説明

光導波路

【課題】小型化を図ると同時に、光出射部側のコア径を変換することで光出射側光ファイバの直径を小さくすることが可能な光導波路を提供する。
【解決手段】
本発明の光導波路は、光入射部側から入射される3以上の光を、合波し、光出射部側へ伝搬する合波コアを備える光導波路であって、3以上の前記光入射部の内、少なくとも1つの光入射部が他の2つ以上の同一高さにある光入射部とは異なる高さにあり、かつ前記合波コアが、光入射部側から光出射部側に向けて横幅及び厚さが狭くなるテーパ形状部を有する光導波路である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光導波路に関し、小型化が可能であると共に、光出射部側のスポット径を小さくすることで、小さいスポット径の合波光を得られる光導波路に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の光源から出射される異なる波長の光を合波する波長多重光合波装置として、様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1では、複数の光源から出射された光を第1ファイバ合波器において合波して第1の合波光を形成する複数のファイバ合波光源ユニットからマルチモード光ファイバによって第1の合波光を導波させ、第2ファイバ合波器においてさらに合波して第2の合波光を形成する合波光源についての発明が開示されている。特に複数本の光ファイバを束ね、すべての光ファイバに均一に力が加わるようにすることで、合成波の出力強度分布の均一化を図っている。
【0003】
また、特許文献2では、面発光素子の近接した2以上の発光点から入射した2以上の異なる波長の光を合波して伝搬した後、合波した光を波長選択フィルターにより分波して波長多重伝搬することができる複合化された波長多重光伝搬路構造についての発明が開示され、短距離光伝搬で用いられる光伝搬路において更なる低コスト化、小型化、大容量化が図れる光伝搬技術を提供することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−41342号公報
【特許文献2】特開2009−199038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の合波光源では、複数の光ファイバを1つ1つ接合する必要があるため合波光源を作製するには多大な時間が必要であり、また、光ファイバの接合状態によって合波光の輝度や均一性が変化するため小さいスポット径の合成波を得るのに向いていない。
また、特許文献2に記載の光伝搬路構造では入射する光の数が多くなると、光入射部の横幅が広がり、光伝搬路構造を小型化することが容易でない。
本発明は、上記問題の解決を鑑みたものであり、小型化が可能であると共に、光出射部側のスポット径を小さくすることで、小さいスポット径の合波光を得られる光導波路の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光導波路は、3以上の光を合波して伝播する合波コアを備える。前記合波コアは、前記3以上の光が前記合波コアに入射される側の前記合波コアの表面部分である光入射部側と、前記3以上の光を合波し伝播され前記合波コアから出射される側の前記合波コアの表面部分である光出射部側と、前記光入射部側に含まれる3以上の入射部であって前記3以上の光が入射される3以上の光入射部と、前記光入射部側から前記光出射部側に向けて前記合波コアの横幅及び厚さが狭くなるテーパ形状部と、を備える。前記3以上の光入射部のうち、少なくとも1つの光入射部が、互いに同一の高さに位置する他の2つ以上の光入射部とは異なる高さにある。
このような構造を採ることにより、光導波路構造であっても光入射部の幅を低減することができ、光入射部幅と厚さの最大値を小さくすることができ、光導波路構造を小型化することと、光出射部側のスポット径を小さくすることとの両立が図れることとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光導波路によれば、小型化が可能であると共に、光出射部側のスポット径を小さくすることで、小さいスポット径の合波光が得られる光導波路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る第1実施形態の光導波路の一例を示した平面図である。
【図2】図1に示した光導波路の(a)P1−Q1矢視における側面図、(b)P2−Q2矢視における断面図、(c)P3−Q3矢視における断面図である。
【図3】図1に示した光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図4】図3に続く光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図5】図4に続く光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図6】図5に続く光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図7】図6に続く光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る光導波路の一例を示した(A)平面図、及び(B)断面図である。
【図9】図8に示した光導波路のP−Q矢視における断面図である。
【図10】図9に示した光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図11】図10に続く光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図12】図11に続く光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図13】図12に続く光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る光導波路の一例を示した平面図である。
【図15】図14に示した光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図16】図15に続く光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図17】図16に続く光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【図18】図17に続く光導波路の作製工程を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1及び図2を参照して、本発明に係る第1実施形態の光導波路1aを説明する。なお、本実施形態における光導波路1aの構成には、光ファイバは含まない。また、光導波路1aは、3つの光を合波するものとして説明する。
