説明

光硬化性樹脂組成物

【課題】ハレーションやアンダーカットが発生せず、安定した高い解像性が得られ、また冷熱サイクル時のクラック発生を抑制することが可能な光硬化性樹脂組成物、それから得られるドライフィルム及び硬化物、並びに該ドライフィルムや硬化物によりTCT耐性、PCT耐性等の諸特性に優れたソルダーレジスト等の硬化皮膜が形成されてなる信頼性の高いプリント配線板を提供する。
【解決手段】光硬化性樹脂組成物は、カルボキシル基含有樹脂と、光重合開始剤と、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を含有する。好適には、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体は、水酸基を有する化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント配線基板のソルダーレジスト等として用いられる光硬化性樹脂組成物、それから得られるドライフィルム及び硬化物、並びに該ドライフィルムや硬化物によりソルダーレジスト等の硬化皮膜が形成されてなるプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
光硬化性樹脂組成物は、写真法(フォトリソグラフィー)の原理を応用することによって、微細加工が可能である。さらに、物性に優れた硬化物を得ることができることから、電子機器や印刷版等に用いられている。
この光硬化性樹脂組成物には溶剤現像型とアルカリ現像型があるが、近年では、環境対策の点から希薄な弱アルカリ水溶液で現像できるアルカリ現像型が主流になっている。例えば、プリント配線基板製造、液晶表示板製造、あるいは印刷製版等においては、アルカリ現像型の光硬化性樹脂組成物が広く用いられている。これに要求される特性としては、例えば、プリント配線板製造においてソルダーレジストとして使用される際には、その硬化物においてはんだ付け等、高温条件での処理に耐え得る耐熱性が求められる。
【0003】
また、近年、電子機器の小型軽量化、多機能化、環境対応に伴い、プリント配線板等における高密度実装化、薄肉化等が進められていることから、ソルダーレジストには、耐熱性だけでなく冷熱サイクル時のクラック発生の抑制が必要とされている。さらに、高密度実装のためにファインピッチのパターンを有する高密度実装基板に用いられるソルダーレジストには、高い解像度が要求される。高い解像度を得るためには、露光部と未露光部のコントラストを上げることが必要である。冷熱サイクル時のクラック耐性の向上として期待される硬化物の脆さの軽減については、ビスフェノール型のカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレートとノボラック型のカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレートとの混合物を用いる手法が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。しかしながら、このような手法では、高い解像性とクラック耐性を両立させるまでには至っていない。
【0004】
従来の光硬化性樹脂組成物の代表的な例としては、光重合開始剤と共にカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と(メタ)アクリレートモノマーを用いた光硬化性樹脂組成物が挙げられる。このような構成の組成物を用いることにより、光照射後に現像工程を経て必要とされるパターン形成が行われる。しかしながら、高い解像性を得るためには、光重合開始剤と光反応性を有するカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂や(メタ)アクリレートモノマーとのバランスがとりにくいという問題がある。特に、液状タイプ及びドライフィルムタイプの乾燥塗膜にPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを貼付した状態で露光した場合、PETフィルムがレジスト表面に存在した状態で露光をすることから、酸素阻害を受けず、レジスト表面において暗反応が進行してハレーションが発生し易く、目的とする安定した解像性が得られない問題が生じている。そこで、重合禁止剤としてメトキノン、ハイドロキノン、フェノチアジンなどを併用して安定した解像性を得る検討が行われているが、十分な結果が得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−109541号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述したような従来技術の問題に鑑みなされたものであり、液状タイプ及びドライフィルムタイプの乾燥塗膜にフィルムを貼付した状態で露光した場合にも、ハレーションやアンダーカットが発生せず、高い解像性が得られ、また冷熱サイクル時のクラック発生を抑制することが可能な光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
さらに本発明の目的は、このような光硬化性樹脂組成物を用いることによって得られる上記のような諸特性に優れたドライフィルム及び硬化物、並びに該ドライフィルムや硬化物によりソルダーレジスト等の硬化皮膜が形成されてなるプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの側面によれば、カルボキシル基含有樹脂と、光重合開始剤と、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を含むことを特徴とする光硬化性樹脂組成物が提供される。好適な態様においては、上記ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体は、水酸基を有する化合物である。
このような構成により、高い解像性が得られ、その硬化物において、プリント配線板等に用いられる際に、冷熱サイクル耐性を向上させることが可能となる。ここで本発明の光硬化性樹脂組成物において、カルボキシル基含有樹脂は、感光性基を有することが好ましい。感光性基を有することにより、光硬化性樹脂組成物の光硬化性が増大し、感度を向上させることができる。
【0008】
また、本発明の光硬化性樹脂組成物の一態様においては、上記光重合開始剤は、下記一般式(I)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤、下記一般式(II)で表されるアミノアセトフェノン系光重合開始剤、及び下記一般式(III)で表されるアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選ばれた1種以上の光重合開始剤との混合物であることが好ましい。
【化1】

(式中、Rは、水素原子、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、Rは、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基又はアリールアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は2つが結合した環状アルキルエーテル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アリール基、又はハロゲン原子、アルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基を表し、但し、R及びRの一方は、R−C(=O)−基(ここでRは、炭素数1〜20の炭化水素基)を表してもよい。)
このような光重合開始剤を用いることにより、高濃度で顔料を有するレジストにおいても高解像性を得ることが可能となる。
【0009】
また、本発明の光硬化性樹脂組成物の一態様においては、さらに熱硬化成分を含有することが好ましい。熱硬化成分を含有することにより、耐熱性を付与すると共に、硬化皮膜の引張伸び率を増大させ、クラック耐性を向上させることができる。
さらに、本発明の光硬化性樹脂組成物の一態様においては、さらに着色剤を含有することができる。着色剤を含有することにより、ソルダーレジストとして好適に用いることができる。
【0010】
また、本発明の他の側面によれば、上述した光硬化性樹脂組成物を、フィルム上に塗布乾燥させて得られるドライフィルムが提供される。このようなドライフィルムを用いることにより、基材上に光硬化性樹脂組成物を塗布することなく、容易にレジスト層を形成することができる。
また、本発明の一態様においては、上述した光硬化性樹脂組成物又はドライフィルムを、活性エネルギー線照射により光硬化させて得られる硬化物として用いることができる。
このような硬化物は、プリント配線板等に用いられる際に、冷熱サイクル耐性を向上させることが可能となる。
【0011】
さらに、本発明の他の側面によれば、上述した光硬化性樹脂組成物又はそのドライフィルムを、活性エネルギー線照射により光硬化させて得られる硬化物のパターンを有するプリント配線板が提供される。
このようなプリント配線板において、冷熱サイクル耐性を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光硬化性樹脂組成物によれば、カルボキシル基含有樹脂及び光重合開始剤と共に、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を含むため、液状タイプ及びドライフィルムタイプの乾燥塗膜にフィルムを貼付した状態で露光した場合にも、ハレーションやアンダーカットが発生せず、高い解像性を得ることができ、その硬化物は、プリント配線板等に用いられる際に、冷熱サイクル耐性を向上させることが可能となる。
