説明

光干渉樹脂微粒子及び光干渉複合微粒子

【課題】光干渉効果を有し、液晶性を示す等の特殊な性質を有する材料からなるものでなくても有機溶媒及びバインダー樹脂中への分散性に優れ、充分なパール色を発現させることができる光干渉樹脂微粒子、光干渉複合微粒子、化粧料、塗料、該塗料で塗装されてなる塗装物、インク、並びに、該インクで印刷されてなる印刷物を提供する。
【解決手段】内部に空隙を有する扁平形状の光干渉樹脂微粒子であって、空隙率が50%以上であり、かつ、体積平均粒子径が0.1〜100μmである光干渉樹脂微粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光干渉効果を有し、液晶性を示す等の特殊な性質を有する材料からなるものでなくても有機溶媒及びバインダー樹脂中への分散性に優れ、充分なパール色を発現させることができる光干渉樹脂微粒子、及び、光干渉複合微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機溶媒やバインダー樹脂に光干渉効果を有する微粒子をパール顔料として含有させることで、例えば、インク、塗料、プラスチック、化粧料等にパール色を発現させている。
【0003】
このパール顔料は、薄片形状を有する粒子であり、少なくとも屈折率の異なる2層以上のコア/シェル構造を有することによって、その粒子表面及び層界面双方からの反射光の相互干渉作用によってパール色を発現するものである。
このような光干渉効果を有するパール顔料としては、従来、マイカ、セリサイト、タルク等の平滑性の高い薄片状の無機化合物基材上に屈折率の高い透明性又は半透明性の金属酸化物を被覆せしめた無機材料からなるものが用いられてきた。
【0004】
しかしながら、このような無機材料からなるパール顔料は、極性が高く、有機溶媒やバインダー樹脂等に対して親和性が悪いという問題があった。
【0005】
このような問題に対して、光干渉効果を有する粒子の有機溶媒やバインダー樹脂に対する親和性を向上させる方法として、例えば、有機系の材料からなる光干渉効果を有する粒子を用いる方法が考えられる。
【0006】
例えば、特許文献1には、分子内に重合性官能基とメソゲン基とを有する重合性液晶又はその組成物を、これと非相溶の溶媒中に分散させて重合することにより、光干渉性の球形樹脂粒子を得る方法が開示されている。
【0007】
この光干渉効果を有する球形樹脂粒子は、有機溶媒やバインダー樹脂中への分散性に優れる反面、光干渉効果により充分なパール色を発現することができず、また、粒子材料として用いることができるのは、例えば、セルロース誘導体や重合性の液晶等の溶液状態でコレステリック状態を示す一部の特殊材料に限られていた。
【特許文献1】特開2003−26707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の現状に鑑み、光干渉効果を有し、液晶性を示す等の特殊な性質を有する材料からなるものでなくても有機溶媒及びバインダー樹脂中への分散性に優れ、充分なパール色を発現させることができる光干渉樹脂微粒子、及び、光干渉複合微粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内部に空隙を有する扁平形状の光干渉樹脂微粒子であって、空隙率が50%以上であり、かつ、体積平均粒子径が0.1〜100μmである光干渉樹脂微粒子である。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の結果、一定以上の空隙率を有するととともに所定の粒子径を有する扁平形状の中空樹脂微粒子は、微粒子表面における反射光と、樹脂層と内部空隙との界面における反射光との相互干渉効果により充分なパール色を発現することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明の光干渉樹脂微粒子は、内部に空隙を有し、その空隙率の下限は50%である。50%未満であると、液晶性を示すような特殊な材料を用いることなく製造した本発明の光干渉樹脂微粒子を後述する一定以上の扁平形状とすることができない。また、微粒子表面での反射光と、樹脂層と内部空隙との界面での反射光との相互干渉効果が不充分となり、充分なパール色を発現させることができない。上記空隙率の好ましい下限は70%であり、好ましい上限は99%である。
【0012】
また、本発明の光干渉樹脂微粒子は、内部に単一の空隙を有する単孔構造であることが好ましい。単孔構造であると微粒子表面での反射光と、樹脂層と内部空隙との界面での反射光との相互干渉効果が高いものとなるからである。
【0013】
本発明の光干渉樹脂微粒子は、体積平均粒子径の下限が0.1μmであり、上限が100μmである。0.1μm未満であると、粒子表面及び樹脂層と内部空隙との界面において光の反射が起こらず光干渉効果を発現しない。100μmを超えると、粉末のチラつきや本発明の光干渉樹脂微粒子を化粧料として用いる場合に肌のザラつき感が問題になる。好ましい下限は0.2μmであり、好ましい上限は80μmである。
【0014】
