説明

光硬化型インク組成物の保存容器、及び保存方法

【課題】インク組成物の保存時においてはラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制し、粘度の増加を抑制するとともに、該インク組成物の使用時においては硬化反応を阻害しない、優れた保存容器を提供する。
【解決手段】遊離の熱重合禁止剤を含まない光硬化型インク組成物を収容する保存容器であって、内部に、ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体が配置されてなる、光硬化型インク組成物の保存容器を提供する。ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体は、例えば、活性炭からなることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な光硬化型インク組成物の保存容器、及び保存方法に関する。特に、インク組成物の保存時においてはラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制し、粘度の増加を抑制するとともに、該インク組成物の使用時においては硬化反応を阻害しない、優れた保存容器、及び保存方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カチオン重合性化合物及び光重合開始剤を含む紫外線硬化性のインクジェットインクが提案されており、不純物を分離精製手段(例えば、活性炭処理)による処理によって除去してカチオン重合性を向上させる旨が開示されている(特許文献1)。しかしながら、この場合、重合性は向上するものの、暗反応も進行しやすくなる為、保存安定性が低下する。
【0003】
また、保存時の安定性向上のため、光硬化型インク組成物に重合禁止剤を添加する旨が提案されている(特許文献2、3)。
しかしながら、光硬化型インク組成物に重合禁止剤を添加した場合には、重合禁止剤の添加により、硬化性が低下するという問題がある。また、重合禁止剤の添加量を少なくすると、硬化性は低下しないものの、保存時の重合反応を十分抑制できず、十分な保存安定性が得られないという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−200560号公報
【特許文献2】特開2003−127518号公報
【特許文献3】特開2003−306622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、インク組成物の保存時においてはラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制し、粘度の増加を抑制するとともに、該インク組成物の使用時においては硬化反応を阻害しない、優れた保存容器、及び保存方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、遊離の熱重合禁止剤を含まない光硬化型インク組成物を収容する保存容器であって、内部に、ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体が配置されてなる、光硬化型インク組成物の保存容器が、インク組成物の保存時においてはラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制し、粘度の増加を抑制するとともに、該インク組成物の使用時においては硬化反応を阻害せず、優れた保存容器であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(1)遊離の熱重合禁止剤を含まない光硬化型インク組成物を収容する保存容器であって、内部に、ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体が配置されてなる、光硬化型インク組成物の保存容器;(2)前記光硬化型インク組成物は、可視光及び/又は紫外線の照射により硬化するラジカル重合性化合物を含む、前記(1)記載の光硬化型インク組成物の保存容器;(3)前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体は、炭素からなる、前記(1)又は(2)記載の光硬化型インク組成物の保存容器;(4)前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体は、活性炭からなる、前記(3)記載の光硬化型インク組成物の保存容器;(5)前記活性炭は、粒状及び/又は多孔質状である、前記(4)記載の光硬化型インク組成物の保存容器;(6)前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体は、表面にラジカル重合を抑制するラジカル重合禁止剤を固定した固体からなる、前記(1)又は(2)記載の光硬化型インク組成物の保存容器;(7)前記保存容器は、外部と連通可能な開口部を備え、該開口部は、前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体が該開口部を通じて前記保存容器外部へ流出するのを防止する流出防止手段が設けられた、前記(1)〜(6)の何れかに記載の光硬化型インク組成物の保存容器;(8)前記保存容器は、プラスチックケース、又は袋状アルミ蒸着多層構造フィルムから構成される、前記(1)〜(7)の何れかに記載の光硬化型インク組成物の保存容器;(9)前記(1)〜(8)の何れかに記載の保存容器を用いた、光硬化型インク組成物の保存方法;を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インク組成物の保存時においてはラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制し、粘度の増加を抑制するとともに、該インク組成物の使用時においては、インク組成物中にラジカル重合禁止剤が混入しないので、硬化反応を阻害しない、優れた保存容器、及び保存方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0010】
