説明

光触媒用の機能性超微粒子材料、その製造方法及び製品

【課題】高い光透過性を有し、光触媒材料として有用な機能性超微粒子材料、その製造方法及び製品を提供する。
【解決手段】光触媒用の機能性超微粒子材料であって、アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)ナノ微粒子がシリカ粒子の表面に被覆されている機能性超微粒子材料、光触媒用の耐熱性機能性超微粒子材料であって、1200℃迄の温度域でも単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相が維持される機能性超微粒子材料、それらの応用製品及びそれらの製造方法。
【効果】1200℃迄の温度域でも単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相が維持されて光触媒作用を保持する機能性超微粒子材料を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い光触媒活性及び耐熱性を有する光触媒の原材料となる光触媒用の機能性超微粒子材料、その製造方法及びその製品に関するものであり、更に詳しくは、例えば、産業廃棄物の廃非晶質シリカガラス粉末や廃石英粉末等を基材として利用して、該基材表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆し、アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)微粒子がシリカ粒子の表面に被覆されている機能性超微粒子材料を製造する方法、該機能性超微粒子材料を赤外線加熱(RTA)方式やマイクロ波加熱方式等により焼成て、1200℃迄の温度域でも光触媒機能を発現する耐熱性機能性超微粒子材料を製造する方法、該機能性超微粒子材料及びその応用製品に関するものである。
【0002】
従来の酸化チタン光触媒は、例えば、900℃以上の高温で加熱すると、活性の高いアナターゼ相は、活性の低いルチル相へ変化してしまい、例えば、陶磁器用の光触媒としては使用することができないという問題があったが、本発明は、1200℃迄の温度域でも、高い光触媒活性を発現する光触媒用の機能性超微粒子材料及びその応用製品を製造し、提供することを可能とする新しい光触媒材料の製造技術及びその製品を提供するものである。本発明は、例えば、産業廃棄物の廃非晶質シリカガラス等を有効利用して新しい耐熱性光触媒及びその製品を製造し、提供することを実現化することにより、当技術分野における新技術・新産業の創出に資するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、酸化チタンの光触媒効果を利用した方法及びその製品は、例えば、防汚、脱臭、抗菌、大気浄化、及び浄水等の広範な用途に使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、従来の酸化チタン光触媒は、900℃以上の高温で焼成すると、活性の高いアナターゼ相から、活性の低いルチル相へ相変態を起こし、光触媒活性が低下することから、製造過程で高温焼成が必要とされる製品等への適用が制限されるという問題点を有していた。
【0004】
光触媒の性能は、一般的には、例えば、メチレンブルー溶液の色素分解能力によって評価することができる。光触媒を高活性化するためには、光透過性と高い比表面積を有し、活性の高いアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相を持つようにすることが必要である。一例として、例えば、シリカに適当な金属アルコキシド溶液を添加して光触媒材料を製造する方法として、以下の方法が採用されている。すなわち、この方法は、シリカ粉末と金属アルコキシド溶液を所定量秤量し、水又は特定の溶媒中で加水分解を起こし、粉末の表面に酸化チタンを被覆した後、この被覆粉末を大気中で焼成して光触媒材料とするものである。
【0005】
しかしながら、このような上記金属被覆粉末を大気中で焼成して光触媒粉末材料を製造する方法では、高い比表面積と活性の高いアナターゼ相を維持するために、低温焼成を行うことが必要とされる。すなわち、この種の光触媒粉末材料は、600℃以上、特に、900℃以上で加熱してしまうと、活性の高いアナターゼ相は、活性の低いルチル相へ変化してしまうので、そのような加熱を施す製品へ適用することができず、例えば、その製造過程で高温焼成が必要とされる各種セラミックス、陶磁器素材、及び金属材料等の表面処理に使用することができなかった。そこで、当技術分野では、例えば、900℃以上の高温で焼成しても、高い光触媒活性を維持することが可能な耐熱性光触媒及びその応用製品の開発が強く望まれていた。
【0006】
【特許文献1】特開平6−65012号公報
【特許文献2】特開平1−218635号公報
