説明

光源装置およびプロジェクター

【課題】発光管の適切な温度調整を可能とし、構造の簡素化や騒音の発生を抑えた光源装
置を提供すること。
【解決手段】本発明の光源装置352は、発光部の一方側に設けられた第1封止部17を
備える発光管11と、第1封止部17を覆う第1延伸部23と、を備える副反射鏡13と
、主反射鏡12と、絶縁体13を挟んで設けられて、電圧を印加されることでイオン風を
発生させる電極と、主反射鏡または副反射鏡の少なくとも一方に嵌め合わされて電極に接
する給電部材と、を有し、電極は、第1電極18と、第1封止部と第1延伸部との間に設
けられた第2電極と、を備え、給電部材は、第1電極に接する第1給電部材24と、第2
電極に接する第2給電部材25と、を備え、第1電極は、第2電極よりも発光部側にずら
して配置され、イオン風で副反射面と発光部との間の空気を流動可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクター、特にリフレクターを有する光源装置の技術
に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターの光源として使用されるランプ、例えば超高圧水銀ランプ等の放電ラン
プには、発光管から射出した光を反射させるリフレクター(反射鏡)が用いられている。
プロジェクターにより効率良く明るい画像を得るために、従来、発光管から射出した光の
利用効率を高めるための光源装置の構成が提案されている。例えば、主反射鏡としてのリ
フレクターとは別に、発光管の一部を覆う副反射鏡を設ける技術が提案されている(例え
ば、特許文献1参照)。副反射鏡で反射した光は、発光管を通過した後、主反射鏡に入射
して前側へ向けて反射する。これにより、光源装置からの光を利用する光学系へ、発光管
から射出した光を効率良く進行させつつ光源装置の薄型化も図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3350003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクターに用いられるランプは、供給された電気エネルギーの多くが熱となり高
温となることから、冷却風などによる冷却が必要となる。副反射鏡を備える構成の場合、
発光部表面のうち副反射鏡により覆われる部分について、冷却が困難となる。この場合、
発光部表面のうち副反射鏡により覆われる部分と、それ以外の部分とで異なる放熱性を示
すこととなるため、発光管の適切な温度調整が困難になるという問題を生じる。発光管の
うち冷却が不十分な部分は、発光管を構成する透明部材が熱により結晶化し、白濁する場
合が生じ得る。また、発光管を冷却するために、送風ファンやダクトを備えることも考え
られるが、構造の複雑化や、送風ファンによる騒音の発生といった問題が生じる。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、発光管の適切な温度調整を可能と
し、構造の簡素化や騒音の発生を抑えた光源装置、およびその光源装置を有するプロジェ
クターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、光を射出する発光部と、発
光部の一方側に一体に設けられた第1封止部と、を備える発光管と、発光部の周囲のうち
の一部を覆い発光部から射出した光を反射させる副反射面が形成された副反射部と、第1
封止部を覆う第1延伸部と、を備える副反射鏡と、発光部から射出した光と、副反射面で
反射した光とを反射させる主反射鏡と、絶縁体を挟んで設けられて、電圧を印加されるこ
とでイオン風を発生させる電極と、主反射鏡または副反射鏡の少なくとも一方に嵌め合わ
されて電極に接する給電部材と、を有し、電極は、第1電極と、第1封止部と第1延伸部
との間に設けられた第2電極と、を備え、給電部材は、第1電極に接する第1給電部材と
、第2電極に接する第2給電部材と、を備え、第1電極は、第2電極よりも発光部側にず
らして配置され、イオン風で副反射面と発光部との間の空気を流動可能とすることを特徴
とする。
【0007】
イオン風により、副反射面と発光部との間の空気を流動させることができるので、発光
管のうち副反射鏡に覆われた部分である発光部を効果的に冷却させることができる。これ
により、発光管の適切な温度制御が可能となる。また、第1電極と第2電極との間に電圧
を印加すればよいので、送風ファンやダクトを用いずに発光部を冷却することができる。
これにより、構造の簡素化を図ることや、騒音の発生を抑えることができる。なお、イオ
ン風とは、第1電極と第2電極との間に、所定の電圧を印加した際に生じる放電により発
生する風である。具体的には、第1電極と第2電極との間に所定の電圧を印加した際に、
第1電極の周辺で空気の分子がイオン化され、第2電極方向に向かって移動する。このイ
オン化された空気の移動によって起こる風である。
【0008】
また、各電極に対して、給電部材を固着させずに接触させているので、例えば、各電極
の線膨張係数と、給電部材の線膨張係数とが異なっても、高温環境下と低温環境下とで互
いの膨張の程度に合わせたずれが生じるだけ済む。したがって、半田を用いた接続などの
ように、接続箇所での割れなどが生じるおそれがなく、より信頼性の高い電力供給を実現
することができる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、第1電極と第2電極とは、絶縁体を挟んで設け
られていることが望ましい。イオン風を発生させるために、例えば、第1電極と第2電極
とが石英などの絶縁体を挟んで配置されている場合に生じる沿面放電が利用される。また
、第1電極と第2電極との間に絶縁体を設けずに直流電圧を印加した場合に生じるコロナ
放電が利用される場合もある。ここで、沿面放電は、コロナ放電に比べて先端が尖ってい
ない電極でも発生しやすく、広い範囲で空気をイオン化できる場合がある。例えば、先端
の平坦な電極であっても、その平坦な部分の略全域の周辺で空気がイオン化される場合が
あり、より強いイオン風を起こすことが可能となる。したがって、発光部と副反射面との
間の空気を大きく流動させて、より効果的に発光部の冷却を行うことができる。
【0010】
また、沿面放電は交流電圧を印加した場合にも生じさせることができるので、電源から
交流電圧が供給される場合であっても、電圧を変換する部品を用いずにイオン風を起こす
ことができる。したがって、電圧を変換する部品を削減してコスト抑制を図ることができ
