説明

光導波路型測定システム、測定方法及び光導波路型センサチップ

【課題】測定対象物質の検出感度をより高精度に向上させることが可能な光導波路型測定システム、測定方法及び光導波路型センサチップを提供する。
【解決手段】本実施形態の光導波路型測定システムは、測定対象物質と特異的に結合する第1物質が表面に固定化された光導波路と、前記測定対象物質と特異的に結合する第2物質及び発色反応を生ずる標識体が固定化され、磁性を有する磁性微粒子と、前記磁性微粒子を移動させるための磁場を生成する磁場印加部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光導波路型測定システム、測定方法及び光導波路型センサチップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抗原抗体反応を利用した免疫測定方法として、発色を生じる標識体と試薬を用い、発色に起因する光の物理量の変化を光導波路のエバネッセント波で測定する方法が開示されている。この方法においては、発色を生じる標識体で標識された抗体等を用い、通常、1つの抗体に標識体は1つである。つまり、一対の抗原抗体反応により、標識体1つ分の発色が生じる。従って、発色量(すなわち、測定対象物質を検出する感度)には限界があり、より高感度化を図ることは難しい。
【0003】
一方、抗体を固定化した微粒子を抗原抗体反応によって光導波路型センサチップの光導波路表面に結合させることで、微粒子が光を吸収及び散乱し、測定対象物質を定量する方法が開示されている。しかしながら、微粒子が抗原抗体反応によらず光導波路表面に吸着することがあり、これらの抗原抗体反応によらずに吸着した微粒子によっても光が吸収・散乱されるため、特に検出感度を要する測定において測定誤差が生じる場合がある。
【0004】
いずれの方式においても、より高感度な検出が必要とされる検査項目を想定すると、測定対象物質の検出感度をより高精度に向上させる技術の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4231051号公報
【特許文献2】特開2009−133842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、測定対象物質の検出感度をより高精度に向上させることが可能な光導波路型測定システム、測定方法及び光導波路型センサチップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の光導波路型測定システムは、測定対象物質と特異的に結合する第1物質が表面に固定化された光導波路と、前記測定対象物質と特異的に結合する第2物質及び発色反応を生ずる標識体が固定化され、磁性を有する磁性微粒子と、前記磁性微粒子を移動させるための磁場を生成する磁場印加部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る光導波路型測定システムの構成を示す図である。
【図2】同実施形態に係る磁性微粒子の形態を示す模式図である。
【図3】同実施形態に係る磁性微粒子の別の形態を示す模式図である。
【図4】同実施形態に係る被測定検体中の測定対象物質を測定する工程を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係る光導波路型測定システムの構成を示す図である。
【図6】同実施形態に係る被測定検体中の測定対象物質を測定する工程を示す図である。
【図7】第3の実施形態に係る磁性微粒子の形態を示す模式図である。
【図8】同実施形態に係る被測定検体中の測定対象物質を測定する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は本実施形態に係る光導波路型測定システムの構成を示す図である。本実施形態に係る光導波路型測定システムは、光導波路型センサチップ100と、光源7と、受光素子8と、第1の磁場印加部10とを備える。
【0011】
また、本実施形態に係る光導波路型センサチップ100は、基板1と、グレーティング2と、測定対象物質と特異的に反応する第1物質6が表面に固定化された光導波路3と、保護膜4と、枠5と、前記測定対象物質と特異的に反応する第2物質13及び発色を生じる標識体15が固定化された磁性微粒子9と、を備える。
【0012】
光導波路3は、例えば平面光導波路を用いることができる。この光導波路3は、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂のような熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂、あるいは無アルカリガラスから形成することができる。詳細には、ここで用いる材料とは、所定の光の透過性を有する材料であって、特に、基板1より高い屈折率を有する樹脂等であることが好ましい。光導波路3への被測定検体中の測定対象物質と特異的に反応する第1物質6の固定化は、例えば光導波路3の表面との疎水性相互作用や化学結合、イオン結合、錯体などの配位結合や生体分子を用いた特異的な結合反応(ビオチン-アビジン結合やヒスチジンを用いた結合など)などにより固定化する。
