説明

光源装置およびプロジェクタ

【課題】低発熱、かつ、長寿命な光源装置、及び当該光源装置を備えるプロジェクタの提供。
【解決手段】プロジェクタは、光源装置411を備える。光源装置411は、リフレクタ415と、支持部材416と、発光部418とを備える。リフレクタ415は、楕円面リフレクタで構成される。支持部材416は、リフレクタ415の光軸に沿って設けられる。発光部418は、LED419Rと、LED419Gと、LED419Bと、LED419Wとを備える。各LED419は、各LED419の発光面中心における法線Nが、リフレクタ415の光軸Lと直交し、かつ、リフレクタ415における第1焦点位置を含む平面S上にあるように支持部材416に支持される。このような構成によれば、プロジェクタは、光源装置411を備え、光源装置411は、各LED419を備えているから、低発熱、かつ、長寿命なプロジェクタ1を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、及び当該光源装置を備えるプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出された光を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、当該光学像をスクリーンに拡大投射するプロジェクタが知られている。
このようなプロジェクタの光源装置としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等の放電型の光源ランプと、光源ランプから射出された光束を反射するリフレクタとを備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−148293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような放電型の光源ランプは、高輝度な光を射出することができる一方、発熱が大きく、寿命が短いという問題がある。また、高圧水銀ランプは、廃棄の際、同時に水銀も廃棄物となるため環境上の問題がある。
そこで近年では、代替光源として、発熱が小さく、寿命が長いLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などの固体光源が注目されている。
このような固体光源は、放電型の光源ランプと比較して低出力であり、スクリーン上の明るさを確保するためには複数個の光源(アレイ状光源など)を用いなければならず、光源を光変調装置等の近くに配置する専用の光学系を採用することが多い。したがって、従来のプロジェクタの光源装置との互換性がなく、容易に光源装置を置き換えることができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、低発熱、かつ、長寿命な光源装置、及び当該光源装置を備えるプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光源装置は、光を射出する発光面を有する複数の固体光源と、前記複数の固体光源から射出される光を一方向に反射する曲面形状のリフレクタと、前記リフレクタの光軸に沿って設けられ、各固体光源を支持する支持部材とを備え、各固体光源は、当該固体光源の発光面中心における法線が、前記リフレクタの光軸と直交し、かつ、当該リフレクタにおける焦点位置のうち、当該リフレクタに近い側の焦点位置を含む平面上にあるように配置されることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、光源装置は、固体光源を備えているから、低発熱、かつ、長寿命な光源装置を実現することができる。
ここで、固体光源とは、固体の原子または分子、もしくはエネルギー帯中の電子を、電気的な方法で励起し、より低い状態へもどる時に発する光を利用する光源であり、例えば、LED、LD、EL(Electric Luminescence)等が挙げられる。このような固体光源は、放電型の光源ランプと比較して光を射出する際の発熱が小さく、寿命が長いことが知られているので、低発熱、かつ、長寿命な光源装置を実現でき、水銀等の有害物質を用いないので環境上の問題もなく望ましい。
また、発光ピークを与える固体光源の発光面中心における法線が、リフレクタの光軸と直交し、焦点位置を含む平面上にあるように配置されるから、発光面から射出される最も強い光がリフレクタにより方向を揃えて一方向に射出され、光の利用効率を高めることができる。
【0008】
本発明では、前記各固体光源は、互いに異なる色光を射出することが好ましい。
ここで、互いに異なる色光は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)を採用することができる。なお、光量を増加させる場合には、例えば、RGBの他に白(W)を採用してもよく、さらには、必要に応じて、藍色(C)、深紅色(M)、黄色(Y)を採用してもよい。
