説明

光情報記録媒体の検査方法、光情報記録媒体の製造方法、光情報記録媒体の検査装置、光情報記録媒体の記録装置及び光情報記録媒体

【課題】光情報記録媒体において発生するオフトラック記録を一定の基準で評価し、光情報記録媒体を選別することができる光情報記録媒体の検査方法を提供する。
【解決手段】本発明の光情報記録媒体の検査方法は、光情報記録媒体が有する記録可能な記録層にビームを照射して、記録層からの反射光を受光することにより、光情報記録媒体の良否判定を行うための検査方法であって、記録層のトラック方向に沿って、第1の受光部と、第2の受光部とがこの順に配置されており、第1及び第2の受光部を用いて差動信号を検出する検出ステップと、その検出された差動信号に基づき光情報記録媒体を良否判定する判定ステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報信号を光学的に書き込み読み出しが可能な光情報記録媒体に係り、特に、その光情報記録媒体の検査方法、製造方法、検査装置及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光情報記録媒体は、多量の情報信号を高密度で記録することができるため、オーディオ、ビデオ、コンピュータ等の多くの分野において利用が進められている。特に、最近は、動画情報等のように、コンピュータ等で取り扱うデータ量が飛躍的に増大しており、それに伴って、記録層を積層化した光情報記録媒体の利用が進んでいる。
【0003】
このような光情報記録媒体では、ミクロン単位で記録された情報信号を再生するために、再生されるべき情報が記録されているトラックの位置に光ビームを正確にトラッキングさせる必要がある。
【0004】
光情報記録媒体の回転軸の軸振れや、その媒体の中心穴及びトラックの偏心によって、トラックとレーザ光との位置間に誤差が生じるのが通常である。トラッキングは、この誤差を検出し、レーザ光の位置を制御してトラックに正確に追随させるためのものである。
【0005】
このトラッキングの手法として、一般に、光情報記録媒体上で反射回折された光を、トラック中心に対して対称的に配置された2つの光検出器で検出し、その差信号でトラッキングエラーを検出するプッシュプル法が用いられている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【0006】
このような光情報記録媒体では、CDやDVD等の光ディスクが多く用いられており、その種類は、次の3つに大別できる。すなわち、ROMと呼ばれる再生専用のもの、追記型のもの及び、書き換え可能型のものの3種類である。このような光ディスクに対する記録再生装置が開発され、その普及には著しいものがある。
【0007】
ところで、再生専用光情報記録媒体においては、特許文献4及び非特許文献1に記載されている「スーパーROM現象」が起こることが知られている。
【0008】
この「スーパーROM現象」は、光学系の回折限界を超える高解像度の再生を可能とする超解像技術の一種である。この現象は、所定の材料を反射層としてディスク上に設けることにより、回折限界より小さいピッチから情報信号を読み出すことができる現象である。この現象は、レーザ照射に起因する反射層の温度に強く依存する傾向にあるものであり、現状、温度が高くなるほど、その発現度合いが高くなる傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−47016号公報(1993年2月26日公開)
【特許文献2】特開平9−35284号公報(1997年2月7日公開)
【特許文献3】特開平9−35290号公報(1997年2月7日公開)
【特許文献4】特開2001−250274号公報(2001年9月14日公開)
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Takashi KIKUKAWA, Tatsuya KATO, Hiroshi SHINGAI and Hajime UTSUNOMIYA, "High-Density Read-Only Memory Disc with Super Resolution Reflective Layer" Jpn. J. Appl.Phys. Vol. 40 (2001) pp.1624-1628 Part 1, No. 3B, March 2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
我々は、上述したスーパーROM現象が、記録可能な光情報記録媒体においても発現すること及び、スーパーROM現象が、記録可能な媒体の記録時に起こる際、記録マークが正しく記録されない問題があることを見出した。以降、正しく記録されない記録のこと「オフトラック記録」という。記録可能な媒体において起こるスーパーROM現象についての説明は後述する。
【0012】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、光情報記録媒体において発生するオフトラック記録の発生する程度を一定の基準で評価し、光情報記録媒体を選別することができる光情報記録媒体の検査方法、光情報記録媒体の製造方法、光情報記録媒体の検査装置、光情報記録媒体の記録装置及び光情報記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
高速記録対応の追記ディスクにおいては、低速記録時と比較してより高い記録パワーを用いて記録が行われる。その際、ピックアップのレーザ光源の特性により、レーザ照射によって生じるレーザスポット内に、ディスクの半径方向に沿った温度分布が生じる場合がある。
【0014】
例えば図11に示すレーザによる照射の場合、レーザの光軸を通る直線によりディスクの半径方向に沿って分割された、レーザスポット内の2つの領域であるA領域及びB領域においては、そのレーザ照射により、ディスク上の温度分布に差が生じている。
【0015】
このような場合、ディスク上のトラックに対する記録マークの位置ずれが発生してしまう場合があることを我々は検討によって見出した。以下にそのメカニズムについて説明する。
【0016】
まず、高い記録パワーのかかる高速記録時に、レーザスポット内の内周側と外周側のそれぞれにおいて起こる、前述した「スーパーROM現象」の発現度合いに差が生じることになる。その結果、上述したプッシュプル法で用いられるプッシュプル信号にレーザスポット内の内周側と外周側間における位相ずれが生じてしまうと思われる。
【0017】
そして、その位相ずれを含むプッシュプル信号に基づいてトラッキングが行なわれた場合、ビームスポットの位置が半径方向に移動し、その移動の結果、記録マークを記録する際に、ディスク上のトラックに対する記録マークの位置ずれが発生してしまう。
【0018】
なお、以下、上述した「オフトラック記録」として、このビームスポットの位置ずれが発生した際における記録マークの記録を「オフトラック記録」と呼ぶ。
【0019】
また、追記型ディスクは、例えば図12に示すように、所定のトラックピッチで凹状のグルーブと凸状のランドが表面に形成されている。これらのグルーブとランドとは、追記型ディスクの表面に螺旋状または同心円状に形成されている。そして、この追記型ディスクは、これらグルーブとランドに対して情報信号を記録している。
【0020】
この追記型ディスクにおいて、レーザがディスクの半径方向に走査された場合、レーザスポットがグルーブとランドからなる凹凸上を移動することになる。その結果、図12の例では、図中Cで示す部分と図中Dで示す部分間に温度上昇差が生じてしまう。具体的には、部分Cが部分Dよりも高温となる。この現象は、レーザスポット内の温度分布が均一であっても生じるものである。
【0021】
このような場合でも、より高い記録パワーでの記録が行なわれると、上記の場合と同様、部分Cと部分Dのそれぞれにおいて起こる「スーパーROM現象」の発現度合いに差が生じてしまう。すなわち、温度上昇の大きい部分Cの反射率が大きくなるため、部分Cからは、記録パワーが低パワー時のプッシュプル信号と比較して、見かけ上、位相がずれ、且つ、光量の大きいプッシュプル信号が発生してしまう。
【0022】
このように、追記型ディスク上に照射されるレーザの記録パワーが高くなると、上述したような現象が発生することにより、プッシュプル信号にレーザスポット内の内周側と外周側間における位相ずれが生じ、その結果、上述したオフトラック記録が起こってしまう。
【0023】
このようにして本発明者等は、上述した追記型ディスク等の光情報記録媒体において「スーパーROM現象」に起因するオフトラック記録の発生を確認した。
【0024】
そして、本発明者等は、鋭意検討した結果、上述した追記型ディスク等の光情報記録媒体において発生するオフトラック記録を一定の基準で評価し、光情報記録媒体を選別することができる光情報記録媒体の検査方法、光情報記録媒体の製造方法、光情報記録媒体の検査装置及び光情報記録媒体を見出した。
【0025】
すなわち、本発明における光情報記録媒体の検査方法は、光情報記録媒体が有する記録可能な記録層にビームを照射して、前記記録層からの反射光を受光することにより、前記光情報記録媒体の良否判定を行うための検査方法であって、前記記録層のトラック方向に沿って、第1の受光部と、第2の受光部とがこの順に配置されており、前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルを検出する検出ステップと、前記第1の受光部により受光された第1の反射光レベルと、前記第2の受光部により受光された第2の反射光レベルとを比較し、その比較結果に基づき前記光情報記録媒体を良否判定する判定ステップとを含む。
【0026】
上記の光情報記録媒体の検査方法では、記録層からの反射光を受光する第1の受光部及び第2の受光部が、光情報記録媒体の記録層のトラック方向に沿って順に配置されている。このため、第1及び第2の受光部により受光される反射光レベルが、記録層に照射されるビームのスポットが記録層上を走査する線速度が一定値に維持された状態における値となる。
【0027】
言い換えれば、ビームのスポットが記録層上を走査することによって生じるビームスポット内の温度分布を一定にすることができる。このため、本来ならば、ピックアップ固有のビームスポット内の温度分布を、一定の分布に再現することができる。
【0028】
また、例えば、第1及び第2の受光部が記録層のトラック横断方向に沿って配置されている場合であれば、横断時のトラックの内周側と外周側のそれぞれに起こる「スーパーROM現象」は、光情報記録媒体の偏芯の度合いにより、トラックをビームスポットが横切る速度が異なるため、一定の線速度で評価することができない。
【0029】
上記の光情報記録媒体の検査方法では、第1及び第2の受光部をトラック方向に沿って配置しているので、光情報記録媒体を任意の回転数で回転させることによって、一定の線速度で評価することが可能となる。
【0030】
したがって、光情報記録媒体において発生するオフトラック記録を一定の基準で評価し、光情報記録媒体を選別することができる。
【0031】
前記検出ステップにおいて検出される各反射光レベルは、前記光情報記録媒体の回転方向が異なる場合における2つの反射光レベルを平均化したものであることが好ましい。
【0032】
この場合、光情報記録媒体の回転方向におけるピックアップ固有の温度分布に起因する差動信号のバラツキを抑えることができる。
【0033】
本発明における光情報記録媒体の検査方法は、光情報記録媒体が有する記録可能な記録層にビームを照射して、前記記録層からの反射光を受光することにより、前記光情報記録媒体の良否判定を行うための検査方法であって、前記記録層のトラック方向に沿って、第1の受光部と、第2の受光部とがこの順に配置されており、第1のビームパワーを持つビームを前記記録層に照射しながら前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルを検出する第1の検出ステップと、前記第1の検出ステップにおいて前記第1の受光部により受光された第1の反射光レベルと、前記第1の検出ステップにおいて前記第2の受光部により受光された第2の反射光レベルとの第1の差分を算出する第1の算出ステップと、前記第1のビームパワーよりも高い第2のビームパワーを持つビームを前記記録層に照射しながら前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルを検出する第2の検出ステップと、前記第2の検出ステップにおいて前記第1の受光部により受光された第3の反射光レベルと、前記第2の検出ステップにおいて前記第2の受光部により受光された第4の反射光レベルとの第2の差分を算出する第2の算出ステップと、前記第1の算出ステップにおいて算出された第1の差分と、前記第2の算出ステップにおいて算出された第2の差分とを比較し、その比較結果に基づき前記光情報記録媒体を良否判定する判定ステップとを含む。
【0034】
上記の光情報記録媒体の検査方法では、記録層からの反射光を受光する第1の受光部及び第2の受光部が、光情報記録媒体の記録層のトラック方向に沿って順に配置されている。このため、第1及び第2の受光部により受光される反射光レベルが、記録層に照射されるビームのスポットが記録層上を走査する線速度が一定値に維持された状態における値となる。
