説明

光書き込み型画像形成装置、光書き込み型画像形成装置用制御装置

【課題】画像書き込み用ヘッドの走査移動による画像書き込みと、光書き込み型表示媒体の光導電層への全域同時初期化光照射を組み合わせた場合に、光書き込み途中における書き込み中止から書き込み画像消去までの時間を短縮する。
【解決手段】書き込み中の中止指示では、既に電極5A、5Bの領域での書き込みが完了しており、目視可能な状態ということができる。そこで、電極5A、5Bを対象として、初期化処理を実行する。この電極5A、5Bに対する初期化処理が終了すると、電極5A、5Bの領域の画像は消去される。次に、画像書き込み用光源部32を待機位置方向へ戻すように動作を開始する。この動作において、電極5Cから逸脱したことを認識すると、この電極5Cに対して初期化処理を実行する。この電極5Cに対する初期化処理が終了すると、電極5Cの領域の画像は消去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書き込み型画像形成装置、光書き込み型画像形成装置用制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された記録素子は、表示体と、表示体と重なって配置された光導電体と、表示体と光導電体の両側に配置された一対の電極を備える。一対の電極の少なくとも一方が複数のサブ電極に分割されている。
【0003】
記録素子には、サブ電極毎に電圧を印加しながら光によって情報を書き込みを行うことができる。
【0004】
従って、電圧を印加していないサブ電極に相当する記録素子の部分では、外光があたっても書き込みは行われないため、ノイズのない鮮明な画像を得ることができる。
【0005】
記録装置は、記録素子の一対の電極に電圧を印加するための給電部材と、記録素子に情報を書き込むための第1の光源と、リセット用第2の光源とを備える。これによって、リセットと記録とを1サイクルの作動で行うことができる。
【0006】
特許文献1には、記憶装置として、フラットベット型とシートフィード方の例が開示されている。
【特許文献1】WO2004/068230公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、画像書き込み用ヘッドの走査移動による画像書き込みと、光書き込み型表示媒体の光導電層への全域同時初期化光照射を組み合わせた場合に、光書き込み途中における書き込み中止から書き込み画像消去までの時間を短縮することができる光書き込み型画像形成装置、光書き込み型画像形成装置用制御装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、少なくとも一方が一方向に向けて電気的に分離されて配列された複数の電極群とされた一対の電極と、前記一対の電極間にかける印加電圧に応じて反射率が変更される表示層と、光照射によって前記表示層の反射率を変化させる電圧調整が可能な光導電層と、を備えた光書き込み型表示媒体を位置決めする位置決め手段と、前記位置決め手段による位置決め状態で、前記表示層が一様の反射率となる初期化を行うために、前記一対の電極間へ初期化電圧を印加すると共に、前記光導電層の全領域に対して同時に照射可能な初期化用光源を用いて初期化光を照射する表示層初期化手段と、前記初期化用光源と前記位置決め手段により位置決めされた前記光書き込み表示媒体との間の空間を走査移動可能とされ、画像情報に応じた光照射を行う画像書き込み用光源ヘッドを備え、前記表示層初期化手段による初期化電圧の印加並びに光照射により前記表示層が一様の反射率となった後に、前記画像書き込み用光源ヘッドを前記電極群の配列方向に沿って走査移動して書き込みを実行する光書き込み手段と、前記光照射手段による画像情報に応じた光照射継続中に中止する必要が生じた場合に、前期複数の電極群の中から、走査中の前記画像書き込み用光源ヘッドと対応している電極を認識するヘッド位置認識手段と、前記ヘッド位置認識手段で認識した情報に基づいて、前記画像書き込みヘッド光源を待機位置に戻しながら、この画像書き込みヘッドが前記初期化用光源から照射される光が妨げない電極を順次選択して、時系列で複数の電極群に対応する表示層の少なくとも書き込み情報を消去する書き込み情報消去手段と、を有することを特徴としている。
【0009】
上記第1の発明において、前記書き込み情報消去手段が、前記複数の電極群の内、走査移動によって前記画像書き込みヘッドが既に通過し終えた電極を優先して、前記初期化電圧の印加並びに初期化光の照射を実行し、その後、前記ヘッド位置認識手段で認識した電極を対象として、前記初期化電圧の印加並びに光照射を実行することを特徴としている。
【0010】
また、上記第1の発明において、前記書き込み情報消去手段が、第1段階で初期化電圧を印加し、前記画像書き込みヘッドが待機位置に戻った後に、前記初期化用光源による前記光導電層の全領域を対称として同時に初期化光を照射することを特徴としている。
【0011】
第2の発明は、少なくとも一方が一方向に向けて電気的に分離されて配列された複数の電極群とされた一対の電極と、前記一対の電極間にかける印加電圧に応じて反射率が変更される表示層と、光照射によって前記表示層の反射率を変化させる電圧調整が可能な光導電層と、を備えた光書き込み型表示媒体を対象として、前記表示層が一様の反射率となる初期化を行うために、前記一対の電極間へ初期化電圧を印加すると共に、前記光導電層の全領域に対して同時に照射可能な初期化用光源を用いて初期化光を照射する表示層初期化手段と、前記表示層初期化手段による初期化電圧の印加並びに光照射により前記表示層が一様の反射率となった後に、画像情報に応じた光照射を行う画像書き込み用光源ヘッドを前記電極群の配列方向に沿って走査移動して書き込みを実行する光書き込み手段と、前記光照射手段による画像情報に応じた光照射継続中に中止する必要が生じた場合に、前期複数の電極群の中から、走査中の前記画像書き込み用光源ヘッドと対応している電極を認識するヘッド位置認識手段と、前記ヘッド位置認識手段で認識した情報に基づいて、前記画像書き込みヘッド光源を待機位置に戻しながら、この画像書き込みヘッドが前記初期化用光源から照射される光が妨げない電極を順次選択して、時系列で複数の電極群に対応する表示層の少なくとも書き込み情報を消去する書き込み情報消去手段と、を有することを特徴としている。
【0012】
上記第2の発明において、前記書き込み情報消去手段が、前記複数の電極群の内、走査移動によって前記画像書き込みヘッドが既に通過し終えた電極を優先して、前記初期化電圧の印加並びに初期化光の照射を実行し、その後、前記ヘッド位置認識手段で認識した電極を対象として、前記初期化電圧の印加並びに光照射を実行することを特徴としている。
【0013】
また、上記第2の発明において、前記書き込み情報消去手段が、第1段階で初期化電圧を印加し、前記画像書き込みヘッドが待機位置に戻った後に、前記初期化用光源による前記光導電層の全領域を対称として同時に初期化光を照射することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、画像書き込み用ヘッドの走査移動による画像書き込みと、光書き込み型表示媒体の光導電層への全域同時初期化光照射を組み合わせた場合に、光書き込み途中における書き込み中止から書き込み画像消去までの時間を短縮することができるという効果を有する。
【0015】
また、画像書き込み用ヘッドが戻るまでの待機時間を無駄なく利用して、迅速な書き込み画像の消去が可能である。
【0016】
さらに、初期化とは別に、少なくとも最先に書き込み画像を目視認識できない状態にすることができる。
【0017】
第2の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、画像書き込み用ヘッドの走査移動による画像書き込みと、光書き込み型表示媒体の光導電層への全域同時初期化光照射を組み合わせた場合に、光書き込み途中における書き込み中止から書き込み画像消去までの時間を短縮することができるという効果を有する。
【0018】
また、画像書き込み用ヘッドが戻るまでの待機時間を無駄なく利用して、迅速な書き込み画像の消去が可能である。
