光触媒脱臭機
【課題】脱臭装置の通風時の圧力損失を少なくし、光触媒に効率よく光を照射することができ、脱臭性能に優れた脱臭機を提供すること。
【解決手段】棒状の光触媒の励起光源としてのランプ2と、光触媒を含む網状の脱臭シート3を間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタ4と、送風手段としてのファン5を備え、ランプ2の長手方向に対する脱臭シート3の傾斜角θが0<θ<90の範囲になるように脱臭シート3が傾斜して積層され、ファン5によって送られた空気を脱臭フィルタ4を通過させる構成とすることにより、低圧損で高効率の光触媒脱臭機を提供することができる。
【解決手段】棒状の光触媒の励起光源としてのランプ2と、光触媒を含む網状の脱臭シート3を間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタ4と、送風手段としてのファン5を備え、ランプ2の長手方向に対する脱臭シート3の傾斜角θが0<θ<90の範囲になるように脱臭シート3が傾斜して積層され、ファン5によって送られた空気を脱臭フィルタ4を通過させる構成とすることにより、低圧損で高効率の光触媒脱臭機を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒を利用した脱臭機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の脱臭装置には、臭気成分を吸着する吸着材に光触媒を練込みハニカム状に形成し、ハニカム孔に通風しながら光触媒を励起させる脱臭装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その脱臭装置について図12を参照しながら説明する。
【0004】
図12に示すように、脱臭装置は、吸着剤101に光触媒102を練り込みハニカム状に形成したものである。ハニカム孔103に臭気を含む空気を通風させるとともに、光触媒励起源としてのランプ104を点灯させ、光触媒102を励起させて臭気の分解脱臭を行うものである。
【0005】
また、図13に示すように、従来の脱臭装置として、脱臭ユニット201と紫外線ランプ202とから構成され、脱臭ユニット201は、複数の板状脱臭体203から構成され、これら複数の板状脱臭体203は通風方向に対し略平行に配置され、また、板状脱臭体203はTiO2等の光触媒と、ハイシリカゼオライト等の吸着剤とからなり、また、紫外線ランプ202は両端が脱臭ユニット201を構成する両端の板状脱臭体203にかかるように長手方向を板状脱臭体203の配列方向に沿わせて配置したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第2574840号公報
【特許文献2】特開平10−286436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の従来の脱臭装置は、吸着剤101と光触媒102を練り込んだハニカム構造体となっているために、ハニカム構造体の壁を厚くしないと形状を保持することが困難である。そして壁を厚くしたハニカム構造体は圧力損失が高くなりやすいという課題があった。また、光触媒励起源としてのランプ104から斜めに照射された光がハニカムの壁によってさえぎられ、ハニカム孔103の内部に陰になる部分が生じてしまい、ハニカム孔内部の光触媒102が活性化されないため、脱臭性能が低いという課題があった。ハニカム構造体の正面に多数のランプを配置すれば陰を作ることを回避できるが、この場合ランプ自体が通風をさえぎり、圧力損失が増大してしまうという課題があった。光を十分にあてるためにハニカムの厚みを小さくした場合には、形状安定性が低下するとともに、光触媒の担持量と光の照射面積を十分確保できないため脱臭性能が低下するという課題を有していた。
【0007】
また、特許文献2に記載の従来の脱臭装置は、通風方向に対し略平行に配置された複数の板状脱臭体であるため、通風時の圧力損失を少なくすることができる。しかしながら、紫外線ランプから垂直方向に照射された光は、光触媒と吸着剤を混合してなる板状脱臭体には照射されずに外部にもれてしまい、光の照射効率が悪く十分な脱臭性能を得ることができないという課題を有していた。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、脱臭装置の通風時の圧力損失を少なくし、光触媒に効率よく光を照射することができ、脱臭性能に優れた脱臭機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光触媒脱臭機は、上記目的を達成するために、棒状の光触媒の励起光源と、光触媒を含む脱臭シートを間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタと、送風手段とを備えた光触媒脱臭機であって、前記励起光源から照射された光を受光可能な位置に脱臭フィルタが配置され、前記棒状の励起光源の長手方向に対する前記脱臭シートの傾斜角θが0<θ<90の範囲になるように網状の脱臭シートが傾斜して積層され、前記送風手段によって送られた空気が脱臭フィルタを通過することにより脱臭されることを特徴とするものである。
【0010】
また、脱臭シートの傾斜角θが40<θ<78の範囲になるように網状の脱臭シートを傾斜させることを特徴とするものである。
【0011】
また、励起光源から垂直方向に照射された光が、脱臭フィルタで遮光されるように、脱臭フィルタの傾斜角と積層間隔を調整したことを特徴とするものである。
【0012】
また、励起光源と脱臭シートとの近接端面の距離が同じになるように、複数の脱臭シートを配列することを特徴とするものである。
【0013】
また、励起光源と脱臭シートとの近接端面が、脱臭シートの最も低い位置になるように傾斜させることを特徴とするものである。
【0014】
また、脱臭シートを等間隔に積層したことを特徴とするものである。
【0015】
また、脱臭シートをスペーサーで支持することを特徴とするものである。
【0016】
また、スペーサーが光反射作用を有することを特徴とするものである。
【0017】
また、スペーサーが70mm以下の間隔で複数設けられたことを特徴とするものである。
【0018】
また、脱臭シートがガラス繊維織物に光触媒を担持したものであることを特徴とするものである。
【0019】
また、ガラス繊維織物が、複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束によって形成されたことを特徴とするものである。
【0020】
また、光触媒を光透過性のバインダーを用いてガラス繊維織物に固定化したことを特徴とするものである。
【0021】
また、光透過性のバインダーの主成分がSiO2であることを特徴とするものである。
【0022】
また、脱臭シートが、吸着剤を含むことを特徴とするものである。
【0023】
また、励起光源の点灯管に保護カバーを備えたことを特徴とするものである。
【0024】
また、励起光源をはさんで、対称になるように2組の脱臭フィルタが配置されていることを特徴とするものである。
【0025】
また、脱臭フィルタの脱臭シートが、励起光源と接していない面から着脱可能であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、脱臭装置の通風時の圧力損失を少なくし、光触媒に効率よく光を照射することができ、脱臭性能に優れた光触媒脱臭機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の請求項1記載の発明は、棒状の光触媒の励起光源と、光触媒を含む脱臭シートを間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタと、送風手段とを備えた光触媒脱臭機であって、前記励起光源から照射された光を受光可能な位置に脱臭フィルタが配置され、前記棒状の励起光源の長手方向に対する前記脱臭シートの傾斜角θが0<θ<90の範囲になるように網状の脱臭シートが傾斜して積層され、前記送風手段によって送られた空気が脱臭フィルタを通過することにより脱臭されることを特徴としたものである。脱臭性能を向上させるためには、脱臭シートにより多くの光触媒を含ませたほうがよいが、そのためには脱臭シートを網状とし、網目を細かくする必要がある。しかしながら、網目を細かくすると脱臭シートの圧力損失が増大し、特許文献1のようにハニカム孔に空気を通過させる方法では、空気を網目に通過させることが困難となり脱臭性能は低下してしまう。本発明では、脱臭シートを間隔を置いて積層した配置にすることにより、送風手段によって送られた風が傾斜した脱臭シートの面に沿って通過していき、脱臭フィルタを低圧損にすることができる。また、脱臭フィルタが励起光源に対して傾斜角をもっているので光を効率的に受光でき、特許文献2のように傾斜角をもたない場合に比べて脱臭性能が向上するという効果が得られる。また、脱臭シートが開口を有する網状であることにより、通過する空気が脱臭シートの表面で乱流となって光触媒に接触する確率が高くなるので、脱臭性能を向上させることができる。
【0028】
また、脱臭シートの傾斜角θが40<θ<78の範囲になるように網状の脱臭シートを傾斜させることを特徴としたものであり、送風手段によって送られた風が傾斜した脱臭シートの面に沿って通過していき、脱臭フィルタを低圧損にすることができる。また、脱臭フィルタが励起光源に対して傾斜角をもっているので光を効率的に受光でき、脱臭性能が向上するという効果が得られる。また、脱臭シートが開口を有する網状であり、かつ傾斜角を有することにより、通過する空気が脱臭シートの表面で乱流となって光触媒に接触する確率が高くなるので、開口を有さない平板状に比べて脱臭性能を向上させることができる。
【0029】
また、励起光源から垂直方向に照射された光が、脱臭フィルタで遮光されるように、脱臭フィルタの傾斜角と積層間隔を調整したことを特徴としたものであり、励起光源から照射された光を外部に無駄に放出させず、効率的に利用することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0030】
また、励起光源と脱臭シートとの近接端面の距離が同じになるように、複数の脱臭シートを配列することを特徴としたものである。脱臭シートと励起光源の距離は、近いほど性能がよいため、全ての脱臭シートの近接端面を揃えることによって、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0031】
また、励起光源と脱臭シートとの近接端面が、脱臭シートの最も低い位置になるように傾斜させることを特徴としたものである。脱臭シートは傾斜角をもっているため、重力の作用によって低い位置へ移動しやすい。脱臭シートの最も低い位置を励起光源の近接位置にすることにより、優れた脱臭性能を得ることができる。また、空気にオイルミストなどの液体が含まれている場合、脱臭シートに付着したオイルが重力の作用によって低い位置へ移動する。脱臭シートの低い位置は励起光源の近接位置にあるため、光の強度が最も強くなっており、油の分解がすみやかに行われるという作用を有する。