る。また、第1電極と第2電極との間に絶縁体があるので、両電極間でスパークが発生し
にくくなる。これにより、スパークによる電極の破壊や、他の電子機器等への影響を抑え
ることができる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様としては、主反射鏡は、中心軸を中心として所定の曲線を
回転させることにより得られる回転曲面と略同じ形状をなし、副反射鏡は、発光部に対し
て被照射面側を覆うことが望ましい。これにより、発光部から射出した光を効率良く前側
に向けて進行させる光源装置を得ることができる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様としては、絶縁体は、副反射鏡であることが望ましい。石
英などで構成される副反射鏡を絶縁体として利用できるので、部品点数の削減や、製造コ
ストの抑制を図ることができる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様としては、絶縁体は、第1封止部と第1延伸部との間に設
けられる絶縁膜であることが望ましい。一般的に、絶縁膜は副反射鏡よりも薄く形成しや
すい。したがって、副反射鏡よりも薄い絶縁膜を絶縁体とすることで、より低い電圧の印
加でイオン風を発生させることができる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、第1給電部材および第2給電部材の少なくとも
一方は、電源線と接続される受電部を備え、受電部は、電源線を挟み込んで保持すること
が望ましい。各電極と電源線とを、半田付けなどにより直接接続させることも可能である
が、発光管からの熱で半田が溶けてしまうおそれがあり、良好な接続状態を維持すること
が難しい。一方、給電部材が電源線を挟み込んで保持するので、電源線の接続に半田など
を用いずに済む。したがって、給電部材を用いることで、発光管の近傍という高温環境下
でも、信頼性の高い電力供給を実現することができる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様としては、第1給電部材および第2給電部材の少なくとも
一方は、第1電極または第2電極と副反射鏡の一部とを挟み込むように副反射鏡に嵌め合
わされることが望ましい。これにより、電極と給電部材を接触させて、信頼性の高い電力
供給を実現させることができる。
【0016】
また、本発明の好ましい態様としては、第1給電部材および第2給電部材の少なくとも
一方は、被照射面側の反対側から第1延伸部を挟み込むことが望ましい。給電部材が被照
射面の反対側から第1延伸部を挟み込むので、給電部材が光の照射を邪魔してしまうこと
を防ぐことができ、光の利用効率の低下を抑えることができる。
【0017】
また、本発明の好ましい態様としては、延伸部は、略円筒形状を呈する円筒部を備え、
第2給電部材は、円筒部の内径よりも大きい外径でらせん状とされたコイル形状を呈し、
円筒部に挿入されることで、円筒部の内面に嵌め合わされて第2電極と接触することが望
ましい。円筒部の内径よりも大きい外径でらせん状とされた第2給電部材を円筒部に挿入
すると、第2給電部材が圧縮されるので、その弾性力によって第2電極に対して第2給電
部材を密着させて接触させることができる。
【0018】
また、本発明の好ましい態様としては、延伸部は、略円筒形状を呈する円筒部を備え、
第1給電部材は、円筒部の外径よりも小さな内径の略C字形状を呈し、円筒部の外周面に
嵌め合わされて第1電極に接触することが望ましい。円筒部の外径よりも小さな内径の略
C字形状の第1給電部材を、円筒部の外周面に嵌め合わせると、第1給電部材の内径が拡
張されるので、その弾性力によって第1電極に対して第1給電部材を密着させて接触させ
ることができる。
【0019】
また、本発明の好ましい態様としては、第2給電部材は、円筒部の内径よりも大きい外
径の略C字形状を呈し、円筒部に挿入されることで、円筒部の内面に嵌め合わされて第2
電極に接触することが望ましい。円筒部の内径よりも大きい略C字形状の第2給電部材を
、円筒部の内面に嵌め合わせると、第2給電部材が圧縮されるので、その弾性力によって
第2電極に対して第2給電部材を密着させて接触させることができる。
【0020】
また、本発明の好ましい態様としては、主反射鏡は、延伸部および第1封止部の少なく
とも一方に固着される基部を備え、第1給電部材は、基部の外周面に嵌め合わされるとと
もに第1電極に接触することが望ましい。主反射鏡の基部の外周面に嵌め合わされること
で、第1給電部を固定しつつ、第1電極に接触させることで第1電極への電力の供給も可
能となる。
【0021】
また、本発明のプロジェクターは、上記光源装置と、第1電極と第2電極との間に交流
電圧を印加させる電圧印加部と、光源装置から射出した光を画像信号に応じて変調する空
間光変調装置と、を有することを特徴とする。上記光源装置を用いることで、構造の複雑
化や騒音の発生を抑えつつ発光部を効果的に冷却することができるプロジェクターを得る
ことができる。また、第1電極と第2電極との間でスパークが発生しにくいので、スパー
クによる電極の破壊や、他の電子機器等への影響を抑えることができ、安定的に動作可能
なプロジェクターとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係る光源装置の概略構成を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す光源装置を副反射鏡側から見た斜視図である。
【図3】光源装置の分解斜視図である。
【図4】第1給電部材の外観斜視図である。
【図5】第2給電部材の受電部を説明するための斜視図である。
【図6】第2給電部材を取り付けた状態の副反射鏡を示す斜視図である。
【図7】光源装置の横断面図である。
【図8】実施例1の変形例1に係る光源装置が備える副反射鏡部分の分解斜視図である。
【図9】第1電極と第2電極とを取り付けた副反射鏡の平面図である。
【図10】実施例1の変形例2に係る光源装置が備える副反射鏡の分解斜視図である。
【図11】変形例2に係る光源装置の横断面図である。
【図12】本発明の実施例2に係る光源装置の分解斜視図である。
【図13】光源装置の断面図である。
【図14】第1給電部材の嵌め合わせの状態を示す横断面図である。
【図15】第2給電部材の嵌め合わせの状態を示す横断面図である。
