説明

光触媒機能を担持した繊維製品及びその製造方法

【課題】繊維本来の風合い及び繊維の機械的特性を大きく損なうことなく、かつ、十分に高い光触媒機能を発揮し得る繊維製品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】繊維基材1の少なくとも一部に、少なくとも2層以上のクレイ層2を含む多重クレイ層10が静電的に固定され、該多重クレイ層10の最外層のクレイ層2Aに光触媒20が静電的に固定されてなることを特徴とする、光触媒を担持した繊維製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維表面に光触媒を担持した光触媒機能を持つ繊維製品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、織物、編物、不織布等の繊維製品に光触媒を担持させて、繊維製品に殺菌、除菌、防カビ効果を付与することが盛んに行われている。すなわち、繊維表面に存在させた光触媒は紫外線を吸収して強い酸化力を発揮し、汚染物質や臭気を分解し、殺菌、除菌、防カビ効果を発現する。しかしながら、酸化チタン等の強い酸化力を発現する光触媒を使用すると繊維製品を構成する繊維自体が損傷し、繊維自体の強度低下や特性劣化を引き起こすことも知られている。
【0003】
従って、酸化チタン等の光触媒と繊維基材とを隔離する技術が種々提案されており、例えば、特許文献1では、酸化チタンを多孔質リン酸カルシウムで被覆してから、メラミン樹脂からなるバインダーで繊維に固定する技術を提案し、特許文献2では、繊維基材にフッ素樹脂からなる透明な耐食性被膜を接着し、該耐食性被膜の外層に光触媒層を形成する技術を提案している。しかしながら、これらいずれの提案も、結果的に、繊維表面が樹脂で被覆されるので、繊維が有する本来の風合いが損なわれてしまうという欠点(特に、衣服用に適さないという欠点)があり、また、光触媒機能(殺菌、除菌、防カビ等の付与効果)及び繊維の劣化抑制の点においても十分満足できるレベルに達していないのが実情である。
【特許文献1】特開2000−119957号公報
【特許文献2】特開平10−216210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、繊維本来の風合い及び繊維の機械的特性を大きく損なうことなく、かつ、十分に高い光触媒機能を発揮し得る繊維製品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、(a)スメクタイト等の膨潤性層状珪酸塩を水中に分散することで生成する、負に帯電した層状珪酸塩の剥離層(薄層)が、繊維表面に静電的に接着してクレイ層を形成すること、(b)かかるクレイ層をポリカチオン水溶液に付すことでクレイ層にポリカチオン層が静電的に吸着し得ること、及び(c)かかるクレイ層を光触媒の水分散液に付すことでクレイ層に光触媒が静電的に固定され得ることを知見した。そして、これらの知見に基づいてさらに研究を進めることにより、クレイ層とポリカチオン層を交互に積層してクレイ層を多重に配置し、その表層(最上層)のクレイ層に光触媒を固定することで、樹脂等のバインダーを使用せずに繊維が光触媒から保護された状態で、繊維に光触媒が安定に担持され得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)繊維基材の少なくとも一部に、少なくとも2層以上のクレイ層を含む多重クレイ層が静電的に固定され、該多重クレイ層の最外層のクレイ層に光触媒が静電的に固定されてなることを特徴とする、光触媒を担持した繊維製品、
(2)多重クレイ層が、上下各一層のクレイ層がポリカチオン層を介して積層された積層部を1以上形成してなるものである、上記(1)記載の光触媒を担持した繊維製品、
(3)クレイ層が膨潤性層状珪酸塩層である、上記(1)または(2)記載の光触媒を担持した繊維製品、
(4)膨潤性層状珪酸塩層がスメクタイト層である、上記(3)記載の光触媒を担持した繊維製品、
(5)クレイ層の層厚が1μm未満である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(6)ポリカチオン層がアリルアミン系重合物層である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(7)光触媒が酸化チタンである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(8)繊維基材に、多重クレイ層の最内層のクレイ層が静電的に吸着してなる、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(9)繊維基材が、アミド結合を有する繊維を主たる構成繊維とする繊維基材である、上記(8)記載の光触媒を担持した繊維製品、
