説明

光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物、その硬化物、及びそれを用いた光記録媒体

【課題】光記録媒体の背面層に用いたときに、環境温度及び湿度の変化に対する反りの発生を抑制することができる光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物、その硬化物、及びそれを用いた光記録媒体を提供する。
【解決手段】高圧水銀ランプにて、波長254nm、照射強度1.0J/cmの紫外線を照射して硬化させた膜厚100μmの硬化物膜の5℃における引張弾性率が1,400MPa以上であることを特徴とする光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体背面層用の放射線硬化性組成物、その硬化物、及びそれを用いた光記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂等の樹脂基板上に記録再生層が設けられた光記録媒体における該記録再生層の保護層に放射線硬化性組成物の硬化物を用いる試みは、従来より数多くなされている。一方、樹脂基板と該保護層間の線膨張係数及び弾性率等の違いに起因して、該保護層の設置が、光記録媒体の環境温度及び湿度の変化に対して反りが発生するという問題を新たに生じさせている。それに対して、保護層が設けられた樹脂基板の背面に、その透湿度が保護層のそれよりも小さい紫外線硬化性組成物の硬化物の基板保護層を設けることにより、温湿度変化に伴う反りを防止する方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。又、その線膨張係数とそのヤング率との積が保護層のそれよりも大きい紫外線硬化性組成物の硬化物からなり、その膜厚を保護層の膜厚より薄厚とした調整層を設けることにより、環境温度の変化に対する反りを抑制する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。さらに、情報記録層を被覆し放射線硬化樹脂からなる光透過層と、情報記録層が形成された基板の反対側の面に配置された反り調節層の、各々の線膨張係数又は引張弾性率を特定の関係にすることにより、温度変化による光透過層の反りを調節する方法(例えば、特許文献4参照。)も提案されている。又、その湿度膨張係数が保護層のそれよりも大きい紫外線硬化性組成物の硬化物からなり、その膜厚を保護層の膜厚より薄厚とした基板保護層を設けることにより、環境湿度の変化に対する反りを抑制する方法(例えば、特許文献3参照。)等も提案されている。
【0003】
しかしながら、本発明者等の検討によると、従来のいずれの硬化性組成物の硬化物も、環境湿度の変化に対する反りの抑制が充分であっても、環境温度の変化に対する反りの抑制が不充分であるか、環境温度の変化に対する反りの抑制が充分であっても、環境湿度の変化に対する反りの抑制が不充分であって、環境温度及び湿度の両方の変化に対する抑制を両立し得ているものではなく、特に、保護層の膜厚が厚い場合にその課題が顕著であることが判明した。
【特許文献1】特開2000−311381号公報
【特許文献2】特開2004−253075号公報
【特許文献3】特開2006−73198号公報
【特許文献4】特開2008−171539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述の従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、従って、本発明は、光記録媒体の背面層に用いたときに、環境温度及び湿度の変化に対する反りの発生を抑制することができる光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物、その硬化物、及びそれを用いた光記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、前述の課題に解決を与えるべく鋭意検討した結果、硬化物としての5℃における引張弾性率が特定値以上である放射線硬化性組成物が前記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに到ったもので、即ち、本発明の要旨は、高圧水銀ランプにて、波長254nm、照射強度1.0J/cmの紫外線を照射して硬化させた膜厚100μmの硬化物膜の5℃における引張弾性率が1,400MPa以上である光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物、該光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物を放射線照射により硬化させて得られたものである光記録媒体背面層用放射線硬化物、及び、該光記録媒体背面層用放射線硬化物の層を背面層として有する光記録媒体、に存する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光記録媒体の背面層に用いたときに、環境温度及び湿度の変化に対する反りの発生を抑制することができる光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物、その硬化物、及びそれを用いた光記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
また、本発明における光記録媒体の背面層は、基板に対して反射膜層が存するレーザー光入射面の反対側に設けられる層であればよく、光記録媒体のその他の層構成は特に限定はされない。
【0008】
1.光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物は、(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)(A)以外の(メタ)アクリレート、を少なくとも含有するのが好ましく、更に、(C)重合開始剤を含有していてもよく、又、本発明の効果を著しく損なわない限り、その他の物質を含有していてもよい。
【0009】
1−1.(A)ウレタン(メタ)アクリレート
(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、通常、ポリイソシアネートと、ヒドロキシル基含有化合物と、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとを反応させて得られる。本発明における(A)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、組成物としての表面硬化性に優れ、タックが残りにくいという点から、ウレタンアクリレートが好ましい。
【0010】
1−1−a.ポリイソシアネート
ポリイソシアネートとは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、そのポリイソシアネートとしては、具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香環を有するジイソシアネート等が挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、得られるウレタンオリゴマーの色相が良好である点で、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、及び、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが好ましい。
【0011】
尚、ポリイソシアネートの分子量としては、組成物の硬化物としての強度と弾性率とのバランスの面で、100以上が好ましく、更には150以上であるのが好ましく、又、1,000以下が好ましく、更には500以下であるのが好ましい。
【0012】
1−1−b.ヒドロキシル基含有化合物
ヒドロキシル基含有化合物としては、2個以上のヒドロキシル基を含有するポリオール類が好ましく、その具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン等の分子量500未満の低分子ポリオール類や、前記低分子ポリオール類がエーテル結合を介して多量体を形成して得られるポリエーテルポリオール、前記低分子ポリオール類と多塩基酸との反応によるエステル結合或いは環状エステルの開環重合によるエステル結合を有するポリエステルポリオール、及び前記低分子ポリオール類とカーボネートとの反応によるカーボネート結合を有するポリカーボネートポリオール等の分子量500以上の高分子ポリオール類が挙げられる。
【0013】
ポリエーテルポリオールの具体例としては、前記低分子ポリオール類の多量体の他に、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの開環重合体としてのポリテトラメチレングリコール、及び、前記ポリオール類の、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイドの付加物等が挙げられる。
【0014】
又、ポリエステルポリオールの具体的としては、前記低分子ポリオール類と、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等の多塩基酸との反応物、及び、カプロラクトン等の環状エステルの開環重合体としてのポリカプロラクトン等が挙げられる。
【0015】
又、ポリカーボネートポリオールの具体例としては、前記低分子ポリオール類と、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート、又は、ジフェニルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4’−ジメチルジフェニルカーボネート、2−トリル−4−トリルカーボネート、4,4’−ジエチルジフェニルカーボネート、4,4’−ジプロピルジフェニルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、フェニルナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート、又は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等のジアルキルカーボネート等との反応物等が挙げられる。