【0032】
また、脱臭シートを等間隔に積層したことを特徴としたものであり、脱臭シートを等間隔に積層することにより、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。
【0033】
また、脱臭シートをスペーサーで支持することを特徴としたものであり、脱臭シートの間隔を保つことができるため、間隔の増減に起因する脱臭フィルタの圧力損失の分布の変動を抑制することができる。その結果、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。
【0034】
また、スペーサーが光反射作用を有することを特徴としたものであり、スペーサーに照射された光を反射して、脱臭シートに照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0035】
また、スペーサーが70mm以下の間隔で複数設けられたことを特徴としたものであり、スペーサーの間隔を70mm以下にすることにより、脱臭フィルタのたわみによる変形を抑制することができる。その結果、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。
【0036】
また、脱臭シートがガラス繊維織物に光触媒を担持したものであることを特徴としたものであり、ガラス繊維は有機合成繊維のように光触媒による劣化をうけることがなく、長期にわたって信頼性の高い脱臭シートを得ることができる。また、ガラス繊維は光透過性および光散乱性を有するため、光触媒に効率的に光を照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0037】
また、ガラス繊維織物が複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束によって形成されたことを特徴としたものである。複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束に光触媒を担持すると、繊維間に光触媒粒子が入りこみあるいは付着して固定化される。太い短繊維の表面に光触媒を担持する場合に比べて、繊維間に光触媒を保持することができるため担持量を増やすことができる。また、繊維間に入り込んだ光触媒粒子は繊維にはさまることによって強固に固定化されるとともに、外部から衝撃が加わった場合にも繊維を介して衝撃が伝わるので脱落しにくいという作用を得ることができる。
【0038】
また、光触媒を光透過性のバインダーを用いてガラス繊維織物に固定化したことを特徴としたものであり、光透過性のバインダーを用いることにより、バインダーが光透過性および光散乱性を有するため、光触媒に効率的に光を照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0039】
また、光透過性のバインダーの主成分がSiO2であることを特徴としたものであり、光触媒の結晶性を低下させるアルカリ成分がバインダーから溶出せず、光触媒の脱臭性能が低下しにくいというという作用を有する。
【0040】
また、脱臭シートが、吸着剤を含むことを特徴としたものであり、吸着剤を含むことにより、吸着剤で臭気を濃縮して光触媒で効率的に分解させることができ、優れた脱臭性能を得ることができる。また、光触媒に光が照射されていないときでも脱臭作用を得ることができる。
【0041】
また、励起光源の点灯管に保護カバーを備えたことを特徴としたものであり、励起光源の点灯管に保護カバーをつけることにより、点灯管の損傷による失透を防ぐことができ、機械的強度に優れた励起光源とすることができる。また、励起光源に通風することによって励起光源の温度が低下して発光強度が低下することがあるが、保護カバーをつけることによって励起光源の温度低下を抑制し、発光効率の低下を少なくすることができるという作用を有する。
【0042】
また、励起光源をはさんで、左右対称になるように2組の脱臭フィルタが配置されていることを特徴としたものであり、励起光源から照射された光を外部に無駄に放出させず、効率的に利用することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0043】
また、脱臭フィルタの脱臭シートが、励起光源と接していない面から着脱可能であることを特徴としたものであり、ランプと接触せずに脱臭シートを着脱することができ、メンテナンスが容易であるという作用を有する。
【0044】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0045】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における光触媒脱臭機の概略断面図、図2は本発明の実施の形態1における光触媒脱臭機のランプおよび脱臭フィルタ部の拡大図(側面)、図3は同ランプおよび脱臭フィルタ部の拡大図(平面)である。
【0046】
本発明の光触媒脱臭機は、本体1の内部に棒状の光触媒の励起光源としてのランプ2と、光触媒を含む網状の脱臭シート3を間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタ4と、送風手段としてのファン5とを備えている。脱臭フィルタ4は、ランプ2から照射された光を受光可能な位置に配置されている。図3に示すように、ランプ2の長手方向Aと脱臭シート3の面方向Bがなす傾斜角θは、0<θ<90の範囲になるように設置され、送風手段としてのファン5によって送られた空気は、脱臭フィルタ4を通過することにより脱臭される。脱臭シート3は、繊維6からなる網状体であり、略平面状のシートに無数の開口を有している。
【0047】
本発明では、脱臭シート3を間隔を置いて積層した配置にすることにより、ファン5によって送られた風の大部分は傾斜した脱臭シート3の面に沿ってB方向に通過していき、一部の風のみが脱臭シート3の網目を通過するため、脱臭フィルタを低圧損にすることができる。風に含まれる臭気は、脱臭フィルタに吸着するとともに光触媒の作用を受けて脱臭される。図3に示すように、脱臭シート3は開口を有する網状であるため、通過する空気が脱臭シートの表面で乱流となって光触媒に接触する確率が高くなり、脱臭性能が向上するという作用を有する。また、脱臭シートが網状となっているため、開口のない平板状のシートに比べてシートの表面積が大きくなり、ガスとの接触面積および光の照射面積を大きくすることができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0048】
光触媒としては、酸化スズ、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化ビスマスなどの金属酸化物、硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化モリブデンなどの金属硫化物、チタンナイトライドなどの窒化物が挙げられ、安全性、経済性などの面から、酸化チタンが好ましい。また、光触媒の表面にPt、Pd、Rh、Ru、Au、Ag、Cu、Zn等の助触媒を添加してもよい。
【0049】
光触媒を含む脱臭シートの基材としては、金属、プラスチック、合成樹脂繊維、天然繊維、木材、紙、ガラス、セラミックなどが挙げられるが,紫外線に対する強度を有していることが望ましい。光触媒性能と担持強度が確保できる材質であることが望ましく,金属やセラミックやガラスなどが適している。プラスチックや紙を基材として用いる場合は、基材表面にシリコーンやフッ素樹脂などを被覆して光触媒を担持することが望ましい。
【0050】
脱臭シートの形状は、シート面に開口を有していれば特に問題はなく、シートに孔を空けたパンチング形状、繊維を編みこんだ編物形状、繊維を接着した不織布形状などが好適である。シートはできるだけ平面であることが好ましいが、積層したシート同士が接触しない範囲で湾曲していてもよい。
【0051】
送風手段としては、本体内部に風を取り込むことができれば特に問題はなく、プロペラファン、シロッコファン、ターボファンなどあらゆる送風手段を利用することができる。送風手段によって送られる空気が脱臭フィルタを通過する風量は任意の範囲で設計することができるが、十分な脱臭性能を得るためには風速0.2〜2m/s程度にするとよい。
【0052】
光触媒を活性化させる棒状の励起光源としてはブラックライト、冷陰極管、殺菌灯、蛍光灯などのランプが挙げられる。光触媒を励起することができればいかなる手段を用いてもよいが,冷陰極管は比較的低コストであり,耐久寿命も長いことから光源として好ましい。LED光源を直線状に複数配列して棒状の励起光源としてもよい。
【0053】
図2に示すように、励起光源としてのランプ2から発生する光の強度は、光源の長手方向Aに対して垂直方向Cが一番強い。光強度が強いほど光触媒が活性化され脱臭性能が向上することから、脱臭シートを光源の長手方向Aと平行、すなわち光源の長手方向Aと脱臭シートの面方向Bがなす傾斜角θを0°とすると脱臭シートに対する光照射強度が最も強くなる。しかしながら、この配置では脱臭シートが通風をさえぎる形となるため圧力損失が増大し、通過できる風量が低下ため、脱臭装置の脱臭性能は低下してしまう。したがって、光源の長手方向Aと脱臭シート3の面方向Bがなす傾斜角θは、0<θ<90の範囲内で最適値に制御し、励起光源から垂直方向に照射された光がC´のように、脱臭フィルタで遮光されるように配置するとよく、より好ましくは、傾斜角θが40<θ<78の範囲である。このとき、脱臭シートの積層間隔とB方向のシート幅によって、脱臭フィルタで遮光されるように配置できる最適な傾斜角θは変化する。脱臭シートの積層間隔をh、脱臭シートの幅をwとすると、最適な傾斜角θは
h/w=cosθ
の式で計算することができる。例えば、脱臭フィルタの厚みwが3cm、積層間隔hが1cmの時は、傾斜角θを約70.5°にするとよい。このように脱臭シートを配置することにより、励起光源から照射された光を外部に無駄に放出させず、効率的に利用することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0054】
励起光源と脱臭シートとの距離は自由に設計することができるが、距離を短くするほど脱臭シートが受光する光強度が強くなる。したがって、図2に示すように、複数の脱臭シートを配列する際には、励起光源位置Aと脱臭シートとの近接端面の位置A‘の距離が同じになるように、脱臭シートを平行に配置することが好ましい。
【0055】
励起光源から脱臭フィルタに照射される光は、波長400nm以下の紫外線を0.1〜5.0mW/cm2の範囲となるように脱臭フィルタに照射されることが好ましく、より好ましくは0.5〜2mW/cm2の光強度である。照射強度は、励起光源の数、発光強度、励起光源と脱臭フィルタの距離を、任意の値に設計して制御することができる。