(10)アミド結合を有する繊維が、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維及び獣毛繊維からなる群から選択される1又は2種以上である、上記(9)記載の光触媒を担持した繊維製品、
(11)多重クレイ層の層厚が2nm〜10μmである、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(12)衣類の生地用である、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の光触媒を担持した繊維製品、
(13)繊維基材をポリカチオン水溶液に浸漬後、水洗する第1作業と、繊維基材を膨潤性層状珪酸塩の水分散液に浸漬後、水洗する第2作業とを、第2作業が少なくとも2回以上行われるように、交互に繰り返し、第2作業が最終作業となるように処理された繊維基材を乾燥して、少なくとも2層以上のクレイ層を含む多重クレイ層が繊維基材に一体化した複合物を作製する第1工程と、
光触媒が正帯電して分散した光触媒水分散液に前記複合物を浸漬後、水洗し、乾燥、焼結を行う第2工程とを少なくとも有する、光触媒を担持した繊維製品の製造方法、及び
(14)繊維基材が水中で表面が正に帯電する繊維基材であり、第1工程での最初の処理作業が第2作業である、上記(13)に記載の光触媒を担持した繊維製品の製造方法、に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光触媒を担持した繊維製品では、複数のクレイ層を含む多重クレイ層を介して光触媒が担持されるので、繊維基材が光触媒の酸化力によって劣化したり、機械的特性の低下を引き起こすことがなく、光触媒機能(殺菌、除菌、防カビ等の付与効果)が効果的に発現する。また、多重クレイ層は柔軟性に富むことから繊維が剛直化せず、また、クレイ層は比較的不活性な物質であることから、繊維の性状が改変されにくく、繊維の本来の風合いと繊維の機械的特性が維持された、衣類の生地用等に特に有用な繊維製品を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して説明する。
図1は本発明の光触媒を担持した繊維製品(以下、単に「繊維製品」とも略称する。)の一例を模式的に示した断面図である。当該一例の繊維製品100に示されるように、本発明の光触媒を担持した繊維製品は、繊維基材1の少なくとも一部に、複数のクレイ層2を含む多重クレイ層10が静電的に固定され、該多重クレイ層10の最外層のクレイ層2A(2)に光触媒20が静電的に固定されていることを主たる特徴としている。
【0009】
すなわち、本発明の光触媒を担持した繊維製品では、繊維基材1に少なくとも2層以上のクレイ層2を含む多重クレイ層10を静電的に固定し、該多重クレイ層10の最外層(表層)のクレイ層2Aに光触媒20を静電的に固定したことから、従来のこの種の繊維製品のように、繊維基材1を構成する繊維の表面に樹脂を付着させることなく、繊維基材1(繊維)が光触媒20の酸化作用から保護された状態で、光触媒が担持された繊維製品を実現できる。しかも、多重クレイ層10は柔軟性に富むことから繊維基材1を構成する繊維が剛直化せず、また、クレイは比較的不活性な物質であることから繊維の性状が改変されにくいため、繊維の本来の風合いと繊維の機械的特性が維持された、特に衣類の生地用に有用な、光触媒機能(殺菌、除菌、防カビ等の付与効果)を有する繊維製品を実現することができる。
【0010】
[多重クレイ層]
(クレイ層)
本発明において、多重クレイ層10を構成するクレイ層2は、天然若しくは合成の粘土鉱物からなる薄層であり、通常、天然若しくは合成の膨潤性層状珪酸塩が適用される。該膨潤性層状珪酸塩としては、水中に剥離分散可能なもの(水中で薄層に剥離し得るもの)が使用され、具体的には、スメクタイトや膨潤性雲母が挙げられ、中でも、水中での剥離分散性が良好なモンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、膨潤性雲母が好適であり、紫外線遮蔽能力が特に優れる点から、少量(FeOとFe換算で0.05〜4.5重量%程度)の鉄分を含んだ含鉄モンモリロナイトが特に好ましく使用される。また、クレイ層2は水中で膨潤性層状珪酸塩が剥離して得られる厚みが約1μm未満の薄層であり、クレイ層2の一層のみでは、光触媒の酸化力から繊維を十分に保護することが困難であることから、本発明では、少なくとも2層以上の複数のクレイ層2を含む多重クレイ層10を構成する。なお、クレイ層(一層)2の厚みの下限は特に限定はされないが、クレイ層2の厚みが薄すぎると、静電的に正に帯電した繊維表面あるいはポリカチオン層の表面を十分に被覆できず、次のポリカチオン層の積層が不十分になり、その結果、最表面に担持する光触媒層で生じる活性物質から繊維を保護する能力が低下する恐れがあるため、少なくとも約2nm以上を有することが好ましい。
