説明

光束制御部材、発光装置及び照明装置

【課題】比較的光源から遠方の被照射面に向かう光と、光源近傍の被照射面に向かう光とをバランス良く出射することにより、被照射面全体を均一に照射すること。
【解決手段】光束制御部材101は、発光素子102に対向して配置され、発光素子102からの光を光束制御部材101内へ入射させるための凹部111が形成された発光素子対向面部と、発光素子対向面部に対して発光素子102とは反対側に形成された出射面113と、発光素子対向面部の外周端部から出射面113の外周端部へ向かって延びる全反射面112と、を備える。出射面113は、中心軸P1の近傍よりも外周端部において光拡散性が高いとともに、中心軸P1を含む任意の第1断面と交わる箇所の方が、中心軸P1を含み且つ第1断面に直交する第2断面と交わる箇所よりも、光拡散性が高くなるよう出射面粗面部113a、113bが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光束制御部材、発光装置及び照明装置に関し、特に板面、天井、壁面、床面または看板等を照明する発光装置、照明装置及びそれらに用いられる光束制御部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、補助照明、天井照明またはショーケース用の照明等の用途には、特定の方向に光を照射することによって特定の領域を照明するスポット照明用の発光装置が用いられている。そして、近年、スポット照明用の発光装置の光源として、発光ダイオード(LED)が用いられている。
【0003】
発光ダイオードは、小型で電力効率が良く鮮やかな色の発光をする、半導体素子であるため球切れなどの心配がない、初期駆動特性が優れ、振動やオン・オフ点灯の繰り返しに強い、等の特徴を有する。
【0004】
また、スポット照明用の発光装置として、発光ダイオードの光軸に対して対称形状の照明用レンズを用いて、発光ダイオードから出射された光の配光特性を制御するものが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、発光ダイオードの出射側に全反射面を有するレンズを配置し、発光ダイオードから出射された光のうち、光軸に対して大きな角度で出射された光を、レンズ内に入射した後、全反射面で全反射することにより、配光を狭めて出射する。即ち、特許文献1では、発光装置からの出射光を被照射面に照射して、被照射面全体を均一に照明しようとした場合には、発光装置から遠方を十分な光量で照射できるように、光の配光を狭くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−268166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のスポット照明用の発光装置においては、出射する光が光源から遠方まで届くように、出射する光の配光を狭くするので、被照射面の光源近傍、または光源の光軸に対して大きな角度で発光装置から出射する光によって照射される領域では、十分な光量が得られずに暗部が生じるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、比較的光源から遠方の被照射面に向かう光と、光源の光軸に対して大きな角度で出射する光が照射し得る位置に向かう光とをバランス良く出射することにより、被照射面全体を均一に照射することができる発光装置、照明装置及びそれらに用いられる光束制御部材光束制御部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光束制御部材は、発光素子に対向して配置され、前記発光素子からの光を前記光束制御部材内へ入射させるための凹部が形成された発光素子対向面部と、前記発光素子対向面部に対して前記発光素子とは反対側に形成された出射面と、前記発光素子対向面部の外周端部から前記出射面の外周端部へ向かって延びる全反射面と、を備え、前記凹部は、中心軸と交わるように形成された第1入射面と、前記第1入射面の外周端部から前記発光素子側に向かって延びる第2入射面と、を有し、前記全反射面は、前記第2入射面に入射した光を前記出射面に向けて全反射させるように、前記発光素子対向面部側から前記出射面側に向かって漸次、拡径するように形成され、前記出射面は、前記中心軸の近傍よりも外周端部において光拡散性が高いとともに、前記中心軸を含む任意の第1断面と交わる箇所の方が、前記中心軸を含み且つ前記第1断面に直交する第2断面と交わる箇所よりも、光拡散性が高くなるように粗面部が形成される構成を採る。
【0009】
本発明の発光装置は、発光素子と、前記発光素子から出射された光を入射し、入射した光の進行方向を制御する光束制御部材と、を備える発光装置であって、前記発光装置は、前記光束制御部材の中心軸が前記発光素子の光軸に合致するように前記光束制御部材と前記発光素子とが配置され、前記光束制御部材は、前記発光素子に対向して配置され、前記発光素子からの光を前記光束制御部材内へ入射させるための凹部が形成された発光素子対向面部と、前記発光素子対向面部に対して前記発光素子とは反対側に形成された出射面と、前記発光素子対向面部の外周端部から前記出射面の外周端部へ向かって延びる全反射面と、を備え、前記凹部は、前記中心軸と交わるように形成された第1入射面と、前記第1入射面の外周端部から前記発光素子側に向かって延びる第2入射面と、を有し、前記全反射面は、前記第2入射面に入射した光を前記出射面に向けて全反射させるように、前記発光素子対向面部側から前記出射面側に向かって漸次、拡径するように形成され、前記出射面は、前記中心軸の近傍よりも外周端部において光拡散性が高いとともに、前記中心軸を含む任意の第1断面と交わる箇所の方が、前記中心軸を含み且つ前記第1断面に直交する第2断面と交わる箇所よりも、光拡散性が高くなるように粗面部が形成される構成を採る。
【0010】