従って、本発明の光硬化性樹脂組成物は、プリント配線板やフレキシブルプリント配線板のソルダーレジスト等の硬化皮膜の形成に有利に適用でき、安定した解像性が得られ、冷熱サイクル耐性(TCT耐性)、PCT(プレッシャー・クッカー・テスト)耐性等の諸特性に優れたソルダーレジスト等の硬化皮膜を形成でき、信頼性の高いプリント配線板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、カルボキシル基含有樹脂と、光重合開始剤と、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を含有する光硬化性樹脂組成物によって、上述した目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
特に、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を用いることで、アンダーカットやハレーションが生じない安定した高い解像性を得ることができ、冷熱サイクル時のクラック発生の起点を発生せず、クラック耐性を向上させることが可能となる。
以下、本発明の光硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。
【0014】
先ず、本発明の光硬化性樹脂組成物を構成するカルボキシル基含有樹脂としては、アルカリ現像性を付与する目的で、分子中にカルボキシル基を有している公知の各種カルボキシル基含有樹脂を使用することができる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。また、その不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタアクリル酸又はそれらの誘導体由来のものが好ましい。
【0015】
カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)が好ましい。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0016】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0017】
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0018】
(4)上述した(2)又は(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0019】
(5)上述した(2)又は(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0020】
(6)後述するような2官能又はそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0021】
(7)後述するような2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0022】
(8)後述するような2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0023】
(9)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0024】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0025】
(11)上述した(1)〜(10)の樹脂にさらに1分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0026】
ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、以下他の類似の表現についても同様である。
これらカルボキシル基含有樹脂は、列挙したものに限らず使用することができ、1種類でも複数種混合しても使用することができる。
【0027】
このようなカルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数の遊離のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
【0028】
また、カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が好ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であると、アルカリ現像が困難となる。一方、200mgKOH/gを超えると、現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せ、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となる。より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。
【0029】
また、カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000が好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、塗膜のタックフリー性能が劣ることがあり、露光後の塗膜の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性が劣ることがある。より好ましくは5,000〜100,000の範囲である。
【0030】
このようなカルボキシル基含有樹脂の配合量は、全組成物の20〜60質量%の範囲が好ましい。配合量が20質量%より少ない場合、皮膜強度が低下したりする。一方、60質量%より多い場合、組成物の粘性が高くなり、塗布性等が低下する。より好ましくは30〜50質量%の範囲である。
【0031】
光重合開始剤としては、下記一般式(I)で表される基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、下記一般式(II)で表される基を有するα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、又は/及び下記式(III)で表される基を有するアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤よりなる群から選択される1種以上の光重合開始剤を使用することにより、高濃度で顔料を有するレジストにおいても高解像性を得ることが可能となる。
【化2】

(式中、Rは、水素原子、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、Rは、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基又はアリールアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は2つが結合した環状アルキルエーテル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アリール基、又はハロゲン原子、アルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基を表し、但し、R及びRの一方は、R−C(=O)−基(ここでRは、炭素数1〜20の炭化水素基)を表してもよい。)
【0032】
一般式(I)で表される基を有するオキシムエステル系光重合開始剤としては、好ましくは、下記式(IV)で表される2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン、下記一般式(V)で表される化合物、及び下記一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
【化3】

【0033】
【化4】

(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基(アルコキシル基を構成するアルキル基の炭素数が2以上の場合、アルキル基は1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、又はフェノキシカルボニル基を表し、R10、R12は、それぞれ独立に、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、R11は、水素原子、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表す。)
【0034】
【化5】

(式中、R13、R14及びR19は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基を表し、R15、R16、R17及びR18は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Mは、O、S又はNHを表し、x及びyは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
【0035】
オキシムエステル系光重合開始剤の中でも、上述した一般式(IV)で表される2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン、及び式(V)で表される化合物がより好ましい。市販品としては、BASFジャパン社製のCGI−325、イルガキュア(登録商標)OXE01、イルガキュアOXE02、ADEKA社製のN−1919等が挙げられる。これらのオキシムエステル系光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