【0009】
このような構成によれば、各色光を射出する固体光源を時分割で順次点灯させることができるので、例えば、可動マイクロミラーを用いた光変調装置を備えたプロジェクタに、本発明に係る光源装置を採用すれば、固体光源の点灯制御を行うことによりRGBの各色光を時分割で光変調装置に供給することができる。
すなわち、放電型の光源ランプを採用する場合には、RGB各色のカラーフィルタを備えたカラーホイールを利用することにより、RGBの各色光を時分割で光変調装置に供給していたが、本発明に係る光源装置を採用すれば、カラーホイールを備える必要がなく、部品点数を削減することができ、プロジェクタの構造を簡素化することができる。
【0010】
本発明では、前記リフレクタは、前記各固体光源に応じて配置される複数の反射部材を備えることが好ましい。
このような構成によれば、リフレクタが各固体光源に応じた複数の反射部材を備えることにより、各固体光源の発光面中心に応じて各反射部材をオフセットして配置することができるため、光の利用効率を一層向上させることができる。
【0011】
すなわち、支持部材は、リフレクタの光軸に沿って設けられ、固体光源は、支持部材に支持されているため、一体型のリフレクタの場合には、固体光源の発光面中心をリフレクタの焦点位置に正確に配置することはできない。これに対して、リフレクタが複数の反射部材を備えている場合、各反射部材を一体型のリフレクタに対してオフセットして配置することにより、各固体光源の発光面中心を各反射部材の焦点位置に正確に配置することができる。
また、各固体光源が互いに異なる色光を射出する場合には、リフレクタが各固体光源に応じた複数の反射部材を備えることにより、各色光の混合を防止することができる。
【0012】
本発明では、前記固体光源は、光透過性材料を略球面状に形成した封止部材により封止されることが好ましい。
このような構成によれば、封止部材は、光透過性材料を略球面状に形成されるから、レンズ効果を有することができる。すなわち、封止部材の形状を変更することにより、固体光源から射出される光の射出角を変更することができる。したがって、例えば、封止部材の形状を変更することにより、固体光源から射出される光の発光面中心をリフレクタの焦点位置に合わせることができ、光の利用効率を一層向上させることができる。
また、各固体光源が互いに異なる色光を射出する場合には、封止部材の形状を変更することにより、各色光の混合を防止することができる。
【0013】
本発明のプロジェクタは、光源から射出された光を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、当該光学像を拡大投射するプロジェクタであって、前述した光源装置と、前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置とを備えて構成されることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、プロジェクタは、前述した光源装置を備えているから、低発熱、かつ、長寿命なプロジェクタを実現することができる。
また、前述した光源装置は、リフレクタを備えることにより光の利用効率を高めることができるので、光源を光変調装置等の近くに配置する専用の光学系を採用する必要がなく、放電型の光源ランプによる光源装置を利用したプロジェクタの光源装置と容易に置き換えることができる。したがって、光源装置以外の構成は、放電型の光源ランプによる光源装置を備えたプロジェクタと同様の構成とすることができる。
【0015】
本発明では、前記プロジェクタは、前記光源装置から射出された光の面内照度を均一化するロッドインテグレータを備え、前記光変調装置は、前記ロッドインテグレータから射出された光を画像情報に応じて変調することが好ましい。
このような構成によれば、プロジェクタは、ロッドインテグレータを備えているから、光源装置から射出された光の面内照度を均一化することができ、色ムラの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
(1)プロジェクタ1の全体構成
図1は、プロジェクタ1の概略構成を示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、形成した光学像をスクリーン(図示省略)上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装筺体2と、投射レンズ3と、光学ユニット4等を備えている。
なお、図1において、図示は省略するが、外装筺体2内における投射レンズ3および光学ユニット4以外の空間には、プロジェクタ1内部を冷却する冷却ファン等で構成される冷却ユニット、プロジェクタ1内部の各構成部材に電力を供給する電源ユニット、およびプロジェクタ1全体を制御する制御ユニット等が配置されるものとする。
【0017】