【特許文献3】特開平10−87384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、例えば、各種セラミックスや陶磁器の焼成過程で、1200℃迄の温度域でも光触媒機能を維持することが可能な新しい耐熱性光触媒を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、例えば、シリカガラス粉末(産業廃棄物)と金属アルコキシド溶液等を混合し、得られるチタン・シリカ複合材料粉末を、大気中又は不活性ガス、酸化性ガス若しくは還元性ガス中、混合ガス中又は真空中でRTA(赤外線加熱)方式やマイクロ波加熱方式等により焼成することで作製される、焼成されたアナターゼ相からなる酸化チタンナノ微粒子がシリカ粒子(0.1nm以上)の表面に強固に担持されている機能性超微粒子材料が、1200℃迄の温度域でも、高い比表面積と光触媒活性の高いアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相を維持することができることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、原料としてシリカ材料とチタン源を利用して、シリカ粒子の表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)微粒子を被覆し、アナターゼ相からなる酸化チタン微粒子がシリカ粒子の表面に被覆されている機能性超微粒子材料を製造すること、次いで、これを粉末の状態で、大気中又は不活性ガス、酸化性ガス若しくは還元性ガス中、混合ガス中又は真空中でRTA(赤外線加熱)方式やマイクロ波加熱方式等の加熱手段で焼成することで、1200℃迄の温度域でも、活性の高いアナターゼ相と高い比表面積を維持し、光透過性と耐熱性を有し、高い光触媒活性を発現する新規な機能性超微粒子材料を製造すること、を可能とする新しい機能性超微粒子材料の製造方法を提供することを目的とするものである。本発明は、例えば、溶融非晶質シリカガラス粉末、廃非晶質シリカガラス粉末(産業廃棄物)や廃石英粉末(産業廃棄物)を有効利用して、上記機能性超微粒子材料及びその応用製品を提供すること、及び高温で焼成しても高い比表面積と、光触媒活性の高いアナターゼ相を維持し、光透過性と耐熱性を有する耐熱性機能性超微粒子材料を作製することを可能とする耐熱性機能性超微粒子材料の製造方法及びその応用製品を提供すること、を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)光触媒用の機能性超微粒子材料であって、1)アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)ナノ微粒子がシリカ粒子の表面に被覆されている、2)光触媒作用を有する、3)1200℃迄の温度域で熱処理がある場合でも、ない場合でも単一のアナターゼ相が維持される、ことを特徴とする機能性超微粒子材料。
(2)光触媒用の耐熱性機能性超微粒子材料であって、1)焼成されたアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタンナノ微粒子がシリカ粒子の表面に担持されている、2)光触媒作用を有する、3)1200℃迄の温度域でも単一のアナターゼ相が維持される、ことを特徴とする機能性超微粒子材料。
(3)前記(1)に記載の光触媒用の機能性超微粒子材料を含むことを特徴とする光触媒製品。
(4)上記光触媒製品が、上記機能性超微粒子材料を含む、粉末、ゾル液、コーティング液又は塗料である、前記(3)に記載の光触媒製品。
(5)前記(1)又は(2)に記載の機能性超微粒子材料を使用して光触媒機能を付与したことを特徴とする製品。
(6)上記製品が、セラミック製品、高分子材料製品、陶磁器製品又は金属製品である、前記(5)に記載の光触媒機能を付与した製品。
(7)前記(1)に記載の光触媒用の機能性超微粒子材料を製造する方法であって、原料のシリカ材料とチタン源から調製されるチタン・シリカ複合材料を溶媒中で混合し、シリカ材料表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆して、アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタンナノ微粒子がシリカ粒子表面に被覆された機能性超微粒子を製造することを特徴とする機能性超微粒子材料の製造方法。
(8)前記(2)に記載の光触媒用の耐熱性機能性超微粒子材料を製造する方法であって、1)原料のシリカ材料とチタン源から調製されるチタン・シリカ複合材料を溶媒中で混合し、シリカ材料表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆する、2)これを、所定の温度範囲で焼成することにより、酸化チタンナノ微粒子をシリカ粒子表面に強固に担持させる、3)それにより、1200℃迄の温度域でも単一のアナターゼ相が維持されて光触媒作用を保持する耐熱性機能性超微粒子材料を製造する、ことを特徴とする機能性超微粒子材料の製造方法。
(9)原料シリカ材料として、1)非天然鉱物の非晶質シリカガラス粉末、石英粉末、溶融シリカガラス粉末、ガラスから選ばれる一種、2)天然鉱物のクリストバル石、鱗ケイ石、石英、玉髄、瑪瑙、タンパク石、シリカゲルから選ばれる一種、又は3)産業廃棄物の廃シリカガラス粉末、廃石英粉末、廃溶融シリカガラス粉末、廃ガラス、廃シリカゲルから選ばれる一種、を使用する、前記(8)に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
(10)シリカ材料表面に、0〜500℃の温度範囲で酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆する、前記(7)又は(8)に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
(11)酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆した材料を、凍結乾燥法、真空乾燥法、噴霧乾燥法又は大気中にて乾燥する、前記(8)に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
