説明

光起電力セル用の導体中に使用されるガラス組成物

本発明は、シリコン半導体デバイスおよび光起電力セルの導電性ペースト中に有用なガラス組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シリコン半導体デバイス、および太陽電池デバイス中に使用するためのガラスフリットを含有する導電性厚膜組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
p型ベースを有する従来の太陽電池構造の1つは、電池の前面側(太陽側または光照射側とも呼ばれる)の上に存在することができる負極と、反対側の上に存在する正極とを有する。半導体本体のpn接合上に向かう適切な波長の放射線が、その本体中に正孔−電子対を発生させる外部エネルギー源として機能する。pn接合において電位差が存在するため、正孔および電子は、接合から互いに反対方向に移動し、それによって、電流の流れが発生して、外部回路に電力を送達する事が可能となる。ほとんどの太陽電池は、金属化された、すなわち導電性である金属接点が設けられた、シリコンウエハの形態である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改善された電気的性能を示す組成物、構造(たとえば、半導体構造、太陽電池構造、またはフォトダイオード構造)、および半導体デバイス(たとえば、半導体デバイス、太陽電池デバイス、またはフォトダイオードデバイス)、ならびに製造方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は:(a)1種類以上の導電性材料と;(b)1種類以上のガラスフリットであって、ガラスフリットの少なくとも1種類が、ガラス組成物の重量%を基準として:SiO2;B23;Bi23;0.1〜3重量%のCeO2;1〜10重量%のF;および1〜3重量%のNa+Li+Kを含むガラスフリットと;(c)有機ビヒクルとを含む組成物に関する。ガラスフリットは:Ca、CaO、Mg、MgO、Sr、SrO、Ba、およびBaOからなる群から選択される1種類以上の成分も含むことができる。CeO2は0.75〜2.5重量%であってもよい。ガラスフリットは:TiO2、Ta25、Nb25、およびZrO2からなる群から選択される1種類以上の成分を含むことができる。導電性材料はAgを含むことができる。ガラスフリットは、全組成物の4〜8重量%であってもよい。導電性材料は、全組成物の75〜85重量%であってもよい。Naは:NaO、NaF、およびそれらの混合物から選択することができ;Liは:Li2O、LiF、およびそれらの混合物から選択され;Kは:K2O、KF、およびそれらの混合物から選択される。
【0005】
本発明の一実施形態は:(a)1種類以上の導電性材料と;(b)1種類以上のガラスフリットであって、ガラスフリットの少なくとも1種類が、ガラス組成物の重量%を基準として:2.5〜8重量%のSiO2;3〜10重量%のB23;25〜80重量%のBi23;0.1〜3重量%のCeO2;1〜10重量%のF;および1〜3重量%のNa+Li+Kを含むガラスフリットと;(c)有機ビヒクルとを含む組成物に関する。
【0006】
さらなる一実施形態は、半導体デバイスの製造方法であって:(a)半導体基体、1つ以上の絶縁膜、および本明細書に記載の厚膜組成物を提供するステップと;(b)絶縁膜を半導体基体に塗布するステップと;(c)厚膜組成物を半導体基体上の絶縁膜に塗布するステップと、(d)半導体、絶縁膜、および厚膜組成物を焼成するステップとを含む方法に関する。一態様においては、絶縁膜は、酸化チタン、窒化ケイ素、SiNx:H、酸化ケイ素、および酸化ケイ素/酸化チタンから選択される1種類以上の成分を含むことができる。
【0007】
さらなる一実施形態は、本明細書に記載の方法によって製造された半導体デバイスに関する。一態様は、電極を含む半導体デバイスであって、焼成前の電極が本明細書に記載の組成物を含む半導体デバイスに関する。一実施形態は、本発明の半導体デバイスを含む太陽電池に関する。
【0008】
一実施形態は、半導体基体と、絶縁膜と、前面電極とを含む半導体デバイスであって、前面電極が、ケイ酸亜鉛、珪亜鉛鉱、およびケイ酸ビスマス類からなる群から選択される1種類以上の成分を含む半導体デバイスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】半導体デバイスの製造を示すプロセスフロー図である。
【0010】
図1中に示される参照番号は以下のように説明される。
【0011】
10:p型シリコン基体
20:n型拡散層
30:窒化ケイ素膜、酸化チタン膜、または酸化ケイ素膜
40:p+層(裏面電界、BSF)
60:裏面上に形成されたアルミニウムペースト
61:アルミニウム裏面電極(裏面のアルミニウムペーストを焼成することによって得られる)
70:裏面上に形成された銀または銀/アルミニウムペースト
71:銀または銀/アルミニウム裏面電極(裏面の銀ペーストを焼成することによって得られる)
500:本発明により前面上に形成された銀ペースト
501:本発明による銀前面電極(前面の銀ペーストを焼成することによって形成される)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において使用される場合、「厚膜組成物」は、基体上で焼成させた後に1〜100ミクロンの厚さを有する組成物を意味する。厚膜組成物は、1種類以上の導電性材料、1種類以上のガラス組成物、および有機ビヒクルを含有する。厚膜組成物は追加成分を含むこともできる。本明細書において使用される場合、これらの追加成分を「添加剤」と呼ぶ。
【0013】
本明細書に記載の組成物は、有機媒体中に分散した1種類以上の電気的機能性材料および1種類以上のガラスフリットを含む。これらの組成物は厚膜組成物となることができる。本発明の組成物は1種類以上の添加剤も含むことができる。代表的な添加剤としては、金属類、金属酸化物類、または焼成中にこれらの金属酸化物を生成することができるあらゆる化合物を挙げることができる。