外装筺体2は、合成樹脂等から構成され、図1に示すように、投射レンズ3および光学ユニット4等を内部に収納配置する全体略直方体状に形成されている。なお、外装筺体2は、合成樹脂等に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
投射レンズ3は、光学ユニット4にて形成された光学像(カラー画像)を図示しないスクリーン上に拡大投射する投射光学装置である。この投射レンズ3は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。
【0018】
(2)光学ユニット4の構成
光学ユニット4は、制御ユニットによる制御の下、光源から射出された光を、光学的に処理して画像情報に対応した光学像(カラー画像)を形成するユニットである。この光学ユニット4は、図1に示すように、外装筺体2の背面に沿って延出するとともに、外装筺体2の側面に沿って延出する平面視略L字形状を有している。
この光学ユニット4は、照明光学装置41と、色分離光学装置42と、リレー光学装置43と、電気光学装置44と、これら光学部品41〜44を内部に収納配置するとともに、投射レンズ3を所定位置で支持固定する光学部品用筐体45とを備えている。
【0019】
照明光学装置41は、電気光学装置44を構成する後述する液晶パネル441の画像形成領域をほぼ均一に照明するための均一照明光学系である。この照明光学装置41は、光源装置411と、偏光変換素子412と、ロッドインテグレータ413と、重畳レンズ414とを備えて構成されている。
光源装置411は、図1に示すように、光学部品用筐体45内の図1中左端に配置され、光を射出するものである。なお、光源装置411については後に詳述する。
【0020】
偏光変換素子412は、図1に示すように、ロッドインテグレータ413の入射端面に設けられ、光源装置411から射出された光を略1種類の直線偏光に変換するものである。
偏光を変調するタイプの液晶パネルを用いたプロジェクタでは、1種類の直線偏光しか利用できないため、ランダムな偏光を発する光源装置411からの光の略半分を利用できない。このため、偏光変換素子412を用いることで、光源装置411からの射出光を略1種類の直線偏光に変換し、電気光学装置44での光の利用効率を高めている。
【0021】
ロッドインテグレータ413は、ガラス等の透光性材料から断面矩形状に構成され、光源装置411から射出された光を入射端面より入射し、入射した光をロッドインテグレータ413の内部で繰り返し反射させることにより、光の面内照度を均一化して射出端面より射出する。
ロッドインテグレータ413から射出された光は、重畳レンズ414により、後述する液晶パネル441の画像形成領域に重畳される。なお、ロッドインテグレータ413における入射端面、及び射出端面の縦横比は、後述する液晶パネル441の画像形成領域の縦横比と同じである。
【0022】
色分離光学装置42は、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421,422により照明光学装置41から射出された複数の部分光を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する。
リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432,434を備え、色分離光学装置42で分離された赤色光を赤色光用の液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
【0023】
この際、色分離光学装置42のダイクロイックミラー421では、照明光学装置41から射出された光の赤色光成分と緑色光成分とが透過するとともに、青色光成分が反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した青色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ424を通って青色光用の液晶パネル441Bに達する。このフィールドレンズ424は、ロッドインテグレータ413から射出された各部分光をその中心軸(主光線)に対して平行な光に変換する。他の緑色光および赤色光用の液晶パネル441G,441Rの光入射側に設けられたフィールドレンズ424も同様である。
【0024】
ダイクロイックミラー421を透過した赤色光と緑色光のうち、緑色光はダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ424を通って緑色光用の液晶パネル441Gに達する。一方、赤色光はダイクロイックミラー422を透過してリレー光学装置43を通り、さらにフィールドレンズ424を通って赤色光用の液晶パネル441Rに達する。なお、赤色光にリレー光学装置43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光における光路の長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光をそのまま、フィールドレンズ424に伝えるためである。なお、リレー光学装置43には、3つの色光のうち赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0025】