【0016】
これらのヒドロキシル基含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。又、低分子ポリオール類と高分子ポリオール類を組み合わせて用いてもよい。高分子ポリオール類の中では、ポリエーテルポリオールが好ましく、中でも、ポリアルキレングリコールが更に好ましく、ポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。
【0017】
尚、高分子ポリオール類の分子量としては、高分子ポリオール類の合計の好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、特に好ましくは15モル%以上が数平均分子量で500以上であり、又、1,500以下が好ましく、更には800以下であるのが好ましい。分子量が小さい場合は、硬化収縮が大きくなりすぎる傾向があり、分子量が大きい場合は弾性率が低くなる傾向がある。
【0018】
従って、本発明における高分子ポリオール類としては、数平均分子量800以下のポリアルキレングリコールが好ましく、硬化収縮の抑制及び高弾性率化のために数平均分子量800以下のポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。
【0019】
1−1−c.ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとは、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを併せ持つ化合物であり、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコールのモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
尚、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの分子量としては、40以上が好ましく、更には80以上であるのが好ましく、又、800以下が好ましく、更には400以下であるのが好ましい。
【0021】
1−1−d.(A)ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法
前記ポリイソシアネートと、前記ヒドロキシル基含有化合物と、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとを付加反応させることにより、(メタ)アクリロイル基を有する、(A)ウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。その際、イソシアネート基とヒドロキシル基が化学量論量になるように仕込む。特に、ヒドロキシル基含有化合物としてジオール類を用いており、さらに(メタ)アクリロイル基を有する(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、得られる組成物の硬化物として密着性や表面硬化度がさらに増すという利点がある。
【0022】
尚、(A)ウレタン(メタ)アクリレートを製造するときは、前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの使用量を、前記ヒドロキシル基含有化合物と該ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとを合わせた全ヒドロキシル基含有化合物量に対して、通常30モル%以上、好ましくは40モル%以上、又、通常80モル%以下、好ましくは70モル%以下とする。その割合に応じて、得られる(A)ウレタン(メタ)アクリレートの分子量を制御することができる。
【0023】
これらのポリイソシアネートとヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとの付加反応は、公知の何れの方法でも行うことができる。例えば、ポリイソシアネートと、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート及び付加反応触媒との混合物とを、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、又、通常90℃以下、好ましくは75℃以下の条件下で混合する。その際の混合の方法としては、ポリイソシアネート存在下に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートと付加反応触媒との混合物を滴下することが好ましい。又、このときの付加反応触媒としては、例えば、ジブチルスズラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジラウレート、及び、ジオクチルスズジオクトエート等が好ましく、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
尚、(A)ウレタン(メタ)アクリレートを製造するときに、前記ポリイソシアネート、前記ヒドロキシル基含有化合物、及び前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの他に、その他の成分を含有させてもよい。
【0025】
1−1−e.(A)ウレタン(メタ)アクリレートの特性
(A)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、透明性の高いものであるのが好ましく、例えば、芳香環を有していない化合物であるのが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートが芳香環を有する場合、芳香環を有する放射線硬化性組成物及びその硬化物は、得られるものが着色物であったり、最初は着色していなくても保存中に着色したり着色が強まること(いわゆる黄変)がある。これは芳香環を形成する二重結合部分が、エネルギー線によってその構造を不可逆的に変化させることが原因であると考えられており、このため、(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、芳香環を有しない構造を持つことで、色相の低下がなく、かつ光線透過性も低下することなく、光記録媒体等の無色透明が要求される用途への応用に特に適する利点がある。
【0026】
芳香環を有しない(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、芳香環を有しないポリイソシアネートと、芳香環を有しないヒドロキシル基含有化合物と、芳香環を有しないヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを選択することにより製造でき、その芳香環を有しないポリイソシアネートの具体例としては、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられ、又、芳香環を有しないヒドロキシル基含有化合物の具体例としては、アルキレンポリオール、アルキレンポリエステル、アルキレンカーボネートの各ポリオール等が挙げられ、又、芳香環を有しないヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
これらの(A)ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量は、粘度と機械特性とのバランスの面から、500以上が好ましく、更には700以上であるのが好ましく、又、5,000以下が好ましく、更には3,000以下であるのが好ましい。
【0028】
これらの(A)ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、粘度と機械特性とのバランスの面から、1,000以上が好ましく、更には1,500以上であるのが好ましく、又、10,000以下が好ましく、更には5,000以下であるのが好ましい。
【0029】
1−2.(B)(A)以外の(メタ)アクリレート
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物において、(B)(A)以外の(メタ)アクリレートとしては、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの(メタ)アクリレートも用いることができ、例えば、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0030】
その単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロイルモルフォリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート類等が挙げられ、これらの中で、脂環式(メタ)アクリレート類が好ましく、更には疎水性の高いテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
【0031】
又、その多官能(メタ)アクリレートとしては、脂肪族ポリ(メタ)アクリレート類、脂環式ポリ(メタ)アクリレート類、芳香族ポリ(メタ)アクリレート類等が挙げられ、具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリイソブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA、ビスフェノールF、或いはビスフェノールS等のビスフェノールのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、或いはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA、ビスフェノールF、或いはビスフェノールS等のビスフェノールの水添誘導体のジ(メタ)アクリレート、各種ポリエーテルポリオールと他の化合物とのブロック、或いはランダム共重合体のジ(メタ)アクリレート等のポリエーテル骨格を有する(メタ)アクリレート類、及び、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、p−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]キシリレン、4,4’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルホン等の2官能の(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、グリセリントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート類、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の5官能以上の(メタ)アクリレート類等の不定多官能の(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0032】
