説明

光導波路の製造方法

【課題】 安定した光入出射を行うことができる光導波路の製造方法を提供すること。
【解決手段】 クラッド2、3とコア4との接合体からなり、コア4を通して光が導かれるように構成されている光導波路1の製造方法において、減圧(例えば絶対圧で0.01〜0.05MPa)又は不活性ガス(例えば窒素ガス)雰囲気のチャンバー30にてコア4を形成する工程と、減圧又は不活性ガス雰囲気のチャンバー30にてクラッド2又は3とコア4との接合を行う工程とを有することを特徴とする、光導波路1の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源モジュール、光インターコネクション、光通信等に好適な光導波路の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、LSI(大規模集積回路)等の半導体チップ間の信号伝搬は、全て基板配線を介した電気信号によりなされている。しかし、昨今のMPU高機能化に伴い、チップ間にて必要とされるデータ授受量は著しく増大し、結果として様々な高周波問題が浮上している。それらの代表的なものとして、RC信号遅延、インピーダンスミスマッチ、EMC/EMI、クロストーク等が挙げられる。
【0003】
上記の問題を解決するため、これまで実装業界などが中心となり、配線配置の最適化や新素材開発などの様々な手法を駆使し、解決に当たってきた。
【0004】
しかし近年、上記の配線配置の最適化や新素材開発等の効果も物性的限界に阻まれつつあり、今後システムの更なる高機能化を実現するためには、単純な半導体チップの実装を前提としたプリント配線基板の構造そのものを見直す必要が生じてきている。近年、これら諸問題を解決すべく様々な抜本対策が提案されているが、以下にその代表的なものを記す。
【0005】
・マルチチップモジュール(MCM)化による微細配線結合
高機能チップを、セラミック・シリコンなどの精密実装基板上に実装し、マザーボード(多層プリント基板)上では形成不可能である微細配線結合を実現する。これによって配線の狭ピッチ化が可能となり、バス幅を広げることでデータ授受量が飛躍的に増大する。
【0006】
・各種半導体チップの封止、一体化による電気配線結合
各種半導体チップをポリイミド樹脂などを用いて二次元的に封止、一体化し、その一体化された基板上にて微細配線結合を行う。これによって配線の狭ピッチ化が可能となり、バス幅を広げることでデータ授受量が飛躍的に増大する。
【0007】
・半導体チップの三次元結合
各種半導体チップに貫通電極を設け、それぞれを貼り合わせることで積層構造とする。これにより、異種半導体チップ間の結線が物理的に短絡化され、結果として信号遅延などの問題が回避される。但しその一方、積層化による発熱量増加、半導体チップ間の熱応力などの問題が生じる。
【0008】
さらに、上記のように信号授受の高速化及び大容量化を実現するために、光配線による光伝送結合技術が開発されている(例えば、後記の非特許文献1及び非特許文献2参照。)。光配線は、電子機器間、電子機器内のボード間又はボード内のチップ間など、種々の個所に適用可能である。例えば図19に示すように、チップ間のような短距離間の信号の伝送には、チップが搭載されているプリント配線基板57上に光導波路51を形成し、この光導波路51を信号変調されたレーザー光等の伝送路とした光伝送・通信システムを構築することができる。
【0009】
また、図20に示すように、光導波路51はクラッド54及び55と、これらのクラッド54、55間に挟着されたコア56とからなり、クラッド54の光入出射端部にはレンズ等の光学部品52が配されている。このような光導波路51は、クリーンな雰囲気下で形成される。
【0010】
【非特許文献1】日経エレクトロニクス、“光配線との遭遇”2001年12月3日の122頁、123頁、124頁、125頁、図4、図5、図6、図7
【非特許文献2】NTT R&D, vol.48, no.3, pp.271-280 (1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者が、光導波路の光伝送特性について鋭意検討したところ、光伝送路となるコアが大気に触れると、大気中に存在する酸素などの活性ガスや水分により劣化し、また表面にチリ等が付着するなどして、光伝送特性が低下することを初めて知見した。また、大気に触れることによりコアが硬化し、柔軟性が劣化することにより、外部応力等による光導波路の変形を吸収できなくなることが明らかとなった。従って、従来例による光導波路はクリーンな雰囲気下で作製されてはいるものの、コアが大気に晒されているので、安定した光入出射を行うことが困難となる。
【0012】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、安定した光入出射を行うことができる光導波路の製造方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
即ち、本発明は、クラッドとコアとの接合体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成されている光導波路の製造方法において、減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コアを形成する工程と、減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記クラッドと前記コアとの接合を行う工程とを有することを特徴とする、光導波路の製造方法に係るものである(以下、本発明の第1の製造方法と称する。)。
【0014】
また、第1クラッドとコアと第2クラッドとの接合体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成されている光導波路の製造方法において、前記コアの外周囲にて、前記第1クラッドと前記第2クラッドとの間に、前記コアを外部から遮断する遮断壁を形成する工程と、前記コアと共に前記遮断壁を前記第2クラッドに同時に接合する工程と、前記コア及び前記遮断壁と前記第1クラッドとを接合する工程と、前記遮断壁と前記第1クラッドと前記コアと前記第2クラッドとによって形成される密閉空間を減圧状態にする工程とを有する、光導波路の製造方法に係るものである(以下、本発明の第2の製造方法と称する。)。
【0015】
さらに、第1クラッドとコアと第2クラッドとの接合体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成されている光導波路の製造方法において、減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コアを形成する工程と、前記コアの外周囲にて、前記第1クラッドと前記第2クラッドとの間に、前記コアを外部から遮断する遮断壁を形成する工程と、減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コアと共に前記遮断壁を前記第2クラッドに同時に接合する工程と、減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コア及び前記遮断壁と前記第1クラッドとを接合する工程と、前記遮断壁と前記第1クラッドと前記コアと前記第2クラッドとによって形成される密閉空間を減圧状態にする工程とを有する、光導波路の製造方法に係るものである(以下、本発明の第3の製造方法と称する。)。
【0016】
ここで、本発明において前記「コア」とは、単一のコアに限らず、複数個のアレイも含む意味である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の製造方法によれば、前記減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コアを形成する工程と、前記減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記クラッドと前記コアとの接合を行う工程とを有するので、前記コアが大気中に存在する活性ガス、水分、チリ等に触れることがなく、優れた光伝送特性を維持することができる。また、大気に触れることがないので、コアの柔軟性を保持することができ、外部応力等による光導波路の変形を効果的に吸収することができる。従って、本発明の第1の製造方法により作製される光導波路は、安定した光入出射を行うことができる。
【0018】
本発明の第2の製造方法によれば、前記コアの外周囲にて、前記第1クラッドと前記第2クラッドとの間に、前記コアを外部から遮断する前記遮断壁を形成する工程と、前記コアと共に前記遮断壁を前記第2クラッドに同時に接合する工程と、前記コア及び前記遮断壁と前記第1クラッドとを接合する工程とを有するので、前記コアに対する防塵作用、防水作用、補強作用が得られる。
【0019】
