説明

光走査装置の製造方法及び支持装置

【課題】光源側からの光を被走査面へ導くことが可能な相対位置に複数の光学素子を固定する際において光学素子の位置を出す作業を容易にする。
【解決手段】複数の光学素子を、光源側からの光を被走査面へ導くことが可能な相対位置で、単一の支持装置に支持させる支持工程と、前記支持工程で前記複数の光学素子を支持した支持装置を、前記複数の光学素子が固定される筐体に対して位置決めする位置決め工程と、前記位置決め工程による前記支持装置の位置決めがなされた状態で、かつ、前記支持工程で支持された前記複数の光学素子の前記相対位置を維持した状態で前記筐体に前記複数の光学素子を固定する固定工程と、前記固定工程で固定された前記複数の光学素子から前記支持装置を取り外す取外工程と、を備える光走査装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置の製造方法及び支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光走査装置としては、特許文献1に開示される走査ユニット及び特許文献2に開示される光走査装置が公知である。特許文献1に開示される走査ユニットは、レーザビームが確実に走査レンズを通過するように、レーザダイオードが装着されるLDホルダ270を上下方向に位置調整しつつ、LDホルダ270の下端部が、ユニットフレーム200においてポリゴンミラー110が固定される基台部220表面と間隔を置いた状態で接着剤により接着することで、LDホルダ270とユニットフレーム200との間の位置関係を固定する。
【0003】
特許文献2に開示される光走査装置は、光源から放出された光を、ハウジングに設けられた少なくとも一つの光学素子を介して、対象に照明し、該光で該対象を走査する光走査装置は、該光学素子の少なくとも一つ及び該ハウジングの両方と接着される中間部材を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−47822号公報(図7)
【特許文献2】特開2008−225231号公報(図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光源側からの光を被走査面へ導くことが可能な相対位置に複数の光学素子を固定する際において光学素子の位置を出す作業を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、複数の光学素子を、光源側からの光を被走査面へ導くことが可能な相対位置で、単一の支持装置に支持させる支持工程と、前記支持工程で前記複数の光学素子を支持した支持装置を、前記複数の光学素子が固定される筐体に対して位置決めする位置決め工程と、前記位置決め工程による前記支持装置の位置決めがなされた状態で、かつ、前記支持工程で支持された前記複数の光学素子の前記相対位置を維持した状態で前記筐体に前記複数の光学素子を固定する固定工程と、前記固定工程で固定された前記複数の光学素子から前記支持装置を取り外す取外工程と、を備える光走査装置の製造方法である。
【0007】
請求項2の発明は、前記位置決め工程は、各前記光学素子の前記筐体に対する移動を許容する中間部材が前記各光学素子と前記筐体との間に配置された状態で、前記支持装置を位置決めし、前記固定工程は、前記中間部材に供給された硬化剤を硬化手段によって硬化させることで前記光学素子を前記筐体に固定する請求項1に記載の光走査装置の製造方法である。
【0008】
請求項3の発明は、前記支持工程は、前記光学素子を吸引により前記支持装置に支持させる請求項1又は請求項2に記載の光走査装置の製造方法である。
【0009】
請求項4の発明は、複数の光学素子を、光源側からの光を被走査面へ導くことが可能な相対位置で取り外し可能に支持する支持体と、前記支持体が設けられ、前記支持体に支持された状態における前記光学素子の前記筐体に対する被固定部位が露出するように開放された基体と、を備える支持装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1の構成によれば、光走査装置ごとにその筐体に設けられた調整機構により光学素子の位置を調整する場合に比べ、光源側からの光を被走査面へ導くことが可能な相対位置に複数の光学素子を固定する際において光学素子の位置を出す作業を容易にすることができる。
【0011】
本発明の請求項2の構成によれば、中間部材を用いない場合に比べ、光源側からの光を被走査面へ導くことが可能な相対位置に複数の光学素子を固定する際において光学素子の位置を出す作業を容易にすることができる。
【0012】
本発明の請求項3の構成によれば、吸引により支持しない場合に比べ、光学素子に対する負荷を抑制できる。
【0013】
本発明の請求項4の構成によれば、光走査装置ごとにその筐体に設けられた調整機構により光学素子の位置を調整する場合に比べ、光源側からの光を被走査面へ導くことが可能な相対位置に複数の光学素子を固定する際において光学素子の位置を出す作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る光走査装置の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る光走査装置において、筐体に被覆部材(カバー)を取り付けた様子を示す外観図である。
【図4】図4は、fθレンズに対して設けられた中間部材の構成を示す概略図である。
【図5】図5は、シリンドリカルレンズに対して設けられた中間部材の構成を示す概略図である。
【図6】図6は、第1実施形態に係る支持装置によって支持される固定部品を示す斜視図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係る支持装置の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、第1実施形態に係る支持装置において固定部品を支持した状態を示す斜視図である。
【図9】図9は、第1実施形態に係る支持装置の上部側の構成及び固定部品が固定される前の光走査装置の筐体の構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、図7に示す構成において、光源の位置を調整する調整機構を有さない構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、図7に示す支持装置において、反射鏡を支持する支持体を変形した変形例を示す斜視図である。
【図12】図12は、図11に示す構成を用いる場合における光走査装置の構成を示す斜視図である。
【図13】図13は、fθレンズが中間部材を介して筐体に固定される前の状態を示す斜視図である。
【図14】図14は、fθレンズが中間部材を介して筐体に固定された状態を示す斜視図である。
【図15】図15は、fθレンズが中間部材を介して筐体に固定される工程を説明するための説明図である。
【図16】図16は、第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図17】図17は、第2実施形態に係る光走査装置の構成を示す側断面図である。
【図18】図18は、第2実施形態に係る光走査装置の構成を示す平面図である。
【図19】図19は、第2実施形態に係る第1支持装置及び第2支持装置において固定部品を支持した状態を示す斜視図である。
【図20】図20は、第2実施形態に係る製造方法の製造工程を説明するための説明図である。
【図21】図21は、第2実施形態に係る光走査装置の構成を示す斜視図である。
【図22】図22は、第2実施形態に係る中間部材の構成を示す斜視図である。
【図23】図23は、第2実施形態に係る支持機構の構成を示す斜視図である。
【図24】図24は、第2実施形態に係る支持機構の構成を示す斜視図である。
【図25】図25は、第2実施形態に係る支持機構の支持部の構成を示す斜視図である。
【図26】図26は、第2実施形態に係る支持機構の支持部の構成を示す断面図である。
【図27】図27は、第2実施形態に係るシリンドリカルミラーを固定した状態を示す斜視図である。
【図28】図28は、第2実施形態に係る中間部材を変形した変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
(第1実施形態に係る画像形成装置の構成)
まず、第1実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0016】
第1実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、各構成部品が収容された装置筐体102を備えている。この装置筐体102の内部には、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部104と、記録媒体Pにトナー画像を形成する画像形成部106と、記録媒体収容部104から画像形成部106へ記録媒体Pを搬送する搬送部108と、画像形成部106によって形成されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置110と、が設けられている。また、装置筐体102の上部には、定着装置110によってトナー画像が定着された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部112が設けられている。
【0017】
画像形成部106は、トナー画像が形成される感光体114と、感光体114に形成されたトナー画像が転写される中間転写体120と、感光体114のトナー画像を中間転写体120へ転写する第1転写ロール128と、第1転写ロール128によって中間転写体120に転写されたトナー画像を記録媒体Pへ転写する第2転写ロール130と、を備えている。
【0018】
感光体114は、一方向(図1における時計回り方向)へ回転するように構成されている。感光体114の周囲には、感光体114の回転方向上流側から順に、感光体114を帯電させる帯電装置116と、帯電装置116によって帯電した感光体114へ光線を走査して感光体114に静電潜像を形成する光走査装置10と、感光体114に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置の一例としてのロータリー現像装置118と、が設けられている。なお、光走査装置10の具体的な構成は、後述する。
【0019】
ロータリー現像装置118は、回転支軸124を中心として一方向(図1における反時計回り方向)へ回転駆動する回転体119を備えている。この回転体119には、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナーを収容するトナー収容部122が、回転支軸124の周囲に設けられている。各トナー収容部122には、各トナー収容部122に収容されたトナーを感光体114に供給する現像ロール126が設けられている。
【0020】
中間転写体120は、第1転写ロール128と、第2転写ロール130に対向する対向ロール132と、複数(例えば、3つ)の巻掛ロール134と、に巻き掛けられている。中間転写体120では、対向ロール132と第2転写ロール130との間が、中間転写体120に転写されたトナー画像が記録媒体Pに転写される転写位置Tとされている。
【0021】
搬送部108は、記録媒体収容部104に収容された記録媒体Pを記録媒体収容部104から送り出す送出ロール136と、送出ロール136によって送り出された記録媒体Pを転写位置Tへ搬送する搬送ロール140と、を備えている。
【0022】
定着装置110は、転写位置Tより搬送方向下流側に配置されており、転写位置Tで記録媒体Pに転写されたトナー画像を記録媒体Pへ定着させる。定着装置110よりも搬送方向下流側には、記録媒体Pを記録媒体排出部112へ排出する排出ロール142が配置されている。
【0023】
次に、第1実施形態に係る画像形成装置における画像形成動作について説明する。
