説明

光書き込み装置、画像形成装置及び光書き込み装置の制御方法、光書き込み装置の制御プログラム及び記録媒体

【課題】簡易な構成により二値ヘッドを用いた光書き込み装置において階調表現を実現する。
【解決手段】点灯及び消灯の2つの状態を制御可能なLEDA281によって感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置であって、形成すべき画像を構成する各画素の情報であって、一画素が多段階の階調によって表現された多値画素情報を取得する画素情報取得部123と、取得された多値画素情報を主走査ライン毎に記憶するラインメモリ122と、記憶された多値画素情報の副走査方向の解像度のN倍の解像度に対応した周期でLEDA281を発光させることにより、N回の露光で元の解像度における一画素分の露光を行う発光制御部121とを含む光書き込み装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書き込み装置、画像形成装置及び光書き込み装置の制御方法、光書き込み装置の制御プログラム及び記録媒体に関し、特に、一画素が多値データで表現された画像データに基づいて画像形成出力が可能な光書き込み装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置のうち、電子化された書類の出力に用いられる画像形成装置においては、電子写真方式の画像形成装置が広く用いられている。電子写真方式の画像形成装置においては、感光体を露光することにより静電潜像を形成し、トナー等の顕色剤を用いてその静電潜像を現像してトナー画像を形成し、そのトナー画像を用紙に転写することによって紙出力を行う。
【0004】
電子写真方式の画像形成装置において、感光体を露光する光書き込み装置には、LD(Laser Diode)ラスター光学系を用いるものと、LEDA(Light Emitting Diode Array)ヘッドを用いるものとがある。LEDAにおいては、一列に並べられたLED光源のチップによって主走査ライン毎に感光体の露光が行われるが、LED光源の種類としては、点灯/消灯の二値制御の光源(以降、二値ヘッドとする)と、多値制御、即ち発光強度を変化させることにより階調を表現することが可能な光源(以降、多値ヘッドとする)とがある。
【0005】
しかしながら、製造公差等の問題から、多値制御の光源では、異なる光源において発光強度のばらつきが生じる。そして、光源の発光強度のばらつきは、感光体の露光強度のばらつきとなり、結果的に画像濃度のばらつきとなる。従って、現状では、光書き込み装置の光源として二値ヘッドを用いることが多い。
【0006】
LED光源を用いた光書き込み装置において、階調表現を可能とする方法として、一画素分の主走査ラインを複数のサブラインに分割し、サブライン毎に異なる露光エネルギーを設定すると共に、各画素の階調値に応じて点灯させるサブラインを選択する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LED光源を用いた光書き込み装置において、二値ヘッドを用いる場合であっても、グレースケール等の階調表現を含む画像の画像形成出力に対応する必要がある。光書き込み装置に対応させて画像形成装置のコントローラを構成する場合、二値ヘッドを用いて階調表現を可能にする機能をコントローラ側に搭載することができ、光書き込み装置側には特別な構成を設ける必要がない。
【0008】
他方、画像形成装置のコントローラと光書き込み装置とを夫々独立して設計する場合、様々なコントローラに対応可能な光書き込み装置を提供するためには、光書き込み装置側に上述した機能を設ける必要がある。これに対して、例えば特許文献1に開示された方法を用いる場合、サブライン毎にラインメモリを設ける必要があると共に、サブライン毎に露光強度を調整する必要があり、制御系が複雑化するため、回路規模や生産コストが増大する。
【0009】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、二値ヘッドを用いた光書き込み装置において簡易な構成により階調表現を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、点灯及び消灯の2つの状態を制御可能な二値光源によって感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置であって、前記静電潜像として形成すべき画像を構成する各画素の情報であって、一画素が多段階の階調によって表現された多値画素情報を取得する画素情報取得部と、前記取得された多値画素情報を主走査ライン毎に記憶するライン画素情報記憶部と、前記記憶された多値画素情報に基づいて前記二値光源を制御して前記感光体を露光させる発光制御部とを含み、前記発光制御部は、前記記憶された多値画素情報の副走査方向の解像度の正の整数倍であるN倍の解像度に対応した周期で前記二値光源に前記感光体を露光させることにより、N回の露光で元の解像度における一画素分の露光を行い、各画素におけるN回の前記二値光源の制御において、前記多段階の階調を前記N回における点灯比率に変換する点灯比率変換情報に基づき、前記二値光源の点灯及び消灯を制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の態様は、画像形成装置であって、上記光書き込み装置を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の更に他の態様は、点灯及び消灯の2つの状態を制御可能な二値光源によって感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置の制御方法であって、前記静電潜像として形成すべき画像を構成する各画素の情報であって、一画素が多段階の階調によって表現された多値画素情報を取得して主走査ライン毎に記憶媒体に記憶し、前記記憶された多値画素情報の副走査方向の解像度の正の整数倍であるN倍の解像度に対応した周期で前記二値光源に前記感光体を露光させることにより、N回の露光で元の解像度における一画素分の露光を行い、前記各画素におけるN回の前記二値光源の制御において、前記多段階の階調を前記N回における点灯比率に変換する点灯比率変換情報に基づき、前記二値光源の点灯及び消灯を制御するための制御値を取得することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の更に他の態様は、点灯及び消灯の2つの状態を制御可能な二値光源によって感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置の制御プログラムであって、前記静電潜像として形成すべき画像を構成する各画素の情報であって、一画素が多段階の階調によって表現された多値画素情報を取得して主走査ライン毎に記憶媒体に記憶するステップと、前記記憶された多値画素情報の副走査方向の解像度の正の整数倍であるN倍の解像度に対応した周期で前記二値光源に前記感光体を露光させることにより、N回の露光で元の解像度における一画素分の露光を行うステップと、前記各画素