光干渉断層像形成装置及びその制御方法
【課題】 光干渉断層診断装置において、キャリブレーション作業後にフラッシュ液の選定に誤りがあったことに気づいた場合であっても、既存データと新たに選択したフラッシュ液の屈折率とから、計算によって自動的に再キャリブレーションあるいは再画像構築を行うことで、作業時間を短くし患者へかかる負担を少なくする。
【解決手段】 フラッシュ液の選択を行い(S101)、その選択されたフラッシュ液の屈折率を用いたキャリブレーションを行う(S102)。この後、選択したフラッシュ液に誤りがあって、正しいフラッシュ液を再選択の指示があった場合(S103)、従前に選択されたフラッシュ液の屈折率に対する再選択されたフラッシュ液の屈折率に基づくオフセット値を算出し、当該オフセット値に従い参照光の光路長を自動調整する(S104)。
【解決手段】 フラッシュ液の選択を行い(S101)、その選択されたフラッシュ液の屈折率を用いたキャリブレーションを行う(S102)。この後、選択したフラッシュ液に誤りがあって、正しいフラッシュ液を再選択の指示があった場合(S103)、従前に選択されたフラッシュ液の屈折率に対する再選択されたフラッシュ液の屈折率に基づくオフセット値を算出し、当該オフセット値に従い参照光の光路長を自動調整する(S104)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光干渉断層像形成装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バルーンカテーテル、ステント等の高機能カテーテルによる血管内治療が行われている。この手術前の診断、或いは、手術後の経過確認のため、光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherence Tomography)等の画像診断装置が用いられるのが一般的になってきた。
【0003】
この画像診断装置は、先端に光学レンズと光学ミラーを取り付けた光ファイバを内蔵したカテーテルを有する。そして、そのカテーテルを患者の血管内に挿入し、光学ミラーを回転させながら、光学ミラーを介して血管壁に光を照射し、血管からの反射光を再度、その光学ミラーを介して受光することでラジアル走査を行い、得られた反射光を元に血管の断面画像を構成するものである。また、OCTの改良型として、波長掃引を利用した光干渉断層診断装置(SS−OCT:Swept-source Optical coherence Tomography)も開発されている。
【0004】
光干渉断層診断装置の基本原理は、装置内部の光源から出力される光を測定光と参照光に分割し、測定光を上記のカテーテルの内部の光ファイバの光学ミラーに向けて出射する。そして、生体組織によって反射された散乱光を同じ光ファイバを介して受光し、所定の距離を経て反射した参照光との干渉光を得、その強度からカテーテル近傍の生体組織(血管)の断層像を得るものである(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−267867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、血管内には赤血球等の血球成分が含まれる。当然その血球成分の表面でも光の反射が起きるので、目的とする血管の高い精度の断層画像を構成する妨げとなる。そこで、血球成分を除外するため、生理食塩水や造影剤等の液体を血管内に放出して血球成分が無い状態を一時的に作り出し、そのタイミングで光の出射と反射光の受光を行うのが一般的である。この上記液体を放出する操作は、一般にフラッシュ操作と呼ばれ、その際に放出する液体をフラッシュ液と呼ぶ。
【0007】
フラッシュ液には、その使用目的に応じて何種類かある。具体的には、先に説明した造影剤、生理食塩水、並びに、それらの混合比が異なる混合液である。
【0008】
ここで、問題となるのは、光の屈折率がフラッシュ液の種類によって異なる点である。周知の通り、媒体内を伝搬する光の速度はその媒体が持つ屈折率に依存する。従って、実際に使用するフラッシュ液と異なるフラッシュ液を設定してしまうと、得られる血管の断層像のスケールは、実際のスケールとは異なったものとなってしまう。
【0009】
一般に、使用するフラッシュ液が決まると、フラッシュ操作の前に、カテーテル内の光学ミラーを回転させて、カテーテルと血液との境界面の像を作成し、表示させる。そして、利用するフラッシュ液の屈折率をパラメータとし、参照光の光路長を調整しながら、その境界面の像(ほぼ円形になる)を、予め設定した基準となる円(ランドマーク)に一致させる操作(一般にはキャリブレーション操作と呼ばれる)を行う。この後、実際にフラッシュ操作を行い、カテーテル内で回転している光学ミラーを血管軸に沿って一定速度で移動させる。この回転している光学ミラーの移動は、回転している光ファイバの引き戻し操作でもあるので、一般に「プルバック操作」と呼ばれる。
【0010】
ここで、キャリブレーション操作を行った後、何らの理由で使用するフラッシュ液の種類を変更しなければならない場合や、キャリブレーション操作を行う際に設定したフラッシュ液の屈折率を、誤って設定してしまった場合、当然、正しいフラッシュ液の屈折率に変更して再度キャリブレーション操作を行う必要がある。これは、ステントを血管に配設する術前における血管の診断において、スケールに誤りがあると診断に支障を来し、誤ったサイズのステントを決定してしまうことにもなりかねないからである。
【0011】
更に、フラッシュ操作及びプルバック操作を行った後に、設定したフラッシュ液の設定に誤りがあったことが分かった場合には、キャリブレーション操作以降の操作を再度行なわなければならず、施術時間や施術回数が増え、患者に負担がかかってしまう。
【0012】
本願発明は、上記の問題に鑑みなされたものである。光干渉断層診断装置において、キャリブレーション作業後やプルバック操作終了後にフラッシュ液の選定に誤りがあったことに気づいた場合に、既に行ったキャリブレーションの結果データや測定後の画像データと、新に設定したフラッシュ液の屈折率から、再度のキャリブレーションに係る作業や再度のプルバック操作を行うことなく、自動的にキャリブレーションや画像データの修正を行う。これにより、施術時間や施術回数が増えることを避け、患者へかかる負担を少なくしつつ、操作者に係る作業を簡便なものとする技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、例えば、本発明の光干渉断層像形成装置は以下の構成を備える。すなわち、
光源から出力された光を光カップラで測定光と参照光に分割し、被検体の生体管腔に挿入される光プローブ部の先端近傍位置に設けた回動可能な光学ミラーから前記測定光を生体組織に向けて出射して得られる反射光と、前記参照光とから得られる干渉光の光強度に基づいて被検体の生体組織の断面画像を生成する光干渉断層像形成装置であって、
前記生体組織の測定部位にフラッシュ液を放出するフラッシュ手段と、
前記フラッシュ液の屈折率を、フラッシュ液の種類に応じて設定された複数の屈折率の中から、操作者の指示に応じて選択する屈折率選択手段と、
前記測定光と前記参照光の光路長を一致させるために、前記選択された屈折率における前記参照光の光路長を調整するための調整値を操作者の操作に応じて設定する調整値設定手段と、
前記調整値に基づいて前記参照光の光路長を調整する光路長調整手段とからなるキャリブレーション手段と、
前記フラッシュ液を前記生体管腔内に放出させ、前記光学ミラーを回転させながら前記生体管腔の軸方向に移動させ、当該移動中の前記干渉光をサンプリングするプルバック手段と、
前記サンプリングされた干渉光のデータを元に前記断面画像を構築する画像構築部と、
前記キャリブレーション手段によってキャリブレーションが実行された後、前記屈折率選択手段によって前記屈折率が変更されたとき、前記変更された屈折率に基づいて前記参照光の光路長のオフセット値を算出する、オフセット値算出部とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光干渉断層診断装置において、キャリブレーション作業後あるいはプルバック操作終了後にフラッシュ液の選定に誤りがあったことに気づいた場合であっても、先に行ったキャリブレーションの結果や測定結果と、新たに選択したフラッシュ液の屈折率から、再度のキャリブレーションや再度の測定に係る作業を自動化させ、施術時間や施術回数が増えることを避け、患者へかかる負担を少なくしつつ、操作者に係る操作も簡便なものとすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態にかかる画像診断装置の外観構成を示す図である。
【図2】画像診断装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】信号処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】血管内における光プローブ部の回転走査と軸方向移動、及び、測定光の照射と反射光の取り込みを説明する図である。
【図5】血管内における光プローブの動作を説明するための模式図である。
【図6】装置の全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6の新規測定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】図6の保存画像表示処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】ラジアルスキャンにおける各ラインと断層画像の元データのラインデータとの関係を示す図である。
【図10】ラインデータが極座標で表わされている事を示す図である。
【図11】極座標の画素値から、線形補間によって補間画素値を算出するアルゴリズムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0017】
[装置構成及び動作の説明]
先ず、本実施形態における装置全体の構成並びに基本動作について説明する。
【0018】
図1は本発明を具備する波長掃引型光干渉断層像形成装置(SS−OCT装置)(以下、画像診断装置という)のシステム構成及び外観構成を示す図である。図1に示すように、画像診断装置100は、光プローブ部101と、スキャナ/プルバック部102と、操作制御装置103とを備える。
【0019】