【0024】
第1実施形態に係る画像形成装置100では、感光体114の周回ごとに、光走査装置10によって感光体114に静電潜像が形成され、ロータリー現像装置118の各現像ロール126によって各色のトナーで現像される。この現像により、感光体114に形成された各色のトナー画像は、感光体114の周回ごとに、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で中間転写体120に転写されてカラー画像が形成される。
【0025】
一方、記録媒体収容部104から送り出された記録媒体Pは、搬送ロール140によって転写位置Tへ送り込まれる。この記録媒体Pには、転写位置Tにて、中間転写体120に転写されたカラー画像が転写される。
【0026】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置110へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置110により定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、排出ロール142により記録媒体排出部112へ排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0027】
なお、画像形成装置の構成は、上記の構成に限られず、画像が形成可能装置であればよい。
【0028】
(第1実施形態に係る光走査装置10の構成)
次に、第1実施形態に係る光走査装置10の構成について説明する。図2及び図3は、第1実施形態に係る光走査装置の構成を示す斜視図である。
【0029】
以下では、図中における矢印F方向を光走査装置10の前方とし、その反対側(矢印B方向)を光走査装置10の後方とし、図中における矢印R方向を、光走査装置10の右方とし、その反対側(矢印L方向)を、光走査装置10の左方とし、図中における矢印U方向を光走査装置10の上方とし、その反対側(矢印D方向)を、光走査装置10の下方として説明する。なお、光走査装置10におけるこれらの方向は、説明の便宜上定めたものであるから、光走査装置10における左右方向、前後方向及び上下方向は、この方向に限られるものではない。
【0030】
第1実施形態に係る光走査装置10は、図2に示すように、上部が開放されたプラスチック製の筐体12を備えている。筐体12の側面13Fには、発光部14Aを有する光源14が取り付けられている。光源14は、筐体12の側壁に形成された開口12Aを通じて、画像信号に応じて変調された光線Kを発光部14Aから筐体12の内部へ射出するように構成されている。
【0031】
筐体12の内部には、光源14側からの光を感光体114の外周面(被走査面の一例)側へ導く複数の光学素子の一例としてのコリメータレンズ16・シリンドリカルレンズ18・回転多面鏡(ポリゴンミラー)20が、この順で、光線Kの進行方向に沿って配置されている。回転多面鏡20は、回転多面鏡20を回転駆動する駆動部20Aと共に、取付板21に取り付けられている。
【0032】
光源14から射出された光線Kは、コリメータレンズ16で平行光に変換される。この平行光に変換された光線Kは、シリンドリカルレンズ18により、回転多面鏡20の反射面で副走査方向に結像される。シリンドリカルレンズ18によって結像された光線Kは、駆動部20Aによって回転する回転多面鏡20の反射面で反射偏向される。
【0033】
回転多面鏡20の反射側(光走査装置10の前方側)には、光源14側からの光を感光体114の外周面(被走査面の一例)側へ導く複数の光学素子の一例としてのfθレンズ22・反射鏡24が、この順で、光線Kの進行方向に沿って配置されている。
【0034】
回転多面鏡20で偏向された光線Kは、fθレンズ22を通過すると共に反射鏡24で反射することにより、感光体114の外周面に結像されると共に等速度で感光体114の外周面を走査される。
【0035】
また、図3に示すように、筐体12の開放上部には、その開放部分を覆う被覆部材(カバー)26が設けられている。この被覆部材26には、反射鏡24で反射された光線Kを感光体114の外周面へ通過させる透光板28が取り付けられている。
【0036】
また、図2に示すように、筐体12には、光線Kの走査開始タイミングを検出するための検出素子(SOS(スタート・オブ・スキャン)センサ)30が設けられている。fθレンズ22と反射鏡24との間であって、走査開始側(光走査装置10の左方側)には、fθレンズ22を透過した光線Kの一部を反射して検出素子30に導く検出用ミラー32が設けられている。なお、検出素子30は、ブロック状の取付部材30Aに取り付けられている。
【0037】
ここで、光走査装置10では、光源14が筐体12の側面13Fに複数の中間部材42を介して固定されている。各中間部材42は、一端部が光源14に接合され、他端部が側面13Fに接合されている。また、回転多面鏡20の取付板21及びfθレンズ22の各々が、筐体12の底板12Bに対して複数の中間部材42を介して固定されている。各中間部材42は、一端部が、取付板21及びfθレンズ22の底面に接合され、他端部が底板12Bの上面に接合されている。なお、中間部材42の具体的構成については、後述する。
【0038】
コリメータレンズ16及びシリンドリカルレンズ18の各々は、底板12Bの上面に形成された固定部17、19に対して中間部材43を介して固定されている。なお、中間部材43の具体的構成については、後述する。
【0039】
検出用ミラー32は、反射面に対する反対面及び底面が、底板12Bの上面に形成された固定部33に対して中間部材43を介して固定されている。検出素子30は、取付部材30Aの底面が、底板12Bの上面に形成された固定部(図示省略)に対して中間部材(図示省略)を介して固定されている。
【0040】
反射鏡24は、底板12Bの上面であって、かつ、反射鏡24の長手方向両端側(光走査装置10の左端側及び右端側)にそれぞれ形成された固定部23、25に対して中間部材43を介して固定されている。固定部23に配置された中間部材43は、反射鏡24の長手方向一端部(右端部)であって、反射面に対する反対面、上端面及び下端面に接合されている。固定部25に配置された中間部材43は、反射鏡24の長手方向他端部(左端部)であって、反射面に対する反対面、上端面及び下端面に接合されている。
【0041】
コリメータレンズ16・シリンドリカルレンズ18・回転多面鏡20・fθレンズ22・反射鏡24は、筐体12に対して、光源14側からの光線Kを感光体114の外周面へ導くことが可能な相対位置、具体的には、光源14側からの光線Kを感光体114の外周面の決められた位置に走査可能となる相対位置(以下、理想位置という)に固定されている。詳細には、後述するように、コリメータレンズ16・シリンドリカルレンズ18・回転多面鏡20・fθレンズ22・反射鏡24は、支持装置150において理想位置に位置決めされた後、その位置関係を維持した状態で筐体12に対して固定されるようになっている。また、支持装置150における理想位置への位置決めの際には、後述するように、回転多面鏡20及びfθレンズ22は支持装置150に対して位置決めされた後に位置調整されず、コリメータレンズ16・シリンドリカルレンズ18・反射鏡24が、光源14を含めて支持装置150に対して位置決めされた後に位置調整されて理想位置へ位置決めされるようになっている。
【0042】
また、筐体12自体には、光源14・コリメータレンズ16・シリンドリカルレンズ18・回転多面鏡20・fθレンズ22・反射鏡24・検出素子30・検出用ミラー32の位置を調整する調整機構及び、光源14・コリメータレンズ16・シリンドリカルレンズ18・回転多面鏡20・fθレンズ22・反射鏡24・検出素子30・検出用ミラー32を、理想位置に位置決めする位置決め機構を有していない。なお、光源14・コリメータレンズ16・シリンドリカルレンズ18・回転多面鏡20・fθレンズ22・反射鏡24・検出素子30・検出用ミラー32を、理想位置を含む領域であって、理想位置よりも広範囲である領域内に位置決めする位置決め機構を有していてもよい。この位置決め機構は、例えば、理想位置に固定する前段階として大まかに位置決めする際に用いられる。
【0043】
(中間部材42及び中間部材43の構成)
次に、中間部材42及び中間部材43の構成について説明する。図4は、中間部材42の構成を示す概略図である。図5は、中間部材43の構成を示す概略図である。
【0044】
まず、fθレンズ22に対して設けられた中間部材42について説明する。なお、回転多面鏡20の取付板21及び光源14に対して設けられた中間部材42は、fθレンズ22に対して設けられた中間部材42と同様に構成されているので、説明を省略する。
【0045】
中間部材42は、図4(A)に示すように、固定部材の一例としての筐体12と被固定部材の一例としてのfθレンズ22との間に配置されるものであり、fθレンズ22を筐体12に対して固定するものである。
【0046】
中間部材42は、図4(B)に示すように、fθレンズ22を支持する支持材の一例としての圧縮コイルバネ42Aと、fθレンズ22を筐体12に対して固定する固定材の一例としての硬化剤42Bと、硬化剤42Bを保持する保持材の一例としてのスポンジ42Cと、を備えている。
【0047】
圧縮コイルバネ42Aは、伸縮方向となる軸方向の一端部がfθレンズ22側に配置され、軸方向他端部が筐体12側に配置されている。圧縮コイルバネ42Aは、硬化剤42Bが硬化することによって、変形された状態、すなわち、圧縮された状態を保つようになっている。圧縮コイルバネ42Aは、硬化剤42Bが硬化する前の状態において、弾性変形することにより、fθレンズ22を圧縮コイルバネ42Aの軸方向に沿って移動可能に支持するようになっている。すなわち、圧縮コイルバネ42Aは、fθレンズ22の筐体12に対する移動を許容し、fθレンズ22の筐体12に対する支持位置が調整可能となっている。従って、圧縮コイルバネ42Aが弾性変形されることにより、理想位置に位置させること可能となっている。
【0048】
なお、支持材としては、例えば、茶筅の先端部のように球状に形成されたバネ、その他の形状とされたバネなどであってもよく、弾性変形可能であってfθレンズ22を支持できるものであればよい。
【0049】
硬化剤42Bは、具体的には、紫外線により硬化する接着剤であり、紫外線の照射前においては、液状(ゲル状)とされている。すなわち、硬化剤42Bは、硬化前においては、圧縮コイルバネ42A及びスポンジ42Cの弾性変形を許容するになっている。また、硬化剤42Bは、硬化後においては、圧縮コイルバネ42A及びスポンジ42Cの弾性力に抗して圧縮コイルバネ42A及びスポンジ42Cの変形を阻止すると共に、その接着力によりfθレンズ22を筐体12に対して固定するようになっている。具体的には、硬化剤42Bは、理想位置へ、圧縮コイルバネ42Aによるfθレンズ22の支持位置が調整された状態で、fθレンズ22及び圧縮コイルバネ42Aを筐体12に対して固定している。
【0050】
なお、硬化剤を硬化させる硬化手段(刺激)としては、例えば、紫外線以外の電磁波、熱、空気などであってもよく、硬化剤42Bとしては、紫外線以外の硬化手段(例えば、紫外線以外の電磁波、熱、空気)により硬化する硬化剤を用いても良い。
【0051】
スポンジ42Cは、圧縮コイルバネ42Aの内周側に配置されており、圧縮コイルバネ42Aに保持されている。スポンジ42Cは、内部に形成された複数の孔(空隙)で、硬化前の液状(ゲル状)の硬化剤42Bを保持するようになっている。
【0052】
なお、保持材としては、例えば、発泡材以外の他の多孔質材などであってもよく、液状(ゲル状)の硬化剤42Bを保持可能なものであればよい。
【0053】
次に、シリンドリカルレンズ18に対して設けられた中間部材43について説明する。
【0054】