におけるN回の前記二値光源の制御において、前記多段階の階調を前記N回における点灯比率に変換する点灯比率変換情報に基づき、前記二値光源の点灯及び消灯を制御するための制御値を取得するステップとを情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の更に他の態様は、記録媒体であって、上記制御プログラムを情報処理装置に読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、二値ヘッドを用いた光書き込み装置において簡易な構成により階調表現を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリントエンジンの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光書き込み装置の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光書き込み装置の制御部を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係るラインメモリに格納される画素情報と出力される各画素とを示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るγ変換情報記憶部に記憶されている情報の例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る光書き込み装置制御部の動作を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る光書き込み装置によって実際に描画される画像の例を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る光書き込み装置の制御部を示すブロック図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るスキュー補正情報記憶部に記憶されている情報の例を示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るスキュー補正の概念を示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るスキュー補正の概念を示す図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るスキュー補正によって解決される課題を示す図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係るスキュー補正によって解決される課題を示す図である。
【図16】本発明の他の実施形態に係る画素データの読み出し動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の他の実施形態に係るγ変換テーブルからの制御値の取得動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の他の実施形態に係るスキュー補正の態様を示す図である。
【図19】本発明の他の実施形態に係るラインメモリに格納される画素情報と出力される各画素とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成装置としての複合機(MFP:Multi Function Peripheral)を例として説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式による複合機であり、感光体に静電潜像を形成するための光書き込み装置におけるスキュー補正の態様がその要旨である。尚、画像形成装置は複合機でなくとも良く、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等であっても良い。
【0018】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
【0019】
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
【0020】
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0021】
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0022】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)21、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
【0023】
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
【0024】
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0025】
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM12や不揮発性メモリ並びにHDD14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0026】
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
【0027】
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
【0028】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0029】
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された用紙は排紙トレイ27に排紙される。
【0030】
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
【0031】
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
【0032】
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD40等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
【0033】
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF21及びエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
【0034】
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
【0035】
次に、本実施形態に係るプリントエンジン26の構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102と分離ローラ103とにより分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104を搬送する搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106BK、106M、106C、106Yが配列されている。
