説明

光源装置

【課題】ランプ交換に伴う集光型放電ランプの光軸ずれを防止できる光源装置を提供すること。
【解決手段】集光型放電ランプ44を交換自在に内蔵する装置本体4を備え、当該装置本体4に設けた口金6から光を出力するする光源装置1において、前記集光型放電ランプ44を着脱自在に保持するランプ取付台50を備え、前記ランプ取付台50には、前記集光型放電ランプ44のネック部61Aを受けるU字状の切欠が形成された台座52と、光軸Kと垂直な面を成し前記集光型放電ランプ44の集光型反射鏡62のフランジ部分62Aが当接する板状のフロント板54とを設け、前記台座52で受けたネック部61Aを押さえる押さえ部57と、前記集光型放電ランプ44を前記フロント板54に向けて付勢しフランジ部分62Aを密着させる押さえバネ56とを備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集光型放電ランプを内蔵した光源装置に係り、特に、集光型放電ランプのランプ交換に伴う光軸のずれを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばフラットパネルディスプレイ製造工程では、従来より、検査対象物のガラス板や塗料塗布面に光源装置に接続したライトガイドを通じて光を照射し、これをCCDカメラ等で観察して傷や塗装不良等の欠陥を検知する画像処理検査装置が使用されている。光源装置の光源としては、ハロゲンランプ、LED等の固体光素子、水銀ランプおよびメタルハライドランプ等の放電灯があり得るが、これらの中でも、放電ランプは、立ち上り時間が遅いものの高い光量が得られることから、この種の光源として最適である。このため、画像処理検査装置用の光源装置として、放電ランプに集光反射鏡とを一体にした集光型放電ランプを光源としたものが各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−233927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、集光型放電ランプは、長時間点灯するとランプ内の電極の消耗により電極間距離が伸び、且つ、発光管の白濁等でライトガイドへ入射する光量が減少するため、定期的に交換する必要がある。
しかしながら、ランプ交換時に、集光型放電ランプの位置決めが正確でないと、装置本体内部での光軸がずれてしまい、所望の光量や効率が得られない、といった問題がある。また、ランプ交換の度に、集光型放電ランプの光軸合わせを行うとすると、ランプ交換作業が必要に煩雑なものとなる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ランプ交換に伴う集光型放電ランプの光軸ずれを防止できる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、集光型放電ランプを交換自在に内蔵する装置本体を備え、当該装置本体に設けた光出射口から光を出力するする光源装置において、前記集光型放電ランプを着脱自在に保持するランプ取付台を備え、前記ランプ取付台には、前記集光型放電ランプのネック部を受けるU字状の切欠が形成された台座と、光軸と垂直な面を成し前記集光型放電ランプの反射鏡のフランジ部分が当接する板状のフロント面とを設け、前記台座で受けたネック部を押さえる押さえ部と、前記集光型放電ランプを前記フロント面に向けて付勢しフランジ部分を密着させる付勢手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記光源装置において、板状の基台の一方の面に前記ランプ取付台及び前記光出射口を光軸を合わせて固定するとともに、他方の面に前記集光型放電ランプの安定器と点灯制御回路とを支持するフレーム板を固定して内蔵ユニットを一体に構成したことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記光源装置において、前記光出射口と前記集光型放電ランプとの間に前記装置本体に対して抜き差し自在に設けられた波長選択フィルタと、前記集光型放電ランプの点灯をインターロックするインターロック回路とを備え、前記波長選択フィルタには、前記装置本体への