なお、コリメータレンズ16、反射鏡24、検出素子30及び検出用ミラー32に対して設けられた中間部材43は、シリンドリカルレンズ18に対して設けられた中間部材43と同様に構成されているので、説明を省略する。
【0055】
中間部材43は、図5(A)に示すように、固定部材19と被固定部材の一例としてのシリンドリカルレンズ18との間に配置されるものであり、シリンドリカルレンズ18を筐体12に対して固定するものである。
【0056】
中間部材43は、図5(B)に示すように、シリンドリカルレンズ18を筐体12に対して固定する固定材の一例としての硬化剤43Bと、硬化剤43Bを保持する保持材の一例としてのスポンジ43Cと、を備えている。
【0057】
中間部材43は、中間部材42と異なり、圧縮コイルバネを有していない。すなわち、中間部材42では、圧縮コイルバネ42Aが、主に、fθレンズ22を支持する支持機能を有し、スポンジ42Cが、主に、硬化剤43Bを保持する保持機能を有しているのに対して、中間部材43では、スポンジ43Cが、支持機能及び保持機能の両方を有している。
【0058】
硬化剤43Bは、具体的には、硬化剤42Bと同様に、紫外線により硬化する接着剤で構成され、硬化剤42Bと同様の機能を有している。なお、硬化剤43Bとしては、硬化剤42Bと同様に、紫外線以外の硬化手段(例えば、紫外線以外の電磁波、熱、空気)により硬化する硬化剤を用いても良い。
【0059】
スポンジ43Cは、内部に形成された複数の孔(空隙)で、硬化前の液状(ゲル状)の硬化剤43Bを保持するようになっている。スポンジ43Cは、硬化剤43Bが硬化することによって、変形された状態、すなわち、圧縮された状態を保つようになっている。スポンジ43Cは、硬化剤43Bが硬化する前の状態において、弾性変形することにより、シリンドリカルレンズ18を移動可能に支持するようになっている。
【0060】
なお、保持材としては、例えば、発泡材以外の他の多孔質材などであってもよく、液状(ゲル状)の硬化剤43Bを保持可能なものであればよい。
【0061】
以上のように、固定部材と被固定部材との間に配置される中間部材としては、中間部材42、43のように、被固定部材を支持する支持機能と、硬化剤などの固定材を保持する保持機能とを有することが望ましい。
【0062】
また、中間部材43のように、単一の部材に支持機能及び保持機能の両方を持たせてもよいし、中間部材42のように、複数の部材のそれぞれに、支持機能及び保持機能を分担させる構成としても良い。
【0063】
支持機能を有する支持材、保持機能を有する保持材及び両機能を有する部材としては、例えば、バネ、ゴム、スポンジ等の多孔質材、ガラス繊維や金属繊維などで形成された不織布・綿状部材(例えば、ガラスウールやスチールウール)・メッシュ状部材、ハニカム形状部材、蛇腹形状部材等などから、適宜選択される。
【0064】
なお、中間部材42、43は、光走査装置10の製造前の部品状態では、それぞれ、圧縮コイルバネ42A及びスポンジ42C、スポンジ43Cで構成され、硬化剤42B、43Bは製造過程において供給されるものである。
【0065】
従って、中間部材42では、支持材の一例としての圧縮コイルバネ42Aと、固定材の一例としての硬化剤42Bと、保持材の一例としてのスポンジ42Cとを含んだものを中間部材として捉えてもよいし、固定材の一例としての硬化剤42Bがなく、支持材の一例としての圧縮コイルバネ42Aと、保持材の一例としてのスポンジ42Cとで構成されたものを中間部材として捉えてもよい。
【0066】
また、中間部材43では、固定材の一例としての硬化剤43Bと、保持材の一例としてのスポンジ43Cとを含んだものを中間部材として捉えてもよいし、固定材の一例としての硬化剤43Bがなく、保持材の一例としてのスポンジ43Cで構成されたものを中間部材として捉えてもよい。
【0067】
さらに、中間部材としては、硬化剤などの固定材のみで構成されていてもよく、また、後述の第2実施形態に示す中間部材95であっても良い。
【0068】
また、中間部材(具体的には、硬化剤以外を構成する構成部材)は、硬化手段(刺激)を硬化剤に伝える機能を有することが望ましい。例えば、中間部材における硬化剤が、硬化手段としての紫外線・紫外線以外の電磁波により硬化する場合には、中間部材は、紫外線・紫外線以外の電磁波が透過可能な部材で構成されていることが望ましい。特に、第2実施形態における中間部材95のように、構成部材の裏面に硬化剤を塗布する場合では、その塗布した硬化剤を硬化させるために、紫外線・紫外線以外の電磁波を透過する透過性が必要となる。また、例えば、中間部材における硬化剤が、硬化手段としての熱により硬化する場合には、紫外線・紫外線以外の電磁波の場合と同様に、中間部材は、熱を伝導させる熱伝導性を有する部材で構成されていることが望ましい。
【0069】
(第1実施形態に係る支持装置150の構成)
次に、光走査装置10の後述する製造方法において用いられる支持装置150について説明する。図7は、支持装置150の構成を示す斜視図である。
【0070】
以下では、図中における矢印F方向を支持装置150の前方とし、その反対側(矢印B方向)を支持装置150の後方とし、図中における矢印R方向を支持装置150の右方とし、その反対側(矢印L方向)を支持装置150の左方とし、図中における矢印U方向を支持装置150の上方とし、その反対側(矢印D方向)を支持装置150の下方として説明する。なお、支持装置150におけるこれらの方向は、説明の便宜上定めたものであるから、支持装置150における左右方向、前後方向及び上下方向は、この方向に限られるものではない。
【0071】
第1実施形態に係る支持装置150は、光走査装置10を構成する構成部品のうち、図6に示す光源14・コリメータレンズ16・シリンドリカルレンズ18・回転多面鏡20・fθレンズ22・反射鏡24・検出素子30・検出用ミラー32(以下、これらの構成部品を固定部品14〜32という)を、筐体12へ固定される前において支持するための装置である。また、支持装置150は、光走査装置10(具体的には、筐体12)から独立した装置であって、光走査装置10とは別体で構成された装置である。
【0072】
支持装置150は、図7に示すように、固定部品14〜32のそれぞれを取り外し可能に支持する支持体154、156、158、160、162、164、170、172(以下、154〜172と示す)と、支持体154〜172が形成された基体152と、を備えている。
【0073】
基体152は、図9に示すように、筐体12の前方側に形成された2つの基準孔15を基準にして、筐体12に組み合わせられて、筐体12に対して位置決めされるように構成されている。
【0074】
具体的には、例えば、2つの基準孔15に対応して基体152の前方側に形成された2つの位置決め用孔175の一方と筐体12の2つの基準孔15の一方とに、ピン等の挿入部材が挿入されると共に、2つの位置決め用孔175の他方と2つの基準孔15の他方とに、ピン等の挿入部材が挿入されることにより、筐体12の基準孔15に対して基体152の位置決め用孔175が位置決めされ、2つの基準孔15を基準にして基体152が筐体12に対して位置決めされる。
【0075】
なお、基体152が筐体12に対して位置決めされる際に求められる位置精度は、固定部品14〜32が基体152に対して位置決めされる際に求められる位置精度よりも低くなっている。また、筐体12の2つの基準孔15を基準にして、光走査装置10が感光体114に対して位置決めされるようになっている。また、基体152を筐体12に対して位置決めする構成としては、2つの基準孔15を基準とする構成に限られるものではない。
【0076】
基体152は、筐体12に対して位置決めされた際に、筐体12の側面13A・13B・13C・13D・13E・13F(図2参照)のそれぞれに対向する対向壁(内壁)173A・173B・173C・173D・173E・173Fを有している(図7参照)。
【0077】
また、基体152は、図8に示すように、各支持体154〜172に支持された状態における各固定部品14〜32の筐体12に対する被固定部位が露出するように下向きに開放されている。被固定部位は、具体的には、コリメータレンズ16、シリンドリカルレンズ18、回転多面鏡20の取付板21及びfθレンズ22、検出素子30(取付部材30A)において底面であり、光源14においては出射面(発光部14Aが配置された配置面)、反射鏡24において反射面に対する反対面、上端面及び下端面であり、検出用ミラー32において反射面に対する反対面及び底面である。
【0078】
光源14を支持する支持体154は、図7に示すように、基体152の対向壁173Fから水平方向に突出すると共に直方体形状に形成されている。支持体154の側面154Aには、光源14を吸引するための複数の吸引孔154Bの一端が開口されている。吸引孔154Bの他端には、光源14を吸引する吸引装置(図示省略)が接続されている。この吸引装置によって、吸引孔154Bを通じて光源14の発光部14Aの配置面に対する反対面が吸引されることで、支持体154の側面154Aで光源14が支持されるようになっている。
【0079】
光源14は、図8に示すように、支持体154に支持された状態で、側面154Aに接触し、基体152(支持装置150)に対する位置が規定されて位置決めされるようになっている。
【0080】
さらに、支持体154には、光源14の位置を調整する調整機構154C(図7参照)、調整機構154E(図9参照)が設けられている。調整機構154Cは、基体152に対し支持体154を支持させており、操作部154Dを回転操作することで、光源14が図7及び図9におけるY方向(光走査装置10における上下方向)に移動するように、支持体154を移動させる構成となっている。
【0081】
調整機構154Eは、基体152に対し支持体154を支持させており、操作部154Fを回転操作することで、図7及び図9におけるX方向(光走査装置10における右斜め前方及びその反対方向(左斜め後方))に移動させて、コリメータレンズ16との光軸・芯出し調整が可能なように、支持体154を移動させる構成となっている。
【0082】
コリメータレンズ16を支持する支持体156は、基体152から下方へ突出すると共に直方体形状に形成されている。支持体156の下面には、凹部156Aが形成されている。この凹部156A内の奥にある奥面には、コリメータレンズ16を吸引するための吸引孔156Bの一端が開口されている。吸引孔156Bの他端には、コリメータレンズ16を吸引する吸引装置(図示省略)が接続されている。この吸引装置によって、吸引孔156Bを通じてコリメータレンズ16が吸引されることで、図8に示すように、支持体156の凹部156Aでコリメータレンズ16が支持されるようになっている。
【0083】
コリメータレンズ16は、支持体156に支持された状態で、凹部156A内の奥面及び、角度の異なる複数の側面に接触し、基体152(支持装置150)に対する位置が規定されて位置決めされるようになっている。
【0084】
さらに、支持体156には、図9に示すように、コリメータレンズ16の位置を調整する調整機構156Cが設けられている。調整機構156Cは、基体152に対し支持体156を支持させており、操作部156Dを回転操作することで、光走査装置10における光線Kの進行方向(回転多面鏡20に対して近づく又は遠ざかる方向)にコリメータレンズ16が移動するように、支持体156を移動させる構成となっている。
【0085】
シリンドリカルレンズ18を支持する支持体158は、図7に示すように、支持体156と同様に構成されており、シリンドリカルレンズ18を位置決めするための凹部158Aと、シリンドリカルレンズ18を吸引するための吸引孔158Bを有している。また、図9に示すように、支持体158には、支持体156と同様に、シリンドリカルレンズ18の位置を調整する調整機構158Cが設けられている。調整機構158Cは、基体152に対し支持体158を支持させており、操作部158Dを回転操作することで、光走査装置10における光線Kの進行方向(回転多面鏡20に対して近づく又は遠ざかる方向)にシリンドリカルレンズ18が移動するように、支持体158を移動させる構成となっている。
