説明

光調節装置

【課題】構成を簡略化し、組立性を向上させ、更なる小型化ができる光調節装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光学開口が形成された基板101と、光学開口規制部302,402を有する第1の光調節手段301及び第2の光調節手段401と、光調節手段301、401を動作させる駆動源と、を有し、光調節手段301、401が、光学開口位置から退避した第1の静止位置と、光学開口位置に重なる第2の静止位置に相互に移動する光調節装置において、第1の光調節手段301には、回転軸部材601が一体的に形成され、光調節手段301、401の少なくとも1つには連結部が形成されており、駆動源で前記回転軸部材601を回転させることで、光調節手段301が回動し、光調節手段401も連結部により連動し、光調節手段301、401は同じ回転軸AX1、AX2を中心に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像機能を有した携帯機器やマイクロビデオスコープ等の小型光学装置の高性能化に伴い、レンズや絞り等の光学素子も、従来の固定焦点レンズ、固定開口絞りから、フォーカスレンズ、可変絞りを適用する要求が高まっている。
【0003】
その光学素子においても更なる小型化が望まれている。以下に示す特許文献では、絞り羽根を2枚に分割し、絞り羽根が基板に形成された光学開口部から退避した位置では、2枚の絞り羽根を重ねて収容するという小型化に適した構成を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−296637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、一つの駆動源で2つの絞り羽根を同時に駆動させる構成になっている。2つの絞り羽根は、それぞれが異なる回転軸、駆動源との連結部を有しており、構成が複雑になっている。その為、組立が非常に困難になるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、構成を簡略化し、組立性を向上させ、更なる小型化ができる光調節装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、光学開口が形成された基板と、光学開口規制部を有する第1の光調節手段及び第2の光調節手段と、第1の光調節手段及び第2の光調節手段を動作させる駆動源と、を有し、第1の光調節手段及び第2の光調節手段が、光学開口位置から退避した第1の静止位置と、光学開口位置に重なる第2の静止位置に相互に移動する光調節装置において、第1の光調節手段には、回転軸部材が一体的に形成され、前記第1の光調節手段及び第2の光調節手段の少なくとも1つには連結部が形成されており、駆動源で回転軸部材を回転させることで、第1の光調節手段が回動し、第2の光調節手段も連結部により連動し、第1の光調節手段及び第2の光調節手段は同じ回転軸を中心に回動することを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい態様にあっては、回転軸部材の中心軸と回転軸は一致していることが望ましい。
【0009】
本発明の好ましい態様にあっては、第1の光調節手段及び第2の光調節手段のうち少なくとも1つは光軸方向に突出する突出部を有し、突出部により第1の光調節手段及び第2の光調節手段が連結され、連動することが望ましい。
【0010】
本発明の好ましい態様にあっては、第1の光調節手段及び第2の光調節手段のうち1つには溝部、もう一方には光軸方向に突出する突出部が形成され、溝部と突出部によって、第1の光調節手段及び第2の光調節手段は連結され、動作することが望ましい。
【0011】
本発明の好ましい態様にあっては、第1の光調節手段及び第2の光調節手段は、第1の静止位置では重ねて収容され、第2の静止位置では光学規制部により、光学開口部を形成することが望ましい。
【0012】
本発明の好ましい態様にあっては、回転軸部材は円柱状の磁石で形成され、駆動源はヨークと巻線コイルからなる電磁駆動源であり、電磁駆動源により円柱状の磁石を回転させることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる光調節装置は、2枚の絞り羽根は同じ回転軸を中心に回転動作を行う構成である。また、回転軸部材には一方の絞り羽根のみが接合される。2枚の絞り羽根には、当該2枚の絞り羽根を連結する連結部があり、回転軸部材に接合された絞り羽根を回転させると、もう一方の絞り羽根も連動し、回転動作を行う構成とする。
2枚の羽根の回転軸が同一となっている為、構成の簡略化が可能となり、組立性を向上させることができる。この結果より、更に小型化も可能性である。
このように、本発明は、構成を簡略化し、組立性を向上させ、更なる小型化ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】第1の実施例の組立図である。