(12)赤外線加熱(RTA)方式、マイクロ波加熱又はプラズマ焼結(SPS)方式又は常圧焼成・焼結方式により焼成する、前記(8)に記載の機能性超微粒子の製造方法。
(13)大気又は不活性ガス中、酸化性ガス若しくは還元性ガス中、混合ガス中又は真空中で1200℃迄の温度範囲で焼成する、前記(8)に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
(14)焼成工程において、昇温速度を0.01℃/min〜2000℃/minに制御する、前記(8)に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
(15)前記(7)又は(8)に記載の方法により、産業廃棄物の廃非晶質シリカガラス粉末、廃石英粉末、廃溶融シリカガラス粉末、廃ガラス、又は廃シリカゲルを光触媒用の機能性超微粒子材料として再利用することを特徴とする上記産業廃棄物の再資源化方法。
(16)チタン源が、塩化チタン、塩化チタン溶液、硫酸チタン溶液、チタニウムテトライソプロポキシド・チタニウムエトキシド・チタニウムテトラエトキシド・チタニウムテトラ−n−ブトキシド,モノマー、チタニウムテトラ−n−ブトキシド,テトラマー、チタニウム−n−ブチラート,モノマー、チタニウム−n−ブチラート,テトラマー、又はチタンを含んだ化成品(工業用を含む)である、前記(7)又は(8)に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
(17)上記溶媒が、水、無水エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−3−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノン又はエタノール(各溶媒の工業用を含む)である、前記(7)又は(8)に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
【0010】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、光触媒用の機能性超微粒子材料であって、(1)アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)ナノ微粒子がシリカ粒子の表面に被覆されている、(2)光触媒作用を有する、(3)1200℃迄の温度域で熱処理がある場合でも、ない場合でも単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相が維持されることを特徴とするものである。また、本発明は、光触媒用の耐熱性機能性超微粒子材料であって、(1)焼成されたアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタンナノ微粒子がシリカ粒子の表面に担持されている、(2)光触媒作用を有する、(3)1200℃迄の温度域でも単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相が維持されることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、上述の光触媒用の機能性超微粒子材料を含むことを特徴とする光触媒製品であり、上記光触媒製品が、上記機能性超微粒子材料を含む、粉末、ゾル液、コーティング液又は塗料であること、を好ましい実施態様としている。また、本発明は、上述の機能性超微粒子材料を使用して光触媒機能を付与したことを特徴とする製品であり、上記製品が、セラミック製品、高分子材料製品、陶磁器製品又は金属製品であること、を好ましい実施態様としている。
【0012】
また、本発明は、上述の光触媒用の機能性超微粒子材料を製造する方法であって、原料のシリカ材料とチタン源から調製されるチタン・シリカ複合材料を溶媒中で混合し、シリカ材料表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆して、アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)ナノ微粒子がシリカ粒子表面に被覆された機能性超微粒子を製造すること、を特徴とするものである。
【0013】
更に、本発明は、上述の光触媒用の耐熱性機能性超微粒子材料を製造する方法であって、原料のシリカ材料とチタン源から調製されるチタン・シリカ複合材料を溶媒中で混合し、シリカ材料表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆すること、これを、所定の温度範囲で焼成することにより、酸化チタンナノ微粒子をシリカ粒子表面に強固に担持させること、それにより、1200℃迄の温度域でも単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相が維持されて光触媒作用を保持する耐熱性機能性超微粒子材料を製造すること、を特徴とするものである。
【0014】
本発明の「光触媒用の機能性超微粒子材料」は、アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる0.1nm〜1000μmの酸化チタン微粒子が、0.1nm以上のシリカ粒子の表面に被覆された複合構造を有し、該機能性超微粒子を含む粉末、ゾル液、コーティング液又は塗料からなる光触媒製品として応用することができる。