【0013】
第1物質6は、例えば被測定検体の測定対象物質が抗原の場合、抗体(一次抗体)を用いることができる。
【0014】
磁性微粒子9は、光導波路3上に分散状態で保持されているか、別の空間または容器等(図示せず)に保持されている。ここで「光導波路上に微粒子が分散状態で保持される」とは、磁性微粒子9が光導波路3の上方(基板1に接する面と反対側の面)に直接的または間接的に分散状態で保持されることを意味する。「微粒子が光導波路上方に間接的に分散する」形態は、例えば磁性微粒子9が光導波路3の表面にブロッキング層を介して分散される形態が挙げられる。ブロッキング層は、例えばポリビニルアルコール、ウシ血清アルブミン(BSA)、ポリエチレングリコール、リン脂質ポリマー、ゼラチン、カゼイン,糖類(例えばスクロース、トレハロース)のような水溶性物質を含む。別の例として、磁性微粒子9が光導波路3の上方に空間を空けて配置される形態が挙げられる。例えば、光導波路3に対向して支持板(図示せず)が配置され、その支持板の光導波路3と対向する面に、磁性微粒子9が分散していてもよい。この場合には、微粒子9は乾燥または半乾燥状態で保持されていることが望ましい。なお、検体液などの分散媒と接した際に容易に再分散することが望ましく、そのために乾燥または半乾燥状態で保持されている形態が必ずしも完全に分散状態である必要は無い。別の空間または容器等に保持される場合には、乾燥または半乾燥状態の他に分散液の状態、分散媒中で沈降した状態などでも差し支えない。
【0015】
図2は、磁性微粒子9の形態を示す模式図である。磁性微粒子9は、微粒子12の表面に、第2物質13及び標識体15が固定化されたものである。第2物質13は、例えば被測定検体の測定対象物質が抗原の場合、抗体(二次抗体)を用いることができる。標識体15は、例えば酵素反応で発色を生じる色素である。色素としては、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMBZ)を用いることができる。あるいは、標識体15は、発色反応を触媒する酵素であってもよい。例えば、酵素として、ペルオキシダーゼが用いられる。本実施形態では、1つの微粒子12に対して、複数の標識体15を固定化することができる。
【0016】
これにより、微粒子による光の吸収および散乱に加え、発色による吸光が生じるので、従来の微粒子のみによる測定方法、あるいは発色のみによる測定方法よりも対象物質を検出する感度を向上させることができる。
【0017】
微粒子12は、微粒子内に磁性体を含んでいる。例えば、磁性体を高分子でくるんだ形態のものや、高分子のコアの表面に磁性体粒子を含むコーティングが施された形態のものが適している。あるいは、磁性体粒子そのものでもよく、この場合には粒子表面に測定対象認識物質を結合させる官能基を有するものが望ましい。
【0018】
微粒子12の磁性体材料としては、例えばγ-Fe2O3等の各種フェライト類などが挙げられる。とりわけ磁場を切ると速やかに磁性を失う超常磁性の材料を用いることが好ましい。微粒子12の粒径は、0.05〜200μmであることが望ましいが、更に望ましくは0.2〜20μmである。この粒径を用いることによって光の散乱効率が高まるので、光を用いて測定対象物質を検出する本測定システムにおいては検出感度を向上することが可能となる。
【0019】
図3は、磁性微粒子9の別の形態を示す模式図である。図3に示すように、微粒子12の表面に、標識体15が標識された第2物質13(標識抗体16)を固定化してもよい。例えば、標識体15が酵素である場合、標識抗体16とは、ペルオキシダーゼ標識二次抗体である。
【0020】
測定対象物質および測定対象物質と特異的に結合する第1物質あるいは第2物質の組み合わせは、抗原と抗体の組み合わせに限るものではない。他には例えば、糖とレクチン、ヌクレオチド鎖とそれに相補的なヌクレオチド鎖、リガンドと受容体等が挙げられる。
【0021】
基板1の主面の両端部には、入射側グレーティング2aおよび出射側グレーティング2bが設けられている。基板1は例えば、無アルカリガラスである。グレーティング2a,2bは、基板よりも高い屈折率を有する材料で形成される。平面光導波路3は、グレーティング2a,2bを含む基板1主面に形成されている。保護膜4は、平面光導波路3上に被覆されている。保護膜4は、例えば低屈折率を有する樹脂膜である。保護膜4には、グレーティング2a,2b間に位置する平面光導波路3の一部が露出するよう開口して例えば矩形状のセンシングエリアを形成している。枠5は、平面光導波路3を露出させるセンシングエリアを囲むように保護膜4上に形成されている。
【0022】