【0019】
さらに、初期化とは別に、少なくとも最先に書き込み画像を目視認識できない状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(表示媒体の物性)
図1は、本実施の形態における光書き込み型の表示媒体1の断面図を示している。表示媒体1は、画像に応じたアドレス光の照射及びバイアス信号(電圧)の印加によって画像を記録することが可能な表示媒体である。
【0021】
図1に示される如く、表示媒体1は、表示面側から順に、透明基板3、電極5A、5B、5C、5Dで構成された透明電極5、表示層(液晶層)7、ラミネート層8、着色層(遮光層)9、光導電体層10、透明電極6および透明基板4が積層されて構成されている。
【0022】
透明基板3、4は、各機能層を内面に保持し、表示媒体の構造を維持するためのものである。透明基板3、4は、外力に耐える強度を有するシート形状の部材で構成され、表示面側の透明基板3は少なくとも入射光を、書き込み面側の透明基板4は少なくともアドレス光を、それぞれ透過する。
【0023】
透明基板3、4は、フレキシブル性を有することが好ましい。具体的な材料としては、無機シート(例えばガラス・シリコン)、高分子フィルム(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート)等を挙げることができる。外表面に、防汚膜、耐磨耗膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
【0024】
なお、透明基板3、4は、本実施形態では可視光全域にわたって透過性をもつものであるが、表示させる波長域のみ透過性を有していてもよい。
【0025】
透明電極5、6は、光記録装置2から印加されたバイアス電圧を、表示媒体1内の各機能層へ印加するためのものである。透明電極5は、本実施の形態では一例として4個の略同一形状(例えば長方形状)の電極5A、5B、5C、5Dで構成されており、透明電極6は表示媒体1の略全面に相当する面積を有する単一の透明電極で構成されている(図2参照)。なお、この実施の携帯では、表示面側5の電極を分割したが、書き込み面側の電極6を分割する構成にしてもよい。
【0026】
透明電極5、6は、面均一な導電性を有し、表示面側の透明電極5は少なくとも入射光を、書き込み面側の透明電極6は少なくともアドレス光を透過する。具体的には、金属(例えば金、アルミニウム)、金属酸化物(例えば酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO))、導電性有機高分子(例えばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などで形成された導電性薄膜を挙げることができる。表面に、密着力改善膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
【0027】
なお、透明電極5、6は、本実施形態では可視光全域にわたって透過性をもつものであるが、表示させる波長域のみ透過性を有していてもよい。
【0028】
表示層7は、電場によって入射光のうち特定の色光の反射・透過状態を変調する機能を有し、選択した状態が無電場で保持できる性質のものである。表示層7としては、曲げや圧力などの外力に対して変形しない構造であることが好ましい。
【0029】
本実施の形態では、表示層7は、一例としてコレステリック液晶及び透明樹脂からなる自己保持型液晶複合体の液晶層で構成される。すなわち、複合体として自己保持性を有するためスペーサ等を必要としない液晶層であるが、これに限られるものではない。本実施形態では、図1に示される如く、高分子マトリックス(透明樹脂)11中にコレステリック液晶12が分散した状態となっている。
【0030】
(コレステリック液晶組成)
コレステリック液晶12は、入射光のうち特定の色光の反射・透過状態を変調する機能を有し、液晶分子がらせん状に捩れて配向しており、らせん軸方向から入射した光のうち、らせんピッチに依存した特定の光を干渉反射する。電場によって配向が変化し、反射状態を変化させることができる。ドロップサイズが均一で、単層稠密に配置されていることが好ましい。
【0031】
コレステリック液晶12として使用可能な具体的な液晶としては、ネマチック液晶やスメクチック液晶(例えばシッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキサン系、トラン系、アルケニル系、スチルベン系、縮合多環系)、またはこれらの混合物に、カイラル剤(例えばステロイド系コレステロール誘導体、シッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系)を添加したもの等を挙げることができる。
【0032】
コレステリック液晶の螺旋ピッチは、ネマチック液晶に対するカイラル剤の添加量で調整する。例えば、表示色を青、緑、赤とする場合には、それぞれ選択反射の中心波長が、400nm〜500nm、500nm〜600nm、600nm〜700nmの範囲になるようにする。また、コレステリック液晶の螺旋ピッチの温度依存性を補償するために、捩じれ方向が異なる、または逆の温度依存性を示す複数のカイラル剤を添加する公知の手法を用いてもよい。
【0033】
表示層7がコレステリック液晶12と高分子マトリックス(透明樹脂)11からなる自己保持型液晶複合体を形成する形態としては、コレステリック液晶の連続相中に網目状の樹脂を含むPNLC(Polymer Network Liquid Crystal)構造や、高分子の骨格中にコレステリック液晶がドロップレット状に分散されたPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)構造(マイクロカプセル化されたものを含む)を用いることができ、PNLC構造やPDLC構造とすることによって、コレステリック液晶と高分子の界面にアンカリング効果を生じ、無電界でのプレーナ相またはフォーカルコニック相の保持状態を、より安定にすることができる。
【0034】
PNLC構造やPDLC構造は、高分子と液晶とを相分離させる公知の方法、例えば、アクリル系、チオール系、エポキシ系などの、熱や光、電子線などによって重合する高分子前駆体と液晶を混合し、均一相の状態から重合させて相分離させるPIPS(Polymerization Induced PhaseSeparation)法、ポリビニルアルコールなどの、液晶の溶解度が低い高分子と液晶とを混合し、攪拌懸濁させて、液晶を高分子中にドロップレット分散させるエマルジョン法、熱可塑性高分子と液晶とを混合し、均一相に加熱した状態から冷却して相分離させるTIPS(Thermally Induced Phase Separation)法、高分子と液晶とをクロロホルムなどの溶媒に溶かし、溶媒を蒸発させて高分子と液晶とを相分離させるSIPS(Solvent Induced Phase Separation)法などによって形成することができるが、特に限定されるものではない。
【0035】
(高分子マトリックス11)
高分子マトリックス11は、コレステリック液晶12を保持し、表示媒体の変形による液晶の流動(画像の変化)を抑制する機能を有するものであり、液晶材料に溶解せず、また液晶と相溶しない液体を溶剤とする高分子材料が好適に用いられる。また、高分子マトリックス11としては、外力に耐える強度をもち、少なくとも反射光およびアドレス光に対して高い透過性を示す材料であることが望まれる。
【0036】
高分子マトリックス11として採用可能な材料としては、水溶性高分子材料(例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー)、あるいは水性エマルジョン化できる材料(例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂)等を挙げることができる。
【0037】
(光導電体層10)