本発明の光干渉樹脂微粒子は、扁平形状である。このような扁平形状の本発明の光干渉樹脂微粒子は、好適なパール色を発現させることができる。なお、本明細書において、「扁平形状」とは、真球状の形状を有さずある程度扁平化されていることを意味し、具体的には、例えば、円盤状や碁石状の扁平形状や、そら豆状や赤血球状の扁平形状、また、ラグビーボール状の扁平形状等を意味する。
このような扁平形状の本発明の光干渉樹脂微粒子は、左右対称であってもよく、左右非対称であってもよい。
【0015】
また、本発明の光干渉樹脂微粒子は、平坦な面を有することが好ましい。上記平坦な面を有することで、本発明の光干渉樹脂微粒子は、充分な光干渉効果を有するものとなる。ここで、「平坦な面」とは、本発明の光干渉樹脂微粒子の形状を観察した場合に曲面でないと認められる面を意味する。
【0016】
上記扁平形状の本発明の光干渉樹脂微粒子は、更に具体的には、短径(a)と長径(b)との比(a/b)の下限が(1/50)、上限が(1/1)であることが好ましい。(a/b)が(1/50)未満であると、上記体積平均粒子径を満たす本発明の光干渉樹脂微粒子は、短径が微小になりすぎ、微粒子表面での反射光と、樹脂層と内部空隙との界面での反射光との相互干渉効果が不充分となり、充分なパール色を発現させることができない。(a/b)が(1/1)である場合、本発明の光干渉樹脂微粒子は、短径と長径との長さが等しくなる。上記(a/b)の好ましい下限は(1/10)である。
【0017】
また、本発明の光干渉樹脂微粒子は、厚さ(c)と長径(b)との比(c/b)の上限が(1/2)であることが好ましい。(1/2)を超えると、微粒子の扁平が不充分となって樹脂層と内部空隙との界面が平滑とならず、微粒子表面での反射光と、樹脂層と内部空隙との界面での反射光とが一定の相互干渉を示さず、充分な干渉色(パール色)を発現しない。上記(c/b)の好ましい下限は(1/10)である。
【0018】
本明細書において、「長径」とは、本発明の光干渉樹脂微粒子をその輪郭が最大となる位置で観察した場合に、該最大の輪郭の描く面内での最も長い径を意味する。また、「短径」とは、上記最大の輪郭が描く面内で長径の中点で直交する径を意味する。更に、「厚さ」とは、上記最大の輪郭が描く面に対して垂直かつ上記短径を含む断面において、上記短径の中点と交わるか、又は、その延長線が上記短径の中点と交わる径を意味する。本発明の光干渉樹脂微粒子の短径は、厚さよりも大きいことが好ましい。また、本発明の光干渉樹脂微粒子が上述した平坦な面を有する場合、該平坦な面と上記最大の輪郭の描く面とは、平行な関係となることが好ましい。
なお、本明細書において、本発明の光干渉樹脂微粒子の短径(a)と長径(b)との比(a/b)、及び、厚さ(c)と長径(b)との比(c/b)は、電子顕微鏡を用いて少なくとも500個の本発明の光干渉樹脂微粒子を測定した平均値をいう。
【0019】
本発明の光干渉樹脂微粒子の組成としては、上述の扁平形状を取り得る中空樹脂粒子を合成可能なものであれば特に限定されないが、空気相/微粒子表面、及び、樹脂層/粒子内部空隙層界面における反射光を充分に強くし、干渉色を強く発現させたい場合は、屈折率1.60以上の高屈折率の樹脂を用いることが好ましい。また、空気相/樹脂粒子表面、及び、樹脂層/粒子内部空隙層界面における反射光を適度に抑え、ギラつき感を抑えたい場合は、屈折率1.60以下の低屈折率の樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
上記屈折率1.60以上の高屈折率を有する樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ディフェニルメチルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、可とう性エポキシ樹脂、結晶性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のベンゼン環含有ポリマー;ポリナフチルメタクリレート、ポリビニルナフタレン、ナフタレンホルムアルデヒド樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格含有ポリマー;ポリビニリデンクロライド、ポリクロロスチレン、ポリブロモフェニルメタクリレート、ポリペンタブロモフェニルメタクリレート、臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン含有ポリマー;ポリスルフォン、ポリビニルチオフェン、ポリスルフィド、ポリビニルフェニルスルフィド等の硫黄元素含有ポリマー等が挙げられる。
【0021】
上記屈折率1.60以下の低屈折率を有する樹脂としては特に限定されず、例えば、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、水添化エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサンマクロモノマー、フルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、トリフルオロエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等の下記一般式(1)で表されるアクリル酸、メタクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、部分フッ素化エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0022】