【図3】第1の実施例の光調節手段が開口から退避した状態を説明する図である。
【図4】第1の実施例の光調節手段が開口に重なった状態を説明する図である。
【図5】第1の実施例の駆動源を含めた組立図である。
【図6】第2の実施例の構成を示す図である。
【図7】第2の実施例の組立図である。
【図8】第2の実施例の光調節手段が開口から退避した状態を説明する図である。
【図9】第2の実施例の光調節手段が開口に重なった状態を説明する図である。
【図10】第2の実施例の変形例を説明する図である。
【図11】第2の実施例の変形例の動作を説明する図である。
【図12】第2の実施例の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる光調節装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
(第1実施例)
まず、本発明の第1の実施例にかかる光調節装置について説明する。図1から図5を用いて第1の実施例について説明する。まず、図1、図2を用いて、本実施例の構成を説明する。
【0017】
図1に示すように、本光調節装置は、光学開口102、回転軸穴103が形成された基板101と、開口202、回転軸穴203、規制部204、205が形成された基板201と、第1の光学開口規制部302、連結溝303、回転軸穴304が形成された第1の光調節手段301と、第2の光学開口規制部402、回転軸穴403、突起部404が形成された第2の光調節手段401と、基板101と基板201との間に光調節手段301、401が動作可能なスペースを形成するスペーサー501と、光調節手段301、401の回転動作のための回転軸部材601とにより構成される。
回転軸部材601は、磁石で形成されており、回転軸穴304を介して、第1の光調節手段301に接合されている。ここで、回転軸部材601の中心軸と、回転軸AX1とが一致している。
【0018】
図2に本光調節装置の組立図を示す。図2に示すように、第1の光調節手段301は、接合された回転軸部材601が第1の基板101に形成された回転軸穴103および第2の基板201に形成された回転軸穴203に挿入され、回転可能に取り付けられる。
【0019】
また、第2の光調節手段401の回転軸穴403には、第1の光調節手段301に接合された回転軸部材601が挿入される。第2の光調節手段401は、回転軸部材601を介し、第1の光調節手段301に重なり、回転可能に取り付けられる。
【0020】
ここで、第2の光調節手段401は、回転軸部材601とは接合されておらず、第1の光調節手段301に形成された連結溝303に突起部404を通して、第1の光調節手段301と連結される。
【0021】
次に図3、図4を用いて、本光調節手段の動作を説明する。また、説明を容易にするため、基板101を省略した上面図を示す。
図3は、2枚の光調節手段301、401が基板101、201に形成された光学開口102、開口202から退避した時の図である。この状態にする場合は、回転軸部材601に直接回転力を与え、第1の光調節手段301を基板に形成された開口部より退避する方向へ回転動作させる。
【0022】
まず、回転軸部材601に接合された第1の光調節手段301が回転動作を始める。回転動作開始時は、第2の光調節手段401は動作しない。その後、第1の光調節手段301に形成された連結溝303が第2の光調節手段401に形成された突起部404に接触し、第2の光調節手段401も動作を開始する。
【0023】
第2の光調節手段401が規制部204に突き当たった時、第2の光調節手段401は停止し、同時に第1の光調節手段301も停止する。この時、光調節装置の光学開口は基板101に形成された光学開口102となり、第1の光調節手段301と第2の光調節手段401は重なって収容される。
【0024】
図4は、2枚の光調節手段301、401が基板101、201に形成された光学開口102、開口202に重なった時の図である。この状態にする場合は、回転軸部材601に回転力を与え、第1の光調節手段301を基板に形成された開口部に重なる方向へ回転動作させる。まず、回転軸部材601に接合された第1の光調節手段301が、回転動作を始める。
【0025】
回転動作開始時は、第2の光調節手段401は動作しない。その後、第1の光調節手段301に形成された連結溝303が第2の光調節手段401に形成された突起部404に接触し、第2の光調節手段401も動作を開始する。第2の光調節手段401が規制部205に突き当たった時、第2の光調節手段401は停止し、同時に第1の光調節手段301も停止する。
この時、光調節装置の光学開口は第1の光調節手段301、第2の光調節手段401にそれぞれ形成された光学開口規制部302、402が形成する光学開口701となる。
【0026】
図5に駆動源800を含めた本光調節装置の組立図を示す。