【0056】
励起光源と脱臭シートとの近接端面は、脱臭シートの最も低い位置になるように傾斜させると効率がよい。脱臭シートは傾斜角をもっているため、重力の作用によって低い位置へ移動しやすい。脱臭シートの最も低い位置を励起光源の近接位置にすることにより、優れた脱臭性能を得ることができる。また、空気にオイルミストなどの液体が含まれている場合、脱臭シートに付着したオイルが重力の作用によって低い位置へ移動する。脱臭シートの低い位置は励起光源の近接位置にあるため、光の強度が最も強くなっており、油の分解がすみやかに行われるという作用を有する。
【0057】
また、脱臭シートを等間隔に積層することにより、光を受光できない部分を最小にすることができる。また、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。積層間隔に特に制約はないが、好ましくは0.1〜10cmの距離にするとよい。
【0058】
脱臭シートは、ガラス繊維織物に光触媒を担持したものであってもよい。ガラス繊維は有機合成繊維のように光触媒による劣化をうけることがなく、長期にわたって信頼性の高い脱臭シートを得ることができる。また、ガラス繊維は光透過性および光散乱性を有するため、光触媒に効率的に光を照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。ガラス繊維の材質としては、石英ガラス、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Aガラス光透過性および光散乱性を有するものを利用することができる。繊維形状は特に限定されないが、単繊維よりも、4〜9μmの径を有する短繊維ガラスを複数束ねた繊維束によって形成することが好ましい。繊維束は50本〜6400本程度の任意の本数を束ねて利用することができる。複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束に光触媒を担持すると、繊維間に光触媒粒子が入りこみあるいは付着して固定化される。太い単繊維の表面に光触媒を担持する場合に比べて、繊維間に光触媒を保持することができるため担持量を増やすことができる。また、繊維間に入り込んだ光触媒粒子は繊維にはさまることによって強固に固定化されるとともに、外部から衝撃が加わった場合にも繊維を介して衝撃が伝わるので脱落しにくいという作用を得ることができる。
【0059】
なお、上記のガラス繊維織物を作成する際に、繊維の脱落を防止するために集束剤と呼ばれるデンプン等のバインダーを用いることが一般的であるが、バインダーは光触媒によって分解され脱臭性能低下の原因となるため、ガラス繊維織物を形成後には400℃以上の高温でバインダーの焼き飛ばし処理を行ったほうがよい。
【0060】
ガラス繊維織物の目付け量としては10〜900g/m2のものが好ましく、製造を容易にするためには100〜400g/m2のものを選択するとよい。また、織物の織り方は、平織、綾織、朱子織、からみ織り、模紗織など、どのような織り方でもかまわないが、形状安定性の観点から模紗織が好ましい。糸の密度としてはタテ・ヨコの繊維束が20〜40本/25mm、厚さは0.1〜2mm、引張り強度100N/25mm以上が好ましい。
【0061】
ガラス繊維織物に光触媒を担持する方法としては、ディップコート、スプレー、電着、蒸着などが挙げられるが、脱臭シートの基材表面に光触媒が固定化できればいかなる手段でもよい。1回の処理で担持量が十分でなければ、複数回の処理工程を繰り返してもよい。また、光触媒ゾルを用いる場合には、乾燥機で50〜150℃程度の温度で30〜60分程度加熱することにより基材に固定化できる。
【0062】
光触媒は光透過性のバインダーを用いて基材に固定化してもよい。光透過性のバインダーを用いることにより、バインダーが光透過性および光散乱性を有するため、光触媒に効率的に光を照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。光透過性のバインダーとしては、Na2O、K2O、LiO2などのケイ酸塩からなるアルカリシリケート、シリカゾルなどの無機コロイド、シリカ、ケイ素、チタンなどのアルコキシド類とその加水分解物などが挙げられる。強度を向上させるために、シリコーンやフッ素樹脂等を含んでいてもよい。なお、Naなどのアルカリ成分は光触媒の結晶性を低下させ、光触媒性能を低下させることがあるため、バインダーとしては、主成分がSiO2であることがのぞましく、シリカゾルまたはシリカアルコキシド類の加水分解物などが好適である。
【0063】
脱臭シートは、吸着剤を含んでいてもよい。吸着剤を含むことにより、吸着剤で臭気を濃縮して光触媒で効率的に分解させることができ、優れた脱臭性能を得ることができる。また、光触媒に光が照射されていないときでも脱臭作用を得ることができる。吸着剤としては、活性炭、活性炭素繊維、ゼオライト、シリカゲル、セピオライト、珪藻土などが挙げられ、紫外線領域の光吸収量が少ないハイシリカゼオライト(Si/Al=16以上)が好適である。光触媒と吸着剤の比率としては任意の配合を用いることができるが、好ましくは光触媒濃度が20〜80wt%である。
【0064】
励起光源の点灯管には、保護カバーを備えていてもよい。点灯菅の材質としては、石英ガラス、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Aガラス等光を通すことができるものを利用することができる。光透過率をよくするためには、不純物が少ない石英管を利用することが好ましいが、石英菅は比較的高価である。また、光透過率を向上させるためには点灯管をできるだけ薄くすることが好ましいが、機械的強度が低下して割れやすくなるという課題がある。励起光源の点灯管の外周部に保護カバーをつけることにより、点灯管の損傷による失透を防ぐことができ、機械的強度に優れた励起光源とすることができる。また、励起光源に通風することによって励起光源の温度が低下して発光強度が低下することがあるが、保護カバーをつけることによって励起光源の温度低下を抑制し、発光効率の低下を少なくすることができるという作用を有する。保護カバーとしては、光を透過して機械的強度に優れたものであれば特に制約はなく、ガラス、フッ素樹脂、アクリル樹脂などを利用することができる。金属などの光透過性がない材質であっても、金網、パンチングメタルなど開口を備えた形状に加工して円筒状にすれば、保護カバーとして利用することができる。
【0065】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における光触媒脱臭機の脱臭部を示す斜視図、図5は図4に示す光触媒脱臭機をD−D‘平面で切断した際の斜視図、図6および図7は側面板の部品図である。
【0066】
図4に示すように、励起光源としてのランプ2および脱臭フィルタ4は、天板7および側面板8によって固定されている。ランプ2は、側面板8に平行になるように6本配置されている。前記ランプ2を中心として上流および下流側には、光触媒を含む網状の脱臭シート3を間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタ4が配置されている。このような配置とすることにより、励起光源をはさんで、対称になるように2組の脱臭フィルタが配置されているため、励起光源から照射された光を外部に無駄に放出させず、効率的に利用することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0067】
前記脱臭シート3の傾斜角θが0<θ<90の範囲になるように脱臭シート3は傾斜して積層され、図示しない送風手段によって送られた空気が脱臭フィルタ4を通過することにより脱臭される。図5および図6に示すように、脱臭シート3は、側面板8に設けられた等間隔の支持部と、スペーサー9が形成する等間隔支持部によって支持されている。側面板に支持部を設ける手段としては、板に溝を設ける方法、板に突起を設ける方法、板と脱臭シートを接着剤で接着する方法などが挙げられる。スペーサーに支持部を設ける手段としては、スペーサーにスリットを設ける方法、棒状のスペーサーにトゲ状の突起を設ける方法、スペーサーと脱臭シートを接着剤で接着する方法などが挙げられる。
【0068】
上記の構成により、脱臭シートの間隔を一定に保つことができるため、間隔の増減に起因する脱臭フィルタの圧力損失の分布を抑制することができる。その結果、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。
【0069】
スペーサーは光反射作用を有することが好ましく、スペーサーに照射された光を反射して、脱臭シートに照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。スペーサーの材質としてはステンレス、アルミ、ガラスなどが挙げられる。複数のスペーサーの間隔を70mm以下にすることにより、脱臭フィルタのたわみによる変形を抑制することができる。その結果、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。また、フィルタの面振動を抑えることができ、騒音の発生を低減することができる。
【0070】
スペーサーと側面板の形状によって、脱臭シートの支持形状を変化させることができる。図6は脱臭シートを平面状に支持した例であり、積層された脱臭シート間の風路が直線となるため、圧力損失を低減することができる。図7は側面板形状の別の一例であり、脱臭シートを湾曲させて支持した例である。この場合、積層された脱臭シート間の風路は曲線となるため、圧力損失は図6の例よりも増大するが、脱臭シート間に照射された光が湾曲した脱臭シートにさえぎられて脱臭フィルタの外部に光がもれない構成となるため、光を効率的に利用して脱臭効率を向上させることができる。
【0071】
図8および図9は、図4の光触媒脱臭機の分解図である。脱臭フィルタの脱臭シート3は、ランプ2と接していない面から着脱可能である。脱臭フィルタはNOx、NH3、H2S、CH3SH等が高濃度で存在する雰囲気下で長期間使用すると硝酸塩、硫酸塩などが蓄積して性能低下することがあり、その場合交換が必要である。上記構成とすることにより、ランプ2と接触せずに脱臭シート3を矢印E方向に着脱することができ、メンテナンスが容易であるという作用を有する。また、図9のように、天板7に切り欠き部10を設けることにより、ランプ2も矢印F方向に着脱が容易となり、メンテナンス性が向上する。ランプを設置する際には、切り欠き部10からランプ2aをF‘方向に挿入し、2bの位置で回転させ2cの向きに固定すればよい。ランプの端子は弾性を有するシリコンゴム製とし、天板7の切り欠き部10の幅よりやや大きいサイズにしておく。このようにすることにより、ランプの端部に備えられた端子とリード線を天板7に固定することができる。
【0072】
