説明

光接続構造および電力・光複合接続構造

【課題】光伝送路を接続する光接続構造を提供する。
【解決手段】光レセプタクル部と挿入穴から構成され、付勢手段により所定位置に設定され、移動可能となっているとともに、第1光伝送路を配置させる光レセプタクル部で、挿入穴から進入する柱面を含む光支持部に支持させる第2光伝送路を柱面とともに受け入れさせて、第2光伝送路を第1光伝送路と接続させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光接続構造および電力・光複合接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商用電力の取り入れには電源コードの一端に2電極またはこれにアース電極を加えた3電極を有する差込プラグを備え、この差込プラグを差込接続器としてのコンセントに差し込んで配電盤からの電力供給線と電源コードの電源線とを接続するようになっている。このような電源コードの他端は例えばパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する)の電源部に接続されて当該パソコンへの電力供給系を構成する。
【0003】
また最近は、複数のパソコンやプリンタなど(以下、簡単のためにパソコンで代表させる)でLAN(ローカルエリアネットワーク)を形成して、相互にデータ交換などを可能とする例も多く見られるようになっているが、LANの信号線として光ファイバが普及しつつある。
この場合、LANを形成する端末として のパソコンには当然にそれぞれ電力供給と光ファイバ接続が必要になるので、パソコンはその電源部とコンセント間を上述の電源コードで接続するとともに、光端子とLANのHUB(ハブ)間を光ケーブルで接続している。
【0004】
すなわち、パソコンからは少なくとも電源コードと光ケーブルが延びることになり配線が輻輳する。
そこで、配線輻輳の対策として、例えば特許文献1や特許文献2等には電源コードと光ケーブルを一体化した複合ケーブルが提案されている。
すなわち、これらの複合ケーブルは、電源線と光ファイバとを共通のシースに埋設して、全体を1本のケーブルとしている。
上記文献等に提案された電源コードと光ケーブルを一体化した複合ケーブルによれば、途中の配線の本数が減じて簡単化されるという利点が得られる。
【特許文献1】特開2001−266665号公報
【特許文献2】特開2001−318286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、差込接続器のプラグ受の一種で、複数の刃受、コード接続部および電源用差込刃などから構成され、一つのコンセントまたはコードから複数の分岐接続ができ、かつ、固定しないで使用するものとしてテーブルタップ、三角タップ等のマルチタップが知られている。
一方、上記従来の複合ケーブルは、一系統の電力線および光ファイバを接続するに留まっており、マルチタップとしての機能を有するものではなかった。
したがって、例えば、複数のパソコンに対し、それぞれ電源コードと光ケーブルを接続しようとする場合には、やはり配線が輻輳することとなっていた。
【0006】
そこで本発明の目的は、このような従来の問題点に鑑み、電力と光信号を確実に伝送できるとともに、電源コードと光ケーブルを一体化した複合ケーブルを分岐させて用いるのに好適な電力・光複合プラグ受、および、電力・光複合差込接続器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の電力・光複合プラグ受は、光信号を伝送する光ファイバを保持固定するフェルールと、外部の差込プラグを構成する電極が差し込まれた場合に、この電極に接して導通する通電部と、前記外部の差込プラグを構成する電極に当接して、付勢状態で前記光ファイバの軸方向に沿って摺動可能とされ、前記外部の差込プラグを構成する電極に他の光ファイバがフェルールにより保持されている場合に、当該他の光ファイバのフェルールを位置決めするレセプタクルとして機能するコネクタ本体と、を備え、前記通電部と、前記コネクタ本体とは、前記外部の差込プラグを構成する電極が差し込まれる仮想線上に並んで配置されることを特徴としている。
また、本発明の電力・光複合差込接続器は、光信号を入出力する光信号入出力部および電極を備えた電力・光複合差込プラグと、上記電力・光複合プラグ受と、前記電力・光複合差込プラグを介して入力された光信号を複数の前記電力・光複合プラグ受けに出力するとともに、前記複数の前記電力・光複合プラグ受を介して入力された光信号を前記電力・光複合差込プラグに出力する信号伝送部と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
この場合において、前記電力・光複合プラグ受けを複数備え、前記光信号は、光波長多重信号であり、前記信号伝送部は、前記電力・光複合差込プラグを介して入力された光信号を各前記電力・光複合プラグ受けに対応づけて分配して出力するとともに、複数の前記電力・光複合プラグ受けを介して入力された光信号を合成して前記電力・光複合差込プラグに出力する合成・分配器を備えるようにしてもよい。
また、前記信号伝送部には、前記電力・光複合差込プラグを介して複数の光信号が入力され、前記信号伝送部は、複数系統の光伝送路を有し、入力された複数の光信号を各電力・光複合プラグ受に所定の前記光伝送路を介して出力するとともに、複数の前記電力・光複合プラグ受を介して入力された複数の光信号を所定の前記光伝送路を介して前記電力・光複合差込プラグに出力するようにしてもよい。
【0009】
また、外部のワイヤレスUSBホストに対しワイヤレスUSBデバイスとしてピアツーピア接続され、あるいは、外部のワイヤレスUSBデバイスに対しワイヤレスUSBホストとしてピアツーピア接続され、前記ワイヤレスUSBホストあるいは前記ワイヤレスUSBデバイスから、LANフレームデータあるいは非LANフレームデータを含む無線フレームデータを受信するワイヤレスUSB回路と、前記LANフレームデータの処理を行うLANフレームデータ処理部と、前記非LANフレームデータの処理を行う非LANフレームデータ処理部と、を備え、前記ワイヤレスUSB回路は、前記無線フレームデータを解析し、前記LANフレームデータを抽出して前記LANフレームデータ処理部に出力し、前記非LANフレームデータを抽出して前記非LANフレームデータ処理部に出力する、ようにしてもよい。
