光照射による殺菌方法、装置及びシステム
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、光照射により殺菌するための方法、装置及び/又はシステムを含む。殺菌機は、例えば導管を備え、この導管は殺菌される流動媒体を運搬する。前記導管は、前記媒体を受ける注入口と媒体を排出する排出口を備える。殺菌機は、フロー・アダプタをさらに備え、このフロー・アダプタは、注入口において、注入口から排出口までの複数の所望の流路に沿って流れる媒体に懸濁された対象物の流速の所望の空間分布に基づいて、媒体の流れを調節するように構成されている。殺菌機は、少なくとも1つの照明源をさらに備える。この照明源は、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光を導管に照射する。これは、少なくとも部分的に、所望の流速分布に基づいて行われる。明細書及び請求項には他の実施形態も記載される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、対象物が懸濁されている媒体に照射する装置、システム及び/又は方法を含むものである。
【背景技術】
【0002】
光放射を用いた紫外線液体殺菌システムであるような殺菌システムは従来知られている。
【0003】
殺菌システムにおいて、照射強度と暴露時間が、最小照射量レベルを超えると(大抵、1平方センチメートルあたりミリジュールの単位で測定される)、紫外線を用いて水等の液体へ照射することにより、該液体中の微生物を不活性化することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
理想的には、紫外線による殺菌システムは、システムを横断する各微生物に同量の紫外線量を照射することができるように設計されるべきである。現存の殺菌システムにおいて、システムを横断する微生物に対して同じ程度の紫外線量を送りこむことを効果的に可能としたものはない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の例示的な実施形態は、殺菌される流動媒体を運ぶ導管を備える装置である。この導管は、媒体を受け取る注入口と媒体を排出する排出口を備える。装置は、フロー・アダプタをさらに備え、このフロー・アダプタは、注入口において、注入口から排出口までの複数の所望の流路に沿って、媒体に懸濁された対象物の流速の所望の空間分布に基づいて、媒体の流れを調節させるように構成されている。前記装置は、少なくとも1つの照明源をさらに備える。この照明源は、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光で導管を照射する。これは、少なくとも部分的に、所望の流速分布に基づいて行われる。
【0006】
本発明の例示的な実施形態によると、カスタマイズされた光フラックス分布と所望の流速の空間分布により、複数の流路に対応するように、それぞれ、複数の累積照射量の任意の分布を実現する。累積照射量の平均値と累積照射量の最小値の差と、該平均値との比率が、例えば、0.7より小さい。
【0007】
本発明の例示的な実施形態によると、各累積照射量は、複数の経路のうち1つの経路に関連する比率の合計を含む。比率の合計は、所望の光強度と流速の間の比率の合計を含む。この比率は、経路に沿った複数の場所におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる所望の光強度と、複数の場所における所望の流速との間のものである。
【0008】
本発明の例示的な実施形態によると、導管は細長チャンバである。一例としては、前記チャンバがチューブ状チャンバを備える。チャンバの回転軸からの第1の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度は、第2の所望の光強度より小さい。この第2の所望の光強度は、前記回転軸から第2の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる光強度である。前記第2の距離は、前記第1の距離より小さい。他の実施形態は、前記チャンバの内表面からの第1の距離における、前記カスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度は、第2の所望の光強度よりも小さい。この第2の所望の光強度は、前記内表面からの第2の距離における、前記カスタマイズされた光フラックスから得られる光強度であり、この第2の距離は、第1の距離より大きい。
【0009】
本発明の例示的な実施形態によると、前記照明源は、前記導管の外側に配される。
【0010】
本発明の例示的な実施形態によると、前記導管は照射窓部を備え、この照射窓部により、照明源からの光を導管内に導く。
【0011】
本発明の例示的な実施形態によると、前記窓部の1以上の光学特性が、少なくとも部分的に、前記カスタマイズされた光フラックス分布に基づく。
【0012】
本発明の例示的な実施形態によると、前記1以上の光学特性が、前記光のスペクトルの前記窓部の屈折率である。
【0013】
本発明の例示的な実施形態によると、少なくとも1つの照明源が2以上の照明源である。
【0014】
本発明の例示的な実施形態によると、前記2以上の照明源が、1以上のランプの第1のセットを含み、この第1のセットは、1以上のランプの第2のセットと略対向して位置する。
【0015】
本発明の例示的な実施形態によると、前記2以上の照明源が、注入口と近接した1以上のランプの第1セットと、排出口と近接した1以上のランプの第2セットを含む。
【0016】
本発明の例示的な実施形態によると、前記照明源は、所定の分布の光を発生するように構成されている少なくとも1のランプと、前記少なくとも1のランプにより発生した光の少なくとも1つを反射する少なくとも1つの反射機を含む。前記カスタマイズされた光フラックス分布をもつ光は、前記ランプにより発生した光と、前記反射機により反射した光の組み合わせを含む。
【0017】
本発明の例示的な実施形態によると、前記反射機の1以上の区画は、前記カスタマイズされた光フラックス分布の1以上の局部的な光フラックス分布に基づき構成されている。
【0018】
本発明の例示的な実施形態によると、前記反射機が楕円状反射機である。
【0019】
本発明の例示的な実施形態によると、前記反射機が球状反射機である。
【0020】
本発明の例示的な実施形態によると、前記ランプの形状が、少なくとも部分的に、前記カスタマイズされたフラックス分布に基づく。例えば、前記ランプは、ドーナツ形状ランプ又は十字形状ランプを含む。
【0021】
本発明の例示的な実施形態によると、前記反射機の1以上の特性が、少なくとも部分的に、前記導管の1以上の寸法に基づく。例えば、前記導管の1以上の寸法は、導管の内径であってもよい。
【0022】
本発明の例示的な実施形態によると、前記導管の構成が、少なくとも部分的に、流速の所望の分布に基づく。例えば、少なくとも1つの注入口と排出口をもつ構成は、少なくとも部分的に、所望の流速の分布に基づく。
【0023】
本発明の例示的な実施形態によると、前記導管は石英の導管を含む。
【0024】
本発明の例示的な実施形態によると、前記光が紫外線である。
【0025】
本発明の例示的な実施形態によると、前記媒体は液体であり、例えば水である。
【0026】
本発明の例示的な実施形態によると、前記対象物が微生物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の内容は、本明細書の最終部分に、詳しく説明して、また区別して主張する。しかしながら、本発明における操作の機構及び方法の両方、さらには、これらの目的、特性及び利点を、以下の詳細な説明および参照すべき図面により、最もよく理解することができる。
【0028】
図面の単純化及び明瞭化のために、図中に示される要素は、実際の或いは一定の縮尺で記載されていない。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確に示すために、他の要素と比較して拡大して示されている。或いは、いくつかの物理的構成要素は、1つの機能ブロックや要素に含まれる。さらに、適切に考慮すると、参照の数字は、各図面に渡って繰り返し使用することにより、類似の要素であることを示す。さらに、図中に示すブロックは、単一の機能として組合せられてもよい。
【0029】
以下の詳細説明において、多数の特別な詳細を説明することにより本発明を深く理解することができる。しかしながら、当業者であれば、本発明がこれらの特別な詳細がなくとも実施できることが理解できる。他の例では、本発明の説明を不明瞭なものにすることを避けるために、公知の方法、処理、構成要素、回路については、詳細に説明しない。
【0030】
特に言及しない限り、以下の説明から明らかな如く、明細書中において、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」等の用語を使用して述べることは、適切には、コンピュータ又はコンピュータ・システム、或いは同様の電子コンピュータ・システムの動作及び/又は処理についてのものとする。これらの動作及び/又は処理により、コンピュータ・システムのレジスタ及び/又はメモリ内の物理的、例えば電子的な量として示されるデータを操作及び/又は変換されて、コンピュータ・システムのメモリ、レジスタ、又は情報記憶機構、トランスミッション又はディスプレイ装置等のその他のものの中にある物理的量として同様に表現されるその他のデータとされる。さらに、用語「複数」は、2以上の構成要素、装置、要素、機器及びこれらの類似物を示すために明細書中で使用される。
【0031】
本発明の例示的な実施形態は、媒体に照射するための装置、システム及び/又は方法を含む。前記媒体には、対象物が懸濁されている。前記装置、システム及び/又は方法により、例えば、以下に示すとおり前記媒体が殺菌される。
【0032】
本明細書で使用される用語「媒体」は、いかなる物質及び/又は物体(例えば、水、空気)を示すものである。また、前記物質及び/又は物体は、殺菌されるべきものとして所望に応じて選択されたものであってもよい。前記媒体は、いかなる適切な熱力学的状態であってもよく、例えば液体である。
【0033】
本明細書で使用される用語「対象物」は、いかなる有機体、細菌、微生物、生命体、動物、病原菌、芽苞菌、ウイルス、有機汚染物、非有機汚染物、酸化可能な毒性の汚染物を示す。用語「対象物」は、さらに、いかなる生体起源又は化学的起源の累積有毒種を示す。或いは、用語「対象物」は、汚染物を酸化するいかなる酸化粒子、断片、或いは要素(例えば、過酸化水素又は二酸化チタン)、及び前記の類似物を示す。フレーズ「媒体に懸濁される対象物」とは、本明細書中において、前記媒体中に懸濁、含有或いは混合される対象物を表す。或いは、フレーズ「媒体に懸濁される対象物」は、媒体により運ばれる対象物を示す。
【0034】
本明細書の例示的な実施形態において、装置は、例えばチャンバであるような導管(例えば、細長チャンバ)を備え、これにより媒体が運ばれる。前記導管は、注入口を備え、この注入口で媒体を受ける。前記導管は、さらに排出口を備え、この排出口により媒体を排出する。前記装置は、照明源をさらに備え、この照明源により、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光で導管が照射される。前記カスタマイズされた空間光フラックス分布は、複数の光学トラック長さを有する複数の光学トラックに対応し、これらについては、後に詳説する。
【0035】
本発明の例示的な実施形態において、カスタマイズされた光フラックス分布は、少なくとも、部分的には、媒体に懸濁される対象物の所望の流速に基づく。前記流速は、注入口から排出口までの複数の所望のフロー・トラックに沿って流れる流速である。これらについては、後に詳説する。
【0036】
本明細書中で使用される「フロー・トラック」とは、2以上の場所間のコース、経路、通り道、軌跡及び/又は軌道を示す。例えば、媒体に懸濁されている1以上の対象物は、第1位置(例えば、導管の注入口)と第2位置(例えば、導管の排出口)の間の1以上のフロー・トラックに沿って移動する。本明細書でいう「所望のフロー・トラック」というフレーズは、決定された、算出された、計算された、シミュレートされた、モデルとなる、推定された、予測された、見積もられた、割り当てられた及び/又は計画されたフロー・トラックを表す。
【0037】
本明細書中で使用される「複数の所望のフロー・トラックに沿って流れる対象物の流速の所望の分布」というフレーズは、決定された、算出された、計算された、シミュレートされた、モデルとなる、推定された、予測された、見積もられた、計画された及び/又は割り当てられた分布、機能及び/又は分布(例えば、所望のフロー・トラックに沿って流れる対象物の流速の見込みの分布、機能及び/又は分布)を表すものである。
【0038】
本発明の例示的な実施形態の装置は、媒体に懸濁されている対象物の、少なくとも一部(或いは、例えば、実質的にほとんど或いは全て)をとりのぞく。本発明の例示的な実施形態において、前記装置は、媒体内に懸濁される酸化粒子のほとんど又は全てを活性化する。
【0039】
本発明の例示的な実施形態において、例えば、以下に説明するように、紫外線(UV:Ultra−Vilet)光を使用して、媒体に照射する、例えば、媒体を殺菌する及び/又は媒体内の粒子を酸化する。しかしながら、当業者は、本発明の他の実施形態において、他の適切なスペクトルの光も使用可能であることを理解する。
【0040】
本発明の例示的な実施形態は、例えば、以下に述べるように、水又は水性の媒体(例えば、シロップ)に照射する。しかしながら、当業者は、本発明の他の実施形態において、例えば、空気などの他の適切な媒体に照射可能であることを理解する。
【0041】
図1を参照する。図1は、本発明の例示的な実施形態に関し、照射による殺菌機(100)の概念図である。
【0042】
本発明の例示的な実施形態によると、殺菌機(100)は、導管(106)を備え、これにより殺菌される媒体を流して運ぶ。導管(106)は、媒体を受ける注入口(116)と媒体を排出する排出口(118)を備える。
【0043】
本発明の例示的な実施形態によると、殺菌機(100)はフロー・アダプタ(104)を備え、このフロー・アダプタ(104)は、(例えば、以下に詳説するように)対象物の流速の所望の分布に基づいて、例えば、注入口(116)において、媒体の流れを調節させるように構成されている。尚、前記対象物とは、複数の所望のフロー・トラック(112)に沿って流れる媒体に懸濁されている対象物である。複数のフロー・トラック(112)は、例えば、注入口(116)と排出口(118)の間のJ個のフロー・トラックを含む。
【0044】
本発明の例示的な実施形態によると、殺菌機(100)は、照明源(102)を備える。この照射源(102)は、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光により、導管(106)に照射する。前記空間光フラックス分布は、Φ(x、y、z)で示され、x、y及びzは、導管(106)内の位置の座標を示す。空間分布Φ(x、y、z)は、少なくとも部分的には、例えば、以下に詳説するように、流速の所望の空間分布に基づく。本発明は、この点に限定するものではないが、照明源(102)は、適切なUVスペクトルのUV光を生成してもよい。例えば、照明源は、1以上のUVランプ、例えば、周知の中圧UVランプ、高圧UVランプ及び/又はマイクロ波UVランプを含んでもよい。照明源(102)は、例えば以下に示す如く、導管(106)の外側に位置してもよい。
【0045】
本発明の例示的な実施形態によると、トラック(112)のi-th(番目)のトラック(113)(i=1...J)を介して、導管(106)を移動する対象物が照射量をためる。前記照射量は、前記カスタマイズされた光フラックス分布から得られるものである。累積した照射量は、例えば、流動性(例えば、エネルギー/面積)によりで表現されてもよい。対象物に累積した照射量は、対象物、導管(106)及び/又は照明源(102)の1以上の特性により変わる。例えば、対象物に累積する照射量は、光フラックス分布Φ(x、y、z)と、トラック(113)に沿って流れる対象物の速度の間の関係に依存する。これは、以下に詳説する。したがって、導管(106)を通って移動する対象物に累積される照射量の分布(“累積照射量分布”)は、フロー・トラック(112)の1以上の特性に関連する。例えば、異なるトラックに沿って移動する対象物は、それぞれ異なる累積照射量を有し、これについても以下に詳説する。
【0046】