電気光学装置44は、色分離光学装置42から射出される3つの色光を画像情報に応じてそれぞれ変調し、変調した各色光を合成して光学像(カラー画像)を形成する。
この電気光学装置44は、図1に示すように、光変調装置としての液晶パネル441(赤色光用の液晶パネルを441R、緑色光用の液晶パネルを441G、および青色光用の液晶パネルを441Bとする)と、これら各液晶パネル441の光入射側にそれぞれ配置される3つの入射側偏光板442と、各液晶パネル441の光射出側にそれぞれ配置される3つの視野角補償板443と、3つの視野角補償板443の光射出側にそれぞれ配置される3つの射出側偏光板444と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム445とを備えて構成されている。
【0026】
入射側偏光板442には、偏光変換素子412で偏光方向が略一方向に揃えられた各色光が入射し、当該入射側偏光板442は、入射した光のうち、偏光変換素子412で揃えられた光の偏光方向と略同一方向の偏光のみ透過させ、その他の光を吸収するものである。この入射側偏光板442は、例えば、サファイアガラスまたは水晶等の透光性基板上に偏光層が貼付された構成を有している。
光変調装置としての液晶パネル441は、詳しい図示を省略するが、一対の透明なガラス基板間に電気光学物質である液晶が密閉封入した構成を有し、制御ユニットからの駆動信号に応じて、液晶の配向状態が制御され、入射側偏光板442から射出された偏光光の偏光方向を変調する。
【0027】
視野角補償板443は、フィルム状に形成され、液晶パネル441に光が斜方入射した場合(パネル面の法線方向に対して傾斜して入射した場合)の当該液晶パネル441で生じる複屈折による常光と異常光との間に生じる位相差を補償する。この視野角補償板443は、負の一軸性を有する光学異方体であり、その光学軸がフィルム面内の所定方向に向きかつ、該フィルム面から面外方向に所定角度傾斜するように配向している。
この視野角補償板443としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等の透明支持体上に配向層を介してディスコティック(円盤状)化合物層を形成したもので構成でき、例えば、WVフィルム(富士写真フィルム社製)を採用できる。
【0028】
射出側偏光板444は、液晶パネル441から射出され視野角補償板443を介した光のうち、入射側偏光板442における光の透過軸と直交する偏光方向を有する光のみ透過させ、その他の光を吸収するものである。
クロスダイクロイックプリズム445は、射出側偏光板444から射出された色光毎に変調された変調光を合成して光学像(カラー画像)を形成する。このクロスダイクロイックプリズム445は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層層が形成されている。これら誘電体多層層は、投射レンズ3と対向する側(G色光側)に配置された射出側偏光板444を介した色光を透過し、残り2つの射出側偏光板444(R色光側およびB色光側)を介した色光を反射する。このようにして、各入射側偏光板442、各液晶パネル441、各視野角補償板443、および各射出側偏光板444にて変調された各色光が合成されてカラー画像が形成される。
【0029】
(3)光源装置411の構成
光源装置411は、図2に示すように、リフレクタ415と、支持部材416と、ヒートシンク417と、発光部418とを備えている。
リフレクタ415は、曲面形状の反射部を備えた光透過性を有するガラス製の成形品であり、回転楕円面を有する楕円面リフレクタで構成されている。リフレクタ415の光軸上には、リフレクタ415に近い側の焦点位置である第1焦点位置と、遠い側の焦点位置である第2焦点位置との2箇所の焦点位置がある。そして、リフレクタ415の第1焦点位置から射出された光は、一方向に反射してリフレクタ415の第2焦点位置、すなわちロッドインテグレータ413の入射端面に収束される。
【0030】
支持部材416は、アルミニウムなどの熱伝導性のよい材料により断面円形の管状に形成され、リフレクタ415の光軸に沿って設けられる。
ヒートシンク417は、アルミニウムなどの熱伝導性のよい材料により成形される放熱板であり、支持部材416に接触する基盤と、この基板上に間隔を設けて立設される複数のリブ状部材とを備えている。
【0031】
発光部418は、リフレクタ415の第1焦点位置に配置され、光を射出するものであり、赤色光を射出するLED419Rと、緑色光を射出するLED419Gと、青色光を射出するLED419Bと、白色光を射出するLED419Wと、封止部材4181とを備えている。