【0035】
言い換えれば、ビームのスポットが記録層上を走査することによって生じるビームスポット内の温度分布を一定にすることができる。このため、本来ならば、ピックアップ固有のビームスポット内の温度分布を、一定の分布に再現した上でビームパワーが高くなった場合の比較ができることになる。
【0036】
また、例えば、第1及び第2の受光部が記録層のトラック横断方向に沿って配置されている場合であれば、横断時のトラックの内周側と外周側のそれぞれに起こる「スーパーROM現象」は、光情報記録媒体の偏芯の度合いにより、トラックをビームスポットが横切る速度が異なるため、一定の線速度で評価することができない。
【0037】
上記の光情報記録媒体の検査方法では、第1及び第2の受光部をトラック方向に沿って配置しているので、光情報記録媒体を任意の回転数で回転させることによって、一定の線速度で評価することが可能となる。
【0038】
したがって、光情報記録媒体において発生するオフトラック記録を一定の基準で評価し、光情報記録媒体を選別することができる。
【0039】
さらに、上記の光情報記録媒体の検査方法では、異なるビームパワーを持つビームの照射毎に第1の受光部により受光された反射光レベルと第2の受光部により受光された反射光レベルとの差分を算出し、それら差分の比較結果に基づいて光情報記録媒体を良否判定している。
【0040】
このため、1つのビームパワーの照射による反射光レベルを用いた検査方法よりも、より高精度に検査を行うことができる。
【0041】
前記第1の検出ステップ及び前記第2の検出ステップにおいて検出される各反射光レベルは、前記光情報記録媒体の回転方向が異なる場合における2つの反射光レベルを平均化したものであることが好ましい。
【0042】
この場合、光情報記録媒体の回転方向におけるピックアップ固有の温度分布に起因する差動信号のバラツキを抑えることができる。
【0043】
前記判定ステップは、前記光情報記録媒体が不良品であると判定すべきとしてあらかじめ定められた基準値に対する前記第1の差分と前記第2の差分との間の変化幅の大小を比較し、前記変化幅が前記基準値より小さいとの比較結果に基づいて、前記光情報記録媒体と良品であると判定することが好ましい。
【0044】
この場合、基準値の大小比較によって光情報記録媒体の良否判定を行うことができるので、光情報記録媒体4の検査をより効率的に行うことができる。
【0045】
前記第1及び第2の受光部により受光される前記記録層からの反射光レベルは、前記記録層のトラックの蛇行成分であるウォブル信号の振幅であることが好ましい。
【0046】
この場合、ビームスポットがトラックを横断する状態と同じ状態を実現することができるので、光情報記録媒体の検査をより高精度に行うことができる。
【0047】
本発明における光情報記録媒体の製造方法は、記録可能な記録層を有する光情報記録媒体の製造方法であって、基板上に前記記録層を含む多層構造を実現することにより光情報記録媒体を製造する製造ステップと、前記製造ステップにおいて製造された前記光情報記録媒体を上記の光情報記録媒体の検査方法を用いて前記光情報記録媒体を良否判定するステップと、を含む。
【0048】
上記の光情報記録媒体の製造方法では、上記の光情報記録媒体の検査方法を含む光情報記録媒体の製造方法が実現される。
【0049】
本発明における光情報記録媒体は、上記の光情報記録媒体の製造方法を用いて製造される。
【0050】
上記の光情報記録媒体では、上記の光情報記録媒体の製造方法を用いて製造される光情報記録媒体が実現される。
【0051】
本発明における光情報記録媒体の検査装置は、光情報記録媒体が有する記録可能な記録層にビームを照射して、前記記録層からの反射光を受光することにより、前記光情報記録媒体の良否判定を行うための検査装置であって、前記記録層のトラック方向に沿って順に配置された第1の受光部及び第2の受光部と、前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルを検出する検出部と、前記第1の受光部により受光された第1の反射光レベルと、前記第2の受光部により受光された第2の反射光レベルとを比較し、その比較結果に基づき前記光情報記録媒体を良否判定する判定部とを備える。
【0052】
上記の光情報記録媒体の検査装置では、記録層からの反射光を受光する第1の受光部及び第2の受光部が、光情報記録媒体の記録層のトラック方向に沿って順に配置されている。このため、第1及び第2の受光部により受光される反射光レベルが、記録層に照射されるビームのスポットが記録層上を走査する線速度が一定値に維持された状態における値となる。
【0053】
言い換えれば、ビームのスポットが記録層上を走査することによって生じるビームスポット内の温度分布を一定にすることができる。このため、本来ならば、ピックアップ固有のビームスポット内の温度分布を、一定の分布に再現した上でビームパワーが高くなった場合の比較ができることになる。
【0054】
また、例えば、第1及び第2の受光部が記録層のトラック横断方向に沿って配置されている場合であれば、記録層の内周側と外周側のそれぞれに起こる「スーパーROM現象」は、光情報記録媒体の偏芯の度合いにより、トラックをビームスポットが横切る速度が異なるため、一定の線速度で評価することができない。
【0055】
上記の光情報記録媒体の検査装置では、第1及び第2の受光部をトラック方向に沿って配置しているので、光情報記録媒体を任意の回転数で回転させることによって、一定の線速度で評価することが可能となる。
【0056】
したがって、光情報記録媒体において発生するオフトラック記録を一定の基準で評価し、光情報記録媒体を選別することができる。
【0057】
前記検出部において検出される各反射光レベルは、前記光情報記録媒体の回転方向が異なる場合における2つの反射光レベルを平均化したものであることが好ましい。
【0058】
この場合、光情報記録媒体の回転方向におけるピックアップ固有の温度分布に起因する差動信号のバラツキを抑えることができる。
【0059】
本発明における光情報記録媒体は、記録層を有し、前記記録層にビームが照射されることにより、前記記録層に情報が記録される光情報記録媒体であって、上記の検査方法を用いて検査される場合において、前記第2のビームパワーを前記第1のビームパワーより大きい所定のパワーとしたときに前記第1の差分と前記第2の差分とが略等しくなるように、前記記録層が設定されている。
【0060】
すなわち、本発明における光情報記録媒体は、記録層を有し、前記記録層にビームが照射されることにより、前記記録層に情報が記録される光情報記録媒体であって、前記記録層のトラック方向に沿って配置された第1の受光部と、第2の受光部とにより、第1のビームパワーを持つビームが前記記録層に照射されると前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルが検出されて、前記第1の受光部により受光された第1の反射光レベルと、前記第2の受光部により受光された第2の反射光レベルとの第1の差分が算出されると共に、前記第1のビームパワーよりも高い第2のビームパワーを持つビームが前記記録層に照射されると前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルが検出されて、前記第1の受光部により受光された第3の反射光レベルと、前記第2の受光部により受光された第4の反射光レベルとの第2の差分が算出され、前記第1の差分と、前記第2の差分との比較結果に基づき前記光情報記録媒体が良否判定されるときに、前記第2のビームパワーを前記第1のビームパワーより大きい所定のパワーとしたときに前記第1の差分と前記第2の差分とが略等しくなるように、前記記録層が設定されている。
【0061】
上記の光情報記録媒体では、上記の検査方法を用いて検査される際、良品と判定される光情報記録媒体が実現される。
【0062】
本発明に光情報記録媒体は、トラックピッチが0.30〜0.34μmのグルーブを持つ記録層を有し、21mW以上のビームパワー及び400nm〜410nmの波長を持つビームが、0.84〜0.86の開口数を持つ対物レンズを介して、前記記録層に照射されることにより、前記記録層に情報が記録される光情報記録媒体であって、上記の検査方法を用いて検査される場合において、前記第2のビームパワーを12mWとしたときに、前記第1の差分と前記第2の差分とが略等しくなる。
【0063】
すなわち、本発明に光情報記録媒体は、トラックピッチが0.30〜0.34μmのグルーブを持つ記録層を有し、21mW以上のビームパワー及び400nm〜410nmの波長を持つビームが、0.84〜0.86の開口数を持つ対物レンズを介して、前記記録層に照射されることにより、前記記録層に情報が記録される光情報記録媒体であって、前記記録層のトラック方向に沿って、第1の受光部と、第2の受光部とがこの順に配置されており、第1のビームパワーを持つビームが前記記録層に照射されると前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルが検出されて、前記第1の受光部により受光された第1の反射光レベルと、前記第2の受光部により受光された第2の反射光レベルとの第1の差分が算出されると共に、前記第1のビームパワーよりも高い第2のビームパワーを持つビームが前記記録層に照射されると前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルが検出されて、前記第1の受光部により受光された第3の反射光レベルと、前記第2の受光部により受光された第4の反射光レベルとの第2の差分が算出され、前記第1の差分と、前記第2の差分との比較結果に基づき前記光情報記録媒体が良否判定されるときに、前記第2のビームパワーを12mWとしたときに、前記第1の差分と前記第2の差分とが略等しくなる。
【0064】
上記の光情報記録媒体では、上記の検査方法を用いて検査される際、良品と判定される光情報記録媒体が実現される。
【0065】
本発明における光情報記録媒体の記録装置は、光情報記録媒体が有する記録可能な記録層にビームを照射して、前記記録層に情報を記録する光情報記録媒体の記録装置であって、前記記録層のトラック方向に沿って順に配置された第1の受光部及び第2の受光部と、前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルを検出する検出部と、前記第1の受光部により受光された第1の反射光レベルと、前記第2の受光部により受光された第2の反射光レベルとを比較し、その比較結果に基づき前記記録層に情報を記録する際における前記光情報記録媒体の半径方向のオフセット量を決定する決定部とを備える。
【0066】
上記の光情報記録媒体の記録装置では、第1及び第2の受光部をトラック方向に沿って配置しているので、光情報記録媒体を任意の回転数で回転させることによって、一定の線速度で評価することが可能となる。
【0067】
このため、光情報記録媒体において発生するオフトラック記録を一定の基準で評価し、その評価結果を基に、光情報記録媒体に情報を記録する際におけるオフセット量を決定することができる。
【0068】
したがって、オフセット記録が生じた光情報記録媒体に対し、その再生時に最適なオフセット量を設定することができるので、再生不良を防止することができる。
【0069】
前記検出部において検出される各反射光レベルは、前記光情報記録媒体の回転方向が異なる場合における2つの反射光レベルを平均化したものであることが好ましい。
【0070】
この場合、光情報記録媒体の回転方向におけるピックアップ固有の温度分布に起因する差動信号のバラツキを抑えることができる。
【発明の効果】
【0071】
本発明によれば、光情報記録媒体において発生するオフトラック記録を一定の基準で評価し、光情報記録媒体を選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1における光情報記録媒体の検査方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】図1のステップS109の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1における光情報記録媒体を再生する再生システムの一例を示す説明図である。
【図4】図3の検査部の構成を示すブロック図である。
【図5】オフセット量とジッタとの関係を示すグラフ図である。
【図6】受光部の内周側信号と外周側信号を再生パワー別に測定した結果を示すグラフ図であり、(a)は、媒体4の結果であり、(b)は、媒体3の結果である。
【図7】レーザパワーと、受光部の内周側信号と外周側信号との電圧値差との関係を示すグラフ図である。
【図8】従来の光情報記録媒体であり、4層構造の光情報記録媒体を示す断面図である。
【図9】図3に示す再生システムにおけるS字特性を示す説明図である。
【図10】図3に示す再生システムによって図8に示す第2情報記録層にフォーカスサーチ処理が行われたときの対物レンズ位置の遷移とフォーカスエラー信号とを示す図であり、図10の(a)部分は、対物レンズ位置の遷移を示す図であり、図10の(b)部分は、フォーカスエラー信号を示すものである。