【0086】
回転多面鏡20を支持する支持体160は、図7に示すように、基体152の後部側に配置された第1支持体161と、支持体161の前方側に配置された第2支持体163と、支持体161の左方側に配置された第3支持体165と、を備えて構成されている。
【0087】
第1支持体161、第2支持体163及び第3支持体165は、それぞれ、基体152から下方へ突出すると共に直方体形状に形成されている。第1支持体161、第2支持体163及び第3支持体165の下面には、それぞれ、回転多面鏡20が取り付けられた取付板21を吸引するための吸引孔161B、163B、165Bの一端が開口されている。吸引孔161B、163B、165Bの他端には、取付板21を吸引する吸引装置(図示省略)が接続されている。この吸引装置によって、吸引孔161Bを通じて取付板21の上面の後部側が吸引され、吸引孔163Bを通じて取付板21の上面の前部側が吸引され、吸引孔165Bを通じて取付板21の上面の左部側が吸引されることで、図8に示すように、支持体161、163、165の下面で回転多面鏡20が支持されるようになっている。
【0088】
第1支持体161及び第3支持体165には、それぞれ、取付板21の後方側端面に接触して回転多面鏡20の前後方向の位置を規定する規定部161C、取付板21の左方側端面に接触して回転多面鏡20の左右方向の位置を規定する規定部165Cが設けられている。
【0089】
回転多面鏡20は、第1支持体161、第2支持体163及び第3支持体165の下面に接触して上下方向の位置が規定され、規定部161Cによって前後方向の位置が規定され、規定部165Cによって左右方向の位置が規定されることにより、基体152に対して位置決めされる。
【0090】
fθレンズ22を支持する支持体162は、図7に示すように、基体152から下方へ突出すると共にブロック状に形成されている。支持体162の下面には、fθレンズ22を吸引するための吸引孔162A、162B、162Cの一端が開口されている。吸引孔162A、162B、162Cの他端には、fθレンズ22を吸引する吸引装置(図示省略)が接続されている。この吸引装置によって、吸引孔162Aを通じてfθレンズ22の上面の右端部が吸引され、吸引孔162Bを通じてfθレンズ22の上面の右端部が吸引され、吸引孔162Cを通じてfθレンズ22の上面の前端部が吸引されることで、図8に示すように、支持体162の下面でfθレンズ22が支持されるようになっている。
【0091】
fθレンズ22の吸引面(上面)には、吸引孔162A、162B、162Cに嵌る凸部22A、22B、22Cが形成されており(図13参照)、この凸部22A、22B、22Cのそれぞれが吸引孔162A、162B、162Cに嵌め込まれた状態で、fθレンズ22が吸引されて支持されることにより、fθレンズ22は基体152に対して位置決めされる。
【0092】
なお、支持体162は、fθレンズ22の長手方向一端面(右端面)22R又はfθレンズ22の長手方向他端面(左端面)22Lと、fθレンズ22の長手方向一端(右端)側の前面22FRと、fθレンズ22の長手方向他端(左端)側の前面22FLと、の三面に接触してfθレンズ22の移動を、支持体162に形成された規制部によって規制することにより、fθレンズ22を位置決めする構成であってもよい。
【0093】
反射鏡24を支持する支持体164は、図7に示すように、基体152の右方側に配置された第1支持体167と、基体152の左方側に配置された第2支持体169と、を備えて構成されている。
【0094】
第1支持体167及び第2支持体169は、それぞれ、基体152から下方へ突出すると共に、前後方向に対して傾斜する下面を有している。第1支持体167及び第2支持体169の下面には、それぞれ、反射鏡24を吸引するための吸引孔167B、169Bの一端が開口されている。吸引孔167B、169Bの他端には、反射鏡24を吸引する吸引装置(図示省略)が接続されている。この吸引装置によって、吸引孔167Bを通じて反射鏡24の反射面の右端部が吸引され、吸引孔169Bを通じて反射鏡24の反射面の左端部が吸引されることで、図8に示すように、第1支持体167及び第2支持体169の下面で反射鏡24が支持されるようになっている。
【0095】
第1支持体167及び第2支持体169には、それぞれ、反射鏡24の右端面に接触して反射鏡24の左右方向の位置を規定する規定部167C、反射鏡24の左端面に接触して反射鏡24の左右方向の位置を規定する規定部169Cが設けられている。
【0096】
反射鏡24は、第1支持体167及び第2支持体169の下面に接触してその下面に対する垂直方向の位置が規定され、規定部167C、169Cによって左右方向の位置が規定されることにより、基体152に対して位置決めされる。
【0097】
また、第1支持体167及び第2支持体169には、反射鏡24の位置を調整する調整機構(図示省略)がそれぞれ設けられている。この調整機構は、基体152に対し第1支持体167及び第2支持体169をそれぞれ支持させており、操作部(図示省略)を操作することで、反射鏡24の長手方向(光走査装置10における左右方向)を回転軸とする回転方向に反射鏡24の長手方向一端部及び他端部が回転移動するように、第1支持体167及び第2支持体169をそれぞれ回転移動させる構成となっている。これにより、反射鏡24の反射面の角度、反射鏡24の長手方向一端に対する他端の傾きが調整可能となる。
【0098】
検出素子30を支持する支持体170は、ブロック状に形成されている(図9参照)。支持体170の下面には、図7に示すように、検出素子30を吸引するための吸引孔170Bの一端が開口されている。吸引孔170Bの他端には、検出素子30を吸引する吸引装置(図示省略)が接続されている。この吸引装置によって、吸引孔170Bを通じて検出素子30が吸引されることで、図8に示すように、支持体170で検出素子30が支持されるようになっている。
【0099】
支持体170には、検出素子30の右側面及び後面にそれぞれ接触して検出素子30の左右方向及び前後方向の位置を規定する規定部170Cが設けられている。検出素子30は、支持体170の規定部170Cに接触して左右方向及び前後方向の位置が規定されることにより、基体152に対して位置決めされる。
【0100】
検出用ミラー32を支持する支持体172は、図7に示すように、基体152から下方へ突出すると共に直方体形状に形成されている。支持体172の側面には、検出用ミラー32を吸引するための複数の吸引孔172Bの一端が開口されている。吸引孔172Bの他端には、検出用ミラー32を吸引する吸引装置(図示省略)が接続されている。この吸引装置によって、吸引孔172Bを通じて検出用ミラー32の反射面の裏側にある裏面が吸引されることで、図7に示すように、支持体172の下面で検出用ミラー32が支持されるようになっている。
【0101】
支持体172には、検出用ミラー32の上端面に接触して検出用ミラー32の上下方向の位置を規定する規定部172Cが設けられている。検出用ミラー32は、支持体172の側面に接触してその側面に対する垂直方向の位置が規定され、規定部172Cによって上下方向の位置が規定されることにより、基体152に対して位置決めされる。
【0102】
なお、各支持体154〜172に対して配置された吸引装置は、各支持体154〜172に対して共通に用いられる単一の吸引装置であっても、複数の吸引装置で構成されていてもよい。また、各固定部品14〜32の相対位置を調整する調整機構は、各支持体154〜172のいずれに設けられていてもよい。また、図10に示すように、支持装置150としては、光源14を支持する支持体154において調整機構を有さない構成であってもよい。
【0103】
なお、支持装置150の基体152には、支持体167と支持体169との間に開口181が形成されている。この開口181は、反射鏡24で反射した光線を出射させるための出射窓である。具体的には、各固定部品14〜32を理想位置に位置決めする際に、光源14からの光線がコリメータレンズ16・シリンドリカルレンズ18・回転多面鏡20・fθレンズ22・反射鏡24を経由して、開口181から出射される光線の位置を光検出装置(ディテクター)で確認しながら、調整機構154C・154E・156C・158Cのよる各固定部品14〜32の位置調整がなされる。
【0104】
また、支持装置150の基体152には、開口182が、第1支持体161、第2支持体163及び第3支持体165による支持状態における回転多面鏡20の上方に形成されている。この開口181は、回転多面鏡20への光の入射角度及び位置を計測するための計測機を差し入れたり、回転多面鏡20が回転していない状態で手で反射面の位置を調整して光検出装置(ディテクター)に入光させるたりする際に用いられる。
【0105】
また、支持装置150は、反射鏡24を支持する第1支持体167及び第2支持体169に替えて、図11に示すように、第1支持機構177及び第2支持機構179を備える構成であってもよい。第1支持機構177及び第2支持機構179は、反射鏡24の長手方向端部をそれぞれ、吸引により支持する支持部272が設けられている。支持部272は、後述する第2実施形態における支持部272と同様に構成されている(図25及び図26参照)。
【0106】
すなわち、支持部272には、図26に示すように、反射鏡24の長手方向一端面に対向する対向面274が形成されている。この対向面274には、反射鏡24を吸引するための吸引孔276の一端が開口されている。吸引孔276の他端には、反射鏡24を吸引する吸引装置(図示省略)が接続されている。
【0107】
支持部272の対向面274には、反射鏡24の反射面24A及びその反対面24Bに接触して、反射鏡24の反射面24Aに対して交差する方向の移動を規制する一対の規制部275が設けられている。一対の規制部275は、対向面274から反射鏡24の長手方向に延び出ている。
【0108】
支持部272Aは、反射鏡24の長手方向(光走査装置10における左右方向)を回転軸とする回転方向に回転移動可能であると共に、反射鏡24の反射面に沿った方向及び反射面に直交する方向に移動可能とされている。これにより、fθレンズ22との位置関係(距離)、反射鏡24の反射面の角度及び反射鏡24の長手方向一端に対する他端の傾きが調整可能となる。
なお、第1支持機構177及び第2支持機構179を備える構成において、反射鏡24を支持した状態の支持部272が筐体12内に移動した際に、先端部に支持部272が設けられたアーム177B、179Bを挿入させるための(入り込ませるための)切欠部184を筐体12の側壁に形成することが望ましい(図12参照)。
【0109】
(第1実施形態に係る光走査装置10の製造方法)
次に、第1実施形態に係る光走査装置10の製造方法について説明する。
【0110】
第1実施形態に係る製造方法では、まず、図8に示すように、各固定部品14〜32を、支持装置150に設けられた吸引装置(図示省略)の吸引により、支持装置150に支持させる(支持工程)。
【0111】
このように、支持装置150では、吸引により各固定部品14〜32を支持するので、例えば、各固定部品14〜32を両側から挟んで掴む場合に比べ、各固定部品14〜32に負荷が掛かりにくい。これにより、各固定部品14〜32が撓みにくい。
【0112】
各固定部品14〜32は、各支持体154〜172によって、基体152(支持装置150)に対して位置決めされる。また、必要に応じて、調整機構154F・調整機構156C及び調整機構158Cによって、光源14・コリメータレンズ16及びシリンドリカルレンズ18の位置を調整する。これにより、各固定部品14〜32が、理想位置に位置決めされる。
【0113】
次に、2つの基準孔15の各々と2つの位置決め用孔175の各々とにピン等の挿入部材が挿入すると共に支持装置150に筐体12を組み合わせ、筐体12の前方側に形成された2つの基準孔15を基準にして支持装置150を筐体12に対して位置決めする(位置決め工程)。