【化1】

上記式(1)中、Rは、水素原子、メチル基、又はフッ素原子を表し、n、pは、自然数である。
【0023】
本発明の光干渉樹脂微粒子の製造方法としては、例えば、特開2002−229249号公報に記載の加熱された状態の粒子を加圧された隘路を循環させて扁平粒子を得る方法を、中空粒子を用いて行う方法;上述した範囲を満たす所定の扁平形状を有する無機粒子及び/又は有機粒子を鋳型粒子として用い、該鋳型粒子上に樹脂層を積層重合した後、積層重合した樹脂層を溶解せず内部の鋳型粒子を溶解する溶媒を用いて扁平形状の中空粒子を得る方法;界面重合法により作製した球状の中空粒子をボールミル、乳鉢等の押圧、剪断力下で扁平化する方法;適宜選択した所定の材料を用いて界面重合法により高度に扁平化した中空樹脂微粒子を製造する方法等が挙げられる。なかでも、界面重合法により作製した球状の中空粒子を扁平化する方法や、適宜選択した所定の材料を用いて界面重合法により扁平化した中空樹脂微粒子を製造する方法を用いると、所望の形状の中空樹脂微粒子が得ることができ、好適である。
【0024】
本発明の光干渉樹脂微粒子を界面重合により製造する場合、具体的には、反応することにより樹脂を生成する親油性反応成分Aと親水性反応成分Bとを用い、上記親水性反応成分Bを含有する極性媒体中に、上記親油性反応成分Aを含有する重合性液滴が分散した分散液を調製する工程と、上記親油性反応成分Aと上記親水性反応成分Bとを反応させる工程とを有する製造方法により製造することができる。また、更に得られた樹脂微粒子を扁平化する工程を有する製造方法でも製造することができる。
【0025】
このような製造方法によると、空隙率が高く、単孔構造を有する上述した本発明の光干渉樹脂微粒子を製造することができ、更に、親油性反応成分A、親水性反応成分B及び親油性反応成分以外の親油性成分の選択によって、液晶性を示す等の特殊な性質を有する材料を用いなくても、上述した一定以上に扁平化した形状を有する本発明の光干渉樹脂微粒子を製造することができる。
【0026】
上記親油性反応成分Aとしては特に限定はされず、例えば、ポリイソシアネート、エポキシモノマー、酸ハロゲン化物等を用いることができるが、モノマー種の選択幅が広く、得られる樹脂成分が強靱で高度の扁平化においても粒子が潰れず内部の空隙が確保し易いエポキシモノマーが好適である。
【0027】
上記エポキシモノマーは、親油性を有し、アミンやポリカルボン酸、酸無水物と反応して樹脂を与える。
上記エポキシモノマーとしては特に限定されず、例えば、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、脂肪族型、脂環式型、ノボラック型、アミノフェノール型、ヒダトイン型、イソシアヌレート型、ビフェノール型、ナフタレン型及びそれらの水添化物、フッ素化物等のいずれも用いることができるが、得られる樹脂成分の架橋密度が高く、高度の扁平化においても内部空隙が確保しやすいエポキシ当量500以下のエポキシモノマーを少なくとも1種類以上配合することが好ましく、更に好ましくはエポキシ当量200以下のエポキシモノマーである。
【0028】
エポキシ当量が200以下のエポキシモノマーとしては特に限定はされず、例えば、エポトートYD115、エポトートYD127、エポトートYD128(商品名 東都化成社製)、エピコート825、エピコート827、エピコート828(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON 840、EPICLON 850(商品名 大日本インキ化学社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;エポトートYDF−170、エポトートYDF175S(商品名 東都化成社製)、エピコート806、エピコート807(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON 830、EPICLON 835(商品名 大日本インキ化学社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;エポトートYDPN―638、エポトートYDCN―701、エポトートYDCN―702、エポトートYDCN−703、エポトートYDCN―704、エポトートYDCN−500(商品名 東都化成社製)、エピコート152、エピコート154(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON N−655、EPICLON N−740、EPICLONN−770、EPICLON N−775、EPICLON N−865(商品名 大日本インキ化学社製)等のノボラック型エポキシ樹脂;エポトートYH−434、エポトートYH434−L(商品名 東都化成社製)、エピコート1031S、エピコート1032H60、エピコート604、エピコート630(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON 430(商品名 