説明

光触媒セラミックス

【課題】多孔性リン酸カルシウムが光触媒を配合したセラミック製品や光触媒を含有するセラミックスを被着処理した各種製品の表面における悪臭物質や有害物質を吸着し、これらの悪臭物質や有害物質を二酸化チタンなどの基材によって効率よく分解、除去する作用を有する光触媒セラミックスを提供することを目的とする。
【解決手段】光触媒機能を有する基材の表面をリン酸、カルシウムおよび繊維状蛋白質を含む処理液で処理することによって、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒を適宜のセラミック素材に配合し、該セラミック素材を所定の形状に焼成したことを特徴とする光触媒セラミックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック製品に光触媒を配合したり、各種製品の表面に光触媒を含有するセラミックスを被着処理することにより、セラミック製品や各種製品に優れた殺菌力、脱臭力等を長期間持続して発揮させることができる光触媒セラミックスに関する。
【背景技術】
【0002】
我々は一般の生活環境において様々な細菌と共存しているが、その中でも人体に有害な細菌は常に制御し、清浄環境を保持することが望ましい。
そこで、通常の生活環境においては、人の手の触れる面に光触媒を塗布して人体に有害な細菌は常に制御し、清浄環境を保持する機能を持たせることが行われている。
例えば特開2004−58050号公報(特許文献1参照)には、光活性(光酸化機能)を有するアパタイトなどのリン酸カルシウム単結晶が部分的に付着した二酸化チタン複合セラミックス材料を製造する方法であって、
リンイオンとカルシウムイオンを擬似体液に比べて過剰に含有する水溶液に二酸化チタンを漬けることにより、次の反応;
(1)リン酸カルシウムクラスターを形成、集合させ、リン酸8カルシウムを生成させる、
(2)上記リン酸8カルシウムをアパタイトなどのリン酸カルシウム単結晶Ca9 (PO46 に転化する、
(3)上記単結晶を成長させる、
を進行させて、アパタイトなどのリン酸カルシウム単結晶Ca9(PO46 が一個以上からなる化合物が部分的に付着した二酸化チタン光触媒複合材料を作製することを特徴とする上記二酸化チタン複合セラミックス材料の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−58050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の二酸化チタン複合セラミックス材料にあっては、光触媒による有害化学物質や悪臭物質、細菌等を分解、除去するという機能を持つものの、光触媒による悪臭物質や有害物質の吸着作用が充分に発揮されているといえるものではなかった。
本発明は、上記従来の問題に鑑みて、多孔性リン酸カルシウムが光触媒を配合したセラミック製品や光触媒を含有するセラミックスを被着処理した各種製品の表面における悪臭物質や有害物質を吸着し、これらの悪臭物質や有害物質を二酸化チタンなどの基材によって効率よく分解、除去する作用を有する光触媒セラミックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわちこの発明の光触媒セラミックスは、光触媒機能を有する基材の表面をリン酸、カルシウムおよび繊維状蛋白質を含む処理液で処理することによって、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒を適宜のセラミック素材に配合し、該セラミック素材を所定の形状に焼成したことを特徴とするものである。
【0006】
またこの発明の光触媒セラミックスは、光触媒機能を有する基材の表面をリン酸、カルシウムおよび繊維状蛋白質を含む処理液で処理することによって、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒を適宜のコーティング用塗膜形成成分に配合し、該コーティング用素材を適宜製品の表面にコーティングすることをも特徴とするものである。
【0007】
この発明の光触媒セラミックスは、前記コーティング用素材が、液状、ゲル状、微粉末状からなることをも特徴とするものである。
【0008】
この発明の光触媒セラミックスは、前記基材が二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化バナジウム、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、シリカ、黒曜石の何れか一つまたは複数を主成分とすることをも特徴とするものである。
