説明

光束制御部材、及び照明装置

【課題】色むらに起因する照明品質の低下を招くことなく、配光特性を白熱電球に近づけることができる光束制御部材及びこの光束制御部材を使用した照明装置を提供する。
【解決手段】発光素子2を実装した基板4上に一端が固定される筒状の側壁部6と、側壁部6の他端側を塞ぐ蓋部8とを有している。蓋部8の内面10は、外周部よりも中心軸L1上の中心部の方が発光素子2寄りに位置する凹面であり、透過反射膜13で覆われている。透過反射膜13は、発光素子2からの光の一部を側壁部6に向けて反射し、発光素子2からの光の残部を透過する。蓋部8の外面14は、透過反射膜13を透過して入射した光を蓋部8の外方へ出射する。側壁部6は、透過反射膜13で反射されて内周面17に到達した光及び発光素子2から内周面17に直接到達した光を外周面18から外方へ出射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子(例えば、LED)からの光を出射制御する光束制御部材、及び
この光束制御部材を使用した照明装置であって、白熱電球に代えて使用することができる
照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーや環境保全の観点から、LEDを光源とする照明装置(例えば、L
ED電球)が、白熱電球に代わるものとして使用されている。
【0003】
しかしながら、従来のLEDを光源とする照明装置は、前方方向のみに光が出射するよ
うになっており、白熱電球のように全方位に光が出射するようになっていなかった。その
結果、従来のLEDを光源とする照明装置は、室内照明に使用した場合、白熱電球のよう
な天井や壁面からの反射光を得ることができず、白熱電球のように室内を広範囲に照明す
ることができなかった。
【0004】
このような従来のLEDを光源とする照明装置の配光特性を白熱電球の配光特性に近づ
けるため、LEDからの出射光の進行方向を光束制御部材で制御することが考えられる。
【0005】
図29は、LED100からの出射光の進行方向を光方向変換素子(光束制御部材)1
01で制御する技術を開示するものである。この図に示す光方向変換素子101は、LE
D100からの光をB面(回転放物面)102及びE面(面取り状の傾斜面)103で反
射し、これらB面102及びE面103で反射された光をD面104(LED100が実
装された基板表面)で更に反射し、このD面104で反射された光をB面102から出射
するようになっている。また、この光方向変換素子101は、B面102で反射されてC
面105に到達した光を外部の斜め後方(下方)へ向けて出射するようになっている。
【0006】
このような光方向変換素子101でLED100の光の進行方向を制御することにより
、上方向(前方方向)及び水平方向(前方方向に直交する方向)への出射光を得ることが
できるため、従来のLEDを光源とする照明装置に光方向変換素子101を適用すれば、
その配光特性を白熱電球の配光特性に近づけることが可能と思料される(特許文献1参照
)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−216540号公報(特に、図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図29に示した光方向変換素子101は、LED100からの光のうち
で、B面102に対して全反射条件を満たす光がB面102で反射され、B面102に対
して全反射条件を満たさない光がB面102を透過する。したがって、図29に示した光
方向変換素子101を使用した場合、B面102に対して全反射条件を満たさない光は、
B面102を透過する際に色分離が生じ、色むらを生じることになり、照明品質の低下を
招くことになる。特に、図29に示した光方向変換素子101は、LED100の発光面
積が点光源とみなせない程度に大きい場合、B面102に対して全反射条件を満たさない
光の比率が多くなり、出射光の色むらがより一層生じやすくなる。
【0009】
そこで、本発明は、色むらに起因する照明品質の低下を招くことなく、配光特性を白熱
電球に近づけることができる光束制御部材及びこの光束制御部材を使用した照明装置を提
供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、図1〜図3,図9,図11,図13,図15,図17〜図18,図
19,図21,図23,図25,図26,及び図28に示すように、基板4,32上に実
装された1又は複数の発光素子2の光束の中心Lと同心に中心軸L1が位置するように配
置され、且つ、前記発光素子2と空気層を介して配置される光束制御部材3に関するもの
である。そして、前記発光素子2の出射光のうち一部の出射光と交わる面に、透過反射膜
13が形成されている。前記透過反射膜13は、前記一部の出射光のうち更に一部を反射
し、前記一部の出射光の残部を透過するようになっている。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る光束制御部材3において、前記透過反射膜1
3が、前記発光素子2と対向する内面10に形成され、前記内面10とは裏表の関係にあ
る外面14は、前記透過反射膜13を透過して内部入射した光を外方へ出射するようにな
っている。
【0012】
請求項3の発明は、図1〜図3,図9,図11,図13,図15,図17〜図18,図
19及び図21に示すように、基板4上に実装された発光素子2の光軸Lと同心に中心軸
L1が位置するように、前記発光素子2と空気層を介して配置され、前記光軸Lと交わる
ように形成される蓋部8と、前記蓋部8の外縁から前記基板4側へ延びる側壁部6と、を
有する光束制御部材3に関するものである。この発明において、前記蓋部8の内面10は
