説明

光触媒フィルタ

【課題】 本発明は、大気中の有害ガス・悪臭ガス成分を吸着除去後に吸着した有害物質を再生するための紫外線等の光エネルギーを利用して有害物質の分解再生を可能とした光触媒等の機能回復、吸着性能向上の方法を容易にしたものである。
【解決手段】 螺旋状または、同心円状に巻いたPET、PC等の各種樹脂材料からなる平面、あるいは、プリーツ状等に加工した光触媒に効果的に光エネルギーを照射するための拡散フィルム(1)、螺旋状に同様に巻いた光触媒を繊維状素材等に担持したフィルタ素材(2)、光触媒の機能を再生するための紫外線等の光エネルギーを供給する光源部(4)、これらを保持するための樹脂製或いは鋼板製の筐体3とからなる光触媒フィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中の有害ガス・悪臭ガス成分を吸着除去後に吸着した有害物質を再生するための紫外線等の光エネルギーを利用して有害物質の分解再生を可能とした光触媒等の機能回復、吸着性能を向上させた光触媒フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光触媒の機能回復方法としては、ブラックライト等の紫外線領域の波長を発生する光源を利用して光触媒の再生を図っていた。
しかし、この方法では、再生に必要な紫外線光を、光触媒を担持させたフィルタ素材、たとえば、セラミック等の無機材料等に照射して再生を図るが光はセラミック等の表面にしか照射せず、フィルタ素材内部に十分に照射することが困難であった。
そのためにセラミック等のフィルタ素材の空隙率を高めて照射深度域を増やしたり、光源の出力を向上させる等の方法により光触媒の機能回復を図る必要があった。
前者の場合には、空隙率が大きくなることで有害ガス等の接触効率が低下し、十分な吸着効率が得られなくなり、後者の場合には紫外線光源の出力をアップさせるために電気容量等を増加せざるを得なくなるなどの問題があった。
また、セラミック等に光触媒を均一に担持させることは相応の費用が発生しコスト的にも問題があった。
さらに、紫外線光源の出力増加は、光源の肥大化を招くため省エネルギーの観点からも看過できないものであり、製品寿命時には産業廃棄物量も相当な量となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来は、次のような欠点があった。
酸化チタン等の光触媒は、紫外線領域の光照射により機能回復をさせるためフィルタ素材に担持させた光触媒に効果的に光エネルギーを照射する必要があった。
しかしながら光エネルギーは、フィルタ素材内面に担持された光触媒に到達せず機能回復させることができなかった。
担持された光触媒に効果的に光エネルギーを照射するためには薄いフィルタ素材に光触媒を担持させれば可能であるがそれでは有害物質を含むガスの吸着効率・処理風量等の処理能力に限界があった。
単位面積当たりの光触媒担持量を増やせば、それに比例して、ガスの通気抵抗が増加し単位処理風量あたりの装置コストも厖大になる。
有害ガスの処理能力を向上させるためには、薄いフィルタ素材をプリーツ状に折り込み、面積を増やすことで吸着効率・処理風量等を向上させることができるが折り込みの高さに比例して、光源と光触媒フィルタ素材面との距離が遠くなるために光エネルギーの照射効率が著しく低下するためプリーツ加工されたフィルタ素材表面に効果的に光照射するには距離を近くにする必要がありプリーツ折山高さに限界があった。
有害ガスは、光触媒を担持したフィルタ素材のガス流入側濃度が最も高く、光触媒機能再生用の紫外線光源は、この上流側に設置しなければならずガスによる光源使用部品への影響をも考慮しなければならなかった。
光触媒を担持したフィルタ素材への光照射を効果的にするには、上流及び下流側に光源を配置する必要があり装置コストが厖大になる。
光触媒を担持したフィルタ素材の吸着効率を高めるには、有害ガスとの接触時間を長くとるための奥行きが必要であり再生するための光エネルギーを奥行き方向全ての光触媒に効果的に照射することと相反するために性能向上が図れなかった。
本発明は、上記欠点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記欠点を解消するため本発明は、図1に示すように螺旋状、または、同心円状に巻いたPET、PC等の各種樹脂材料からなる平面、あるいは、プリーツ状等に加工した光触媒担持フィルタ(2)に効果的に光エネルギーを照射するための拡散フィルム(1)、螺旋状に同様に巻いた光触媒を繊維状素材等に担持したフィルタ素材(2)、光触媒の機能を再生するための紫外線等の光エネルギーを供給する光源部等の光エネルギー供給端面部(4)これらを保持するための樹脂製あるいは鋼板製の筐体(3)とからなる光触媒フィルタである。
拡散フィルムは、フィルム端面から入力された光エネルギーがフィルムの表裏全面より光エネルギーを拡散させる機能を有しているもので、この面上から出力される光エネルギーを効果的に受光できるように拡散フィルム(1)と共に同心円状または、螺旋状に一体化された光触媒担持フィルタ(2)を配置することで光触媒担持フィルタ(2)に担持された酸化チタン等の光触媒に有効に光エネルギーを照射することを可能とする。
光エネルギーは光エネルギー供給端面部(4)の全体あるいは一部から光源等より入力することで光エネルギー入力端面(5)より光エネルギーが拡散フィルム内に入力され光エネルギー出力面(6)より均一に光エネルギーが照射されるため拡散フィルム(1)と同心円状、または、螺旋状に配置された光触媒担持フィルタ面に光エネルギーが均一に照射され光触媒担持フィルタ(2)に担持された光触媒機能を回復させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下本発明の実施形態を図面について説明する。