一般式(II)で表される基を有するα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等が挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379等が挙げられる。
【0037】
一般式(III)で表される基を有するアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。市販品としては、BASF社製のルシリンTPO、BASFジャパン社製のイルガキュア819等が挙げられる。
【0038】
このような光重合開始剤の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲が好ましい。配合量が0.01質量部未満であると、銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離したり、耐薬品性等の塗膜特性が低下する。一方、30質量部を超えると、光重合開始剤の塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは0.5〜15質量部の範囲である。
【0039】
なお、一般式(I)で表される基を有するオキシムエステル系光重合開始剤の場合、その配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。
【0040】
本発明の光硬化性樹脂組成物に好適に用いることができる光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤としては、他にベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、キサントン化合物、及び3級アミン化合物等を挙げることができる。
【0041】
ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
【0042】
アセトフェノン化合物としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等である。
【0043】
アントラキノン化合物としては、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等が挙げられる。
【0044】
チオキサントン化合物としては、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
【0045】
ケタール化合物としては、例えば、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0046】
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィド等が挙げられる。
【0047】
3級アミン化合物としては、エタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達社製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)等のジアルキルアミノベンゾフェノン;7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)等のジアルキルアミノ基含有クマリン化合物;4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製カヤキュアー(登録商標)EPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬社製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol507)等のジアルキルアミノ安息香酸エステルが挙げられる。特に、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が好ましく、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、最大吸収波長が350〜410nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物が好ましい。ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物としては、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが、毒性も低く好ましい。最大吸収波長が350〜410nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物は、最大吸収波長が紫外線領域にあるため、着色が少なく、無色透明な感光性組成物はもとより、着色顔料を用い、着色顔料自体の色を反映した着色ソルダーレジスト膜を提供することが可能となる。特に、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オンが波長400〜410nmのレーザー光に対して優れた増感効果を示すことから好ましい。
【0048】
このような化合物の中でも、チオキサントン化合物及び3級アミン化合物が好ましい。本発明の組成物には、チオキサントン化合物が含まれることが深部硬化性の面から好ましく、中でも、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物が好ましい。
【0049】
チオキサントン化合物の配合量としては、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、20質量部以下が好ましい。チオキサントン化合物の配合量が20質量部を超えると、厚膜硬化性が低下して、製品のコストアップに繋がる。より好ましくは10質量部以下である。
【0050】
3級アミン化合物の配合量としては、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましい。3級アミン化合物の配合量が0.1質量部未満であると、十分な増感効果を得ることができない傾向にある。一方、20質量部を超えると、3級アミン化合物による乾燥塗膜の表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは0.1〜10質量部である。これらの光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
【0051】
このような光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤の総量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して35質量部以下であることが好ましい。35質量部を超えると、これらの光吸収により深部硬化性が低下する傾向にある。
【0052】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、感度を向上するために連鎖移動剤として公知のNフェニルグリシン類、フェノキシ酢酸類、チオフェノキシ酢酸類、メルカプトチアゾール等を用いることができる。連鎖移動剤の具体例を挙げると、例えば、メルカプト琥珀酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メチオニン、システイン、チオサリチル酸及びその誘導体等がある。これらの連鎖移動剤は、単独又は2種以上を併用することができる。
【0053】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を用いることで、液状タイプ及びドライフィルムタイプの乾燥塗膜にPETフィルムを貼付した状態で露光する際、いかなる露光装置を用いた場合においてもハレーションを発生せず、PETフィルムを剥離する時間に関わらず安定した解像性が得られた。これは、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体は、一般的な重合禁止剤であるフェノチアジンやハイドロキノンと異なり、酸素忌避下において光反応の速度を遅くする効果が発現し(即ち、酸素忌避下において重合禁止剤として作用し)、表面硬化の速度を抑えて厚さ方向に均一硬化するためであると考えられる。
【0054】
本発明に用いられるナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体のうち、ナフタレン誘導体としては、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸アンモニウム、4−メトキシ−1−ナフトール等を用いることができる。ナフトキノンとその誘導体としては、1,4−ナフトキノン、2-ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、アントロン等を用いることができる。
【0055】
ナフタレン誘導体の市販品としては、例えば、キノパワー(登録商標)WSI、キノパワーMNT(いずれも川崎化成工業社製)、4−メトキシ−1−ナフトール(東京化成工業社製)等が挙げられる。
【0056】
ナフトキノンとその誘導体の市販品としては、例えば、キノパワー(登録商標)NQI、キノパワーLSN、キノパワーATR(いずれも川崎化成社製)、1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、アントロン(いずれも東京化成工業社製)等が挙げられる。
【0057】
ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましい。ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体の配合量が0.01質量部未満であると、解像性が安定せず、ハレーションやアンダーカットが発生して高い解像性を得ることができない傾向にある。一方、20質量部を超えると、光硬化性の低下により無電解金めっき耐性等の塗膜特性が低下する。より好ましくは0.05〜10質量部の範囲である。
【0058】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、耐熱性を付与するために、熱硬化成分を加えることができる。本発明に用いられる熱硬化成分としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂が使用できる。特に好ましいのは、分子中に複数の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する熱硬化成分である。
【0059】
このような分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分は、分子中に3、4又は5員環の環状(チオ)エーテル基のいずれか一方又は2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、分子中に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子中に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子中に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
【0060】
多官能エポキシ化合物としては、例えば、jER(登録商標)828、jER834、jER1001、jER1004(いずれも三菱化学社製)、エピクロン(登録商標)840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055(いずれもDIC社製)、エポトート(登録商標)YD−011、YD−013、YD−127、YD−128(いずれも新日鐵化学社製)、D.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664(いずれもダウケミカル社製)、アラルダイト6071、アラルダイト6084、アラルダイトGY250、アラルダイトGY260(いずれもBASFジャパン社製)、スミエポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128(いずれも住友化学工業社製)、A.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(いずれも旭化成工業社製)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;jERYL903(三菱化学社製)、エピクロン152、エピクロン165(いずれもDIC社製)、エポトートYDB−400、YDB−500(いずれも新日鐵化学社製)、D.E.R.542(ダウケミカル社製)、アラルダイト8011(BASFジャパン社製)、スミエポキシESB−400、ESB−700(いずれも住友化学工業社製)、A.E.R.711、A.E.R.714(いずれも旭化成工業社製)等のブロム化エポキシ樹脂;jER152、jER154(いずれも三菱化学社製)、D.E.N.431、D.E.N.438(いずれもダウケミカル社製)、エピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865(いずれもDIC社製)、エポトートYDCN−701、YDCN−704(いずれも新日鐵化学社製)、アラルダイトECN1235、アラルダイトECN1273、アラルダイトECN1299、アラルダイトXPY307(いずれもBASFジャパン社製)、EPPN−201、EOCN(登録商標)−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306(いずれも日本化薬社製)、スミエポキシESCN−195X、ESCN−220(いずれも住友化学工業社製)、A.E.R.ECN−235、ECN−299(いずれも旭化成工業社製)等のノボラック型エポキシ樹脂;エピクロン830(DIC社製)、jER807(三菱化学社製)、エポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004(いずれも新日鐵化学社製)、アラルダイトXPY306(BASFジャパン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;エポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(いずれも新日鐵化学社製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;jER604(三菱化学社製)、エポトートYH−434(新日鐵化学社製)、アラルダイトMY720(BASFジャパン社製)、スミエポキシELM−120(住友化学工業社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;アラルダイトCY−350(BASFジャパン社製)等のヒダントイン型エポキシ樹脂;セロキサイド(登録商標)2021(ダイセル化学工業社製)、アラルダイトCY175、CY179(いずれもBASFジャパン社製)等の脂環式エポキシ樹脂;YL−933(三菱化学社製)、T.E.N.、EPPN(登録商標)−501、EPPN−502(いずれも日本化薬社製)等のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;YL−6056、YX−4000、YL−6121(いずれも三菱化学社製)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;EBPS−200(日本化薬社製)、EPX−30(ADEKA社製)、EXA−1514(DIC社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;jER157S(三菱化学社製)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;jERYL−931(三菱化学社製)、アラルダイト163(BASFジャパン社製)等のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;アラルダイトPT810(BASFジャパン社製)、TEPIC(日産化学工業社製)等の複素環式エポキシ樹脂;ブレンマー(登録商標)DGT(日油社製)等のジグリシジルフタレート樹脂;ZX−1063(新日鐵化学社製)等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;ESN−190、ESN−360(いずれも新日鉄化学社製)、HP−4032、EXA−4750、EXA−4700(DIC社製)等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;HP−7200、HP−7200H(DIC社製)等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;CP−50S、CP−50M(日油社製)等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えば、ダイセル化学工業社製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば、新日鐵化学社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はそれらの混合物が好ましい。
【0061】
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
【0062】
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、三菱化学社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂等も用いることができる。
【0063】
このような分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分の配合量は、カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基1当量に対して、0.6〜2.5当量が好ましい。配合量が0.6未満である場合、ソルダーレジスト膜にカルボキシル基が残り、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性等が低下する。一方、2.5当量を超える場合、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することにより、塗膜の強度等が低下する。より好ましくは、0.8〜2.0当量である。
【0064】
さらに、他の熱硬化成分としては、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂が挙げられる。例えばメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物及びメチロール尿素化合物等がある。さらに、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物及びアルコキシメチル化尿素化合物は、それぞれのメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物及びメチロール尿素化合物のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等とすることができる。特に人体や環境に優しいホルマリン濃度が0.2%以下のメラミン誘導体が好ましい。