【0010】
ここで、電力・光複合差込プラグは、光信号を伝送する光ファイバを保持固定するフェルールと、先端側に底壁を有する筒部をなした電極と、を備え、前記フェルールは、前記電極の前記筒部に保持されるとともに、前記底壁から外方へ突出され、前記電極、前記光ファイバおよび前記フェルールは、電力・光複合差込プラグ本体に弾性部材で構成された緩衝材を介して揺動可能に支持されている、ことを特徴とするものとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電力と光信号を確実に伝送できるとともに、電源コードと光ケーブルを一体化した複合ケーブルを分岐させることができ、接続部周りの配線を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[1]第1実施形態
図1は、実施形態の電力・光複合差込接続器としてのテーブルタップの概要構成ブロック図である。
図2は、テーブルタップの接続状態の説明図である。
テーブルタップ100は、大別すると、テーブルタップ本体110と、差込プラグ60と、を備えている。この場合において、テーブルタップは、電力・光複合差込接続器として機能しており、差込プラグ60側から入力される光信号は、波長多重信号とされている。
本実施形態において、光信号として、波長多重信号を用いているのは、1本の光ファイバで、光LANに用いる全二重通信の上り信号、下り信号、USBの電気信号を光信号に置き換えて利用するUSB信号及び光信号として利用するテレビ信号を同時並行して取り扱うためである。すなわち、LAN光デバイス、USB光デバイスあるいはテレビ信号光デバイスの夫々で違う光波長(目的の単波長信号)を用いて光通信を行うためである。
【0013】
テーブルタップ本体110は、当該テーブルタップ本体の各部に電源を供給する電源回路111と、外部の差込プラグを受ける第1プラグ受112と、外部の差込プラグを受ける第2プラグ受113と、後述するUSB信号(電気信号)を光信号に置き換えて利用するに際し、後述するUSB光デバイス117の光信号(目的の単波長信号)の通過を阻止し、テーブルタップ本体110をUSBハブに見立てテーブルタップ本体110に接続されたUSB機器間でUSB接続を構成させるための光フィルタ114と、アンテナ115を有し、外部のワイヤレスUSBホスト装置あるいは自己がワイヤレスUSBホストとして機能する場合には、外部のワイヤレスUSBデバイスと無線でUSB接続を行うワイヤレスUSB回路116と、USBに用いられる光信号と電気信号の相互変換を行う光素子であるUSB光デバイス117と、LAN/USB間のプロトコル変換を行うとともに、それ自身がMACアドレスを備え、ワイヤレスUSB回路116と協働して後述する初期接続時の処理シーケンスを実行するLAN・USBプロトコル変換部118と、LANに用いられる光信号と電気信号の相互変換を行う光素子であるLAN光デバイス119と、第1プラグ受112および第2プラグ受113と光フィルタ114,USB光デバイス117あるいはLAN光デバイス119との間で光信号の合成(夫々の単波長信号を混合して光波長多重信号とする)および分配(光波長多重信号を接続する全ての光ファイバに行き渡らせる)を行う光合分配器120と、を備えている。本実施形態では、光合分配器120を用いて単波長信号を混合して光波長多重信号とすることによって、フェルールに支持する光ファイバを1本とすることができ、これにより、単芯のフェルールを用いることができるので、フェルールの軸回り方向の姿勢制御が必要なくなる。
この場合において、第1プラグ受112と、第2プラグ受113は、物理的には同一構成を採っている。また、2つ以上のLAN接続機器が同時に通信しないように、これらのLAN接続機器のアクセス方式としては、光信号の衝突回避が行えるものを採用している。例えば、アクセス方式として、CSMA/CD方式を用いる。
【0014】
差込プラグ60は、図2に示すように、室内の壁面に取り付けられた差込接続器であるコンセント30に接続されるものである。
コンセント30は、配電盤10から電力供給線18とアース線19が延びている。配電盤10は商用電力線12につながっている。
配電盤10には、LANを形成するためのハブ(HUB)14が設けられており、ハブ14からは光ファイバ20がコンセント30へ延びている。
配電盤10とコンセント30の間は、VVF(ビニル絶縁ビニルシース平形ケーブル)に光ファイバを複合化した複合ケーブル16を用いている。
コンセント30は、表プレート32とその裏側に結合されたフレーム36とで形成されるケーシング31内に2本の電力電極40とアース電極45を収納している。ここで、フレーム36は樹脂製で、電力電極40とアース電極45はフレーム36にモールドされ、それぞれフレームの底壁から表プレート32へ向けて立ち上がっている。
電力電極40とアース電極45は、それぞれの根元部に、フレーム36外部から差し込まれる電力供給線18およびアース線19に楔状に係合する電線接続部41、46を備えているので、電力供給線18やアース線19は剥き出した芯線を差し込むだけで各電極と接続され、抜けにくくなっている。
【0015】
一方、電力電極40およびアース電極45の先端側は、それぞれ表プレート32の近傍まで延びて、後述する差込プラグ60の電力電極およびアース電極と接触可能な通電部42、47となっている。
なお、コンセント30の電力電極40の通電部42には、差込プラグ60の電力電極との接触面側に凸となる膨出部43が形成されている。
アース電極45はフレーム36の底壁から立ち上がってから表プレート32にそって電力電極40側へ所定量オフセットし、その先端が通電部47となっており、全体としてL字形状となっている。
表プレート32には、各電力電極40(通電部42)およびアース電極45(通電部47)に対応させた部位に、プラグの電力電極を迎え入れる電極挿入穴33、34とアース電極を迎え入れる電極挿入穴35が設けられている。
【0016】
図3は、コンセントの正面図である。