光導電体層10は、内部光電効果をもち、アドレス光の照射強度に応じてインピーダンス特性が変化する特性を有する層である。AC動作が可能であり、アドレス光に対して対称駆動になることが好ましく、電荷発生層(CGL)が電荷輸送層(CTL)の上下に積層された3層構造が好適である。本実施形態では、光導電体層10として、一例として図1における上層から順に上側の電荷発生層13、電荷輸送層14および下側の電荷発生層15が積層されてなる。
【0038】
(電荷発生層13,15)
電荷発生層13(上CGL)、15(下CGL)は、アドレス光を吸収して光キャリアを発生させる機能を有する層である。主に、電荷発生層13が表示面側の透明電極5から書き込み面側の透明電極6の方向に流れる光キャリア量を、電荷発生層15が書き込み面側の透明電極6から表示面側の透明電極5の方向に流れる光キャリア量を、それぞれ左右している。電荷発生層13、15としては、アドレス光を吸収して励起子を発生させ、電荷発生層内部、または電荷発生層/電荷輸送層界面で自由キャリアに効率良く分離させられるものが好ましい。
【0039】
電荷発生層13、15は、電荷発生材料(例えば金属又は無金属フタロシアニン、スクアリウム化合物、アズレニウム化合物、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスやトリス等アゾ顔料、キナクリドン顔料、ピロロピロール色素、多環キノン顔料、ジブロモアントアントロンなど縮環芳香族系顔料、シアニン色素、キサンテン顔料、ポリビニルカルバゾールとニトロフルオレン等電荷移動錯体、ピリリウム塩染料とポリカーボネート樹脂からなる共昌錯体)を直接成膜する乾式法か、またはこれら電荷発生材料を、高分子バインダー(例えばポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルカルバゾール樹脂、ビニルホルマール樹脂、部分変性ビニルアセタール樹脂、カーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ビニルアセテート樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂等)とともに適当な溶剤に分散ないし溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて成膜する湿式塗布法等により形成することができる。
【0040】
(電荷輸送層14)
電荷輸送層(CTL)14は、電荷発生層13、15で発生した光キャリアが注入されて、バイアス信号で印加された電場方向にドリフトする機能を有する層である。一般に電荷輸送層は、電荷発生層の数10倍の厚みを有するため、電荷輸送層14の容量、電荷輸送層14の暗電流、および電荷輸送層14内部の光キャリア電流が、光導電体層10全体の明暗インピーダンスを決定付けている。
【0041】
電荷輸送層14は、電荷発生層13、15からの自由キャリアの注入が効率良く発生し(電荷発生層13、15とイオン化ポテンシャルが近いことが好ましい)、注入された自由キャリアができるだけ高速にホッピング移動するものが好適である。暗時のインピーダンスを高くするため、熱キャリアによる暗電流は低い方が好ましい。
【0042】
電荷輸送層14は、低分子の正孔輸送材料(例えばトリニトロフルオレン系化合物、ポリビニルカルバゾール系化合物、オキサジアゾール系化合物、ベンジルアミノ系ヒドラゾンあるいはキノリン系ヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ベンジジン系化合物)、または低分子の電子輸送材料(例えばキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物)を、高分子バインダー(例えばポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、含珪素架橋型樹脂等)とともに適当な溶剤に分散ないし溶解させたもの、あるいは上記正孔輸送材料や電子輸送材料を高分子化した材料を適当な溶剤に分散ないし溶解させたものを調製し、これを塗布し乾燥させて形成すればよい。
【0043】
(着色層9)
着色層(遮光層)9は、書き込み時にアドレス光と入射光を光学分離し、相互干渉による誤動作を防ぐとともに、表示時に表示媒体の非表示面側から入射する外光と表示画像を光学分離し、画質の劣化を防ぐ目的で設けられる層であり、本実施形態において必須の構成要素ではない。ただし、表示媒体1の性能向上のためには、設けることが望まれる層である。その目的から、着色層9には、少なくとも電荷発生層の吸収波長域の光、および表示層の反射波長域の光を吸収する機能が要求される。
【0044】
着色層9は、具体的には、無機顔料(例えばカドミウム系、クロム系、コバルト系、マンガン系、カーボン系)、または有機染料や有機顔料(アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、ニトロ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ピロロピロール系、キナクリドン系、多環キノン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系、アントロン系)を光導電体層10の電荷発生層13側の面に直接成膜する乾式法か、あるいはこれらを高分子バインダー(例えばポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル樹脂等)とともに適当な溶剤に分散ないし溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて成膜する湿式塗布法等により形成することができる。
【0045】
(ラミネート層8)
ラミネート層8は、それぞれ上下基板内面に形成した各機能層を貼りあわせる際に、凹凸吸収および接着の役割を果たす目的で設けられる層であり、本実施形態において必須の構成要素ではない。ラミネート層8は、ガラス転移点の低い高分子材料からなるものであり、熱や圧力によって表示層7と着色層9とを密着・接着させることができる材料が選択される。また、少なくとも入射光に対して透過性を有することが条件となる。
【0046】
ラミネート層8に好適な材料としては、粘着性の高分子材料(例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂)を挙げることができる。
【0047】
(表示媒体の等価回路)
図3は、図1に示される構造の表示媒体(液晶デバイス)1の等価回路を示す回路図である。Clc、Copc、およびRlc、Ropcは、それぞれ表示層7および光導電体層10の静電容量および抵抗値である。CeおよびReは、表示層7および光導電体層10以外の構成要素の等価静電容量および等価抵抗値である。
【0048】
表示媒体1の透明電極5−透明電極6間に外部の書き込み装置2から印加される電圧をVとすると、各構成要素には、各構成要素間のインピーダンス比によって決まる分圧Vlc、VopcおよびVeが印加される。より具体的には、電圧が印加された直後には各構成要素の容量比で決定される分圧が生じ、時間経過とともに各構成要素の抵抗値比で決定される分圧へと緩和していく。
【0049】
ここで、アドレス光の強度に応じて光導電体層10の抵抗値Ropcが変化するため、露光と非露光によって表示層7に印加される実効電圧を制御することができる。露光時には光導電体層10の抵抗値Ropcが小さくなって表示層7に印加される実効電圧は大きくなり、逆に非露光時には光導電体層10の抵抗値Ropcが大きくなって表示層7に印加される実効電圧は小さくなる。
【0050】
(コレステリック液晶の配向特性)
次に、コレステリック液晶(カイラルネマチック液晶)12について具体的に説明する。コレステリック液晶12が示すプレーナ相は、螺旋軸に平行に入射した光を右旋光と左旋光に分け、螺旋の捩じれ方向に一致する円偏光成分をブラッグ反射し、残りの光を透過させる選択反射現象を起こす。反射光の中心波長λおよび反射波長幅Δλは、螺旋ピッチをp、螺旋軸に直交する平面内の平均屈折率をn、複屈折率をΔnとすると、それぞれ、λ=n・p、Δλ=Δn・pで表され、プレーナ相のコレステリック液晶層による反射光は、螺旋ピッチに依存した鮮やかな色を呈する。
【0051】