【0011】
(ポリカチオン層)
多重クレイ層10は、図1に示されるように、上下各一層のクレイ層2がポリカチオン層3を介して積層された積層部4を少なくとも1つ以上有しており、負に帯電したクレイ層2とポリカチオン層3とが交互に静電的に吸着(接着)して積層体(多重クレイ層10)を構成する。なお、負に帯電したクレイ層2とポリカチオン層3との静電的接着は、静電結合だけでなく、ファンデルワールス力も作用していると考えられる。よって、多重クレイ層10は各層間が比較的高い接着力で接着した、構造的に安定な積層体である。
【0012】
ポリカチオンとしては、例えば、水溶性ポリアミン化合物、ポリアンモニウム化合物またはポリイオネン化合物等が挙げられる。具体例としては、ジシアンジアミドとホルマリンとの重縮合物、ジシアンジアミドとジエチレントリアミンとの重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミンのハロゲン化水素塩、ジアリルアンモニウム塩の重合物、ジアリルアミノエチル(メタ)アクリレート4級化物の重合物、アリルアミン塩・ジアリルアミン塩の共重合物、ジアリルアミン塩・二酸化硫黄共重合物、ジメチルジアリルアンモニウム塩・二酸化硫黄共重合物、モノアリルアミン塩酸塩・ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合物、ジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合物、ポリビニルピリジンおよびその塩、ポリビニルピリジニウム塩およびイオネン類等が挙げられ、これらの中でも、アリルアミン系重合物及び/又はジアリルアミン系重合物が好ましく、アリルアミン系重合物が特に好ましい。これらはいずれか1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
【0013】
また、ポリカチオンの分子量は特に限定されないが、分子量が大きすぎるとクレイ層との均質な積層を妨げ、処理溶液中に沈殿を生じやすい傾向となり、分子量が小さすぎるとクレイ層との結着性が低下し、膜厚が薄くなると共に積層膜の安定性と洗濯堅牢度低下の傾向となることから、重量平均分子量が1万〜50万の範囲が好ましく、5万〜15万の範囲がより好ましい。なお、ここでの重量平均分子量はGPCによるポリスチレン換算値である。
【0014】
ポリカチオン層3の一層の厚みは、積層の安定性、クレイ層の十分な被覆、膜構造の均質性等の観点から、約10〜50nm程度が好ましく、より好ましくは約10〜30nm程度である。10nm未満では、下層のクレイ層を被覆する程度が不十分であり、次のクレイ層の積層がさらに不十分になるとともに光触媒による酸化活性種の攻撃からの防御効能が低減する傾向となり、50nmより大きい場合、クレイ層から剥離しやすく、また基材表面の風合い、特に羊毛のキューティクル層の形状を喪失するため風合いを著しく低下させる傾向となる。
【0015】
本発明において、多重クレイ層10におけるクレイ層2の総層数は、特に限定はされないが、一般的には、2〜20層程度が好ましく、5〜10層程度がより好ましい。従って、多重クレイ層10の総厚みは、一般的には、20〜10000nm程度が好ましく、より好ましくは20〜1100nm程度、とりわけ好ましくは60〜1100nm程度であり、最も好ましくは60〜550nm程度である。総厚みが20nm未満では光触媒による基材の損傷を防御する能力が不足する傾向となり、10000nm(10μm)より大きい場合、基材本来の風合いを損ねたり、多重クレイ層の剥離が生じやすくなる傾向となる。
【0016】
[光触媒]
本発明で使用する光触媒は、光照射(特に紫外線照射)により励起して、酸化還元能力を発揮し、有機物を分解することができる金属酸化物であり、具体的には、酸化チタン(二酸化チタン)、チタン酸、チタン酸塩類、ニオブ酸、ニオブ酸類、チタノニオブ酸類、酸化亜鉛、酸化銅等、遷移金属の酸化物等が例示される。中でも、高い光触媒活性を有する点から、好ましくは酸化チタンであり、二酸化チタンあるいはより低次の酸化状態にあるものがよい。また、酸化チタンは、アナタース型、ルチル型、ブルッカイト型等の種々の結晶型のものを使用できるが、中でも、アナタース型が好ましい。