【図11】レーザスポット内の温度分布を説明するための説明図である。
【図12】凹状のグルーブと凸状のランドにレーザが照射されている状態を説明するための説明図である。
【図13】オフセット量とジッタとの関係を示すグラフ図である。
【図14】レーザパワーと、受光部の内周側信号と外周側信号との電圧値差との関係を示すグラフ図である。
【図15】本発明の実施の形態2における光情報記録媒体を記録再生する記録再生システムの一例を示す説明図である。
【図16】図15のオフセット量決定部の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の実施の形態2における光情報記録媒体の記録方法の処理手順を示すフローチャートである(その1)。
【図18】本発明の実施の形態2における光情報記録媒体の記録方法の処理手順を示すフローチャートである(その2)。
【図19】本発明の実施の形態2における光情報記録媒体の記録方法の処理手順を示すフローチャートである(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同一部分には同一符号を付し、図面で同一の符号が付いたものは、説明を省略する場合もある。
【0074】
(実施の形態1)
図3は、本発明の実施の形態1における光情報記録媒体の再生システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態における再生システム100は、一般的な多層光情報記録媒体を再生するシステムであると共に、その多層光情報記録媒体の「スーパーROM現象」の発現度合いを評価し、選別するシステムである。
【0075】
以下では、この再生システム100により再生されると共に、評価、選別される光情報記録媒体として、図8に示す4層の光情報記録媒体400を例として説明する。
【0076】
図3に示すように、再生システム100のディスク駆動モータ101は、円盤状の光情報記録媒体400を所定の速度で回転駆動させる。このディスク駆動モータ101は、モータ制御回路109によって制御されている。また、このように回転駆動している光情報記録媒体400からの情報の読み取りは、光学ピックアップ102によって行われる。
【0077】
光学ピックアップ102は、フィードモータ111の駆動力によって、光情報記録媒体400の半径方向に移動できるように構成されている。このフィードモータ111は、フィードモータ制御回路108によって制御されている。また、フィードモータ111は、その回転速度が速度検出器112によって検出されるように構成されている。そして、速度検出器112は、検出した結果を速度信号として、フィードモータ制御回路108に供給する。
【0078】
光学ピックアップ102は、対物レンズ102aを備えている。この対物レンズ102aは、フォーカス方向(光軸方向)とトラッキング方向(光情報記録媒体400の半径方向)とに、それぞれ移動可能なように支持されている。そして、この対物レンズ102aは、フォーカス制御回路105にて生成されたフォーカス制御信号がフォーカス駆動コイル102cに供給されることによって、フォーカス方向の位置が制御される。
【0079】
同様に、対物レンズ102aは、トラッキング制御回路106にて生成されたトラッキング制御信号がトラッキング駆動コイル102bに供給されることによって、トラッキング方向の位置が制御される。
【0080】
また、レーザ制御回路103は、光学ピックアップ102内の半導体レーザ発振器102fを駆動し、半導体レーザ発振器102fにおいてレーザ光を発生させる。光量検出器102gは、この半導体レーザ発振器102fで発生するレーザ光の光量を検出し、この検出結果をレーザ制御回路103に帰還する。この構成により、レーザ制御回路103は、半導体レーザ発振器102fに発生させるレーザ光の光量を一定に制御することができる。
【0081】
そして、この半導体レーザ発振器102fで発生したレーザ光は、コリメータレンズ102eを通過してハーフプリズム102dにて直角に折曲された後、対物レンズ102aにより、光情報記録媒体400の何れかの情報記録層上に集光することになる。
【0082】
ここで、この光情報記録媒体400の何れかの情報記録層とは、図8に示す第1情報記録層A、第2情報記録層B、第3情報記録層Cまたは第4情報記録層Dを指す。なお、第1情報記録層A、第2情報記録層B、第3情報記録層C、及び第4情報記録層Dは、いずれも、情報に応じて設けられた凹凸からなるプリピット上にAPC(AgPdCu)が成膜されることでAPC(AgPdCu)の形状が固定された情報の読み出しのみ可能なROM層である。なお、光情報記録媒体400はさらに、透光層10と、3つの中間層30と、基板50とを備えている。
【0083】
また、光情報記録媒体400からの反射光は、対物レンズ102aを逆行し、ハーフプリズム102dを直進した後、集光レンズ102h及びシリンドリカルレンズ102iを介して、光電変換器102jに受光される。この光電変換器102jは、受光量に応じた電気信号を発生する4つのフォトディテクタ102j1〜102j4によって構成されている。
【0084】
この光電変換器102jの場合、フォトディテクタ102j1とフォトディテクタ102j2とが並ぶ方向及びフォトディテクタ102j3とフォトディテクタ102j4とが並ぶ方向が、光情報記録媒体400のトラッキング方向に対応する。
【0085】
同様に、フォトディテクタ102j1とフォトディテクタ102j4とが並ぶ方向及びフォトディテクタ102j2とフォトディテクタ102j3とが並ぶ方向が、光情報記録媒体400の接線方向に対応する。
【0086】
フォトディテクタ102j1から出力された電気信号は、増幅回路114aを介して加算回路113a・113dの1端にそれぞれ供給され、フォトディテクタ102j2から出力された電気信号は、増幅回路114bを介して加算回路113b・113cの1端にそれぞれ供給される。
【0087】
また、フォトディテクタ102j3から出力された電気信号は、増幅回路114cを介して加算回路113a・113cの他端にそれぞれ供給され、フォトディテクタ102j4から出力された電気信号は、増幅回路114dを介して加算回路113b・113dの他端にそれぞれ供給されている。
【0088】
加算回路113aの出力信号は、差動増幅回路104の反転入力端子−に供給され、加算回路113bの出力信号は、差動増幅回路104の非反転入力端子+に供給されている。この差動増幅回路104は、加算回路113a・113bの出力信号の差を算出することによってフォーカスエラー信号を生成し、フォーカス制御回路105に供給している。このフォーカス制御回路105は、入力されたフォーカスエラー信号が0レベルとなるようにフォーカス駆動コイル102cに与えるフォーカス制御信号を生成し、対物レンズ102aに対するフォーカスサーボが行われる。
【0089】
ここで、差動増幅回路104から出力されるフォーカスエラー信号は、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を、その初期位置からフォーカス方向に順次移動させてフォーカスサーチ処理(すなわち、情報記録層数をカウントする処理)が行われた場合、図9に示すように、S字特性を描く。具体的には、上記フォーカスサーチ処理が行われた場合、フォーカスエラー信号は、対物レンズ102aによるレーザ光の焦点位置が、図8に示す各情報記録層(第1情報記録層A、第4情報記録層D、第3情報記録層C及び第2情報記録層B)を通過する毎に、図9に示すようなS字特性を描く。
【0090】
なお、上記初期位置とは、対物レンズ102aのフォーカス前の位置であり、通常、図8においては、光情報記録媒体400の第1情報記録層Aの下方であって、光情報記録媒体400から光軸方向に最も離れた位置を指す。
【0091】
例えば、光情報記録媒体400の再生開始時には、再生システム100は、最初に、光学ピックアップ102内の半導体レーザ発振器102fにて、単層光情報記録媒体に対応した再生光を発生させる。
【0092】
次に、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を、上記初期位置から図3においては上方に、駆動上限位置まで移動させる。そして、再生システム100は、フォーカスエラー信号が所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントすることにより、光情報記録媒体400の情報記録層数を認識する。
【0093】
その後、再生システム100は、光情報記録媒体400が有する情報記録層数に基づいて定められた再生光パワーを変更する。そして、再生システム100は、変更された再生光パワーにて、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を、駆動上限位置から図3においては下方に、初期位置まで移動させる。そのときに、最初にフォーカスサーチ処理される情報記録層から検出されるフォーカスエラー信号の電圧値が、適切な値となるようフォーカス制御回路105等に含まれる増幅器のゲインを変更する。
【0094】
そして、例えば、第2情報記録層Bにフォーカスサーチ処理する場合、再生システム100は、フォーカスエラー信号が所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントし、4回目となった後、最初に0レベル(フォーカスサーボ動作の中心レベル)となった時点でフォーカスサーボをON状態とする。これにより、再生システム100における第2情報記録層Bに対するフォーカスサーチ処理が終了される。
【0095】
なお、図10は、再生システム100によって上述の第2情報記録層Bにフォーカスサーチ処理が行われたときの対物レンズ位置の遷移とフォーカスエラー信号とを示す図であり、同図(a)は、対物レンズ位置の遷移を示す図であり、同図(b)は、フォーカスエラー信号を示すものである。
【0096】
また、例えば、第4情報記録層Dから第2情報記録層Bにレイヤージャンプする場合、再生システム100は、フォーカスサーボを一旦OFF状態にし、第4情報記録層Dから第2情報記録層Bに対物レンズ102aによるレーザ光の焦点位置を順次移動させる。そして、再生システム100は、差動増幅回路104から出力されるフォーカスエラー信号が所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントし、2回目となった後、最初に0レベル(フォーカスサーボ動作の中心レベル)となった時点でフォーカスサーボをON状態とする。これにより、レイヤージャンプ処理が終了する。なお、レイヤージャンプ処理については、フォーカスサーチ処理とほぼ同じ処理のため図示していない。
【0097】
また、これらのフォーカスサーチ処理が行われたとき、位相差検出回路107は、光電変換器102jのフォトディテクタ102j1・102j4の出力信号の和と、フォトディテクタ102j2・102j3の出力信号の和との位相差が検出する。そして、位相差検出回路107は、この検出結果をトラッキングエラー信号としてトラッキング制御回路106に供給する。
【0098】
このトラッキング制御回路106は、入力されたトラッキングエラー信号に基づいてトラッキング駆動コイル102bに与えるトラッキング制御信号を生成し、対物レンズ102aに対してトラッキングサーボを施す。そして、再生システム100では、このトラッキングサーボが行われている状態で光情報記録媒体400の再生が行われる。そして、加算回路113c・113dから出力された電気信号が加算回路113eで合計され、データ再生回路110でデジタル信号に変換される。
【0099】
なお、再生システム100のレーザ制御回路103、フォーカス制御回路105、トラッキング制御回路106、モータ制御回路109及びデータ再生回路110は、制御部115によって制御されている。制御部115には、再生システム100に装填される光情報記録媒体400の記録・再生に関する情報が記憶されている。制御部115は、この情報に従って上記回路を制御することとなる。
【0100】
次に、本実施の形態における再生システム100の検査部116について説明する。この検査部116は、再生システム100が光情報記録媒体400の「スーパーROM現象」の発現度合いを評価し、選別するためのものである。
【0101】
なお、本実施の形態では、光情報記録媒体400を評価、選別する検査部116を再生システム100に設けているが、本発明はこの構成に限られるものではない。例えば、この検査部116の構成を再生システム100とは別体の構成とし、光情報記録媒体400の検査装置として、再生システム100に適宜接続する構成であってもよい。要は、後述する検査部116と同一の構成及び動作を実現できれば、再生システム100の一部であってもよいし、別体であっても構わない。
【0102】
図4は、検査部116の構成を示すブロック図である。検査部116は、図4に示すように、トラッキング処理指示部60と、回転数設定部61と、レーザパワー設定部62と、検査条件記憶部63と、差動信号取得部(検出部)64と、算出部(検出部)65と、差動信号記憶部66と、判定部67と、良品判定基準値記憶部68と、表示部69と、を有している。