以下、本発明を実施例にて詳細に説明するが、本発明は、以下の記載に何ら限定して解釈されるものではない。
【実施例1】
【0073】
(圧力損失)
光触媒として粉末状の酸化チタンを8wt%、吸着剤としてのハイシリカゼオライトを20wt%、バインダーとしてのコロイダルシリカを60wt%、精製水を12w%の比率になるように材料を計量して混合した後、ボールミルで24時間分散混合してスラリーを作成した。出来上がったスラリーに、開口率15%のガラス繊維織物ディップして光触媒を含浸させ、エアブローして余剰液を排除した後、120℃の乾燥機で30分乾燥させ、光触媒を含む脱臭シートを作成した。触媒と吸着剤とバインダーを合わせた担持量は500g/m2であった。脱臭シートの基材となるガラス繊維織物は、目付け量354g/m2、糸の密度11×3本/25mm(タテ・ヨコ同じ)の模紗織、厚さは0.42mmのものを用いた。作成した脱臭シートの開口率は約15%であった。
【0074】
図4と同様の構成になるように作成した脱臭シートを21cm×2.5cmの大きさに切断し、積層間隔8.8mmになるように縦に49枚平行に積層した。同様の積層体を2個作成し、ランプをはさむように設置した。フィルタの合計枚数は98枚である。このときのランプと脱臭シートの傾斜角θは約70°とし、ランプとの近接端面が脱臭シートの最も低い位置になる向きに配置した。ランプは3.5cm間隔で6本配置した。天板と側面板で囲まれた風路の断面積は47cm×20cmに設定した。フィルタの開口率を考慮せず、フィルタの接着部を除外して計算した脱臭シートの合計表面積は約4900cm2である。作成した脱臭フィルタの下流側にファンを接続し、本発明の実施例1の光触媒脱臭機とした。
【0075】
上記と同様の方法で脱臭シートを作成した後、脱臭シートが風路をふさぐ形(傾斜角θ=0°)で、断面積が47cm×20cmになるように風路に配置した。脱臭シートの合計表面積は約940cm2である。フィルタの下流側に6本のランプを配置し、さらに下流側にファンを接続して、本発明の比較例1の光触媒脱臭機とした。
【0076】
上記と同様の方法で脱臭シートを作成した後、脱臭シートが風路をふさぐ形で、断面積が47cm×20cmになるように風路に配置し、これを4枚重ねた。脱臭シートの合計表面積は約3760cm2である。フィルタの下流側に6本のランプを配置し、さらに下流側にファンを接続して、本発明の比較例2の光触媒脱臭機とした。
【0077】
作成した光触媒脱臭機の風速と圧力損失の関係を図10に示す。本発明の実施例1の光触媒脱臭機は圧力損失が低く、面風速1m/s時の圧力損失は10.8Paであった。一方、比較例1の光触媒脱臭機では面風速1m/s時の圧力損失が19.3Pa、比較例2の光触媒脱臭機では圧力損失が46.2Paとなり、実施例1の光触媒脱臭装置に比べて風路を風が通過しにくいことがわかった。フィルタの合計表面積を比較すると、本発明の光触媒脱臭機の表面積は4900cm2であり、比較例1の約5.2倍、比較例2の1.3倍となる。これらのことから、実施例1のように脱臭シートの傾斜角を0°以上にすることにより、脱臭フィルタの圧力損失を低減しながら、脱臭シートの合計表面積を増やすことができ、脱臭効率の良い光触媒脱臭装置を得ることができることがわかった。
【実施例2】
【0078】
(脱臭シートの傾斜角と脱臭性能)
粉末状の酸化チタンを8wt%、吸着剤としてのハイシリカゼオライトを20wt%、コロイダルシリカを60wt%、精製水を12w%の比率になるように材料を計量して混合した後、ボールミルで24時間分散混合してスラリーを作成した。出来上がったスラリーに、開口率29%のガラス繊維織物をディップして光触媒を含浸させ、エアブローして余剰液を排除した後、120℃の乾燥機で30分乾燥させ、光触媒を含む脱臭シートを作成した。
【0079】
脱臭シートの基材となるガラス繊維織物は
1)開口のあるガラス繊維織物(網状シート) 2)開口のないガラス繊維(板状シート)
を用いた。
【0080】
1)開口のあるガラス繊維織物(網状シート)
目付け量354g/m2、糸の密度11×3本/25mm(タテ・ヨコ同じ)の模紗織、厚さは0.42mmのものを用いた。触媒と吸着剤とバインダーを合わせた担持量は500g/m2であった。作成した脱臭シートの開口率は約15%であった。
【0081】
2)開口のないガラス繊維織物(板状シート)
目付け量408g/m2、糸の密度42本/25mm(タテ)、31本/25mm(ヨコ)の綾織、厚さは0.45mmのものを用いた。触媒と吸着剤とバインダーを合わせた担持量は500g/m2であった。作成した脱臭シートの開口率は0%である。
【0082】
作成した脱臭シートを18cm×8cmの大きさに切断し、さらに2cm×8cm、9枚に分割した。任意の傾斜角θで等間隔に積層した脱臭シートを水平に置き、光源としての冷陰極管、脱臭シート、ファンの順に並べて、内容積1m3のアクリルボックスに入れた。脱臭シート近接面の平均紫外線強度が2mW/cm2になるようにランプと脱臭シートの近接面の間隔を調整した。アクリルボックスを密閉し、10ppmのアセトアルデヒドガスを導入した。ボックス内の空気をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーでアセトアルデヒド濃度を経時的に測定した。
【0083】
図11に傾斜角を変化させたときのアセトアルデヒド脱臭率を示す。縦軸は120分後のアセトアルデヒド濃度から求めた脱臭率、横軸はランプの長手方向と脱臭シートが形成する傾斜角θである。1)網状シートの場合、傾斜角が0°から60°の範囲では傾斜角の増加に伴って脱臭率が向上し、60°から90°の範囲では脱臭率が減少した。脱臭率は、脱臭シートの受光強度・臭気と脱臭シートの接触効率および気流の状態・通過風量などが影響するが、本発明の形状では傾斜角約60°付近に最適値があることがわかった。一方、2)板状シートの場合、30°から90°の範囲では傾斜角の増加に伴って脱臭率が向上した。なお、傾斜角0°は風路が遮断されてしまい風を通すことができないため測定しなかった。上記の試験で最も脱臭効率がよかったのは1)網状シートを用いて傾斜角60°にした構成であった。板状シートのθ=90°時の脱臭性能を基準とすると、網状シートの傾斜角θは40<θ<78の範囲になるように脱臭シートを傾斜配置するとよいことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0084】
脱臭装置の通風時の圧力損失を少なくし、光触媒に効率よく光を照射することができ、脱臭性能に優れた脱臭機を提供することができ、脱臭装置、空気清浄機、脱臭機能付きエアコンなどの用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態1の光触媒脱臭機を示す概略断面図
【図2】同光触媒脱臭機のランプおよび脱臭フィルタ部の拡大図(側面)
【図3】同光触媒脱臭機のランプおよび脱臭フィルタ部の拡大図(平面)
【図4】本発明の実施の形態2の光触媒脱臭機の脱臭部を示す斜視図
【図5】同光触媒脱臭機をD−D‘平面で切断した斜視図
【図6】同光触媒脱臭機の側面板の部品図
【図7】同光触媒脱臭機の側面板の部品図
【図8】同光触媒脱臭機の分解図
【図9】同光触媒脱臭機の分解図
【図10】実施例1の光触媒脱臭機の風速と圧力損失の関係を示すグラフ
【図11】実施例2の傾斜角とアセトアルデヒド脱臭率の関係を示すグラフ
【図12】従来の脱臭装置を示す概略斜視図
【図13】従来の脱臭装置を示す概略斜視図
【符号の説明】
【0086】
1 本体
2 ランプ
3 脱臭シート
4 脱臭フィルタ
5 ファン
6 繊維
7 天板
8 側面板
9 スペーサー
10 切り欠き部
101 吸着剤
102 光触媒
103 ハニカム孔
104 ランプ
201 脱臭ユニット
202 紫外線ランプ
203 板状脱臭体
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒を利用した脱臭機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の脱臭装置には、臭気成分を吸着する吸着材に光触媒を練込みハニカム状に形成し、ハニカム孔に通風しながら光触媒を励起させる脱臭装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その脱臭装置について図12を参照しながら説明する。
【0004】
図12に示すように、脱臭装置は、吸着剤101に光触媒102を練り込みハニカム状に形成したものである。ハニカム孔103に臭気を含む空気を通風させるとともに、光触媒励起源としてのランプ104を点灯させ、光触媒102を励起させて臭気の分解脱臭を行うものである。
【0005】
また、図13に示すように、従来の脱臭装置として、脱臭ユニット201と紫外線ランプ202とから構成され、脱臭ユニット201は、複数の板状脱臭体203から構成され、これら複数の板状脱臭体203は通風方向に対し略平行に配置され、また、板状脱臭体203はTiO2等の光触媒と、ハイシリカゼオライト等の吸着剤とからなり、また、紫外線ランプ202は両端が脱臭ユニット201を構成する両端の板状脱臭体203にかかるように長手方向を板状脱臭体203の配列方向に沿わせて配置したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第2574840号公報
【特許文献2】特開平10−286436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の従来の脱臭装置は、吸着剤101と光触媒102を練り込んだハニカム構造体となっているために、ハニカム構造体の壁を厚くしないと形状を保持することが困難である。そして壁を厚くしたハニカム構造体は圧力損失が高くなりやすいという課題があった。また、光触媒励起源としてのランプ104から斜めに照射された光がハニカムの壁によってさえぎられ、ハニカム孔103の内部に陰になる部分が生じてしまい、ハニカム孔内部の光触媒102が活性化されないため、脱臭性能が低いという課題があった。ハニカム構造体の正面に多数のランプを配置すれば陰を作ることを回避できるが、この場合ランプ自体が通風をさえぎり、圧力損失が増大してしまうという課題があった。光を十分にあてるためにハニカムの厚みを小さくした場合には、形状安定性が低下するとともに、光触媒の担持量と光の照射面積を十分確保できないため脱臭性能が低下するという課題を有していた。
【0007】
