説明

光導波路の製造方法、及び両端に金属膜のミラー部を有する光導波路

【課題】基板側の光送受信部の位置に応じて斜めミラー部を簡単に形成できる光導波路の製造方法を提供する。
【解決手段】コア溝に対応する凸部を有する第1の型で、基板上に形成された硬化前のクラッド層を押圧し、そのままクラッド層を硬化させて、下部クラッド層にコア溝を形成する工程、上記第1の型を下部クラッド層から剥離させ、コア溝にコア材料を充填した後、硬化させてコアを形成する工程、コア材料を硬化させた後、コアと下部クラッド層4の上、及び斜めミラー部34を形成するコア端部に上部クラッド材60Aを充填する工程、斜めミラー部34の斜面形状に対応する凸部を有する第2の型42で、コア端部に充填した硬化前の上部クラッド材60Aを押圧し、そのまま上部クラッド材60Aを硬化させた後、第2の型42を離型して斜めミラー部用斜面を形成する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路の少なくとも一方端に斜めミラー部が形成された光導波路の製造方法、及びコア両端に斜めミラー部を有する光導波路に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムの実用化に伴い、その基本構成としての光導波路に関する技術が注目を集めている。光導波路とは、代表的には、屈折率が高いコアを屈折率が低いクラッドが取り囲んだ埋め込み型構造が知られている。光導波路のコアに入射した光は、コアとクラッドとの界面で反射しながらコア中を伝播する。
【0003】
このような光導波路と電子回路とを1枚の基板上に混載した光電気混載基板においては、裏面に電気配線を有する基板の反対面上に光導波路が形成され、光導波路の両端部に45°ミラーを形成して、一方の45°ミラーの位置における基板の電気配線側に実装されている発光素子から発光された光を、45°ミラー部で90°光路を変更させて光導波路のコアの中を伝播させ、他方の45°ミラーの位置における基板の電気配線側に実装された受光素子により受光するように構成されている。例えば、特許文献1には、上記説明とは上下が逆だが、発光素子からの出射光をミラーで光路変換して、光導波路のコア内を伝搬させる光電子回路基板(光電気混載基板)が示されている。
【0004】
上記の45°ミラー部(斜めミラー部)を形成する方法として、光導波路の下部クラッド、コア、上部クラッドを形成した後、45°ミラー部のための断面V字状の溝を、三角形状のブレードを用いてダイシングソー(ダイサー)によりV溝加工を行い、このV溝表面に真空蒸着等の方法で金属膜を形成する方法が、一般的であり、特許文献1においても、ダイサーで切込みを入れてミラー部用溝を形成している。
【0005】
しかしながら、上記従来方法では、ブレードの加工位置および加工深さを精密に制御する必要がある。また、クラッドの厚さのバラツキがミラー位置のバラツキに影響するため、位置精度の制御が困難であるという問題があった。さらに、ブレードでの切削では、コアやクラッドが比較的軟らかい材料の場合は、加工面が荒れてしまい、光の反射効率が低下するという問題があった。また、V溝に真空蒸着で金属膜を形成するために加熱が必要であるが、その際の輻射熱によって、クラッド材等を構成する樹脂が軟化・溶融するという問題があった。
【0006】
一方、特許文献2には、コアパターンと斜めミラー部を同時形成することのできる金型が記載されている。しかしながら、転写後の斜めミラー部のみに金属膜を形成する技術が不明である。通常は、ミラー部以外をマスクする工程が必要となり、更に光導波路形成後に電気配線を有する基板を精密な位置合わせで貼り合わせる必要があるため、工程が煩雑になると推測される。また、図面を参照しても、コアパターン14と斜めミラー部16の位置関係がおかしく、両者の位置関係を理解することができない。
【0007】
光電子回路基板の場合、光導波路のコアと、斜めミラー部を介して、発光素子や受光素子との間で光を低損失で授受するためには、光導波路を実装する際に、光送受信部に対するコアの位置ずれを防止して、正確に実装することが求められる。すなわち、基板側の光送受信部の位置に応じて光導波路の斜めミラー部とコアの位置決めが必要となる。ところが、上記特許文献2ではコアパターンと斜めミラー部を同時形成しているため、光送受信部の位置に応じて斜めミラー部の位置を変更することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−250007号公報
【特許文献2】特開2002−311273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、基板側の光送受信部の位置に応じて斜めミラー部を簡単に形成できる光導波路の製造方法を提供することを課題として掲げた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成し得た本発明は、コアの少なくとも一方端に斜めミラー部が形成されている光導波路の製造方法であって、コア溝に対応する凸部を有する第1の型で、基板上に形成された硬化前のクラッド層を押圧し、そのままクラッド層を硬化させて、下部クラッド層にコア溝を形成する工程;上記第1の型を下部クラッド層から剥離させ、コア溝にコア材料を充填した後、硬化させてコアを形成する工程;コア材料を硬化させた後、コアと下部クラッド層の上、及び斜めミラー部を形成するコア端部に上部クラッド材を充填する工程;斜めミラー部の斜面形状に対応する凸部を有する第2の型で、コア端部に充填した硬化前の上部クラッド材を押圧し、そのまま上部クラッド材を硬化させた後、第2の型を離型して斜めミラー部用斜面を形成する工程を含むことに要旨を有する光導波路の製造方法である。
【0011】
また本発明を実施するにあたっては、前記斜めミラー部用斜面を形成する工程は、斜めミラー部の斜面形状に対応する凸部を有し、この凸部の斜めミラー部に対応する斜面と基板側に対向する底辺とで形成される角が135°である第2の型で、コア端部に充填した硬化前の上部クラッド材を押圧し、そのまま上部クラッド材を硬化させた後、第2の型を離型して斜めミラー部用斜面を形成する工程であることも好ましい実施態様である。
【0012】
更に前記斜めミラー部用斜面に金属膜を形成することも好ましい実施態様である。
【0013】
本発明は、コアの両端に斜めミラー部を形成するものであることも好ましい実施態様である。
【0014】
また本発明はコアの両端に金属膜で形成された斜めミラー部を有することに要旨を有する光導波路である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造方法では、光導波路の斜めミラー部用斜面を上部クラッド層と同時に形成できるため上記問題を解決できる。特に光導波路の両端に斜めミラー部を形成する場合は、夫々の斜めミラー部を独立して形成することもできるため、基板側の光送受信部の位置に応じた位置に斜めミラー部を有する光導波路を簡単に製造できる。また本発明の製造方法によれば、斜めミラー部は金属膜を用いて簡単に形成できる。更に本発明の光導波路はクラッド材で斜めミラー部を形成しているため、ダイサーなどによって斜めミラー部を形成した際に問題となる加工面が荒れて光の反射率が低下するという問題も解消できる。
【0016】
したがって本発明によれば、製造プロセスの簡略化、生産速度の向上、および歩留まりの向上により、結果として、光導波路のコストを低下させることが可能である。
【0017】