図1に示すように、光導波路1aは、光入射部側21から入射された3つの光を合波し、光出射部側23から出射するよう伝播する合波コア11を備える。光導波路1aは、合波コア11を保護する下部クラッド層14及び上部クラッド層15を有することが好ましい。
光導波路1aは、光入射用光ファイバ(図示せず)の出射側端部から出射した光が光入射部側21に向かうように、光入射部側21に光入射用光ファイバが設置され、また、光出射部側23から出射した光が光出射用光ファイバ(図示せず)の入射側端部に向かうように、光出射部側23に光出射用光ファイバが設置されているので、光入射部側21への光の伝播と光出射部側23より出射された合波光の伝播とを効率よく行うことができる。
【0010】
〔下部クラッド層及び上部クラッド層〕
下部クラッド層14及び上部クラッド層15は光導波路1aには必ずしも必要とされているものではないが、光導波路1aに下部クラッド層14を設けることにより、下部クラッド層14は合波コア11、光入射用コア12及び光出射用コア13を保護することが可能となる。
合波コア11の下部にある下部クラッド層14と、合波コア11の側壁及び上部にある上部クラッド層15(第1上部クラッド層、第2上部クラッド層、第3上部クラッド層)とによりクラッド層が構成されるものとする。
下部クラッド層14及び上部クラッド層15を形成するクラッド層形成用樹脂材料としては、合波コア11、光入射用コア12及び光出射用コア13より低い屈折率を持ち、かつ、光又は熱により硬化する樹脂組成物であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物や感光性樹脂組成物を好適に使用することができる。下部クラッド層14及び上部クラッド層15を形成するクラッド層形成用樹脂に用いる樹脂組成物は、下部クラッド層14及び上部クラッド層15において、該樹脂組成物に含有する成分が同一であっても異なっていてもよく、該樹脂組成物の屈折率が同一であっても異なっていてもよい。
【0011】
〔合波コア〕
合波コア11は、光入射部側21から入射される3つの光を、合波し、光出射部側23へ伝搬する役割を有し、光入射部側21と、光出射部側23と、3つの光入射部22a、22b、22cと、テーパ形状部31とを備える。
【0012】
光入射部側21は、3つの光が合波コア11に入射される側の合波コア11の表面部分である。光出射部側23は、3つの光を合波し伝播され合波コア11から出射される側の合波コア11の表面部分である。
光入射部22a、22b、22cは、いずれも、光入射部側21に形成されている。光入射部22a、22b、22cは、3つの光がそれぞれ光入射部22a、22b、22cに入射する、合波コア11の光入射部側21の表面部分の一部である。また、光入射部側21及び光出射部側23における合波コア11の形状は、その作製が容易となるように略矩形であることが好ましい。
【0013】
合波コア11を形成する合波コア形成用樹脂材料としては、クラッド層よりも屈折率が高い材料であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物や感光性樹脂組成物を好適に使用することができる。
合波コア11の長さは特に限定されないが、合波コア11の長さが1500(μm)以上であれば、入射した光が合波コア11とクラッド層との境界面で全反射する頻度を十分に確保することができる。また、合波コア11の長さが40000(μm)以下であれば、合波コア11を医療用内視鏡等小型化が求められる用途に用いることができる。
【0014】
〔光入射部〕
3つの光入射部22a、22b、22cは、光入射部側21において、光入射用光ファイバ又は光入射用コアにより光が入射される部分である。3つの光入射部22a、22b、22cのうち、光入射部22bが、互いに同一の高さに位置する他の2つの光入射部22a、22cとは異なる高さにある(図2(a)参照)。
3つの光入射部22a、22b、22cの互いの位置関係は、少なくとも1つの光入射部が他の2つ以上の同一高さにある光入射部とは異なる高さに位置するという高さ条件を満たせば特に限定されないが、3つの光入射部22a、22b、22cは、光導波路1aが小型化になるように、また、3つの光が合波コア11の内部で均一に合波されるように、前記の高さ条件を満たす範囲で、互いの光入射部22a、22b、22cを可能な限り互いに近づけた位置にすることが好ましい。
【0015】
〔テーパ形状部〕
テーパ形状部31は、光入射部側21から光出射部側23に向けて、横幅B及び厚さTが狭くなるテーパ形状を有している。
テーパ形状部31は、合波コア11内のある一部分であってもよいし、合波コア11のすべての部分であってもよいが、入射した光が均一に合波するように、光入射部側21から光出射部側23に向かうにつれて一定の割合で横幅B及び厚さTが狭くなる形状であることが好ましい。
【0016】
〔光入射部側〕
光入射部側21は、光入射用光ファイバ又は光入射用コアから光を入射する側の合波コア11の表面部分を示し、光出射部側23より大きい面積の部分である。
光入射部側21の形状は、光入射部側21の作製が容易となるように、略矩形であることが好ましい。
【0017】
光入射部側21の横幅B1及び厚さT1の寸法は、光の伝播損失が抑えられるよう、3つの光入射部22a、22b、22cが光入射部側21の内側に入る寸法であれば特に限定されない。例えば、図1において、光入射部側21への光の入射に、同じコアの直径を有する3つの光入射用光ファイバを使用した場合、光入射部側21の横幅B1は、3つの光入射用光ファイバのうち、同一高さにある2つの光入射部が光入射部側の内側にすべて含まれる寸法であればよいので、使用する光入射用光ファイバのコアの直径より大きく設定される。
【0018】
同様に、光入射部側21の厚さT1は、3つの光入射用光ファイバのうち、異なる高さにある2つの光入射部が光入射部側の内側にすべて含まれる寸法であればよいので、使用する光入射用光ファイバのコアの直径より大きく設定される。こうすることによって、3つの光入射部22a、22b、22cのうち、少なくとも1つの光入射部22bが互いに同一の高さにある2つの光入射部22a、22cとは異なる高さに存在することが可能となる。
【0019】
また、光入射部側21への光の入射に3つの光入射用光ファイバを使用し、入射する光の数が3つの場合、3つの光入射用光ファイバのコア中心を結ぶ図形が正三角形となるように、かつ、この正三角形の一辺の長さが光入射用光ファイバのクラッドの直径となるように、使用する3つの光入射用光ファイバを束ねた状態が、光入射用光ファイバを最密に光入射部側21に接合できる最密状態である。