光プローブ部101は、更に、フラッシュ液を診断対象の血管部位に送出するために、ガイディングカテーテル115で覆われている。ガイディングカテーテル115の後端115aには、図示の矢印で示す如く、光プローブ部101を挿入する挿入孔があり、先端115bには光プローブ部101の先端部を外部に露出させる口部が設けられている。更に、ガイディングカテーテル115には、後述するフラッシュ液を収容した薬剤導入部118を接続するためのポート116が設けられている。この薬剤導入部118を操作することで、内部に収容されたフラッシュ液が、先端部115bを介して放出されることになる。
【0020】
スキャナ/プルバック部102と操作制御装置103とは、信号線/光ファイバ104により接続されている。光プローブ部101を収容したガイディングカテーテル115は、直接血管等の生体管腔内に挿入され、光プローブ部101に設けられたイメージングコア201を用いて生体組織の状態を測定する。この光プローブ部101は、その内部を貫通する光ファイバ236と、その外側を覆うカテーテルシース403で構成され、少なくともその先端部の付近は透明部材で構成されている(詳細後述)。
【0021】
スキャナ/プルバック部102は、光プローブ部101の根元部101aを把持すると共に、内蔵されたモータの回転によって、光プローブ部101内のイメージングコア201のラジアル動作が規定される。また、このスキャナ/プルバック部102は、内蔵のもう1つのモータを駆動することで、光プローブ部101内で回転中の光ファイバ236を、一定速度で引き戻す操作(プルバック処理)も行う。このプルバック動作によって、血管の軸に沿って連続した血管断層像を得ることができる。また、このスキャナ/プルバック部102には、光プローブ部101内の光ファイバ236の回転速度の設定、回転の開始/停止、並びにプルバックを指示するための各種指示スイッチを配置した操作部102aが設けられている。
【0022】
操作制御装置103は、血管等の生体組織の光干渉断層像形成を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られたデータを処理し、断層画像として表示するための機能を備える。操作制御装置103において、111は本体制御部であり、測定により得られたデータを処理したり、処理結果を出力したりする。111−1はプリンタであり、本体制御部111における処理結果を印刷する。また、図示しないがデータを記憶するためのハードディスクドライブやDVDレコーダを有する。112は操作パネルであり、ユーザは該操作パネル112を介して、フラッシュ液の屈折率を含む各種設定値及び指示の入力を行う。113は表示装置としてのLCDモニタであり、設定画面や本体制御部111における処理結果である断層画像等を表示する。
【0023】
図2は、図1に示す画像診断装置100の機能構成図である。図示において、208は波長掃引光源であり、Swept Laserが用いられる。波長掃引光源208は、SOA216(semiconductor optical amplifier)とリング状に結合された光ファイバ217を有する光源部208aとポリゴンスキャニングフィルタ208bよりなる、Extended-cavity Laserの一種である。SOA216から出力された光が、光ファイバ217を進み、ポリゴンスキャニングフィルタ208bに入り、ここで波長選択された光が、SOA216で増幅され、最終的にカップラ214から出力される。ポリゴンスキャニングフィルタ208bは、光を分光する回折格子212とポリゴンミラー209との組み合わせで波長を選択する。回折格子212により分光された光を2枚のレンズ(210、211)によりポリゴンミラー209の表面に集光させる。これによりポリゴンミラー209と直交する波長の光のみ同一の光路を戻り、ポリゴンスキャニングフィルタ208bから出力されるため、ポリゴンミラー209を回転させることで、波長の時間掃引を行う。ポリゴンミラー209は、例えば、72面体のミラーが使用され、回転数が50000rpm程度である。ポリゴンミラー209と回折格子212とを組み合わせたユニークな波長掃引方式により、高速、高出力の波長掃引が可能である。
【0024】
カップラ214から出力された波長掃引光源208からの光は、第1のシングルモードファイバ230の一端に入射される。第1のシングルモードファイバ230は、第2のシングルモードファイバ231と光学的に結合されている光カップラ226に導かれ、ここで、2つに分岐されて伝送される。
【0025】
第1のシングルモードファイバ230の光カップラ部226より先端側には、スキャナ/プルバック部102が設けられている。スキャナ/プルバック部102の回転駆動装置204内には、非回転部(固定部)と回転部(回転駆動部)との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント(光カップリング部)203が設けられている。更に、光ロータリジョイント203内の第4のシングルモードファイバ235の先端側は、光プローブ部101の第5のシングルモードファイバ236と、アダプタ202を介して着脱自在に接続されている。これにより光の送受信を繰り返すイメージングコア201内に挿通され回転駆動可能な第5のシングルモードファイバ236に波長掃引光源208からの光が伝送される。
【0026】
第5のシングルモードファイバ236に伝送された光は、イメージングコア201の先端側から血管等の生体組織に対してラジアル動作しながら照射される。そして、生体組織の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部はイメージングコア201により取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ230側に戻り、光カップラ部226によりその一部が第2のシングルモードファイバ237側に移る。光カップラ部226において反射光は後述の参照光と混合され、干渉光として、光検出器(実施形態ではフォトダイオード、以下、PDという)219にて受光される。
【0027】
光ロータリジョイント203の回転部側は回転駆動装置204のラジアル走査モータ205により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ205の回転角度は、エンコーダ部206により検出される。更に、スキャナ/プルバック部102は、直線駆動装置207を備え、信号処理部223からの指示に基づいて、イメージングコア201の挿入方向(軸方向)の動作を規定している。軸方向移動は、信号処理部223からの制御信号に基づいて、直線駆動装置207内の直線駆動モータが動作することにより実現される。
【0028】
また、第2のシングルモードファイバ231の光カップラ部226より先端側には、参照光の光路長を微調整する光路長の可変機構225が設けてある。この光路長の可変機構225は光プローブ部101を交換して使用した場合の個々の光プローブ部101の長さのばらつきを吸収できるように、その長さのバラツキに相当する光路長を変化させる光路長変化手段を備えている。第2のシングルモードファイバ231およびコリメートレンズ234は、その光軸方向に矢印233で示すように移動自在な1軸ステージ232上に設けられ、光路長調整手段を形成している。
【0029】
具体的には、1軸ステージ232は光プローブ部101を交換した場合に、光プローブ部101の光路長のバラツキを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する光路長変化手段を形成する。さらに、1軸ステージ232はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、光プローブ部101の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージ232により光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置から干渉する状態に設定することが可能となる。
【0030】
ミラー227,229及びレンズ328を介して、反射された光は参照光として第2のシングルモードファイバ231に入力される。光路長の可変機構225で光路長が微調整された参照光は、第2のシングルモードファイバ231の途中に設けた光カップラ部226で第1のシングルモードファイバ230側からの反射光と混合されて、干渉光となり、PD219にて受光される。
【0031】
PD219にて受光された光は光電変換されて電気信号となり、増幅器220に入力され増幅された後、復調器221に供給される。復調器221では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力はA/D変換器222に入力される。
【0032】
A/D変換器222では、干渉光信号を176MHzで2048ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。なお、サンプリング周波数を180MHzとしたのは、波長掃引の繰り返し周波数を80kHzにした場合に、波長掃引の周期(12.5μsec)の90%程度を2048点のデジタルデータとして抽出することを前提としたものであり、特にこれに限定されるものではない。
【0033】
A/D変換器222にて生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部223に入力される。この信号処理部223では干渉光データをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータを生成し、これを座標変換することにより、血管の各位置での断面画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ113に出力する。
【0034】
なお、信号処理部223は光路長調整手段制御部218と接続されている。信号処理部223は光路長調整手段制御部218を介して1軸ステージ232の位置の制御を行う。また、信号処理部223はモータ制御回路224と接続され、断面画像を形成する際のビデオ同期信号に同期して内部のメモリに該断面画像を格納する。また、このモータ制御回路224のビデオ同期信号は、回転駆動装置204にも送られ、回転駆動装置204はビデオ同期信号に同期した駆動信号を出力する。更に、信号処理部223は、上記のPD219乃至A/D変換器222による干渉光のサンプリングを実行することになる。
【0035】