【0065】
これらの市販品としては、例えば、サイメル(登録商標)300、同301、同303、同370、同325、同327、同701、同266、同267、同238、同1141、同272、同202、同1156、同1158、同1123、同1170、同1174、同UFR65、同300(いずれも三井サイアナミッド社製)、ニカラック(登録商標)Mx−750、同Mx−032、同Mx−270、同Mx−280、同Mx−290、同Mx−706、同Mx−708、同Mx−40、同Mx−31、同Ms−11、同Mw−30、同Mw−30HM、同Mw−390、同Mw−100LM、同Mw−750LM、(いずれも三和ケミカル社製)等を挙げることができる。このような熱硬化成分は単独又は2種以上を併用することができる。
【0066】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、硬化性及び得られる硬化物の強靭性を向上させるために、1分子中に複数のイソシアネート基、又はブロック化イソシアネート基を有する化合物を加えることができる。このような1分子中に複数のイソシアネート基、又はブロック化イソシアネート基を有する化合物としては、ポリイソシアネート化合物、又はブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。なお、ブロック化イソシアネート基とは、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基であり、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。
【0067】
このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが用いられる。
【0068】
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート及び2,4−トリレンダイマー等が挙げられる。
【0069】
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0070】
脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体及びイソシアヌレート体等が挙げられる。
【0071】
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0072】
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール及びエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタム及びβ−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチル及びアセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル及び乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミド及びマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミン及びプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
【0073】
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュール(登録商標)BL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265、デスモジュール(登録商標)TPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(いずれも住友バイエルウレタン社製)、コロネート(登録商標)2512、コロネート2513、コロネート2520(いずれも日本ポリウレタン工業社製)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(いずれも三井武田ケミカル社製)、TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T(いずれも旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。なお、スミジュールBL−3175、BL−4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。このような1分子中に複数のイソシアネート基、又はブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
このような1分子中に複数のイソシアネート基、又はブロック化イソシアネート基を有する化合物の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。配合量が1質量部未満の場合、十分な塗膜の強靭性が得られない。一方、100質量部を超えた場合、保存安定性が低下する。より好ましくは、2〜70質量部である。
【0075】
分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分を使用する場合、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT(登録商標)3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩の商品名)等が挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。
【0076】
これら熱硬化触媒の配合量は、通常の量的割合で充分であり、例えばカルボキシル基含有樹脂又は分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15.0質量部である。
【0077】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、着色剤を配合することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
【0078】
赤色着色剤としては、モノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等があり、例えば、以下のようなカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる。
モノアゾ系:Pigment Red 1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 12, 14, 15, 16, 17, 21, 22, 23, 31, 32, 112, 114, 146, 147, 151, 170, 184, 187, 188, 193, 210, 245, 253, 258, 266, 267, 268, 269。
ジスアゾ系:Pigment Red 37, 38, 41。
モノアゾレーキ系:Pigment Red 48:1, 48:2, 48:3, 48:4, 49:1, 49:2, 50:1, 52:1, 52:2, 53:1, 53:2, 57:1, 58:4, 63:1, 63:2, 64:1,68。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Red 171、Pigment Red 175、Pigment Red 176、Pigment Red 185、Pigment Red 208。
ぺリレン系:Solvent Red 135、Solvent Red 179、Pigment Red 123、Pigment Red 149、Pigment Red 166、Pigment Red 178、Pigment Red 179、Pigment Red 190、Pigment Red 194、Pigment Red 224。
ジケトピロロピロール系:Pigment Red 254、Pigment Red 255、Pigment Red 264、Pigment Red 270、Pigment Red 272。
縮合アゾ系:Pigment Red 220、Pigment Red 144、Pigment Red 166、Pigment Red 214、Pigment Red 220、Pigment Red 221、Pigment Red 242。
アンスラキノン系:Pigment Red 168、Pigment Red 177、Pigment Red 216、Solvent Red 149、Solvent Red 150、Solvent Red 52、Solvent Red 207。
キナクリドン系:Pigment Red 122、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209。
【0079】