被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第1物質6は、平面光導波路3表面のセンシングエリアに、例えばシランカップリング剤による疎水化処理により固定化されている。あるいは、光導波路3表面に官能基を形成し、適当なリンカー分子を作用させて化学結合によって固定化してもよい。被測定検体の測定対象物質と特異的に反応する第2物質13は、磁性微粒子9に、例えば物理吸着、あるいはカルボキシル基やアミノ基等を介した化学結合により固定化されている。また、他にも例えば、疎水性相互作用、イオン結合、錯体などの配位結合や生体分子を用いた特異的な結合反応(ビオチン-アビジン結合やヒスチジンを用いた結合など)などにより固定化される。
【0023】
第2物質12及び標識体15が固定化された磁性微粒子9は、前記第1物質6が固定化された平面光導波路3表面に分散、保持されている。この磁性微粒子9の分散、保持は、例えば磁性微粒子9および水溶性物質を含むスラリやパッドを平面光導波路3、または対抗面等(図示せず)に塗布、乾燥することにより形成される。あるいは、磁性微粒子9は液体に分散させて光導波路上とは別の空間あるいは容器等(図示せず)に保持してもよい。
【0024】
光源7は、前述の光導波路型センサチップに光を照射する。光源7は、例えば赤色レーザダイオードである。光源7から入射された光は、入射側グレーティング2aにより回折され、光導波路3内を伝播する。その後、出射側グレーティング2bにより回折されて出射される。出射側グレーティング2bから出射された光は、受光素子8により受光され、光の強度が測定される。受光素子8は、例えばフォトダイオードである。入射した光と出射された光との強度を比較し、光の吸収率を測定することで、被測定物の濃度が測定される。
【0025】
第1の磁場印加部10は、光導波路型センサチップ100に対して磁場を印加する。磁場を印加することで、磁場に応じて磁性微粒子9を移動させることができる。第1の磁場印加部10は、磁性微粒子9から見て光導波路3が存在する方向とは反対の方向に配置される。本実施形態においては、第1の磁場印加部10は、図1における上方向に設置される。第1の磁場印加部10は、例えば、磁石あるいは電磁石である。磁場強度を動的に調整するため、電磁石を用いて電流で調整する方法が望ましいが、フェライト磁石などを用いて、磁石そのものの強さや検出素子からの距離によって磁場強度を調整してもよい。例えば、フェライト磁石を光導波路センサチップ上部に配置し、磁石と光導波路センサチップとの間にスペーサを介してその厚さを変えることによって磁場強度を調整することができる。電磁石を用いる場合には、コイルを磁性微粒子9から見て沈降方向(光導波路3の方向)とは反対側に配置し、そのコイルに電流を印加すればよく、電流値を変えることによって磁場強度を調整することができる。
【0026】
本実施形態では、第1の磁場印加部10により、磁性微粒子9に対して磁場を印加することで、抗原抗体反応によらずに光導波路3に吸着した磁性微粒子9を、光導波路3から引き剥がすことができる。これにより、抗原抗体反応により抗原を介して光導波路表面に結合した磁性微粒子9のみに起因する吸光度を測定することができ、測定誤差を低減することができる。
【0027】
このとき、磁性微粒子9の材料として、磁場を切ると速やかに磁化を失う超常磁性の材料を用いることが好ましい。これにより、磁場を印加した際に磁性微粒子9同士が磁化により凝集しても、磁場を切ることで再分散させることができる。つまり、検体溶液中に測定対象物質が存在しない場合に、磁場を印加しても、磁性微粒子9の凝集物が生成して光導波路3の表面から剥がれにくくなり、測定誤差の要因となることを回避することができる。
【0028】
また、磁場を切った際の再分散性を更に向上させるため、磁性微粒子9の表面に正または負の電荷を持たせてもよい。あるいは、磁性微粒子9の分散媒に界面活性剤などの分散剤を添加してもよい。
【0029】
さらに、本実施形態では、自然沈降した磁性微粒子9を第1の磁場印加部10により上方向に引き戻すことができる。磁性微粒子9の自然沈降と第1の磁場印加部10による上方向への引き戻しを繰り返すことで、被測定検体溶液と磁性微粒子9を攪拌することができる。これにより、被測定検体溶液に含まれる抗原(測定対象物質)を介した磁性微粒子9と光導波路表面との抗原抗体反応による結合が促進され、より短時間で高い検出感度を得ることができる。また、標識体15と後述する試薬16がより攪拌され、発色がより促進されるという効果もある。これらにより、特に、測定対象物質が低濃度である場合に、検出感度を高めることが可能である。
【0030】
このとき、上述のように磁性微粒子9の表面に正または負の電荷を持たせたり、界面活性剤などの分散剤を添加したりすることで、磁場を切った際に磁性微粒子9を再分散させ易くし、攪拌を更に促進させることができる。これにより、検出感度を更に向上させることが可能である。
【0031】
次に、前述した測定システムにおいて測定対象物質を測定する測定方法を図4の(a)〜(e)を参照して説明する。
【0032】
まず、図1に示す測定システムを用意する。次いで、図4(a)に示すように、磁性微粒子9が分散、保持されている光導波路3上に、被測定検体溶液を導入し、磁性微粒子9を再分散させる。磁性微粒子9が光導波路3上以外の空間や別容器等に保持されている場合には、被測定検体溶液と磁性微粒子9との混合分散液を導入する。あるいは、まず磁性微粒子9の分散液を導入した後、被測定検体溶液を導入して混合するといったように、磁性微粒子9の分散液と検体溶液を別々に導入してもよい。導入の方法は、例えば滴下や流入が考えられる。