固体光源としての各LED419は、図2、及び図3に示すように、円盤状に形成され、この円盤の周囲に遮光部が立設される台座4191を備え、各LED419の発光面中心は、各台座4191の中心位置となるように配置される。そして、各台座4191は、中心位置が平面S上にあるように支持部材416の外周に接着される。
【0032】
すなわち、各LED419は、各LED419の発光面中心における法線Nが、リフレクタ415の光軸Lと直交し、かつ、リフレクタ415における第1焦点位置を含む平面S上にあるように支持部材416に支持される。また、各LED419を駆動するための配線は、支持部材416の内部に収納される。
なお、各LED419は、順方向に電圧を加えた際に発光面から放射状の光を射出する半導体素子であり、発光面から射出する光の色は、各LED419を形成する材料により異なる。
【0033】
封止部材4181は、図3に示すように、光透過性材料を略球面状に形成され、レンズ効果を有している。これにより、例えば、封止部材4181の形状を変更することにより、各LED419から射出される光の射出角を変更することができる。なお、本実施形態においては、各LED419から射出される光の発光面中心をリフレクタ415の第1焦点位置に合わせるとともに、各色光が混合しないように、各LED419から射出される光の射出角が調整されている。
【0034】
すなわち、光源装置411は、各LED419に電圧を加えることにより、各LED419の発光面から放射状の光を射出させる。そして、各LED419から射出される光は、封止部材4181のレンズ効果により、射出角が調整される。ここで、各LED419、及び封止部材4181を備える発光部418は、リフレクタ415の第1焦点位置に配置されるので、発光部418から射出される光は、リフレクタ415により一方向に反射され、リフレクタ415の第2焦点位置、すなわちロッドインテグレータ413の入射端面に収束する。
【0035】
本実施形態に係るプロジェクタ1によれば、次のような効果がある。
(1)プロジェクタ1は、光源装置411を備え、光源装置411は、各LED419を備えているから、低発熱、かつ、長寿命なプロジェクタ1を実現することができる。
(2)発光ピークを与える各LED419の発光面中心における法線Nが、リフレクタ415の光軸Lと直交し、かつ、リフレクタ415における第1焦点位置を含む平面S上にあるように支持部材416に支持されるから、発光面から射出する最も強い光がリフレクタ415により方向を揃えて一方向に射出され、光の利用効率を高めることができる。
【0036】
(3)光源装置411から射出された各色光は、リフレクタ415により一方向に反射され、ロッドインテグレータ413の入射端面より入射する。そして、ロッドインテグレータ413は、入射した光の面内照度を均一化するとともに、各色光を混合して射出端面より射出する。したがって、光源装置以外の構成は、放電型の光源ランプによる光源装置を備えたプロジェクタと同様の構成とすることができる。
【0037】
(4)封止部材4181は、光透過性材料を略球面状に形成されるから、レンズ効果を有することができる。すなわち、封止部材4181の形状を変更することにより、各LED419から射出される光の射出角を変更することができる。また、封止部材4181の形状を変更することにより、各LED419から射出される光の発光面中心をリフレクタ415の第1焦点位置に合わせるとともに、各色光が混合しないように、各LED419から射出される光の射出角が調整されているから、光の利用効率を一層向上させることができ、各色光の混合を防止することができる。
(5)プロジェクタ1は、ロッドインテグレータ413を備えているから、光源装置411から射出された光の面内照度を均一化することができ、色ムラの発生を抑制することができる。
【0038】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係るプロジェクタ1Aについて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
前記第1実施形態に係るプロジェクタ1では、光源装置411から射出された光の面内照度をロッドインテグレータ413により均一化していた。
これに対して、本実施形態に係るプロジェクタ1Aでは、図4に示すように、光源装置411Aから射出された光の面内照度を光源装置411Aの光路後段に配置される第1レンズアレイ4112により均一化している点で異なる。
【0039】
また、前記第1実施形態に係るプロジェクタ1の光源装置411では、リフレクタ415が一体型で構成されていた。
これに対して、本実施形態に係るプロジェクタ1Aの光源装置411Aでは、図5に示すように、リフレクタ415Aが複数の反射部材4151R、4151G、4151B、及び4151Wで構成されている点で異なる。
【0040】
平行化凹レンズ4111は、リフレクタ415Aにて収束される光を光軸に対して平行化する。