また、特許文献2に記載の従来の脱臭装置は、通風方向に対し略平行に配置された複数の板状脱臭体であるため、通風時の圧力損失を少なくすることができる。しかしながら、紫外線ランプから垂直方向に照射された光は、光触媒と吸着剤を混合してなる板状脱臭体には照射されずに外部にもれてしまい、光の照射効率が悪く十分な脱臭性能を得ることができないという課題を有していた。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、脱臭装置の通風時の圧力損失を少なくし、光触媒に効率よく光を照射することができ、脱臭性能に優れた脱臭機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光触媒脱臭機は、上記目的を達成するために、棒状の光触媒の励起光源と、光触媒を含む脱臭シートを間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタと、送風手段とを備えた光触媒脱臭機であって、前記励起光源から照射された光を受光可能な位置に脱臭フィルタが配置され、前記棒状の励起光源の長手方向に対する前記脱臭シートの傾斜角θが0<θ<90の範囲になるように網状の脱臭シートが傾斜して積層され、前記送風手段によって送られた空気が脱臭フィルタを通過することにより脱臭されることを特徴とするものである。
【0010】
また、脱臭シートの傾斜角θが40<θ<78の範囲になるように網状の脱臭シートを傾斜させることを特徴とするものである。
【0011】
また、励起光源から垂直方向に照射された光が、脱臭フィルタで遮光されるように、脱臭フィルタの傾斜角と積層間隔を調整したことを特徴とするものである。
【0012】
また、励起光源と脱臭シートとの近接端面の距離が同じになるように、複数の脱臭シートを配列することを特徴とするものである。
【0013】
また、励起光源と脱臭シートとの近接端面が、脱臭シートの最も低い位置になるように傾斜させることを特徴とするものである。
【0014】
また、脱臭シートを等間隔に積層したことを特徴とするものである。
【0015】
また、脱臭シートをスペーサーで支持することを特徴とするものである。
【0016】
また、スペーサーが光反射作用を有することを特徴とするものである。
【0017】
また、スペーサーが70mm以下の間隔で複数設けられたことを特徴とするものである。
【0018】
また、脱臭シートがガラス繊維織物に光触媒を担持したものであることを特徴とするものである。
【0019】
また、ガラス繊維織物が、複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束によって形成されたことを特徴とするものである。
【0020】
また、光触媒を光透過性のバインダーを用いてガラス繊維織物に固定化したことを特徴とするものである。
【0021】
また、光透過性のバインダーの主成分がSiO2であることを特徴とするものである。
【0022】
また、脱臭シートが、吸着剤を含むことを特徴とするものである。
【0023】
また、励起光源の点灯管に保護カバーを備えたことを特徴とするものである。
【0024】
また、励起光源をはさんで、対称になるように2組の脱臭フィルタが配置されていることを特徴とするものである。
【0025】
また、脱臭フィルタの脱臭シートが、励起光源と接していない面から着脱可能であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、脱臭装置の通風時の圧力損失を少なくし、光触媒に効率よく光を照射することができ、脱臭性能に優れた光触媒脱臭機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の請求項1記載の発明は、棒状の光触媒の励起光源と、光触媒を含む脱臭シートを間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタと、送風手段とを備えた光触媒脱臭機であって、前記励起光源から照射された光を受光可能な位置に脱臭フィルタが配置され、前記棒状の励起光源の長手方向に対する前記脱臭シートの傾斜角θが0<θ<90の範囲になるように網状の脱臭シートが傾斜して積層され、前記送風手段によって送られた空気が脱臭フィルタを通過することにより脱臭されることを特徴としたものである。脱臭性能を向上させるためには、脱臭シートにより多くの光触媒を含ませたほうがよいが、そのためには脱臭シートを網状とし、網目を細かくする必要がある。しかしながら、網目を細かくすると脱臭シートの圧力損失が増大し、特許文献1のようにハニカム孔に空気を通過させる方法では、空気を網目に通過させることが困難となり脱臭性能は低下してしまう。本発明では、脱臭シートを間隔を置いて積層した配置にすることにより、送風手段によって送られた風が傾斜した脱臭シートの面に沿って通過していき、脱臭フィルタを低圧損にすることができる。また、脱臭フィルタが励起光源に対して傾斜角をもっているので光を効率的に受光でき、特許文献2のように傾斜角をもたない場合に比べて脱臭性能が向上するという効果が得られる。また、脱臭シートが開口を有する網状であることにより、通過する空気が脱臭シートの表面で乱流となって光触媒に接触する確率が高くなるので、脱臭性能を向上させることができる。
【0028】
また、脱臭シートの傾斜角θが40<θ<78の範囲になるように網状の脱臭シートを傾斜させることを特徴としたものであり、送風手段によって送られた風が傾斜した脱臭シートの面に沿って通過していき、脱臭フィルタを低圧損にすることができる。また、脱臭フィルタが励起光源に対して傾斜角をもっているので光を効率的に受光でき、脱臭性能が向上するという効果が得られる。また、脱臭シートが開口を有する網状であり、かつ傾斜角を有することにより、通過する空気が脱臭シートの表面で乱流となって光触媒に接触する確率が高くなるので、開口を有さない平板状に比べて脱臭性能を向上させることができる。
【0029】
また、励起光源から垂直方向に照射された光が、脱臭フィルタで遮光されるように、脱臭フィルタの傾斜角と積層間隔を調整したことを特徴としたものであり、励起光源から照射された光を外部に無駄に放出させず、効率的に利用することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0030】
また、励起光源と脱臭シートとの近接端面の距離が同じになるように、複数の脱臭シートを配列することを特徴としたものである。脱臭シートと励起光源の距離は、近いほど性能がよいため、全ての脱臭シートの近接端面を揃えることによって、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0031】
また、励起光源と脱臭シートとの近接端面が、脱臭シートの最も低い位置になるように傾斜させることを特徴としたものである。脱臭シートは傾斜角をもっているため、重力の作用によって低い位置へ移動しやすい。脱臭シートの最も低い位置を励起光源の近接位置にすることにより、優れた脱臭性能を得ることができる。また、空気にオイルミストなどの液体が含まれている場合、脱臭シートに付着したオイルが重力の作用によって低い位置へ移動する。脱臭シートの低い位置は励起光源の近接位置にあるため、光の強度が最も強くなっており、油の分解がすみやかに行われるという作用を有する。
【0032】
また、脱臭シートを等間隔に積層したことを特徴としたものであり、脱臭シートを等間隔に積層することにより、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。
【0033】
また、脱臭シートをスペーサーで支持することを特徴としたものであり、脱臭シートの間隔を保つことができるため、間隔の増減に起因する脱臭フィルタの圧力損失の分布の変動を抑制することができる。その結果、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。
【0034】
また、スペーサーが光反射作用を有することを特徴としたものであり、スペーサーに照射された光を反射して、脱臭シートに照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0035】
また、スペーサーが70mm以下の間隔で複数設けられたことを特徴としたものであり、スペーサーの間隔を70mm以下にすることにより、脱臭フィルタのたわみによる変形を抑制することができる。その結果、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。
【0036】
また、脱臭シートがガラス繊維織物に光触媒を担持したものであることを特徴としたものであり、ガラス繊維は有機合成繊維のように光触媒による劣化をうけることがなく、長期にわたって信頼性の高い脱臭シートを得ることができる。また、ガラス繊維は光透過性および光散乱性を有するため、光触媒に効率的に光を照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0037】
また、ガラス繊維織物が複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束によって形成されたことを特徴としたものである。複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束に光触媒を担持すると、繊維間に光触媒粒子が入りこみあるいは付着して固定化される。太い短繊維の表面に光触媒を担持する場合に比べて、繊維間に光触媒を保持することができるため担持量を増やすことができる。また、繊維間に入り込んだ光触媒粒子は繊維にはさまることによって強固に固定化されるとともに、外部から衝撃が加わった場合にも繊維を介して衝撃が伝わるので脱落しにくいという作用を得ることができる。
【0038】
また、光触媒を光透過性のバインダーを用いてガラス繊維織物に固定化したことを特徴としたものであり、光透過性のバインダーを用いることにより、バインダーが光透過性および光散乱性を有するため、光触媒に効率的に光を照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0039】
また、光透過性のバインダーの主成分がSiO2であることを特徴としたものであり、光触媒の結晶性を低下させるアルカリ成分がバインダーから溶出せず、光触媒の脱臭性能が低下しにくいというという作用を有する。
【0040】
また、脱臭シートが、吸着剤を含むことを特徴としたものであり、吸着剤を含むことにより、吸着剤で臭気を濃縮して光触媒で効率的に分解させることができ、優れた脱臭性能を得ることができる。また、光触媒に光が照射されていないときでも脱臭作用を得ることができる。
【0041】
また、励起光源の点灯管に保護カバーを備えたことを特徴としたものであり、励起光源の点灯管に保護カバーをつけることにより、点灯管の損傷による失透を防ぐことができ、機械的強度に優れた励起光源とすることができる。また、励起光源に通風することによって励起光源の温度が低下して発光強度が低下することがあるが、保護カバーをつけることによって励起光源の温度低下を抑制し、発光効率の低下を少なくすることができるという作用を有する。
【0042】
また、励起光源をはさんで、左右対称になるように2組の脱臭フィルタが配置されていることを特徴としたものであり、励起光源から照射された光を外部に無駄に放出させず、効率的に利用することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0043】