図3に示すように、電力電極用の電極挿入穴33、34は、所定間隔で対向して平行に配置され、アース電極用の電極挿入穴35は電極挿入穴33、34の中間位置下方に配置されている。この3つの電極挿入穴の配置は例えば市場に流通しているコンセントと同一規格(例えばJIS C8303 2極接地極付コンセント)である。
なお、図2は、図3におけるA−A部断面に相当し、1対の電力電極40のうち一方のみを示し、電力供給線18および後述の電源線88も片側のみ示している。
フレーム36には、さらにその底壁から表プレート32に達する光コネクタ支持部37が設けられている。
光コネクタ支持部37は、プラグのアース電極の抜き差し方向と平行なスライド孔38を備え、そのスライド孔38をアース電極45の通電部47と整合させてある。このため、スライド孔38の側壁は一部切り欠いてアース電極45の通電部47がスライド孔38内に臨むようになっている。また、スライド孔38はフレーム36の底壁を貫通している。
【0017】
光コネクタ支持部37のスライド孔38には、光コネクタ50がスライド可能に挿入されている。光コネクタ50の側壁にはガイドピン54が設けられ、スライド孔38の側壁に形成された長穴状のガイド穴39にガイドピン54が案内されて、光コネクタ50のスライド範囲が所定範囲に制限されるようになっている。また、ガイドピン54がガイド穴39に係合することによって光コネクタ50の軸回りの回転が規制されている。
ガイドピン54は、ガイド穴39を貫通して側壁外部に突出し、その先端と光コネクタ支持部37の表プレート32側端部との間に引張りバネ55が設けられている。これにより、光コネクタ50は表プレート32方向へ常時付勢されて、自由状態では一端がアース電極45の通電部47に接近した位置にある。
【0018】
図4は光コネクタの拡大説明図である。
光コネクタ50はその軸心を貫通するフェルール孔56(=スリーブとして機能)を備えた本体51(=レセプタクルとして機能)と、スプリング収容室53を備えたキャップ52と、からなり、ガイドピン54は本体51から延びている。
フェルール孔56にはコネクティングブロック92に支持されたフェルール90がキャップ52側から挿入される。
【0019】
図5は、光ファイバとフェルールの接続構造を説明するための拡大図である。
図5(a)は縦断面、図5(b)は、図5(a)におけるB−B部断面を示す。
本実施形態においては、フェルールとして、2芯用のフェルールを用いている。配電盤10から延びる光ファイバ心線20a(2本の光ファイバ素線を被覆したもの)の被覆を剥いて光ファイバ素線20bがフェルール90と結合したコネクティングブロック92に差し込まれ、さらに光ファイバ素線20bの保護部材を剥いた光ファイバ20cがフェルール90の先端まで延びて埋め込まれている。
このフェルール90は、例えばステンレス鋼(SUS)やジルコニアセラミック製であり、その先端は光ファイバ20cの端面とともに、その軸方向に対して垂直面となるように研磨されている。
特に図5(b)に示すように、フェルール90の横断面は一部カットした半円形状とされている。
なお、本願では、光ファイバ心線20a、光ファイバ素線20bおよび光ファイバ素線内の光ファイバ20cは、特に区別する必要のない限り一括して「光ファイバ」20として説明している。
【0020】
本体51のキャップ52側端部には、図4に示すように、コネクティングブロック92をスライド可能に収容する凹部57が形成されている。
キャップ52は、ねじ込みまたは接着により本体51のアース電極45の通電部47から遠い側)に固定され、スプリング収容室53に配したスプリング58がコネクティングブロック92を付勢してフェルール孔56の通電部47から遠い側の開口端面に押し付けている。
【0021】
光ファイバ20はキャップ52の底壁に設けた孔を通ってコネクティングブロック92およびフェルール90に接続される。
光コネクタ50の本体51のフェルール孔56はフェルール90の横断面の形状と整合する半円形状の断面を有している。これにより、光コネクタ50の本体51に対するフェルール90の軸回りの姿勢が規定される。光コネクタ50の本体51の表プレート32に対向する端面には、後述するプロテクタ部を受け入れるスリット59が形成されている。
【0022】
次に、テーブルタップ本体110から延びる複合ケーブル86の端末に設けられて、コンセント30に差し込まれるオス型の差込プラグ60について説明する。
差込プラグ60は、コンセント30に差し込まれて、複合ケーブル86の電源線88と光ファイバ20’をそれぞれ配電盤10側の電力供給線18と光ファイバ20とに接続し、また複合ケーブル86のアース線89をアース線19と接続する。
差込プラグ60は、樹脂モールドにより電力電極65とアース電極70を固定支持するキャッププレート61と、このキャッププレート61で開口を封されるケース62とからなる。キャッププレート61の表面はコンセント30の表プレート32に対する対向面となる。
【0023】
図6は、差込プラグの正面図である。
図6に示すように、各電極65、65、70の配置は、コンセント30の電極挿入穴33、34、35に対応して、市場に流通しているものと同一規格である。アース電極70は、例えば家屋壁面に設置された既設の商用電源コンセントのアース電極に差込可能の横断面を有している。
なお、図2、図6では、理解を容易にするためアース電極70の太さを、実際よりも大きく描いている。
【0024】
図2に示すように、電力電極65は一端がキャッププレート61の壁面から外方へ垂直に延びて、コンセント30の電力電極40の通電部42との接触部となる。電力電極65の他端はケース62内において電源線88との接続部となっている。
電力電極65の接触部の先端寄りには、コンセント30の電力電極40の通電部42に形成された膨出部43と係合する丸穴66が設けられている。膨出部43と丸穴66の係合関係は公知の構造であり、これにより差込プラグ60の抜け防止機能を高めている。
アース電極70も一端がキャッププレート61の壁面から外方へ垂直に延びて、コンセントのアース電極45の通電部47との接触部となる。アース電極70の他端はケース62内においてアース線89との接続部となっている。この場合において、通電部47を弾性を有する弾性導通部材で構成するようにすれば、より電気的接触を確実にすることができる。
【0025】