大日本インキ化学社製)、TETRAD−X、TETRAD−C(商品名 三菱ガス化学社製)等の特殊多官能タイプ;エピコートYX4000、エピコートYL6121H、エピコートYL6640、エピコートYL6677(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂;エポトートYH−300、エポトートYH301、エポトートYH−315、エポトートYH−324、エポトートYH−325(商品名 東都化成社製)等の脂肪族ポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;エポトートYDC−1312、エポトートYSLV−80XY(商品名 東都化成社製)等の結晶性エポキシ樹脂;EPICLON HP−4032、EPICLON EXA−4700(商品名 大日本インキ化学社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂;エピコート191P、エピコートYX310(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON HP−820(商品名 大日本インキ化学社製)等の特殊機能型エポキシ樹脂;EPICLON 725(商品名 大日本インキ化学社製)等の反応性希釈剤等が挙げられる。
【0029】
エポキシ当量が200を超え、500未満のエポキシモノマーとしては特に限定されず、例えば、エポトートYD134、エポトートYD011(商品名 東都化成社製)、エピコート801、エピコート1001(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1055(商品名 大日本インキ化学社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;エポトートYDF−2001(商品名 東都化成社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−695(商品名 大日本インキ化学社製)等のノボラック型エポキシ樹脂;エピコート157S70(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON5500(商品名 大日本インキ化学社製)等の特殊多官能タイプ;エポトートYDB−360、エポトートYDB−400、エポトートYDB405(商品名 東都化成社製)、EPICLON152、EPICLON153(商品名 大日本インキ化学社製)等の臭素化エポキシ樹脂;エポトートYD−171(商品名 東都化成社製)、エピコート871(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)、EPICLON TSR−960、EPICLON TSR−601(商品名 大日本インキ化学社製)等の可とう性エポキシ樹脂;エポトートST−3000(商品名 東都化成社製)、エピコートYX8000、エピコートYX8034(商品名 ジャパンエポキシレジン社製)等の水添型エポキシ樹脂;EPICLON HP−7200(商品名 大日本インキ化学社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0030】
なかでも、得られる樹脂の靭性が高く高度の変形化が可能なビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、可とう性エポキシ樹脂、及び、それらの水添化物を1種類以上用いると、界面重合法により扁平化した形状を有する中空粒子が得られやすく好適である。
これらのエポキシモノマーは単体で用いてもよく、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0031】
また、例えば、上記親油性反応成分Aとしてエポキシモノマーを用いる場合には、アミン及び/又はポリカルボン酸、酸無水物等を親水性反応成分Bとして用いることができ、なかでもアミン系硬化剤が反応温度、硬化物性の点において好適である。
【0032】
上記アミンとしては特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノヘプタン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、テトラメチレンジアミン、ビスヘキサメチレントリアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラエチレンペンタミン、ノルボルナンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等のポリアミン;2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物等のイミダゾール;ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン等のピペラジン系化合物;エポキシ樹脂のアミノ付加物等のアミノ基含有プレポリマー等が挙げられる。
なかでも、活性水素当量50以下であり、かつ、炭素数4以上10未満のアルキレンジアミンを少なくとも1種類以上含む硬化剤系を用いると、アルキレン部分の柔軟性により高度に扁平した本発明の光干渉樹脂微粒子が得られやすい。