、外周部12よりも前記中心軸L1上の中心部11の方が前記発光素子2寄りに位置する
凹面であり、透過反射膜13で覆われている。前記透過反射膜13は、前記発光素子2か
らの光の一部を前記側壁部6に向けて反射し、前記発光素子2からの光の残部を透過する
ようになっている。前記蓋部8の外面14は、前記透過反射膜13を透過して入射した光
を蓋部8の外方へ出射する。前記側壁部6は、前記透過反射膜13で反射されて内周面1
7に到達した光及び前記発光素子2から前記内周面17に直接到達した光を外周面18か
ら外方へ出射するようになっている。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3の発明に係る光束制御部材3において、前記蓋部8の内面
10が非球面形状であることを特徴としている。
【0014】
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明に係る光束制御部材3において、前記側壁部
6の外周面18を光拡散面にしたことを特徴としている。
【0015】
請求項6の発明は、請求項3乃至5のいずれかの発明に係る光束制御部材3において、
前記蓋部8の外面14を光拡散面にしたことを特徴としている。
【0016】
請求項7の発明は、請求項3乃至6のいずれかの発明に係る光束制御部材3において、
前記蓋部と前記側壁部とが光散乱能を有する材料によって形成されたことを特徴としてい
る。
【0017】
請求項8の発明は、発光素子2が実装された基板4,32と、この基板4,32上に固
定されて前記発光素子2からの光を出射する請求項1乃至7のいずれかの発明に係る光束
制御部材3と、を備えた照明装置1に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の光束制御部材は、発光素子からの光の一部を透過反射膜で反射するようになっ
ており、発光素子からの光を全反射によって反射するものではないため、出射光に色むら
が生じるのを防止でき、蓋部及び側壁部から広範囲に光を出射することができる。
【0019】
また、本発明の光束制御部材を有する照明装置は、照明光の配光特性を白熱電球の配光
特性に近づけることができると共に、色むらがない高品質の照明光を出射することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る照明装置を示すものである。図1(a)が照明装置の平面図であり、図1(b)が照明装置の正面図であり、図1(c)が図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示す照明装置の断面図であり、図1(d)が照明装置の裏面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光束制御部材を示すものである。図2(a)が光束制御部材5の平面図であり、図2(b)が光束制御部材の正面図であり、図2(c)が図2(a)のA2−A2線に沿って切断して示す光束制御部材5の断面図であり、図2(d)が光束制御部材5の裏面図である。
【図3】図3(a)は光束制御部材の透過反射膜の光反射機能を説明するための模式図であり、図3(b)は光束制御部材の透過反射膜の光透過機能を説明するための模式図である。
【図4】光束制御部材の透過反射膜の反射率が55%の場合における照明装置の配光特性を示す図である。
【図5】光束制御部材の透過反射膜の反射率が65%の場合における照明装置の配光特性を示す図である。
【図6】光束制御部材の透過反射膜の反射率が75%の場合における照明装置の配光特性を示す図である。
【図7】光束制御部材の透過反射膜の反射率が85%の場合における照明装置の配光特性を示す図である。
【図8】照明装置から出射される光の照度測定方法を説明するための図である。
【図9】本発明に係る光束制御部材及び照明装置の第2実施形態を示す図であり、図1(c)に対応する断面図である。
【図10】図9に示した照明装置の配光特性を示す図である。
【図11】本発明に係る光束制御部材及び照明装置の第3実施形態を示す図であり、図1(c)に対応する断面図である。
【図12】図11に示した照明装置の配光特性を示す図である。
【図13】本発明に係る光束制御部材及び照明装置の第4実施形態を示す図であり、図1(c)に対応する断面図である。
【図14】図13に示した照明装置の配光特性を示す図である。
【図15】本発明に係る光束制御部材及び照明装置の第5実施形態を示す図であり、図1(c)に対応する断面図である。
【図16】図15に示した照明装置の配光特性を示す図である。
【図17】本発明に係る光束制御部材及び照明装置の第6実施形態を示す図であり、図1(c)に対応する断面図である。
【図18】本発明に係る光束制御部材及び照明装置の第7実施形態を示す図であり、図1(c)に対応する断面図である。
【図19】本発明に係る光束制御部材及び照明装置の第8実施形態を示す図であり、図1(c)に対応する断面図である。
【図20】図19に示した照明装置の配光特性を示す図である。
【図21】本発明に係る光束制御部材及び照明装置の第9実施形態を示す図であり、図1(c)に対応する断面図である。
【図22】図21に示した照明装置の配光特性を示す図である。
【図23】図23(a)が本発明に係る光束制御部材及び照明装置の第10実施形態を示す図であり、図23(b)が本実施形態に係る照明装置を構成する基板の平面図である。
【図24】図23に示した照明装置の配光特性を示す図である。
【図25】図25(a)が本発明に係る光束制御部材及び照明装置の第11実施形態を示す図であり、図25(b)が本実施形態に係る照明装置を構成する基板の平面図であり、図23(b)に示す基板4の平面図と同様の図である。