【0103】
トラッキング処理指示部60は、制御部115に接続されており、光情報記録媒体400を評価、選別するための検査処理を実行する際に、光情報記録媒体400に対して施すべき処理を制御部115に指示する。そして、トラッキング処理指示部60は、この制御部115への指示を介して、光情報記録媒体400に所望の処理を実行する。
【0104】
回転数設定部61は、検査部116による検査処理において光情報記録媒体400の回転数として設定すべき回転数をトラッキング処理指示部60に設定する。
【0105】
レーザパワー設定部62は、検査部116による検査処理において光情報記録媒体400に照射されるレーザパワーとして設定すべきレーザパワーをトラッキング処理指示部60に設定する。
【0106】
このようにして設定された回転数及びレーザパワーを、トラッキング処理指示部60は制御部115を介して所定の回路に通知する。
【0107】
検査条件記憶部63は、あらかじめ用意された検査条件を記憶する。この検査条件は、回転数設定部61によりトラッキング処理指示部60に設定される回転数及び、レーザパワー設定部62によりトラッキング処理指示部60に設定されるレーザパワーである。この検査条件は、再生システム100の利用者により、適宜、検査条件記憶部63に入力される。
【0108】
また、検査条件記憶部63は、ハードディスクドライブ等の磁気ディスク装置や半導体メモリ等の公知の記憶装置から適宜選択して用いることができる。
【0109】
差動信号取得部64は、増幅回路114bを介してフォトディテクタ102j2に接続されていると共に、増幅回路114cを介してフォトディテクタ102j3に接続されている。そして、差動信号取得部64は、これら増幅回路114b及び114cにより増幅された、フォトディテクタ102j2及び102j3の各出力信号を取得する。
【0110】
差動信号取得部64は、フォトディテクタ102j2及び102j3の各出力信号からなる2つの信号を差動信号として算出部65及び差動信号記憶部66に出力する。
【0111】
なお、差動信号取得部64は、フォトディテクタ102j2及び102j3に代えて、フォトディテクタ102j1及び102j4の出力信号を取得しても良い。この場合であれば、差動信号取得部64は、増幅回路114aを介してフォトディテクタ102j1に接続されていると共に、増幅回路114dを介してフォトディテクタ102j4に接続される。そして、差動信号取得部64は、これら増幅回路114a及び114dにより増幅された、フォトディテクタ102j1及び102j4の各出力信号を取得する。
【0112】
このように、差動信号取得部64は、光情報記録媒体400の接線方向に並んで配置されているフォトディテクタ102j2及び102j3の各出力信号、または、フォトディテクタ102j1及び102j4の各出力信号を取得する。もちろん、差動信号取得部64は、フォトディテクタ102j1及び102j2の各出力信号の和と、フォトディテクタ102j3及び102j4の各出力信号の和を取得してもよい。
【0113】
算出部65は、差動信号取得部64により取得された差動信号が入力されると、差動信号記憶部66に記憶されている差動信号を取得し、これら2つの差動信号の差を算出する。そして、算出部65は、これら差動信号の差の算出結果を判定部67に出力する。
【0114】
差動信号記憶部66は、差動信号取得部64により取得される差動信号を記憶する。差動信号記憶部66は、ハードディスクドライブ等の磁気ディスク装置や半導体メモリ等の公知の記憶装置から適宜選択して用いることができる。なお、検査条件記憶部63と差動信号記憶部66は、それぞれ必要なデータが記憶可能であればよく、それぞれを別の記憶装置で実現してもよいし、1つの記憶装置の中で記憶領域を分割することで実現してもよい。
【0115】
判定部67は、算出部65の算出結果に基づいて、光情報記録媒体400を評価し、選別するための判定処理を実行する。判定部67は、この判定処理を実行する際、その判定基準となる良品判定基準値を良品判定基準値記憶部68から取得する。そして、判定部67は、この良品判定基準値に対して算出部65の算出結果の大小を比較し、その比較結果に基づいて、上記の判定処理を実行する。
【0116】
良品判定基準値記憶部68は、あらかじめ用意された良品判定基準値を記憶する。この良品判定基準値は、再生システム100の利用者により、適宜、良品判定基準値記憶部68に入力される。
【0117】
また、良品判定基準値記憶部68は、ハードディスクドライブ等の磁気ディスク装置や半導体メモリ等の公知の記憶装置から適宜選択して用いることができる。なお、検査条件記憶部63と差動信号記憶部66と良品判定基準値記憶部68は、それぞれ必要なデータが記憶可能であればよく、それぞれを別の記憶装置で実現してもよいし、1つの記憶装置の中で記憶領域を分割することで実現してもよい。
【0118】
表示部69は、判定部67の判定結果を表示する。表示部69は、液晶表示パネル等の表示装置を有し、判定結果に対応する情報等を表示する。
【0119】
次に、検査部116の動作について説明する。図1は、検査部116の動作を説明するためのフローチャートである。
【0120】
図1において、再生システム100に検査対象である光情報記録媒体400が装填されると、先ず、検査部116の回転数設定部61は、検査条件記憶部63にあらかじめ記憶されている光情報記録媒体400の回転数を取得し、トラッキング処理指示部60に設定する。
【0121】
そして、トラッキング処理指示部60は、回転数設定部61により設定された回転数で光情報記録媒体400を回転させるよう、制御部115に指示する。制御部115は、モータ制御回路109を介してディスク駆動モータ101を駆動し、トラッキング処理指示部60により指示された回転数で光情報記録媒体400を回転させる(ステップS101)。
【0122】
なお、光情報記録媒体400の回転数としては、例えば、光情報記録媒体400に情報信号を記録する際の回転数を用いればよい。
【0123】
トラッキング処理指示部60は、光情報記録媒体400の例えば利用者が光情報記録媒体400に情報を記録する記録領域内のいずれかの場所等の所定の測定箇所に対向する位置に、光学ピックアップ102を移動するよう、制御部115に指示する。制御部115は、フィードモータ制御回路108を介してフィードモータ111を駆動し、トラッキング処理指示部60により指示された位置に光学ピックアップ102を移動させる(ステップS102)。
【0124】
レーザパワー設定部62は、検査条件記憶部63にあらかじめ記憶されている光情報記録媒体400に照射される第1のレーザパワーを取得し、トラッキング処理指示部60に設定する。
【0125】
そして、トラッキング処理指示部60は、半導体レーザ発振器102fから出射されるレーザのレーザパワーがレーザパワー設定部62により設定された第1のレーザパワーとなるよう、制御部115に指示する。制御部115は、レーザ制御回路103を介して半導体レーザ発振器102fを駆動し、半導体レーザ発振器102fのレーザパワーをトラッキング処理指示部60により指示された第1のレーザパワーに固定する(ステップS103)。
【0126】
なお、光情報記録媒体400に照射される第1のレーザパワーとしては、例えば、光情報記録媒体400を再生する際のレーザパワーを用いればよい。
【0127】
トラッキング処理指示部60は、光情報記録媒体400にレーザが照射されると、検査対象の記録層にフォーカスサーチ処理をするよう、制御部115に指示する。制御部115は、検査対象の記録層に対し、上述したフォーカスサーチ処理を実行する(ステップS104)。
【0128】
トラッキング処理指示部60は、検査対象の記録層に対するフォーカスサーチ処理が実行された後、検査対象の記録層に対するトラッキング処理を実行するよう、制御部115に指示する。制御部115は、検査対象の記録層にある任意のトラックあるいは特定のトラックに対し、上述したトラッキング処理を実行する(ステップS105)。
【0129】
差動信号取得部64は、トラッキング処理が実行されると、増幅回路114bを介してフォトディテクタ102j2の出力信号を取得すると共に、増幅回路114cを介してフォトディテクタ102j3の出力信号を取得する。そして、差動信号取得部64は、フォトディテクタ102j2及び102j3の各出力信号からなる2つの信号を差動信号として差動信号記憶部66に出力する。差動信号記憶部66は、差動信号取得部64により取得された差動信号を記憶する(ステップS106)。
【0130】
なお、本ステップS106において検出される差動信号は、上記のステップS105のトラッキング処理の実行により取得されるものである。以下では、本ステップS106の差動信号を「第1の差動信号」と呼ぶ。
【0131】
また、本ステップS106においてはさらに、光情報記録媒体400の回転方向を逆転させ、2つ目の第1の差動信号を取得するようにしてもよい。そうすることにより、回転方向が異なる場合各々の第1の差動信号を基に、例えば、それらを平均化すれば、光情報記録媒体400の回転方向におけるピックアップ固有の温度分布に起因する第1の差動信号のバラツキを抑えることができる。その結果、検査部116の検査精度が向上する。
【0132】
レーザパワー設定部62は、検査条件記憶部63にあらかじめ記憶されている光情報記録媒体400に照射される第2のレーザパワーを取得し、トラッキング処理指示部60に設定する。
【0133】
そして、トラッキング処理指示部60は、半導体レーザ発振器102fから出射されるレーザのレーザパワーがレーザパワー設定部62により設定された第2のレーザパワーとなるよう、制御部115に指示する。制御部115は、レーザ制御回路103を介して半導体レーザ発振器102fを駆動し、半導体レーザ発振器102fのレーザパワーをトラッキング処理指示部60により指示された第2のレーザパワーに固定する(ステップS107)。
【0134】
なお、光情報記録媒体400に照射される第2のレーザパワーは、上述した「スーパーROM現象」が発現するレーザパワーであり、少なくとも、第1のレーザパワーを上回るものである。
【0135】
トラッキング処理指示部60は、半導体レーザ発振器102fのレーザパワーが第2のレーザパワーに固定された後、差動信号取得部64は、増幅回路114bを介してフォトディテクタ102j2の出力信号を取得すると共に、増幅回路114cを介してフォトディテクタ102j3の出力信号を取得する。そして、差動信号取得部64は、フォトディテクタ102j2及び102j3の各出力信号からなる2つの信号を差動信号として算出部65に出力する(ステップS108)。
【0136】
なお、本ステップS108において検出される差動信号は、第2のレーザパワーに固定された後に取得されるものである。以下では、本ステップS108の差動信号を「第2の差動信号」と呼ぶ。
【0137】
また、本ステップS108においても、上記のステップS106と同様に、光情報記録媒体400の回転方向を逆転させ、2つ目の第2の差動信号を取得すればよい。そうすることにより、上記のステップS106の場合と同様の効果を得ることができる。
【0138】
検査部116は、このようにして取得された第1及び第2の差動信号を用いて、光情報記録媒体400の良品判定処理を実行する(ステップS109)。図2は、本ステップS109における検査部116の動作を説明するためのフローチャートである。
【0139】
図2において、検査部116の算出部65は、第1の差動信号と第2の差動信号との差(以下、単に「差動信号差」と呼ぶ場合もある。)を算出する。そして、算出部65は、その算出結果である差動信号差を判定部67に出力する(ステップS201)。
【0140】
判定部67は、算出部65から差動信号差が入力されると、良品判定基準値記憶部68に記憶されている良品判定基準値を取得する。そして、判定部67は、良品判定基準値に対する差動信号差の絶対値の大小を比較し、その比較結果に基づき検査対象の記録層についての光情報記録媒体400の良品判定を実行する(ステップS203〜S205)。
【0141】
なお、この良品判定基準値は、例えば、再生不良が生じると予想されるトラッキングエラー信号の電圧変化値に安全率を乗じた値とすればよい。
【0142】
具体的には、判定部67は、第1の差動信号と第2の差動信号との差である上記の差動信号差の絶対値が良品判定基準値より小さければ(ステップS203YES)、光情報記録媒体400を良品であると判定する(ステップS204)。一方、判定部67は、差動信号差の絶対値が良品判定基準値以上であれば(ステップS203NO)、光情報記録媒体400を不良品であると判定する(ステップS205)。
【0143】
このようにして判定部67は、光情報記録媒体400に対する判定処理を実行し、その判定結果を表示部69に出力する。
【0144】
表示部69は、判定部67の判定結果に従う情報を液晶表示パネル等の表示装置に表示させる(ステップS206)。
【0145】
本実施の形態において、光情報記録媒体の回転数、測定位置、第1及び第2のレーザパワー、良品判定基準値は、上記の値に限られるものではない。要は、市場にある平均的な温度分布を有するピックアップを搭載した光情報記録媒体駆動装置において、利用者が光情報記録媒体に情報を記録する際に、再生不良等の問題が生じない程度に適宜設定されていれば良い。
