光殺菌伝達装置および方法
本発明は、内腔において感光性組成物を送達および/または活発化するために使用できる装置、キット、システムおよび方法を提示する。例えば、本発明の装置(100)は、基部(11)と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部(13)と、前記装置(100)に光を伝達するための光源(20)に接続された導波路(14)と連通するように適合されたポケット(12)と、を有する部材(10)を有し、前記ポケット(12)は、前記導波路(14)の先端部(16)との光連通に適合された光分散部(18)を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部(18)の表面仕上げ、前記光分散部(18)の幾何学構造、前記部材(10)の表面仕上げ、前記部材(10)の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される。本発明は、ヒト、他の動物および無生物に使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の表示】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号第60/796,345号(2006年4月28日出願)の「光殺菌伝達装置(Photodisinfection Delivery Device)」および米国仮出願番号第60/866,897号(2006年11月22日出願)の「外耳炎の処置(Treatment for Otitis Externa)」の優先権主張出願である。
【技術分野】
【0002】
本発明は、内腔(特に体腔)内の微生物を抑制または除去するための光殺菌装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
感染性微生物の発生源は、我々の環境に広く存在する。体腔は、自然の状態では、莫大な数の微生物がコロニーを形成しており、これらは、通常、正常な代謝と欠陥のない(intact)免疫系によって抑制されている。
【発明の開示】
【0004】
免疫系が破壊されると、微生物が感染症を惹き起こす。通常、このような感染症の治療に抗生剤が使用されるが、多くの微生物が抗生物質治療に耐性となっている。したがって、抗生剤を使用せずに感染症を治療し、体腔に常在する微生物のコロニーを除去する(decolonize)ことが求められている。
【0005】
抗生剤を使用せずに感染症を治療し、体腔に常在する微生物のコロニーを除去することに対するニーズは、光殺菌によって満たすことができる。光殺菌とは、微生物を抑制または除去するために、光によって活発化される感光性組成物を使用することを指す。本発明は、光殺菌が望ましい体腔を含む任意の内腔において、感光性組成物を送達および/または活発化するために使用できる装置、キット、システムおよび方法を提示する。本発明は、ヒトおよび他の動物に使用することができる。また、本発明は、無生物の光殺菌にも使用することもできる。
【0006】
本発明は、内腔の光殺菌用装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットと、を有する部材を有し、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される装置を提供する。
【0007】
更に、本発明は、内腔の光殺菌用処置システムであって、装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットと、を有する部材を有する装置と、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記導波路と、前記光源と、を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、前記導波路の先端部の表面仕上げ、前記導波路の幾何学構造およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される処置システムを提供する。
【0008】
本発明は、内腔の光殺菌用処置キットであって、装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットと、を有する部材を有し、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される装置と、流体源に収容された感光性組成物と、アプリケーションチップと、を有する処置キットを提供する。
【0009】
更に、本発明は、内腔の光殺菌方法であって、装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有する装置を提供するステップであって、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、前記導波路の先端部の表面仕上げ、前記導波路の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供され、前記内腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、前記内腔に前記挿入部の少なくとも一部を挿入するステップと、前記処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、前記装置によって前記光源から前記導波路を介して伝達される光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で、前記内腔内の前記処置部位に照射するステップと、を有する方法を提供する。
【0010】
本発明は、鼻の微生物のコロニーの除去装置であって、基部、鼻腔に挿入するように適合され、リブを有する表面仕上げを有する挿入部、導波路との連通に適合され、頂点円錐を有する半球の幾何学構造を有する光分散部を有するポケットを有する装置を提供する。
【0011】
更に、本発明は、鼻の微生物のコロニーの光殺菌方法であって、基部と、前記鼻腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有する装置を提供するステップであって、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合され、頂点円錐を有する半球の幾何学構造を有する光分散部を有し、前記鼻腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、前記鼻腔に前記挿入部の少なくとも一部を挿入するステップと、前記処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、前記装置によって前記光源から前記導波路を介して伝達される光を、前記鼻腔内の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさずに、前記感光性組成物によって吸収される波長で、前記内腔内の前記処置部位に照射するステップと、を有する方法を提供する。
【0012】
更に、本発明は、外耳炎の処置方法であって、外耳炎を惹き起こす微生物が存在する耳腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、前記内腔に光伝達装置の少なくとも一部を挿入するステップと、前記耳腔内の宿主組織に生理学的損傷を生じさせずに、前記処置部位において前記微生物を抑制または除去するか、炎症を緩和させるか、この両方を行うために、光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で前記処置部位に照射するステップと、を有し、前記光は前記光伝達装置によって前記処置部位に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通しており、前記光照射ステップが前記耳腔内の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさない方法を提供する。
【0013】
更に、本発明は、鼻の微生物のコロニーの除去方法であって、外鼻孔にメチレンブルーを含む感光性組成物を適用するステップと、前記鼻腔に光伝達装置の少なくとも一部を挿入するステップと、前記鼻腔内の宿主組織に生理学的損傷を生じさせずに、約650nm〜680nmの波長範囲で前記外鼻孔に光を照射するステップと、を有し、前記光は前記光伝達装置によって前記外鼻孔に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通しており、前記鼻のコロニー除去によって前記外鼻孔の前記微生物の90%超が除去される方法を提供する。
【0014】
本発明は、MRSA、大腸菌、およびE.フェカリスの処置方法であって、前記MRSA、大腸菌および/またはE.フェカリスが存在する前記処置部位にメチレンブルーを含む感光性組成物を適用するステップと、約650nm〜680nmの波長範囲で前記処置理部位に光を照射するステップと、を有し、前記光は前記光伝達装置によって前記処置部位に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通しており、前記処置部位の前記MRSA、大腸菌および/またはE.フェカリスの90%超が除去される方法を提供する。
本発明の各種特徴および態様は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、図面などを読むことで明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
I.定義
以下の用語は、ここに使用される場合、以下の一般的な意味を有することとする。
【0016】
体腔:耳、鼻、膣、肺、消化管全体(例えば、咽頭、食道、胃、腸、直腸等)、胆嚢、膀胱、任意の開放創など、体内の任意の内腔。体腔は、人体または他の動物の体内に存在しうる。
【0017】
光:感光性組成物によって吸収可能な任意の波長の光。このような波長には、紫外光(UV)、可視光、赤外光(近赤外、中赤外および遠赤外)などの連続電磁スペクトルから選択される波長が含まれる。波長は、一般に約100nm〜10,000nmであり、例示の範囲は約160nm〜1600nm、約400nm〜約900nm、および約500nm〜約850nmであるが、波長は、使用する特定の感光性化合物および光強度に応じて変わりうる。用途に応じて、発生させる光は、単波長でも複数波長でもよい。光は、レーザ、発光ダイオード(「LED」)、アーク灯、白熱源、蛍光源、ガス放電管、熱源、光増幅器など、技術開示された適切な発光素子であれば、どのようなものによっても発生させることができる。
【0018】
光源:レーザ、発光ダイオード(LED)、アーク灯、白熱源、蛍光源、ガス放電管、熱源、光増幅器などの発光素子、またはこれらの組み合わせ。好ましくは、光源の出力は、術者が、本法を実施中に、波長、パワー出力、照射のサイズまたはこれらの組み合せを変更することができるように調節可能である。例えば、感光性組成物中の異種の光増感剤を活発化するために、レーザの波長が調整されてもよい。別の実施形態では、処置領域への光エネルギーの印加後に、光源のパワーが増減されてもよい。更に、光源が、処置領域内またはその周囲の宿主組織の過度の加熱を防止するために温度監視装置を備えてもよい。適切な温度監視装置には、赤外線装置、光ファイバ装置、熱電対またはこれらの組み合わせなどが含まれうる。
【0019】
細菌:ウイルス、真菌類、グラム陰性菌、グラム陽性菌などを含む細菌などのあらゆる病気に関係する微生物。微生物の例の一部として、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、エシェリキア・コリ(大腸菌)、エンテロコッカス・フェカリス(E.フェカリス)、緑膿菌、アスペルギルス、カンジダなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
感光性組成物:特定の波長の電磁エネルギーの照射時に、少なくとも抗菌作用を有する少なくとも1種類の適切な技術開示された光増感剤を含む組成物。適切な光増感剤には、I型光増感剤およびII型光増感剤が含まれ、I型光増感剤は、光の照射によりフリーラジカルを発生し、II型光増感剤は、光の照射により一重項酸素を発生する。その他の動作モード(例えば熱の発生など)を示す光増感剤が考えられるが、上で説明したタイプが好ましい。抗菌性光増感剤として使用することができる化合物の適切なクラスには、ポルフィリン、クロリン、バクテリオクロリン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、テキサフィリン、ベルジン、プルプリンまたはフェオフォルビド、フェノチアジンなどのテトラピロールまたはその誘導体が含まれ、例えば、米国特許第6,211,335号、第6,583,117号、および第6,607,522号明細書、ならびに米国特許出願公開第2003/0180224号明細書に記載されたものなどがある。好ましいフェノチアジンには、メチレンブルー(MB)、トルイジンブルー(TBO)および米国特許出願公開第2004/0147508号明細書に記載されているものが含まれる。その他の好ましい抗菌性光増感剤には、インドシアニングリーン(ICG)が含まれる。また、MBとTBOなどの2種類以上の光増感剤の組み合せも適切である。光増感剤組成物中に存在する光増感剤の量は、適切であればどのような量でもよい。例えば、総重量の約0.001パーセント(重量%)〜10重量%、約0.005重量%〜約1重量%、約0.01重量%〜約0.5重量%、および約0.02重量%〜約0.1重量%である。感光性組成物には任意選択で治療薬が含まれてもよく、治療薬は、状態を改善するのを助ける任意の化学物質、薬物、薬剤、タンパク質分子、核酸、脂質、抗体、抗原、ホルモン、栄養補給剤、細胞またはこれらの任意の組み合わせである。好ましい治療薬には、傷の治癒を促進するもの、抗菌作用を有するもの、消炎作用を有するもの、および/または鎮痛作用を有するものが含まれる。また、感光性組成物は、光増感剤、または組成物の他の成分のための担体、希釈剤またはその他の溶媒を任意選択で含んでいてもよく、光増感剤の濃度を調整するために使用されうる。感光性組成物は、液体、ゲル、ペースト、パテまたは固体など、任意の適切な相であってもよい。好ましくは、組成物は、処置部位に流れ込むのに十分低いが、処置部位内に組成物を留めておくのに十分高い粘性を有する。更に、処置部位で溶解するかまたは溶液に変化するなどの、処置部位への適用後に液体化する組成物も考えられる。別の実施形態では、組成物が、液体として処置部位に適用した後にゲル化してもよい。この場合、組成物が処置部位をほぼ覆うことが可能であり、組成物が処置部位に保持される。上で説明した光増感剤は例であり、いかなる形であれ本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0021】
例示的な装置の説明
A.鼻腔の光殺菌用装置
【0022】
図1は、本発明に係る装置100の例示的な実施形態を示す。装置100は、ヒトの鼻腔を含む内腔の光殺菌を可能にする。多数の微生物のコロニーが、鼻腔の入口(すなわち外鼻孔)の周囲に常在している。装置100は、外鼻孔の周囲に所望の照射パターンおよび/または最適化された照射パターンを提供することによって、鼻腔(すなわち外鼻孔)の所望の表面積を照射することができる。
【0023】
図1を再び参照すると、装置100は、基部11と、体腔(例えば外鼻孔)への挿入に適合された挿入部分13とを有する部材10を備える。患者に損傷を与えるおそれのないように、少なくとも挿入部分13は、鋭利な角および/または鋭角を有さないことが好ましい。部材10は、照射波長に対して透過性または半透過性を有する適切な技術開示された材料であれば、どのようなものから形成されてもよい。このような材料の例として、プラスチック、エポキシ、ガラスまたは他の任意の適切な生体適合材料がある。例えば、部材10は、ポリカーボネート、アクリルまたはポリ(メタクリル酸メチル)から形成されうる。装置100の照射パターンは、部材10の幾何学構造および/または表面仕上げの影響を受ける。例えば、部材10は、光殺菌中に照射パターン(例えば光散乱等)を変えるために、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、含有物、顔料、マイクロスフェア、切り子面、エンボスパターンまたはこれらの組み合わせ等の適切な技術開示された表面仕上げを有しうる。図2〜6は、代替的な部材10の例の一部を示す。
【0024】
部材10は、図1に光ファイバとして示した導波路14との連通に適合されたポケット12を有する。光ファイバは、プラスチックファイバ、プラスチッククラッドグラスファイバ、グラスファイバ等の適切な技術開示された光ファイバであれば、どのようなものでもよい。光ファイバは、任意の適切な径を有しうる。適切なファイバの径の例には、直径約3mm超、直径約1.5mm〜約3mm、直径約1.5mm〜400μm、直径約1mm〜400μm、直径約400μm未満、および直径約200μm未満の光ファイバが含まれる。また、導波路14として複数のファイバを使用してもよい。必要に応じて、複数のファイバは、1つの終端の代わりに、部材10内で複数の終端を有していてもよい。導波路14は、技術開示された手段を介して部材10に取り付けられうる。例えば、ポケット12は、導波路14を握持する特徴(例えば、導波路14を挿入させるが、導波路14の抜去に抵抗する内向きの尖った歯、ねじ山など)を有しうる。また、導波路14が、接着剤、機械的変形(例えば圧着、ヒートステーキング)、摩擦などによって保持されてもよい。更に、導波路14が、部材10に着脱自在に取り付けられるように設計されていてもよい。例えば、導波路14の端部が、何らかのタイプのフェルールに収容されていてもよい。フェルールは、セラミック、金属などの任意の適切な技術開示された材料から形成することができる。フェルールは、恒久的に取り付けられていても、着脱自在でもよい。フェルールは、導波路14の一部でも、部材10の一部でもよい。限定するものではないが、取り外しが必要となるまで導波路14を保持するために、各種の螺合または「ツイスト−ロック(twist and lock)」バイオネットを使用してもよい。
【0025】
導波路14は、その先端部16に光の指向性出力を有しており、光殺菌に要求される照射波長を伝達することができる。一般に、導波路14は、可視光と不可視光を含む任意の波長の光を伝達するために使用することができる。例えば、導波路14は、深紫外〜遠赤外間、および/または深紫外〜遠赤外を含む波長の光を伝達するために使用することができる。波長は、一般に約100nm〜10,000nmであり、代表的な範囲は約160nm〜1600nm、約400nm〜約800nm、および約500nm〜約850nmであるが、波長は、使用する特定の光感作性化合物および光強度に応じて変わりうる。用途に応じて、生成される光は、単波長でも複数波長でもよい。また、所望の照射パターンに応じて、導波路の先端部16は、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、含有物、顔料、マイクロスフェア、切り子面、エンボスパターンまたはこれらの組み合わせ等の表面仕上げを有し、例えば平坦、凹円錐形または凸円錐形(完全円錐から切頭円錐までのすべての変形例を含む)、頂点円錐(apex cone)を有する半球、またはこれらの組み合わせなどの、広い範囲の異なる幾何学構造を有してもよい。
【0026】
図1のポケット12は、図7に更に詳細に図示されている。ポケット12の先端部15の光分散部18は、光殺菌に要求される照射パターンの提供を支援しうる。例えば、鼻腔の場合、分散部18の一実施形態は、図8に示すような照射パターンを可能にする円錐形状である。図8には、装置100の先端部に伝達する光と比較した、内腔の開口の近くで漏出している光のバランスが示されている。図7を再び参照すると、光分散部18は、光の再分配を改善するか、照射パターンを変更するか、この両方を更に行うことができる表面仕上げを有してもよく、これには、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、顔料、マイクロスフェア、フレネル素子、屈折素子、反射素子、切り子面、エンボスパターンまたはこれらの組み合わせなどがある。光分散部18の表面仕上げおよび幾何学構造、導波路の先端部16の表面仕上げおよび幾何学構造、ならびに部材10の表面仕上げおよび幾何学構造は、すべて、所望の照射パターンを提供するために連携している。
【0027】
異なる幾何学構造を有する光分散部18の例が、図9〜15に示される。図9は、ポケット深さ(導波路の先端部16とポケットの先端部15間の距離として定義される)が約0.01mm、初期半径が約0.51mm、および最終半径が約0.51mmである(すなわち、初期半径と最終半径がほぼ同じである)。この幾何学構造は、図9に示すような平坦な形状を与える。光分散部18のこの幾何学構造は、光の方向転換を、あるとしてもほとんど起こさず、このため、照射パターンが導波路14、および部材10内の他の要因および/または素子によって決定される。図10は、ポケット深さが約0.05mm、初期半径が約0.51mm、および最終半径が約0.4mmである(すなわち、初期半径が最終半径よりわずかに大きい)。この幾何学構造は、図10に示すような切頭円錐形状を与える。図11は、ポケット深さが約0.1mm、初期半径が約0.2mm、および最終半径が約0.0001mmである(すなわち、初期半径が最終半径よりはるかに大きい)。この幾何学構造は、図11に示すような小さな円錐形状を与える。図12は、ポケット深さが約0.25mm、初期半径が約0.25mm、および最終半径が約0.0001mmである(すなわち、初期半径が最終半径よりはるかに大きい)。この幾何学構造は、図12に示すような小さな完全円錐形状を与える。図13は、ポケット深さが約0.2mm、初期半径が約0.51mm、および最終半径が約0.3mmである(すなわち、初期半径が最終半径より大きい)。この幾何学構造は、図13に示すような大きな切頭円錐形状を与える。図14は、ポケット深さが約0.3mm、初期半径が約0.51mm、および最終半径が約0.001mmである(すなわち、初期半径が最終半径よりはるかに大きい)。この幾何学構造は、図14に示すような完全円錐形状を与える。図15は、ポケット深さが約0.2mm、初期半径が約0.51mm、および最終半径が約0.3mmである(すなわち、初期半径が最終半径より大きい)。この幾何学構造は、図15に示すような中くらいの大きさの切頭円錐形状を与える。
【0028】
光分散部18の幾何学構造が変化する(この場合、図9〜15に示すように形状がより円錐状となる)と、装置100の対応する照射パターンも変化する(この場合、部材10の基部11に近いほうが光の強度が大きくなる)。部材10の基部11に近いほうが光の強度が大きくなると、内腔の開口(例えば外鼻孔、耳腔の開口など)の照射が多くなる。
【0029】
上記のように、本発明は、内腔の光殺菌に望ましい照射パターンおよび/または最適化された照射パターンを提供するために、光分散部18の幾何学構造および/または表面仕上げを操作する。内腔における所望の光殺菌用途(例えば内腔内の微生物の位置)に応じて、光分散部18の幾何学構造は、内腔の光殺菌のための所望の照射パターンおよび/または最適化された照射パターンを提供するために、平坦、凹円錐形または凸円錐形(完全円錐から切頭円錐までの全ての変形例を含む)、頂点円錐を有する半球、またはこれらの組み合わせなどの、さまざまな技術開示された形状に適合されうる。更に、光分散部18および/またはポケット12は、光殺菌中に所望の照射パターンおよび/または最適化された照射パターンを提供するために、表面仕上げ(例えば、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、顔料、マイクロスフェア、フレネル素子、屈折素子、反射素子、切り子面、エンボスパターンまたはこれらの組み合わせ等)を有してもよい。
【0030】