また、例えば、前記遮断壁と前記第1クラッドと前記コアと前記第2クラッドとによって形成される前記密閉空間が常圧状態のまま、この光導波路を低圧雰囲気下に配した場合、前記密閉空間が常圧状態のために、前記第1クラッドや前記第2クラッドと、前記コアとが剥れ易くなる。前記第1クラッドや前記第2クラッドと、前記コアとが剥れると、光伝送路において屈折率の異なる領域ができてしまい、また剥れた部分の前記コアが大気に触れるため、安定した光入出射を行うことが困難になる。
【0020】
これに対し、本発明の第2の製造方法は、前記密閉空間を減圧状態にするので、如何なる雰囲気下に配しても前記第1クラッドや前記第2クラッドと、前記コアとが剥れることがなく、安定した光入出射を行うことができる。
【0021】
本発明の第3の製造方法によれば、前記減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コアを形成する工程と、前記減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コアと共に前記遮断壁を前記第2クラッドに同時に接合する工程と、前記減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コア及び前記遮断壁と前記第1クラッドとを接合する工程とを有するので、本発明の第1の製造方法と同等の効果が奏せられる。
【0022】
また、前記遮断壁と前記第1クラッドと前記コアと前記第2クラッドとによって形成される前記密閉空間を減圧状態にする工程を有するので、本発明の第2の製造方法と同等の効果が奏せられる。
【0023】
従って、本発明の第3の製造方法により作製される光導波路は、安定した光入出射を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の第1、第2及び第3の製造方法において、前記コアは入射した信号光を導波する役割を果たし、前記第1クラッド及び前記第2クラッド等の前記クラッドは前記コア内に信号光を閉じ込める役割を果たす。前記コアは高い屈折率を持つ材料からなり、前記第1クラッド及び前記第2クラッド等の前記クラッドは前記コアより低い屈折率の材料で構成されている。
【0025】
また、前記減圧雰囲気及び減圧状態は、例えば絶対圧で0.01〜0.05MPaであることが好ましい。また、前記不活性ガスとは窒素ガス等が好適に用いられる。
【0026】
本発明の第1又は第3の製造方法において、共通の前記減圧又は不活性ガス雰囲気下にて、前記コアを成形する工程と前記接合の工程とを行うことが好ましい。また、これに限定されず、クラスター構造などを適用し、各工程を異なる減圧又は不活性ガス雰囲気下にて行っても良い。
【0027】
また、本発明の第2の製造方法では、前記遮断壁及び前記コアと、前記第1クラッドとの接合を減圧下で行うことが好ましく、これにより、前記密閉空間を容易に減圧状態にすることができる。また、これに限定されず、前記密閉空間を常圧或いは不活性ガス雰囲気下で形成した後、注射器等を用いて前記密閉空間を減圧状態にすることも勿論可能である。
【0028】
また、本発明の第2又は第3の製造方法では、前記遮断壁を前記コアと同一工程で成形することが好ましい。また、前記遮断壁が前記コアと同一材質からなることが好ましく、その材質としては従来公知のものが使用可能であり、UV(紫外線)硬化性樹脂、例えばフッ素系ポリイミド等が挙げられる。
【0029】
さらに、前記第2クラッドにおいて光入出射端側の少なくとも一方に、前記第1クラッドとは別の補強部を、前記コアとは反対側の前記第1クラッドの面から突出して形成することが好ましい。これによれば、前記光入出射端側の少なくとも一方が優れた剛性を有し、例えば光導波路と実装基板との接合強度を向上させることができる。このため、光導波路の膨潤などによる光軸のズレが起こることがなく、効率的でありかつ安定した光入出射を行うことができる。
【0030】
ここで、前記補強部が前記第2クラッドと一体成形されていることが好ましい。また、前記補強部が、前記コアの外周囲にて前記第2クラッドを延設することによって形成されていることが好ましい。この場合、前記第2クラッドが前記接合体の側方から、前記コアとは反対側の前記第1クラッドの面から突出した位置まで延設されているのがよい。これにより、前記補強部を別途又は後付けで設置した場合に比べて、前記補強部の位置決め精度が容易であり、また製造も容易であってコストを低減することができる。また、部品点数が増えることがなく、生産性が高い。
【0031】
また、前記補強部が前記第2クラッドに別途又は後付けで固定されていても良い。この場合も、前記補強部が、前記コアとは反対側の前記第1クラッドの面から突出した位置にまでくる大きさであることが重要である。
【0032】
前記第1クラッドが平坦なシート形状を有していることが好ましく、低剛性の樹脂シート(例えば厚さ100μm)を用いるのがより好ましい。前記低剛性の樹脂シートとしては、例えば光学アクリルシート等が挙げられる。前記第1クラッドとして低剛性の樹脂シートを用いても、本発明に基づく製造方法により得られる光導波路は、その光入出射端側の少なくとも一方が優れた剛性を有し、光導波路と実装基板との優れた接合強度は保たれると共に、前記実装基板上に設置された光導波路の平行精度の向上を図ることができる。このため、光軸のズレが起こることがなく、効率的でありかつ安定した光入出射を行うことができる。また、前記コアが大気に触れないので、前記コアの柔軟性を保持することができ、かつ前記接合体の中間部分を低剛性とすることができるので、前記コアにストレスを与えずに、光導波路と前記実装基板間の実装誤差、熱や外部応力等による光導波路の変形をより効果的に吸収することができ、より安定した光の伝搬を行うことができる。
【0033】
また、前記コアに対する光入出射部に相当する位置において、レンズ部が前記第2クラッドに形成されているのが好ましい。これにより、光源からの信号光を集束して光導波路に効果的に入射させることができ、或いは光導波路から出射される出射光を効果的にコリメーションし、前記出射光を受光部が効率良く受光することができる。なお、前記レンズ部は、前記第2クラッドと一体成形してもよく、或いは後付けで配しても良い。特に、前記コアに対する光入出射部に相当する位置において、前記レンズ部を前記第2クラッドに一体成形するのが好ましく、これにより、レンズ等の光学部品を別途又は後付けで設置した場合に比べて、前記レンズ部の位置決め精度が容易であり、また製造も容易であってコストを低減することができる。また、前記レンズ部が前記第2クラッドと一体成形されているので、部品点数が増えることがなく、生産性が高い。
【0034】
ここで、前記補強部が、少なくとも前記レンズ部の存在領域に相当する部分に形成されていることが好ましい。これにより、前記レンズ部の前記存在領域における、前記接合体の剛性をより向上させることができるので、より安定した光入出射を行うことができる。
【0035】
前記補強部及び前記レンズ部が前記第2クラッドと同一材質からなることが望ましく、具体的には、光学素子用の射出成形用樹脂(例えば、日本ゼオン社製の製品名ZEONEX)等が挙げられる。
【0036】
そして、本発明に基づく製造方法により得られる光導波路は、光導波路で効率良く所定の光束に集光されて出射し、或いは光導波路に効率良く入射した後に出射した信号光を次段回路の受光素子(光配線やフォトディテクタ等)に入射させるように構成した光配線等の光情報処理装置として好適に用いることができる。
【0037】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
【0038】
第1の実施の形態
図1は、本発明に基づく第1の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図である。ここで、図20に示した光導波路と同様に、光導波路1は、レンズ部5付きのクラッド2と、クラッド2とは別のクラッド3と、これらクラッド2、3間に挟持されたコア4との接合体からなり、コア4を通して光が導かれるように構成されている(図1(f)参照)。また、コア4の光入出射部7a、7bの端面は45°ミラー面に形成されている。コア4は入射した信号光を導波する役割を果たし、クラッド2、3はコア4内に信号光を閉じ込める役割を果たす。コア4は高い屈折率を持つ材料からなり、クラッド2、3はコア4より低い屈折率の材料で構成されている。
【0039】
まず、図1(a)に示すように、レンズ部5付きのクラッド2に対応した形状を有する上型8及び下型9を用い、図1(b)に示すようなクラッド2を射出成形によって作製する。
【0040】
次に、図1(c)に示すように、減圧(例えば絶対圧で0.01〜0.05MPaが好ましい。以下、同様。)又は不活性ガス(例えば窒素ガス。以下、同様。)雰囲気のチャンバー30内にて、型10にコア材4aを充填する。次いで、図1(d)に示すように、減圧又は不活性ガス雰囲気のチャンバー30内にて、コア材4aが充填された型10上に、上記のようにして作製したレンズ部5付きのクラッド2を貼り合わせ、クラッド2を押圧しながらUV照射することによってコア材4aを硬化させる。そして、図1(e)に示すように、型10を剥がせば、クラッド2とコア4との接合体を得ることができる。