【0146】
また、第1及び第2の差動信号は、上述のように、フォトディテクタ102j2と102j3から得られたものでなくとも良く、フォトディテクタ102j1と102j4の各出力信号であっても良く、フォトディテクタ102j1と102j2の和と、フォトディテクタ102j3と102j4の和であっても良い。さらに、多数、または少数に分割したフォトディテクタの走査方向の前方領域及び後方領域の各出力信号を用いても良い。
【0147】
つまり、評価する光情報記録媒体に照射されるレーザパワーによって、フォトディテクタの走査方向の前方領域及び後方領域の各々から得られる差動信号に差が生じ、所定の良品判定基準値と比べられられる手法であれば良い。
【0148】
さらに、所定のレーザパワーは2種類に限定する必要はなく、1種類として、差動信号の電圧値を用いても良いし、ある範囲内にある数種のレーザパワーを用いて、範囲内における差動信号等の差を比較しても良い。
【0149】
次に、本実施の形態における再生システム100が光情報記録媒体の「スーパーROM現象」の発現度合いを評価し、選別することができる理由について、具体的に説明する。
【0150】
最初に、光情報記録媒体の記録時におけるスーパーROM現象の発現について説明する。
【0151】
ピックアップのビームスポット内の温度分布が、光情報記録媒体の内周側または外周側に偏ると、その偏りはピックアップの製造時に制御できない。このため、記録型光情報記録媒体(R、RE)においては、記録膜に用いている材料、厚さ等により、以下のようなオフトラック記録が生じる場合がある。
【0152】
図5に、2つの異なる媒体についてのオフセット量とジッタとの関係を示す。
【0153】
媒体1は、基板上に、Ag合金、ZnS−SiO、Cu合金、Si、ZnS−SiOを順に成膜したL0層と、紫外線硬化樹脂からなる中間層と、TiO、BiO+GeO、TiOを順に成膜したL1層と、紫外線硬化樹脂からなる透光層と、をこの順に形成した2層追記録媒体(R)である。
【0154】
媒体2は、基板上に、Ag合金、誘電体、Te−O−Pd、誘電体を順に成膜したL0層と、紫外線硬化樹脂からなる中間層と、Ag合金、誘電体、Te−O−Pd、誘電体を順に成膜したL1層と、紫外線硬化樹脂からなる透光層と、をこの順に形成した2層追記録媒体(R)である。
【0155】
そして、媒体1、2の各L0層に、市販のドライブを用いてジッタ測定用の信号を高速記録(BDにおける4倍記録)し、上記信号を記録したトラックの半径方向中心に対して、再生光照射中心位置を半径方向にずらしながら(トラックの半径方向中心に対する半径方向のオフセット量を変えながら)再生を行った。図5は、このジッタのオフセット量依存を測定した結果である。
【0156】
図5に示すように、媒体1においては、オフセット量が0でないところでジッタがボトムになっていることが分かる。すなわち、記録信号がトラック中心からずれて記録されていることになる。この現象は、各ドライブにおいて差があるものの、全て媒体1において起こった。
【0157】
この原因を解析したところ、上述の「スーパーROM現象」が起因していると思われることが分かった。
【0158】
背景技術の欄でも述べたように、「スーパーROM現象」は特許文献4及び非特許文献1に記載されている解像限界以下の長さのピットを再生可能とする技術である。
【0159】
ほとんど全ての材料は程度の大小はあれ、「スーパーROM現象」を起こし、再生レーザパワーが高くなるにつれて、解像限界以下の単一周波数で記録された解像限界以下の長さのピットが再生可能になる。そして、「スーパーROM現象」は熱に起因する現象である。また、「スーパーROM現象」を引き起こす材料としてはSi、Geが最も大きく発現し、Auが最も少ない材料の一つとなっている。
【0160】
ここで、「スーパーROM現象」とオフトラック現象に相関があることを確認するために、基板上に、50nmのSiと、100μmの透光層を、この順に配置した媒体3と、基板上に、50nmのAuと、100μmの透光層を、この順に配置した媒体4を作成し、オフトラック時の各媒体における半径方向に2分割された受光部の内周側信号と外周側信号を再生パワー別に測定し、比較した。媒体4の結果を図6(a)、媒体3の結果を図6(b)に示す。
【0161】
図6(a)に示すように、媒体4では、低再生レーザパワー(0.3mW)時の内周側信号S1と外周側信号S2の位相差P1と、高再生レーザパワー(4.0mW)時の内周側信号S1と外周側信号S2の位相差P2とは、ほぼ等しいものとなっている。
【0162】
一方、図6(b)に示すように、媒体3では、低再生レーザパワー(0.3mW)時の内周側信号S4と外周側信号S3の位相差P3と比較して、高再生レーザパワー(4.0mW)時の内周側信号S4と外周側信号S3の位相差P4が明らかに小さくなっている。
【0163】
すなわち、「スーパーROM現象」が発現しやすい媒体3においてのみ、高再生レーザパワー時に、内周側信号S4と外周側信号S3の位相がずれていることが確認できる。
【0164】
このことは、内周側信号S4と外周側信号S3からなる差動信号であるプッシュプル信号が低再生レーザパワー時と高再生レーザパワー時で異なることを示している。プッシュプル信号はトラック中心にレーザスポットが照射されるように制御するための信号であるので、低再生レーザパワー時のスポット中心と高再生レーザパワー時のスポットの中心が異なることを示している。
【0165】
上記原因を推測すると、「スーパーROM現象」が熱に起因する現象であるので、ピックアップから媒体に照射されるレーザスポット内の内周側信号が得られる領域と外周側信号が得られる領域との間に温度差が生じており、再生レーザパワーが上がるにつれ、その差が顕著になり、内周側と外周側で「スーパーROM現象」の発現度合いに差が生じたものと考えられる。
【0166】
また、この温度差は、ピックアップの製造段階のバラツキによって生じると考えられ、現時点では制御することは困難である。
【0167】
なお、高速記録時におけるレーザパワーは記録のために高いパワーとなるので、高再生レーザパワー時と同様と考えることができる。
【0168】
一方、媒体1、2においてオフトラック記録が起こっているのは、上述のように「スーパーROM現象」を引き起こす材料として知られるSi膜を有する媒体1である。
【0169】
すなわち、「スーパーROM現象」を発現しやすいSiを用いた媒体1、3でのみ、低再生レーザパワー時のスポット中心と高再生レーザパワー時のスポットの中心が異なることを示していることになり、R媒体における高速記録時のオフトラック記録の原因が「スーパーROM現象」にある可能性が高いと思われる。
【0170】
なお、上記現象はR媒体にのみ起こる現象ではなく、「スーパーROM現象」がほとんど全ての材料で起こり得ることから、程度の差はあるが、「スーパーROM現象」はRWまたはRE媒体等も含めた記録型媒体全般に起こり得るものである。
【0171】
ところで、オフトラック記録の原因が「スーパーROM現象」であるならば、以下のことが予想できる。
【0172】
すなわち、BDにおける4倍記録よりもさらに高速な記録に対応する媒体では、記録パワーはますます高くなり、同時に「スーパーROM現象」が起き易い媒体では、オフトラック記録が顕著になると予想できる。
【0173】
また、レーザスポット内に生じる温度差が顕著なピックアップを有するドライブでは、さらに顕著になることが予想できる。このような理由により、より高速記録に対応する媒体を製造するためには、媒体の「スーパーROM現象」の発現度合いを測定し、一定の基準内に抑制された媒体を選別する必要があった。
【0174】
しかしながら、媒体における記録トラックの内周側と外周側のそれぞれに起こる「スーパーROM現象」は、ピックアップ毎の温度分布に依存するため、ピックアップ毎に測定値が異なってしまう。また、媒体3、4における測定のように、トラッキングを行わず、トラックを横断する際の信号を測定する方法は、媒体の偏芯の度合い等により、トラックをレーザスポットが横切る速度が異なるため、一定の基準で測定することができなかった。
【0175】
そこで、本実施の形態では、受光部の分割方向をトラック方向に変更しているので、ディスクの任意の回転数で回転させることによって、任意の温度ズレを再現できる。
【0176】
また、一般的には、トラックの側壁にはウォブルがあることにより、上記トラック横断と同様の状態が再現できる。よって、一定の基準で「スーパーROM現象」の発現度合いを測定することが可能となる。
【0177】
上記を確認するために、Blu−ray Disc(BD)の標準評価機である波長405nm、NA0.85の光学系を有するパルステック製ODU−1000にて、上述した媒体1と媒体2の測定結果を比較した。
【0178】
なお、所定の測定位置はR=50mm、媒体1、2の回転数は940rpm(線速4.92m/s相当)、測定層は共にL0層、第1のレーザパワーは2層のBD−Rの再生レーザパワーである0.7mW、第2のレーザパワーは、3mW、5mW、7mW、10mW、12mWを用いた。結果を図7に示す。
【0179】
図7から明らかなように、媒体2においては、照射レーザパワーが3〜12mWまで差動信号の電圧差に誤差を除く変動は見られず、媒体1においてのみ、10mW程度から差動信号の電圧差が変化し始め、12mWで明らかに差が生じていることが分かる。
【0180】
すなわち、媒体1でのみ照射レーザパワー12mWで明らかに「スーパーROM現象」が生じていることになる。
【0181】
また、図5における媒体1への記録パワーも上記同様12mWであり、記録時のオフトラック記録が上記の検査方法にて確認可能であることも確認できた。
【0182】
また、上記の検査方法では、別の評価機に変更しても同様の結果が得られることが確認できた。
【0183】
上で述べたように、図5に示した媒体1の場合、記録信号がトラック中心からずれて記録されており、そのオフセット量は、媒体1への記録パワー(第2のレーザパワー)が12mWの下で、0.003μmであった(図13を参照)。さらに、オフセット量が0.013μm以上になると、ジッタが7%を超えてしまい、ドライブ装置での再生に支障が生じる可能性が大きくなる。
【0184】
ここで、上で述べたオフトラック記録の原因であると思われる「スーパーROM現象」は、照射されるレーザパワーが増加すると、光学系解像限界より小さいピットを再生することが可能となり、その結果、ピット再生のC/N(信号品質の指標の一つ)が、照射されるレーザパワーの増加に比例して大きくなることが知られている。
【0185】
したがって、図7に示した低いレーザパワー(第1のレーザパワー)時と高いレーザパワー(第2のレーザパワー)時との差動信号の電圧差も、第2のレーザパワーの増加に比例して大きくなることが予想される(図14のEで示す部分を参照)。
【0186】
上記の差動信号の電圧差の量がオフセット量に比例すると考えれば、次のことが予想される。すなわち、媒体1への記録パワーが12mWのときにオフセット量が0.003μmであることを基にすれば、オフセット量が上で述べた0.013μm以上になるのは、第2のレーザパワーが21mW以上となったときである。そして、このとき、少なくとも今回の検証に用いた市販ドライブでは、媒体1の再生に支障が生じる可能性があるといえる。
【0187】
逆にいえば、記録パワーが12mWのときにオフセット量が略ゼロであること、つまり、記録パワーが12mWのときに本実施の形態の検査方法を用いて検査した結果、良品であると判定される媒体であれば、記録パワーが21mW以上となったときでも、オフセット量が0.013μm以上になることはなく、ジッタが7%を超えてしまうことがない。すなわち、ドライブ装置での再生に支障が生じる可能性が小さくなる。
【0188】
なお、図5、図7、図13、図14のいずれにおいても、上で述べた媒体1の測定層はトラックピッチが0.32μmであるグルーブを持つものであった。また、図5、図7、図13、図14は、開口数が0.85の対物レンズを通して、波長405nmのレーザ光が照射された場合における結果である。
【0189】
なお、この媒体1のグルーブのトラックピッチが0.30〜0.34μmであれば、開口数が0.84〜0.86の対物レンズを通して、波長400〜410nmのレーザ光が照射された場合に上記と同様の効果を得ることが可能と思われる。
【0190】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図15は、本発明の実施の形態2における光情報記録媒体の記録再生システム(記録装置)の構成を示すブロック図である。本実施の形態における記録再生システム200は、一般的な多層光情報記録媒体を記録再生するシステムであると共に、その多層光情報記録媒体の「スーパーROM現象」の発現度合いに起因するオフトラック記録を補正し、その多層光情報記録媒体の再生不良を防止するシステムである。
【0191】
なお、図15の記録再生システム200は、図3に示した再生システム100の検査部116を、オフセット量決定部(OS量決定部)201に置き換えたものである。以下、この置き換えた構成について説明するものとし、その他の同一の構成については説明を省略する。