また、脱臭フィルタの脱臭シートが、励起光源と接していない面から着脱可能であることを特徴としたものであり、ランプと接触せずに脱臭シートを着脱することができ、メンテナンスが容易であるという作用を有する。
【0044】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0045】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における光触媒脱臭機の概略断面図、図2は本発明の実施の形態1における光触媒脱臭機のランプおよび脱臭フィルタ部の拡大図(側面)、図3は同ランプおよび脱臭フィルタ部の拡大図(平面)である。
【0046】
本発明の光触媒脱臭機は、本体1の内部に棒状の光触媒の励起光源としてのランプ2と、光触媒を含む網状の脱臭シート3を間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタ4と、送風手段としてのファン5とを備えている。脱臭フィルタ4は、ランプ2から照射された光を受光可能な位置に配置されている。図3に示すように、ランプ2の長手方向Aと脱臭シート3の面方向Bがなす傾斜角θは、0<θ<90の範囲になるように設置され、送風手段としてのファン5によって送られた空気は、脱臭フィルタ4を通過することにより脱臭される。脱臭シート3は、繊維6からなる網状体であり、略平面状のシートに無数の開口を有している。
【0047】
本発明では、脱臭シート3を間隔を置いて積層した配置にすることにより、ファン5によって送られた風の大部分は傾斜した脱臭シート3の面に沿ってB方向に通過していき、一部の風のみが脱臭シート3の網目を通過するため、脱臭フィルタを低圧損にすることができる。風に含まれる臭気は、脱臭フィルタに吸着するとともに光触媒の作用を受けて脱臭される。図3に示すように、脱臭シート3は開口を有する網状であるため、通過する空気が脱臭シートの表面で乱流となって光触媒に接触する確率が高くなり、脱臭性能が向上するという作用を有する。また、脱臭シートが網状となっているため、開口のない平板状のシートに比べてシートの表面積が大きくなり、ガスとの接触面積および光の照射面積を大きくすることができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0048】
光触媒としては、酸化スズ、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化ビスマスなどの金属酸化物、硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化モリブデンなどの金属硫化物、チタンナイトライドなどの窒化物が挙げられ、安全性、経済性などの面から、酸化チタンが好ましい。また、光触媒の表面にPt、Pd、Rh、Ru、Au、Ag、Cu、Zn等の助触媒を添加してもよい。
【0049】
光触媒を含む脱臭シートの基材としては、金属、プラスチック、合成樹脂繊維、天然繊維、木材、紙、ガラス、セラミックなどが挙げられるが,紫外線に対する強度を有していることが望ましい。光触媒性能と担持強度が確保できる材質であることが望ましく,金属やセラミックやガラスなどが適している。プラスチックや紙を基材として用いる場合は、基材表面にシリコーンやフッ素樹脂などを被覆して光触媒を担持することが望ましい。
【0050】
脱臭シートの形状は、シート面に開口を有していれば特に問題はなく、シートに孔を空けたパンチング形状、繊維を編みこんだ編物形状、繊維を接着した不織布形状などが好適である。シートはできるだけ平面であることが好ましいが、積層したシート同士が接触しない範囲で湾曲していてもよい。
【0051】
送風手段としては、本体内部に風を取り込むことができれば特に問題はなく、プロペラファン、シロッコファン、ターボファンなどあらゆる送風手段を利用することができる。送風手段によって送られる空気が脱臭フィルタを通過する風量は任意の範囲で設計することができるが、十分な脱臭性能を得るためには風速0.2〜2m/s程度にするとよい。
【0052】
光触媒を活性化させる棒状の励起光源としてはブラックライト、冷陰極管、殺菌灯、蛍光灯などのランプが挙げられる。光触媒を励起することができればいかなる手段を用いてもよいが,冷陰極管は比較的低コストであり,耐久寿命も長いことから光源として好ましい。LED光源を直線状に複数配列して棒状の励起光源としてもよい。
【0053】
図2に示すように、励起光源としてのランプ2から発生する光の強度は、光源の長手方向Aに対して垂直方向Cが一番強い。光強度が強いほど光触媒が活性化され脱臭性能が向上することから、脱臭シートを光源の長手方向Aと平行、すなわち光源の長手方向Aと脱臭シートの面方向Bがなす傾斜角θを0°とすると脱臭シートに対する光照射強度が最も強くなる。しかしながら、この配置では脱臭シートが通風をさえぎる形となるため圧力損失が増大し、通過できる風量が低下ため、脱臭装置の脱臭性能は低下してしまう。したがって、光源の長手方向Aと脱臭シート3の面方向Bがなす傾斜角θは、0<θ<90の範囲内で最適値に制御し、励起光源から垂直方向に照射された光がC´のように、脱臭フィルタで遮光されるように配置するとよく、より好ましくは、傾斜角θが40<θ<78の範囲である。このとき、脱臭シートの積層間隔とB方向のシート幅によって、脱臭フィルタで遮光されるように配置できる最適な傾斜角θは変化する。脱臭シートの積層間隔をh、脱臭シートの幅をwとすると、最適な傾斜角θは
h/w=cosθ
の式で計算することができる。例えば、脱臭フィルタの厚みwが3cm、積層間隔hが1cmの時は、傾斜角θを約70.5°にするとよい。このように脱臭シートを配置することにより、励起光源から照射された光を外部に無駄に放出させず、効率的に利用することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0054】
励起光源と脱臭シートとの距離は自由に設計することができるが、距離を短くするほど脱臭シートが受光する光強度が強くなる。したがって、図2に示すように、複数の脱臭シートを配列する際には、励起光源位置Aと脱臭シートとの近接端面の位置A‘の距離が同じになるように、脱臭シートを平行に配置することが好ましい。
【0055】
励起光源から脱臭フィルタに照射される光は、波長400nm以下の紫外線を0.1〜5.0mW/cm2の範囲となるように脱臭フィルタに照射されることが好ましく、より好ましくは0.5〜2mW/cm2の光強度である。照射強度は、励起光源の数、発光強度、励起光源と脱臭フィルタの距離を、任意の値に設計して制御することができる。
【0056】
励起光源と脱臭シートとの近接端面は、脱臭シートの最も低い位置になるように傾斜させると効率がよい。脱臭シートは傾斜角をもっているため、重力の作用によって低い位置へ移動しやすい。脱臭シートの最も低い位置を励起光源の近接位置にすることにより、優れた脱臭性能を得ることができる。また、空気にオイルミストなどの液体が含まれている場合、脱臭シートに付着したオイルが重力の作用によって低い位置へ移動する。脱臭シートの低い位置は励起光源の近接位置にあるため、光の強度が最も強くなっており、油の分解がすみやかに行われるという作用を有する。
【0057】
また、脱臭シートを等間隔に積層することにより、光を受光できない部分を最小にすることができる。また、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。積層間隔に特に制約はないが、好ましくは0.1〜10cmの距離にするとよい。
【0058】
脱臭シートは、ガラス繊維織物に光触媒を担持したものであってもよい。ガラス繊維は有機合成繊維のように光触媒による劣化をうけることがなく、長期にわたって信頼性の高い脱臭シートを得ることができる。また、ガラス繊維は光透過性および光散乱性を有するため、光触媒に効率的に光を照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。ガラス繊維の材質としては、石英ガラス、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Aガラス光透過性および光散乱性を有するものを利用することができる。繊維形状は特に限定されないが、単繊維よりも、4〜9μmの径を有する短繊維ガラスを複数束ねた繊維束によって形成することが好ましい。繊維束は50本〜6400本程度の任意の本数を束ねて利用することができる。複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束に光触媒を担持すると、繊維間に光触媒粒子が入りこみあるいは付着して固定化される。太い単繊維の表面に光触媒を担持する場合に比べて、繊維間に光触媒を保持することができるため担持量を増やすことができる。また、繊維間に入り込んだ光触媒粒子は繊維にはさまることによって強固に固定化されるとともに、外部から衝撃が加わった場合にも繊維を介して衝撃が伝わるので脱落しにくいという作用を得ることができる。
【0059】
なお、上記のガラス繊維織物を作成する際に、繊維の脱落を防止するために集束剤と呼ばれるデンプン等のバインダーを用いることが一般的であるが、バインダーは光触媒によって分解され脱臭性能低下の原因となるため、ガラス繊維織物を形成後には400℃以上の高温でバインダーの焼き飛ばし処理を行ったほうがよい。
【0060】
ガラス繊維織物の目付け量としては10〜900g/m2のものが好ましく、製造を容易にするためには100〜400g/m2のものを選択するとよい。また、織物の織り方は、平織、綾織、朱子織、からみ織り、模紗織など、どのような織り方でもかまわないが、形状安定性の観点から模紗織が好ましい。糸の密度としてはタテ・ヨコの繊維束が20〜40本/25mm、厚さは0.1〜2mm、引張り強度100N/25mm以上が好ましい。
【0061】
ガラス繊維織物に光触媒を担持する方法としては、ディップコート、スプレー、電着、蒸着などが挙げられるが、脱臭シートの基材表面に光触媒が固定化できればいかなる手段でもよい。1回の処理で担持量が十分でなければ、複数回の処理工程を繰り返してもよい。また、光触媒ゾルを用いる場合には、乾燥機で50〜150℃程度の温度で30〜60分程度加熱することにより基材に固定化できる。
【0062】
光触媒は光透過性のバインダーを用いて基材に固定化してもよい。光透過性のバインダーを用いることにより、バインダーが光透過性および光散乱性を有するため、光触媒に効率的に光を照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。光透過性のバインダーとしては、Na2O、K2O、LiO2などのケイ酸塩からなるアルカリシリケート、シリカゾルなどの無機コロイド、シリカ、ケイ素、チタンなどのアルコキシド類とその加水分解物などが挙げられる。強度を向上させるために、シリコーンやフッ素樹脂等を含んでいてもよい。なお、Naなどのアルカリ成分は光触媒の結晶性を低下させ、光触媒性能を低下させることがあるため、バインダーとしては、主成分がSiO2であることがのぞましく、シリカゾルまたはシリカアルコキシド類の加水分解物などが好適である。