【0015】
本発明の上記機能性超微粒子材料は、従来製品、例えば、シリカ粉末と金属アルコキシド溶液を所定量秤量し、水又は特定の溶媒中で加水分解を起こし、粉末表面に金属を被覆した後、この金属被覆粉末を大気中で焼成した光触媒材料もしくはその中間製品と比較して、1200℃迄の温度域でも単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相が維持されて光触媒作用を保持することで本質的に区別される特徴を有している。
【0016】
これは、原料のシリカ材料とチタン源から調製されるチタン・シリカ複合材料、すなわち、酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)被覆シリカ複合材料を溶媒中で十分に混合することにより、それらの成分の微細化と、分散性及び均一性が飛躍的に向上し、微細化された酸化チタンナノ微粒子がシリカ粒子表面に高分散、高均一に被覆された複合構造が形成されることによるものと考えられる。しかし、上述の従来製品では、このような複合構造を形成することは不可能であり、1200℃迄の温度域で単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相を維持することはできない。
【0017】
本発明では、例えば、シリカガラス粉末や溶融シリカガラス粉末等のシリカ原料とチタン源から調製されるチタン・シリカ複合材料を溶媒中で混合して、シリカ粉末の表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆し、アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタン微粒子がシリカ粒子の表面に被覆された機能性超微粒子材料を製造する。次いで、得られた粉末を、大気中又は不活性ガス、酸化性ガス若しくは還元性ガス中、混合ガス中又は真空中でRTA(赤外線加熱)法やマイクロ波加熱方式等の加熱方式で焼成することにより、酸化チタン微粒子をシリカ粒子の表面に強固に担持させ、高比表面積にした耐熱性機能性超微粒子材料を製造する。
【0018】
本発明では、上記機能性超微粒子材料の構成元素のシリカ源として、酸化シリコン、シリカガラス及びガラスや天然長石等が用いられ、例えば、これらの構成元素のシリカを含むシリカガラス粉末、石英粉末、溶融シリカガラス粉末、ガラス、天然鉱物として、クリストバル石、鱗ケイ石、石英、玉髄、瑪瑙、タンパク石、シリカゲル、上記構成元素を含む産業廃棄物の廃シリカガラス粉末、廃石英粉末、廃溶融シリカガラス、廃ガラス、廃シリカゲル等がシリカ材料として用いられる。
【0019】
しかし、これらの原料に限らず、これらの原料と同等あるいは類似の原料であれば同様に使用することができる。本発明では、上記シリカ材料として、好適には、例えば、球状な廃シリカ粉末、例えば、天然長石を粗砕してから高温雰囲気を通過してくることで球状に溶融されて出てくる材料を使った粉末が好適に用いられる。高い光触媒活性が期待できる廃シリカ粉末として、例えば、平均粒子径(D50):0.001ミクロン以上、粒子径:0.1nm以上、比表面積:0.1m/g以上、組成分析:SiO成分(濃度)が1.0%以上、不純物:Fe成分(濃度)が99.9%以下、の廃シリカ粉末が例示される。
【0020】
また、本発明では、目的とする光触媒用の機能性超微粒子材料を製造するために、好ましくは、チタン源から調製される金属アルコキシドが用いられる。このような金属アルコキシドとしては、好適には、例えば、Ti(OC 〔テトラエチルオルトチタン酸)、Ti((CHCHO)〔チタニウムテトライソプロポキシド〕又はTi(OC〔チタニウムテトラ−n−ブトキシド〕を例示することができるが、これらに制限されるものではなく、これらと同効のものであれば同様に使用することができる。また、本発明では、上記チタン源として、塩化チタン、塩化チタン溶液、硫酸チタン溶液、チタニウムテトライソプロポキシド・チタニウムエトキシド・チタニウムテトラエトキシド・チタニウムテトラ−n−ブトキシド,モノマー、チタニウムテトラ−n−ブトキシド,テトラマー、チタニウム−n−ブチラート,モノマー、チタニウム−n−ブチラート,テトラマー、又はチタンを含んだ化成品(工業用を含む)が例示される。
【0021】
本発明では、原料として、これらのシリカ材料及びチタン源を所定量秤量したものを配合し、この配合物から調製されるチタン・シリカ複合材料を水又は特定の溶媒中で混合して、シリカ材料表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)微粒子を被覆して、光触媒用の機能性超微粒子材料を製造する。この場合、溶媒として、好適には、例えば、水、無水エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−3−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノン又はエタノール(各溶媒の工業用を含む)等が用いられる。
【0022】