また、本発明の発光装置は、発光素子と、前記発光素子から出射された光を入射し、入射した光の進行方向を制御する光束制御部材と、を備える発光装置であって、前記発光装置は、前記光束制御部材の中心軸が前記発光素子の光軸に合致するように前記光束制御部材と前記発光素子とが配置され、前記光束制御部材は、前記発光素子に対向して配置され、前記発光素子からの光を前記光束制御部材内へ入射させるための凹部が形成された発光素子対向面部と、前記発光素子対向面部に対して前記発光素子とは反対側に形成された出射面と、前記発光素子対向面部の外周端部から前記出射面の外周端部へ向かって延びる全反射面と、を備え、前記凹部は、前記中心軸と交わるように形成された第1入射面と、前記第1入射面の外周端部から前記発光素子側に向かって延びる第2入射面と、を有し、前記全反射面は、前記第2入射面に入射した光を前記出射面に向けて全反射させるように、前記発光素子対向面部側から前記出射面側に向かって漸次、拡径するように形成され、前記中心軸を含む任意の第1断面と交わる箇所の方が、前記中心軸を含み且つ前記第1断面に直交する第2断面と交わる箇所よりも、光拡散性が高くなるように粗面部が形成される構成を採る。
【0011】
本発明の照明装置は、上記のいずれかに記載の発光装置と、前記発光装置によって照射される被照射面と、を有し、前記発光装置の前記第1断面が前記被照射面に対して直交するように、前記発光装置を配置する構成を採る。
【0012】
また、本発明の照明装置は、上記のいずれかに記載の発光装置と、前記発光装置によって照射される被照射面と、を有し、前記発光装置の前記第1断面が前記被照射面に対して平行となるように、前記発光装置を配置する構成を採る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、比較的光源から遠方の被照射面に向かう光と、光源の光軸に対して大きな角度で出射する光が照射し得る位置に向かう光とをバランス良く出射することにより、被照射面全体を均一に照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係る発光装置の断面図
【図2A】本発明の実施の形態1における光束制御部材の底面図
【図2B】本発明の実施の形態1における光束制御部材の平面図
【図2C】本発明の実施の形態1における光束制御部材の側面図
【図2D】本発明の実施の形態1における光束制御部材の正面図
【図3A】本発明の実施の形態1に係る照明装置の正面図
【図3B】本発明の実施の形態1に係る照明装置の側面断面図
【図3C】図3BのX−X線断面図
【図4】本発明の実施の形態1に係る照明装置の一部を拡大した平面図
【図5】従来の発光装置による被照射面における照度分布を示すイメージ図
【図6】本発明の実施の形態1に係る照明装置の被照射面における照度分布を示すイメージ図
【図7】図5に示す境界線上における照度分布、及び図6に示す図5の境界線と同じ位置における照度分布を示す図
【図8A】本発明の実施の形態2における光束制御部材の底面図
【図8B】本発明の実施の形態2における光束制御部材の平面図
【図8C】本発明の実施の形態2における光束制御部材の側面図
【図8D】本発明の実施の形態2における光束制御部材の正面図
【図9A】本発明の実施の形態3における光束制御部材の底面図
【図9B】本発明の実施の形態3における光束制御部材の平面図
【図9C】本発明の実施の形態3における光束制御部材の側面図
【図9D】本発明の実施の形態3における光束制御部材の正面図
【図10A】実施の形態1〜実施の形態3において共通の第1の変形例における底面に切り欠きを形成した光束制御部材の正面図
【図10B】実施の形態1〜実施の形態3において共通の第1の変形例における底面に切り欠きを形成した光束制御部材の底面図
【図11】実施の形態1〜実施の形態3において共通の第2の変形例における照明装置の一部を拡大した平面図
【図12】粗面部が形成されていない従来の光束制御部材を用いた発光装置において、光束制御部材のピッチが広い照明装置における照度分布を示すイメージ図
【図13】実施の形態1〜実施の形態3において共通の第2の変形例における光束制御部材のピッチが広い照明装置における照度分布を示すイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
(発光装置の構成)
以下に、発光装置100の構成について、図1を用いて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る発光装置100の断面図である。
【0018】
発光装置100は、光束制御部材101と、発光素子102とから主に構成される。
【0019】
光束制御部材101は、図示しない基板に固定される筒状のホルダー103の内部に収容される。また、光束制御部材101は、発光素子102から出射された光を入射し、入射した光の配光を制御することにより光の進行方向を制御する。
【0020】
発光素子102は、例えば発光ダイオードであり、発光装置100の光源である。また、発光素子102は、光軸が光束制御部材101の中心軸P1と合致するように図示しない基板に取り付けられる。
【0021】
(光束制御部材の構成)
以下に、光束制御部材101の構成について、図1及び図2A〜図2Dを用いて詳細に説明する。
【0022】
図2Aは、本実施の形態における光束制御部材101の底面図である。また、図2Bは、本実施の形態における光束制御部材101の平面図である。また、図2Cは、本実施の形態における光束制御部材101の側面図である。また、図2Dは、本実施の形態における光束制御部材101の正面図である。
【0023】
光束制御部材101は、入射面110と、全反射面112と、出射面113と、鍔部114と、底面115とから主に構成される。
【0024】
即ち、光束制御部材101は、発光素子102に対向する発光素子対向面部に形成される凹部111と、発光素子対向面部の反対側に形成された出射面113と、発光素子対向面部の外周端部から出射面113の外周端部へ向かって延びる側面部である全反射面112及び鍔部114と、発光素子対向面部の一部としての底面115とを有する。本実施の形態において、発光素子対向面部は、凹部111及び底面115から構成される。
【0025】
入射面110は、発光素子102に対向する発光素子対向面部を内部に凹ませることにより形成される凹部111の内面に形成され、中心軸P1の回りに回転対称となるように形成される。また、入射面110は、中心軸P1と交わるように凹部111の内面に形成された第1入射面としての内天面110aと、内天面110aの外周端部から発光素子102側である凹部111の開口縁まで延びる第2入射面としてのテーパ状の内壁面110bとを有する。ここで、内壁面110bは、内天面110a側から凹部111の開口縁側へ向かうにしたがって内径が漸増している。
【0026】