青色着色剤としては、フタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系としては、Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Blue 60、染料系としては、Solvent Blue 35、Solvent Blue 63、Solvent Blue 68、Solvent Blue 70、Solvent Blue 83、Solvent Blue 87、Solvent Blue 94、Solvent Blue 97、Solvent Blue 122、Solvent Blue 136、Solvent Blue 67、Solvent Blue 70等を使用することができる。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0080】
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系があり、例えば、Pigment Green 7、Pigment Green 36、Solvent Green 3、Solvent Green 5、Solvent Green 20、Solvent Green 28等を使用することができる。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0081】
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等があり、例えば、以下のものが挙げられる。
アントラキノン系:Solvent Yellow 163、Pigment Yellow 24、Pigment Yellow 108、Pigment Yellow 193、Pigment Yellow 147、Pigment Yellow 199、Pigment Yellow 202。
イソインドリノン系:Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 109、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 179、Pigment Yellow 185。
縮合アゾ系:Pigment Yellow 93、Pigment Yellow 94、Pigment Yellow 95、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 166、Pigment Yellow 180。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 156、Pigment Yellow 175、Pigment Yellow 181。
モノアゾ系:Pigment Yellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 9, 10, 12, 61, 62, 62:1, 65, 73, 74, 75, 97, 100, 104, 105, 111, 116, 167, 168, 169, 182, 183。
ジスアゾ系:Pigment Yellow 12, 13, 14, 16, 17, 55, 63, 81, 83, 87, 126, 127, 152, 170, 172, 174, 176, 188, 198。
【0082】
その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色、黒等の着色剤を加えてもよい。具体的には、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet 13、36、Pigment Orange 1、Pigment Orange 5、Pigment Orange 13、Pigment Orange 14、Pigment Orange 16、Pigment Orange 17、Pigment Orange 24、Pigment Orange 34、Pigment Orange 36、Pigment Orange 38、Pigment Orange 40、Pigment Orange 43、Pigment Orange 46、Pigment Orange 49、Pigment Orange 51、Pigment Orange 61、Pigment Orange 63、Pigment Orange 64、Pigment Orange 71、Pigment Orange 73、Pigment Brown 23、Pigment Brown 25、Pigment Black 1、Pigment Black 7等を挙げることができる。
【0083】
このような着色剤の配合割合は、特に制限はないが、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。10質量部を超えた場合、著しく深部硬化性が悪くなる恐れがある。より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0084】
本発明の光硬化性樹脂組成物に用いられる分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物は、活性エネルギー線照射により、光硬化して、エチレン性不飽和基含有カルボキシル基含有樹脂を、希アルカリ水溶液に不溶化、又は不溶化を助けるものである。
このような化合物としては、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコールのジアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物等の多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物等の多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの多価アクリレート類;及びメラミンアクリレート、及び/又はアクリレートに対応する各メタクリレート類等が挙げられる。
【0085】
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物等が挙げられる。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、塗膜の指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
【0086】
このような分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、5〜100質量部が好ましい。配合量が5質量部未満の場合、光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となる。一方、100質量部を超えた場合、希アルカリ水溶液に対する溶解性が低下して塗膜が脆くなる。より好ましくは、1〜70質量部である。
【0087】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、その塗膜の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合することができる。このようなフィラーとしては、公知の無機又は有機フィラーが使用できるが、特に硫酸バリウム、球状シリカ、ハイドロタルサイト及びタルクが好ましく用いられる。さらに、白色の外観や難燃性を得るために酸化チタンや金属酸化物、水酸化アルミ等の金属水酸化物を体質顔料フィラーとしても使用することができる。フィラーの配合量は、組成物全体量の75質量%以下が好ましい。フィラーの配合量が、組成物全体量の75質量%を超えた場合、絶縁組成物の粘度が高くなり、塗布、成形性が低下し、硬化物が脆くなる。より好ましくは0.1〜60質量%である。
【0088】
さらに、本発明の光硬化性樹脂組成物は、カルボキシル基含有樹脂の合成や、組成物の調製のため、又は基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のため、有機溶剤を使用することができる。
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤等を挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等である。このような有機溶剤は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
【0089】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、公知の熱重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の公知の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、酸化防止剤、防錆剤等のような公知の添加剤類を配合することができる。
【0090】
熱重合禁止剤は、重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために用いることができる。熱重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル又はアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレート等が挙げられる。
【0091】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、層間の密着性、又は形成される樹脂絶縁層と基材との密着性を向上させるために、密着促進剤を用いることができる。このような密着促進剤例としては、例えば、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアゾール−2−チオン、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール、シランカップリング剤等がある。