挿入時に前記インターロック回路のスイッチを操作する操作子を設けたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記光源装置において、前記集光型放電ランプを覆うスライドカバーを前記装置本体に設け、前記スライドカバーのスライドを前記波長選択フィルタで規制したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ランプ取付台には、台座で受けたネック部を押さえる押さえ部と、集光型放電ランプをフロント面に向けて付勢しフランジ部分を密着させる付勢手段とを備える構成とした。この構成により、集光型放電ランプのフランジ部分がフロント面に密着することでランプの光軸が規定の光軸と平行になり、また、ネック部が押さえられることで、光軸の位置も合わせられる。これにより、集光型放電ランプをランプ取付台に取り付けるだけで簡単かつ正確に光軸が合わせられ、ランプ交換が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る光学装置の斜視図である。
【図2】装置本体から上側ケース体を取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】装置本体から上側ケース体を取り外した状態を示す平面図である。
【図4】内蔵ユニットを電気部品収納室の側からみた斜視図である。
【図5】内蔵ユニットの光学系収納室のみを示す斜視図であり、(A)は前面側からみた図、(B)は背面側からみた図である。
【図6】光学系収納室を側面からみた図である。
【図7】調光板の構成を示す図である。
【図8】装置本体のスライドカバーを開けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る光源装置1の外観構成を示す斜視図である。
光源装置1は、例えば検査対象物の表面を撮像し画像処理により製品検査を行う画像処理検査装置に設けられ、光ファイバの素線が多数束ねられてなるバンドルファイバ等のライトガイド2を介して検査対象物に照明光を照射する。本実施形態の光源装置1は、薬の錠剤といった比較的寸法の小さな検査対象物に加え、フラットパネルディスプレイのガラス基板といった比較的寸法の大きな検査対象物を検査する際にも十分か明るさが得られる光源を用いて構成されている。一般に、光源の出力が大きくなるほど光源装置1は大型化するが、本実施形態の光源装置1は、高出力の光源を内蔵しつつ、薬の錠剤を検査する画像処理検査装置のような小さな装置にも搭載可能に小型化されている。以下、係る光源装置1の構成について詳細に説明する。
【0012】
光源装置1は、直方の箱形の装置本体4を有し、この前面4Aには、ライトガイド2の一端が接続される口金(光出射口)6と、装置本体4の電源をオン/オフする点灯スイッチ8と、光量を調整するための回転操作子である調光操作子10と、装置本体4に外気を導入する外気導入口12とが設けられている。
【0013】
また、装置本体4の背面には電源ケーブル14が設けられ、この電源ケーブル14には商用の交流電力を直流電力に変換して装置本体4に供給するAC/DC電源アダプタ(電源ユニット)16が設けられている。AC/DC電源アダプタ16を装置本体4の外部に設けることで装置本体4に収容すべき部品点数が減り装置の小型化が図られる。特に、このAC/DC電源アダプタ16は、AC100V/200Vのユニバーサル入力で、後述する安定器38及び調光板40を回転駆動するモーター49(いずれも図3参照)で利用されるDC24Vと、点灯制御回路基板34(図3参照)で利用されるDC12Vを出力する。このように、装置本体4の各電気部品で使用される数種のDC電圧を全てAC/DC電源アダプタ16が供給する構成とすることで、電源を余分に装置本体4に内蔵する必要がないため更なる小型化が可能になる。
装置本体4の背面には、例えばコンピュータ端末や画像処理検査装置のコントローラとの間で通信するための信号線が接続される接続コネクタ18(図4参照)が設けられている。
【0014】
装置本体4は、左右側面及び上面を覆う上側ケース体4Bを備え、この上側ケース体4Bを取り外した状態を図2の斜視図、及び、図3の平面図に示す。