【0041】
次いで、図1(f)に示すように、減圧又は不活性ガス雰囲気のチャンバー30内にて、上記のようにして作製した接合体と、別途作製したクラッド3とを接合すれば、光導波路1を得ることができる。
【0042】
本実施の形態によれば、減圧又は不活性ガス雰囲気のチャンバー30内にてコア4を形成する工程と、減圧又は不活性ガス雰囲気のチャンバー30内にてクラッド2又は3とコア4との接合を行う工程とを有するので、コア4が大気中に存在する活性ガス、水分、チリ等に触れることがなく、優れた伝送特性を維持することができる。また、コア4が大気に触れることがないので、コア4の柔軟性を保持することができ、外部応力等による光導波路1の変形を効果的に吸収することができる。従って、本発明に基づく第1の製造方法により作製される光導波路1は、安定した光入出射を行うことができる。
【0043】
なお、共通の減圧又は不活性ガス雰囲気のチャンバー30にて、コア4を成形する工程と前記接合の工程とを行うことが好ましいが、これに限定されず、クラスター構造などを適用し、各工程を別のチャンバー、即ち異なる減圧又は不活性ガス雰囲気下にて行っても良い。
【0044】
第2の実施の形態
図2(a)は、本発明に基づく第2又は第3の製造方法により得られる光導波路の一例の概略断面図である。図2(b)は、図2(a)に示す光導波路のA側から見た概略平面図であり、第1クラッドは図示省略した。図2(c)は、図2(a)に示す光導波路のB側から見た概略平面図である。
【0045】
図2に示すように、この光導波路1は、第1クラッド3と、コア4と、レンズ部5付きの第2クラッド2との接合体からなる。コア4は入射した信号光を導波する役割を果たし、第1クラッド3及び第2クラッド2はコア4内に信号光を閉じ込める役割を果たす。コア4は高い屈折率を持つ材料からなり、第1クラッド3及び第2クラッド2はコア4より低い屈折率の材料で構成されている。
【0046】
そして、コア4の外周囲において、第1クラッド3と第2クラッド2との間に、コア4を外部から遮断する遮断壁12が形成されている。これにより、コア4に対する防塵作用、防水作用、補強作用が得られ、より効率的かつより安定した光入出射を行うことができる。さらに、遮断壁12がコア4と同一材質からなることが好ましい。
【0047】
また、第2クラッド2において光入出射端側に、第1クラッド3とは別の補強部6が、コア4とは反対側の第1クラッド3の面から突出して形成されていることが好ましい。これによれば、光導波路1の前記光入出射端側が優れた剛性を有し、例えば光導波路1と実装基板(図示省略。以下、同様。)との接合強度を向上させることができる。このため、光軸のズレが起こることがなく、効率的でありかつ安定した光入出射を行うことができる。
【0048】
また、補強部6が第2クラッド2と一体成形されており、具体的には、補強部6が、コア4の外周囲にて第2クラッド2を延設することによって形成されていることが好ましい。この場合、第2クラッド2が前記接合体の側方から、コア4とは反対側の第1クラッド3の面から突出した位置にまで延設されているのがよい。これにより、補強部6を別途又は後付けで設置した場合に比べて、補強部6の位置決め精度が容易であり、また製造も容易であってコストを低減することができる。また、部品点数が増えることがなく、生産性が高い。
【0049】
コア4は、その複数個が並列に配置されてなり、各コア4の光入出射部7a、7bが傾斜ミラー面、例えば45°ミラー面に形成されていることが望ましい。前記傾斜ミラー面付きのコア4は射出成形によって形成することができる。前記射出成形により、コア4に直接加工を行うことなしに前記傾斜ミラー面を形成することができるので、作製時のダメージがなく、表面状態を平滑にすることができ、容易かつ精度良く良質な光導波路1を作製することができる。また、コア4の光入出射部7a、7bを前記傾斜ミラー面に形成することにより、レーザー等の発光素子(図示せず)から放射された信号光を効率良くコア4に入射させることができ、またこの入射した信号光を導波し、効果的に受光素子(図示せず)に対して出射させることができる。なお、コア4の材質としては従来公知のものが使用可能であり、UV(紫外線)硬化性樹脂、例えばフッ素系ポリイミド等が挙げられる。
【0050】
第1クラッド3が平坦なシート形状を有していることが好ましく、低剛性の樹脂シート(例えば厚さ100μm)を用いるのがより好ましい。前記低剛性の樹脂シートとしては、例えば光学アクリルシート等が挙げられる。第1クラッド3として低剛性の樹脂シートを用いても、本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路1は、第2クラッド2において前記光入出射端側に、第1クラッド3とは別の補強部6が、コア4とは反対側の第1クラッド3の面から突出して形成されているので、前記光入出射端側が優れた剛性を有し、光導波路1と前記実装基板との接合強度に優れている。また、前記実装基板上に設置された光導波路1の平行精度の向上を図ることができる。このため、光軸のズレが起こることがなく、効率的でありかつ安定した光入出射を行うことができる。また、光導波路1の中間部分を低剛性とすることができるので、コア4にストレスを与えずに、光導波路1と前記実装基板間の実装誤差、熱や外部応力などによる光導波路1の変形を吸収することができ、より安定した光の伝搬を行うことができる。
【0051】
また、コア4に対する光入出射部7a、7bに相当する位置において、レンズ部5が第2クラッド2に形成されているのが好ましい。これにより、光源(図示省略)からの信号光を集束して本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路1に効果的に入射させることができ、或いは本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路1から出射される出射光を効果的にコリメーションし、前記出射光を受光素子等の受光部(図示省略)が効率良く受光することができる。なお、レンズ部5は、第2クラッド2と一体成形してもよく、或いは後付けで配してもよい。特に、コア4に対する光入出射部7a、7bに相当する位置において、レンズ部5を第2クラッド2に一体成形するのが好ましく、これにより、レンズ等の光学部品を別途又は後付けで設置した場合に比べて、レンズ部5の位置決め精度が容易であり、また製造も容易であってコストを低減することができる。また、レンズ部5が第2クラッド2と一体成形されているので、部品点数が増えることがなく、生産性が高い。
【0052】
ここで、補強部6が、少なくともレンズ部5の存在領域に相当する部分に形成されていることが好ましい。これにより、レンズ部5の前記存在領域における、光導波路1の剛性をより向上させることができるので、より安定した光入出射を行うことができる。
【0053】
補強部6及びレンズ部5が第2クラッド2と同一材質からなることが望ましく、具体的には、光学素子用の射出成形用樹脂(例えば、日本ゼオン社製の製品名ZEONEX)等が挙げられる。
【0054】
このような光導波路1は、光導波路1で効率良く所定の光束に集光されて出射し、或いは光導波路1に効率良く入射した後に出射した信号光を次段回路の受光素子(光配線やフォトディテクタ等)に入射させるように構成した光配線等の光情報処理装置として好適に用いることができる。
【0055】
以下に、図2に示すような光導波路1の製造方法、即ち本発明に基づく第2の製造方法の一例について、図3を参照して説明する。
【0056】
まず、図3(a)に示すように、上述したような第2クラッド2(補強部6及びレンズ部5を含む)に対応する形状を有する上型14、下型15及び内型(図示省略)に第2クラッド材を充填する。前記第2クラッド材としては光学素子用の射出成形用樹脂(例えば、日本ゼオン社製の製品名ZEONEX)等が挙げられる。充填後、上型14、下型15及び前記内型を剥離することにより、図3(b)に示すように、補強部6及びレンズ部5を第2クラッド2と一体成形することができる。これにより、補強部6及びレンズ部5を別途又は後付けで設置した場合に比べて、それらの位置決め精度が容易であり、また製造も容易であってコストを低減することができる。また、部品点数が増えることがなく、生産性が高い。
【0057】
次に、図3(c)に示すように、コア4に対応する形状及び遮断壁12に対応する形状を有する石英型16にコア材4aを充填する。コア材4aとしては従来公知のものが使用可能であり、UV(紫外線)硬化性樹脂、例えばフッ素系ポリイミド等が挙げられる。石英型16は、例えばバイナリマスク露光及びドライエッチングによって容易に作製することができる。
【0058】
そして、上記に作製した第2クラッド2をレンズ部5を有する面を上向きにした状態で、コア材4aが充填された石英型16上に配置し、紫外線を照射するなどしてコア材4aを硬化する。次いで、第2クラッド2に接合されたコア4及び遮断壁12を石英型16から剥離する。
【0059】