また本発明のコアの両端に金属膜(特に金属箔)で形成された斜めミラー部を有する光導波路は、従来の上記課題を克服できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(A)、(B)は、第1の型の斜視説明図である。
【図2】第1の型の使用方法を説明する図である。
【図3】コア材充填前後の下部クラッド層の斜視説明図である。
【図4】第2の型の使用方法を説明する図である。
【図5】図5(A)、(B)は、第2の型の説明図である。
【図6】図6(A)、(B)は、吸着機構を有する第2の型の斜視説明図である。
【図7】コア両端に斜めミラー部を形成する工程の概略説明図である。
【図8】斜めミラー部用斜面の形成方法の概略説明図である。
【図9】コア両端に斜めミラー部を形成する工程の概略説明図である。
【図10】図10(A)、(B)は、斜めミラー部用斜面に形成されたRの概略説明図である。
【図11】第2の型の使用方法の一例を説明する図である。
【図12】第2の型の使用方法の一例を説明する図である。
【図13】図13(A)〜(C)は、第2の型の形状の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、光導波路の端面の斜めミラー部の斜面を上部クラッド材で形成する点に特徴があり、更に、金属膜を用いてこの斜面に斜めミラー部を形成できる点にも特徴がある。このため、光導波路を製造するための他の工程については特に限定されない。以下、斜めミラー部が形成された光導波路の代表的な製造方法を説明するが、本発明の光導波路の製造方法は下記例に限定されず、適宜変更することができる。
【0020】
<本発明の光導波路の製造方法>
以下、図面を参照しながら、本発明を説明する。図1には、第1の型1の一方端の斜視説明図を示した。第1の型1は、コア溝に対応する凸部11を有している。コア溝対応凸部11は、図例では1本だけだが、複数本、並設して形成しても構わない。また下部クラッド層及びコアの端面を垂直に形成するためには、図1(B)に示すように、コア溝対応凸部11の長手方向の水平面に対して垂直なストッパー11Aを第1の型1’の端部に設けた型を用いてもよい。
【0021】
まず、第1の型1を用いて、下部クラッド層にコア溝を形成する。図2には、図1(A)の第1の型1を上下に反転させた状態のA−A線断面を見た図を示している。硬化前の下部クラッド層3を公知の方法で基板4A上に作製し、図2に示したように、第1の型1を図1とは上下反転させて、下部クラッド層3に押し当てる。第1の型1を押圧したまま下部クラッド層3を硬化させることにより、第1の型1を離型した後には、図3に斜視図で示したように、コア溝31が形成された硬化後の下部クラッド層3Aが得られる。
【0022】
次に、コア溝31にコア材料を公知の方法で充填する。効率的且つ選択的に溝に充填する方法として、コア溝31は幅と深さが大体数十μm程度であって細いので、コア溝31の所定の場所にコア材料を滴下し、毛細管現象でコア溝31の長さ方向にコア材料を充填する方法が好ましい。コア溝31の深さは下部クラッド層の厚みよりも浅いため、コア材料の滴下箇所をコア溝31の両端部よりも内側に設定することで、コア材料をコア溝31の端部から流出させることなく、コア溝内のみを充填する事が出来る。これは、コア溝端部で、コア材料と空気との界面張力によって、毛細管現象が停止する為である。コア溝へのコア材料の充填速度を上げるためには基板や下部クラッド層、或いはコア材料を加熱してコア材料の流動性を高めてもよい。例えば基板を50℃以上、200℃以下の範囲で加熱すると、下部クラッド層を介してコア材料に熱が伝わってコア材料が加熱されて流動性が高まる。温度が低すぎると充填速度に著しい向上は見られない。一方、温度が高すぎる場合は、コア材料が熱によって硬化し始めるため充填できなくなる。
【0023】
このままコア材料を硬化させることにより、下部クラッド層3Aの上部のコア溝31内に硬化したコア51が形成される。これにより、下部クラッド層3Aの中央上部にコア51が埋め込まれた積層体4が得られる。
【0024】
次に、斜めミラー部用の斜面を作製する。斜めミラー部用斜面は、光導波路の長手方向(光の伝播方向)におけるコア側端部に形成された45°の傾斜を有するミラー(光反射部)部用の斜面である。45°の傾斜とする理由は上記したように、コアの光路をミラー部で90°変更させて基板側に設けた光送受信部に入射させるためである。
【0025】
このような斜めミラー部用斜面を形成するには、図8に示す様に、コア材料を硬化させた積層体4のコア51と下部クラッド層3Aの上に上部クラッド層を形成するための上部クラッド材60を公知の方法で充填すると共に、ミラー部用斜面を形成するために、上部クラッド材60をコア端部80(コア長手方向端部)にも充填する(図中、60A)。後記する第2の型41の凸部42の斜面42Aを押し当てた際に、充填した上部クラッド材60Aと第2の型の凸部の斜面42Aとの間に空隙がないように十分な量を充填することが望ましい。空隙が残存すると上部クラッド材を硬化させた後の斜面表面に凹凸が残存する原因となり、平坦性が確保できないからである。
【0026】
上部クラッド材を充填した後、斜めミラー部の斜面形状に対応する形状の凸部42を有する第2の型41を、コア端部80に充填した硬化前の上部クラッド材60Aに押し当てる。第2の型41の斜めミラー部対応の凸部42によってミラー部用斜面33が形成される。斜めミラー部用斜面を形成した後、公知の方法で上部クラッド層60(60A)を硬化させることにより、斜めミラー部用斜面33を有し、下部クラッド層3A、及びコア51を被覆した上部クラッド層60が積層された埋込型構造体61が得られる。
【0027】
その後、斜めミラー部用斜面33に公知の方法でミラー部(光反射部)を形成することにより、斜めミラー部を有する光導波路が製造できる。ミラー部の形成方法としては、例えば、真空蒸着、金属コロイド溶液の塗布等の公知の方法を用いて金属膜を形成してもよいが、本発明では簡易に斜めミラー部を形成するために、金属箔などの金属膜を用いて斜めミラー部を形成することが好ましく、反射率を高める観点からは、金属膜(金属箔)表面は鏡面加工されていることがより好ましい。また工程を簡略化して生産性を向上させる観点からは、上記斜めミラー部用斜面の形成と同時に、金属箔などの金属膜を用いて斜めミラー部も形成することが望ましい。
【0028】
このようなミラー部の形成に用い得る金属膜(特に金属箔、以下同じ)としては、Au、Ag、Cu、Al等またはこれらの1種以上を含む合金が挙げられ、使用する光の波長(例えば通信に使用される場合は、700〜1600nmの波長、特に800〜900nmの波長)での反射率が高い金属膜が好ましく、反射率が70%以上である金属膜がより好ましい。反射率が高く、化学安定性に優れた金属膜としては、Au、Agが挙げられ、低コスト化の観点からは、AlもしくはCuが好ましい。また金属膜として金属箔を用いることが推奨される。
【0029】