【0033】
上記ポリカルボン酸としては特に限定されず、例えば、シュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、(o−、m−、p−)ベンゼンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メチルメタクリル酸等のいずれかを10重量%以上含むポリマー共重合体等が挙げられる。
【0034】
上記酸無水物としては特に限定されず、例えば、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸およびその混合物、シクロペンタン・テトラカルボン酸二無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル・テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロキシフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2’−ジカルボン酸無水物、無水メチルナジック酸などの酸無水物及びその変性物等が挙げられる。
【0035】
上述の製造方法においては、上記親油性反応成分Aに非重合性化合物を配合してもよい。上記非重合性化合物は、極性媒体中で安定した重合性液滴を形成させたり、親油性反応成分Aと親水性反応成分Bとの反応速度を制御したりする役割に加え、後述する工程により未反応の親油性反応成分Aとを内包する樹脂微粒子を調製したときに該樹脂微粒子には非重合性化合物も内包されることになり、非重合性化合物と未反応の親油性反応成分Aとを内包する樹脂微粒子から非重合性化合物及び未反応の親油性反応成分Aを除くことで、樹脂微粒子を中空状にする役割を有する。
【0036】
上記非重合性化合物としては、上記親油性反応成分Aと親水性反応成分Bとの反応温度において液状であり、親油性反応成分Aと混合でき、親油性反応成分Aと反応せず、かつ、加熱等により容易に蒸散させることができるものであれば特に限定はされず、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の有機溶剤等を用いることができる。なかでも、SP値の下限が16.0MPa1/2で、上限が18.0MPa1/2の有機溶剤を用いることにより高度に扁平化した本発明の光干渉樹脂微粒子が得られやすいため好ましい。そのような有機溶剤としては特に限定はされないが、例えば、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルノニルケトン、ジオクチルフタレート、プロピルエーテル、ドデカン、ジエチルアミン、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン、メチルアミルアセテート、ブチルクロライド、ジブチルアミン、ラウリルアルコール、プロピルクロライド、ブチルアセテート、シクロヘキサン、エチルアミルケトン、エチレングリコールジエチルエーテル、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、アニソール、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロペンタン、ジエチレングリコールモノラウレート、メチルプロピルケトン、クロロトルエン、ジメチルエーテル、キシレン等が挙げられる。
【0037】
上記非重合性化合物の配合量としては特に限定されないが、上記親油性反応成分50重量部に対して好ましい下限は50重量部、好ましい上限は1000重量部である。50重量部未満であると、得られる本発明の光干渉樹脂微粒子の空隙率が低くなることがあり扁平化した粒子が得られにくく、1000重量部を超えると、得られる本発明の光干渉樹脂微粒子の樹脂層が薄くなりすぎるために扁平化した時に内部空隙が潰れてしまうことがある。
【0038】
上記極性媒体としては特に限定はされず、水やグリシン−HCl緩衝液、クエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液、リン酸緩衝液、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の通常の極性媒体の中で、上記親油性反応成分Aと混じり合わず、上記親油性反応成分Aの分散液を調製可能なものであれば任意に用いることができる。
【0039】
上記分散液を調製する方法としては特に限定されず、例えば、高剪断力の乳化装置を用いることで扁平形状の重合性液滴の分散液を好適に調製することができる。このような高剪断力の乳化装置としては、例えば、ホモミキサー、バイオミキサー、オムニミキサー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー等が挙げられる。
【0040】