【0114】
支持装置150を筐体12に対して位置決めすると、図13及び図15(A)に示すように、中間部材42に対して上方からfθレンズ22及び回転多面鏡20の取付板21が載せられて中間部材42が下方へ押され、図14及び図15(B)に示すように、中間部材42が圧縮される。これにより、中間部材42の圧縮コイルバネ42A及びスポンジ42Cが弾性変形される。また、中間部材42に対して側方から光源14が中間部材42を押して中間部材42が圧縮される。これにより、中間部材42の圧縮コイルバネ42A及びスポンジ42Cが弾性変形される。さらに、また、fθレンズ22及び回転多面鏡20以外の固定部品14〜32においても、同様に、中間部材43に対して配置され、中間部材43が弾性変形された状態となる。
このように、各固定部品14〜32の筐体12に対する移動を許容する中間部材42,43が各固定部品14〜32と筐体12との間に配置された状態で、支持装置150が筐体12に対して位置決めされる。
【0115】
なお、図9に示すように、中間部材42、43は、予め、各固定部品14〜32が固定される筐体12の側面13F・底板12B及び固定部17・19・23・25・33に固定されている。
【0116】
次に、前記位置決め工程による支持装置150の筐体12に対する位置決めがなされた状態で、かつ、前記支持工程で支持された固定部品14〜32の理想位置を維持した状態で、筐体12に固定部品14〜32を固定する(固定工程)。
【0117】
この固定工程では、筐体12と固定部品14〜32との間に配置された中間部材42及び中間部材43を介して、固定部品14〜32が筐体12に対して固定される。
【0118】
具体的には、図14及び図15(B)に示すように、圧縮コイルバネ42A及びスポンジ42Cが弾性変形された状態で、スポンジ42Cに保持された硬化剤42Bに紫外線を照射して硬化剤42Bを硬化させる。これにより、圧縮コイルバネ42A及びスポンジ42Cは、変形すると共に復元(形状復帰)が阻止された状態で、光源14、fθレンズ22及び回転多面鏡20の取付板21と筐体12との間に固定される。また、硬化剤42Bの接着力により、fθレンズ22及び取付板21が筐体12に対して固定される。
【0119】
また、中間部材43においても、同様に、硬化剤43Bを硬化させることで、スポンジ43Cは、変形すると共に復元(形状復帰)が阻止された状態で、fθレンズ22及び回転多面鏡20以外の各固定部品14〜32と筐体12との間に固定される。また、fθレンズ22及び取付板21以外の各固定部品14〜32を筐体12に対して固定する。
【0120】
これにより、支持工程で支持された固定部品14〜32の理想位置を維持した状態、各固定部品14〜32が筐体12に固定される。
【0121】
次に、吸引装置による吸引を停止して、図15(C)に示すように、前記固定工程で固定された固定部品14〜32及び筐体12から支持装置150を取り外す(取外工程)。以上のように、理想位置に位置出しされた固定部品14〜32が、支持装置150から筐体12へ転写されることにより、光走査装置10が製造される。
【0122】
例えば、複数の光走査装置10を製造する際に、光走査装置10ごとにその筐体12に設けられた調整機構により各固定部品14〜32の位置を調整する比較例では、筐体12の個体差や各調整機構の癖などに適合した調整を行う必要があるのに対して、本実施形態では、各光走査装置10に対して単一の支持装置150を共通に用いることで、予め定められた工程(ルーチン)により、各固定部品14〜32の位置決め等がなされる。
【0123】
これにより、感光体114の外周面の決められた位置に光線Kを走査可能となる位置に各固定部品14〜32を固定する際の各固定部品14〜32の位置調整(位置出し)が容易になる。これにより、製造工程の工程数及び作業時間の低減につながる。
【0124】
また、本実施形態では、光走査装置10の筐体12は調整機構を有さないので、部品点数の低減がなされる。また、光走査装置10の筐体12に設けられた調整機構で各固定部品14〜32を位置調整して筐体12に位置決め固定する比較例では、調整機構による負荷が付与された状態で固定されることになるが、本実施形態では、光走査装置10の筐体12は調整機構を有さないので、各固定部品14〜32の筐体12への固定状態において調整機構による負荷が付与されることが無い。又、筐体12においては、従来必要だった固定部品14〜32に対する位置決めデータム等の構造体に対する製作精度が要求されない。このように筐体12自体の製作精度が要求されない為、筐体12の形状の自由度が増し、筐体12として、標準材の平板1枚を用いてもよい。さらに、付言すれば、画像形成装置のフレーム(各構成部品を支持する支持体)に、各固定部品14〜32を直接固定する構成であってもよい。
【0125】
また、本実施形態では、中間部材42、43を用いて固定部品14〜32を筐体12に対して支持させると共に固定するので、中間部材を用いない場合に比べ、固定部品14〜32の理想位置を維持した状態を作り出しやすく、理想位置が維持された状態で固定部品14〜32を筐体12に固定できる。
また、中間部材42、43を用いて固定部品14〜32を筐体12に対して支持させると共に固定するので、硬化剤42B,43B単独による固定の場合に比べ、硬化剤42B,43B以外の構成部材(圧縮コイルバネ42Aやスポンジ42C、43C)で複合的に固定部品14〜32が支持されるので、装置稼動時の振動や周囲温度の変動が生じても、固定部品14〜32の姿勢が維持できる。
【0126】
[第2実施形態]
(第2実施形態に係る画像形成装置の構成)
まず、第2実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図16は、第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0127】
第2実施形態に係る画像形成装置200は、図16に示すように、各構成部品が収容された装置筐体202を備えている。この装置筐体202の内部には、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部204と、記録媒体Pにトナー画像を形成する画像形成部206と、記録媒体収容部204から画像形成部206へ記録媒体Pを搬送する搬送部208と、画像形成部206によって形成されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置210と、が設けられている。また、装置筐体202の上部には、定着装置210によってトナー画像が定着された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部212が設けられている。
【0128】
画像形成部206は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を保持する像保持体としての感光体214Y、214M、214C、214K(以下、214Y〜214Kと示す)と、感光体214Y、214Mで形成されたトナー画像が転写される第1中間転写体216と、感光体214C、214Kで形成されたトナー画像が転写される第2中間転写体218と、第1中間転写体216及び第2中間転写体218に転写されたトナー画像が転写される第3中間転写体220と、第3中間転写体220に転写されたトナー画像を記録媒体Pに転写するための転写部材の一例としての転写ロール222と、を備えている。
【0129】
感光体214Y〜214Kは、一方向(図1における時計回り方向)へ回転するように構成されている。各感光体214Y〜214Kの周囲には、各感光体214Y〜214Kの回転方向上流側から順に、各感光体214Y〜214Kを帯電させる帯電装置224と、帯電装置224によって帯電した各感光体214Y〜214Kに静電潜像を形成するために光走査装置50から各感光体214Y〜214Kへ走査される光線が通過する空間Sと、感光体214Y〜214Kに形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置226と、が設けられている。
【0130】
光走査装置50は、4つの感光体214Y〜214Kに対して共通に用いられる光走査装置として構成されており、各感光体214Y〜214Kに光線を走査して静電潜像を形成するようになっている。なお、光走査装置50の具体的な構成は、後述する。
【0131】
転写ロール222は、第3中間転写体220と対向しており、転写ロール222と第3中間転写体220との間が、第3中間転写体220に転写されたトナー画像が記録媒体Pに転写される転写位置Tとされている。
【0132】
搬送部208は、記録媒体収容部204に収容された記録媒体Pを記録媒体収容部204から送り出す送出ロール226と、送出ロール226によって送り出された記録媒体Pを転写位置Tへ搬送する搬送ロール228と、を備えている。
【0133】
定着装置210は、転写位置Tより搬送方向下流側に配置されており、転写位置Tで記録媒体Pに転写されたトナー画像を記録媒体Pへ定着させる。定着装置210よりも搬送方向下流側には、記録媒体Pを記録媒体排出部212へ排出する排出ロール230が配置されている。
【0134】
次に、第2実施形態に係る画像形成装置における画像形成動作について説明する。
【0135】
第2実施形態に係る画像形成装置200では、光走査装置50が光線を各感光体214Y〜214Kに走査することよって各感光体214Y〜214Kに静電潜像が形成され、その静電潜像に基づくトナー画像が形成される。感光体214Y、214Mで形成されたトナー画像は、第1中間転写体216に転写される。感光体214C、214Kで形成されたトナー画像は、第2中間転写体218に転写される。第1中間転写体216及び第2中間転写体218に転写されたトナー画像は、第3中間転写体220に転写されて、カラー画像が形成される。
【0136】
一方、記録媒体収容部204から送り出された記録媒体Pは、搬送ロール224によって転写位置Tへ送り込まれる。この記録媒体Pには、転写位置Tにて、第3中間転写体220に転写されたカラー画像が転写される。
【0137】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置210へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置210により定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、排出ロール230により記録媒体排出部212へ排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0138】
なお、画像形成装置200としては、上記の構成に限られず、例えば、各感光体214Y〜214Kで形成されたトナー像を単一の中間転写体(例えば、中間転写ドラム、中間転写ベルト)によって記録媒体に転写する構成であっても良く、上記以外の構成により画像が形成可能な画像形成装置であってもよい。
【0139】
(第2実施形態に係る光走査装置50の構成)
次に、第2実施形態に係る光走査装置50の構成について説明する。図17及び図18は、第2実施形態に係る光走査装置の構成を示す斜視図である。
【0140】
光走査装置50は、図17に示すように、防塵構造とされた光学箱53を備えている。この光学箱53は、第1ケース51と第2ケース52とを有している。すなわち、光学箱53の内部空間が境界部54で仕切られており、この境界部54によって、個別の空間を有する第1ケース51及び第2ケース52が形成されている。境界部54には、第1ケース51と第2ケース52との間で光を通過可能にする窓56が穿設されている。また、図18に示すように、第1ケース51は側壁55を有する(側壁55は記録媒体Pの搬送方向と直交する幅方向の壁面を構成する)。
【0141】