これにより、図3(d)に示すように、第2クラッド2にコア4及び遮断壁12を同時に形成することができる。このように、射出成形によってコア4の光入出射部7a、7bを傾斜ミラー面、例えば45°ミラー面に形成することにより、コア4に直接加工を行うことなしに前記傾斜ミラー面を形成することができるので、作製時のダメージがなく、表面状態を平滑にすることができ、容易かつ精度良く良質な光導波路1を作製することができる。
【0060】
次に、図3(e)に示すように、減圧(例えば絶対圧で0.01〜0.05MPaが好ましい。)雰囲気のチャンバー30内にて、コア4の第2クラッド2とは逆の面側に、第1クラッド3を配置する。なお、第1クラッド3は射出成形などによって作製したものに限らず、光学アクリルシート等からなる低剛性樹脂のシート状体(例えば厚さ100μm)であってよい。これにより、図3(f)に示すような光導波路1を作製することができる。
【0061】
本実施の形態によれば、コア4の外周囲にて、第1クラッド3と第2クラッド2との間に、コア4を外部から遮断する遮断壁12を形成する工程と、コア4と共に遮断壁12を第2クラッド2に同時に接合する工程と、コア4及び遮断壁12と第1クラッド3とを接合する工程とを有するので、コア4に対する防塵作用、防水作用、補強作用が得られる。
【0062】
また、例えば、遮断壁12と第1クラッド3とコア4と第2クラッド2とによって形成される密閉空間31が常圧状態のまま、この光導波路を低圧雰囲気下に配した場合、図4に示すように、密閉空間31が常圧状態のために、第1クラッド3や第2クラッド2と、コア4とが剥れ易くなる。第1クラッド3や第2クラッド2と、コア4とが剥れると、光伝送路において屈折率の異なる領域32ができてしまい、また剥れた部分32のコア4が大気に触れるため、安定した光入出射を行うことが困難になる。
【0063】
これに対し、本発明に基づく第2の製造方法は、密閉空間31を減圧状態にするので、如何なる雰囲気下に配しても第1クラッド3や第2クラッド2と、コア4とが剥れることがなく、安定した光入出射を行うことができる。
【0064】
なお、密閉空間31を減圧状態に形成することが重要であり、密閉空間31を常圧或いは不活性ガス雰囲気下にて形成した後、注射器等を用いて密閉空間31を減圧状態に形成することも勿論可能である。特に、上述したように、遮断壁12及びコア4と、第1クラッド3との接合を減圧下で行うことが好ましく、これにより、密閉空間31を容易に減圧状態に形成することができる。
【0065】
第3の実施の形態
以下に、図2に示すような光導波路1の製造方法、即ち本発明に基づく第3の製造方法の一例について、図5を参照して説明する。
【0066】
まず、図5(a)に示すように、上述したような第2クラッド2(補強部6及びレンズ部5を含む)に対応する形状を有する上型14、下型15及び内型(図示省略)に第2クラッド材を充填する。前記第2クラッド材としては光学素子用の射出成形用樹脂(例えば、日本ゼオン社製の製品名ZEONEX)等が挙げられる。充填後、上型14、下型15及び前記内型を剥離することにより、図5(b)に示すように、補強部6及びレンズ部5を第2クラッド2と一体成形することができる。これにより、補強部6及びレンズ部5を別途又は後付けで設置した場合に比べて、それらの位置決め精度が容易であり、また製造も容易であってコストを低減することができる。また、部品点数が増えることがなく、生産性が高い。
【0067】
次に、図5(c)に示すように、減圧(例えば絶対圧で0.01〜0.05MPaが好ましい。以下、同様。)又は不活性ガス(例えば窒素ガス。以下、同様。)雰囲気のチャンバー30内にて、コア4に対応する形状及び遮断壁12に対応する形状を有する石英型16にコア材4aを充填する。コア材4aとしては従来公知のものが使用可能であり、UV(紫外線)硬化性樹脂、例えばフッ素系ポリイミド等が挙げられる。石英型16は、例えばバイナリマスク露光及びドライエッチングによって容易に作製することができる。
【0068】
そして、上記に作製した第2クラッド2をレンズ部5を有する面を上向きにした状態で、コア材4aが充填された石英型16上に配置し、紫外線を照射するなどしてコア材4aを硬化する。次いで、第2クラッド2に接合されたコア4及び遮断壁12を石英型16から剥離する。
【0069】
これにより、図5(d)に示すように、第2クラッド2にコア4及び遮断壁12を同時に形成することができる。このように、射出成形によってコア4の光入出射部7a、7bを傾斜ミラー面、例えば45°ミラー面に形成することにより、コア4に直接加工を行うことなしに前記傾斜ミラー面を形成することができるので、作製時のダメージがなく、表面状態を平滑にすることができ、容易かつ精度良く良質な光導波路1を作製することができる。
【0070】
次に、図5(e)に示すように、減圧又は不活性ガス雰囲気のチャンバー30内にて、コア4の第2クラッド2とは逆の面側に、第1クラッド3を配置する。なお、第1クラッド3は射出成形などによって作製したものに限らず、光学アクリルシート等からなる低剛性樹脂のシート状体(例えば厚さ100μm)であってよい。但し、不活性ガス雰囲気のチャンバー30内にて、コア4及び遮断壁12と、第1クラッド3との接合を行う場合、前記接合後、遮断壁12と第1クラッド3とコア4と第2クラッド2とによって形成される密閉空間31を減圧状態にする必要がある。方法としては、前記接合後、注射器等を用いて密閉空間31を減圧状態にする方法等が挙げられる。特に、遮断壁12及びコア4と、第1クラッド3との接合を減圧下で行うことが好ましく、これにより、密閉空間31を容易に減圧状態にすることができる。
【0071】
これにより、図5(f)に示すような光導波路1を作製することができる。
【0072】
本実施の形態によれば、減圧又は不活性ガス雰囲気のチャンバー30内にてコア4を形成する工程と、減圧又は不活性ガス雰囲気のチャンバー30内にてコア4と共に遮断壁12を第2クラッド2に同時に接合する工程と、減圧又は不活性ガス雰囲気のチャンバー30内にてコア4及び遮断壁12と第1クラッド3とを接合する工程とを有するので、コア4が大気中に存在する活性ガス、水分、チリ等に触れることがなく、優れた伝送特性を維持することができる。また、コア4が大気に触れることがないので、コア4の柔軟性を保持することができ、外部応力等による光導波路1の変形を効果的に吸収することができる。
【0073】
また、遮断壁12を有するので、コア4に対する防塵作用、防水作用、補強作用が得られる。
【0074】
また、例えば、密閉空間31が常圧状態のまま、この光導波路を低圧雰囲気下に配した場合、図4に示すように、密閉空間31が常圧状態のために、第1クラッド3や第2クラッド2と、コア4とが剥れ易くなる。第1クラッド3や第2クラッド2と、コア4とが剥れると、光伝送路において屈折率の異なる領域32ができてしまい、また剥れた部分32のコア4が大気に触れるため、安定した光入出射を行うことが困難になる。
【0075】
これに対し、本発明に基づく第3の製造方法は、密閉空間31を減圧状態にするので、如何なる雰囲気下に配しても第1クラッド3や第2クラッド2と、コア4とが剥れることがなく、安定した光入出射を行うことができる。
【0076】
第4の実施の形態
本発明に基づく製造方法により作製される光導波路は、この光導波路の前記コアに光を入射させる光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)と、前記コアからの出射光を受け入れる受光部(例えば、フォトダイオード等の受光素子)とから構成した光配線等の光情報処理装置として好適に用いることができる。
【0077】
図6は、上記の各実施の形態による製造方法で作製された光導波路(代表的に図2に示した光導波路1とするが、他の光導波路でも同様である:以下、同様)と、この光導波路1のコア4に光を入射させる光入射部(例えば、レーザー等の発光素子)11と、コア4からの出射光を受け入れる受光部(例えば、受光素子)13とを有する、光情報処理装置28の概略図である。
【0078】
本実施の形態において、45°ミラー面である光入射部7a及び光出射部7bを有するコア4は、図6(b)に示すように、複数個が並んで配列されており、各コア4の光入出射部7a、7bの位置が長さ方向において揃っている。
【0079】
また、発光素子11は、各コア4の光入射部7aに対応する位置にそれぞれ配置されている。なお、図示省略したが、各発光素子11の間隙には、発光素子11と半導体チップ(図示省略)との間の電気的な接続を行う貫通電極(図示省略)が配置されている。なお、受光素子13においても、上記の発光素子11と同様である。
【0080】
図6に示す光情報処理装置28では、コア4の並ぶ配列ピッチと同じピッチで、発光素子11や受光素子13が配列することとなる。
【0081】