図16に、装置100の別の実施形態が示される。本実施形態では、部材10の挿入部13は、挿入部13の長さに照射が均一に分散されるように支援するリブ19を備える。光分散部18の幾何学構造は、図17に更に詳細に示す頂点円錐22を有する半球21を含む。半球21は、導波路14を出るゆるやかに広がる光を、わずかに高角に変換するように支援し、挿入部13の先端部26だけではなく、先端部26の全体の側壁が発光するようにする。頂点円錐22は、これがなければ先端部26のみを照射する低角の光を方向転換する。光は高角に方向転換され、挿入部13の側壁を照射し、処置部の光出力量が上昇する。処置部位は、光出力が求められる部材10の領域である。一例では、半球21は半径が約0.5mmである。頂点円錐22は、高さが約0.175mm、基部半径が約0.3mmを有する。挿入部分13の各リブ19は、くさび角23で形成される。一実施形態では、図18に示すように、くさび角23は、約17°であり、リブ幅24は、約0.48mm〜約0.50mmの範囲にある。別の実施形態では、くさび角23は連続的に可変であり、光源20から送られる平均光線が垂直入射となる。くさび角23のその他の例として、約13°〜約33°、約15°〜約24°の範囲が挙げられる。リブ幅のその他の例として、約1.5mm〜約0.25mm、約0.45mm〜約0.55mmが挙げられる。
【0031】
リブ19は、部材の中心線25を中心として回転される。各リブ19のくさび角23は、挿入部13の側壁に当たる平均光線が、垂直入射出力面に当たり、大きな屈折または方向転換を起こさずに出射されるように設定される。各リブ19のもう一方の面は、内部散乱の量を最小化し、処置部位の光量出力を最大化するように、平均光線角度と平行となるように選択される。リブ19は、部材10の周囲の媒体の屈折率を問わず、光が、所望のパターンで処置部位に出射されるという別の利点も有する。
【0032】
リブ19を有する装置100は、下記のグラフに示すように、光が、基部11から挿入部13の長さにほぼ均一に分散されるため、外鼻孔の光殺菌により最適化された照射パターンを提供することができる。下記のグラフは、リブ19を有する装置100(リブ付の壁)と、リブ19なし(平滑な壁)との差を示す。下記の表1に示されるグラフは、リブ15を有する実施形態120が、特定の部分(例えば、挿入部13の基部25から約5mm18mm)に関して、より高く、かつより均一な照射(相対光)出力を提供することを示している。
【0033】
【表1】
【0034】
図1を再び参照すると、光源20は、導波路14に接続されており、光が光源20から導波路14を介して装置100に伝達されるようになっている。光源20は、導波路14と連通している1つ以上の別個のユニットであってもよい。別法では、光源20が、部材10に直接組み込まれていてもよい。一般に、光源20と導波路14は、可視光と不可視光を含む任意の波長の光を伝達するために使用される。例えば、光源20と導波路14は、深紫外〜遠赤外間、および/または深紫外〜遠赤外を含む波長の光を伝達するために使用することができる。一実施形態では、光源20は、一度に1つの波長を供給することができる。別の実施形態では、光源20は、一度にまたは逐次的に2つ以上の波長を供給することができる。
【0035】
図18は、装置100の別の実施形態を示す。部材10は、プラスチックから形成され、技術開示された射出成形過程によって形成される。導波路14は、低コストのプラスチック光ファイバから形成される。導波路の先端部16はポケット12内に配置され、導波路14の他端は光源20と連通している。導波路の先端部16(図18に図示なし)は、平坦かつ平滑な表面を有する。部材10の基部11は、挿入部13よりも広く、任意選択で、取り扱いを簡単にするハンドルとして機能することができる。また、基部11は、部材10の挿入を所定の位置で阻止するという点で、任意選択でストッパーとしても機能する。基部11は、任意選択で、光殺菌中に、任意の感光性組成物が鼻腔から漏れるのを低減および/または阻止することができる。部材10の挿入部13は、装置100が鼻腔に深く挿入できるようにする一方、平滑な先端部26によって挿入を容易にする。挿入部13は、挿入部13から出る大きく発散する光を集光することができ、挿入部13の前方の鼻腔壁が均一に照射されるようにする。必要に応じて、先端部26は、照射を部材10に反射させるために、任意選択でコーティングされていてもよい。光分散部18は、半角(half angle)が約60°の凹円錐であり、平滑な表面を有する。部材10の表面仕上げおよび外側の形状、導波路の先端部16の表面仕上げおよび幾何学構造、ならびに光分散部18は全て、外鼻孔の周囲に、最適化された照射パターンを含む、導波路14からの照射の大半(全てではなくても)が鼻腔の表面積に確実に伝達されるように、連携している。
【0036】
感光性組成物は、装置100を介してではなく、独立して送達されることが考えられる。例えば、感光性組成物を送達するために、シリンジまたはチューブ−ポンプアセンブリを使用することができる。感光性組成物の処置部位への適用は、技術開示された任意の適切な技術によって行うことができる。適用の方法は、ある程度は感光性組成物の粘性によって決まる。粘性が比較的低い液状の組成物は、適所に噴霧されるが、粘性の高い液体、固体および/またはペーストは、適所にブラシで適用されるか、軽く叩くように塗布される(dabbed)かまたは塗布される。上記組成物の乾燥フィルムが、手によって処置部位に置かれてもよい。
【0037】
光源20および導波路14と結合され、装置100によって鼻腔に伝達される光が、内腔の表面積に常在している感光性組成物28に照射する。装置100によって伝達されるこの光は、内腔内の微生物を消毒、抑制、除去および/または殺菌するために、感光性組成物28を活発化する波長範囲を有する。
【0038】
装置100の作製に選択された材料に応じて、装置100は、使い捨て可能、再使用可能および/または加圧滅菌可能であってもよい。装置100は、無菌環境で包装されうる。例えば、装置100は、図19に示すように、気密キャップ27によってシールされうる。
【0039】
図20は、感光性組成物28の送達を組み込んだ本発明の別の例示的な装置200を示す。当業者が認めるように、この部材および部品は、上に挙げた実施形態と構造および用途が似ている。このため、通常は違いのみを説明するが、類似または同様の部品に関する上の説明とその用途は、以下の実施形態にも当てはまる。装置200は、装置100について説明したすべての部品(例えば10、12、20など)を備える。装置200の部材10は、感光性組成物28の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材30を更に備える。管状部材30は、感光性組成物30を収容している流体源32と流体連通している。この図の例では、流体源32はポンプとして図示されている。流体源32が作動すると、感光性組成物30が、管状部材30を通って管状部材の先端部26にある開口に移動し、鼻腔に放出される。必要に応じて、部材の先端部26の開口部が、任意選択で噴霧(例えばスプレーなど)ノズルを備えていてもよい。
【0040】
図21は、装置200の別の実施形態を示す。この実施形態は、図20に示した装置200と基本的に同じであるが、流体源32がスクイーズバルブであり、部材の先端部26にある管状部材の開口部または孔38が、任意選択の着脱自在の(例えば、ツイストオフ/スナップオフ式の)先端部34によってシールされている点が異なる。装置200は、任意選択で無菌パッケージ36に包装され、図21に示すように使い捨て可能装置として利用可能とされてもよい。
【0041】
図22は、装置200の別の実施形態を示す。この実施形態は、図21に示した装置200と基本的に同じであるが、管状部材30が複数の分岐を有し、複数の孔38により感光性組成物28を分配可能である点が異なる。必要に応じて、複数の孔38のいずれか1つが、任意選択で噴霧ノズルを備えていてもよい。
【0042】
図23は、装置200の別の実施形態を示す。この実施形態は、図21に示した装置と基本的に同じであるが、処置中に装置200を適所に固定するのを支援する保持機構40を有する点が異なる。保持機構40は、部材10の一部であっても、部材10に取り付けられてもよい(例えば柔軟なワイヤ製のばねクランプ)。保持機構40は、不快感を惹き起こさずに内腔に固定する任意の数の人間工学的形状を有しうる。別法では、保持機構40は、処置キットに含まれる単純な接着帯であってもよい。
【0043】
図24は、装置200の別の実施形態を示す。この実施形態は、図21に示した装置200と基本的に同じであるが、部材10と基本的に同じ構造部材を有する追加の部材によって、両方の鼻孔を同時に処置可能であるという点が異なる。別の実施形態は、上で説明した装置100を含むが、部材10と同じ構造部材を有する追加の部材によって、両方の鼻孔を同時に処置可能であるという点が異なる。任意選択で、追加の部材と部材10は、技術開示された取り付け手段を介して相互に取り付けられうる。図24に示す実施形態は、1つの入力導波路14を受け取り、光を複数の部材10に送るための配光マニホルド42を有する。別法では、複数のソース(source)導波路14および/または複数の光源20を使用することができる。
【0044】
図24に示す流体源32は1つのポンプであり、流体分配マニホルド44を介して装置の2つの部材10に取り付けられている。別法では、流体源32として複数のポンプを使用することができる。図24に示す2つの部材10は、共有の導波路14および管状部材30のみによって接続されている。別法では、2つの部材10を互いに対して適所に保持するために、追加の構造部材が使用されてもよい。この構造部材には、処置中に部材10を適所に「クランプする」のを補助するために、2つの部材10が挿入されたときに、わずかな内向きのばね力を提供するための、わずかに内向きの傾きが形成されていてもよい。
【0045】
B.他の内腔の光殺菌用装置
上で説明したように、光殺菌の所望の用途に応じて、ポケット12を含む部材10の幾何学構造および表面仕上げを変更したり、人間工学的要素(ergonomics)および/または照射パターン(例えば配光等)を変更するように適合させることができる。例えば、上記の装置100および/または装置200は、耳、膣、肺、消化管全体(例えば咽頭、食道、胃、腸、直腸等)の体腔および任意の開放創に人間工学的にフィットするように小型化することができる。例えば、部材10を有する装置100(図25を参照)の例示的な実施形態は、鼻腔(図26を参照)だけでなく耳腔(図27を参照)にもフィットするように設計されている。図25〜27には、導波路14からの光も図示されている。別例では、上記の装置100および/または装置200は、胆嚢、膀胱など、侵入または開口が制限されていることがある体腔に侵入できるように更に小型化することができる。当業者が、内腔内の微生物を低減および/または除去させるために、この段落に明示的に挙げられている用途のみならず、数多くのほかの用途に本発明を使用することができることが認められよう。
【0046】
特段の断りのない限り、ここに記載した各種構造の寸法および幾何学構造は本発明を限定することを意図するものではなく、ほかの寸法または幾何学構造も可能である。1つの一体化された構造により、複数の構造構成要素が提供されてもよい。別の実施形態では、1つの一体化された構造が、独立した複数の構成要素に分けられてもよい。更に、本発明の特徴を、図示した実施形態のうちの1つに関して記載したものであっても、所定の用途のために、このような特徴を別の実施形態のほかの特徴の1つ以上と組み合せることができる。また、ここに記載した独自の構造の製造およびその操作も、本発明による方法を構成していることが、上記から理解されよう。処置キットの各種部品が無菌パッケージに収納されていることが好ましい。
【0047】
III.キットおよびシステム
本発明は、装置(上で説明した100または200)、流体源32に収容されている感光性組成物28を備えた体腔の光殺菌用処置キットを含む。処置キットには、任意選択で導波路14が含まれてもよい。処置キットの例が、図20〜24に示される。流体源32は、シリンジ、スクイーズバルブ、またはチューブ−ポンプアセンブリであってもよい。流体源32は、任意選択でアプリケーションチップを更に備える。アプリケーションチップは、感光性組成物28を体腔に送達するために、シリンジ、スクイーズバルブまたはチューブおよびポンプに結合されている。アプリケーションチップは、技術開示されたアプリケーションチップであればどのようなものでもよい。このようなアプリケーションチップの例としては、米国メイン州ギルフォード所在のPuritan(登録商標)Medical Products LLC Companyが製造している自動含浸スワブを備えたアプリケーションチップ(カスタム充填有無。製品番号4545および4620)が挙げられる。www.puritanmedproducts.comを参照のこと。
【0048】
処置キットの部品のすべてではないとしても大半が、単回使用に適する(すなわち、ディスポーザブル材料から形成されている)ことが好ましい。例えば、図20〜24に示すように、装置はディスポーザブル材料から形成され、ディスポーザブル光ファイバが導波路14として機能しうる。図28を参照すると、導波路14は、コネクタ46を介して光源20(図28に図示なし)に接続されうる。コネクタ46は、光源20に接続する光源アダプタ48を有する。更にコネクタ46は、導波路14に着脱自在に取り付けられるように設計された導波路アダプタ50も備える。コネクタ46は、図25に示すように、任意選択で光源アダプタ48と導波路アダプタ50間に連通手段52(例えばケーブル等)を有してもよい。図29〜30に示すように、導波路アダプタ50は、導波路14を着脱自在に取り付け可能にする着脱自在手段54を有する。
【0049】
本発明の他の実施形態では、図31〜32を参照すると、導波路14がホルダ56に内蔵されている。装置(100または200)は、ホルダ56内で導波路14に接続されている。ホルダ56は、任意選択で、(1)光ファイバケーブル(図32〜33に図示なし)を介した導波路14と光源20間の光連通用の連通孔58と、(2)装置への光入力を制御するためのスイッチ60、および/または装置と流体源32間の流体連通用の流体連通手段62(図32に示す)とを備える。
【0050】
本発明は、本発明の装置(上記の100または200)、導波路14、および光源20を備える内腔の光殺菌用処置システムを含む。光源20は、任意選択で光源20のオン/オフ用のフットスイッチを備えてもよい。また、光源20は、任意選択で独立電源を備えてもよい。処置システムは、任意選択で、コネクタ46、ホルダ56、安全ガラス、感光性組成物28、流体源32(アプリケーションチップの有無を問わない)などの部品の1つ以上を更に備えてもよい。
【0051】
体腔の消毒に使用される場合、体と接触する上記の装置(100または200)および/または処置キットおよび処置システムの任意の部品は、生体適合材料から形成されることが好ましい。
【0052】
用途
A.内腔の光殺菌方法
本発明は、内腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップを有する内腔の光殺菌方法を含む。上記方法は、上記の装置100を内腔に挿入するステップと、処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、装置100によって伝達される光を、感光性組成物によって吸収される波長で処置部位に照射するステップと、を更に有する。
【0053】
本発明は、上記の装置200を内腔に挿入するステップと、処置部位に感光性組成物を適用しかつ光を照射するステップとを有し、感光性組成物および光はいずれも、装置200によって処置部位に送達され、光は、処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、感光性組成物によって吸収される波長である内腔の光殺菌方法を更に含む。本発明が使用される場合、流体源が、装置200に感光性組成物を送達し、装置200は、処置領域に所望の照射パターンで光を分配するように構成されている。上記方法は、(1)先に感光性組成物を適用し、次に光を照射するか、または(2)感光性組成物の適用と光照射を同時に行うことによって実施されうる。処置部位に存在する微生物の性質および範囲に応じて、医師が、複数の光照射サイクル(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)を処置部位に適用しても、所望の効果が得られるまで、方法全体が複数回(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)繰り返されてもよい。
【0054】
上記のように、これらの方法に必要な光は、上記の導波路14を介して、光源20によって装置(100または200)に伝達される。体腔の光殺菌に使用される場合、光の照射により、処置部位およびその周囲の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさないことが好ましい。
【0055】
B.MRSA、大腸菌およびE.フェカリスの処置
球形グラム陽性好気性菌であるMRSAは、院内黄色ブドウ球菌感染症の最大50%を占め、世界的にみて、特別集中治療室(critical care units)、集中治療室および総合病院において数十億ドル級の問題となっている。細菌は抗生物質に自然に適応するため、MRSA患者の95%以上は、第一線で使用されている抗生物質に反応しない。特定のMRSA菌株は、現在、バンコマイシン(登録商標)などのグリコペプチド抗生物質に耐性を有し、同疾患に対する最後に残った有効な抗生物質治療が失われてしまった。MRSAがメチシリン、オキサシリン、ペニシリンおよびアモキシシリンなどのほとんどの抗生物質に耐性であるため、光殺菌が望ましい代替の処置方法である。
【0056】
下記の実施例I〜IIIに示すように、本発明によって考察される方法を使用する光殺菌処置は、MRSAや他の微生物(例えば大腸菌、E.フェカリスなど)を殺菌するのに有効である。本発明は、MRSA、大腸菌および/またはE.フェカリスを処置するために、MRSA、大腸菌および/またはE.フェカリスの菌が存在する体腔内の処置部位に、メチレンブルーを含む感光性組成物を適用するステップを有する方法を含む。メチレンブルーの濃度は、約0.001重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約0.5重量%、更に好ましくは約0.02重量%〜0.1重量%、最も好ましくは約0.1重量%であることが好ましい。光照射の前に、感光性組成物が、少なくとも約1秒間、より好ましくは少なくとも約5秒間、更に好ましくは少なくとも約10秒間、最も好ましくは約10秒〜30秒、処置部位に接触されることが好ましい。
【0057】
上記方法は、好ましくは約650nm〜685nm、より好ましくは約660nm〜約680nm、最も好ましくは約665nm〜約675nmの波長範囲で光を処置部位に適用するステップを更に有する。メチレンブルー濃度および光源のパワーに応じて、処置部位への光照射は、短時間でよいこともあり、例えば、約15秒〜約5分未満、好ましくは約15秒〜約2分、より好ましくは15秒〜約90秒、最も好ましくは約30秒〜60秒である。各光照射サイクル中に供給される光エネルギーの範囲は、好ましくは約1J/cm2〜約25J/cm2、より好ましくは約5J/cm2〜約20J/cm2、最も好ましくは約6J/cm2〜約12J/cm2である。処置部位に存在するMRSA、大腸菌および/またはE.フェカリスの性質および範囲に応じて、医師が、複数の光照射サイクル(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)を処置部位に適用してもよく、この結果、処置部位に印加される合計の累積光エネルギーが、各サイクル中に供給される光エネルギーよりも実質的に上昇しうる。また、処置部位に存在する微生物の性質および範囲に応じて、所望の効果が得られるまで、方法全体が複数回(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)繰り返されてもよい。処置部位に適用されるメチレンブルーの濃度、波長および/または合計の累積光エネルギーを選択することで、本発明の方法によって、処置部位において標的微生物の約90%超、より好ましくは95%超、最も好ましくは99%超の殺菌が可能となることが好ましい。また、処置部位への光照射が、処置部位および/またはその周囲の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさないことが好ましい。
【0058】
光の照射は、本発明の装置(100または200)および処置システム、譲受人共通の国際公開第2006/115761号パンフレットに開示の光学プローブ、カナダ国バンクーバー所在のOndine Biopharma Corporation(www.ondinebiopharm.comを参照のこと)によって製造されているPeriowave(登録商標)レーザ光システム、および技術開示された他の適切な光伝達装置および/またはシステムによって伝達されうる。国際公開第2006/115761号パンフレットをあらゆる目的のために、ここに参照により援用する。
【0059】
C.鼻の微生物のコロニーの除去方法
鼻腔は微生物の活動部位となることがあり、微生物の多くのコロニーが外鼻孔に常在する。MRSAはこのような微生物の例である。外鼻孔への照射により、MRSAおよび他の微生物の光殺菌が可能となる。本発明は、MRSAおよび他の微生物の蔓延を抑制するために使用することができる。
【0060】
本発明は、鼻腔の外鼻孔に感光性組成物を適用するステップを有する鼻の微生物のコロニーの除去方法を含む。上記方法は、鼻腔に上記の装置100を挿入するステップと、外鼻孔に存在する微生物を抑制または除去するために、光を、感光性組成物によって吸収される波長で、装置100を介して外鼻孔に照射するステップと、を更に有する。
【0061】
本発明は、鼻腔に上記の装置200を挿入するステップと、外鼻孔に感光性組成物を適用しかつ光を照射するステップと、を有し、感光性組成物および光はいずれも、装置200によって外鼻孔に送達され、外鼻孔に存在する微生物を抑制または除去するために、光は感光性組成物によって吸収される波長である鼻の微生物のコロニーの除去方法を更に含む。上記方法は、(1)先に感光性組成物を適用し、次に光を照射するか、または(2)感光性組成物の適用と光照射を同時に行うことによって実施されうる。
【0062】
任意選択で、上記方法は、光照射の前に、感光性組成物を、少なくとも約1秒間、より好ましくは少なくとも約5秒間、更に好ましくは少なくとも約10秒間、最も好ましくは約10秒〜30秒、処置部位に接触させるステップを有してもよい。
【0063】
感光性組成物に含まれる光増感剤の濃度および光源のパワーに応じて、外鼻孔への光照射は、短時間でよいこともあり、例えば、約15秒〜約5分未満、好ましくは約15秒〜約2分、より好ましくは30秒〜約90秒、最も好ましくは約30秒〜60秒である。各光照射サイクル中に供給される光エネルギーの範囲は、好ましくは約1J/cm2〜約25J/cm2、より好ましくは約5J/cm2〜約20J/cm2、最も好ましくは約6J/cm2〜約12J/cm2である。外鼻孔に存在する微生物の性質および範囲に応じて、医師が、複数の光照射サイクル(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)を外鼻孔に適用してよく、この結果、処置部位に印加される合計の累積光エネルギーが、各サイクル中に供給される光エネルギーよりも実質的に上昇しうる。また、処置部位に存在する微生物の性質および範囲に応じて、所望の効果が得られるまで、方法全体が複数回(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)繰り返されてもよい。処置部位に適用される光増感剤の濃度、波長および/または合計の累積光エネルギーを選択することで、本発明の方法によって、外鼻孔において標的微生物の約90%超、より好ましくは95%超、最も好ましくは99%超の殺菌が可能となることが好ましい。また、外鼻孔への光照射により、外鼻孔または鼻腔および/またはその周囲の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさないことが好ましい。
【0064】
上記のように、鼻腔の光殺菌用装置(100または200)によって伝達される所望の照射パターンは、光分散部18の表面仕上げ、光分散部18の幾何学構造、部材10の外面の表面仕上げ、部材10の幾何学構造、およびこれらの組み合せからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される。また、これらの方法に必要な光は、光源20によって導波路14を介して装置(100または200)に伝達される。上で説明したように、導波路16の先端部16の表面仕上げおよび/または幾何学構造は、所望の照射パターンを提供するのを支援しうる。