【図26】本発明の第11実施形態に係る光束制御部材を示すものである。図26(a)が光束制御部材の正面図、図26(b)が光束制御部材の平面図、図26(c)が光束制御部材の裏面図、図26(d)が図26(b)のA4−A4線に沿って切断して示す光束制御部材の断面図である。
【図27】図25に示した照明装置の配光特性を示す図である。
【図28】本発明に係る光束制御部材及び照明装置の第12実施形態を示す図である。
【図29】図29(a)が従来の光束制御部材(光方向変換素子)を示す平面図であり、図29(b)が図29(a)のA3−A3線に沿って切断して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0022】
(照明装置の第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る照明装置1を示すものである。なお、図1(a)が照明装置
1の平面図であり、図1(b)が照明装置1の正面図であり、図1(c)が図1(a)の
A1−A1線に沿って切断して示す照明装置1の断面図であり、図1(d)が照明装置1
の裏面図である。
【0023】
この図1に示すように、照明装置1は、白熱電球に代えて使用されるものであり、発光
素子2(例えば、LED及び封止部材によって封止されたLED)からの光を光束制御部
材3を介して出射するようになっており、発光素子2と光束制御部材3とが一対一で対応
している。そして、この照明装置1は、発光素子2が実装された基板4上に光束制御部材
3の一端(開口端)5が接着剤で固定され、光束制御部材3の中心軸L1が発光素子2の
光軸Lと同心上に位置するようになっている。ここで、発光素子2の光軸Lとは、発光素
子2からの立体的な出射光束の中心における光の進行方向をいう。
【0024】
(光束制御部材の第1実施形態)
図2は、光束制御部材3の第1実施形態を示すものである。なお、図2(a)が光束制
御部材3の平面図であり、図2(b)が光束制御部材3の正面図であり、図2(c)が図
2(a)のA2−A2線に沿って切断して示す光束制御部材3の断面図であり、図2(d
)が光束制御部材3の裏面図である。
【0025】
光束制御部材3は、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボ
ネート)、EP(エポキシ樹脂)等の透明樹脂材料や透明なガラスで形成されている。
【0026】
この光束制御部材3は、平面形状が円形形状となるように形成されており、その中心軸
L1が平面形状の図心に合致している。そして、この光束制御部材3は、基板4上に一端
5が固定される円筒状の側壁部(支持部)6と、この側壁部6の他端7を塞ぐように位置
する蓋部(光束制御部材本体部)8と、を有している。
【0027】
蓋部8の内面10は、中心軸L1上に位置する中心部11が外周部12よりも側壁部6
の一端5側に位置する凹面(非球面)であり、光束制御部材3が基板4上に固定されると
、中心部11が外周部12よりも発光素子2に近い位置に配置されるような形状になって
いる(図1(c)参照)。この蓋部8の内面10の形状は、図2(c)に示すように、蓋
部8の中心部11から外周部12(半径方向外方)に向かうにしたがって傾斜が緩やかに
なる曲面形状であり、中心部11と外周部12の間であって且つ外周部12に近い位置に
傾斜角度が零となる点が生じる非球面形状である。そして、この蓋部8の内面10は、そ
の表面上にTiO2及びSiO2の層を重ねて蒸着してなる透過反射膜13が形成され、そ
の表面上の全域が透過反射膜13で覆われている。この蓋部8の内面10を覆う透過反射
膜13は、発光素子2からの光の一部を側壁部6側へ向けて反射し、発光素子2からの光
の残部を蓋部8の内部に入射させるようになっている(図3参照)。なお、透過反射膜1
3は、光反射率に応じた膜厚に形成されるものであり、光反射率が高い程、膜厚が厚くな
る。
【0028】
蓋部8の外面14は、内面10と裏表の関係であって、蓋部8の中心軸L1に沿った肉
厚が中心部11から外周部12まで同一寸法となるように形成されており、透過反射膜1
3を透過して蓋部8の内部に入射した光を外部に広く出射するようになっている(図3(
b)参照)。
【0029】
側壁部6は、中心軸L1に沿って且つ中心軸L1を取り囲むように位置しており、一端
5から他端7側まで同一内径寸法で且つ同一肉厚となるように形成されている。そして、
この側壁部6は、発光素子2から出射された光のうちで蓋部8の透過反射膜13によって
反射された後に到達する光及び発光素子2から出射された光のうちで直接到達した光を外
部に広く出射するようになっている(図3(a)参照)。
【0030】
図4乃至図7は、透過反射膜13の光反射率に応じた照明装置1の配光特性を示すもの
である。このうち、図4は、透過反射膜13の光反射率が55%の光束制御部材3を使用
した照明装置1の配光特性を示すものである。また、図5は、透過反射膜13の光反射率
が65%の光束制御部材3を使用した照明装置1の配光特性を示すものである。また、図
6は、透過反射膜13の光反射率が75%の光束制御部材3を使用した照明装置1の配光
特性を示すものである。また、図7は、透過反射膜13の光反射率が85%の光束制御部
材3を使用した照明装置1の配光特性を示すものである。なお、これら図4乃至図7の配
光特性は、図8に示すように、発光素子2の発光中心15から光軸Lに沿って所定距離離
れた位置(基準位置0°)に照度計16を配置し、その照度計16を発光素子2の発光中
心15を回転中心として、右回り方向(+θ方向)に5°間隔で180°回転させて照度
を測定し、左回り方向(−θ方向)に5°間隔で180°回転させて照度を測定し、測定
した照度のうちの最高照度を1とした場合の相対照度(無次元値)を曲線で滑らかに結ん
で示している。