図4(a)は光プローブ部101の先端のイメージングコア201が生体管腔内(血管内)に挿入され、ラジアル走査が行われる様子を説明する図である。光学ミラー401、光学レンズ402を先端に有する光ファイバ236により構成されるイメージングコア201を内蔵したカテーテルシース403は、ガイディングカテーテル115(図1参照)を介して、例えば血管内腔に挿入される。回転駆動装置204は、カテーテルシース403内でイメージングコア201を矢印405方向に回転させ、直線駆動装置207は矢印406方向に移動させる(プルバック処理)。このとき、図4(b)に示すように、波長掃引光源208からの測定光が光ファイバ236を経て、光学ミラー401により生体組織(血管壁)へ照射される。照射された光の反射光は、光学ミラー401により光ファイバ236を経て操作制御装置103へ戻される。
【0036】
図5は血管断層像撮影時の光プローブ部101の動作を説明するための模式図である。図5(a)、(b)はそれぞれ光プローブ部101が挿入された状態の血管の斜視図及び断面図である。図5(a)において、501は光プローブ部101が挿入された血管断面を示している。上述のように、光プローブ部101のイメージングコア201はその先端に光学レンズ402、光学ミラー401が取り付けられており、ラジアル走査モータ205により図5(b)の参照符号405で示される方向に回転する。
【0037】
光学レンズ402からは、各回転角度にて測定光の送信/受信が行われる。ライン1、2、…、512は各回転角度における測定光の照射方向を示している。本実施形態では、光学ミラー401及び光学レンズ402を含むイメージングコア201が所定の血管断面501の位置で360度回動する間に、512回の測定光の送信/反射光の受信が断続的に行われる。なお、360度回動する間における測定光の送信/受信回数は特にこれに限られず、任意に設定可能であるものとする。このように、イメージングコア201を回転させながら信号の送信/受信を繰り返すスキャン(走査)を、一般に「ラジアルスキャン(ラジアル走査、回転走査)」という。また、このようなイメージングコア201による測定光の送信/反射光の受信は、イメージングコア201が血管内を矢印406(図4(a)参照)の方向に進みながら行われる。このイメージングコア201の矢印406への移動は、スキャナ/プルバック部102における直線駆動装置207を駆動して、回転しているファイバを一定速度で引っ張ることで行われる。それ故、この操作はプルバック操作と呼ばれる。
【0038】
薬剤導入部118を操作して、ガイディングカテーテル115の先端からフラッシュ液を診断対象の血管内腔に導入するフラッシュ操作は、このプルバック操作に併せて行われる。これにより、血液中の赤血球等の血球成分の影響が無い状態になり、高い精度の画像を得ることができる。
【0039】
図3は実施形態における信号処理部223の構成を示している。この信号処理部223は、操作パネル112や操作部102aにおける操作者による指示に従い、上記ラジアルスキャンとプルバック操作における干渉光から得られた電気信号(A/D変換器222からの信号)に基づき、断層像の生成処理を行う。この生成処理を説明すると次の通りである。
【0040】
信号処理部223は、A/D変換器222からの、波長掃引による1ライン分の干渉光のデータをラインメモリ部301に順次格納する。そして、モータ制御回路224から出力されるモータのエンコーダ信号をもとに、モータ1回転あたりのライン数が512本となるように信号を選択し、グルーピングする。すなわち、1ラインごとの干渉データが、モータ1回転あたり512個ずつラインデータ生成部302に出力される。
【0041】
ラインデータ生成部302は、FFT(高速フーリエ変換処理)を行うことで、ラインデータを生成するととともに、ライン加算平均処理、フィルター処理、対数変換等を行い、得られたラインデータを後段の後処理部303に出力する。
【0042】
後処理部303では、ラインデータ生成部302より受け取ったラインデータに対してコントラスト調整、輝度調整、ガンマ補正等を施し、処理結果を画像構築部304に出力する。画像構築部304は、極座標のラインデータ列をビデオ信号に変換し、LCDモニタ113に血管断面画像として表示する。なお、ここでは一例として、512ラインから画像を構築する例を示しているが、このライン数に限定されるものではない。
【0043】
オフセット値算出部306は、後述するように、キャリブレーション操作後にフラッシュ液の変更指示があった場合、取得済みのキャリブレーションデータあるいは断層画像データを補正するために、新たなフラッシュ液の屈折率に基づいてオフセット値を算出するものである。
【0044】
制御部305は上述した各部の一連の動作を制御することになる。また、この制御部305には、フラッシュ液テーブル305aを記憶するためのメモリが内蔵されている(詳細後述)。また、制御部305によって行われる、上記の血管断層像を得るまでの演算内容、並びに、その表示処理に関する部分は、本願発明には直接には関係しないので、これ以上の説明は省略する。
【0045】
[全体の流れの説明]
次に、図6のフローチャートに従って実施形態における画像診断装置の信号処理部223の処理を説明する。
【0046】
本装置の電源がONになると、ステップS1にて、本装置に接続されている各種周辺装置の初期化処理を行う。次いで、ステップS2にて、LCDモニタ113にメニュー画面を表示し、新規測定モードに移行するのか、過去に測定した保存画像の表示モードに移行するのかを操作者に選択させる。この選択は操作パネル112から行われることになる。そして、選択した指示に従い、新規測定モードへの移行(ステップS3)、または、保存画像表示処理モードへの移行(ステップS4)となる。
【0047】
次に、新規測定モード処理(ステップS3)の処理内容を、図7のフローチャートに従って説明する。なお、既に操作者は、患者の診断対象となる血管部位まで、ガイディングカテーテル115を介して、光プローブ部101の先端部を挿入する作業を終えているものとして説明する。
【0048】
血管の断層像を、その血管軸に沿った所定距離に渡って得るためには、その測定範囲の血管内に、血球成分(赤血球等)を排除するためのフラッシュ液を満たす必要がある。しかし、フラッシュ液には幾つもの種類が存在し、各々で屈折率が異なる。そこで、先ず、使用するフラッシュ液の選択を行う。
【0049】
先に説明した制御部305内のフラッシュ液テーブル305aは、{フラッシュ液の名称、屈折率}をペアとするデータを格納している。そして、操作者に選択させるためにフラッシュ液の名称一覧をLCDモニタ113に表示し、その中から1つを操作パネル112を介して選択させる(ステップS101)。なお、フラッシュ液の名前としては、造影剤の含有率(又は生理食塩水の含有率)を示す数字を含んだものが一般的である。
【0050】
この後、選択したフラッシュ液の使用を前提とするキャリブレーション処理を実行する(ステップS102)。以下、このキャリブレーション処理を、より詳しく説明する。
【0051】
媒体内に伝搬する光の速度はその媒体が持つ屈折率に依存する。すなわち、フラッシュ液の種類に応じて光の速度が変化するわけであるから、先ず、使用が予定されているフラッシュ液に最適なスキャン条件を整えるためのキャリブレーション処理が必要となる。
【0052】
そこで、制御部305は、スキャナ/プルバック部102内のラジアル走査モータ205を駆動指示し、光プローブ部101内の光学ミラー401を回転させる。そして、カテーテルシース403と血液との境界面の像をLCDモニタ113に表示させる。先に説明したように、カテーテルシース403は透明であるものの、その境界面で若干の光の反射が得られる。
【0053】
また、LCDモニタ113には、キャリブレーションを行うためのターゲット用の円を表示する。そして、実測して得られたカテーテルシース403の境界面の円のスケールを拡大、或いは縮小する指示を操作パネル112から行うことで、ターゲット用の円と実測円の2つの円が重なるように調整する。つまり、操作パネル112とLCDモニタ113で構成されるユーザインタフェースを用いて調整作業を行う。このときの制御部305の処理は、操作者が指示した拡大/縮小の度合を示す値と、先に選定したフラッシュ液の屈折率とを用いて調整値を算出し、該調整値に基づいて、光路長の可変機構225を制御して参照光の光路長を調整する処理を行う。ターゲット用の円と実測円の2つの円を表示するLCDモニタ113と操作パネル112は調整値設定手段として機能する。ユーザインタフェース上でこの光路長の調整をしていくと、実測して得られたカテーテルシース403の境界面の円が拡大もしくは縮小されていくこととなり、操作者にとっては単に2つの円の重ね合わせ作業を行うだけでキャリブレーションを行うことができる。
【0054】
さて、上記のようにして2つの円の重ね合わせが完了すると、設定したフラッシュ液を用いて測定する場合の、測定光の光路長と参照光の光路長が一致したこととなるので、フラッシュ操作とプルバック操作が行える準備が整うことになる。
【0055】
ここで、何らの理由で利用するフラッシュ液を変更する指示が入力されたとする(ステップS103)。多くの場合は、キャリブレーション操作の前に選択したフラッシュ液(屈折率)が誤りであった場合が、これに該当する。この場合、正しいフラッシュ液(屈折率)を選択し直し、上記のキャリブレーション操作に係る作業を行えば良い。しかし、上記の2つの円を合わせる作業は、わずらわしいものであり、操作者の負担は増えるばかりである。そこで、本実施形態では、フラッシュ液の変更指示があった場合、先に屈折率nfalseに従ってキャリブレーション操作を行った際のラインデータを利用し、正しいフラッシュ液の屈折率ntrueに基づいてオフセット値算出部306でオフセット値を算出し、演算により自動的にキャリブレーションを再実行する(参照光の光路長を調整する処理も自動化する)。この自動化処理はステップS104にて行われるものである。
【0056】
図9は、断層像を構築する原理を説明している。実施形態では、光学ミラー401を1回転させる間に、波長掃引によってM本(実施形態ではM=512)分の干渉光の光の強度データを取得し、その信号を元に、光学ミラー401の位置を中心とする放射線上に延びるM本分のラインデータを算出する。各ラインデータは、図9の如く、走査中心位置(光学ミラー401の位置)から伸びる放射線上の画素データであるので、当然、走査中心位置から離れるほど、隣り合うラインの間隔も離れていき、何もない空間が広がっていく。一方、表示装置に表示する画像は、水平、垂直とも画素が詰まった状態であるので、上記のライン間の画素を補間して生成する必要がある。
【0057】
そこで、例えば4点の線形補間によって、何もない2次元空間の画素を算出していくことで、断層像を構築している(図10、図11参照)。