【0009】
この発明の光触媒セラミックスは、前記繊維状蛋白質が絹からセリシンを除去して得たフィブロインであることをも特徴とするものである。
【0010】
この発明の光触媒セラミックスは、前記多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒が、処理液によって前記基材の表面を前記多孔性リン酸カルシウムで被覆し、さらに乾燥・焼成を行ったものであることをも特徴とするものである。
【0011】
この発明の光触媒セラミックスは、前記セラミック素材、コーティング用素材、または前記光触媒セラミックを使用した製品類が遮光性容器内に収納されていることをも特徴とするものである。
【0012】
ここで、前記光触媒としては、光触媒機能を有する基材の表面をリン酸、カルシウムおよび繊維状蛋白質を含む処理液で処理することによって、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆したものが好適に使用される。
【0013】
そして、前記光触媒機能を有する基材としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化バナジウム、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、シリカ、黒曜石の何れか一つまたは複数を主成分とすることができる。もちろん、その中でも二酸化チタンが光触媒機能の面とコスト面とを勘案すると、最も望ましいものである。
前記基材からなる光触媒は、光が照射された際の酸化還元作用により、上記の多孔性リン酸カルシウムが吸着した汚れや臭い、細菌等を分解除去する作用を有する。
【0014】
さらに、前記多孔性リン酸カルシウムとしては、多孔性リン酸カルシウムを主成分とするフッ化アパタイト(フルオロアパタイト)や水酸化アパタイト(ハイドロキシアパタイト)を用いるのが良い。
これらアパタイトは、汚れや臭い、細菌等を吸着保持する機能を有する。例えば窒素酸化物や過酸化脂質、アンモニアやアルデヒド類、大腸菌等の細菌やウィルスを吸着できるセラミック素材である。
【0015】
また、前記繊維状蛋白質としては、絹からセリシンを除去して得たフィブロインであることができる。
【0016】
そして、前記多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒としては、処理液によって前記基材の表面を前記多孔性リン酸カルシウムで被覆し、さらに乾燥・焼成を行ったものであることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明の光触媒セラミックスは、処理液中に繊維状蛋白質を添加したため、基材表面での多孔性リン酸カルシウムの生成が不完全であり、基材表面の一部のみが多孔性リン酸カルシウムで被覆された状態にある。また、処理液中に繊維状蛋白質を添加すると、基材表面での多孔性リン酸カルシウムの生成が不完全であり、リン酸カルシウムの結晶化度が低いため、基材表面の全体が多孔性リン酸カルシウムで覆われている場合でも、ボールミルで軽く攪拌した場合、あるいはボールミルよりも破砕力の小さな装置で攪拌した場合でも、多孔性リン酸カルシウムの一部が基材表面から脱落し、基材表面の一部のみが多孔性リン酸カルシウムで被覆された状態になる。
【0018】
したがって、この発明に係る前記多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒は、まず、多孔性リン酸カルシウムが光触媒を配合したセラミック製品や光触媒を含有するセラミックスを被着処理した各種製品の表面における悪臭物質や有害物質を吸着し、これらの悪臭物質や有害物質を二酸化チタンなどの基材によって効率よく分解、除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の光触媒セラミックスは、リン酸、カルシウムを含有する処理液中に絹からセリシンを除去して得たフィブロインからなる繊維状蛋白質を添加してあるため、例えば二酸化チタン表面での多孔性リン酸カルシウムの生成が不完全であり、二酸化チタン表面の一部のみが多孔性リン酸カルシウムで被覆された状態にある。
また、リン酸、カルシウムを含有する処理液中に前記繊維状蛋白質を添加すると、二酸化チタン表面での多孔性リン酸カルシウムの生成が不完全であり、リン酸カルシウムの結晶化度が低いため、二酸化チタン表面の全体が多孔性リン酸カルシウムで覆われている場合でも、ボールミルで軽く攪拌した場合、あるいはボールミルよりも破砕力の小さな装置で攪拌した場合でも、多孔性リン酸カルシウムの一部が二酸化チタン表面から脱落し、二酸化チタン表面の一部のみが多孔性リン酸カルシウムで被覆された状態になる。