上記分散液を調製する際には、上記極性媒体中に各種添加剤を添加してもよく、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸カリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート等のノニオン性乳化剤、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性乳化剤、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性乳化剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、マリアリム、ポリスチレンスルホン酸等の高分子分散剤や、セチルアルコール等の分散助剤が挙げられる。
【0041】
上述した本発明の光干渉樹脂微粒子を製造する方法は、上記親油性反応成分Aと上記親水性反応成分Bとを反応させて樹脂微粒子を得る工程を有する。
例えば、上記分散液を加熱して上記親油性反応成分Aと親水性反応成分Bとの反応温度にすることにより親油性反応成分Aと親水性反応成分Bとが反応して樹脂を生じる。このとき、親油性反応成分Aを含む重合性液滴と親水性反応成分Bを含む極性媒体とは相分離していることから、反応は上記重合性液滴と極性媒体との界面付近においてのみ起こり、生成した樹脂からなる殻を有し、未反応の親油性反応成分A(及び、上記非重合性化合物)を内包有する樹脂微粒子が形成される。
【0042】
上述の工程において製造される樹脂微粒子は、未反応の上記親油性反応成分Aを内包する場合がある。この場合、本発明の光干渉樹脂粒子を製造する方法としては、更に、上記樹脂微粒子から内包する未反応の上記親油性反応成分Aを除去する工程を有することが好ましい。
上記得られた樹脂微粒子中の残存する親油性反応成分Aを除く方法としては特に限定されず、例えば、得られた樹脂微粒子の分散液に窒素、空気等の気体を吹き込む方法;系全体を減圧する方法;残存する親油性成分と混合可能な溶媒中において上記親油性反応成分Aを抽出除去する等が挙げられる。
更に、温度条件を内部の未反応の親油性反応成分Aの沸点以上とすることで、残存する親油性反応成分Aを内包する樹脂微粒子から残存する親油性反応成分Aを除くことができる。
【0043】
上述の製造方法により形成される樹脂微粒子は、上述した親油性反応成分A、親水性反応成分B及び上記非重合性化合物等の選択により、上述した本発明の光干渉樹脂微粒子のように、一定以上に扁平化したものとなる。
また、上述の方法によって所望の粒子径、所望の空隙率を有する真球状の中空樹脂微粒子を製造し、扁平化するための工程を施すことによっても、本発明の光干渉性樹脂微粒子を好適に製造することができる。扁平化するための工程としては特に限定はされず、上述した方法により扁平化することができる。
【0044】
このような本発明の光干渉樹脂微粒子の製造方法により、空隙率が50%以上であり、かつ体積平均粒子径が0.1〜100μmである本発明の光干渉樹脂微粒子を製造することができる。
【0045】
また、本発明の光干渉樹脂微粒子の表面に被覆用微粒子を被覆させることで、本発明の光干渉樹脂微粒子の光沢制御、皮膚感触改善等を好適に行うことができる。
このような本発明の光干渉樹脂微粒子と、該光干渉樹脂微粒子の表面を被覆する被覆用微粒子とからなる光干渉複合微粒子もまた、本発明の1つである。
【0046】
上記被覆用微粒子としては特に限定されず、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ等の無機微粒子、アクリル樹脂、ナイロ樹脂、スチレン樹脂、シリコン樹脂等の有機微粒子等が挙げられる。
【0047】
上記被覆用微粒子の大きさとしては、本発明の光干渉樹脂微粒子に対して粒子径が小さく被覆可能なものであれば特に限定されないが、被覆し易さの点から本発明の光干渉樹脂微粒子の長径に対して、粒子径の上限が1/2であることものが好ましい。1/2を超えると、本発明の光干渉樹脂微粒子の表面に被覆することができないことがある。
【0048】
上記被覆用樹脂微粒子の本発明の光干渉樹脂微粒子に対する被覆率としては特に限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は20重量%である。1重量%未満であると、本発明の光干渉樹脂微粒子の光沢制御や皮膚感触改善といった効果を充分に得ることができないことがあり、20重量%を超えると、本発明の光干渉樹脂微粒子表面における反射光と、樹脂層と内部空隙との界面における反射光との相互干渉作用によるパール色の発現が不充分となることがある。
【0049】
本発明の光干渉複合微粒子において、上記被覆用微粒子は、中空微粒子であることが好ましい。被覆用微粒子として中空粒子を用いることで、例えば、本発明の光干渉複合微粒子をメーキャップ化粧料の粉体配合成分として用いた際に、透明感のある自然な仕上がりを実現することができる。
【0050】
上記被覆用微粒子が中空微粒子である場合、その空隙率としては特に限定されないが、好ましい下限は10%、好ましい上限は90%である。10%未満であると、中空微粒子としての上述した効果を充分に得ることができないことがあり、90%を超えると、強度が低下し、空隙が潰れてしまうことがある。
【0051】
中空微粒子である上記被覆用微粒子としては特に限定されず、例えば、中空シリカ粒子、中空アクリル樹脂粒子、中空スチレン−アクリル共重合体樹脂粒子、中空ナイロン樹脂粒子、中空シリコーン樹脂粒子、中空フッ素樹脂粒子、中空シリコーン樹脂粒子、中空エポキシ樹脂粒子等が挙げられる。