駆動源800は、ヨーク部材801に巻線コイル部802を設けた電磁駆動源である。駆動源800は、ヨーク部材801の先端が回転軸部材601に対向するように基板101上に配置される。ここで、巻線コイル部802に通電を行うと、ヨーク部材801の先端から発生する磁力により回転軸部材(磁石)601を回転させることができる。回転軸部材601が回転するので、第1、第2の光調節手段301、401を回動させることが出来る。
【0027】
従来では、各光調節手段301、401に、回転軸と、それを組み立てる際の回転軸穴が必要であった。本実施例では、各光調節手段301、401の回転軸AX1、AX2を同軸にすることにより、回転軸部材601だけで、所望の動作を得ることができる。したがって、組立を容易にすることが可能となる。
【0028】
また、軸配置分のスペースが小さくなるため、構成の簡略化も可能となる、これにより、さらに小型化も可能である。
また、従来の技術では、一つの駆動源で同時に2枚の絞り羽根を動作させていた。その為、駆動源には、初期駆動力として、絞り羽根2枚分の静止摩擦力に相当する大きな力が必要となっていた。しかし、本構成は、絞り羽根の初期駆動時は、絞り羽根1枚を動作させ、その後、連結部によりもう一枚の羽根も連動させる為、絞り羽根の駆動初期に必要な駆動力も小さくなる。その為、より安定的に駆動可能となる。
【0029】
(第2実施例)
次に、図6から図11を用いて、本発明の第2の実施例に係る光調節装置を説明する。まず、図6、図7を用いて本実施例を説明する。第1の実施例と同一の構成要素には、同一の付番をする。
【0030】
図6に示すように、本光調節装置は、光学開口102、回転軸穴103が形成された基板101と、開口202、回転軸穴203、規制部204、205が形成された基板201と、第1の光学開口規制部902、突出部903、回転軸穴904が形成された第1の光調節手段901と、第2の光学開口規制部1002と回転軸穴1003が形成された第2の光調節手段1001と、基板101と基板201との間に光調節手段901、1001が動作可能なスペースを形成するスペーサー501と、光調節手段901、1001の回転動作のための回転軸部材601と、により構成される。
【0031】
また、回転軸部材601は磁石で形成されており、回転軸穴904を介し第1の光調節手段901に接合されている。ここで、回転軸部材601の中心軸と、回転軸AX1とが一致している。
【0032】
図7に本光調節装置の組立図を示す。図7に示すように、第1の光調節手段901は、接合された回転軸部材601を第1の基板101に形成された回転軸穴103(図1参照)、第2の基板201に形成された回転軸穴203(図1参照)に通して、回転可能に取り付けられる。
【0033】
また、第2の光調節手段1001の回転軸穴1003には、第1の光調節手段901に接合された回転軸部材601が挿入される。第2の光調節手段1001は回転軸部材601を介して第1の光調節手段901に重なり、回転可能に取り付けられる。ここで、第2の光調節手段1001は回転軸部材601とは接合されておらず、回転軸部材601を介し、第1の光調節手段901に形成された突出部903の切りかき部の中に配置される。
【0034】
次に図8、図9を用いて、本光調節装置の動作を説明する。また、説明を容易にするため基板101を省略した上面図を示す。
【0035】
図8は、2枚の光調節手段901、1001が基板101、201に形成された光学開口102、開口202から退避した時の図である。この状態にする場合は、回転軸部材601に回転力を与え、第1の光調節手段901を基板に形成された開口部より退避する方向へ回転動作させる。
【0036】
すると、まずは回転軸部材601に接合された第1の光調節手段901が回転動作を始める。回転動作開始時は、第2の光調節手段1001は動作しない。その後、第1の光調節手段901に形成された突出部903が第2の光調節手段1001に接触し、第2の光調節手段1001も動作を開始する。
【0037】
第2の光調節手段1001が規制部204に突き当たった時、第2の光調節手段1001は停止し、同時に第1の光調節手段901も停止する。
この時、光調節装置の光学開口は基板101に形成された光学開口102となり、第1の光調節手段901と第2の光調節手段1001とは重なって収容される。
【0038】
図9は、2枚の光調節手段901、1001が基板101、201に形成された光学開口部101、102に重なった時の状態を示す。この状態にする場合は、回転軸部材601に回転力を与え、第1の光調節手段901を基板に形成された開口部に重なる方向へ回転動作させる。
【0039】
これにより、回転軸部材601に接合された第1の光調節手段901が回転動作を始める。回転動作開始時は、第2の光調節手段1001は動作しない。その後、第1の光調節手段901に形成された突出部903が第2の光調節手段1001に接触し、第2の光調節手段1001も動作を開始し、第2の光調節手段1001が規制部205に突き当たった時、第2の光調節手段1001は停止し、同時に第1の光調節手段901も停止する。