【0031】
図4乃至図7に示すように、光束制御部材3の蓋部8の内面10に形成した透過反射膜
13の反射率が大きくなるにしたがって水平方向(±90°方向)及び後方方向(+90
°<θ<+180°,−90°<θ<−180°)の照度が増加する。また、図4乃至図
6に示す配光特性は、前方方向(θ=0°)の照度が最も大きくなっている。これに対し
、図7に示す配光特性は、前方方向(θ=0°)の照度よりも水平方向(±90°方向)
の照度の方が大きくなっており、図4乃至図6の配光特性で示される照度バランスと異な
る。
【0032】
このように、光束制御部材3の蓋部8の内面10に形成した透過反射膜13の反射率に
応じて照明装置1の配光特性が異なるので、照明装置1の使用形態に応じた透過反射膜1
3の反射率が選択され、そのような反射率となるように透過反射膜13が光束制御部材3
の蓋部8の内面10に蒸着される。
【0033】
ここで、本実施形態に係る光束制御部材3を有する照明装置1は、光束制御部材3の透
過反射膜13の反射率が75%の場合、その配光特性(図6に示す配光特性)が白熱電球
の配光特性に最も近くなる。したがって、本実施形態に係る光束制御部材3を有する照明
装置1は、白熱電球に代えて室内照明に使用する場合、光束制御部材3の透過反射膜13
の反射率を75%とするのが好ましい。
【0034】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態に係る光束制御部材3は、蓋部8の内面10に形成した透過
反射膜13によって発光素子2からの光の一部を反射すると共に、蓋部8の内面10に形
成した透過反射膜13によって発光素子2からの光の残部(透過反射膜13で反射されな
かった光)を蓋部8の外面14から出射させるようになっており、発光素子2からの光を
蓋部8における全反射によって反射するようになっていないため、蓋部8から出射する光
が色分離を生じることがなく、色むらに起因する照明品質の低下を招くことがない。
【0035】
また、本実施形態に係る光束制御部材3を有する照明装置1は、蓋部8の内面10に形
成した透過反射膜13によって反射されて側壁部6の内周面17に到達した発光素子2か
らの光及び発光素子2から側壁部6の内周面17に直接到達した光を側壁部6の外周面1
8から出射すると共に、蓋部8の内面10に形成した透過反射膜13を透過して蓋部8内
に入射した発光素子2からの光を蓋部8の外面14から出射することにより、前方方向の
みならず、水平方向及び後方方向にも十分に配光することができ、配光特性を白熱電球に
近づけることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る光束制御部材3を有する照明装置1は、色むらに起因する照明
品質の低下を生じることがなく、白熱電球に代えて室内照明等に使用することができ、白
熱電球よりも消費電力を少なくすることができると共に、白熱電球よりも長期間使用する
ことが可能となる。
【0037】
なお、光束制御部材3の側壁部6の外周面18を光拡散面(粗面等の光拡散化処理を施
した面)とし、側壁部6から出射する光を広く拡散させるようにしてもよい。
【0038】
また、光束制御部材3の蓋部8の外面14を光拡散面とし、蓋部8から出射する光を広
く拡散させるようにしてもよい。
【0039】
また、光束制御部材3の側壁部6の外周面18及び蓋部8の外面14を光拡散面とし、
側壁部6及び蓋部8から出射する光を広く拡散させるようにしてもよい。
【0040】
また、光束制御部材3を光拡散能を有する材料によって形成し、光束制御部材3の内部
で光を散乱させ、側壁部6及び蓋部8から出射する光を広く拡散させるようにしてもよい

【0041】
また、光束制御部材3の透過反射膜13は、予めフィルム状に作成したものを蓋部8の
内面10に貼着するようにしてもよい。
【0042】
本実施形態に係る光束制御部材3は、透過反射膜13としてTiO2及びSiO2の多層
膜を示したが、これに代えて、ZnO2及びSiO2の多層膜やTa25及びSiO2の多
層膜等の誘電体多層膜によって透過反射膜13を形成してもよい。
【0043】
また、誘電体多層膜に代えて、必要な透過光量が得られるアルミニウム(Al)等の金
属薄膜によって透過反射膜13を形成してもよい。
【0044】
また、本実施形態では、膜厚によって透過反射膜13の光反射率を調整する方法を示し
たが、本発明はこれに限らず、反射領域をドットや網目状のパターンとなるように形成し
、透過領域と反射領域の面積比を調整することによって所望の光反射率を得るようにして
もよい。更に、この反射領域の光反射率を膜厚によって調整してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、光束制御部材3を基板4上に接着する固定方法を示したが、本
発明にこれに限らず、光束制御部材3と基板4とをケース等の他の部材を介して固定して
もよい。また、光束制御部材3と基板4等との固定は、接着剤による固定に限らず、溶着
やねじ止め機構等の固定方法を採用してもよい。
【0046】
また、光束制御部材3の蓋部8の内面10を非球面形状にする態様を例示したが、内面
10の一部を傾斜面又は平面としてもよい。
【0047】
(光束制御部材及び照明装置の第2実施形態)
図9は、本発明に係る光束制御部材3及び照明装置1の第2実施形態を示すものである
。なお、本実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置1は、第1実施形態に係る光束制
御部材3及び照明装置1と共通する構成部分については同一符号を付し、第1実施形態に
係る光束制御部材3及び照明装置1の説明と重複することとなる説明を省略する。
【0048】