本発明で用いられる金属膜の厚みは特に限定されないが、膜厚が薄すぎると皺や破断等が発生し易くなり、また光が膜を透過して反射率が低下するため、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上とするのがよい。一方、反射率や耐皺性などの観点からは膜厚の上限は特に限定されないが、膜厚が厚すぎると、斜めミラー部の斜面と上部クラッド層または基板とで形成される角部分で金属膜が斜面に追従せずに浮き上がり、Rを形成することがある。例えば図10(A)に示す斜めミラー部用斜面33と基板4Aとで形成される頂角20(角度135°:図5(A)に示す第2の型で形成された斜めミラー部用斜面の一部拡大図)や、図10(B)に示す斜めミラー部用斜面と他の斜面とで形成されるV溝の頂角20(角度90°:図5(B)に示す第2の型で形成された斜めミラー部用斜面)で金属膜が斜面に追従せずに浮き上がり、Rを形成する。Rが大きくなると、ミラー部作成時に金属膜に生じた皺や破れが伝播してコアからの光路を変更するミラー機能を発揮する箇所に皺等が生じて歩留まりが低下することがある。したがって、金属膜の厚みは後記する下部クラッド層の厚みよりも薄くすることが好ましく、例えば25μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましい。金属膜の厚みを基板から下部クラッド層の厚み(基板からコア上で接する上部クラッド層までの垂直高さ)よりも金属膜を薄くするとRが形成されることを防ぐことができるからである。なお、Rの大きさ(基板から頂角部分の金属膜までの垂直距離)は、図10(A)の場合は[金属膜の厚み×0.29(=1/tan67.5°×cos45°)]で求めることができ、図10(B)も同様に[金属膜の厚み×0.70(=1/tan45°×cos45°)]で求めることができる。
【0030】
反射率の低下を抑制する観点からは金属膜の表面粗さも適切に制御することが望ましい。金属膜の表面が粗いと光の乱反射によって光損失が生じるため、金属膜の表面粗さ(JIS B0601 2001に規定する算術平均粗さRa)は好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。
【0031】
このような金属膜を用いて簡易に斜めミラー部を形成する方法について説明する。
【0032】
図4は、コアの一方端に斜めミラー部を形成する概略工程(断面図)を示している。図4では、コア材料を硬化させた積層体4のコア(図示せず)と下部クラッド層3Aの上に上部クラッド層を形成するための上部クラッド材60を公知の方法で充填すると共に、ミラー部用斜面を形成するために、上部クラッド材をコア端部にも充填する(図中、60A)。第2の型41の凸部42の斜面42Aを押し当てた際に、充填した上部クラッド材60Aと第2の型の凸部の斜面42Aとの間に空隙がないように十分な量を充填する。
【0033】
上部クラッド材を充填した後、斜めミラー部の斜面形状に対応する形状の凸部42を有し、この凸部42に金属膜62を有する第2の型41を、コア端部に充填した硬化前の上部クラッド材60Aに押し当てる。凸部42の金属膜62は、上部クラッド材60A表面に転写され、斜めミラー部が形成される。斜めミラー部を形成した後、公知の方法で上部クラッド層60を硬化させることにより、下部クラッド層3Aとコア51を被覆した上部クラッド層60が積層され、端部に斜めミラー部34を有する光導波路が得られる。
【0034】
本発明では斜めミラー部を形成する方法として、上記したような上部クラッド層と同時に形成する方法に限らず、上部クラッド層を硬化させ、斜めミラー部用斜面を形成してから、斜めミラー部を形成することもできる。例えば、前述した図8の工程によって上部クラッド層及び斜めミラー部用斜面を形成した後、図11に示すように上部クラッド材を硬化させた埋込型構造体61の斜めミラー部用斜面33に当接可能な凸部42を有する第2の型41を用いる。第2の型41の凸部42には金属膜62を付着させる。また斜めミラー部用斜面33、および/または第2の型41の金属膜62表面に、接着剤15を付着させる(図11では、斜めミラー部用斜面33の表面に接着剤15を付着させている)。この接着剤15を介して金属膜62をミラー部用斜面33に貼付して斜めミラー部34を形成する。すなわち、第2の型41の凸部42を斜めミラー部用斜面33に押し当てれば、斜面33の接着剤15を介して金属膜62が斜面33に貼付され、ミラー部34が形成された埋め込み構造型の光導波路が得られる。
【0035】
もちろん、図12に示すように、金属膜62の表面に接着剤15を付着させてもよい。
【0036】
この際用いられる第2の型の形状は、斜めミラー部用斜面(コア側斜面)に当接可能な凸部を有していればよい。当接可能な凸部とは、第2の型の凸部の形状とV溝の形状とが、コア側斜面で合致すれば他の部分の形状が異なっていてもよい意味である。光導波路の斜めミラー部は、コア側斜面にミラー部が形成されていれば機能するからである。したがって図13(A)に示したように、第2の型41の凸部42の形状は対向する溝の斜めミラー部用斜面の33形状以外の溝の形状にも嵌合する形状であってもよいが、図13(B)や図13(C)に示すような斜めミラー部用斜面33にのみ合致する形状の第2の型を使用することも可能である。
【0037】
上記製法によれば、光導波路の端面に斜めミラー部を形成できる。そしてコアの両端に斜めミラー部を形成する場合、順次、或いは同時に斜めミラー部を形成することもできる。例えば、他方の端面にも上記と同様に上部クラッド材を充填してから、凸部に金属膜を有する第2の型を用いて上部クラッド層と同時に斜めミラー部を形成できる。また上部クラッド層と斜めミラー部用斜面を形成してから凸部に金属膜を有する第2の型を用いれば、斜めミラー部を形成できる。
【0038】
同時に斜めミラー部を形成する場合、例えば図9に示すように両端に斜めミラー部に対応する凸部を有する第2Aの型41Aを用いればよい。この第2Aの型は基板側の光送受信部(図示しない)に応じた所定の導波路の長さを有しており、斜めミラー部が所定の位置で形成できるように凸部が設けられている。積層体4のコアと下部クラッド層の上に上部クラッド材60を充填すると共に、ミラー部用斜面を形成するために、上部クラッド材60をコア両端部に充填し(図中、60A)、第2Aの型41Aを上部クラッド材に押し当てれば、上記第2の型と同様、斜めミラー部34を形成できる。またこの際、図示例のように第2Aの型の斜めミラー部対応凸部42に金属膜62を付着させておけば、この金属膜62で斜めミラー部34を同時に形成できる。勿論、上記したように斜めミラー部用斜面を形成してから、斜めミラー部を形成してもよい。
【0039】
また同時に斜めミラー部を形成する他の例としては、図7に示すように分離した2つの第2の型41を同時に用いることによって、基板側の光送受信部の位置に応じた位置に斜面を形成出来ると共に、ミラー部34が金属膜62(好ましくは金属箔)で形成された光導波路を製造することができる(図7)。
【0040】
順次、斜めミラー部を形成する場合は、例えば上記第2の型を用いてコアの一方端に斜めミラー部を形成した後、同様に上記第2の型を用いてコアの他方端に斜めミラー部を形成すればよい。
【0041】
なお、斜めミラー部の形成は、製造条件によっては第2Aの型のように両端に斜めミラー部対応凸部42を有する型を用いて同時に形成した方がよいこともあるが、製品毎に型を製造する必要があり、高コストとなること、また基板側の光送信部の位置や電気配線と斜めミラー部との位置合わせを高精度で行う必要があるが、斜めミラー部を同時に形成すると微調整が難しいことがある。一方、斜めミラー部を2つの第2の型を用いて順次、或いは同時に形成する場合は、位置合わせが容易であり、また製品毎に型を製造する必要もないため、低コストであるので望ましい。
【0042】
以下、上記ミラー部用斜面、及び斜めミラー部を形成する第2の型について図5に基づいて詳述する。
【0043】