本発明において、Tiの配合比率は、シリカ粉末に対して0.001〜200%以上であり、この配合比率でシリカ粉末にチタン源を配合して調製されるチタン・シリカ複合材料を溶媒中で混合し、酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)微粒子をシリカ粉末表面に被覆する。酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)の被覆は、好適には、例えば、0〜500℃、好ましくは室温(15〜40℃)で行われる。また、酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)被覆材料の合成は、大気中又は不活性ガス雰囲気中で行われるが、大気中で合成することが、経済的で、簡易であるので好ましい。次いで、これを、乾燥後、大気中又は不活性ガス、酸化性ガス若しくは還元性ガス中、混合ガス中又は真空中で、RTA(赤外線加熱)やマイクロ波加熱等の加熱法又はプラズマ焼結(SPS)や常圧焼成・焼結で100℃以上、好ましくは100〜1300℃で焼成する。この場合、好適には、RTA(赤外線加熱)やマイクロ波加熱等の急速加熱方法が使用される。
【0023】
上記焼成工程において、昇温時間は30秒間以上で、昇温速度は0.01℃/min〜2000℃/min、好ましくは1℃/min〜2000℃/min、焼成時間は0.01〜8時間が望ましい。乾燥方法としては、凍結乾燥、真空乾燥又は噴霧乾燥を用いることが好ましい。それにより、凝集の少ない粉末が得られる。しかし、これらの条件は、これらに制限されるものではない。このように、大気中又は不活性ガス、酸化性ガス若しくは還元性ガス中、混合ガス中又は真空中でRTA(赤外線加熱)法やマイクロ波加熱又はプラズマ焼結等の加熱方式で焼成を行うことによって、耐熱性で、例えば、1200℃迄の温度域で焼成しても、光触媒活性の高いアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相と高い比表面積を維持し、高い光触媒機能を発現することが可能な機能性超微粒子が得られる。昇温速度が0.01℃/minを下回ると光触媒能力の低下、また、2000℃/minを上回ると比表面積の減少の可能性がある。
【0024】
不活性ガスとしてはAr、N、酸化性ガスとしてはO、還元性ガスあるいは混合ガスとしてはAr+H、N+H、CO、Hが用いられる。大気中又は不活性ガス、酸化性ガス若しくは還元性ガス中又は真空中でRTA(赤外線加熱)法やマイクロ波加熱又はプラズマ焼結方式等の加熱方式で焼成して、1200℃迄の温度域でも単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相が維持される酸化チタン微粒子をシリカ粒子表面に強固に担持させた機能性超微粒子材料が得られる。得られた上記機能性超微粒子材料は、特に、高温焼成、高温環境下で高い光触媒活性を発現する光触媒材料として、例えば、自動車の排ガスなどから排出される窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)などの環境汚染物質を除去したり、汚染水に含まれるテトラクロロエチレンやトリハロメタンなどの有機塩素化合物を分解除去するための光触媒として好適に用いられる。
【0025】
本発明の機能性超微粒子材料は、粉体自体又は他の製品に複合化されて光触媒材料として使用される。この機能性超微粒子材料は、耐熱性を有し、高温で焼成しても、アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相に基づく高い光触媒活性を維持している。そのため、本発明の機能性超微粒子材料は、例えば、各種セラミックス、金属製品及び陶磁器素材等の表面処理に使用可能であり、例えば、板状、ブロック状、ペレット状、チューブ状、棒状、及びパイプ状のセラミックス製品等に応用できる。本発明は、基本的に、その製造過程で高温焼成が必要とされる製品であれば、その種類に制限されることなく好適に適用し得るものであり、これらの製品に光触媒機能を付加する方法及び材料として有用である。更に、光触媒作用を有する酸化チタン微粒子は、シリカ粒子の表面に強固に担持されており、例えば、水系やガス系における処理にも好適に利用することができる。
【0026】
本発明の応用製品には、例えば、耐熱性機能性超微粒子材料や熱処理前の機能性超微粒子材料を利用した二次製品、例えば、粉体、ゾル液、コーティング液、塗料、陶土、釉薬、化粧品、食器(食器洗浄機対応食器も含む)、陶磁器、調理器具、屋根材、光学レンズ、フィルム、ガラス、布、不織布、ビーズ、板材、マット、紙(和紙も含む)、衣類、カーテン、造花、脱臭器、空気清浄機、排ガス処理装置、排水・循環水処理装置、チラー、冷却塔、高温槽、水質浄化装置(地下水・淡水・海水(養殖海水・活魚水槽水も含む)・浴槽水・プール水・循環水・天然温泉水・加熱水・飲料水・農薬廃液・溶液肥料・屋内・屋外用を含む)、土壌浄化装置、ビニルハウス、ミラー(ガラス・ドアミラーも含む)、環境ホルモン分解装置・空調・冷凍設備、ダイオキシン類分解装置、浮遊細菌除去装置、有機塩素化合物分解装置、殺菌・殺藻装置、吸音板、照明器具(屋内・屋外用含む)、蛍光管、家電製品、透明遮音板、視線誘導標、道路反射鏡、トンネル照明器具、Nox削減防音壁、放熱部材(アルミ・ガラスも含む)、医療用材料、医療器具、タイル(屋上緑化用も含む)、膜構造体、建材(内装材・外装材含む)、外壁材、内壁材、透水性ブロック、看板、アミューズメント機器(娯楽設備・パチンコ・スロット台等)、温室資材、コンクリート、光触媒シート、テント、成形体、吸着材(アパタイト・活性炭・炭化物・メソポーラスシリカ・ゼオライト・モルデナイトを含む)との複合化製品、傾斜材料・セルフクリーニング製品、抗菌・抗カビ製品、ハニカム、多孔体、多孔質フィルター、繊維(ガラスも含む)、フッ素・ポリプロピレン・ウレタン等の樹脂との複合化製品、低熱膨張基板、焼結体、焼成品が含まれる。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)1200℃迄の温度域でも、活性の高いアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相と高い比表面積を維持し、高い光触媒活性を発揮する機能性超微粒子材料が得られる。