図9に示す光束制御部材3は、第1実施形態に係る光束制御部材3の側壁部6と蓋部8
を別々に形成した後、蓋部8を側壁部6の上端部に形成した環状凹所20内に嵌合・固定
(接着、溶着等)して、側壁部6と蓋部8とを一体化したものである。
【0049】
このような構成の光束制御部材3は、蓋部8のみを蒸着処理室に入れて透過反射膜13
を内面10上に蒸着することができるため、第1実施形態に係る光束制御部材3の生産効
率よりも生産効率を向上させることができる。なお、第1実施形態に係る光束制御部材3
は、側壁部6の内周面17に透過反射膜13が蒸着されないような前処理(マスキング)
を施さなくてはならず、本実施形態に係る光束制御部材3よりも生産効率が低下する。
【0050】
本実施形態に係る照明装置1は、図10に示すように、第1実施形態に係る照明装置1
の配光特性(図6参照)と同様の配光特性の照明光を出射することができ、第1実施形態
に係る照明装置1と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態に係る光束制御部
材3は、透過反射膜13の反射率が75%になるように、透過反射膜13が蓋部8の内面
10に形成されている。
【0051】
(光束制御部材及び照明装置の第3実施形態)
図11は、本発明に係る光束制御部材3及び照明装置1の第3実施形態を示すものであ
る。なお、本実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置1は、第1実施形態に係る光束
制御部材3及び照明装置1と共通する構成部分については同一符号を付し、第1実施形態
に係る光束制御部材3及び照明装置1の説明と重複することとなる説明を省略する。
【0052】
図11に示す光束制御部材3は、第1実施形態に係る光束制御部材3の蓋部8の外面1
4を光軸Lに直交する平面にしたものである。
【0053】
このような光束制御部材3を使用した照明装置1は、図12に示すように、第1実施形
態に係る照明装置1の配光特性(図6参照)と比較し、斜め上方の照度が高くなる配光特
性になっている点を除き、第1実施形態の照明装置1とほぼ同様の配光特性になっており
、第1実施形態に係る照明装置1と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態に
係る光束制御部材3は、透過反射膜13の反射率が75%になるように、透過反射膜13
が蓋部8の内面10に形成されている。
【0054】
(光束制御部材及び照明装置の第4実施形態)
図13は、本発明に係る光束制御部材3及び照明装置1の第4実施形態を示すものであ
る。なお、本実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置1は、第1実施形態に係る光束
制御部材3及び照明装置1と共通する構成部分については同一符号を付し、第1実施形態
に係る光束制御部材3及び照明装置1の説明と重複することとなる説明を省略する。
【0055】
図13に示す光束制御部材3は、第1実施形態に係る光束制御部材3の側壁部6を変形
させたものである。すなわち、本実施形態に係る光束制御部材3は、側壁部6の下端5の
内径が側壁部6と蓋部8との接続部分(蓋部8の外周部12)における内径よりも小さく
なるような、逆テーパ形状の側壁部6となっている。
【0056】
このような光束制御部材3を使用した照明装置1は、図14に示すように、第1実施形
態に係る照明装置1の配光特性(図6参照)と比較し、斜め上方の照度を抑える配光特性
になっている点を除き、第1実施形態の照明装置1とほぼ同様の配光特性になっており、
第1実施形態に係る照明装置1と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態に係
る光束制御部材3は、透過反射膜13の反射率が75%になるように、透過反射膜13が
蓋部8の内面10に形成されている。また、本実施形態に係る光束制御部材3は、第2実
施形態に係る光束制御部材3と同様に、側壁部6と蓋部8を別々に形成した後、側壁部6
と蓋部8を固定して一体化してもよい。
【0057】
(光束制御部材及び照明装置の第5実施形態)
図15は、本発明に係る光束制御部材3及び照明装置1の第5実施形態を示すものであ
る。なお、本実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置1は、第1実施形態に係る光束
制御部材3及び照明装置1と共通する構成部分については同一符号を付し、第1実施形態
に係る光束制御部材3及び照明装置1の説明と重複することとなる説明を省略する。
【0058】
図15に示す光束制御部材3は、側壁部6の外周面18及び蓋部8の外面14が連続し
た半球面を構成するように形成され、側壁部6の内周面17が側壁部6の外周面18と同
心の半球面の一部をなすように形成されている。
【0059】
このような光束制御部材3を使用した照明装置1は、図16に示すように、第1実施形
態に係る照明装置1の配光特性(図6参照)に比較し、前方方向の照度を抑えるようにな
っている点を除き、第1実施形態の照明装置1とほぼ同様の配光特性になっており(図7
の配光特性と同様の配光特性になっており)、第1実施形態に係る照明装置1と同様の効
果を得ることができる。なお、本実施形態に係る光束制御部材3は、透過反射膜13の反
射率が75%になるように、透過反射膜13が蓋部8の内面10に形成されている。
【0060】
(光束制御部材及び照明装置の第6実施形態)
図17は、本発明に係る光束制御部材3及び照明装置1の第6実施形態を示すものであ
る。なお、本実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置1は、第5実施形態に係る光束