本発明の光硬化型インク組成物の保存容器は、光硬化型インク組成物を収容する保存容器であって、内部に、ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体が配置されてなり、収容される前記光硬化型インク組成物は遊離の熱重合性禁止剤を含まないものである。
このような構成とすることにより、インク組成物の保存時においてはラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制し、粘度の増加を抑制するとともに、該インク組成物の使用時においては、インク組成物中にラジカル重合禁止剤が混入しないので、硬化反応を阻害しない、優れた保存容器が提供される。
すなわち、「ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体」によって、インク組成物の保存時において、ラジカル重合性化合物のラジカルを不活性化させ、ラジカル重合を禁止することにより、インク組成物の保存安定性を確保することができるとともに、該インク組成物の使用時においてはラジカル重合を禁止しない、優れた保存容器が得られる。
【0011】
「光硬化型インク組成物」とは、光照射によりラジカル重合によって硬化するインク組成物との意味である。「ラジカル重合性化合物」としては、分子内に二重結合を含有する化合物、例えば、オレフィン、ジエン等の不飽和炭化水素化合物、ビニル化合物、アリル基を含有する化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0012】
本発明の光硬化型インク組成物の保存容器においては、前記光硬化型インク組成物は、可視光及び/又は紫外線の照射により硬化するラジカル重合性化合物を含む、ことが好ましい。
【0013】
「遊離の熱重合禁止剤を含まない光硬化型インク組成物」とは、光硬化型インク組成物が化学的・物理的に他のものから遊離した熱重合禁止剤を含んでいない、との意味である。
【0014】
本発明の光硬化型インク組成物の保存容器においては、前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体は、炭素からなることが好ましい。
「炭素」としては、カーボンブラック、グラファイト、活性炭等の、表面に縮合芳香族環を有し、ラジカルを補足してラジカル重合を抑制する機能を有するものが好ましい。
このような好適な構成とすることにより、固体である炭素自体が、インク組成物の保存時においてラジカル重合禁止剤として機能する。
また、「炭素」の形態としては、多孔質の炭素、粉末状の炭素、ペレット状の炭素、粒状の炭素等が好適に挙げられる。
【0015】
特に、前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体は、活性炭からなることが好ましい。
さらに、前記活性炭は、発塵を抑えるという点から、粒状であることが一層好ましい。この場合、活性炭の粒子径は1.0mm以上10.0mm以下であることが好ましい。1.0mmより大きくすることにより、フィルタでの目詰まりを防止することができ、10.0mm以下とすることにより、活性炭重量と表面積の関係から、インクとの接触表面積を大きくすることができ、活性炭の添加効果を十分に得ることができる。
このような好適な構成とすることにより、インク組成物の保存時においてラジカル重合性化合物の硬化反応を一層有効に抑制することができる。
【0016】
粒状の活性炭を保存容器の内部に配置する場合、インク組成物全体中の活性炭濃度が5重量%以上となるようにインク組成物中に添加してもよい。
【0017】
本発明の光硬化型インク組成物の保存容器においては、前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体は、表面にラジカル重合を抑制するラジカル重合禁止剤を固定した固体からなるものであってもよい。
「重合禁止剤を固定する固体」としては、インク組成物に溶解しない固体状物質であることが好ましい。「重合禁止剤を固定する固体」の好適な例としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、炭素、ゼオライト、炭酸カルシウム等の無機粉体やインク組成物に溶解しないように架橋したポリマー等からなる不溶性有機物粒子が挙げられる。
【0018】
該固体の表面に固定する「ラジカル重合禁止剤」は、ラジカル重合の禁止効果を有する化合物であり、好適な例としては、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、キノン、ハイドロキノン、アントラキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)等のキノン類が挙げられる。
「固定」の形態としては、固体の表面に化学反応や吸着処理によるラジカル重合禁止剤の固体表面への導入が好適に挙げられる。
【0019】
本発明においては、前記保存容器は、外部と連通可能な開口部を備え、該開口部は、前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体が該開口部を通じて前記保存容器外部へ流出するのを防止する流出防止手段が設けられたものであることが好ましい。
このような好適な構成とすることにより、前記「ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体」が保存容器の開口部において係止されるため、該固体が開口部を通じて保存容器の外部へ流出するのを防止することができる。したがって、インク組成物の使用時においては硬化反応を阻害することがない。
【0020】