最密状態に束ねた3つの光入射用光ファイバのコアがすべて光入射部側21の内側に入り、かつ、光入射部側21の面積が最も小さくなるような光入射部側21の横幅B1及び厚さT1の寸法にすると、光導波路1aを小型化することができる。
【0020】
〔光出射部側〕
光出射部側23は、光出射用光ファイバ又は光出射用コアに光を伝播する側の合波コア11の表面部分を示し、光入射部側21よりも面積が小さい部分である。
光出射部側23の形状は、合波コア11の作製が容易なように、略矩形であることが好ましい。
光出射部側23の横幅B2及び厚さT2は、合波コア11の光伝播損失が抑えられるように、光出射部側23から出射される合波光を伝播する光出射用光ファイバのコア部分又は光出射用コアが光出射部側23の内部に入るような寸法であれば特に限定されない。
【0021】
このような理由から、合波光の伝播に光出射用光ファイバを使用した場合、光出射部側23の横幅B2及び厚さT2の寸法は、光出射用光ファイバのコア部分又は光出射用コアが光出射部側23の内部に入るように、この横幅B2及び厚さT2によって作られる四角形の対角線の長さを光出射用光ファイバのコアの直径以下にすることが好ましい。さらに、光出射部側23の横幅B2及び厚さT2の寸法は、光より強度の強い合波光が出射されるように、対角線の長さを光出射用光ファイバのコアの直径と等しくすることが好ましい。
【0022】
〔光入射用光ファイバ〕
使用する光入射用光ファイバは、光入射部側21又は光入射用コア12(後述)との接合部分において、光入射部側21又は光入射用コア12の対角線の長さ以下の直径のコアを有する光ファイバであれば特に限定されないが、同じコアの直径を持つ光ファイバであれば、クラッドの直径が小さい光ファイバの方が光入射部をより近づけることが可能となり、光導波路1aを小型化することができる点で好ましい。
【0023】
〔光出射用光ファイバ〕
使用する光出射用光ファイバは、光出射部側23又は光出射用コア13(後述)との接合部分において、光出射部側23又は光出射用コア13の対角線の長さ以上の直径であるコアを有する光ファイバであれば特に限定されないが、光導波路1aが小型化されるように、対角線の長さと等しい直径のコアを持つ光ファイバが好ましく、なおかつクラッドの直径が小さい光ファイバがさらに好ましい。
【0024】
〔製造方法〕
図3〜図7を参照して、光導波路1aの作製方法の概要を説明する。なお、本実施形態における光導波路1aの構成には、光ファイバは含まない。
図3に示すように、まず、ポリイミドフィルム16上に矩形状のクラッド層形成用樹脂フィルムから下部クラッド層14を形成し、下部クラッド層14の表面に、光出射部側より光入射部側の横幅及び厚さが大きいネガ型フォトマスクを用いて、第1合波コア111を形成する。
次に、図4に示すように、第1合波コア111の光入射部側及び光入射部側から光出射部側に向かって所定の範囲の第1合波コア111の側壁を覆うようなコの字型の第1上部クラッド層151を形成する。
次に、図5に示すように、第1合波コア111を覆うように、かつ、コの字型の第1上部クラッド層151の凹んだ部分を埋めるように、光入射部側が光出射部側よりも横幅が広い第2合波コア112のネガ型フォトマスクを用いて、下部クラッド層14の表面に第2合波コア112を形成する。
【0025】
次に、図6に示すように、第1上部クラッド層151及び第2合波コア112を覆うように、第2上部クラッド層152を形成する。
その後、図7に示すように、第2合波コア112の光入射部側21及び光出射部側23が露出するように、第1上部クラッド層151、第1合波コア111及び第2合波コア112を切断機を用いて切断し、光導波路1aを得る。このとき、切断された第1上部クラッド層151及び第2上部クラッド層152は上部クラッド層15とされる。また、切断された第1合波コア111及び第2合波コア112は光入射部側21及び光出射部側23を形成する。
【0026】
(第2実施形態)
図8及び図9を参照して、本発明に係る第2実施形態の光導波路1bを説明する。なお、本実施形態における光導波路1bの構成には、光ファイバは含まない。
光導波路1bは、光入射部側21へ光を入射させるために、光入射部側21と光入射用光ファイバとの間に、光入射部側21の3つの光入射部22a、22b、22cへ光を伝播するように、3つの光入射用コア12を有する。光入射用コア12は必ずしも必要とされているものではないが、光入射用コア12を設けることにより、光入射部側21の任意の位置に光を入射することが可能となる。
【0027】
〔光入射用コア〕
光入射部側21への光の入射に3つの光入射用コア12を使用した場合、光入射用光ファイバを使用した場合と同様の理由により、光入射部側21の横幅B1は、光入射用コア12における光入射用コア12と光入射部側21との接合部の横幅よりも大きければよい。また、光入射部側21の厚さT1は、光入射用コア12における光入射用コア12と光入射部側21との接合部の厚さよりも大きければよい。
【0028】
3つの光入射用コア12は、光入射用光ファイバ側及び光入射部側21での断面形状が略矩形であり、光入射用光ファイバ側から光入射部側21に向けて厚さ及び横幅が変化しない直線形状を有することが好ましい。また、光入射部側21と、3つの光入射用コア12の光入射部側21との接合部において、3つの接合部の中心位置を結ぶ図形が正三角形であることが好ましい。さらに、3つの光入射用コア12が光入射用コアを最密に光入射部に接合できる最密状態になるように、3つの接合部の中心位置を結ぶ正三角形の一辺の長さが光入射用コア12の対角線の長さと等しくすることが好ましい。
そのようにすることにより、3つの光入射用コア12がすべて光入射部側21の内側に入り、光入射部側21の面積が最も小さくなるので、光導波路1bを小型化することができる。
【0029】
光入射用コア12の光入射用光ファイバ側の断面形状は略矩形であることが、作製の容易さの観点から略矩形であることが好ましい。
光入射用コア12の数は、入射する光の数以上有することが好ましいが、光導波路1bが小型化するように、入射する光の数と等しい数の光入射用コア12を有していることがさらに好ましい。
光入射用コア12と、光入射用コア12の光入射用光ファイバとの接合部での横幅及び厚さは、それぞれの大きさが、使用する光入射用光ファイバのコアの直径以上であれば特に限定されないが、光導波路1bが小型化するように、使用する光入射用光ファイバのコアが内部にすべて入り、光入射用光ファイバとの接合部での断面積が最も小さくなる横幅及び厚さとすることが最も好ましい。
【0030】
光入射部側21と、光入射用コア12の光入射部側21とが接合する接合部における横幅、厚さ及び断面形状は、光入射部側21の内側に、接合される光入射用コア12がすべて含まれるような横幅、厚さ及び断面形状であれば特に限定はされないが、合波コア11の光の伝播損失が抑えられるように、光入射用光ファイバ側と等しい横幅及び厚さであることが好ましい。合波コア11の作製が容易となるように、光入射用コア12の断面形状が略矩形であることが好ましい。