【0092】
このように構成される本発明の光硬化性樹脂組成物は、所定の組成に調製した後、例えば、有機溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布する。
【0093】
そして、約60〜100℃の温度で、組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させ、タックフリーの塗膜(樹脂絶縁層)を形成する。このとき、揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触させる方法及びノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0094】
また、光硬化性樹脂組成物によりドライフィルムを形成し、これを基材上に張り合わせることにより、樹脂絶縁層を形成してもよい。
ドライフィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート等のキャリアフィルムと、ソルダーレジスト層などの樹脂絶縁層と、必要に応じて用いられる剥離可能なカバーフィルムとが、この順序に積層された構造を有するものである。
【0095】
樹脂絶縁層は、光硬化性樹脂組成物をキャリアフィルム又はカバーフィルムに塗布乾燥して得られる層である。このような樹脂絶縁層は、本発明の光硬化性樹脂組成物をブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等で、キャリアフィルムに、10〜150μmの厚さで均一に塗布し、乾燥して形成される。そして、さらに必要に応じてカバーフィルムを積層することにより、ドライフィルムが形成される。このとき、光硬化性樹脂組成物をカバーフィルムに塗布、乾燥した後、キャリアフィルムを積層してもよい。
【0096】
キャリアフィルムとしては、例えば2〜150μmの厚みのポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルムが用いられる。
カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用することができるが、ソルダーレジスト層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが良い。
【0097】
このようなドライフィルムを用いて、カバーフィルムが用いられた場合はこれを剥がした後、樹脂絶縁層と基材を重ね、ラミネーター等を用いて張り合わせることにより、基材上に樹脂絶縁層が形成される。なお、キャリアフィルムは、後述する露光の前又は後に剥離すればよい。
【0098】
このとき、塗膜が形成され、あるいはドライフィルムを張り合わせる基材としては、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層版等の材質を用いたもので全てのグレード(FR−4等)の銅張積層版、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0099】
さらに、接触式(又は非接触方式)により、パターンを形成したフォトマスクを通して、選択的に活性エネルギー線により露光もしくはレーザーダイレクト露光機により直接パターン露光する。
【0100】
活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した露光機、(超)高圧水銀ランプを搭載した露光機、水銀ショートアークランプを搭載した露光機、もしくは(超)高圧水銀ランプ等の紫外線ランプを使用した直接描画装置を用いることができる。
【0101】
活性エネルギー線としては、波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、光開始剤から効率よくラジカルを生成することができる。この範囲のレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーのいずれでもよい。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、一般には5〜200mJ/cm、好ましくは5〜100mJ/cm、さらに好ましくは5〜50mJ/cmの範囲内とすることができる。
【0102】
直接描画装置としては、例えば、日本オルボテック社製、ペンタックス社製等のものを使用することができ、波長が350〜410nmのレーザー光を発振する装置であればいずれの装置を用いてもよい。
【0103】
そして、このようにして露光することにより、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)を硬化させ、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3wt%炭酸ソーダ水溶液)により現像して、硬化物(パターン)が形成される。
【0104】
このとき、現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができる。また、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を用いることができる。
【0105】
さらに、熱硬化成分を加えた場合、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基と、例えば分子中に複数の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基を有する熱硬化成分が反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性等の諸特性に優れた硬化物(パターン)を形成することができる。
【0106】
このように、本発明の光硬化性樹脂組成物においては、カルボキシル基含有樹脂と、光重合開始剤と、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を含有することにより、その硬化物において、電子部品などに用いられる際に要求される解像性を満足し、冷熱サイクル耐性などの信頼性を得ることができる。そして、このような硬化物をプリント配線板などに用いることにより、高い信頼性を得ることが可能となる。
【実施例】
【0107】
以下に実施例及び比較例を示して具体的に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではないことはもとよりである。尚、以下において「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0108】
実施例1〜11及び比較例1〜3
表1に示す種々の成分、割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、ソルダーレジスト用感光性樹脂組成物を調製した。ここで、得られた感光性樹脂組成物の分散度を、エリクセン社製グラインドメータによる粒度測定にて評価したところ、15μm以下であった。
【0109】
【表1】

【0110】
性能評価:
<最適露光量>
銅厚35μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してから、各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物をスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で60分間乾燥させた。乾燥後、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、ステップタブレット(Kodak No.2)を介して露光し、現像(30℃、0.2MPa、1wt%NaCO水溶液)を60秒で行った際、残存するステップタブレットのパターンが、7段の時を最適露光量とした。
【0111】
<現像性>
各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、銅ベタ基板上にスクリーン印刷法により、乾燥後の膜厚が約25μmになるように塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。乾燥後、1wt%NaCO水溶液によって現像を行い、乾燥塗膜が除去されるまでの時間をストップウォッチにより計測した。
【0112】
特性評価:
<液状タイプ基板作製>
各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、パターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で乾燥後の膜厚が20μmになるように全面塗布し、80℃で30分乾燥し、室温まで放冷した。得られた基板にPETフィルム(東レ社製FB−50:16μm)を貼付し、真空ラミネーター(名機製作所製MVLP(登録商標)−500)を用いて加圧度:0.8MPa、70℃、1分、真空度:133.3Paの条件で加熱ラミネートして、未露光のソルダーレジスト層を有する基板(未露光の基板)を得た。この基板に、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、最適露光量でソルダーレジストパターンを露光し、10分後に貼付したPETフィルムを剥離した。その後、30℃の1wt%NaCO水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、レジストパターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cmの条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化した。得られたプリント基板(評価基板)に対して以下のように特性を評価した。