図7は、アース電極の拡大図である。
アース電極70は外方先端部に底壁72を備える筒部71と、筒部71の先端(底壁72)よりも外方へ延びるプロテクタ部78を備えている。
筒部71のキャッププレート61からの突出長さは電力電極65よりも短く設定されている。
筒部71内の先端側にはフェルール90’を支持したコネクティングブロック92’がスライド可能に収容され、根元側には内筒73が挿入固定されて、内筒73の先端とコネクティングブロック92’の間にスプリング58’が配されている。コネクティングブロック92’はスプリング58’により付勢されて、筒部71の底壁72に押し付けられる。コネクティングブロック92’から延びるフェルール90’は底壁72に設けた孔75を貫通して外方へ伸びている。
【0026】
特に図示しないが、底壁72の孔75はフェルール90’の横断面と整合する形状を有し、これによりフェルール90’の軸回り方向の姿勢が規定されている。このフェルール90’の姿勢は差込プラグ60をコンセント30に差し込んだとき、コンセントの光コネクタ50におけるフェルール90の姿勢と一致するように設定されている。
なお、フェルール90’およびコネクティングブロック92’の各形状とサイズは、図4に示したフェルール90およびコネクティングブロック92のものと同一である。
【0027】
プロテクタ部78は、図7に示すように、底壁72から突出したフェルール90’を所定の間隙をおいて囲み、その外周面は筒部71の外周面の一部をそのまま軸方向に延ばしたものである。
プロテクタ部78がフェルール90’を囲む範囲は、横断面において半円以上とするのが好ましい。また、プロテクタ部78の長さは、コネクティングブロック92’が底壁72に押し付けられたときのフェルール90’の最大突出長さと同じか、わずかに短くするのが好ましい。
【0028】
なお、筒部71のキャッププレート61壁面から突出する長さは、差込プラグ60をコンセント30に差し込んでキャッププレート61と表プレート32が当接したとき、筒部71の底壁72と光コネクタ50の端面との間にわずかな間隙ができる程度に設定されるが、もし誤差等により底壁72と光コネクタ50の端面とが接触しても、光コネクタ50はスライド可能となっているので、誤差は吸収される。また、光コネクタ50のスリット59の深さもプロテクタ部78が底突きしない程度に設定されるが、誤差があっても同様に吸収される。
【0029】
図2に示すように、ケース62内にはその頂部に設けた穴を通して複合ケーブル86が引き込まれ、前述のように電源線88、アース線89が電力電極65、アース電極70の根元(接続部)にカシメ等により接続される。また光ファイバ20’がアース電極の内筒73を通って、コネクティングブロック92’(およびフェルール90’)に接続される。
光ファイバ20’とコネクティングブロック92’およびフェルール90’との接続構造は図5に示したのと同じである。
【0030】
図8は、テーブルタップの差込プラグをコンセントに差し込んだ接続状態の説明図である。
差込プラグ60の電力電極65は、図8に示すように、コンセント30の電力電極40の通電部42に接触して電力通電状態となり、電力供給線18と電源線88が接続される。
差込プラグ60のアース電極70はその筒部71がコンセント30のアース電極45の通電部47に接触してアース線19とアース線89が接続される。
そして、筒部71の先端から突出したフェルール90’がコンセントの光コネクタ50のフェルール孔56に進入して、その先端がフェルール孔内に収納されていたフェルール90の先端と突き合わされて当接する。
【0031】
この際、フェルール90、90’の軸回り方向の姿勢は互いに一致するように設定されているから、各フェルール端面の2芯の光ファイバは精度良く対向する。これにより、光ファイバ20と光ファイバ20’とが接続される。
なお、この間、筒部71から突出するフェルール90’を保護するプロテクタ部78は光コネクタ50のスリット59に受け入れられるので、光コネクタ50と干渉することはない。
【0032】
本実施形態は、以上のように構成され、対となるコンセント30と差込プラグ60が、それぞれ電力電極40、65と、アース電極45、70と、光ファイバ20、20’に接続されてアース電極45、70と同軸に配置されたフェルール90、90’とを有し、フェルール90、90’は、電力電極およびアース電極をそれぞれ相手方の電力電極およびアース電極と接続したとき、その端面が相手方のフェルールの端面と対向するようになっているので、差込プラグ60をコンセント30に差し込むという簡単な操作だけで電力供給系統の接続と光ファイバの接続が同時に行われる。同様に、機器の差込プラグをテーブルタップ100の第1プラグ受112あるいは第2プラグ受113に差し込むという簡単な操作だけで電力供給系統の接続と光ファイバの接続が同時に行われる。
したがって、電源線88等と光ファイバ20’を一体化した複合ケーブル86と組み合わせることにより接続部周りの配線も簡素化される。
また、さらにテーブルタップ100の第1プラグ受112あるいは第2プラグ受113に他のテーブルタップ100の差込プラグ60を差し込むという簡単な操作だけで、電力線および光ファイバの延長が可能となり、何ら工事を行うことなく、ユーザのシステム拡張が行えることとなる。
【0033】
これらの場合において、差込プラグ60のフェルール90’は、スプリング58’により外方へ突出方向に付勢された状態で、コネクティングブロック92’が筒部71の底壁72に押し付けられた位置に位置決めされているが、アース電極の筒部71に対してスライド可能となっている。したがって、フェルール90’は差込プラグ60がコンセント30に差し込まれたときにコンセントのフェルール90と当接するなど外力を受けると、スプリング58’に抗して軸方向に後退し、外力を吸収してフェルール90’の端面への面圧を適度なレベルとする。
【0034】
一方、コンセント30のフェルール90あるいは第1プラグ受112あるいは第2プラグ受113のフェルールも、スプリング58によりアース電極の通電部47方向に付勢された状態で、コネクティングブロック92が光コネクタ50のフェルール孔56の通電部47から遠い側の開口端面に押し付けられた位置に位置決めされているが、フェルール孔56に対してスライド可能となっているから、通電部47側の開口からフェルール孔56に進入してきた差込プラグ60のフェルール90’と当接すると、スプリング58に抗して軸方向に後退し、各フェルール90、90’にかかる付勢力がバランスする位置でフェルールの端面間の面圧が適度なレベルとなる。