【0014】
一実施形態においては、電気的機能性粉末は導電性粉末であってもよい。一実施形態においては、本発明の組成物、たとえば導電性組成物は、半導体デバイス中に使用することができる。この実施形態の一態様においては、半導体デバイスは太陽電池またはフォトダイオードであってもよい。この実施形態のさらなる一態様においては、半導体デバイスは広範な半導体デバイスの1つであってもよい。一実施形態においては、半導体デバイスは太陽電池であってもよい。
【0015】
一実施形態においては、本明細書に記載の厚膜組成物は、太陽電池中に使用することができる。この実施形態の一態様においては、太陽電池効率は基準太陽電池の70%を超えることができる。さらなる一実施形態においては、太陽電池効率は基準太陽電池の80%を超えることができる。一実施形態においては、太陽電池効率は基準太陽電池の90%を超えることができる。
【0016】
ガラスフリット
一態様は、ガラス組成物(ガラスフリット、またはガラスフリット組成物とも呼ばれる)に関する。ガラス組成物は、当業者によって理解されるように、数種類の方法で記載することができる。本明細書においては、ガラス組成物:ガラスを製造するための出発物質中に使用される酸化物含有化合物およびフッ化物含有化合物の重量%に関して(表I中に示されるように)、およびガラスを製造するための出発物質中に使用される原材料の計算元素重量%(元素コンスティチュエンシー(constituency)とも呼ばれる)に関して(表II中に示されるように)の2つの方法で記載される。揮発性種のある部分は、ガラスの製造プロセス中に放出されうる。揮発性種の一例は酸素である。
【0017】
焼成したガラスから出発する場合、限定するものではないが誘導結合プラズマ発光分光法(ICPES)、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP−AES)などの当業者に周知の方法を使用して、本明細書に記載の出発成分(元素成分)のパーセント値を計算することができる。さらに、以下の代表的な技術を使用することができる:X線蛍光分光法(XRF);核磁気共鳴分光法(NMR);電子常磁性共鳴分光法(EPR);メスバウアー分光法;電子マイクロプローブエネルギー分散分光法(EDS);電子マイクロプローブ波長分散分光法(WDS);陰極ルミネセンス(CL)。
【0018】
表IおよびIIに列挙されるものを含めた本明細書に記載のガラス組成物に限定されるものではなく;ガラス化学の当業者であれば、ガラス組成物の所望の性質を実質的に変化させることなく追加成分のわずかな置換が可能なことを考慮している。たとえば、類似の性能を実現するために、重量%の単位でP25を0〜3、GeO2を0〜3、V25を0〜3などのガラス形成剤の置換を個別に、または組み合わせて行うことができる。たとえば、TiO2、Ta25、Nb25、ZrO2、CeO2、およびSnO2などの1種類以上の中間酸化物を、ガラス組成物中に存在する他の中間酸化物(すなわち、Al23、CeO2、SnO2)の代わりに使用することができる。
【0019】
一態様は、限定するものではないがフッ素塩類、フッ化物類、金属オキシフッ化物化合物類などの1種類以上のフッ素含有成分を含むガラスフリット組成物に関する。このようなフッ素含有成分としては、BiF3、AlF3、NaF、LiF、KF、CsF、ZrF4、TiF4、および/またはZnF2が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本明細書に記載のガラスフリットを製造するための典型的な方法の1つは、従来のガラス製造技術による方法である。各成分を秤量し、次に所望の比率で混合し、加熱炉中で加熱して、白金合金るつぼ中に溶融物を形成する。ガラスフリット製造の当業者は、原材料として酸化物、ならびにフッ化物またはオキシフッ化物塩を使用することができる。あるいは、ガラス溶融温度よりも低温で分解して酸化物、フッ化物類、またはオキシフッ化物類となる硝酸塩、亜硝酸塩類、炭酸塩、または水和物類などの塩を原材料として使用することができる。加熱は、ピーク温度(800〜1400℃)までで、溶融物が完全に液体で均一となり、原材料の残留分解生成物が全く存在しなくなるような時間の間行われる。次に、溶融したガラスを互いに反対方向に回転するステンレス鋼ローラーの間で急冷して、厚さ10〜15ミルのガラス小板を形成する。次に、得られたガラス小板を粉砕して、所望の目標値(たとえば0.7〜1.5μm)の間の50%体積分布設定を有する粉末を形成した。限定するものではないが、非貴金属るつぼ中での溶融、セラミックるつぼ中での溶融、水中急冷、ゾルゲル、噴霧熱分解、または粉末形態のガラスの製造に適切なその他の技術などの別の合成技術を使用することができる。
【0021】
全ガラス組成物の重量パーセントの単位での、本明細書において使用されるガラス組成物を表I中に示している。特に明記しなければ、本明細書において使用される場合、重量%は、ガラス組成物のみの重量%を意味する。一実施形態においては、本明細書に記載のガラスフリット組成物は、SiO2、B23、P25、Al23、ZrO2、TiO2、Bi23、ZnO、CaO、MgO、SrO、BaO、CeO2、Li2O、Na2O、K2O、LiF、NaF、KF、ZnF2、またはBiF3の1種類以上を含むことができる。この実施形態のある態様においては:
SiO2が、2.5〜8重量%、4〜6重量%、または4.75〜5.25重量%であってもよく、
23が、3〜10重量%、5〜9重量%、または7〜8重量%であってもよく、
25が、0〜5重量%、0〜2重量%、または1.5〜2.5重量%であってもよく、
Al23が、0.1〜3重量%、0.25〜2重量%、または1〜1.5重量%であってもよく、