斜めミラー部用斜面を形成する第2の型41の形状は、斜めミラー部の斜面形状に対応した形状の凸部42を有していればよい。斜めミラー部の斜面形状とは、基板(或いは上部クラッド層)とミラー部用斜面とで形成される挟角が45°の斜面である。したがって、第2の型41の凸部42の斜めミラー部用斜面形成側の凸部斜面42Aは、この45°斜面を形成できる斜面を有する形状である。なお、第2の型41の凸部42の他の面の形状は光の反射に影響を与えないため、特に限定されない。したがって第2の型41の凸部42の断面形状はコア側斜面に合致する形状であれば、台形状(図5(A))や、三角形(図5(B))であってもよいが、厚みのある金属膜を斜めミラー部用斜面に均一に追従させる観点からは図5(A)に示すような凸部42の斜めミラー部に対応する斜面42Aと基板側に対向する底辺とで形成される角が135°である台形状の型を用いることが望ましい。凸部42の斜めミラー部に対応する斜面42Aと基板側に対向する底辺とで形成される角が狭くなるにしたがって、この角で金属膜が追従せずに浮き上がるR量が増大する。R量が増大すると、上記したようにこのR部分から金属膜の破れや皺が発生・コア端面まで伝播して反射率が低下するなど歩留低下の原因となることがある。
【0044】
またコア上の上部クラッド材60を押圧する第2の型41の上部クラッド材対向面42Bの長さは特に限定されず、適宜変更することができるが、この長さは、光導波路と同じ長さにする必要はない。コア上の上部クラッド層は、第2の型41(42B)で押圧しなくても、所定の厚さとなるようにクラッド材を滴下(或いは塗布)後、硬化または乾燥させることによって形成できるからである。
【0045】
次に、ミラー部を形成する金属膜62を第2の型41の凸部42に付着させる手段について説明する。まず、本発明では金属膜62を第2の型から斜めミラー部を形成する上部クラッド層60A側に転写ないし貼付できる手段であれば、金属膜の付着手段は特に限定されない。
【0046】
例えば金属膜は、第2の型の凸部に吸着させることもできる。図6(A)、(B)は吸着機構を有する第2の型の一例を説明するための斜視図である。図6では、第2の型の任意の位置に複数のスリット70を設けた吸引機構が形成されている。凸部に金属膜を載置した後、空気を吸気口71から吸引してスリット内(スリットと図示しない金属膜で形成される空間)を陰圧状態とすることで、金属膜は第2の型に吸着される。そして第2の型の凸部を斜めミラー部の斜面を形成する上部クラッド材に当接した後、吸引を停止すれば金属膜は第2の型から斜めミラー部側に転写ないし貼付される。この際、金属膜に皺等が生じるのを防止するため、上部クラッド材を硬化させて金属膜を上部クラッド材に完全に貼付してから吸引を停止することが望ましい。
【0047】
また金属膜は、第2の型に自着させることもできる。第2の型の少なくともミラー部対応凸部(図5中、42、特に凸部斜面42A)を樹脂材料やシリコーン材料で構成すれば、シリコーン材料等が有する疑似接着性(自着性によって接着し、接着部分が小さな力で、且つ接着面を破壊することなく剥離できるような接着状態)によって、金属膜が凸部に自着する。そして第2の型の凸部を斜めミラー部の斜面を形成する上部クラッド材に押し当てると、接着性の強い上部クラッド材によって、金属膜は斜めミラー部側に転写される。
【0048】
更に金属膜は、粘着剤ないし接着剤(以下、粘着剤で代表する)を介して第2の型に貼着せることもできる。粘着剤としてはUV剥離型粘着剤、熱剥離型粘着剤などが例示される。この場合、金属膜を貼着した第2の型を斜めミラー部の斜面を形成する上部クラッド材表面に押し当てた後、紫外線照射(UV剥離型粘着剤)や加熱(熱隔離型粘着剤)など剥離手段を施すことによって、金属膜を第2の型から上部クラッド材で形成された斜面表面に転写できる。
【0049】
第2の型は、上部クラッド材を押圧し、そのまま上部クラッド材を硬化させてから、離型すればよい。このように上部クラッド材を硬化させてから第2の型を離型することによって、硬化時に金属膜に皺等が生じることを抑制できる。
【0050】
金属膜は第2の型の凸部の全面に付着させる必要はなく、光反射する斜面において付着していればよい。コア側の斜面に金属膜が形成されていれば、光路変換機能を発揮できるからである。
【0051】
本発明の光導波路は、金属膜が上部クラッド材、或いは接着剤を介して斜めミラー部用斜面に形成されているため、例えば上記斜面がダイサー等の切削手段で形成された場合のように斜面表面の微細な凹凸がない。したがって、本発明の光導波路のミラー部は平坦であり、光の乱反射を抑えて高い反射率を維持することができる。
【0052】
<本発明法に用いられる各種材料の好適例>
[第1の型、第2の型、及び第2Aの型]
第1の型、第2の型、及び第2Aの型の素材は特に限定されず、リン青銅等の合金や他の金属からなる金型であってもよいし、シリコーン材料やウレタン樹脂等の軟らかい材料からなる型であってもよい。特にシリコーン材料が好ましい。シリコーン材料のうち、硬化後にシリコーン系ゴムまたはシリコーン系樹脂となる硬化性シリコーン系ゴムオリゴマーもしくはモノマー、または、硬化性シリコーン系樹脂オリゴマーもしくはモノマー等の硬化性シリコーン材料が好適であり、硬化性ポリシロキサンが特に好適である。
【0053】
硬化性シリコーン材料としては、通常、液状シリコーンと称されるものが用いられるが、形成される下部クラッド層からの剥離性に優れ、かつ機械的強度に優れることから、硬化剤と組み合わせて用いる二液混合型が好適である。また、低粘度の硬化性シリコーン材料を用いれば、型の作製時に巻き込む泡の除去等の加工性に優れると共に、転写パターンの精密な型取りをすることができる。一方、硬化性ポリシロキサンは、一液硬化型または二液硬化型のいずれでもよく、熱硬化型または室温硬化型のいずれでもよい。
【0054】
硬化性シリコーン材料の具体例としては、例えば、アルキルシロキサン、アルケニルシロキサン、アルキルアルケニルシロキサン、ポリアルキル水素シロキサン等を含有するものが挙げられる。特に、アルキルアルケニルシロキサンおよびポリアルキル水素シロキサンの二成分混合系であり、低粘度で室温硬化型のものが剥離性および硬化性の観点から好適である。
【0055】
第1の型から下部クラッド層やコア層が容易に離型するように、剥離剤を塗布して使用することが望ましい。剥離剤としては、従来公知の剥離剤を用いればよく、特に限定されるものではない。
【0056】
[第2の型、第2Aの型]
上記素材に加えて更に第2の型(第2Aの型も含む、以下同じ)では、石英、パイレックス(登録商標)等のガラス材料を使用することができるが、上記金属膜を第2の型に付着させる手段に応じて好適な材料を選択することが望ましい。例えば第2の型に図6に示すような吸着機構を設ける場合は、加工性と強度の観点からガラス材料が好適である。
【0057】
また金属膜を第2の型に自着させる場合、疑似接着性を有するシリコーン材料や樹枝材料が好適であるが、特に硬質の材料が望ましい。軟質の材料で第2の型を形成すると、上部クラッド材に当接した際に、第2の型が変形してコア側斜面の傾斜角度が変動する可能性があるからである。
【0058】
更に金属膜をUV剥離型粘着剤を介して第2の型に貼着させる場合、UV透過性を有するガラス材料、透明樹脂材料等が好適である。また金属膜を熱剥離型粘着剤を介して第2の型に貼着させる場合、耐熱性を有する金属材料、ガラス材料等が好適である。
【0059】
[基板]
基板は光導波路においては必須構成要素である。基板としては、無機材料、有機材料を問わず、公知の材料はいずれも使用することができるが、例えば、シリコーン基板;石英、パイレックス(登録商標)等のガラス基板;Al,Cu等の金属基板;金属酸化物基板;ポリイミド、ポリエーテルケトン等の樹脂基板;有機無機ハイブリッド基板等を使用することが好ましい。フレキシブル光導波路を作製する場合は、樹脂基板が好ましく、樹脂フィルムからなるフィルム基板がより好ましい。
【0060】