また、本発明において、光触媒(金属酸化物)としては、一次粒子の平均粒子径が1μm未満(すなわち、ナノレベル)であるのが好ましく、特に結晶性が高く、一次粒子の平均粒子径が50nm以下のものが、高い光触媒活性を有する点で好ましい。なお、光触媒(金属酸化物)の一次粒子の平均粒子径の下限は特に限定はされないが、小さすぎると、量子サイズ効果によりバンドギャップが広がって近紫外光を有効利用できなくなって反応効率が低下する恐れがあるため、20nm以上が好ましい。ここでいう「一次粒子の平均粒子径」は、FE−SEM(電界放射走査型電子顕微鏡):日立製作所 S−5000型による電子顕微鏡写真観察下の画像から粒子径を求めた平均値である。なお、一次粒子の平均粒子径が1μm未満の光触媒(金属酸化物)は凝集しやすい傾向にあり、通常、最外層のクレイ層に二次粒子の状態で固定(吸着)される。
【0017】
本発明の繊維製品では、光触媒20は多重クレイ層10の表層のクレイ層2A(2)に静電的に固定される。すなわち、光触媒20である酸化チタン等の金属酸化物は、多くは、表面の水酸基等の親水性官能基の解離平衡により、酸性溶液中で正に帯電し、アルカリ性溶液中で負に帯電する。本発明では、かかる水中での金属酸化物の帯電傾向を利用し、後述するように、水中で正に帯電させた光触媒(金属酸化物)20を負に帯電するクレイ層(膨潤性層状珪酸塩層)2Aに静電的に吸着させて、光触媒20を多重クレイ層10の最外面に固定している。
【0018】
上記のとおり、一次粒子の平均粒子径が1μm未満の光触媒(金属酸化物)は、凝集しやすい傾向にあり、本発明の繊維製品において、光触媒(金属酸化物)は通常最外層のクレイ層に二次粒子の状態で固定(吸着)される。この光触媒粒子は概ね単粒子層として吸着されるため、光触媒層の厚さは1μm以下の薄層となる。ただし、製品の表面上で横方向には強く凝集する傾向が有り、SEMにて表面観察をすると数ミクロンの凝集構造が観測される。クレイ層への担持安定性、繊維の風合い保持等の観点から二次粒子の粒子径は50〜5000nmの範囲が好ましく、1000〜3000nm(1〜3μm)の範囲がより好ましい。ここで、光触媒の二次粒子は最外層のクレイ層に光触媒を担持させるための光触媒の水分散液中で形成され、平均粒子径2〜20μmの粒子を形成する。しかし、5μm以上のサイズの粒子は担持後の水洗浄により容易に除去されるため、クレイ層表面には厚さ約1μm、横方向の凝集サイズ1〜3μm程度の二次粒子を形成する。なお、水中に分散した光触媒の粒子径は、当該光触媒の水分散液中での光散乱法によって測定される。光触媒の水分散液中における二次粒子とクレイ層に担持された二次粒子との間での粒子径変動は小さく、光触媒の水分散液中での二次粒子の粒子径が、クレイ層に担持された光触媒の粒子径にそのまま反映される。
【0019】
多重クレイ層10の表層のクレイ層2Aにおける光触媒20の担持量は特に限定はされず、クレイ層2Aの表面に光触媒の単粒子吸着膜あるいは二次粒子吸着膜が形成されていればよい。本発明では、製造に使用する光触媒分散液中で光触媒が会合して二次粒子を形成してクレイ層2Aに静電的に吸着するので、光触媒の二次粒子吸着膜が容易に形成される。ここで、「単粒子吸着膜」とは、クレイ層2A(2)の表面に光触媒の一次粒子が略一様な密度で吸着(付着)している状態であり、「二次粒子吸着膜」とは、光触媒が二次粒子として吸着するか、若しくは、単一粒子層を保持した一次粒子が表面凝集した状態である。なお、必ずしもクレイ層2Aの表面が光触媒の粒子で完全に被覆されていなくてもよく、クレイ層2Aの表面の概ね30%以上が光触媒粒子で被覆されていればよい。すなわち、クレイ層2Aの表面における光触媒による被覆率は30%以上が好ましく、より好ましくは60%以上であり、とりわけ好ましくは80%以上である。なお、光触媒がクレイ層2Aの表面に過剰に吸着担持されると、かえって光触媒のクレイ層への固着が不安定となり、特に水中で剥離しやすくなる傾向となるので、好ましくない。なお、上記被覆率はFE−SEM等の走査型電子顕微鏡写真の画像から算出できる。
【0020】
[繊維基材]
本発明における繊維基材は、種々の繊維製品またはその基材として使用される種々の天然繊維及び/又は合成繊維からなる単繊維、撚糸、複合糸、中空糸、短繊維、織物、編物、ネット、不織布、わた等であり、構成繊維は特に限定されない。合成繊維としては、アクリルやモダアクリルなどのアクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66などのナイロン系繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリイミド系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ビニロン繊維、ポリウレタン系繊維等が挙げられ、また、天然繊維としては、セルロース系繊維、羊毛、カシミアやアンゴラなどの獣毛、絹等を使用することができる。該セルロース系繊維には、綿、麻、ケナフ、パルプなどの天然セルロース繊維の他、ビスコースレーヨン、キュプラ、アセテートなどの再生セルロース繊維などが挙げられる。