xi,j=rijsinθi
yi,j=rijcosθi …(1)
ここで、(xij,yij)は、i番目のラインデータにおけるj番目にサンプリングされた値を示している、断層画面の中心を原点とする座標系であり、(rij,θij)は、そのビームの進行方向と円周方向の座標である。
【0058】
前回間違ったフラッシュ液を選択してキャリブレーションを行い、参照光と測定光の光路長差を0にしたとする。この状態で前回選択したものと異なる屈折率を持つ正しいフラッシュ液を選択し直し、それ以外のパラメータは変更しないまま採用したとすると、ターゲットの円と実測した円はずれて表示されることとなる。例えば、前回の実測の半径Rの円は、R’となってしまう。
【0059】
この現象は、式(1)におけるrijが、光路長差0の位置に対して線形に移動していることと同義である。つまり、正しい屈折率に切り替えた場合、次式(2)に示すようにオフセット値(Offset)を加算して画像を再構築すれば良い。
xi,j=(rij + Offset)sinθi
yi,j=(rij + Offset)cosθi …(2)
【0060】
ここで、干渉信号を取得できる最大のサンプルの深さは、次式(3)に示すように屈折率に反比例することが知られている。
z=λ2/(4nδλ) …(3)
ここで、nは屈折率、λは使用する光源の中心波長、δλは掃引波長幅である。
【0061】
つまり、屈折率が変化した場合、図9で示したラインデータが持っている最大深度が式(3)によって異なるので、結果、1ラインのデータが持つ深さ情報が屈折率に反比例する。つまり、式(1)のrijも、次式(4)の通り、屈折率に反比例する。なお、Nはラインを構成するデータ数を表す。
rij=(j/N)×z=(j/N)×λ2/(4nδλ) …(4)
【0062】
本実施形態では、間違ったフラッシュ液の屈折率を基準にキャリブレーションを行ったデータを利用し、その際に調整した参照光の光路長に対して、正しいフラッシュ液の屈折率に見合った上記Offset分だけ加算した光路長となるように、制御部305が光路長の可変機構225を制御して修正する。この「Offset」は以下のようにして算出する。
【0063】
今、実際に使用したフラッシュ液の屈折率をntrueとし、間違えて選択したフラッシュ液の屈折率をnfalseとすると、本来のビームの進行方向の座標であるrij_trueと間違えて算出された座標rij_falseとの間には以下の関係が成り立つ。
【数5】
Offset値は、ntrueの座標とnfalseの座標の差であるから、
【数6】
とすれば良い。
【0064】
以上が実施形態における図7におけるステップS104における自動再キャリブレーション処理である。
【0065】
さて、上記のようにして、実際に使用するフラッシュ液が設定され、キャリブレーションも完了すると、プルバック処理の準備が整ったことになる。そこで、操作者は薬剤導入部118を操作してフラッシュ液を測定部位に流出させる。しかる後、制御部305は、スキャナ/プルバック部102の操作部102aに設けられたプルバックスイッチ(不図示)の操作を検出すると(ステップS105)、直線駆動装置207を駆動させ、図4(a)に示すように回転中の光学ミラー401を矢印406に方向に移動させるプルバック処理を行う(S106)。このプルバック処理中、A/D変換器222から干渉光に関するデータを順次受信し、光学ミラー401の移動中に血管の各位置において断層像の構築処理を行っていく(ステップS107)。なお、このとき得られた全断層像、並びに、その断層像を得るための元になった、干渉光のデータ(図9のIMG_DATA)も、不図示のハードディスク等の記憶装置にファイルとして記憶される。このファイルには、図9に示すデータ以外にも、選定したフラッシュ液の種類(もしくは屈折率)も格納される。
【0066】
プルバック処理を終えると、実寸の尺度を付けて、構築した断層像をLCDモニタ113に表示し(ステップS108)、本処理を終える。
【0067】
次に、図6のステップS4の保存画像表示処理を、図8のフローチャートに従って説明する。実施形態におけるこの処理は、過去にスキャンした断層像の確認に留まるのではなく、フラッシュ液の選択を誤ったままプルバック処理を行ってしまった場合に対処する。
【0068】
先ず、制御部305は、不図示のハードディスクに保存されたデータファイルの中から、目的とするファイルを探し出し、そのファイルの画像データを読込む(ステップS201)。ファイル名は、患者名、スキャン日時等のキー情報を含んでいるものとし、それを参照して探せばよい。或いは、専用のデータベースを用意し、キー情報で検索して目的のファイルを検索しても良い。
【0069】
読み込んだデータに基づいて、断層像と選定したフラッシュ液の名称をLCDモニタ113に表示する(ステップS202)。
【0070】
ここで、表示されたフラッシュ液の名称を見て、操作者が誤りに気づいた場合、変更指示を操作パネル112から指示する。この指示を受けると、制御部305は、フラッシュ液テーブル305aを参照して、選択可能なフラッシュ液一覧を表示し、選択を行なわせる(ステップS203)。
【0071】
フラッシュ液の再設定が指示されると、その再設定したフラッシュ液の屈折率ntrueが決定される。一方、選択したファイル内には、間違ったフラッシュ液の情報が格納されていたわけであるから、その屈折率nfalseを得ることもできる。更にまた、ファイル内には、光学ミラー401の移動中のデータ(図9参照)が格納されている。従って、これらを用いて、先に示した式(6)に従ってオフセット値(Offset)を算出し、式(2)に従って新たに設定したフラッシュ液(の屈折率ntrue)に基づく断層画像の再構築処理を実行する(ステップS204)。このとき、正しい屈折率ntrueは新たに記録しておく。ただし、光学ミラー401の移動中のデータ並びに屈折率nfalseについては、変更しない。こうして、再構築処理を終えると、処理はステップS202に戻り、その断層画像のデータを読み出して表示を行うこととなる。
【0072】
以上説明したように本実施形態によれば、光干渉断層診断装置において、操作者によるフラッシュ液の設定作業、キャリブレーション作業、プルバック操作という作業手順において、キャリブレーション後に、設定したフラッシュ液の種類の誤りに気づいてフラッシュ液の変更を行った場合、キャリブレーション作業にまで戻る必要をなくすことができる。すなわち、その再キャリブレーション作業を、自動的に処理することで、施術時間や施術回数が増えることを避け、患者へかかる負担を少なくしつつ、操作者に係る操作も簡便なものとすることが可能になる。
【符号の説明】
【0073】
100:画像診断装置、101:光プローブ部、102:スキャナ/プルバック部、102a:操作部、103:操作制御装置、201:イメージングコア、208:光源、219:光検出器、220:増幅器、223:信号処理部、225:光路長の可変機構、226:光カップラ部、305:制御部、305a:フラッシュ液テーブル、306:オフセット値算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は光干渉断層像形成装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バルーンカテーテル、ステント等の高機能カテーテルによる血管内治療が行われている。この手術前の診断、或いは、手術後の経過確認のため、光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherence Tomography)等の画像診断装置が用いられるのが一般的になってきた。
【0003】
この画像診断装置は、先端に光学レンズと光学ミラーを取り付けた光ファイバを内蔵したカテーテルを有する。そして、そのカテーテルを患者の血管内に挿入し、光学ミラーを回転させながら、光学ミラーを介して血管壁に光を照射し、血管からの反射光を再度、その光学ミラーを介して受光することでラジアル走査を行い、得られた反射光を元に血管の断面画像を構成するものである。また、OCTの改良型として、波長掃引を利用した光干渉断層診断装置(SS−OCT:Swept-source Optical coherence Tomography)も開発されている。
【0004】
光干渉断層診断装置の基本原理は、装置内部の光源から出力される光を測定光と参照光に分割し、測定光を上記のカテーテルの内部の光ファイバの光学ミラーに向けて出射する。そして、生体組織によって反射された散乱光を同じ光ファイバを介して受光し、所定の距離を経て反射した参照光との干渉光を得、その強度からカテーテル近傍の生体組織(血管)の断層像を得るものである(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−267867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、血管内には赤血球等の血球成分が含まれる。当然その血球成分の表面でも光の反射が起きるので、目的とする血管の高い精度の断層画像を構成する妨げとなる。そこで、血球成分を除外するため、生理食塩水や造影剤等の液体を血管内に放出して血球成分が無い状態を一時的に作り出し、そのタイミングで光の出射と反射光の受光を行うのが一般的である。この上記液体を放出する操作は、一般にフラッシュ操作と呼ばれ、その際に放出する液体をフラッシュ液と呼ぶ。
【0007】
フラッシュ液には、その使用目的に応じて何種類かある。具体的には、先に説明した造影剤、生理食塩水、並びに、それらの混合比が異なる混合液である。
【0008】
ここで、問題となるのは、光の屈折率がフラッシュ液の種類によって異なる点である。周知の通り、媒体内を伝搬する光の速度はその媒体が持つ屈折率に依存する。従って、実際に使用するフラッシュ液と異なるフラッシュ液を設定してしまうと、得られる血管の断層像のスケールは、実際のスケールとは異なったものとなってしまう。
【0009】
一般に、使用するフラッシュ液が決まると、フラッシュ操作の前に、カテーテル内の光学ミラーを回転させて、カテーテルと血液との境界面の像を作成し、表示させる。そして、利用するフラッシュ液の屈折率をパラメータとし、参照光の光路長を調整しながら、その境界面の像(ほぼ円形になる)を、予め設定した基準となる円(ランドマーク)に一致させる操作(一般にはキャリブレーション操作と呼ばれる)を行う。この後、実際にフラッシュ操作を行い、カテーテル内で回転している光学ミラーを血管軸に沿って一定速度で移動させる。この回転している光学ミラーの移動は、回転している光ファイバの引き戻し操作でもあるので、一般に「プルバック操作」と呼ばれる。