フィルム基板としては、従来公知の光導波路材料から構成される樹脂フィルムであればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂、オキセタン系樹脂、シラン系樹脂、シリコーン系樹脂等から構成される樹脂フィルムが挙げられる。これらの樹脂フィルムのうち、光電気混載基板の製造を考慮すると、耐熱性(特に、半田付けを想定した耐熱性、具体的には200〜250℃の耐熱性)の観点からは、ポリイミド系樹脂から構成されるフィルム、すなわちポリイミドフィルム(ハロゲン化ポリイミドフィルムを含む)が好ましい。また、フィルム基板として、ポリイミドフィルムを用いる場合には、市販品を利用してもよい。ポリイミドフィルムの市販品としては、例えば、東レ・デュポン株式会社の商品名「カプトン(登録商標)」シリーズが挙げられる。
【0061】
基板の厚さは、光導波路の用途や、光電気混載フレキシブル基板を製造した場合に使用する光の波長等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。基板の厚さが小さすぎると、基板の強度が低下したり、作成時に皺や折れが生じることがある。逆に、基板の厚さが大きすぎると、光電気混載基板を製造した場合に、基板の透明性が低下することがある。
【0062】
[下部クラッド層]
下部クラッド層を構成するクラッド材料は、従来公知の光導波路材料であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、紫外線(または光)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂のうち、紫外線(または光)硬化性樹脂が好適である。硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂、オキセタン系樹脂、シラン系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、これらの樹脂は、溶剤に溶解した溶液型であっても溶剤を含まない無溶剤型であってもよいが、無溶剤型がより好ましい。さらに、これらの樹脂を硬化性樹脂として用いる場合には、硬化剤や架橋剤等を併用することができる。
【0063】
上記硬化性樹脂のうちでは、エポキシ系樹脂が好適であり、UV硬化型エポキシ樹脂がより好適である。UV硬化型エポキシ樹脂としては、ポリアルキレングリコール鎖と少なくとも2個のグリシジル基とを有するポリグリシジル化合物を含有するUV硬化型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。可撓性を有するフレキシブル光導波路を得たい場合には、ポリアルキレングリコール鎖と少なくとも2個のグリシジル基とを有するポリグリシジル化合物を含有するUV硬化型エポキシ樹脂が特に好適であり、光導波路に可撓性を持たせる必要がない場合には、ビスフェノール型エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂等が好適である。
【0064】
ポリアルキレングリコール鎖と少なくとも2個のグリシジル基とを有するポリグリシジル化合物としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテルが特に好適である。ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテルの市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製の商品名「jER(登録商標)YL7410」、「jER(登録商標)YL7217」等が挙げられる。
【0065】
上記ポリグリシジル化合物を含むUV硬化型エポキシ樹脂を用いる場合には、屈折率や粘度調整のために、必要に応じて、ビスフェノール型エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂やオキセタン等の反応性希釈剤を配合してもよい。ただし、より低粘度のエポキシ樹脂が取り扱い性に優れるので、好適である。
【0066】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、これらのハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、フッ素化ビスフェノール型エポキシ樹脂、塩素化ビスフェノール型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらのビスフェノール型エポキシ樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのビスフェノール型エポキシ樹脂のうち、入手の容易さや取り扱い性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好適である。これらのビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製の商品名「jER(登録商標)828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER(登録商標)5050」(臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
【0067】
ビスフェノール型エポキシ樹脂の配合量は、UV硬化型エポキシ樹脂から得られるエポキシ系樹脂フィルムが所望の屈折率を有するように適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、開始剤を除いたUV硬化型エポキシ樹脂組成物の合計を100質量%とした場合、上述のポリグリシジル化合物と、ビスフェノール型エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂との配合量は、ポリグリシジル化合物0質量%〜70質量%(より好ましくは5質量%〜60質量%)、ビスフェノール型エポキシ樹脂と脂環式エポキシ樹脂との合計を30質量%〜100質量%(より好ましくは40質量%〜95質量%)とするのが好ましい。ポリグリシジル化合物の配合量が70質量%を超えると、フィルムの硬化速度が遅くなったり、得られたフィルムの強度が不足することがある。また、ポリグリシジル化合物の添加量が5質量%以上であれば、強度と可撓性とを備えたフィルムを得ることができる。
【0068】
脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびそのε−カプロラクトン変性体(ダイセル化学工業社製、商品名「セロキサイド(登録商標)2081」)、1,2−エポキシ−ビニルシクロヘキセン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、リモネンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール、ジシクロペンタジエンジエポキシド、オリゴマー型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、商品名「エポリード(登録商標)GT300」、「エポリード(登録商標)GT400」、「EHPE(登録商標)3150」)等のオレフィンを酸化することにより得られるエポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビフェノール型エポキシ樹脂、水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、水添ナフタレン型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシを直接水添したエポキシ樹脂または多価フェノール類を水添した後、エピクロルヒドリンと反応させることにより得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。これらの脂環式エポキシ樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの脂環式エポキシ樹脂のうち、入手の容易さや低粘度で作業性に優れることから、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびそのε−カプロラクトン変性体、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好適である。