【0065】
光の照射は、本発明の装置(100または200)および処置システム、譲受人共通の国際公開第2006/115761号パンフレットに開示の光学プローブ、カナダ国バンクーバー所在のOndine Biopharma Corporation(www.ondinebiopharm.comを参照のこと)によって製造されているPeriowave(登録商標)レーザ光システム、および技術開示された他の適切な光伝達装置および/またはシステムによって伝達されうる。国際公開第2006/115761号パンフレットをあらゆる目的のために、ここに参照により援用する。
【0066】
鼻の微生物のコロニーの除去方法は、1つの鼻腔に適用されても、2つの鼻腔に連続的にまたは並行して(例えば、同時に)適用されてもよい。
【0067】
D.外耳炎の処置
外耳炎は、「泳者の耳」とも呼ばれ、外耳道の炎症プロセスである。外耳炎は外耳道の炎症を惹き起こし、一般に、分泌物、かゆみ、および局所的不快感を特徴とする。外耳炎は、耳における耳垢のバリアを低下させ、その結果、水浸しになった皮膚に亀裂を生じることがある。
【0068】
外耳炎は、最も一般的には微生物の感染症(通常細菌および/または真菌)によって惹き起こされる。外耳道は、常在細菌叢を有しており、その防御が破壊されない限り、感染はない。破壊が生じると、通常は緑膿菌および黄色ブドウ球菌(およびMRSA)が優位を占める新しい病原性叢が出現する。外耳炎を惹き起こす最も一般的な真菌類はアスペルギルスおよびカンジダである。過剰の水分(例えば水泳、発汗、高湿度など)、外耳道の外傷、および外耳道への異物(例えば補聴器、綿棒、指の爪、耳栓など)の侵入が、外耳道の自然の防御力を弱め、外耳炎を一般的に促進させる。外耳炎が最適に処置されない場合、特に免疫不全患者において、潜在的に生命にかかわる感染症が周囲組織(例えば乳様突起または側頭骨)に広がることがある。
【0069】
外耳炎の従来の治療では、通常、酸と共に、局所的に抗生物質および/または抗真菌薬(通常は、点耳剤などの液状)が使用される。また、外耳道の炎症および浮腫を軽減し、症状を迅速に消散させるために、ステロイドが添加されることもある。一般に、外耳炎が長引く場合には、経口抗生物質が投与されることもある。推奨される治療は若干は変わるものの、症状が終息したのち(通常5〜7日)3日間、局所的薬剤を投与することが、最も広く推奨されている。しかし、重症感染患者では、10〜14日の治療が必要となることもある。不都合な点として、回復期間中に、患者が再感染を受けやすく、慢性外耳炎が起こることがある。
【0070】
局所的抗生物質に対する感作が起こることがある。1970年代には、局所的感作が慢性外耳炎患者の約8%で認められた。1980年代にはこの発生率は16%に倍増し、1990年代には、発生率が再び倍増し30〜35%となった。皮膚感作の発生率は、明らかに最近30年は、10年ごとに倍増しているが、これは、おそらくネオマイシン含有点滴剤に対する広範囲にわたる曝露の結果であると思われる。Billings,Kathleen R.(2006年3月21日)、Ototopical Antibiotics、http://www.emedicine.com/ent/topic362.htmを参照のこと。
【0071】
本発明は、最初に耳腔内の処置部位に感光性組成物を適用することによって外耳炎の処置方法を提供する。図37を参照すると、耳腔内の処置部位64は、ここでは、外耳炎が存在する領域であると定義され、通常は外耳および外耳道であるが、鼓膜が含まれてもよい。
【0072】
一実施形態では、感光性組成物はメチレンブルーを含む。例えば、下記の実施例I〜VI参照。別の実施形態では、感光性組成物はトルイジンブルーを含む。下記の実施例VII参照。メチレンブルーおよび/またはトルイジンブルーのいずれかの濃度は、約0.001重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約0.5重量%、更に好ましくは約0.02重量%〜0.1重量%、最も好ましくは約0.1重量%であることが好ましい。
【0073】
外耳炎の処置方法は、処置部位64において微生物を抑制または除去するか、炎症を緩和させるか、この両方を行うために、光を、感光性組成物によって吸収される波長で処置部位に照射するステップを更に有する。微生物とは、外耳炎に寄与しこれを惹き起こす、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、MRSA、アスペルギルス、カンジダ等を含む任意の細菌および/または真菌類を含むものと定義されるが、これらに限定されない。光の照射は、(1)本発明の装置(100または200)および処置システム(図41に示すものなど)、(2)譲受人共通の国際公開第2006/115761号パンフレットに開示の光学プローブ(図38および39に示すものなど)、(3)Periowave(登録商標)レーザ光システム、および(4)技術開示された他の適切な光伝達装置および/またはシステムによって伝達されうる。
【0074】
上記のように、耳腔の光殺菌用装置(100または200)によって伝達される所望の照射パターンは、光分散部18の表面仕上げ、光分散部18の幾何学構造、部材10の外面の表面仕上げ、部材10の幾何学構造、およびこれらの組み合せからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される。また、これらの方法に必要な光は、光源20によって導波路14を介して装置(100または200)に伝達される。上で説明したように、導波路16の先端部16の表面仕上げおよび/または幾何学構造は、所望の照射パターンを提供するのを支援しうる。
【0075】
メチレンブルーの実施形態では、波長は、好ましくは約650nm〜685nm、より好ましくは約660nm〜約680nm、最も好ましくは約665nm〜約675nmの範囲にある。トルイジンブルーの実施形態では、波長は、約600nm〜670nm、好ましくは約620nm〜約650nmの範囲にある。
【0076】
感光性組成物28の濃度および光源20のパワーに応じて、処置部位64への光照射は、短時間でよいこともあり、例えば、約15秒〜約5分未満、好ましくは約15秒〜約2分、より好ましくは30秒〜約90秒、最も好ましくは約30秒〜60秒である。各光照射サイクル中に供給される光エネルギーは、約1J/cm2〜約25J/cm2、より好ましくは約5J/cm2〜約20J/cm2、最も好ましくは約6J/cm2〜約12J/cm2の範囲が好ましい。処置部位に存在する微生物の性質および範囲に応じて、医師が、複数の光照射サイクル(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)を処置部位に適用してよく、この結果、処置部位に印加される合計の累積光エネルギーが、各サイクル中に供給される光エネルギーよりも実質的に上昇しうる。また、処置部位に存在する微生物の性質および範囲に応じて、所望の効果が得られるまで、方法全体が複数回(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)繰り返されてもよい。処置部位に適用される光増感剤の濃度、波長および/または合計の累積光エネルギーを選択することで、本発明の方法によって、処置部位において標的微生物の約90%超、より好ましくは95%超、最も好ましくは99%超の殺菌が可能となることが好ましい。処置部位への光照射が、処置部位および/または耳腔および/またはその周囲の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさないことが好ましい。
【0077】
ここに記載した説明および図は、本発明、その原理、およびその実際的な用途を他の当業者に伝えること意図している。当業者は、本発明を、特定の用途の要件に最も適するように、その数多くの形態を適合させ、適用することができる。したがって、記載する本発明の特定の実施形態は、本発明を網羅したり、限定することを意図するものではない。このため、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるものではなく、添付の特許請求の範囲を参照して、請求項が付与する均等物のすべての範囲に沿って解釈されるべきである。特許出願および公開公報を含む、すべての文献および参考資料の開示内容は、あらゆる目的のために、ここに援用される。
【0078】
本発明に従って示す以下の例は、例示のみを目的としており、本発明を網羅したり、限定することを意図するものではない。
【0079】
実施例I
本発明によって考察される方法を使用する光殺菌処置が、MRSA、エシェリキア・コリ(大腸菌)およびエンテロコッカス・フェカリス(E.フェカリス)に対してインヴィトロで試験され、数秒〜1分で高い殺菌レベルに達した。メチレンブルーを約0.005重量%〜0.1重量%の範囲の各種濃度で含む感光性組成物が、約10秒間、MRSA、大腸菌、およびE.フェカリスの生物膜に適用された。次に、これらの生物膜に、レーザ光システムによって約665nm〜約675nmの波長で、約0秒〜約60秒間、照射された(例えば、累積エネルギレベルが約0J/cm2〜約9J/cm2)。光システムによって使用されたレーザは、パワー約240mWの低強度レーザ、および国際公開第2006/115761号パンフレットに記載の光学プローブを備えたPeriowave(登録商標)システムであった。下記の表2に示すグラフに示すように、少メチレンブルーをなくとも0.02重量%含む感光性組成物、および少なくとも15秒間のレーザ光源による照射を用いた光殺菌処置(例えば、照射エネルギレベルが少なくとも2.25J/cm2)により、MRSAおよび大腸菌が少なくとも3対数(three log)減少した(例えば、MRSA、大腸菌およびE.フェカリスの90%超の低減)。このデータは、MRSA、大腸菌およびE.フェカリスがメチレンブルーおよび低出力レーザによる光殺菌によって事実上除去されたこと、約0.02重量%〜最大約0.1重量%の非験メチレンブルー濃度範囲にわたって細菌の対数(bacterial log)の低減が改善されたことを示す。また、照射前にメチレンブルーと生物膜を比較的短時間(例えば数秒)接触させれば十分であることも示す。
【0080】
【表2】
【0081】
実施例II
多量にコロニー形成されたMRSA菌の1〜4層の生物膜を、メチレンブルーを約0.1重量%の濃度で含む感光性組成物と約10秒間接触させ、その後、Periowave(登録商標)レーザを使用して、約665nm〜約675nmの波長で、約60〜秒間照射した。その後、これらの生物膜、および対照MRSA生物膜(例えば、光殺菌処置を実施しなかったもの)を、0.9重量%の生理食塩水中で一晩培養し、次に、走査型電子顕微鏡(SEM)評価のために10重量%のホルマリン中で固定した。対照MRSA生物膜のSEM写真が図33に示される。図33を、上記の光殺菌処置を実施したMRSA生物膜のSEM写真である図34と比較すると、図34では明らかにMRSAが大幅に減少している。
【0082】
実施例III
多量にコロニー形成されたエシェリキア・コリ(大腸菌)菌の1〜3層の生物膜を、メチレンブルーを約0.1重量%の濃度で含む感光性組成物と約10秒間接触させ、その後、Periowave(登録商標)レーザを使用して、約665nm〜約675nmの波長で、約30〜秒間照射した。その後、これらの生物膜、および対照の大腸菌生物膜(例えば、光殺菌処置を実施しなかったもの)を、0.9%の生理食塩水中で3時間培養し、次に、走査型電子顕微鏡(SEM)評価のために10%のホルマリン中で固定した。対照の大腸菌生物膜のSEM写真が図35に示される。図35を、上記の光殺菌処置を実施した大腸菌生物膜のSEM写真である図36と比較すると、図36では明らかに大腸菌が大幅に減少している。
【0083】
実施例IV
外耳炎の患者に試験を実施した。試験時に、メチレンブルーを約0.01重量%の濃度で含む感光性組成物が、図37に示すように、綿棒を使用して処置部位に適用された。その後、図38〜39を参照すると、Periowave(登録商標)レーザ光システムを使用して、約665nm〜約675nmの波長範囲の光を、処置部位64内に配された感光性組成物に、約3分〜約5分間(1分の反復サイクルを3〜5回)照射した。図40に示すように、多くの患者の外耳炎が改善された。重症外耳炎の患者に対しては、この段落に記載したのと同じプロトコルを使用する追加の処置(例えば約2〜約5回)を、約1週間〜2週間にわたって実施したところ、このような患者の外耳炎も改善された。
【0084】
実施例V
メチレンブルーを約0.1重量%の濃度で含む感光性組成物を外耳炎処置部位に適用する。パワー約80mWのレーザを使用して、約650nm〜約680nmの波長範囲の光を、外耳炎内の処置部位に配された感光性組成物に約6分〜約10分間照射する。外耳炎が改善された。
【0085】
実施例VI
メチレンブルーを約0.001重量%〜約0.1重量%の範囲の濃度で含む感光性組成物を外耳炎の処置部位に適用する。約50mW〜約300mVの範囲のパワーのレーザを使用して、約650nm〜約680nmの波長範囲の光を、処置部位に配された感光性組成物に約1分〜約20分間照射する。外耳炎が改善された。
【0086】
実施例VII
トルイジンブルーを約0.001重量%〜約0.1重量%の範囲の濃度で含む感光性組成物を外耳炎処置部位に適用する。約50mW〜約300mVの範囲のパワーのレーザを使用して、約620nm〜約650nmの波長範囲の光を、外耳炎の処置部位に配された感光性組成物に約1分〜約20分間照射する。外耳炎が改善された。
【0087】
実施例V〜VIIでは、(1)光増感剤濃度と、(2)光殺菌の処置時間および/または光源に必要なパワー量との間にほぼ逆関係が存在することが示された。例えば、光増感剤の濃度が高いと、必要な処置時間が短くなるか、および/または光源出力が低くなる。逆に、光増感剤の濃度が低いと、必要な処置時間が長くなるか、および/または光源出力が高くなる。また、処置時間が短いと、必要な光増感剤の濃度を高くするか、および/または光源出力を高くする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る例示的な装置の断面図。
【図2】図1に示した装置の部材の例示的な一実施形態の側面図。
【図3】図1に示した装置の部材の別の例示的な実施形態の側面図。
【図4】図1に示した装置の部材の更に別の例示的な実施形態の側面図。
【図5】図1に示した装置の部材の別の例示的な実施形態の側面図。
【図6】図1に示した装置の部材の更に別の例示的な実施形態の側面図。
【図7】図1に示した装置のポケットの詳細図。
【図8】図1に示した装置を通る光の例示的な経路を示す図。
【図9】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の例示的な一実施形態の側面図。
【図10】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の別の例示的な実施形態の側面図。
【図11】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の更に別の例示的な実施形態の側面図。
【図12】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の別の例示的な実施形態の側面図。
【図13】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の更に別の例示的な実施形態の側面図。
【図14】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の別の例示的な実施形態の側面図。
【図15】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の更に別の例示的な実施形態の側面図。
【図16】図1に示した装置の別の例示的な実施形態の断面図。
【図17】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の別の例示的な実施形態の側面図。
【図18】本発明に係る別の例示的な装置の断面図。
【図19】例示的な気密キャップを備えた図1に示した装置の側面図。
【図20】本発明に係る別の例示的な装置の断面図。
【図21】本発明に係る更に別の例示的な装置の断面図。
【図22】本発明に係る別の例示的な装置の断面図。
【図23】本発明に係る更に別の例示的な装置の断面図。
【図24】本発明に係る別の例示的な装置の断面図。
【図25】人の手に保持されている導波路によって発光している本発明に係る例示的な装置の図。
【図26】図25に示した装置が患者の鼻腔に配置された状態を示す図。
【図27】図25に示した装置が患者の耳腔に配置された状態を示す図。
【図28】光源用のコネクタを備えた図1に示した装置の側面図。
【図29】図28に示したコネクタの導波路アダプタの詳細図。
【図30】図28に示したコネクタの導波路アダプタの別の詳細図。
【図31】例示的なホルダを備えた本発明に係る例示的な装置の断面図。
【図32】別の例示的なホルダを備えた本発明に係る別の例示的な装置の断面図。
【図33】MRSAのコロニーのSEM写真。
【図34】本発明の原理に係る処置後の図33に示したMRSAのコロニーのSEM写真。
【図35】大腸菌のコロニーのSEM写真。
【図36】本発明の原理に係る処置後の図35に示した大腸菌のコロニーのSEM写真。
【図37】外耳炎を発症しているヒトの耳と外耳道の断面図であり、本発明の原理によって処置部位に配された感光性組成物を示す図。
【図38】本発明の原理に係る例示的な光殺菌装置を追記した、図37と同じ図面。
【図39】光殺菌装置によって伝達される光エネルギーを追記した、図37と同じ図面。
【図40】外耳炎と感光性組成物の図示のない図37と同じ図面。
【図41】本発明の原理に係る別の例示的な光殺菌装置を追記した、図37と同じ図面。
【関連出願の表示】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号第60/796,345号(2006年4月28日出願)の「光殺菌伝達装置(Photodisinfection Delivery Device)」および米国仮出願番号第60/866,897号(2006年11月22日出願)の「外耳炎の処置(Treatment for Otitis Externa)」の優先権主張出願である。
【技術分野】
【0002】
本発明は、内腔(特に体腔)内の微生物を抑制または除去するための光殺菌装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
感染性微生物の発生源は、我々の環境に広く存在する。体腔は、自然の状態では、莫大な数の微生物がコロニーを形成しており、これらは、通常、正常な代謝と欠陥のない(intact)免疫系によって抑制されている。
【発明の開示】
【0004】
免疫系が破壊されると、微生物が感染症を惹き起こす。通常、このような感染症の治療に抗生剤が使用されるが、多くの微生物が抗生物質治療に耐性となっている。したがって、抗生剤を使用せずに感染症を治療し、体腔に常在する微生物のコロニーを除去する(decolonize)ことが求められている。
【0005】
抗生剤を使用せずに感染症を治療し、体腔に常在する微生物のコロニーを除去することに対するニーズは、光殺菌によって満たすことができる。光殺菌とは、微生物を抑制または除去するために、光によって活発化される感光性組成物を使用することを指す。本発明は、光殺菌が望ましい体腔を含む任意の内腔において、感光性組成物を送達および/または活発化するために使用できる装置、キット、システムおよび方法を提示する。本発明は、ヒトおよび他の動物に使用することができる。また、本発明は、無生物の光殺菌にも使用することもできる。
【0006】
本発明は、内腔の光殺菌用装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットと、を有する部材を有し、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される装置を提供する。
【0007】
更に、本発明は、内腔の光殺菌用処置システムであって、装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットと、を有する部材を有する装置と、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記導波路と、前記光源と、を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、前記導波路の先端部の表面仕上げ、前記導波路の幾何学構造およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される処置システムを提供する。
【0008】
本発明は、内腔の光殺菌用処置キットであって、装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットと、を有する部材を有し、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される装置と、流体源に収容された感光性組成物と、アプリケーションチップと、を有する処置キットを提供する。
【0009】
更に、本発明は、内腔の光殺菌方法であって、装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有する装置を提供するステップであって、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、前記導波路の先端部の表面仕上げ、前記導波路の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供され、前記内腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、前記内腔に前記挿入部の少なくとも一部を挿入するステップと、前記処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、前記装置によって前記光源から前記導波路を介して伝達される光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で、前記内腔内の前記処置部位に照射するステップと、を有する方法を提供する。
【0010】
本発明は、鼻の微生物のコロニーの除去装置であって、基部、鼻腔に挿入するように適合され、リブを有する表面仕上げを有する挿入部、導波路との連通に適合され、頂点円錐を有する半球の幾何学構造を有する光分散部を有するポケットを有する装置を提供する。
【0011】
更に、本発明は、鼻の微生物のコロニーの光殺菌方法であって、基部と、前記鼻腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有する装置を提供するステップであって、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合され、頂点円錐を有する半球の幾何学構造を有する光分散部を有し、前記鼻腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、前記鼻腔に前記挿入部の少なくとも一部を挿入するステップと、前記処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、前記装置によって前記光源から前記導波路を介して伝達される光を、前記鼻腔内の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさずに、前記感光性組成物によって吸収される波長で、前記内腔内の前記処置部位に照射するステップと、を有する方法を提供する。
【0012】
更に、本発明は、外耳炎の処置方法であって、外耳炎を惹き起こす微生物が存在する耳腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、前記内腔に光伝達装置の少なくとも一部を挿入するステップと、前記耳腔内の宿主組織に生理学的損傷を生じさせずに、前記処置部位において前記微生物を抑制または除去するか、炎症を緩和させるか、この両方を行うために、光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で前記処置部位に照射するステップと、を有し、前記光は前記光伝達装置によって前記処置部位に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通しており、前記光照射ステップが前記耳腔内の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさない方法を提供する。