【0021】
主たる構成繊維が水中で負に帯電する繊維(例えば、綿、セルロース、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエーテル等)からなる、水中で表面が負に帯電する繊維基材に多重クレイ層を固定して、本発明の光触媒を担持した繊維製品を作製する場合は、後述の多重クレイ層の形成方法における、ポリカチオン層の形成作業(第1作業)を最初に行い、その後、クレイ層の形成作業(第2作業)、ポリカチオン層の形成作業(第1作業)を交互に行って、最後にクレイ層の形成作業(第2作業)を行うことで、繊維基材にその最外層(表層)がクレイ層からなる多重クレイ層を固定して、該最外層(表層)のクレイ層に光触媒を担持させればよい。一方、主たる構成繊維が水中で正に帯電する繊維(例えば、ナイロン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリイミド系繊維、ポリウレタン系繊維、羊毛、絹、獣毛等)からなる、水中で表面が正に帯電する繊維基材に多重クレイ層を固定して、本発明の光触媒を担持した繊維製品を作製する場合は、後述の多重クレイ層の形成方法における、クレイ層の形成作業(第2作業)を最初に行い、その後、ポリカチオン層の形成作業(第1作業)、クレイ層の形成作業(第2作業)を交互に行って、最後にクレイ層の形成作業(第2作業)を行うことで、繊維基材にその最外層(表層)がクレイ層からなる多重クレイ層を固定し、該最外層(表層)のクレイ層に光触媒を担持させればよい。
なお、本発明において、「繊維基材の主たる構成繊維」とは、通常、繊維基材全体の50〜100質量%を占める構成繊維のことである。
【0022】
但し、繊維基材の表面にポリカチオン層を形成すると、構成繊維の表面にポリカチオンが付着して、繊維が剛直化する傾向となるので、水中で表面が正に帯電する繊維基材に対して、最初にクレイ層を形成して多重クレイ層を固定し、該多重クレイ層に光触媒を担持させた態様の繊維製品の方が、繊維本来の風合い及び繊維の機械的特性の確保という本発明の目的をより高いレベルで達成することができる。また、クレイ層にスメクタイトを使用した場合、スメクタイトはポリアニオンであるため、多点静電結合が可能となり、吸着平衡定数は個々のイオン結合の累乗となるため、水中で表面が正に帯電する繊維基材に対して極めて安定で強固に固着したクレイ層を形成することができる。特に、ナイロン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、羊毛、絹等のアミド結合を有する繊維は水中で正に帯電しやすいので、クレイ層が吸着しやすく、これらを主たる構成繊維として作製された繊維基材にはより安定な多重クレイ層を形成することができ、光触媒機能(殺菌、除菌、防カビ等の付与効果)及び繊維の劣化抑制の点でも特に好ましい繊維製品を得ることができる。
【0023】
[光触媒を担持した繊維製品の製法]
(1)繊維基材−多重クレイ層複合物の作製
繊維基材をポリカチオン水溶液に浸漬後、水洗する第1作業(ポリカチオン層形成作業)と、繊維基材を膨潤性層状珪酸塩の水分散液に浸漬後、水洗する第2作業(クレイ層形成作業)とを交互に行い、最終の作業をクレイ層形成作業にして全作業を終了し、得られた最終物を自然乾燥する。なお、繊維基材が水中で表面が正に帯電する繊維基材である場合は、最初の作業をクレイ層形成作業(第2作業)とし、繊維基材が水中にて表面が負に帯電する繊維基材である場合は、最初の作業をポリカチオン層形成作業(第1作業)とする。こうすることで、少なくとも2層以上のクレイ層を含む多重クレイ層が繊維基材に一体化した複合物を作製することができる。
【0024】
なお、ポリカチオン層の形成作業(第1作業)において、ポリカチオン水溶液におけるポリカチオンの濃度(含有量)は使用するポリカチオンの種類によっても異なるが、一般的には、0.2〜10g/L程度である。ポリカチオンの濃度(含有量)が10g/Lより多いと、均質な吸着が困難になり、基材の風合いを損なう傾向となり、0.2g/L未満では吸着量及び吸着速度が共に低下するため、被覆が不十分な傾向となる。また、クレイ層形成作業において、膨潤性層状珪酸塩の水分散液における膨潤性層状珪酸塩の濃度(含有量)は、使用する膨潤性層状珪酸塩の種類によっても異なるが、一般的には、0.01〜10g/L程度である。膨潤性層状珪酸塩の濃度(含有量)が10g/Lより多いと、分散が困難であるか、あるいは、ゲル化するため均質な吸着が困難になる傾向となり、0.01g/L未満では被覆が不十分な傾向となる。