【0040】
この時、光調節装置の光学開口は第1の光調節手段901、第2の光調節手段1001にそれぞれ形成された光学開口規制部902、1002が形成する光学開口111となる。
【0041】
第2の実施例においても駆動源は第1の実施例と同じである為、説明を省略する。なお、第2の実施例の、第1の光調節手段901に設けた突出部903の代わりに、図10、図11に示すように突起部121、122を形成した構成でも同様の効果を得ることが出来る。図11に示す本構成の動作は、上述した第2の実施例の構成と同じである為、説明を省略する。
【0042】
また、第2の実施例では回転軸部材601が接合された光調節手段901だけに突起部121、122や、突出部903を設けている。しかしながら、これに限られず、図12に示すように、実施例1を変形して、回転軸部材601が接合されていない、もう一方の光調節手段401だけに突起部131、132を形成しても同様の効果が得られる。動作は上述したものと同じである為、説明を省略する。
【0043】
本実施例によれば、第1の実施例同様、2枚の光調節手段901、1001を同一の回転軸AX1、AX2で回転させることができる。そのため、回転軸が一つでよいため、組立性が大きく向上する。また、第1の実施例では、2枚の光調節手段301、401にそれぞれ連結部(突起部と溝部)を形成し、2枚の光調節手段301、401を連動させたが、第2の実施例では、1つの光調節手段に連結部(突出部)を設けるだけで、もう一つの光調節手段も連動させることが可能となる。したがって、構成をさらに簡略化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明にかかる光調節装置は、小型の光学装置に有用であり、特に、更なる小型化が要求される光調節装置に適している。
【符号の説明】
【0045】
101、201 基板
102、111、202、701 開口
103、203、304、403、904、1003 回転軸穴
204、205 突起部
301、401、901、1001 光調節手段
302、402、902、1002 光学開口規制部
303 連結溝
404 突起部
501 スペーサー
601 回転軸部材
800 駆動源
801 ヨーク部材
802 巻き線コイル部
903、121、122、131、132 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学開口が形成された基板と、
光学開口規制部を有する第1の光調節手段及び第2の光調節手段と、
前記第1の光調節手段及び前記第2の光調節手段を動作させる駆動源と、を有し、
前記第1の光調節手段及び前記第2の光調節手段が、前記光学開口位置から退避した第1の静止位置と、前記光学開口位置に重なる第2の静止位置に相互に移動する光調節装置において、
前記第1の光調節手段には、回転軸部材が一体的に形成され、
前記前記第1の光調節手段及び前記第2の光調節手段の少なくとも1つには連結部が形成されており、
前記駆動源で前記回転軸部材を回転させることで、前記第1の光調節手段が回動し、前記第2の光調節手段も前記連結部により連動し、
前記第1の光調節手段及び前記第2の光調節手段は同じ回転軸を中心に回動することを特徴とする光調節装置。
【請求項2】
前記回転軸部材の中心軸と前記回転軸は一致していることを特徴とする請求項1に記載の光調節装置。
【請求項3】
前記第1の光調節手段及び前記第2の光調節手段のうち少なくとも1つは光軸方向に突出する突出部を有し、
前記突出部により前記第1の光調節手段及び前記第2の光調節手段が連結され、連動することを特徴とする請求項1または2に記載の光調節装置。
【請求項4】
前記第1の光調節手段及び前記第2の光調節手段のうち1つには溝部、もう一方には光軸方向に突出する突出部が形成され、
前記溝部と前記突出部によって、前記第1の光調節手段及び前記第2の光調節手段は連結され、動作することを特徴とする請求項第3に記載の光調節装置
【請求項5】
前記第1の光調節手段及び前記第2の光調節手段は、前記第1の静止位置では重ねて収容され、前記第2の静止位置では前記光学規制部により、光学開口部を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光調節装置。
【請求項6】
前記回転軸部材は円柱状の磁石で形成され、
前記駆動源はヨークと巻線コイルからなる電磁駆動源であり、
前記電磁駆動源により前記円柱状の磁石を回転させること特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光調節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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