【0013】
更に、本発明は、鼻の微生物のコロニーの除去方法であって、外鼻孔にメチレンブルーを含む感光性組成物を適用するステップと、前記鼻腔に光伝達装置の少なくとも一部を挿入するステップと、前記鼻腔内の宿主組織に生理学的損傷を生じさせずに、約650nm〜680nmの波長範囲で前記外鼻孔に光を照射するステップと、を有し、前記光は前記光伝達装置によって前記外鼻孔に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通しており、前記鼻のコロニー除去によって前記外鼻孔の前記微生物の90%超が除去される方法を提供する。
【0014】
本発明は、MRSA、大腸菌、およびE.フェカリスの処置方法であって、前記MRSA、大腸菌および/またはE.フェカリスが存在する前記処置部位にメチレンブルーを含む感光性組成物を適用するステップと、約650nm〜680nmの波長範囲で前記処置理部位に光を照射するステップと、を有し、前記光は前記光伝達装置によって前記処置部位に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通しており、前記処置部位の前記MRSA、大腸菌および/またはE.フェカリスの90%超が除去される方法を提供する。
本発明の各種特徴および態様は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、図面などを読むことで明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
I.定義
以下の用語は、ここに使用される場合、以下の一般的な意味を有することとする。
【0016】
体腔:耳、鼻、膣、肺、消化管全体(例えば、咽頭、食道、胃、腸、直腸等)、胆嚢、膀胱、任意の開放創など、体内の任意の内腔。体腔は、人体または他の動物の体内に存在しうる。
【0017】
光:感光性組成物によって吸収可能な任意の波長の光。このような波長には、紫外光(UV)、可視光、赤外光(近赤外、中赤外および遠赤外)などの連続電磁スペクトルから選択される波長が含まれる。波長は、一般に約100nm〜10,000nmであり、例示の範囲は約160nm〜1600nm、約400nm〜約900nm、および約500nm〜約850nmであるが、波長は、使用する特定の感光性化合物および光強度に応じて変わりうる。用途に応じて、発生させる光は、単波長でも複数波長でもよい。光は、レーザ、発光ダイオード(「LED」)、アーク灯、白熱源、蛍光源、ガス放電管、熱源、光増幅器など、技術開示された適切な発光素子であれば、どのようなものによっても発生させることができる。
【0018】
光源:レーザ、発光ダイオード(LED)、アーク灯、白熱源、蛍光源、ガス放電管、熱源、光増幅器などの発光素子、またはこれらの組み合わせ。好ましくは、光源の出力は、術者が、本法を実施中に、波長、パワー出力、照射のサイズまたはこれらの組み合せを変更することができるように調節可能である。例えば、感光性組成物中の異種の光増感剤を活発化するために、レーザの波長が調整されてもよい。別の実施形態では、処置領域への光エネルギーの印加後に、光源のパワーが増減されてもよい。更に、光源が、処置領域内またはその周囲の宿主組織の過度の加熱を防止するために温度監視装置を備えてもよい。適切な温度監視装置には、赤外線装置、光ファイバ装置、熱電対またはこれらの組み合わせなどが含まれうる。
【0019】
細菌:ウイルス、真菌類、グラム陰性菌、グラム陽性菌などを含む細菌などのあらゆる病気に関係する微生物。微生物の例の一部として、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、エシェリキア・コリ(大腸菌)、エンテロコッカス・フェカリス(E.フェカリス)、緑膿菌、アスペルギルス、カンジダなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
感光性組成物:特定の波長の電磁エネルギーの照射時に、少なくとも抗菌作用を有する少なくとも1種類の適切な技術開示された光増感剤を含む組成物。適切な光増感剤には、I型光増感剤およびII型光増感剤が含まれ、I型光増感剤は、光の照射によりフリーラジカルを発生し、II型光増感剤は、光の照射により一重項酸素を発生する。その他の動作モード(例えば熱の発生など)を示す光増感剤が考えられるが、上で説明したタイプが好ましい。抗菌性光増感剤として使用することができる化合物の適切なクラスには、ポルフィリン、クロリン、バクテリオクロリン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、テキサフィリン、ベルジン、プルプリンまたはフェオフォルビド、フェノチアジンなどのテトラピロールまたはその誘導体が含まれ、例えば、米国特許第6,211,335号、第6,583,117号、および第6,607,522号明細書、ならびに米国特許出願公開第2003/0180224号明細書に記載されたものなどがある。好ましいフェノチアジンには、メチレンブルー(MB)、トルイジンブルー(TBO)および米国特許出願公開第2004/0147508号明細書に記載されているものが含まれる。その他の好ましい抗菌性光増感剤には、インドシアニングリーン(ICG)が含まれる。また、MBとTBOなどの2種類以上の光増感剤の組み合せも適切である。光増感剤組成物中に存在する光増感剤の量は、適切であればどのような量でもよい。例えば、総重量の約0.001パーセント(重量%)〜10重量%、約0.005重量%〜約1重量%、約0.01重量%〜約0.5重量%、および約0.02重量%〜約0.1重量%である。感光性組成物には任意選択で治療薬が含まれてもよく、治療薬は、状態を改善するのを助ける任意の化学物質、薬物、薬剤、タンパク質分子、核酸、脂質、抗体、抗原、ホルモン、栄養補給剤、細胞またはこれらの任意の組み合わせである。好ましい治療薬には、傷の治癒を促進するもの、抗菌作用を有するもの、消炎作用を有するもの、および/または鎮痛作用を有するものが含まれる。また、感光性組成物は、光増感剤、または組成物の他の成分のための担体、希釈剤またはその他の溶媒を任意選択で含んでいてもよく、光増感剤の濃度を調整するために使用されうる。感光性組成物は、液体、ゲル、ペースト、パテまたは固体など、任意の適切な相であってもよい。好ましくは、組成物は、処置部位に流れ込むのに十分低いが、処置部位内に組成物を留めておくのに十分高い粘性を有する。更に、処置部位で溶解するかまたは溶液に変化するなどの、処置部位への適用後に液体化する組成物も考えられる。別の実施形態では、組成物が、液体として処置部位に適用した後にゲル化してもよい。この場合、組成物が処置部位をほぼ覆うことが可能であり、組成物が処置部位に保持される。上で説明した光増感剤は例であり、いかなる形であれ本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0021】
例示的な装置の説明
A.鼻腔の光殺菌用装置
【0022】
図1は、本発明に係る装置100の例示的な実施形態を示す。装置100は、ヒトの鼻腔を含む内腔の光殺菌を可能にする。多数の微生物のコロニーが、鼻腔の入口(すなわち外鼻孔)の周囲に常在している。装置100は、外鼻孔の周囲に所望の照射パターンおよび/または最適化された照射パターンを提供することによって、鼻腔(すなわち外鼻孔)の所望の表面積を照射することができる。
【0023】
図1を再び参照すると、装置100は、基部11と、体腔(例えば外鼻孔)への挿入に適合された挿入部分13とを有する部材10を備える。患者に損傷を与えるおそれのないように、少なくとも挿入部分13は、鋭利な角および/または鋭角を有さないことが好ましい。部材10は、照射波長に対して透過性または半透過性を有する適切な技術開示された材料であれば、どのようなものから形成されてもよい。このような材料の例として、プラスチック、エポキシ、ガラスまたは他の任意の適切な生体適合材料がある。例えば、部材10は、ポリカーボネート、アクリルまたはポリ(メタクリル酸メチル)から形成されうる。装置100の照射パターンは、部材10の幾何学構造および/または表面仕上げの影響を受ける。例えば、部材10は、光殺菌中に照射パターン(例えば光散乱等)を変えるために、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、含有物、顔料、マイクロスフェア、切り子面、エンボスパターンまたはこれらの組み合わせ等の適切な技術開示された表面仕上げを有しうる。図2〜6は、代替的な部材10の例の一部を示す。
【0024】
部材10は、図1に光ファイバとして示した導波路14との連通に適合されたポケット12を有する。光ファイバは、プラスチックファイバ、プラスチッククラッドグラスファイバ、グラスファイバ等の適切な技術開示された光ファイバであれば、どのようなものでもよい。光ファイバは、任意の適切な径を有しうる。適切なファイバの径の例には、直径約3mm超、直径約1.5mm〜約3mm、直径約1.5mm〜400μm、直径約1mm〜400μm、直径約400μm未満、および直径約200μm未満の光ファイバが含まれる。また、導波路14として複数のファイバを使用してもよい。必要に応じて、複数のファイバは、1つの終端の代わりに、部材10内で複数の終端を有していてもよい。導波路14は、技術開示された手段を介して部材10に取り付けられうる。例えば、ポケット12は、導波路14を握持する特徴(例えば、導波路14を挿入させるが、導波路14の抜去に抵抗する内向きの尖った歯、ねじ山など)を有しうる。また、導波路14が、接着剤、機械的変形(例えば圧着、ヒートステーキング)、摩擦などによって保持されてもよい。更に、導波路14が、部材10に着脱自在に取り付けられるように設計されていてもよい。例えば、導波路14の端部が、何らかのタイプのフェルールに収容されていてもよい。フェルールは、セラミック、金属などの任意の適切な技術開示された材料から形成することができる。フェルールは、恒久的に取り付けられていても、着脱自在でもよい。フェルールは、導波路14の一部でも、部材10の一部でもよい。限定するものではないが、取り外しが必要となるまで導波路14を保持するために、各種の螺合または「ツイスト−ロック(twist and lock)」バイオネットを使用してもよい。
【0025】
導波路14は、その先端部16に光の指向性出力を有しており、光殺菌に要求される照射波長を伝達することができる。一般に、導波路14は、可視光と不可視光を含む任意の波長の光を伝達するために使用することができる。例えば、導波路14は、深紫外〜遠赤外間、および/または深紫外〜遠赤外を含む波長の光を伝達するために使用することができる。波長は、一般に約100nm〜10,000nmであり、代表的な範囲は約160nm〜1600nm、約400nm〜約800nm、および約500nm〜約850nmであるが、波長は、使用する特定の光感作性化合物および光強度に応じて変わりうる。用途に応じて、生成される光は、単波長でも複数波長でもよい。また、所望の照射パターンに応じて、導波路の先端部16は、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、含有物、顔料、マイクロスフェア、切り子面、エンボスパターンまたはこれらの組み合わせ等の表面仕上げを有し、例えば平坦、凹円錐形または凸円錐形(完全円錐から切頭円錐までのすべての変形例を含む)、頂点円錐(apex cone)を有する半球、またはこれらの組み合わせなどの、広い範囲の異なる幾何学構造を有してもよい。
【0026】
図1のポケット12は、図7に更に詳細に図示されている。ポケット12の先端部15の光分散部18は、光殺菌に要求される照射パターンの提供を支援しうる。例えば、鼻腔の場合、分散部18の一実施形態は、図8に示すような照射パターンを可能にする円錐形状である。図8には、装置100の先端部に伝達する光と比較した、内腔の開口の近くで漏出している光のバランスが示されている。図7を再び参照すると、光分散部18は、光の再分配を改善するか、照射パターンを変更するか、この両方を更に行うことができる表面仕上げを有してもよく、これには、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、顔料、マイクロスフェア、フレネル素子、屈折素子、反射素子、切り子面、エンボスパターンまたはこれらの組み合わせなどがある。光分散部18の表面仕上げおよび幾何学構造、導波路の先端部16の表面仕上げおよび幾何学構造、ならびに部材10の表面仕上げおよび幾何学構造は、すべて、所望の照射パターンを提供するために連携している。
【0027】
異なる幾何学構造を有する光分散部18の例が、図9〜15に示される。図9は、ポケット深さ(導波路の先端部16とポケットの先端部15間の距離として定義される)が約0.01mm、初期半径が約0.51mm、および最終半径が約0.51mmである(すなわち、初期半径と最終半径がほぼ同じである)。この幾何学構造は、図9に示すような平坦な形状を与える。光分散部18のこの幾何学構造は、光の方向転換を、あるとしてもほとんど起こさず、このため、照射パターンが導波路14、および部材10内の他の要因および/または素子によって決定される。図10は、ポケット深さが約0.05mm、初期半径が約0.51mm、および最終半径が約0.4mmである(すなわち、初期半径が最終半径よりわずかに大きい)。この幾何学構造は、図10に示すような切頭円錐形状を与える。図11は、ポケット深さが約0.1mm、初期半径が約0.2mm、および最終半径が約0.0001mmである(すなわち、初期半径が最終半径よりはるかに大きい)。この幾何学構造は、図11に示すような小さな円錐形状を与える。図12は、ポケット深さが約0.25mm、初期半径が約0.25mm、および最終半径が約0.0001mmである(すなわち、初期半径が最終半径よりはるかに大きい)。この幾何学構造は、図12に示すような小さな完全円錐形状を与える。図13は、ポケット深さが約0.2mm、初期半径が約0.51mm、および最終半径が約0.3mmである(すなわち、初期半径が最終半径より大きい)。この幾何学構造は、図13に示すような大きな切頭円錐形状を与える。図14は、ポケット深さが約0.3mm、初期半径が約0.51mm、および最終半径が約0.001mmである(すなわち、初期半径が最終半径よりはるかに大きい)。この幾何学構造は、図14に示すような完全円錐形状を与える。図15は、ポケット深さが約0.2mm、初期半径が約0.51mm、および最終半径が約0.3mmである(すなわち、初期半径が最終半径より大きい)。この幾何学構造は、図15に示すような中くらいの大きさの切頭円錐形状を与える。
【0028】
光分散部18の幾何学構造が変化する(この場合、図9〜15に示すように形状がより円錐状となる)と、装置100の対応する照射パターンも変化する(この場合、部材10の基部11に近いほうが光の強度が大きくなる)。部材10の基部11に近いほうが光の強度が大きくなると、内腔の開口(例えば外鼻孔、耳腔の開口など)の照射が多くなる。
【0029】
上記のように、本発明は、内腔の光殺菌に望ましい照射パターンおよび/または最適化された照射パターンを提供するために、光分散部18の幾何学構造および/または表面仕上げを操作する。内腔における所望の光殺菌用途(例えば内腔内の微生物の位置)に応じて、光分散部18の幾何学構造は、内腔の光殺菌のための所望の照射パターンおよび/または最適化された照射パターンを提供するために、平坦、凹円錐形または凸円錐形(完全円錐から切頭円錐までの全ての変形例を含む)、頂点円錐を有する半球、またはこれらの組み合わせなどの、さまざまな技術開示された形状に適合されうる。更に、光分散部18および/またはポケット12は、光殺菌中に所望の照射パターンおよび/または最適化された照射パターンを提供するために、表面仕上げ(例えば、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、顔料、マイクロスフェア、フレネル素子、屈折素子、反射素子、切り子面、エンボスパターンまたはこれらの組み合わせ等)を有してもよい。
【0030】
図16に、装置100の別の実施形態が示される。本実施形態では、部材10の挿入部13は、挿入部13の長さに照射が均一に分散されるように支援するリブ19を備える。光分散部18の幾何学構造は、図17に更に詳細に示す頂点円錐22を有する半球21を含む。半球21は、導波路14を出るゆるやかに広がる光を、わずかに高角に変換するように支援し、挿入部13の先端部26だけではなく、先端部26の全体の側壁が発光するようにする。頂点円錐22は、これがなければ先端部26のみを照射する低角の光を方向転換する。光は高角に方向転換され、挿入部13の側壁を照射し、処置部の光出力量が上昇する。処置部位は、光出力が求められる部材10の領域である。一例では、半球21は半径が約0.5mmである。頂点円錐22は、高さが約0.175mm、基部半径が約0.3mmを有する。挿入部分13の各リブ19は、くさび角23で形成される。一実施形態では、図18に示すように、くさび角23は、約17°であり、リブ幅24は、約0.48mm〜約0.50mmの範囲にある。別の実施形態では、くさび角23は連続的に可変であり、光源20から送られる平均光線が垂直入射となる。くさび角23のその他の例として、約13°〜約33°、約15°〜約24°の範囲が挙げられる。リブ幅のその他の例として、約1.5mm〜約0.25mm、約0.45mm〜約0.55mmが挙げられる。
【0031】
リブ19は、部材の中心線25を中心として回転される。各リブ19のくさび角23は、挿入部13の側壁に当たる平均光線が、垂直入射出力面に当たり、大きな屈折または方向転換を起こさずに出射されるように設定される。各リブ19のもう一方の面は、内部散乱の量を最小化し、処置部位の光量出力を最大化するように、平均光線角度と平行となるように選択される。リブ19は、部材10の周囲の媒体の屈折率を問わず、光が、所望のパターンで処置部位に出射されるという別の利点も有する。
【0032】
リブ19を有する装置100は、下記のグラフに示すように、光が、基部11から挿入部13の長さにほぼ均一に分散されるため、外鼻孔の光殺菌により最適化された照射パターンを提供することができる。下記のグラフは、リブ19を有する装置100(リブ付の壁)と、リブ19なし(平滑な壁)との差を示す。下記の表1に示されるグラフは、リブ15を有する実施形態120が、特定の部分(例えば、挿入部13の基部25から約5mm18mm)に関して、より高く、かつより均一な照射(相対光)出力を提供することを示している。
【0033】
【表1】
【0034】
図1を再び参照すると、光源20は、導波路14に接続されており、光が光源20から導波路14を介して装置100に伝達されるようになっている。光源20は、導波路14と連通している1つ以上の別個のユニットであってもよい。別法では、光源20が、部材10に直接組み込まれていてもよい。一般に、光源20と導波路14は、可視光と不可視光を含む任意の波長の光を伝達するために使用される。例えば、光源20と導波路14は、深紫外〜遠赤外間、および/または深紫外〜遠赤外を含む波長の光を伝達するために使用することができる。一実施形態では、光源20は、一度に1つの波長を供給することができる。別の実施形態では、光源20は、一度にまたは逐次的に2つ以上の波長を供給することができる。
【0035】
図18は、装置100の別の実施形態を示す。部材10は、プラスチックから形成され、技術開示された射出成形過程によって形成される。導波路14は、低コストのプラスチック光ファイバから形成される。導波路の先端部16はポケット12内に配置され、導波路14の他端は光源20と連通している。導波路の先端部16(図18に図示なし)は、平坦かつ平滑な表面を有する。部材10の基部11は、挿入部13よりも広く、任意選択で、取り扱いを簡単にするハンドルとして機能することができる。また、基部11は、部材10の挿入を所定の位置で阻止するという点で、任意選択でストッパーとしても機能する。基部11は、任意選択で、光殺菌中に、任意の感光性組成物が鼻腔から漏れるのを低減および/または阻止することができる。部材10の挿入部13は、装置100が鼻腔に深く挿入できるようにする一方、平滑な先端部26によって挿入を容易にする。挿入部13は、挿入部13から出る大きく発散する光を集光することができ、挿入部13の前方の鼻腔壁が均一に照射されるようにする。必要に応じて、先端部26は、照射を部材10に反射させるために、任意選択でコーティングされていてもよい。光分散部18は、半角(half angle)が約60°の凹円錐であり、平滑な表面を有する。部材10の表面仕上げおよび外側の形状、導波路の先端部16の表面仕上げおよび幾何学構造、ならびに光分散部18は全て、外鼻孔の周囲に、最適化された照射パターンを含む、導波路14からの照射の大半(全てではなくても)が鼻腔の表面積に確実に伝達されるように、連携している。
【0036】
感光性組成物は、装置100を介してではなく、独立して送達されることが考えられる。例えば、感光性組成物を送達するために、シリンジまたはチューブ−ポンプアセンブリを使用することができる。感光性組成物の処置部位への適用は、技術開示された任意の適切な技術によって行うことができる。適用の方法は、ある程度は感光性組成物の粘性によって決まる。粘性が比較的低い液状の組成物は、適所に噴霧されるが、粘性の高い液体、固体および/またはペーストは、適所にブラシで適用されるか、軽く叩くように塗布される(dabbed)かまたは塗布される。上記組成物の乾燥フィルムが、手によって処置部位に置かれてもよい。
【0037】
光源20および導波路14と結合され、装置100によって鼻腔に伝達される光が、内腔の表面積に常在している感光性組成物28に照射する。装置100によって伝達されるこの光は、内腔内の微生物を消毒、抑制、除去および/または殺菌するために、感光性組成物28を活発化する波長範囲を有する。
【0038】
装置100の作製に選択された材料に応じて、装置100は、使い捨て可能、再使用可能および/または加圧滅菌可能であってもよい。装置100は、無菌環境で包装されうる。例えば、装置100は、図19に示すように、気密キャップ27によってシールされうる。
【0039】
図20は、感光性組成物28の送達を組み込んだ本発明の別の例示的な装置200を示す。当業者が認めるように、この部材および部品は、上に挙げた実施形態と構造および用途が似ている。このため、通常は違いのみを説明するが、類似または同様の部品に関する上の説明とその用途は、以下の実施形態にも当てはまる。装置200は、装置100について説明したすべての部品(例えば10、12、20など)を備える。装置200の部材10は、感光性組成物28の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材30を更に備える。管状部材30は、感光性組成物30を収容している流体源32と流体連通している。この図の例では、流体源32はポンプとして図示されている。流体源32が作動すると、感光性組成物30が、管状部材30を通って管状部材の先端部26にある開口に移動し、鼻腔に放出される。必要に応じて、部材の先端部26の開口部が、任意選択で噴霧(例えばスプレーなど)ノズルを備えていてもよい。
【0040】
図21は、装置200の別の実施形態を示す。この実施形態は、図20に示した装置200と基本的に同じであるが、流体源32がスクイーズバルブであり、部材の先端部26にある管状部材の開口部または孔38が、任意選択の着脱自在の(例えば、ツイストオフ/スナップオフ式の)先端部34によってシールされている点が異なる。装置200は、任意選択で無菌パッケージ36に包装され、図21に示すように使い捨て可能装置として利用可能とされてもよい。
【0041】
図22は、装置200の別の実施形態を示す。この実施形態は、図21に示した装置200と基本的に同じであるが、管状部材30が複数の分岐を有し、複数の孔38により感光性組成物28を分配可能である点が異なる。必要に応じて、複数の孔38のいずれか1つが、任意選択で噴霧ノズルを備えていてもよい。
【0042】
図23は、装置200の別の実施形態を示す。この実施形態は、図21に示した装置と基本的に同じであるが、処置中に装置200を適所に固定するのを支援する保持機構40を有する点が異なる。保持機構40は、部材10の一部であっても、部材10に取り付けられてもよい(例えば柔軟なワイヤ製のばねクランプ)。保持機構40は、不快感を惹き起こさずに内腔に固定する任意の数の人間工学的形状を有しうる。別法では、保持機構40は、処置キットに含まれる単純な接着帯であってもよい。