全反射面112は、底面115の外周部から鍔部114の下面まで延びる外表面であり、中心軸P1を取り囲むように形成された回転対称面である。また、全反射面112は、底面115の外縁から鍔部114に向かって漸次、拡径するように形成され、底面115から鍔部114に向かうに従って外径が漸増しており、その母線が外側(中心軸P1から離れる側)へ凸の円弧状曲線を有する。また、全反射面112は、内壁面110bから入射した光を出射面113に向けて全反射させる。
【0027】
出射面113は、発光素子対向面部に対して発光素子102とは反対側に形成され、平面に投影された形状が中心軸P1上に中心を有する円形形状である。また、出射面113は、中心軸P1の所定の位置に頂点116を有し、底面115からの高さを漸減するように頂点116から出射面113の外周部117に向かって滑らかに傾斜する。また、出射面113は、上方(底面115から離れる方向)に凸形状に湾曲するように形成される。また、出射面113は、外周端部の一部が中心軸P1近傍よりも粗くなるように形成される。また、出射面113は、中心軸P1を含む任意の断面(本実施の形態において、以下、「第1断面」と記載する)と交わる箇所の方が、第1断面と直交し且つ中心軸P1を含む断面(本実施の形態において、以下、「第2断面」と記載する)と交わる箇所よりも粗くなるように形成される。具体的には、出射面113には、鍔部114と接続する外周部117に沿って、出射面113の他の部分よりも粗くなるように粗面化した出射面粗面部113a、113bが形成される。従って、出射面113は、第1断面と交わる箇所の方が、第2断面と交わる箇所よりも、光拡散性が高くなる。このように、異方的な拡散性を有する発光装置100が形成される。
【0028】
ここで、第1断面とは、光束制御部材101を図2Bの一点鎖線D1で切断した断面である。また、第2断面とは、光束制御部材101を図2Bの一点鎖線D2で切断した断面である。
【0029】
出射面粗面部113a、113bは、出射面113の外周端部に帯状に一対形成される。また、出射面粗面部113a、113bは、第1断面と交わる出射面113上に形成される。また、出射面粗面部113a、113bは、中心軸P1を回転軸として、第1断面と出射面113との交線を所定角度θ1だけ回転させた範囲の外周部117に沿って形成される(図2B参照)。
【0030】
鍔部114は、出射面113の外周部117から径方向外方側に突出して形成され、略円環状である。
【0031】
底面115は、凹部111の開口縁の周囲に形成されたリング状の平面である。
【0032】
(照明装置の構成)
以下に、照明装置300の構成について、図3A〜図3C及び図4を用いて詳細に説明する。
【0033】
図3Aは、本実施の形態に係る照明装置300の正面図である。また、図3Bは、本実施の形態に係る照明装置300の側面断面図である。また、図3Cは、図3BのX−X線断面図である。また、図4は、照明装置300の一部を拡大した平面図である。なお、図3A〜図3C及び図4においては、ホルダー103の記載を省略する。
【0034】
照明装置300は、発光装置100−1〜100−12と、基板400と、被照射部301とから主に構成される。なお、発光装置100−1〜100−12の各々は、図1に記載した発光装置100と同一構成である。
【0035】
発光装置100−1〜100−12は、照明装置300の長手方向であるX軸と平行な方向に所定間隔で配列するように基板400上に各々取り付けられる。また、発光装置100−1〜100−12は、第1断面と被照射部301の光の入射側である被照射面301a及び対向被照射面301bとが直交するように配置される(図4参照)。
【0036】
基板400は、照明装置300の底面に配置される。
【0037】
被照射部301は、矩形状であり、互いに対向する被照射面301aと対向被照射面301bとを有する。被照射面301a及び対向被照射面301bは照明装置300の被照射部301の内表面である。
【0038】
被照射面301aは、X−Z平面と平行な平板状であり、本実施の形態では拡散板である。例えば、被照射部301は、外表面に広告用の文字または絵等が描かれており、発光装置100−1〜100−12により内部から照明される。また、被照射面301aは、光軸に対する角度の小さい発光装置100−1〜100−12からの出射光が、光軸に対する角度の大きい発光装置100−1〜100−12からの出射光よりも、入射角が大きくなるように配置される。
【0039】
対向被照射面301bは、被照射面301aと対向し、被照射面301a及びX−Z平面と平行な平面である。また、対向被照射面301bは、光軸に対する角度の小さい発光装置100−1〜100−12からの出射光が、光軸に対する角度の大きい発光装置100−1〜100−12からの出射光よりも、入射角が大きくなるように配置される。
【0040】
上記の構成を有する照明装置300において、XY平面上に基板400の発光素子102の実装面が配置され、X軸上に12個の発光装置100−1〜100−12が50mmピッチ(図3Aの距離H=50mm)で配置される。6個目の発光装置100−6と7個目の発光装置100−7との間であって基板400上に、X軸、Y軸及びZ軸が互いに垂直に交わる原点Oが位置する。被照射面301a及び対向被照射面301bは、その一辺がXY平面上に配置され、XZ平面からY軸方向に±40mm(図3Bの距離E=80mm)の位置に平行に配置される。被照射面301a及び対向被照射面301bを有する被照射部301の大きさは、X軸方向が650mm(図3Aの距離A)、Z軸方向が520mm(図3Aの距離C)である。図3Aにおける被照射部301の中心から左右285mm、上下220mmの範囲を有効発光領域(図3Aの距離B×距離D=570mm×440mm)とする。
【0041】
また、照明装置300では、出射面粗面部113a、113bは、被照射部301に特異的な明部を生じさせる原因となる光を拡散させる。また、出射面粗面部113a、113bは、これら出射面粗面部113a、113bを形成しない光束制御部材を備えた照明装置の被照射部において、発光素子102の近傍の光量不足となり易い領域に、光を拡散させて振り分けるために、特異的な明部の原因となる光が出射する出射面113上の一部に形成される。すなわち、光を振り分ける機能を有する出射面粗面部113a、113bは、出射面113の中心軸P1近傍から出射する光には影響を及ぼさないように外周部117近傍に形成されていればよく、外周部117より径方向外側の鍔部114上にまで及ぶように形成されていてもよい。また、外周部117と出射面粗面部113a、113bとの間に僅かな隙間が形成されていてもよい。ここで、被照射部301に特異的な明部とは、中心軸P1に対して小さな角度範囲で出射する光束制御部材101からの出射光(狭配向角の出射光)が被照射部301に到達する領域と、発光装置100−1〜100−12の近傍の光量不足の領域との境界部である。