「流出防止手段」としては、保存容器の開口部に設けられるセパレータやフィルタが好適に挙げられる。これらはメッシュ状や多孔質状であってもよい。メッシュ状又は多孔質状のセパレータ又はフィルムにおいて、孔のサイズを前記「ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体」のサイズより小さくすることによって、該固体の流出を防止することができる。
また、本発明の「流出防止手段」としては、保存容器の開口部に設けられ該固体の流出が防止できれば特に限定されず、開口部のいずれの箇所に設けられていてもよい。例えば、開口部における容器内側に設けられても容器外側に設けられてもよい。開口部がインク案内部材等の他の部材を備えている場合、該インク案内部材等が流出防止手段を備えていてもよい。
さらに、本発明の「流出防止手段」としては、保存容器の開口部のサイズを前記「ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体」のサイズより小さくしたものであってもよい。この場合、特にセパレータやフィルタなどの部材は不要である。
【0021】
本発明の光硬化型インク組成物の保存容器は、プラスチックケース、又は袋状アルミ蒸着多層構造フィルム(いわゆるインクパック)から構成されることが好ましい。
【0022】
本発明の一実施形態であるインクパックを図1に示す。図1において、インクパック1は、矩形状に形成された2枚のポリエチレンフィルムと、該表面にラミネートされたアルミ蒸着層との多層構造からなり、これらが側端部10において熱溶着によって接合され、袋状に形成されている。インクパック1は、インク取出口2を備える。袋状のインクパックの内部には、光硬化型インク組成物と粒状の活性炭7とが配置される。
図2に、図1における断面図の一部を示す。図2に示すように、インク取出口2は、インクパック1の内部と外部とを連通させる開口部を形成するインク案内部材4と、該インク案内部材4に着脱可能なキャップ3とからなる。インク案内部材4のインクパック内側の端部には、多孔質状のフィルタ5が設けられており、開口部を通じて前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体が流出するのを防止することができる。
【0023】
なお、袋状のアルミ蒸着多層構造フィルムから構成される保存容器であって多孔質状のフィルタ5を備えるものについて上記したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、プラスチックケースから構成される保存容器であって多孔質状のセパレータやフィルタを備えるもの等であってもよい。
【0024】
本発明の光硬化型インク組成物の保存方法は、上記の保存容器を用いたものである。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。当業者は、以下に示す実施例のみならず様々な変更を加えて実施することが可能であり、かかる変更も本特許請求の範囲に包含される。
【0026】
〔インク組成物の調製〕
下記組成に示す顔料15部、分散剤17.5部、及びN−ビニルフォルムアミド(NVF)67.5部を混合攪拌して混合物とし、サンドミル(安川製作所製)を用いて、ジルコニアビーズ(直径1.5mm)とともに6時間分散させた。その後、ジルコニアビーズをセパレータで分離し、顔料分散液Aを得た。
次いで、下記組成における顔料及び分散剤以外のモノマー類、及び添加剤を混合して完全に溶解させ、インク溶媒Bを得た。そして、上記の顔料分散液Aを攪拌しながらインク溶媒B中に徐々に滴下してゆき、滴下終了後常温で1時間混合攪拌した。その後、5μmのメンブランフィルターでろ過し、インク組成物1〜8を得た。
【0027】
(インク組成物1の組成)
C.I.ピグメントイエロー155(顔料) :3.0重量%
ポリオキシアルキレン付加ポリアルキレンアミン(分散剤、第一工業製薬社製 ディスコール N−509) :3.5重量%
NVF(荒川化学工業社製) :24.0重量%
アリルグリコール(日本乳化剤社製) :48.0重量%
ビスコート#360(大阪有機化学工業社製) :15.0重量%
Irgacure 819(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):4.0重量%
Irgacure 369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):1.0重量%
Darocur EDB(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) :1.0重量%
BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエステル変性シリコン系界面活性剤) :0.5重量%
初期粘度:7.1(mPa・s)
【0028】
(インク組成物2の組成)
C.I.ピグメントバイオレット19(顔料) :3.0重量%
ポリオキシアルキレン付加ポリアルキレンアミン(分散剤、第一工業製薬社製 ディスコール N−509) :3.5重量%
NVF(荒川化学工業社製) :24.0重量%
アリルグリコール(日本乳化剤社製) :48.0重量%
ビスコート#360(大阪有機化学工業社製) :15.0重量%
Irgacure 819(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):4.0重量%
Irgacure 369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):1.0重量%
Darocur EDB(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) :1.0重量%
BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエステル変性シリコン系界面活性剤) :0.5重量%
初期粘度:6.9(mPa・s)
【0029】