装置本体4には、内部を電気部品収納室21と光学系収納室22とに仕切る仕切板として機能する光源基台24が設けられている。電気部品収納室21は光源を除く各種の電気部品を納めるための空間であり、光学系収納室22は光源と各種の光学部品を納めるための空間である。光源基台24は金属板から形成され光学系収納室22から電気部品収納室21への漏れ光や熱の移動を遮蔽することから、電気部品収納室21に納められた電気部品での光照射などによる発熱を防止することができる。これにより、漏れ光や熱の移動を気にすることなく光学系部品の近くに電気部品を配置することができ装置を小型化し易くなる。
この光源基台24は電気部品及び光学部品を組み付ける基台としても機能し、光源基台24に各種部品を組み付けることで、装置本体4に内蔵する部品をユニット化した内蔵ユニット30が構成されている。
【0015】
図4は、内蔵ユニット30を電気部品収納室21の側からみた斜視図である。
電気部品収納室21は、光源基台24の側面に固定したフレーム板32により上下に分割されており、このフレーム板32の上面には、点灯制御回路基板34、モータードライバー(回転駆動回路)36及びI/O基板37が配置され、フレーム板32の下面には安定器38が固定されるとともに後述する遮光板40を回転するモーター49(図3)が配置されている。安定器38には外部に設けたAC/DC電源アダプタ16から電力が供給される。この安定器38は、駆動回路の高効率化、及び、高効率(低消費電力)な放電ランプ61(図6)の採用により小型化が図られている。そして、電気部品収納室21には、係る安定器38と点灯制御回路基板34とを上下に配置することで、これらをコンパクトに纏めることができる。点灯制御回路基板34と安定器38との間は、当該安定器38が発する電磁ノイズが点灯制御回路基板34の動作に与える影響を無くなる程度に離間している。このとき、安定器38と点灯制御回路基板34とを互いに裏面側同士が対向するように背中合わせにフレーム板32に取り付けることで、安定器38と点灯制御回路基板34の上下のスペースを最小限に抑えることができ、電気部品収納室21をより小型化できる。
フレーム板32は、装置本体4の前面4A側で側面視L字状に下方に折り曲げられフロント取付面32Aが構成されている。フロント取付面32Aには上述した点灯スイッチ8や調光操作子10に加え、外気導入口12から外気を電気部品収納室21に導入するための吸気ファン39が取り付けられている。なお、装置本体4の内部における冷却風の流れについては後述する。
【0016】
図5は、内蔵ユニット30の光学系収納室22のみを示す斜視図であり、図5(A)は前面4Aの側からみた図、図5(B)は背面側からみた図である。また図6は、光学系収納室22を側面からみた図である。
光学系収納室22には、これらの図に示すように、装置本体4の前面4Aから背面側にかけて、口金6と、調光板40(図4)と、波長選択フィルタ42と、集光型放電ランプ44と、排気ファン46とが同一の直線K上に配置されるように光源基台24に取り付けられている。この直線Kは、光源基台24と平行に延びる線であり集光型放電ランプ44の光軸と一致する。
【0017】
口金6には装置本体4の内部に向かって延びる光入射筒9が設けられている。この光入射筒9は、前面4A側の光源基台24の端部を垂直にL字状に折り曲げて形成した取付面25に垂直に取り付け固定され、これにより、光入射筒9が光源基台24に平行に延在する。この光入射筒9には、光軸K上にボールレンズ63が内設されている。ボールレンズ63は、口金6に接続されるライトガイド2の接続側端面に、集光型放電ランプ44の光を集光して入射する光学素子である。通常、この種の光源装置においては、集光型放電ランプ44の光をライトガイド2に導入する光学素子として六角ロッドが用いられている。この六角ロッドに代えてボールレンズ63を用いることで、口金6の正面への突出量を抑えることができる。また、これにより、当該光源装置1の光を使用する装置をより接近して配置できるため、口金6から装置に至る経路での光伝送損失を低減することもできる。