【0042】
通常、発光素子102からの出射光の配光を狭めて、光軸に対して小さな角度範囲の光度を高めるようなスポット照明では、被照射部301を照射する際に、照射領域を狭くする。これにより、光軸から小さな角度範囲の狭い範囲に光線が集められるため、発光素子102から離れた位置にある被照射面301a及び対向被照射面301bの照度を上げることはできるものの、発光素子102の近傍を照射するための光線が不足する。この結果、被照射部301における発光素子102の近傍の照度が低下して、助走距離が長くなる。
【0043】
しかしながら、本実施の形態では、光束制御部材101の出射面113の一部(出射面粗面部113a、113b)が粗面化されていることにより、光束制御部材101から出射する光が出射面粗面部113a、113bを経由することにより拡散される。従って、出射面粗面部113a、113bから出射される拡散光は、被照射面301a及び対向被照射面301b上の発光素子102の近傍にも到達するので、発光素子102の近傍の暗部を緩和することができ、助走距離を短くすることができる。また、助走距離を短くすることにより、被照射面301a及び対向被照射面301bにおける額縁部分(被照射部301における有効発光領域以外の領域)を狭くすることができる。また、発光素子102から離れた位置にある被照射面301a及び対向被照射面301bの照度低下を最小限に抑えるために、出射面113の中央部(中心軸P1近傍)は粗面化していない。このため、発光素子102の近傍から離れた位置までの広い範囲の被照射部301において、外表面(照明装置300の発光面)における明るさの均一化を図ることができる。
【0044】
なお、図3A〜図3C及び図4に示す照明装置300は、被照射部301を内部から照射する内照用照明としたが、本発明はこれに限らず、被照射面301aに直接、発光装置100からの光を照射する外照用照明としてもよい。外照用照明とする場合には、被照射部として1つの被照射面301aのみを配置し、被照射面301a上の文字または絵等が描かれた面を、発光装置100−1〜100−12により照明する。また、この場合は、出射面粗面部113aを被照射面301a側のみに形成すればよい。このような外照用照明は、本実施の形態に係る発光装置100により、被照射面301aにおける明るさの均一化を図ることができる。
【0045】
(照明装置における被照射部の照度分布)
照明装置300における照度分布について、図5及び図6を用いて説明する。
【0046】
図5は、従来の発光装置による被照射面(被照射部の外側に位置する発光面側)における明るさ分布を照度分布で示すイメージ図である。また、図6は、本実施の形態の出射面粗面部113a、113bを形成した発光装置100を用いた照明装置300の被照射面301a側の被照射部301の外側に位置する発光面における照度分布を示すイメージ図である。前述の通り、本実施の形態における照明装置300における発光装置100は、出射面粗面部113a、113bと交わる第1断面が被照射部301に直交するように配置されている。
【0047】
図5及び図6より、図6における発光装置100の近傍の暗部の発生領域S2は、図5における従来の発光装置の近傍の暗部の発生領域S1よりも小さくなっている(S1>S2)。従って、本実施の形態の照明装置300では、従来の発光装置を用いる照明装置に比べて、発光装置100の近傍の照度が向上している。図7は、図5に示す境界線#401上における照度分布、及び図6に示す図5の境界線#401と同じ位置#501における照度分布を示す図である。図7において、図5に示す従来の照明装置における暗部の発生領域S1の境界線#401上における照度分布を破線で示し、図6に示す本実施の形態の照明装置300の従来の照明装置と同じ位置#501における照度分布を実線で示す。この図7から明らかなように、本実施の形態に係る照明装置は、従来の照明装置における特異的な明部に到達する光が他の部分に分散され、照度の均一化が図られる。
【0048】
(本実施の形態の効果)
このように、本実施の形態では、スポット照明用の発光装置における狭配向角の出射特性を適度に保ちつつ、異方的に拡散光を出射する。また、本実施の形態では、光の配光を狭くして出射する光束制御部材の出射面の一部に、被照射面の光源付近を照射する拡散光を出射するための出射面粗面部を設けて、比較的光源から遠方の被照射面に向かう光と、光源近傍の被照射面に向かう光とをバランス良く出射する。これにより、本実施の形態によれば、被照射面における光源近傍の照度を高くすることができるので、照度ムラを抑制することができ、被照射面全体をより均一に照射できるとともに、助走距離を短くすることができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、照明装置を内部より被照射面を照射する内照用照明とした場合に、被照射面における額縁部分を狭くすることができるので、被照射面において絵または文字等を記載するスペースの自由度を高めることができる。
【0050】
また、本実施の形態では、照明装置を外部より被照射面を照射する外照用照明とした場合に、照度ムラが抑制され被照射面上の絵や文字等を十分に視認可能な領域と光源との図3のZ方向の距離を短くする。これにより、本実施の形態によれば、照明装置を小型化することができ、照明装置の配置スペースを小さくすることができる。
【0051】
なお、本実施の形態において、光束制御部材の出射面の一部を粗面化して粗面部を形成したが、本発明はこれに限らず、粗面化したシートを出射面の一部に貼り付けて粗面部を形成してもよい。また、粗面部の粗面度合にグラデーションを設けてもよい。また、粗面化する方法としては、金型にエッチング加工、放電加工またはブラスト加工等を施して、成形によって光束制御部材の表面に転写する方法が挙げられる。
【0052】
(実施の形態2)
(光束制御部材の構成)