【図16】本発明の実施例3に係る光源装置の横断面図である。
【図17】副反射鏡の外観斜視図である。
【図18】第1給電部材の外観斜視図である。
【図19】第2給電部材の外観斜視図である。
【図20】本発明の実施例4に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1に係る光源装置352の概略構成を示す外観斜視図である。
図2は、図1に示す光源装置352を副反射鏡側から見た斜視図である。図3は、図1に
示す光源装置352の分解斜視図である。図4は、第1給電部材の外観斜視図である。図
5は、第2給電部材の受電部を説明するための斜視図である。図6は、第2給電部材を取
り付けた状態の副反射鏡を示す斜視図である。図7は、光源装置352の横断面図である

【0025】
光源装置352は、発光管11、主反射鏡12、副反射鏡13、第1冷却用電極(第1
電極)18、第2冷却用電極(第2電極)19、第1給電部材24、第2給電部材25を
有して構成される。光源装置352は、赤色(R)光、緑色(G)光、青色(B)光を含
む光を射出する。なお、本願の実施例の説明において、X軸は、発光管11の中心軸AX
に直交する軸である。Y軸は、中心軸AXおよびX軸に直交する軸である。Z軸は、中心
軸AXに平行な軸である。Z軸の矢印の方向は、光源装置352から不図示の被照射面へ
向かう方向を表す。各軸の矢印方向を正の方向とし、その逆方向を負の方向とする。光源
装置352に対してZ軸に沿った正の方向側を前側といい、負の方向側を後側という。ま
た、光源装置352に対してY軸に沿った正の方向側を上側といい、負の方向側を下側と
いう。
【0026】
発光管11は、例えば、超高圧水銀ランプである。発光管11は、略球状の形状を呈す
る発光部15を備える。発光部15の内部において、アーク用電極3,4間にアークが形
成されることで、発光部15から光が射出される。発光部15には、第2封止部16およ
び第1封止部17が一体に設けられている。第1封止部17は、円筒形状を呈しており、
発光部15の一方側(後側)に設けられている。第2封止部16は、円筒形状を呈してお
り、発光部15の他方側(前側)に設けられている。上記構成により、発光管11は、第
2封止部16と第1封止部17とで発光部15を挟んだ形状となる。
【0027】
主反射鏡12は、発光部15から射出した光を反射させる主反射面12aを備える。主
反射鏡12は、発光部15から射出した光を主反射面12aで反射させ、前側へ進行させ
る。主反射面12aは、中心軸AXを中心として楕円を回転させることにより得られる回
転楕円面を、所定の平面で切断することにより得られる曲面と略同じ形状をなしている。
本実施例1では、所定の平面とは、発光管11の中心軸AXを含む平面である。なお、所
定の平面は、光の利用効率を上げるために、中心軸AXを含む平面以外の面としても良い
。所定の平面は、例えば、中心軸AXに平行な平面や、中心軸AXに対して角度を持たせ
た平面であっても良い。
【0028】
主反射鏡12は、所望の形状に成形された基材の表面に高反射性部材、例えば誘電体多
層膜や金属部材を蒸着させることにより構成されている。高反射性部材は、可視領域の波
長の光について高い反射率である部材を用いる。回転楕円面を切断した形状の主反射面1
2aを備える主反射鏡12を用いることにより、回転楕円面が切断されていない反射鏡を
用いた光源装置よりも、薄型な光源装置352とすることができる。なお、主反射面12
aは、回転楕円面を切断することにより得られる曲面と略同じ形状に限られない。例えば
、放物線などの所定の曲線を回転させることにより得られる回転曲面を切断することによ
り得られる曲面と略同じ形状や、自由曲面形状などとしてもよい。
【0029】
副反射鏡13は、発光部15から射出した光を反射させる副反射面13aが形成された
副反射部20と、延伸部(第1延伸部)23を備える。副反射鏡13は、発光部15から
射出した光を副反射面13aで発光部15へ向けて反射させる。副反射面13aで反射さ
れた光は主反射面12aに入射し、主反射面12aで反射されて前側に進行する。副反射
面13aは、発光部15の周囲の一部を下側から覆う。副反射部20と発光部15との間
には、隙間が設けられている。副反射鏡13は、所望の形状に成形した基材の表面に、例
えば誘電体多層膜などの高反射性部材を蒸着させることにより構成されている。本実施例
1では、副反射鏡13に用いられる基材は、例えば石英などの絶縁体である。また、誘電
体多層膜も絶縁体である。高反射性部材は、可視領域の波長の光について高い反射率であ
る部材を用いる。主反射鏡12と副反射鏡13とを設けることにより、発光部15から射
出した光を効率良く前側へ進行させることが可能となる。
【0030】
延伸部23は、第1封止部17の一部を覆うように副反射部20の後側部分に形成され
る。延伸部23を、発光管11や主反射鏡12に固着させることで、光源装置352にお
ける副反射鏡13の位置決め・固定がなされる。なお、延伸部23、発光管11および主
反射鏡12の固着は、固着部27を介して行われる。固着部27には、熱に耐性のあるセ
メント等が用いられる。延伸部23の後側部分は円筒形状を呈する円筒部23dとなって
おり、発光管11や主反射鏡12と固着しやすくなっている。以下、副反射鏡13のうち
、発光管11が配置された側の面を内側面23bといい、その反対側の面を外側面23c
ともいう。
【0031】
第1冷却用電極18および第2冷却用電極19は、両電極18,19で副反射鏡13を
挟み込むように配置される。第1冷却用電極18および第2冷却用電極19は、両電極1
8,19の間に電圧を印加することで、沿面放電によるイオン風を起こさせるためのもの
である。
【0032】
第1冷却用電極18は、板状の金属部材を、延伸部23の形状に合わせて折り曲げるこ
とで形成され、その全体が放電部18cとなる。第1冷却用電極18は、延伸部23の外
側面23cに配置される。
【0033】
第2冷却用電極19は、板状の金属部材を、延伸部23の形状に合わせて折り曲げるこ
とで形成される。第2冷却用電極19は、先端に放電部19cを備え、根元は延伸部23
の後側まで延びる。第2冷却用電極19は、延伸部23の内側面23bに貼り付けられる
。これにより、第2冷却用電極19は、第1封止部17と延伸部23との間に配置される

【0034】
第2冷却用電極19は、第1冷却用電極18の放電部18cよりも放電部19cが後側
にずらした位置となるように配置される。この配置により、第1冷却用電極18の放電部