【0043】
図24は、装置200の別の実施形態を示す。この実施形態は、図21に示した装置200と基本的に同じであるが、部材10と基本的に同じ構造部材を有する追加の部材によって、両方の鼻孔を同時に処置可能であるという点が異なる。別の実施形態は、上で説明した装置100を含むが、部材10と同じ構造部材を有する追加の部材によって、両方の鼻孔を同時に処置可能であるという点が異なる。任意選択で、追加の部材と部材10は、技術開示された取り付け手段を介して相互に取り付けられうる。図24に示す実施形態は、1つの入力導波路14を受け取り、光を複数の部材10に送るための配光マニホルド42を有する。別法では、複数のソース(source)導波路14および/または複数の光源20を使用することができる。
【0044】
図24に示す流体源32は1つのポンプであり、流体分配マニホルド44を介して装置の2つの部材10に取り付けられている。別法では、流体源32として複数のポンプを使用することができる。図24に示す2つの部材10は、共有の導波路14および管状部材30のみによって接続されている。別法では、2つの部材10を互いに対して適所に保持するために、追加の構造部材が使用されてもよい。この構造部材には、処置中に部材10を適所に「クランプする」のを補助するために、2つの部材10が挿入されたときに、わずかな内向きのばね力を提供するための、わずかに内向きの傾きが形成されていてもよい。
【0045】
B.他の内腔の光殺菌用装置
上で説明したように、光殺菌の所望の用途に応じて、ポケット12を含む部材10の幾何学構造および表面仕上げを変更したり、人間工学的要素(ergonomics)および/または照射パターン(例えば配光等)を変更するように適合させることができる。例えば、上記の装置100および/または装置200は、耳、膣、肺、消化管全体(例えば咽頭、食道、胃、腸、直腸等)の体腔および任意の開放創に人間工学的にフィットするように小型化することができる。例えば、部材10を有する装置100(図25を参照)の例示的な実施形態は、鼻腔(図26を参照)だけでなく耳腔(図27を参照)にもフィットするように設計されている。図25〜27には、導波路14からの光も図示されている。別例では、上記の装置100および/または装置200は、胆嚢、膀胱など、侵入または開口が制限されていることがある体腔に侵入できるように更に小型化することができる。当業者が、内腔内の微生物を低減および/または除去させるために、この段落に明示的に挙げられている用途のみならず、数多くのほかの用途に本発明を使用することができることが認められよう。
【0046】
特段の断りのない限り、ここに記載した各種構造の寸法および幾何学構造は本発明を限定することを意図するものではなく、ほかの寸法または幾何学構造も可能である。1つの一体化された構造により、複数の構造構成要素が提供されてもよい。別の実施形態では、1つの一体化された構造が、独立した複数の構成要素に分けられてもよい。更に、本発明の特徴を、図示した実施形態のうちの1つに関して記載したものであっても、所定の用途のために、このような特徴を別の実施形態のほかの特徴の1つ以上と組み合せることができる。また、ここに記載した独自の構造の製造およびその操作も、本発明による方法を構成していることが、上記から理解されよう。処置キットの各種部品が無菌パッケージに収納されていることが好ましい。
【0047】
III.キットおよびシステム
本発明は、装置(上で説明した100または200)、流体源32に収容されている感光性組成物28を備えた体腔の光殺菌用処置キットを含む。処置キットには、任意選択で導波路14が含まれてもよい。処置キットの例が、図20〜24に示される。流体源32は、シリンジ、スクイーズバルブ、またはチューブ−ポンプアセンブリであってもよい。流体源32は、任意選択でアプリケーションチップを更に備える。アプリケーションチップは、感光性組成物28を体腔に送達するために、シリンジ、スクイーズバルブまたはチューブおよびポンプに結合されている。アプリケーションチップは、技術開示されたアプリケーションチップであればどのようなものでもよい。このようなアプリケーションチップの例としては、米国メイン州ギルフォード所在のPuritan(登録商標)Medical Products LLC Companyが製造している自動含浸スワブを備えたアプリケーションチップ(カスタム充填有無。製品番号4545および4620)が挙げられる。www.puritanmedproducts.comを参照のこと。
【0048】
処置キットの部品のすべてではないとしても大半が、単回使用に適する(すなわち、ディスポーザブル材料から形成されている)ことが好ましい。例えば、図20〜24に示すように、装置はディスポーザブル材料から形成され、ディスポーザブル光ファイバが導波路14として機能しうる。図28を参照すると、導波路14は、コネクタ46を介して光源20(図28に図示なし)に接続されうる。コネクタ46は、光源20に接続する光源アダプタ48を有する。更にコネクタ46は、導波路14に着脱自在に取り付けられるように設計された導波路アダプタ50も備える。コネクタ46は、図25に示すように、任意選択で光源アダプタ48と導波路アダプタ50間に連通手段52(例えばケーブル等)を有してもよい。図29〜30に示すように、導波路アダプタ50は、導波路14を着脱自在に取り付け可能にする着脱自在手段54を有する。
【0049】
本発明の他の実施形態では、図31〜32を参照すると、導波路14がホルダ56に内蔵されている。装置(100または200)は、ホルダ56内で導波路14に接続されている。ホルダ56は、任意選択で、(1)光ファイバケーブル(図32〜33に図示なし)を介した導波路14と光源20間の光連通用の連通孔58と、(2)装置への光入力を制御するためのスイッチ60、および/または装置と流体源32間の流体連通用の流体連通手段62(図32に示す)とを備える。
【0050】
本発明は、本発明の装置(上記の100または200)、導波路14、および光源20を備える内腔の光殺菌用処置システムを含む。光源20は、任意選択で光源20のオン/オフ用のフットスイッチを備えてもよい。また、光源20は、任意選択で独立電源を備えてもよい。処置システムは、任意選択で、コネクタ46、ホルダ56、安全ガラス、感光性組成物28、流体源32(アプリケーションチップの有無を問わない)などの部品の1つ以上を更に備えてもよい。
【0051】
体腔の消毒に使用される場合、体と接触する上記の装置(100または200)および/または処置キットおよび処置システムの任意の部品は、生体適合材料から形成されることが好ましい。
【0052】
用途
A.内腔の光殺菌方法
本発明は、内腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップを有する内腔の光殺菌方法を含む。上記方法は、上記の装置100を内腔に挿入するステップと、処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、装置100によって伝達される光を、感光性組成物によって吸収される波長で処置部位に照射するステップと、を更に有する。
【0053】
本発明は、上記の装置200を内腔に挿入するステップと、処置部位に感光性組成物を適用しかつ光を照射するステップとを有し、感光性組成物および光はいずれも、装置200によって処置部位に送達され、光は、処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、感光性組成物によって吸収される波長である内腔の光殺菌方法を更に含む。本発明が使用される場合、流体源が、装置200に感光性組成物を送達し、装置200は、処置領域に所望の照射パターンで光を分配するように構成されている。上記方法は、(1)先に感光性組成物を適用し、次に光を照射するか、または(2)感光性組成物の適用と光照射を同時に行うことによって実施されうる。処置部位に存在する微生物の性質および範囲に応じて、医師が、複数の光照射サイクル(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)を処置部位に適用しても、所望の効果が得られるまで、方法全体が複数回(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)繰り返されてもよい。
【0054】
上記のように、これらの方法に必要な光は、上記の導波路14を介して、光源20によって装置(100または200)に伝達される。体腔の光殺菌に使用される場合、光の照射により、処置部位およびその周囲の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさないことが好ましい。
【0055】
B.MRSA、大腸菌およびE.フェカリスの処置
球形グラム陽性好気性菌であるMRSAは、院内黄色ブドウ球菌感染症の最大50%を占め、世界的にみて、特別集中治療室(critical care units)、集中治療室および総合病院において数十億ドル級の問題となっている。細菌は抗生物質に自然に適応するため、MRSA患者の95%以上は、第一線で使用されている抗生物質に反応しない。特定のMRSA菌株は、現在、バンコマイシン(登録商標)などのグリコペプチド抗生物質に耐性を有し、同疾患に対する最後に残った有効な抗生物質治療が失われてしまった。MRSAがメチシリン、オキサシリン、ペニシリンおよびアモキシシリンなどのほとんどの抗生物質に耐性であるため、光殺菌が望ましい代替の処置方法である。
【0056】
下記の実施例I〜IIIに示すように、本発明によって考察される方法を使用する光殺菌処置は、MRSAや他の微生物(例えば大腸菌、E.フェカリスなど)を殺菌するのに有効である。本発明は、MRSA、大腸菌および/またはE.フェカリスを処置するために、MRSA、大腸菌および/またはE.フェカリスの菌が存在する体腔内の処置部位に、メチレンブルーを含む感光性組成物を適用するステップを有する方法を含む。メチレンブルーの濃度は、約0.001重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約0.5重量%、更に好ましくは約0.02重量%〜0.1重量%、最も好ましくは約0.1重量%であることが好ましい。光照射の前に、感光性組成物が、少なくとも約1秒間、より好ましくは少なくとも約5秒間、更に好ましくは少なくとも約10秒間、最も好ましくは約10秒〜30秒、処置部位に接触されることが好ましい。
【0057】
上記方法は、好ましくは約650nm〜685nm、より好ましくは約660nm〜約680nm、最も好ましくは約665nm〜約675nmの波長範囲で光を処置部位に適用するステップを更に有する。メチレンブルー濃度および光源のパワーに応じて、処置部位への光照射は、短時間でよいこともあり、例えば、約15秒〜約5分未満、好ましくは約15秒〜約2分、より好ましくは15秒〜約90秒、最も好ましくは約30秒〜60秒である。各光照射サイクル中に供給される光エネルギーの範囲は、好ましくは約1J/cm2〜約25J/cm2、より好ましくは約5J/cm2〜約20J/cm2、最も好ましくは約6J/cm2〜約12J/cm2である。処置部位に存在するMRSA、大腸菌および/またはE.フェカリスの性質および範囲に応じて、医師が、複数の光照射サイクル(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)を処置部位に適用してもよく、この結果、処置部位に印加される合計の累積光エネルギーが、各サイクル中に供給される光エネルギーよりも実質的に上昇しうる。また、処置部位に存在する微生物の性質および範囲に応じて、所望の効果が得られるまで、方法全体が複数回(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)繰り返されてもよい。処置部位に適用されるメチレンブルーの濃度、波長および/または合計の累積光エネルギーを選択することで、本発明の方法によって、処置部位において標的微生物の約90%超、より好ましくは95%超、最も好ましくは99%超の殺菌が可能となることが好ましい。また、処置部位への光照射が、処置部位および/またはその周囲の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさないことが好ましい。
【0058】
光の照射は、本発明の装置(100または200)および処置システム、譲受人共通の国際公開第2006/115761号パンフレットに開示の光学プローブ、カナダ国バンクーバー所在のOndine Biopharma Corporation(www.ondinebiopharm.comを参照のこと)によって製造されているPeriowave(登録商標)レーザ光システム、および技術開示された他の適切な光伝達装置および/またはシステムによって伝達されうる。国際公開第2006/115761号パンフレットをあらゆる目的のために、ここに参照により援用する。
【0059】
C.鼻の微生物のコロニーの除去方法
鼻腔は微生物の活動部位となることがあり、微生物の多くのコロニーが外鼻孔に常在する。MRSAはこのような微生物の例である。外鼻孔への照射により、MRSAおよび他の微生物の光殺菌が可能となる。本発明は、MRSAおよび他の微生物の蔓延を抑制するために使用することができる。
【0060】
本発明は、鼻腔の外鼻孔に感光性組成物を適用するステップを有する鼻の微生物のコロニーの除去方法を含む。上記方法は、鼻腔に上記の装置100を挿入するステップと、外鼻孔に存在する微生物を抑制または除去するために、光を、感光性組成物によって吸収される波長で、装置100を介して外鼻孔に照射するステップと、を更に有する。
【0061】
本発明は、鼻腔に上記の装置200を挿入するステップと、外鼻孔に感光性組成物を適用しかつ光を照射するステップと、を有し、感光性組成物および光はいずれも、装置200によって外鼻孔に送達され、外鼻孔に存在する微生物を抑制または除去するために、光は感光性組成物によって吸収される波長である鼻の微生物のコロニーの除去方法を更に含む。上記方法は、(1)先に感光性組成物を適用し、次に光を照射するか、または(2)感光性組成物の適用と光照射を同時に行うことによって実施されうる。
【0062】
任意選択で、上記方法は、光照射の前に、感光性組成物を、少なくとも約1秒間、より好ましくは少なくとも約5秒間、更に好ましくは少なくとも約10秒間、最も好ましくは約10秒〜30秒、処置部位に接触させるステップを有してもよい。
【0063】
感光性組成物に含まれる光増感剤の濃度および光源のパワーに応じて、外鼻孔への光照射は、短時間でよいこともあり、例えば、約15秒〜約5分未満、好ましくは約15秒〜約2分、より好ましくは30秒〜約90秒、最も好ましくは約30秒〜60秒である。各光照射サイクル中に供給される光エネルギーの範囲は、好ましくは約1J/cm2〜約25J/cm2、より好ましくは約5J/cm2〜約20J/cm2、最も好ましくは約6J/cm2〜約12J/cm2である。外鼻孔に存在する微生物の性質および範囲に応じて、医師が、複数の光照射サイクル(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)を外鼻孔に適用してよく、この結果、処置部位に印加される合計の累積光エネルギーが、各サイクル中に供給される光エネルギーよりも実質的に上昇しうる。また、処置部位に存在する微生物の性質および範囲に応じて、所望の効果が得られるまで、方法全体が複数回(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)繰り返されてもよい。処置部位に適用される光増感剤の濃度、波長および/または合計の累積光エネルギーを選択することで、本発明の方法によって、外鼻孔において標的微生物の約90%超、より好ましくは95%超、最も好ましくは99%超の殺菌が可能となることが好ましい。また、外鼻孔への光照射により、外鼻孔または鼻腔および/またはその周囲の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさないことが好ましい。
【0064】
上記のように、鼻腔の光殺菌用装置(100または200)によって伝達される所望の照射パターンは、光分散部18の表面仕上げ、光分散部18の幾何学構造、部材10の外面の表面仕上げ、部材10の幾何学構造、およびこれらの組み合せからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される。また、これらの方法に必要な光は、光源20によって導波路14を介して装置(100または200)に伝達される。上で説明したように、導波路16の先端部16の表面仕上げおよび/または幾何学構造は、所望の照射パターンを提供するのを支援しうる。
【0065】
光の照射は、本発明の装置(100または200)および処置システム、譲受人共通の国際公開第2006/115761号パンフレットに開示の光学プローブ、カナダ国バンクーバー所在のOndine Biopharma Corporation(www.ondinebiopharm.comを参照のこと)によって製造されているPeriowave(登録商標)レーザ光システム、および技術開示された他の適切な光伝達装置および/またはシステムによって伝達されうる。国際公開第2006/115761号パンフレットをあらゆる目的のために、ここに参照により援用する。
【0066】
鼻の微生物のコロニーの除去方法は、1つの鼻腔に適用されても、2つの鼻腔に連続的にまたは並行して(例えば、同時に)適用されてもよい。
【0067】
D.外耳炎の処置
外耳炎は、「泳者の耳」とも呼ばれ、外耳道の炎症プロセスである。外耳炎は外耳道の炎症を惹き起こし、一般に、分泌物、かゆみ、および局所的不快感を特徴とする。外耳炎は、耳における耳垢のバリアを低下させ、その結果、水浸しになった皮膚に亀裂を生じることがある。
【0068】
外耳炎は、最も一般的には微生物の感染症(通常細菌および/または真菌)によって惹き起こされる。外耳道は、常在細菌叢を有しており、その防御が破壊されない限り、感染はない。破壊が生じると、通常は緑膿菌および黄色ブドウ球菌(およびMRSA)が優位を占める新しい病原性叢が出現する。外耳炎を惹き起こす最も一般的な真菌類はアスペルギルスおよびカンジダである。過剰の水分(例えば水泳、発汗、高湿度など)、外耳道の外傷、および外耳道への異物(例えば補聴器、綿棒、指の爪、耳栓など)の侵入が、外耳道の自然の防御力を弱め、外耳炎を一般的に促進させる。外耳炎が最適に処置されない場合、特に免疫不全患者において、潜在的に生命にかかわる感染症が周囲組織(例えば乳様突起または側頭骨)に広がることがある。
【0069】
外耳炎の従来の治療では、通常、酸と共に、局所的に抗生物質および/または抗真菌薬(通常は、点耳剤などの液状)が使用される。また、外耳道の炎症および浮腫を軽減し、症状を迅速に消散させるために、ステロイドが添加されることもある。一般に、外耳炎が長引く場合には、経口抗生物質が投与されることもある。推奨される治療は若干は変わるものの、症状が終息したのち(通常5〜7日)3日間、局所的薬剤を投与することが、最も広く推奨されている。しかし、重症感染患者では、10〜14日の治療が必要となることもある。不都合な点として、回復期間中に、患者が再感染を受けやすく、慢性外耳炎が起こることがある。
【0070】
局所的抗生物質に対する感作が起こることがある。1970年代には、局所的感作が慢性外耳炎患者の約8%で認められた。1980年代にはこの発生率は16%に倍増し、1990年代には、発生率が再び倍増し30〜35%となった。皮膚感作の発生率は、明らかに最近30年は、10年ごとに倍増しているが、これは、おそらくネオマイシン含有点滴剤に対する広範囲にわたる曝露の結果であると思われる。Billings,Kathleen R.(2006年3月21日)、Ototopical Antibiotics、http://www.emedicine.com/ent/topic362.htmを参照のこと。
【0071】
本発明は、最初に耳腔内の処置部位に感光性組成物を適用することによって外耳炎の処置方法を提供する。図37を参照すると、耳腔内の処置部位64は、ここでは、外耳炎が存在する領域であると定義され、通常は外耳および外耳道であるが、鼓膜が含まれてもよい。
【0072】
一実施形態では、感光性組成物はメチレンブルーを含む。例えば、下記の実施例I〜VI参照。別の実施形態では、感光性組成物はトルイジンブルーを含む。下記の実施例VII参照。メチレンブルーおよび/またはトルイジンブルーのいずれかの濃度は、約0.001重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約0.5重量%、更に好ましくは約0.02重量%〜0.1重量%、最も好ましくは約0.1重量%であることが好ましい。
【0073】
外耳炎の処置方法は、処置部位64において微生物を抑制または除去するか、炎症を緩和させるか、この両方を行うために、光を、感光性組成物によって吸収される波長で処置部位に照射するステップを更に有する。微生物とは、外耳炎に寄与しこれを惹き起こす、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、MRSA、アスペルギルス、カンジダ等を含む任意の細菌および/または真菌類を含むものと定義されるが、これらに限定されない。光の照射は、(1)本発明の装置(100または200)および処置システム(図41に示すものなど)、(2)譲受人共通の国際公開第2006/115761号パンフレットに開示の光学プローブ(図38および39に示すものなど)、(3)Periowave(登録商標)レーザ光システム、および(4)技術開示された他の適切な光伝達装置および/またはシステムによって伝達されうる。
【0074】
上記のように、耳腔の光殺菌用装置(100または200)によって伝達される所望の照射パターンは、光分散部18の表面仕上げ、光分散部18の幾何学構造、部材10の外面の表面仕上げ、部材10の幾何学構造、およびこれらの組み合せからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される。また、これらの方法に必要な光は、光源20によって導波路14を介して装置(100または200)に伝達される。上で説明したように、導波路16の先端部16の表面仕上げおよび/または幾何学構造は、所望の照射パターンを提供するのを支援しうる。
【0075】
メチレンブルーの実施形態では、波長は、好ましくは約650nm〜685nm、より好ましくは約660nm〜約680nm、最も好ましくは約665nm〜約675nmの範囲にある。トルイジンブルーの実施形態では、波長は、約600nm〜670nm、好ましくは約620nm〜約650nmの範囲にある。
【0076】
感光性組成物28の濃度および光源20のパワーに応じて、処置部位64への光照射は、短時間でよいこともあり、例えば、約15秒〜約5分未満、好ましくは約15秒〜約2分、より好ましくは30秒〜約90秒、最も好ましくは約30秒〜60秒である。各光照射サイクル中に供給される光エネルギーは、約1J/cm2〜約25J/cm2、より好ましくは約5J/cm2〜約20J/cm2、最も好ましくは約6J/cm2〜約12J/cm2の範囲が好ましい。処置部位に存在する微生物の性質および範囲に応じて、医師が、複数の光照射サイクル(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)を処置部位に適用してよく、この結果、処置部位に印加される合計の累積光エネルギーが、各サイクル中に供給される光エネルギーよりも実質的に上昇しうる。また、処置部位に存在する微生物の性質および範囲に応じて、所望の効果が得られるまで、方法全体が複数回(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)繰り返されてもよい。処置部位に適用される光増感剤の濃度、波長および/または合計の累積光エネルギーを選択することで、本発明の方法によって、処置部位において標的微生物の約90%超、より好ましくは95%超、最も好ましくは99%超の殺菌が可能となることが好ましい。処置部位への光照射が、処置部位および/または耳腔および/またはその周囲の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさないことが好ましい。
【0077】