当業者は、トラック(133)に沿って流れる対象物を不活性化する可能性(殺傷確率)は、対象物に累積した照射量に関係することを理解することができる。照射量が大きいと、殺傷確率はそれに伴い高くなる。したがって、殺菌機(100)の不活化速度は、累積照射量分布に依存する。
【0047】
本発明の例示的な実施形態によると、殺菌機(100)の1以上の性能の特性、例えば、殺菌機(100)の全体の失活率(殺傷率)の対数値は、導管(106)内の累積照射量分布により影響を受ける。例えば、殺菌機(100)の性能の特性は、1以上の低照射量のフロー・トラックにより限定されてもよい。即ち、狭い照射量分布は、殺菌機(100)のよりよい殺菌能力を提供する。したがって、望ましい(例えば、比較的狭い)照射量分布に基づいて、フロー・アダプタ(104)、照明源(102)及び/又は導管(106)が構成される。これについては、以下に詳説する。
【0048】
本発明の例示的な実施形態によると、注入口(116)において導管(106)に入る媒体は、mv(単位体積当たりの対象物)を含む。簡単にいうと、注入口(116)において、対象物の分布は、略空間的に均一である。しかしながら、本発明は、これに限定するものではない。当業者であれば、対象物の不均一な分布においても本発明の他の実施形態が実施可能であることが理解できる。
【0049】
本発明は、これに限定するものではないが、トラック(112)に沿って対象物を運ぶ媒体の速度と、対象物の速度が同じであると想定できる。即ち、関連する抵抗及び/又は特異的な障害が略存在しないと想定できる。
【0050】
本発明の例示的な実施形態によると、注入口(116)(図示せず)の面積(Aで示す)は、複数の断面のセルに分割され得る。例えば、面積Aは、同じJのセルに分割され、それぞれのセルはΔA=A/Jを有する。トラック(113)は、liで表される特徴的な長さと、Tiで表される特徴的な横断時間を有する。liは、注入口(116)から排出口(118)までのトラック(113)全体における長さである。Tiは、横断時間で、対象物が注入口(116)から排出口(118)まで移動する時間である。
【0051】
本発明の例示的な実施形態によると、i‐th(番目の)セルのサイズは、トラック(113)に沿って略一定で維持されている。この理由は、例えば、媒体の容積の断面積が、注入口(116)から排出口(118)までのトラックに沿って略一定だからである。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の他の実施形態は他の適切なセルの配列と関連してもよいことは当業者により理解される。前記適切なセルの配列としては、例えば、媒体の特定の質量を含むセル、或いは、対象物の特別な数を含むセルが挙げられる。これらの他の実施形態としては、例えば、殺菌機に関連して、媒体の容積の断面積がトラックに沿って変化してもよい。この実施形態として、例えば、注入口(116)と排出口(118)が、それぞれ異なる断面積を有する殺菌機が考えられる。
【0052】
本発明の例示的な実施形態によると、Miで表される対象物(ある一定時間(T)における導管(106)を通るトラックiに沿って移動している対象物)の総数は、下式(数1)で表される。
【0053】
【数1】
【0054】
(Viは、i‐th(番目の)トラックを通って、反応機を横断する平均速度を表す)
【0055】
本発明の例示的な実施形態によると、NM−totalで表される対象物(時間(T)の間において導管(106)を横断している対象物)の総数は、下式(数2)で表される。
【0056】
【数2】
【0057】
或いは、導管(106)を通る媒体の容積/時間の観点から、Qで表される処理能力に基づいて数(NM−total)が決定される場合、下式(数3)が適用される。
【0058】
【数3】
【0059】
トラック(112)のVaverageで表される平均横断速度は、下式(数4)で表される。
【0060】
【数4】
【0061】
対象物の速度は、媒体の速度と略同じで、処理能力(Q)は、下式(数5)で表される。
【0062】
【数5】
【0063】
尚、適切には、式(数2)は、式(数4)と式(数5)を式(数3)へ挿入することにより分割することができる。
【0064】
式(数1)及び/又は式(数2)に関連して、フロー・トラック(112)は、それぞれの平均速度(Vi)を備える。たとえば、より高い値「Vi1」を有する「速い」トラックは、より低い値「Vi2」を有する「遅い」トラックと比較して、導管(106)に渡って、よりたくさんの数の対象物を運ぶ。
【0065】
本発明の例示的な実施形態において、例えば、本明細書で記載するように、導管(106)内の乱流の影響は無視してもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、当業者は、本明細書中で記載される実施形態は、照射量分布に影響を及ぼす可能性がある乱流を考慮して修正可能であることを理解する。例えば、導管(106)を通る比較的高いレイノルズ数で特徴付けられる場合において、照射量分布が狭い。
【0066】
本発明の例示的な実施形態によると、トラック(113)に沿って移動する対象物は、照射量(Dose(tracki)で表す)を蓄積する。この照射量は、エネルギー/面積により表される。トラックiの累積(蓄積)照射量は、トラックiに対応する累積光速度率、及びトラックiに関連する比率の合計を含む。比率の合計は、所望の光強度間の比率の合計を含む。この比率は、経路に沿った複数の場所におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる所望の光強度と、複数の場所における所望の流速の間の比率である。累積照射量は、例えば下式(数6)で表される。
【0067】
【数6】
【0068】
(dtは、トラックの長さの増加量(dl)を横断するために要する時間を表す。さらに、|Vl(x,y,z)|は、場所(x,y,z)における対象物の速度の大きさ(マグニチュード)を示す。)
【0069】
本発明の例示的な実施形態によると、導管(106)内のある点における光分布フラックスは評価され、この評価は、例えば、光線追跡(レイ‐トレーシング)法を用いて、さらに、前記ある点に達した光線を総計することにより行われる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。このことは、例えば、図18(A)〜22(C)に記載されている。前記光分布フラックスは、例えば、導管(106)の構造(構成)、照明源(102)、及び/又は1以上の特性(例えば媒体の透過(トランスミッション))に応じて変化する。このことは、後に詳説する。
【0070】
本発明の例示的な実施形態によると、速度|Vl(x,y,z)|は、任意の適切なコンピュータ制御された流体力学(CFD)技術及び/又はアルゴリズムを使用して評価される。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、後述の如く、前記評価は、対象物が媒体により媒体の速さと略同一の速さで受動的に運ばれると想定して行ってもよい。
【0071】
式(数1)を参照して、長さli、及び/又はi‐th(番目の)トラックに関連する横断時間Tiが評価される。
【0072】
【数7】
【0073】
照射量分布関数(例えば、ヒストグラムの形態で)は、導管(106)を横断する多くの(例えば、単位時間あたりの)対象物を表す。これら対象物は、所定の照射量の範囲内の特定の照射量の値を蓄積する。前記照射量は、例えば、単位時間あたりで導管(106)を横断する対象物の総数と関連する。
【0074】
本発明の例示的実施形態によると、u(D)で表される正規化した照射量分布関数は、1/Dose(例えば、面積/エネルギ)により測定される。例えば、u(D)は、下式(数8)により決定される。
【0075】
【数8】
【0076】
(NM(D)は、トラックを通って移動する対象物の数を表し、該対象物はDとD+dDの間の照射量を有する。Dminは、トラック(112)に沿って最小の照射量を示す。Dmaxは、トラック(112)に沿って最大の照射量を示す。u(D)は次の数式(数9)を満たす。)
【0077】
【数9】
【0078】
本発明の例示的な実施形態によると、排出口(118)において見られる“生き残った”対象物の数(NM)は、下式(数10)により決定される。この場合、対象物の指数関数的減衰は、照明源(102)により生成した光から得られる照射量に対応する。
【0079】
【数10】
【0080】
(aは、所定の定数、例えば、a=ln(10)=2.3を示す。D1logは、対象物を失活の対数値1とするために必要な照射量を示す。)
【0081】
「デルタ」照射量分布関数、式(数10)により、UV照射量平面に対する失活の対数値(log inactivation)における直線が記載される。他の照射量分布関数は、UV照射量曲線に対する、log‐失活の代わりの線(即ち、高い照射量値において、下に曲がる曲線)を有する。これについては、後で説明する。このような代わりの曲線は、「shouldered survival curve (ショルダード・サバイバル曲線)」と呼んでもよい。
【0082】
本発明の例示的な実施形態において、例えば本明細書に示す如く、導管を通って流れる全ての対象物が、単一抵抗を有していてもよい。即ち、略同量の蓄積照射量で、全ての対象物を殺傷/取り除くことができる。しかしながら、本発明はこれらに限定されず、本発明の他の実施形態は、複数の抵抗をもつ対象物に対し実施可能であることは、当業者により理解される。
【0083】
トラック平均照射量は下式(11)で示される。
【0084】
【数11】
【0085】
Deqで表される、計算された線量当量は、対象物の数NMに達成するのに必要と考えられる照射量としてとして定義される。該対象物とは、数式(数10)によると、例えば、単独の照射量値が全トラック(112)(「デルタ関数」分布)に対するものとした場合、生き残っている対象物である。照射量Deqは例えば、下式(数12)により決定される。
【0086】
【数12】
【0087】
本発明の例示的な実施形態によると、Ufで示されるトラック均一性ファクタが、下式(数13)で定義されてもよい。
【0088】
【数13】
【0089】
計算された線量当量は、トラック平均量と同量、或いはトラック平均量より小さい(即ち、Deq≦Dav)。計算された線量当量がトラック平均量と同量であると、例えば、デルタ分布関数に影響を及ぼす。即ち、単一の照射量値がそれぞれのトラックにおいて対象物に蓄積する。従って、トラック均一性ファクタは、下式(数14)を満たす。
【0090】
【数14】
【0091】
Ufの値は殺菌機(100)の効率レベルを表す。例えば、Ufの値が低いと、殺菌機(100)の効率性が低いことを示す。
【0092】
上記(数13)は、下式(数15)のように書き換えられる。
【0093】
【数15】
【0094】
従って、式(数15)を使用することにより、線量当量は、トラック均一性ファクタとトラック平均量に基づき計算することができる。
【0095】
本発明の例示的な実施形態に基づき、照射量分布関数に関連する実施例を以下に示す。以下の実施例で使用される照射量分布関数の記載は、本発明の範囲を、特定の殺菌機の構成及び/又は照射量分布関数に限定することを意図するものではない。
【0096】
第1実施例によると、照射量分布関数は、3種類の照射量区分を含む。例えば、トラック(112)は、3グループ(即ち、低照射量グループ、中照射量グループ、高照射量グループ)に分割される。この実施例によると、時間Tの間、全数が100万の対象物が導管(106)を通って移動する。図2及び以下の表でまとめたように、低照射量グループは対象物の1%を含み、この対象物はある特定の照射量値のうち0.5を蓄積する(例えば、0.5(D1log))。中照射量グループは対象物の25%を含み、この対象物はある特定の照射量値の1.5倍を蓄積する(例えば、1.5(D1log))。高照射量グループは対象物の74%を含み、この対象物はある特定の照射量値の3倍を蓄積する(例えば、3(D1log))。尚、例えば、D1log=5mJ/cm2である。
【0097】
【表1】
【0098】
図3は、304,302及び306でそれぞれ示される、第1、第2、及び第3曲線を示す概略図である。この曲線は、トラック平均量に対する失活の対数値(log inactivation)(殺傷率)を示す。尚、304、302及び306は、それぞれ、前記全数、高照射量グループ、低照射量グループに関する。図3が示す如く、非常に低いトラック平均量レベルにおいては、高照射量グループ(曲線302)が優位に高い殺傷率を示した。トラック平均量が増加することにより(約15mJ/cm2から約50mJ/cm2)、殺傷率が増加する(2logから4logまで)。トラック平均量は、照明源(102)(図1)の光出力を増加した場合、導管(106)(図1)を通る媒体の流量を減少させた場合、或いは、以下に示す如く媒体が高品質である場合のいずれか、或いはこれらの任意の組合せにより増加する。
【0099】
図3が示すとおり、トラック平均量レベルが増加するにつれて、高い殺傷率は、一般に低照射量グループ(曲線306)中の対象物の殺傷率が優位に増加する。これは、例えば、高照射量グループにおける対象物の殆どが既に失活(“死ぬ”)しているからである。図3でさらに示す如く、トラック平均量が増加することにより、失活の対数値(log inactivation)の代わりの線形増加が確認できる。これは、例えば、照射量/トラックの照射量分布の非均一性によるものである。
【0100】
図4は、トラック平均量に対するトラック均一性ファクタを示すグラフの概略図である。これは、図2の照射量分布関数から得られる。図4に示すとおり、トラック平均量の値が0からおよそ80に増加するにつれて、Ufの値はおよそ1からおよそ0.3まで減少する。
【0101】
他の実施例によると、照射量分布は、有端ガウス分布(truncated-Gaussian distribution)であってもよく、例えば下式(数16)で示される。
【0102】
【数16】
【0103】
(Dminは照射量分布における最小量を示す。Dmaxは照射量分布における最大量を示す。σDはガウス分布の幅を示し、μはガウス分布の中心を示す。A0は規格化定数を示し、例えばuG(D)は数式(9)を満たす。)
【0104】
もし、A0が1であれば、μはトラック平均量と同値である。ガウス分布が、以下のトランケーション値(Truncation value)(数17)と相対的に狭い場合は、σDが標準偏差と同値となる。
【0105】
【数17】
【0106】
図5は、本発明の例示的な実施形態に関し、第1及び第2ガウス量分布曲線(それぞれ、502と504で示す。)を示すグラフの概略図である。両方の分布曲線(502と504)は、下記の値により定義され、示された共通のスケール・ファクタ(倍率)で縮尺される。
【0107】
【数18】
【0108】
分布曲線(502)は、スケール・ファクタ(倍率=1)に相当し、分布曲線(504)は、スケール・ファクタ(倍率=3)に相当する。
【0109】
図5で示す如く、スケール・ファクタ(倍率=3)による照射量分布は、より低いスケール・ファクタ(倍率=1)と比較して、より広くなる。より広い照射量分布は、より低いトラック均一性ファクタをもたらし、このことについては後に説明する。図5が示すグラフは、曲線(506)と(508)を示し、これら曲線は、それぞれトラック平均量及び計算された線量当量を表し、いずれも曲線(502)に対応するものである。図中、曲線(510)と(512)は、それぞれトラック平均量及び計算された線量当量を表し、いずれも曲線(504)に対応するものである。図5で示す如く、計算された線量当量は、前記トラック平均量で計られる必要はない。
【0110】
図6は、本発明の例示的な他の実施形態に関し、第1及び第2ガウス量分布曲線(602)と(604)を示すグラフの概略図である。両方の分布曲線(602と604)は、下記の値により定義され、スケール・ファクタ(倍率)で縮尺される。
【0111】
【数19】
【0112】
(分布曲線(602)は、スケール・ファクタ(倍率=1)、分布曲線(604)は、スケール・ファクタ(倍率=3)に相当する。)
【0113】
図7中符号(702)と(704)は、第1及び第2曲線を概略的に示し、それぞれ、分布曲線(502)と(602)に対応するトラック平均量に対するトラック均一性ファクタを表す。図7中、曲線(702)のトラック均一性ファクタの値は、(例えば、トラック平均量の比較的高い値に対しても)一般的に0.5を超える。逆に、トラック平均量が増加するとき、曲線(704)のトラック均一性ファクタは減少し、このトラック均一性ファクタの値は、トラック平均量が比較的低い値のときにおいても0.5未満の値を示す。即ち、(例えば、曲線(502)に対応するような)比較的広い照射量分布は、比較的狭い照射量分布(例えば、曲線(602)に対応する分布)から得られるトラック均一性ファクタに対し、トラック均一性ファクタの減少がより急である。