調光板40は、光入射筒9の入射開口9Aに近設して配置され、この入射開口9Aに入射する光量を調整する光学部材である。具体的には、図7に示すように、所定直径の円周40Aに沿って順次に開口幅が漸次に広がる調光スリット41(孔でも良い)が形成されている。この調光板40の円周40Aに光軸を合わせて配置し、当該調光板40を円周40Aの中心Oを軸に回転させることで、調光板40を透過する光量が可変される。
【0018】
図5及び図6に示すように、光源基台24には、調光板40を挿入するためのスリット48が形成され、図4に示すように、調光板40はスリット(挿入開口)48を通じて電気部品収納室21から光学系収納室22に亘って配置される。上述したように、この調光板40は、電機部品収納室21に配置したモーター49により回転駆動される。このモーター49は、上記電気部品収納室21のモータードライバー36によって駆動制御されており、当該モータードライバー36が調光操作子10の操作に応じてモーター49を回転駆動することで操作に応じた調光が得られる。このように調光板40を電気部品収納室21から光学系収納室22に亘って配置する構成とすることで、比較的大きな光学部品である調光板40を装置本体4を大型化せずに納めることができる。
【0019】
ここで、モーター49の出力軸49A(図3)と調光板40の中心Oを同軸に配置した場合、当該モーター49が光軸Kを遮蔽しない位置にレイアウトする必要が生じる。したがって、この場合には、調光板40の径を大きくして調光スリット41と中心Oまでの距離を拡大してモーター49を配置することとなるが、調光板40の大型化を招き装置の小型化が困難になる。そこで本実施形態では、モーター49の出力軸49Aを調光板40の中心Oに同軸に接続するのはなく、モーター49を電気部品収納室21に配置しつつ、当該モーター49の出力軸49A(軸線M)と調光板40の中心Oに設けた中心軸40B(軸線A)を動力伝達手段の一態様たるタイミングベルト60で連結する構成としている。これにより、調光板40を大型化する必要がなく、また、モーター49を光学系収納室22に配置する必要がないため、当該光学系収納室22をコンパクトにできる。なお、動力伝達手段にはタイミングベルト60に代えて歯車などの他の手段(機構)を用いてもよい。
【0020】
波長選択フィルタ42は、図5及び図6に示すように、調光板40と集光型放電ランプ44との間に当該集光型放電ランプ44と対面して配置され、例えば赤外波長成分の光をカットする透過型フィルタであり、図2に示すように、フィルタ材43と、このフィルタ材43を担持する板状の担持板45とを備えている。光源基台24には、波長選択フィルタ42のフィルタ材43の面を光軸Kと直交するように支持する支持具47が固定されており、この支持具47に波長選択フィルタ42が上下方向に抜き差し自在に支持され、これにより、任意に交換可能に構成されている。
【0021】
また、波長選択フィルタ42の頂上部には、L字状に折り曲げられた突出部45Aが形成されており、この突出部45Aが図1に示すように上側ケース体4Bから突出するように支持されている。この上側ケース体4Bには、集光型放電ランプ44を覆う位置にスライドカバー7が前面4A側にスライド可能に設けられている。スライドカバー7からみて前面4Aの側には、波長選択フィルタ42の突出部45Aが位置し、この突出部45Aがスライドカバー7の摘み部7Aに当ってスライドが規制される。したがって、スライドカバー7をスライドさせて集光型放電ランプ44にアクセスするには、図8に示すように、波長選択フィルタ42を装置本体4から抜き出して行うこととなり、波長選択フィルタ42がスライドカバー7を開けるための鍵として機能する。
【0022】
集光型放電ランプ44は、図5及び図6に示すように、光源基台24に固定されたランプ取付台50に取り付けられている。集光型放電ランプ44は、放電ランプ61に集光型反射鏡62を一体に設けたランプであり、放電ランプ61には、水銀ランプやメタルハライドランプなどのショートアーク型のランプが好適に用いられている。集光型反射鏡62は、図6(B)に示すようにカップ状を成し、その底部から放電ランプ61の円筒状のネック部61Aが突出している。
【0023】
ランプ取付台50は、側面視L字形状の側板51を有し、この側板51の底辺(すなわちランプ取付台50の底面50A)が光軸Kに対して平行であり前方の辺(後述するフロント板54)が光軸Kに対して垂直になるように、ランプ取付台50が光源基台24に取り付けられている。