【0031】
光入射用コア12の長さは特に限定されないが、50μm以上であれば、光入射部側21の任意の位置に光を入射することが可能であり、500μm以下であることが小型化の点で好ましい。
光入射用コア12を形成する光入射用コア形成用樹脂材料としては、クラッド層よりも屈折率が高い材料であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物や感光性樹脂組成物を好適に使用することができる。光入射用コア12を形成する光入射用コア形成用樹脂材料は、光導波路の作製が容易となるように、合波コア11に用いられる樹脂組成物と同じ樹脂組成物を用いることが好ましい。
【0032】
〔光入射用コアの位置関係〕
光入射用コア12と光入射用光ファイバとの接合部での位置関係は、任意の2つの光入射用コア12の中心間距離が、光入射用光ファイバの直径以上であれば特に限定されないが、光導波路1bが小型化するように、すべての光入射用コア12が互いに可能な限り近づいている状態であることが好ましい。
例えば、光導波路1bにおいて、3つの光入射用コア12の中心位置を結んだ図形が正三角形になり、その一辺の長さが光入射用光ファイバのクラッドの直径と等しい場合に、光入射用光ファイバが3つの光入射用コア12に最密に接合されている最密状態となる。この最密状態のとき、異なる高さにある2つの光入射用コア12の高さ方向の中心間距離が(√3/2)×(光入射用光ファイバのクラッドの直径)と規定されるため、任意の異なる高さにある光入射用コア12の高さ方向の中心間距離は(√3/2)×(光入射用光ファイバのクラッドの直径)以上であると規定される。
【0033】
この関係性は光入射用コアの数が4本以上の光導波路の場合にも当てはまるため、光入射用コアを使用した場合での任意の異なる高さにある光入射用コア12の高さ方向の中心間距離は(√3/2)×(光入射用光ファイバのクラッドの直径)以上であると規定される。
【0034】
〔製造方法〕
図10〜図13を参照して、光導波路1bの作製方法の概要を説明する。
図10に示すように、ポリイミドフィルム16上に下部クラッド層14を形成した後、直方体状の第1光入射用コア121a、121bのパターン及び第1合波コア111のパターンのネガ型フォトマスクを用いて、第1合波コア111のパターン及び第1光入射用コア121a、121bのパターンを形成する。
【0035】
次に、図11に示すように、第1上部クラッド層151のパターンのネガ型フォトマスクを用いて第1上部クラッド層151を形成する。
次に、第1上部クラッド層151の上に、2つの第2上部クラッド層152のパターンのネガ型フォトマスクを用いて、2つの第2上部クラッド層152を形成する。
次に、図12に示すように、2つの第2上部クラッド層152の間に、第2光入射用コア122のパターン及び第2合波コア112のパターンのネガ型フォトマスクを用いて、第2合波コア112及び第2光入射用コア122を形成する。
図13に示すように、第3上部クラッド層153を形成し、切断機で第1光入射用コア121a、121b、第2光入射用コア122及び第2合波コア112を切断し、光導波路1bを得る。
【0036】
(第3実施形態)
図14を参照して、本発明に係る第3実施形態の光導波路1cを説明する。なお、本実施形態における光導波路1cの構成には、光ファイバは含まない。
光導波路1cは、光出射部側23から光を出射させるために、光出射部側23と光出射用光ファイバとの間に、光出射部側23の光を伝播する光出射用コア13を有する。光出射用コア13は必ずしも必要とされているものではないが、光出射用コア13を設けることにより、光出射部側23の任意の位置に光を入射することが可能となる。
合波光の伝播に光出射用コア13を使用した場合、光出射部側23の横幅及び厚さは、光出射部側23との接合部での光出射用コア13の横幅及び厚さ以下であれば特に限定されないが、光出射用光ファイバを使用した場合と同様に、光出射用コア13の横幅及び厚さとそれぞれ等しい横幅及び厚さの組み合わせが好ましい。
【0037】
〔光出射用コア〕
光出射用コア13は光導波路1cには必ずしも必要とされているものではないが、光出射用コア13を設けることにより、切削加工の加工位置ずれによる光出射部側23の拡大を防ぐことができる。
光出射用コア13の出射用光ファイバ側の断面形状は、光出射用コアの作製が容易になるように、略矩形であることが最も好ましく、また、光出射部側23から光出射用光ファイバ側に向けて厚さ及び幅が変化しない直線構造を有することが好ましい。
【0038】
光出射用コア13を形成する光出射用コア形成用樹脂材料としては、下部クラッド層14よりも屈折率が高い材料であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物や感光性樹脂組成物を好適に使用することができる。ただし、光導波路の作製が容易となるように、合波コア11及び光入射用コア12に用いられる樹脂組成物と同じ樹脂組成物を用いることが好ましい。
【0039】
光出射用光ファイバとの接合部においての光出射用コア13の横幅及び厚さは、光出射用光ファイバ側における光出射用コア13の対角線の長さが、使用する光出射用光ファイバのコアの直径以下になるような組み合わせであれば特に限定されないが、使用する光入射用光ファイバのコアの内部にすべて入り、面積が最も小さくなるような横幅及び厚さの組み合わせが小型化の点で最も好ましい。
【0040】
光出射用コア13の光出射部側23が接合する接合部における横幅、厚さ及び断面形状は、光の伝播損失が抑えられるよう光出射部側23が内部にすべて入るような横幅、厚さ及び断面形状であればとくに限定されないが、光導波路1cが小型化するように、横幅及び厚さが光出射部側23の横幅及び厚さとそれぞれ等しい横幅及び厚さである組み合わせが好ましく、光導波路の作製の容易さの観点から断面形状は、略矩形であることが好ましい。
光出射用コア13の長さは特に限定されないが、100μm以上であることが切削加工等での光出射部側の拡大を防ぐことが可能であり、500μm以下であることが小型化の点で好ましい。
【0041】
〔製造方法〕
図15〜図18を参照して、光導波路1cの作製方法を説明する。
なお、使用するコア層及びクラッド層形成用樹脂フィルムは上述において使用したものと同じ樹脂フィルムを用いた。
【0042】
図15に示すように、下部クラッド層14を形成した後、直方体状の第1光入射用コア121a、121bのパターン及び第1合波コア111のパターンのネガ型フォトマスクを用いて、第1合波コア111のパターン及び第1光入射用コア121a、121bのパターンを形成する。なお、第1合波コア111の長さは、光導波路1bの第1合波コア111よりも短い。
【0043】