【0063】
脱臭シートは、吸着剤を含んでいてもよい。吸着剤を含むことにより、吸着剤で臭気を濃縮して光触媒で効率的に分解させることができ、優れた脱臭性能を得ることができる。また、光触媒に光が照射されていないときでも脱臭作用を得ることができる。吸着剤としては、活性炭、活性炭素繊維、ゼオライト、シリカゲル、セピオライト、珪藻土などが挙げられ、紫外線領域の光吸収量が少ないハイシリカゼオライト(Si/Al=16以上)が好適である。光触媒と吸着剤の比率としては任意の配合を用いることができるが、好ましくは光触媒濃度が20〜80wt%である。
【0064】
励起光源の点灯管には、保護カバーを備えていてもよい。点灯菅の材質としては、石英ガラス、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Aガラス等光を通すことができるものを利用することができる。光透過率をよくするためには、不純物が少ない石英管を利用することが好ましいが、石英菅は比較的高価である。また、光透過率を向上させるためには点灯管をできるだけ薄くすることが好ましいが、機械的強度が低下して割れやすくなるという課題がある。励起光源の点灯管の外周部に保護カバーをつけることにより、点灯管の損傷による失透を防ぐことができ、機械的強度に優れた励起光源とすることができる。また、励起光源に通風することによって励起光源の温度が低下して発光強度が低下することがあるが、保護カバーをつけることによって励起光源の温度低下を抑制し、発光効率の低下を少なくすることができるという作用を有する。保護カバーとしては、光を透過して機械的強度に優れたものであれば特に制約はなく、ガラス、フッ素樹脂、アクリル樹脂などを利用することができる。金属などの光透過性がない材質であっても、金網、パンチングメタルなど開口を備えた形状に加工して円筒状にすれば、保護カバーとして利用することができる。
【0065】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における光触媒脱臭機の脱臭部を示す斜視図、図5は図4に示す光触媒脱臭機をD−D‘平面で切断した際の斜視図、図6および図7は側面板の部品図である。
【0066】
図4に示すように、励起光源としてのランプ2および脱臭フィルタ4は、天板7および側面板8によって固定されている。ランプ2は、側面板8に平行になるように6本配置されている。前記ランプ2を中心として上流および下流側には、光触媒を含む網状の脱臭シート3を間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタ4が配置されている。このような配置とすることにより、励起光源をはさんで、対称になるように2組の脱臭フィルタが配置されているため、励起光源から照射された光を外部に無駄に放出させず、効率的に利用することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。
【0067】
前記脱臭シート3の傾斜角θが0<θ<90の範囲になるように脱臭シート3は傾斜して積層され、図示しない送風手段によって送られた空気が脱臭フィルタ4を通過することにより脱臭される。図5および図6に示すように、脱臭シート3は、側面板8に設けられた等間隔の支持部と、スペーサー9が形成する等間隔支持部によって支持されている。側面板に支持部を設ける手段としては、板に溝を設ける方法、板に突起を設ける方法、板と脱臭シートを接着剤で接着する方法などが挙げられる。スペーサーに支持部を設ける手段としては、スペーサーにスリットを設ける方法、棒状のスペーサーにトゲ状の突起を設ける方法、スペーサーと脱臭シートを接着剤で接着する方法などが挙げられる。
【0068】
上記の構成により、脱臭シートの間隔を一定に保つことができるため、間隔の増減に起因する脱臭フィルタの圧力損失の分布を抑制することができる。その結果、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。
【0069】
スペーサーは光反射作用を有することが好ましく、スペーサーに照射された光を反射して、脱臭シートに照射することができ、優れた脱臭性能を得ることができる。スペーサーの材質としてはステンレス、アルミ、ガラスなどが挙げられる。複数のスペーサーの間隔を70mm以下にすることにより、脱臭フィルタのたわみによる変形を抑制することができる。その結果、脱臭シートに均一な風を送ることができるので、効率的に脱臭性能をひきだすことができる。また、フィルタの面振動を抑えることができ、騒音の発生を低減することができる。
【0070】
スペーサーと側面板の形状によって、脱臭シートの支持形状を変化させることができる。図6は脱臭シートを平面状に支持した例であり、積層された脱臭シート間の風路が直線となるため、圧力損失を低減することができる。図7は側面板形状の別の一例であり、脱臭シートを湾曲させて支持した例である。この場合、積層された脱臭シート間の風路は曲線となるため、圧力損失は図6の例よりも増大するが、脱臭シート間に照射された光が湾曲した脱臭シートにさえぎられて脱臭フィルタの外部に光がもれない構成となるため、光を効率的に利用して脱臭効率を向上させることができる。
【0071】
図8および図9は、図4の光触媒脱臭機の分解図である。脱臭フィルタの脱臭シート3は、ランプ2と接していない面から着脱可能である。脱臭フィルタはNOx、NH3、H2S、CH3SH等が高濃度で存在する雰囲気下で長期間使用すると硝酸塩、硫酸塩などが蓄積して性能低下することがあり、その場合交換が必要である。上記構成とすることにより、ランプ2と接触せずに脱臭シート3を矢印E方向に着脱することができ、メンテナンスが容易であるという作用を有する。また、図9のように、天板7に切り欠き部10を設けることにより、ランプ2も矢印F方向に着脱が容易となり、メンテナンス性が向上する。ランプを設置する際には、切り欠き部10からランプ2aをF‘方向に挿入し、2bの位置で回転させ2cの向きに固定すればよい。ランプの端子は弾性を有するシリコンゴム製とし、天板7の切り欠き部10の幅よりやや大きいサイズにしておく。このようにすることにより、ランプの端部に備えられた端子とリード線を天板7に固定することができる。
【0072】
以下、本発明を実施例にて詳細に説明するが、本発明は、以下の記載に何ら限定して解釈されるものではない。
【実施例1】
【0073】
(圧力損失)
光触媒として粉末状の酸化チタンを8wt%、吸着剤としてのハイシリカゼオライトを20wt%、バインダーとしてのコロイダルシリカを60wt%、精製水を12w%の比率になるように材料を計量して混合した後、ボールミルで24時間分散混合してスラリーを作成した。出来上がったスラリーに、開口率15%のガラス繊維織物ディップして光触媒を含浸させ、エアブローして余剰液を排除した後、120℃の乾燥機で30分乾燥させ、光触媒を含む脱臭シートを作成した。触媒と吸着剤とバインダーを合わせた担持量は500g/m2であった。脱臭シートの基材となるガラス繊維織物は、目付け量354g/m2、糸の密度11×3本/25mm(タテ・ヨコ同じ)の模紗織、厚さは0.42mmのものを用いた。作成した脱臭シートの開口率は約15%であった。
【0074】
図4と同様の構成になるように作成した脱臭シートを21cm×2.5cmの大きさに切断し、積層間隔8.8mmになるように縦に49枚平行に積層した。同様の積層体を2個作成し、ランプをはさむように設置した。フィルタの合計枚数は98枚である。このときのランプと脱臭シートの傾斜角θは約70°とし、ランプとの近接端面が脱臭シートの最も低い位置になる向きに配置した。ランプは3.5cm間隔で6本配置した。天板と側面板で囲まれた風路の断面積は47cm×20cmに設定した。フィルタの開口率を考慮せず、フィルタの接着部を除外して計算した脱臭シートの合計表面積は約4900cm2である。作成した脱臭フィルタの下流側にファンを接続し、本発明の実施例1の光触媒脱臭機とした。
【0075】
上記と同様の方法で脱臭シートを作成した後、脱臭シートが風路をふさぐ形(傾斜角θ=0°)で、断面積が47cm×20cmになるように風路に配置した。脱臭シートの合計表面積は約940cm2である。フィルタの下流側に6本のランプを配置し、さらに下流側にファンを接続して、本発明の比較例1の光触媒脱臭機とした。
【0076】
上記と同様の方法で脱臭シートを作成した後、脱臭シートが風路をふさぐ形で、断面積が47cm×20cmになるように風路に配置し、これを4枚重ねた。脱臭シートの合計表面積は約3760cm2である。フィルタの下流側に6本のランプを配置し、さらに下流側にファンを接続して、本発明の比較例2の光触媒脱臭機とした。
【0077】
作成した光触媒脱臭機の風速と圧力損失の関係を図10に示す。本発明の実施例1の光触媒脱臭機は圧力損失が低く、面風速1m/s時の圧力損失は10.8Paであった。一方、比較例1の光触媒脱臭機では面風速1m/s時の圧力損失が19.3Pa、比較例2の光触媒脱臭機では圧力損失が46.2Paとなり、実施例1の光触媒脱臭装置に比べて風路を風が通過しにくいことがわかった。フィルタの合計表面積を比較すると、本発明の光触媒脱臭機の表面積は4900cm2であり、比較例1の約5.2倍、比較例2の1.3倍となる。これらのことから、実施例1のように脱臭シートの傾斜角を0°以上にすることにより、脱臭フィルタの圧力損失を低減しながら、脱臭シートの合計表面積を増やすことができ、脱臭効率の良い光触媒脱臭装置を得ることができることがわかった。
【実施例2】
【0078】
(脱臭シートの傾斜角と脱臭性能)
粉末状の酸化チタンを8wt%、吸着剤としてのハイシリカゼオライトを20wt%、コロイダルシリカを60wt%、精製水を12w%の比率になるように材料を計量して混合した後、ボールミルで24時間分散混合してスラリーを作成した。出来上がったスラリーに、開口率29%のガラス繊維織物をディップして光触媒を含浸させ、エアブローして余剰液を排除した後、120℃の乾燥機で30分乾燥させ、光触媒を含む脱臭シートを作成した。
【0079】
脱臭シートの基材となるガラス繊維織物は
1)開口のあるガラス繊維織物(網状シート) 2)開口のないガラス繊維(板状シート)
を用いた。
【0080】
1)開口のあるガラス繊維織物(網状シート)
目付け量354g/m2、糸の密度11×3本/25mm(タテ・ヨコ同じ)の模紗織、厚さは0.42mmのものを用いた。触媒と吸着剤とバインダーを合わせた担持量は500g/m2であった。作成した脱臭シートの開口率は約15%であった。
【0081】
2)開口のないガラス繊維織物(板状シート)
目付け量408g/m2、糸の密度42本/25mm(タテ)、31本/25mm(ヨコ)の綾織、厚さは0.45mmのものを用いた。触媒と吸着剤とバインダーを合わせた担持量は500g/m2であった。作成した脱臭シートの開口率は0%である。