【0036】
これら複数の画像形成部106BK、106M、106C、106Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106BKはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106BKについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Yは画像形成部106BKと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Yの各構成要素については、画像形成部106BKの各構成要素に付したBKに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0037】
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
【0038】
画像形成に際して、給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、静電吸着作用により搬送ベルト105に吸着されて回転駆動される搬送ベルト105により最初の画像形成部106BKに搬送され、ここで、ブラックのトナー画像を転写される。即ち、搬送ベルト105が、画像の転写対象である用紙を搬送する搬送体として機能する。
【0039】
画像形成部106BKは、感光体としての感光体ドラム109BK、この感光体ドラム109BKの周囲に配置された帯電器110BK、光書き込み装置111、現像器112BK、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113BK等から構成されている。光書き込み装置111は、夫々の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y(以降、総じて感光体ドラム109とする)を露光することにより静電潜像を形成するように構成されている。
【0040】
画像形成に際し、感光体ドラム109BKの外周面は、暗中にて帯電器110BKにより一様に帯電された後、光書き込み装置111からのブラック画像に対応した照射光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112BKは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109BK上にブラックのトナー画像が形成される。
【0041】
このトナー画像は、感光体ドラム109BKと搬送ベルト105上の用紙104とが当接する位置(転写位置)で、転写器115BKの働きにより用紙104上に転写される。この転写により、用紙104上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109BKは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113BKにより除電され、次の画像形成のために待機する。
【0042】
以上のようにして、画像形成部106BKでブラックのトナー画像を転写された用紙104は、搬送ベルト105によって次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106BKでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が用紙104上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0043】
用紙104は、さらに次の画像形成部106C、106Yに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、用紙104上に重畳されて転写される。こうして、用紙104上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された用紙104は、搬送ベルト105から剥離されて定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0044】
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111について説明する。図4は、本実施形態に係る光書き込み装置111と感光体ドラム109との配置関係を示す図である。図4に示すように、各色の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y夫々に照射される照射光は、光源であるLEDA(LED Array)281BK、281M、281C、281Y(以降、総じてLEDA281とする)から照射される。
【0045】
LEDA281は、発光素子であるLEDが、感光体ドラム109の主走査方向に並べられて構成されている。光書き込み装置111に含まれる制御部は、主走査方向に並べられている夫々のLEDの点灯/消灯状態を、出力すべき画像のデータに基づいて主走査ライン毎に制御することにより、感光体ドラム109の表面を選択的に露光し、静電潜像を形成する。即ち、LEDA281は、1回の点灯/消灯の制御により、出力すべき画像の主走査方向1ライン分の静電潜像を形成する。また、本実施形態に係るLEDA281は、点灯/消灯のみの制御が可能である二値光源である。
【0046】
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111の制御ブロックについて、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る光書き込み装置111を制御する光書き込み装置制御部120の機能構成及びLEDA281との接続関係を示す図である。図5に示すように、本実施形態に係る光書き込み装置制御部120は、発光制御部121、ラインメモリ122、画像情報取得部123及びγ変換情報記憶部124を含む。
【0047】
尚、本実施形態に係る光書き込み装置111は、図1において説明したようなCPU10や、RAM11並びにROM12等の記憶媒体といった情報処理機構を含み、図5に示すような光書込み装置制御部120は、画像形成装置1のコントローラ20と同様に、ROM12等の記憶媒体に記憶されている制御プログラムがRAM11にロードされ、CPU10がそのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって構成される。
【0048】
発光制御部121は、コントローラ20のエンジン制御部31から入力された画像情報に基づいてラインメモリ122に格納された画素情報に基づき、LEDA281の発光を制御する光源制御部である。発光制御部121は、副走査方向のクロックに従い、1走査ライン毎に発光制御部121の点灯/消灯を制御する。
【0049】