【0025】
クレイ層とポリカチオン層を交互に形成した後の自然乾燥とは、温度5〜30℃程度、湿度20〜80%の環境下で12〜24時間程度放置する処理であり、また、日光を遮った環境下で行う(陰干し)のが好ましい。この時間は、遠心脱水等による脱水操作により短縮することができる。
【0026】
(2)光触媒の担持
まず、遊星攪拌機等を使用し、例えばジルコニアボール等を粉砕用ボールとして使用したボールミルに、ジルコニアボール等の粉砕用ボール、酸化チタン等の光触媒、及び蒸留水を入れ、300〜1000rpmで、所定時間(一般に15〜120分程度)攪拌後、さらに蒸留水を加えて攪拌する作業を繰り返して、光触媒含有量が100g/Lのペーストを調製する。次に、蒸留水に塩酸等を加えてpHを3〜5.5程度に調整した酸性水に、上記光触媒ペーストを適量加えて分散し、光触媒が正帯電して分散した水分散液を調製する。該分散液中の光触媒の含有量は0.05〜5g/L程度が好ましい。光触媒の濃度(含有量)が5g/Lより多いと、剥離しやすくなるとともに歩留まり低下の傾向となり、0.05g/L未満では十分な担持が行えない傾向となる。次にかかる光触媒の水分散液中に前記(1)で作製した繊維基材−多重クレイ層複合物を浸漬した後、水洗し、自然乾燥する。そして、乾燥後、60〜150℃で1〜3時間程度焼結する。なお、ここでの自然乾燥とは、温度15〜30℃程度、湿度20〜80%の環境下で12〜24時間程度放置する処理であり、また、日光を遮った環境下で行う(陰干し)のが好ましい。この時間は、遠心脱水等による脱水操作により短縮することができる。焼結により光触媒が多重クレイ層の最外層のクレイ層に静電的に吸着して固定された、目的の光触媒を担持した繊維製品が得られる。
【0027】
本発明の光触媒を担持した繊維製品は、衣類、寝具、テーブルクロス、壁紙、カーテン、絨毯、シート、椅子などの内装品等の種々の用途の繊維製品に好適に適用することができ、中でも、繊維の風合いが損なわれないという従来の光触媒を担持した繊維製品では改善困難であった課題を解消できることから、肌着、下着、上着を問わず、種々の衣類の生地用として特に好適に使用することができる。また、本発明の光触媒繊維に太陽光または室内灯による微弱な紫外線が照射されることにより光触媒活性を持つため、衣服として着用した場合、或いは、壁紙、シーツ、カバーなどとして使用した場合には、光照射される表面層だけが活性化され、光が照射されない裏面では活性は示さない。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
(実施例1、2及び比較例1、2)
[1]使用材料
1.繊維基材
ウール薄地の織物からなる下記(1)〜(4)の生地を用意した。
(1)生成(エコウォッシュ)未加工品
(2)黒(レギュラー)未加工品
※1 生成(きなり)=漂白・染色されていない生地
※2 エコウォッシュ=オゾン処理されたウール(倉敷紡績(株)社製、商品名)
※3 黒=黒に染色された生地
※4 レギュラー=オゾン処理等の特定処理されていない生地
【0029】
2.エタノール
3.Feとして1.4重量%およびFeOとして0.2重量%を含有する含鉄モンモリロナイト〈月布〉(粘土)
4.ポリアリルアミン塩酸塩水溶液(40重量%)(重量平均分子量:150,000、日東紡績(株)製)
5.塩酸
6.酸化チタン(昭和タイタニウム株式会社製の商品名UFA):リング状超微粒子アナタース型酸化チタン
【0030】
[2]光触媒加工
A.多重クレイ層−繊維基材複合物の作製
(1)繊維基材をエタノールに浸漬させて24h洗浄する。
(2)蒸留水で洗浄し、エタノール分を取り除く。
(3)モンモリロナイト0.1gを1Lの蒸留水に分散し、0.1g/L水溶液を作製する。この溶液に洗浄した繊維基材を15分浸漬する。
(4)蒸留水中で2回洗浄する。
(5)ポリアリルアミン塩酸塩水溶液(40重量%)2.34gを蒸留水1Lで希釈し、10mmol/L水溶液を作製する。この溶液に(4)で得られたモンモリロナイト(クレイ層)が吸着した繊維基材を15分浸漬する。
(6)蒸留水中で2回洗浄する。
(7)(3)〜(6)を繰り返し、10回クレイ層を形成する。
(8)(7)の作業後の10層のクレイ層を有する多重クレイ層が吸着した繊維基材を陰干しする。
【0031】
B.酸化チタン(層)−多重クレイ層−繊維基材複合物の作製
(1)酸化チタンペーストの調製