第1レンズアレイ4112は、光軸に略直交する面内に複数の小レンズが、マトリクス状に配列された構成を有している。これら小レンズは、光軸方向から見て略矩形状の輪郭を有している。そして、これら各小レンズは、光源装置411Aから射出される光を、複数の部分光に分割する。
【0041】
第2レンズアレイ4113は、第1レンズアレイ4112と同様の構成を有しており、第1レンズアレイ4112の小レンズに対応する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ4113は、重畳レンズ414とともに、第1レンズアレイ4112の各小レンズの像を、電気光学装置44の各液晶パネル441の画像形成領域に重畳する。なお、偏光変換素子412は、第2レンズアレイ4113の光路後段に配置される。
なお、光源装置411Aから射出される光は、各色光ごとに射出されるため、各色光の境界部分に位置する小レンズにおいては複数の色光が混合し、これにより、色ムラが発生する場合がある。したがって、各色光の混合を防止するため、第1レンズアレイ4112、及び第2レンズアレイ4113は、十分な数の小レンズにより構成することが好ましい。
【0042】
各反射部材4151は、前記第1実施形態のような一体型のリフレクタ415に対して、外側にオフセットして配置され、オフセット量は、各反射部材4151の第1焦点位置が封止部材4181を介して各LED419の発光面中心に一致するような量とされる。
また、各反射部材4151の開き角は、各反射部材4151の第2焦点位置がロッドインテグレータ413の入射端面の所定位置に重なるような角度とされる。
一体型のリフレクタの場合では、第1焦点位置は、支持部材416の中心近傍位置となり、各LED419の発光面中心を正確に一致させることはできない。これに対して、本実施形態では、複数の反射部材4151でリフレクタ415Aを構成することにより、各LED419の色光に応じて各反射部材4151を一体型のリフレクタよりも外側に配置することが可能となり、封止部材4181を介した各LED419の発光面中心に各反射部材4151の第1焦点位置F1〜F4を一致させることができる。
【0043】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態の(1)〜(4)と同様の作用、効果を得ることができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
すなわち、各反射部材4151をオフセットして配置することにより、各LED419から射出される光の発光面中心を、各反射部材4151の第1焦点位置に正確に配置することができるので、光の利用効率を一層向上させることができる。
また、リフレクタ415Aが反射部材4151R、反射部材4151G、反射部材4151B、及び反射部材4151Wを備えるので、各色光の混合を防止することができる。
【0044】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係るプロジェクタ1Bについて説明する。
前記各実施形態に係るプロジェクタ1では、光源装置411は、リフレクタ415を備え、リフレクタ415は、回転楕円面を有する楕円面リフレクタで構成されていた。
これに対して、本実施形態に係るプロジェクタ1Bでは、図6に示すように、光源装置411Bは、リフレクタ415Bと、集光レンズ4114とを備え、リフレクタ415Bは、回転放物面を有する放物面リフレクタで構成されている点で異なる。
【0045】
また、前記各実施形態に係るプロジェクタ1では、色分離光学装置42と、リレー光学装置43と、電気光学装置44とを備えることにより光源装置411Bから射出される光を画像情報に応じて変調して光学像を形成していたが、本実施形態に係るプロジェクタ1では、図6に示すように、DMD(Digital Micromirror Device)46とを備えることにより、光源装置411Bから射出される光を画像情報に応じて変調して光学像を形成している点で異なる。また、DMD46は、液晶パネル441とは異なり、いずれの方向に振動する偏光光であっても利用することができるため、偏光変換素子を備える必要がない点で異なる。
【0046】
リフレクタ415Bは、曲面形状の反射部を備えた光透過性を有するガラス製の成形品であり、楕円面リフレクタとは異なり、焦点位置は1箇所のみである。そして、リフレクタ415Bの焦点位置から射出された光は、一方向に反射して光軸に対して平行化される。
集光レンズ4114は、リフレクタ415Bにより平行化された光を焦点位置、すなわちロッドインテグレータ413の入射端面に収束する。
ロッドインテグレータ413に入射した光は、光の面内照度が均一化されて射出端面より射出する。ロッドインテグレータ413から射出した光は、重畳レンズ414により、DMD46の画像形成領域に重畳される。
【0047】