ラインメモリ122は、エンジン制御部31から入力された画像情報に応じて、画像の主走査ライン毎に画素情報が格納される記憶媒体である。即ち、ラインメモリ122が、ライン画素情報記憶部として機能する。発光制御部121は、ラインメモリ122に格納された画素情報を各ライン毎に読み出して、LEDA281の点灯/消灯を制御する。
【0050】
図6は、ラインメモリ122に格納された画素データの読み出し順と実際に描画される画像との関係を示す図である。図6上段は、ラインメモリ122に格納された画素データの読み出し順を示す図であり、1ライン目は“0a”、“0b”、“0c”・・・、2ライン目は“1a”、“1b”、“1c”・・・、3ライン目は“2a”、“2b”、“2c”・・・というように、ラインメモリ122に格納されている画素データが読み出される。図6下段は、ラインメモリ122から読み出された画素データに基づいて描画される画像の例を示す図であり、夫々の画素データに対応して描画される画素が丸印で示されている。
【0051】
ここで、図6に示すように、本実施形態においては、一主走査ラインの画素データを、4ラインに分割して描画する。換言すると、発光制御部121は、光書き込み装置制御部120に入力された画像データの副走査方向の解像度の4倍の解像度に対応した周期で、LEDA281の点灯/消灯を制御する。
【0052】
図6に示すように、発光制御部121は、一主走査ラインの画素データを読み出すと、副走査方向の一画素の範囲を4つのサブラインに分割し、夫々のサブライン毎にLEDA281の点灯/消灯を制御して、サブ画素を描画する。夫々のサブライン及びサブ画素は、“0a_0”、“0a_1”、“0a_2”、“0a_3”と示すように“0”〜“3”までのサブアドレスによって識別される。発光制御部121は、一主走査ラインの描画において、サブラインをカウントしながらLEDA281の点灯/消灯を制御する。即ち、発光制御部121は、サブラインのカウント値を記憶している。
【0053】
尚、図6においては、図示の容易化のため、“1a_0”〜“1a_3”のような4つのサブ画素によって構成される一画素が副走査方向に長く表示されているが、実際の一画素の主走査方向と副走査方向との比率は1:1である。
【0054】
画像情報取得部123は、コントローラ20から入力される画像情報を取得し、画像を構成する画素の情報を主走査ライン毎にラインメモリ122に格納する。本実施形態において画像情報取得部123が取得する画像情報は、夫々の画素が複数階調の濃度で表現された画像情報であり、画像情報取得部123がラインメモリ122に格納する画素情報は、複数階調の濃度の情報を有する多値画素情報である。
【0055】
γ変換情報記憶部124は、上記多値画素情報を二値の情報、即ち、夫々の画素に対応する光源の点灯/消灯を示す情報に変換するγ変換テーブルの情報を記憶している。図7に本実施形態に係るγ変換テーブルの情報を示す。図7に示すように、本実施形態に係るγ変換テーブルにおいては、上述した多値画素情報における階調の値と、図6において説明したサブアドレスとがマトリクス状に配置され、夫々の組み合わせ毎に点灯/消灯を示す情報が記憶されている。
【0056】
即ち、γ変換テーブルは、一主走査ライン、一画素を描画するための複数回(本実施形態においては4回)の露光における順番と、多値画素情報における多段階の階調との組み合わせ毎に、二値光源であるLEDA281の点灯/消灯を制御するための制御値が記憶された情報である。
【0057】
例えば、ある画素における階調を示す値が“3”であった場合、その多値画素情報に対応した画素の描画において、発光制御部121は、サブアドレス“0”〜“2”まではLEDA281を点灯させ、サブアドレス“3”はLEDA281を消灯させる。これにより、4つのサブ画素における点灯/消灯の比率によって、“3”の階調値に対応した濃度が表現される。
【0058】
次に、本実施形態に係る発行制御部121の動作について説明する。図8は、本実施形態に係る発行制御部121の動作を示すフローチャートである。画像形成出力において画像形成装置1のコントローラ20から光書き込み装置制御部120に画像データが入力され、ラインメモリ122に多値画素情報が記憶されると、発光制御部121は、サブラインカウントを“0”にし(S801)、ラインメモリ122から画素データを読み出す(S802)。
【0059】
画素データをラインメモリ122から読み出すと、発光制御部121は、γ変換情報記憶部124に記憶されているγ変換テーブルを参照し、主走査ライン上の各画素について、多値画素情報の階調データとサブラインカウント値によって定まる点灯/消灯の制御値を取得する(S803)。そして、発光制御部121は、取得した制御値に基づいてLEDA281を発光制御する(S804)。
【0060】
また、発光制御部121は、サブラインカウント値を確認し(S805)、サブラインカウント値が“3”であれば(S805/YES)、即ち、一主走査ラインについて全てのサブラインの描画が完了したら、出力するべき画像の出力が完了したか否か確認する(S806)。そして、出力するべき画像の出力が完了していれば(S806/YES)、処理を終了し、完了していなければ(S806/NO)、S801からの処理を繰り返す。
【0061】
他方、サブラインカウント値が“3”ではなかった場合(S805/NO)、発光制御部121は、サブラインカウント値をインクリメントし(S807)、S803からの処理を繰り返す、これにより、次のS803においては、異なるサブラインの制御値が読み出されて発光制御が実行される。このような処理により、本実施形態係る発光制御部121によるLEDA281の発光制御が実行される。
【0062】
次に、図8のような処理の結果描画される画像の例について、図9(a)、(b)を参照して説明する。図9(a)は、多値画素情報によって表現された画像を示す図である。図9(a)に示すように、階調値“4”から階調値“0”の画素によるグラデーションの画像を本実施形態に係る光書き込み装置120によって描画すると、図9(b)に示すように、二値のサブ画素によって濃淡、即ち階調が表現された画像が描画される。
【0063】
このように、本実施形態に係る光書き込み装置111においては、画像形成装置1のコントローラ20から多値画素情報が入力された場合において、副走査方向の解像度を4倍にして4つのサブライン及びサブ画素を定義し、その4つのサブ画素の描画における点灯/消灯の比率によって5階調の濃淡を表現する。この際、4つのサブラインを実現するために、ラインメモリを4倍にするのではなく、4つのサブラインの描画に際しては、元の多値画素情報とγ変換テーブル及びサブラインカウントのカウント値によって各サブ画素の点灯/消灯を判断する。
【0064】
従って、ラインメモリの増加によるコスト増を回避することができ、簡易な構成により二値ヘッドを用いた光書き込み装置において階調表現を実現することが可能となる。
【0065】
尚、上記実施形態においては、副走査方向の改造を4倍にする場合を例として説明したが、3倍以下であっても、5倍以上であっても、正の整数倍であれば適用可能であり、上記と同様の効果を得ることができる。
【0066】
実施の形態2.