【0033】
次に図4(b)に示すように、磁性微粒子9が自重によって光導波路3の表面に沈降していく。この際、光導波路3の表面に固定化された第1物質(一次抗体)6と、磁性微粒子9に固定化された第2物質(二次抗体)13とが測定対象物質(抗原)14を介して抗原抗体反応により結合する。これにより、磁性微粒子9が光導波路3の表面に対して固定化される。
【0034】
次いで図4(c)に示すように、磁性微粒子9から見て沈降方向とは異なる方向(例えば上部)に磁場を印加することによって、抗原抗体反応によらす測定対象物質を介さずに光導波路3の表面に吸着した磁性微粒子9を沈降方向とは異なる方向(例えば上部)に移動させ、光導波路3の表面から除去する。
【0035】
次いで、図4(d)に示すように、標識体15と反応して発色を生じさせる試薬16を、センシングエリアに導入する。導入の方法は、例えば滴下や流入が考えられる。このとき、磁性微粒子9が自然沈降するのを防ぐために、磁性微粒子9から見て沈降方向とは異なる方向(例えば上部)に磁場を印加したまま、試薬16を導入するのが望ましい。例えば、標識体15が色素であるTMBZである場合には、試薬16はTMBZと反応して発色させることのできるペルオキシダーゼと過酸化水素の混合溶液を用いることができる。あるいは、標識体15が発色反応を触媒する酵素である場合には、試薬16は色素を含む。
【0036】
その後、図4(e)に示すように、受光素子8における検出信号強度の差分を計測することで、被測定検体溶液中の抗原濃度を測定できる。具体的には、図1において、光源7からレーザ光を入射側グレーティング2aから平面光導波路3に入射させ、その光導波路3を伝播させて表面(センシングエリアでの露出表面)付近にエバネッセント光を発生させる。この状態で被測定検体溶液と磁性微粒子9との混合分散液をセンシングエリア上に導入すると、その直後(図4(a))から磁性微粒子9が沈降して光導波路3の表面近傍、すなわちエバネッセント光領域に達する(図4(b))。磁性微粒子9がエバネッセント光の吸収や散乱に関与するため、反射光の強度が減衰する。その結果、出射側グレーティング2bから出射されるレーザ光を受光素子8で受光すると、出射されるレーザ光強度は、固定化された磁性微粒子9の影響によって時間の経過に伴って低下する。その後、上部磁場印加機構10によって、光導波路3に吸着していない磁性微粒子9を引き剥がし、エバネッセント光領域外に達する(図4(c))と、受光強度が所定の値まで回復する。この状態において、試薬16をセンシングエリア上に導入すると、磁性微粒子9に固定化された標識体15と試薬16が反応し、発色が生じる(図4(d))。この発色により光が吸収されるため、反射光の強度がさらに減衰する。この時の受光強度を図4(a)の状態、すなわち混合分散液導入直後における受光強度と比較し、例えば低下率として数値化することができる。
【0037】
受光素子8で受光したレーザ光強度の低下率は、光導波路3の表面に対して主に抗原抗体反応等によって結合した微粒子9の量、及び、標識体15と試薬16による発色量に依存する。つまり、抗原抗体反応に関与する被測定検体溶液中の抗原濃度に比例する。
【0038】
したがって、抗原濃度が既知の被測定検体溶液において時間の経過に伴うレーザ光強度の変動曲線を求め、この曲線の上部磁場印加後の所定の時間でのレーザ光強度の低下率を求め、抗原濃度とレーザ光強度の低下率との関係を示す検量線を予め作成する。次に、抗原濃度が未知の被測定検体溶液において前記方法で測定した時間とレーザ光強度の変動曲線から所定の時間でのレーザ光強度の低下率を求め、このレーザ光強度の低下率を前記検量線と照合させることにより、被測定検体溶液中の抗原濃度を測定できる。
【0039】
次に、本実施形態の具体例を説明する。以下の具体的数値や材料は一例であり、これらの数値や材料に限定されるものではない。
【0040】
まず、屈折率1.52の無アルカリガラスの基板1に、屈折率が2.2〜2.4である酸化チタン膜をスパッタリングにより50nmの厚さに成膜し、リソグラフィーとドライエッチングによりグレーティング2aおよび2bを形成する。グレーティング2a及び2bが形成された基板1に、膜厚約10μmの紫外線硬化性アクリル樹脂膜をスピンコートと紫外線照射により形成し、光導波路層3とする。硬化後の屈折率は1.58である。
【0041】
光導波路3の表面に、グレーティング上に相当する領域を含み、センシングエリアである抗体固定化領域を囲むように、低屈折率樹脂膜である保護膜4をスクリーン印刷で形成する。保護膜4の乾燥後の屈折率は1.34である。検体溶液等を保持する為の液溜を形成する為、樹脂製の枠5を両面テープで固定化する。グレーティングの間の保護膜を形成しない領域の表面に、測定対象物質に対する一次抗体6を共有結合法によって固定化する。
【0042】
