または、その部分から光を取り出すことが可能となる。ミラー50は、ブレードによるダイシング法、光ピン法、レーザー法等による加工により作製することができ、また、金などをコーティングしてもよい。
【0017】
従って、本発明の光導波路10内における光路の設定は、光路変更や他の光導波路層との光結合の必要なコア層2の適宜箇所に上記ミラー50等を設けることにより、容易に行うことが可能である。
【0018】
本発明の光導波路の製造方法としては、複数の導波路層を夫々別個に作製して、これらを上記接着層6や、光学接着剤または光硬化性樹脂等により貼り合わせる方法を用いることができる。個々の導波路層の製造方法としては、例えば、下部のクラッド層2の形成後、コア層材料を塗工してマスク露光によりコア層1を形成し、その上面および側面にさらに上部のクラッド層(図示せず)を塗工形成する直接露光法や、下部クラッド層2の形成後、コア層材料を塗工して、電子線や紫外線、レーザー光などの放射線の照射による直接描画によりコア層1を形成する方法、多層押出しを用いる方法など、公知の手法を適宜用いることができ、特に制限されるものではないが、いわゆるインプリント法(ホットエンボス法またはナノインプリント法とも称する)を用いる方法が好適である。
【0019】
図3に、かかるインプリント法を用いた本発明に係る導波路層の製造工程の一例を示す。図示する例では、(a)基板5上に下部クラッド層2を塗工した後、(b)かかる下部クラッド層2に対し凹凸パターンが形成されたモールド70をプレスして、その凹凸パターンを下部クラッド層2表面に転写することにより、溝部4を形成している(インプリント工程)。その後、(c)溝部4内にコア層1を塗工して、さらに、所望に応じ(d)上部クラッド層3を積層することにより、導波路層を製造することができる。
【0020】
上記のように、インプリント法を用いて溝部4の形成を行うことにより、従来のリソグラフィー法に必要な現像作業が不要となり、簡易な工程で効率良く製造を行うことが可能となる。また、ビーム系が不要であるため装置コストが抑制でき、化学増幅系などの高価なレジスト材料が不要となる点でもコストの低減に寄与することができる。さらに、インプリント法では、パターンの形状をそのまま転写することができるため、設計通りの3次元形状を容易に得ることができるとともに、従来のリソグラフィー法では対応できなかった曲面などの多様な断面形状にも、光導波路を形成することが可能となるという利点もある。なお、図示する例では、断面矩形状の凸部を有するモールド(テンプレート)70を用いているが、例えば、断面略円形状のコア層を形成する場合などには、凸部断面が半円形やU字形、V字形などであるモールドを用いてもよく、特に制限されるものではない。
【0021】
ここで、上記インプリント工程においては、下部クラッド層2の材料として、熱可塑性材料または熱硬化性材料を用いる熱インプリント法、または、光硬化材料を用いる光インプリント法のいずれかを、好適に採用することができる。このうち、熱可塑性材料を用いる場合には、そのガラス転移点以上の温度でモールド70のプレスを行った後、モールド70からの離型前に下部クラッド層2の冷却硬化を行うことにより、形状精度良く溝部4のパターンを形成した下部クラッド層2を形成することができる。また、熱硬化性材料を用いた場合には、プレス後、モールド70からの離型前に下部クラッド層2の熱硬化を行い、光硬化材料を用いた場合には、同様にプレス後、モールド70からの離型前に、下部クラッド層2の光硬化を行えばよい。いずれの場合においても、モールド70からの離型前に下部クラッド層2を硬化させることができるため、所望の形状の溝部4のパターン、即ちコア層1のパターンを、歪みを生ずることなく形成することができる。
【0022】
熱インプリント法に用いることのできる下部クラッド層2の材料としては、透明性に優れた熱可塑性材料および熱硬化性材料であればよく、特に制限されるものではない。例えば、熱可塑性材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。これらの材料は、単独もしくはブレンドして用いてもよく、ブレンドの場合には、ブレンドされる各々の材料の3次元網目構造が相互貫通している構造(IPN(Inter penetrating networks)構造)をとってもよい。上記材料の成分をブロックとして、共重合体としてもよい。また、上記材料に適量の溶剤を添加して、転写性を改良することも可能である。
【0023】
また、熱硬化性材料としては、シリコン系材料、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート樹脂、フッ素系樹脂、これら樹脂の重水素化物などが挙げられる。これらの材料は、単品もしくはブレンドして用いてもよく、ブレンドの場合には、ブレンドされる各々の材料の3次元網目構造が相互貫通している構造(IPN構造)をとってもよい。上記材料の成分をブロックとして、共重合体としてもよい。