また、ランプ取付台50の底面50Aには、集光型放電ランプ44のネック部61Aが嵌るU字状の切欠52Aが設けられた台座52と、集光型放電ランプ44の集光型反射鏡62のフランジ部分62A(図6)に当接するフロント板(フロント面)54とを備えている。フロント板54には集光型反射鏡62の対応箇所に開口54Aが形成されるとともに光源基台24の側面に対して垂直な面を構成するように取り付けられている。すなわち、図6に示すように、フロント板54に集光型放電ランプ44の先端のフランジ部分62Aが隙間無く押し当てられることで、集光型放電ランプ44の光軸が上記光軸Kと平行に合わせられる。
【0024】
このとき、ランプ取付台50においては、集光型放電ランプ44のネック部61Aのみを支持する構成であるため、ランプ交換後などに光軸がずれる可能性がある。そこで、このランプ取付台50には、集光型放電ランプ44の集光型反射鏡62を後方からフロント板54に向かって付勢する付勢手段としての押さえバネ56が設けられ、さらに、台座52に支持されているネック部61Aを上から押さえ付ける押さえ部57を有したカバー58が設けられている。このカバー58は、フロント板54にヒンジ59で開閉自在に結合され、また、このカバー58には、閉じた状態のときに上記スライドカバー7に当接する突起部58Aが設けられている。
【0025】
これにより、集光型放電ランプ44のフランジ部分62Aが押さえバネ56によってフロント板54に密着することでランプの光軸が規定の光軸Kと平行になり、また、ネック部61Aがカバー58の押さえ部57で押さえられることで、ランプの光軸の位置が規定の光軸Kの位置に合わせられる。すなわち、集光型放電ランプ44をランプ取付台50に取り付け、カバー58を閉じるだけで簡単かつ正確に光軸が合わせられ、ランプ交換が容易となる。また、ランプ交換時に集光型放電ランプ44のネック部61Aが台座52の切欠52Aに十分に嵌っていない場合には、カバー58の突起部58Aがスライドカバー7の移動線上に出っ張り当該スライドカバー7を閉めることができない。これにより、集光型放電ランプ44の装着が不十分な状態での使用を防止できる。
【0026】
排気ファン46は、ランプ取付台50の後方に位置して光源基台24に取り付けられ、装置本体4の背面に設けられた排気口(不図示)から外部に排気する。
【0027】
このように、装置本体4の内蔵部品は、電気部品及び光学部品がともに光源基台24に組み付けられて1体の内蔵ユニット30として構成されているため、組み立て作業が容易になる。特に、光学系収納室22に納められる各部品については、光源基台24の側面を基準とし、当該側面に平行な直線Kに沿って並べられるため、それぞれの光軸を容易に合わせることができ、装置本体4への組み込み時に、光学系収納室22の各部品の光軸がずれることも無い。
【0028】
次いで、装置本体4の内部の冷却系について説明する。
上述の通り、装置本体4には、電気部品収納室21の前面4A側に吸気ファン39が配置され、光学系収納室22の背面側に排気ファン46が配置され、装置本体4の前面4Aから取り込んだ外気によって装置本体4の各部を冷却して背面側から排気する構成となっている。
さらに詳述すると、吸気ファン39は、安定器38に対向配置され該安定器38及びモーター49に直接外気を吹き付けて冷却する。また、電気部品収納室21を上下に仕切るフレーム板32には上下を連通する連通孔70が開口し、吸気ファン39が取り込んだ外気が連通孔70を通じて電気部品収納室21の上側に導かれ点灯制御回路基板34、モータードライバー36及びI/O基板37を冷却する。
【0029】
また、調光板40を配置するために光源基台24に設けたスリット48を通じて、電気部品収納室21から光学系収納室22に向けて外気が流れ込み、当該調光板40、波長選択フィルタ42、集光型放電ランプ44を順に冷却して排気ファン46から外部に放出される。
【0030】