ここに記載した説明および図は、本発明、その原理、およびその実際的な用途を他の当業者に伝えること意図している。当業者は、本発明を、特定の用途の要件に最も適するように、その数多くの形態を適合させ、適用することができる。したがって、記載する本発明の特定の実施形態は、本発明を網羅したり、限定することを意図するものではない。このため、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるものではなく、添付の特許請求の範囲を参照して、請求項が付与する均等物のすべての範囲に沿って解釈されるべきである。特許出願および公開公報を含む、すべての文献および参考資料の開示内容は、あらゆる目的のために、ここに援用される。
【0078】
本発明に従って示す以下の例は、例示のみを目的としており、本発明を網羅したり、限定することを意図するものではない。
【0079】
実施例I
本発明によって考察される方法を使用する光殺菌処置が、MRSA、エシェリキア・コリ(大腸菌)およびエンテロコッカス・フェカリス(E.フェカリス)に対してインヴィトロで試験され、数秒〜1分で高い殺菌レベルに達した。メチレンブルーを約0.005重量%〜0.1重量%の範囲の各種濃度で含む感光性組成物が、約10秒間、MRSA、大腸菌、およびE.フェカリスの生物膜に適用された。次に、これらの生物膜に、レーザ光システムによって約665nm〜約675nmの波長で、約0秒〜約60秒間、照射された(例えば、累積エネルギレベルが約0J/cm2〜約9J/cm2)。光システムによって使用されたレーザは、パワー約240mWの低強度レーザ、および国際公開第2006/115761号パンフレットに記載の光学プローブを備えたPeriowave(登録商標)システムであった。下記の表2に示すグラフに示すように、少メチレンブルーをなくとも0.02重量%含む感光性組成物、および少なくとも15秒間のレーザ光源による照射を用いた光殺菌処置(例えば、照射エネルギレベルが少なくとも2.25J/cm2)により、MRSAおよび大腸菌が少なくとも3対数(three log)減少した(例えば、MRSA、大腸菌およびE.フェカリスの90%超の低減)。このデータは、MRSA、大腸菌およびE.フェカリスがメチレンブルーおよび低出力レーザによる光殺菌によって事実上除去されたこと、約0.02重量%〜最大約0.1重量%の非験メチレンブルー濃度範囲にわたって細菌の対数(bacterial log)の低減が改善されたことを示す。また、照射前にメチレンブルーと生物膜を比較的短時間(例えば数秒)接触させれば十分であることも示す。
【0080】
【表2】
【0081】
実施例II
多量にコロニー形成されたMRSA菌の1〜4層の生物膜を、メチレンブルーを約0.1重量%の濃度で含む感光性組成物と約10秒間接触させ、その後、Periowave(登録商標)レーザを使用して、約665nm〜約675nmの波長で、約60〜秒間照射した。その後、これらの生物膜、および対照MRSA生物膜(例えば、光殺菌処置を実施しなかったもの)を、0.9重量%の生理食塩水中で一晩培養し、次に、走査型電子顕微鏡(SEM)評価のために10重量%のホルマリン中で固定した。対照MRSA生物膜のSEM写真が図33に示される。図33を、上記の光殺菌処置を実施したMRSA生物膜のSEM写真である図34と比較すると、図34では明らかにMRSAが大幅に減少している。
【0082】
実施例III
多量にコロニー形成されたエシェリキア・コリ(大腸菌)菌の1〜3層の生物膜を、メチレンブルーを約0.1重量%の濃度で含む感光性組成物と約10秒間接触させ、その後、Periowave(登録商標)レーザを使用して、約665nm〜約675nmの波長で、約30〜秒間照射した。その後、これらの生物膜、および対照の大腸菌生物膜(例えば、光殺菌処置を実施しなかったもの)を、0.9%の生理食塩水中で3時間培養し、次に、走査型電子顕微鏡(SEM)評価のために10%のホルマリン中で固定した。対照の大腸菌生物膜のSEM写真が図35に示される。図35を、上記の光殺菌処置を実施した大腸菌生物膜のSEM写真である図36と比較すると、図36では明らかに大腸菌が大幅に減少している。
【0083】
実施例IV
外耳炎の患者に試験を実施した。試験時に、メチレンブルーを約0.01重量%の濃度で含む感光性組成物が、図37に示すように、綿棒を使用して処置部位に適用された。その後、図38〜39を参照すると、Periowave(登録商標)レーザ光システムを使用して、約665nm〜約675nmの波長範囲の光を、処置部位64内に配された感光性組成物に、約3分〜約5分間(1分の反復サイクルを3〜5回)照射した。図40に示すように、多くの患者の外耳炎が改善された。重症外耳炎の患者に対しては、この段落に記載したのと同じプロトコルを使用する追加の処置(例えば約2〜約5回)を、約1週間〜2週間にわたって実施したところ、このような患者の外耳炎も改善された。
【0084】
実施例V
メチレンブルーを約0.1重量%の濃度で含む感光性組成物を外耳炎処置部位に適用する。パワー約80mWのレーザを使用して、約650nm〜約680nmの波長範囲の光を、外耳炎内の処置部位に配された感光性組成物に約6分〜約10分間照射する。外耳炎が改善された。
【0085】
実施例VI
メチレンブルーを約0.001重量%〜約0.1重量%の範囲の濃度で含む感光性組成物を外耳炎の処置部位に適用する。約50mW〜約300mVの範囲のパワーのレーザを使用して、約650nm〜約680nmの波長範囲の光を、処置部位に配された感光性組成物に約1分〜約20分間照射する。外耳炎が改善された。
【0086】
実施例VII
トルイジンブルーを約0.001重量%〜約0.1重量%の範囲の濃度で含む感光性組成物を外耳炎処置部位に適用する。約50mW〜約300mVの範囲のパワーのレーザを使用して、約620nm〜約650nmの波長範囲の光を、外耳炎の処置部位に配された感光性組成物に約1分〜約20分間照射する。外耳炎が改善された。
【0087】
実施例V〜VIIでは、(1)光増感剤濃度と、(2)光殺菌の処置時間および/または光源に必要なパワー量との間にほぼ逆関係が存在することが示された。例えば、光増感剤の濃度が高いと、必要な処置時間が短くなるか、および/または光源出力が低くなる。逆に、光増感剤の濃度が低いと、必要な処置時間が長くなるか、および/または光源出力が高くなる。また、処置時間が短いと、必要な光増感剤の濃度を高くするか、および/または光源出力を高くする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る例示的な装置の断面図。
【図2】図1に示した装置の部材の例示的な一実施形態の側面図。
【図3】図1に示した装置の部材の別の例示的な実施形態の側面図。
【図4】図1に示した装置の部材の更に別の例示的な実施形態の側面図。
【図5】図1に示した装置の部材の別の例示的な実施形態の側面図。
【図6】図1に示した装置の部材の更に別の例示的な実施形態の側面図。
【図7】図1に示した装置のポケットの詳細図。
【図8】図1に示した装置を通る光の例示的な経路を示す図。
【図9】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の例示的な一実施形態の側面図。
【図10】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の別の例示的な実施形態の側面図。
【図11】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の更に別の例示的な実施形態の側面図。
【図12】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の別の例示的な実施形態の側面図。
【図13】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の更に別の例示的な実施形態の側面図。
【図14】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の別の例示的な実施形態の側面図。
【図15】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の更に別の例示的な実施形態の側面図。
【図16】図1に示した装置の別の例示的な実施形態の断面図。
【図17】図1に示した装置の部材のポケットの光分散部の別の例示的な実施形態の側面図。
【図18】本発明に係る別の例示的な装置の断面図。
【図19】例示的な気密キャップを備えた図1に示した装置の側面図。
【図20】本発明に係る別の例示的な装置の断面図。
【図21】本発明に係る更に別の例示的な装置の断面図。
【図22】本発明に係る別の例示的な装置の断面図。
【図23】本発明に係る更に別の例示的な装置の断面図。
【図24】本発明に係る別の例示的な装置の断面図。
【図25】人の手に保持されている導波路によって発光している本発明に係る例示的な装置の図。
【図26】図25に示した装置が患者の鼻腔に配置された状態を示す図。
【図27】図25に示した装置が患者の耳腔に配置された状態を示す図。
【図28】光源用のコネクタを備えた図1に示した装置の側面図。
【図29】図28に示したコネクタの導波路アダプタの詳細図。
【図30】図28に示したコネクタの導波路アダプタの別の詳細図。
【図31】例示的なホルダを備えた本発明に係る例示的な装置の断面図。
【図32】別の例示的なホルダを備えた本発明に係る別の例示的な装置の断面図。
【図33】MRSAのコロニーのSEM写真。
【図34】本発明の原理に係る処置後の図33に示したMRSAのコロニーのSEM写真。
【図35】大腸菌のコロニーのSEM写真。
【図36】本発明の原理に係る処置後の図35に示した大腸菌のコロニーのSEM写真。
【図37】外耳炎を発症しているヒトの耳と外耳道の断面図であり、本発明の原理によって処置部位に配された感光性組成物を示す図。
【図38】本発明の原理に係る例示的な光殺菌装置を追記した、図37と同じ図面。
【図39】光殺菌装置によって伝達される光エネルギーを追記した、図37と同じ図面。
【図40】外耳炎と感光性組成物の図示のない図37と同じ図面。
【図41】本発明の原理に係る別の例示的な光殺菌装置を追記した、図37と同じ図面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔の光殺菌用装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有し、
前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される装置。
【請求項2】
前記部材は、プラスチック、エポキシ、ガラスおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される半透明材料から形成される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記部材はポリカーボネートから形成される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記部材はポリ(メタクリル酸メチル)から形成される請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記挿入部は、前記内腔への前記装置の挿入中に前記内腔内の組織を損傷するおそれのある鋭利な角または鋭角を有さない請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記部材の前記表面仕上げは、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、顔料、マイクロスフェア、フレネル素子、屈折素子、反射素子、切り子面、エンボスパターン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記光分散部の前記表面仕上げは、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、顔料、マイクロスフェア、フレネル素子、屈折素子、反射素子、切り子面、エンボスパターン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記光分散部の前記幾何学構造は、平坦、凹円錐形、凸円錐形、頂点円錐を有する半球、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記内腔は、耳腔、鼻腔、膣、肺、咽頭、食道、胃、腸、直腸、胆嚢、膀胱、開放創、および無生物の内腔からなる群から選択される請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記挿入部は前記鼻腔への挿入に適合されており、前記基部の半径は前記挿入部の半径より大きく、前記部材の前記表面仕上げはリブを有し、前記リブはそれぞれ約17°のくさび角を有し、リブ幅は約0.48mmから約0.5mmの範囲にあり、前記光分散部の前記幾何学構造は頂点円錐を有する半球である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記挿入部は前記鼻腔への挿入に適合されており、前記基部の半径は前記挿入部の半径より大きく、前記部材の前記表面仕上げは平滑であり、前記光分散部の前記幾何学構造は、約60°の半角を有する凹円錐である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
気密キャップを更に有する請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記部材は、感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を更に有する請求項1乃至12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記感光性組成物の前記内腔内の処置部位への送達のための、前記少なくとも1つの管状部材の開口孔に取り付けられた噴霧ノズルを更に有する請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記開口孔は、前記内腔の光殺菌に使用する前は、着脱自在の先端によってシールされている請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの管状部材は、複数の開口孔が前記内腔内の処置部位に前記感光性組成物を送達できるようにする複数の分岐を有する請求項13または14に記載の装置。
【請求項17】
前記部材と同じ構造部材を有する第2の部材を更に有する請求項1乃至16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
配光マニホルドが、前記導波路から前記部材および前記第2の部材に前記光を送る請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記部材および前記第2の部材は、それぞれ感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を更に有する請求項17に記載の装置。
【請求項20】
配光マニホルドが、前記導波路から前記部材および前記第2の部材に前記光を送り、流体分配マニホルドが、前記部材および前記第2の部材に前記感光性組成物を送る請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は保持機構を更に有する請求項1乃至20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記装置は生体適合材料から形成される請求項1乃至21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
内腔の光殺菌用処置システムであって、
(a)装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有する装置と、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、
(b)前記導波路と、
(c)前記光源とを有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、前記導波路の先端部の表面仕上げ、前記導波路の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される処置システム。
【請求項24】
前記導波路は、プラスチックファイバ、プラスチッククラッドグラスファイバ、グラスファイバ、複数のプラスチックファイバ、複数のプラスチッククラッドファイバ、複数のグラスファイバ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項23に記載の処置システム。
【請求項25】
前記導波路は、接着剤、機械的変形、物理的握持機構、フェルール、摩擦、ねじ山、「ツイスト−ロック」バイオネット、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される取り付け手段によって前記装置に取り付けられる請求項23または24に記載の処置システム。
【請求項26】
前記導波路の前記先端部はフェルール内に収容されており、前記導波路は前記フェルールを介して前記ポケットに着脱自在に取り付けられる請求項23乃至25のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項27】
前記導波路の前記先端部は粗表面仕上げを有する請求項23乃至26のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項28】
前記導波路の前記先端部は平滑表面仕上げを有する請求項23乃至26のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項29】
前記導波路の前記先端部は、平坦、凹円錐形、凸円錐形、頂点円錐を有する半球、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される幾何学構造を有する請求項23乃至28のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項30】
前記導波路はコネクタを介して前記光源に接続される請求項23乃至29のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項31】
前記コネクタは、前記光源に接続する光源アダプタ、および前記導波路に着脱自在に取り付けられるように設計された導波路アダプタを有する請求項30に記載の処置システム。
【請求項32】
前記光源は、レーザ、発光ダイオード、アーク灯、白熱源、蛍光源、ガス放電管、熱源、光増幅器、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項23乃至31のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項33】
前記光源は、波長、パワー出力、照射のサイズ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される状態を提供するために調整できる請求項23乃至32のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項34】
前記光源は温度監視装置を更に有する請求項23乃至33のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項35】
前記温度監視装置は、赤外線装置、光ファイバ装置、熱電対、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項34に記載の処置システム。
【請求項36】
前記導波路はホルダ内に収容されている請求項23乃至35のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項37】
前記ホルダは、前記導波路と前記光源間の光連通のための連通孔、および前記装置への前記光の入力を制御するためのスイッチを更に有する請求項36に記載の処置システム。
【請求項38】
前記部材は、感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を更に有する請求項23乃至37のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項39】
前記導波路はホルダ内に収容されており、前記ホルダは、前記導波路と前記光源間の光連通のための連通孔、前記装置への前記光の入力を制御するためのスイッチ、および前記少なくとも1つの管状部材との流体連通のための、感光性組成物を収容している流体源との流体連通に適合された流体連通手段を更に有する請求項38に記載の処置システム。
【請求項40】
前記部材と同じ構造部材を有する第2の部材を更に有する請求項23乃至39のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項41】
流体源に収容された感光性組成物を更に有する請求項23乃至40のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項42】
処置キットであって、
(a)装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有し、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される装置と、
(b)流体源に収容された感光性組成物と、
(c)アプリケーションチップとを有する処置キット。
【請求項43】
前記装置、前記感光性組成物および前記アプリケーションチップは、すべて生体適合であり、無菌パッケージ内に入っている請求項42に記載の処置キット。
【請求項44】
前記流体源はシリンジである請求項42または43に記載の処置キット。
【請求項45】
導波路を更に有する請求項42乃至44のいずれか1項に記載の処置キット。
【請求項46】
前記部材は、感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を更に有し、前記アプリケーションチップは、前記装置の前記管状部材である請求項42乃至45のいずれか1項に記載の処置キット。
【請求項47】
前記感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を有する第2の部材と、前記導波路から前記2つの部材のそれぞれに前記光を送るための配光マニホルドとを更に有し、前記感光性組成物は流体源に収容されており、前記流体源は、流体分配マニホルドを介して前記2つの部材の前記少なくとも1つの管状部材のそれぞれと流体連通している請求項46に記載の処置キット。
【請求項48】
内腔の光殺菌用の光伝達装置の使用方法であって、
(a)装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有する装置を提供するステップであって、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、前記導波路の前記先端部の表面仕上げ、前記導波路の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供され、
(b)前記内腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、
(c)前記内腔に前記挿入部の少なくとも一部を挿入するステップと、
(d)前記処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、前記装置によって前記光源から前記導波路を介して伝達される光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で、前記内腔内の前記処置部位に照射するステップとを含む方法。
【請求項49】
前記内腔は、耳腔、鼻腔、膣、肺、咽頭、食道、胃、腸、直腸、胆嚢、膀胱、開放創、および無生物の内腔からなる群から選択される請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記光照射ステップが内腔内の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさない請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記内腔は鼻腔であり、前記処置部位は外鼻孔であり、前記微生物はMRSAである請求項48または50に記載の方法。
【請求項52】