【0010】
ここで、キャリブレーション操作を行った後、何らの理由で使用するフラッシュ液の種類を変更しなければならない場合や、キャリブレーション操作を行う際に設定したフラッシュ液の屈折率を、誤って設定してしまった場合、当然、正しいフラッシュ液の屈折率に変更して再度キャリブレーション操作を行う必要がある。これは、ステントを血管に配設する術前における血管の診断において、スケールに誤りがあると診断に支障を来し、誤ったサイズのステントを決定してしまうことにもなりかねないからである。
【0011】
更に、フラッシュ操作及びプルバック操作を行った後に、設定したフラッシュ液の設定に誤りがあったことが分かった場合には、キャリブレーション操作以降の操作を再度行なわなければならず、施術時間や施術回数が増え、患者に負担がかかってしまう。
【0012】
本願発明は、上記の問題に鑑みなされたものである。光干渉断層診断装置において、キャリブレーション作業後やプルバック操作終了後にフラッシュ液の選定に誤りがあったことに気づいた場合に、既に行ったキャリブレーションの結果データや測定後の画像データと、新に設定したフラッシュ液の屈折率から、再度のキャリブレーションに係る作業や再度のプルバック操作を行うことなく、自動的にキャリブレーションや画像データの修正を行う。これにより、施術時間や施術回数が増えることを避け、患者へかかる負担を少なくしつつ、操作者に係る作業を簡便なものとする技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、例えば、本発明の光干渉断層像形成装置は以下の構成を備える。すなわち、
光源から出力された光を光カップラで測定光と参照光に分割し、被検体の生体管腔に挿入される光プローブ部の先端近傍位置に設けた回動可能な光学ミラーから前記測定光を生体組織に向けて出射して得られる反射光と、前記参照光とから得られる干渉光の光強度に基づいて被検体の生体組織の断面画像を生成する光干渉断層像形成装置であって、
前記生体組織の測定部位にフラッシュ液を放出するフラッシュ手段と、
前記フラッシュ液の屈折率を、フラッシュ液の種類に応じて設定された複数の屈折率の中から、操作者の指示に応じて選択する屈折率選択手段と、
前記測定光と前記参照光の光路長を一致させるために、前記選択された屈折率における前記参照光の光路長を調整するための調整値を操作者の操作に応じて設定する調整値設定手段と、
前記調整値に基づいて前記参照光の光路長を調整する光路長調整手段とからなるキャリブレーション手段と、
前記フラッシュ液を前記生体管腔内に放出させ、前記光学ミラーを回転させながら前記生体管腔の軸方向に移動させ、当該移動中の前記干渉光をサンプリングするプルバック手段と、
前記サンプリングされた干渉光のデータを元に前記断面画像を構築する画像構築部と、
前記キャリブレーション手段によってキャリブレーションが実行された後、前記屈折率選択手段によって前記屈折率が変更されたとき、前記変更された屈折率に基づいて前記参照光の光路長のオフセット値を算出する、オフセット値算出部とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光干渉断層診断装置において、キャリブレーション作業後あるいはプルバック操作終了後にフラッシュ液の選定に誤りがあったことに気づいた場合であっても、先に行ったキャリブレーションの結果や測定結果と、新たに選択したフラッシュ液の屈折率から、再度のキャリブレーションや再度の測定に係る作業を自動化させ、施術時間や施術回数が増えることを避け、患者へかかる負担を少なくしつつ、操作者に係る操作も簡便なものとすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態にかかる画像診断装置の外観構成を示す図である。
【図2】画像診断装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】信号処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】血管内における光プローブ部の回転走査と軸方向移動、及び、測定光の照射と反射光の取り込みを説明する図である。
【図5】血管内における光プローブの動作を説明するための模式図である。
【図6】装置の全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6の新規測定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】図6の保存画像表示処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】ラジアルスキャンにおける各ラインと断層画像の元データのラインデータとの関係を示す図である。
【図10】ラインデータが極座標で表わされている事を示す図である。
【図11】極座標の画素値から、線形補間によって補間画素値を算出するアルゴリズムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0017】
[装置構成及び動作の説明]
先ず、本実施形態における装置全体の構成並びに基本動作について説明する。
【0018】
図1は本発明を具備する波長掃引型光干渉断層像形成装置(SS−OCT装置)(以下、画像診断装置という)のシステム構成及び外観構成を示す図である。図1に示すように、画像診断装置100は、光プローブ部101と、スキャナ/プルバック部102と、操作制御装置103とを備える。
【0019】
光プローブ部101は、更に、フラッシュ液を診断対象の血管部位に送出するために、ガイディングカテーテル115で覆われている。ガイディングカテーテル115の後端115aには、図示の矢印で示す如く、光プローブ部101を挿入する挿入孔があり、先端115bには光プローブ部101の先端部を外部に露出させる口部が設けられている。更に、ガイディングカテーテル115には、後述するフラッシュ液を収容した薬剤導入部118を接続するためのポート116が設けられている。この薬剤導入部118を操作することで、内部に収容されたフラッシュ液が、先端部115bを介して放出されることになる。
【0020】
スキャナ/プルバック部102と操作制御装置103とは、信号線/光ファイバ104により接続されている。光プローブ部101を収容したガイディングカテーテル115は、直接血管等の生体管腔内に挿入され、光プローブ部101に設けられたイメージングコア201を用いて生体組織の状態を測定する。この光プローブ部101は、その内部を貫通する光ファイバ236と、その外側を覆うカテーテルシース403で構成され、少なくともその先端部の付近は透明部材で構成されている(詳細後述)。
【0021】
スキャナ/プルバック部102は、光プローブ部101の根元部101aを把持すると共に、内蔵されたモータの回転によって、光プローブ部101内のイメージングコア201のラジアル動作が規定される。また、このスキャナ/プルバック部102は、内蔵のもう1つのモータを駆動することで、光プローブ部101内で回転中の光ファイバ236を、一定速度で引き戻す操作(プルバック処理)も行う。このプルバック動作によって、血管の軸に沿って連続した血管断層像を得ることができる。また、このスキャナ/プルバック部102には、光プローブ部101内の光ファイバ236の回転速度の設定、回転の開始/停止、並びにプルバックを指示するための各種指示スイッチを配置した操作部102aが設けられている。
【0022】
操作制御装置103は、血管等の生体組織の光干渉断層像形成を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られたデータを処理し、断層画像として表示するための機能を備える。操作制御装置103において、111は本体制御部であり、測定により得られたデータを処理したり、処理結果を出力したりする。111−1はプリンタであり、本体制御部111における処理結果を印刷する。また、図示しないがデータを記憶するためのハードディスクドライブやDVDレコーダを有する。112は操作パネルであり、ユーザは該操作パネル112を介して、フラッシュ液の屈折率を含む各種設定値及び指示の入力を行う。113は表示装置としてのLCDモニタであり、設定画面や本体制御部111における処理結果である断層画像等を表示する。
【0023】
図2は、図1に示す画像診断装置100の機能構成図である。図示において、208は波長掃引光源であり、Swept Laserが用いられる。波長掃引光源208は、SOA216(semiconductor optical amplifier)とリング状に結合された光ファイバ217を有する光源部208aとポリゴンスキャニングフィルタ208bよりなる、Extended-cavity Laserの一種である。SOA216から出力された光が、光ファイバ217を進み、ポリゴンスキャニングフィルタ208bに入り、ここで波長選択された光が、SOA216で増幅され、最終的にカップラ214から出力される。ポリゴンスキャニングフィルタ208bは、光を分光する回折格子212とポリゴンミラー209との組み合わせで波長を選択する。回折格子212により分光された光を2枚のレンズ(210、211)によりポリゴンミラー209の表面に集光させる。これによりポリゴンミラー209と直交する波長の光のみ同一の光路を戻り、ポリゴンスキャニングフィルタ208bから出力されるため、ポリゴンミラー209を回転させることで、波長の時間掃引を行う。ポリゴンミラー209は、例えば、72面体のミラーが使用され、回転数が50000rpm程度である。ポリゴンミラー209と回折格子212とを組み合わせたユニークな波長掃引方式により、高速、高出力の波長掃引が可能である。
【0024】
カップラ214から出力された波長掃引光源208からの光は、第1のシングルモードファイバ230の一端に入射される。第1のシングルモードファイバ230は、第2のシングルモードファイバ231と光学的に結合されている光カップラ226に導かれ、ここで、2つに分岐されて伝送される。
【0025】
第1のシングルモードファイバ230の光カップラ部226より先端側には、スキャナ/プルバック部102が設けられている。スキャナ/プルバック部102の回転駆動装置204内には、非回転部(固定部)と回転部(回転駆動部)との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント(光カップリング部)203が設けられている。更に、光ロータリジョイント203内の第4のシングルモードファイバ235の先端側は、光プローブ部101の第5のシングルモードファイバ236と、アダプタ202を介して着脱自在に接続されている。これにより光の送受信を繰り返すイメージングコア201内に挿通され回転駆動可能な第5のシングルモードファイバ236に波長掃引光源208からの光が伝送される。