【0114】
図8を参照する。図8は、第1曲線(802)及び第2曲線(804)は、トラック平均量に対する殺傷率を示す。第1及び第2曲線はそれぞれ、分布曲線(502)と(602)に対応する。図8が示す如く、曲線(802)の殺傷率は、比較的急に増加する。この曲線(802)は、トラック平均量の値が高いと、比較的高い殺傷率を示す。一方で、曲線(804)の殺傷率はそれほど増加せず、早めに変曲する。また、曲線(804)において、比較的高いトラック平均量の値を示す場合でも、失活の対数値(log inactivation)は5を超えない。即ち、(曲線502と対応する)比較的狭い照射量分布における殺傷率は、(曲線602と対応する)比較的広い照射量分布における殺傷率と比較して、急勾配の増加を示す。
【0115】
前述の実施例と類似する他の実施例において、擬似ガウス量分布は、2.25‐logの全体の殺傷率、及び0.56のトラック均一性ファクタをもたらす。前記擬似ガウス分布は、4*Dose1logのトラック平均量に集中しているとともに、2*Dose1logの標準偏差を有する。この実施例において、例えば、全体のUVの仕事率(power)を2.6のファクタ分の増加することにより4‐logの全体の殺傷率を実現する。
【0116】
図1を再度参照する。本発明の例示的な実施形態によると、スケール・ファクタが増加し、この増加は、照明源(112)の光出力を増加させること、導管(106)を通る媒体の流量を小さくすること及び/又は高品質の媒体を使用することにより成しえる。このことは後で説明する。
【0117】
本発明の例示的な実施形態によると、照明源(102)は、UV照明源であってもよく、この場合、UV光で導管(106)に照射する。トラック平均量は、以下(数20)のようにその値が求められる。例えば、殺菌機(100)が「デルタ」照射量分布関数(即ち、略全部のトラック(112)の全体が、同量の照射量を蓄積している。)
【0118】
【数20】
【0119】
(P0−germicidalは、導管(106)内で殺菌作用を持つUVの仕事率(power)を示す[エネルギー/時間]、Flowは、導管(106)を通る媒体の流量[体積/時間]、Leffectiveは、UV(紫外線)を照射する導管(106)の有効な長さを示す。尚、この長さは、例えば、導管(106)の形状及び/又は媒体の透過関連特性に依存する。)
【0120】
数式(20)によると、UVの仕事率(power)を増加させる、流量を減少させる及び/又は(例えば、より高品質な媒体を使用することにより)有効長さを増加させることにより、トラック平均量は増加する。
【0121】
数式(15)と(20)を組み合わせることにより、下式(数21)を作ることができる。
【0122】
【数21】
【0123】
数式(20)と(21)によると、例えば、UVの仕事率(power)を増加する、流量を減少させる及び/又は有効長さを増加することによってトラック平均量が直線状の増加を示すが、失活の対数値(log inactivation)が線状に増加する訳ではない。これは、なぜなら、前述の通り、トラック平均量が線形的に増加すると、トラック均一性ファクタが減少するからである。尚、トラック平均量に影響を及ぼす2以上のパラメータが同時に変化すると、計算された線量当量が変化する。これは、照射量分布関数の変化を反映して、トラック均一性ファクタの値が変化するからである。例えば、(例えば、2倍の仕事率(power)と2倍の流量の組合せにより)、数式(数20)の1以上のパラメータが同時に変化して、トラック平均量の値が略変化しない場合も、(例えば、数式(21))で計算された線量当量は変化する。従って、殺菌機(100)は、類似の平均量を用いて異なるPower/flow/UVTで使用することが望ましい。
【0124】
本発明の例示的な実施形態よると、例えば、トラック(112)の比較的小さいパーセンテージ(例えば、トラック(112)の1/1000)が、非常に小さい照射量(例えばゼロUV量(低量トラック))と関連付けられる場合、殺菌機(100)の結果として得られる殺傷率は、3‐logを超えない。例えば、照明源(112)が稼動して比較的高い照射エネルギーを生成しても、媒体は、比較的その流量が小さい、及び/又は媒体は比較的澄んでいる。従って、本発明の例示的な実施形態によると、望ましくは、低量トラックのパーセンテージを減少(例えば、最小化)することにより、高い殺傷率及び/又は殺菌機(100)の高効率を実現することができる。これにより、例えば、比較的狭い照射量分布関数をもたらす。
【0125】
前述の本発明の例示的な実施形態によると、照明源(112)が生成する光フラックス・フィールドと、導管(106)内の媒体速度とがうまく組み合わせられることが望ましい。例えば、照射源(112)はうまく適用して、導管(106)内の高速区画と略一致する高いUVフラックス区画を生成することができる。例えば媒体の高速及び/又は低UVフラックスにより特徴付けられる低量トラックは避けられる。これは、例えば、狭い照射量分布関数をつくり出し、これにより、殺菌機(100)において、比較的高い効率性のレベルにおいて操作する及び/又は比較的高い殺傷率を得ることを意味する。
【0126】
本発明はこれに限定するものではないが、照射量分布関数の幅が測定されてもよく、この測定は、平均累積照射量と累積照射量との間の差と、平均累積照射量との比率により測定される。例えば、前記比率は、0.7より小さい、例えば、0.4より少なくともよい。
【0127】
図9を参照する。図9は、本発明の例示的な実施形態に関し、外部照明源(902)を備える殺菌機(900)を概略的に示す。本発明はこれに限定されるものではないが、殺菌機(900)は、殺菌機(100)(図1)の機能を持つ、及び/又は照明源(902)は、照明源(102)(図1)の機能を果たす。
【0128】
本発明の例示的な実施形態は、殺菌機(900)がフロー・アダプタ(904)、細長チャンバ(906)、及び窓部(907)を備える。これらについては、後に説明する。本発明はこの点に限定されるものではないが、フロー・アダプタ(904)は、フロー・アダプタ(104)(図1)の機能をもつ。チャンバ(906)は、導管(106)(図1)の機能を果たす。
【0129】
本発明の例示的な実施形態において、フロー・アダプタ(904)は、注入口(909)で媒体を受け取り、さらに前記媒体をチャンバ(906)の注入口(916)へ媒体を送ることができるように構成されている。フロー・アダプタ(904)は、注入口(916)に送られた媒体の流れを、対象物の流速の所望の空間分布に適用できるように設計されている。前記対象物は、複数の所望のフロー・トラック(例えば、チャンバ(906)の注入口(916)から排出口(912))に沿って流れる媒体に懸濁されている。本発明は、これに限定されるものではないが、フロー・アダプタ(906)は、円筒形状であってもよく、及び/又はチューブ状であってもよい。また、アダプタ(904)の内径は、注入口(916)の内径よりも大きくてもよい。好ましくは、注入口(916)において流れを調整することにより、異なるトラック(例えば、実質全ての対象物)に沿って流れる対象物の少なく一部が、注入口(916)において略同じ速度である。例示的な実施形態においては、フロー・アダプタ(904)及び/又は注入口(916)は、円筒状のチャンバに適して構成されている。即ち、この実施形態において、仮定の単位時間あたりの、チャンバの周りの小さな角度を有する部分から内側に向かって流れる水の量が、仮定の単位時間あたりの、チャンバ周りの他の小さな角度を有する部分から内側に向かって流れる水の量と略等しい。例えば、内側への流量は、実質的に円柱状に対称である。
【0130】
本発明はこれに限定されないが、いくつかの実施形態において、前記媒体は、例えば液体(例えば、水あるいは水性媒体)であってもよい。本発明はこれに限定されないが、対象物は微生物であってもよい。
【0131】
本発明の例示的な実施形態によると、チャンバ(906)は、少なくとも部分的に、流速の所望の分布に基づいて設計される。例えば、注入口(916)及び/又は排出口(912)は、少なくとも部分的に、流速の所望の分布に基づいて設計される。
【0132】
本発明はこれに限定されないが、本発明の例示的な実施形態によると、チャンバ(906)は、石英チャンバであってもよい。この石英チャンバは、照明源(902)から受けた光の少なくとも1部の全内部反射(TIR:Total Internal Reflection)を可能とする。
【0133】
本発明の例示的な実施形態において、照明源(902)は、チャンバ(906)の外部に位置する。窓部(907)は、例えば、照明源(902)と注入口(916)の間に位置する。これにより、照明源(902)でチャンバ(906)に照射することが可能となる。
【0134】
本発明の例示的な実施形態において、照明源(902)及び/又は窓部(907)は、照明源(902)がチャンバ(906)を照射できるように設計されており、前記照明源(902)は、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光でチャンバ(906)を照射する。前記カスタマイズされた光フラックス分布は、少なくとも部分的に、チャンバ(906)内の流速の所望の分布に基づくものである。このことは、後に説明する。
【0135】
本発明の例示的な実施形態において、カスタマイズされた光フラックス分布は、複数の累積光速度比率の所望の分布を生み出し、これら光速度は、それぞれ、複数のフロー・トラックに対応する。1以上の累積光速度比率(例えば、それぞれの累積光速度比率)は、複数のトラックのそれぞれのトラックに関連する比率の合計(例えば、積分)であってもよい。比率の合計は、例えば、所望の光強度と所望の流速の間の比率の合計であってもよい。前記所望の光強度は、トラックに沿った複数の場所におけるカスタマイズされた光フラックスから得られ、前記所望の流速は、前記複数の場所における所望の流速である。例えば、前記累積光速度の比率は、(例えば、数式(6)による)複数の蓄積した照射量(Dose(tracki))でもよい。
【0136】
本発明の例示的な実施形態によると、累積光速度の比率は、(たとえば前述のような)比較的狭い所望の分布を有する。例えば、平均累積照射量と最小累積照射量の間の差と前記平均累積照射量との比率が、0.7より小さい、例えば、0.4より小さい。
【0137】
本発明の例示的な実施形態によると、チャンバ(906)内の流速の所望の分布は、速度分布であってもよく、この分布において、チャンバ(906)の回転軸(913)からの距離が増加するにつれて、前記速度は減少する。例えば、前記速度分布において、チャンバ(906)の略回転軸上において最大速度値であって、チャンバ(906)内部の略境界部分において最小速度値であってもよい。
【0138】
図10を参照する。図10は、本発明の例示的な実施形態に関し、図中、第1速度分布(1002)及び第2速度分布(1004)の、回転軸(913)からの距離に対する速度を示す。速度分布(1002)は、例えば、チャンバ(906)内の層流に対応する。速度分布(1004)は、例えば、チャンバ(906)内の乱流に対応する。図10で示されるとおり、分布(1002)と分布(1004)は、チャンバ(906)の略回転軸上で最大速度の値を有し、この速度は、回転軸からの距離が大きくなるにつれて小さくなる。
【0139】
図9を再度参照する。本発明の例示的な実施形態によると、前述のとおり、チャンバ(906)内の流速の分布と、カスタマイズされた光フラックス分布が合わさることが好ましい。これにより、例えば、累積光速度比率の比較的狭い所望の分布を提供することができる。この分布により、殺菌機(900)の効率が向上し、殺傷率が比較的高まる。これらの実施形態によると、照明源(902)及び/又は窓部(907)は、後述する如く、第1の所望の光強度が第2の所望の光強度より小さいように設計されている。前記第1の所望の光強度は、回転軸(913)から第1の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られ、第2の所望の光強度は、回転軸(917)から第2の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる。尚、前記第2の距離は、第1の距離より小さい。
【0140】
本発明の例示的な実施形態によると、チャンバ(906)内の流速の所望の分布は、所望の流速分布を含んでもよい。この所望の流速分布において、チャンバ(906)の内面(976)からの第1距離における第1速度は、内面(976)からの第2距離における第2速度よりも小さい。尚、前記第2距離は、第1距離よりも大きい。本発明の実施形態によると、照明源(902)及び/又は窓部(907)は、後述のように、第1の所望の光強度が第2の所望の光強度よりも小さくなるように構成されている。前記第1の所望の光強度は、第1距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られ、前記第2の所望の光強度は、第2距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる。
【0141】
本発明の例示的な実施形態によると、窓部(907)の1以上の光学特性は、少なくとも部分的に、照明源(902)のカスタマイズされた光フラックス分布に基づく。例えば、窓部(907)の屈折率は、照明源(902)から生成される、例えばUV光等の光のスペクトルの屈折率である。例えば、照明源(902)により生成された光は、チャンバ(906)に照射するために、照射窓部(907)を通過する。窓部(907)の1以上の光学特性は、この照射が、(後述する)略カスタマイズされた光フラックスを有する光により成されるように構成されている。
【0142】
次に、図1を参照する。この図は、本発明の例示的な実施形態を概略的に示す。本発明はこれに限定するものではないが、窓部(1100)は、窓部(907)(図9)の機能を果たす。窓部(1100)は、1以上の部分(1104)を含み、この部分(1104)は、カスタマイズされた光フラックス分布に基づいて設計されている。
【0143】
図9を再度参照する。本発明の例示的な実施形態によると、照明源(902)は、少なくとも1つのランプ(919)を備え、このランプ(919)は、所定の分布の光を生成する。前記照明源(902)は、1以上の反射機(921)を備え、この反射機(921)は、ランプ(919)により生成された光の少なくとも1部を反射する。これらにより、後述のように、例えば、カスタマイズされた光フラックス分布を有する光が、ランプ(919)により生成された光、及び反射機(921)の組合せを含むこととなる。本発明は、これに限定されないが、ランプ(919)は、例えば、紫外線(UV光)を生成するUVランプであってもよい。
【0144】
本発明の例示的な実施形態によると、反射機(921)の1以上の特性は、少なくとも部分的に、チャンバ(906)の寸法に基づく。例えば、反射機(921)の特性は、後述するように、少なくとも部分的には、チャンバ(906)の内径の大きさに基づいて決定される。
【0145】
本発明の例示的な実施形態によると、反射機(921)は、楕円状反射機であってもよい。図12は、本発明の例示的な実施形態における、楕円状反射機(1200)の概略図である。本発明はこれに限定されるものではないが、楕円状反射機(1200)は、例えば、以下の1以上のパラメータを有する。
ID=160.5ミリメータ(mm);
R=67mm;
円錐パラメータ(Conic parameter)=−0.32;
Δ=6.4mm;
A=35.22;
b=48.1mm.
【0146】
本発明はこれに限定されるものではないが、楕円状反射機(例えば、反射機(1200))は、細長チューブ状チャンバ(例えば、チャンバ(906))において、比較的高いカップリング効率及び/又は比較的均一なUV量分布を達成するように順応する。前記細長チューブ状チャンバは、例えば、約164mmの内部半径を有する。
【0147】
本発明の例示的な実施形態によると、反射機(921)は、球状反射機を含む。図13は、球状反射機(1300)を概略的に示す。本発明はこれに限定されるものではないが、例えば、反射機(1300)は、以下の1以上のパラメータを有する。
D=160mm;
Δ=6.4mm;
A=52.8mm;
b=27.2mm.