(2)光透過性と高い比表面積を有し、活性の高いアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相を持つ耐熱性光触媒材料を製造し、提供できる。
(3)本発明の機能性超微粒子材料を利用することにより、製品の製造過程で高温焼成することが必要とされる各種セラミックス、金属製品及び陶磁器製品等に光触媒機能を付加することができる。
(4)産業廃棄物の廃非晶質シリカガラス粉末や、廃石英粉末を有効利用して再資源化することを可能とする新技術を提供できる。
(5)RTA(赤外線加熱)法やマイクロ波加熱又はプラズマ焼結方式等の加熱方式で焼成することで、短時間の焼成が可能となり、1日の処理回数も大幅に増加するため、多品種・少量の製品にも応用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
(1)原料シリカ粉末
シリカガラス粉末とガラス粉末をペレット状に成形し、吸光度測定を行った。この結果、シリカガラス粉末はガラス粉末に比べて、短波長(紫外線)領域で低い吸光度を示すことが分かった。本発明では、原料として、例えば、シリカ粉末やガラス粉末とは別異のシリカガラス粉末、溶融シリカガラス粉末や石英粉末等が用いられ、更に、非晶質シリカガラス粉末を含有する産業廃棄物の廃非晶質シリカガラス粉末や石英粉末を含有する産業廃棄物の廃石英粉末等が用いられるが、本実施例では、非晶質シリカガラス粉末含有未処理産業廃棄物を用いた例を示す。尚、他のシリカ粉末を用いた場合にも、同様の結果が得られる。
【0030】
(2)チタン源
本実施例では、チタン源として、各種Tiアルコキシドを用いた。また、比較として、テトラエチルオルトチタン酸を用いた。上記Tiアルコキシドは、無水エタノール溶媒に混合して用いた。尚、他のチタン源を用いた場合にも、同様の結果が得られる。

【0031】
(3)機能性超微粒子材料の作製
300mlフラスコ中に100ml無水エタノールとシリカガラス粉末含有未処理産業廃棄物(以下、単にシリカガラス粉末と記載する。)とチタン源(テトラエチルオルトチタン酸、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラ−n−ブトキシのいずれか)を所定量秤量し、混合した。このフラスコを40℃に保持した恒温槽に固定してフラスコ内に水を所定量入れてから30分間攪拌混合した。その後、遠心分離機を用いて固液分離した。その後、凍結乾燥や真空乾燥や、大気中乾燥させ、非晶質シリカガラス粉末表面に酸化チタン微粒子を被覆した試料(光触媒用の機能性超微粒子材料)を得た。次に、この試料を大気中、600〜1300℃で10分間焼成し、アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタン微粒子をシリカガラス粒子の表面に担持させた機能性超微粒子(耐熱性機能性超微粒子材料)を得た。
【0032】
恒温槽を40℃で保持した時に、種々のチタン源でシリカガラス粉末に被覆した試料を図1に示す。テトラエチルオルトチタン酸をチタン源として使用した場合、シリカガラス粉末表面にTiが被覆された様子が観察されなかった。しかし、チタン源にチタニウムテトライソプロポキシドやチタニウムテトラ−n−ブトキシを使用すると、非晶質シリカガラス粉末表面や石英粉末表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)微粒子が被覆され、アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)微粒子がシリカ粒子表面に強固に担持されている酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)被覆粉末が得られることが分かった。
【実施例2】
【0033】
上記実施例1で説明した操作内容で、チタン源をチタニウムテトライソプロポキシドに固定して反応温度を0〜40℃に変化させた場合のシリカガラス粉末の表面を図2に示す。この結果から、チタン源にチタニウムテトライソプロポキシドを用いれば、0〜40℃の温度範囲でシリカガラス粉末表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)微粒子をコーティング可能であり、アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタン微粒子がシリカ粒子表面に強固に担持されている酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)被覆粉末が得られることが分かった。
【実施例3】
【0034】
上記実施例2で説明した操作内容で、恒温槽を0℃で保持して反応させた試料を、大気中、通常の電気炉とRTA(赤外線加熱)法でそれぞれ昇温速度が5℃/minと2000℃/minで1000℃で10分間焼成した後の粉末のX線回折測定の結果を図3に示す。これによれば、RTA法を利用して昇温速度が2000℃/minで焼成した粉末は、単一のアナターゼ相のみであることが分かった、そして、通常の電気炉で昇温速度が5℃/minで焼成した粉末は、アナターゼ相とルチル相の混相であることが分かった。