ZrO2が、0〜3重量%、0〜2.5重量%、または1〜2.5重量%であってもよく、
TiO2が、0〜5重量%、0〜4重量%、または2〜4重量%であってもよく、
Bi23が、25〜80重量%、40〜70重量%、または60〜64重量%であってもよく、
ZnOが、0〜42重量%、5〜20重量%、または15〜17重量%であってもよく、
CaOが、0〜3重量%、0〜2重量%、または1〜3重量%であってもよく、
MgOが、0〜3重量%、0〜2.75重量%、または1〜2.5重量%であってもよく、
SrOが、0〜4重量%、0〜3.75重量%、または3〜4重量%であってもよく、
BaOが、0〜7重量%、1〜6.5重量%、または5〜6重量%であってもよく、
CeO2が、0.1〜3重量%、0.75〜3.5重量%、または0.75〜1.25重量%であってもよく、
Li2Oが、0〜4重量%、0〜0.75重量%、または1〜1.25重量%であってもよく、
Na2Oが、0〜4重量%、0〜2重量%、または0.4〜0.5重量%であってもよく、
2Oが、0〜4重量%、0〜3重量%、または2〜2.25重量%であってもよく、
LiFが、0〜4重量%、0〜2重量%、または1〜1.25重量%であってもよく、
NaFが、0〜4重量%、0〜2重量%、または0.4〜0.5重量%であってもよく、
KFが、0〜4重量%、0〜3重量%、または2〜2.25重量%であってもよく、
ZnF2が、0〜8重量%、0〜5重量%、または3〜4重量%であってもよく、あるいは
BiF3が、0〜30重量%、0〜25重量%、または10〜20重量%であってもよい。
【0022】
一実施形態においては.Na2OまたはLi2Oの一部またはすべてをNaF、LiF、K2O、KF、Cs2O、CsF、RbF、またはRb2Oで置き換えて、上記列挙の組成物と類似の性質を有するガラスを製造することができ、この実施形態においては、全アルカリ金属酸化物と全アルカリフッ化物とを合わせた含有率が、0.1〜8重量%、2〜5重量%、または3.5〜4重量%となってもよい。さらに、この実施形態においては、アルカリ土類酸化物の総量(CaO+MgO+SrO+BaO)が0〜10重量%、1〜10重量%、または1.5〜6重量%となってもよい。
【0023】
ガラス組成物は、別の方法として、表II中に見られるようにガラス組成物の元素の重量%の単位で表すこともできる。一実施形態においては、ガラスは、部分的には:
フッ素が、1〜10元素重量%、1〜5元素重量%、または1.5〜2元素重量%、
ビスマスが、20〜75元素重量%、50〜70元素重量%、または50〜60元素重量%、
亜鉛が、0〜35元素重量%、5〜20元素重量%、または10〜15元素重量%、
カルシウムが、0〜2元素重量%、0.5〜1.75元素重量%、または1.25〜1.5元素重量%、
マグネシウムが0〜2元素重量%、0〜1元素重量%、または0.5〜1.5元素重量%、
ストロンチウムが、0〜5元素重量%、0〜4元素重量%、または0.5〜3.5元素重量%、
バリウムが、0〜6元素重量%、0.5〜5元素重量%、または4〜5元素重量%、
リチウムが、0〜0.5元素重量%、0.1〜0.5元素重量%、または0.1〜0.2元素重量%、
ナトリウムが、0〜2元素重量%、0.1〜1元素重量%、または0.1〜0.2元素重量%、あるいは
カリウムが0〜3元素重量%、0.1〜2元素重量%、または1〜1.5元素重量%であってもよい。
【0024】
この実施形態においては、アルカリ元素(Na、Li、およびKが挙げられるが、これらに限定されない)の総量は、0.1〜5元素重量%、1〜3元素重量%、または1.25〜1.75元素重量%であってもよい。さらにこの実施形態においては、アルカリ土類元素(Ca、Mg、Sr、Baが挙げられるが、これらに限定されない)の総量は、0〜40元素重量%、1〜20元素重量%、または15〜18元素重量%であってもよい。
【0025】
さらなる一実施形態においては、本発明の1種類以上のガラスフリット組成物は、第3の組の成分:CeO2、SnO2、Ga23、In23、NiO、MoO3、WO3、Y23、La23、Nd23、FeO、HfO2、Cr23、CdO、Nb25、Ag2O、Sb23、および金属ハロゲン化物(たとえばNaCl、KBr、NaI)の1種類以上を含むことができる。
【0026】
表IIIは、表IおよびIIに記載のガラスのガラス特性を示している。一実施形態においては、表IおよびIIのガラスは、4〜6.5g/cc、4.25〜4.5g/cc、または5.5〜6g/ccとなることができる密度を有する。厚膜導体の焼成中、ガラスフリットは、最初に高温で焼結し、次に、さらにより高温で粘性流が生じ、それによって導電性粒子の焼結が促進され、下にある基体への反応性および接着性の結合が形成される。ガラスの焼結の開始および軟化点を用いて、焼結が開始し粘性流が最大となる点の特定の温度を特性決定することができる。TMA焼結開始点(sintering onset)は、収縮開始前の収縮−温度曲線の第1の接線および最大収縮領域における第2の接線との2つの接線の交点における温度として測定される。軟化点は、温度に対する収縮の微分の第1の極小値の温度として計算される。焼結開始点および軟化点は、基体上の厚膜導体の処理に使用される焼成プロファイルと関連付ける必要がある。一実施形態においては、ガラスフリットの焼結開始点は、300〜600℃、400〜500℃、または440〜460℃であってもよい。一実施形態においては、ガラスフリットの軟化点は、300〜600℃、400〜500℃、または460〜465℃であってもよい。
【0027】
原材料の選択によって、不純物を意図せず含む場合があり、それらの不純物が加工中のガラス中に混入されうる。たとえば、不純物は数百から数千ppmの範囲内で存在しうる。
【0028】
不純物が存在しても、ガラス、厚膜組成物、または焼成したデバイスの性質は変化しない。たとえば、本発明の厚膜組成物を有する太陽電池は、厚膜組成物が不純物を含んでいたとしても、本明細書に記載の効率を有することができる。