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物において、これらの(B)(A)以外の(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、前記単官能(メタ)アクリレートの含有量を、(B)(A)以外の(メタ)アクリレートに対して30重量%以上とするのが好ましく、50重量%以上とするのが更に好ましい。単官能(メタ)アクリレートの含有量が前記範囲より少ないと、硬化性組成物の硬化物としての機械的強度が高くなりすぎる傾向になる。
【0033】
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物における前記(A)ウレタン(メタ)アクリレートと前記(B)(A)以外の(メタ)アクリレートとの含有割合は、重量%で、(A)/(B)=5/95〜80/20であるのが好ましく、30/70〜60/40であるのが更に好ましい。(A)ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が多すぎると、放射線硬化性組成物の粘度が高くなる傾向となり、一方、少なすぎると、硬化物としての機械物性が低下する傾向となる。
【0034】
又、本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物において、該組成物全量に対する、前記(A)ウレタン(メタ)アクリレートと前記(B)(A)以外の(メタ)アクリレートとの総和の含有量は、組成物としての硬化速度、及び表面硬化性に優れ、タックが残らない等の点から、80重量%以上であるのが好ましく、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、特に好ましくは98重量%以上である。
【0035】
1−3.(C)重合開始剤
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物は、更に、放射線(例えば、活性エネルギー線、紫外線、電子線等)によって進行する重合反応を開始するための、(C)重合開始剤を含有していてもよい。(C)重合開始剤としては、光によりラジカルを発生する性質を有する化合物であるラジカル発生剤が一般的であり、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知の何れのラジカル発生剤でも使用可能であり、更に、ラジカル発生剤と増感剤との併用系であってもよい。
【0036】
このようなラジカル発生剤の具体例としては、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オン等が挙げられ、これらの中で、硬化速度が速く架橋密度を十分に上昇させることができることから、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、及び、2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及び、2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが更に好ましい。
【0037】
尚、これらのラジカル発生剤は、1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。又、ラジカル発生剤の混合量は、前記(A)ウレタン(メタ)アクリレート、及び、前記(B)(A)以外の(メタ)アクリレートの合計100重量部に対し、通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、更に好ましくは2重量部以上、又、通常10重量部以下、好ましくは9重量部以下、更に好ましくは7重量部以下である。混合量が少なすぎると、放射線硬化性組成物を十分に硬化させることができなくなる傾向となり、一方、多すぎると、分解物の残存量が多くなり、硬化膜が軟質化するだけでなく色相も低下する傾向となる。
【0038】
又、これらのラジカル発生剤と共に、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知の増感剤を併用してもよい。増感剤は1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
1−4.補助成分
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、必要に応じて添加剤等の補助成分が含有されていてもよい。その補助成分の具体例としては、酸化防止剤、熱安定剤、或いは光吸収剤等の安定剤類;ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、金属繊維、金属粉等のフィラー類;炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料類(フィラー類、炭素材料類を総称して無機成分と称する。);帯電防止剤、滑り性付与剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類;顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類;モノマー又は/及びそのオリゴマー、または無機成分の合成に必要な硬化剤、触媒、硬化促進剤類等が挙げられ、これらの補助成分は、1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
上記フィラー類の中でも透明性を比較的高く維持しながら光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の粘度調整をするためにシリカを使用することが好ましい。具体的にシリカとは、珪素酸化物一般を指し、珪素と酸素の比率、結晶かアモルファスかは問わず、工業的に生産されている、溶媒中に分散されている状態のシリカ粒子、又は粉体のシリカ粒子;アルコキシシラン等の原料から誘導、合成されたシリカ粒子等を挙げることができる。中でも、本発明の放射線硬化性組成物に用いる場合、混合や分散のしやすさから、溶媒中に分散されている状態のシリカ粒子、又は、アルコキシシラン等の原料から誘導、合成されたシリカ粒子が好ましい。シリカを含有させることで光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物はチクソトロピー性を発現し、スクリーン印刷時において特に好ましい。
【0041】
そのシリカ粒子の粒径は任意であるが、TEM(透過型電子顕微鏡)等を用いた形態観察によって測定される数平均粒径として、好ましくは0.5nm以上、更に好ましくは1nm以上であり、又、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは30nm以下、特に好ましくは15nm以下、特に好ましくは12nm以下である。シリカ粒子としては超微粒子であることが好ましいが、小さすぎると、超微粒子の凝集性が極端に増大して、硬化物の透明性や機械的強度が極端に低下する傾向があり、量子効果による特性が顕著でなくなる傾向があるためである。シリカの含有量は、光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の通常40重量%以下、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。40重量%以下とすることにより、硬化性が良好となる。
【0042】
又、消泡剤としては、特に、スクリーン印刷時の消泡性を考慮して選択するのが好ましく、その観点から非シリコーン系消泡剤が好ましい。消泡剤の含有量は、光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。10重量%以下とすることにより、硬化性が良好となる。
【0043】
又、本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物は、補助成分として顔料及び/又は染料を用いて、インキとすることも可能である。インキ化した放射線硬化性組成物を光記録媒体の背面層に用いると、通常背面層、インキ層を積層しなければならない工程を一層塗布に短縮することができる。
顔料としては有機顔料と無機顔料に大別されるが、特に限定はなく、具体的には有機顔料として、ベンチジンイエロー及びハンザイエロー、レーキロッドR46、レーキロッドC、カーミン6B、ボルドー10等のアゾ系、ローダミンレーキ及びメチルバイオレットレーキ、キノリンレーキ、ファストスカイブルー、アリザリンレーキ、コチニール・レーキ、マダー・レーキ等のレーキ系、ハンザ系、ベンズイミダゾロン系、ジアリライド系、ピラゾロン系、ベンジジンイエロー系、ジアゾ系、フタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーン等のフタロシアニン系、シンカシアレッドB等のキナクリドン系、チオインジゴ系、ペリノン系、ジオキサジン・バイオレット等のジオキサジン系、アントラキノン系、イソインドリノン系等の縮合多環系顔料及びアニリンブラック等が挙げられ、無機顔料として、酸化チタン、酸化亜鉛、チタンイエロー、酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロムグリーン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、鉄黒、カーボンブラック顔料、ジンククロメートおよびモリブデート・オレンジなどのクロム酸塩、紺青などのフェロシアン化合物、亜鉛華、マピコエロー、ベンガラおよび、硫化物セレン化合物、硫酸バリウム、硫化鉛、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミニウム粉、金粉、銀粉、シンチュウ粉、パール顔料が挙げられる。中でも白色インキとして、酸化チタンが好ましい。