【0024】
次に、光インプリント法は、一般的に材料の硬化速度が速いので、熱インプリント法と比較して、プロセス時間を短くできる利点がある。かかる光インプリント法に用いることのできる光硬化材料は、(a)重クロム酸塩系感光性樹脂、(b)光分解型感光性樹脂、(c)光二量化型感光性樹脂、(d)光重合型感光性樹脂に分類される。
【0025】
(a)重クロム酸塩系感光性樹脂としては、ゼラチン、グルー、卵白、アラビアゴム、セラミックなどの天然高分子、あるいは、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリアクリルアミドのような合成高分子に、重クロム酸アンモニウムあるいは重クロム酸カリウムを加えたものを挙げることができる。また、(b)光分解型感光性樹脂としては、芳香族ジアゾニウム塩系樹脂、o−キノンジアジド類樹脂、アジド化合物含有樹脂があり、(c)光二量化型感光性樹脂としては、桂皮酸エステル系樹脂が挙げられる。これらはいずれも、光インプリント法における下部クラッド層材料として用いることができる。
【0026】
さらに、(d)光重合型感光性樹脂としては、不飽和二重結合のラジカル重合反応を利用した光ラジカル重合系組成物、二重結合へのチオール基の付加反応を利用した光付加反応系組成物、および、エポキシ基の開環付加反応(カチオン重合)を利用した光カチオン重合系組成物等が挙げられる。このうち光ラジカル重合系組成物としては、(メタ)アクリロイル基、マレイン酸、フマル酸基を官能基として導入した不飽和ポリエステル、不飽和ポリウレタン、不飽和エポキシ樹脂、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、二重結合へのチオール基の付加反応を利用した光付加反応系組成物としては、ポリウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基にアリルアルコールを反応結合させたポリエンにペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)のようなチオール基を持つ化合物が挙げられ、光カチオン重合系組成物としては、光の照射により、BF3、SnCl4、PF5などのルイス酸を放出する化合物を光カチオン重合開始剤として用いて、エポキシ基などを光開環重合させるものが挙げられる。上記の光重合型感光性樹脂は、いずれも光インプリント法に使用可能である。
【0027】
なお、インプリント法では、前述したように熱収縮や光硬化収縮により寸法変化が生ずるため、使用する材料に応じて変化量をあらかじめ予測して、光導波路を設計する必要がある。また、解像度がモールドで定まってしまう点、モールド内に樹脂の残膜が発生する場合がある点にも注意を要する。
【0028】
インプリント法を用いる場合の、図3(a)、(d)に示す下部クラッド層2および上部クラッド層3の形成は、使用する材料に応じて慣用の塗工方法により行えばよく、特に制限されるものではない。例えば、スピンコート法、コンマ法、グラビア法等を用いることができる。また、所望に応じ別途作製したフィルム状のクラッド層を積層してもよい。また、図3(c)に示す溝部4内へのコア層1の形成は、特に制限されるものではなく、例えば、スピンコート法、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット、ディスペンサー塗布、アプリケーター塗布等の、液状かまたは少なくとも流動性を有する材料を供給することが可能な慣用の方法を用いて行うことができ、特には、インクジェットまたはディスペンサー塗布、中でも、ディスペンサー塗布の手法を用いることが好適である。図3(d)に示す上部クラッド層3の塗工後には、熱ないし光(紫外線(UV)、電子線(EB)等)を適宜付与して、未硬化の部分を硬化させることにより、導波路層を得ることができる。なお、図3(c)に示すコア層1の塗工後にも、コア層をある程度硬化させて形状を保持するために、熱ないし光を付与することが好ましい。
【0029】
また、本発明においては、コア層を、光照射により屈折率が変化するフォトブリーチング材料を用いたフォトブリーチ法にて形成する方法も、好適に用いることができる。フォトブリーチング材料を用いたコア層の形成は、具体的には例えば、以下のように行うことができる。
【0030】
図4に、フォトブリーチ法を用いた導波路層の製造工程の一例を示す概略説明図を示す。図示する製造方法は、フォトブリーチング材料を含む単層膜111を一対のマスク部材112A、112Bにより挟持するマスク工程(a)〜(c)と、単層膜111に対し、一対のマスク部材112A、112Bを介して対向する二方向から光を照射する第一の光照射工程(d)と、単層膜111から一対のマスク部材112A、112Bを剥離する剥離工程(e)と、一対のマスク部材112A、112Bが剥離された単層膜111に対し、再度前記二方向から光を照射する第二の光照射工程(f)と、を含むものであり、これにより、(g)に示すようなクラッド層102とコア層101とを備えた導波路層を、簡易な手法で得ることができるものである。