図17に示すように、第1ケース51には第1光学系61が配置され、第2ケース52には第2光学系62が配置されている。なお、これら第1光学系61及び第2光学系62は結像光学系とも言うことができる。
【0142】
この第1光学系61は、レーザー光源64Y,64M,64C,64Kを備えている。これらレーザー光源64Y,64M,64C,64Kは、図18に示すように、第1ケース51の側壁55に形成された取付け部55Aに取り付けられている。取付け部55Aは、レーザー光源64Y,64M,64C,64Kの各々で発生した光線KY,KM,KC,KKが側壁55に対して斜めの方向に進行すると共に4本の光線KY〜KKが並進するように、段形状に形成されている。
【0143】
レーザー光源64Y,64M,64C,64Kの各々は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各画像信号により駆動され、発散光束となる光線KY〜KKを出射する。
【0144】
図18に示すように、第1光学系61において、レーザー光源64Y,64M,64C,64Kで発生した光線KY〜KKの進行方向の順に、レーザー光源64Y,64M,64C,64K側からの光を感光体214Y〜214Kの外周面(被走査面の一例)側へ導く複数の光学素子の一例としてのコリメータレンズ66Y,66M,66C,66K、スリット67Y,67M,67C,67K、第1反射ミラー部68Y,68M,68C,68K、第1レンズ系69、第2反射ミラー71、第2レンズ系72、回転多面鏡70、走査レンズ73及び折返ミラー74が配置されている。
【0145】
そして、これらコリメータレンズ66Y,66M,66C,66K、スリット67Y,67M,67C,67K、及び第1反射ミラー部68Y,68M,68C,68Kは、各色に対応したものである。
【0146】
コリメータレンズ66Y,66M,66C,66Kは、レーザー光源64Y,64M,64C,64Kからの光線KY〜KKを平行光するものである。また、スリット67Y,67M,67C,67Kは、感光体214Y、214M、214C、214K上の光線KY〜KKの集束状態を規定するためのものである。第1反射ミラー部68Y,68M,68C,68Kは、レーザー光源64Y,64M,64C,64Kからの4本の光線KY〜KKを、各色に共通の第2反射ミラー71に向けて反射するためのものである。
【0147】
図18に示すように、第1反射ミラー部68Y,68M,68C,68Kで反射した4本の光線KY〜KKは、第1レンズ系69を通過して第2反射ミラー71で反射した後に第2レンズ系72を通過し、回転多面鏡70に照射される。回転多面鏡70は、図示しない駆動源により一定速度で回転している。このため、第2反射ミラー71からの4本の光線KY〜KKは、水平方向に偏向走査される。
【0148】
回転多面鏡70に照射された4本の光線KY〜KKは、反射偏向面で反射偏向し、2枚の組の走査レンズ73を通過して折返ミラー74に入射される。走査レンズ73は、回転多面鏡70により偏向走査された4本の光線KY〜KKの走査速度を補正すると共に感光体214Y、214M、214C、214Kの近傍に光線KY〜KKを結像させるものである。折返ミラー74は、4本の光線KY〜KKが境界部54の窓56を通過して第2光学系62に進むように、反射させるためのものである。
【0149】
図17に示すように、第2光学系62は、レーザー光源64Y,64M,64C,64K側からの光を感光体214Y〜214Kの外周面(被走査面の一例)側へ導く複数の光学素子の一例としての分離多面鏡80、反射鏡82及び最終ミラーであるシリンドリカルミラー84Y,84M,84C,84Kを備えて構成されている。第1光学系61からの4本の光線KY〜KKは、分離多面鏡80によって感光体214Y〜214Kの配列方向に応じた方向に分離される。分離された4本の光線KY〜KKの各々は、対応する反射鏡82の各々に反射した後に、シリンドリカルミラー84Y,84M,84C,84Kによって、対応する感光体214Y、214M、214C、214Kに導かれる。
【0150】
また、第2ケース52には、光線KY,KM,KC,KKを感光体214Y、214M、214C、214Kの外周面へ通過させる透光板53Aが取り付けられている。
【0151】
図18に示すように、第2反射ミラー71からの4本の光線KY〜KKは、回転多面鏡70の反射面70aに入射する。そして、回転多面鏡70の反射面70aにより光線KY〜KKが走査レンズ73へと反射し走査される。
【0152】
ここで、光走査装置50では、コリメータレンズ66Y,66M,66C,66K、スリット67Y,67M,67C,67K、第1反射ミラー部68Y,68M,68C,68K、第1レンズ系69、第2反射ミラー71、第2レンズ系72、回転多面鏡70、走査レンズ73及び折返ミラー74(以下、これらの構成部品を第1固定部品66〜74という)は、それぞれ、第1ケース51に設けられた固定部81に対して、第1実施形態において説明した中間部材43を介して固定されている。
【0153】
また、分離多面鏡80、反射鏡82及び最終ミラーであるシリンドリカルミラー84Y,84M,84C,84K、透光板53A(以下、これらの構成部品を第2固定部品80〜53Aという)は、それぞれ、第2ケース52に設けられた固定部83に対して、第1実施形態において説明した中間部材43(図19参照)を介して固定されている。なお、図19に示すように、第2ケース52の側壁には、その側壁を切り欠ける切欠部88が形成されると共に、切欠部88の縁部分に中間部材43が配置されており、第2ケース52の側壁がシリンドリカルミラー84Y,84M,84C,84Kが固定される固定部83を構成している。なお、第2ケース52の側壁に切欠部88を形成せず、シリンドリカルミラー84Y,84M,84C,84Kが固定される固定部83を、第2ケース52の側壁の内壁側に設ける構成であってもよい。
【0154】
なお、中間部材としては、中間部材43に限られず、例えば、第1実施形態における中間部材42を用いてもよい。
【0155】
(第2実施形態に係る光走査装置50の製造方法)
次に、第2実施形態に係る光走査装置50の製造方法について説明する。
【0156】
第2実施形態に係る製造方法では、まず、図19及び図20(A)に示すように、各第1固定部品66〜74を、第1支持装置251に設けられた吸引装置251A(図20参照)の吸引により、第1支持装置251に支持させると共に、各第2固定部品80〜53Aを、第2支持装置252に設けられた吸引装置252A(図20参照)の吸引により、第2支持装置252に支持させる(支持工程)。
【0157】
このように、第1支持装置251及び第2支持装置252では、それぞれ、吸引により各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aを支持するので、各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aを両側から挟んで掴む場合に比べ、各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aに負荷が掛かりにくい。これにより、各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aが撓みにくい。なお、第1支持装置251及び第2支持装置252は、それぞれ、吸引以外の方法により、各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aを支持する構成であってもよい。
【0158】
ここで、第1支持装置251は、図20に示すように、第1実施形態に係る支持装置150と同様に、それぞれが吸引により各第1固定部品66〜74を取り外し可能に支持する複数の支持体255と、この複数の支持体255が形成された基体253とを、備えている。なお、図20においては、複数の支持体255のうち、一つの支持体255を図示している。
【0159】
基体253は、第1実施形態に係る支持装置150における基体152と同様に構成されおり、光学箱53の境界部54に形成された2つの基準孔59(図19参照)を基準にして、光学箱53の第1ケース51に組み合わせられて、第1ケース51に対して位置決めされるように構成されている。
【0160】
具体的には、例えば、2つの基準孔59に対応して基体253に形成された2つの位置決め用孔259(図19参照)の一方と光学箱53の2つの基準孔59の一方とに、ピン等の挿入部材が挿入されると共に、2つの位置決め用孔259の他方と2つの基準孔59の他方とに、ピン等の挿入部材が挿入されることにより、光学箱53の基準孔59に対して基体253の位置決め用孔259が位置決めされ、2つの基準孔59を基準にして基体253が第1ケース51に対して位置決めされる。
【0161】
なお、基体253が第1ケース51に対して位置決めされる際に求められる位置精度は、各第1固定部品66〜74が基体253に対して位置決めされる際に求められる位置精度よりも低くなっている。また、光学箱53の2つの基準孔59を基準にして、光走査装置50が感光体214Y〜214Kに対して位置決めされるようになっている。また、基体253を第1ケース51に対して位置決めする構成としては、2つの基準孔59を基準とする構成に限られるものではない。
【0162】
また、基体253は、図20(A)に示すように、基体152と同様に、各支持体255に支持された状態における各第1固定部品66〜74の第1ケース51に対する被固定部位が露出するように開放されている。また、第1実施形態に係る支持装置150における支持体154〜172と同様に、必要に応じて、第1実施形態における調整機構154C・154E・156C・158Cのように、各第1固定部品66〜74の位置を調整する調整機構を、支持体255に設けてもよい。
【0163】
第2支持装置252は、第1支持装置251と同様に構成されており、それぞれが吸引により各第2固定部品80〜53Aを取り外し可能に支持する複数の支持体256と、この複数の支持体256が形成された基体254とを、備えている。なお、図20においては、複数の支持体256のうち、一つの支持体256を図示している。
【0164】
基体254は、第1支持装置251の基体253と同様に構成されており、光学箱53の境界部54に形成された2つの基準孔59を基準にして、光学箱53の第2ケース52に組み合わせられて、第2ケース52に対して位置決めされるように構成されている。
【0165】
具体的には、例えば、2つの基準孔59に対応して基体254に形成された2つの位置決め用孔261(図19参照)の一方と光学箱53の2つの基準孔59の一方とに、ピン等の挿入部材が挿入されると共に、2つの位置決め用孔261の他方と2つの基準孔59の他方とに、ピン等の挿入部材が挿入されることにより、光学箱53の基準孔59に対して基体254の位置決め用孔261が位置決めされ、2つの基準孔59を基準にして基体254が第2ケース52に対して位置決めされる。
【0166】
なお、基体254が第2ケース52に対して位置決めされる際に求められる位置精度は、各第2固定部品80〜53Aが基体254に対して位置決めされる際に求められる位置精度よりも低くなっている。また、基体254を第2ケース52に対して位置決めする構成としては、2つの基準孔59を基準とする構成に限られるものではない。
【0167】
また、基体254は、図20(A)に示すように、各支持体256に支持された状態における各第2固定部品80〜53Aの第2ケース52に対する被固定部位が露出するように開放されている。また、第1実施形態に係る支持装置150における支持体154〜172と同様に、必要に応じて、第1実施形態における調整機構154C・154E・156C・158Cのように、各第2固定部品80〜53Aの位置を調整する調整機構を、支持体256に設けてもよい。
【0168】