【0148】
本発明は、これに限定されるものではないが、球状反射機(たとえば、反射機1300)は、細長チューブ状チャンバ(例えば、チャンバ906)において、比較的高いカップリング効率及び/又は比較的均一なUV照射量分布に対し適用可能である。前記細長チューブ状チャンバは、およそ164mmの内部半径を有する。
【0149】
本発明の例示的な実施形態によると、ランプ(919)、反射機(921)及び/又は窓部(907)は、チャンバ(906)内でカスタマイズされた光分布を生成するように構成されている。前記ランプ(919)、反射機(921)及び/又は窓部(907)を構成するために、任意の適切なアルゴリズム、シミュレーション及び/又は方法が実行されてもよい。図14は、本発明の例示的な実施形態に関し、チャンバ(1401)におけるカスタマイズされた光フラックス分布のコンピュータ・シュミレーションを概略的に示す。光フラックス分布は、反射機(1402)、ランプ(1404)及び窓部(1406)の組み合わせにより得られる。
【0150】
本発明の例示的な実施形態によると、照明源(902)及び/又は窓部(907)は、注入口(916)(例えば、後述するもの)において所定の光分布を生成することができるように構成されている。
【0151】
図15A及び15Bを参照する。図15A及び15Bは、本発明の第1及び第2実施形態に関し、それぞれ、第1及び第2分布ヒストグラムを示す。これらは、注入口(916)における光線の軸角に対する光強度を示す。図15Aの分布は、例えば、楕円状反射機(例えば、反射機(1200)(図12))から得られたものである。図15Bは、例えば、球状反射機(例えば、反射機(1300)(図13))から得られたものである。図15Aは,光線の大部分を含み、この光線は、臨界角より小さい角度を有する。前記臨界角は、殺菌される媒体内における全内面反射の臨界角であり、θcで示される。例えば、媒体が空気であるとともにチャンバが空気で囲まれている場合において、臨界角は、例えば、下式(数22)で示される値である。
【0152】
【数22】
【0153】
好ましくは図15Aの光分布により、光線とチャンバ(906)を通って流れる対象物の間のカップリング効率が比較的高まる。図15Bの分布は、比較的大きい軸角を有する光線を含み、例えば、これによりカスタマイズされた光フラックス分布を実現する。
【0154】
図9を再度参照する。図9は、本発明の例示的な実施形態に関し、反射機(921)の1以上の部分が、カスタマイズされた光フラックス分布の、1以上の局部的な光フラックス分布に基づき構成されてもよい。(例えば、後述のものがある。)
【0155】
次に図16を参照する。図16は、本発明の例示的な実施形態に関し、溝付き反射機(1600)の概略図を示す。本発明はこれに限定されるものではないが、反射機(1600)は反射機(921)(図9参照)の機能を果たす。反射機(1600)は、1以上の部分(1604)を備え、この部分(1604)はカスタマイズされた光フラックス分布の1以上の夫々の局部的光分布に基づき構成される。例えば、部分(1604)は、1以上の溝部(1602)を備え、この溝部(1602)により、チャンバ(906)に向かう光線の反射に対し局部的に影響を及ぼす(図9参照)。
【0156】
図9を再度参照する。図9は、本発明の例示的な実施形態に関し、ランプ(919)の形状は、カスタマイズされた光フラックス分布に部分的に基づくことを示す。一例として、ランプ(919)はドーナツ形状ランプであってもよい(図17A参照)。他の例としては、ランプ(919)は十字形状ランプ(星型)であってもよい(図17B参照)。他の実施形態としては、ランプ(919)は他の如何なる適切な形状或いは構成を採りうる。
【0157】
本発明の例示的な実施形態によると、反射機(900)は少なくとも1つの追加の照明源(999)を備える。本発明はこれに限定するものではないが、照明源(999)は、少なくとも1つのランプ(998)及び/又は反射機(997)を備えてもよい。前記ランプ(998)は、ランプ(919)と異なってもよいし、類似するものであってもよい。前記反射機(997)は、反射機(921)と異なっても、類似してもよい。照明源(999)は、カスタマイズされた光フラックス分布に基づき構成されてもよい。幾つかの例示的な実施形態において、反射機(900)は、少なくとも1つの追加の窓部(例えば、窓部(993))を備えてもよい。この窓部により、生成された光は、照明源からチャンバ(906)へ送込まれる。
【0158】
本発明の例示的な実施形態によると、照明源(999)は、照明源(902)と略対向して配される。例えば、照明源(999)は、排出口(912)と近接して配される。
【0159】
殺菌機(900)は、照明源(902)に加えて、或いは照明源(902)の代わりに、照明源の他の適切な構造、窓部、反射機及び/又はランプを備えてもよい。殺菌機(900)は、1以上のランプ(図示せず)を備え、このランプは、チャンバ(906)の外側表面に沿って配されている。
【0160】
本発明はこれに限定されるものではないが、殺菌機(900)は、排出フロー・アダプタ(994)を備えてもよく、これにより、流速の所望の分布に対して、排出口(912)における媒体の流れを調節できるように構成されている。本発明はこれに限定されるものではないが、フロー・アダプタ(994)は、円筒形状を有する。フロー・アダプタ(994)の内径は排出口(912)の内径よりも大きい。この構成によって、排出口(912)において流れの調節をすることができるので、異なるトラックに沿って流動する対象物の少なくとも一部(例えば、略全部の対象物)が排出口(912)において同じ速度を有することが可能となる。本発明の例示的な実施形態において、フロー・アダプタ(994)及び/又は排出口(912)の構成によって、チャンバ周辺の小さな角度を有する部分から外側に向かって、単位時間あたりに流れる水の量が、チャンバ周辺の小さな角度を有する他の部分から外側に向かって、単位時間あたり流れる水の量と略同じになる。例えば、外側に向かう流量は、実質的に、円柱状に対称である。
【0161】
以下、本発明の例示的な実施形態による照射フラックス分布に関する実施例を以下に示す。本実施例で用いられる照射フラックス分布は、本発明を、特別な殺菌機の構造及び/又は照射フラックス分布を制限する意図で用いられるものではない。
【0162】
図18A、18B,18Cのそれぞれにおいて、本発明の第1の例示的な実施形態におけるチャンバ(906)内の第1光フラックス分布の断面図を示す。第1光フラックス分布は、例えば、R=110mmの半径を有する球状反射機を用いることによりつくり出される。
【0163】
図19A、19B、19Cのそれぞれにおいて、本発明の第2の例示的な実施形態におけるチャンバ(906)内の第2の光フラックス分布の断面図を示す。第2光フラックス分布は、例えば、第1の1セットの特性を備える球状反射機を使用することにより作り出される。
【0164】
図20A、20B、20Cは、本発明の第3の例示的な実施形態におけるチャンバ(906)内の第3の光フラックス分布の断面図を示す。この第3光フラックス分布は、例えば、第2の1セットの特性を備える球状反射機を使用することにより作りだされる。
【0165】
図21A、21B、21Cは、本発明の第4の例示的な実施形態におけるチャンバ(906)内の第4の光フラックス分布の断面図を示す。この第4光フラックス分布は、例えば、第3の1セットの特性を備える球状反射機を使用することにより作りだされる。
【0166】
図22A、22B、22Cは、本発明の第5の例示的な実施形態におけるチャンバ(906)内の第5の光フラックス分布の断面図を示す。この第5光フラックス分布は、例えば、第4の1セットの特性を備える球状反射機を使用することにより作りだされる。
【0167】
図18A−18C、図19A−19C、図20A−20C、図21A−21C、及び/又は図22A−22Cに示すとおり、照明源(902)、反射機(921)、ランプ(919)及び/又は窓部(907)は、チャンバ(906)において様々な光フラックス分布を生成可能なように構成されている。例えば、照明源(902)、反射機(921)、ランプ(919)及び/又は窓部(907)は、チャンバ(906)において流速の所望の分布に基づいてカスタマイズされた光フラックス分布を生成可能なように構成されている。
【0168】
流速の所望の分布は、任意の適切な方法、アルゴニズム、シミュレーションを用いて決定される、見積もられる及び/又はシミュレートされる。例えば、流速の所望の分布はフロー・シミュレーション・ソフトウェアを使用してシミュレートされる(図23A及び23B参照)。図23A及び図23Bは2つの断面図を含み、それぞれ、本発明の例示的な実施形態の殺菌機のチャンバ内の流速の所望の分布を示す。
【0169】
本発明の実施形態によると、ソフトウェア、ハードウェア或いはソフトウェアとハードウェアの任意の組合せによって実行可能であるので、特定のアプリケーションや特定の設計要件に適する。本発明の実施形態は、ユニット及びサブユニットを備えてもよい。前記ユニット及びサブユニットは、本発明の一部に、或いは全体において、夫々別個に設けられもよいし、組み合わせられて一緒に配されてもよい。前記ユニット及びサブユニットは、従来から知られるように、特定の、多目的に或いは一般的なプロセッサ或いは装置を使用して操作可能である。本発明の幾つかの実施形態は、バッファ、レジスタ、保存ユニット及び/又はメモリユニットを備えてもよい。これら、バッファ、レジスタ、保存ユニット及び/又はメモリユニットにより、一時的な、或いは長期的なデータの保存及び/又は特別な実施形態の操作を向上させることが可能となる。
【0170】
本発明の特徴のうち、ある程度は本明細書で述べたが、本発明は、当業者により、修正、代替、変更及び同じように実行されてもよい。従って、添付の請求項に記載の発明は、本発明の真に意図するところを捉えている限り、全ての修正及び変更を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】本発明の例示的な実施形態に関し、照射による殺菌機の概念図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態に関し、照射量分布関数の概略図である。
【図3】第1、第2、第3曲線を示すグラフの概略図であり、曲線はトラック平均量に対する失活の対数値(log inactivation)を示し、これは図2の照射量分布関数から得られる。
【図4】トラック平均量に対するトラック均一性ファクタを示すグラフの概略図であり、これは、図2の照射量分布関数から得られる。
【図5】本発明の例示的な実施形態に関し、第1及び第2ガウス量分布曲線を示すグラフの概略図である。
【図6】本発明の例示的な他の実施形態に関し、第1及び第2ガウス量分布曲線を示すグラフの概略図である
【図7】図5及び図6の分布曲線に対応する、トラック平均量に対するトラック均一性ファクタを示すグラフの概略図である。
【図8】図5及び図6の分布曲線に対応する、トラック平均量に対する殺傷率を示すグラフの概略図である。
【図9】本発明の例示的な実施形態に関し、外部照明源を備える殺菌機の概略図を示す。
【図10】本発明の例示的な実施形態に関し、第1速度の分布と第2速度の分布のチャンバの回転軸からの距離に対する速度を示すグラフの概略図である。
【図11】本発明の例示的な実施形態に関し、照射窓部を示す概略図である。
【図12】本発明の例示的な実施形態に関し、楕円状反射機の概略図である。
【図13】本発明の例示的な実施形態に関し、球状反射機の概略図である。
【図14】本発明の例示的な実施形態に関し、反射機、ランプ及び窓部の組み合わせから得られるカスタマイズされた光フラックス分布のコンピュータ・シミュレーションを示す概略図である。
【図15A】本発明の第1の例示的な実施形態に関し、第1分布のヒストグラムであり、チャンバ注入口における光線の軸角に対する光強度を示す。
【図15B】本発明の第2の例示的な実施形態に関し、第2分布のヒストグラムであり、チャンバ注入口における光線の軸角に対する光強度を示す。
【図16】本発明の例示的な実施形態に関し、溝付き反射機の概略図を示す。
【図17A】ドーナツ形状ランプの概略図を示す。
【図17B】十字形状ランプの概略図を示す。
【図18A】本発明の第1の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第1光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図18B】本発明の第1の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第1光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図18C】本発明の第1の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第1光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図19A】本発明の第2の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第2光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図19B】本発明の第2の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第2光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図19C】本発明の第2の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第2光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図20A】本発明の第3の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第3光フラックス分布の断面図のうち1の概略図を示す。
【図20B】本発明の第3の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第3光フラックス分布の断面図のうち1の概略図を示す。
【図20C】本発明の第3の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第3光フラックス分布の断面図のうち1の概略図を示す。
【図21A】本発明の第4の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第4光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図21B】本発明の第4の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第4光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図21C】本発明の第4の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第4光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図22A】本発明の第5の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第5光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図22B】本発明の第5の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第5光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図22C】本発明の第5の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第5光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図23A】本発明の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の2つの流速の所望の分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図23B】本発明の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の2つの流速の所望の分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、対象物が懸濁されている媒体に照射する装置、システム及び/又は方法を含むものである。
【背景技術】
【0002】
光放射を用いた紫外線液体殺菌システムであるような殺菌システムは従来知られている。
【0003】
殺菌システムにおいて、照射強度と暴露時間が、最小照射量レベルを超えると(大抵、1平方センチメートルあたりミリジュールの単位で測定される)、紫外線を用いて水等の液体へ照射することにより、該液体中の微生物を不活性化することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
理想的には、紫外線による殺菌システムは、システムを横断する各微生物に同量の紫外線量を照射することができるように設計されるべきである。現存の殺菌システムにおいて、システムを横断する微生物に対して同じ程度の紫外線量を送りこむことを効果的に可能としたものはない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の例示的な実施形態は、殺菌される流動媒体を運ぶ導管を備える装置である。この導管は、媒体を受け取る注入口と媒体を排出する排出口を備える。装置は、フロー・アダプタをさらに備え、このフロー・アダプタは、注入口において、注入口から排出口までの複数の所望の流路に沿って、媒体に懸濁された対象物の流速の所望の空間分布に基づいて、媒体の流れを調節させるように構成されている。前記装置は、少なくとも1つの照明源をさらに備える。この照明源は、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光で導管を照射する。これは、少なくとも部分的に、所望の流速分布に基づいて行われる。
【0006】
本発明の例示的な実施形態によると、カスタマイズされた光フラックス分布と所望の流速の空間分布により、複数の流路に対応するように、それぞれ、複数の累積照射量の任意の分布を実現する。累積照射量の平均値と累積照射量の最小値の差と、該平均値との比率が、例えば、0.7より小さい。
【0007】
本発明の例示的な実施形態によると、各累積照射量は、複数の経路のうち1つの経路に関連する比率の合計を含む。比率の合計は、所望の光強度と流速の間の比率の合計を含む。この比率は、経路に沿った複数の場所におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる所望の光強度と、複数の場所における所望の流速との間のものである。
【0008】
本発明の例示的な実施形態によると、導管は細長チャンバである。一例としては、前記チャンバがチューブ状チャンバを備える。チャンバの回転軸からの第1の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度は、第2の所望の光強度より小さい。この第2の所望の光強度は、前記回転軸から第2の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる光強度である。前記第2の距離は、前記第1の距離より小さい。他の実施形態は、前記チャンバの内表面からの第1の距離における、前記カスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度は、第2の所望の光強度よりも小さい。この第2の所望の光強度は、前記内表面からの第2の距離における、前記カスタマイズされた光フラックスから得られる光強度であり、この第2の距離は、第1の距離より大きい。
【0009】
本発明の例示的な実施形態によると、前記照明源は、前記導管の外側に配される。
【0010】
本発明の例示的な実施形態によると、前記導管は照射窓部を備え、この照射窓部により、照明源からの光を導管内に導く。
【0011】
本発明の例示的な実施形態によると、前記窓部の1以上の光学特性が、少なくとも部分的に、前記カスタマイズされた光フラックス分布に基づく。
【0012】
本発明の例示的な実施形態によると、前記1以上の光学特性が、前記光のスペクトルの前記窓部の屈折率である。
【0013】
本発明の例示的な実施形態によると、少なくとも1つの照明源が2以上の照明源である。
【0014】