【0031】
図示するマスク工程(a)〜(c)においては、マスク部材112Bを基板として用い(a)、このマスク部材112B上にフォトブリーチング材料を含む単層膜材料を塗工して単層膜111を形成し(b)、その後、形成された単層膜111上にさらにマスク部材112Aを積層することにより、単層膜111を一対のマスク部材112A、112Bにより挟持している。ここで、図示する一対のマスク部材112A、112Bは、コア層101に対応する形状がパターニングされたパターニングマスクであり、符号113A、113Bで示す部分がコア層101に対応している。従って、マスク部材112A、112Bにより単層膜111を挟持する際には、両側のマスク部材112A、112Bのパターニング形状113A、113Bが互いに合致するよう留意する必要がある。
【0032】
この場合、マスク部材112A、112Bは、単層膜111に対し固定することは必ずしも必要ではなく、光照射の際に単層膜111とマスク部材112A、112Bとの位置関係にズレが生じないものであれば、両者は密着させてもギャップを持たせても、いずれでもよい。また、マスク部材を基板として用いる場合のように、マスク部材と単層膜とを密着させる場合には、マスク工程に先立って、一方または双方のマスク部材の単層膜111に対向する表面に離型処理を施しておくことが好ましく、これにより、その後の剥離工程(e)におけるマスク部材の剥離が容易となる。なお、基板またはマスク部材上に単層膜111を形成するための手法としては、特に制限されるものではなく、スピンコート法、コンマバー塗工法、マイクログラビア法等の慣用の塗工手段を適宜用いて単層膜材料を塗工した後、熱により乾燥、硬化させる手法を用いればよい。
【0033】
次いで、第一の光照射工程(d)においては、単層膜111に対しマスク部材112A、112Bを介して光照射を行うことで、パターニング形状に対応して、図示する単層膜111の幅方向に屈折率分布が形成される。図示するように、この際、マスク部材112A、112Bを透過した光は、回折現象によりコア層101に対応するパターニング幅よりも内側に回り込むため、単層膜111内では、幅方向の両端に近づくほど光の照射強度が高く、従って屈折率が低下する一方、中央近傍に近づくほど照射強度が低く、従って屈折率変化が小さくなるため、中央近傍は両端近傍に比して高屈折率となる。これにより、単層膜111の幅方向両端にクラッド層102を形成するとともに、幅方向中央近傍において連続的な屈折率傾斜を形成することができることになる。
【0034】
次いで、剥離工程(e)において単層膜111から一対のマスク部材112A、112Bを剥離した後、第二の光照射工程(f)において、単層膜111に対し再度前記二方向から光を照射することで、単層膜111内において、高さ方向に屈折率分布を形成することができる。この場合、図示するように、上下方向から光を照射することで、上下それぞれの表面に近いほど照射強度が高く、高さ方向中央近傍に近づくほど照射強度が低くなるため、幅方向の場合と同様に、上下方向表面近傍にクラッド部を形成するとともに、中央部近傍において屈折率傾斜を形成することができ、結果として、図示するように、断面略円形状であって、中心近傍に向かい屈折率が連続的に高くなっているコア層101と、その周囲に形成されたクラッド層102とからなる導波路層を作製することが可能となるのである。なお、第一の光照射工程(d)および第二の光照射工程(f)における光の照射強度は、単層膜111の厚さや材質、目的とするコア部のサイズ等により適宜設定すればよく、特に制限されるものではない。
【0035】
上記単層膜111は、上述したように、フォトブリーチング材料、即ち、光照射により屈折率が変化する材料を含むことが必要であり、これにより、単層膜111内において屈折率を変化させて、コア層101とクラッド層102とを形成することが可能となる。かかるフォトブリーチング材料としては、特に制限されるものではなく、従来使用されているもののうちから適宜選択して用いることができ、例えば、ポリシラン等を代表的に挙げることができる。特には、コア層101とクラッド層102との屈折率差を十分得るために、光照射による屈折率変化量が0.001以上であるフォトブリーチング材料を用いることが好ましい。さらに、単層膜111の厚さは、図示するようなコア層102およびクラッド層102からなる構造を形成できる程度のものであればよく、好適には、厚さ10μm以上とする。
【0036】