上記の支持工程によって、各第1固定部品66〜74は、第1支持装置251の各支持体255によって、基体253(第1支持装置251)に対して位置決めされる。また、第1支持装置251の支持体255に調整機構が設けられた場合には、その調整機構によって、第1固定部品66〜74の位置が調整される。また、各第2固定部品80〜53Aは、第2支持装置252の各支持体256によって、基体254(第2支持装置252)に対して位置決めされる。また、第2支持装置252の支持体256に調整機構が設けられた場合には、その調整機構によって、第2固定部品80〜53Aの位置が調整される。
【0169】
これにより、各第1固定部品66〜74及び第2固定部品80〜53Aが、レーザー光源64Y〜64Kからの光線Kを感光体214Y〜214Kの外周面の決められた位置に走査可能となる理想位置に位置決めされる。
【0170】
次に、基体253の2つの位置決め用孔259の一方、基体254の2つの位置決め用孔261の一方及び光学箱53の2つの基準孔59の一方に、ピン等の挿入部材を挿入すると共に、2つの位置決め用孔259の他方、2つの位置決め用孔261の他方及び2つの基準孔59の他方に、ピン等の挿入部材を挿入することにより、第1ケース51に第1支持装置251を組み合わせると共に、第2ケース52に第2支持装置252を組み合わせる。これにより、図20(B)に示すように、第1支持装置251を第1ケース51に対して位置決めすると共に、第2支持装置252を第2ケース52に対して位置決めする(位置決め工程)。
【0171】
第1支持装置251を第1ケース51に対して位置決めすると共に第2支持装置252を第2ケース52に対して位置決めすると、第1ケース51に設けられた中間部材43及び第2ケース52に設けられた中間部材43が、各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aに押されて圧縮され、その各中間部材43が弾性変形された状態となる。
【0172】
このように、各第1固定部品66〜74の第1ケース51に対する移動を許容する中間部材43が、各第1固定部品66〜74と第1ケース51との間に配置された状態で、第1支持装置251を第1ケース51に対して位置決めされる。また、各第2固定部品80〜53Aの第2ケース52に対する移動を許容する中間部材43が、各第2固定部品80〜53Aと第2ケース52との間に配置された状態で、第2支持装置252を第2ケース52に対して位置決めされる。
【0173】
次に、前記位置決め工程による第1支持装置251の第1ケース51に対する位置決めがなされた状態で、かつ、前記支持工程で支持された第1固定部品66〜74の理想位置を維持した状態で、第1ケース51に第1固定部品66〜74を固定する(固定工程)。
【0174】
また、前記位置決め工程による第2支持装置252の第2ケース52に対する位置決めがなされた状態で、かつ、前記支持工程で支持された第2固定部品80〜53Aの理想位置を維持した状態で、第2ケース52に第2固定部品80〜53Aを固定する。
【0175】
この固定工程では、第1ケース51と第1固定部品66〜74との間に配置された中間部材43を介して、第1固定部品66〜74が第1ケース51に対して固定される。また、第2ケース52と第2固定部品80〜53Aとの間に配置された中間部材43を介して、第2固定部品80〜53Aが第2ケース52に対して固定される。
【0176】
具体的には、第1ケース51に設けられた中間部材43及び第2ケース52に設けられた中間部材43が、弾性変形された状態で、スポンジ43C(図5(B)参照)に保持された硬化剤43B(図5(B)参照)に紫外線を照射して硬化剤43Bを硬化させる。これにより、中間部材43は、変形すると共に復元(形状復帰)が阻止された状態で、第1固定部品66〜74(第2固定部品80〜53A)と第1ケース51(第2ケース52)との間に固定される。また、硬化剤43Bの接着力により、第1固定部品66〜74及び第2固定部品80〜53Aが、それぞれ、第1ケース51及び第2ケース52に対して固定される。
【0177】
これにより、支持工程で支持された第1固定部品66〜74の理想位置を維持した状態、各第1固定部品66〜74が第1ケース51に固定される。また、支持工程で支持された第2固定部品80〜53Aの理想位置を維持した状態、各第2固定部品80〜53Aが第2ケース52に固定される。
【0178】
次に、第1支持装置251に設けられた吸引装置251Aによる吸引を停止して、図20(C)に示すように、前記固定工程で固定された第1固定部品66〜74及び第1ケース51から第1支持装置251を取り外す(取外工程)。第2支持装置252に設けられた吸引装置252Aによる吸引を停止して、前記固定工程で固定された第2固定部品80〜53A及び第2ケース52から第2支持装置252を取り外す。以上のように、理想位置に位置出しされた第1固定部品66〜74が第1支持装置251から第1ケース51へ転写され、理想位置に位置出しされた第2固定部品80〜53Aが第2支持装置252から第2ケース52へ転写されることにより、光走査装置10が製造される。
【0179】
例えば、複数の光走査装置50を製造する際に、光走査装置50ごとにその光学箱53に設けられた調整機構により各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aの位置を調整する比較例では、光学箱53の個体差や各調整機構の癖などに適合した調整を行う必要があるのに対して、本実施形態では、各光走査装置50に対して単一の第1支持装置251及び第2支持装置252を共通に用いることで、予め定められた工程(ルーチン)により、各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aの位置決め等がなされる。
【0180】
これにより、感光体214Y〜214Kの外周面の決められた位置に光線Kを走査可能となる位置に各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aを固定する際の各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aの位置調整(位置出し)が容易になる。これにより、製造工程の工程数及び作業時間の低減につながる。
【0181】
また、本実施形態では、光走査装置50の光学箱53は調整機構を有さないので、部品点数の低減がなされる。また、光走査装置50の光学箱53に設けられた調整機構で、各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aを位置調整して光学箱53に位置決め固定する比較例では、調整機構による負荷が付与された状態で固定されることになるが、本実施形態では、光走査装置50の光学箱53は調整機構を有さないので、各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aの光学箱53への固定状態において、調整機構による負荷が付与されることが無い。
【0182】
また、本実施形態では、中間部材43、43を用いて各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aを第1ケース51及び第2ケース52にそれぞれ、支持させると共に固定するので、中間部材を用いない場合に比べ、各第1固定部品66〜74及び各第2固定部品80〜53Aの理想位置を維持した状態を作り出しやすい。
【0183】
ここで、シリンドリカルミラー84Y〜84Kについては、第2支持装置252に支持させてから第2ケース52に固定するのではなく、第2ケース52に配置した後に位置調整をしてから第2ケース52に固定するようにしてもよい。以下、当該変形例に係る製造方法について説明する。
【0184】
当該変形例に係る製造方法では、まず、図21に示すように、シリンドリカルミラー84Y〜84Kを第2ケース52に対して配置する(配置工程)。
【0185】
シリンドリカルミラー84Y〜84Kは、第2ケース52に対して配置された状態において、長手方向両端部が第2ケース52の側壁57を貫通しており、シリンドリカルミラー84Y〜84Kの長手方向両端部が、第2ケース52の外側に突出している。
【0186】
シリンドリカルミラー84Y〜84Kの長手方向両端部には、中間部材(支持材)95が設けられている。中間部材95は、図21及び図22に示すように、板状に形成されると共に、シリンドリカルミラー84Y〜84Kの長手方向端部が貫通されてシリンドリカルミラー84Y〜84Kに固定されている。中間部材95は、第2ケース52に対しては、固定されておらず、第2ケース52に対して移動可能とされている。これにより、シリンドリカルミラー84Y〜84K及び中間部材95が、第2ケース52に対して一体に移動し、第2ケース52に対する中間部材95の姿勢変位が可能になっている。すなわち、中間部材95が、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの第2ケース52に対する支持位置を調整可能にシリンドリカルミラー84Y〜84Kを支持している。
【0187】
このように、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの第2ケース52に対する移動を許容する中間部材95が、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kと第2ケース52との間に配置された状態となっている。
【0188】
具体的には、図22に示すように、第2ケース52の側壁57から突出する複数の突出部57A(図21参照)がそれぞれ嵌る複数の凹部95Aと、第2ケース52の側壁57から突出する突出部57Bが挿入される挿入穴95Bとが、中間部材95に形成されている。
【0189】
中間部材95は、挿入穴95Bに挿入された突出部57Bのフランジ57Cに当ることで、第2ケース52から離脱しないようになっている。また、突出部57Bは、挿入穴95Bの穴径よりも小さくされ、突出部57Aは、凹部95Aの径より小さくされており、中間部材95は、予め定められた範囲において、側壁57に沿って移動可能とされている。
【0190】
また、シリンドリカルミラー84Y〜84K以外の第2固定部品80〜53Aが、各第2固定部品80〜53Aの理想位置を維持した状態で各第2固定部品80〜53Aが第2ケース52に固定されると共に(図21参照)、図23に示すように、第1固定部品66〜74が、各第1固定部品66〜74の理想位置を維持した状態で第1ケース51に対して固定された状態とされた状態となっている。
【0191】
また、図24に示すように、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの第2ケース52に対する移動を許容する中間部材95が、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kと第2ケース52との間に配置された状態で、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの長手方向両端部が、光学箱53とは独立して構成された支持機構270によって、光学箱53と独立して支持される(支持工程)。
【0192】
この支持工程では、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kは、第2ケース52に対して接触せず、第2ケース52から浮いた状態で支持される。また、この支持工程では、支持機構270に設けられた吸引装置(図示省略)の吸引により、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kが支持機構270に支持される。具体的には、支持機構270の先端部には、図25に示すように、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの長手方向両端部をそれぞれ支持する支持部272が設けられている。
【0193】