【0113】
<ドライフィルムタイプ基板作製>
各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物をそれぞれメチルエチルケトンで適宜希釈した後、アプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が20μmになるようにPETフィルム(東レ社製FB−50:16μm)に塗布し、80℃で30分乾燥させドライフィルムを得た。回路形成された基板をバフ研磨した後、得られたドライフィルムを真空ラミネーター(名機製作所製MVLP(登録商標)−500)を用いて加圧度:0.8MPa、70℃、1分、真空度:133.3Paの条件で加熱ラミネートして、未露光のソルダーレジスト層を有する基板(未露光の基板)を得た。この基板に、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、最適露光量でソルダーレジストパターンを露光し、10分後にPETフィルムの剥離をした。その後、30℃の1wt%NaCO水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、レジストパターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cmの条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化した。得られたプリント基板(評価基板)に対して以下のように特性を評価した。
【0114】
<解像性安定性>
実施例1及び比較例1の感光性樹脂組成物を、パターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で乾燥後の膜厚が20μmになるように全面塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて100mJ/cmで露光を行い、PETフィルムを剥がす時間を5〜60分とする。その後、30℃の1wt%NaCO水溶液によって60秒間現像を行い、パターンを形成し、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cmの条件で紫外線照射した後、150℃で60分の熱硬化をすることにより硬化塗膜を得た。得られたソルダーレジスト用感光性樹脂組成物の硬化塗膜における開口設計値80μmの開口底部の測長を行なった。判定基準は以下の通りである。
G:開口設計値80μmの開口底部が60μm以上、80μm以下であり、アンダーカット及びハレーションの発生が無い。
H:ハレーションの発生あり。開口底部が40μm以上、60μm未満である。
A:アンダーカットの発生あり。開口底部が80μmより大きく、100μm以下である。
【0115】
<解像性>
上述した基板作製条件にて評価基板を作製した。得られたソルダーレジスト用感光性樹脂組成物の硬化塗膜における開口設計値80μmの開口底部の測長を行なった。判定基準は以下の通りである。
G:開口設計値80μmの開口底部が60μm以上、80μm以下であり、アンダーカット及びハレーションの発生が無い。
H:ハレーションの発生あり。開口底部が40μm以上、60μm未満である。
A:アンダーカットの発生あり。開口底部が80μmより大きく、100μm以下である。
【0116】
<はんだ耐熱性>
ロジン系フラックスを塗布した評価基板を、予め260℃に設定したはんだ槽に浸漬し、変性アルコールでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト層の膨れ・剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:10秒間浸漬を6回以上繰り返しても剥がれが認められない。
○:10秒間浸漬を3回以上繰り返しても剥がれが認められない。
△:10秒間浸漬を3回以上繰り返すと少し剥がれる。
×:10秒間浸漬を3回以内にレジスト層に膨れ、剥がれがある。
【0117】
<耐無電解金めっき性>
市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、テープピールにより、レジスト層の剥がれの有無やめっき液のしみ込みの有無を評価した後、レジスト層の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:染み込み、剥がれが見られない。
○:めっき後に少し染み込みが確認されるが、テープピール後は剥がれない。
△:めっき後にほんの僅かしみ込みが見られ、テープピール後に剥がれも見られる。
×:めっき後に剥がれが有る。
【0118】
<TCT耐性>
2mmの銅ラインパターンが形成された基板に、感光性樹脂組成物を塗布し、露光・現像した後、熱硬化して、銅ライン上に3mm角のレジストパターンが形成された評価基板を作製した。この評価基板を、−65℃と150℃の間で温度サイクルが行われる冷熱サイクル機に入れ、TCT(Thermal Cycle Test)を行った。そして、600サイクル時、800サイクル時及び1000サイクル時の外観を観察した。
◎:1000サイクルで異常なし。
○:800サイクルで異常なし、1000サイクルでクラック発生。
△:600サイクルで異常なし、800サイクルでクラック発生。
×:600サイクルでクラック発生。
【0119】
<PCT耐性>
ソルダーレジスト硬化塗膜を形成した評価基板を、PCT装置(エスペック(株)製HAST SYSTEM TPC−412MD)を用いて、121℃、飽和、0.2MPaの条件で168、192時間PCT(Pressure Cooker Test)を行った。そして、PCT後の塗膜の状態を評価した。判定基準は以下の通りである。
◎:192時間膨れ、剥がれ、変色、溶出のないもの。
○:168時間膨れ、剥がれ、変色、溶出のないもの。
△:若干の膨れ、剥がれ、変色、溶出があるもの。
×:膨れ、剥がれ、変色、溶出が多く見られるもの。
【0120】
前記解像性安定性(露光後安定性)の評価結果を表2に、また他の特性についての評価結果を表3に示す。
【表2】

【0121】
表2に示されるように、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を用いた実施例1の場合には、比較例1と比較してPETフィルムを剥離する時間に関わらず良好な解像性が得られていることがわかる。
【0122】
【表3】

【0123】
表3に示されるように、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を用いた実施例1〜11の場合には、比較例1〜3と比較して良好な解像性、TCT耐性及びPCT耐性が得られていることがわかる。
一方、実施例3と対比して、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を用いていない比較例2の場合、大きくハレーションを起こし、露光後10分経過後にPETフィルムを剥がした際、いずれの特性試験においても塗膜の剥がれを生じ、はんだ耐熱性、耐無電解金めっき性、TCT耐性及びPCT耐性が劣っていた。また、実施例1と対比して、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を用いていない比較例1及びそれに代えてフェノチアジンを使用した比較例3の場合、同様にTCT耐性が劣り、PCT耐性については○と表示されているが、解像性が安定せず、ハレーションを起こし、PCTにおいて剥れが168時間経過後に生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基含有樹脂と、光重合開始剤と、ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体を含むことを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体が、水酸基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ナフタレン誘導体及び/又はナフトキノンとその誘導体が重合禁止剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物を、フィルム上に塗布乾燥して得られることを特徴とするドライフィルム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物を基材に塗布乾燥して得られる乾燥塗膜、又は前記光硬化性樹脂組成物をフィルム上に塗布乾燥して得られるドライフィルムを基材にラミネートして得られる塗膜を、活性エネルギー線の照射により光硬化させて得られることを特徴とする硬化物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物を基材に塗布乾燥して得られる乾燥塗膜、又は前記光硬化性樹脂組成物をフィルム上に塗布乾燥して得られるドライフィルムを基材にラミネートして得られる塗膜を、活性エネルギー線の照射により光硬化させて得られる硬化物のパターンを有することを特徴とするプリント配線板。

【公開番号】特開2012−141387(P2012−141387A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292805(P2010−292805)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(310024066)太陽インキ製造株式会社 (16)
【Fターム(参考)】