【0069】
脂環式エポキシ樹脂の配合量は、特に限定されるものではなく、UV硬化型エポキシ樹脂が所望の屈折率を有するように適宜調節すればよい。
【0070】
UV硬化型エポキシ樹脂を光硬化させるためには、光カチオン重合開始剤を配合することが好ましい。
【0071】
光カチオン重合開始剤としては、例えば、金属フルオロホウ素錯塩、三フッ化ホウ素錯化合物、ビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩、アリールジアゾニウム化合物、VIa族元素の芳香族オニウム塩、Va族元素の芳香族オニウム塩IIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート、チオピリリウム塩、MF6−陰イオン(ここで、Mは、リン、アンチモンおよびヒ素から選択される)の形のVIb元素、アリールスルホニウム錯塩、芳香族ヨードニウム錯塩、芳香族スルホニウム錯塩、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(例えば、リン酸塩、ヒ酸塩、アンチモン酸塩等)、鉄化合物の混合配位子金属塩、シラノール−アルミニウム錯体等が挙げられる。これらの光カチオン重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの光カチオン重合開始剤のうち、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族ヨードニウム錯塩または芳香族スルホニウム錯塩、II族、V族およびVI族元素の芳香族オニウム塩が好適である。これらの塩のいくつかは、例えば、商品名「AT−6976」、「AT−6992」(以上、Aceto Chemical社製)、商品名「FX−512」(スリーエム・カンパニー製)、商品名「UVR−6990」、「UVR−6974」(以上、ユニオン・カーバイド・コーポレーション製)、商品名「UVE−1014」、「UVE−1016」(以上、ゼネラル・エレクトリック・カンパニー製)、商品名「KI−85」(デグサ・アクチエンゲゼルシャフト製)、商品名「SP−150」、「SP−170」(以上、株式会社ADEKA製)、商品名「サンエイド(登録商標)SI−60L」、「サンエイド(登録商標)SI−80L」、「サンエイド(登録商標)SI−100L」、「サンエイド(登録商標)SI−110L」、「サンエイド(登録商標)SI−180L」(以上、三新化学工業株式会社製)等の市販品を入手することができる。
【0072】
また、これらの光カチオン重合開始剤のうち、取り扱い性に優れ、潜在性と硬化性とのバランスに優れることから、オニウム塩が好適であり、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩が特に好適である。
【0073】
光カチオン重合開始剤の配合量は、硬化するエポキシ樹脂成分の配合量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂成分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
【0074】
UV硬化型エポキシ樹脂は、原料であるポリアルキレングリコール鎖と少なくとも2個のグリシジル基とを有するポリグリシジル化合物、必要に応じて配合されるビスフェノール型エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂等の分子量を適宜選択することにより、溶剤を用いることなく、粘度を、温度23℃で、10mPa・s以上、100,000mPa・s以下の範囲内に調整することができる。
【0075】
UV硬化型エポキシ樹脂は、常温で液状であるので、基板上に、適宜、下部クラッド層用の容器や型を載置し、その中に間隙に適量注入して充填した後、あるいは、基板上に適量滴下した後、第1の型を載置した後、例えば、照射積算光量(露光エネルギー)が0.01J/cm2〜10J/cm2程度の紫外線を照射して硬化させることにより、下部クラッド層を形成することができる。
【0076】
下部クラッド層の厚さは、光導波路の用途や使用する光の波長等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、コア溝の下側を除いて、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下である。下部クラッド層の厚さが小さすぎると、充分な厚さのコア層を形成できないことがある。逆に、下部クラッド層の厚さが大きすぎると、光電気混載板を製造した場合に、下部クラッド層の透明性が低下することがある。
【0077】
下部クラッド層の屈折率は、コア層の屈折率より低い限り、特に限定されるものではないが、例えば、1.45〜1.65の範囲内で、クラッド材料の種類や組成を選択することにより、任意に調節することができる。
【0078】
[コア]
コアを形成するためのコア材料は、上記下部クラッド層に用い得る材料がそのまま例示できる。ただし、下部クラッド層や上部クラッド層とコアとで、屈折率が異なるように材料を選択する必要がある。コア層の厚さ(深さ)は、光導波路の用途や使用する光の波長等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。コア層の厚さが小さすぎると、コア層を伝播する光の量が低下することがある、逆に、コア層の厚さが大きすぎると、下部クラッド層の厚さを大きくする必要があり、コア層の両側に下部クラッド層の不必要な部分が多くなり、製造コストが上昇することがある。また、光導波路を構成する下部クラッド層やコア層の厚さが大きくなるので、光導波路フィルムの厚さが大きくなることがある。
【0079】
コア層は、長手方向に対して垂直な断面の形状が矩形であることが好ましく、正方形であることが最も好ましい。コア層のアスペクト比(幅/厚さ)は、好ましくは1/2以上、より好ましくは2/3以上、さらに好ましくは5/6以上であり、また、好ましくは2/1以下、より好ましくは3/2以下、さらに好ましくは6/5以下である。最も好ましくは1/1である。コア層のアスペクト比が小さすぎるか、あるいは、大きすぎると、コア層の長手方向に対して垂直な断面の形状が扁平になるので、コア層に光が入射したり、コア層から光が出射したりする際に光損失が生じることがある。
【0080】
コア層の屈折率は、下部クラッド層および上部クラッド層の屈折率より高い限り、特に限定されるものではないが、例えば、1.45〜1.65の範囲内であるのが好ましく、コア材料の種類や組成を選択することにより、任意に調節することができる。
【0081】
[上部クラッド層]