制御部材3及び照明装置1の変形例であり、第5実施形態に係る光束制御部材3及び照明
装置1と共通する構成部分については同一符号を付し、第5実施形態に係る光束制御部材
3及び照明装置1の説明と重複することとなる説明を省略する。
【0061】
図17に示す光束制御部材3は、図15に示した光束制御部材3の蓋部8を光軸Lに直
交する仮想平面で切断して取り除き、蓋部8の外面14を光軸Lに直交する平面にしたも
のであり、図15に示した光束制御部材3よりも高さ寸法(光軸Lに沿った寸法)を小さ
くすることができる。また、このような本実施形態に係る光束制御部材3を使用した照明
装置1は、第5実施形態に係る照明装置1と同様の効果を得ることができる。
【0062】
(光束制御部材及び照明装置の第7実施形態)
図18は、本発明に係る光束制御部材3及び照明装置1の第7実施形態を示すものであ
る。なお、本実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置1は、第1実施形態に係る光束
制御部材3及び照明装置1の変形例であり、第1実施形態に係る光束制御部材3及び照明
装置1と共通する構成部分については同一符号を付し、第1実施形態に係る光束制御部材
3及び照明装置1の説明と重複することとなる説明を省略する。
【0063】
図18に示す光束制御部材3は、第1実施形態に係る光束制御部材3の側壁部6を変形
させたものである。すなわち、本実施形態に係る光束制御部材3は、側壁部6の下端5の
内径が側壁部6と蓋部8の接続部分(蓋部8の外周部12)における内径よりも大きくな
るような、テーパ形状の側壁部6となっている。このような形状の光束制御部材3は、射
出成形時における金型からの離型が容易になる。また、このような光束制御部材3を使用
した照明装置1は、第1実施形態の照明装置1と同様の効果を得ることができる。
【0064】
(光束制御部材及び照明装置の第8実施形態)
図19は、本発明に係る光束制御部材3及び照明装置1の第8実施形態を示すものであ
る。なお、本実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置1は、第1実施形態に係る光束
制御部材3及び照明装置1の変形例であり、第1実施形態に係る光束制御部材3及び照明
装置1と共通する構成部分については同一符号を付し、第1実施形態に係る光束制御部材
3及び照明装置1の説明と重複することとなる説明を省略する。
【0065】
図19に示す光束制御部材3は、側壁部6と蓋部8を別々に形成した後、蓋部8の外周
端側を側壁部6の上端部に形成した環状凹所20内に嵌合・固定(接着、溶着等)して、
側壁部6と蓋部8とを一体化したものである。側壁部6は、下端5側の内径が上端側(蓋
部8との接続部分であって、蓋部8の外周部12)における内径よりも小さくなるように
、球を輪切りにしたような外径形状の筒状体となっている。
【0066】
また、光束制御部材3は、外形形状が半球状(中空の球を半分にしたような形状)のカ
バー21の開口端22を側壁部6の他端(上端)7に固定(接着、溶着等)して、蓋部8
の外面14を空気層を介してカバー21で覆うようになっている。そして、光束制御部材
3は、全体の外形形状が球の一部を切り欠いたような形状になっている。カバー21は、
側壁部6及び蓋部8と同様の光を透過する材料で形成されている。そして、カバー21の
開口端22の内周面23は、蓋部8の外周面24に嵌合している。なお、カバー21は、
光拡散性を高めるために、光散乱子を混入した材料で形成してもよい。また、カバー21
は、外表面又は内表面の少なくとも一方を粗面にして、光拡散性能を高めるようにしても
よい。また、カバー21は、光拡散機能を付与しなくてもよい。
【0067】
本実施形態に係る照明装置1は、図20に示すように、第1実施形態に係る照明装置1
の配光特性(図6参照)と比較し、前方方向の照度を抑え、横方向の照度を高めるように
なっている点を除き、第1実施形態の照明装置1とほぼ同様の配光特性になっており、第
1実施形態の照明装置1と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態に係る光束
制御部材3は、透過反射膜13の反射率が75%になるように、透過反射膜13が蓋部8
の内面10に形成されている。また、側壁部6とカバー21は、互いに固定される部分及
びその近傍を除き、同一の肉厚となるように形成されている。
【0068】
(光束制御部材及び照明装置の第9実施形態)
図21は、本発明に係る光束制御部材3及び照明装置1の第9実施形態を示すものであ
る。なお、本実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置1は、第8実施形態に係る光束
制御部材3及び照明装置1の第1の変形例であり、第8実施形態に係る光束制御部材3及
び照明装置1と共通する構成部分については同一符号を付し、第8実施形態に係る光束制
御部材3及び照明装置1の説明と重複することとなる説明を省略する。
【0069】
図21に示す光束制御部材3は、カバー21の曲率を図19に示したカバー21の曲率
よりも小さくし、図19に示した光束制御部材3よりも高さ寸法(光軸Lに沿った寸法)
を小さくしたものである。
【0070】
本実施形態に係る照明装置1は、図22に示すように、第1実施形態に係る照明装置1
の配光特性(図6参照)と比較し、横方向から前方方向までの照度がほぼ同一になってい
る点を除き、第1実施形態の照明装置1とほぼ同様の配光特性になっており、第1実施形
態の照明装置1と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態に係る光束制御部材
3は、透過反射膜13の反射率が75%になるように、透過反射膜13が蓋部8の内面1
0に形成されている。