(インク組成物3の組成)
C.I.ピグメントブルー15:3(顔料) :3.0重量%
ポリオキシアルキレン付加ポリアルキレンアミン(分散剤、第一工業製薬社製 ディスコール N−509) :3.5重量%
NVF(荒川化学工業社製) :24.0重量%
アリルグリコール(日本乳化剤社製) :48.0重量%
ビスコート#360(大阪有機化学工業社製) :15.0重量%
Irgacure 819(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):4.0重量%
Irgacure 369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):1.0重量%
Darocur EDB(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) :1.0重量%
BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエステル変性シリコン系界面活性剤) :0.5重量%
初期粘度:7.0(mPa・s)
【0030】
(インク組成物4の組成)
C.I.ピグメントブラック7(顔料) :3.0重量%
ポリオキシアルキレン付加ポリアルキレンアミン(分散剤、第一工業製薬社製 ディスコール N−509) :3.5重量%
NVF(荒川化学工業社製) :24.0重量%
アリルグリコール(日本乳化剤社製) :48.0重量%
ビスコート#360(大阪有機化学工業社製) :15.0重量%
Irgacure 819(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):4.0重量%
Irgacure 369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):1.0重量%
Darocur EDB(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) :1.0重量%
BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエステル変性シリコン系界面活性剤) :0.5重量%
初期粘度:7.0(mPa・s)
【0031】
(インク組成物5の組成)
C.I.ピグメントイエロー155(顔料) :3.0重量%
ポリオキシアルキレン付加ポリアルキレンアミン(分散剤、第一工業製薬社製 ディスコール N−509) :3.5重量%
NVF(荒川化学工業社製) :24.0重量%
アリルグリコール(日本乳化剤社製) :47.8重量%
ビスコート#360(大阪有機化学工業社製) :15.0重量%
Irgacure 819(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):4.0重量%
Irgacure 369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):1.0重量%
Darocur EDB(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) :1.0重量%
BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエステル変性シリコン系界面活性剤) :0.5重量%
Irgastab UV−10(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):0.2重量%
初期粘度:7.1(mPa・s)
【0032】
(インク組成物6の組成)
C.I.ピグメントバイオレット19(顔料) :3.0重量%
ポリオキシアルキレン付加ポリアルキレンアミン(分散剤、第一工業製薬社製 ディスコール N−509) :3.5重量%
NVF(荒川化学工業社製) :24.0重量%
アリルグリコール(日本乳化剤社製) :47.8重量%
ビスコート#360(大阪有機化学工業社製) :15.0重量%
Irgacure 819(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):4.0重量%
Irgacure 369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):1.0重量%
Darocur EDB(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) :1.0重量%
BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエステル変性シリコン系界面活性剤) :0.5重量%
Irgastab UV−10(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):0.2重量%
初期粘度:7.0(mPa・s)
【0033】
(インク組成物7の組成)
C.I.ピグメントブルー15:3(顔料) :3.0重量%
ポリオキシアルキレン付加ポリアルキレンアミン(分散剤、第一工業製薬社製 ディスコール N−509) :3.5重量%
NVF(荒川化学工業社製) :24.0重量%
アリルグリコール(日本乳化剤社製) :47.8重量%
ビスコート#360(大阪有機化学工業社製) :15.0重量%
Irgacure 819(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):4.0重量%
Irgacure 369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):1.0重量%
Darocur EDB(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) :1.0重量%
BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエステル変性シリコン系界面活性剤) :0.5重量%