【0044】
染料としては、トリフェニルメタン系、シアニン系、チアジン系、キサンテン系、アントラキノン系、ペリレン系、アゾメチン系が挙げられ、具体的にはマラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーンGX、ベーシックピュアブルーBO、ベーシックシアニンBX、ベーシックシアニン6G、ローダミンB、ローダミン6GCP、メチルバイオレット、マゼンタ、メチレンブルー、ベーシックブルー、アシッドブラック、アシッドブルー、アシッドレッド、フッドグリーン、ソルベントグリーン、ナチュラルブラウン等が挙げられる。
【0045】
顔料や染料は1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
顔料及び/または染料の含有量は、両者の総量が光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下である。多すぎると硬化性が低下する場合がある。又通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上である。10重量%以上とすることで十分な着色力、隠ぺい力を発揮し、インキとしての十分な効果が得られる。
【0046】
1−5.光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の製造方法及び特性
1−5−a.光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の製造方法
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物は、前記(A)ウレタン(メタ)アクリレート、前記(B)(A)以外の(メタ)アクリレート、及び必要に応じて用いられる前記(C)重合開始剤、並びに必要に応じて用いられる前記補助成分を、放射線を遮断した状態で、攪拌し均一に混合することにより調製される。その際の各化合物の混合順序としては、特に限定されるものではないが、低粘度の液体成分に高粘度の液体成分を加えて混和、及び/又は固体成分を加え分散するのが好ましく、又、重合開始剤は、最後に加えるのが好ましい。
【0047】
又、その際の攪拌条件は、特に限定されるものではないが、温度としては、通常、常温とするが、通常90℃以下、好ましくは70℃以下の温度に加熱してもよく、攪拌速度としては、通常100rpm以上、好ましくは300rpm以上、又、通常1000rpm以下とし、攪拌時間としては、通常10秒以上、好ましくは3時間以上、又、通常24時間以下とする。
【0048】
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物に固体の補助成分を混合・分散させる方法としては、特に限定はなく、従来公知の混合、分散方法が挙げられる。
尚、補助成分をより確実に分散させるためには、分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。具体的には、例えば、二本ロール、三本ロール、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、遊星式攪拌機、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等で処理する方法が挙げられる。中でも蓄熱、シェアの問題から三本ロールで分散する方法等が特に好ましい。
【0049】
1−5−b.光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の特性
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物は、塗布性の面から、E型粘度計(10rpm、ローター1°34’×R24)における25℃での粘度が、5mPa・s以上であるのが好ましく、500mPa・s以上であるのが更に好ましく、又、10,000mPa・s以下であるのが好ましい。特に、スクリーン印刷の場合には、粘度が小さすぎる場合のスクリーンからの漏れ、及び、大きすぎる場合のレベリング性の低下等の面から、1,500〜5,000mPa・sの範囲であるのが好ましい。
【0050】
放射線硬化性組成物としての粘度を調整する方法としては、(A)ウレタン(メタ)アクリレート、及び(B)(A)以外の(メタ)アクリレートの分子量、並びに混合量を調整する方法、更に、希釈剤、溶媒、増粘剤、及びレオロジー制御剤等を混合する等の方法があるが、中でも、(A)ウレタン(メタ)アクリレート、及び(B)(A)以外の(メタ)アクリレートの混合量を調整する方法が特に好ましい。
【0051】
尚、本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物としては実質的に溶媒を含有しないことが好ましい。気泡が残留して情報の読み書きに支障が出るのを防止するためである。実質的に溶媒を含有しないとは、揮発性を有するか若しくは低沸点のいわゆる有機溶剤の含有量が非常に少ない状態をいい、放射線硬化性組成物中の溶媒含有量が通常5重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下、とりわけ好ましくは0.1重量%以下である。簡易的には該有機溶剤の臭気が観測されない状態をいう。
【0052】
2.光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の硬化物
2−1.光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の硬化物の製造方法
本発明における光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の硬化物は、放射線(活性エネルギー線や電子線)を照射して重合反応を開始させる、いわゆる「放射線硬化」によって得られる。重合反応の形式に制限はなく、例えばラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の公知の重合形式を用いることができる。これら重合形式の例示のうち、特に好ましい重合形式はラジカル重合である。その理由は定かではないが、重合反応の開始が重合系内で均質かつ短時間に進行することによる生成物の均質性によるものと推定される。
【0053】
ここで、放射線とは、必要とする重合反応を開始する重合開始剤に作用して該重合反応を開始する化学種を発生させる働きを有する電磁波(ガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波等)、又は粒子線(電子線、α線、中性子線、各種原子線等)である。本発明において好ましく用いられる放射線の一例は、エネルギーと汎用光源を使用可能であることから、紫外線、可視光線、及び電子線が好ましく、特に好ましくは紫外線及び電子線である。
【0054】
放射線として紫外線を用いる場合、紫外線によりラジカルを発生する光ラジカル発生剤を(C)重合開始剤として使用するのが好ましい。この時、必要に応じて増感剤を併用してもよい。上記紫外線の波長は、通常200nm以上、好ましくは240nm以上、又、通常400nm以下、好ましくは350nm以下の範囲である。
【0055】
紫外線を照射する装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波によって紫外線を発生させる構造の紫外線ランプ等、公知の装置を好ましく用いることができる。該装置の出力は通常10W/cm以上、好ましくは30W/cm以上、又、通常200W/cm以下、好ましくは180W/cm以下であり、該装置は、被照射体に対して通常5cm以上、好ましくは30cm以上、又、通常80cm以下、好ましくは60cm以下の距離に設置するようにすると、被照射体の光劣化や熱劣化、熱変形等が少なく、好ましい。
【0056】
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物は、電子線によっても好ましく硬化することができ、機械特性、特に引張伸び特性に優れた硬化物を得ることができる。電子線を用いる場合、その光源及び照射装置は高価であるものの、(C)重合開始剤の使用が省略可能であること、及び酸素による重合阻害を受けず、従って表面硬度が良好となるという利点がある。電子線照射に用いられる電子線照射装置としては、特にその方式に制限はないが、例えばカーテン型、エリアビーム型、ブロードビーム型、パルスビーム型等が挙げられる。電子線照射の際の加速電圧は通常10kV以上、好ましくは100kV以上、又、通常1000kV以下、好ましくは200kV以下が好ましい。
【0057】
これらの放射線は、波長365nmにおける照射強度を、通常0.04J/cm以上、好ましくは0.06J/cm以上、又、通常20J/cm以下、好ましくは10J/cm以下、より好ましくは5J/cm以下、更に好ましくは1J/cm以下、特に好ましくは0.2J/cm以下で照射する。照射強度がこの範囲内であれば、放射線硬化性組成物の種類によって適宜選択可能である。
【0058】
放射線の照射時間は通常1秒以上、好ましくは10秒以上、又、通常3時間以下、反応促進と生産性の点で好ましくは1時間以下である。放射線の照射エネルギーや照射時間が極端に少ない場合、重合が不完全なため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されない場合がある。又、逆に極端に過剰な場合は黄変等光による色相低下に代表される劣化を生ずる場合がある。
【0059】
該放射線の照射は、一段階で照射してもよく、或いは複数段階で照射してもよい。その線源としては、通常、放射線が全方向に広がる拡散線源を用いる。放射線の照射は、通常、型内に賦形された放射線硬化性組成物を固定静置した状態、又はコンベアで搬送された状態で、放射線源を固定静置して行なう。又、放射線硬化性組成物を適当な基板(例えば樹脂、金属、半導体、ガラス、紙等)上の塗布液膜とし、そこに放射線を照射して該塗布液膜を硬化させることも可能である。