【0026】
第5のシングルモードファイバ236に伝送された光は、イメージングコア201の先端側から血管等の生体組織に対してラジアル動作しながら照射される。そして、生体組織の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部はイメージングコア201により取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ230側に戻り、光カップラ部226によりその一部が第2のシングルモードファイバ237側に移る。光カップラ部226において反射光は後述の参照光と混合され、干渉光として、光検出器(実施形態ではフォトダイオード、以下、PDという)219にて受光される。
【0027】
光ロータリジョイント203の回転部側は回転駆動装置204のラジアル走査モータ205により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ205の回転角度は、エンコーダ部206により検出される。更に、スキャナ/プルバック部102は、直線駆動装置207を備え、信号処理部223からの指示に基づいて、イメージングコア201の挿入方向(軸方向)の動作を規定している。軸方向移動は、信号処理部223からの制御信号に基づいて、直線駆動装置207内の直線駆動モータが動作することにより実現される。
【0028】
また、第2のシングルモードファイバ231の光カップラ部226より先端側には、参照光の光路長を微調整する光路長の可変機構225が設けてある。この光路長の可変機構225は光プローブ部101を交換して使用した場合の個々の光プローブ部101の長さのばらつきを吸収できるように、その長さのバラツキに相当する光路長を変化させる光路長変化手段を備えている。第2のシングルモードファイバ231およびコリメートレンズ234は、その光軸方向に矢印233で示すように移動自在な1軸ステージ232上に設けられ、光路長調整手段を形成している。
【0029】
具体的には、1軸ステージ232は光プローブ部101を交換した場合に、光プローブ部101の光路長のバラツキを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する光路長変化手段を形成する。さらに、1軸ステージ232はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、光プローブ部101の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージ232により光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置から干渉する状態に設定することが可能となる。
【0030】
ミラー227,229及びレンズ328を介して、反射された光は参照光として第2のシングルモードファイバ231に入力される。光路長の可変機構225で光路長が微調整された参照光は、第2のシングルモードファイバ231の途中に設けた光カップラ部226で第1のシングルモードファイバ230側からの反射光と混合されて、干渉光となり、PD219にて受光される。
【0031】
PD219にて受光された光は光電変換されて電気信号となり、増幅器220に入力され増幅された後、復調器221に供給される。復調器221では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力はA/D変換器222に入力される。
【0032】
A/D変換器222では、干渉光信号を176MHzで2048ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。なお、サンプリング周波数を180MHzとしたのは、波長掃引の繰り返し周波数を80kHzにした場合に、波長掃引の周期(12.5μsec)の90%程度を2048点のデジタルデータとして抽出することを前提としたものであり、特にこれに限定されるものではない。
【0033】
A/D変換器222にて生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部223に入力される。この信号処理部223では干渉光データをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータを生成し、これを座標変換することにより、血管の各位置での断面画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ113に出力する。
【0034】
なお、信号処理部223は光路長調整手段制御部218と接続されている。信号処理部223は光路長調整手段制御部218を介して1軸ステージ232の位置の制御を行う。また、信号処理部223はモータ制御回路224と接続され、断面画像を形成する際のビデオ同期信号に同期して内部のメモリに該断面画像を格納する。また、このモータ制御回路224のビデオ同期信号は、回転駆動装置204にも送られ、回転駆動装置204はビデオ同期信号に同期した駆動信号を出力する。更に、信号処理部223は、上記のPD219乃至A/D変換器222による干渉光のサンプリングを実行することになる。
【0035】
図4(a)は光プローブ部101の先端のイメージングコア201が生体管腔内(血管内)に挿入され、ラジアル走査が行われる様子を説明する図である。光学ミラー401、光学レンズ402を先端に有する光ファイバ236により構成されるイメージングコア201を内蔵したカテーテルシース403は、ガイディングカテーテル115(図1参照)を介して、例えば血管内腔に挿入される。回転駆動装置204は、カテーテルシース403内でイメージングコア201を矢印405方向に回転させ、直線駆動装置207は矢印406方向に移動させる(プルバック処理)。このとき、図4(b)に示すように、波長掃引光源208からの測定光が光ファイバ236を経て、光学ミラー401により生体組織(血管壁)へ照射される。照射された光の反射光は、光学ミラー401により光ファイバ236を経て操作制御装置103へ戻される。
【0036】
図5は血管断層像撮影時の光プローブ部101の動作を説明するための模式図である。図5(a)、(b)はそれぞれ光プローブ部101が挿入された状態の血管の斜視図及び断面図である。図5(a)において、501は光プローブ部101が挿入された血管断面を示している。上述のように、光プローブ部101のイメージングコア201はその先端に光学レンズ402、光学ミラー401が取り付けられており、ラジアル走査モータ205により図5(b)の参照符号405で示される方向に回転する。
【0037】
光学レンズ402からは、各回転角度にて測定光の送信/受信が行われる。ライン1、2、…、512は各回転角度における測定光の照射方向を示している。本実施形態では、光学ミラー401及び光学レンズ402を含むイメージングコア201が所定の血管断面501の位置で360度回動する間に、512回の測定光の送信/反射光の受信が断続的に行われる。なお、360度回動する間における測定光の送信/受信回数は特にこれに限られず、任意に設定可能であるものとする。このように、イメージングコア201を回転させながら信号の送信/受信を繰り返すスキャン(走査)を、一般に「ラジアルスキャン(ラジアル走査、回転走査)」という。また、このようなイメージングコア201による測定光の送信/反射光の受信は、イメージングコア201が血管内を矢印406(図4(a)参照)の方向に進みながら行われる。このイメージングコア201の矢印406への移動は、スキャナ/プルバック部102における直線駆動装置207を駆動して、回転しているファイバを一定速度で引っ張ることで行われる。それ故、この操作はプルバック操作と呼ばれる。
【0038】
薬剤導入部118を操作して、ガイディングカテーテル115の先端からフラッシュ液を診断対象の血管内腔に導入するフラッシュ操作は、このプルバック操作に併せて行われる。これにより、血液中の赤血球等の血球成分の影響が無い状態になり、高い精度の画像を得ることができる。
【0039】
図3は実施形態における信号処理部223の構成を示している。この信号処理部223は、操作パネル112や操作部102aにおける操作者による指示に従い、上記ラジアルスキャンとプルバック操作における干渉光から得られた電気信号(A/D変換器222からの信号)に基づき、断層像の生成処理を行う。この生成処理を説明すると次の通りである。
【0040】
信号処理部223は、A/D変換器222からの、波長掃引による1ライン分の干渉光のデータをラインメモリ部301に順次格納する。そして、モータ制御回路224から出力されるモータのエンコーダ信号をもとに、モータ1回転あたりのライン数が512本となるように信号を選択し、グルーピングする。すなわち、1ラインごとの干渉データが、モータ1回転あたり512個ずつラインデータ生成部302に出力される。
【0041】
ラインデータ生成部302は、FFT(高速フーリエ変換処理)を行うことで、ラインデータを生成するととともに、ライン加算平均処理、フィルター処理、対数変換等を行い、得られたラインデータを後段の後処理部303に出力する。
【0042】
後処理部303では、ラインデータ生成部302より受け取ったラインデータに対してコントラスト調整、輝度調整、ガンマ補正等を施し、処理結果を画像構築部304に出力する。画像構築部304は、極座標のラインデータ列をビデオ信号に変換し、LCDモニタ113に血管断面画像として表示する。なお、ここでは一例として、512ラインから画像を構築する例を示しているが、このライン数に限定されるものではない。
【0043】
オフセット値算出部306は、後述するように、キャリブレーション操作後にフラッシュ液の変更指示があった場合、取得済みのキャリブレーションデータあるいは断層画像データを補正するために、新たなフラッシュ液の屈折率に基づいてオフセット値を算出するものである。
【0044】
制御部305は上述した各部の一連の動作を制御することになる。また、この制御部305には、フラッシュ液テーブル305aを記憶するためのメモリが内蔵されている(詳細後述)。また、制御部305によって行われる、上記の血管断層像を得るまでの演算内容、並びに、その表示処理に関する部分は、本願発明には直接には関係しないので、これ以上の説明は省略する。