【0029】
この実施形態のさらなる一態様においては、厚膜組成物は、有機媒体中に分散した電気的機能性粉末およびガラスセラミックフリットを含むことができる。一実施形態においては、これらの厚膜導体組成物は、半導体デバイス中に使用することができる。この実施形態の一態様においては、半導体デバイスは太陽電池またはフォトダイオードであってもよい。
【0030】
全組成物中のガラスフリットの量は、全組成物の0.1〜8重量%の範囲内である。一実施形態においては、ガラス組成物は、全組成物の4〜8重量%の量で存在する。さらなる一実施形態においては、ガラス組成物は、全組成物の1〜4重量%の範囲内で存在する。
【0031】
導電性材料
一実施形態においては、厚膜組成物は、適切な電気的機能特性を組成物に付与する機能相を含むことができる。一実施形態においては、電気的機能性粉末は、導電性粉末であってもよい。一実施形態においては、電気的機能相は、導電性材料(本明細書においては導電性粒子とも記載される)を含むことができる。導電性粒子は、たとえば導電性粉末、導電性フレークまたはそれらの混合物を含むことができる。
【0032】
一実施形態においては、導電性粒子はAgを含むことができる。さらなる一実施形態においては、導電性粒子は銀(Ag)およびアルミニウム(Al)を含むことができる。さらなる一実施形態においては、導電性粒子は、たとえば:Cu、Au、Ag、Pd、Pt、Al、Ag−Pd、Pt−Auなどの1つ以上を含むことができる。一実施形態においては、導電性粒子は:(1)Al、Cu、Au、Ag、Pd、およびPt;(2)Al、Cu、Au、Ag、Pd、およびPtの合金;ならびに(3)それらの混合物の1つ以上を含むことができる。
【0033】
一実施形態においては、組成物の機能相は、電気伝導性である被覆されたまたは被覆されていない銀粒子であってもよい。銀粒子が被覆されている一実施形態においては、それらの粒子は界面活性剤で少なくとも部分的に被覆されている。一実施形態においては、界面活性剤は、以下の非限定的な界面活性剤:ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、およびリノール酸、ならびにそれらの混合物の1つ以上を含むことができる。対イオンとしては、水素、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
銀の粒度は特に限定されない。一実施形態においては、平均粒度は10ミクロン未満であってもよく、さらなる一実施形態においては5ミクロン以下であってもよい。一態様においては、平均粒度はたとえば0.1〜5ミクロンであってもよい。
【0035】
一実施形態においては、銀はペースト組成物の60〜90重量%であってもよい。さらなる一実施形態においては、銀はペースト組成物の70〜85重量%であってもよい。さらなる一実施形態においては、銀はペースト組成物の75〜85重量%であってもよい。さらなる一実施形態においては、銀はペースト組成物の78〜82重量%であってもよい。
【0036】
一実施形態においては、銀は組成物中の固体(すなわち、有機ビヒクルは除外される)の90〜99重量%であってもよい。さらなる一実施形態においては、銀は組成物中の固体の92〜97重量%であってもよい。さらなる一実施形態においては、銀は組成物中の固体の93〜95重量%であってもよい。
【0037】
本明細書において使用される場合、「粒度」は「平均粒度」を意味することを意図しており;「平均粒度」は、50%体積分布粒度を意味する。体積分布粒度は、限定するものではないがMicrotrac粒度分析器を使用したレーザー回折散乱法などの多数の方法によって求めることができる。
【0038】
添加剤
一実施形態においては、本発明の厚膜組成物は添加剤を含むことができる。一実施形態においては、添加剤は:(a)Zn、Pb、Bi、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、およびCrから選択される金属;(b)Zn、Pb、Bi、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、およびCrから選択される1種類以上の金属の金属酸化物;(c)焼成すると(b)の金属酸化物を生成することができるあらゆる化合物;ならびに(d)それらの混合物の1つ以上から選択することができる。
【0039】
一実施形態においては、添加剤はZn含有添加剤を含むことができる。Zn含有添加剤は:(a)Zn地金、(b)Znの金属酸化物、(c)焼成するとZnの金属酸化物を生成することができるあらゆる化合物、および(d)それらの混合物の1つ以上を含むことができる。一実施形態においては、Zn含有添加剤はZn樹脂酸塩または有機金属亜鉛(organometallic zinc)を含むことができる。
【0040】
一実施形態においては、Zn含有添加剤はZnO、亜鉛地金または亜鉛含有粉末を含むことができる。ZnOは1ナノメートル〜10ミクロンの範囲内の平均粒度を有することができる。さらなる一実施形態においては、ZnOは40ナノメートル〜5ミクロンの平均粒度を有することができる。さらなる一実施形態においては、ZnOは60ナノメートル〜3ミクロンの平均粒度を有することができる。さらなる一実施形態においては、ZnOは、たとえば100nm未満;90nm未満;80nm未満;1nm〜100nm未満;1nm〜95nm;1nm〜90nm;1nm〜80nm;7nm〜30nm;1nm〜7nm;35nm〜90nm;35nm〜80nm、65nm〜90nm、60nm〜80nm、およびそれらの間の範囲の平均粒度を有することができる。
【0041】
一実施形態においては、ZnOは、全組成物の0〜8重量%の範囲内で組成物中に存在することができる。一実施形態においては、ZnOは、全組成物の1〜6重量%の範囲内で存在することができる。さらなる一実施形態においては、ZnOは、全組成物の4〜6重量%の範囲内で存在することができる。さらなる一実施形態においては、ZnOは、全組成物の0.5〜3重量%で存在することができる。