本実施形態においては、実施の形態1において説明した処理に加えて、スキュー補正を行う場合について説明する。尚、実施の形態1と同様の符号を付す構成については、実施の形態1と同一若しくは相当部を示すものとし、詳細な説明を省略する。
【0067】
実施の形態1において説明したような光書き込み装置においては、LEDA281の取り付け誤差や、LEDA281内におけるLEDチップの取り付け誤差により、傾いた画像が形成される、いわゆるスキューが発生する。具体的には、静電潜像は、感光体ドラム109においてLEDA281からの露光を受けて形成されるため、感光体ドラム109の主走査方向に対して、LEDA281において各LEDが並べられた方向が傾いている場合やLEDA自体が傾いている場合、その傾きに対応して静電潜像も傾いてしまう。そして、この静電潜像が現像されることにより、傾いた画像が形成される。このスキューが発生しないように補正を行うことが本実施形態に係る要旨である。
【0068】
図10は、本実施形態に係る発光制御部121の機能構成を示すブロック図である。図10に示すように、本実施形態に係る発光制御部121は、図5に示す構成に加えて、スキュー補正情報記憶部125を含む。スキュー補正情報記憶部125は、図11に示すように、主走査ライン全体にわたって、スキュー補正量、即ち、副走査方向へのシフト量の情報を記憶している。尚、図11の“a”、“b”、“c”・・・は、図6における“a”、“b”、“c”・・・に対応する。
【0069】
本実施形態においては、発光制御部121がラインメモリ122から画素情報を読み出す際、スキュー補正情報記憶部125が記憶している情報に基づき、画素を副走査方向にシフトさせて読み出すことにより、スキュー補正が行われる。図12及び図13を参照して、スキュー補正の基本的な概念について説明する。
【0070】
図12は、図7と同様に、ラインメモリ122から読み出された画素データと実際に描画される画像との関係を示す図であり、スキューが発生した状態を示す図である。図12の例においては、光ビームのスキューにより画像が図中左上がりになっている。図13は、図12のように発生したスキューを補正した状態を示す図である。図13の例においては、上段に示すようにラインメモリ122から読み出す画素データを、6画素毎に副走査方向にシフトしている。これにより、図13下段に示すように、スキューによる全体のずれ量が低減される。尚、図12、図13の例においては、説明の容易化のため、一の画素データに対して一の円で画素を示している。
【0071】
次に、図13に示すようなスキュー補正を行った場合の弊害について、図14(a)、(b)を参照して説明する。図14(a)、(b)は、主走査方向及び副走査方向に1画素間隔のディザリングが施された画像について、シフト補正を行う場合の例を示す図であり、図14(a)が補正前、図14(b)が補正後を示す。図14(b)においては、太字点線で示す位置において画像をシフトさせている。
【0072】
図14(b)に示すように、図13と同様の補正を行った場合、ディザパターンが1画素間隔であるため、図中点線の丸で示すように、画像をシフトした位置において点灯画素(有色画素)及び消灯画素(無地画素)が連結され、その位置において画像の濃度が変化してしまう。その結果、画像をシフトした位置における副走査方向のすじ状のノイズとして現れる。
【0073】
図15(a)、(b)は、図14(b)において説明したノイズを低減するために、副走査方向の解像度を2倍とし、画像をシフトさせる際のシフト量を元の画素の半画素分とした場合の例を示す図である。この場合、図15(a)に示すように、画像の副走査方向の解像度を2倍にする為には、LEDA281の点灯/消灯を制御するクロック周波数を2倍にすると共に、発光制御部121が、ラインメモリ122から画素データを読み出す際に1つの主走査ラインの画素データを2回連続で読み出す。即ち、元の解像度における1つの主走査ラインが、2回に分けて描画される。
【0074】
そして、図15(b)に示すように、画像を副走査方向にシフトさせる際の1回のシフト量を半画素分とし、合計で1画素分のシフト量を得るため、図中点線で示すようにシフト回数を2回にする。これにより、図中点線の丸で示すように、画像をシフトさせた位置において連結される点灯画素及び消灯画素の領域が半分となり、ノイズとして認識されるような視覚的への影響を抑えることができる。
【0075】
次に、本実施形態に係る発光制御部121の動作について説明する。本実施形態に係る発光制御部121も、原則としては図8のフローチャートと同様に処理を行う。但し、図8のS802及びS803において、スキュー補正量に応じた処理を行う。先ず、本実施形態におけるS802の処理の詳細について、図16を参照して説明する。
【0076】