本実施形態では測定対象物質としてラットインスリンを用い、光導波路3の表面に固定化する一次抗体として抗ラットインスリン抗体を用いる。また、平均粒径1.1μmの磁性微粒子9に、二次抗体として抗ラットインスリン抗体と標識体15として発色色素であるTMBZを共有結合法で固定化した分散液を別途調製する。
【0043】
次いで、入射側のグレーティング2aから、発光ダイオード7による中心波長635nmの光を入射し、出射側のグレーティング2bから出射された光の強度をフォトダイオード8で測定しつつ、検体溶液と、磁性微粒子9の分散液とを混合後、センシングエリア(枠5の内部)に導入する。その後、前述した測定手順(a)〜(e)に従って測定を実施する。
【0044】
なお、本実施形態では、フェライト磁石を光導波路型センサチップの上部に配置し、磁石と光導波路型センサチップとの間にスペーサを介してその厚さを変えることによって磁力を調整することができる。
【0045】
第1の実施形態によれば、磁性微粒子による光の吸収および散乱に加え、標識体の発色で吸光が生じるので、従来の微粒子のみによる測定方法、あるいは発色のみによる測定方法よりも対象物質を検出する感度を向上させることができる。さらに、色素反応の前に第2物質(二次抗体)と複数の標識体が固定された微粒子を導入することにより、一対の抗原抗体反応に対して複数の発色を生じさせることができる。これにより、一対の抗原抗体反応によって生じる発色量が大きくなるので、極低濃度の測定対象物質であっても発色しやすく、高感度で定量することが可能になる。
【0046】
また、本実施形態によれば、微粒子に磁性を持たせた磁性微粒子を用い、磁性微粒子に対して沈降方向とは異なる方向に磁場を印加することで、抗原抗体反応によらずに光導波路に吸着したノイズとなりうる磁性微粒子を、光導波路から引き剥がすことができる。これにより、抗原抗体反応により抗原を介して光導波路表面に結合した磁性微粒子のみに起因する吸光度を測定することができ、測定誤差を低減することができる。
【0047】
また、磁場によりノイズとなりうる磁性微粒子を除去することが可能なので、このような磁性微粒子を洗浄により除去する作業が不要となる。
【0048】
特に、本実施形態によれば、光導波路型センサチップを用い、光によって測定するので、光導波路の表面から測定に影響を与えない範囲にまで磁性微粒子を引き離す距離が短くてすむ。これにより、上方向の磁場により光導波路の表面から磁性微粒子を引き離すために要する時間が短くてすむ。あるいは、より弱い磁場により、光導波路の表面から測定に影響を与えない範囲にまで磁性微粒子を引き離すことが可能である。
【0049】
また、本実施形態によれば、磁場の強度を調整することが可能なので、測定に寄与すべき磁性微粒子を光導波路の表面から引き剥がすことなく、測定のノイズとなりうる磁性微粒子を光導波路の表面から測定に影響を与えない距離にまで引き剥がすことができる。これにより、S/N比を改善することが可能である。
【0050】
また、磁性微粒子の材料として、磁場を切ると速やかに磁化を失う超常磁性の材料を用いることで、磁場を切った際に微粒子を再分散させ、検体溶液中に測定対象物質が存在しない場合においても、測定誤差を低減することができる。
【0051】
さらに、磁性微粒子の表面に正または負の電荷を持たせたり、界面活性剤などの分散剤を添加したりすることにより、磁場を切った際に微粒子を再分散させ易くし、測定誤差を低減することも可能である。
【0052】
さらに、本実施形態においては、自然沈降した磁性微粒子を、沈降方向とは異なる方向に磁場を印加することにより引き戻すことができる。磁性微粒子の自然沈降と上部磁場印加部による上方向への引き戻しを繰り返すことで、被測定検体溶液と磁性微粒子が攪拌されるため、被測定検体溶液に含まれる抗原(測定対象物質)と磁性微粒子との抗原抗体反応が促進され、より短時間で高い検出感度を得ることができる。特に、測定対象物質が低濃度である場合に、検出感度を高めることが可能である。
【0053】
このときさらに、磁性微粒子の表面に正または負の電荷を持たせたり、界面活性剤などの分散剤を添加したりすることにより、磁場を切った際に微粒子を再分散させ易くし、攪拌を促進し、検出感度を向上させることが可能である。
【0054】
また、本実施形態によれば、光導波路型センサチップを用い、光によって測定対象物質を検出するので、0.05〜200μm、特に0.2〜20μmの粒径の磁性微粒子を用いることによって光の散乱効率を高め、測定対象物質の検出感度を向上することができる。
【0055】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、磁性微粒子から見て光導波路の方向とは反対の方向に磁場を印加する場合を説明したが、第2の実施形態では、磁性微粒子から見て光導波路の方向及びその反対の方向の双方に磁場を印加する場合を説明する。
【0056】
図5は本実施形態に係る光導波路型測定システムの構成を示す図である。本実施形態に係る光導波路型測定システムは、図1に示す第1の実施形態の光導波路型測定システムに、第2の磁場印加部11を更に備えている。それ以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0057】