以下に、本実施の形態における光束制御部材600の構成について、図8を用いて詳細に説明する。図8Aは、本実施の形態における光束制御部材600の底面図である。また、図8Bは、本実施の形態における光束制御部材600の平面図である。また、図8Cは、本実施の形態における光束制御部材600の側面図である。また、図8Dは、本実施の形態における光束制御部材600の正面図である。
【0053】
なお、図8A〜図8Dにおいて、図2A〜図2Dと同一構成である部分には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。また、本実施の形態に係る発光装置は、光束制御部材101の代わりに光束制御部材600を用いる以外は図1と同一構成であるので、その説明を省略する。
【0054】
光束制御部材600は、入射面110と、鍔部114と、底面115と、出射面601と、全反射面602とから主に構成される。
【0055】
出射面601は、平面に投影された形状が中心軸P1上に中心を有する円形形状である。また、出射面601は、中心軸P1の所定の位置に頂点116を有し、底面115からの高さを漸減するように頂点116から出射面601の外周部117に向かって滑らかに傾斜する。また、出射面601は、上方(底面115から離れる方向)に凸形状に湾曲するように形成される。
【0056】
全反射面602は、底面115の外周部から鍔部114の下面まで延びる外表面であり、中心軸P1を取り囲むように形成された回転対称面である。また、全反射面602は、底面115の外縁から鍔部114に向かって漸次、拡径するように形成され、底面115から鍔部114に向かうに従って外径が漸増しており、その母線が外側(中心軸P1から離れる側)へ凸の円弧状曲線を有する。また、全反射面602は、内壁面110bから入射した光を出射面601に向けて全反射させる。また、全反射面602は、中心軸P1を含む任意の断面(本実施の形態において、以下、「第1断面」と記載する)と交わる箇所の方が、中心軸P1を含み、且つ第1断面に直交する断面(本実施の形態において、以下、「第2断面」と記載する)と交わる箇所よりも、光拡散性が高くなるように形成される。即ち、全反射面602は、第1断面と交わる箇所の方が、第2断面と交わる箇所よりも、粗くなるように粗面化されている。具体的には、全反射面602には、第1断面と交わる箇所において、底面115との接続部から、鍔部114との接続部までに渡って、他の部分よりも粗くなるように粗面化した全反射面粗面部602a、602bが形成される。従って、全反射面602は、第1断面と交わる箇所の方が、第2断面と交わる箇所よりも、光拡散性が高くなる。
【0057】
ここで、第1断面とは、光束制御部材600を図8Bの一点鎖線D1で切断した断面である。また、第2断面とは、光束制御部材600を図8Bの一点鎖線D2で切断した断面である。
【0058】
全反射面粗面部602a、602bは、全反射面602において一対形成される。また、全反射面粗面部602a、602bは、底面115側から鍔部114側に向けて、底面115に対して平行な断面と全反射面粗面部602a、602bとの円弧状の交線の長さが漸増するように形成される(図8A参照)。
【0059】
鍔部114は、出射面601の外周部117から径方向外方側に突出して形成され、略円環状である。
【0060】
(照明装置の構成)
本実施の形態に係る照明装置では、光束制御部材600は、図3A〜図3Cに示す照明装置300の発光装置100の光束制御部材101と同様に用いられる。また、本実施の形態に係る照明装置では、図3A〜図3Cと同様に、一対の粗面部602a、602bの各々は、被照射面301a側及び対向被照射面301b側になるように配置される。なお、本実施の形態に係る照明装置は、光束制御部材101の代わりに光束制御部材600を用いる以外は図3A〜図3Cと同一構成であるので、その詳細な説明を省略するとともに、以下の説明においては、図3A〜図3Cの参照番号を用いて説明する。
【0061】
本実施の形態に係る照明装置300では、全反射面粗面部602a、602bは、被照射部301に特異的な明部を生じさせる原因となる光を拡散させる。また、全反射面粗面部602a、602bは、これら全反射面粗面部602a、602bを形成しない光束制御部材を備えた照明装置の被照射部において、発光素子102の近傍の光量不足となり易い領域に、光を拡散させて振り分けるために、その原因となる光が反射する全反射面602上の一部に形成される。また、光束制御部材600は、第1断面と被照射部301の光の入射側である被照射面301a及び対向被照射面301bとが直交するように配置される。ここで、被照射部301に特異的な明部とは、中心軸P1に対して小さな角度範囲で出射する光束制御部材600からの出射光(狭配向角の出射光)が被照射部301に到達する領域と、発光装置の近傍の光量不足の領域との境界部である。
【0062】
因みに、本実施の形態における光束制御部材600では、発光素子102から出射された光のうち光軸に対して大きな角度の光を、レンズ内に入射した後に配光を狭める制御を行うために全反射面602を設けることが必須となる。このため、全反射面602において、全反射面粗面部602a、602bを設ける領域を必要以上に大きくした場合には、光源から遠方の被照射面を照射する光の減少を招き、被照射面全体を均一に照明できない。従って、全反射面602において、全反射面粗面部602a、602bを設ける領域の大きさを適切に制御することにより、被照射面または対向被照射面を均一に照射するようにする。
【0063】
(本実施の形態の効果)
このように、本実施の形態では、光の配光を狭くして出射する光束制御部材の全反射面の一部に、光源付近を照射する拡散光を出射するための全反射面粗面部を設けて、比較的光源から遠方の被照射面に向かう光と、光源近傍の被照射面に向かう光とをバランス良く出射する。これにより、本実施の形態によれば、光源近傍の照度を高くすることができ、照度ムラが抑制され、被照射面全体をより均一に照射できるとともに、助走距離を短くすることができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、照明装置を内部より被照射面を照射する内照用照明とした場合に、被照射面における額縁部分を狭くすることができるので、被照射面において絵または文字等を記載するスペースの自由度を高めることができる。
【0065】