図16に示すように、発光制御部121は、画像データの読み込みに際して、主走査ライン方向に順番に主走査方向のアドレスを選択する(S1601)。主走査方向のアドレスとは、図11等において示した“a”、“b”、“c”・・・である。主走査方向のアドレスを選択すると、発光制御部121は、その主走査方向のアドレスに応じたスキュー補正量をスキュー補正情報記憶部125から取得し、現在のサブラインカウント値からスキュー補正量を引いた値を求める(S1602)。
【0077】
サブラインカウント値からスキュー補正量を引いた値が、負の値でなければ(S1602/YES)、発光制御部121は、ラインメモリ122から順番通りに画素データを読み出す(S1603)。他方、サブラインカウント値からスキュー補正量を引いた値が負の値であった場合(S1602/NO)、1ライン前の主走査ラインの画素データをラインメモリ122から読み出す(S1604)。
【0078】
S1603、S1604の処理が完了すると、発光制御部121は、主走査ラインの全範囲にわたって処理が完了したか確認し(S1605)、完了していなければ(S1605/NO)、S1601からの処理を繰り返し、完了していれば(S1605/YES)、処理を終了する。このように、本実施形態に係る発光制御部121は、スキュー補正量に応じて、読み出す画素データの主走査ラインを切り替える。
【0079】
次に、本実施形態におけるS803の処理の詳細について、図17を参照して説明する。図17に示すように、発光制御部121は、γ変換テーブルからの制御値の取得に際して、現在のサブラインカウント値からスキュー補正量を引いた値を求める(S1701)。そして、サブラインカウント値からスキュー補正量を引いた値が、負の値でなければ(S1701/YES)、発光制御部121は、その値をそのままサブアドレスとする(S1702)。
【0080】
サブラインカウント値からスキュー補正量を引いた値が負の値であった場合(S1701/NO)、発光制御部121は、その値に4を足した値をサブアドレスとする(S1703)。S1702、S1703の処理が完了すると、発光制御部121は、決定したサブアドレス及び図16の処理により読み込んだ画素データに基づき、γ変換テーブルから制御値を取得して(S1704)、処理を終了する。
【0081】
次に、図16、図17の処理を経て描画された画像の例を図18に示す。図18は、実施の形態1の図9(a)に示す画像情報に対して、図11に示すスキュー補正量を適用した結果を示す図である。図18に示すように、図11に示すスキュー補正量に応じて画素が副走査方向にシフトされる。
【0082】
このように、本実施形態においては、スキュー補正を行う場合であっても、実施の形態1と同様の機能を実現することが可能であり、実施の形態1と同様に、簡易な構成により二値ヘッドを用いた光書き込み装置において階調表現を実現することが可能である。
【0083】
全実施形態及び本実施形態においては、二値ヘッドで階調表現を可能にするため、副走査方向の解像度を4倍にしているが、図14及び図15において説明したように、副走査方向の画像シフトによるスキュー補正を行う際、画像の副走査方向の解像度を整数倍にすることにより、スキュー補正による画質の低下を低減することができる。従って、本実施形態においては、副走査方向の解像度を複数倍にするという処理が、階調表現の実現及びスキュー補正による画質劣化の低減と言う2つの目的に寄与するため、効率的な処理が可能となる。
【0084】
尚、上記実施形態においては、図7に示すようなγ変換テーブルに基づき、各画素の階調データに応じた各サブアドレスの点灯/消灯のパターンは一定である場合を例として説明した。しかしながら、図14、図15において説明したような、画像濃度の変化による画質の劣化を低減するために、各画素の階調データに応じた各サブアドレスの点灯/消灯のパターンを可変としても良い。
【0085】
このような態様は、例えば、γ変換情報記憶部124が、隣接する画素の階調値の組み合わせ毎に、画素がシフトされた場合の濃度変化が少ないように、各サブアドレスの点灯/消灯のパターンが設定されたγ変換テーブルを記憶しておく。そして、発光制御部121が、隣接する画素の階調値の組み合わせに応じて、参照するγ変換テーブルを切り替えることにより、実現可能である。
【0086】
尚、このように各サブアドレスの点灯/消灯のパターンを可変とする態様は、実施の形態1のようなスキュー補正を行わない場合にも適用する価値がある。例えば、図9(b)のような画像が形成された場合、画素毎の有色/無色のパターンが一定であるため、図9(a)のようなグラデーションに加えてモアレが発生する可能性がある。これに対して、各サブアドレスの点灯/消灯のパターンを可変とし、一定のパターンが生じないようにすることにより、モアレを防ぐことができる。
【0087】