【0192】
本実施の形態における記録再生システム200において、オフセット量決定部201は、記録再生システム200が光情報記録媒体400の「スーパーROM現象」の発現度合いに起因するオフトラック記録を補正し、その多層光情報記録媒体の再生不良を防止するためのものである。
【0193】
なお、本実施の形態では、オフセット量決定部201を記録再生システム200に設けているが、本発明はこの構成に限られるものではない。例えば、このオフセット量決定部201の構成を記録再生システム200とは別体の構成とし、光情報記録媒体400のオフセット量決定装置として、記録再生システム200に適宜接続する構成であってもよい。要は、後述するオフセット量決定部201と同一の構成及び動作を実現できれば、記録再生システム200の一部であってもよいし、別体であっても構わない。
【0194】
図16は、オフセット量決定部201の構成を示すブロック図である。オフセット量決定部201は、図16に示すように、記録再生処理指示部70と、回転数設定部71と、レーザパワー設定部72と、記録再生条件記憶部73と、差動信号取得部(検出部)74と、算出部(検出部)75と、オフセット量決定条件記憶部(OS量決定条件記憶部)76と、オフセット量取得部(OS量取得部)77と、決定部78と、を有している。
【0195】
記録再生処理指示部70は、制御部115に接続されており、光情報記録媒体400のオフトラック記録を補正するために必要なオフセット量を決定するためのオフセット量決定処理を実行する際に、光情報記録媒体400に対して施すべき処理を制御部115に指示する。そして、記録再生処理指示部70は、この制御部115への指示を介して、光情報記録媒体400に所望の処理を実行する。
【0196】
回転数設定部71は、オフセット量決定部201によるオフセット量決定処理において光情報記録媒体400の回転数として設定すべき回転数を記録再生処理指示部70に設定する。
【0197】
レーザパワー設定部72は、オフセット量決定部201によるオフセット量決定処理において光情報記録媒体400に照射されるレーザパワーとして設定すべきレーザパワーを記録再生処理指示部70に設定する。
【0198】
このようにして設定された回転数及びレーザパワーを、記録再生処理指示部70は制御部115を介して所定の回路に通知する。
【0199】
記録再生条件記憶部73は、あらかじめ用意された記録再生条件を記憶する。この記録再生条件は、回転数設定部71により記録再生処理指示部70に設定される回転数及び、レーザパワー設定部72により記録再生処理指示部70に設定されるレーザパワーである。この記録再生条件は、記録再生条件記憶部73に既知として入力されていても良いし、光情報記録媒体の所定の箇所(リードインエリア等)に予め記録されている情報を別途再生し得られた情報として記録されていても良いし、別途テストライトを行って得られた情報として記録されていても良い。
【0200】
また、記録再生条件記憶部73は、ハードディスクドライブ等の磁気ディスク装置や半導体メモリ等の公知の記憶装置から適宜選択して用いることができる。
【0201】
差動信号取得部74は、増幅回路114bを介してフォトディテクタ102j2に接続されていると共に、増幅回路114cを介してフォトディテクタ102j3に接続されている。そして、差動信号取得部64は、これら増幅回路114b及び114cにより増幅された、フォトディテクタ102j2及び102j3の各出力信号を取得する。
【0202】
差動信号取得部74は、フォトディテクタ102j2及び102j3の各出力信号からなる2つの信号を差動信号として算出部75及びオフセット量決定条件記憶部76に出力する。
【0203】
なお、差動信号取得部74は、フォトディテクタ102j2及び102j3に代えて、フォトディテクタ102j1及び102j4の出力信号を取得しても良い。この場合であれば、差動信号取得部74は、増幅回路114aを介してフォトディテクタ102j1に接続されていると共に、増幅回路114dを介してフォトディテクタ102j4に接続される。そして、差動信号取得部74は、これら増幅回路114a及び114dにより増幅された、フォトディテクタ102j1及び102j4の各出力信号を取得する。
【0204】
このように、差動信号取得部74は、光情報記録媒体400の接線方向に並んで配置されているフォトディテクタ102j2及び102j3の各出力信号、または、フォトディテクタ102j1及び102j4の各出力信号を取得する。もちろん、差動信号取得部74は、フォトディテクタ102j1及び102j2の各出力信号の和と、フォトディテクタ102j3及び102j4の各出力信号の和を取得してもよい。
【0205】
算出部75は、差動信号取得部74により取得された差動信号が入力されると、オフセット量決定条件記憶部76に記憶されている差動信号を取得し、これら2つの差動信号の差を算出する。そして、算出部75は、これら差動信号の差の算出結果をオフセット量決定条件記憶部76に記憶する。
【0206】
オフセット量決定条件記憶部76は、差動信号取得部74により取得される差動信号を記憶する。オフセット量決定条件記憶部76は、ハードディスクドライブ等の磁気ディスク装置や半導体メモリ等の公知の記憶装置から適宜選択して用いることができる。なお、記録再生条件記憶部73とオフセット量決定条件記憶部76は、それぞれ必要なデータが記憶可能であればよく、それぞれを別の記憶装置で実現してもよいし、1つの記憶装置の中で記憶領域を分割することで実現してもよい。
【0207】
オフセット量取得部77は、トラッキング制御回路106と接続されており、トラッキング制御回路106がトラッキング方向の位置を制御する際に用いたオフセット量を取得する。上述したように、トラッキング制御回路106は、トラッキング駆動コイル102bに与えるトラッキング制御信号を生成し、対物レンズ102aに対してトラッキングサーボを施すが、このトラッキング状態から対物レンズ102aを光情報記録媒体400の半径方向に移動させる量が、上で述べたオフセット量である。
【0208】
また、オフセット量取得部77は、トラッキング制御回路106から取得したオフセット量をオフセット量決定条件記憶部76に記憶する。
【0209】
決定部78は、オフセット量決定条件記憶部76に記憶されている、光情報記録媒体400の記録の際における上記の差動信号及びオフセット量を取得する。そして、決定部78は、光情報記録媒体400の再生の際における上記の差動信号が算出部75から入力されると、オフセット量決定条件記憶部76から取得した光情報記録媒体400の記録の際における上記の差動信号及びオフセット量と、算出部75から入力された上記の差動信号とを基に、光情報記録媒体400の記録の際におけるオフセット量を決定する。
【0210】
また、決定部78は、光情報記録媒体400の記録の際におけるオフセット量を決定すると、そのオフセット量をトラッキング制御回路106に出力する。
【0211】
次に、オフセット量決定部201の動作について説明する。図17、図18及び図19は、オフセット量決定部201の動作を説明するためのフローチャートである。
【0212】
図17において、記録再生システム200にオフセット量決定用の光情報記録媒体400が装填されると、先ず、オフセット量決定部201の回転数設定部71は、記録再生条件記憶部73にあらかじめ記憶されている光情報記録媒体400の回転数を取得し、記録再生処理指示部70に設定する。
【0213】
ここで、オフセット量決定用の光情報記録媒体400は、上で述べたオフトラック記録が発生することが予め分かっている記録媒体であるとする。
【0214】
なお、このようなオフセットトラック記録が発生することが予め分かっている、オフセット量決定用の光情報記録媒体400は、記録再生システム200を生産する装置メーカーであれば入手可能であるが、記録再生システム200を購入し、利用するユーザであれば入手は困難である。このため、以下に述べる、オフセット量決定用の光情報記録媒体400を用いたオフセット量決定部201の動作、つまり、図17及び図18のフローチャートに記載の動作は、装置メーカーにおいて行なわれるのが通常である。
【0215】
記録再生処理指示部70は、回転数設定部71により設定された回転数で光情報記録媒体400を回転させるよう、制御部115に指示する。制御部115は、モータ制御回路109を介してディスク駆動モータ101を駆動し、記録再生処理指示部70により指示された回転数で光情報記録媒体400を回転させる(ステップS301)。
【0216】
光情報記録媒体400の回転数は、光情報記録媒体400に情報信号を記録する際の回転数を用いる。
【0217】
記録再生処理指示部70は、光情報記録媒体400の所定の記録箇所に対向する位置に、光学ピックアップ102を移動するよう、制御部115に指示する。制御部115は、フィードモータ制御回路108を介してフィードモータ111を駆動し、記録再生処理指示部70により指示された位置に光学ピックアップ102を移動させる(ステップS302)。
【0218】
レーザパワー設定部72は、記録再生条件記憶部73にあらかじめ記憶されている光情報記録媒体400に照射される記録用レーザパワーを取得し、記録再生処理指示部70に設定する。
【0219】
そして、記録再生処理指示部70は、半導体レーザ発振器102fから出射されるレーザのレーザパワーがレーザパワー設定部72により設定された記録用レーザパワーとなるよう、制御部115に指示する。制御部115は、レーザ制御回路103を介して半導体レーザ発振器102fを駆動し、半導体レーザ発振器102fのレーザパワーを記録再生処理指示部70により指示された記録用レーザパワーに固定する(ステップS303)。
【0220】
なお、本ステップS303では、光情報記録媒体400に照射されるレーザパワーとして記録用レーザパワーを取得しているが、本実施の形態はこれに限るものではない。例えば、光情報記録媒体400を再生する際のレーザパワーを取得し、その再生用のレーザパワーを用いて後述するステップS304及びステップS305の処理を行ってもよい。この場合であれば、後述するステップS306において改めて、記録再生処理指示部70は、半導体レーザ発振器102fから出射されるレーザのレーザパワーがレーザパワー設定部72により設定された記録用レーザパワーとなるよう、制御部115に指示することになる。
【0221】
また、実際に光情報記録媒体400に情報を記録する場合には、複数のレーザパワーを組み合わせてパルス列となるようにレーザが照射されるので、本実施の形態においては、上記記録用レーザパワーは、上記組合せに用いられるレーザパワーのうち最大のレーザパワーを意味する。あるいは、上記記録用レーザパワーは、総エネルギー量が同じになるように均一化したレーザパワーや、各レーザパワーの平均値等であっても良い。
【0222】
記録再生処理指示部70は、光情報記録媒体400にレーザが照射されると、記録対象の記録層にフォーカスサーチ処理をするよう、制御部115に指示する。制御部115は、記録対象の記録層に対し、上述したフォーカスサーチ処理を実行する(ステップS304)。
【0223】
記録再生処理指示部70は、記録対象の記録層に対するフォーカスサーチ処理が実行された後、記録対象の記録層に対するトラッキング処理を実行するよう、制御部115に指示する。制御部115は、記録対象の記録層にある任意のトラックあるいは特定のトラックに対し、上述したトラッキング処理を実行する(ステップS305)。
【0224】
差動信号取得部74は、増幅回路114bを介してフォトディテクタ102j2の出力信号を取得すると共に、増幅回路114cを介してフォトディテクタ102j3の出力信号を取得する。そして、差動信号取得部74は、フォトディテクタ102j2及び102j3の各出力信号からなる2つの信号を差動信号としてオフセット量決定条件記憶部76に出力する。オフセット量決定条件記憶部76は、差動信号取得部74により取得された差動信号を記憶する(ステップS306)。
【0225】
また、本ステップS306においてはさらに、光情報記録媒体400の回転方向を逆転させ、2つ目の差動信号を取得するようにしてもよい。そうすることにより、回転方向が異なる場合各々の差動信号を基に、例えば、それらを平均化すれば、光情報記録媒体400の回転方向におけるピックアップ固有の温度分布に起因する差動信号のバラツキを抑えることができる。
【0226】
記録再生処理指示部70は、制御部115への指示を介して、光情報記録媒体400に所定の情報の記録処理を実行する(ステップS307)。この所定の情報は、後述するように、光情報記録媒体400の記録の際におけるオフセット量を取得するために利用される。
【0227】
光情報記録媒体400の記録処理が終了すると、回転数設定部71は、記録再生条件記憶部73にあらかじめ記憶されている光情報記録媒体400の回転数を取得し、記録再生処理指示部70に設定する。記録再生処理指示部70は、回転数設定部71により設定された回転数で光情報記録媒体400を回転させるよう、制御部115に指示する。制御部115は、モータ制御回路109を介してディスク駆動モータ101を駆動し、記録再生処理指示部70により指示された回転数で光情報記録媒体400を回転させる(ステップS308)。