次に、図16に示すように、第1上部クラッド層151のパターンのネガ型フォトマスクを用いて第1上部クラッド層151を形成する。次に、第1上部クラッド層151の上に、2つの第2上部クラッド層152のパターンのネガ型フォトマスクを用いて、2つの第2上部クラッド層152を形成する。
【0044】
次に、図17に示すように、光導波路1cは、光導波路1bの作製方法において、第2合波コア112のネガ型フォトマスクの光出射部側に幅テーパ形状を持たない直線パターンを追加する。第1合波コア111の長さが短いので、第2合波コア112の光出射部側に平坦な形状部分が形成される。この平坦な形状を有している部分を第2合波コア112の形成時に直線形状にすることにより、厚さ及び横幅に対してテーパ構造を持たない直線形状の光出射用コア13を得ることができる。
そして、図18に示すように、第3上部クラッド層153を形成し、切断機で第1光入射用コア121a、121b、第2光入射用コア122及び光出射用コア13を切断し、光導波路1cを得る。
【0045】
なお、以上の光導波路1a〜1cは、いずれも、3つの光を合波する合波コア11を備えるものとして、説明したが、これに限定されず、4以上の光を合波して伝播する合波コアを備えてもよい。したがって、光導波路の合波コアは、3以上の光が合波コアに入射される側の合波コアの表面部分である光入射部側と、3以上の光を合波し伝播され合波コアから出射される側の合波コアの表面部分である光出射部側と、光入射部側に含まれる3以上の入射部であって3以上の光が入射される3以上の光入射部と、光入射部側から光出射部側に向けて合波コアの横幅及び厚さが狭くなるテーパ形状部と、を備え、さらに、3以上の光入射部のうち、少なくとも1つの光入射部が、互いに同一の高さに位置する他の2つ以上の光入射部とは異なる高さにあればよい。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
【0047】
実施例1
[クラッド層形成用樹脂フィルムの作製]
[(A)ベースポリマー及び(メタ)アクリルポリマー(A−1)溶液の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部及び乳酸メチル23質量部を秤量し、窒素ガスをフラスコに導入しながら撹拌を行った。液温を65℃に上昇させ、メチルメタクリレート47質量部、ブチルアクリレート33質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16質量部、メタクリル酸14質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部及び乳酸メチル23質量部の混合物を3時間かけて滴下後、65℃で3時間撹拌し、さらに95℃で1時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマー(A−1)溶液(固形分45質量%)を得た。
【0048】
[重量平均分子量の測定]
(A−1)溶液の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)をGPC(商品名:SD−8022、DP−8020、RI−8020、東ソー株式会社製)を用いて測定した結果、3.9×104であった。なお、カラムは日立化成工業株式会社製「Gelpack GL−A150−S」及び「Gelpack GL−A160−S」を使用した。
【0049】
[酸価の測定]
(A−1)溶液の酸価を測定した結果、79mgKOH/gであった。なお、酸価は(A−1)溶液を中和するのに要した0.1mol/L水酸化カリウム水溶液量から算出した。このとき、指示薬として添加したフェノールフタレインが無色からピンク色に変色した点を中和点とした。
【0050】
[クラッド層形成用樹脂ワニスの調合]
(A)ベースポリマーとして、前記(A−1)溶液(固形分45質量%)84質量部(固形分38質量部)、(B)光硬化成分として、ポリエステル骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(商品名:U−200AX、新中村化学工業株式会社製)33質量部、及び、ポリプロピレングリコール骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(商品名:UA−4200、新中村化学工業株式会社製)15質量部、(C)熱硬化成分として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型三量体をメチルエチルケトンオキシムで保護した多官能ブロックイソシアネート溶液(固形分75質量%)(商品名:スミジュールBL3175、住化バイエルウレタン株式会社製)20質量部(固形分15質量部)、(D)光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名:イルガキュア2959、チバ・ジャパン株式会社製)1質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(商品名:イルガキュア819、チバ・ジャパン株式会社製)1質量部、及び、希釈用有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23質量部を撹拌しながら混合した。孔径2μmのポリフロンフィルタ(商品名:PF020、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて加圧濾過後、減圧脱泡し、クラッド層形成用樹脂ワニスを得た。
【0051】
上記で得られたクラッド層形成用樹脂組成物を、PETフィルム(商品名:コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製、厚さ:50μm)の非処理面上に、前記塗工機を用いて塗布し、100℃で20分間乾燥させた後、保護フィルムとして表面離型処理PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社製、厚さ:25μm)を貼付け、クラッド層形成用樹脂フィルムを得た。このときの樹脂フィルムの厚さは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であり、本実施例では使用したクラッドの厚さに付いては、実施例中に記載する。実施例中に記載するクラッド層形成用樹脂フィルムの膜厚は塗工後の膜厚とする。
【0052】
[コア層形成用樹脂フィルムの作製]