【0071】
(光束制御部材及び照明装置の第10実施形態)
図23(a)は、本発明に係る光束制御部材3及び照明装置1の第10実施形態を示す
図である。また、図23(b)は、本実施形態に係る照明装置1を構成する基板4の平面
図である。なお、本実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置1は、第8実施形態に係
る光束制御部材3及び照明装置1の第2の変形例であり、第8実施形態に係る光束制御部
材3及び照明装置1と共通する構成部分については同一符号を付し、第8実施形態に係る
光束制御部材3及び照明装置1の説明と重複することとなる説明を省略する。
【0072】
図23(a)に示す光束制御部材3は、図19に示した第8実施形態に係る光束制御部
材3と同様のものである。また、図23(a)に示す照明装置1は、図19に示した第8
実施形態に係る照明装置1が基板4上に単一の発光素子2を実装してなるものであるのに
対し、基板4上に複数の発光素子2を実装してなるものである点において相違する。
【0073】
すなわち、図23(b)に示すように、本実施形態に係る照明装置1の基板4上には、
複数の発光素子2が同一円25上に等間隔で配置されている(45°の間隔で合計8個配
置されている)。そして、これら複数の発光素子2の光束の中心Lは、発光素子2各々の
立体的な出射光束を集めた全出射光束の中心であり、第8実施形態における単一の発光素
子2の光軸Lの位置(光束の中心位置)に対応し、且つ、光束制御部材3の中心軸L1に
合致するようになっている。
【0074】
このような本実施形態に係る照明装置1は、図24に示すように、第8実施形態に係る
照明装置1の配光特性(図20参照)と比較し、横方向から前方向までの照度が均一化し
、白熱電球の配光特性により一層近づけることができ、第1実施形態に係る照明装置1と
同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態に係る光束制御部材3は、透過反射膜
13の反射率が75%になるように、透過反射膜13が蓋部8の内面10に形成されてい
る。
【0075】
(光束制御部材及び照明装置の第11実施形態)
図25(a)は、本発明に係る光束制御部材3及び照明装置1の第11実施形態を示す
図である。また、図25(b)は、本実施形態に係る照明装置1を構成する基板4の平面
図であり、図23(b)に示す基板4の平面図と同様の図である。また、図26は、本発
明の第11実施形態に係る光束制御部材3を示すものである。なお、本実施形態に係る光
束制御部材3及び照明装置1は、第10実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置10
の変形例であり、第10実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置1と共通する構成部
分については同一符号を付し、第10実施形態に係る光束制御部材3及び照明装置1の説
明と重複することとなる説明を省略する。
【0076】
図25(a)及び図26に示すように、光束制御部材3は、光束制御部材本体部26と
、この光束制御部材本体部26の内面10(発光素子2に対向する内面10)の中央から
下方へ向かって(中心軸L1に沿って)延びる支持部27と、を備えている。そして、本
実施形態に係る光束制御部材3は、第1実施形態に係る光束制御部材3の側壁部6及び第
10実施形態に係る光束制御部材3の側壁部6に対応する構成を備えていない(図1,図
23参照)。
【0077】
図25(a)及び図26に示すように、光束制御部材3の支持部27は、円柱形状であ
り、その先端面(下端面)27aが基板4に固定(接着、螺着、圧入等)され、光束制御
部材3の中心軸L1が複数の発光素子2の光束の中心Lに合致するように、光束制御部材
本体部26を基板4上に支えている。
【0078】
図25(a)及び図26に示すように、光束制御部材3の光束制御部材本体部26は、
内面10の中央に支持部27が一体として形成されている点を除き、第1実施形態に係る
光束制御部材3の蓋部8の形状と同様の形状になっている(図1及び図2参照)。また、
光束制御部材本体部26の内面10は、支持部27が形成されている部分を除き、第1実
施形態に係る光束制御部材3の蓋部8と同様に、透過反射膜13が形成されている。また
、光束制御部材本体部26の外面14は、内面10と裏表の関係であり、第1実施形態に
係る光束制御部材3の蓋部8の外面14と同様に形成されている。
【0079】
図25に示すように、本実施形態に係る照明装置1は、中空の球体の一部を切り欠いた
ような形状のカバー21の開口端22が円板状の基板4の外周端に固定され、カバー21
と基板4とで密閉された空間28内に複数の発光素子2及び光束制御部材3が収容されて
いる。そして、光束制御部材3は、光束制御部材本体部26の外周端とカバー21との間
に隙間30を生じ、支持部27が基板4に直接固定されている。このような構成の照明装
置1によれば、第10実施形態に係る照明装置1と比較し、部品点数が少ない分だけ組立
工数を削減することができ、生産効率を向上させることができる。
【0080】
このような本実施形態に係る照明装置1は、図27に示すように、第10実施形態に係
る照明装置1の配光特性(図24参照)と同様の配光特性を得ることができ、第1実施形
態に係る照明装置1と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態に係る光束制御
部材3は、透過反射膜13の反射率が75%になるように、透過反射膜13が光束制御部
材本体部26の内面10に形成されている。
【0081】
(光束制御部材及び照明装置の第12実施形態)