【0035】
差込プラグ60のアース電極70は筒部71の底壁72より外方へ延びるプロテクタ部78を備えるから、フェルール90’が筒部71から突出していてもこれをカバーして、他の物体がぶつかることがあってもフェルール90’の損傷が防止される。そして、プロテクタ部78の外形は筒部71の外形断面内となっているからアース電極としての機能を損なうこともない。
【0036】
さらに、コンセント30の光コネクタ50は引張りバネ55により付勢されて一端がアース電極45の通電部47に接近した位置に設定されているが、軸方向にスライド可能とされているので、コンセント30に差し込まれたプラグのアース電極の長さによって設定位置の光コネクタと干渉するような場合でも、光コネクタ50のスライドによる後退で干渉が防止される。これにより、通常のオス型プラグのアース電極の長さに変動があっても、依然として互換性を維持できる。
【0037】
光ファイバ20、20’の芯合わせは、フェルール孔56の横断面形状をフェルール90、90’の横断面形状と整合させることにより行っているが、このほか、フェルール90、90’と一体に結合してフェルールを支持するコネクティングブロック92、92’の横断面を円以外の例えば4角形とし、コネクティングブロックのスライド領域の断面を当該コネクティングブロックの横断面形状に整合させることによってもフェルール90、90’の姿勢を規制して精度の高い芯合わせができる。
なお、2芯の光ファイバ20、20’を用いた例を示したが、光ファイバの芯数は必要に応じて設定すればよく、芯数に対応したフェルールを用いればよい。
特に単芯の場合にはフェルールの軸心に光ファイバを設定することにより、姿勢を規制する必要なく、フェルールの横断面を円形とすることができる。
【0038】
各電極と電力供給線、電源線およびアース線との接続構造は、図示のものに限定されず、公知の構造を任意に採用できる。
また、オス側およびメス側の各電力電極およびアース電極の配置、サイズは商用電源用のプラグ、コンセントの規格にそうものとしたが、規格の改定、あるいは国ごとに規格が異なる場合には、それぞれの地域における規格を満たすよう適宜設定すればよい。
プロテクタ部78はアース電極70の筒部71から突出するフェルール90’の周囲の一部をカバーするものとしたが、全周を囲むものとしてもよい。
【0039】
さらにまた、実施の形態では、プラグ側で光ファイバに接続されたフェルールをアース電極に支持するものとしたが、アース電極の有無に関わらず、電力電極の横断面が筒状にし得るものであれば、アース電極の代わりに電力電極にフェルールを支持させてもよい。
また、単芯フェルールを各電力電極に割り振ることも可能である。この場合、コンセント側の光コネクタ50も対応する電力電極の軸方向裏側に配置する。いずれの電極に支持させる場合も、複合ケーブル86の断面構造を採用することにより光ファイバが中心軸上に配置されるので、引き回しが容易となる。
【0040】
そしてまた、プラグ側のフェルールを良導電性の金属材で形成することにより、当該フェルール自体を電力電極あるいはアース電極と兼用させることもできる。
この場合、光コネクタ50のフェルール孔56もプラグ側のフェルールと対応させて大径とする。
さらには、光コネクタ50を電力電極あるいはアース電極に兼用させることもできる。
【0041】
以上の説明は、コンセント30に設けられた電力線および光ファイバをテーブルタップ100により単純に延長する場合について説明したが、必ずしも各家庭のコンセント全てに電力線および光ファイバが引き込まれているとは限らない。
そこで、このような場合には、電力線および光ファイバが引き込まれているコンセント30に接続されたテーブルタップ100(以下、親テーブルタップ100Pとする)に内蔵されたワイヤレスUSB回路116を動作させ、電力線のみで、光ファイバが引き込まれていない他のコンセントに接続されたテーブルタップ100(以下、子テーブルタップ100Cとする)に内蔵されたワイヤレスUSB回路116がUSBデバイス(あるいはUSBホスト)として機能し、ワイヤレスUSB接続により子テーブルタップ100Cに接続された機器も親テーブルタップ100Pに接続された光ファイバを介した光通信ネットワークを利用することが可能となる。
【0042】
ここで、実際の接続までの手順を説明する。
図9は、初期接続時の手順説明図である。
図10は、初期接続時の処理シーケンスである。
まず、ユーザは、電力線のみで、光ファイバが引き込まれていない他のコンセントに接続する予定のテーブルタップ100である子テーブルタップ100Cの差込プラグ60を親テーブルタップの第1プラグ受112あるいは第2プラグ受113に差し込む(ステップS1)。
これにより子テーブルタップ100Cには、電力線から電源が供給され、電源回路111からワイヤレスUSB回路116およびLAN・USBプロトコル変換部118に電力が供給される。
この結果、ワイヤレスUSBデバイスとして機能する子テーブルタップ100CのワイヤレスUSB回路116は、コネクション鍵の要求を行い、自己のデバイスIDを同報送信する(ステップS11)。
【0043】
これによりワイヤレスUSBホストとして機能する親テーブルタップ100PのワイヤレスUSB回路116は、コネクション鍵を作成し、ステップS11において送信された子テーブルタップ100CのワイヤレスUSB回路116のデバイスIDおよび作成したコネクション鍵を記憶する(ステップS12)。
つづいて親テーブルタップ100PのワイヤレスUSB回路116は、自己のホストIDとコネクション鍵を通知する(ステップS13)。
これにより、子テーブルタップ100CのワイヤレスUSB回路116は、ステップS11のコネクション鍵の要求タイミングから所定時間内にコネクション鍵が通知されたか否かを判別する(ステップS14)。
【0044】
ステップS14の判別において、コネクション鍵の要求タイミングから所定時間内にコネクション鍵が通知された場合には(ステップS14;Yes)、ホストIDおよびコネクション鍵を記憶する(ステップS15)。