(A)ベースポリマーとして、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成株式会社製)26質量部、(B)光重合性化合物として、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(商品名:A−BPEF、新中村化学工業株式会社製)36質量部、及び、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:EA−1020、新中村化学工業株式会社製)36質量部、(C)光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、及び、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名:イルガキュア2959、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を用いたこと以外は上記製造例と同様の方法及び条件でコア層形成用樹脂ワニスBを調合した。その後、上記製造例と同様の方法及び条件で加圧濾過し、さらに、減圧脱泡した。
【0053】
上記で得られたコア層形成用樹脂ワニスBを、PETフィルム(商品名:コスモシャインA1517、東洋紡績株式会社製、厚さ:16μm)の非処理面上に、上記製造例と同様な方法で塗布乾燥させて、次いで、保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、コア層形成用樹脂フィルムを得た。このときの樹脂フィルムの厚さは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であり、本実施例では使用したコア層形成用樹脂フィルム厚さに付いては、実施例中に記載する。実施例中に記載するコア層形成用樹脂フィルムの膜厚は塗工後の膜厚とする。
【0054】
[光導波路の形成]
図3〜図7において、本発明における、第1実施形態の光導波路1aの作製方法を示す。
30μm厚のクラッド層形成用樹脂フィルムを20cm×17cmに切断し、保護フィルムを剥離した後、真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、株式会社名機製作所製)を用いて、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度120℃、加圧時間30秒の条件でポリイミドフィルム16(商品名:カプトンEN、東レ・デュポン株式会社製、厚さ:50μm)に加熱圧着した。その後、紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)でキャリアフィルム側から紫外線を4000mJ/cm2照射することによって下部クラッド層14を得た。
【0055】
次に、下部クラッド層のPETフィルムを剥離し、下部クラッド層上にロールラミネータ(商品名:HLM−1500、日化設備エンジニアリング株式会社製)を用いて、圧力0.5MPa、温度50度、ラミネート速度0.2m/minの条件で保護フィルムを剥離した50μm厚のコア層形成用樹脂フィルムをラミネートし、次いで、上記の真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、株式会社名機製作所製)を用いて500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着した。その後、第1合波コア111(光入射部側パターン幅310μm、光出射部側パターン幅180μm、パターン長さ5mm)のネガ型フォトマスクを介し、上記紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)でコア層形成用樹脂フィルム側から紫外線を800mJ/cm2照射し、次いで、80℃で5分間加熱を行った。その後、コア層形成用樹脂フィルムのPETフィルムを剥離し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N、N−ジメチルアセトアミド=8/2、質量比)を用いて、第1合波コア111をエッチングした。その後、洗浄液(イソプロパノール)を用いて洗浄し、100℃で10分間加熱乾燥させて、第1合波コア111が形成された(図3参照)。
【0056】
次に、保護フィルムから剥離した90μm厚のクラッド層形成用樹脂フィルムを第1合波コア111面側から真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、株式会社名機製作所製)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度120℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着してラミネートした。その後、第1合波コアパターンの光入射部側及び光入射部側から光出射部側に向かって1mmの部分までの第1合波コア111の側壁を覆うようなコの字型の第1上部クラッド層151(パターン幅100μm)のネガ型フォトマスクを介し紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)で紫外線を200mJ/cm2照射し、次いで、クラッド層形成用樹脂フィルムのPETフィルムを剥離した後、現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いて第1上部クラッドパターンをエッチングした。その後、水洗浄を行い、上記紫外線露光機(表品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)で紫外線を4000mJ/cm2全面に照射し、次いで、170℃で1時間加熱乾燥させて硬化させることにより第1上部クラッド層151を得た(図4参照)。
【0057】
次に、第1上部クラッド層151のパターン面にロールラミネータ(商品名:HLM−1500、日化設備エンジニアリング株式会社製)を用いて、圧力0.5MPa、温度50度、ラミネート速度0.2m/minの条件で保護フィルムを剥離した50μm厚のコア層形成用樹脂フィルムをラミネートした後、上記の真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、株式会社名機製作所製)を用いて500Pa以下に真空引きし、次いで、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着した。その後、第2合波コア112(光入射部側パターン幅310μm、光出射部側パターン幅50μm、パターン長さ10mm)のネガ型フォトマスクを介し、上記紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)でコア層形成用樹脂フィルム側から紫外線を800mJ/cm2照射し、次いで、80℃で5分間加熱を行った。その後、コア層形成用樹脂フィルムのPETフィルムを剥離し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N、N−ジメチルアセトアミド=8/2、質量比)を用いて、第2合波コア112をエッチングした。その後、洗浄液(イソプロパノール)を用いて洗浄し、100℃で10分間加熱乾燥させて、第2合波コア112が形成された(図5参照)。