DMD46は、入射光を反射する多数のマイクロミラーを有し、後述する制御ユニット5からの駆動信号に応じて入射光の反射方向をマイクロミラーの傾きを変える(オン/オフ)ことにより、光源装置411Bから射出される光を画像情報に応じて変調して光学像を形成する。
例えば、このDMD46は、CMOSウェハープロセスを基にマイクロマシン技術により半導体チップ上に多数の可動マイクロミラーを集積して構成される。この可動マイクロミラーは、対角軸を中心に回転し、2つの所定角度(±θ)に傾斜した双安定状態をとる。この2つの状態間で4θの大きな光偏向角が得られ、S/N(Signal to Noise)比の良好な光スイッチングを実施することができる。
【0048】
そして、DMD46に入射する光のうち、+2θ方向に偏向される光(可動マイクロミラーがオン状態の時)は、投射レンズ3により拡大投射され、−2θ方向に偏向される光(可動マイクロミラーがオフ状態の時)は、不要光として、図示しない光吸収部材により吸収される。
なお、このDMD46は、例えば、ディジタル・マイクロミラー・デバイス(テキサス・インスツルメント社の商標)を採用できる。
【0049】
制御ユニット5は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置によりプロジェクタ1B全体を制御するものであり、画像処理手段51と、DMD駆動制御手段52と、光源駆動制御手段53とを備える。
画像処理手段51は、入力された画像情報に基づいてRGBの各色光に応じた画像信号を生成してDMD駆動制御手段52、及び光源駆動制御手段53に出力する。
DMD駆動制御手段52は、画像処理手段51により生成される各色光に応じた画像信号に基づいてDMD46を時分割で駆動する。
光源駆動制御手段53は、DMD46の駆動と同期してLED419R、LED419G、及びLED419Bの点灯を制御し、光源装置411BにRGBの各色光を時分割で射出させる。
【0050】
すなわち、制御ユニット5は、DMD46に駆動信号を送信し、RGB各色の画像情報に応じて可動マイクロミラーのオン/オフを実施させる。また、制御ユニット5は、光源装置411Bに駆動信号を送信し、DMD46の駆動と同期して各LED419を時分割で順次点灯してRGBの各色光を射出させる。結果として、DMD46からRGBの光学像が形成され、これら各光学像が時間的に混合されてカラー画像が形成される。
【0051】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
すなわち、放電型の光源ランプを採用する場合には、RGB各色のカラーフィルタを備えたカラーホイールを利用することにより、RGBの各色光を時分割で射出し、これと同期してRGB各色の画像情報に応じて可動マイクロミラーのオン/オフを実施していたが、本実施形態に係るプロジェクタ1Bでは、LEDの高速応答を利用することにより各LED419を順次点灯してRGBの各色光を時分割で射出することができるから、カラーホイールを備える必要がなく、部品点数を削減することができ、プロジェクタ1Bの構造を簡素化することができる。
【0052】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、固体光源として、LEDを採用したが、例えば、LDやEL等を採用してもよく、要するに、発熱が小さく、寿命が長い固体光源であればよい。なお、固体光源としてLDを採用した場合、LDから射出される光は、略1種類の直線偏光を有するコヒーレント光であるため、偏光変換素子を備える必要がない。
【0053】
前記各実施形態では、LED419R、LED419G、LED419B、及びLED419Wが4箇所にそれぞれ設けられていたが、本発明はこれに限らない。すなわち、3箇所以下、あるいは、5箇所以上でもよく、例えば、LED419R、LED419G、及びLED419Bの3色でもよく、要するに、光源装置が利用される目的に応じて適宜選択すればよい。
前記各実施形態では、各LED419は、光透過性材料を略球面状に形成した封止部材4181により封止されていたが、固体光源は、封止部材により封止しなくてもよく、固体光源から射出される光を、リフレクタにより一方向に反射することができればよい。
【0054】
前記各実施形態における各光源装置、及び各プロジェクタの組み合わせはこれに限られるものではない。すなわち、例えば、前記第1実施形態に係るプロジェクタ1に前記第2実施形態に係る光源装置411Aを組み合わせてもよく、これら各光源装置、及び各プロジェクタの組み合わせは任意である。
前記各実施形態では、光学ユニット4は平面視略L字形状を有した構成を説明したが、これに限らず、例えば、平面視略U字形状を有した構成を採用してもよい。
前記各実施形態では、光変調装置として液晶パネル441、またはDMD46を備えた各プロジェクタを例示したが、入射光を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置であれば、他の構成の光変調装置を採用してもよい。