本発明の例示的な実施形態によると、前記2以上の照明源が、1以上のランプの第1のセットを含み、この第1のセットは、1以上のランプの第2のセットと略対向して位置する。
【0015】
本発明の例示的な実施形態によると、前記2以上の照明源が、注入口と近接した1以上のランプの第1セットと、排出口と近接した1以上のランプの第2セットを含む。
【0016】
本発明の例示的な実施形態によると、前記照明源は、所定の分布の光を発生するように構成されている少なくとも1のランプと、前記少なくとも1のランプにより発生した光の少なくとも1つを反射する少なくとも1つの反射機を含む。前記カスタマイズされた光フラックス分布をもつ光は、前記ランプにより発生した光と、前記反射機により反射した光の組み合わせを含む。
【0017】
本発明の例示的な実施形態によると、前記反射機の1以上の区画は、前記カスタマイズされた光フラックス分布の1以上の局部的な光フラックス分布に基づき構成されている。
【0018】
本発明の例示的な実施形態によると、前記反射機が楕円状反射機である。
【0019】
本発明の例示的な実施形態によると、前記反射機が球状反射機である。
【0020】
本発明の例示的な実施形態によると、前記ランプの形状が、少なくとも部分的に、前記カスタマイズされたフラックス分布に基づく。例えば、前記ランプは、ドーナツ形状ランプ又は十字形状ランプを含む。
【0021】
本発明の例示的な実施形態によると、前記反射機の1以上の特性が、少なくとも部分的に、前記導管の1以上の寸法に基づく。例えば、前記導管の1以上の寸法は、導管の内径であってもよい。
【0022】
本発明の例示的な実施形態によると、前記導管の構成が、少なくとも部分的に、流速の所望の分布に基づく。例えば、少なくとも1つの注入口と排出口をもつ構成は、少なくとも部分的に、所望の流速の分布に基づく。
【0023】
本発明の例示的な実施形態によると、前記導管は石英の導管を含む。
【0024】
本発明の例示的な実施形態によると、前記光が紫外線である。
【0025】
本発明の例示的な実施形態によると、前記媒体は液体であり、例えば水である。
【0026】
本発明の例示的な実施形態によると、前記対象物が微生物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の内容は、本明細書の最終部分に、詳しく説明して、また区別して主張する。しかしながら、本発明における操作の機構及び方法の両方、さらには、これらの目的、特性及び利点を、以下の詳細な説明および参照すべき図面により、最もよく理解することができる。
【0028】
図面の単純化及び明瞭化のために、図中に示される要素は、実際の或いは一定の縮尺で記載されていない。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確に示すために、他の要素と比較して拡大して示されている。或いは、いくつかの物理的構成要素は、1つの機能ブロックや要素に含まれる。さらに、適切に考慮すると、参照の数字は、各図面に渡って繰り返し使用することにより、類似の要素であることを示す。さらに、図中に示すブロックは、単一の機能として組合せられてもよい。
【0029】
以下の詳細説明において、多数の特別な詳細を説明することにより本発明を深く理解することができる。しかしながら、当業者であれば、本発明がこれらの特別な詳細がなくとも実施できることが理解できる。他の例では、本発明の説明を不明瞭なものにすることを避けるために、公知の方法、処理、構成要素、回路については、詳細に説明しない。
【0030】
特に言及しない限り、以下の説明から明らかな如く、明細書中において、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」等の用語を使用して述べることは、適切には、コンピュータ又はコンピュータ・システム、或いは同様の電子コンピュータ・システムの動作及び/又は処理についてのものとする。これらの動作及び/又は処理により、コンピュータ・システムのレジスタ及び/又はメモリ内の物理的、例えば電子的な量として示されるデータを操作及び/又は変換されて、コンピュータ・システムのメモリ、レジスタ、又は情報記憶機構、トランスミッション又はディスプレイ装置等のその他のものの中にある物理的量として同様に表現されるその他のデータとされる。さらに、用語「複数」は、2以上の構成要素、装置、要素、機器及びこれらの類似物を示すために明細書中で使用される。
【0031】
本発明の例示的な実施形態は、媒体に照射するための装置、システム及び/又は方法を含む。前記媒体には、対象物が懸濁されている。前記装置、システム及び/又は方法により、例えば、以下に示すとおり前記媒体が殺菌される。
【0032】
本明細書で使用される用語「媒体」は、いかなる物質及び/又は物体(例えば、水、空気)を示すものである。また、前記物質及び/又は物体は、殺菌されるべきものとして所望に応じて選択されたものであってもよい。前記媒体は、いかなる適切な熱力学的状態であってもよく、例えば液体である。
【0033】
本明細書で使用される用語「対象物」は、いかなる有機体、細菌、微生物、生命体、動物、病原菌、芽苞菌、ウイルス、有機汚染物、非有機汚染物、酸化可能な毒性の汚染物を示す。用語「対象物」は、さらに、いかなる生体起源又は化学的起源の累積有毒種を示す。或いは、用語「対象物」は、汚染物を酸化するいかなる酸化粒子、断片、或いは要素(例えば、過酸化水素又は二酸化チタン)、及び前記の類似物を示す。フレーズ「媒体に懸濁される対象物」とは、本明細書中において、前記媒体中に懸濁、含有或いは混合される対象物を表す。或いは、フレーズ「媒体に懸濁される対象物」は、媒体により運ばれる対象物を示す。
【0034】
本明細書の例示的な実施形態において、装置は、例えばチャンバであるような導管(例えば、細長チャンバ)を備え、これにより媒体が運ばれる。前記導管は、注入口を備え、この注入口で媒体を受ける。前記導管は、さらに排出口を備え、この排出口により媒体を排出する。前記装置は、照明源をさらに備え、この照明源により、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光で導管が照射される。前記カスタマイズされた空間光フラックス分布は、複数の光学トラック長さを有する複数の光学トラックに対応し、これらについては、後に詳説する。
【0035】
本発明の例示的な実施形態において、カスタマイズされた光フラックス分布は、少なくとも、部分的には、媒体に懸濁される対象物の所望の流速に基づく。前記流速は、注入口から排出口までの複数の所望のフロー・トラックに沿って流れる流速である。これらについては、後に詳説する。
【0036】
本明細書中で使用される「フロー・トラック」とは、2以上の場所間のコース、経路、通り道、軌跡及び/又は軌道を示す。例えば、媒体に懸濁されている1以上の対象物は、第1位置(例えば、導管の注入口)と第2位置(例えば、導管の排出口)の間の1以上のフロー・トラックに沿って移動する。本明細書でいう「所望のフロー・トラック」というフレーズは、決定された、算出された、計算された、シミュレートされた、モデルとなる、推定された、予測された、見積もられた、割り当てられた及び/又は計画されたフロー・トラックを表す。
【0037】
本明細書中で使用される「複数の所望のフロー・トラックに沿って流れる対象物の流速の所望の分布」というフレーズは、決定された、算出された、計算された、シミュレートされた、モデルとなる、推定された、予測された、見積もられた、計画された及び/又は割り当てられた分布、機能及び/又は分布(例えば、所望のフロー・トラックに沿って流れる対象物の流速の見込みの分布、機能及び/又は分布)を表すものである。
【0038】
本発明の例示的な実施形態の装置は、媒体に懸濁されている対象物の、少なくとも一部(或いは、例えば、実質的にほとんど或いは全て)をとりのぞく。本発明の例示的な実施形態において、前記装置は、媒体内に懸濁される酸化粒子のほとんど又は全てを活性化する。
【0039】
本発明の例示的な実施形態において、例えば、以下に説明するように、紫外線(UV:Ultra−Vilet)光を使用して、媒体に照射する、例えば、媒体を殺菌する及び/又は媒体内の粒子を酸化する。しかしながら、当業者は、本発明の他の実施形態において、他の適切なスペクトルの光も使用可能であることを理解する。
【0040】
本発明の例示的な実施形態は、例えば、以下に述べるように、水又は水性の媒体(例えば、シロップ)に照射する。しかしながら、当業者は、本発明の他の実施形態において、例えば、空気などの他の適切な媒体に照射可能であることを理解する。
【0041】
図1を参照する。図1は、本発明の例示的な実施形態に関し、照射による殺菌機(100)の概念図である。
【0042】
本発明の例示的な実施形態によると、殺菌機(100)は、導管(106)を備え、これにより殺菌される媒体を流して運ぶ。導管(106)は、媒体を受ける注入口(116)と媒体を排出する排出口(118)を備える。
【0043】
本発明の例示的な実施形態によると、殺菌機(100)はフロー・アダプタ(104)を備え、このフロー・アダプタ(104)は、(例えば、以下に詳説するように)対象物の流速の所望の分布に基づいて、例えば、注入口(116)において、媒体の流れを調節させるように構成されている。尚、前記対象物とは、複数の所望のフロー・トラック(112)に沿って流れる媒体に懸濁されている対象物である。複数のフロー・トラック(112)は、例えば、注入口(116)と排出口(118)の間のJ個のフロー・トラックを含む。
【0044】
本発明の例示的な実施形態によると、殺菌機(100)は、照明源(102)を備える。この照射源(102)は、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光により、導管(106)に照射する。前記空間光フラックス分布は、Φ(x、y、z)で示され、x、y及びzは、導管(106)内の位置の座標を示す。空間分布Φ(x、y、z)は、少なくとも部分的には、例えば、以下に詳説するように、流速の所望の空間分布に基づく。本発明は、この点に限定するものではないが、照明源(102)は、適切なUVスペクトルのUV光を生成してもよい。例えば、照明源は、1以上のUVランプ、例えば、周知の中圧UVランプ、高圧UVランプ及び/又はマイクロ波UVランプを含んでもよい。照明源(102)は、例えば以下に示す如く、導管(106)の外側に位置してもよい。
【0045】
本発明の例示的な実施形態によると、トラック(112)のi-th(番目)のトラック(113)(i=1...J)を介して、導管(106)を移動する対象物が照射量をためる。前記照射量は、前記カスタマイズされた光フラックス分布から得られるものである。累積した照射量は、例えば、流動性(例えば、エネルギー/面積)によりで表現されてもよい。対象物に累積した照射量は、対象物、導管(106)及び/又は照明源(102)の1以上の特性により変わる。例えば、対象物に累積する照射量は、光フラックス分布Φ(x、y、z)と、トラック(113)に沿って流れる対象物の速度の間の関係に依存する。これは、以下に詳説する。したがって、導管(106)を通って移動する対象物に累積される照射量の分布(“累積照射量分布”)は、フロー・トラック(112)の1以上の特性に関連する。例えば、異なるトラックに沿って移動する対象物は、それぞれ異なる累積照射量を有し、これについても以下に詳説する。
【0046】
当業者は、トラック(133)に沿って流れる対象物を不活性化する可能性(殺傷確率)は、対象物に累積した照射量に関係することを理解することができる。照射量が大きいと、殺傷確率はそれに伴い高くなる。したがって、殺菌機(100)の不活化速度は、累積照射量分布に依存する。
【0047】
本発明の例示的な実施形態によると、殺菌機(100)の1以上の性能の特性、例えば、殺菌機(100)の全体の失活率(殺傷率)の対数値は、導管(106)内の累積照射量分布により影響を受ける。例えば、殺菌機(100)の性能の特性は、1以上の低照射量のフロー・トラックにより限定されてもよい。即ち、狭い照射量分布は、殺菌機(100)のよりよい殺菌能力を提供する。したがって、望ましい(例えば、比較的狭い)照射量分布に基づいて、フロー・アダプタ(104)、照明源(102)及び/又は導管(106)が構成される。これについては、以下に詳説する。
【0048】
本発明の例示的な実施形態によると、注入口(116)において導管(106)に入る媒体は、mv(単位体積当たりの対象物)を含む。簡単にいうと、注入口(116)において、対象物の分布は、略空間的に均一である。しかしながら、本発明は、これに限定するものではない。当業者であれば、対象物の不均一な分布においても本発明の他の実施形態が実施可能であることが理解できる。
【0049】
本発明は、これに限定するものではないが、トラック(112)に沿って対象物を運ぶ媒体の速度と、対象物の速度が同じであると想定できる。即ち、関連する抵抗及び/又は特異的な障害が略存在しないと想定できる。
【0050】
本発明の例示的な実施形態によると、注入口(116)(図示せず)の面積(Aで示す)は、複数の断面のセルに分割され得る。例えば、面積Aは、同じJのセルに分割され、それぞれのセルはΔA=A/Jを有する。トラック(113)は、liで表される特徴的な長さと、Tiで表される特徴的な横断時間を有する。liは、注入口(116)から排出口(118)までのトラック(113)全体における長さである。Tiは、横断時間で、対象物が注入口(116)から排出口(118)まで移動する時間である。
【0051】
本発明の例示的な実施形態によると、i‐th(番目の)セルのサイズは、トラック(113)に沿って略一定で維持されている。この理由は、例えば、媒体の容積の断面積が、注入口(116)から排出口(118)までのトラックに沿って略一定だからである。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の他の実施形態は他の適切なセルの配列と関連してもよいことは当業者により理解される。前記適切なセルの配列としては、例えば、媒体の特定の質量を含むセル、或いは、対象物の特別な数を含むセルが挙げられる。これらの他の実施形態としては、例えば、殺菌機に関連して、媒体の容積の断面積がトラックに沿って変化してもよい。この実施形態として、例えば、注入口(116)と排出口(118)が、それぞれ異なる断面積を有する殺菌機が考えられる。
【0052】
本発明の例示的な実施形態によると、Miで表される対象物(ある一定時間(T)における導管(106)を通るトラックiに沿って移動している対象物)の総数は、下式(数1)で表される。
【0053】
【数1】
【0054】
(Viは、i‐th(番目の)トラックを通って、反応機を横断する平均速度を表す)
【0055】
本発明の例示的な実施形態によると、NM−totalで表される対象物(時間(T)の間において導管(106)を横断している対象物)の総数は、下式(数2)で表される。
【0056】
【数2】
【0057】
或いは、導管(106)を通る媒体の容積/時間の観点から、Qで表される処理能力に基づいて数(NM−total)が決定される場合、下式(数3)が適用される。
【0058】
【数3】
【0059】
トラック(112)のVaverageで表される平均横断速度は、下式(数4)で表される。
【0060】
【数4】
【0061】
対象物の速度は、媒体の速度と略同じで、処理能力(Q)は、下式(数5)で表される。
【0062】
【数5】
【0063】
尚、適切には、式(数2)は、式(数4)と式(数5)を式(数3)へ挿入することにより分割することができる。
【0064】
式(数1)及び/又は式(数2)に関連して、フロー・トラック(112)は、それぞれの平均速度(Vi)を備える。たとえば、より高い値「Vi1」を有する「速い」トラックは、より低い値「Vi2」を有する「遅い」トラックと比較して、導管(106)に渡って、よりたくさんの数の対象物を運ぶ。
【0065】
本発明の例示的な実施形態において、例えば、本明細書で記載するように、導管(106)内の乱流の影響は無視してもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、当業者は、本明細書中で記載される実施形態は、照射量分布に影響を及ぼす可能性がある乱流を考慮して修正可能であることを理解する。例えば、導管(106)を通る比較的高いレイノルズ数で特徴付けられる場合において、照射量分布が狭い。
【0066】
本発明の例示的な実施形態によると、トラック(113)に沿って移動する対象物は、照射量(Dose(tracki)で表す)を蓄積する。この照射量は、エネルギー/面積により表される。トラックiの累積(蓄積)照射量は、トラックiに対応する累積光速度率、及びトラックiに関連する比率の合計を含む。比率の合計は、所望の光強度間の比率の合計を含む。この比率は、経路に沿った複数の場所におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる所望の光強度と、複数の場所における所望の流速の間の比率である。累積照射量は、例えば下式(数6)で表される。
【0067】
【数6】
【0068】
(dtは、トラックの長さの増加量(dl)を横断するために要する時間を表す。さらに、|Vl(x,y,z)|は、場所(x,y,z)における対象物の速度の大きさ(マグニチュード)を示す。)
【0069】
本発明の例示的な実施形態によると、導管(106)内のある点における光分布フラックスは評価され、この評価は、例えば、光線追跡(レイ‐トレーシング)法を用いて、さらに、前記ある点に達した光線を総計することにより行われる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。このことは、例えば、図18(A)〜22(C)に記載されている。前記光分布フラックスは、例えば、導管(106)の構造(構成)、照明源(102)、及び/又は1以上の特性(例えば媒体の透過(トランスミッション))に応じて変化する。このことは、後に詳説する。
【0070】
本発明の例示的な実施形態によると、速度|Vl(x,y,z)|は、任意の適切なコンピュータ制御された流体力学(CFD)技術及び/又はアルゴリズムを使用して評価される。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、後述の如く、前記評価は、対象物が媒体により媒体の速さと略同一の速さで受動的に運ばれると想定して行ってもよい。
【0071】
式(数1)を参照して、長さli、及び/又はi‐th(番目の)トラックに関連する横断時間Tiが評価される。
【0072】
【数7】
【0073】
照射量分布関数(例えば、ヒストグラムの形態で)は、導管(106)を横断する多くの(例えば、単位時間あたりの)対象物を表す。これら対象物は、所定の照射量の範囲内の特定の照射量の値を蓄積する。前記照射量は、例えば、単位時間あたりで導管(106)を横断する対象物の総数と関連する。
【0074】
本発明の例示的実施形態によると、u(D)で表される正規化した照射量分布関数は、1/Dose(例えば、面積/エネルギ)により測定される。例えば、u(D)は、下式(数8)により決定される。
【0075】
【数8】
【0076】
(NM(D)は、トラックを通って移動する対象物の数を表し、該対象物はDとD+dDの間の照射量を有する。Dminは、トラック(112)に沿って最小の照射量を示す。Dmaxは、トラック(112)に沿って最大の照射量を示す。u(D)は次の数式(数9)を満たす。)
【0077】
【数9】
【0078】
本発明の例示的な実施形態によると、排出口(118)において見られる“生き残った”対象物の数(NM)は、下式(数10)により決定される。この場合、対象物の指数関数的減衰は、照明源(102)により生成した光から得られる照射量に対応する。
【0079】
【数10】
【0080】
(aは、所定の定数、例えば、a=ln(10)=2.3を示す。D1logは、対象物を失活の対数値1とするために必要な照射量を示す。)
【0081】
「デルタ」照射量分布関数、式(数10)により、UV照射量平面に対する失活の対数値(log inactivation)における直線が記載される。他の照射量分布関数は、UV照射量曲線に対する、log‐失活の代わりの線(即ち、高い照射量値において、下に曲がる曲線)を有する。これについては、後で説明する。このような代わりの曲線は、「shouldered survival curve (ショルダード・サバイバル曲線)」と呼んでもよい。
【0082】
本発明の例示的な実施形態において、例えば本明細書に示す如く、導管を通って流れる全ての対象物が、単一抵抗を有していてもよい。即ち、略同量の蓄積照射量で、全ての対象物を殺傷/取り除くことができる。しかしながら、本発明はこれらに限定されず、本発明の他の実施形態は、複数の抵抗をもつ対象物に対し実施可能であることは、当業者により理解される。