【0058】
次に、保護フィルムから剥離した112μm厚のクラッド層形成用樹脂フィルムを第2合波コア112面側から真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、株式会社名機製作所製)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度120℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着してラミネートした。その後、紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)を用いてクラッド層形成用樹脂フィルム側から紫外線を4000mJ/cm2全面に照射した。次に、クラッド層形成用樹脂フィルムのPETフィルムを剥離し、170℃で1時間加熱乾燥させて硬化させることで第2上部クラッド層152を形成することにより、本発明の第1実施形態に係る光導波路を得た(図6参照)。
そして、ダイシングソー(商品名:DAD−341、株式会社ディスコ製)を用いて幅1.5mm、長さ10mmの光導波路1aを切り出した(図7参照)。
【0059】
実施例2
図10〜図13において、本発明における、第2実施形態の光導波路1bの作製方法を示す。なお、使用するコア層及びクラッド層形成用樹脂フィルムは実施例1と同じ樹脂フィルムを用いた。また、下部クラッド層14の形成と1回目のコア形成用樹脂フィルムのラミネートまでの工程は実施例1と同様である。
【0060】
コア層形成用樹脂フィルムをラミネートした後、第1光入射用コア121a、121bのパターン(パターン幅50μm、パターン長さ100μm、パターンピッチ125μm)、及び、第1合波コア111(光入射部側パターン幅310μm、光出射部側パターン幅180μm、パターン長さ5mm)のネガ型フォトマスクを介し、紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)でコア層形成用樹脂フィルム側から紫外線を800mJ/cm2照射し、次いで、80℃で5分間加熱を行った。
その後、コア層形成用樹脂フィルムのPETフィルムを剥離し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N、N−ジメチルアセトアミド=8/2、質量比)を用いて、パターンをエッチングした。その後、洗浄液(イソプロパノール)を用いて洗浄し、100℃で10分間加熱乾燥させて、第1合波コア111及び第1光入射用コア121a、121bのパターンが形成された(図10参照)。
【0061】
次に、保護フィルムを剥離した90μm厚のクラッド層形成用樹脂フィルムをコアパターン面側に上記真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、株式会社名機製作所製)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度120℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着した。その後、第1上部クラッド層151のパターン(パターン幅1500μm、パターン長さ100μm)のネガ型フォトマスクを介して上記紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)で紫外線を200mJ/cm2照射後、クラッド層形成用樹脂フィルムのPETフィルムを剥離した。
【0062】
次に、保護フィルムを剥離した50μm厚のクラッド層形成用樹脂フィルムを前の工程において第1上部クラッド層151のパターンの露光をしたクラッド層形成用樹脂フィルム上に上記真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、株式会社名機製作所製)を用い、第1上部クラッド層と同様の条件で加熱圧着した。その後、第2上部クラッド層152パターンのネガ型フォトマスク(パターン幅50μm、パターン長さ100μm、パターンピッチ150μm)を介して上記紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)で紫外線を200mJ/cm2照射後、クラッド層形成用樹脂フィルムのPETフィルムを剥離し、現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いてクラッド層形成用樹脂フィルムをエッチングした。その後、水洗浄し、上記紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)でクラッド層形成用樹脂フィルム側から紫外線を4000mJ/cm2全面に照射した後、170℃で1時間加熱乾燥させて硬化させて、第1上部クラッド層151及び第2上部クラッド層152を形成した(図11参照)。
【0063】
次に、ロールラミネータ(商品名:HLM−1500、日化設備エンジニアリング株式会社製)を用いて、圧力0.5MPa、温度50度、ラミネート速度0.2m/minの条件で保護フィルムを剥離した50μm厚のコア層形成樹脂フィルムをコアパターン及び第一、第二上部クラッドパターン面にラミネートし、次いで、上記の真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、株式会社名機製作所製)を用いて500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着した。その後、第2光入射用コア122パターン(パターン幅50μm、パターン長さ100μm)、及び、第2合波コア112パターン(光入射部側パターン幅310μm、光出射部側パターン幅50μm、パターン長さ9.9mm)のネガ型フォトマスクを介し、上記紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)でコア層形成樹脂フィルム側から紫外線を800mJ/cm2照射し、次いで、80℃で5分間加熱を行った。その後、コア層形成用樹脂フィルムのPETフィルムを剥離し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N、N−ジメチルアセトアミド=8/2、質量比)を用いて、パターンをエッチングした。その後、洗浄液(イソプロパノール)を用いて洗浄し、100℃で10分間加熱乾燥させて、第2合波コア112パターン及び第2光入射用コア122パターンが形成された(図12参照)。
【0064】