単層膜111を形成するための単層膜材料は、上記フォトブリーチング材料のみで形成してもよいが、上記フォトブリーチング材料と他の材料とを適宜組み合わせて形成することもでき、特に制限されるものではない。フォトブリーチング材料と併用できる他の材料としては、通常この分野においてコアまたはクラッド材料として用いられるもののうちから、適宜選択して用いることができる。
【0037】
かかる他の材料としては、具体的には例えば、透明性に優れたポリメチルメタクリレート(PMMA)などを初めとして、アクリル系、エポキシ系、ポリシラン系、あるいはポリイミド系の樹脂材料や、これらを重水素化またはフッ素化したものなどを挙げることができる。これら樹脂材料は、1.3μm以上1.55μm以下の波長域の光に対して低吸収化が図られているため、これらの材料を用いることで、低損失な光デバイスを形成することができる。
【0038】
また、目的とするコア部の形状によっては、図5に示すように、(A)下部クラッド層214A上に形成したフォトブリーチング材料を含む単層膜211を、(B)一方向からマスク部材212により被覆して、(C)このマスク部材212を介して単層膜211に対し光を照射し、その後(D)単層膜からマスク部材212を剥離して、所望に応じ(E)上部クラッド層214Bを設けることにより、クラッド層201とコア層202とを備えた光導波路200を得る手法を用いることもできる。この場合も、各製造工程は前記と同様に行うことができ、特に制限されるものではない。
【0039】
上下クラッド層およびコア層の材料としては、上記した以外にも、従来慣用の無機材料や有機材料のうちから適宜選択して用いることができるが、コア層は、上下クラッド層よりも高屈折率にて形成することが必要となるので、互いの層の材料との関連で選択することを要する。具体的には例えば、光硬化材料、熱硬化性材料、熱可塑性材料等の各種モノマー(溶液も含む)、オリゴマー(溶液も含む)、ポリマー溶液のうちから、透明性や耐熱性等のその要求特性等の観点から、適宜選択して用いることができる。
【0040】
上記のうちモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの低級アルコールエステル、下記一般式(1)、

(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数8〜20のアルキル基を表す)で表される化合物、ジ(メタ)アクリルエステル、トリ(メタ)アクリルエステル、さらには、スチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマーなどを挙げることができる。
【0041】
アクリル酸およびメタクリル酸の低級アルコールエステルの低級アルコールとしては、炭素数1〜5、好ましくは1〜3の1価アルコール、より好ましくはメタノールが挙げられる。
【0042】
また、前記一般式(1)で表される化合物において、炭素数8〜20の高級アルキル基を示すR2の好ましい炭素数は10〜16、より好ましくは12〜14である。この高級アルキル基R2は、単独アルキル基であっても混合アルキル基であってもよいが、最も好ましくは炭素数12と13との混合アルキル基である。この場合、炭素数12のアルキル基のものと炭素数13のアルキル基のものとの割合、即ち、ドデシル(メタ)アクリレートとトリデシル(メタ)アクリレートとの割合は、重量比として通常20:80〜80:20であり、特に40:60〜60:40であることが好ましい。
【0043】
ジ(メタ)アクリルエステルとしては、エチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、ポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、アルキル鎖の炭素数が3〜6のジオールと(メタ)アクリル酸とのジエステルが挙げられる。また、トリ(メタ)アクリルエステルとしては、アルキル鎖の炭素数が3〜6のトリオールと(メタ)アクリル酸とのトリエステルが挙げられる。なお、ポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステルを構成するポリエチレングリコールとしては、下記一般式(2)、

において、nが1〜15、特に1〜10のものが好ましい。
【0044】