【0060】
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、公知の塗布方法が挙げられる。具体的に、例えば、ロールコート法、スプレーコート法、ドクターブレード法、ディップコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、転写法、電着塗装法等を用いることができる。中でも印刷の簡便性の点や、補助成分が分散した場合は比較的粘度が高くなるため、スクリーン印刷法が特に好ましい。
【0061】
2−2.光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の硬化物の特性
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の硬化物の膜厚は、通常1μm以上、又、通常50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下である。背面層の膜厚が大きすぎると、光記録媒体を積み重ねて保管したときに光記録媒体同士が接触し易くなり、それによって外観を損なうばかりか、記録の読み出し時にエラーを生じ易い傾向となる。尚、上記膜厚は硬化物の合計膜厚であり、その塗布回数及び硬化回数は制限されない。
【0062】
本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の硬化物は、高圧水銀ランプにて、波長254nm、照射強度1.0J/cmの紫外線を照射して硬化させた膜厚100μmの硬化物膜の5℃における引張弾性率が1,400MPa以上であることを特徴とする。前記引張弾性率が、前記範囲より小さいと、環境温度変化に対する反りの抑制が困難となる。尚、前記引張弾性率の上限は特に制限されるものではないが、樹脂基板が記録再生機能層の上面に位置する状態での環境湿度変化に対する反りを抑制する面から、好ましくは3,000MPa以下、更に好ましくは2,500MPa以下、特に好ましくは2,000MPa以下である。上記引張弾性率は、テンシロン引張試験機を用い、引張速度1mm/分で引張試験を行って測定する。測定時の硬化物膜の膜厚は100μmとし、これは硬化物膜が1枚であっても、複数の硬化物膜の合計膜厚であってもよくその枚数に制限はされない。例えば、膜厚100μmの硬化物膜を1枚で測定してもよいし、膜厚20μmの硬化物膜を5枚重ねて測定することも可能である。
【0063】
又、本発明の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物の硬化物は、高圧水銀ランプにて、波長254nm、照射強度1.0J/cmの紫外線を照射して硬化させた膜厚100μmの硬化物膜についての、25℃の水に3時間浸漬した直後の吸水時引張弾性率が1,800MPa以下であるのが好ましく、1,500MPa以下であるのがより好ましく、1,300MPa以下であるのが更に好ましく、1,000MPa以下であるのが特に好ましい。前記吸水時引張弾性率が前記範囲より大きいと、樹脂基板が記録再生機能層の上面に位置する状態での環境湿度変化に対する反りを抑制することが困難な傾向となる。尚、下限は、環境温度変化における反りの抑制面から、300MPa以上であるのが好ましい。上記引張弾性率は、テンシロン引張試験機を用い、引張速度1mm/分で引張試験を行って測定する。測定時の硬化物膜の膜厚は100μmとし、これは硬化物膜が1枚であっても、複数の硬化物膜の合計膜厚であってもよく、その枚数に制限はされない。例えば、膜厚100μmの硬化物膜を1枚で測定してもよいし、膜厚20μmの硬化物膜を5枚重ねて測定することも可能である。
【0064】
3.光記録媒体
3−1.光記録媒体の構造
本発明における光記録媒体は、前記光記録媒体背面層用放射線硬化物の層を基板に対して反射膜層が存するレーザー光入射面の反対側に設けられる背面層として有していれば、特に限定されない。中でも好ましいのは、樹脂基板上に反射膜、記録膜、誘電体膜等(以下、これらの層を総称して記録再生機能層という。)を形成した面上に保護膜が形成された構成、即ち保護層、記録再生機能層、樹脂基板、及び背面層をこの順で少なくとも具備する光記録媒体であり、ブルーレーザーを用いる次世代高密度光記録媒体が好ましい。本発明において次世代高密度光記録媒体とは、基板上に記録再生機能層を形成した面上に保護膜が形成される光記録媒体であって、通常波長350nm以上、好ましくは波長380nm以上、また通常波長800nm以下、好ましくは波長450nm以下のレーザー光を用いる光記録媒体を意味する。
【0065】
記録再生機能層は、光記録媒体が、再生専用の媒体(ROM媒体)である場合と、一度の記録のみ可能な追記型の媒体(Write Once媒体)である場合と、記録消去を繰り返し行える書き換え可能型の媒体(Rewritable媒体)である場合とによって、それぞれの目的に応じた層構成を採用することができる。
【0066】
例えば、再生専用の媒体においては、記録再生機能層は、通常、Al、Ag、Au等の金属を含有する単層で構成される。又、追記型の媒体や書き換え可能型の媒体においては、記録再生機能層は、通常、反射層、誘電体層、及び記録層等から構成される。
【0067】
その反射層としては、Ag、Ag合金、Al、Al合金、Au、Au合金等種々の材料が用いられ、純Ag、AgにTi、Mg、Au、Cu、Nd、又はPd等の元素を含む合金、AlにTa、Ti、Cr、Mo等の元素を含む合金等が好ましく用いられる。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
【0068】
又、その誘電体層としては、SiO、ZnO、Al、Ta、Nb等の酸化物、GeN、SiN、TaN等の窒化物、SiC等の炭化物、MgF、CaF等の弗化物、ZnS、YS等の硫化物が好ましく用いられ、中でも、ZnS−SiO、SiN、Ta、YSが成膜速度が大きく膜応力が小さい点で好ましい。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
【0069】
又、その記録層としては、無機元素で構成された材料や、有機色素等の有機化合物で構成された材料を用いることができる。無機元素で構成された材料としては、加熱して分解する物質と熱的に安定な物質の両方を含有する材料が挙げられる。加熱して分解する物質の具体例としては、Cr、Mo、W、Fe、Ge、Sn、及びSbからなる群から選ばれる元素の窒化物や、Ir,Au、Ag、及びPtからなる群から選ばれる元素の酸化物等が挙げられる。熱的に安定な物質の具体例としては、Ti、Zr、Hf、V,Nb、Ta、Al、及びSiからなる群から選ばれる元素の窒化物や、Zn、Al、Y、Zr、Ti、Nb、Ni、Mg、Siからなる群から選ばれる元素の酸化物等が挙げられる。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
【0070】
本発明における光記録媒体は、記録再生機能層の上に保護層が形成されているのが好ましい。該保護層には本発明の前記放射線硬化性組成物の硬化物からなる背面層材料と類似の組成物を使用することができるが、光線透過率としては、記録・再生に用いられる光の波長において、80%以上が好ましく、更には85%以上が好ましく、特には89%以上であるのが好ましい。このような範囲であれば、記録再生光の吸収による損失を最小限にすることができる。一方、光線透過率は100%になることが最も好ましいが、用いる材料の性能上、通常99%以下である。又、保護層の引張弾性率は背面層のそれよりも低い方が好ましく、その好ましい弾性率の上限は1,300MPaであり、好ましい下限は500MPaである。保護層の引張弾性率が高すぎると、環境温度変化に対する反りが大きくなりすぎ、一方、引張弾性率が低すぎると、樹脂基板が記録再生機能層の上面に位置する状態での環境湿度変化に対する反りを抑制することが困難な傾向となる。
【0071】
該保護層用材料としては、上述の光線透過率、及び引張弾性率が得られれば、特に制約はないものの、好ましくは放射線硬化性組成物の硬化物である。その放射線硬化性組成物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、アクリルアクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等、分子末端或いは側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する化合物の組成物が使用可能であり、これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。硬化収縮や無溶剤の観点から、本発明の背面層用放射線硬化性組成物において前述した(A)ウレタン(メタ)アクリレートと同様のウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0072】
これらの放射線硬化性組成物には、更に、本発明の背面層用放射線硬化性組成物において前述した(B)(A)以外の(メタ)アクリレートと同様の単官能又は多官能(メタ)アクリレートの併用も可能であり、保護層の組成としては、ウレタン(メタ)アクリレート10〜85重量%、単官能(メタ)アクリレート15〜80重量%、多官能(メタ)アクリレート0〜30重量%であるのが好ましい。
【0073】
本発明における光記録媒体は、前記保護層の上に更にハードコート層が形成されていてもよい。該ハードコート層は、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、及びメルカプト基よりなる群から選択された官能基を有する放射線硬化性モノマー又は/及びそのオリゴマー、弗素化合物、シリコーン化合物、及び前述のシリカ粒子等を含有する放射線硬化性組成物を用い、その硬化物により、波長550nmにおける光線透過率が好ましくは80%以上であり、水に対する接触角が好ましくは90°以上であり、表面硬度が好ましくはHB、より好ましくはF、更に好ましくはH以上となるように形成するのが好ましい。
【0074】