この動作メカニズムは、一方の半導体チップ(図示省略)から発信される電気信号が光信号に変換されて、各発光素子11から光信号として出射される。出射された光信号は、レンズ部5によって集束され、コア4の光入射部7aに入射し、45°ミラー面から構成される光入射部7aにおいて反射し、コア4が延伸する導波方向に導波され、他方の45°ミラー面からなる光出射部7bにおいて再び反射してコア4の光出射部7bから出射する。光導波路1から出射された光信号は、レンズ部5を介して対応する受光素子13に受光されて電気信号に変換され、他方の半導体チップ(図示省略)に電気信号として伝送される(以下、他の実施の形態も同様。)。
【0082】
なお、上記にコア4の光入出射部7a、7bの位置が長さ方向において揃っている例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、図7〜図9のような構造であってもよい。
【0083】
図7では、コア4は複数並んで配列されており、また、各コア4の光入出射部7a、7bが、隣接する他のコア4の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されている。この場合、発光素子アレイ11aは、各コア4の光入射部7aに対応する位置に配置された複数の発光素子11を備える(これは、受光素子アレイ13aの受光素子13についても同様である。)。
【0084】
これによれば、各コア4の光入出射部7a、7bが、隣接する他のコア4の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されているので、コア4の長さ方向において配列する発光素子11同士のピッチは、上記の長さ方向のずれ量だけの大きさとなる。例えば、隣接するコア4の光入出射部7a、7bを延伸方向において100μmだけずらした場合には、コア4の長さ方向において配列する発光素子11同士のピッチは100μmとなる。これは、受光素子13においても同様である。
【0085】
また、コア4の配列方向に並ぶ発光素子11のピッチは、複数個のコア4の配列ピッチの合計分だけの大きさとなる。例えば、各コア4が20μmの配列ピッチで配列している場合には、コア4の配列方向に並ぶ発光素子11のピッチは、100μmとなる。
【0086】
このように、各コア4の光入出射部7a、7bが、隣接する他のコア4の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されていることにより、コア4に対応して配置される光素子(発光素子、受光素子を併せて称する。以下、同様。)11、13を二次元的に配置することができ、光素子11、13を100μmピッチ程度で配置しながら、コア4を20μmピッチにまで集積することが可能となっている。
【0087】
即ち、光素子11、13の距離を光干渉や素子発熱によるクロストークの影響を避けるためのピッチで配列させつつ、コア4の集積度を向上させることが可能となる。
【0088】
また、コア4を高集積化させつつ、光素子11、13を二次元的に配列することにより、無駄なスペースがなくなり、一素子当たりの基板占有面積を削減することができる。このため、一層のコストダウンを図ることができる。
【0089】
図8では、各コア4−1、4−2の光入出射部7a、7bは、隣接する他のコア4−1、4−2の光入出射部7a、7bに対して長さ方向にずれて形成されている。即ち、光入出射部7a、7bの位置がずれた2つの第1のコア4−1及び第2のコア4−2を一単位として、繰り返し配列されている。そして、各コア4の長さ方向の一方側において、第1のコア4−1の光入射部7aに対応して配置された発光素子11を複数有する発光素子アレイ11a−1と、第2のコア4−2の光出射部7bに対応して配置された受光素子13を複数有する受光素子アレイ13a−2が配置されている。また、各コア4の長さ方向の他方側において、第1のコア4−1の光出射部7bに対応して配置された受光素子13を複数有する受光素子アレイ13a−1と、第2のコア4−2の光入射部7aに対応して配置された発光素子13を複数有する発光素子アレイ11a−2が配置されている。即ち、この光情報処理装置28では、並列に配置された各コア4−1、4−2に対し、発光素子11及び受光素子13が交互に配置されている。そのため、各コア4−1、4−2は、互いに隣接する他のコア4−2、4−1に対し逆方向に光を導波する。
【0090】
これによれば、上記した図7のような構造と同等の効果が得られると共に、並列に配置された各コア4−1、4−2に対し、発光素子11及び受光素子13が交互に配置されていることから、例えば、半導体チップの特定の回路に接続する入出力パッドに対応する発光素子11及び受光素子13の位置は、図8(a)のC部に示すように近接配置されていることから、電気配線の長さを短くすることができ、高周波対策が容易になるという効果がある。
【0091】
図9では、並列に配置された各コア4に対し、発光素子11及び受光素子13が交互に配置されており、各コア4は、互いに隣接する他のコア4に対し逆方向に光を導波する。また、各光素子アレイ11a−1、11a−2、13a−1、13a−2における光素子11、13は、図9(c)に示すように、隣り合う他の光素子11、13に対し、コア4の長さ方向にずれて配置されている。
【0092】
これによれば、各光素子アレイ11a−1、11a−2、13a−1、13a−2において光素子11、13が直線的に配列している場合に比べて、光素子11、13間のピッチを大きく取ることができることから、上記の図8のような構造の効果を維持しつつ、光素子11、13間の距離を光干渉や素子発熱によるクロストークの影響を避けるためのピッチで配列させることができ、コア4の集積度を向上させることが可能となる。
【0093】
第5の実施の形態
本発明に基づく製造方法により作製される光導波路は、プリント配線基板上に直接実装することができるが、この他に、前記光導波路をソケットに設置して光電複合装置とし、この光電複合装置をプリント配線基板上に実装してもよい。
【0094】
図10は、前記ソケットの概略斜視図である。図10(a)は、前記ソケットの光導波路が設置される面側から見た概略斜視図であり、図10(b)は、図10(a)の反対の面側から見た概略斜視図である。
【0095】
図10に示すように、ソケット17には、本発明に基づく製造方法により作製される光導波路を位置決めして固定するための、凹凸構造からなる位置決め手段が設けられている。具体的には、前記凹凸構造が、前記光導波路を嵌め込んでその幅方向を位置決めするための凹部18と、前記光導波路の長さ方向を位置決めするための突起部19とを有している。また、凹部18の深さは、前記光導波路の厚さよりも大きい。
【0096】
また、ソケット17の前記凹凸構造の凸面20には、ソケット17の表及び裏面とを導通するための導通手段、例えばターミナルピン21が設けられている。そして、この凹凸構造の凸面20上に、後述するように、前記発光素子及び/又は前記受光素子が実装されたインターポーザーが固定される。
【0097】
ソケット17の材質としては絶縁性樹脂であれば、従来公知の材料を用いることができ、例えばガラス入りPES(ポリエチレンスルフィド)樹脂、ガラス入りPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等が挙げられる。このようなソケット17の材料は、その種類、絶縁性、信頼性等のデータが既に多く存在し、また扱っているメーカーも多岐に渡る。従って、機能、コスト、信頼性等の全てにおいて受け入れ易い構造物であり、既存のプリント配線基板実装プロセスとの融合も図り易い。
【0098】
図11は、本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路1をソケット17に設置してなる光電複合装置22の概略図である。図11(a)は、光電複合装置22の概略斜視図であり、図11(b)は、図11(a)の分解図である。
【0099】
図11に示すように、光電複合装置22は、一対のソケット17と、このソケット17に設置された光導波路1とを有し、この一対のソケット17間に光導波路1が架け渡されている。なお、光導波路1は、本発明に基づく製造方法により作製される。このとき、光導波路1は、後述するプリント配線基板とは非接触となっているので、半導体チップの放熱により、光導波路1が破壊されるのを効果的に防止することができる。
【0100】
また、ソケット17の前記凹凸構造の凸面20上に、半導体チップ23a、23bと、前記発光素子(図示省略。例えばレーザー)及び/又は前記受光素子(図示省略)とが実装されたインターポーザー24が固定されている。
【0101】
インターポーザー24は、例えば図12に示すように、一方の面側には半導体チップ23が実装されており(図12(a))、他方の面側には光導波路1に光入射を行うための発光素子アレイ11aと、光導波路1からの出射光を受けるための受光素子アレイ13aとが実装され、周辺部にはその他の信号配線用の電極(例えば電源配線、DC信号等)25が設けられている(図12(b))。なお、発光素子アレイ11a及び受光素子アレイ13aは、光導波路1の各光入出射部に対応する位置に配置された複数の発光素子及び受光素子を備える(図示省略)。各発光素子及び受光素子の間隙には、発光素子及び受光素子と半導体チップとの間の電気的接続を行う貫通電極が配置されている(図示省略)。