このように、電気部品収納室21の前面4A側から取り込んだ外気を、調光板40の配置のために光源基台24に形成したスリット48から光学系収納室22に導入する構成とすることで、外気導入のための部材を光学系収納室22に別途に設ける必要がない。また、装置本体4の中を1つのファンで冷却する場合、大型のファンを用いる必要が生じることから装置の小型化が困難になる。これに対して、本実施形態によれば、電気部品収納室21に吸気ファン39を設け、光学系収納室22に排気ファン46を設けることで、1つのファンで装置本体4の中を冷却する場合と同等の冷却効率を、それぞれ小型のファンで実現できるから装置の小型化が容易となる。
また光学系収納室22に光学部品を直線Kに沿って配置した場合、これらを一度に冷却するには、光学系収納室22の前面4Aに外気導入口を別途に設ける必要があるが、前面4Aには、口金6が配設されていることから、外気導入口を別途に設けるためのスペースを前面4Aに確保するために装置を大型化する必要がる。これに対して、本実施形態では、スリット48から光学系収納室22に導入する構成であるため、装置の大型化を避けて、一列に配列した各光学部品を効率良く冷却することができる。
【0031】
ここで、画像処理検査装置用の光源装置1としては、照射野における照度むらや光量の時間的変動を抑える必要がある。一般に、集光型放電ランプ44は、光出力に温度依存性があり、冷却の過不足によって光出力がばらつくことがある。
特に、本実施形態の光源装置1においては、波長選択フィルタ42から集光型放電ランプ44に向かって冷却風が流れるため、当該波長選択フィルタ42が挿入されていないと、集光型放電ランプ44に直接当る風量が増えて冷え過ぎてしまう。これに加え、波長選択フィルタ42でカットされた赤外成分の光は集光型放電ランプ44にも向かい加熱するように作用するが、波長選択フィルタ42が無い場合には、この加熱作用も生じないため、集光型放電ランプ44がより一層冷却され、光出力にばらつきを生じさせる要因となる。
【0032】
そこで、本実施形態の光源装置1においては、波長選択フィルタ42が挿着されていない場合には、集光型放電ランプ44の点灯を禁止する構成としている。
詳述すると、図3に示すように、電気部品収納室21の最上層には、光源基台24に近設してインターロック回路72が配置されている。インターロック回路72は、点灯制御回路基板34による点灯制御を禁止する回路である。すなわち、インターロック回路72は、光源基台24に沿って延びた常開接点式のインターロックスイッチ74を備え、このインターロックスイッチ74が開成している場合には、点灯制御回路基板34による集光型放電ランプ44の点灯が禁止(インターロック)され、インターロックスイッチ74が押下されて閉成している場合には、インターロックが解除される。
【0033】
また、波長選択フィルタ42の突出部45Aは、図4に示すように、光学系収納室22から電気部品収納室21に跨って延び、電気部品収納室21に入り込んだ端部には、インターロックスイッチ74を押下する操作片75が設けられている。
これにより、波長選択フィルタ42を装置本体4に挿入したときには、操作片75がインターロックスイッチ74を押下することでインターロック回路72のインターロックが解除されて集光型放電ランプ44の点灯が許可され、また、波長選択フィルタ42を装置本体4から外したときには、インターロックが作動して集光型放電ランプ44の点灯が禁止される。
すなわち、波長選択フィルタ42が挿着されていないときには、インターロック回路72により集光型放電ランプ44の点灯が禁止されるため、集光型放電ランプ44の上述した過冷却を防止することができる。
【0034】
また、この波長選択フィルタ42の突出部45Aは、上述したように、スライドカバー7のスライドを規制する規制部材としても機能することから、ランプ交換時などに、当該スライドカバー7を開けて集光型放電ランプ44にアクセスするには、波長選択フィルタ42を装置本体4から抜き出すことになる。波長選択フィルタ42が抜かれた場合には、万が一、電源が投入された状態であっても上述したインターロック回路72によりインターロックが作動して電源が強制的に遮断されるため、ランプ交換時の安全性が高められる。