そのハードコート層としては、例えば、放射線硬化性成分が50〜99重量%、撥水・撥油・低摩擦化剤が0.1〜15重量%、無機成分が0〜50重量%(合計100重量%)で、これに、光重合開始剤0.1〜10重量%を加え、必要に応じ、溶剤及び/又は反応性希釈剤で希釈した組成物を、活性エネルギー線で硬化させたものが好ましい。
【0075】
ハードコート層におけるその放射線硬化性成分としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、及びメルカプト基よりなる群から選択された放射線硬化性官能基1分子中に2個以上有する化合物であれば特に制限されず、3〜6官能の多官能(メタ)アクリレート、又は、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを主成分として用いることが硬化性、硬度の観点から特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。
【0076】
又、その撥水・撥油・低摩擦化剤としては、有機弗素化合物及び/又は有機シリコン化合物であれば、特に制限されないが、光又は熱等で反応し、表面に固定化される構造のものが特に好ましい。又、要求性能によっては、含弗素、含シリコンの構造を同時に含むような組成物にすると一層好ましいことがある。さらに場合によっては、1分子内に弗素、シリコンを同時に含むような構造にするとさらに際立って好ましいことがある。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。
【0077】
又、その無機成分としては、(メタ)アクリロイル基のような重合性官能基を含むシランカップリング剤で表面処理・安定化されたシリカ微粒子であって、その平均粒径が1〜100nmのものが、透明性、硬度、硬化性、及び耐二次凝集等の安定性等の観点から好ましい。
【0078】
又、その光重合開始剤としては、通常、放射性硬化を行うときに使用される開始剤を好適に使用することができるが、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ヒドロキシケトン系開始剤、例えば、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のα−アミノアセトフェノン系開始剤、例えば、チバスペシャリテイケミカルズ社製「イルガキュアOXE−01」等のオキシムエステル系開始剤、例えば、メチルベンゾイルフォルメート等のフェニル蟻酸エステル系開始剤、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ヒドロキシケトン系開始剤とベンゾフェノン等のベンゾフェノン系増感剤との併用系、等を好ましいものとして例示することができる。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。
【0079】
又、必要に応じて用いることのできる有機溶剤としては、沸点が通常100〜200℃で、上記成分を均一に溶解、分散できるものであれば特に制限されないが、(ジ)アルキレングリコールエーテル類、(ジ)アルキレングリコールエーテルエステル類、(ジ)アルキレングリコールエステル類、カルボン酸エステル類、アルキルケトン類等の溶剤を使用することがスピンコート適性や安全性も考慮すると好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。
【0080】
又、必要に応じて用いることのできる反応性希釈剤としては、1分子中に1〜4個の放射線硬化性基を有し、25℃の粘度が通常500mPa・s以下の有機化合物或いはその組成物であれば特に制限されないが、他の成分との相溶性及び/又は均一分散性に優れるものを適宜選択することが好ましい。
【0081】
3−2.光記録媒体の特性
本発明における光記録媒体の背面層は、通常、溶剤等に不溶不融の性質を示し、厚膜化した場合であっても光記録媒体部材としての有利な性質を備え、基板に対する密着性、表面硬化度に優れる。具体的には、硬化収縮が小さく、低い光学歪み性(低複屈折性)、高い光線透過率、機械的強度、寸法安定性、高密着性、高表面硬度、及び一定以上の耐熱・耐湿変形性等を示す。
【0082】
そして、本発明の光記録媒体は、その背面層を有するが故、該媒体に対して環境温度を変更したときの記録部分の記録面に垂直な方向の変位を低減することができ、具体的には、5℃から55℃へ温度変更を行ったとき、中心から58mmの位置の垂直方向の変位(反り)を、背面層非使用の場合に比べて好ましくは30μm以上、更に好ましくは60μm以上、特に好ましくは90μm以上低減することができる。又、その際、該媒体に対して環境湿度を変更したときの記録部分の記録面に垂直な方向の変位への影響が僅小であり、具体的には、25℃の温度下で90%RHから45%RHへ湿度変更を行ったとき、中心から58mmの位置の垂直方向の変位(反り)を、好ましくは90μm以内、更に好ましくは60μm以内、特に好ましくは30μm以内とすることができる。又、その際、変位(反り)の最大値が保護層及びハードコート層側に凹状(プラス値)であるのが好ましい。
【実施例】
【0083】
実施例1
以下に示す方法で、光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物Aを調製し、その硬化物について、以下に示す方法で、5℃における引張弾性率、及び吸水時引張弾性率を測定し、結果を表−1に示した。
<背面層用組成物Aの調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート191.4g、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約650)125.0g、ネオペンチルグリコール39.9gを入れ、オイルバスにて95℃で加熱しながら8時間反応させた。8時間の反応後に65℃まで冷却した後、ジオクチルスズジラウレート0.06g、メトキノン0.13g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学社製)90.0gを加え、ヒドロキシエチルアクリレート70.1gを滴下することで反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃で加熱しながら10時間行い、IRでのNCO基に由来したピークの消失により反応の進行を確認し、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。その後、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学社製)189.5g、1,9−ノナンジオールジアクリレート(新中村化学社製)199.0g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本シイベルヘグナー社製)42.7g、ベンゾフェノン4.7g、消泡剤4.7gを加えることにより、光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物Aを調製した。
【0084】
<組成物の粘度>
前記で調製した光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物1.2gを用いて、E型粘度計(トキメック社製「TVE−20H」)で回転数10rpm、ローター1°34’×R24に設定し、25℃で粘度を測定した。結果を表−1に示した。
【0085】
<ウレタン(メタ)アクリレートの分子量>
前記で調製した光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物を用いて、GPC(東ソー社製「HLC−8120GPC」)で、溶媒にテトラヒドロフラン(THF)、標準サンプルにポリスチレン、カラムにTSKgel superH1000+H2000+H3000を使用して、送液速度0.5mL/min、カラムオーブン温度40℃にて、ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量及び重量平均分子量を測定した。結果を表−1に示した。
【0086】
<硬化物の引張弾性率>
直径120mmのポリカーボネート製円板状基材表面に、前記で調製した光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物をスピンコーターを用いて硬化後の膜厚が100μmとなるように塗布し、高圧水銀ランプにて、波長254nm、照射強度1.0J/cmの紫外線を照射して硬化させた後、得られた硬化物膜を剥離し、その硬化物膜について、5℃の恒温室に24時間保管した後、テンシロン引張試験機(ORIENTEC社製「RTC−1210A」)を用いて引張速度1mm/分で引張試験を行い、引張弾性率を測定した。又、得られた硬化物層について、25℃の水に3時間浸漬した直後の吸水時引張弾性率も同様に測定した。結果を表−1に示した。
【0087】
引き続いて、前記で得られた光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物A、並びに、以下に示す方法で調製した保護層用組成物及びハードコート層用組成物を用いて、光記録媒体を作製した。
<保護層用組成物の調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート147.3gとジブチルスズラウレート60mgを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌する。温度が一定になったら、1,5−ペンタンジオール27.6gとポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約650)43.1gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、温度を80℃に保ちながら2時間撹拌する。温度を70℃まで下げてから、ヒドロキシエチルアクリレート77.0gとメトキノン0.3gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌させ、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。温度を50℃に下げた後、テトラヒドロフルフリルアクリレート(共栄社化学社製)190g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学社製)15g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャルティケミカルズ社製)20gを加え、更に3時間撹拌して、均一液状の保護層用組成物を調製した。