患者の2つの鼻腔が、前記光殺菌方法によって同時に処置される請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記微生物は、黄色ブドウ球菌、MRSA、大腸菌、E.フェカリス、緑膿菌、アスペルギルス、カンジダおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項48乃至50、または52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記装置によって前記処置部位に伝達される前記光は複数の波長を有する請求項48乃至53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記感光性組成物は、前記処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、前記複数の波長を吸収することができる請求項48乃至54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記処置部位の微生物を更に除去するために、少なくともステップ(b)〜(d)が繰り返される請求項55に記載の方法。
【請求項57】
鼻の微生物のコロニーの除去装置であって、基部、鼻腔に挿入するように適合され、リブを有する表面仕上げを有する挿入部、導波路との連通に適合され、頂点円錐を有する半球の幾何学構造を有する光分散部を有するポケットを有する少なくとも1つの部材を有する装置。
【請求項58】
前記リブのそれぞれは、約13°から約33°の範囲のくさび角を有する請求項57に記載の装置。
【請求項59】
前記リブのそれぞれは、約0.25mmから約1.5mmの範囲の幅を有する請求項57または58に記載の装置。
【請求項60】
前記半球の半径が約0.5mm、前記頂点円錐の高さが約0.175mm、前記頂点円錐の基部半径が約0.3mmである請求項57乃至59のいずれか1項に記載の装置。
【請求項61】
前記少なくとも1つの部材は、ポリ(メタクリル酸メチル)から形成される請求項57乃至60のいずれか1項に記載の装置。
【請求項62】
前記少なくとも1つの部材は、感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を更に有する請求項57乃至61のいずれか1項に記載の装置。
【請求項63】
前記感光性組成物の前記内腔内の処置部位への送達のための、前記少なくとも1つの管状部材の開口孔に取り付けられた噴霧ノズルを更に有する請求項62に記載の装置。
【請求項64】
前記導波路および前記光源を更に有する請求項57乃至63のいずれか1項に記載の装置。
【請求項65】
前記導波路は光ファイバであり、フェルールを介して前記ポケットに取り付けられる請求項64に記載の装置。
【請求項66】
前記光源はレーザである請求項57乃至65のいずれか1項に記載の装置。
【請求項67】
鼻の微生物のコロニーの除去装置の使用方法であって、
(a)基部、鼻腔に挿入するように適合され、リブを有する表面仕上げを有する挿入部、導波路との連通に適合され、頂点円錐を有する半球の幾何学構造を有する光分散部を有するポケットを有する部材を有する装置を提供するステップと、
(b)外鼻孔に感光性組成物を適用するステップと、
(c)前記鼻腔に前記挿入部の少なくとも一部を挿入するステップと、
(d)前記外鼻孔に存在する微生物を抑制または除去するが、前記鼻腔内の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさないために、前記装置によって前記光源から前記導波路を介して伝達される光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で、前記外鼻孔に照射するステップとを含む方法。
【請求項68】
患者の2つの鼻腔が、方法(a)〜(d)によって同時に処置される請求項67に記載の方法。
【請求項69】
必要に応じて、前記外鼻孔における前記微生物を更に除去するために、少なくともステップ(b)〜(d)が繰り返される請求項67または68に記載の方法。
【請求項70】
鼻の微生物のコロニーの除去のためのメチレンブルーを含む感光性組成物の使用方法であって、
(a)外鼻孔にメチレンブルーを含む感光性組成物を適用するステップと、
(b)前記鼻腔に光伝達装置の少なくとも一部を挿入するステップと、
(c)約650nmから680nmの波長範囲で光を前記外鼻孔に照射するステップと、を有し、前記光は、前記鼻腔内の宿主組織に生理学的損傷を生じさせずに、前記光伝達装置によって前記外鼻孔に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通しており、前記外鼻孔の前記微生物の90%超が、前記鼻のコロニー除去によって除去される方法。
【請求項71】
前記光照射ステップが少なくとももう1回繰り返される請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記光照射ステップが更に約2から約4回繰り返される請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約5J/cm2から約20J/cm2の範囲にある請求項70乃至72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約6J/cm2から約12J/cm2の範囲にある請求項70乃至72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記外鼻孔における前記微生物を更に除去するために、ステップ(a)〜(c)が繰り返される請求項70乃至74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記メチレンブルーの濃度は、約0.001重量%から約0.1重量%の範囲にある請求項70乃至75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記光照射ステップのそれぞれに必要な時間は、約15秒から90秒の範囲にある請求項70乃至76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記波長は約665nmから約675nmの範囲にある請求項70乃至77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記光照射の前に、前記感光性組成物が約10秒間、前記外鼻孔に接触される請求項70乃至78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記微生物は、黄色ブドウ状球菌、MRSAおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項70乃至79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記処置部位の前記微生物の95%超が除去される請求項70乃至80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記光伝達装置は光学プローブであり、前記導波路は光ファイバであり、前記光源はレーザである請求項70乃至81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
MRSA、大腸菌、E.フェカリス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される微生物の処置のためのメチレンブルーを含む感光性組成物の使用方法であって、
MRSA、大腸菌、E.フェカリスからなる群から選択される前記微生物が存在する処置部位に、メチレンブルーを含む感光性組成物を適用するステップと、
約650nmから680nmの波長範囲で前記処置理部位に光を照射するステップとを含み、
前記光は前記光伝達装置によって前記処置部位に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通しており、前記処置部位の前記微生物の90%超が除去される方法。
【請求項84】
前記光照射ステップは、前記処置部位またはその周囲の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさない請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記光照射ステップが少なくとももう1回繰り返される請求項83または84に記載の方法。
【請求項86】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約5J/cm2から約20J/cm2の範囲にある請求項83乃至85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約6J/cm2から約12J/cm2の範囲にあり、前記光照射ステップのそれぞれに必要な時間は、約15秒から90秒の範囲にある請求項83乃至85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記処置部位における前記微生物を更に除去するために、全ステップが繰り返される請求項83乃至87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記メチレンブルーの濃度は、約0.02重量%から約0.1重量%の範囲にある請求項83乃至88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記光照射の前に、前記感光性組成物が約10秒間、前記処置部位に接触される請求項83乃至89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記光伝達装置は光学プローブであり、前記導波路は光ファイバであり、前記光源はレーザである請求項83乃至90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
外耳炎の処置のための光伝達装置の使用方法であって、
(a)外耳炎を惹き起こす微生物が存在する耳腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、
(b)前記内腔に光伝達装置の少なくとも一部を挿入するステップと、
(c)前記耳腔内の宿主組織に生理学的損傷を生じさせずに、前記処置部位において前記微生物を抑制または除去するか、炎症を緩和させるか、この両方を行うために、光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で前記処置部位に照射するステップとを含み、前記光は前記光伝達装置によって前記処置部位に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通している方法。
【請求項93】
前記光照射ステップが少なくとももう1回繰り返される請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記光照射ステップが更に約2から約4回繰り返される請求項92に記載の方法。
【請求項95】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約5J/cm2から約20J/cm2の範囲にある請求項92乃至94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約6J/cm2から約12J/cm2の範囲にある請求項92乃至94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記感光性組成物はメチレンブルーを約0.001重量%から約0.1重量%の範囲の濃度で含み、前記波長は約650nmから685nmの範囲にある請求項92乃至96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記感光性組成物はメチレンブルーを約0.001重量%から約0.1重量%の範囲の濃度で含み、前記波長は約665nmから675nmの範囲にあり、前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約6J/cm2から約12J/cm2の範囲にある請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記感光性組成物はトルイジンブルーを約0.001重量%から約1重量%の範囲の濃度で含み、前記波長は約600nmから670nm範囲にある請求項92乃至99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記感光性組成物はトルイジンブルーを約0.001重量%から約0.1重量%の範囲の濃度で含み、前記波長は約620nmから650nmの範囲にあり、前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約6J/cm2から約12J/cm2の範囲にある請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記微生物は、黄色ブドウ状球菌、MRSA、緑膿菌、アスペルギルス、カンジダおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項92乃至100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記処置は、前記処置部位の前記微生物の90%超を除去する請求項92乃至101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記処置は、前記処置部位の前記微生物の95%超を除去する請求項92乃至101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記処置部位における前記微生物を更に除去するために、ステップ(a)〜(c)が繰り返される請求項92乃至103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記ステップ(a)〜(c)が、約1から約2週間にわたって、患者に約2から5回実施される請求項92乃至103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記光伝達装置は光学プローブであり、前記導波路は光ファイバであり、前記光源はレーザである請求項92乃至105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
外耳炎の処置用装置の使用方法であって、
(a)装置であって、基部を有する部材と、耳腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する装置を提供するステップと、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記耳腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供され、
(b)外耳炎を惹き起こす微生物が存在する耳腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、
(c)前記耳腔に前記挿入部を挿入するステップと、
(d)前記処置部位において前記微生物を抑制または除去するか、炎症を緩和させるか、この両方を行うために、光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で前記処置部位に照射するステップとを含み、前記装置によって前記処置部位に伝達される前記光は、前記光源によって前記導波路を介して前記装置に提供される方法。
【請求項108】
前記部材の前記表面仕上げはリブを有し、前記リブはそれぞれ約17°のくさび角を有し、リブ幅は約0.48mmから約0.5mmの範囲にあり、前記光分散部の前記幾何学構造は頂点円錐を有する半球である請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記部材の前記表面仕上げは平滑であり、前記光分散部の前記幾何学構造は、約60°の半角を有する凹円錐である請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記処置部位における前記微生物を更に除去するために、ステップ(a)〜(c)が繰り返される請求項107乃至109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
内腔の光殺菌用装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有し、
前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される装置。
【請求項2】
前記部材は、プラスチック、エポキシ、ガラスおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される半透明材料から形成される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記部材はポリカーボネートから形成される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記部材はポリ(メタクリル酸メチル)から形成される請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記挿入部は、前記内腔への前記装置の挿入中に前記内腔内の組織を損傷するおそれのある鋭利な角または鋭角を有さない請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記部材の前記表面仕上げは、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、顔料、マイクロスフェア、フレネル素子、屈折素子、反射素子、切り子面、エンボスパターン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記光分散部の前記表面仕上げは、平滑仕上げ、粗仕上げ、リブ、顔料、マイクロスフェア、フレネル素子、屈折素子、反射素子、切り子面、エンボスパターン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記光分散部の前記幾何学構造は、平坦、凹円錐形、凸円錐形、頂点円錐を有する半球、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記内腔は、耳腔、鼻腔、膣、肺、咽頭、食道、胃、腸、直腸、胆嚢、膀胱、開放創、および無生物の内腔からなる群から選択される請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記挿入部は前記鼻腔への挿入に適合されており、前記基部の半径は前記挿入部の半径より大きく、前記部材の前記表面仕上げはリブを有し、前記リブはそれぞれ約17°のくさび角を有し、リブ幅は約0.48mmから約0.5mmの範囲にあり、前記光分散部の前記幾何学構造は頂点円錐を有する半球である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記挿入部は前記鼻腔への挿入に適合されており、前記基部の半径は前記挿入部の半径より大きく、前記部材の前記表面仕上げは平滑であり、前記光分散部の前記幾何学構造は、約60°の半角を有する凹円錐である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
気密キャップを更に有する請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記部材は、感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を更に有する請求項1乃至12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記感光性組成物の前記内腔内の処置部位への送達のための、前記少なくとも1つの管状部材の開口孔に取り付けられた噴霧ノズルを更に有する請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記開口孔は、前記内腔の光殺菌に使用する前は、着脱自在の先端によってシールされている請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの管状部材は、複数の開口孔が前記内腔内の処置部位に前記感光性組成物を送達できるようにする複数の分岐を有する請求項13または14に記載の装置。
【請求項17】
前記部材と同じ構造部材を有する第2の部材を更に有する請求項1乃至16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
配光マニホルドが、前記導波路から前記部材および前記第2の部材に前記光を送る請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記部材および前記第2の部材は、それぞれ感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を更に有する請求項17に記載の装置。
【請求項20】
配光マニホルドが、前記導波路から前記部材および前記第2の部材に前記光を送り、流体分配マニホルドが、前記部材および前記第2の部材に前記感光性組成物を送る請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は保持機構を更に有する請求項1乃至20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記装置は生体適合材料から形成される請求項1乃至21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
内腔の光殺菌用処置システムであって、
(a)装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有する装置と、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、
(b)前記導波路と、
(c)前記光源とを有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、前記導波路の先端部の表面仕上げ、前記導波路の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される処置システム。
【請求項24】
前記導波路は、プラスチックファイバ、プラスチッククラッドグラスファイバ、グラスファイバ、複数のプラスチックファイバ、複数のプラスチッククラッドファイバ、複数のグラスファイバ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項23に記載の処置システム。
【請求項25】
前記導波路は、接着剤、機械的変形、物理的握持機構、フェルール、摩擦、ねじ山、「ツイスト−ロック」バイオネット、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される取り付け手段によって前記装置に取り付けられる請求項23または24に記載の処置システム。
【請求項26】
前記導波路の前記先端部はフェルール内に収容されており、前記導波路は前記フェルールを介して前記ポケットに着脱自在に取り付けられる請求項23乃至25のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項27】
前記導波路の前記先端部は粗表面仕上げを有する請求項23乃至26のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項28】
前記導波路の前記先端部は平滑表面仕上げを有する請求項23乃至26のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項29】
前記導波路の前記先端部は、平坦、凹円錐形、凸円錐形、頂点円錐を有する半球、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される幾何学構造を有する請求項23乃至28のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項30】