遊星攪拌機を使用する。ジルコニアボールミルに、ジルコニアボール(直径2mm)9g、酸化チタン2g、蒸留水4mLを入れる。もう片方のボールミルの重さも同じになるようにジルコニアボールと水とで重さを調整する。450rpmで15分攪拌する。攪拌が終わったら、蒸留水を4mL加え、また同条件で攪拌する。さらに蒸留水を入れて攪拌を繰り返し、蒸留水が20mLになったところで、100g/Lペーストが完成する。
(2)酸化チタン水分散液の調製
300mLの蒸留水を塩酸でpH4.5に調整し、その溶液中に(1)の酸化チタンペーストを3mL分散し、1g/Lの酸化チタン分散溶液を調製する。
(3)前記A.で作製した多重クレイ層−繊維基材複合物を(2)の酸化チタン分散溶液に15分浸漬し、蒸留水で1回洗浄する。
(4)(3)の作業後の複合物を陰干し、乾燥したら、120℃で2時間焼結させる。
【0032】
実施例1
生成(エコウォッシュ)未加工品に上記の光触媒加工を施した。
【0033】
比較例1
生成(エコウォッシュ)未加工品をそのまま使用した。
【0034】
実施例2
黒(レギュラー)未加工品に上記の光触媒加工を施した。
【0035】
比較例2
黒(レギュラー)未加工品をそのまま使用した。
【0036】
なお、実施例1において、多重クレイ層全体の厚みは約500nm、多重クレイ層中のクレイ層(一層)の厚みは約20nm、ポリアリルアミン塩酸塩層(一層)の厚みは約30nmであった。ここで、多重クレイ層全体の厚みはFE−SEM(電界放射走査型電子顕微鏡):(株)日立製作所社製 S−5000型 によって得られた複合物断面の画像写真からの判定した値であり、また、クレイ層(一層)及びポリアリルアミン塩酸塩層(一層)の厚さは、多重クレイ層全体の厚みからの類推値である。
【0037】
また、最外層のクレイ層に固定(吸着)された酸化チタンの一次粒子の粒子径範囲は20〜100nm(平均粒子径:30nm)であり、かかる一次粒子が凝集した二次粒子の粒子径範囲は20〜5000nm(平均粒子径:2400nm)であった。
【0038】
ここで、酸化チタン粒子の一次粒子の粒子径は、FE−SEM(電界放射走査型電子顕微鏡):(株)日立製作所社製 S−5000型 によって得られた繊維表面の画像写真からの算出値であり、平均粒子径は複数個の粒子径の平均値である。具体的には、最初に視野に粒子が500個以上入るように倍率を設定して電子顕微鏡写真を撮影し、次に、写真に写った各粒子の像の面積を算出し、さらにこの算出された面積から同面積を持つ円の直径(すなわち、ヘイウッド径)を算出して、個々の粒子の粒子径とし、測定個数の個数平均を計算して平均粒径とした。

【0039】
また、二次粒子の粒子径(平均粒子径)は、酸化チタン水分散液を水で希釈した試料液(pH:5)中の粒子について、光散乱粒度分布計(島津製作所:SALD−200V)で測定した。なお、平均粒径は、算術平均径である。
【0040】
また、実施例2において、多重クレイ層全体の厚みは500nm、クレイ層(一層)の厚みは約20nm、ポリアリルアミン塩酸塩層(一層)の厚みは約30nmであった。また、最外層のクレイ層に固定(吸着)された酸化チタンの一次粒子径の範囲は20〜100nm(平均粒子径:30nm)であり、その粒子が凝集してなる二次粒子径は20〜5000nm(平均粒子径:2400nm)であった。
【0041】
実施例1、2及び比較例1、2につき、以下の(1)消臭試験と(2)多重クレイ層の有効性試験を実施した。
【0042】
(1)消臭試験
<目的>光触媒機能を発揮するかについて、明暗条件での比較検討。
<方法>1Lのテドラーバッグに試料1gを入れ、硫化水素ガスを所定濃度投入し、光(2時間後まで蛍光灯下、その後、ブラックライトに変更)が有る場合と、無い場合で、残留ガス濃度を検知管にて測定。
<結果>下記表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1から分かるように、実施例1、2の光触媒加工が施された生地は光照射下において、明確な消臭効果が認められた。
【0045】
(2)多重クレイ層の有効性試験
<目的>多重クレイ層の保護作用の有無の確認。
<方法>各試料を殺菌保存庫(UV照射(214nm))内で約1週間実施。放置後の試料について、経糸の強伸度測定を実施。
<結果>下記表2に示す。
【0046】
なお、経糸の強伸度(最大荷重、最大伸度、弾性率)の測定は、島津製作所社製「オートグラフ」(AG−IS MO形)を用い、JIS L−1095:1999 9.5.1(単糸引張り強さ及び伸び率:標準時)に記載される方法に準じて行った。なお、つかみ幅は100mm、試験速度は20mm/minである。弾性率は、上記試験から得られる荷重−変位曲線の最大傾き部分について、上記「オートグラフ」に付属するソフトウェアから算出される弾性率(Standard)を用いた。
【0047】
【表2】

【0048】