そして、子テーブルタップ100Cは、ワイヤレスUSB回路116を、以降、ワイヤレスUSBホストとして機能させることとなる(ステップS16)。
ステップS14の判別において、コネクション鍵の要求タイミングから所定時間内にコネクション鍵が通知されなかった場合には(ステップS14;No)、子テーブルタップ100Cは、ワイヤレスUSB回路116をワイヤレスUSBデバイスとして機能させ(ステップS17)、いずれかのワイヤレスUSBホストに無線接続を試みる(ステップS18)。
【0045】
そして、子テーブルタップ100Cは、ワイヤレスUSB回路116がいずれかのワイヤレスUSBホストに接続できたか否かを判別する(ステップS19)。
ステップS19の判別において、子テーブルタップ100Cは、ワイヤレスUSB回路116がいずれかのワイヤレスUSBホストに接続できた場合には(ステップS19;Yes)、自己はワイヤレスUSBデバイスとして機能すれば良いので、そのままの状態を保持する。
ステップS19の判別において、子テーブルタップ100Cは、ワイヤレスUSB回路116がいずれのワイヤレスUSBホストにも接続できなかった場合には(ステップS19;No)、自己がワイヤレスUSBホストとして機能する必要があるので、以降、ワイヤレスUSB回路116をワイヤレスUSBホストとして機能させることとなる。
これらの結果、電力線のみで、光ファイバが引き込まれていない他のコンセントに接続された子テーブルタップ100Cに内蔵されたワイヤレスUSB回路116が、USBデバイスあるいはUSBホストとして機能し、ワイヤレスUSB接続により子テーブルタップ100Cに接続された機器も親テーブルタップ100Pに接続された光ファイバを介した光通信ネットワークを利用することが可能となる。
【0046】
この場合において、各ワイヤレスUSB回路116は、外部のワイヤレスUSBホストに対しワイヤレスUSBデバイスとしてピアツーピア接続され、あるいは、外部のワイヤレスUSBデバイスに対しワイヤレスUSBホストとしてピアツーピア接続され、ワイヤレスUSBホストあるいはワイヤレスUSBデバイスから、LANフレームデータ(=LAN用データ)あるいは非LANフレームデータ(=USB用データ)を含む無線フレームデータを受信する。これによりワイヤレスUSB回路116は、無線フレームデータを解析し、LANフレームデータを抽出し、LAN・USBプロトコル変換部118を介してLAN光デバイス119に出力する。LAN・USBプロトコル変換部118はMACアドレスを備え、ワイヤレスUSB回路116により抽出されたLANフレームデータをLAN光デバイス119に出力する。ここで、LAN・USBプロトコル変換部118は、LANフレームデータの宛先MACアドレスを参照してLANフレームデータを中継するブリッジ機能を備えたものとしてもよい。
また、各ワイヤレスUSB回路116は、非LANフレームデータであるUSBデータを抽出してUSB光デバイス117に出力する。
これらの結果、LAN光デバイス119は、LANフレームデータ処理部として機能し、LANフレームデータの処理を行う。また、USB光デバイス117は、非LANフレームデータ処理部として機能し、非LANフレームデータとしてのUSBデータを処理する。
【0047】
図11ないし図13は、実施形態の変形例である。
以上の説明は、電力・光複合差込接続器をテーブルタップとして単体で構成する場合であったが、図11に示すように、電力・光複合差込接続器を差込プラグ60および電源ユニット130として構成し、所望の機器の機能に対応するマザーボード140A〜140Cに当該機器に対応する光デバイスおよび信号処理回路を設けることにより、電力・光複合差込接続器を各種機器と一体化した装置を構成することができる。
具体的には、図11は、LAN機器を電力・光複合差込接続器と一体化した場合の構成例であり、マザーボード140Aは、LANフレームデータ処理部として機能するLAN光デバイス119と、LANプロトコル処理を行うLANプロトコル処理部121を備えている。
【0048】
また、図12は、USB機器を電力・光複合差込接続器と一体化した場合の構成例であり、マザーボード140Bは、非LANフレームデータ処理部として機能するUSB光デバイス117と、USBプロトコル処理を行うUSBプロトコル処理部123を備えている。
また、図13は、テレビを電力・光複合差込接続器と一体化した場合の構成例であり、マザーボード140Cは、非LANフレームデータ処理部として機能するテレビ信号光デバイス124と、テレビ画像の表示を行うテレビ受像回路125と、を備えている。この図13に示すテレビ信号光デバイス124は、光ファイバを介した光通信ネットワークをテレビアンテナ配線として利用するものである。
上記各機器の電力・光複合差込接続器と一体化は一例であり、各種機器にも適用が可能である。
【0049】
以上の説明においては、光ファイバを伝送される光信号は、光波長多重信号であり、電力・光複合差込接続器は、電力・光複合差込プラグを介して入力された光信号を各光信号線用プラグ受に対応づけて分配して光信号線用プラグ受けに出力するとともに、複数の前記光信号線用プラグ受けを介して入力された光信号を合成して電力・光複合差込プラグに出力する構成を採っていたが、電力・光複合差込プラグを介して複数の光信号が入力され、入力された複数の光信号を、各光信号線用プラグ受に複数の光伝送路のうちの所定の光伝送路を介して出力するとともに、複数の光信号線用プラグ受けを介して入力された複数の光信号を複数の光伝送路のうちの所定の光伝送路を介して電力・光複合差込プラグに出力するように構成することも可能である。すなわち、複数の光伝送路を備える電力・光複合差込プラグの各光伝送路を、複数のプラグ受けにそれぞれ別個に接続し、配置するように構成することも可能である。より具体的には、6系統の光伝送路を備える電力・光複合差込プラグの場合、6個のプラグ受けにそれぞれ別個に光伝送路を接続するようにする。
【0050】
[2]第2実施形態
図14は、第2実施形態の説明図である。
以下に説明する第2実施形態において、上記第1実施形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