また、本実施の形態では、照明装置を外部より被照射面を照射する外照用照明とした場合に、照度ムラが抑制され被照射面上の絵や文字等を十分に視認可能な領域と光源との図3のZ方向の距離を短くする。これにより、本実施の形態によれば、照明装置を小型化することができ、照明装置の配置スペースを小さくすることができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、全反射面の一部に粗面部を形成したので、粗面部を形成しない全反射面からの出射光を用いて、被照射面または対向被照射面の光源から離れた箇所を適度な光量で照射することができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、光束制御部材は、入射面から入射して直接、出射面へ到達する光は拡散しないため、光源から遠方の被照射面を照射する光の減少を抑えることができる。
【0068】
(本実施の形態の変形例)
なお、本実施の形態において、光束制御部材の全反射面の一部を粗面化して粗面部を形成したが、本発明はこれに限らず、粗面化したシートを全反射面の一部に貼り付けて粗面部を形成してもよい。また、粗面部の粗面度合にグラデーションを設けてもよい。また、粗面化する方法としては、金型にエッチング加工、放電加工またはブラスト加工等を施して、成形によって光束制御部材の表面に転写する方法が挙げられる。
【0069】
(実施の形態3)
(光束制御部材の構成)
以下に、本実施の形態における光束制御部材700の構成について、図9を用いて詳細に説明する。図9Aは、本実施の形態における光束制御部材700の底面図である。また、図9Bは、本実施の形態における光束制御部材700の平面図である。また、図9Cは、本実施の形態における光束制御部材700の側面図である。また、図9Dは、本実施の形態における光束制御部材700の正面図である。
【0070】
なお、図9A〜図9Dにおいて、図2A〜図2Dと同一構成である部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。また、本実施の形態に係る発光装置は、光束制御部材101の代わりに光束制御部材700を用いる以外は図1と同一構成であるので、その説明を省略する。
【0071】
光束制御部材700は、入射面110と、鍔部114と、底面115と、出射面701と、全反射面702とから主に構成される。
【0072】
出射面701は、平面に投影された形状が中心軸P1上に中心を有する円形形状である。また、出射面701は、中心軸P1の所定の位置に頂点116を有し、底面115からの高さを漸減するように頂点116から出射面701の外周部117に向かって滑らかに傾斜する。また、出射面701は、上方(底面115から離れる方向)に凸形状に湾曲するように形成される。
【0073】
全反射面702は、底面115の外周部から鍔部114の下面まで延びる外表面であり、中心軸P1を取り囲むように形成された回転対称面である。また、全反射面702は、底面115の外縁から出射面701に向かって漸次、拡径するように形成され、底面115から鍔部114に向かうに従って外径が漸増しており、その母線が外側(中心軸P1から離れる側)へ凸の円弧状曲線を有する。また、全反射面702は、内壁面110bから入射した光を出射面701に向けて全反射させる。また、全反射面702は、中心軸P1を含む任意の断面(本実施の形態において、以下、「第1断面」と記載する)と交わる箇所の方が、中心軸P1を含み、且つ第1断面に直交する断面(本実施の形態において、以下、「第2断面」と記載する)と交わる箇所よりも、光拡散性が高くなるように形成される。また、全反射面702は、底面115側よりも出射面701側において光拡散性が高くなるように形成される。即ち、全反射面702は、第1断面と交わる箇所の出射面701側の方が、第2断面と交わる箇所及び第1断面と交わる箇所の底面115側よりも、粗くなるように粗面化されている。具体的には、全反射面702には、第1断面と交わる箇所において、鍔部114との接続部から底面115に向かう途中までに渡って、他の部分よりも粗くなるように粗面化した全反射面粗面部702a、702bが形成される。従って、全反射面702は、第1断面と交わる箇所の出射面701側の方が、第2断面と交わる箇所及び第1断面と交わる箇所の底面115側よりも、光拡散性が高くなる。
【0074】
ここで、第1断面とは、光束制御部材700を図9Bの一点鎖線D1で切断した断面である。また、第2断面とは、光束制御部材700を図9Bの一点鎖線D2で切断した断面である。
【0075】
全反射面粗面部702a、702bは、全反射面702において一対形成される。また、全反射面粗面部702a、702bは、中心軸P1を回転軸として、第1断面と全反射面702との交線を所定角度θ3だけ回転させた範囲内であって、全反射面702と鍔部114との境界に沿って形成される。例えば、全反射粗面部702a、702bは、底面115と鍔部114との間において、所定角度θ3の範囲であって鍔部114側である上側半分の領域に設けられる。
【0076】
鍔部114は、出射面701の外周部117から径方向外方側に突出して形成され、略円環状である。
【0077】
(照明装置の構成)
本実施の形態に係る照明装置では、光束制御部材700は、図3に示す照明装置300の発光装置100の光束制御部材101と同様に用いられる。また、本実施の形態に係る照明装置では、図3と同様に、一対の粗面部702a、702bの各々が、被照射面301a側及び対向被照射面301b側になるように発光装置を配置する。なお、光束制御部材101の代わりに光束制御部材700を用いる以外は図3と同一構成であるので、その詳細な説明を省略するとともに、以下の説明においては、図3の参照番号を用いて説明する。
【0078】
本実施の形態に係る照明装置300では、全反射面粗面部702a、702bは、被照射部301に特異的な明部を生じさせる原因となる光を拡散させる。また、全反射面粗面部702a、702bは、これら全反射面粗面部702a、702bを形成しない光束制御部材を備えた照明装置の被照射部において、発光素子102の近傍の光量不足となり易い領域に、光を拡散させて振り分けるために、その原因となる光が反射する全反射面702上の一部に形成される。また、光束制御部材700は、第1断面と被照射部301の光の入射側である被照射面301a及び対向被照射面301bとが直交するように配置される。ここで、被照射部301に特異的な明部とは、中心軸P1に対して小さな角度範囲で出射する光束制御部材700からの出射光(狭配光角の出射光)が被照射部301に到達する領域と、発光装置の近傍の光量不足の領域との境界部である。