【0052】
本発明の光干渉樹脂微粒子及び/又は本発明の光干渉複合粒子は、種々の用途に用いることができ、例えば、本発明の光干渉樹脂微粒子及び/又は本発明の光干渉複合粒子を、微粒子表面における反射光と、樹脂層と内部空隙との界面における反射光との相互干渉による光沢を付与する目的で、化粧料、塗料、インクに用いることができる。
本発明の光干渉樹脂微粒子及び/又は本発明の光干渉複合粒子を含有する化粧料、塗料及びインクもまた、それぞれ本発明の1つである。
【0053】
本発明の光干渉樹脂微粒子及び/又は光干渉複合粒子を含有する本発明の化粧量は、従来の化粧料の製造方法と同様にして、本発明の光干渉樹脂微粒子及び/又は光干渉複合粒子の他に、通常の化粧料に配合される成分が配合される。
これらの成分としては、例えば、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ、高級脂肪酸、高級アルコール等の固形、半固形油分、スクワラン、流動パラフィン、エステル油、ジグリセライド、トリグリセライド、シリコン油等の流動油分、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤、水溶性及び油溶性ポリマー、界面活性剤、無機及び有機顔料、シリコン又はフッ素化合物で処理された無機及び有機顔料、有機染料等の色剤、エタノール、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等が挙げられる。
これらの成分の配合量としては特に限定されず、上述した本発明の光干渉樹脂微粒子及び/又は光干渉複合粒子の効果を損なわない範囲内で適宜配合可能である。
【0054】
本発明の光干渉樹脂微粒子及び/又は光干渉複合粒子を含有する本発明の塗料又はインキは、従来の塗料やインキの製造方法と同様にして、本発明の光干渉樹脂微粒子及び/又は光干渉複合粒子、結着樹脂、溶剤、並びに、必要に応じて添加剤を混練することにより製造することができる。
インキ用結着樹脂としては、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンアルキド樹脂、ロジンエステル樹脂、アクリル樹脂、油変性アルキド樹脂等の従来用いられている塗料用樹脂が挙げられる。
また、混練には、ボールミル、ダイノールミル、サンドグラインドミル、ペイントコンディショナー、二本ロール、三本ロール、加熱ニーダー、超音波分散機等を使用することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、光干渉効果を有し、液晶性を示す等の特殊な性質を有する材料からなるものでなくても有機溶媒及びバインダー樹脂中への分散性に優れ、充分なパール色を発現させることができる光干渉樹脂微粒子、及び、光干渉複合微粒子を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
エポキシモノマー成分としてエピコート834(エポキシ当量230〜270 ジャパンエポキシレジン株式会社製)30重量部とエピコート871(エポキシ当量390〜470 ジャパンエポキシレジン株式会社製)10重量部と非重合性化合物としてジイソブチルケトン60重量部を混合・撹拌した混合溶液の全量を、硬化剤成分としてヘキサメチレンジアミン5重量部とジアミノヘプタン5重量部と水溶性分散剤としてポリビニルアルコール2重量部を含有するイオン交換水400重量部に添加し、ホモジナイザーにて攪拌乳化して、平均粒径8μmの液滴が分散した分散液を調製した。
撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。
得られたスラリーをセントルにて脱水し、その後真空乾燥により残存親油性成分を除去し光干渉樹脂微粒子を得た。
【0058】
(実施例2)
エポキシモノマー成分としてエピコート834(エポキシ当量230〜270 ジャパンエポキシレジン株式会社製)30重量部とエピコート871(エポキシ当量390〜470 ジャパンエポキシレジン株式会社製)10重量部と非重合性化合物としてジイソブチルケトン60重量部を混合・撹拌した混合溶液の全量を、硬化剤成分としてヘキサメチレンジアミン5重量部とジアミノヘプタン5重量部と水溶性分散剤としてポリビニルアルコール2重量部を含有するイオン交換水400重量部に添加し、ホモジナイザーにて攪拌乳化して、平均粒径8μmの液滴が分散した分散液を調製した。
撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。
得られたスラリーに平均粒子径80nmのアクリル樹脂微粒子を3g添加し1時間攪拌を行った後、スラリーをセントルにて脱水し、その後真空乾燥により残存親油性成分を除去し中空扁平形状の光干渉樹脂微粒子表面にアクリル樹脂微粒子が被覆された光干渉複合微粒子を得た。
【0059】
(実施例3)
エポキシモノマー成分としてエピコート834(エポキシ当量230〜270 ジャパンエポキシレジン株式会社製)30重量部とエピコート871(エポキシ当量390〜470 ジャパンエポキシレジン株式会社製)10重量部と非重合性化合物としてトルエン60重量部を混合・撹拌した混合溶液の全量を、硬化剤成分としてヘキサメチレンジアミン5重量部とジアミノヘプタン5重量部と水溶性分散剤としてポリビニルアルコール2重量部を含有するイオン交換水400重量部に添加し、ホモジナイザーにて攪拌乳化して、平均粒径8μmの液滴が分散した分散液を調製した。
撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、得られた分散液を投入し、重合器を80℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却した。
得られたスラリーに平均粒子径102nmのエポキシ中空樹脂微粒子を3g添加し1時間攪拌を行った後、スラリーをセントルにて脱水し、その後真空乾燥により残存親油性成分を除去し中空扁平形状の光干渉樹脂微粒子表面にエポキシ中空樹脂微粒子が被覆された光干渉複合微粒子を得た。
【0060】
(比較例1)
無機光沢顔料として平均粒子径12μmのパール顔料(メルク社製、イリオジン201)を使用した。
【0061】
(比較例2)
非扁平中空粒子として平均粒子径15μmの中空多孔質球状粒子(松本油脂製薬社製、M−610)を使用した。
【0062】
(比較例3)
非中空扁平樹脂粒子として球状ナイロン(東レ社製、平均粒子径4μm)10重量部をポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム(日光ケミカルズ社製、ニッコールDLP10)0.2重量部、水40重量部を磁性ボール200gを入れた容量200mLの磁性ポットに入れ36時間回転させた後、濾過、乾燥を行い扁平形状の非中空扁平樹脂粒子としたものを用いた。
【0063】
(評価)
実施例1〜3及び比較例1〜3で得た微粒子について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
【0064】
(1)体積平均粒子径の測定
レーザー回折粒度分布計(堀場製作所社製、「LA−910」)を用いて体積平均粒子径を測定した。粉末の任意の場所から3カ所サンプリングし、その平均値を用いた。
【0065】
(2)長径、短径及び厚みの測定
電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、「S−3500N」)を用いて無作為に選んだ粒子500個以上を観察し、粒子平均の長径、短径及び厚みを測定した。
【0066】
(3)空隙率の測定
密度計(島津製作所社製、「アキュピック1330」)を用いて粒子内部の空隙を含む粒子の真比重を測定し、空隙率を計算した。
【0067】
(4)有機溶剤への分散性評価
実施例1〜3及び比較例1〜3で微粒子を、水中、イソプロピルアルコール中、シクロヘキサノン溶媒中にそれぞれ添加し、目視にて分散性の評価を下記の基準により判断した。
○:分散性良好
△:やや凝集あり
×:凝集
【0068】
(5)塗工性評価
実施例1〜3及び比較例1〜3で得た微粒子10gに対し、CCSTメジウム20g(東洋インク社製)、シクロヘキサノン20gの配合組成でインクを調製し、Kプリィンティングプルファー印刷機(R.K. Print−Coat Instruments社製)を用いて白黒隠蔽紙上にグラビア印刷を行った。印刷表面物の色調及び光沢を目視により下記の基準により3段階で判断した。
1:低い
2:普通
3:高い
【0069】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、光干渉効果を有し、液晶性を示す等の特殊な性質を有する材料からなるものでなくても有機溶媒及びバインダー樹脂中への分散性に優れ、充分なパール色を発現させることができる光干渉樹脂微粒子、及び、光干渉複合微粒子を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空隙を有する扁平形状の光干渉樹脂微粒子であって、空隙率が50%以上であり、かつ、体積平均粒子径が0.1〜100μmであることを特徴とする光干渉樹脂微粒子。
【請求項2】
請求項1記載の光干渉樹脂微粒子と、前記光干渉樹脂微粒子の表面を被覆する被覆用微粒子とからなることを特徴とする光干渉複合微粒子。
【請求項3】
被覆用微粒子が中空微粒子であることを特徴とする請求項2記載の光干渉複合微粒子。
【請求項4】
請求項1記載の光干渉樹脂微粒子及び/若しくは請求項2又は3記載の光干渉複合微粒子を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項5】
請求項1記載の光干渉樹脂微粒子及び/若しくは請求項2又は3記載の光干渉複合微粒子を含有することを特徴とする塗料。
【請求項6】
請求項5記載の塗料で塗装されてなることを特徴とする塗装物。
【請求項7】
請求項1記載の光干渉樹脂微粒子及び/若しくは請求項2又は3記載の光干渉複合微粒子を含有することを特徴とするインク。
【請求項8】
請求項7記載のインクで印刷されてなることを特徴とする印刷物。

【公開番号】特開2006−306998(P2006−306998A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131195(P2005−131195)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】