実施の形態1、2においては、図8のS802において画素データを読み出す際、ラインメモリ122に入力された順番に読み出すことを基本とし、サブラインカウント値からスキュー補正量を引いた値がマイナスならば、1つ前の主走査ラインの画素データを読み出す場合を例として説明した。この他、主走査ライン毎のメインのアドレスに加えて、サブライン毎にカウントされる連続アドレスを設定し、その連続アドレスを副走査方向の解像度の倍数(本実施形態では4)で割った商の整数部分に基づいてメインのアドレスを判断することもできる。そのような例について、図19に示す。
【0088】
図19は、夫々の主走査ラインがサブラインに分割されて描画される態様において、夫々のサブライン毎にカウントされる連続アドレスと、元の主走査ラインを示すメインアドレスとお対応関係を示す図である。図19に示すように、連続アドレスは、一サブライン毎に1ずつ増える。ここで、夫々の連続アドレスを、副走査方向の解像度の倍数である“4”で割り、その商の整数部分を取ると、夫々のメインアドレスになっていることがわかる。
【0089】
即ち、発光制御部121は、図8の動作において、各サブラインの描画毎に連続アドレスをカウントしておき、画素データ読み出しの際には、連続アドレスのカウント値を、副走査方向の解像度の倍数で割った商の整数部分に対応したメインアドレスから画素データを読み出す。また、実施の形態2のように、スキュー補正量を考慮する場合には、連続アドレスのカウント値からスキュー補正量を引いた値を、副走査方向の解像度で割り、同様の処理を行う。このような態様によっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0090】
尚、このような場合、副走査方向の解像度の倍数Nを2のn乗(但し、nは正の整数)とすることが好ましい。これにより、Nで割った商の整数部分を取るという処理は、元の数値を2進数で示した場合の、下位のN/2ビットを切り捨てる処理と同一になり、処理を簡略化することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 画像形成装置
10 CPU
11 RAM
12 ROM
13 エンジン
14 HDD
15 I/F
16 LCD
17 操作部
18 バス
20 コントローラ
21 ADF
22 スキャナユニット
23 排紙トレイ
24 ディスプレイパネル
25 給紙テーブル
26 プリントエンジン
27 排紙トレイ
28 ネットワークI/F
30 主制御部
31 エンジン制御部
32 入出力制御部
33 画像処理部
34 操作表示制御部
101 給紙トレイ
102 給紙ローラ
103 分離ローラ
104 用紙
105 搬送ベルト
106BK、106C、106M、106Y 画像形成部
107 駆動ローラ
108 従動ローラ
109BK、109C、109M、109Y 感光体ドラム
110BK 帯電器
111光書き込み装置
112BK、112C、112M、112Y 現像器
113BK、113C、113M、113Y 除電器
115BK、115C、115M、115Y 転写器
116 定着器
117 パターン検知センサ
120 光書き込み装置制御部
121 発光制御部
122、122a、122b ラインメモリ
123 画像情報取得部
124 γ変換情報記憶部
125 スキュー補正情報取得部
281、281BK、281Y、281M、281C LEDA
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】
【特許文献1】特開2007−245537号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点灯及び消灯の2つの状態を制御可能な二値光源によって感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置であって、
前記静電潜像として形成すべき画像を構成する各画素の情報であって、一画素が多段階の階調によって表現された多値画素情報を取得する画素情報取得部と、
前記取得された多値画素情報を主走査ライン毎に記憶するライン画素情報記憶部と、
前記記憶された多値画素情報に基づいて前記二値光源を制御して前記感光体を露光させる発光制御部とを含み、
前記発光制御部は、前記記憶された多値画素情報の副走査方向の解像度の正の整数倍であるN倍の解像度に対応した周期で前記二値光源に前記感光体を露光させることにより、N回の露光で元の解像度における一画素分の露光を行い、各画素におけるN回の前記二値光源の制御において、前記多段階の階調を前記N回における点灯比率に変換する点灯比率変換情報に基づき、前記二値光源の点灯及び消灯を制御することを特徴とする光書き込み装置。
【請求項2】