18cが、第2冷却用電極19の放電部19cよりも発光部15側にずらした位置に配置
される。なお、冷却用電極18,19は、金属膜やITO膜(透明導電膜)で構成されて
もよい。特にITO膜は、その線膨張係数と副反射鏡13の線膨張係数との差が、金属部
材の線膨張係数と副反射鏡13の線膨張係数との差よりも小さい場合が多く、副反射鏡1
3に貼り付けた場合に、温度変化に起因する剥がれを生じにくくすることができる。
【0035】
第1給電部材24は、第1冷却用電極18に電力を供給するための部材であり、金属で
構成されている。第1給電部材24は、給電部24aと、受電部24bと、嵌め合わせ部
24cとを備える。嵌め合わせ部24cは、略C字状の形状を呈しており、その内径は、
主反射鏡12の基部12bの外径よりもやや小さくなるように形成されている。これによ
り、嵌め合わせ部24cを基部12bに嵌め合わせることで、第1給電部材24が主反射
鏡12に固定される。また、嵌め合わせ部24cの弾性力によって第1給電部材24を基
部12bに密着させて外れにくくすることができる。
【0036】
第1給電部材24の給電部24aは、嵌め合わせ部24cの一端部から延びるように形
成されている。給電部24aは、図2に示すように、嵌め合わせ部24cが基部12bに
嵌め合わされた状態で、副反射鏡13の外側面23cに設けられた第1冷却用電極18に
接触するように形成されている。光源装置352を組み立てた状態における、延伸部23
の下端と、基部12bの上端との距離よりも、嵌め合わせ部24cの上端部と給電部24
aとの距離を小さくすることで、第1給電部材24の弾性力によって給電部24aを第1
冷却用電極18にしっかりと密着させることができる。
【0037】
受電部24bは、図4に示すように、電源線26を挟み込んで保持することができるよ
うになっている。具体的には、嵌め合わせ部24cの他端から延びるように形成された板
状部分を受電部24bとし、その板状部分を折り曲げることで電源線26を挟み込むよう
にしている。
【0038】
第2給電部材25は、第2冷却用電極19に電力を供給するための部材であり、金属で
構成されている。第2給電部材25は、給電部25aと、受電部25bを備える。給電部
25aは、略コ字状の形状を呈している。給電部25aの先端同士の隙間は、延伸部23
の厚さよりもやや小さくなるように形成されている。図6に示すように、第2給電部材2
5は、延伸部23と第2冷却用電極19とを挟み込むように、副反射鏡13の後側(光の
射出方向の反対側)から延伸部23に嵌め合わされる。給電部25aの先端同士の隙間が
、延伸部23の厚さよりもやや小さくなるように形成されているので、給電部25aの弾
性力によって給電部25aと第2冷却用電極19とを密着させて、互いに接触させること
ができる。また、給電部材25を延伸部23から外れにくくすることができる。このよう
に、第2給電部材25では、給電部25aが、副反射鏡13の延伸部23に嵌め合わされ
る嵌め合わせ部としても機能する。
【0039】
第2給電部材25の受電部25bは、図5に示すように、電源線26を挟み込んで保持
することができるようになっている。具体的には、給電部25aから延びるように形成さ
れた板状部分を受電部25bとし、その板状部分を折り曲げることで電源線26を挟み込
むようにしている。
【0040】
第1冷却用電極18および第2冷却用電極19を、図示しない電圧印加部に接続し、両
電極18,19間に電圧を印加することで、絶縁体である副反射鏡13の延伸部23を挟
んで配置された両電極18,19間に沿面放電を起こさせることができる。沿面放電によ
って、第2冷却用電極19の放電部19c付近でイオン化された空気分子が、第1冷却用
電極18の放電部18c側に引き付けられて、延伸部23と第1封止部17との間を移動
する。イオン化された空気分子は、移動する際に他の空気分子に衝突することで、第2冷
却用電極19から第1冷却用電極18方向に向かう、いわゆるイオン風を発生させる。な
お、両電極18,19間に印加される電圧は、交流電圧であることが望ましい。
【0041】
延伸部23と第1封止部17との間にイオン風が発生することで、矢印Pに沿った空気
の流れを起こして、発光部15と副反射面13aとの間の空気を流動させることができる
。これにより、発光管11のうち副反射鏡13に覆われた部分の効果的な冷却が可能とな
り、発光管11の適切な温度調整が可能となる。また、沿面放電は、コロナ放電に比べて
先端が尖っていない電極でも発生しやすく、広い範囲で空気をイオン化できる場合がある
。例えば、放電部19cにおける第1冷却用電極18側の一辺において、その一辺の略全
域の周辺で空気がイオン化される場合があり、より強いイオン風を起こすことが可能とな
る。したがって、発光部15と副反射面13aとの間の空気を大きく流動させて、より効
果的に発光部15の冷却を行うことができる。
【0042】
また、送風ファンやダクトを設けずに発光部15と副反射面13aとの間の空気を流動
させることができるので、構造の複雑化や騒音の問題も生じにくくすることができる。ま
た、空気を流動させたい部分、すなわち発光部15と副反射面13aとの間の近傍でイオ
ン風を発生させることができるので、少ない風量で効果的な冷却を行うことができる。
【0043】
また、本実施例では、各冷却用電極18,19と電源線26とを、給電部材24,25
を介して接続させている。各冷却用電極18,19と電源線26とを、半田付けなどによ
り直接接続させることも可能であるが、発光管11からの熱で半田が溶けてしまうおそれ
があり、良好な接続状態を維持することが難しい。一方、給電部材24,25を介した接
続であれば、電源線26を挟み込んで保持し、各冷却用電極18,19には給電部24a
,25aを密着させているので、半田などを用いずに各冷却用電極18,19と電源線2
6とを接続させることができる。したがって、給電部材24,25を用いることで、発光
管11の近傍という高温環境下でも、信頼性の高い電力供給を実現することができる。
【0044】
また、各冷却用電極18,19に対して、給電部材24,25を固着させるのではなく
、接触させているので、例えば、各冷却用電極18,19の線膨張係数と、給電部材24
,25の線膨張係数とが異なっても、高温環境下と低温環境下とで互いの膨張の程度に合
わせたずれが生じるだけ済む。したがって、半田を用いた接続などのように、接続箇所で
の割れなどが生じるおそれがなく、より信頼性の高い電力供給を実現することができる。