【0088】
<ハードコート層用組成物の調製>
放射線硬化性成分としてジペンタエリスリトール(ヘキサ/ペンタ)アクリレート(日本化薬社製「カヤラッドDPHA」)90g、撥水・撥油・低摩擦化剤として、メタクリル酸メチルとパーフルオロオクチルエチルメタクリレート、及び両末端メルカプトのポリジメチルシロキサン(信越化学社製「X−22−167B」)、並びにメタクリル酸グリシジルの25/40/5/30(重量比)共重合体のアクリル酸付加物(35%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)を28.57g、光重合開始剤としてヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2g加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを固形分40重量%になる分の量だけ加え、暗所/室温で、2時間攪拌し、ハードコート層用組成物を調製した。
【0089】
<光記録媒体の作製>
高さ0.18mm、直径35mm、幅1mmのスタックリングが形成された直径120mm、厚み1.1mmのポリカーボネート製光記録媒体基板表面に、100nmの厚みのAg−Cu−Nd反射層、25nmの厚みのZnS−SiO誘電体層、15nmの厚みのSn−Nb−N記録層、30nmの厚みのZnS−SiO誘電体層をこの順にスパッタにて形成した。次いで、最表層の誘電体層表面に、スピンコーターにて厚み100μmになるように前記で調製した保護層用組成物を塗布し、高圧水銀ランプ(東芝ハリソン社製「トスキュア752」)を用いて、波長365nm、照射強度0.1J/cmの紫外線を照射して硬化させ保護層を形成させた。紫外線照射量は、UVメーター(ウシオ電機社製「UIT−250」)にて測定した。次いで、該保護層表面に前記で調製したハードコート層用組成物をスピンコーターにより塗布し、高圧水銀ランプ(ジャテック社製「J−cure100」)を用いて、波長365nm、照射強度0.4J/cmの紫外線を照射して硬化させ、厚み2μmのハードコート層を形成させた。次いで、ハードコート層が形成されている面とは反対側のポリカーボネート基板表面に、スピンコーターにて厚み15μmになるように前記で調製した背面層用放射線硬化性組成物Aを塗布し、高圧水銀ランプ(東芝ハリソン社製「トスキュア752」)を用いて、波長365nm、照射強度0.08J/cmの紫外線を照射して硬化させて背面層を形成させることにより、光記録媒体を作製した。
【0090】
得られた光記録媒体について、以下に示す方法で、耐温度変形特性及び耐湿度変形特性を評価し、結果を表−1に示した。
<耐温度変形特性>
ディスクドライブ(日本電気社製「PCCD60D」)筐体上面に40mm角の窓を開け、この窓の上方に変位センサ(キーエンス社製「LT−9010」)を固定して、ディスクドライブにディスクを挿入した際にディスクの中心から58mmの位置の垂直方向の変位をリアルタイムで検出し、データを計算機に出力できるようにしたディスク変形検出ユニットを作製した。このユニットを、恒温槽(日立製作所社製「恒湿器コスモピアEC−10HHP」)のチャンバー内に設置した。保護層・ハードコート側に凹変形(反り)の場合は変形値をマイナスとし、保護層・ハードコート側に凸変形(反り)の場合は変形値をプラスとした。前記で得られた光記録媒体1枚をディスクドライブに挿入し、恒温槽を密閉した後、恒温槽内の温度を25℃に設定し、20分間保ち、ディスクの変形(反り)を測定し、この変形(反り)値を変形基準値〔B〕とした。次に、恒温槽内の温度を55℃に設定を変更し、1時間保ち、ディスクの変形(反り)を測定し、この変形(反り)値〔H〕の基準値〔B〕からの差〔H−B〕を高温時変形値として記録した。次に、恒温槽内の温度を5℃に設定を変更し、1時間保ち、ディスクの変形(反り)を測定し、この変形(反り)値〔L〕の基準値〔B〕からの差〔L−B〕を低温時変形値として記録した。変形基準値を変形値0として、高温時変形値〔H−B〕及び低温時変形値〔L−B〕をプロットすると、図1の通りとなり、高温時変形値は正であり、低温時変形値は負であった。
【0091】
代表的なレンズであるNA=0.85、口径3mmのレンズを使用する際の適切なワーキング距離範囲は±150μmである。高温変形値の絶対値〔|B−H|〕と低温変形値の絶対値〔|B−L|〕の合計値〔|B−H|+|B−L|〕の、背面層非使用の場合の同値〔|B−H|+|B−L|(尚、ここで、B、H、Lは、それぞれ、背面層非使用の場合における同上基準値、同上高温変形値、同上低温変形値である。)〕からの変化値を表−1に記した。変化値が適切なワーキング距離範囲の10%である30μmより小さい場合は判定を「×」とし、10〜30%である30μm〜90μmの場合は判定「△」、30%である90μmより大きい場合は判定「○」とした。
【0092】
<耐湿度ディスク変形評価試験>
光記録媒体サンプルを恒温恒湿槽内に静置し、恒温恒湿槽内の温度を25℃、湿度を90%RHに設定して100時間保った。その後、光記録媒体を取り出し、気温25℃、45%RHの環境下にて変位センサ(キーエンス社製「LT−9010」)を用いて、ディスクの変形(反り)を、0時間後、1時間後、3時間後、5時間後、6時間後、8時間後、10時間後、24時間後に測定し、その経時変化を記録した。その反り変化のグラフを図2に示す。ただし、ハードコート層側に凸状に変形する場合の反り値はプラス、ハードコート層側に凹状の変形する場合の反り値はマイナスとした。
【0093】
代表的なレンズであるNA=0.85、口径3mmのレンズを使用する際の適切なワーキング距離範囲は±150μmである。変形(反り)値の最大値〔h〕の、背面層非使用の場合の変形(反り)値の最大値〔h〕からの変化値〔h−h〕を表−1に記した。変化値が適切なワーキング距離範囲の10%である−30μmよりその絶対値が小さい場合は判定を「○」とし、10%〜20%である−30μm〜−60μmの場合は判定「△」、20%である−60μmよりその絶対値が大きい場合は判定「×」とした。
【0094】
実施例2
背面層用放射線硬化性組成物として以下に示す背面層用放射線硬化性組成物Bを用いた以外は実施例1と同様にして、組成物の粘度、ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量と重量平均分子量、及び硬化物の引張弾性率を測定し、引き続いて、光記録媒体を作製し、耐温度変形特性及び耐湿度変形特性を評価し、結果を表−1に示した。
<背面層用放射線硬化性組成物Bの調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート214.6g、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約650)140.1g、ネオペンチルグリコール44.7gを入れ、オイルバスにて95℃で加熱しながら8時間反応させた。8時間の反応後に65℃まで冷却した後、ジオクチルスズジラウレート0.07g、メトキノン0.15g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学社製)81.1gを加え、ヒドロキシエチルアクリレート78.6gを滴下することで反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃で加熱しながら10時間行い、IRでのNCO基に由来したピークの消失により反応の進行を確認し、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。その後、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学社製)189.5g、1,9−ノナンジオールジアクリレート(新中村化学社製)199.0gを加えた。アエロジルR972(日本アエロジル社製)47.4gを入れた後に三本ロールを用いて十分に混練を行い、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本シイベルヘグナー社製)42.7g、ベンゾフェノン4.7g、消泡剤4.7gを加えることにより、光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物Bを調製した。
【0095】
実施例3
背面層用放射線硬化性組成物として以下に示す背面層用放射線硬化性組成物Cを用いた以外は実施例1と同様にして、組成物の粘度、ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量と重量平均分子量、及び硬化物の引張弾性率を測定し、引き続いて、光記録媒体を作製し、耐温度変形特性及び耐湿度変形特性を評価し、結果を表−1に示した。
<背面層用放射線硬化性組成物Cの調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート170.1g、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約650)111.1g、ネオペンチルグリコール35.5gを入れ、オイルバスにて95℃で加熱しながら8時間反応させた。8時間の反応後に65℃まで冷却した後、ジオクチルスズジラウレート0.05g、メトキノン0.12g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学社製)98.2gを加え、ヒドロキシエチルアクリレート62.3gを滴下することで反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃で加熱しながら10時間行い、IRでのNCO基に由来したピークの消失により反応の進行を確認し、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。その後、ジシクロペンタジエニルアクリレート(日立化成社製)229.5g、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセルサイテック社製)241.0g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本シイベルヘグナー社製)42.7g、ベンゾフェノン4.7g、消泡剤4.7gを加えることにより、光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物Cを調製した。