正の誘電率異方性を有するコレステリック液晶は、図4(A)に示すように、螺旋軸がセル表面に垂直になり、入射光に対して上記の選択反射現象を起こすプレーナ相(P相)、図4(B)に示すように、螺旋軸がほぼセル表面に平行になり、入射光を少し前方散乱させながら透過させるフォーカルコニック相(F相)、および図4(C)に示すように、螺旋構造がほどけて液晶ダイレクタが電界方向を向き、入射光をほぼ完全に透過させるホメオトロピック相(H相)、の3つの状態を示す。
【0052】
上記の3つの状態のうち、プレーナ相とフォーカルコニック相は、無電界で双安定に存在することができる。したがって、コレステリック液晶の相状態は、液晶層に印加される電界強度に対して一義的に決まらず、プレーナ相が初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、プレーナ相、フォーカルコニック相、ホメオトロピック相の順に変化し、フォーカルコニック相が初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、フォーカルコニック相、ホメオトロピック相の順に変化する。
【0053】
一方、液晶層に印加した電界強度を急激にゼロにした場合には、プレーナ相とフォーカルコニック相はそのままの状態を維持し、ホメオトロピック相はプレーナ相に変化する。
【0054】
したがって、パルス信号を印加した直後のコレステリック液晶層は、図5に示すようなスイッチング挙動を示し、印加されたパルス信号の電圧が、Vfh以上のときには、ホメオトロピック相からプレーナ相に変化した選択反射状態となり、VpfとVfhの間のときには、フォーカルコニック相による透過状態となり、Vpf以下のときには、パルス信号印加前の状態を継続した状態、すなわちプレーナ相による選択反射状態またはフォーカルコニック相による透過状態となる。
【0055】
なお、図4において、縦軸は正規化反射率であり、最大反射率を100、最小反射率を0として、反射率を正規化している。また、プレーナ相、フォーカルコニック相およびホメオトロピック相の各状態間には、遷移領域が存在するため、正規化反射率が50以上の場合を選択反射状態、正規化反射率が50未満の場合を透過状態と定義し、プレーナ相とフォーカルコニック相の相変化のしきい値電圧をVpfとし、フォーカルコニック相とホメオトロピック相の相変化のしきい値電圧をVfhとする。
【0056】
特に、コレステリック液晶の連続相中に網目状の樹脂を含むPNLC(Polymer Network Liquid Crystal)構造や、高分子の骨格中にコレステリック液晶がドロップレット状に分散されたPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)構造(マイクロカプセル化されたものを含む)の液晶層においては、コレステリック液晶と高分子の界面における干渉により(アンカリング効果)、プレーナ相とフォーカルコニック相の無電界における双安定性が向上し、長期間に渡ってパルス信号印加直後の状態を保持することができる。
【0057】
このようなコレステリック液晶12を用いた表示媒体1では、コレステリック液晶の双安定現象を利用して、(A)プレーナ相による選択反射状態と、(B)フォーカルコニック相による透過状態とを、スイッチングすることによって、無電界でのメモリー性を有するブラック・ホワイトのモノクロ表示、または無電界でのメモリー性を有するカラー表示を行う。
【0058】
外部印加電圧の大きさに応じてコレステリック液晶12は、プレーナ相状態(P相状態)またはホメオトロピック相状態(H相状態)を初期状態とした場合にはP状態、フォーカルコニック相状態(F相状態)、H相状態と変化し、F状態を初期状態とした場合にはF相状態、H相状態と変化し、その最終状態がP相状態およびF相状態では、電圧印加を解除した後も維持されるが、H相状態では、P相状態に相変化する。従って、露光/非露光に関わらず、印加電圧の大きさにより、最終的な相状態としてP相状態ないしF相状態が選択される。図5に示すように、P相状態では光反射、F相状態では光透過状態となる。
【0059】
(光書き込み型画像形成装置の構成)
次に、光書き込み型画像形成装置20について説明する。
【0060】
図2に示される如く、光書き込み型画像形成装置20は、光照射によって表示媒体1へ画像を表示させるための装置であり、表示媒体1に対してアドレス光の照射を行う画像書き込み用光源部32と、この画像書き込み用光源部32と表示媒体1とが相対移動するように画像書き込み用光源部32を図2の矢印A方向へ移動させる駆動部24と、前記画像書き込み用光源部32を表示媒体1と共に挟むように設けられたリセット用光源部33と、表示媒体1に印加するバイアス電圧(高圧パルス)を発生させる高圧パルス発生部26A、26Bから成る電圧印加部26と、高圧パルス発生部26A、26Bにより発生したバイアス電圧を印加する電極を切り替える切替部28と、駆動部24及び切替部28を制御する制御部30と、を備えている。
【0061】
画像書き込み用光源部32は、制御部30からの画像に応じた入力信号に基づくアドレス光パターン(光画像パターン)を表示媒体1(詳しくは、光導電体層10上)に照射する。
【0062】
また、リセット用光源部33は、表示媒体1の表示面に対向するように平板状に構成され、その表示媒体1との対向面が発光面となり、表示媒体1をリセットする。
【0063】
なお、表示媒体1をリセット(初期化)するとは、具体的には例えばコレステリック液晶12の液晶の配向を初期化することをいい、例えば一様なF相状態又はP相状態にすることをいう。この実施の形態では、P相状態(反射率が高い状態)を初期化状態としている。
【0064】
画像書き込み用光源部32により照射されるアドレス光としては、光導電体層10の吸収波長域内にピーク強度を持ち、できるだけ周波数帯域幅の狭い光であることが望ましい。
【0065】
また、画像書き込み用光源部32及びリセット用光源部33としては、例えば、冷陰極管、キセノンランプ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、EL、レーザ等の光源を一次元のアレイ状に配置したものや、ポリゴンミラーと組み合せたもの、などが適用可能である。画像書き込み用光源部32では、走査動作によって任意の二次元発光パターンを形成できるものが用いられる。また、リセット光源32Aとしては、例えば上記のような光源をマトリクス状(縦横方向)に配置したものや導光板と組み合せたもの、表示媒体1とほぼ同一面積の平板状等の均一な光を表示媒体1に照射することが可能な光源が用いられる。
【0066】
高圧パルス発生部26Aは、リセット用電圧を発生する回路であり、高圧パルス発生部26Bは、リセット用電圧及び画像書き込み用電圧の双方を発生する回路である。高圧パルス発生部26A、26Bには、例えばそれぞれが逆極性の電圧を発生する高電圧アンプなどが用いられる。
【0067】
本実施形態では、図2に示すように表示媒体1の透明電極6は接地されており、高圧パルス発生部26Aは、正の極性を有する直流電圧を出力し、高圧パルス発生部26Bは負の極性を有する直流電圧を印加する。これらを組み合わせることで、交番電圧の共有も可能である。
【0068】
ここで、電極5A、5B、5C、5Dに対して、接地された透明電極6に印加されるリセット用電圧は、正の極性及び負の極性を有する交番電圧(正極の直流電圧と負極の直流電圧の組み合わせ)としている。
【0069】
また、電極5A、5B、5C、5Dに対して、接地された透明電極6に印加される画像書き込み用電圧は、正の極性を有する直流電圧としている。
【0070】
(リセット光の照射)
ここで、リセット用電圧の電圧値は、リセット用電圧が透明電極間に印加された場合に、表示媒体1をリセット(初期化)することができる電圧値、具体的には、例えばコレステリック液晶12の液晶の配向を初期化(本実施の形態では、まず、第1のリセット手段として、一様F相状態の配向とする)することができる電圧値に設定される。第1のリセット手段が、F状態に初期化するのであれば、図5に示すように、表示層7に印加される電圧(分圧)がVpfより大きくVfhより小さい電圧の範囲内となるような電圧値である。