【0102】
そして、凹部18に光導波路1が設置されてなる一対のソケット17と、インターポーザー24とを固定するに際し、インターポーザー24の発光素子アレイ11a及び/又は受光素子アレイ13aが実装された面側をソケット17の凸面20と接するように構成し、またソケット17のターミナルピン21とインターポーザー24のその他の信号配線用の電極25とを電気的に接続するように固定する。
【0103】
また、上述したように、ソケット17の凹部18の深さを、光導波路1の厚さよりも大きく形成することにより、図11(a)に示すように、光導波路1の一方の面26側と、インターポーザー24の発光素子アレイ11a及び/又は受光素子アレイ13aが実装されている面側との間に空間27を形成することができる。
【0104】
上記したように、ソケット17上に、インターポーザー24を介して半導体チップ23を実装し、及び光導波路1の一方の面26側と、インターポーザー24の発光素子アレイ11a及び/又は受光素子アレイ13aが実装されている面側との間に空間27を形成することにより、光電複合装置22の使用時に半導体チップ23が発熱しても、この熱によって光導波路1が破壊されるのを効果的に防ぐことができる。
【0105】
このような光電複合装置22は、光導波路1が光配線として用いられる光配線システムを構成することができる。即ち、図13に示すように、この光電複合装置22をプリント配線基板29に電気的に接続された状態で固定する。
【0106】
この動作メカニズムは、一方の半導体チップ23aから発信される電気信号が光信号に変換されて、発光素子アレイ11aの各発光素子(図示省略)からレーザー光による光信号として出射される。出射された光信号は、光導波路1における対応するレンズ部5によって集束され、コア4の光入射部7aに入射し、コア4が延伸する導波方向に導波され、他方のコア4の光出射部7bから出射する。そして、光導波路1から出射された光信号は、受光素子アレイ13aの対応する受光素子(図示省略)に受光されて電気信号に変換され、他方の半導体チップ23bに電気信号として伝送される。
【0107】
このような光電複合装置22によれば、本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路1をソケット17の凹部18に設置された状態でプリント配線基板29に電気的に接続することができるので、既存のプリント配線基板29の実装構造をそのまま利用できる構造である。従って、プリント配線基板29上にソケット17が設置できる領域を設ければ、その他の一般の電気配線は従来通りのプロセスで形成することが可能である。
【0108】
また、光導波路1が高温プロセスに弱くても、例えば、プリント配線基板29にソケット17を固定し、更にはんだリフロー、アンダーフィル樹脂封止などの高温プロセスを含む、全ての実装プロセスを完了した後、ソケット17の凹部18に光導波路1を設置することができるので、光導波路1が高温によるダメージをこうむることなしにその実装を行うことが可能である。
【0109】
また、プリント配線基板29と比較して剛性の高い樹脂によってソケット17を作製でき、このソケット17上で、前記発光素子及び/又は前記受光素子及び光導波路1間の光結合を行うことができるため、光結合に必要とされる実装精度を容易に確保できる。例えば、現状のモールド技術により、数μmオーダーの組立て精度は確保可能である。従って、光バスの高密度化も可能となる。
【0110】
さらに、半導体チップ23と、発光素子アレイ11a及び/又は受光素子アレイ13aとを、インターポーザー24を介してその上下面に近接させて設置することができるので、半導体チップ23と、前記発光素子及び/又は前記受光素子との間の配線長を短くすることができる。従って、電気信号のノイズ対策、クロストーク対策も容易となり、光変調速度も向上させることが可能となる。
【0111】
また、光導波路1がソケット17の凹部18に設置された状態でプリント配線基板29に電気的に接続することができるので、プリント配線基板29の高密度配線とその設計の自由度を確保しながら光配線システムを安価かつ高い自由度でプリント配線基板29上に展開することが可能となり、プリント配線基板29上での高速分散処理、電子機器トータルでの高機能化、及び開発の短TAT(turn around time)化等が期待できる。
【0112】
ここで、図14は、光電複合装置22をプリント配線基板29上に展開した例を示す模式図である。例えば、光導波路モジュールを規格化することで、4方向に自在に展開することが可能となる。
【0113】
第6の実施の形態
本発明に基づく製造方法により作製される光導波路と、この光導波路の前記コアに光を入射させる前記光入射部と、前記コアからの出射光を受け入れる前記受光部とを有する前記光情報処理装置の入力側に入力信号を供給する回路素子を設け、また出力側に出力信号を受ける回路素子を設けることにより、電子機器を構成することができる。この場合、前記光入射部に、パラレル入力信号をシリアル入力信号に変換する変換器がドライバアンプを介して接続され、前記受光部に、シリアル出力信号をパラレル出力信号に変換する変換器がトランスインピーダンスアンプ及びI/V変換アンプを介して接続されているのがよい。
【0114】
図15は、上記の電子機器としてのコンピュータシステム200の構成を示している。このコンピュータシステム200は、CPU(Central Processing Unit)201と、メモリコントローラとしてのノースブリッジ202と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)203と、I/Oコントローラとしてのサウスブリッジ204と、バス205と、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)206と、記憶装置207と、その他の入出力装置(I/O装置)208とを備える。
【0115】
ノースブリッジ202は、光配線として構成された上記の光情報処理装置210aを介してCPU201に接続されている。また、サウスブリッジ204は、光配線として構成された光情報処理装置210bを介してノースブリッジ202に接続されていると共に、さらに光配線210aを介してCPU201に接続されている。また、DRAM203は、光配線として構成された光情報処理装置210cを介してノースブリッジ202に接続されている。CPU201は、OS(Operating System)及びアプリケーションプログラムに基づいて各部を制御する。ノースブリッジ202は、メモリ203へのアクセスを統括制御する。
【0116】
バス205は電気配線214を介してサウスブリッジ204に接続されている。また、ネットワークインタフェース206、記憶装置207及びその他のI/O装置208はそれぞれ、バス205に接続されている。記憶装置207は、HDD(Hard Disk Drive)、DVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、CD(Compact Disk)ドライブなどである。I/O装置208は、ビデオ入出力装置、シリアルやパラレルのインタフェースなどである。
【0117】
図16は、図15における光配線として構成された光情報処理装置210a、b、c(但し、図16では光配線210と記載している。)の構成例を示している。この光配線210は、Nチャネル分の光伝送系220−1〜220−Nを有している。光伝送系220−1〜220−Nはそれぞれ、第1の回路から第2の回路に光信号を伝送する第1の伝送系221と、第2の回路から第1の回路に光信号を伝送する第2の伝送系222とからなっている。ここで、図15における光配線210aを考える場合、前記第1の回路とはCPU201を示し、前記第2の回路とはノースブリッジ202を示す。図15における光配線210bを考える場合、前記第1の回路とはノースブリッジ202を示し、前記第2の回路とはサウスブリッジ204を示す。図15における光配線210cを考える場合、前記第1の回路とはDRAM203を示し、前記第2の回路とはノースブリッジ202を示す。また、光配線210は、図8に示すような光導波方向を有するよう構成された例を挙げる。
【0118】
第1の伝送系221は、パラレル/シリアル変換器(P/S変換器)221a、ドライバアンプ221b、前記発光素子としての半導体レーザー221c、本発明に基づく製造方法により作製される光導波路221d、受光素子としてのフォトダイオード221e、トランスインピーダンスアンプ(TIA)221f、I/V変換アンプ(IVA)221g及びシリアル/パラレル変換器(S/P変換器)221hを備えている。この場合、P/S変換器221a、ドライバアンプ221b及び半導体レーザー221cは前記第1の回路側に配置され、フォトダイオード221e、TIA221f、IVA221g及びS/P変換器221hは前記第2の回路側に配置される。また、光導波路221dは、上記の各実施の形態で説明した本発明に基づく製造方法により作製され、半導体レーザー221cから出射された光信号を効果的に入射するよう配置されると共に、光導波路221dを導波して出射された光信号がフォトダイオード221eに効果的に受光されるよう配置される。