【0045】
[全体の流れの説明]
次に、図6のフローチャートに従って実施形態における画像診断装置の信号処理部223の処理を説明する。
【0046】
本装置の電源がONになると、ステップS1にて、本装置に接続されている各種周辺装置の初期化処理を行う。次いで、ステップS2にて、LCDモニタ113にメニュー画面を表示し、新規測定モードに移行するのか、過去に測定した保存画像の表示モードに移行するのかを操作者に選択させる。この選択は操作パネル112から行われることになる。そして、選択した指示に従い、新規測定モードへの移行(ステップS3)、または、保存画像表示処理モードへの移行(ステップS4)となる。
【0047】
次に、新規測定モード処理(ステップS3)の処理内容を、図7のフローチャートに従って説明する。なお、既に操作者は、患者の診断対象となる血管部位まで、ガイディングカテーテル115を介して、光プローブ部101の先端部を挿入する作業を終えているものとして説明する。
【0048】
血管の断層像を、その血管軸に沿った所定距離に渡って得るためには、その測定範囲の血管内に、血球成分(赤血球等)を排除するためのフラッシュ液を満たす必要がある。しかし、フラッシュ液には幾つもの種類が存在し、各々で屈折率が異なる。そこで、先ず、使用するフラッシュ液の選択を行う。
【0049】
先に説明した制御部305内のフラッシュ液テーブル305aは、{フラッシュ液の名称、屈折率}をペアとするデータを格納している。そして、操作者に選択させるためにフラッシュ液の名称一覧をLCDモニタ113に表示し、その中から1つを操作パネル112を介して選択させる(ステップS101)。なお、フラッシュ液の名前としては、造影剤の含有率(又は生理食塩水の含有率)を示す数字を含んだものが一般的である。
【0050】
この後、選択したフラッシュ液の使用を前提とするキャリブレーション処理を実行する(ステップS102)。以下、このキャリブレーション処理を、より詳しく説明する。
【0051】
媒体内に伝搬する光の速度はその媒体が持つ屈折率に依存する。すなわち、フラッシュ液の種類に応じて光の速度が変化するわけであるから、先ず、使用が予定されているフラッシュ液に最適なスキャン条件を整えるためのキャリブレーション処理が必要となる。
【0052】
そこで、制御部305は、スキャナ/プルバック部102内のラジアル走査モータ205を駆動指示し、光プローブ部101内の光学ミラー401を回転させる。そして、カテーテルシース403と血液との境界面の像をLCDモニタ113に表示させる。先に説明したように、カテーテルシース403は透明であるものの、その境界面で若干の光の反射が得られる。
【0053】
また、LCDモニタ113には、キャリブレーションを行うためのターゲット用の円を表示する。そして、実測して得られたカテーテルシース403の境界面の円のスケールを拡大、或いは縮小する指示を操作パネル112から行うことで、ターゲット用の円と実測円の2つの円が重なるように調整する。つまり、操作パネル112とLCDモニタ113で構成されるユーザインタフェースを用いて調整作業を行う。このときの制御部305の処理は、操作者が指示した拡大/縮小の度合を示す値と、先に選定したフラッシュ液の屈折率とを用いて調整値を算出し、該調整値に基づいて、光路長の可変機構225を制御して参照光の光路長を調整する処理を行う。ターゲット用の円と実測円の2つの円を表示するLCDモニタ113と操作パネル112は調整値設定手段として機能する。ユーザインタフェース上でこの光路長の調整をしていくと、実測して得られたカテーテルシース403の境界面の円が拡大もしくは縮小されていくこととなり、操作者にとっては単に2つの円の重ね合わせ作業を行うだけでキャリブレーションを行うことができる。
【0054】
さて、上記のようにして2つの円の重ね合わせが完了すると、設定したフラッシュ液を用いて測定する場合の、測定光の光路長と参照光の光路長が一致したこととなるので、フラッシュ操作とプルバック操作が行える準備が整うことになる。
【0055】
ここで、何らの理由で利用するフラッシュ液を変更する指示が入力されたとする(ステップS103)。多くの場合は、キャリブレーション操作の前に選択したフラッシュ液(屈折率)が誤りであった場合が、これに該当する。この場合、正しいフラッシュ液(屈折率)を選択し直し、上記のキャリブレーション操作に係る作業を行えば良い。しかし、上記の2つの円を合わせる作業は、わずらわしいものであり、操作者の負担は増えるばかりである。そこで、本実施形態では、フラッシュ液の変更指示があった場合、先に屈折率nfalseに従ってキャリブレーション操作を行った際のラインデータを利用し、正しいフラッシュ液の屈折率ntrueに基づいてオフセット値算出部306でオフセット値を算出し、演算により自動的にキャリブレーションを再実行する(参照光の光路長を調整する処理も自動化する)。この自動化処理はステップS104にて行われるものである。
【0056】
図9は、断層像を構築する原理を説明している。実施形態では、光学ミラー401を1回転させる間に、波長掃引によってM本(実施形態ではM=512)分の干渉光の光の強度データを取得し、その信号を元に、光学ミラー401の位置を中心とする放射線上に延びるM本分のラインデータを算出する。各ラインデータは、図9の如く、走査中心位置(光学ミラー401の位置)から伸びる放射線上の画素データであるので、当然、走査中心位置から離れるほど、隣り合うラインの間隔も離れていき、何もない空間が広がっていく。一方、表示装置に表示する画像は、水平、垂直とも画素が詰まった状態であるので、上記のライン間の画素を補間して生成する必要がある。
【0057】
そこで、例えば4点の線形補間によって、何もない2次元空間の画素を算出していくことで、断層像を構築している(図10、図11参照)。
xi,j=rijsinθi
yi,j=rijcosθi …(1)
ここで、(xij,yij)は、i番目のラインデータにおけるj番目にサンプリングされた値を示している、断層画面の中心を原点とする座標系であり、(rij,θij)は、そのビームの進行方向と円周方向の座標である。
【0058】
前回間違ったフラッシュ液を選択してキャリブレーションを行い、参照光と測定光の光路長差を0にしたとする。この状態で前回選択したものと異なる屈折率を持つ正しいフラッシュ液を選択し直し、それ以外のパラメータは変更しないまま採用したとすると、ターゲットの円と実測した円はずれて表示されることとなる。例えば、前回の実測の半径Rの円は、R’となってしまう。
【0059】
この現象は、式(1)におけるrijが、光路長差0の位置に対して線形に移動していることと同義である。つまり、正しい屈折率に切り替えた場合、次式(2)に示すようにオフセット値(Offset)を加算して画像を再構築すれば良い。
xi,j=(rij + Offset)sinθi
yi,j=(rij + Offset)cosθi …(2)
【0060】
ここで、干渉信号を取得できる最大のサンプルの深さは、次式(3)に示すように屈折率に反比例することが知られている。
z=λ2/(4nδλ) …(3)
ここで、nは屈折率、λは使用する光源の中心波長、δλは掃引波長幅である。
【0061】
つまり、屈折率が変化した場合、図9で示したラインデータが持っている最大深度が式(3)によって異なるので、結果、1ラインのデータが持つ深さ情報が屈折率に反比例する。つまり、式(1)のrijも、次式(4)の通り、屈折率に反比例する。なお、Nはラインを構成するデータ数を表す。
rij=(j/N)×z=(j/N)×λ2/(4nδλ) …(4)
【0062】
本実施形態では、間違ったフラッシュ液の屈折率を基準にキャリブレーションを行ったデータを利用し、その際に調整した参照光の光路長に対して、正しいフラッシュ液の屈折率に見合った上記Offset分だけ加算した光路長となるように、制御部305が光路長の可変機構225を制御して修正する。この「Offset」は以下のようにして算出する。
【0063】
今、実際に使用したフラッシュ液の屈折率をntrueとし、間違えて選択したフラッシュ液の屈折率をnfalseとすると、本来のビームの進行方向の座標であるrij_trueと間違えて算出された座標rij_falseとの間には以下の関係が成り立つ。
【数5】
Offset値は、ntrueの座標とnfalseの座標の差であるから、
【数6】
とすれば良い。
【0064】
以上が実施形態における図7におけるステップS104における自動再キャリブレーション処理である。
【0065】
さて、上記のようにして、実際に使用するフラッシュ液が設定され、キャリブレーションも完了すると、プルバック処理の準備が整ったことになる。そこで、操作者は薬剤導入部118を操作してフラッシュ液を測定部位に流出させる。しかる後、制御部305は、スキャナ/プルバック部102の操作部102aに設けられたプルバックスイッチ(不図示)の操作を検出すると(ステップS105)、直線駆動装置207を駆動させ、図4(a)に示すように回転中の光学ミラー401を矢印406に方向に移動させるプルバック処理を行う(S106)。このプルバック処理中、A/D変換器222から干渉光に関するデータを順次受信し、光学ミラー401の移動中に血管の各位置において断層像の構築処理を行っていく(ステップS107)。なお、このとき得られた全断層像、並びに、その断層像を得るための元になった、干渉光のデータ(図9のIMG_DATA)も、不図示のハードディスク等の記憶装置にファイルとして記憶される。このファイルには、図9に示すデータ以外にも、選定したフラッシュ液の種類(もしくは屈折率)も格納される。
【0066】
プルバック処理を終えると、実寸の尺度を付けて、構築した断層像をLCDモニタ113に表示し(ステップS108)、本処理を終える。
【0067】
次に、図6のステップS4の保存画像表示処理を、図8のフローチャートに従って説明する。実施形態におけるこの処理は、過去にスキャンした断層像の確認に留まるのではなく、フラッシュ液の選択を誤ったままプルバック処理を行ってしまった場合に対処する。
【0068】
先ず、制御部305は、不図示のハードディスクに保存されたデータファイルの中から、目的とするファイルを探し出し、そのファイルの画像データを読込む(ステップS201)。ファイル名は、患者名、スキャン日時等のキー情報を含んでいるものとし、それを参照して探せばよい。或いは、専用のデータベースを用意し、キー情報で検索して目的のファイルを検索しても良い。
【0069】
読み込んだデータに基づいて、断層像と選定したフラッシュ液の名称をLCDモニタ113に表示する(ステップS202)。