【0071】
ここで、本実施の形態では、第2のリセット手段として、上記リセット用電圧の内、正極の直流電圧が印加されているときのみ、リセット用光源部33によりリセット光を表示媒体1に照射する。言い換えれば、負極の直流電圧が印加されているときは、リセット用光源部33によりリセット光を表示媒体1に照射しない。
【0072】
例えば第1の例としては、図6(A)に示される如く、リセット用電圧の印加パターンが、正極電圧→負極電圧印加→正極電圧印加の場合である(リセット光照射手順1)。このリセット光照射手順1では、図6(A)に示される如く、最初の正極電圧印加時と最後の正極電圧印加時とに同期させて、リセット光を照射する。なお、このパターンは複数回繰り返してもよい。
【0073】
次に、第2の例としては、図8(A)に示される如く、リセット用電圧の印加パターンが、正極電圧→負極電圧印加の場合である(リセット光照射手順2)。このリセット光照射手順2では、図8(A)に示される如く、最初の正極電圧印加時に同期させて、リセット光を照射する。なお、このパターンは複数回繰り返してもよい。
【0074】
このリセット光照射手順2においては、画像書き込み時の印加電圧(正極電圧)を組み合わせると、正極電圧印加→負極電圧印加→正極電圧印加となり、極性が交互に切り替わることになる。
【0075】
(負極電圧印加時非照射の原理)
ところで、上記何れか(リセット光源照射手順1又は2)のリセット光の照射により、抵抗分が低くなってリセットする電圧値が高くなる(図5に示す電圧Vfhを超える電圧となる)。この結果、表示媒体1は、一様にP相状態となる。
【0076】
負極の電圧印加字に光照射を行うと、上CGL13で発生した+電荷が、下CGL15の方向にCTL14を移送し、+電荷のカウンターチャージである−電荷はCGL近傍に少しずつ蓄積されていく。
【0077】
両極性の電圧印加時に光照射を行っていると、初期的には問題はないが、連続的に繰り返し駆動(光書き込み)を行うと、徐々に表示特性が劣化する(反射率が低下する)。
【0078】
上CGL13、下CGL15の光感度を対称とすることは、初期の電流量をほぼ対称にでき、優れた性能を発揮するが、維持性をより改善するためには、電荷の蓄積を防止する必要がある。
【0079】
そこで、正極の電圧印加時のみリセット光を照射する(言い換えれば、負極の電圧印加字にはリセット光を照射しない)ことで、電界の発生と消失のバランスが取られることになり、連続繰り返し駆動を行っても表示特性の劣化が改善されることになる。
【0080】
(画像書き込み)
また、画像書き込み用電圧の電圧値は、少なくとも画像書き込み用光源部32により画像に応じた画像光が表示媒体1に照射された状態で画像書き込み用電圧が透明電極間に印加された場合に、表示媒体1に画像を記録することができる電圧値に設定される。例えばコレステリック液晶12の液晶の配向をP相状態からF相状態へ変更することで画像を書き込むのであれば、画像光が照射された部位の表示層7に印加される電圧(分圧)がVpfより大きくVfhより小さい電圧の範囲内となるような電圧値である。
【0081】
切替部28は、制御部30からの指示に従って、リセット用電圧を印加する電極、画像書き込み用電圧を印加する電極を選択すると共に、リセット用電圧を印加する電極として選択した電極に対しては高圧パルス発生部26A、26Bから出力されたリセット用電圧を印加すると共に、画像書き込み用電圧を印加する電極として選択した電極に対しては高圧パルス発生部26Bから出力された画像書き込み用電圧を印加する。
【0082】
駆動部24は、制御部30からの指示に従って、画像書き込み用光源部32を、図2の矢印A方向(副走査方向)へ移動させる。駆動部24は、例えばパルスモータ等を含んで構成され、パルスモータの駆動によって画像書き込み用光源部32を図2の矢印A方向へ移動させる。
【0083】
制御部30は、所定速度で光照射部32が図2の矢印A方向へ移動するように駆動部24に指示すると共に、入力された画像データに基づいて、後述するタイミングでリセット光がリセット光源32Aにより表示媒体1に照射されるように且つ入力された画像データに基づく画像光が画像書き込み用光源部32により表示媒体1に照射されるように各光源を制御すると共に、後述するタイミングで各電極5A〜5Dにリセット用電圧及び画像書き込み用電圧が印加されるように切替部28を制御する。
【0084】
(画像書き込み中のリセット)
ここで、画像書き込み中(図11〜図13では、画像書き込み用光源部32が電極5Cに対応しているとき)に、書き込み中止の指示がなされる場合がある。この書き込み中止指示の際、画像書き込み用光源部32が、電極5Cに位置しているということは、少なくとも上流側の電極(ここでは、電極A、5Bとなる)に対応する表示面には画像が表示されている状態である。
【0085】
ひとつの事象として、書き込み中止の指示があるのは、いち早く表示されている(表示されようとしている)画像を消去する要求があるからであると推測される。しかしながら、画像書き込み用光源部32による書き込み中は、リセット用光源部33の表示媒体1への光の照射を妨げる(影になる)。このため、画像書き込み用光源部32が待機位置に戻った後でなければ、表示媒体1の全ての表示面をリセットすることができず、その分、リセットまでの時間が冗長していた。
【0086】
そこで、本実施の形態では、現在の画像書き込み用光源部32の位置を認識し、分割された電極毎に時分割でリセットするようにした。なお、この電極間の時分割でのリセットは、上記事象(書き込み途中の中止指示時)にのみ実行されるものではない。
【0087】
本実施の形態では、早期の書き込み画像消去の実行手順として、画像書き込み中のリセットの手順1〜3のパターンの何れかを実行する。
【0088】
例えば、画像書き込み中のリセットの手順1では、画像書き込み用光源部32が電極5Cに対向している場合、この位置で画像書き込み用光源部32の移動を停止し、まず、上流側の電極5A、5Bに対して初期化処理(リセット用電圧印加及びリセット光の照射)を実行した後、画像書き込み用光源部32を待機位置方向へ戻し(図2の矢印A方向とは反対方向)、電極5Cの対向状態から逸脱した時点で、この電極5Cに対して初期化処理(リセット用電圧印加及びリセット光の照射)を実行するようにしている(図11参照)。
【0089】
また、画像書き込み中のリセットの手順2では、初期化処理を第1段階(リセット電圧印加)と第2段階(リセット電圧印加+リセット光照射)に分割し、所謂ダークリセットによって早期を表示画像消去を主体としている(図12参照)。
【0090】
さらに、画像書き込み中のリセットの手順3では、書き込み用光源部32を戻しながら、分割された電極の配列順に初期化処理を実行している(図13参照)。
【0091】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0092】
(画像書き込み手順)
まず、制御部30は、リセット用光源部33に対して、表示媒体1を初期化(一様なP相状態)する。このとき、画像書き込み部32は、画像の書き込み動作を開始する前であり、予め定めた待機位置に配置されている。この待機位置は、表示媒体1の図2の矢印A方向上流側の端部よりもさらに上流側に位置しており、表示媒体1の表示面とは対向されない位置となっている。
【0093】
表示媒体1の初期化が完了すると、次に、図2の矢印A方向へ画像書き込み部32が移動開始するように駆動部24に指示する。画像書き込み部32は、待機位置から移動を開始して、図2の矢印A方向へ予め定めた移動速度で移動を開始する。
【0094】
そして、制御部30は、画像書き込み用光源部32が電極5Aにおける図2の矢印A方向上流側の端部に到達するよりも前の時点で、画像書き込み用電圧が電極5Aに所定時間印加されるように切替部28に指示する。
【0095】
これにより、切替部28は、電極5Aに対して、高圧パルス発生部26Bから出力された画像書き込み用電圧を電極5Aに所定時間印加する。
【0096】
同様に、制御部30では、画像書き込み用光源部32が電極5B、5C、5Dのそれぞれの図2の矢印A方向の上流側端部に到達するよりも前の時点で、画像書き込み用電圧が電極5B、5C、5Dに所定時間印加されるように切替部28に指示する。