【0119】
また、第2の伝送系222は、第1の伝送系221と同様に、P/S変換器222a、ドライバアンプ222b、半導体レーザー222c、本発明に基づく製造方法により作製される光導波路222d、フォトダイオード222e、TIA222f、IVA222g及びS/P変換器222hを備えている。この場合、P/S変換器222a、ドライバアンプ222b及び半導体レーザー222cは前記第2の回路側に配置され、フォトダイオード222e、TIA222f、IVA222g及びS/P変換器222hは前記第1の回路側に配置される。また、光導波路222dは、上記の各実施の形態で説明した本発明に基づく製造方法により作製され、半導体レーザー222cから出射された光信号を効果的に入射するよう配置されると共に、光導波路222dを導波して出射された光信号がフォトダイオード222eに効果的に受光されるよう配置される。
【0120】
ここで、P/S変換器221a、222aはそれぞれ、伝送すべきデータ、例えばb0〜b7の8ビットパラレルデータをシリアルデータに変換する。ドライバアンプ221b、222bはそれぞれ、P/S変換器221a、222aで得られたシリアルデータに基づいて半導体レーザー221c、222cを駆動し、この半導体レーザー221c、222cからシリアルデータに対応した光信号を発生させる。TIA221f、222fはそれぞれ、フォトダイオード221e、222eからの光電変換による電流信号を、後続のIVA221g、222gに供給する際に、インピーダンスマッチングをとる。IVA221g、222gはそれぞれ、TIA221f、222fの出力信号である電流信号を電圧信号に変換する。S/P変換器221h、222hはそれぞれ、IVA221g、222gの出力信号である、伝送されてきたシリアルデータをパラレルデータに変換する。
【0121】
次に、前記第1の回路から前記第2の回路にデータを伝送する際の動作について説明する。前記第1の回路からの伝送すべき8ビットのパラレルデータがP/S変換器221aでシリアルデータに変換され、このシリアルデータがドライバアンプ221bに供給される。このドライバアンプ221bにより半導体レーザー221cが駆動され、この半導体レーザー221cからシリアルデータに対応した光信号が発生される。そして、この光信号が光導波路221dを導波し、前記第2の回路側に伝送される。
【0122】
前記第2の回路側では、光導波路221dを導波し、出射された光信号がフォトダイオード221eに受光される。このフォトダイオード221eからの光電変換による電流信号が、インピーダンスマッチング用のTIA221fを介してIVA221gに供給され、電圧信号に変換される。そして、このIVA221gの出力信号である、伝送されてきたシリアルデータがS/P変換器221hでパラレルデータに変換され、前記第2の回路へと伝送される。
【0123】
このようにして、前記第1の回路から前記第2の回路にデータの伝送が行われる。なお、詳細説明は省略するが、前記第2の回路から前記第1の回路にデータを伝送する際の動作についても上記と同様に行われる。図16に示す光配線210では、Nチャネル分の光伝送系220−1〜220−Nを有しているので、Nチャネル分のデータ送受信を並行して行うことができる。
【0124】
上述したコンピュータシステム200においては、図示しないプリント配線基板(マザーボード)上に、電子部品としてのCPU201、ノースブリッジ202、DRAM203、サウスブリッジ204及びバス205等をそれぞれ構成する半導体チップ、及び光配線として構成された光情報処理装置210が実装される。
【0125】
本実施の形態によれば、電子機器内のチップ間において光配線として構成された前記光情報処理装置を適用しているので、信号授受の高速化及び大容量化を実現することができる。
【0126】
また、光配線210における光導波路221d、222dは、本発明に基づく製造方法によって作製されるので、上述した各実施の形態と同様の効果が奏せられる。
【0127】
従って、本発明に基づく製造方法により作製される光導波路221d、222dを用いて構成される電子機器は、安定した光入射及び光出射を行うことができる。
【0128】
第7の実施の形態
図17は、上記の電子機器としてのゲーム機300の構成を示している。このゲーム機300は、ゲームアプリケーションプログラム等の各種アプリケーションプログラムに基づいて信号処理や内部構成要素の制御を行うメインCPU301と、画像処理を行うグラフィックプロセッサ(GP)302と、インターネット等のネットワークとのインタフェースを行うためのネットワークインタフェース(ネットワークI/F)303と、インタフェース処理を行うIOプロセッサ(IOP)304と、DVDやCD等の光ディスク305の読み出し制御や読み出されたデータのデコードを行う光ディスク制御部306と、メインCPU301に接続されるメインメモリとしてのDRAM307と、IOプロセッサ304が実行する命令やデータを保持するためのIOPメモリ308と、主にオペレーティングシステム用のプログラムが格納されたOS−ROM309と、音声信号処理を行うサウンドプロセッサユニット(SPU)310と圧縮波形データを格納するサウンドバッファ311とを基本構成として備えている。
【0129】
メインCPU301とネットワークI/F303は、光配線210dにより接続されている。メインCPU301とグラフィックプロセッサ302は、光配線210eにより接続されている。
【0130】
なお、光配線210d、210eはそれぞれ、上記した図16に示すように構成されており、メインCPU301とネットワークI/F303の間、及びメインCPU301とグラフィックプロセッサ302の間では、光信号によってデータの送受信が行われる。
【0131】
メインCPU301とIOプロセッサ304は、SBUS314により接続されている。IOプロセッサ304と、光ディスク制御部306、OS−ROM309及びサウンドプロセッサユニット310は、SSBUS315により接続されている。
【0132】
メインCPU301は、OS−ROM309に格納されたプログラムや、光ディスク305から読み出されてDRAM307にロードされたり、或いは通信ネットワークを介してダウンロードされた、各種のゲームアプリケーションプログラム等を実行する。グラフィックプロセッサ302は、例えばビデオゲームにおけるレンダリング処理等を行い、ビデオ信号をディスプレイに出力する。
【0133】
IOプロセッサ304には、コントローラ(図示せず)が接続されるコントローラポート321、メモリカード(図示せず)が装填されるメモリカードスロット322、USB接続端子323及びIEEE1394接続端子324が接続されている。これにより、IOプロセッサ304は、コントローラポート321を介して接続されたコントローラ、メモリカードスロット322を介して接続されたメモリカード、USB接続端子323を介して接続された図示しない携帯電話機やパーソナルコンピュータとの間でデータの送受や、プロトコル変換等を行う。
【0134】
サウンドプロセッサユニット310は、サウンドバッファ311に格納されている圧縮波形データを、メインCPU301からの命令に基づいて所定のサンプリング周波数で再生することなどにより、様々なサウンドを合成し、オーディオ信号をスピーカに出力する。
【0135】
上述したゲーム機300においては、図示しないプリント配線基板(マザーボード)上に、メインCPU301等の基本構成電子部品としての半導体チップ、及び光配線として構成された光情報処理装置210d、210eが実装される。
【0136】
本実施の形態によれば、電子機器内のチップ間において光配線として構成された前記光情報処理装置を適用しているので、信号授受の高速化及び大容量化を実現することができる。
【0137】
また、光配線210d、210eにおける前記光導波路として、上述した本発明に基づく製造方法により作製される光導波路を適用するので、これを用いて構成される電子機器は、安定した光入射及び光出射を行うことができる。
【0138】
第8の実施の形態
図18は、上記の電子機器としてのサーバ400の構成を示している。このサーバ400は、CPU401、402と、チップセット403と、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)404と、メモリ405と、PCIブリッジ406と、ルータ407とを基本構成として備えている。
【0139】
チップセット403には、光配線210f、210gを介してCPU401、402が接続されていると共に、光配線210hを介して、ネットワークI/F404が接続されている。ネットワークI/F404は、ネットワークとのインタフェースを行う。チップセット403は、CPU401、402、ネットワークI/F404、メモリ405及びPCIブリッジ406などを制御する。