【0082】
作成した脱臭シートを18cm×8cmの大きさに切断し、さらに2cm×8cm、9枚に分割した。任意の傾斜角θで等間隔に積層した脱臭シートを水平に置き、光源としての冷陰極管、脱臭シート、ファンの順に並べて、内容積1m3のアクリルボックスに入れた。脱臭シート近接面の平均紫外線強度が2mW/cm2になるようにランプと脱臭シートの近接面の間隔を調整した。アクリルボックスを密閉し、10ppmのアセトアルデヒドガスを導入した。ボックス内の空気をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーでアセトアルデヒド濃度を経時的に測定した。
【0083】
図11に傾斜角を変化させたときのアセトアルデヒド脱臭率を示す。縦軸は120分後のアセトアルデヒド濃度から求めた脱臭率、横軸はランプの長手方向と脱臭シートが形成する傾斜角θである。1)網状シートの場合、傾斜角が0°から60°の範囲では傾斜角の増加に伴って脱臭率が向上し、60°から90°の範囲では脱臭率が減少した。脱臭率は、脱臭シートの受光強度・臭気と脱臭シートの接触効率および気流の状態・通過風量などが影響するが、本発明の形状では傾斜角約60°付近に最適値があることがわかった。一方、2)板状シートの場合、30°から90°の範囲では傾斜角の増加に伴って脱臭率が向上した。なお、傾斜角0°は風路が遮断されてしまい風を通すことができないため測定しなかった。上記の試験で最も脱臭効率がよかったのは1)網状シートを用いて傾斜角60°にした構成であった。板状シートのθ=90°時の脱臭性能を基準とすると、網状シートの傾斜角θは40<θ<78の範囲になるように脱臭シートを傾斜配置するとよいことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0084】
脱臭装置の通風時の圧力損失を少なくし、光触媒に効率よく光を照射することができ、脱臭性能に優れた脱臭機を提供することができ、脱臭装置、空気清浄機、脱臭機能付きエアコンなどの用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態1の光触媒脱臭機を示す概略断面図
【図2】同光触媒脱臭機のランプおよび脱臭フィルタ部の拡大図(側面)
【図3】同光触媒脱臭機のランプおよび脱臭フィルタ部の拡大図(平面)
【図4】本発明の実施の形態2の光触媒脱臭機の脱臭部を示す斜視図
【図5】同光触媒脱臭機をD−D‘平面で切断した斜視図
【図6】同光触媒脱臭機の側面板の部品図
【図7】同光触媒脱臭機の側面板の部品図
【図8】同光触媒脱臭機の分解図
【図9】同光触媒脱臭機の分解図
【図10】実施例1の光触媒脱臭機の風速と圧力損失の関係を示すグラフ
【図11】実施例2の傾斜角とアセトアルデヒド脱臭率の関係を示すグラフ
【図12】従来の脱臭装置を示す概略斜視図
【図13】従来の脱臭装置を示す概略斜視図
【符号の説明】
【0086】
1 本体
2 ランプ
3 脱臭シート
4 脱臭フィルタ
5 ファン
6 繊維
7 天板
8 側面板
9 スペーサー
10 切り欠き部
101 吸着剤
102 光触媒
103 ハニカム孔
104 ランプ
201 脱臭ユニット
202 紫外線ランプ
203 板状脱臭体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の光触媒の励起光源と、光触媒を含む脱臭シートを間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタと、送風手段とを備えた光触媒脱臭機であって、前記励起光源から照射された光を受光可能な位置に脱臭フィルタが配置され、前記棒状の励起光源の長手方向に対する前記脱臭シートの傾斜角θが0<θ<90の範囲になるように網状の脱臭シートが傾斜して積層され、前記送風手段によって送られた空気が脱臭フィルタを通過することにより脱臭されることを特徴とする光触媒脱臭機。
【請求項2】
脱臭シートの傾斜角θが40<θ<78の範囲になるように網状の脱臭シートを傾斜させることを特徴とする請求項1記載の光触媒脱臭機。
【請求項3】
励起光源から垂直方向に照射された光が、脱臭フィルタで遮光されるように、脱臭フィルタの傾斜角と積層間隔を調整したことを特徴とする請求項1または2記載の光触媒脱臭機。
【請求項4】
励起光源と脱臭シートとの近接端面の距離が同じになるように、複数の脱臭シートを配列することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項5】
励起光源と脱臭シートとの近接端面が、脱臭シートの最も低い位置になるように傾斜させることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項6】
脱臭シートを等間隔に積層したことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項7】
脱臭シートをスペーサーで支持することを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項8】
スペーサーが光反射作用を有することを特徴とする請求項7記載の光触媒脱臭機。
【請求項9】
スペーサーが70mm以下の間隔で複数設けられたことを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項10】
脱臭シートがガラス繊維織物に光触媒を担持したものであることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項11】
ガラス繊維織物が、複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束によって形成されたことを特徴とする請求項10記載の光触媒脱臭機。
【請求項12】
光触媒を光透過性のバインダーを用いてガラス繊維織物に固定化したことを特徴とする請求項10または11記載の光触媒脱臭機。
【請求項13】
光透過性のバインダーの主成分がSiO2であることを特徴とする請求項12光触媒脱臭機。
【請求項14】
脱臭シートが、吸着剤を含むことを特徴とする請求項1乃至13いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項15】
励起光源の点灯管に保護カバーを備えたことを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項16】
励起光源をはさんで、対称になるように2組の脱臭フィルタが配置されていることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項17】
脱臭フィルタの脱臭シートが、励起光源と接していない面から着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項1】
棒状の光触媒の励起光源と、光触媒を含む脱臭シートを間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタと、送風手段とを備えた光触媒脱臭機であって、前記励起光源から照射された光を受光可能な位置に脱臭フィルタが配置され、前記棒状の励起光源の長手方向に対する前記脱臭シートの傾斜角θが0<θ<90の範囲になるように網状の脱臭シートが傾斜して積層され、前記送風手段によって送られた空気が脱臭フィルタを通過することにより脱臭されることを特徴とする光触媒脱臭機。
【請求項2】
脱臭シートの傾斜角θが40<θ<78の範囲になるように網状の脱臭シートを傾斜させることを特徴とする請求項1記載の光触媒脱臭機。
【請求項3】
励起光源から垂直方向に照射された光が、脱臭フィルタで遮光されるように、脱臭フィルタの傾斜角と積層間隔を調整したことを特徴とする請求項1または2記載の光触媒脱臭機。
【請求項4】
励起光源と脱臭シートとの近接端面の距離が同じになるように、複数の脱臭シートを配列することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項5】
励起光源と脱臭シートとの近接端面が、脱臭シートの最も低い位置になるように傾斜させることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項6】
脱臭シートを等間隔に積層したことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項7】
脱臭シートをスペーサーで支持することを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項8】
スペーサーが光反射作用を有することを特徴とする請求項7記載の光触媒脱臭機。
【請求項9】
スペーサーが70mm以下の間隔で複数設けられたことを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項10】
脱臭シートがガラス繊維織物に光触媒を担持したものであることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項11】
ガラス繊維織物が、複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束によって形成されたことを特徴とする請求項10記載の光触媒脱臭機。
【請求項12】
光触媒を光透過性のバインダーを用いてガラス繊維織物に固定化したことを特徴とする請求項10または11記載の光触媒脱臭機。
【請求項13】
光透過性のバインダーの主成分がSiO2であることを特徴とする請求項12光触媒脱臭機。
【請求項14】
脱臭シートが、吸着剤を含むことを特徴とする請求項1乃至13いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項15】
励起光源の点灯管に保護カバーを備えたことを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項16】
励起光源をはさんで、対称になるように2組の脱臭フィルタが配置されていることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項17】
脱臭フィルタの脱臭シートが、励起光源と接していない面から着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の光触媒脱臭機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−226351(P2009−226351A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77336(P2008−77336)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]