【0035】
このように、シリカガラス粉末の表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)微粒子を被覆して作製した酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)被覆粉末は、RTA(赤外線加熱)法で高温焼成(1000℃)すれば、活性の高い単一のアナターゼ相を維持しており、耐熱性を有することが分かった。更に、RTA(赤外線加熱)法で作製した試料は、通常の電気炉で作製した試料に比べて約2倍高い比表面積を示した。
【実施例4】
【0036】
上記実施例3で説明した内容の試料を用いて、メチレンブルー溶液の色素分解能力を評価した。サンプルは、通常の電気炉で昇温速度が5℃/minとRTA(赤外線加熱)法で2000℃/minで1000℃でそれぞれ10分間焼成したものを使用した。各試料のメチレンブルー色素分解能力を評価した結果を図4に示す。その結果、大気中、RTA(赤外線加熱)法で1000℃で10分間焼成した試料が、通常の電気炉で作製した試料に比べて約2.7倍高い分解能力を示すことが分かった。本発明製品についての他の試験結果として、図5に、各種乾燥方法と色素分解能力との関係を試験した結果を示す。凍結乾燥法を採用した場合、最も高い光触媒活性が得られることが分かった。図6に、1200℃で酸化焼成後の粉末のXRD回折結果を示す。図7に、本発明製品と市販品を同じ温度で電気炉で焼成した酸化チタンの写真を示す(右:本発明製品、左:市販品)。図8に、市販の光触媒粉末(酸化チタン)を1000℃で焼成した後の、XRDデータを示す(高温になると全てルチル相になり、光触媒の機能性が低下する)。図9に、本発明製品を1200℃で焼成した後の、XRDデータを示す(1200℃焼成後に単一のアナターゼ相が維持されている)。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上詳述したように、本発明は、光触媒用の機能性超微粒子材料、その製造方法及び製品に係るものであり、本発明により、光触媒用の機能性超微粒子材料及び該材料を含むゾル・コーティング液等の光触媒製品を提供することができる。また、本発明の方法によって得られる耐熱性機能性超微粒子材料は、1200℃迄の温度域でも活性の高い単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相を維持し、高い耐熱性を示し、また、光透過性を有し、高い光触媒活性を発現する。本発明の方法は、粉末の焼成が大気中ででき、短時間で終了するので、経済性に優れており、低コストで光触媒材料を作製することができる。この耐熱性機能性超微粒子材料は、高温で焼成しても、高い光触媒機能を発現するため、各種セラミックス、金属製品及び陶磁器素材等の表面処理に代表される、製品の製造過程で高温焼成が必要とされる種々の製品に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】種々のチタン源をシリカガラス粉末に被覆した試料(反応温度:40℃)の表面の観察結果を示す。
【図2】0〜40℃の温度範囲で廃シリカガラス粉末に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)微粒子を被覆した試料(Ti源:チタニウムテトライソプロポキシド)の表面の観察結果を示す。
【図3】大気中、通常の電気炉で5℃/minの昇温速度とRTA(赤外線加熱)法で2000℃/minの昇温速度で1000℃で焼成した後の廃シリカガラス粉末のXRD回折の結果と比表面積を示す。
【図4】通常の電気炉とRTA法で作製した試料の光触媒活性能力の関係を示す。
【図5】各種乾燥方法と色素分解能力との関係を示す。
【図6】1200℃で酸化焼成後の粉末のXRD回折結果を示す。
【図7】本発明製品(機能性超微粒子粉末)と市販品(酸化チタン粉末)を同じ温度で電気炉で焼成した酸化チタンの写真を示す(右:本発明製品、左:市販品)。
【図8】市販の光触媒粉末(酸化チタン)を1000℃で焼成した後の、XRDデータを示す(高温になると全てルチル相になり、光触媒の機能性が低下する)。
【図9】本発明製品を1200℃で焼成した後の、XRDデータを示す(1200℃焼成後に単一のアナターゼ相が維持されている)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒用の機能性超微粒子材料であって、(1)アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)ナノ微粒子がシリカ粒子の表面に被覆されている、(2)光触媒作用を有する、(3)1200℃迄の温度域で熱処理がある場合でも、ない場合でも単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相が維持される、ことを特徴とする機能性超微粒子材料。
【請求項2】
光触媒用の耐熱性機能性超微粒子材料であって、(1)焼成されたアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタンナノ微粒子がシリカ粒子の表面に担持されている、(2)光触媒作用を有する、(3)1200℃迄の温度域でも単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相が維持される、ことを特徴とする機能性超微粒子材料。