【0042】
一実施形態においては、金属/金属酸化物添加剤(たとえばZnなど)の粒度は7ナノメートル(nm)〜125nmの範囲内であり;さらなる一実施形態においては、粒度は、たとえば100nm未満、90nm、85nm、80nm、75nm、70nm、65nm、または60nmであってもよい。
【0043】
有機媒体
一実施形態においては、本明細書に記載の厚膜組成物は有機媒体を含むことができる。たとえば機械的混合によって、無機成分を有機媒体と混合してペーストを形成することができる。多種多様な不活性粘稠材料を有機媒体として使用することができる。一実施形態においては、有機媒体は、適切な程度の安定性で無機成分を分散させることができる有機媒体であってもよい。一実施形態においては、固体の安定な分散体、スクリーン印刷に適した粘度およびチキソトロピー、基体およびペースト固体の適切なぬれ性、良好な乾燥速度、ならびに良好な焼成特性などの特定の塗布特性が、媒体のレオロジー特性によって組成物に付与されうる。一実施形態においては、厚膜組成物中に使用される有機ビヒクルは、非水性不活性液体であってもよい。増粘剤、安定剤、および/またはその他の一般的な添加剤を含む場合も含まない場合もある種々の有機ビヒクルの使用が考慮される。有機媒体は、溶媒中のポリマーの溶液であってもよい。一実施形態においては、有機媒体は、界面活性剤などの1種類以上の成分を含むこともできる。一実施形態においては、ポリマーはエチルセルロースであってもよい。その他の代表的なポリマーとしては、エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、エチルセルロースとフェノール樹脂との混合物、低級アルコール類のポリメタクリレート類、およびエチレングリコールモノアセテートのモノブチルエーテル、あるいはそれらの混合物が挙げられる。一実施形態においては、本明細書に記載の厚膜組成物中に有用な溶媒としては、エステルアルコール類、およびα−またはβ−テルピネオールなどのテルペン類、あるいはこれらと、ケロシン、ジブチルフタレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ヘキシレングリコール、および高沸点アルコール類およびアルコールエステル類などの他の溶媒との混合物が挙げられる。さらなる一実施形態においては、基体上に塗布した後での急速な硬化を促進するために、有機媒体は揮発性液体を含むことができる。
【0044】
一実施形態においては、ポリマーは、たとえば全組成物の5重量%〜20重量%、8重量%〜18重量%または12重量%〜15重量%の範囲内で有機媒体中に存在することができる。有機媒体を使用することで、厚膜銀組成物を所定のスクリーン印刷可能な粘度に調整することができる。
【0045】
一実施形態においては、厚膜組成物中の有機媒体の、分散体の無機成分に対する比は、ペーストの塗布方法、および使用される有機媒体の種類に依存しうる。一実施形態においては、分散体は、良好なぬれ性を得るために、70〜95重量%の無機成分、および5〜30重量%の有機媒体(ビヒクル)を含むことができる。
【0046】
焼成された厚膜組成物
一実施形態においては、有機媒体は、半導体デバイスの乾燥および焼成の間に除去することができる。一態様においては、焼成中に、ガラスフリット、Ag、および添加剤を焼結させて、電極を形成することができる。焼成した電極は、焼成および焼結のプロセスによって得られる成分、組成物などを含むことができる。たとえば、一実施形態においては、焼成した電極は、限定するものではないが、珪亜鉛鉱(Zn2SiO4)およびZn1.7SiO4-x(一実施形態においては、xは0〜1であってもよい)などのケイ酸亜鉛類を含むことができる。さらなる一実施形態においては、焼成した電極は、酸化ビスマス、フッ化ビスマス、ケイ酸ビスマス類、ケイ酸ビスマスオキシフッ化物類、シレナイト、または置換γ酸化ビスマス、たとえば限定するものではないがBi2SiO5、Bi4(SiO43、BiOF、BiF3、およびBi12SiO20などを含むことができる。
【0047】
この実施形態の一態様においては、半導体デバイスは、太陽電池またはフォトダイオードであってもよい。
【0048】
半導体デバイスの製造方法
一実施形態は、半導体デバイスの製造方法に関する。一実施形態においては、本発明の半導体デバイスは太陽電池デバイス中に使用することができる。本発明の半導体デバイスは、前面電極を含むことができ、焼成前の前面(光照射側)電極は本明細書に記載の組成物を含むことができる。
【0049】
一実施形態においては、半導体デバイスの製造方法は:(a)半導体基体を提供するステップと;(b)絶縁膜を半導体基体に塗布するステップと;(c)本明細書に記載の組成物を絶縁膜に塗布するステップと;(d)デバイスを焼成するステップとを含む。
【0050】
本明細書に記載の方法およびデバイスにおいて有用な代表的な半導体基体は当業者によって認識されており、そのようなものとしては単結晶シリコン、多結晶シリコン、リボンシリコンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。半導体基体は、接合を有することができる。半導体基体は、リンおよびホウ素をドープしてp/n接合を形成することができる。半導体基体の種々のドーピング方法が当業者には周知である。
【0051】
半導体基体は、種々のサイズ(長さ×幅)および厚さを有することができる。非限定的な一例においては、半導体基体の厚さは、50〜500ミクロン、100〜300ミクロン、または140〜200ミクロンであってもよい。非限定的な一例においては、半導体基体の長さおよび幅は、どちらも同じで100〜250mm、125〜200mm、または125〜156mmであってもよい。