【0045】
なお、第2給電部材25は、延伸部23と第2冷却用電極19とを挟み込める形状であ
ればよく、コ字状の形状に限らず、例えばC字形状であってもよい。また、第2給電部材
25を、延伸部23の側方から延伸部23に嵌め合わせるように構成してもよい。
【0046】
図8は、実施例1の変形例1に係る光源装置が備える副反射鏡部分の分解斜視図である
。図9は、第1冷却用電極と第2冷却用電極とを取り付けた副反射鏡の平面図である。本
変形例1では、第1給電部材24も、上記で説明した第2給電部材25と同じ形状・構成
のものを用いる。また、第1給電部材24も第2給電部材25も副反射鏡13の後側から
延伸部23に嵌め合わされる。
【0047】
図9に示すように、第1給電部材24および第2給電部材25は、その根元が延伸部2
3の後側まで延びるように形成される。第1給電部材24および第2給電部材25の後側
まで延びる部分は、平面的になるべく離して形成することで、放電部18c,19c以外
の部分でのイオン風の発生を抑えている。
【0048】
このように、第1給電部材24と第2給電部材25とを同じ形状・構成のものとするこ
とで、部材の共通化を図ることができ、製造コストの抑制を図ることができる。
【0049】
図10は、実施例1の変形例2に係る光源装置が備える副反射鏡の分解斜視図である。
図11は、変形例2に係る光源装置の横断面図である。本変形例2では、第2給電部材2
5が、延伸部23の円筒部23dの内径よりも大きい外径となるように、らせん状にされ
たコイル形状を呈する。第2給電部材25には、金属線が用いられる。第2給電部材25
のうち、らせん状とされた部分が給電部25aとして機能する。
【0050】
コイル形状の第2給電部材25を、延伸部23の円筒部23dに押し込んで嵌め合わせ
ることで、第2給電部材25はその外径が圧縮される。図11に示すように、第2給電部
材25の外径が圧縮されることで生じる弾性力によって、給電部25aと第2冷却用電極
19とを密着させて、互いに接触させることができる。また、第2給電部材25を円筒部
23dから外れにくくすることができる。このように、本変形例2の第2給電部材25で
は、給電部25aが、副反射鏡13の延伸部23に嵌め合わされる嵌め合わせ部としても
機能する。
【0051】
なお、らせん状部分は、前側または後側から見た場合に、きれいな円形形状となってい
るよりも、不規則に乱れた形状であることが好ましい。このように不規則な形状でらせん
状部分を形成することで、延伸部23の円筒部23dに嵌め合わせた際に、不規則に形成
されたいずれかの部分が第2冷却用電極19に接触しやすくなり、接触不良などによる歩
留まりの低下を抑えることができる。また、第2給電部材25の根元で電源線を挟み込む
ようにしてもよいし、金属線である第2給電部材25そのものを電源線として利用しても
よい。
【実施例2】
【0052】
図12は、本発明の実施例2に係る光源装置402の分解斜視図である。図13は、実
施例2に係る光源装置402の断面図である。なお、上記の実施例1と同一の部分には同
一の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施例では、第1冷却用電極18が、副反
射鏡13の内側に配置される。また、第1冷却用電極18と第2冷却用電極19との間に
絶縁シート(絶縁膜)14が設けられる。絶縁シート14としては、絶縁材料をシート状
に形成したものが用いられる。
【0053】
また、第1給電部材24および第2給電部材25は、上記実施例1の変形例1で説明し
たものと同様に、同じ形状・構成のものを用いる。ただし、本実施例では、第1冷却用電
極18が配置される位置と、絶縁シート14の有無が、上記実施例1の変形例1とは異な
るため、第1給電部材24および第2給電部材25を延伸部23に嵌め合わせた際の断面
構成が異なる。
【0054】
図14は、第1給電部材24の嵌め合わせの状態を示す横断面図である。図14に示す
ように、第1給電部材24は、第1冷却用電極18と副反射鏡13の延伸部23を挟み込
むように、延伸部23に嵌め合わされる。また、第1給電部材24の一部が絶縁シート1
4で覆われる。
【0055】
図15は、第2給電部材25の嵌め合わせの状態を示す横断面図である。図15に示す
ように、第2給電部材25は、第2冷却用電極18と、絶縁シート14と、副反射鏡13
の延伸部23を挟み込むように、延伸部23に嵌め合わされる。
【0056】
以上説明したように構成することで、第1給電部材24および第2給電部材25を用い
て、第1冷却用電極18および第2冷却用電極19に対して高い信頼性で電力を供給する
ことができる。
【0057】
また、第1冷却用電極18および第2冷却用電極19を図示しない電圧印加部に接続し
、電圧印加部により両電極18,19間に電圧を印加することで、両電極18,19間に
沿面放電を起こさせることができる。沿面放電によって、第2冷却用電極19の放電部1
9c付近でイオン化された空気分子が、第1冷却用電極18側に引き付けられて絶縁シー
ト14上を移動する。イオン化された空気分子は、移動する際に他の空気分子に衝突する
ことで、第2冷却用電極19から第1冷却用電極18方向に向かう、いわゆるイオン風を
発生させる。なお、両電極18,19間に印加される電圧は、交流電圧であることが望ま
しい。絶縁シート14上にイオン風が発生することで、発光部15と副反射面13aとの
間の空気を流動させることができる。これにより、発光管11のうち副反射鏡13に覆わ
れた部分の効果的な冷却が可能となり、発光管11の適切な温度調整が可能となる。
【0058】
また、他の実施例と同様に、給電部材24,25を用いることで、発光管11の近傍と
いう高温環境下でも、信頼性の高い電力供給を実現することができる。
【実施例3】
【0059】
図16は、本発明の実施例3に係る光源装置452の横断面図である。図17は、副反
射鏡の外観斜視図である。図18は、第1給電部材24の外観斜視図である。図19は、
第2給電部材の外観斜視図である。なお、上記の実施例と同一の部分には同一の符号を付
し、重複する説明を省略する。本実施例3に係る光源装置452は、発光部15に対して
前側(被照射面側)に副反射鏡313を有することを特徴とする。
【0060】
主反射鏡312は、中心軸AXを中心として楕円を回転させることにより得られる回転
楕円面と略同じ形状をなしている。主反射鏡312は、所望の形状に成形された基材の表