前記導波路はコネクタを介して前記光源に接続される請求項23乃至29のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項31】
前記コネクタは、前記光源に接続する光源アダプタ、および前記導波路に着脱自在に取り付けられるように設計された導波路アダプタを有する請求項30に記載の処置システム。
【請求項32】
前記光源は、レーザ、発光ダイオード、アーク灯、白熱源、蛍光源、ガス放電管、熱源、光増幅器、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項23乃至31のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項33】
前記光源は、波長、パワー出力、照射のサイズ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される状態を提供するために調整できる請求項23乃至32のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項34】
前記光源は温度監視装置を更に有する請求項23乃至33のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項35】
前記温度監視装置は、赤外線装置、光ファイバ装置、熱電対、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項34に記載の処置システム。
【請求項36】
前記導波路はホルダ内に収容されている請求項23乃至35のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項37】
前記ホルダは、前記導波路と前記光源間の光連通のための連通孔、および前記装置への前記光の入力を制御するためのスイッチを更に有する請求項36に記載の処置システム。
【請求項38】
前記部材は、感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を更に有する請求項23乃至37のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項39】
前記導波路はホルダ内に収容されており、前記ホルダは、前記導波路と前記光源間の光連通のための連通孔、前記装置への前記光の入力を制御するためのスイッチ、および前記少なくとも1つの管状部材との流体連通のための、感光性組成物を収容している流体源との流体連通に適合された流体連通手段を更に有する請求項38に記載の処置システム。
【請求項40】
前記部材と同じ構造部材を有する第2の部材を更に有する請求項23乃至39のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項41】
流体源に収容された感光性組成物を更に有する請求項23乃至40のいずれか1項に記載の処置システム。
【請求項42】
処置キットであって、
(a)装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有し、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供される装置と、
(b)流体源に収容された感光性組成物と、
(c)アプリケーションチップとを有する処置キット。
【請求項43】
前記装置、前記感光性組成物および前記アプリケーションチップは、すべて生体適合であり、無菌パッケージ内に入っている請求項42に記載の処置キット。
【請求項44】
前記流体源はシリンジである請求項42または43に記載の処置キット。
【請求項45】
導波路を更に有する請求項42乃至44のいずれか1項に記載の処置キット。
【請求項46】
前記部材は、感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を更に有し、前記アプリケーションチップは、前記装置の前記管状部材である請求項42乃至45のいずれか1項に記載の処置キット。
【請求項47】
前記感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を有する第2の部材と、前記導波路から前記2つの部材のそれぞれに前記光を送るための配光マニホルドとを更に有し、前記感光性組成物は流体源に収容されており、前記流体源は、流体分配マニホルドを介して前記2つの部材の前記少なくとも1つの管状部材のそれぞれと流体連通している請求項46に記載の処置キット。
【請求項48】
内腔の光殺菌用の光伝達装置の使用方法であって、
(a)装置であって、基部と、前記内腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する部材を有する装置を提供するステップであって、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記内腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、前記導波路の前記先端部の表面仕上げ、前記導波路の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供され、
(b)前記内腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、
(c)前記内腔に前記挿入部の少なくとも一部を挿入するステップと、
(d)前記処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、前記装置によって前記光源から前記導波路を介して伝達される光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で、前記内腔内の前記処置部位に照射するステップとを含む方法。
【請求項49】
前記内腔は、耳腔、鼻腔、膣、肺、咽頭、食道、胃、腸、直腸、胆嚢、膀胱、開放創、および無生物の内腔からなる群から選択される請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記光照射ステップが内腔内の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさない請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記内腔は鼻腔であり、前記処置部位は外鼻孔であり、前記微生物はMRSAである請求項48または50に記載の方法。
【請求項52】
患者の2つの鼻腔が、前記光殺菌方法によって同時に処置される請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記微生物は、黄色ブドウ球菌、MRSA、大腸菌、E.フェカリス、緑膿菌、アスペルギルス、カンジダおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項48乃至50、または52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記装置によって前記処置部位に伝達される前記光は複数の波長を有する請求項48乃至53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記感光性組成物は、前記処置部位に存在する微生物を抑制または除去するために、前記複数の波長を吸収することができる請求項48乃至54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記処置部位の微生物を更に除去するために、少なくともステップ(b)〜(d)が繰り返される請求項55に記載の方法。
【請求項57】
鼻の微生物のコロニーの除去装置であって、基部、鼻腔に挿入するように適合され、リブを有する表面仕上げを有する挿入部、導波路との連通に適合され、頂点円錐を有する半球の幾何学構造を有する光分散部を有するポケットを有する少なくとも1つの部材を有する装置。
【請求項58】
前記リブのそれぞれは、約13°から約33°の範囲のくさび角を有する請求項57に記載の装置。
【請求項59】
前記リブのそれぞれは、約0.25mmから約1.5mmの範囲の幅を有する請求項57または58に記載の装置。
【請求項60】
前記半球の半径が約0.5mm、前記頂点円錐の高さが約0.175mm、前記頂点円錐の基部半径が約0.3mmである請求項57乃至59のいずれか1項に記載の装置。
【請求項61】
前記少なくとも1つの部材は、ポリ(メタクリル酸メチル)から形成される請求項57乃至60のいずれか1項に記載の装置。
【請求項62】
前記少なくとも1つの部材は、感光性組成物の流体送達のために構成された少なくとも1つの管状部材を更に有する請求項57乃至61のいずれか1項に記載の装置。
【請求項63】
前記感光性組成物の前記内腔内の処置部位への送達のための、前記少なくとも1つの管状部材の開口孔に取り付けられた噴霧ノズルを更に有する請求項62に記載の装置。
【請求項64】
前記導波路および前記光源を更に有する請求項57乃至63のいずれか1項に記載の装置。
【請求項65】
前記導波路は光ファイバであり、フェルールを介して前記ポケットに取り付けられる請求項64に記載の装置。
【請求項66】
前記光源はレーザである請求項57乃至65のいずれか1項に記載の装置。
【請求項67】
鼻の微生物のコロニーの除去装置の使用方法であって、
(a)基部、鼻腔に挿入するように適合され、リブを有する表面仕上げを有する挿入部、導波路との連通に適合され、頂点円錐を有する半球の幾何学構造を有する光分散部を有するポケットを有する部材を有する装置を提供するステップと、
(b)外鼻孔に感光性組成物を適用するステップと、
(c)前記鼻腔に前記挿入部の少なくとも一部を挿入するステップと、
(d)前記外鼻孔に存在する微生物を抑制または除去するが、前記鼻腔内の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさないために、前記装置によって前記光源から前記導波路を介して伝達される光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で、前記外鼻孔に照射するステップとを含む方法。
【請求項68】
患者の2つの鼻腔が、方法(a)〜(d)によって同時に処置される請求項67に記載の方法。
【請求項69】
必要に応じて、前記外鼻孔における前記微生物を更に除去するために、少なくともステップ(b)〜(d)が繰り返される請求項67または68に記載の方法。
【請求項70】
鼻の微生物のコロニーの除去のためのメチレンブルーを含む感光性組成物の使用方法であって、
(a)外鼻孔にメチレンブルーを含む感光性組成物を適用するステップと、
(b)前記鼻腔に光伝達装置の少なくとも一部を挿入するステップと、
(c)約650nmから680nmの波長範囲で光を前記外鼻孔に照射するステップと、を有し、前記光は、前記鼻腔内の宿主組織に生理学的損傷を生じさせずに、前記光伝達装置によって前記外鼻孔に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通しており、前記外鼻孔の前記微生物の90%超が、前記鼻のコロニー除去によって除去される方法。
【請求項71】
前記光照射ステップが少なくとももう1回繰り返される請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記光照射ステップが更に約2から約4回繰り返される請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約5J/cm2から約20J/cm2の範囲にある請求項70乃至72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約6J/cm2から約12J/cm2の範囲にある請求項70乃至72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記外鼻孔における前記微生物を更に除去するために、ステップ(a)〜(c)が繰り返される請求項70乃至74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記メチレンブルーの濃度は、約0.001重量%から約0.1重量%の範囲にある請求項70乃至75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記光照射ステップのそれぞれに必要な時間は、約15秒から90秒の範囲にある請求項70乃至76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記波長は約665nmから約675nmの範囲にある請求項70乃至77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記光照射の前に、前記感光性組成物が約10秒間、前記外鼻孔に接触される請求項70乃至78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記微生物は、黄色ブドウ状球菌、MRSAおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項70乃至79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記処置部位の前記微生物の95%超が除去される請求項70乃至80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記光伝達装置は光学プローブであり、前記導波路は光ファイバであり、前記光源はレーザである請求項70乃至81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
MRSA、大腸菌、E.フェカリス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される微生物の処置のためのメチレンブルーを含む感光性組成物の使用方法であって、
MRSA、大腸菌、E.フェカリスからなる群から選択される前記微生物が存在する処置部位に、メチレンブルーを含む感光性組成物を適用するステップと、
約650nmから680nmの波長範囲で前記処置理部位に光を照射するステップとを含み、
前記光は前記光伝達装置によって前記処置部位に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通しており、前記処置部位の前記微生物の90%超が除去される方法。
【請求項84】
前記光照射ステップは、前記処置部位またはその周囲の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさない請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記光照射ステップが少なくとももう1回繰り返される請求項83または84に記載の方法。
【請求項86】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約5J/cm2から約20J/cm2の範囲にある請求項83乃至85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約6J/cm2から約12J/cm2の範囲にあり、前記光照射ステップのそれぞれに必要な時間は、約15秒から90秒の範囲にある請求項83乃至85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記処置部位における前記微生物を更に除去するために、全ステップが繰り返される請求項83乃至87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記メチレンブルーの濃度は、約0.02重量%から約0.1重量%の範囲にある請求項83乃至88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記光照射の前に、前記感光性組成物が約10秒間、前記処置部位に接触される請求項83乃至89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記光伝達装置は光学プローブであり、前記導波路は光ファイバであり、前記光源はレーザである請求項83乃至90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
外耳炎の処置のための光伝達装置の使用方法であって、
(a)外耳炎を惹き起こす微生物が存在する耳腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、
(b)前記内腔に光伝達装置の少なくとも一部を挿入するステップと、
(c)前記耳腔内の宿主組織に生理学的損傷を生じさせずに、前記処置部位において前記微生物を抑制または除去するか、炎症を緩和させるか、この両方を行うために、光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で前記処置部位に照射するステップとを含み、前記光は前記光伝達装置によって前記処置部位に伝達され、前記光伝達装置は導波路を介して光源と光連通している方法。
【請求項93】
前記光照射ステップが少なくとももう1回繰り返される請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記光照射ステップが更に約2から約4回繰り返される請求項92に記載の方法。
【請求項95】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約5J/cm2から約20J/cm2の範囲にある請求項92乃至94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約6J/cm2から約12J/cm2の範囲にある請求項92乃至94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記感光性組成物はメチレンブルーを約0.001重量%から約0.1重量%の範囲の濃度で含み、前記波長は約650nmから685nmの範囲にある請求項92乃至96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記感光性組成物はメチレンブルーを約0.001重量%から約0.1重量%の範囲の濃度で含み、前記波長は約665nmから675nmの範囲にあり、前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約6J/cm2から約12J/cm2の範囲にある請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記感光性組成物はトルイジンブルーを約0.001重量%から約1重量%の範囲の濃度で含み、前記波長は約600nmから670nm範囲にある請求項92乃至99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記感光性組成物はトルイジンブルーを約0.001重量%から約0.1重量%の範囲の濃度で含み、前記波長は約620nmから650nmの範囲にあり、前記光照射ステップのそれぞれによって前記処置部位に供給される光エネルギーは、約6J/cm2から約12J/cm2の範囲にある請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記微生物は、黄色ブドウ状球菌、MRSA、緑膿菌、アスペルギルス、カンジダおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項92乃至100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記処置は、前記処置部位の前記微生物の90%超を除去する請求項92乃至101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記処置は、前記処置部位の前記微生物の95%超を除去する請求項92乃至101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記処置部位における前記微生物を更に除去するために、ステップ(a)〜(c)が繰り返される請求項92乃至103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記ステップ(a)〜(c)が、約1から約2週間にわたって、患者に約2から5回実施される請求項92乃至103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記光伝達装置は光学プローブであり、前記導波路は光ファイバであり、前記光源はレーザである請求項92乃至105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
外耳炎の処置用装置の使用方法であって、
(a)装置であって、基部を有する部材と、耳腔に挿入するように適合された挿入部と、前記装置に光を伝達するための光源に接続された導波路と連通するように適合されたポケットとを有する装置を提供するステップと、前記ポケットは、前記導波路の先端部との光連通に適合された光分散部を有し、前記耳腔の光殺菌のための所望の照射パターンは、前記光分散部の表面仕上げ、前記光分散部の幾何学構造、前記部材の表面仕上げ、前記部材の幾何学構造、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される要素の少なくとも1つによって提供され、
(b)外耳炎を惹き起こす微生物が存在する耳腔内の処置部位に感光性組成物を適用するステップと、
(c)前記耳腔に前記挿入部を挿入するステップと、
(d)前記処置部位において前記微生物を抑制または除去するか、炎症を緩和させるか、この両方を行うために、光を、前記感光性組成物によって吸収される波長で前記処置部位に照射するステップとを含み、前記装置によって前記処置部位に伝達される前記光は、前記光源によって前記導波路を介して前記装置に提供される方法。
【請求項108】
前記部材の前記表面仕上げはリブを有し、前記リブはそれぞれ約17°のくさび角を有し、リブ幅は約0.48mmから約0.5mmの範囲にあり、前記光分散部の前記幾何学構造は頂点円錐を有する半球である請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記部材の前記表面仕上げは平滑であり、前記光分散部の前記幾何学構造は、約60°の半角を有する凹円錐である請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記処置部位における前記微生物を更に除去するために、ステップ(a)〜(c)が繰り返される請求項107乃至109のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図28】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図39】
【図41】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図12】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図28】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図39】
【図41】
【公表番号】特表2009−535125(P2009−535125A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507975(P2009−507975)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/067583
【国際公開番号】WO2007/127894
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(507022282)オンディーヌ インターナショナル リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/067583
【国際公開番号】WO2007/127894
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(507022282)オンディーヌ インターナショナル リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
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