【0097】
図10は、上記制御部30における画像書き込みの手順を、より詳細に示したフローチャートである。
【0098】
ステップ100では、書き込み指示があったか否かが判断される。このステップ100で否定判定された場合には、このルーチンは終了する。
【0099】
ステップ100で肯定判定されると、ステップ102へ移行して書き込み用光源部32が待機位置にあるか否かが判断され、否定判定されると、ステップ104へ移行して、当該書き込み用光源部32を待機位置へ移動した後、ステップ102へ移行する。
【0100】
ステップ102で肯定判定されると(書き込み用光源部32が待機位置にあると判断されると)、ステップ106へ移行して、表示媒体1の初期化を指示する。
【0101】
ステップ106の初期化指示があると、例えば、図11に示す期間T1、T1’、T2、T2’に基づいて電圧を印加(正極電圧印加→負極電圧印加)すると共に、正極電圧印加期間T1に同期して、光照射を実行する。なお、負極電圧印加期間T2では、光照射を実行しない。なお、この電圧印加パターンは、後述するリセット光照射手順2に対応しているが、リセット項照射手順1に対応させてもよい。この初期化により、表示媒体1の表示層7は、P相状態となる。
【0102】
次のステップ108では、初期化が終了したか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ110へ移行して、各電極に対応する表示媒体1毎に順次電圧印加を指示する。
【0103】
ステップ110の電圧印加指示があると、例えば、走査移動上流側電極(すなわち、電極5A)から下流側電極まで(すなわち、電極5B→電極5Cを経て、電極5Dまで)、図11に示す期間T3、T4、T5、T6に基づく電圧印加が実行される。この電圧印加により、該当領域の電圧が電圧Vpf以上Vfh未満となり、表示層7は、F相状態となる
次のステップ112では、書き込み用光源部32が書き込み位置に到達したか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ114へ移行して画像書き込み指示がなされる。
【0104】
ステップ114の画像書き込み指示があると、書き込み用光源部32により表示媒体1へ画像データに応じた光が照射され、照射された部位の電圧が電圧Vfh以上となり、表示層7がP相状態となって、表示媒体1に画像が表示(形成)される。
【0105】
次のステップ116では、画像書き込みが終了したか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ118へ移行して、書き込み用光源部32を待機位置へ移動し、このルーチンは終了する。
【0106】
(リセット光照射手順1)
本実施の形態では、画像書き込み指示があった場合の最初の表示媒体1の初期化(一様なP相状態)に際し、リセット用電圧(Vpf以上Vfh未満)の印加によってF相状態とし、リセット光によって抵抗分を小さくして高電圧(Vfh以上)としてP相状態としている。
【0107】
このとき、図6(A)に示される如く、リセット用電圧として、正極電圧と負極電圧とを組み合わせ、時系列で100msec毎に正極電圧印加→負極電圧印加→正極電圧印加を実行する。
【0108】
また、この一連のリセット用電圧印加における、正極電圧印加に同期して、100msecのリセット光(光量としては、200μw/cm2)を照射する。
【0109】
図7は、上記リセット光照射手順2の照射による連続繰り返し駆動回数−反射率変化度合(図7の実線)を示す特性図である。
【0110】
この図7において、縦軸は、初期状態での反射率を1.0とした場合の比を示している。また、鎖線の特性図は、図6(B)に示される如く、リセット用電圧として負極電圧印加→正極電圧印加のパターンとし(それぞれ100msec)、かつこの全てのリセット用電圧印加時にリセット光(光量としては、200μw/cm2)を照射した場合(以下、比較例1という)の特性図である。
【0111】
図7によれば、比較例1の場合、連続繰り返し回数が100回を超えた程度から徐々に反射率が低下していくのに対して、本実施の形態のように、負極のリセット用電圧印加時にリセット光を照射しない場合、反射率の変化度合が少ない(ほとんど、1.0を維持している)ことがわかる。
【0112】
(リセット光照射手順2)
次に、リセット光照射手順2について説明する。
【0113】
画像書き込み指示があった場合の最初の表示媒体1の初期化(一様なP相状態)に際し、リセット用電圧(Vpf以上Vfh未満)の印加によってF相状態とし、リセット光によって抵抗分を小さくして高電圧(Vfh以上)としてP相状態としている。
【0114】
このとき、図8(A)に示される如く、リセット用電圧として、正極電圧と負極電圧とを組み合わせ、時系列で100msec毎に正極電圧印加→負極電圧印加を実行する。
【0115】
また、この一連のリセット用電圧印加における、正極電圧印加に同期して、100msecのリセット光(光量としては、200μw/cm2)を照射する。
【0116】
図9は、上記リセット光照射手順2の照射による連続繰り返し駆動回数−反射率変化度合(図9の実線)を示す特性図である。
【0117】
この図9において、縦軸は、初期状態での反射率を1.0とした場合の比を示している。また、鎖線の特性図は、図8(B)に示される如く、リセット用電圧として負極電圧印加とし(100msec)、かつこの負極のリセット用電圧印加時にリセット光(光量としては、200μw/cm2)を照射した場合(以下、比較例2という)の特性図である。
【0118】
図9によれば、比較例2の場合、連続繰り返し回数が増えるに従い、最初から徐々に反射率が低下していくのに対して、本実施の形態のように、負極のリセット用電圧印加時にリセット光を照射しない場合、反射率の変化度合が少ない(ほとんど、1.0を維持している)ことがわかる。
【0119】
(画像書き込み中のリセットの手順1)
図11は、画像書き込み中(図11では、画像書き込み用光源部32が電極5Cに対応しているとき)に、書き込み中止があった場合についての、表示媒体1の全面リセット手順1について示したタイミングチャートである。
【0120】
まず、全ての電極5A、5B、5C、5D共に、同時に初期化を実行する。初期化に関しては、前述したリセット光照射手順2に準じたパターンを適用している(正極電圧印加+リセット光照射→負極電圧印加+リセット光非照射)。なお、正極電圧印加期間T1と負極電圧印加期間T2との間に電圧非印加期間T1’を設定しているが、特にこの期間T1’は必須ではない。
【0121】
また、この画像書き込み中のリセットに関してのみ言えば、負極電圧印加時にもリセット光を照射してもよい。
【0122】
上記初期化が完了し、期間T2’が経過すると、まず、電極5Aを対象として画像書き込み用電圧を印加する。この画像書き込み電圧印加時間は、T3+T4+T5であり、その内、中間の時間帯T4が電極5Aに対応する。また、各電極への正極電圧印加終了時に、僅かな期間T6だけ負極電圧印加を実行している。
【0123】
なお、各電極5A、5B、5C、5Dへの電圧印加タイミングは、各電極5A、5B、5C、5Dが近接して配置されているため、上流側の電極の期間T4での正極電圧印加中に電圧印加を開始するように、互いに時間的に重なる印加制御がなされている。
【0124】
表1は、電圧印加のそれぞれの期間T1、T1’、T2、T2’、T3、T4、T5、T6のそれぞれの期間の標準的な時間と、標準的な電圧を示している。
【0125】
【表1】

【0126】
画像書き込み用光源部32は、上記画像書き込み電圧印加に同期して動作(図2の矢印A方向)を開始し、画像データに応じた光を照射していく。
【0127】
電極5Aの領域が終了すると、次の電極5Bの領域での画像書き込みが継続される。
【0128】
ここで、全ての電極5A、5B、5C、5Dの領域の画像書き込みが終了する以前に、書き込み中止指示があると、まず、画像書き込み用光源部32の動作を停止する。
【0129】