これに加え、ランプ交換時に集光型放電ランプ44のネック部61Aがランプ取付台50の台座52にしっかりと嵌っていない場合には、上述したように、当該ランプ取付台50のカバー58の突起部58Aによってスライドカバー7が閉めることができなくなるため、波長選択フィルタ42も挿入できなくなり、インターロックが解除されることはないため、集光型放電ランプ44の装着が不十分な状態でのランプ点灯を確実に防止できる。
【0035】
本実施形態の光源装置1によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、本実施形態によれば、安定器38に電力を供給するAD/DC電源アダプタ16を装置本体4の外に設けたため、装置本体4の小型化が可能になる。特に、装置本体4内を電気部品収納室21と光学系収納室22とに仕切板としての光源基台24で仕切り、電気部品収納室21には安定器38と集光型放電ランプ44の点灯制御回路基板34とを上下に重ねて配置しため、当該電気部品収納室21がコンパクトになる。
また、光学系収納室22にあっては、口金6と集光型放電ランプ44とを光源基台24に平行な直線K上に配置したため、光学系収納室22の横幅(光源基台24の側面に垂直な方向の長さ)が不要に延びることがなく、装置の小型化が可能になる。
これに加え、光学系収納室22から電気部品収納室21への漏れ光及び熱の移動を光源基台24が遮蔽するため、漏れ光や熱の影響を気にすることなく光学系部品の近くに電気部品を配置することができ、装置の小型化が容易となる。
【0036】
また本実施形態によれば、集光型放電ランプ44と口金6との間に設けられ、口金6に入射する光量を回転に応じて調整する調光板40を備え、この調光板40を回転するモーター49を電気部品収納室21に配置し、当該モーター49の出力軸49Aを調光板40の回転軸40Bにタイミングベルト60を介して連結する構成とした。この構成によれば、モーター49の出力軸49Aと調光板40の中心Oを同軸に配置した場合に比べ、調光板40を大型化する必要がなく、また、モーター49を光学系収納室22に配置する必要がないため、当該光学系収納室22をコンパクトにできる。
【0037】
また本実施形態によれば、回転式の調光板40を挿入するスリット48を光源基台24に設けて当該調光板40を電気部品収納室21と光学系収納室22とに亘って配置したため、比較的大きな調光板40を備える場合でも、装置本体4の中にコンパクトに納められる。
さらに、電気部品収納室21の前面4A側の外気導入口12から導入した外気を光源基台24のスリット48を通じて光学系収納室22に導入し、集光型放電ランプ44を含む光学部品を冷却する構成としたため、光学系収納室22に外気導入口12を設けるスペースを確保する必要がなく、装置の大型化を防止することができる。
【0038】
また本実施形態によれば、口金6に接続されたライトガイド2に集光型放電ランプ44の光を導入するボールレンズ63を当該口金6に内設する構成とした。この構成によれば、従来の六角ロッドを用いた構成に比べて口金6の正面への突出量を抑えることができる。また、これにより、当該光源装置1の光を使用する装置をより接近して配置できるため、口金6から装置に至る経路での光伝送損失を低減することもできる。
【0039】
また本実施形態によれば、波長選択フィルタ42には、装置本体4への挿入時にインターロック回路72のインターロックスイッチ74を操作する操作片75を設けたため、波長選択フィルタ42が無い状態での集光型放電ランプ44の点灯を防止することができる。また、集光型放電ランプ44の過冷却による光量のばらつきを抑えることができる。
【0040】
また本実施形態によれば、集光型放電ランプ44を覆うスライドカバー7を装置本体4に設け、このスライドカバー7のスライドを波長選択フィルタ42で規制したため、ランプ交換時には、必ず波長選択フィルタ42が抜かれてインターロックが作動するため、ランプ交換時の安全性を高めることができる。
【0041】
また本実施形態によれば、ランプ取付台50には、台座52で受けたネック部61Aを押さえる押さえ部57と、集光型放電ランプ44をフロント板54に向けて付勢しフランジ部分62Aを密着させる押さえバネ56とを備える構成とした。