Irgastab UV−10(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):0.2重量%
初期粘度:7.1(mPa・s)
【0034】
(インク組成物8の組成)
C.I.ピグメントブラック7(顔料) :3.0重量%
ポリオキシアルキレン付加ポリアルキレンアミン(分散剤、第一工業製薬社製 ディスコール N−509) :3.5重量%
NVF(荒川化学工業社製) :24.0重量%
アリルグリコール(日本乳化剤社製) :47.8重量%
ビスコート#360(大阪有機化学工業社製) :15.0重量%
Irgacure 819(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):4.0重量%
Irgacure 369(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):1.0重量%
Darocur EDB(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) :1.0重量%
BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエステル変性シリコン系界面活性剤) :0.5重量%
Irgastab UV−10(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製):0.2重量%
初期粘度:7.1(mPa・s)
【0035】
〔粘度変化の測定〕
次に、5重量%の粒状の活性炭(味の素ファインテクノ社製 ホクエツY−10S)を内部に含むプラスチック製の遮光性密閉容器中にインク組成物1〜4を注入した。そして、60℃、5日間の加熱試験を行い、その粘度変化を測定した。
粘度の測定は、Physica社製のMCR−300を用いて行った。
比較例として、熱重合禁止剤を含むインク組成物5〜8についても同様にして粘度変化を測定した。
また、比較例として、粒状の活性炭を含まないプラスチック製の遮光性密閉容器中に各インク組成物1〜8を注入して、上記同様にして粘度変化を測定した。
【0036】
〔硬化試験〕
各インク組成物をガラス基板上に滴下し、ピーク波長365nmの紫外線発光ダイオードNICHIA i-LED「NCCU033」,ピーク波長380nmの紫外線発光ダイオードNICHIA 「NCCU001」(共に日亜化学工業社製)を用いて作製した照射装置を使用し、照射面における、365nm、380nmの波長においての照射強度が、それぞれ20mW/cm2、即ち合計で40mW/cm2になるようにし、5秒間照射する場合、15秒間照射する場合で、それぞれ200mJ/cm2、600mJ/cm2の積算光量として、インク組成物の硬化性を評価した。
評価に当たっては、以下の指標に基いた。
A:問題なく硬化する。
B:硬化不良が発生する。
その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
表1に示すように、活性炭を含む保存容器を用い、かつ熱重合禁止剤を含まないインク組成物1〜4を保存した場合には、粘度上昇がなく保存安定性に優れており、かつ硬化性が良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の保存容器の一実施態様である。
【図2】図1における、断面図の一部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離の熱重合禁止剤を含まない光硬化型インク組成物を収容する保存容器であって、
内部に、ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体が配置されてなる、光硬化型インク組成物の保存容器。
【請求項2】
前記光硬化型インク組成物は、可視光及び/又は紫外線の照射により硬化するラジカル重合性化合物を含む、請求項1記載の光硬化型インク組成物の保存容器。
【請求項3】
前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体は、炭素からなる、請求項1又は2記載の光硬化型インク組成物の保存容器。
【請求項4】
前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体は、活性炭からなる、請求項3記載の光硬化型インク組成物の保存容器。
【請求項5】
前記活性炭は、粒状である、請求項4記載の光硬化型インク組成物の保存容器。
【請求項6】
前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体は、表面にラジカル重合を抑制するラジカル重合禁止剤を固定した固体からなる、請求項1又は2記載の光硬化型インク組成物の保存容器。
【請求項7】
前記保存容器は、外部と連通可能な開口部を備え、
該開口部は、前記ラジカル重合性化合物の硬化反応を抑制する物質を含む固体が該開口部を通じて前記保存容器外部へ流出するのを防止する流出防止手段が設けられた、請求項1〜6の何れかに記載の光硬化型インク組成物の保存容器。
【請求項8】
前記保存容器は、プラスチックケース、又は袋状アルミ蒸着多層構造フィルムから構成される、請求項1〜7の何れかに記載の光硬化型インク組成物の保存容器。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の保存容器を用いた、光硬化型インク組成物の保存方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−131330(P2007−131330A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326384(P2005−326384)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】