【0020】
したがって、この発明に係る前記多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒は、まず、多孔性リン酸カルシウムが光触媒を配合したセラミック製品や光触媒を含有するセラミックスを被着処理した各種製品の表面における悪臭物質や有害物質を吸着し、これらの悪臭物質や有害物質を二酸化チタンなどの基材によって効率よく分解、除去することができる。
【実施例1】
【0021】
本実施例では、この発明の光触媒セラミックスを建築用セラミックス板材に適用した場合について具体的に説明する。
建築用セラミックス板材の原材料として使用する光触媒セラミックスは、セラミックス原料に原液(光触媒機能を有する基材の表面をリン酸、カルシウムおよび繊維状蛋白質を含む処理液で処理することによって、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒を配合したもの)を配合しセラミックス焼成用素材を得る。
【0022】
<原液の作成法>
本実施例では、結晶形がアナターゼの二酸化チタンの粉体(光触媒機能を有する基材)を、リン酸イオンを含まないカルシウム溶液と、カルシウムイオンを含まないリン酸溶液とに交互に接触させて、二酸化チタンの粉体の表面に多孔性リン酸カルシウムを生成させた後、100℃〜700℃で10分から120分間、焼成する。例えば、リン酸溶液に二酸化チタンの粉体を浸漬、乾燥を行った後、二酸化チタンの粉体をカルシウム溶液に浸漬し、しかる後に焼成する。
その際、例えば、カルシウム溶液(処理液)には、絹からセリシンを除去して得たフィブロインを0.1〜数%、添加しておく。
【0023】
ここで用いられるカルシウム溶液およびリン酸溶液は、例えば、以下の組成
カルシウム溶液=100〜300mMのCaCl2/Tris−HCl
リン酸溶液=50〜200mMのNa2HPO4溶液
を有する。
【0024】
本例でも、多孔性リン酸カルシウムの多孔性や膜厚などは、処理液の組成や温度、浸漬時間を変えることによって制御することができる。フィブロインの濃度が高い場合やリン酸イオンやカルシウムイオンの濃度が低い場合には、多孔性リン酸カルシウムの被覆度が低下する傾向にある。また、フィブロインの濃度が高い場合には多孔性リン酸カルシウムの結晶化度が低下する傾向にある。
【0025】
なお、本例で製造した光触媒性複合組成物については、焼成後、ボールミルによる攪拌などの処理を行って、多孔性リン酸カルシウムの一部を基材表面から脱落させることにより、多孔性リン酸カルシウムの基材表面からの脱落を容易に行うことができる。
以上の多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒の製造方法については、出願人の関連会社である株式会社宇宙環境保全センターの出願に係る特開2006−136778号に記載されている。
【0026】
この原液はセラミックス原料に対し、下記の配合で使用することができる。
単位=重量%
原液・・・0.1〜5
セラミックス原料・・・100
原液を0.1未満配合した場合には、得た光触媒セラミックスは充分な光触媒作用を発揮することができず、また原液を5を超えて配合した場合には、得た光触媒セラミックスは色調や強度の面で物足りないものとなった。
得たセラミックス焼成用素材は、通常のセラミックス原料と同じように所定の形状に焼成するために使用することができる。
なお得たセラミックス焼成用素材には結果的に、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒が0.1〜5%(重量)混合されていた。
【実施例2】
【0027】
本実施例では、この発明の光触媒セラミックスを各種製品の表面に被着処理するコーティング材料に適用した場合について具体的に説明する。
コーティング用の原材料として使用する光触媒セラミックスは、コーティング用塗膜形成成分に原液(光触媒機能を有する基材の表面をリン酸、カルシウムおよび繊維状蛋白質を含む処理液で処理することによって、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒を配合したもの)を配合し、光触媒セラミックスを得る。
もちろん、他のセラミック素材を配合してもよい。
【0028】
実施例1と同様に処理して得た原液はコーティング材料に対し、下記の配合で使用することができる。
第1例:原液・・・(0.1〜5)重量部
コーティング用塗膜形成成分・・・(95〜100)重量部
第2例:原液・・・(0.1〜5)重量部