表2から、実施例1、2(光触媒加工品)も比較例1、2(未加工品)もUV照射前後の物性に殆ど変化がなく、従って、光触媒による繊維基材(生地)への悪影響(分解等)が生じていないことが分かる。
【0049】
(3)生地の風合い
実施例1、2(光触媒加工品)の風合いは、官能による触感試験において比較例1、2(未加工品)と比較してほとんど差がなった。また、目視、色感検査などの結果においても比較例1、2(未加工品)と殆ど差がなく、繊維基材の風合いに光触媒加工により影響が殆どないことを確認できた。
【0050】
以上の試験結果から、本発明の光触媒を担持した繊維製品は、複数のクレイ層を含む多重クレイ層を介して繊維基材に光触媒を担持させたことで、繊維基材の劣化(物性低下)を起こさずに、十分に高い光触媒機能を発揮するものであることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の光触媒を担持した繊維製品の一例の模式断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 繊維基材
2(2A) クレイ層
3 ポリカチオン層
10 多重クレイ層
20 光触媒
100 繊維製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材の少なくとも一部に、少なくとも2層以上のクレイ層を含む多重クレイ層が静電的に固定され、該多重クレイ層の最外層のクレイ層に光触媒が静電的に固定されてなることを特徴とする、光触媒を担持した繊維製品。
【請求項2】
多重クレイ層が、上下各一層のクレイ層がポリカチオン層を介して積層された積層部を1以上形成してなるものである、請求項1記載の光触媒を担持した繊維製品。
【請求項3】
クレイ層が膨潤性層状珪酸塩層である、請求項1または2記載の光触媒を担持した繊維製品。
【請求項4】
膨潤性層状珪酸塩層がスメクタイト層である、請求項3記載の光触媒を担持した繊維製品。
【請求項5】
クレイ層の層厚が1μm未満である、請求項1〜4のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
【請求項6】
ポリカチオン層がアリルアミン系重合物層である、請求項1〜5のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
【請求項7】
光触媒が酸化チタンである、請求項1〜6のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
【請求項8】
繊維基材に、多重クレイ層の最内層のクレイ層が静電的に吸着してなる、請求項1〜7のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
【請求項9】
繊維基材が、アミド結合を有する繊維を主たる構成繊維とする繊維基材である、請求項8記載の光触媒を担持した繊維製品。
【請求項10】
アミド結合を有する繊維が、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維及び獣毛繊維からなる群から選択される1又は2種以上である、請求項9記載の光触媒を担持した繊維製品。
【請求項11】
多重クレイ層の層厚が2nm〜10μmである、請求項1〜10のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
【請求項12】
衣類の生地用である、請求項1〜11のいずれか1項記載の光触媒を担持した繊維製品。
【請求項13】
繊維基材をポリカチオン水溶液に浸漬後、水洗する第1作業と、繊維基材を膨潤性層状珪酸塩の水分散液に浸漬後、水洗する第2作業とを、第2作業が少なくとも2回以上行われるように、交互に繰り返し、第2作業が最終作業となるように処理された繊維基材を乾燥して、少なくとも2層以上のクレイ層を含む多重クレイ層が繊維基材に一体化した複合物を作製する第1工程と、
光触媒が正帯電して分散した光触媒水分散液に前記複合物を浸漬後、水洗し、乾燥、焼結を行う第2工程とを少なくとも有する、光触媒を担持した繊維製品の製造方法。
【請求項14】
繊維基材が水中で表面が正に帯電する繊維基材であり、第1工程での最初の処理作業が第2作業である、請求項13に記載の光触媒を担持した繊維製品の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−185406(P2009−185406A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25452(P2008−25452)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】