面に高反射性部材、例えば誘電体多層膜や金属部材を蒸着させることにより構成されてい
る。なお、主反射鏡312は、回転楕円面と略同じ形状に限られず、例えば、放物線など
の所定の曲線を回線させることにより得られる回転曲面と略同じ形状や、自由曲面形状な
どとしても良い。
【0061】
副反射鏡313は、副反射面313aが形成された副反射部320と延伸部323とを
備える。副反射鏡313は、発光部15の周囲のうち、発光部15に対して前側の部分を
副反射部320で覆う。副反射鏡313は、発光部15から射出した光を副反射面313
aで発光部15へ向けて反射させる。副反射面313aと発光部15との間には、隙間が
設けられている。副反射鏡313は、所望の形状に成形された基材の表面に高反射性部材
として誘電体多層膜を蒸着させることにより構成されている。なお、本実施例3で副反射
鏡313に用いられる基材は絶縁体である。また、誘電体多層膜も絶縁体である。主反射
鏡312と副反射鏡313とを設けることにより、発光部15から射出した光を効率良く
前側に向けて進行させることが可能となる。
【0062】
また、副反射鏡313の前側には、発光管11の第1封止部17を覆う延伸部(第1延
伸部)323が形成されている。延伸部323は、第1封止部17の周囲を覆うように、
円筒形状の円筒部となっている。なお、本実施例3では、発光管11の第1封止部17は
、発光部15の前側に設けられている封止部とする。
【0063】
第1冷却用電極18は、延伸部323に対して外側に配置される。第2冷却用電極19
は、延伸部323の内側に貼り付けられる。本実施例3では、第1冷却用電極18および
第2冷却用電極19は、全体が放電部として機能する。第2冷却用電極19は、第1冷却
用電極18よりも後側にずらした位置となるように配置される。この配置により、第1冷
却用電極18が、第2冷却用電極19よりも発光部15側にずらした位置に配置される。
【0064】
第1給電部材24は、給電部24aと受電部24bとを備える。給電部24aは、延伸
部323の外径よりも小さな内径の略C字形状を呈しており、延伸部323および第1冷
却用電極18の外側に嵌め合わされる。これにより、第1給電部材24の弾性力によって
、給電部24aを第1冷却用電極18に密着させて、互いに接触させることができる。給
電部24aは、嵌め合わせ部としても機能する。受電部24bは、上記実施例1でも説明
したように、電源線(図示せず)を挟み込んで保持することができるようになっている。
【0065】
第2給電部材25は、給電部25aと受電部25bとを備える。給電部25aは、延伸
部323の内径よりも大きな外径の略C字形状を呈しており、延伸部323および第2冷
却用電極19の内側に嵌め合わされる。これにより、第2給電部材25の弾性力によって
、給電部25aを第2冷却用電極18に密着させて、互いに接触させることができる。給
電部25aは、嵌め合わせ部としても機能する。受電部25bは、上記実施例1でも説明
したように、電源線(図示せず)を挟み込んで保持することができるようになっている。
【0066】
上記構成において、第1冷却用電極18および第2冷却用電極19を、図示しない電圧
印加部に接続し、両電極18,19間に電圧を印加することで、絶縁体である副反射鏡3
13の延伸部323を挟んで配置された両電極18,19間に沿面放電を起こさせること
ができる。沿面放電によって、第2冷却用電極19の放電部19c付近でイオン化された
空気分子が、第1冷却用電極18側に引き付けられて延伸部323と第1封止部17との
間を移動する。イオン化された空気分子は、移動する際に他の空気分子に衝突することで
、第2冷却用電極19から第1冷却用電極18方向に向かう、いわゆるイオン風を発生さ
せる。なお、両電極18,19間に印加される電圧は、交流電圧であることが望ましい。
【0067】
延伸部323と第1封止部17との間にイオン風が発生することで、発光部15と副反
射面313aとの間の空気を流動させることができる。これにより、発光管11のうち副
反射鏡313に覆われた部分の効果的な冷却が可能となり、発光管11の適切な温度調整
が可能となる。
【0068】
また、他の実施例と同様に、給電部材24,25を用いることで、発光管11の近傍と
いう高温環境下でも、信頼性の高い電力供給を実現することができる。
【0069】
なお、上記実施例2で説明したように、第1冷却用電極18を延伸部323の内側に配
置し、第1冷却用電極18と第2冷却用電極19との間に絶縁シートを設けてもよい。こ
の場合、第1給電部材24を、延伸部323の内径よりも大きな外径で形成するとともに
、絶縁シートよりも外側に嵌め合わせればよい。また、第2給電部材25は、絶縁シート
の内側に嵌め合わせればよい。
【実施例4】
【0070】
図20は、本発明の実施例4に係るプロジェクター1の概略構成を示す図である。プロ
ジェクター1は、不図示のスクリーンへ光を投写し、スクリーンで反射する光を観察する
ことで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクターである。プロジェクター1は、上
記実施例1に係る光源装置352を有する(図1〜7も参照)。光源装置352は、赤色
(R)光、緑色(G)光、青色(B)光を含む光を射出する。光源装置352には、電圧
印加部30が接続されている。電圧印加部30は、電源(図示せず)から供給される交流
電圧を、第1冷却用電極18と第2冷却用電極19との間に印加する。なお、第1冷却用
電極18は接地されている。
【0071】
凹レンズ31は、光源装置352から射出した光を平行化させる。第1インテグレータ
ーレンズ32および第2インテグレーターレンズ33は、アレイ状に配列された複数のレ
ンズ素子を有する。第1インテグレーターレンズ32は、凹レンズ31からの光束を複数
に分割する。第1インテグレーターレンズ32の各レンズ素子は、凹レンズ31からの光
束を第2インテグレーターレンズ33のレンズ素子近傍にて集光させる。第2インテグレ
ーターレンズ33のレンズ素子は、第1インテグレーターレンズ32のレンズ素子の像を
空間光変調装置上に形成する。
【0072】
2つのインテグレーターレンズ32、33を経た光は、偏光変換素子34にて特定の振
動方向の直線偏光に変換される。重畳レンズ35は、第1インテグレーターレンズ32の
各レンズ素子の像を空間光変調装置上で重畳させる。第1インテグレーターレンズ32、
第2インテグレーターレンズ33および重畳レンズ35は、光源装置352からの光の強