セラミックス・・・(0.1〜10)重量部
コーティング用塗膜形成成分・・・(95〜100)重量部
原液を0.1未満配合した場合には、得たコーティング用光触媒セラミックスは充分な光触媒作用を発揮することができず、また原液を5を超えて配合した場合には、得たコーティング用光触媒セラミックスは色調や強度の面で物足りないものとなった。
塗膜形成成分としては、セルロース誘導体、フタル酸樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エマルション、水溶性樹脂等の合成樹脂を挙げることができ、そのほかにも植物性乾性油を挙げることができる。分散剤としては、石油系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、セロソルブ系溶剤、水等を挙げることができる。なお、粉体塗料にする場合には、分散剤としての溶剤は不要となる。また、その他の成分として、顔料、例えば、二酸化チタン、黄鉛、ベンガラ、酸化クロム、カーボンブラック等の無機顔料、ハンザイエロー、ノバパームオレンジ、キナクリドンバイオレット、銅フタロシアニン等の有機顔料、沈降性炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、ホワイトカーボン等の体質顔料、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム等の防食顔料に代表される特殊機能顔料等を挙げることができる。更に、上記成分以外にも、補助材料として、塗膜乾燥促進性の付与を目的とする乾燥剤、重合触媒;顔料の分散性改良を目的とする湿潤剤、顔料分散剤、フラッディング防止剤、顔料沈降防止剤;塗料の流動性の調節を目的とする増粘剤、チキソトロピック剤、たれ止め剤;塗面の調整を目的とするレベリング剤、泡消し剤、はじき防止剤、フローティング防止剤のほか、可塑剤、皮張り防止剤、静電塗装助剤、すり傷防止剤、ブロッキング防止剤、紫外線防止剤、防染剤、防腐剤、防かび剤等を配合することができる。これらの各成分の配合割合には特別なものはなく、通常市販されている塗料と同じ配合割合を適用することができる。
【0029】
得たコーティング用材料は、通常のコーティング用材料と同じように各種製品に被着するために使用することができる。
コーティング用材料には、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒が0.1〜5%(重量)混合されていた。
【0030】
本発明の光触媒セラミックスは、わずかな光でも洗浄、殺菌、消臭、消炎効果を発揮することができる。したがって、セラミックス製品の表面を洗浄するだけで、製品の汚れや付着した雑菌を落とすことができる。
【0031】
このように、本発明によれば、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒中の多孔性リン酸カルシウムが有害化学物質、悪臭物質、細菌等を吸着し、光触媒がそれらを分解、除去するという連携した作用により、優れた洗浄、殺菌、消臭効果を有する光触媒セラミックスを得ることができる。
【0032】
ここで、光触媒は、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質と複合化されることにより必ずしも多量の光が照射され続けられなくとも、上記した種々の薬理作用が減少することなく優れた洗浄、殺菌、消臭効果を発揮し得るのである。さらに、セラミック材料に溶かし込んだ際に光触媒と多孔性リン酸カルシウムが水分と接触することにより、光触媒と多孔性リン酸カルシウムの作用効果が最大に発揮される。したがって、本発明によれば、セラミックス製品の表面を洗浄するだけで、製品の汚れや付着した雑菌を落とすことができるようになる。
【0033】
本発明の光触媒セラミックスにおいては、前記多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒を含む前記セラミック素材、コーティング用素材、または前記光触媒セラミックを使用した製品類が、素材の劣化を防ぐ意味合いで遮光性容器内に収納されていることが望ましい。
【0034】
細菌やかび等は高温高湿の条件を好んで増殖するものであるが、本発明の被着処理剤中の光触媒はこのような高温高湿条件下において、特に有効にその機能を発揮するものである。よって、本発明の光触媒セラミックスを用いたコーティング材料における殺菌成分が非溶出系材料であることを含めて考え合わせると、本発明のコーティング材料は細菌やかび等を含む生物の殺減及び増殖抑制技術として、極めて広い範囲への適用を可能とするものである。