次に、現在の画像書き込み用光源部32の位置(何れの電極5A、5B、5C、5Dと対向しているか)を認識する。なお、図11では、電極5C上で書き込み中止があったものとする。
【0130】
この書き込み中の中止指示では、既に電極5A、5Bの領域での書き込みが完了しており、目視可能な状態ということができる。そこで、電極5A、5Bを対象として、初期化処理(正極電圧印加+リセット光照射→負極電圧印加+リセット光非照射)を実行する。
【0131】
この電極5A、5Bに対する初期化処理が終了すると、電極5A、5Bの領域の画像は消去される。
【0132】
次に、画像書き込み用光源部32を待機位置方向へ戻すように動作を開始する(図2の矢印A方向と反対方向)。この動作において、電極5Cから逸脱したことを認識すると、この電極5Cに対して初期化処理(正極電圧印加+リセット光照射→負極電圧印加+リセット光非照射)を実行する。
【0133】
この電極5Cに対する初期化処理が終了すると、電極5Cの領域の画像は消去される。以上で、書き込み中に中止指示に対する、迅速画像消去が終了する。なお、電極5Cの下流側、すなわち、ここでは、電極5Dは当然画像が書き込まれる前であるため、初期化処理の必要はない。
【0134】
(画像書き込み中のリセットの手順2)
図12は、画像書き込み中(図12では、画像書き込み用光源部32が電極5Cに対応しているとき)に、書き込み中止があった場合についての、表示媒体1の全面リセット手順2について示したタイミングチャートである。
【0135】
まず、全ての電極5A、5B、5C、5D共に、同時に初期化を実行する。初期化に関しては、前述したリセット光照射手順2に準じたパターンを適用している(正極電圧印加+リセット光照射→負極電圧印加+リセット光非照射)。なお、正極電圧印加期間T1と負極電圧印加期間T2との間に電圧非印加期間T1’を設定しているが、特にこの期間T1’は必須ではない。
【0136】
また、この画像書き込み中のリセットに関してのみ言えば、負極電圧印加時にもリセット光を照射してもよい。
【0137】
上記初期化が完了し、期間T2’が経過すると、まず、電極5Aを対象として画像書き込み用電圧を印加する。この画像書き込み電圧印加時間は、T3+T4+T5であり、その内、中間の時間帯T4が電極5Aに対応する。また、各電極への正極電圧印加終了時に、僅かな期間T6だけ負極電圧印加を実行している。なお、各期間での標準的な時間と電圧は、前述の表1と同一である。
【0138】
画像書き込み用光源部32は、上記画像書き込み電圧印加に同期して動作(図2の矢印A方向)を開始し、画像データに応じた光を照射していく。
【0139】
電極5Aの領域が終了すると、次の電極5Bの領域での画像書き込みが継続される。
【0140】
ここで、全ての電極5A、5B、5C、5Dの領域の画像書き込みが終了する以前に、書き込み中止指示があると、まず、画像書き込み用光源部32の動作を停止する。
【0141】
次に、現在の画像書き込み用光源部32の位置(何れの電極5A、5B、5C、5Dと対向しているか)を認識する。なお、図12では、電極5C上で書き込み中止があったものとする。
【0142】
この書き込み中の中止指示では、既に電極5A、5Bの領域での書き込みが完了しており、電極5Cの領域が途中まで書き込みがなされている状態であり、目視可能な状態ということができる。
【0143】
そこで、まず、画像書き込み用光源部32を待機位置方向へ戻すように動作を開始する(図2の矢印A方向と反対方向)。
【0144】
この動作と同時に(移動状態を気にすることなく)、電極5B、5Cを対象として、第1段階の初期化処理(負極電圧印加)を実行する。
【0145】
なお、この場合、電源構成により、最大同時制御できる電極が2個の場合を想定しており、電極5B、5Cに第1段階の初期化処理を施した後、残りの電極5Aに対して初期化処理を施す(電極5Dはもともと画像書き込みがなされていないので、初期化を省略できる)。
【0146】
第1段階の初期化処理では、リセット光を全く使用しない、所謂ダークリセット(F相状態)であるため、画像書き込み用光源部32の位置に関係なく、処理することができる。
【0147】
前記電極5B、5Cに対する初期化処理が終了し、次いで、電極5Aのダークリセットを実行すると、この状態で、全ての画像は消去される。
【0148】
次に、画像書き込み用光源部32を待機位置方向へ戻した後、第2段階の初期化処理を実行する。この第2段階の初期化処理は、正極電圧印加+リセット光照射である。図13では、最大同時制御できる電極が2個の場合を想定しており、時系列で2個単位の電極を対象として電圧印加を行い(最初に電極5A、5Bを対象とし、次に電極5C、5Dを対象とする。)、その期間、リセット光を照射し続ける。
【0149】
以上で、書き込み中に中止指示に対する、迅速画像消去が終了する。なお、最大同時制御できる電極が4個であれば、最初から全ての電極5A、5B、5C、5Dを同時にダークリセット(第1段階初期化処理)し、その後、同時に第2の段階の初期化処理(正極電圧印加+リセット光照射)を行うようにしてもよい。
【0150】
(画像書き込み中のリセットの手順3)
図13は、画像書き込み中(図13では、画像書き込み用光源部32が電極5Cに対応しているとき)に、書き込み中止があった場合についての、表示媒体1の全面リセット手順1について示したタイミングチャートである。
【0151】
まず、全ての電極5A、5B、5C、5D共に、同時に初期化を実行する。初期化に関しては、前述したリセット光照射手順2に準じたパターンを適用している(正極電圧印加+リセット光照射→負極電圧印加+リセット光非照射)。なお、正極電圧印加期間T1と負極電圧印加期間T2との間に電圧非印加期間T1’を設定しているが、特にこの期間T1’は必須ではない。
【0152】
また、この画像書き込み中のリセットに関してのみ言えば、負極電圧印加時にもリセット光を照射してもよい。
【0153】
上記初期化が完了し、期間T2’が経過すると、まず、電極5Aを対象として画像書き込み用電圧を印加する。この画像書き込み電圧印加時間は、T3+T4+T5であり、その内、中間の時間帯T4が電極5Aに対応する。また、各電極への正極電圧印加終了時に、僅かな期間T6だけ負極電圧印加を実行している。なお、各期間での標準的な時間と電圧は、前述の表1と同一である。
【0154】
画像書き込み用光源部32は、上記画像書き込み電圧印加に同期して動作(図2の矢印A方向)を開始し、画像データに応じた光を照射していく。
【0155】
電極5Aの領域が終了すると、次の電極5Bの領域での画像書き込みが継続される。
【0156】
ここで、全ての電極5A、5B、5C、5Dの領域の画像書き込みが終了する以前に、書き込み中止指示があると、まず、画像書き込み用光源部32の動作を停止する。
【0157】
次に、現在の画像書き込み用光源部32の位置(何れの電極5A、5B、5C、5Dと対向しているか)を認識する。なお、図13では、電極5C上で書き込み中止があったものとする。
【0158】
この書き込み中の中止指示では、既に電極5A、5Bの領域での書き込みが完了しており、電極5Cの領域で途中まで書き込みがおわっているため、この領域は目視可能な状態ということができる。
【0159】
そこで、まず、画像書き込み用光源部32を待機位置方向へ戻すように動作を開始する(図2の矢印A方向と反対方向)。この動作において、電極5Cから逸脱したことを認識すると、この電極5Cに対して初期化処理(正極電圧印加+リセット光照射→負極電圧印加+リセット光非照射)を実行する。
【0160】
次に、画像書き込み用光源部32の移動が継続されて、電極5Bから逸脱したことを認識すると、この電極5Bに対して初期化処理(正極電圧印加+リセット光照射→負極電圧印加+リセット光非照射)を実行する。
【0161】
さらに、画像書き込み用光源部32の移動が継続されて、電極5Aから逸脱したことを認識すると(すなわち、待機位置に到達)、この電極5Aに対して初期化処理(正極電圧印加+リセット光照射→負極電圧印加+リセット光非照射)を実行する。
【0162】
この電極5Aに対する初期化処理が終了すると、電極5A、5B、5Cの領域の画像は消去される。以上で、書き込み中に中止指示に対する、迅速画像消去が終了する。なお、電極5Cの下流側、すなわち、ここでは、電極5Dは当然画像が書き込まれる前であるため、初期化処理の必要はない。