この構成によれば、集光型放電ランプ44のフランジ部分62Aが押さえバネ56によってフロント板54に密着するためランプの光軸が規定の光軸Kと平行になり、また、ネック部61Aがカバー58の押さえ部57で押さえられるため、ランプの光軸の位置が規定の光軸Kの位置に合わせられる。すなわち、集光型放電ランプ44をランプ取付台50に取り付け、カバー58を閉じるだけで簡単かつ正確に光軸が合わせられ、ランプ交換が容易となる。
【0042】
また本実施形態によれば、光源基台24の一方の面にランプ取付台50及び口金6を光軸Kを合わせて固定するとともに、他方の面に集光型放電ランプ44の安定器38と点灯制御回路基板34とを支持するフレーム板32を固定して内蔵ユニット30を一体に構成した。
これにより、装置本体4への光学部品の組み込み時に、各部品の光軸がずれることが無く、装置の組み立て作業が容易になる。
【0043】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、画像処理検査装置に設けて好適な光源装置を例示したが、本発明に係る光源装置を、画像を投射するプロジェクタ装置(画像投射装置)としても用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 光源装置
4 装置本体
6 口金
7 スライドカバー
12 外気導入口
16 AC/DC電源アダプタ
21 電気部品収納室
22 光学系収納室
24 光源基台(仕切板)
30 内蔵ユニット
32 フレーム板
34 点灯制御回路基板
36 モータードライバー
38 安定器
39 吸気ファン
40 調光板
42 波長選択フィルタ
44 集光型放電ランプ
45A 突出部
46 排気ファン
48 スリット
49 モーター
50 ランプ取付台
52 台座
54 フロント板
56 押さえバネ(付勢手段)
57 押さえ部
58 カバー
60 タイミングベルト
61A ネック部
62 集光型反射鏡
62A フランジ部分
63 ボールレンズ
70 連通孔
72 インターロック回路
74 インターロックスイッチ
75 操作片
K 光軸(直線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光型放電ランプを交換自在に内蔵する装置本体を備え、当該装置本体に設けた光出射口から光を出力するする光源装置において、
前記集光型放電ランプを着脱自在に保持するランプ取付台を備え、
前記ランプ取付台には、前記集光型放電ランプのネック部を受けるU字状の切欠が形成された台座と、光軸と垂直な面を成し前記集光型放電ランプの反射鏡のフランジ部分が当接する板状のフロント面とを設け、前記台座で受けたネック部を押さえる押さえ部と、前記集光型放電ランプを前記フロント面に向けて付勢しフランジ部分を密着させる付勢手段とを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
板状の基台の一方の面に前記ランプ取付台及び前記光出射口を光軸を合わせて固定するとともに、他方の面に前記集光型放電ランプの安定器と点灯制御回路とを支持するフレーム板を固定して内蔵ユニットを一体に構成したことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記光出射口と前記集光型放電ランプとの間に前記装置本体に対して抜き差し自在に設けられた波長選択フィルタと、
前記集光型放電ランプの点灯をインターロックするインターロック回路とを備え、
前記波長選択フィルタには、前記装置本体への挿入時に前記インターロック回路のスイッチを操作する操作子を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記集光型放電ランプを覆うスライドカバーを前記装置本体に設け、前記スライドカバーのスライドを前記波長選択フィルタで規制したことを特徴とする請求項3に記載の光源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−76963(P2011−76963A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229354(P2009−229354)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】