【0052】
本明細書に記載の方法およびデバイスにおいて有用な代表的な絶縁膜は当業者によって認識されており、そのようなものとしては窒化ケイ素膜、酸化ケイ素膜、酸化チタン膜、SiNx:H膜、水素化非晶質窒化ケイ素膜、および酸化ケイ素/酸化チタン膜が挙げられるが、これらに限定されるものではない。絶縁膜は、PECVD、CVD、および/または当業者に周知の他の技術によって形成することができる。絶縁膜が窒化ケイ素である一実施形態においては、窒化ケイ素膜は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)、熱CVD法、または物理気相堆積(PVD)によって形成することができる。絶縁膜が酸化ケイ素である一実施形態においては、酸化ケイ素膜は、熱酸化、熱CVD、プラズマCVD、またはPVDによって形成することができる。絶縁膜(または層)は反射防止膜(ARC)と呼ばれる場合もある。
【0053】
限定するものではないが、スクリーン印刷、インクジェット、同時押出、シリンジ分配、直接書き込み、およびエアロゾルインクジェットなどの当業者に周知の種々の方法によって、本明細書に記載の組成物を、ARCが被覆された半導体基体に塗布することができる。本発明の組成物は、あるパターンで塗布することができる。本発明の組成物は、所定の形状および所定の位置に塗布することができる。一実施形態においては、本発明の組成物は、前面電極の導電性フィンガーおよびバスバーの両方を形成するために使用することができる。一実施形態においては、導電性フィンガーの線幅は、20〜200ミクロン、40〜150ミクロン、または60〜100ミクロンであってもよい。一実施形態においては、導電性フィンガーの線の厚さは、5〜50ミクロン、10〜35ミクロン、または15〜30ミクロンであってもよい。
【0054】
さらなる一実施形態においては、本発明の組成物は、導電性でSiを含有するフィンガーの形成に使用することができる。
【0055】
ARCが被覆された半導体基体上に被覆された本発明の組成物は、当業者によって認識されるように、たとえば0.5〜10分間乾燥させて、次に焼成することができる。一実施形態においては、揮発性溶媒および有機物は、乾燥プロセス中に除去することができる。焼成条件は当業者によって認識されている。代表的で非限定的な焼成条件においては、シリコンウエハ基体は、600〜900℃の間の最高温度で1秒〜2分間加熱される。一実施形態においては、焼成中に到達する最高シリコンウエハ温度は、1〜10秒の間で650〜800Cの範囲である。さらなる一実施形態においては、本発明の導電性厚膜組成物から形成された電極は、酸素および窒素の混合気体から構成される雰囲気中で焼成することができる。この焼成プロセスによって有機媒体が除去され、導電性厚膜組成物中のAg粉末を有するガラスフリットが焼結する。さらなる一実施形態においては、本発明の導電性厚膜組成物から形成される電極は、有機媒体が除去される温度よりも高温で、酸素を含有しない不活性雰囲気中で焼成することができる。この焼成プロセスによって、厚膜組成物中の銅などのベース金属導電性材料が焼結または溶融する。
【0056】
一実施形態においては、焼成中、焼成される電極(好ましくはフィンガー)は、絶縁膜と反応し絶縁膜に貫入して、シリコン基体と電気接点を形成することができる。
【0057】
さらなる一実施形態においては、焼成前に、その他の導電性材料およびデバイス強化材料が半導体デバイスの反対の型の領域に塗布され、本明細書に記載の組成物と同時にまたは連続して焼成される。デバイスの反対の型の領域は、デバイスの反対の面上に存在する。これらの材料は、電気接点、不動態化層、およびはんだ付け可能なタブ用領域として機能する。
【0058】
一実施形態においては、反対の型の領域は、デバイスの非光照射(裏)側上に存在する。この実施形態の一態様においては、裏面導電性材料はアルミニウムを含有することができる。代表的な裏面アルミニウム含有組成物および塗布方法は、たとえば、参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2006/0272700号明細書に記載されている。
【0059】
さらなる一態様においては、はんだ付け可能なタブ用材料は、アルミニウムおよび銀を含有することができる。アルミニウムおよび銀を含有する代表的なタブ用組成物は、たとえば、参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2006/0231803号明細書に記載されている。
【0060】
さらなる一実施形態においては、デバイスの反対の型の領域に塗布される材料は、p領域とn領域とが並んで形成されるので、本明細書に記載の材料に隣接する。このようなデバイスでは、光照射(表)側への入射光を最大にするために、デバイスの非光照射(裏)側上にすべての金属接点材料が配置される。
【0061】
本発明の半導体デバイスは、接合を有する半導体基体と、その主面上に形成された窒化ケイ素絶縁膜とから構成される構造要素から、以下の方法によって製造することができる。本発明の半導体デバイスの製造方法は、絶縁膜上に、所定の形状で所定の位置に、絶縁膜に貫入することができる導電性厚膜組成物を塗布する(コーティングおよび印刷など)ステップと、焼成することによって、導電性厚膜組成物を溶融させ、絶縁膜を貫通させて、シリコン基体と電気的に接触させるステップとを含む。導電性厚膜組成物は、本明細書に記載の厚膜ペースト組成物であり、この組成物は有機ビヒクル中に分散させた銀粉末、Zn含有添加剤、300〜600℃の軟化点を有するガラスまたはガラス粉末混合物、および場合により追加の金属/金属酸化物添加剤からできている。
【0062】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載の方法によって製造された半導体デバイスに関する。本明細書に記載の組成物を含有するデバイスは、前述のケイ酸亜鉛類を含有することができる。