本発明の塗料等の態様を含むコーティング材料は、種々の形状で、紙、木材、布、プラツチック、金属及びコンクリート等の種々の材料からなる処理対象に被着させることにより、殺菌、防臭効果等を付与することができる。また、所望の模様、画像を印刷することによる装飾的効果も付与できるため、それらを必要とする種々の用途に利用することができ、更に、光照射が期待できないような用途にも利用することができる。例えば、紙に被着させることにより、各種食品保存用の包装紙、包装袋等の包装材料、壁紙、障子、襖、家具の外張り材料等の住宅用材料として利用することができ、そのほかにもサイズ剤として紙原料に含有させることによる利用もでき;布(繊維)、毛織物に被着させることにより、衣服、マスク、カーテン、寝具全般(シーツ、布団カバー、毛布カバー、枕カバー等)、各種カバー類(各種椅子カバー、座布団カバー等)、テーブルクロス、じゅうたん、タオル、ハンカチ等の各種製品又はそれらの製造用材料として利用することができ;空気清浄用フィルタ又は水浄化用フィルタ等の材料として利用することができる。また、建築物及び構造物の塗装用、各種製品の塗装用、船、橋、桟橋等におけるフジツボ、セルプラ、イガイ等の水棲生物の付着を防止する防汚塗料としても利用することができる。また、水中における藻類の発生防止用としても利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の光触媒セラミックスは、吸着材料による吸着作用と、二酸化チタン等の光触媒による光触媒作用により、優れた殺菌及び脱臭作用等を減衰することなく半永久的に発揮し続けることができる。さらに、これらの作用は、光照射がまったくない場合でも、十分に発揮することができる。また、本発明の光触媒セラミックスは、所定形状に成形したり、コーティング方法が簡便であるため、幅広い分野において利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒機能を有する基材の表面をリン酸、カルシウムおよび繊維状蛋白質を含む処理液で処理することによって、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒を適宜のセラミック素材に配合し、該セラミック素材を所定の形状に焼成したことを特徴とする光触媒セラミックス。
【請求項2】
光触媒機能を有する基材の表面をリン酸、カルシウムおよび繊維状蛋白質を含む処理液で処理することによって、多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒を適宜のコーティング用塗膜形成成分に配合し、該コーティング用素材を適宜製品の表面にコーティングすることを特徴とする光触媒セラミックス。
【請求項3】
前記コーティング用素材が、液状、ゲル状、微粉末状からなることを特徴とする請求項2に記載の光触媒セラミックス。
【請求項4】
請求項1または3のいずれかにおいて、前記基材が二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化バナジウム、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、シリカ、黒曜石の何れか一つまたは複数を主成分とすることを特徴とする光触媒セラミックス。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記繊維状蛋白質が絹からセリシンを除去して得たフィブロインであることを特徴とする光触媒セラミックス。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記多孔性リン酸カルシウムおよび繊維状蛋白質で被覆した光触媒が、処理液によって前記基材の表面を前記多孔性リン酸カルシウムで被覆し、さらに乾燥・焼成を行ったものであることを特徴とする光触媒セラミックス。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、前記セラミック素材、コーティング用素材、または前記光触媒セラミックを使用した製品類が遮光性容器内に収納されていることを特徴とする光触媒セラミックス。

【公開番号】特開2011−50874(P2011−50874A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202560(P2009−202560)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(504383531)株式会社宇宙環境保全センター (3)
【Fターム(参考)】