【0083】
トラック平均照射量は下式(11)で示される。
【0084】
【数11】
【0085】
Deqで表される、計算された線量当量は、対象物の数NMに達成するのに必要と考えられる照射量としてとして定義される。該対象物とは、数式(数10)によると、例えば、単独の照射量値が全トラック(112)(「デルタ関数」分布)に対するものとした場合、生き残っている対象物である。照射量Deqは例えば、下式(数12)により決定される。
【0086】
【数12】
【0087】
本発明の例示的な実施形態によると、Ufで示されるトラック均一性ファクタが、下式(数13)で定義されてもよい。
【0088】
【数13】
【0089】
計算された線量当量は、トラック平均量と同量、或いはトラック平均量より小さい(即ち、Deq≦Dav)。計算された線量当量がトラック平均量と同量であると、例えば、デルタ分布関数に影響を及ぼす。即ち、単一の照射量値がそれぞれのトラックにおいて対象物に蓄積する。従って、トラック均一性ファクタは、下式(数14)を満たす。
【0090】
【数14】
【0091】
Ufの値は殺菌機(100)の効率レベルを表す。例えば、Ufの値が低いと、殺菌機(100)の効率性が低いことを示す。
【0092】
上記(数13)は、下式(数15)のように書き換えられる。
【0093】
【数15】
【0094】
従って、式(数15)を使用することにより、線量当量は、トラック均一性ファクタとトラック平均量に基づき計算することができる。
【0095】
本発明の例示的な実施形態に基づき、照射量分布関数に関連する実施例を以下に示す。以下の実施例で使用される照射量分布関数の記載は、本発明の範囲を、特定の殺菌機の構成及び/又は照射量分布関数に限定することを意図するものではない。
【0096】
第1実施例によると、照射量分布関数は、3種類の照射量区分を含む。例えば、トラック(112)は、3グループ(即ち、低照射量グループ、中照射量グループ、高照射量グループ)に分割される。この実施例によると、時間Tの間、全数が100万の対象物が導管(106)を通って移動する。図2及び以下の表でまとめたように、低照射量グループは対象物の1%を含み、この対象物はある特定の照射量値のうち0.5を蓄積する(例えば、0.5(D1log))。中照射量グループは対象物の25%を含み、この対象物はある特定の照射量値の1.5倍を蓄積する(例えば、1.5(D1log))。高照射量グループは対象物の74%を含み、この対象物はある特定の照射量値の3倍を蓄積する(例えば、3(D1log))。尚、例えば、D1log=5mJ/cm2である。
【0097】
【表1】
【0098】
図3は、304,302及び306でそれぞれ示される、第1、第2、及び第3曲線を示す概略図である。この曲線は、トラック平均量に対する失活の対数値(log inactivation)(殺傷率)を示す。尚、304、302及び306は、それぞれ、前記全数、高照射量グループ、低照射量グループに関する。図3が示す如く、非常に低いトラック平均量レベルにおいては、高照射量グループ(曲線302)が優位に高い殺傷率を示した。トラック平均量が増加することにより(約15mJ/cm2から約50mJ/cm2)、殺傷率が増加する(2logから4logまで)。トラック平均量は、照明源(102)(図1)の光出力を増加した場合、導管(106)(図1)を通る媒体の流量を減少させた場合、或いは、以下に示す如く媒体が高品質である場合のいずれか、或いはこれらの任意の組合せにより増加する。
【0099】
図3が示すとおり、トラック平均量レベルが増加するにつれて、高い殺傷率は、一般に低照射量グループ(曲線306)中の対象物の殺傷率が優位に増加する。これは、例えば、高照射量グループにおける対象物の殆どが既に失活(“死ぬ”)しているからである。図3でさらに示す如く、トラック平均量が増加することにより、失活の対数値(log inactivation)の代わりの線形増加が確認できる。これは、例えば、照射量/トラックの照射量分布の非均一性によるものである。
【0100】
図4は、トラック平均量に対するトラック均一性ファクタを示すグラフの概略図である。これは、図2の照射量分布関数から得られる。図4に示すとおり、トラック平均量の値が0からおよそ80に増加するにつれて、Ufの値はおよそ1からおよそ0.3まで減少する。
【0101】
他の実施例によると、照射量分布は、有端ガウス分布(truncated-Gaussian distribution)であってもよく、例えば下式(数16)で示される。
【0102】
【数16】
【0103】
(Dminは照射量分布における最小量を示す。Dmaxは照射量分布における最大量を示す。σDはガウス分布の幅を示し、μはガウス分布の中心を示す。A0は規格化定数を示し、例えばuG(D)は数式(9)を満たす。)
【0104】
もし、A0が1であれば、μはトラック平均量と同値である。ガウス分布が、以下のトランケーション値(Truncation value)(数17)と相対的に狭い場合は、σDが標準偏差と同値となる。
【0105】
【数17】
【0106】
図5は、本発明の例示的な実施形態に関し、第1及び第2ガウス量分布曲線(それぞれ、502と504で示す。)を示すグラフの概略図である。両方の分布曲線(502と504)は、下記の値により定義され、示された共通のスケール・ファクタ(倍率)で縮尺される。
【0107】
【数18】
【0108】
分布曲線(502)は、スケール・ファクタ(倍率=1)に相当し、分布曲線(504)は、スケール・ファクタ(倍率=3)に相当する。
【0109】
図5で示す如く、スケール・ファクタ(倍率=3)による照射量分布は、より低いスケール・ファクタ(倍率=1)と比較して、より広くなる。より広い照射量分布は、より低いトラック均一性ファクタをもたらし、このことについては後に説明する。図5が示すグラフは、曲線(506)と(508)を示し、これら曲線は、それぞれトラック平均量及び計算された線量当量を表し、いずれも曲線(502)に対応するものである。図中、曲線(510)と(512)は、それぞれトラック平均量及び計算された線量当量を表し、いずれも曲線(504)に対応するものである。図5で示す如く、計算された線量当量は、前記トラック平均量で計られる必要はない。
【0110】
図6は、本発明の例示的な他の実施形態に関し、第1及び第2ガウス量分布曲線(602)と(604)を示すグラフの概略図である。両方の分布曲線(602と604)は、下記の値により定義され、スケール・ファクタ(倍率)で縮尺される。
【0111】
【数19】
【0112】
(分布曲線(602)は、スケール・ファクタ(倍率=1)、分布曲線(604)は、スケール・ファクタ(倍率=3)に相当する。)
【0113】
図7中符号(702)と(704)は、第1及び第2曲線を概略的に示し、それぞれ、分布曲線(502)と(602)に対応するトラック平均量に対するトラック均一性ファクタを表す。図7中、曲線(702)のトラック均一性ファクタの値は、(例えば、トラック平均量の比較的高い値に対しても)一般的に0.5を超える。逆に、トラック平均量が増加するとき、曲線(704)のトラック均一性ファクタは減少し、このトラック均一性ファクタの値は、トラック平均量が比較的低い値のときにおいても0.5未満の値を示す。即ち、(例えば、曲線(502)に対応するような)比較的広い照射量分布は、比較的狭い照射量分布(例えば、曲線(602)に対応する分布)から得られるトラック均一性ファクタに対し、トラック均一性ファクタの減少がより急である。
【0114】
図8を参照する。図8は、第1曲線(802)及び第2曲線(804)は、トラック平均量に対する殺傷率を示す。第1及び第2曲線はそれぞれ、分布曲線(502)と(602)に対応する。図8が示す如く、曲線(802)の殺傷率は、比較的急に増加する。この曲線(802)は、トラック平均量の値が高いと、比較的高い殺傷率を示す。一方で、曲線(804)の殺傷率はそれほど増加せず、早めに変曲する。また、曲線(804)において、比較的高いトラック平均量の値を示す場合でも、失活の対数値(log inactivation)は5を超えない。即ち、(曲線502と対応する)比較的狭い照射量分布における殺傷率は、(曲線602と対応する)比較的広い照射量分布における殺傷率と比較して、急勾配の増加を示す。
【0115】
前述の実施例と類似する他の実施例において、擬似ガウス量分布は、2.25‐logの全体の殺傷率、及び0.56のトラック均一性ファクタをもたらす。前記擬似ガウス分布は、4*Dose1logのトラック平均量に集中しているとともに、2*Dose1logの標準偏差を有する。この実施例において、例えば、全体のUVの仕事率(power)を2.6のファクタ分の増加することにより4‐logの全体の殺傷率を実現する。
【0116】
図1を再度参照する。本発明の例示的な実施形態によると、スケール・ファクタが増加し、この増加は、照明源(112)の光出力を増加させること、導管(106)を通る媒体の流量を小さくすること及び/又は高品質の媒体を使用することにより成しえる。このことは後で説明する。
【0117】
本発明の例示的な実施形態によると、照明源(102)は、UV照明源であってもよく、この場合、UV光で導管(106)に照射する。トラック平均量は、以下(数20)のようにその値が求められる。例えば、殺菌機(100)が「デルタ」照射量分布関数(即ち、略全部のトラック(112)の全体が、同量の照射量を蓄積している。)
【0118】
【数20】
【0119】
(P0−germicidalは、導管(106)内で殺菌作用を持つUVの仕事率(power)を示す[エネルギー/時間]、Flowは、導管(106)を通る媒体の流量[体積/時間]、Leffectiveは、UV(紫外線)を照射する導管(106)の有効な長さを示す。尚、この長さは、例えば、導管(106)の形状及び/又は媒体の透過関連特性に依存する。)
【0120】
数式(20)によると、UVの仕事率(power)を増加させる、流量を減少させる及び/又は(例えば、より高品質な媒体を使用することにより)有効長さを増加させることにより、トラック平均量は増加する。
【0121】
数式(15)と(20)を組み合わせることにより、下式(数21)を作ることができる。
【0122】
【数21】
【0123】
数式(20)と(21)によると、例えば、UVの仕事率(power)を増加する、流量を減少させる及び/又は有効長さを増加することによってトラック平均量が直線状の増加を示すが、失活の対数値(log inactivation)が線状に増加する訳ではない。これは、なぜなら、前述の通り、トラック平均量が線形的に増加すると、トラック均一性ファクタが減少するからである。尚、トラック平均量に影響を及ぼす2以上のパラメータが同時に変化すると、計算された線量当量が変化する。これは、照射量分布関数の変化を反映して、トラック均一性ファクタの値が変化するからである。例えば、(例えば、2倍の仕事率(power)と2倍の流量の組合せにより)、数式(数20)の1以上のパラメータが同時に変化して、トラック平均量の値が略変化しない場合も、(例えば、数式(21))で計算された線量当量は変化する。従って、殺菌機(100)は、類似の平均量を用いて異なるPower/flow/UVTで使用することが望ましい。
【0124】
本発明の例示的な実施形態よると、例えば、トラック(112)の比較的小さいパーセンテージ(例えば、トラック(112)の1/1000)が、非常に小さい照射量(例えばゼロUV量(低量トラック))と関連付けられる場合、殺菌機(100)の結果として得られる殺傷率は、3‐logを超えない。例えば、照明源(112)が稼動して比較的高い照射エネルギーを生成しても、媒体は、比較的その流量が小さい、及び/又は媒体は比較的澄んでいる。従って、本発明の例示的な実施形態によると、望ましくは、低量トラックのパーセンテージを減少(例えば、最小化)することにより、高い殺傷率及び/又は殺菌機(100)の高効率を実現することができる。これにより、例えば、比較的狭い照射量分布関数をもたらす。
【0125】
前述の本発明の例示的な実施形態によると、照明源(112)が生成する光フラックス・フィールドと、導管(106)内の媒体速度とがうまく組み合わせられることが望ましい。例えば、照射源(112)はうまく適用して、導管(106)内の高速区画と略一致する高いUVフラックス区画を生成することができる。例えば媒体の高速及び/又は低UVフラックスにより特徴付けられる低量トラックは避けられる。これは、例えば、狭い照射量分布関数をつくり出し、これにより、殺菌機(100)において、比較的高い効率性のレベルにおいて操作する及び/又は比較的高い殺傷率を得ることを意味する。
【0126】
本発明はこれに限定するものではないが、照射量分布関数の幅が測定されてもよく、この測定は、平均累積照射量と累積照射量との間の差と、平均累積照射量との比率により測定される。例えば、前記比率は、0.7より小さい、例えば、0.4より少なくともよい。
【0127】
図9を参照する。図9は、本発明の例示的な実施形態に関し、外部照明源(902)を備える殺菌機(900)を概略的に示す。本発明はこれに限定されるものではないが、殺菌機(900)は、殺菌機(100)(図1)の機能を持つ、及び/又は照明源(902)は、照明源(102)(図1)の機能を果たす。
【0128】
本発明の例示的な実施形態は、殺菌機(900)がフロー・アダプタ(904)、細長チャンバ(906)、及び窓部(907)を備える。これらについては、後に説明する。本発明はこの点に限定されるものではないが、フロー・アダプタ(904)は、フロー・アダプタ(104)(図1)の機能をもつ。チャンバ(906)は、導管(106)(図1)の機能を果たす。
【0129】
本発明の例示的な実施形態において、フロー・アダプタ(904)は、注入口(909)で媒体を受け取り、さらに前記媒体をチャンバ(906)の注入口(916)へ媒体を送ることができるように構成されている。フロー・アダプタ(904)は、注入口(916)に送られた媒体の流れを、対象物の流速の所望の空間分布に適用できるように設計されている。前記対象物は、複数の所望のフロー・トラック(例えば、チャンバ(906)の注入口(916)から排出口(912))に沿って流れる媒体に懸濁されている。本発明は、これに限定されるものではないが、フロー・アダプタ(906)は、円筒形状であってもよく、及び/又はチューブ状であってもよい。また、アダプタ(904)の内径は、注入口(916)の内径よりも大きくてもよい。好ましくは、注入口(916)において流れを調整することにより、異なるトラック(例えば、実質全ての対象物)に沿って流れる対象物の少なく一部が、注入口(916)において略同じ速度である。例示的な実施形態においては、フロー・アダプタ(904)及び/又は注入口(916)は、円筒状のチャンバに適して構成されている。即ち、この実施形態において、仮定の単位時間あたりの、チャンバの周りの小さな角度を有する部分から内側に向かって流れる水の量が、仮定の単位時間あたりの、チャンバ周りの他の小さな角度を有する部分から内側に向かって流れる水の量と略等しい。例えば、内側への流量は、実質的に円柱状に対称である。
【0130】
本発明はこれに限定されないが、いくつかの実施形態において、前記媒体は、例えば液体(例えば、水あるいは水性媒体)であってもよい。本発明はこれに限定されないが、対象物は微生物であってもよい。
【0131】
本発明の例示的な実施形態によると、チャンバ(906)は、少なくとも部分的に、流速の所望の分布に基づいて設計される。例えば、注入口(916)及び/又は排出口(912)は、少なくとも部分的に、流速の所望の分布に基づいて設計される。
【0132】
本発明はこれに限定されないが、本発明の例示的な実施形態によると、チャンバ(906)は、石英チャンバであってもよい。この石英チャンバは、照明源(902)から受けた光の少なくとも1部の全内部反射(TIR:Total Internal Reflection)を可能とする。
【0133】
本発明の例示的な実施形態において、照明源(902)は、チャンバ(906)の外部に位置する。窓部(907)は、例えば、照明源(902)と注入口(916)の間に位置する。これにより、照明源(902)でチャンバ(906)に照射することが可能となる。
【0134】
本発明の例示的な実施形態において、照明源(902)及び/又は窓部(907)は、照明源(902)がチャンバ(906)を照射できるように設計されており、前記照明源(902)は、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光でチャンバ(906)を照射する。前記カスタマイズされた光フラックス分布は、少なくとも部分的に、チャンバ(906)内の流速の所望の分布に基づくものである。このことは、後に説明する。
【0135】
本発明の例示的な実施形態において、カスタマイズされた光フラックス分布は、複数の累積光速度比率の所望の分布を生み出し、これら光速度は、それぞれ、複数のフロー・トラックに対応する。1以上の累積光速度比率(例えば、それぞれの累積光速度比率)は、複数のトラックのそれぞれのトラックに関連する比率の合計(例えば、積分)であってもよい。比率の合計は、例えば、所望の光強度と所望の流速の間の比率の合計であってもよい。前記所望の光強度は、トラックに沿った複数の場所におけるカスタマイズされた光フラックスから得られ、前記所望の流速は、前記複数の場所における所望の流速である。例えば、前記累積光速度の比率は、(例えば、数式(6)による)複数の蓄積した照射量(Dose(tracki))でもよい。
【0136】
本発明の例示的な実施形態によると、累積光速度の比率は、(たとえば前述のような)比較的狭い所望の分布を有する。例えば、平均累積照射量と最小累積照射量の間の差と前記平均累積照射量との比率が、0.7より小さい、例えば、0.4より小さい。
【0137】
本発明の例示的な実施形態によると、チャンバ(906)内の流速の所望の分布は、速度分布であってもよく、この分布において、チャンバ(906)の回転軸(913)からの距離が増加するにつれて、前記速度は減少する。例えば、前記速度分布において、チャンバ(906)の略回転軸上において最大速度値であって、チャンバ(906)内部の略境界部分において最小速度値であってもよい。
【0138】
図10を参照する。図10は、本発明の例示的な実施形態に関し、図中、第1速度分布(1002)及び第2速度分布(1004)の、回転軸(913)からの距離に対する速度を示す。速度分布(1002)は、例えば、チャンバ(906)内の層流に対応する。速度分布(1004)は、例えば、チャンバ(906)内の乱流に対応する。図10で示されるとおり、分布(1002)と分布(1004)は、チャンバ(906)の略回転軸上で最大速度の値を有し、この速度は、回転軸からの距離が大きくなるにつれて小さくなる。
【0139】
図9を再度参照する。本発明の例示的な実施形態によると、前述のとおり、チャンバ(906)内の流速の分布と、カスタマイズされた光フラックス分布が合わさることが好ましい。これにより、例えば、累積光速度比率の比較的狭い所望の分布を提供することができる。この分布により、殺菌機(900)の効率が向上し、殺傷率が比較的高まる。これらの実施形態によると、照明源(902)及び/又は窓部(907)は、後述する如く、第1の所望の光強度が第2の所望の光強度より小さいように設計されている。前記第1の所望の光強度は、回転軸(913)から第1の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られ、第2の所望の光強度は、回転軸(917)から第2の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる。尚、前記第2の距離は、第1の距離より小さい。
【0140】
本発明の例示的な実施形態によると、チャンバ(906)内の流速の所望の分布は、所望の流速分布を含んでもよい。この所望の流速分布において、チャンバ(906)の内面(976)からの第1距離における第1速度は、内面(976)からの第2距離における第2速度よりも小さい。尚、前記第2距離は、第1距離よりも大きい。本発明の実施形態によると、照明源(902)及び/又は窓部(907)は、後述のように、第1の所望の光強度が第2の所望の光強度よりも小さくなるように構成されている。前記第1の所望の光強度は、第1距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られ、前記第2の所望の光強度は、第2距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる。
【0141】