【0063】
本発明の一実施形態は、前述の方法によって製造された半導体デバイスに関する。
【0064】
本明細書に記載の厚膜組成物とともに使用可能なさらなる基体、デバイス、製造方法などは、米国特許出願公開第2006/0231801号明細書、米国特許出願公開第2006/0231804号明細書、および米国特許出願公開第2006/0231800号明細書に記載されており、これらの記載内容全体が参照により本明細書に援用される。
【実施例】
【0065】
ガラス特性の測定
表IおよびIIに概略が示されるガラスフリット組成物は、密度、軟化点、TMA収縮、透明度、および結晶性を測定することによって特性決定される。軟化点は、温度に対するTMA微分収縮(derivative shrinkage)の第1極小値によって求められる。結晶化度は、X線開設によって測定される。これらの特性の一部を、表IおよびIIに記載の一部のガラスに対して測定し、それらの特性を表III中に示している。
【0066】
ペースト配合物
一般に、ペースト配合物は、以下の手順を使用して調製した:適切な量の溶媒、媒体、および界面活性剤を秤量し、混合缶中で15分間混合し、次に、本明細書に記載のガラスフリット、および場合により金属添加剤を加え、さらに15分間混合した。固体の大部分がAgであるので、よりよいぬれ性を確実にするため、Agを徐々に加えた。十分に混合した後、得られたペーストを、0〜300psiまで圧力を徐々に増加させながら3本ロールミルに繰り返し通した。ロールの間隙は1ミルに設定した。分散の程度は、粉砕の細かさ(finess of grind)(FOG)によって測定した。ペーストの典型的なFOG値は、4番目に長い連続スクラッチの場合で20ミクロン未満であり、ペーストの50%がスクラッチされる点の場合で10ミクロン未満である。
【0067】
太陽電池サンプルの加工
表IVのペースト例は、表中に記載のペースト組成物の製造に関して前述した手順を用いて作製した。ペーストを3インチのフルセル、および/または1インチのカットセルに塗布し、各サンプルの効率および曲線因子を測定した。各ペーストについて、5つのサンプルの効率および曲線因子の平均値を示している。
【0068】
表IVのデータ用に使用した6インチウエハの各サンプルは、Ekraプリンターセットを使用して、以下の印刷プログラムでスクリーン印刷することによって作製した:スキージ速度前方150mm/秒、25.4cmのスキージ長に対して3barのスキージ圧、スナップオフ1.8mm。パターンは、280メッシュの極薄(UT)スクリーン上に幅100μmの69本のフィンガーおよび幅2mmの2本のバスバーを有し、厚さ30μmのエマルジョンが使用される。使用した基体は、6インチの多結晶セルであって、酸テクスチャー化された70±5Ω/□のエミッタであり、PECVD ARCがコーティングされたものであった。DuPontより市販されるAlペーストをデバイスの非光照射(裏)側上に印刷した。次に、両側にパターンが印刷されたデバイスを、220/230/250/150℃のプロファイルおよび60mm/分のベルト速度を使用して乾燥させた。次に、基体は、4ゾーンCentrotherm炉を使用し、3000mm/分のベルト速度、450−520−570−925℃の温度プロファイルを使用し、太陽側を上にして焼成した。上記パートの実際の温度は処理中に測定した。各パートの測定ピーク温度は760℃であり、各パートは合計4秒の時間で650℃を超えた。次に、較正したH.A.L.M cetisPV−CT−L1テスターを使用して、全ての処理が行われたサンプルのPV性能を試験した。
【0069】
表IVのデータヨウに使用される3インチの各カットセルサンプルは、Ekraプリンターセットを使用して、以下の印刷プログラムでスクリーン印刷することによって作製した:スキージ速度前方200mm/秒、15cmのスキージ長に対して3barのスキージ圧、スナップオフ2mm。パターンは、280メッシュの極薄(UT)スクリーン上に幅100μmの30本のフィンガーおよび幅2mmの2本のバスバーを有し、厚さ16μmのエマルジョンが使用される。基体は、ダイシングソーを使用して多結晶セルから切断した3インチの正方形の区画であり、酸テクスチャー化された65±5Ω/□のエミッタであり、PECVD SiNX:H ARCがコーティングされたものであった。DuPontより市販されるAlペーストをデバイスの非光照射(裏)側上に印刷した。次に、両側にパターンが印刷されたデバイスを、220/230/250/150℃のプロファイルおよび60mm/分のベルト速度を使用して乾燥させた。次に、基体は、4ゾーンCentrotherm炉を使用し、3000mm/分のベルト速度、450−520−570−900℃の温度設定点を使用し、太陽側を上にして焼成した。上記パートの実際の温度は処理中に測定した。各パートの測定ピーク温度は760℃であり、各パートは合計4秒の時間で650℃を超えた。次に、較正したH.A.L.M cetisPV−CT−L1テスターを使用して、全ての処理が行われたサンプルのPV性能を試験した。
【0070】