【0079】
因みに、本実施の形態における光束制御部材700では、発光素子102から出射された光のうち光軸に対して大きな角度の光を、レンズ内に入射した後に配光を狭める制御を行うために全反射面702を設けることが必須となる。このため、全反射面702において、全反射面粗面部702a、702bを設ける領域を必要以上に大きくした場合には、光源から遠方の被照射面を照射する光の減少を招き、被照射面全体を均一に照明できない。従って、全反射面702において、全反射面粗面部702a、702bを設ける領域の大きさを適切に制御することにより、被照射面または対向被照射面を均一に照射するようにする。
【0080】
(本実施の形態の効果)
このように、本実施の形態では、光の配光を狭くして出射する光束制御部材の全反射面の一部に、光源付近を照射する拡散光を出射するための全反射面粗面部を設けて、比較的光源から遠方の被照射面に向かう光と、光源近傍の被照射面に向かう光とをバランス良く出射する。これにより、本実施の形態によれば、光源近傍の照度を高くすることができ、照度ムラが抑制され、被照射面全体をより均一に照射できるとともに、助走距離を短くすることができる。
【0081】
また、本実施の形態によれば、照明装置を内部より被照射面を照射する内照用照明とした場合に、被照射面における額縁部分を狭くすることができるので、被照射面において絵または文字等を記載するスペースの自由度を高めることができる。
【0082】
また、本実施の形態では、照明装置を外部より被照射面を照射する外照用照明とした場合に、照度ムラが抑制され被照射面上の絵や文字等を十分に視認可能な領域と光源との図3のZ方向の距離を短くする。これにより、本実施の形態によれば、照明装置を小型化することができ、照明装置の配置スペースを小さくすることができる。
【0083】
また、本実施の形態によれば、全反射面の一部に粗面部を形成したので、粗面部を形成しない全反射面からの出射光を用いて、被照射面または対向被照射面の光源から離れた箇所を適度な光量で照射することができる。
【0084】
また、本実施の形態によれば、光束制御部材は、入射面から入射して直接、出射面へ到達する光は拡散しないため、光源から遠方の被照射面を照射する光の減少を抑えることができる。
【0085】
(本実施の形態の変形例)
なお、本実施の形態において、光束制御部材の全反射面の一部を粗面化して粗面部を形成したが、本発明はこれに限らず、粗面化したシートを全反射面の一部に貼り付けて粗面部を形成してもよい。また、粗面部の粗面度合にグラデーションを設けてもよい。また、粗面化する方法としては、金型にエッチング加工、放電加工またはブラスト加工等を施して、成形によって光束制御部材の表面に転写する方法が挙げられる。
【0086】
(実施の形態1〜実施の形態3において共通の第1の変形例)
上記の実施の形態1〜実施の形態3において、光束制御部材101、600、700の底面115に切り欠きを形成してもよい。
【0087】
図10Aは、底面115に切り欠き801を形成した光束制御部材800の正面図である。また、図10Bは、底面115に切り欠き801を形成した光束制御部材800の底面図である。なお、図10A及び図10Bにおいて、光束制御部材800は、切り欠き801を形成する以外は、図2の光束制御部材101、図8の光束制御部材600、または図9の光束制御部材700と同一構成である。また、図10A及び図10Bにおいて、粗面部の記載を省略する。
【0088】
図10Bに示すように、切り欠き801は、底面115に一対形成される。
【0089】
また、図10A及び図10Bの光束制御部材800を用いた照明装置では、一対の切り欠き801が被照射面301a及び対向被照射面301bと各々対向するように光束制御部材800を配置する。
【0090】
(実施の形態1〜実施の形態3において共通の第2の変形例)
上記の実施の形態1から実施の形態3における照明装置300では、光束制御部材101、600、700の第1断面が被照射部301に対して直交するように(出射面粗面部113a、全反射面粗面部602a、全反射面粗面部702aが、被照射部301側に向くように)、光束制御部材101、600、700が配置される。しかしながら、本発明はこれに限らず、第1断面が被照射部301に対して平行となるように光束制御部材100、600、700を配置してもよい。
【0091】
図11は、本変形例における照明装置の一部を拡大した平面図である。また、図12は、粗面部が形成されていない従来の光束制御部材を用いた発光装置において、光束制御部材のピッチが広い照明装置における照度分布を示すイメージ図である。また、図13は、本変形例における光束制御部材のピッチが広い照明装置における照度分布を示すイメージ図である。なお、本変形例における発光装置及び照明装置において、発光装置100の照明装置300へ実装する際の配置を変更する以外は、図1〜図3、図8、図9または図10と同一構成であるので、同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0092】
例えば、粗面部が形成されていない従来の光束制御部材を用いた発光装置において、光束制御部材のピッチが広い照明装置では、図12のように、被照射面301aの発光装置間に対応する位置に暗部r1〜r7が生じる。一方、本変形例に係る光束制御部材101−1の配置は、発光装置のピッチ間に生じる暗部を抑制するのに好適である。即ち、本変形例に係る光束制御部材101−1では、出射面粗面部113aまたは全反射面粗面部602a、702aを経て拡散された光が、被照射面301aにおける発光装置間の光量不足となり易い領域にも振り分けられる。この結果、本変形例では、図13のように被照射面301a全体の照度分布の均一化を図ることができる。
【0093】
(実施の形態1〜実施の形態3において共通の第3の変形例)
上記の実施の形態1〜実施の形態3において、対向する被照射面と対向被照射面とを発光装置により照明したが、本発明はこれに限られず、1つの被照射面を発光装置により照明してもよい。この場合、照明される被照射面と対向する対向被照射面には反射板を設けることにより、被照射面の照度を高めることができる。
【0094】