【0140】
なお、光配線210f、210g、210hはそれぞれ、上記した図16に示すように構成されており、CPU401、402とチップセット403の間、及びチップセット403とネットワークI/F404の間では、光信号によってデータの送受信が行われる。
【0141】
また、チップセット403には、電気配線により、メモリ405、PCIブリッジ406及びルータ407が接続されている。
【0142】
PCIブリッジ406には、PCIバス414を介して、記憶装置などのPCIデバイス415〜417が接続されている。ルータ407は、例えば、スイッチカード421及びラインカード422〜425から構成されている。ラインカード422〜425は、パケットの前処理を行うプロセッサであり、スイッチカード421はパケットの行き先をアドレスに従い切り替えるスイッチである。
【0143】
上述したサーバ400においては、図示しないプリント配線基板(マザーボード)上に、CPU401、402、チップセット403等の基本構成電子部品としての半導体チップ、及び光配線として構成された光情報処理装置210f、210g、210hが実装される。
【0144】
本実施の形態によれば、電子機器内のチップ間において光配線として構成された前記光情報処理装置を適用しているので、信号授受の高速化及び大容量化を実現することができる。
【0145】
また、光配線210f、210g、210hにおける前記光導波路として、上述した本発明に基づく製造方法により作製される光導波路を適用するので、これを用いて構成される電子機器は、安定した光入射及び光出射を行うことができる。
【0146】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき種々に変形が可能である。
【0147】
例えば、前記密閉空間を減圧状態にする方法として、上述した方法に限らず、不活性ガス雰囲気下にて前記コア及び前記遮断壁と、前記第1クラッドとの接合を行うに際し、前記遮断壁の表面にガス吸蔵物質を設けておけば、前記ガス吸蔵物質が前記密閉空間内の前記不活性ガスを吸蔵し、前記密閉空間は減圧状態になる。
【0148】
なお、本発明に基づく製造方法により作製される光導波路は、レーザー光に信号を乗せた上述した光配線システムに好適であるが、これ以外にも、光源等の選択によりディスプレイ用などにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の第1の実施の形態による、本発明に基づく第1の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態による、本発明に基づく第2又は第3の製造方法により作製される光導波路の概略図である。
【図3】同、本発明に基づく第2の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図である。
【図4】同、比較例としての光導波路の概略断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態による、本発明に基づく第3の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態による、本発明に基づく製造方法により作製される光導波路を用いて構成した光情報処理装置の概略図である。
【図7】同、本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路を用いて構成した他の例の光情報処理装置の概略図である。
【図8】同、本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路を用いて構成した他の例の光情報処理装置の概略図である。
【図9】同、本発明に基づく製造方法によって成形された光導波路を用いて構成した更に他の例の光情報処理装置の概略図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路を設置するソケットの概略斜視図である。
【図11】同、前記ソケットに本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路を設置してなる光電複合装置の概略斜視図である。
【図12】同、前記ソケットに接合するインターポーザーの概略斜視図である。
【図13】同、前記光電複合装置をプリント配線基板上に配した概略断面図である。
【図14】同、前記光電複合装置の実装構造の一例の概略平面図である。
【図15】第6の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路を用いて構成された電子機器の一例を示す模式図である。
【図16】同、前記電子機器において、光配線として構成された前記光情報処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【図17】第7の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路を用いて構成された電子機器の一例を示す模式図である。
【図18】第8の実施の形態による、本発明に基づく製造方法によって作製される光導波路を用いて構成された電子機器の一例を示し模式図である。
【図19】従来例による、光導波路の実装構造を示す概略図である。
【図20】同、光導波路の概略断面図である。
【符号の説明】
【0150】
1…光導波路、2…クラッド又は第2クラッド、3…クラッド又は第1クラッド、
4…コア、4a…コア材、5…レンズ部、6…補強部、7a…光入射部、
7b…光出射部、11…発光素子、12…遮断壁、13…受光素子、
29…プリント配線基板、30…チャンバー、31…密閉空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッドとコアとの接合体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成されている光導波路の製造方法において、減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コアを形成する工程と、減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記クラッドと前記コアとの接合を行う工程とを有することを特徴とする、光導波路の製造方法。
【請求項2】
第1クラッドとコアと第2クラッドとの接合体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成されている光導波路の製造方法において、前記コアの外周囲にて、前記第1クラッドと前記第2クラッドとの間に、前記コアを外部から遮断する遮断壁を形成する工程と、前記コアと共に前記遮断壁を前記第2クラッドに同時に接合する工程と、前記コア及び前記遮断壁と前記第1クラッドとを接合する工程と、前記遮断壁と前記第1クラッドと前記コアと前記第2クラッドとによって形成される密閉空間を減圧状態にする工程とを有する、光導波路の製造方法。
【請求項3】
第1クラッドとコアと第2クラッドとの接合体からなり、前記コアを通して光が導かれるように構成されている光導波路の製造方法において、減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コアを形成する工程と、前記コアの外周囲にて、前記第1クラッドと前記第2クラッドとの間に、前記コアを外部から遮断する遮断壁を形成する工程と、減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コアと共に前記遮断壁を前記第2クラッドに同時に接合する工程と、減圧又は不活性ガス雰囲気下にて前記コア及び前記遮断壁と前記第1クラッドとを接合する工程と、前記遮断壁と前記第1クラッドと前記コアと前記第2クラッドとによって形成される密閉空間を減圧状態にする工程とを有する、光導波路の製造方法。
【請求項4】
共通の前記減圧又は不活性ガス雰囲気下にて、前記コアを成形する工程と前記接合の工程とを行う、請求項1又は請求項3に記載した光導波路の製造方法。
【請求項5】
前記遮断壁及び前記コアと、前記第1クラッドとの接合を減圧下で行う、請求項2に記載した光導波路の製造方法。
【請求項6】
前記遮断壁を前記コアと同一工程で成形する、請求項2又は請求項3に記載した光導波路の製造方法。
【請求項7】
前記第2クラッドにおいて光入出射端側の少なくとも一方に、前記第1クラッドとは別の補強部を、前記コアとは反対側の前記第1クラッドの面から突出して形成する、請求項2又は請求項3に記載した光導波路の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−195196(P2006−195196A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6983(P2005−6983)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】