表VI中に記載されるペーストは、前述の手順を用いて作製した。表VIは、表Vに記載のガラスAおよびBを使用した比較例のデータも示している。ペーストを3インチのフルセル、および/または1インチのカットセルに塗布し、各サンプルの効率および曲線因子を測定した。各ペーストについて、5つのサンプルの効率および曲線因子の平均値を示している。各サンプルは、ETPモデルL555プリンターセットを250mm/秒のスキージ速度で使用してスクリーン印刷することによって作製した。使用したスクリーンは、280メッシュおよび23μmのワイヤを有するスクリーン中の10μmのエマルジョンに対して100μmの開口部を有する11本のフィンガーラインと、1.5mmの開口部を有する1つのバスバーとのパターンを有した。使用した基体は、ダイシングソーを使用して多結晶セルから切断した1.1インチの正方形の区画であり、酸テクスチャー化された60Ω/□のエミッタであり、PECVD SiNX:H ARCがコーティングされたものであった。市販のAlペーストであるDuPont PV381をデバイスの非光照射(裏)側上に印刷した。次に、両側にパターンが印刷されたデバイスを、ピーク温度150℃の乾燥オーブン中で10分間乾燥させた。次に基体を、RTC PV−614 6ゾーンIR炉を使用し、4,572mm/分のベルト速度および550−600−650−700−800−860℃の温度設定点を使用して、太陽側を上にして焼成した。上記パートの実際の温度は処理中に測定した。各パートの測定ピーク温度は760℃であり、各パートは合計4秒の時間で650℃を超えた。次に、較正したTelecom STV ST−1000テスターを使用して、すべての処理が行われたサンプルのPV性能を試験した。
【0071】
試験手順−効率
本明細書に記載の方法により作製した太陽電池の変換効率の試験を行った。効率の代表的な試験方法の1つを以下に示す。
【0072】
一実施形態においては、本明細書に記載の方法により作製した太陽電池は、効率を測定するために市販のI−Vテスター(Telecom STV ST−1000またはH.A.L.M cetis PV−CT−L1)中に配置した。I−Vテスター中のXeアークランプは、100mW/cm^2の既知のAM1.5強度の太陽光をシミュレートしており、これをセルの前面に照射した。電気測定中、部品は25℃に維持した。テスターは多点接触法を使用して、電流(I)および電圧(V)を測定して、セルのI−V曲線を求めた。曲線因子(FF)および効率(Eff)の両方をI−V曲線から計算した。
【0073】
上記効率試験は代表的なものである。効率を試験するための他の装置および手順は当業者によって認識されている。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1種類以上の導電性材料と;
(b)1種類以上のガラスフリットであって、前記ガラスフリットの少なくとも1種類が:SiO2;B23;Bi23;0.1〜3重量%のCeO2;1〜10重量%のF;および1〜3重量%のNa+Li+Kを含むガラスフリットと;
(c)有機媒体と
を含む、組成物。
【請求項2】
少なくとも1種類の前記ガラスフリットが、Ca、CaO、Mg、MgO、Sr、SrO、Ba、およびBaOからなる群から選択される1種類以上の成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記CeO2が0.75〜2.5重量%で存在する、請求項1に記載の組成物
【請求項4】
少なくとも1種類の前記ガラスフリットが、ZnO、TiO2、Ta25、Nb25、およびZrO2からなる群から選択される1種類以上の成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記導電性材料がAgを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ガラスフリットが、全組成物の4〜8重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記導電性材料が、全組成物の75〜85重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(a)1種類以上の導電性材料と;
(b)1種類以上のガラスフリットであって、前記ガラスフリットの少なくとも1種類が:
2.5〜8重量%のSiO2
3〜10重量%のB23
25〜80重量%のBi23
0.1〜3重量%のCeO2
1〜10重量%のF;および
1〜3重量%のNa+Li+Kを含む、ガラスフリットと;
(c)有機媒体と
を含む、組成物。
【請求項9】
前記NaがNaO、Na2F、およびそれらの混合物から選択され;前記LiがLi2O、LiF、およびそれらの混合物から選択され;前記KがK2O、KF、およびそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
半導体デバイスの製造方法であって:
(a)半導体基体、1つ以上の絶縁膜、および請求項1に記載の組成物を提供するステップと;
(b)前記半導体基体に前記絶縁膜を塗布するステップと、
(c)前記半導体基体上の前記絶縁膜に前記厚膜組成物を塗布するステップと、
(d)前記半導体、絶縁膜、および厚膜組成物を焼成するステップとを含む、方法。
【請求項11】
前記絶縁膜が、酸化チタン、窒化ケイ素、SiNx:H、酸化ケイ素、および酸化ケイ素/酸化チタンから選択される1種類以上の成分を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法によって製造された半導体デバイス。
【請求項13】
電極を含む半導体デバイスであって、焼成前の前記電極が請求項1に記載の組成物を含む、半導体デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体デバイスを含む太陽電池。
【請求項15】
半導体基体と、絶縁膜と、前面電極とを含む半導体デバイスであって、前記前面電極が、ケイ酸亜鉛、珪亜鉛鉱、およびケイ酸ビスマス類からなる群から選択される1種類以上の成分を含む、半導体デバイス。

【公表番号】特表2013−514956(P2013−514956A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544933(P2012−544933)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/061190
【国際公開番号】WO2011/075714
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】