度分布を空間光変調装置上にて均一化させる。重畳レンズ35からの光は、第1ダイクロ
イックミラー36に入射する。第1ダイクロイックミラー36は、R光を反射し、G光お
よびB光を透過させる。第1ダイクロイックミラー36へ入射したR光は、第1ダイクロ
イックミラー36および反射ミラー37における反射により光路が折り曲げられ、R光用
フィールドレンズ38Rへ入射する。R光用フィールドレンズ38Rは、反射ミラー37
からのR光を平行化し、R光用空間光変調装置39Rへ入射させる。
【0073】
R光用空間光変調装置39Rは、R光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であ
って、透過型液晶表示装置である。R光用空間光変調装置39Rに設けられた不図示の液
晶パネルは、2つの透明基板の間に、光を画像信号に応じて変調するための液晶層を封入
している。R光用空間光変調装置39Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロス
ダイクロイックプリズム40へ入射する。
【0074】
第1ダイクロイックミラー36を透過したG光およびB光は、第2ダイクロイックミラ
ー41へ入射する。第2ダイクロイックミラー41は、G光を反射し、B光を透過させる
。第2ダイクロイックミラー41へ入射したG光は、第2ダイクロイックミラー41での
反射により光路が折り曲げられ、G光用フィールドレンズ38Gへ入射する。G光用フィ
ールドレンズ38Gは、第2ダイクロイックミラー41からのG光を平行化し、G光用空
間光変調装置39Gへ入射させる。G光用空間光変調装置39Gは、G光を画像信号に応
じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用空間光変調装
置39Gで変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム40のうちR光が入射する
面とは異なる面へ入射する。
【0075】
第2ダイクロイックミラー41を透過したB光は、リレーレンズ42を透過した後、反
射ミラー43での反射により光路が折り曲げられる。反射ミラー43からのB光は、さら
にリレーレンズ44を透過した後、反射ミラー45での反射により光路が折り曲げられ、
B光用フィールドレンズ38Bへ入射する。R光の光路およびG光の光路よりもB光の光
路が長いことから、空間光変調装置における照明倍率を他の色光と等しくするために、B
光の光路には、リレーレンズ42、44を用いるリレー光学系が採用されている。
【0076】
B光用フィールドレンズ38Bは、反射ミラー45からのB光を平行化し、B光用空間
光変調装置39Bへ入射させる。B光用空間光変調装置39Bは、B光を画像信号に応じ
て変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用空間光変調装置
39Bで変調されたB光は、クロスダイクロイックプリズム40のうちR光が入射する面
、G光が入射する面とは異なる面へ入射する。
【0077】
クロスダイクロイックプリズム40は、互いに略直交する2つのダイクロイック膜46
、47を有する。第1ダイクロイック膜46は、R光を反射し、G光およびB光を透過さ
せる。第2ダイクロイック膜47は、B光を反射し、R光およびG光を透過させる。クロ
スダイクロイックプリズム40は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光およびB
光を合成し、投写レンズ48の方向へ射出する。投写レンズ48は、クロスダイクロイッ
クプリズム40で合成された光をスクリーンの方向へ投写する。
【0078】
構造の複雑化や騒音の問題の発生を抑えつつ発光部を効果的に冷却することができる光
源装置352を用いることにより、プロジェクター1は、簡素な構成としつつ安定的に効
率良く明るい画像を表示することが可能となる。また、図7に示す状態を正立状態とした
場合に、それを上下逆転させた状態を倒立状態と規定すると、倒立状態で光源装置352
が使用された場合には、発光管11の上側が副反射鏡13で覆われる。この倒立状態では
、発光部15と副反射面13aとの間に熱がこもりやすくなるが、イオン風によって発光
部15と副反射鏡13との間の空気を流動させて、発光部15を効果的に冷却させること
ができるので、冷却不良による不具合の発生を抑えて、安定的にプロジェクター1を動作
させることができる。また、第1冷却用電極18と第2冷却用電極19とで絶縁体である
副反射鏡13を挟むように配置することで、沿面放電を利用できるので、電源から供給さ
れる交流電圧を直流電圧に変換せずに印加させることができる。したがって、電圧を変換
する部品を削減してコスト抑制を図ることができる。
【0079】
なお、プロジェクター1に用いられる光源装置は、実施例1で説明した光源装置352
に限られず、実施例2で説明した光源装置402や実施例3で説明した光源装置452を
用いてもよい。
【0080】
なお、プロジェクター1は、空間光変調装置として透過型液晶表示装置を用いる場合に
限られない。空間光変調装置としては、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Sil
icon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light
Valve)等を用いても良い。プロジェクター1は、色光ごとに空間光変調装置を備える
構成に限られない。プロジェクター1は、一つの空間光変調装置により二つ又は三つ以上
の色光を変調する構成としても良い。プロジェクター1は、空間光変調装置を用いる場合
に限られない。プロジェクター1は、画像情報を持たせたスライドを用いるスライドプロ
ジェクターであっても良い。
【0081】
また、第1冷却用電極および第2冷却用電極の形状は、上述した実施例で説明した形状
に限られない。第1冷却用電極および第2冷却用電極の形状は、沿面放電によりイオン風
を起こすことのできる形状であればよく、様々な形状を採用することができる。さらに、
第1冷却用電極と第2冷却用電極とは絶縁体をはさんで設けられる構成には限らず、コロ
ナ放電によるイオン風を起こすことのできる構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本発明に係る光源装置は、プロジェクターに用いる場合に適している。
【符号の説明】
【0083】