上部クラッド層を形成するための材料は、上記下部クラッド層に用い得る材料がそのまま例示できる。ただし、コア層とは屈折率が異なるように材料を選択する必要がある。
【0082】
コア層上端面から上部クラッド層上端面までの上部クラッド層の厚さは、光導波路の用途や使用する光の波長等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。上部クラッド層の厚さが小さすぎると、コア層における光の閉じ込め効果が弱くなって、上部クラッドから光が抜け、光損失が増大するおそれがある。逆に、上部クラッド層の厚さが大きすぎると、不必要な部分が多くなり、製造コストが増大することがある。
【0083】
上部クラッド層の屈折率は、コア層の屈折率より小さい限り、特に限定されるものではないが、例えば、1.45〜1.65の範囲内であるのが好ましく、クラッド材料の種類や組成を選択することにより、任意に調節することができる。
【0084】
[第2の型用粘着剤ないし接着剤]
金属膜(金属箔)を粘着剤ないし接着剤(粘着剤で代表させる)を介して第2の型に貼着させる場合に用いられる粘着剤や接着剤としては、第2の型から金属膜を容易に剥離可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、紫外線(または光)剥離型粘着剤、熱剥離型粘着剤等が挙げられる。これらの粘着剤を任意に選択して使用することができる。使用量についても特に限定されず、金属箔を第2の型に貼着させるのに必要な適量を用いればよい。
【0085】
[斜めミラー部用斜面、および/または金属膜表面用の接着剤]
斜めミラー部用の斜面、および/または第2の型の凸部が有する金属膜の表面に付着させる接着剤としては、透光性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば紫外線硬化型エポキシ樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも好ましいのは熱硬化型エポキシ樹脂である。接着剤層の厚さは特に限定されるものではないが、好ましくは1μm以上であり、また好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。接着剤層の厚さが小さすぎると金属膜を十分に貼着できず、金属膜が光導波路から剥離するおそれがある。逆に、接着剤層の厚さが大きすぎると、光の透過性が悪化したり、光の反射位置がずれて光電気混載基板の性能が低下することがある。
【0086】
本発明では、上記したように、斜めミラー部用のコア側斜面を上部クラッド材で形成したところと、この斜面に金属膜を形成するために、上記構成の第2の型を採用したところに特徴がある。このため、これらの特徴以外の電気回路等の材料や構造については特に限定されず、従来公知の光電気混載基板の材料や構造をいずれも採用することができる。また、フィルム基板を用いたフレキシブル光電気混載基板とすることも可能である。さらに、光電気混載基板の製造方法についても特に限定されず、公知の方法が採用可能である。
【実施例】
【0087】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0088】
まず、実施例および比較例においてクラッド材料およびコア材料として用いたUV硬化型エポキシ樹脂の調製方法について説明する。
【0089】
<UV硬化型エポキシ樹脂(1)の調製>
ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン社製;商品名「jER(登録商標)YL7410」;数平均分子量700〜800)48質量部、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業社製;商品名「セロキサイド(登録商標)2081」)30質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製;商品名「jER(登録商標)828EL」)18質量部、光重合開始剤であるトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩(Aceto Chemical社製;商品名「AT−6992」)4質量部を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用いて混合し、クラッド材料として用いるUV硬化型エポキシ樹脂(1)を調製した。
【0090】
<UV硬化型エポキシ樹脂(2)の調製>
上記で用いたポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(「jER(登録商標)YL7410」)9質量部、上記で用いたビスフェノールA型エポキシ樹脂(「jER(登録商標)828EL」)43.5質量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製;商品名「jER(登録商標)5050」)43.5質量部、上記で用いた光重合開始剤(「AT−6992」)4質量部を、上記で用いた自転・公転ミキサーを用いて混合し、コア材料として用いるUV硬化型エポキシ樹脂(2)を調製した。
【0091】
実施例1
まず、本発明の第1の型1(図1(A))を作製するために、リン青銅板の表面を切削し、コア溝に対応する幅50μm、深さ50μm、長さ50mmのコア溝対応凹部を形成し、図3に示した下部クラッド層3Aと同一形状のリン青銅製の型Aを作製した。この型Aは第1の型1用の型である。
【0092】
ガラス基板(厚さ2mm)上に、間隙を空けて、上記リン青銅製の型Aを上下反転させて載置し、ガラス基板とリン青銅製の型との間隙に、気泡を挟み込むことなく、二液硬化型シリコーン系ゴム(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「SILPOT 184」)を注入して充填し、室温で24時間静置して硬化させて、シリコーン系ゴム製の第1の型1を作製した。
【0093】
本発明の第2の型(図5(A))を作製するためにリン青銅板の表面を切削し、第2の型41に対する第2の型の凸部42の高さを100μm、長さ25mmの斜めミラー対応凹部を形成し、45°斜めミラー部用斜面に対応した斜面に対応する斜面を形成できるリン青銅製の型Bを作製した。この型Bは第2の型用の型である。ガラス基板(厚さ2mm)上に、間隙を空けて、上記リン青銅製の型Bを上下反転させて載置し、ガラス基板とリン青銅製の型との間隙に、気泡を挟み込むことなく、二液硬化型シリコーン系ゴム(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「SILPOT 184」)を注入して充填し、室温で24時間静置して硬化させて、シリコーン系ゴム製の第2の型41を作製した。また実施例2用に同様にして図5(B)の第2の型を作製した。
【0094】
また本発明の吸着機構を有する第2の型(図6(A))を作製するために、上記第2の型と凹凸の高さのサイズが同じとなるように石英基板を切削した。またこの基板の幅方向のピッチ2.5mmで4本、それに垂直な方向で且つ凸部42Aの両側に同じピッチで2本の吸着用のスリット70(幅0.5mm、深さ0.5mm)を切削して形成し、更に吸気口71を図示するような2箇所(垂直方向のピッチ上)に形成して石英製の第2の型41を作成した。また実施例2用に同様にして図6(B)の第2の型を作製した。
【0095】