また、上記の実施の形態1〜実施の形態3において、各実施の形態で説明した粗面部のみを用いて出射光を拡散する場合に限られず、各実施の形態を適宜組み合わせて、複数の異なる箇所に粗面部を形成し、各々の箇所からの出射光を各々拡散させてもよい。
【0095】
また、上記の実施の形態1〜実施の形態3において、互いに対向する被照射面と対向被照射面とを発光装置により照明する例を示したが、本発明はこれに限られず、1つの被照射面を照明してもよい。この場合、一対の粗面部を形成する必要はなく、被照射面に対応する位置のみを粗面部とすればよい。
【0096】
また、上記の実施の形態1〜実施の形態3において、互いに対向する被照射面と対向被照射面のうちの一方を反射面とし、他方を光透過面としてもよい。その場合、光透過面の光出射面側の照度分布によって、適宜、被照射面と対向被照射面とに対応する位置の両方、またはいずれか一方に粗面部を形成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明にかかる発光装置及び照明装置、それらに用いられる光束制御部材は、特に板面、天井、壁面、床面または看板等を照明するのに好適である。
【符号の説明】
【0098】
100 発光装置
101 光束制御部材
102 発光素子
103 ホルダー
110 入射面
110a 内天面
110b 内壁面
111 凹部
112 全反射面
113 出射面
114 鍔部
115 底面
116 頂点
117 外周部
113a、113b 出射面粗面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子に対向して配置され、前記発光素子からの光を前記光束制御部材内へ入射させるための凹部が形成された発光素子対向面部と、
前記発光素子対向面部に対して前記発光素子とは反対側に形成された出射面と、
前記発光素子対向面部の外周端部から前記出射面の外周端部へ向かって延びる全反射面と、
を備え、
前記凹部は、
中心軸と交わるように形成された第1入射面と、
前記第1入射面の外周端部から前記発光素子側に向かって延びる第2入射面と、
を有し、
前記全反射面は、
前記第2入射面に入射した光を前記出射面に向けて全反射させるように、前記発光素子対向面部側から前記出射面側に向かって漸次、拡径するように形成され、
前記出射面は、
前記中心軸の近傍よりも外周端部において光拡散性が高いとともに、前記中心軸を含む任意の第1断面と交わる箇所の方が、前記中心軸を含み且つ前記第1断面に直交する第2断面と交わる箇所よりも、光拡散性が高くなるように粗面部が形成される光束制御部材。
【請求項2】
発光素子と、前記発光素子から出射された光を入射し、入射した光の進行方向を制御する光束制御部材と、を備える発光装置であって、
前記発光装置は、
前記光束制御部材の中心軸が前記発光素子の光軸に合致するように前記光束制御部材と前記発光素子とが配置され、
前記光束制御部材は、
前記発光素子に対向して配置され、前記発光素子からの光を前記光束制御部材内へ入射させるための凹部が形成された発光素子対向面部と、
前記発光素子対向面部に対して前記発光素子とは反対側に形成された出射面と、
前記発光素子対向面部の外周端部から前記出射面の外周端部へ向かって延びる全反射面と、
を備え、
前記凹部は、
前記中心軸と交わるように形成された第1入射面と、
前記第1入射面の外周端部から前記発光素子側に向かって延びる第2入射面と、
を有し、
前記全反射面は、
前記第2入射面に入射した光を前記出射面に向けて全反射させるように、前記発光素子対向面部側から前記出射面側に向かって漸次、拡径するように形成され、
前記出射面は、
前記中心軸の近傍よりも外周端部において光拡散性が高いとともに、前記中心軸を含む任意の第1断面と交わる箇所の方が、前記中心軸を含み且つ前記第1断面に直交する第2断面と交わる箇所よりも、光拡散性が高くなるように粗面部が形成される発光装置。
【請求項3】
発光素子と、前記発光素子から出射された光を入射し、入射した光の進行方向を制御する光束制御部材と、を備える発光装置であって、
前記発光装置は、
前記光束制御部材の中心軸が前記発光素子の光軸に合致するように前記光束制御部材と前記発光素子とが配置され、
前記光束制御部材は、
前記発光素子に対向して配置され、前記発光素子からの光を前記光束制御部材内へ入射させるための凹部が形成された発光素子対向面部と、
前記発光素子対向面部に対して前記発光素子とは反対側に形成された出射面と、
前記発光素子対向面部の外周端部から前記出射面の外周端部へ向かって延びる全反射面と、
を備え、
前記凹部は、
前記中心軸と交わるように形成された第1入射面と、
前記第1入射面の外周端部から前記発光素子側に向かって延びる第2入射面と、
を有し、
前記全反射面は、
前記第2入射面に入射した光を前記出射面に向けて全反射させるように、前記発光素子対向面部側から前記出射面側に向かって漸次、拡径するように形成され、前記中心軸を含む任意の第1断面と交わる箇所の方が、前記中心軸を含み且つ前記第1断面に直交する第2断面と交わる箇所よりも、光拡散性が高くなるように粗面部が形成される発光装置。
【請求項4】
前記粗面部は、前記全反射面における前記第1断面と交わる箇所に形成される請求項3記載の発光装置。
【請求項5】
前記粗面部は、前記全反射面における前記第1断面と交わる箇所において、前記発光素子対向面部側よりも前記出射面側において光拡散性が高くなるように形成される請求項3記載の発光装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれかに記載の発光装置と、
前記発光装置によって照射される被照射面と、
を有し、
前記発光装置の前記第1断面が前記被照射面に対して直交するように、前記発光装置を配置する照明装置。
【請求項7】
請求項2から請求項5のいずれかに記載の発光装置と、
前記発光装置によって照射される被照射面と、
を有し、
前記発光装置の前記第1断面が前記被照射面に対して平行になるように、前記発光装置を配置する照明装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−137656(P2012−137656A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290543(P2010−290543)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】