本発明の例示的な実施形態によると、窓部(907)の1以上の光学特性は、少なくとも部分的に、照明源(902)のカスタマイズされた光フラックス分布に基づく。例えば、窓部(907)の屈折率は、照明源(902)から生成される、例えばUV光等の光のスペクトルの屈折率である。例えば、照明源(902)により生成された光は、チャンバ(906)に照射するために、照射窓部(907)を通過する。窓部(907)の1以上の光学特性は、この照射が、(後述する)略カスタマイズされた光フラックスを有する光により成されるように構成されている。
【0142】
次に、図1を参照する。この図は、本発明の例示的な実施形態を概略的に示す。本発明はこれに限定するものではないが、窓部(1100)は、窓部(907)(図9)の機能を果たす。窓部(1100)は、1以上の部分(1104)を含み、この部分(1104)は、カスタマイズされた光フラックス分布に基づいて設計されている。
【0143】
図9を再度参照する。本発明の例示的な実施形態によると、照明源(902)は、少なくとも1つのランプ(919)を備え、このランプ(919)は、所定の分布の光を生成する。前記照明源(902)は、1以上の反射機(921)を備え、この反射機(921)は、ランプ(919)により生成された光の少なくとも1部を反射する。これらにより、後述のように、例えば、カスタマイズされた光フラックス分布を有する光が、ランプ(919)により生成された光、及び反射機(921)の組合せを含むこととなる。本発明は、これに限定されないが、ランプ(919)は、例えば、紫外線(UV光)を生成するUVランプであってもよい。
【0144】
本発明の例示的な実施形態によると、反射機(921)の1以上の特性は、少なくとも部分的に、チャンバ(906)の寸法に基づく。例えば、反射機(921)の特性は、後述するように、少なくとも部分的には、チャンバ(906)の内径の大きさに基づいて決定される。
【0145】
本発明の例示的な実施形態によると、反射機(921)は、楕円状反射機であってもよい。図12は、本発明の例示的な実施形態における、楕円状反射機(1200)の概略図である。本発明はこれに限定されるものではないが、楕円状反射機(1200)は、例えば、以下の1以上のパラメータを有する。
ID=160.5ミリメータ(mm);
R=67mm;
円錐パラメータ(Conic parameter)=−0.32;
Δ=6.4mm;
A=35.22;
b=48.1mm.
【0146】
本発明はこれに限定されるものではないが、楕円状反射機(例えば、反射機(1200))は、細長チューブ状チャンバ(例えば、チャンバ(906))において、比較的高いカップリング効率及び/又は比較的均一なUV量分布を達成するように順応する。前記細長チューブ状チャンバは、例えば、約164mmの内部半径を有する。
【0147】
本発明の例示的な実施形態によると、反射機(921)は、球状反射機を含む。図13は、球状反射機(1300)を概略的に示す。本発明はこれに限定されるものではないが、例えば、反射機(1300)は、以下の1以上のパラメータを有する。
D=160mm;
Δ=6.4mm;
A=52.8mm;
b=27.2mm.
【0148】
本発明は、これに限定されるものではないが、球状反射機(たとえば、反射機1300)は、細長チューブ状チャンバ(例えば、チャンバ906)において、比較的高いカップリング効率及び/又は比較的均一なUV照射量分布に対し適用可能である。前記細長チューブ状チャンバは、およそ164mmの内部半径を有する。
【0149】
本発明の例示的な実施形態によると、ランプ(919)、反射機(921)及び/又は窓部(907)は、チャンバ(906)内でカスタマイズされた光分布を生成するように構成されている。前記ランプ(919)、反射機(921)及び/又は窓部(907)を構成するために、任意の適切なアルゴリズム、シミュレーション及び/又は方法が実行されてもよい。図14は、本発明の例示的な実施形態に関し、チャンバ(1401)におけるカスタマイズされた光フラックス分布のコンピュータ・シュミレーションを概略的に示す。光フラックス分布は、反射機(1402)、ランプ(1404)及び窓部(1406)の組み合わせにより得られる。
【0150】
本発明の例示的な実施形態によると、照明源(902)及び/又は窓部(907)は、注入口(916)(例えば、後述するもの)において所定の光分布を生成することができるように構成されている。
【0151】
図15A及び15Bを参照する。図15A及び15Bは、本発明の第1及び第2実施形態に関し、それぞれ、第1及び第2分布ヒストグラムを示す。これらは、注入口(916)における光線の軸角に対する光強度を示す。図15Aの分布は、例えば、楕円状反射機(例えば、反射機(1200)(図12))から得られたものである。図15Bは、例えば、球状反射機(例えば、反射機(1300)(図13))から得られたものである。図15Aは,光線の大部分を含み、この光線は、臨界角より小さい角度を有する。前記臨界角は、殺菌される媒体内における全内面反射の臨界角であり、θcで示される。例えば、媒体が空気であるとともにチャンバが空気で囲まれている場合において、臨界角は、例えば、下式(数22)で示される値である。
【0152】
【数22】
【0153】
好ましくは図15Aの光分布により、光線とチャンバ(906)を通って流れる対象物の間のカップリング効率が比較的高まる。図15Bの分布は、比較的大きい軸角を有する光線を含み、例えば、これによりカスタマイズされた光フラックス分布を実現する。
【0154】
図9を再度参照する。図9は、本発明の例示的な実施形態に関し、反射機(921)の1以上の部分が、カスタマイズされた光フラックス分布の、1以上の局部的な光フラックス分布に基づき構成されてもよい。(例えば、後述のものがある。)
【0155】
次に図16を参照する。図16は、本発明の例示的な実施形態に関し、溝付き反射機(1600)の概略図を示す。本発明はこれに限定されるものではないが、反射機(1600)は反射機(921)(図9参照)の機能を果たす。反射機(1600)は、1以上の部分(1604)を備え、この部分(1604)はカスタマイズされた光フラックス分布の1以上の夫々の局部的光分布に基づき構成される。例えば、部分(1604)は、1以上の溝部(1602)を備え、この溝部(1602)により、チャンバ(906)に向かう光線の反射に対し局部的に影響を及ぼす(図9参照)。
【0156】
図9を再度参照する。図9は、本発明の例示的な実施形態に関し、ランプ(919)の形状は、カスタマイズされた光フラックス分布に部分的に基づくことを示す。一例として、ランプ(919)はドーナツ形状ランプであってもよい(図17A参照)。他の例としては、ランプ(919)は十字形状ランプ(星型)であってもよい(図17B参照)。他の実施形態としては、ランプ(919)は他の如何なる適切な形状或いは構成を採りうる。
【0157】
本発明の例示的な実施形態によると、反射機(900)は少なくとも1つの追加の照明源(999)を備える。本発明はこれに限定するものではないが、照明源(999)は、少なくとも1つのランプ(998)及び/又は反射機(997)を備えてもよい。前記ランプ(998)は、ランプ(919)と異なってもよいし、類似するものであってもよい。前記反射機(997)は、反射機(921)と異なっても、類似してもよい。照明源(999)は、カスタマイズされた光フラックス分布に基づき構成されてもよい。幾つかの例示的な実施形態において、反射機(900)は、少なくとも1つの追加の窓部(例えば、窓部(993))を備えてもよい。この窓部により、生成された光は、照明源からチャンバ(906)へ送込まれる。
【0158】
本発明の例示的な実施形態によると、照明源(999)は、照明源(902)と略対向して配される。例えば、照明源(999)は、排出口(912)と近接して配される。
【0159】
殺菌機(900)は、照明源(902)に加えて、或いは照明源(902)の代わりに、照明源の他の適切な構造、窓部、反射機及び/又はランプを備えてもよい。殺菌機(900)は、1以上のランプ(図示せず)を備え、このランプは、チャンバ(906)の外側表面に沿って配されている。
【0160】
本発明はこれに限定されるものではないが、殺菌機(900)は、排出フロー・アダプタ(994)を備えてもよく、これにより、流速の所望の分布に対して、排出口(912)における媒体の流れを調節できるように構成されている。本発明はこれに限定されるものではないが、フロー・アダプタ(994)は、円筒形状を有する。フロー・アダプタ(994)の内径は排出口(912)の内径よりも大きい。この構成によって、排出口(912)において流れの調節をすることができるので、異なるトラックに沿って流動する対象物の少なくとも一部(例えば、略全部の対象物)が排出口(912)において同じ速度を有することが可能となる。本発明の例示的な実施形態において、フロー・アダプタ(994)及び/又は排出口(912)の構成によって、チャンバ周辺の小さな角度を有する部分から外側に向かって、単位時間あたりに流れる水の量が、チャンバ周辺の小さな角度を有する他の部分から外側に向かって、単位時間あたり流れる水の量と略同じになる。例えば、外側に向かう流量は、実質的に、円柱状に対称である。
【0161】
以下、本発明の例示的な実施形態による照射フラックス分布に関する実施例を以下に示す。本実施例で用いられる照射フラックス分布は、本発明を、特別な殺菌機の構造及び/又は照射フラックス分布を制限する意図で用いられるものではない。
【0162】
図18A、18B,18Cのそれぞれにおいて、本発明の第1の例示的な実施形態におけるチャンバ(906)内の第1光フラックス分布の断面図を示す。第1光フラックス分布は、例えば、R=110mmの半径を有する球状反射機を用いることによりつくり出される。
【0163】
図19A、19B、19Cのそれぞれにおいて、本発明の第2の例示的な実施形態におけるチャンバ(906)内の第2の光フラックス分布の断面図を示す。第2光フラックス分布は、例えば、第1の1セットの特性を備える球状反射機を使用することにより作り出される。
【0164】
図20A、20B、20Cは、本発明の第3の例示的な実施形態におけるチャンバ(906)内の第3の光フラックス分布の断面図を示す。この第3光フラックス分布は、例えば、第2の1セットの特性を備える球状反射機を使用することにより作りだされる。
【0165】
図21A、21B、21Cは、本発明の第4の例示的な実施形態におけるチャンバ(906)内の第4の光フラックス分布の断面図を示す。この第4光フラックス分布は、例えば、第3の1セットの特性を備える球状反射機を使用することにより作りだされる。
【0166】
図22A、22B、22Cは、本発明の第5の例示的な実施形態におけるチャンバ(906)内の第5の光フラックス分布の断面図を示す。この第5光フラックス分布は、例えば、第4の1セットの特性を備える球状反射機を使用することにより作りだされる。
【0167】
図18A−18C、図19A−19C、図20A−20C、図21A−21C、及び/又は図22A−22Cに示すとおり、照明源(902)、反射機(921)、ランプ(919)及び/又は窓部(907)は、チャンバ(906)において様々な光フラックス分布を生成可能なように構成されている。例えば、照明源(902)、反射機(921)、ランプ(919)及び/又は窓部(907)は、チャンバ(906)において流速の所望の分布に基づいてカスタマイズされた光フラックス分布を生成可能なように構成されている。
【0168】
流速の所望の分布は、任意の適切な方法、アルゴニズム、シミュレーションを用いて決定される、見積もられる及び/又はシミュレートされる。例えば、流速の所望の分布はフロー・シミュレーション・ソフトウェアを使用してシミュレートされる(図23A及び23B参照)。図23A及び図23Bは2つの断面図を含み、それぞれ、本発明の例示的な実施形態の殺菌機のチャンバ内の流速の所望の分布を示す。
【0169】
本発明の実施形態によると、ソフトウェア、ハードウェア或いはソフトウェアとハードウェアの任意の組合せによって実行可能であるので、特定のアプリケーションや特定の設計要件に適する。本発明の実施形態は、ユニット及びサブユニットを備えてもよい。前記ユニット及びサブユニットは、本発明の一部に、或いは全体において、夫々別個に設けられもよいし、組み合わせられて一緒に配されてもよい。前記ユニット及びサブユニットは、従来から知られるように、特定の、多目的に或いは一般的なプロセッサ或いは装置を使用して操作可能である。本発明の幾つかの実施形態は、バッファ、レジスタ、保存ユニット及び/又はメモリユニットを備えてもよい。これら、バッファ、レジスタ、保存ユニット及び/又はメモリユニットにより、一時的な、或いは長期的なデータの保存及び/又は特別な実施形態の操作を向上させることが可能となる。
【0170】
本発明の特徴のうち、ある程度は本明細書で述べたが、本発明は、当業者により、修正、代替、変更及び同じように実行されてもよい。従って、添付の請求項に記載の発明は、本発明の真に意図するところを捉えている限り、全ての修正及び変更を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】本発明の例示的な実施形態に関し、照射による殺菌機の概念図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態に関し、照射量分布関数の概略図である。
【図3】第1、第2、第3曲線を示すグラフの概略図であり、曲線はトラック平均量に対する失活の対数値(log inactivation)を示し、これは図2の照射量分布関数から得られる。
【図4】トラック平均量に対するトラック均一性ファクタを示すグラフの概略図であり、これは、図2の照射量分布関数から得られる。
【図5】本発明の例示的な実施形態に関し、第1及び第2ガウス量分布曲線を示すグラフの概略図である。
【図6】本発明の例示的な他の実施形態に関し、第1及び第2ガウス量分布曲線を示すグラフの概略図である
【図7】図5及び図6の分布曲線に対応する、トラック平均量に対するトラック均一性ファクタを示すグラフの概略図である。
【図8】図5及び図6の分布曲線に対応する、トラック平均量に対する殺傷率を示すグラフの概略図である。
【図9】本発明の例示的な実施形態に関し、外部照明源を備える殺菌機の概略図を示す。
【図10】本発明の例示的な実施形態に関し、第1速度の分布と第2速度の分布のチャンバの回転軸からの距離に対する速度を示すグラフの概略図である。
【図11】本発明の例示的な実施形態に関し、照射窓部を示す概略図である。
【図12】本発明の例示的な実施形態に関し、楕円状反射機の概略図である。
【図13】本発明の例示的な実施形態に関し、球状反射機の概略図である。
【図14】本発明の例示的な実施形態に関し、反射機、ランプ及び窓部の組み合わせから得られるカスタマイズされた光フラックス分布のコンピュータ・シミュレーションを示す概略図である。
【図15A】本発明の第1の例示的な実施形態に関し、第1分布のヒストグラムであり、チャンバ注入口における光線の軸角に対する光強度を示す。
【図15B】本発明の第2の例示的な実施形態に関し、第2分布のヒストグラムであり、チャンバ注入口における光線の軸角に対する光強度を示す。
【図16】本発明の例示的な実施形態に関し、溝付き反射機の概略図を示す。
【図17A】ドーナツ形状ランプの概略図を示す。
【図17B】十字形状ランプの概略図を示す。
【図18A】本発明の第1の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第1光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図18B】本発明の第1の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第1光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図18C】本発明の第1の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第1光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図19A】本発明の第2の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第2光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図19B】本発明の第2の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第2光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図19C】本発明の第2の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第2光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図20A】本発明の第3の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第3光フラックス分布の断面図のうち1の概略図を示す。
【図20B】本発明の第3の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第3光フラックス分布の断面図のうち1の概略図を示す。
【図20C】本発明の第3の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第3光フラックス分布の断面図のうち1の概略図を示す。
【図21A】本発明の第4の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第4光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図21B】本発明の第4の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第4光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図21C】本発明の第4の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第4光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図22A】本発明の第5の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第5光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図22B】本発明の第5の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第5光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図22C】本発明の第5の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の3つの第5光フラックス分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図23A】本発明の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の2つの流速の所望の分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【図23B】本発明の例示的な実施形態に関し、チャンバ内の2つの流速の所望の分布の断面図のうち1つの概略図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を受け取る注入口と媒体を排出する排出口を備えるとともに、殺菌される流動媒体を運ぶ導管と、
注入口において、注入口から排出口までの複数の所望の流路に沿って流れる媒体に懸濁された対象物の流速の所望の空間分布に基づいて媒体の流れを調節するように構成されているフロー・アダプタと、
少なくとも部分的に、所望の流速分布に基づいて、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光で導管を照射する少なくとも1つの照明源を備える機器。
【請求項2】
前記カスタマイズされた光フラックス分布と所望の流速の空間分布により、複数の流路に対応するように、それぞれ、複数の累積照射量の所望の分布が得られ、
累積照射量の平均値と累積照射量の最小値の差と、該平均値との比率が0.7未満であることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記各累積照射量は、複数の経路のうち1つの経路に関連する比率の合計を含み、