1 プロジェクター、3,4 アーク用電極、11 発光管、12 主反射鏡、12a
主反射面、12b 基部、13 副反射鏡、13a 副反射面、14 絶縁シート(絶縁
膜)、15 発光部、16 第2封止部、17 第1封止部、18 第1冷却用電極(第
1電極)、18c 放電部、19 第2冷却用電極(第2電極)、19c 放電部、20
副反射部、21 絶縁膜、23 延伸部(第1延伸部)、23b 内側面、23c 外
側面、23d 円筒部、24 第1給電部材、24a 給電部、24b 受電部、24c
嵌め合わせ部、25 第2給電部材、25a 給電部、25b 受電部、26 電源線
、27 固着部、30 電圧印加部、31 凹レンズ、32 第1インテグレーターレン
ズ、33 第2インテグレーターレンズ、34 偏光変換素子、35 重畳レンズ、36
第1ダイクロイックミラー、37 反射ミラー、38R R光用フィールドレンズ、3
8G G光用フィールドレンズ、38B B光用フィールドレンズ、39R R光用空間
光変調装置、39G G光用空間光変調装置、39B B光用空間光変調装置、40 ク
ロスダイクロイックプリズム、41 第2ダイクロイックミラー、42 リレーレンズ、
43 反射ミラー、44 リレーレンズ、45 反射ミラー、46 第1ダイクロイック
膜、47 第2ダイクロイック膜、48 投写レンズ、312 主反射鏡、313 副反
射鏡、313a 副反射面、320 副反射部、323 延伸部、352,402,45
2 光源装置、AX 中心軸、P 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する発光部と、前記発光部の一方側に一体に設けられた第1封止部と、を備え
る発光管と、
前記発光部の周囲のうちの一部を覆い前記発光部から射出した光を反射させる副反射面
が形成された副反射部と、前記第1封止部を覆う第1延伸部と、を備える副反射鏡と、
前記発光部から射出した光と、前記副反射面で反射した光とを反射させる主反射鏡と、
絶縁体を挟んで設けられて、電圧を印加されることでイオン風を発生させる電極と、
前記主反射鏡または前記副反射鏡の少なくとも一方に嵌め合わされて前記電極に接する
給電部材と、を有し、
前記電極は、第1電極と、前記第1封止部と前記第1延伸部との間に設けられた第2電
極と、を備え、
前記給電部材は、前記第1電極に接する第1給電部材と、前記第2電極に接する第2給
電部材と、を備え、
前記第1電極は、前記第2電極よりも前記発光部側にずらして配置され、前記イオン風
で前記副反射面と前記発光部との間の空気を流動可能とすることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記主反射鏡は、中心軸を中心として所定の曲線を回転させることにより得られる回転
曲面と略同じ形状をなし、
前記副反射鏡は、前記発光部に対して被照射面側を覆うことを特徴とする請求項1に記
載の光源装置。
【請求項3】
前記第1電極と前記第2電極とは、絶縁体を挟んで設けられていることを特徴とする請
求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記絶縁体は、前記副反射鏡であることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記絶縁体は、前記第1封止部と前記第1延伸部との間に設けられる絶縁膜であること
を特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1給電部材および前記第2給電部材の少なくとも一方は、電源線と接続される受
電部を備え、
前記受電部は、前記電源線を挟み込んで保持することを特徴とする請求項1〜5のいず
れか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1給電部材および前記第2給電部材の少なくとも一方は、前記副反射鏡の一部と
前記電極とを挟み込むように前記副反射鏡に嵌め合わされることを特徴とする請求項1〜
6のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第1給電部材および前記第2給電部材の少なくとも一方は、被照射面側の反対側か
ら前記第1延伸部を挟み込むことを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記第1延伸部は、略円筒形状を呈する円筒部を備え、
前記第2給電部材は、前記円筒部の内径よりも大きい外径でらせん状とされたコイル形
状を呈し、前記円筒部に挿入されることで、前記円筒部の内面に嵌め合わされて前記第2
電極と接触することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記延伸部は、略円筒形状を呈する円筒部を備え、
前記第1給電部材は、前記円筒部の外径よりも小さな内径の略C字形状を呈し、前記円
筒部の外周面に嵌め合わされて前記第1電極に接触することを特徴とする請求項1〜5の
いずれか1項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記第2給電部材は、前記円筒部の内径よりも大きい外径の略C字形状を呈し、前記円
筒部に挿入されることで、前記円筒部の内面に嵌め合わされて前記第2電極に接触するこ
とを特徴とする請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記主反射鏡は、前記延伸部および前記第1封止部の少なくとも一方に固着される基部
を備え、
前記第1給電部材は、前記基部の外周面に嵌め合わされるとともに前記第1電極に接触
することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の光源装置と、
前記第1電極と前記第2電極との間に交流電圧を印加させる電圧印加部と、
前記光源装置から射出した光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置と、を有する
ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−216431(P2011−216431A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85856(P2010−85856)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】