【0228】
光情報記録媒体400の回転数は、光情報記録媒体400に記録された情報信号を再生する際の回転数を用いる。
【0229】
記録再生処理指示部70は、光情報記録媒体400の所定の記録箇所に対向する位置に、光学ピックアップ102を移動するよう、制御部115に指示する。制御部115は、フィードモータ制御回路108を介してフィードモータ111を駆動し、記録再生処理指示部70により指示された位置に光学ピックアップ102を移動させる(ステップS309)。
【0230】
レーザパワー設定部72は、記録再生条件記憶部73にあらかじめ記憶されている光情報記録媒体400に照射される再生用レーザパワーを取得し、記録再生処理指示部70に設定する。
【0231】
そして、記録再生処理指示部70は、半導体レーザ発振器102fから出射されるレーザのレーザパワーがレーザパワー設定部72により設定された再生用レーザパワーとなるよう、制御部115に指示する。制御部115は、レーザ制御回路103を介して半導体レーザ発振器102fを駆動し、半導体レーザ発振器102fのレーザパワーを記録再生処理指示部70により指示された再生用レーザパワーに固定する(ステップS310)。
【0232】
記録再生処理指示部70は、光情報記録媒体400にレーザが照射されると、記録対象の記録層にフォーカスサーチ処理をするよう、制御部115に指示する。制御部115は、記録対象の記録層に対し、上述したフォーカスサーチ処理を実行する(ステップS311)。
【0233】
記録再生処理指示部70は、記録対象の記録層に対するフォーカスサーチ処理が実行された後、記録対象の記録層に対するトラッキング処理を実行するよう、制御部115に指示する。制御部115は、記録対象の記録層にある任意のトラックあるいは特定のトラックに対し、上述したトラッキング処理を実行する(ステップS312)。
【0234】
記録再生処理指示部70は、制御部115への指示を介して、上記のステップS307において光情報記録媒体400に記録された所定の情報の再生処理を実行する(ステップS313)。
【0235】
本ステップS313においては、記録再生処理指示部70は、光情報記録媒体400の半径方向におけるオフセット量を変化させながら、光情報記録媒体400の再生処理を行い、各オフセット量における再生信号品質(bERや信号振幅、アシンメトリ等)を図示しない信号品質評価部で評価する。そして、最も再生信号品質(bERや信号振幅、アシンメトリ等)が良くなるオフセット量を決定する。そうすることにより、オフセット量取得部77は、光情報記録媒体400の記録の際におけるオフセット量を取得する。そして、オフセット量取得部77は、その取得したオフセット量をオフセット量決定条件記憶部76に記憶する。
【0236】
このようにして、上で述べたような装置メーカーにおいて行なわれる、オフセット量決定部201の動作が終了する。
【0237】
次に、上で述べたような、記録再生システム200を購入し、利用するユーザにおいて行なわれる、オフセット量決定部201の動作、つまり、図19のフローチャートに記載の動作について説明する。
【0238】
ユーザによって記録再生システム200に通常の光情報記録媒体400が装填されると、オフセット量決定部201の回転数設定部71は、記録再生条件記憶部73にあらかじめ記憶されている光情報記録媒体400の回転数を取得し、記録再生処理指示部70に設定する。
【0239】
ここで、通常の光情報記録媒体400は、上で述べたオフトラック記録が発生することが不明である記録媒体であるとする。
【0240】
そして、記録再生処理指示部70は、回転数設定部71により設定された回転数で光情報記録媒体400を回転させるよう、制御部115に指示する。制御部115は、モータ制御回路109を介してディスク駆動モータ101を駆動し、記録再生処理指示部70により指示された回転数で光情報記録媒体400を回転させる(ステップS401)。
【0241】
光情報記録媒体400の回転数は、光情報記録媒体400に情報信号を記録する際の回転数を用いる。
【0242】
記録再生処理指示部70は、光情報記録媒体400の所定の記録箇所に対向する位置に、光学ピックアップ102を移動するよう、制御部115に指示する。制御部115は、フィードモータ制御回路108を介してフィードモータ111を駆動し、記録再生処理指示部70により指示された位置に光学ピックアップ102を移動させる(ステップS402)。
【0243】
レーザパワー設定部72は、記録再生条件記憶部73にあらかじめ記憶されている光情報記録媒体400に照射される記録用レーザパワーを取得し、記録再生処理指示部70に設定する。
【0244】
そして、記録再生処理指示部70は、半導体レーザ発振器102fから出射されるレーザのレーザパワーがレーザパワー設定部72により設定された記録用レーザパワーとなるよう、制御部115に指示する。制御部115は、レーザ制御回路103を介して半導体レーザ発振器102fを駆動し、半導体レーザ発振器102fのレーザパワーを記録再生処理指示部70により指示された記録用レーザパワーに固定する(ステップS403)。
【0245】
なお、本ステップS403では、光情報記録媒体400に照射されるレーザパワーとして記録用レーザパワーを取得しているが、本実施の形態はこれに限るものではない。例えば、光情報記録媒体400を再生する際のレーザパワーを取得し、その再生用のレーザパワーを用いて後述するステップS404及びステップS405の処理を行ってもよい。この場合であれば、後述するステップS406において改めて、記録再生処理指示部70は、半導体レーザ発振器102fから出射されるレーザのレーザパワーがレーザパワー設定部72により設定された記録用レーザパワーとなるよう、制御部115に指示することになる。
【0246】
また、実際に光情報記録媒体400に情報を記録する場合には、複数のレーザパワーを組み合わせてパルス列となるようにレーザが照射されるので、本実施の形態においては、上記記録用レーザパワーは、上記組合せに用いられるレーザパワーのうち最大のレーザパワーを意味する。あるいは、上記記録用レーザパワーは、総エネルギー量が同じになるように均一化したレーザパワーや、各レーザパワーの平均値等であっても良い。
【0247】
記録再生処理指示部70は、光情報記録媒体400にレーザが照射されると、記録対象の記録層にフォーカスサーチ処理をするよう、制御部115に指示する。制御部115は、記録対象の記録層に対し、上述したフォーカスサーチ処理を実行する(ステップS404)。
【0248】
記録再生処理指示部70は、記録対象の記録層に対するフォーカスサーチ処理が実行された後、記録対象の記録層に対するトラッキング処理を実行するよう、制御部115に指示する。制御部115は、記録対象の記録層にある任意のトラックあるいは特定のトラックに対し、上述したトラッキング処理を実行する(ステップS405)。
【0249】
差動信号取得部74は、増幅回路114bを介してフォトディテクタ102j2の出力信号を取得すると共に、増幅回路114cを介してフォトディテクタ102j3の出力信号を取得する。そして、差動信号取得部74は、フォトディテクタ102j2及び102j3の各出力信号からなる2つの信号を差動信号としてオフセット量決定条件記憶部76に出力する。オフセット量決定条件記憶部76は、差動信号取得部74により取得された差動信号を記憶する(ステップS406)。
【0250】
また、本ステップS406においても、上記のステップS306と同様に、光情報記録媒体400の回転方向を逆転させ、2つ目の差動信号を取得すればよい。そうすることにより、上記のステップS306の場合と同様の効果を得ることができる。
【0251】
決定部78は、上記のステップS306において検出された差動信号と、上記のステップS406において検出された差動信号とをオフセット量決定条件記憶部76から取得する。上記のステップS306において検出された差動信号は、オフセット量決定用の光情報記録媒体400の記録の際における差動信号(ここでは、「オフセット量決定用差動信号」と呼ぶ。)である。一方、上記のステップS406において検出された差動信号は、通常の光情報記録媒体400の記録の際における差動信号(ここでは、「通常差動信号」と呼ぶ。)である。
【0252】
決定部78は、それら2つのオフセット量決定用差動信号及び通常差動信号を比較し、オフセット量決定用差動信号に対する通常差動信号の倍率を算出する(ステップS407)。
【0253】
そして、決定部78は、上記のステップS313において取得されたオフセット量をオフセット量決定条件記憶部76から取得する。上記のステップS313において取得されたオフセット量は、オフセット量決定用の光情報記録媒体400の記録の際におけるオフセット量である。
【0254】
決定部78は、そのオフセット量に上記のステップS407において算出された倍率を乗算し、その乗算結果を通常の光情報記録媒体400の記録の際におけるオフセット量として決定する。決定部78は、その決定されたオフセット量を記録再生処理指示部70に出力する(ステップS408)。
【0255】
記録再生処理指示部70は、制御部115への指示を介して、決定部78により決定されたオフセット量を用いた、光情報記録媒体400の記録処理を実行する(ステップS409)。
【0256】
なお、ステップS306やステップS406にて取得する差動信号は、記録レーザパワーを照射して得られた差動信号と、別途より低いレーザパワーを同様に照射して得られた差動信号との差異であっても良い。
【0257】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0258】
最後に、検査部116のトラッキング処理指示部60、回転数設定部61、レーザパワー設定部62、差動信号取得部64、算出部65及び判定部67、並びに、オフセット量決定部201の記録再生処理指示部70、回転数設定部71、レーザパワー設定部72、差動信号取得部74、算出部75、オフセット量取得部77及び決定部78は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0259】
すなわち、トラッキング処理指示部60、回転数設定部61、レーザパワー設定部62、差動信号取得部64、算出部65及び判定部67、並びに、記録再生処理指示部70、回転数設定部71、レーザパワー設定部72、差動信号取得部74、算出部75、オフセット量取得部77及び決定部78は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるトラッキング処理指示部60、回転数設定部61、レーザパワー設定部62、差動信号取得部64、算出部65及び判定部67、並びに、記録再生処理指示部70、回転数設定部71、レーザパワー設定部72、差動信号取得部74、算出部75、オフセット量取得部77及び決定部78の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、トラッキング処理指示部60、回転数設定部61、レーザパワー設定部62、差動信号取得部64、算出部65及び判定部67、並びに、記録再生処理指示部70、回転数設定部71、レーザパワー設定部72、差動信号取得部74、算出部75、オフセット量取得部77及び決定部78に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0260】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0261】
また、検査部116のトラッキング処理指示部60、回転数設定部61、レーザパワー設定部62、差動信号取得部64、算出部65及び判定部67、並びに、オフセット量決定部201の記録再生処理指示部70、回転数設定部71、レーザパワー設定部72、差動信号取得部74、算出部75、オフセット量取得部77及び決定部78を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0262】
なお、本発明は、以下のようにも表現することができる。すなわち、本発明における検査方法は、記録型光情報記録媒体の記録及び/又は再生時において、上記媒体にビームを集光照射し、上記ビームが上記媒体から反射されることにより発生する反射光を受光する受光部を有し、上記受光部が少なくともトラック方向に分割されている光情報記録媒体用記録及び/又は再生装置を用いる検査方法であって、記録型光情報記録媒体の記録及び/又は再生時において分割した走査方向前方領域の受光部から得られる信号と走査方向後方領域の受光部から得られる信号の差分を記録及び/又は再生パワー別に測定し、所定の信号を記録及び/又は再生パワー範囲で、所定の値より大きく又は小さくなること良否判断の基準とする。
【0263】
本発明における光情報記録媒体の製造法は、上記の検査方法を用いる。
【0264】
本発明における光情報記録媒体は、上記の製造法により製造される。
【0265】
本発明における光情報記録媒体は、記録型光情報記録媒体の記録及び/又は再生時において、上記媒体にビームを集光照射し、上記ビームが上記媒体から反射されることにより発生する反射光を受光する受光部を有し、上記受光部が少なくともトラック方向に分割されている光情報記録媒体用記録及び/又は再生装置を用いて、記録及び/又は再生した場合、所定の信号を記録及び/又は再生パワー範囲で、分割した走査方向前方領域の受光部から得られる信号と走査方向後方領域の受光部から得られる信号の差分が所定の範囲内にある。