上記モノマーを重合あるいは共重合させて層を形成するための方法としては、熱や光による硬化方法が一般的であるが、特に制限されるものではない。一般的には、熱硬化の場合には、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジーt−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、クミルパーオキシオクトエートなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリルなどのアゾ化合物等の重合開始剤を添加し、50〜120℃で1〜20時間重合させる方法を採用することができる。また、光硬化の場合の重合開始剤としては、ベンジルメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタールなどのケタール系化合物、α−ヒドロキシケトン、ミヒラーズケトン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのケトン系化合物、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、メタロセンなどのメタロセン系化合物、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン化合物などが好適に用いられる。
【0045】
なお、上記モノマーとともに、リン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、グリコール類及びグリコール(メタ)アクリレート類の1種または2種以上をブレンドして用いることが、高温高湿下に長期間放置した場合の白濁を防止する点から好ましい。
【0046】
また、ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸のエステル)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂(結晶、非結晶)、ポリシラン、ポリエーテルスルホン、ポリノルボルネン、エポキシ系樹脂、例えば、ビスフェノールA型、ノボラック型のエポキシ樹脂とポリアミノアミド、変性ポリアミノアミド、変性芳香族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、変性脂環族ポリアミン,フェノールなどの活性水素を持つ硬化剤との混合硬化物、ポリアリール、ポリイミド(PI)、ポリカルボジイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド(PA)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS、MMA−St)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂(中でも、SBS、ABSは耐衝撃性に優れる利点を備える)、ポリフェニレンエーテル等のポリアリーレンエーテル、ポリアリレート(PAR)、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルケトンケトン等のポリエーテルケトン類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロックポリマー(SEBS)、フッ化ビニリデン系樹脂、ヘキサフルオロプロピレン系樹脂、ヘキサフルオロアセトン系樹脂等のフッ素系樹脂などを挙げることができ、中でも、(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
【0047】
透明樹脂としては、他に、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンポリマー(商品名:アートン(JSR(株))、ゼオネックス(日本ゼオン(株)等)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)、フェノール樹脂、ポリサルフォン(PSF)樹脂等が挙げられる。上記のうち、モノマーあるいは低分子材料から出発できるものとしては、スチレン系樹脂、特にはMS樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂がある。
【0048】
さらに、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの低級アルコールエステルとスチレン系モノマーとの共重合体の他、前述したモノマー類の一部または全ての水素原子をフッ素原子に置き換えたモノマーを用いた透明樹脂などを用いることもできる。かかるコア層および上下クラッド層の材料は、単独または2種以上を適宜混合して使用することが可能である。なお、上部クラッド層2と下部クラッド層3とは、伝送損失の低減の観点からは、同一の材料を用いて形成することが好ましい。
【0049】
なお、製造工程において使用する基板5としては、従来より知られているものから適宜選択して用いることができ、特に制限されるものではない。例えば、シリコン基板や石英基板、金属箔、ガラス板などの他、ポリエチレンテレフタレート(PET)やアクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリイミド(PI)フィルムなどの高分子フィルム等を用いることができる。但し、前述のインプリント工程において光インプリント法を用いる場合には、基板5側から、または、モールド側から光を照射して硬化を行う必要があるため、基板5またはモールドとして透明なものを用いることが必要となる。さらに、上記各層の塗工溶液の調製に用いる溶剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸セロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ベンゼン、シクロヘキサノン等の慣用の有機溶剤から適宜選択して用いることができる。