支持部272には、図26に示すように、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの長手方向一端面に対向する対向面274が形成されている。この対向面274には、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kを吸引するための吸引孔276の一端が開口されている。吸引孔276の他端には、シリンドリカルミラー84Y〜84Kを吸引する吸引装置(図示省略)が接続されている。
【0194】
対向面274には、シリンドリカルミラー84Y〜84Kの反射面85A及びその反対面85Bに接触して、シリンドリカルミラー84Y〜84Kの反射面85Aに対して交差する方向の移動を規制する一対の規制部275が設けられている。一対の規制部275は、対向面274からシリンドリカルミラー84Y〜84Kの長手方向に延び出ている。
【0195】
また、各支持部272によって、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kを、その長手方向を回転軸とする回転方向に回転移動させて、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの反射面85Aの角度及び各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの長手方向一端に対する他端の傾きが調整される。また、各支持部272によって、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kを反射鏡24の反射面85Aに沿った方向(図25におけるA方向)及び反射面85Aに直交する方向(図25におけるB方向)に移動させて、反射鏡82及び感光体214Y〜214Kとの位置関係(距離)を調整させる。このように、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの位置が調整される。
【0196】
これにより、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kが、レーザー光源64Y〜64Kからの光線Kを感光体214Y〜214Kの外周面の決められた位置に走査可能となる位置に位置決めされる。
【0197】
次に、前記支持工程で支持機構270によって支持されると共に位置調整がなされたシリンドリカルミラー84Y〜84Kの理想位置を維持した状態で、第2ケース52に各シリンドリカルミラー84Y〜84Kを固定する(固定工程)。
【0198】
この固定工程では、第2ケース52と各シリンドリカルミラー84Y〜84Kとの間に配置された中間部材95を介して、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kが第2ケース52に対して固定される。
【0199】
具体的には、図27に示すように、中間部材95の裏面(筐体57との接触面)とシリンダーミラー84と中間部材95の接触部に、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの位置調整前又は位置調整後に硬化剤96(固定材の一例)を塗布し、紫外線を照射して硬化剤96を硬化させる。これにより、各中間部材95が第2ケース52に固定され、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kが第2ケース52に対して固定される。これにより、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの理想位置を維持した状態、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kが第2ケース52に固定される。
【0200】
次に、吸引装置による吸引を停止して、前記固定工程で固定されたシリンドリカルミラー84Y〜84Kから支持機構270を取り外す(取外工程)。以上のように、光走査装置50が製造される。
【0201】
例えば、複数の光走査装置50を製造する際に、光走査装置50ごとにその光学箱53に設けられた調整機構により各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの位置を調整する比較例では、光学箱53の個体差や各調整機構の癖などに適合した調整を行う必要があるのに対して、本実施形態では、各光走査装置50に対して単一の支持機構270を共通に用いることで、予め定められた工程(ルーチン)により、シリンドリカルミラー84Y〜84Kの位置決め等がなされる。
【0202】
これにより、感光体214Y〜214Kの外周面の決められた位置に光線Kを走査可能となる位置に各シリンドリカルミラー84Y〜84Kを固定する際の各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの位置調整(位置出し)が容易になる。これにより、製造工程の工程数及び作業時間の低減につながる。
【0203】
また、筐体の個体差及び光学部品の製作精度のばらつき等のズレ量を各シリンドリカルミラーの位置調整で補っている為、ネジ締め時の連れ周りが生じるネジ固定方式による位置調整では、位置調整するのに高度な熟練技術が必要だったが、ネジ締め時の連れ周り位置ズレを起さない変形例に係る構成であれば、YMCK4色の走査における相対位置ズレ調整も含めて、ネジ固定方式より作業時間を大幅に短縮でき、なおかつ部品点数を削減し、製作原価の低減に寄与する。
【0204】
また、支持機構270では、吸引により各シリンドリカルミラー84Y〜84Kを支持するので、シリンドリカルミラー84Y〜84Kの反射面85A及びその反対面85Bを挟んでシリンドリカルミラー84Y〜84Kを掴む場合に比べ、シリンドリカルミラー84Y〜84Kに負荷が掛かりにくい。これにより、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kが撓みにくい。
【0205】
さらに、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの長手方向一端面は、詳細には、平面状ではなく、湾曲された曲面とされているので、支持部272の対向面274との間に隙間が形成され、対向面274に密着されないになっている。このため、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kの長手方向一端面が対向面274に密着される場合に比べて、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kに負荷が掛かりにくい。これにより、各シリンドリカルミラー84Y〜84Kが撓みにくい。
【0206】
なお、中間部材95に替えて、図28に示すように、中間部材43と同様に、シリンドリカルミラー84Y〜84Kを第2ケース52に対して固定する固定材の一例としての硬化剤99Bと、硬化剤99Bを保持する保持材の一例としてのスポンジ99Cとで構成された中間部材99を用いてもよい。
【0207】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。上記の本実施形態の製造方法は、画像形成装置を製造する際において、画像形成装置の各部に対して適用してもよい。例えば、LEDやEL素子等の複数の発光素子が一方向に沿って配列された複数の露光装置(固定部材の一例)のそれぞれを、複数の感光体のそれぞれに対して位置決めして、被固定部材に固定する際に、第1実施形態に係る支持装置150、第2実施形態に係る第1支持装置251及び第2支持装置252、第2実施形態に係る支持機構270を用いてもよい。この場合、被固定部材としては、複数の露光装置において共通とされた単一の支持体(フレーム)、画像形成装置の装置本体、画像形成装置の筐体等がある。
【符号の説明】
【0208】
10 光走査装置
12 筐体
14 光源
16 コリメータレンズ(光学素子の一例)
18 シリンドリカルレンズ(光学素子の一例)
20 回転多面鏡(光学素子の一例)
22 fθレンズ(光学素子の一例)
24 反射鏡(光学素子の一例)
42C スポンジ(保持材の一例)
42A 圧縮コイルバネ(支持材の一例)
42 中間部材
42B 硬化剤(固定材の一例)
42 中間部材
43C スポンジ(支持材の一例、保持材の一例)
43B 硬化剤(固定材の一例)
43 中間部材
50 光走査装置
51 第1ケース(筐体の一例)
52 第2ケース(筐体の一例)
66Y,66M,66C,66K コリメータレンズ(光学素子の一例)
67Y,67M,67C,67K スリット(光学素子の一例)
68Y,68M,68C,68K 第1反射ミラー部(光学素子の一例)
69 第1レンズ系(光学素子の一例)
70 回転多面鏡(光学素子の一例)
71 第2反射ミラー(光学素子の一例)
72 第2レンズ系(光学素子の一例)
73 走査レンズ(光学素子の一例)
74 折返ミラー(光学素子の一例)
80 分離多面鏡(光学素子の一例)
82 反射鏡(光学素子の一例)
84Y,84M,84C,84K シリンドリカルミラー(光学素子の一例)
95 中間部材
96 硬化剤(固定材の一例)
100 画像形成装置
114 感光体
116 帯電装置
118 ロータリー現像装置(現像装置の一例)
150 支持装置(支持機構の一例)
152 基体
154 支持体
156 支持体
158 支持体
160 支持体
161 支持体
162 支持体
163 支持体
164 支持体
165 支持体
167 支持体
169 支持体
170 支持体
172 支持体
200 画像形成装置
224 帯電装置
226 現像装置
251 第1支持装置(支持機構の一例)
252 第2支持装置(支持機構の一例)
253 基体
254 基体
270 支持機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学素子を、光源側からの光を被走査面へ導くことが可能な相対位置で、単一の支持装置に支持させる支持工程と、
前記支持工程で前記複数の光学素子を支持した支持装置を、前記複数の光学素子が固定される筐体に対して位置決めする位置決め工程と、
前記位置決め工程による前記支持装置の位置決めがなされた状態で、かつ、前記支持工程で支持された前記複数の光学素子の前記相対位置を維持した状態で前記筐体に前記複数の光学素子を固定する固定工程と、
前記固定工程で固定された前記複数の光学素子から前記支持装置を取り外す取外工程と、
を備える光走査装置の製造方法。
【請求項2】
前記位置決め工程は、各前記光学素子の前記筐体に対する移動を許容する中間部材が前記各光学素子と前記筐体との間に配置された状態で、前記支持装置を位置決めし、
前記固定工程は、前記中間部材に供給された硬化剤を硬化手段によって硬化させることで前記光学素子を前記筐体に固定する請求項1に記載の光走査装置の製造方法。
【請求項3】
前記支持工程は、前記光学素子を吸引により前記支持装置に支持させる請求項1又は請求項2に記載の光走査装置の製造方法。
【請求項4】
複数の光学素子を、光源側からの光を被走査面へ導くことが可能な相対位置で取り外し可能に支持する支持体と、
前記支持体が設けられ、前記支持体に支持された状態における前記光学素子の前記筐体に対する被固定部位が露出するように開放された基体と、
を備える支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−164221(P2011−164221A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24805(P2010−24805)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【特許番号】特許第4582258号(P4582258)
【特許公報発行日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】