光触媒機能を最大限に利用するには、有害ガスとの接触効率をフィルタ素材表面で行うことが光エネルギーを最も効果的に光触媒を担持したフィルタ素材に照射することを可能にする。
したがい、図1にあるように螺旋状、または、円筒上に加工できる程度の柔軟性と強度を有する。
たとえば、ポリエチレン・ポリカーボネート樹脂等を基材とする拡散フィルム(1)を利用し光触媒を担持したプリーツ状に折り加工されたフィルタ素材(2)と共に螺旋状に連続して形成すれば良い。
この時に、拡散フィルム(1)とフィルタ素材(2)の接触面は、溶着あるいは接着により形状保持しても良い。
拡散フィルム(1)は、その端面から入力した光エネルギーをフィルムの両表面から放出する性能を有している。
この拡散フィルム(1)と一体に連続的に巻かれた光触媒フィルタ(2)は、拡散フィルムの両面から放出される光エネルギーにより光触媒機能を回復させることが可能となる。
螺旋状に形成された拡散フィルム(1)と光触媒が担持されたフィルタ素材(2)は、その断面方向より有害ガスを取り込むことで吸着処理するので、この断面方向の厚さである気流通過距離(7)を任意に調整することで吸着効率を高くすることもできる。
光触媒を担持されプリーツ状に折り加工されたフィルタ素材(1)は、任意の折り山高さにすることで表面積の増減が容易であり光触媒担持量も容易に調整可能である。
有害ガスの処理能力の一つである吸着効率については、プリーツ折り加工の山高さによりフィルタ素材の面積を増加することで吸着能力を向上させることもできる。
あるいは、断面方向の奥行き(7)を増加させることで有害ガスとの接触時間を容易に増加させることもできるので同様に吸着効率が向上する。
処理能力のもう一つは、処理風量であるがこれには有害ガスを通気する際の通気抵抗なるものを考慮しなければならないが、この様な場合でもプリーツ折り山高さを増加させて螺旋状に形成する巻数を増加させれば容易に処理風量を増加させることもできる。
これらの形状にすることで光触媒を担持したフィルタ素材(2)は、拡散フィルム(1)両表面から照射される光エネルギーをフィルタ素材両表面より受けることになり有害物質を吸着した光触媒の機能回復に十分な光エネルギーを与えることができる。
以上のことから以下のような実施形態となる。
拡散フィルム(1)とフィルタ素材(2)は、螺旋状、または、同心円状に形成する。
フィルタ素材(2)は、光触媒担持量を増加させることで有害ガス吸着量が増加するのでプリーツ状等に折り加工することで面積を増加させ、拡散フィルム(1)と連続的に一体となるよう形成する。
プリーツ加工は、拡散フィルム(1)側でもフィルタ素材(2)側どちらでも良い。
プリーツ状に形成した拡散フィルム(1)あるいは、フィルタ素材(2)は、プリーツ折り山高さを任意に変更することが可能であり、必要な有害ガス通気抵抗とすることができる。
螺旋状に形成された拡散フィルム(1)とフィルタ素材(2)は、有害ガス流路方向の厚さ(7)を任意に変更することで必要な有害ガス吸着効率を得ることができる。
螺旋状に形成された拡散フィルム(1)の端面は、筐体(3)のたとえば外側に取出し、その端面と光触媒の機能回復に必要な光源部(4)とを接続する。
光源部は、ブラックライト等の紫外線ランプあるいはLEDを通常使用するが図2にあるような集光フィルム(8)を利用することで、自然光である太陽光にさらすこととしても良い。
光触媒の機能回復のための光源部は、螺旋状に形成された光触媒を担持したフィルタ素材の下流側であれば有害ガス吸着処理後のガスであるので下流側の接ガス部に設置しても良い。
【発明の効果】
【0006】
拡散フィルムによりプリーツ加工等されたフィルタ素材の深部(奥行き方向ならびに両表面)にも光エネルギーを照射可能となり再生効率が高いため光触媒をフィルタ素材表面へ担持する最も容易な工法で有害ガス吸着に必要な面積を十分にとることができる。
有害ガスの吸着処理能力である吸着効率並びに処理風量において光触媒機能回復可能な条件で必要な吸着効率・処理風量を容易にかつ安価に製作できる。
光触媒機能回復のために必要な光源を気流内部である接ガス部におく必要がなく装置構造が簡単になる。
自然光である太陽光を利用することで装置がさらに簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の全体の構成図である。
【図2】 集光フィルムを拡散フィルムと一体化した構成図である。
【符号の説明】
【0008】
1 拡散フィルム
2 光触媒担持フィルタ
3 筐体
4 光エネルギー供給部(光源部接続部:拡散フィルム)
5 光エネルギー入力端面(拡散フィルム)
6 光エネルギー出力面(拡散フィルム)
7 気流通過距離(接ガス距離)
8 集光フィルム
9 光エネルギー入力面(集光フィルム)
10 光エネルギー出力端面(集光フィルム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状、または、同心円状に巻いたPET、PC等の各種樹脂材料からなる平面あるいは、プリーツ状等に加工した光触媒に効果的に光エネルギーを照射するための拡散フィルム(1)、螺旋状に同様に巻いた光触媒を繊維状素材等に担持したフィルタ素材(2)、光触媒の機能を再生するための紫外線等の光エネルギーを供給する光エネルギー供給端面部(4)これらを保持するための樹脂製あるいは鋼板製の筐体(3)とからなる光触媒フィルタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−106921(P2009−106921A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306503(P2007−306503)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(303037622)
【Fターム(参考)】