【0050】
さらに、本発明においては、上記のようにして作製した光導波路の表面に、ハードコートや吸湿防止層などを積層して用いてもよい。光導波路において光の経路となって情報を伝達する部位はコア層1であるので、コア層1が傷つかなければ光導波路としての性能に問題は生じないが、そのような大きな損傷を防止するために、表面にハードコートを設けることが必要となる場合もある。かかるハードコートの材料としては、(メタ)アクリレートモノマー、例えば、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレートや、多官能のエポキシ、(メタ)アクリルオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、共重合系(メタ)アクリレート、エポキシオリゴマーに、光開始剤を加えて重合させる(メタ)アクリレート系またはエポキシ系ハードコート材料や、シラン化合物、有機金属化合物、無機酸化物微粒子、硬化用触媒、および、所望に応じその他の材料を含むシリコーン系ハードコート材料(プライマー処理を用いてもよい)、オルガノアルコキシシラン系、アルコキシシラン・ジルコネート系、水系シリケート系、水性アルミナ系、オルガノアルコキシシラン・樹脂ハイブリッド系、アルコキシシラン・ジルコネート・樹脂ハイブリッド系、水系シリケート・樹脂ハイブリッド系などの無機系ハードコート材料、光カチオン硬化型有機・無機ハイブリッド材料などの有機・無機ハイブリッド型ハードコート材料等が挙げられる。
【0051】
また、吸湿防止剤は、使用する光導波路材料によっては吸湿により屈折率が変化して、所期の設計値から大きく外れてしまうことがあるため、これを防ぐ目的で設けられる。吸湿防止層には、一般に疎水性が高い材料が用いられ、例えば、撥水性の塗料や、フッ素を含む化合物等が挙げられる。また、SiO2やSiN4等を用いることもでき、これらを光導波路(フィルム)の上下面に塗布することで、光導波路材料自体の吸湿を防ぐものである。なお、片面のみに塗布した場合、異方性が生じて反りの発生につながる場合がある。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
6インチ径の石英ガラス基板上に、スピンコーターを用いて、アクリル系樹脂(JSR社製)を100μm厚さに塗布し、引き続き、100℃で3分間加熱して、下部クラッド層2(屈折率1.51)を形成した。次に、凹凸パターンの凸側が図3に示すコア層1Aの直線状のコア形状に倣った形状を有する石英製モールドを準備し、180℃のプレス温度にて熱インプリントを行い、下部クラッド層にコア層形成用の凹溝を形成した後、光源として高圧水銀灯(365nm)を用いて、照度20mW/cm2、光量1.0J/cm2にて露光した。溝は断面寸法が幅50μm、高さ50μmで、図1(b)に示す直線状の平面形状を有していた。
【0053】
次に、上記下部クラッド層2に用いたアクリル系樹脂に対し、高屈折率モノマーとしてのエポキシアクリレートを添加することで、下部クラッド層2のアクリル系樹脂よりも屈折率を3%高くしたアクリル系樹脂組成物を、スクリーン印刷法にて下部クラッド層2の直線状溝部に印刷して、温度100℃にて3分間加熱後、高圧水銀灯(365nm)の光源を用いて、照度20mW/cm2、光量1.0J/cm2にて露光することにより、屈折率1.57、幅50μm、高さ50μmのコア層1Aを形成した。
【0054】
次に、上部クラッド層3として、上記下部クラッド層2と同じアクリル系樹脂を用いてスピンコート法にて厚さ50μmの膜を積層し、温度100℃にて3分間加熱後、高圧水銀灯(365nm)の光源を用いて、照度20mW/cm2、光量1.0J/cm2にて露光した。さらに、150℃で60分間加熱を行い、直線状コア層1Aを有する基板と一体の導波路層Aを作製した。
【0055】
次に、上記の手順を繰り返して、直線状コア層1Bを有する基板と一体の導波路層Bを作製した。これら2つの導波路層を、2層のコア層1A、1Bを重ねることにより互いに直交する格子状のコア層が形成されるよう(図1(b)参照)、エポキシアクリレート系光学接着剤を用いて貼り合わせた後、塩酸中に浸漬することにより基板と導波路部とを剥離した。これにより、2層のコア形状の積層による格子状のコア層を有するフィルム光導波路を得た。
【0056】