次に、保護フィルムから剥離した120μm厚のクラッド層形成用樹脂フィルムをコアパターン面から上記真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、株式会社名機製作所製)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度120℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着してラミネートした。さらに、上記紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス株式会社製)でクラッド層形成用樹脂フィルム側から紫外線を4000mJ/cm2全面に照射後、クラッド層形成用樹脂フィルムのPETフィルムを剥離し、170℃で1時間加熱乾燥させ硬化させることで第3上部クラッド層153を形成し、本発明の第2実施形態に係る光導波路を得た。その後、ダイシングソー(商品名:DAD−341、株式会社ディスコ製)を用いて幅1.5mm、長さ10mmの光導波路1bを切り出した(図13参照)。
【0065】
実施例3
図15〜図18において、本発明における、第3実施形態の光導波路1cの作製方法を示す。なお、使用するコア層及びクラッド層形成用樹脂フィルムは実施例1及び2において使用したものと同じ樹脂フィルムを用いた。
本発明における、第3実施形態の光導波路1cは実施例2の光導波路の作製方法において、第1合波コア111の長さを5mmから4.5mmに変更し、第2合波コア112のネガ型フォトマスクの光出射部側に幅テーパ形状を持たない直線パターン(パターン長さ500μm)を追加し、第3上部クラッド層153を形成するために使用するクラッド層形成用樹脂フィルムの厚さを110μm厚とすることにより得ることができる(図15、図16参照)。
【0066】
第1合波コア111の長さを短くすることにより、2回目にコア層形成用樹脂フィルムのラミネートを行った後に、光出射部側に厚さテーパ形状を持たない平坦な形状の部分が形成される(図17、図18参照)。
この平坦な形状を有している部分を第2合波コア112の形成時に直線形状にすることにより、厚さ及び横幅に対してテーパ構造を持たない直線形状の光出射用コア13を得ることができるため、本発明においての第3実施形態に係る光導波路1cを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上詳細に説明したように、本発明は、光導波路に関し、特に、小型化が可能であると共に、光出射部側のスポット径を小さくすることで、小さいスポット径の合波光を得られる光導波路を得られる。このため、医療用内視鏡等として有用である。
【符号の説明】
【0068】
1.光導波路
11.合波コア
111.第1合波コア
112.第2合波コア
12.光入射用コア
121a、121b.第1光入射用コア
122.第2光入射用コア
13.光出射用コア
14.下部クラッド層
15.上部クラッド層
151.第1上部クラッド層
152.第2上部クラッド層
153.第3上部クラッド層
16.ポリイミドフィルム
21.光入射部側
22、22a、22b、22c.光入射部
23.光出射部側
31.テーパ形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3以上の光を合波して伝播する合波コアを備えた光導波路であって、
前記合波コアは、
前記3以上の光が前記合波コアに入射される側の前記合波コアの表面部分である光入射部側と、
前記3以上の光を合波し伝播され前記合波コアから出射される側の前記合波コアの表面部分である光出射部側と、
前記光入射部側に含まれる3以上の入射部であって前記3以上の光が入射される3以上の光入射部と、
前記光入射部側から前記光出射部側に向けて前記合波コアの横幅及び厚さが狭くなるテーパ形状部と、を備え、
前記3以上の光入射部のうち、少なくとも1つの光入射部が、互いに同一の高さに位置する他の2つ以上の光入射部とは異なる高さにある、光導波路。
【請求項2】
さらに、前記合波コアの側壁、上部及び下部に前記合波コアより低い屈折率を持つクラッド層を有する請求項1に記載の光導波路。
【請求項3】
前記光入射部側及び前記光出射部側の表面部分の形状が略矩形である請求項1又は2に記載の光導波路。
【請求項4】
前記光入射部側に光入射用光ファイバが接合される、請求項1〜3のいずれかに記載の光導波路。
【請求項5】
さらに、前記光入射部側と前記光入射用光ファイバとの間に光入射用コアを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の光導波路。
【請求項6】
前記光入射用コアの数が、入射する光の数以上である、請求項5に記載の光導波路。
【請求項7】
さらに、前記光入射用コアの側壁、上部及び下部に前記光入射用コアより低い屈折率を持つクラッド層を有する、請求項5又は6に記載の光導波路。
【請求項8】
前記光入射用コアの前記光入射用光ファイバ側の断面形状が略矩形である、請求項5〜7のいずれかに記載の光導波路。
【請求項9】
前記光入射用コアの横幅及び厚さが、いずれも、前記光入射用光ファイバのコアの直径以上である請求項5〜8のいずれかに記載の光導波路。
【請求項10】
前記光入射用コアのうち、任意の2つの前記光入射用コアの中心間距離が、前記光入射用光ファイバの直径以上である、請求項5〜9のいずれかに記載の光導波路。
【請求項11】
前記光出射部側に光出射用光ファイバが接合される、請求項1〜10のいずれかに記載の光導波路。
【請求項12】
前記光出射部側の対角線の長さが、前記光出射用光ファイバのコアの直径以下である、請求項11に記載の光導波路。
【請求項13】
さらに、前記合波コアの光出射部側と前記光出射用光ファイバとの間に光出射用コアを有する請求項1〜12のいずれかに記載の光導波路。
【請求項14】
さらに、前記光出射用コアの側壁、上部及び下部に、前記光出射用コアより低い屈折率を持つクラッド層を有する、請求項13に記載の光導波路。
【請求項15】
前記光出射用コアの前記光出射用光ファイバ側の断面形状が略矩形である、請求項13又は14に記載の光導波路。
【請求項16】
前記光出射用コアにおいて、光出射用光ファイバ側の対角線の長さが、前記光出射用光ファイバのコアの直径以下である、請求項13〜15のいずれかに記載の光導波路。
【請求項17】
前記光導波路がポリマ光導波路である、請求項1〜16に記載の光導波路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−29721(P2013−29721A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166613(P2011−166613)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】