フィルム基板4Aとしてのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名「カプトン(登録商標)Hタイプ」;厚さ25μm)上に、下部クラッド材料として、UV硬化型エポキシ樹脂(1)を適量滴下した後、平行度を持たせたステージ上で、図2に示したように、第1の型1を硬化前の下部クラッド層3に押し当てた。この時、コア溝に対応する凸部の頂点とポリイミドフィルム4Aとの間隔を25μmとする事で、下部クラッド層3の厚さを25μmとした。次いで、第1の型1側からUV照射を行って下部クラッド材料を硬化させた後、第1の型1を引き剥がした。フィルム基板上に、コア溝31を有する硬化した下部クラッド層3Aが形成された。UV照射は、高圧水銀ランプを光源とする露光機(ミカサ株式会社製、商品名「MA−60F」)を用いて、照度10mW/cm2で15分間、すなわち露光エネルギー9J/cm2の条件で行った。
【0096】
続いて、下部クラッド層3Aのコア溝31に、UV硬化型エポキシ樹脂(2)を適量滴下し、毛細管現象を利用してコア溝31全体にコア材料を充填し、下部クラッド層3Aのコア溝31にコア材料が充填された状態となった。次に、上記と同条件でUV照射を行って、コア溝31内部のコア材料を硬化させて、図3に示すようにコア51を形成した。
【0097】
続いて、図8に示すように上記で得られたコア51と下部クラッド層3Aの積層体4の上にUV硬化型エポキシ樹脂(1)を上部クラッドの膜厚が25μmとなるように塗布(60)すると共に、コア端部の斜めミラー部に相当する箇所にも適量UV硬化型エポキシ樹脂(1)を塗布(60A)した。その後、第2の型41をフィルム基板4Aの所定の場所にミラー反射面が一致するようにコア溝の方向に位置合わせを行った後、押し当てた。続いて上記と同条件でUV照射を行って、斜めミラー部用斜面33(頂角20:135°)と、上部クラッド層60を形成した。もう一方の端面も同様に斜めミラー部を有する上部クラッドを形成することで、両端に45°ミラー反射面を形成した。
【0098】
次に、図6(A)に示す吸引機構を有するガラス製の第2の型41の斜めミラー部用斜面対応凸部42Aに金属膜(金箔:厚さ10μm、サイズ2×10mm)を載置した後、吸気口71から常時空気を吸引して金箔とスリットで形成される空間を陰圧にして金属箔を第2の型41に吸着させた。
【0099】
続いて、図11に示す工程により、金属膜を形成した。すなわち、上部クラッド材で形成したミラー部用のコア側斜面33に、熱硬化型エポキシ接着剤15を膜厚が2μmとなるようにスピンコーターで塗布した後、第2の型の凸部の金属膜62(金箔:厚さ10μm)が当接するように押し当てた。この際、位置合わせを行って、第2の型41の凸部の斜面42Aの頂点(基板側面と斜めミラー部対応面とで形成される角)が斜めミラー部用斜面と基板水平面とで形成される頂角の頂点(最深部)に接するように、第2の型41を押し当てた後、接着剤15を硬化(150℃・30分)させた。その後、吸気口71からの吸引を停止し、コア側斜面の接着剤15表面に金属膜62を転写し、コア層側斜面に金属膜のミラー部34を形成した。
【0100】
この金属膜のミラー部を形成した側の反対側も上記と同様にしてミラー部を形成して、両側に45°ミラー部を有する長さ50mmの埋め込み型光導波路を得た。
【0101】
45°ミラー部が形成されているフィルム基板の裏面から基板面に鉛直な方向に光量計を接続した光ファイバーを接触させ、このミラー部から波長850nmの光を入れて、コア層内を伝播させ、ミラー部で反射された光の強さを光量計で測定した。導波損失は2.1dBであった。
【0102】
第2の型を用いることで簡易にミラー部を形成することができた。金箔を用いてミラー部を形成したのでミラー部の表面も均一となり、導波損失を非常に小さくすることができた。
【0103】
実施例2
上記第2の型の形状を図5(A)と同様にして作製した図5(B)の第2の型、及び、吸着機構を有する第2の型を図6(A)に同様にして作製した図6(B)の第2の型を用いた以外は実施例1と同様にして、長さ50mmの埋め込み型光導波路を得た。実施例1と同様にして導波損失を測定したところ、3.0dBであった。
【0104】
実施例2では、ミラー部に対応する凸部の形状がV型形状である第2の型を用いたが、実施例1と同程度の損失であり、同等の光導波路形成が可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0105】
光導波路の基板の裏面側に電気配線を設ければ、光電気混載基板として使用することができ、携帯電話、パソコン、デジタルカメラ等、現在フレキシブルプリント基板が使用されている電子機器分野や光学関連分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
1、1’ 第1の型
2 第1Aの型
3 硬化前の下部クラッド層
3A 硬化後の下部クラッド層
4 積層体(下部クラッド層とコアの積層体)
4A 基板
11 コア溝対応凸部
11A ストッパー
15 接着剤
20 頂角
31 コア溝
33 斜めミラー部用斜面
34 斜めミラー部
41 第2の型
41A 第2Aの型
42 第2の型の凸部
42A 第2の型の凸部の斜面
42B 第2の型の上部クラッド材対向面(コア対向面)
51 硬化後のコア(層)
60、60A 上部クラッド材(層)
61 埋込型構造体(下部クラッド層、コア、上部クラッド層の積層体)
62 金属膜(金属箔)
63接着剤
70 スリット
71 吸気口
80 コア端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアの少なくとも一方端に斜めミラー部が形成されている光導波路の製造方法であって、
コア溝に対応する凸部を有する第1の型で、基板上に形成された硬化前のクラッド層を押圧し、そのままクラッド層を硬化させて、下部クラッド層にコア溝を形成する工程;
上記第1の型を下部クラッド層から剥離させ、コア溝にコア材料を充填した後、硬化させてコアを形成する工程;
コア材料を硬化させた後、コアと下部クラッド層の上、及び斜めミラー部を形成するコア端部に上部クラッド材を充填する工程;
斜めミラー部の斜面形状に対応する凸部を有する第2の型で、コア端部に充填した硬化前の上部クラッド材を押圧し、そのまま上部クラッド材を硬化させた後、第2の型を離型して斜めミラー部用斜面を形成する工程
を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項2】
前記斜めミラー部用斜面を形成する工程は、斜めミラー部の斜面形状に対応する凸部を有し、この凸部の斜めミラー部に対応する斜面と基板側に対向する底辺とで形成される角が135°である第2の型で、コア端部に充填した硬化前の上部クラッド材を押圧し、そのまま上部クラッド材を硬化させた後、第2の型を離型して斜めミラー部用斜面を形成する工程である請求項1に記載の光導波路の製造方法。
【請求項3】
前記斜めミラー部用斜面に金属膜を形成するものである請求項1または2に記載の光導波路の製造方法。
【請求項4】
コアの両端に斜めミラー部を形成するものである請求項1〜3のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
【請求項5】
コアの両端に金属膜で形成された斜めミラー部を有することを特徴とする光導波路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−215625(P2012−215625A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79197(P2011−79197)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】