なお、この光導波路に光を入射し再び出射する間に、光を垂直方向に90°光路変換する箇所、即ち、下のコア層1Aから上のコア層1Bへ、あるいはこの逆の光路変換をするか、または、上下側のいずれかに存在する光素子や新たな光導波路に対し光を出射する箇所には、45°ミラーを作製した。加工には、刃先の形状が90°V次形ダイヤモンドブレードを用い、光導波路のコア層に垂直にブレードを当てながら切削を行った。
上記一連の工程により、コア層が少なくとも一部において複数層にて形成されている本発明の光導波路が製造できた。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(a)は本発明の光導波路のコア層のみ取り出して示す概略斜視図であり、(b)は本発明の光導波路の概略斜視図であり、(c)は接着層を介して導波路部を積層した本発明の他の光導波路の概略斜視図である。
【図2】本発明の光導波路を用いた配線板の一例としての電気・光混載配線板の一構成例である。
【図3】インプリント法を用いた光導波路の製造工程の一例を示す概略説明図である。
【図4】フォトブリーチ法を用いた光導波路の製造工程の一例を示す概略説明図である。
【図5】フォトブリーチ法を用いた光導波路の製造工程の他の例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1、1A、1B コア層
2 クラッド層(下部クラッド層)
3 上部クラッド層
4 溝部
5 基板
6 接着層
31 発光素子
32 受光素子
40 電気配線層
50 ミラー
70 モールド
101、201 コア層
102、202 クラッド層
111、211 単層膜
112A、112B、212 マスク部材
113A、113B、213 パターニング形状
214A 下部クラッド層
214B 上部クラッド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッド層とコア層とを含み、該コア層を介して信号光を入射−伝播−出射する光導波路において、前記クラッド層とコア層とからなる導波路層を複数含み、かつ、該複数の導波路層が少なくとも一部において積層されてなることを特徴とする光導波路。
【請求項2】
電気配線部とともに電気・光混載配線板内に配設される請求項1記載の光導波路。
【請求項3】
前記電気配線部を含む電気配線層と積層されて前記電気・光混載配線板内に配設される請求項2記載の光導波路。
【請求項4】
前記複数の導波路層が、接着剤または硬化性樹脂を介して積層されている請求項1〜3のうちいずれか一項記載の光導波路。
【請求項5】
有機化合物からなる請求項1〜4のうちいずれか一項記載の光導波路。
【請求項6】
前記積層された複数の導波路層のうちの二層の少なくとも一部に、層間で互いに直交する2つの方向に夫々、略平行に延びる複数本のコア層が形成されている請求項1〜5のうちいずれか一項記載の光導波路。
【請求項7】
前記積層された複数の導波路層間で、前記クラッド層を介することなく対向する一対の前記コア層間に、信号を送る光の波長領域において、吸収損失が0.2dB/cm以下の樹脂からなる接着層が設けられている請求項1〜6のうちいずれか一項記載の光導波路。
【請求項8】
光の進行方向に対し45°をなす方向に、ミラーが少なくとも一個設けられている請求項1〜7のうちいずれか一項記載の光導波路。
【請求項9】
前記クラッド層が下部クラッド層と上部クラッド層とからなる請求項1〜8のうちいずれか一項記載の光導波路の製造方法において、該下部クラッド層の塗工後に、塗工された該下部クラッド層に対し凹凸パターンが形成されたモールドをプレスして、該凹凸パターンを該下部クラッド層表面に転写することにより該下部クラッド層に溝部を形成し、該溝部内に前記コア層を塗工することを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のうちいずれか一項記載の光導波路の製造方法において、フォトブリーチング材料を含む単層膜を、一または二方向からマスク部材により被覆するマスク工程と、前記単層膜に対し、該マスク部材を介して一または二方向から光を照射する光照射工程と、前記単層膜から該マスク部材を剥離する剥離工程と、を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜8のうちいずれか一項記載の光導波路の製造方法において、前記コア層を直接露光法により形成することを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜8のうちいずれか一項記載の光導波路の製造方法において、前記コア層を、放射線の照射による直接描画により形成することを特徴とする光導波路の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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