第2の磁場印加部11は、光導波路型センサチップ100に対して、磁性微粒子から見て光導波路3の方向への磁場を印加する。これにより、光導波路3の方向へ磁性微粒子9を移動させることができる。
【0058】
第2の磁場印加部11は、磁性微粒子9から見て光導波路3が存在する方向に配置される。本実施形態においては、第2の磁場印加部11は、図5における下方向に設置される。
【0059】
第2の磁場印加部11は、第1の磁場印加部10と同様に、磁石あるいは電磁石である。磁場強度を動的に調整するため、電磁石を用いて電流で調整する方法が望ましいが、フェライト磁石などを用いて、磁石そのものの強さや光導波路センサチップからの距離によって磁場強度を調整してもよい。例えば、フェライト磁石を光導波路センサチップ下部に配置し、磁石と光導波路センサチップとの間にスペーサを介してその厚さを変えることによって磁場強度を調整することができる。電磁石を用いる場合には、コイルを磁性微粒子から見て光導波路3の方向に配置し、そのコイルに電流を印加すればよく、電流値を変えることによって磁場強度を調整することができる。
【0060】
ここで、本実施形態の光導波路型測定システムは、制御部(図示せず)をさらに備えていてもよい。制御部は、第1の磁場印加部10及び第2の磁場印加部11、あるいはいずれか片方に印加する磁場の強度を調整する。第1の磁場印加部10及び第2の磁場印加部11に対して磁場強度を共通に調整してもよいし、それぞれ独立で調整してもよい。また、磁場強度を随時制御することで、動的に適切な磁場強度に調整してもよい。
【0061】
また、制御部は、第1の磁場印加部10と第2の磁場印加部11のそれぞれにおいて磁場を生成するタイミングを制御しても良い。これにより、第1の磁場印加部10と第2の磁場印加部11が所定の時刻あるいは所定の磁場を生成し続ける時間に従って、交互に磁場を生成することができる。
【0062】
次に、前述した光導波路型測定システムにおいて測定対象物質を測定する測定方法を図6の(a)〜(e)を参照して説明する。図6の(a)、(c)、(d)、(e)は、図3に示す第1の実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0063】
図6の(b)は図3に示す第1の実施形態と異なるので、以下に説明する。図6の(b)において、下部磁場印加機構11により磁性微粒子9から見て沈降方向(光導波路3の方向、例えば、図5における下部方向)に磁場を印加する。これにより、磁性微粒子9が光導波路3に引き寄せられる。この際、光導波路3の表面に固定化された第1物質(一次抗体)6と、磁性微粒子9に固定化された第2物質(二次抗体)13とが測定対象物質(抗原)を介して抗原抗体反応により結合する。これにより、磁性微粒子9が光導波路3の表面に対して固定化される。
【0064】
本実施形態においては、図6(d)において試薬16を導入した後に、さらに図6(b)に示す下方向への磁場印加と、図6(c)に示す上方向への磁場印加を交互に繰り返しても良い。
【0065】
図6(b)に示す下方向への磁場印加により磁性微粒子9を光導波路3に引き寄せた際には、検体溶液中には測定対象物質が第1物質(一次抗体)6及び第2物質(二次抗体)13のいずれとも結合しない状態、あるいは磁性微粒子9に固定化された第2物質(二次抗体)13と結合しているが光導波路3の表面に固定化された第1物質(一次抗体)6とは結合していない状態で残存している。また、光導波路3の表面には非特異的に吸着した磁性微粒子が存在する。
【0066】
そこで、図6(c)において、抗原抗体反応等によって結合した磁性微粒子9が剥がれない強度の磁場を印加し、抗原抗体反応等によって結合していない磁性微粒子9を光導波路3とは異なる方向に移動させる。
【0067】
その後、図6(d)において、試薬16をセンシングエリア上に導入すると、磁性微粒子9に固定化された標識体15と試薬16が反応し、発色が生じる。
【0068】
そして再び、図6(b)に示すように、光導波路3の方向に磁場を印加して抗原抗体反応等によって結合していない磁性微粒子9を引き寄せると、測定対象物質や、磁性微粒子9に固定化された第2物質(二次抗体)13に結合した測定対象物質が光導波路3の表面に固定化された第1物質(一次抗体)6に新たに結合する。
【0069】
これを繰返すことで、抗原抗体反応に寄与していない磁性微粒子の数を減らし、抗原抗体反応により光導波路3の表面に結合する磁性微粒子の数を増大させることができる。また、磁性微粒子9が上下動することで試薬16が攪拌され、磁性微粒子9に固定された標識体15と試薬16との発色反応が促進される。その結果、S/N比を向上させることができる。
【0070】
本実施形態によれば、第2の磁場印加部11により、磁性微粒子9に対して磁場を印加することで、磁性微粒子9を光導波路3に引き寄せることができる。これにより、磁性微粒子9を光導波路表面に対してより結合させ易くなるので、測定対象物質の検出感度を向上させることができる。