【0266】
本発明における光情報記録媒体用記録及び/又は再生装置は、記録型光情報記録媒体の記録及び/又は再生時において、上記媒体にビームを集光照射し、上記ビームが上記媒体から反射されることにより発生する反射光を受光する受光部を有し、上記受光部が少なくとも半径方向とトラック方向に分割され、記録型光情報記録媒体の記録及び/又は再生時において、分割した半径方向内周領域の受光部から得られる信号と半径方向外周部から得られる信号の差動をトラック信号として、トラッキングを行う光情報記録媒体用記録及び/又は再生装置であって、記録型光情報記録媒体挿入後、記録実施前に、上記媒体にビームを集光照射し、分割した走査方向前方領域の受光部から得られる信号と走査方向後方領域の受光部から得られる信号の差分を照射パワー別に測定した結果より得られた情報と、記録及び/又は再生装置が有するピックアップ固有の情報とを利用して、記録時において記録を行うトラックの半径方向中心に対しビームスポット中心をトラッキング状態から半径方向にずらす量である半径方向オフセット量を制御する。
【0267】
本発明における光情報記録媒体用記録及び/又は再生装置は、記録型光情報記録媒体の記録及び/又は再生時において、上記媒体にビームを集光照射し、上記ビームが上記媒体から反射されることにより発生する反射光を受光する受光部を有し、上記受光部が少なくとも半径方向に分割され、記録型光情報記録媒体の記録及び/又は再生時において、分割した半径方向内周領域の受光部から得られる信号と半径方向外周部から得られる信号の差動をトラック信号として、トラッキングを行う光情報記録媒体用記録及び/又は再生装置であって、記録型光情報記録媒体挿入後、ユーザが利用するコンテンツ情報の記録実施前に、記録時の半径方向オフセット量を変更しながら記録を行い、その情報を再生することにより記録時の半径方向オフセット量を制御する。
【0268】
また、記録時に半径方向オフセット量を制御しない場合は、記録時の記録位置ズレ量情報を基に、再生時のトラッキングの半径方向オフセット量を決定し、再生することが好ましい。
【0269】
本発明における光情報記録媒体は、記録領域においてトラックピッチ0.32μmのグルーブを有し、開口数0.84以上かつ0.86以下の対物レンズを介して波長400nm以上かつ410nm以下の光で記録/再生され、21mW以上の記録パワーで情報が記録される記録型光情報記録媒体であって、前記第2のビームパワーを12mWとした場合の上記の検査方法において、前記第1の差分と前記第2の差分が略等しい。
【0270】
本発明における光情報記録媒体記録装置は、光情報記録媒体にビームを照射することにより情報を記録する光情報記録媒体記録装置であって、光情報記録媒体の記録層のトラック方向に沿って、第1の受光部と、第2の受光部とがこの順に配置されており、前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルを検出する検出ステップと、前記第1の受光部により受光された第1の反射光レベルと、前記第2の受光部により受光された第2の反射光レベルとを比較する比較ステップとを含む記録時のトラッキング半径方向オフセット補正を行う手段が設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0271】
本発明に係る光情報記録媒体は、CD、DVD、HD−DVD、BD等の光学読取式のディスクや、光磁気ディスク、相変化型ディスク等の種々の光情報記録媒体及び光情報記録媒体駆動装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0272】
10 透光層
30 中間層
50 基板
60 トラッキング処理指示部
61、71 回転数設定部
62、72 レーザパワー設定部
63 検査条件記憶部
64、74 差動信号取得部(検出部)
65、75 算出部(検出部)
66 差動信号記憶部
67 判定部
68 良品判定基準値記憶部
69 表示部
70 記録再生処理指示部
73 記録再生条件記憶部
76 オフセット量決定条件記憶部
77 オフセット量取得部
78 決定部
100 再生システム
101 ディスク駆動モータ
102 光学ピックアップ
102a 対物レンズ
102b トラッキング駆動コイル
102c フォーカス駆動コイル
102d ハーフプリズム
102e コリメータレンズ
102f 半導体レーザ発振器
102g 光量検出器
102h 集光レンズ
102i シリンドリカルレンズ
102j 光電変換器
102j1、102j2、102j3、102j4 フォトディテクタ
103 レーザ制御回路
104 差動増幅回路
105 フォーカス制御回路
106 トラッキング制御回路
107 位相差検出回路
108 フィードモータ制御回路
109 モータ制御回路
110 データ再生回路
111 フィードモータ
112 速度検出器
113a、113b、113c、113d、113e 加算回路
114a、114b、114c、114d 増幅回路
115 制御部
116 検査部
200 記録再生システム(記録装置)
201 オフセット量決定部
400 光情報記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光情報記録媒体が有する記録可能な記録層にビームを照射して、前記記録層からの反射光を受光することにより、前記光情報記録媒体の良否判定を行うための検査方法であって、
前記記録層のトラック方向に沿って、第1の受光部と、第2の受光部とがこの順に配置されており、前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルを検出する検出ステップと、
前記第1の受光部により受光された第1の反射光レベルと、前記第2の受光部により受光された第2の反射光レベルとを比較し、その比較結果に基づき前記光情報記録媒体を良否判定する判定ステップと
を含むことを特徴とする光情報記録媒体の検査方法。
【請求項2】
前記検出ステップにおいて検出される各反射光レベルは、前記光情報記録媒体の回転方向が異なる場合における2つの反射光レベルを平均化したものであることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体の検査方法。
【請求項3】
光情報記録媒体が有する記録可能な記録層にビームを照射して、前記記録層からの反射光を受光することにより、前記光情報記録媒体の良否判定を行うための検査方法であって、
前記記録層のトラック方向に沿って、第1の受光部と、第2の受光部とがこの順に配置されており、第1のビームパワーを持つビームを前記記録層に照射しながら前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルを検出する第1の検出ステップと、
前記第1の検出ステップにおいて前記第1の受光部により受光された第1の反射光レベルと、前記第1の検出ステップにおいて前記第2の受光部により受光された第2の反射光レベルとの第1の差分を算出する第1の算出ステップと、
前記第1のビームパワーよりも高い第2のビームパワーを持つビームを前記記録層に照射しながら前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルを検出する第2の検出ステップと、
前記第2の検出ステップにおいて前記第1の受光部により受光された第3の反射光レベルと、前記第2の検出ステップにおいて前記第2の受光部により受光された第4の反射光レベルとの第2の差分を算出する第2の算出ステップと、
前記第1の算出ステップにおいて算出された第1の差分と、前記第2の算出ステップにおいて算出された第2の差分とを比較し、その比較結果に基づき前記光情報記録媒体を良否判定する判定ステップと
を含むことを特徴とする光情報記録媒体の検査方法。
【請求項4】
前記第1の検出ステップ及び前記第2の検出ステップにおいて検出される各反射光レベルは、前記光情報記録媒体の回転方向が異なる場合における2つの反射光レベルを平均化したものであることを特徴とする請求項3に記載の光情報記録媒体の検査方法。
【請求項5】
前記判定ステップは、前記光情報記録媒体が不良品であると判定すべきとしてあらかじめ定められた基準値に対する前記第1の差分と前記第2の差分との間の変化幅の大小を比較し、前記変化幅が前記基準値より小さいとの比較結果に基づいて、前記光情報記録媒体と良品であると判定することを特徴とする請求項3に記載の光情報記録媒体の検査方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の受光部により受光される前記記録層からの反射光レベルは、前記記録層のトラックの蛇行成分であるウォブル信号の振幅であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の検査方法。
【請求項7】
記録可能な記録層を有する光情報記録媒体の製造方法であって、
基板上に前記記録層を含む多層構造を実現することにより光情報記録媒体を製造する製造ステップと、
前記製造ステップにおいて製造された前記光情報記録媒体を請求項1〜6のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の検査方法を用いて前記光情報記録媒体を良否判定するステップと、
を含むことを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の光情報記録媒体の製造方法を用いて製造されることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項9】
光情報記録媒体が有する記録可能な記録層にビームを照射して、前記記録層からの反射光を受光することにより、前記光情報記録媒体の良否判定を行うための検査装置であって、
前記記録層のトラック方向に沿って順に配置された第1の受光部及び第2の受光部と、
前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルを検出する検出部と、
前記第1の受光部により受光された第1の反射光レベルと、前記第2の受光部により受光された第2の反射光レベルとを比較し、その比較結果に基づき前記光情報記録媒体を良否判定する判定部と
を備えることを特徴とする光情報記録媒体の検査装置。
【請求項10】
前記検出部において検出される各反射光レベルは、前記光情報記録媒体の回転方向が異なる場合における2つの反射光レベルを平均化したものであることを特徴とする請求項9に記載の光情報記録媒体の検査装置。
【請求項11】
記録層を有し、前記記録層にビームが照射されることにより、前記記録層に情報が記録される光情報記録媒体であって、
請求項3に記載の検査方法を用いて検査される場合において、前記第2のビームパワーを前記第1のビームパワーより大きい所定のパワーとしたときに前記第1の差分と前記第2の差分とが略等しくなるように、前記記録層が設定されていることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項12】
トラックピッチが0.30〜0.34μmのグルーブを持つ記録層を有し、21mW以上のビームパワー及び400nm〜410nmの波長を持つビームが、0.84〜0.86の開口数を持つ対物レンズを介して、前記記録層に照射されることにより、前記記録層に情報が記録される光情報記録媒体であって、
請求項3に記載の検査方法を用いて検査される場合において、前記第2のビームパワーを12mWとしたときに、前記第1の差分と前記第2の差分とが略等しくなることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項13】
光情報記録媒体が有する記録可能な記録層にビームを照射して、前記記録層に情報を記録する光情報記録媒体の記録装置であって、
前記記録層のトラック方向に沿って順に配置された第1の受光部及び第2の受光部と、
前記第1及び第2の受光部を用いて前記記録層からの反射光レベルを検出する検出部と、
前記第1の受光部により受光された第1の反射光レベルと、前記第2の受光部により受光された第2の反射光レベルとを比較し、その比較結果に基づき前記記録層に情報を記録する際における前記光情報記録媒体の半径方向のオフセット量を決定する決定部と
を備えることを特徴とする光情報記録媒体の記録装置。
【請求項14】
前記検出部において検出される各反射光レベルは、前記光情報記録媒体の回転方向が異なる場合における2つの反射光レベルを平均化したものであることを特徴とする請求項13に記載の光情報記録媒体の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−170653(P2010−170653A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296112(P2009−296112)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】