【0096】
実施例4
背面層用放射線硬化性組成物として以下に示す背面層用放射線硬化性組成物Dを用いた以外は実施例1と同様にして、組成物の粘度、ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量と重量平均分子量、及び硬化物の引張弾性率を測定し、引き続いて、光記録媒体を作製し、耐温度変形特性及び耐湿度変形特性を評価し、結果を表−1に示した。
<背面層用放射線硬化性組成物Dの調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート209.2g、1,6−ヘキサンジオール55.6gを入れ、オイルバスにて95℃で加熱しながら8時間反応させた。8時間の反応後に65℃まで冷却した後、ジオクチルスズジラウレート0.06g、メトキノン0.12g、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学社製)46.4gを加え、ヒドロキシエチルアクリレート115.3gを滴下することで反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃で加熱しながら10時間行い、IRでのNCO基に由来したピークの消失により反応の進行を確認し、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。その後、ジシクロペンタジエニルアクリレート(日立化成社製)333.7g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本シイベルヘグナー社製)33.0g、ベンゾフェノン3.7g、消泡剤3.7gを加えることにより、光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物Dを調製した。
【0097】
実施例5
背面層用放射線硬化性組成物として以下に示す背面層用放射線硬化性組成物Eを用いた以外は実施例1と同様にして、組成物の粘度、ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量と重量平均分子量を測定し、膜厚25μmになるように塗布し、硬化させた硬化物を4枚重ねた膜の引張弾性率を測定した。引き続いて、光記録媒体を作製し、耐温度変形特性及び耐湿度変形特性を評価し、結果を表−1に示した。
<背面層用放射線硬化性組成物Eの調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート191.3g、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約650)125.3g、ネオペンチルグリコール39.8gを入れ、オイルバスにて95℃で加熱しながら8時間反応させた。8時間の反応後に65℃まで冷却した後、ジオクチルスズジラウレート0.06g、メトキノン0.13g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学社製)90.0gを加え、ヒドロキシエチルアクリレート70.1gを滴下することで反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃で加熱しながら10時間行い、IRでのNCO基に由来したピークの消失により反応の進行を確認し、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。その後、ジシクロペンタジエニルアクリレート(日立化成社製)431.1gを加えて、酸化チタン331.7gを入れた後に三本ロールを用いて十分に混練を行った。1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本シイベルヘグナー社製)42.7g、ベンゾフェノン4.7g、消泡剤4.7gを加えることにより、光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物Eを調製した。
【0098】
実施例6
背面層用放射線硬化性組成物Aを用いて、硬化物の引張弾性率を測定した。引き続いて、背面層の膜厚を30μmにして光記録媒体を作製し、耐温度変形特性及び耐湿度変形特性を評価し、結果を表−1に示した。
【0099】
比較例1
背面層用放射線硬化性組成物として以下に示す背面層用放射線硬化性組成物Fを用いた以外は実施例1と同様にして、組成物の粘度、ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量と重量平均分子量、及び硬化物の引張弾性率を測定し、引き続いて、光記録媒体を作製し、耐温度変形特性及び耐湿度変形特性を評価し、結果を表−1に示した。
<背面層用放射線硬化性組成物Fの調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート184.7g、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約650)245.0g、ネオペンチルグリコール18.6gを入れ、オイルバスにて95℃で加熱しながら8時間反応させた。8時間の反応後に65℃まで冷却した後、ジオクチルスズジラウレート0.08g、メトキノン0.15g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学社製)67.0gを加え、ヒドロキシエチルアクリレート67.1gを滴下することで反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃で加熱しながら10時間行い、IRでのNCO基に由来したピークの消失により反応の進行を確認し、ウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。その後、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学社製)203.4g、1,9−ノナンジオールジアクリレート(新中村化学社製)213.8g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本シイベルヘグナー社製) 45.0g、ベンゾフェノン5.0g、消泡剤5.0gを加えることにより、光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物Fを調製した。
【0100】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施例1、実施例4、比較例1、及び背面層非使用の場合の各光記録媒体における耐温度変形特性を示すグラフである。
【図2】実施例1、実施例4、比較例1及び背面層非使用の場合の各光記録媒体における耐湿度変形特性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧水銀ランプにて、波長254nm、照射強度1.0J/cmの紫外線を照射して硬化させた膜厚100μmの硬化物膜の5℃における引張弾性率が1,400MPa以上であることを特徴とする光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物。
【請求項2】
高圧水銀ランプにて、波長254nm、照射強度1.0J/cmの紫外線を照射して硬化させた膜厚100μmの硬化物膜について、25℃の水に3時間浸漬した直後の吸水時引張弾性率が1,800MPa以下である請求項1に記載の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物。
【請求項3】
放射線硬化性組成物が、(A)ウレタン(メタ)アクリレート、及び(B)(A)以外の(メタ)アクリレートを少なくとも含有する請求項1又は2に記載の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物。
【請求項4】
(A)ウレタン(メタ)アクリレートとして、ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとの反応生成物を少なくとも含有する請求項3に記載の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物。
【請求項5】
(B)(A)以外の(メタ)アクリレートとして、単官能(メタ)アクリレートを(B)(A)以外の(メタ)アクリレートに対して30重量%以上の割合で含有する請求項3又は4に記載の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物。
【請求項6】
(B)(A)以外の(メタ)アクリレートとしての単官能(メタ)アクリレートが、脂環式(メタ)アクリレートである請求項5に記載の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物。
【請求項7】
放射線硬化性組成物が、顔料及び/又は染料を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の光記録媒体背面層用放射線硬化性組成物を放射線照射により硬化させて得られたものであることを特徴とする光記録媒体背面層用放射線硬化物。
【請求項9】
請求項8に記載の光記録媒体背面層用放射線硬化物の層を背面層として有することを特徴とする光記録媒体。
【請求項10】
保護層、記録再生機能層、樹脂基板、及び背面層をこの順で少なくとも具備する請求項9に記載の光記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−76191(P2009−76191A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211981(P2008−211981)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】