【請求項3】
請求項1に記載の光触媒用の機能性超微粒子材料を含むことを特徴とする光触媒製品。
【請求項4】
上記光触媒製品が、上記機能性超微粒子材料を含む、粉末、ゾル液、コーティング液又は塗料である、請求項3に記載の光触媒製品。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の機能性超微粒子材料を使用して光触媒機能を付与したことを特徴とする製品。
【請求項6】
上記製品が、セラミック製品、高分子材料製品、陶磁器製品又は金属製品である、請求項5に記載の光触媒機能を付与した製品。
【請求項7】
請求項1に記載の光触媒用の機能性超微粒子材料を製造する方法であって、原料のシリカ材料とチタン源から調製されるチタン・シリカ複合材料を溶媒中で混合し、シリカ材料表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆して、アナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相からなる酸化チタンナノ微粒子がシリカ粒子表面に被覆された機能性超微粒子を製造することを特徴とする機能性超微粒子材料の製造方法。
【請求項8】
請求項2に記載の光触媒用の耐熱性機能性超微粒子材料を製造する方法であって、(1)原料のシリカ材料とチタン源から調製されるチタン・シリカ複合材料を溶媒中で混合し、シリカ材料表面に酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆する、(2)これを、所定の温度範囲で焼成することにより、酸化チタンナノ微粒子をシリカ粒子表面に強固に担持させる、(3)それにより、1200℃迄の温度域でも単一のアナターゼ相あるいはアナターゼ相とルチル相の混相が維持されて光触媒作用を保持する耐熱性機能性超微粒子材料を製造する、ことを特徴とする機能性超微粒子材料の製造方法。
【請求項9】
原料シリカ材料として、(1)非天然鉱物の非晶質シリカガラス粉末、石英粉末、溶融シリカガラス粉末、ガラスから選ばれる一種、(2)天然鉱物のクリストバル石、鱗ケイ石、石英、玉髄、瑪瑙、タンパク石、シリカゲルから選ばれる一種、又は(3)産業廃棄物の廃シリカガラス粉末、廃石英粉末、廃溶融シリカガラス粉末、廃ガラス、廃シリカゲルから選ばれる一種、を使用する、請求項8に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
【請求項10】
シリカ材料表面に、0〜500℃の温度範囲で酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆する、請求項7又は8に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
【請求項11】
酸化チタン(水和物・非晶質分を含む)を被覆した材料を、凍結乾燥法、真空乾燥法、噴霧乾燥法又は大気中にて乾燥する、請求項8に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
【請求項12】
赤外線加熱(RTA)方式、マイクロ波加熱又はプラズマ焼結(SPS)方式又は常圧焼成・焼結方式により焼成する、請求項8に記載の機能性超微粒子の製造方法。
【請求項13】
大気又は不活性ガス中、酸化性ガス若しくは還元性ガス中、混合ガス中又は真空中で1200℃迄の温度範囲で焼成する、請求項8に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
【請求項14】
焼成工程において、昇温速度を0.01℃/min〜2000℃/minに制御する、請求項8に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
【請求項15】
請求項7又は8に記載の方法により、産業廃棄物の廃非晶質シリカガラス粉末、廃石英粉末、廃溶融シリカガラス粉末、廃ガラス、又は廃シリカゲルを光触媒用の機能性超微粒子材料として再利用することを特徴とする上記産業廃棄物の再資源化方法。
【請求項16】
チタン源が、塩化チタン、塩化チタン溶液、硫酸チタン溶液、チタニウムテトライソプロポキシド・チタニウムエトキシド・チタニウムテトラエトキシド・チタニウムテトラ−n−ブトキシド,モノマー、チタニウムテトラ−n−ブトキシド,テトラマー、チタニウム−n−ブチラート,モノマー、チタニウム−n−ブチラート,テトラマー、又はチタンを含んだ化成品(工業用を含む)である、請求項7又は8に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。
【請求項17】
上記溶媒が、水、無水エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−3−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノン又はエタノール(各溶媒の工業用を含む)である、請求項7又は8に記載の機能性超微粒子材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−289356(P2006−289356A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75761(P2006−75761)
【出願日】平成18年3月18日(2006.3.18)
【出願人】(000214191)長崎県 (106)
【Fターム(参考)】