前記点灯比率変換情報は、前記N回の露光における順番と前記多段階の階調との組み合わせ毎に、前記二値光源の点灯及び消灯を制御するための制御値が記憶された情報であり、
前記発光制御部は、前記N回の露光における順番と前記記憶された多値画素情報のうち描画対象の画素の階調とに基づいて、前記点灯比率変換情報から前記二値光源の点灯及び消灯を制御する制御値を取得することを特徴とする請求項1に記載の光書き込み装置。
【請求項3】
前記発光制御部は、前記二値光源の点灯及び消灯を制御する制御値を取得する際、主走査方向の位置に応じて前記画素を副走査方向にシフトさせる量を示す画素シフト情報に基づき、前記N回の露光における順番及び前記描画対象の画素を変えることを特徴とする請求項2に記載の光書き込み装置。
【請求項4】
前記発光制御部は、前記多値画素情報において隣接する画素の階調値の組み合わせ毎に夫々異なる前記点灯比率情報から前記二値光源の点灯及び消灯を制御する制御値を取得することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の光書き込み装置。
【請求項5】
前記画素情報記憶部は、前記多値画素情報を、主走査ライン毎に取得された順に数値を付して記憶し、
前記発光制御部は、前記記憶された多値画素情報の副走査方向の解像度のN倍の解像度に対応した周期による前記感光体の露光回数をカウントしており、そのカウント値を前記Nで割った商の整数部分の数値に応じて、前記画素情報記憶部に記憶されている前記多値画素情報を読み出すことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の光書き込み装置。
【請求項6】
前記Nが2の正の整数乗の値であることを特徴とする請求項5に記載の光書き込み装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか1項に記載の光書き込み装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
点灯及び消灯の2つの状態を制御可能な二値光源によって感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置の制御方法であって、
前記静電潜像として形成すべき画像を構成する各画素の情報であって、一画素が多段階の階調によって表現された多値画素情報を取得して主走査ライン毎に記憶媒体に記憶し、
前記記憶された多値画素情報の副走査方向の解像度の正の整数倍であるN倍の解像度に対応した周期で前記二値光源に前記感光体を露光させることにより、N回の露光で元の解像度における一画素分の露光を行い、
前記各画素におけるN回の前記二値光源の制御において、前記多段階の階調を前記N回における点灯比率に変換する点灯比率変換情報に基づき、前記二値光源の点灯及び消灯を制御するための制御値を取得することを特徴とする光書き込み装置の制御方法。
【請求項9】
点灯及び消灯の2つの状態を制御可能な二値光源によって感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置の制御プログラムであって、
前記静電潜像として形成すべき画像を構成する各画素の情報であって、一画素が多段階の階調によって表現された多値画素情報を取得して主走査ライン毎に記憶媒体に記憶するステップと、
前記記憶された多値画素情報の副走査方向の解像度の正の整数倍であるN倍の解像度に対応した周期で前記二値光源に前記感光体を露光させることにより、N回の露光で元の解像度における一画素分の露光を行うステップと、
前記各画素におけるN回の前記二値光源の制御において、前記多段階の階調を前記N回における点灯比率に変換する点灯比率変換情報に基づき、前記二値光源の点灯及び消灯を制御するための制御値を取得するステップとを情報処理装置に実行させることを特徴とする光書き込み装置の制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の制御プログラムを情報処理装置に読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図9】
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【図14】
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【図15】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−56111(P2012−56111A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199009(P2010−199009)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】