【0070】
ここで、表示されたフラッシュ液の名称を見て、操作者が誤りに気づいた場合、変更指示を操作パネル112から指示する。この指示を受けると、制御部305は、フラッシュ液テーブル305aを参照して、選択可能なフラッシュ液一覧を表示し、選択を行なわせる(ステップS203)。
【0071】
フラッシュ液の再設定が指示されると、その再設定したフラッシュ液の屈折率ntrueが決定される。一方、選択したファイル内には、間違ったフラッシュ液の情報が格納されていたわけであるから、その屈折率nfalseを得ることもできる。更にまた、ファイル内には、光学ミラー401の移動中のデータ(図9参照)が格納されている。従って、これらを用いて、先に示した式(6)に従ってオフセット値(Offset)を算出し、式(2)に従って新たに設定したフラッシュ液(の屈折率ntrue)に基づく断層画像の再構築処理を実行する(ステップS204)。このとき、正しい屈折率ntrueは新たに記録しておく。ただし、光学ミラー401の移動中のデータ並びに屈折率nfalseについては、変更しない。こうして、再構築処理を終えると、処理はステップS202に戻り、その断層画像のデータを読み出して表示を行うこととなる。
【0072】
以上説明したように本実施形態によれば、光干渉断層診断装置において、操作者によるフラッシュ液の設定作業、キャリブレーション作業、プルバック操作という作業手順において、キャリブレーション後に、設定したフラッシュ液の種類の誤りに気づいてフラッシュ液の変更を行った場合、キャリブレーション作業にまで戻る必要をなくすことができる。すなわち、その再キャリブレーション作業を、自動的に処理することで、施術時間や施術回数が増えることを避け、患者へかかる負担を少なくしつつ、操作者に係る操作も簡便なものとすることが可能になる。
【符号の説明】
【0073】
100:画像診断装置、101:光プローブ部、102:スキャナ/プルバック部、102a:操作部、103:操作制御装置、201:イメージングコア、208:光源、219:光検出器、220:増幅器、223:信号処理部、225:光路長の可変機構、226:光カップラ部、305:制御部、305a:フラッシュ液テーブル、306:オフセット値算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出力された光を光カップラで測定光と参照光に分割し、被検体の生体管腔に挿入される光プローブ部の先端近傍位置に設けた回動可能な光学ミラーから前記測定光を生体組織に向けて出射して得られる反射光と、前記参照光とから得られる干渉光の光強度に基づいて被検体の生体組織の断面画像を生成する光干渉断層像形成装置であって、
前記生体組織の測定部位にフラッシュ液を放出するフラッシュ手段と、
前記フラッシュ液の屈折率を、フラッシュ液の種類に応じて設定された複数の屈折率の中から、操作者の指示に応じて選択する屈折率選択手段と、
前記測定光と前記参照光の光路長を一致させるために、前記選択された屈折率における前記参照光の光路長を調整するための調整値を操作者の操作に応じて設定する調整値設定手段と、
前記調整値に基づいて前記参照光の光路長を調整する光路長調整手段とからなるキャリブレーション手段と、
前記フラッシュ液を前記生体管腔内に放出させ、前記光学ミラーを回転させながら前記生体管腔の軸方向に移動させ、当該移動中の前記干渉光をサンプリングするプルバック手段と、
前記サンプリングされた干渉光のデータを元に前記断面画像を構築する画像構築部と、
前記キャリブレーション手段によってキャリブレーションが実行された後、前記屈折率選択手段によって前記屈折率が変更されたとき、前記変更された屈折率に基づいて前記参照光の光路長のオフセット値を算出する、オフセット値算出部とを有することを特徴とする光干渉断層像形成装置。
【請求項2】
前記光路長調整手段は、前記キャリブレーション手段によってキャリブレーションが実行された後であって、前記プルバック手段の動作の前に前記屈折率選択手段によって前記屈折率が変更されたとき、前記オフセット値算出部によって算出されたオフセット値に基づいて、前記参照光の光路長を自動調整することを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層像形成装置。
【請求項3】
前記画像構築部は、前記プルバック手段による前記干渉光のサンプリングが完了した後に、前記屈折率選択手段によって前記屈折率が変更されたとき、前記オフセット値算出部によって算出されたオフセット値に基づいて、前記データを補正し、前記断面画像を再構築することを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層像形成装置。
【請求項4】
前記屈折率選択手段は、フラッシュ液中の造影剤の含有率を示す数字を選択するものである請求項1に記載の光干渉断層像形成装置。
【請求項5】
前記光源は、波長掃引光源であることを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層像形成装置。
【請求項6】
光源から出力された光を光カップラで測定光と参照光に分割し、被検体の生体管腔に挿入される光プローブ部の先端近傍位置に設けた回動可能な光学ミラーから前記測定光を生体組織に向けて出射して得られる反射光と、前記参照光とから得られる干渉光の光強度に基づいて被検体の生体組織の断面画像を生成する光干渉断層像形成装置の制御方法であって、
前記プローブの先端近傍から血管内に放出させるためのフラッシュ液の1つを、フラッシュ液の種類に応じて設定された複数の屈折率に中から、操作者の指示に応じて選択する選択工程と、
前記測定光と前記参照光の光路長を一致させるために、前記選択された屈折率における前記参照光の光路長を調整するための調整値を操作者の操作に応じて設定し、前記調整値に基づいて前記参照光の光路長を調整することからなるキャリブレーション工程と、
前記キャリブレーション工程の後に、前記フラッシュ液の屈折率が変更されたとき、前記変更された屈折率に基づいて前記参照光の光路長のオフセット値を算出するオフセット値算出工程と
を有することを特徴とする光干渉断層像形成装置の制御方法。
【請求項1】
光源から出力された光を光カップラで測定光と参照光に分割し、被検体の生体管腔に挿入される光プローブ部の先端近傍位置に設けた回動可能な光学ミラーから前記測定光を生体組織に向けて出射して得られる反射光と、前記参照光とから得られる干渉光の光強度に基づいて被検体の生体組織の断面画像を生成する光干渉断層像形成装置であって、
前記生体組織の測定部位にフラッシュ液を放出するフラッシュ手段と、
前記フラッシュ液の屈折率を、フラッシュ液の種類に応じて設定された複数の屈折率の中から、操作者の指示に応じて選択する屈折率選択手段と、
前記測定光と前記参照光の光路長を一致させるために、前記選択された屈折率における前記参照光の光路長を調整するための調整値を操作者の操作に応じて設定する調整値設定手段と、
前記調整値に基づいて前記参照光の光路長を調整する光路長調整手段とからなるキャリブレーション手段と、
前記フラッシュ液を前記生体管腔内に放出させ、前記光学ミラーを回転させながら前記生体管腔の軸方向に移動させ、当該移動中の前記干渉光をサンプリングするプルバック手段と、
前記サンプリングされた干渉光のデータを元に前記断面画像を構築する画像構築部と、
前記キャリブレーション手段によってキャリブレーションが実行された後、前記屈折率選択手段によって前記屈折率が変更されたとき、前記変更された屈折率に基づいて前記参照光の光路長のオフセット値を算出する、オフセット値算出部とを有することを特徴とする光干渉断層像形成装置。
【請求項2】
前記光路長調整手段は、前記キャリブレーション手段によってキャリブレーションが実行された後であって、前記プルバック手段の動作の前に前記屈折率選択手段によって前記屈折率が変更されたとき、前記オフセット値算出部によって算出されたオフセット値に基づいて、前記参照光の光路長を自動調整することを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層像形成装置。
【請求項3】
前記画像構築部は、前記プルバック手段による前記干渉光のサンプリングが完了した後に、前記屈折率選択手段によって前記屈折率が変更されたとき、前記オフセット値算出部によって算出されたオフセット値に基づいて、前記データを補正し、前記断面画像を再構築することを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層像形成装置。
【請求項4】
前記屈折率選択手段は、フラッシュ液中の造影剤の含有率を示す数字を選択するものである請求項1に記載の光干渉断層像形成装置。
【請求項5】
前記光源は、波長掃引光源であることを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層像形成装置。
【請求項6】
光源から出力された光を光カップラで測定光と参照光に分割し、被検体の生体管腔に挿入される光プローブ部の先端近傍位置に設けた回動可能な光学ミラーから前記測定光を生体組織に向けて出射して得られる反射光と、前記参照光とから得られる干渉光の光強度に基づいて被検体の生体組織の断面画像を生成する光干渉断層像形成装置の制御方法であって、
前記プローブの先端近傍から血管内に放出させるためのフラッシュ液の1つを、フラッシュ液の種類に応じて設定された複数の屈折率に中から、操作者の指示に応じて選択する選択工程と、
前記測定光と前記参照光の光路長を一致させるために、前記選択された屈折率における前記参照光の光路長を調整するための調整値を操作者の操作に応じて設定し、前記調整値に基づいて前記参照光の光路長を調整することからなるキャリブレーション工程と、
前記キャリブレーション工程の後に、前記フラッシュ液の屈折率が変更されたとき、前記変更された屈折率に基づいて前記参照光の光路長のオフセット値を算出するオフセット値算出工程と
を有することを特徴とする光干渉断層像形成装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−13439(P2013−13439A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146296(P2011−146296)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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