図28は、本発明に係る光束制御部材3及び照明装置1の第12実施形態を示す図であ
る。本実施形態に係る照明装置1は、第11実施形態における複数の発光素子2と光束制
御部材3を一つの「発光素子−光束制御部材」ユニット31とし、この「発光素子−光束
制御部材」ユニット31を一つの基板32上に複数取り付け、基板32の外周縁にカバー
33の開口端34を固定し、基板32とカバー33とで密閉された空間35内に複数の「
発光素子−光束制御部材」ユニット31を収容したものである。そして、発光素子2が実
装された基板32の表面は、光反射機能に優れた光反射部材(図示せず)で被覆するか、
又は光反射機能に優れた光反射部材(図示せず)を配置するようにしてもよい。なお、本
実施形態に係る照明装置1のX−X断面は、図25(a)と同様である。また、基板32
及びカバー33で形作られる照明装置1の平面形状は、円形,矩形形状,六角形状等、使
用用途に応じた最適な形状とすることができる。このような本実施形態に係る照明装置1
は、照明光の配光特性を白熱電球の配光特性に近づけることができると共に、色むらがな
い高品質の照明光を出射することができる。
【0082】
(変形例)
上記各実施形態は、光束制御部材3の内面10に透過反射膜13が形成されている。し
かしながら、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、光束制御部材3の外
面14に透過反射膜13を形成してもよい。すなわち、本発明に係る光束制御部材3の透
過反射膜13は、発光素子2の出射光の一部の出射光と交わる面(内面10と外面14の
いずれか)に形成されることで、所望の配光特性を得ることができる。ただし、反射光の
光路における界面を少なくして光ロスを抑えるためには、光束制御部材本体部の内面10
に透過反射膜13を形成した方が良い。内面10に形成された透過反射膜13は、光束制
御部材3の取扱い等による傷付きや剥離を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る光束制御部材及びこの光束制御部材を使用した照明装置は、光束制御部材
の透過反射膜の反射率を所望の配光特性になるように決定すれば、白熱電球に代えて使用
する場合に限られず、シャンデリアの一部や間接照明装置等としても広く使用することが
できる。
【符号の説明】
【0084】
1……照明装置、2……発光素子(例えば、LED)、3……光束制御部材、4,32
……基板、5……一端、6……側壁部、7……他端、8……蓋部、10……内面、11…
…中心部、12……外周部、13……透過反射膜、14……外面、17……内周面、18
……外周面、L……光軸(光束の中心)、L1……中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に実装された1又は複数の発光素子の光束の中心と同心に中心軸が位置するよう
に配置され、且つ、前記発光素子と空気層を介して配置される光束制御部材であって、
前記発光素子の出射光のうち一部の出射光と交わる面に、透過反射膜が形成され、
前記透過反射膜は、前記一部の出射光のうち更に一部を反射し、前記一部の出射光の残
部を透過する、
ことを特徴とする光束制御部材。
【請求項2】
前記透過反射膜が、前記発光素子と対向する内面に形成され、
前記内面とは裏表の関係にある外面は、前記透過反射膜を透過して内部入射した光を外
方へ出射する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光束制御部材。
【請求項3】
基板上に実装された発光素子の光軸と同心に中心軸が位置するように、前記発光素子と
空気層を介して配置され、前記光軸と交わるように形成される蓋部と、
前記蓋部の外縁から前記基板側へ延びる側壁部と、
を有する光束制御部材であって、
前記蓋部の内面は、外周部よりも前記中心軸上の中心部の方が前記発光素子寄りに位置
する凹面であり、透過反射膜で覆われており、
前記透過反射膜は、前記発光素子からの光の一部を前記側壁部に向けて反射し、前記発
光素子からの光の残部を透過し、
前記蓋部の外面は、前記透過反射膜を透過して入射した光を蓋部の外方へ出射し、
前記側壁部は、前記透過反射膜で反射されて内周面に到達した光及び前記発光素子から
前記内周面に直接到達した光を外周面から外方へ出射する、
ことを特徴とする光束制御部材。
【請求項4】
前記蓋部の内面が非球面形状であることを特徴とする請求項3記載の光束制御部材。
【請求項5】
前記側壁部の外周面を光拡散面にしたことを特徴とする請求項3又は4に記載の光束制
御部材。
【請求項6】
前記蓋部の外面を光拡散面にしたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の
光束制御部材。
【請求項7】
前記蓋部と前記側壁部が、光散乱能を有する材料によって形成されたことを特徴とする
請求項3乃至6のいずれかに記載の光束制御部材。
【請求項8】
発光素子が実装された基板と、この基板上に固定されて前記発光素子からの光を出射す
る請求項1乃至7のいずれかに記載の光束制御部材と、を備えたことを特徴とする照明装
置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−198484(P2012−198484A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83719(P2011−83719)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【特許番号】特許第4999131号(P4999131)
【特許公報発行日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】