【0071】
特に、磁性微粒子9と検体溶液とをセンシングエリアに導入後、速やかに光導波路3の方向に磁性微粒子9を引き寄せることによって、磁性微粒子9の自然沈降を待つ時間を省略し、短時間で測定することができる。また、磁性微粒子9同士の反応や凝集が進む前に磁性微粒子9と光導波路3との結合を促進することができる。これにより、磁性微粒子9と光導波路3との結合に対する測定対象物質の寄与率をより高めることができるので、より高い測定感度を得られる。
【0072】
さらに、第1の磁場印加部10及び第2の磁場印加部11の双方、あるいはいずれか片方により磁性微粒子9を移動させることで、被測定検体溶液と磁性微粒子9を攪拌することができる。これにより、被測定検体溶液に含まれる抗原(測定対象物質)と磁性微粒子9との抗原抗体反応が促進され、より短時間で高い検出感度を得ることができる。
【0073】
特に、試薬16の導入後に、第1の磁場印加部10による上方向への磁場印加と、第2の磁場印加部11による下方向の磁場印加を繰り返し磁性微粒子9を往復運動させることで、より攪拌することができる。これにより、磁性微粒子9に固定された標識体15と試薬16との発色反応が促進され発色量が増大するため、測定対象物質が低濃度であっても高精度に測定することが可能になる。
【0074】
さらに、本実施形態においては、磁場を用いて磁性微粒子9を攪拌するので、人手による攪拌操作やポンプなどによる攪拌機構が不要となり、操作が簡便で小型の測定システムを実現することができる。例えば、磁場印機構を自動化すれば、測定者は検体液及び試薬をシステムに導入するという2操作のみで測定できる。
【0075】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、一般にサンドイッチ法と呼ばれる抗体測定方法を用いた例を説明したが、第3の実施形態では、一般に競合法と呼ばれる抗体測定方法を用いる例を説明する。
【0077】
本実施形態に係る光導波路型測定システムは、図1に示す第1の実施形態の光導波路型測定システムあるいは図2に示す第2の実施形態の光導波路型測定システムとほぼ同様であり、磁性微粒子の形態のみが第1あるいは第2の実施形態と異なる。ここでは以下、図1に示す第1の実施形態とほぼ同様の光導波路型測定システムを用いるものとして説明する。
【0078】
図7は、第3の実施形態に係る磁性微粒子の形態を示す模式図である。磁性微粒子19は、微粒子12の表面に、第3物質(測定用抗原)20及び標識体15が固定化されたものである。微粒子12及び標識体15は、図2に示す第1の実施形態と同じである。第3物質(測定用抗原)20は、光導波路に固定された第1物質(一次抗体)と特異的に反応し結合するものである。例えば、被測定検体の測定対象物質である抗原と同じものを用いることができる。
【0079】
図8は本実施形態に係る被測定検体中の測定対象物質を測定する工程を示す図である。まず、図1に示す測定システムに図7に示す磁性微粒子19を用いたものを用意する。
【0080】
次いで、図8(a)に示すように、光導波路3上に、被測定検体溶液を導入する。しばらくすると、図8(b)に示すように、被測定検体溶液に含まれる被測定物質(抗原)14と光導波路に固定されている第1物質(一次抗体)が結合する。
【0081】
次に、図8(c)に示すように、磁性微粒子19が含まれる溶液を、光導波路3上に導入する。すると、図8(d)に示すように、磁性微粒子19が自重によって光導波路3の表面に沈降していく。この際、光導波路3の表面に固定化された第1物質(一次抗体)6のうち図8(b)によって結合が生じていない第1物質(一次抗体)6と磁性微粒子19とが、磁性微粒子19に固定された第3物質(測定用抗原)20を介して抗原抗体反応により結合する。これにより、磁性微粒子19が光導波路3の表面に対して固定化される。
【0082】
次いで図8(e)に示すように、磁性微粒子19から見て沈降方向とは異なる方向(例えば上部)に磁場を印加することによって、光導波路3の表面に結合されていない磁性微粒子19を沈降方向とは異なる方向(例えば上部)に移動させ、光導波路3の表面から除去する。
【0083】
次いで、図8(f)に示すように、標識体15と反応して発色を生じさせる試薬16を、センシングエリアに導入する。導入の方法は、例えば滴下や流入が考えられる。このとき、磁性微粒子9が自然沈降するのを防ぐために、磁性微粒子9から見て沈降方向とは異なる方向(例えば上部)に磁場を印加したまま、試薬16を導入するのが望ましい。例えば、標識体15が色素であるTMBZである場合には、試薬16はTMBZと反応して発色させることのできるペルオキシダーゼと過酸化水素の混合溶液を用いることができる。あるいは、標識体15が発色反応を触媒する酵素である場合には、試薬16は色素を含む。
【0084】