この第2実施形態の電力・光複合プラグ受としてのコンセント30Aは、第1の実施形態のコンセント30と同様に、表プレート32とその裏側に結合されたフレーム36とで形成されるケーシング31内に、2本の電力電極40とアース電極45とを収納している。フレーム36は樹脂製で、電力電極40とアース電極45はフレーム36にモールドされ、それぞれフレームの底壁から表プレート32へ向けて立ち上がっている。また、電力電極40とアース電極45は、それぞれの根元部に、フレーム36外部から差し込まれる電力供給線18およびアース線19に楔状に係合する電線接続部41、46を備えているので、電力供給線18やアース線19は剥き出した芯線を差し込むだけで各電極と接続され、抜けにくくなっている。
【0051】
アース電極45はフレーム36の底壁から立ち上がってから表プレート32にそって電力電極40側へ所定量オフセットし、その先端が通電部47となっており、全体としてL字形状となっている。表プレート32には、各電力電極(通電部42)およびアース電極45(通電部47)に対応させた部位に、プラグの電力電極を迎え入れる電極挿入穴33、34とアース電極を迎え入れる電極挿入穴35が設けられている。
【0052】
さらに、フレーム36には、光コネクタ本体51Aが摺動可能に支持されている。光コネクタ本体51Aはスライド孔38に収容される。スライド孔38は、差込プラグ60のアース電極70の抜き差し方向と並行であり、アース電極45の通電部47と整合させてある。このため、スライド孔38の側壁は一部切り欠いてアース電極45の通電部47がスライド孔38内に臨むようになっている。
スライド孔38はフレーム36の底壁を貫通しており、スライド孔38の末端にはスプリング支持体52Bが嵌め込まれ、スプリング支持体52Bと光コネクタ本体51Aとの間にスプリング132が配設されている。光コネクタ本体51Aは、スライド孔38の内部でスライド可能に配設され、かつ、スプリング132によって、表プレート32側に付勢されている。
【0053】
光コネクタ本体51A(=レセプタクルとして機能)は、その軸心を貫通するフェルール孔56A(=スリーブとして機能)を備えている。このフェルール孔56Aにはスプリング支持体52Bに形成された貫通孔が連通しており、この貫通孔の末端はキャップ52Aにより塞がれている。そして、フェルール孔56Aには上述した第1実施形態と同様のコネクティングブロックに支持されたフェルール90が、キャップ52A側から挿入される。フェルール90のコネクティングブロックとキャップ52Aとの間にはスプリングが配設され、このスプリングにより、フェルール90は表プレート32側に付勢されている。また、キャップ52Aには、フェルール90につながる光ファイバ20を通すための孔が貫通している。この孔は、キャップ52Aの後端に固定されたフレーム後端部133に形成された貫通孔に連通し、光ファイバ20は、キャップ52Aからフレーム後端部133を貫通する。フレーム後端部133は、キャップ52Aをフレーム36に固定する部材であり、フレーム36に一体として形成され、或いは、別体として形成されてフレーム36に固定される。このフレーム後端部133により、キャップ52Aとスプリング支持体52Bはスプリング132の付勢力に抗して脱落せず支持・固定される。
【0054】
図15は、コンセント30Aに差込プラグ60を差し込んだ状態を示す。
この図15に示すように、差込プラグ60がコンセント30Aに差し込まれた場合、差込プラグ60を構成するアース電極70が、アース電極45の通電部47に接して導通するとともに、光コネクタ本体51Aを、スプリング132の付勢力に抗して押し込む。
ここで、アース電極70のプロテクタ部78は、コンセント30Aの光コネクタ本体51Aに係合しつつ光コネクタ本体51Aを押し込む。光コネクタ本体51Aにはフェルール90’を位置決めするレセプタクルとして機能する孔部51Bが設けられているので、プロテクタ部78と孔部51Bとが嵌合することで、光コネクタ本体51Aが、差込プラグ60の差込に応じて付勢状態で後方へスライドしつつ、差込プラグ60を構成するフェルール90’を所定位置に導くので、コンセント30Aのフェルール90は、保護された状態で収納されているにも拘わらず、フェルール90と突き合わされ、確実に光的に結合することができる。
【0055】
この結果、コンセント30Aのフェルール90は、その光的接続に際して光コネクタ本体51Aが余分な動きを吸収するので、コンセント30A内でほとんど動かす必要がないので、奥行きを小さくすることができ、壁内でのコンセントの収納スペースを削減することができる。
【0056】
また、上記第1実施形態においては、差込プラグ60を構成するアース電極70およびフェルール90’は、キャッププレート61に固定されていたが(図2参照)、本第2実施形態は、図14に示すように、差込プラグ60を構成するアース電極70およびフェルール90’を、ゴムなどの弾性部材で構成された緩衝材135を介してキャッププレート61(=電力・光複合差込プラグ本体を構成)に揺動可能に支持させている。このため、差込プラグ60の引き抜き時には、差込プラグを上下に揺さぶりながら引き抜くことで、差込プラグ60を構成するアース電極70およびフェルール90’がキャッププレート61に固定されている場合と比較して、より容易に引き抜くことができるようになっている。
【0057】
図16は、第2実施形態のコンセントに光ファイバが接続されていない通常のアース付差込プラグを差し込んだ場合の説明図である。
図16に示すように、コンセント30Aに通常のアース付差込プラグ60Nを差し込んだ場合、アース付差込プラグ60Nのアース電極71Nは、光コネクタ本体51Aに当接して、光コネクタ本体51Aを押し込む。このとき、アース電極71Nは、コンセント30Aのアース電極45の通電部47に接して導通し、アース付差込プラグ60Nの電力電極65は電力電極40と導通する。このように、コンセント30Aに通常のアース付差込プラグ60Nを差し込んだ場合も、確実に電気的に接続がなされるとともに、フェルール90が傷むこともない。
【0058】
[3]実施形態の変形例