前記比率の合計は、経路に沿った複数の場所におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる所望の光強度と、該複数の場所における所望の流速の比率の合計であることを特徴とする請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記導管が細長チャンバを備えることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記チャンバがチューブ状チャンバであり、
該チャンバの回転軸からの第1の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度は、第2の所望の光強度より小さく、
該第2の所望の光強度は、前記回転軸から第2の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる光強度であり、
該第2の距離は、前記第1の距離より小さいことを特徴とする請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記チャンバの内表面からの第1の距離における前記カスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度が、第2の所望の光強度よりも小さく、
該第2の所望の光強度は、前記内表面からの第2の距離における前記カスタマイズされた光フラックスから得られる光強度であって、
該第2の距離は、第1の距離より大きいことを特徴とする請求項4に記載の機器。
【請求項7】
前記照明源は、前記導管の外側に配されることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項8】
前記導管は照射窓部を備え、該照射窓部により照明源からの光を導管内に導くことを特徴とする請求項7に記載の機器。
【請求項9】
前記窓部の1以上の光学特性が、少なくとも部分的に、前記カスタマイズされた光フラックス分布に基づくことを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記1以上の光学特性が、前記光のスペクトルの前記窓部の屈折率であることを特徴とする請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記少なくとも1つの照明源が2以上の照明源であることを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項12】
前記2以上の照明源が、1以上のランプの第1のセットを含み、該第1のセットは、1以上のランプの第2のセットと略対向して位置することを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項13】
前記2以上の照明源が、注入口と近接した1以上のランプの第1セットと、排出口と近接した1以上のランプの第2セットを含むことを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項14】
前記照明源は、所定の分布の光を発生するように構成されている少なくとも1のランプと、前記少なくとも1のランプにより発生した光の少なくとも1部を反射する少なくとも1つの反射機を備え、
前記カスタマイズされた光フラックス分布をもつ光は、前記ランプにより発生した光と、前記反射機により反射した光の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項15】
前記反射機の1以上の部分は、前記カスタマイズされた光フラックス分布の1以上の局部的な光フラックス分布に基づき構成されていることを特徴とする請求項14に記載の機器。
【請求項16】
前記反射機が楕円状反射機であることを特徴とする請求項14に記載の機器。
【請求項17】
前記反射機が球状反射機であることを特徴とする請求項14に記載の機器。
【請求項18】
前記ランプの形状が、少なくとも部分的に、前記カスタマイズされたフラックス分布に基づくことを特徴とする請求項14に記載の機器。
【請求項19】
前記ランプは、ドーナツ形状ランプを含むことを特徴とする請求項18に記載の機器。
【請求項20】
前記ランプは、十字形状ランプを含むことを特徴とする請求項18に記載の機器。
【請求項21】
前記反射機の1以上の特性が、少なくとも部分的に、前記導管の1以上の寸法に基づくことを特徴とする請求項14に記載の機器。
【請求項22】
前記導管の1以上の寸法が、導管の内径であることを特徴とする請求項21に記載の機器。
【請求項23】
前記導管の構成が、少なくとも部分的に、流速の所望の分布に基づくことを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項24】
注入口と排出口の少なくとも1つの構成が、少なくとも部分的に、所望の流速の分布に基づくことを特徴とする請求項23に記載の機器。
【請求項25】
前記導管は石英の導管を含むことを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項26】
前記光が紫外線であることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項27】
前記媒体が液体であることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項28】
前記液体が水であることを特徴とする請求項27に記載の機器。
【請求項29】
前記対象物が微生物であることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項30】
前記導管の注入口と排出口の間を流れる媒体に光照射することにより殺菌する方法であって、該方法は、
注入口において、媒体の流れを、注入口から排出口までの複数の所望の流路に沿って、媒体に懸濁された対象物が流れる速度の所望の空間分布に基づいて調節する段階と、
少なくとも部分的に、所望の流速分布に基づいて、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光で導管に照射する段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
前記カスタマイズされた光フラックス分布により、前記複数の流路に対応する、それぞれの所望の複数の累積照射量の分布が得られ、前記複数の累積照射量の平均値と前記複数の累積照射量の最小値の差と、前記複数の累積照射量の最小値との比率が0.7未満であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記各累積照射量は、複数の経路のうち1つの経路に関連する比率の合計を含み、
前記比率の合計は、経路に沿った複数の場所におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる所望の光強度と、該複数の場所における所望の流速の比率の合計であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記導管に照射する段階が、チューブ状チャンバに照射する段階であって、
該チャンバの回転軸からの第1の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度は、第2の所望の光強度より小さく、
該第2の所望の光強度は、前記回転軸から第2の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる光強度であり、
該第2の距離は、前記第1の距離より小さいことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記導管を照射する段階が、該導管において、
前記チャンバの内表面からの第1の距離における前記カスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度が、第2の所望の光強度よりも小さく、
該第2の所望の光強度は、前記内表面からの第2の距離における前記カスタマイズされた光フラックスから得られる光強度であって、
該第2の距離は、第1の距離より大きいことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記導管に照射する段階が、外側から該導管に照射する段階であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記導管に照射する段階が、前記導管の照射窓部を通して光が通過することを含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記導管の照射の段階が、
所定の分布の光を発生することと、発生した光の少なくとも一部を反射することを含み、
前記カスタマイズされた光フラックス分布を有する光が、前記発生した光と反射した光の組み合わせであることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記光が紫外線を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記媒体が液体であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記液体が水であることを特徴とする請求項40に記載の機器。
【請求項1】
媒体を受け取る注入口と媒体を排出する排出口を備えるとともに、殺菌される流動媒体を運ぶ導管と、
注入口において、注入口から排出口までの複数の所望の流路に沿って流れる媒体に懸濁された対象物の流速の所望の空間分布に基づいて媒体の流れを調節するように構成されているフロー・アダプタと、
少なくとも部分的に、所望の流速分布に基づいて、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光で導管を照射する少なくとも1つの照明源を備える機器。
【請求項2】
前記カスタマイズされた光フラックス分布と所望の流速の空間分布により、複数の流路に対応するように、それぞれ、複数の累積照射量の所望の分布が得られ、
累積照射量の平均値と累積照射量の最小値の差と、該平均値との比率が0.7未満であることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記各累積照射量は、複数の経路のうち1つの経路に関連する比率の合計を含み、
前記比率の合計は、経路に沿った複数の場所におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる所望の光強度と、該複数の場所における所望の流速の比率の合計であることを特徴とする請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記導管が細長チャンバを備えることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記チャンバがチューブ状チャンバであり、
該チャンバの回転軸からの第1の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度は、第2の所望の光強度より小さく、
該第2の所望の光強度は、前記回転軸から第2の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる光強度であり、
該第2の距離は、前記第1の距離より小さいことを特徴とする請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記チャンバの内表面からの第1の距離における前記カスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度が、第2の所望の光強度よりも小さく、
該第2の所望の光強度は、前記内表面からの第2の距離における前記カスタマイズされた光フラックスから得られる光強度であって、
該第2の距離は、第1の距離より大きいことを特徴とする請求項4に記載の機器。
【請求項7】
前記照明源は、前記導管の外側に配されることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項8】
前記導管は照射窓部を備え、該照射窓部により照明源からの光を導管内に導くことを特徴とする請求項7に記載の機器。
【請求項9】
前記窓部の1以上の光学特性が、少なくとも部分的に、前記カスタマイズされた光フラックス分布に基づくことを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記1以上の光学特性が、前記光のスペクトルの前記窓部の屈折率であることを特徴とする請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記少なくとも1つの照明源が2以上の照明源であることを特徴とする請求項8に記載の機器。
【請求項12】
前記2以上の照明源が、1以上のランプの第1のセットを含み、該第1のセットは、1以上のランプの第2のセットと略対向して位置することを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項13】
前記2以上の照明源が、注入口と近接した1以上のランプの第1セットと、排出口と近接した1以上のランプの第2セットを含むことを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項14】
前記照明源は、所定の分布の光を発生するように構成されている少なくとも1のランプと、前記少なくとも1のランプにより発生した光の少なくとも1部を反射する少なくとも1つの反射機を備え、
前記カスタマイズされた光フラックス分布をもつ光は、前記ランプにより発生した光と、前記反射機により反射した光の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項15】
前記反射機の1以上の部分は、前記カスタマイズされた光フラックス分布の1以上の局部的な光フラックス分布に基づき構成されていることを特徴とする請求項14に記載の機器。
【請求項16】
前記反射機が楕円状反射機であることを特徴とする請求項14に記載の機器。
【請求項17】
前記反射機が球状反射機であることを特徴とする請求項14に記載の機器。
【請求項18】
前記ランプの形状が、少なくとも部分的に、前記カスタマイズされたフラックス分布に基づくことを特徴とする請求項14に記載の機器。
【請求項19】
前記ランプは、ドーナツ形状ランプを含むことを特徴とする請求項18に記載の機器。
【請求項20】
前記ランプは、十字形状ランプを含むことを特徴とする請求項18に記載の機器。
【請求項21】
前記反射機の1以上の特性が、少なくとも部分的に、前記導管の1以上の寸法に基づくことを特徴とする請求項14に記載の機器。
【請求項22】
前記導管の1以上の寸法が、導管の内径であることを特徴とする請求項21に記載の機器。
【請求項23】
前記導管の構成が、少なくとも部分的に、流速の所望の分布に基づくことを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項24】
注入口と排出口の少なくとも1つの構成が、少なくとも部分的に、所望の流速の分布に基づくことを特徴とする請求項23に記載の機器。
【請求項25】
前記導管は石英の導管を含むことを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項26】
前記光が紫外線であることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項27】
前記媒体が液体であることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項28】
前記液体が水であることを特徴とする請求項27に記載の機器。
【請求項29】
前記対象物が微生物であることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項30】
前記導管の注入口と排出口の間を流れる媒体に光照射することにより殺菌する方法であって、該方法は、
注入口において、媒体の流れを、注入口から排出口までの複数の所望の流路に沿って、媒体に懸濁された対象物が流れる速度の所望の空間分布に基づいて調節する段階と、
少なくとも部分的に、所望の流速分布に基づいて、カスタマイズされた空間光フラックス分布を有する光で導管に照射する段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
前記カスタマイズされた光フラックス分布により、前記複数の流路に対応する、それぞれの所望の複数の累積照射量の分布が得られ、前記複数の累積照射量の平均値と前記複数の累積照射量の最小値の差と、前記複数の累積照射量の最小値との比率が0.7未満であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記各累積照射量は、複数の経路のうち1つの経路に関連する比率の合計を含み、
前記比率の合計は、経路に沿った複数の場所におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる所望の光強度と、該複数の場所における所望の流速の比率の合計であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記導管に照射する段階が、チューブ状チャンバに照射する段階であって、
該チャンバの回転軸からの第1の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度は、第2の所望の光強度より小さく、
該第2の所望の光強度は、前記回転軸から第2の距離におけるカスタマイズされた光フラックスから得られる光強度であり、
該第2の距離は、前記第1の距離より小さいことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記導管を照射する段階が、該導管において、
前記チャンバの内表面からの第1の距離における前記カスタマイズされた光フラックスから得られる第1の所望の光強度が、第2の所望の光強度よりも小さく、
該第2の所望の光強度は、前記内表面からの第2の距離における前記カスタマイズされた光フラックスから得られる光強度であって、
該第2の距離は、第1の距離より大きいことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記導管に照射する段階が、外側から該導管に照射する段階であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記導管に照射する段階が、前記導管の照射窓部を通して光が通過することを含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記導管の照射の段階が、
所定の分布の光を発生することと、発生した光の少なくとも一部を反射することを含み、
前記カスタマイズされた光フラックス分布を有する光が、前記発生した光と反射した光の組み合わせであることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記光が紫外線を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記媒体が液体であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記液体が水であることを特徴とする請求項40に記載の機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23A】
【図23B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図23A】
【図23B】
【公表番号】特表2009−506860(P2009−506860A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529780(P2008−529780)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【国際出願番号】PCT/IL2006/001031
【国際公開番号】WO2007/029244
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(508068940)アトランティウム テクノロジーズ エルティディ. (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【国際出願番号】PCT/IL2006/001031
【国際公開番号】WO2007/029244
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(508068940)アトランティウム テクノロジーズ エルティディ. (3)
【Fターム(参考)】
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