その後、図4(g)に示すように、受光素子8における検出信号強度の差分を計測する。本実施形態は、抗原抗体反応により測定対象物質(抗原)14が吸着しなかった一次抗体に、磁性微粒子9が結合され発色反応が生じるので、検出信号強度の差分を計測することで、抗原抗体反応が生じなかった一次抗体の量が測定される。つまり、本実施形態では、第1あるいは第2の実施形態とは反対に、被測定対象物質(抗原)14が少ない場合には、発色量が多く信号強度の差分が大きくなり、被測定対象物質(抗原)14が多い場合には、発色量が少なく信号強度の差分が小さくなる。これにより、被測定検体溶液中の抗原濃度を測定することが可能である。
【0085】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、図5に示す第2の実施形態と同様の光導波路型測定システムに図7に示す磁性微粒子19を用いた場合には、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0087】
1:基板、2a,2b:グレーティング、3:光導波路、4:保護膜、5:枠、6:第1物質(一次抗体)、7:光源、8:受光素子、9:磁性微粒子、10:上部磁場印加部、11:下部磁場印加部、12:微粒子、13:第2物質(二次抗体)、14:測定対象物質(抗原)、15:標識体、16:試薬、19:磁性微粒子、20:第3物質(測定用抗原)、100:光導波路型センサチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物質と特異的に結合する第1物質が表面に固定化された光導波路と、
前記測定対象物質と特異的に結合する第2物質及び発色反応を生ずる標識体が固定化された磁性を有する磁性微粒子と、
前記磁性微粒子を移動させるための磁場を生成する磁場印加部と
を備えることを特徴とする光導波路型測定システム。
【請求項2】
前記磁場印加部は第1の磁場印加部を含み、
前記第1の磁場印加部は、前記磁性微粒子を前記光導波路から離れる方向に移動させるための磁場を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路型測定システム。
【請求項3】
前記磁場印加部は第2の磁場印加部を含み、
前記第2の磁場印加部は、前記磁性微粒子を前記光導波路に近づける方向に移動させるための磁場を生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光導波路型測定システム。
【請求項4】
前記第1の磁場印加部と前記第2の磁場印加部は、交互に磁場を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の光導波路型測定システム。
【請求項5】
前記磁性微粒子は、超常磁性を有する材料により形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の光導波路型測定システム。
【請求項6】
前記磁性微粒子は、粒径が0.2μm以上かつ20μm以下である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の光導波路型測定システム。
【請求項7】
1つの前記微粒子に対して複数個の前記標識体が固定化されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の光導波路型測定システム。
【請求項8】
測定対象物質と特異的に結合する第1物質が表面に固定化された光導波路と、
前記第1物質と特異的に結合する第3物質及び発色反応を生ずる標識体が固定化され、磁性を有する磁性微粒子と、
前記磁性微粒子を移動させるための磁場を生成する磁場印加部と
を備えることを特徴とする光導波路型測定システム。
【請求項9】
前記第3物質は、前記測定対象物質である
ことを特徴とする請求項8に記載の光導波路型測定システム。
【請求項10】
測定対象物質と特異的に結合する第1物質が表面に固定化された光導波路と、
前記測定対象物質と特異的に結合する第2物質及び発色反応を生ずる標識体が固定化され、磁性を有する磁性微粒子とを備えることを特徴とする光導波路型センサチップ。
【請求項11】
測定対象物質を含む検体溶液と、前記測定対象物質と特異的に結合する第2物質及び発色反応を生ずる標識体が固定化され、磁性を有する磁性微粒子とを光導波路型センサチップの検出面に接する工程と、
前記光導波路型センサチップから出射される光の光強度を第1の光強度として測定する工程と、
前記光導波路型センサチップに磁場を印加する工程と、
前記標識体と反応して発色を生じさせる試薬を前記光導波路型センサチップの検出面に導入する工程と、
試薬導入後の前記光導波路型センサチップから出射される光の光強度を第2の光強度として測定する工程と、
前記第1の光強度と前記第2の光強度との差分に基づいて測定対象物質を定量する工程と
を備えることを特徴とする測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−61298(P2013−61298A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201221(P2011−201221)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】