【0163】
なお、本実施形態では、表示層としてコレステリック液晶を用いた場合について説明したが、これに限らず、強誘電性液晶を用いてもよい。
【0164】
また、本実施形態では、表示媒体1が固定された状態で画像書き込み用光源部32を移動させることにより表示媒体1との間で相対移動させる構成としたが、画像書き込み用光源部32を固定した状態で表示媒体1を移動させたり、両者を移動させたりする構成であってもよい。
【0165】
さらに、本実施形態では、電極が4個の場合について説明したが、これに限らず、リセット光源をリセット用電圧が正極のときのみ照射するという概念は、電極が分割される必要はない。また、途中書き込み中止指示があった場合の対応しては、少なくとも2以上の電極があればよい。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】表示媒体の断面図である。
【図2】画像表示装置の概略構成図である。
【図3】表示媒体の等価回路を示す回路図である。
【図4】コレステリック液晶の分子配向と光学特性の関係を示す模式説明図であり、(A)はプレーナ相、(B)はフォーカルコニック相、(C)ホメオトロピック相の各相におけるものである。
【図5】コレステリック液晶のスイッチング挙動を説明するためのグラフである。
【図6】(A)はリセット光照射手順1に係り、初期化時の電圧印加とリセット光照射のパターンを示すタイミングチャート、(B)はその比較対象である比較例1を示すタイミングチャートである。
【図7】図6におけるリセット光照射手順1と比較例1における連続繰り返し駆動回数−反射率変化度合特性図である。
【図8】(A)はリセット光照射手順2に係り、初期化時の電圧印加とリセット光照射のパターンを示すタイミングチャート、(B)はその比較対象である比較例2を示すタイミングチャートである。
【図9】図7におけるリセット光照射手順2と比較例2における連続繰り返し駆動回数−反射率変化度合特性図である。
【図10】制御部における画像書き込みの手順を示したフローチャートである。
【図11】画像書き込み中のリセットの手順1に係るタイミングチャートである。
【図12】画像書き込み中のリセットの手順2に係るタイミングチャートである。
【図13】画像書き込み中のリセットの手順3に係るタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0167】
1 表示媒体
2 光記録装置
3、4 透明基板
5 透明電極
5A、5B、5C、5D 電極
6 透明電極
7 表示層
8 ラミネート層
9 着色層
10 光導電体層
12 コレステリック液晶
20 光書き込み型画像形成装置(位置決め手段)
24 駆動部
26 電圧印加部
26A 高圧パルス発生部(表示層初期化手段)
26B 高圧パルス発生部(表示層初期化手段、光書き込み手段)
28 切替部
30 制御部(表示層初期化手段、光書き込み手段、ヘッド位置認識手段、書き込み情報消去手段)
32 光照射部
32 画像書き込み用光源部(光書き込み手段)
33 リセット用光源部(表示層初期化手段、書き込み情報消去手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が一方向に向けて電気的に分離されて配列された複数の電極群とされた一対の電極と、前記一対の電極間にかける印加電圧に応じて反射率が変更される表示層と、光照射によって前記表示層の反射率を変化させる電圧調整が可能な光導電層と、を備えた光書き込み型表示媒体を位置決めする位置決め手段と、
前記位置決め手段による位置決め状態で、前記表示層が一様の反射率となる初期化を行うために、前記一対の電極間へ初期化電圧を印加すると共に、前記光導電層の全領域に対して同時に照射可能な初期化用光源を用いて初期化光を照射する表示層初期化手段と、
前記初期化用光源と前記位置決め手段により位置決めされた前記光書き込み表示媒体との間の空間を走査移動可能とされ、画像情報に応じた光照射を行う画像書き込み用光源ヘッドを備え、前記表示層初期化手段による初期化電圧の印加並びに光照射により前記表示層が一様の反射率となった後に、前記画像書き込み用光源ヘッドを前記電極群の配列方向に沿って走査移動して書き込みを実行する光書き込み手段と、
前記光照射手段による画像情報に応じた光照射継続中に中止する必要が生じた場合に、前期複数の電極群の中から、走査中の前記画像書き込み用光源ヘッドと対応している電極を認識するヘッド位置認識手段と、
前記ヘッド位置認識手段で認識した情報に基づいて、前記画像書き込みヘッド光源を待機位置に戻しながら、この画像書き込みヘッドが前記初期化用光源から照射される光が妨げない電極を順次選択して、時系列で複数の電極群に対応する表示層の少なくとも書き込み情報を消去する書き込み情報消去手段と、
を有する光書き込み型画像形成装置。
【請求項2】
前記書き込み情報消去手段が、前記複数の電極群の内、走査移動によって前記画像書き込みヘッドが既に通過し終えた電極を優先して、前記初期化電圧の印加並びに初期化光の照射を実行し、その後、前記ヘッド位置認識手段で認識した電極を対象として、前記初期化電圧の印加並びに光照射を実行することを特徴とする請求項1記載の光書き込み型画像形成装置。
【請求項3】
前記書き込み情報消去手段が、第1段階で初期化電圧を印加し、前記画像書き込みヘッドが待機位置に戻った後に、前記初期化用光源による前記光導電層の全領域を対称として同時に初期化光を照射することを特徴とする請求項1記載の光書き込み型画像形成装置。
【請求項4】
少なくとも一方が一方向に向けて電気的に分離されて配列された複数の電極群とされた一対の電極と、前記一対の電極間にかける印加電圧に応じて反射率が変更される表示層と、光照射によって前記表示層の反射率を変化させる電圧調整が可能な光導電層と、を備えた光書き込み型表示媒体を対象として、前記表示層が一様の反射率となる初期化を行うために、前記一対の電極間へ初期化電圧を印加すると共に、前記光導電層の全領域に対して同時に照射可能な初期化用光源を用いて初期化光を照射する表示層初期化手段と、
前記表示層初期化手段による初期化電圧の印加並びに光照射により前記表示層が一様の反射率となった後に、画像情報に応じた光照射を行う画像書き込み用光源ヘッドを前記電極群の配列方向に沿って走査移動して書き込みを実行する光書き込み手段と、
前記光照射手段による画像情報に応じた光照射継続中に中止する必要が生じた場合に、前期複数の電極群の中から、走査中の前記画像書き込み用光源ヘッドと対応している電極を認識するヘッド位置認識手段と、
前記ヘッド位置認識手段で認識した情報に基づいて、前記画像書き込みヘッド光源を待機位置に戻しながら、この画像書き込みヘッドが前記初期化用光源から照射される光が妨げない電極を順次選択して、時系列で複数の電極群に対応する表示層の少なくとも書き込み情報を消去する書き込み情報消去手段と、
を有する光書き込み型画像形成装置用制御装置。
【請求項5】
前記書き込み情報消去手段が、前記複数の電極群の内、走査移動によって前記画像書き込みヘッドが既に通過し終えた電極を優先して、前記初期化電圧の印加並びに初期化光の照射を実行し、その後、前記ヘッド位置認識手段で認識した電極を対象として、前記初期化電圧の印加並びに光照射を実行することを特徴とする請求項4記載の光書き込み型画像形成装置用制御装置。
【請求項6】
前記書き込み情報消去手段が、第1段階で初期化電圧を印加し、前記画像書き込みヘッドが待機位置に戻った後に、前記初期化用光源による前記光導電層の全領域を対称として同時に初期化光を照射することを特徴とする請求項4記載の光書き込み型画像形成装置用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−175263(P2009−175263A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11741(P2008−11741)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】