【0055】
前記各実施形態では、各LED419を備えた各光源装置を、各プロジェクタに採用したが、本発明はこれに限らない。すなわち、各光源装置を単体で利用することも可能である。このような各光源装置は、例えば、スポットライト等の照明装置に利用することができる。
前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から画像投射を行うフロントタイプのプロジェクタ1のみを例示したが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から画像投射を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【0056】
前記第1実施形態では、プロジェクタ1は、3つの液晶パネル441R,441G,441Bを備えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、2つ以下、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも、本発明を適用可能である。さらに、光入射面と光射出面とが異なる透過型の液晶パネル441を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す図である。
【図2】同光源装置の概略構成を示す図である。
【図3】同LED、及び封止部材を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る光源装置の概略構成を示す図である。
【図5】同照明光学装置を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0058】
1…プロジェクタ、1A…プロジェクタ、1B…プロジェクタ、3…投射レンズ、4…光学ユニット、41…照明光学装置、411…光源装置、411A…光源装置、411B…光源装置、413…ロッドインテグレータ、415…リフレクタ、415A…リフレクタ、416…支持部材、418…発光部、419R…LED、419G…LED、419B…LED、419W…LED、441…液晶パネル、441R…液晶パネル、441G…液晶パネル、441B…液晶パネル、4114…集光レンズ、4151R…反射部材、4151G…反射部材、4151B…反射部材、4151W…反射部材、4181…封止部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する発光面を有する複数の固体光源と、
前記複数の固体光源から射出される光を一方向に反射する曲面形状のリフレクタと、
前記リフレクタの光軸に沿って設けられ、各固体光源を支持する支持部材とを備え、
各固体光源は、当該固体光源の発光面中心における法線が、前記リフレクタの光軸と直交し、かつ、当該リフレクタにおける焦点位置のうち、当該リフレクタに近い側の焦点位置を含む平面上にあるように配置されることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記各固体光源は、互いに異なる色光を射出することを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光源装置において、
前記リフレクタは、前記各固体光源に応じて配置される複数の反射部材を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光源装置において、
前記固体光源は、光透過性材料を略球面状に形成した封止部材により封止されることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
光源から射出された光を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、当該光学像を拡大投射するプロジェクタであって、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置とを備えて構成されることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項6】
請求項5に記載のプロジェクタにおいて、
前記プロジェクタは、
前記光源装置から射出された光の面内照度を均一化するロッドインテグレータを備え、
前記光変調装置は、前記ロッドインテグレータから射出された光を画像情報に応じて変調することを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−84606(P2008−84606A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261377(P2006−261377)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】