以上の説明においては、差込プラグ側で光ファイバに接続されたフェルールをアース電極に支持するものとして説明したが、アース電極の有無に関わらず、電力電極の横断面が筒状(あるいは、U字状)になっているものであれば、アース電極の代わりに電力電極にフェルールを支持させてもよい。また、単芯フェルールを各電力電極に割り振ることも可能である。この場合、コンセント側の光コネクタも対応する電力電極の軸方向裏側に配置する。いずれの電極に支持させる場合も、複合ケーブル86の断面構造を採用することにより光ファイバが中心軸上に配置されるので、引き回しが容易となる。
【0059】
以上の説明においては、通信制御プログラムを含む各種制御プログラムが、予めROMに格納されている場合について説明したが、制御プログラムを、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録するようにしてもよい。このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが記憶媒体から読み取られ、読み取られたプログラムに従ってコンピュータが処理を実行すると、上記実施形態のワイヤレスUSBホスト、ワイヤレスUSBと同等の作用および効果が得られる。
ここで、記憶媒体とは、RAM、ROM等の半導体記憶媒体、FD、HD等の磁気記憶型記憶媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記憶媒体、MO等の磁気記憶型/光学的読取方式記憶媒体であって、電子的、磁気的、光学的等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であれば、どのような記憶媒体であってもよい。
また、インターネット、LANなどの通信ネットワークを介して制御用プログラムをダウンロードし、インストールして実行するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1実施形態の電力・光複合差込接続器としてのテーブルタップの概要構成ブロック図である。
【図2】テーブルタップの接続状態の説明図である。
【図3】コンセントの正面図である。
【図4】光コネクタの拡大説明図である。
【図5】光ファイバとフェルールの接続構造を説明するための拡大図である。
【図6】差込プラグの正面図である。
【図7】アース電極の拡大図である。
【図8】テーブルタップの差込プラグをコンセントに差し込んだ接続状態の説明図である。
【図9】初期接続時の手順説明図である。
【図10】初期接続時の処理シーケンスである。
【図11】実施形態の変形例(その1)である。
【図12】実施形態の変形例(その2)である。
【図13】実施形態の変形例(その3)である。
【図14】第2実施形態の説明図である。
【図15】第2実施形態のコンセントの差込状態の説明図である。
【図16】第2実施形態のコンセントに光ファイバが接続されていない通常のアース付差込プラグを差し込んだ場合の説明図である。
【符号の説明】
【0061】
10 配電盤
12 商用電力線
14 ハブ
16 複合ケーブル
18 電力供給線
19 アース線
20 光ファイバ
20’ 光ファイバ
20’ 光ケーブル
20a 光ファイバ心線
20b 光ファイバ素線
20c 光ファイバ
30 コンセント
31 ケーシング
32 表プレート
33 電極挿入穴
35 電極挿入穴
36 フレーム
37 光コネクタ支持部
38 スライド孔
39 ガイド穴
40 電力電極
41 電線接続部
42 通電部
43 膨出部
45 アース電極
47 通電部
50 光コネクタ
51 本体
51A 光コネクタ本体
52 キャップ
52A キャップ
52B スプリング支持体
53 スプリング収容室
54 ガイドピン
55 バネ
56 フェルール孔
56A フェルール孔
57 凹部
58 スプリング
58’ スプリング
59 スリット
60 差込プラグ
61 キャッププレート
62 ケース
65 電力電極
65 電極
66 丸穴
70 アース電極
71 筒部
72 底壁
73 内筒
75 孔
78 プロテクタ部
86 複合ケーブル
88 電源線
89 アース線
90 フェルール
90’ フェルール
92 コネクティングブロック
92’ コネクティングブロック
100 テーブルタップ
100C 子テーブルタップ
100P 親テーブルタップ
110 テーブルタップ本体
111 電源回路
112 第1プラグ受
113 第2プラグ受
114 光フィルタ
115 アンテナ
116 ワイヤレスUSB回路
117 USB光デバイス
118 LAN・USBプロトコル変換部
119 LAN光デバイス
120 光合分配器
124 テレビ信号光デバイス
125 テレビ受像回路
130 電源ユニット
132 スプリング
133 フレーム後端部
135 緩衝材
140A〜140C マザーボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光レセプタクル部と挿入穴から構成され、
付勢手段により所定位置に設定され、移動可能となっているとともに、第1光伝送路を配置させる前記光レセプタクル部で、前記挿入穴から進入する柱面を含む光支持部に支持させる第2光伝送路を前記柱面とともに受け入れさせて、前記第2光伝送路を前記第1光伝送路と接続させることを特徴とする光接続構造。
【請求項2】
第2電極と請求項1に記載の光接続構造から構成され、
前記光支持部を内装する第1電極を、前記挿入穴の裏側で前記第2電極と接続させることを特徴とする電力・光複合接続構造。
【請求項3】
請求項1に記載の光接続構造、或いは請求項2に記載の電力・光複合接続構造を用いたことを特徴とする光コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−54358(P2013−54358A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−203740(P2012−203740)
【出願日】平成24年9月15日(2012.9.15)
【分割の表示】特願2007−235658(P2007−235658)の分割
【原出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(396006309)
【Fターム(参考)】