説明

光起電力モジュールのための酸素透過バリヤを有する多層シートの使用

【課題】アクティブなソーラーセルへの酸化による作用を最小化する。
【解決手段】ソーラーセルと向かい合った、少なくとも70質量%がエチレン−ビニルアルコール−コポリマー(EVOH)からなる成形材料からなる層と、付着媒介層と、熱可塑性の成形材料からなる中間層と、任意に、付着媒介層と、少なくとも35質量%のポリアミド割合を有する成形材料からなる外側層を含む多層シートを、光起電力モジュールの裏面カバーとして用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーモジュールの製造のためのEVOHからなる酸素に対する遮断層を有するシート系の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーモジュールは、しばしば光起電力モジュールとも呼ばれ、太陽光から電気的エネルギーを生成するために用いられ、コア層としてソーラーセルシステムを含む積層体からなる。このコア層は、被包材料で取り囲まれており、その材料は、機械的影響及び天候による影響に対する保護として用いられる。
【0003】
アクティブなソーラーセルは、この場合、前面カバーと裏面カバーとの間に存在する。前面カバーは、透光性であって、一般にはガラスからなり、該カバーは、しばしばエチレン−酢酸ビニルコポリマーからなる付着媒介層(Haftvermittlerschicht)によって、ソーラーセルを含む層と結合されている。裏面カバーは、電気的な遮蔽を保証し、かつ紫外光などの天候による影響に対する保護として、かつ湿分バリヤとして用いられる。
【0004】
裏面カバーのためには、目下、標準的には、フルオロポリマーシートとポリエステルとからなる複合シートが使用される。外側のフルオロポリマーシートは、その際に、耐候性を保証し、ポリエステルシートは、機械的安定性と、所望の電気的絶縁特性を保証する。内側の更なるフルオロポリマーシートは、ソーラーセルシステムのシール層への結合のために用いられる。しかしながら、かかるフルオロポリマーシートは、ソーラーセル自体のための埋め込み材料として使用されるシール層に対してわずかな付着性しか有さない。更に、フルオロポリマーシートは、副次的な規模でしか電気的絶縁性に寄与せず、そのため、比較的厚いポリエステルシートの使用の必要性がもたらされる。
【0005】
WO2008138022号において、従って、かかる結合に際して、2つのフルオロポリマーシートを、ポリアミド12(PA12)からなるシートと取り替えることが提案されている。この一実施態様で、WO2011066595号においては、ソーラーセルに向かい合った熱可塑性樹脂層が、二酸化チタンなどの光反射性の充填剤を含有し、その一方で、ソーラーセルと反対を向いた熱可塑性樹脂層は、この層のより高い伝熱性をもたらす、ガラス繊維、ウォラストナイトもしくは雲母などの第二の充填剤を含有することが提案される。例示される熱可塑性樹脂は、ポリアミド、ポリエステルもしくはポリアミドとポリオレフィンからなるブレンドの群に由来する。明示的には、PA11、PA12及びPA1010並びにそれらのポリオレフィンとのブレンドが挙げられる。
【0006】
脆弱なアクティブなソーラーセルの保護は特に重要である。ソーラーセルは、主に酸化を受けやすいシリコンからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2008138022号
【特許文献2】WO2011066595号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、アクティブなソーラーセルへの酸化による作用を最小化することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、多層シートを光起電力モジュールの裏面カバーとして用いる使用であって、前記多層シートが、以下の直接順次連続した層:
a)ソーラーセルと向かい合った、成形材料からなる層であって、該成形材料は、少なくとも70質量%が、好ましくは少なくとも80質量%が、特に好ましくは少なくとも90質量%が、エチレン−ビニルアルコール−コポリマー(EVOH)からなる前記層と、
b)付着媒介層と、
c)熱可塑性の成形材料からなる中間層と、
d)任意に、付着媒介層と、
e)成形材料からなる外側層であって、該成形材料は、成形材料全体に対して、少なくとも35質量%の、好ましくは少なくとも40質量%の、特に好ましくは少なくとも45質量%の、殊に好ましくは少なくとも50質量%の、より特に好ましくは少なくとも55質量%のポリアミド割合を有する前記層と、
を含む前記使用によって解決される。
【0010】
前記c)の層の成形材料は、熱可塑性樹脂として、例えばポリアミド、ポリオレフィン及び/又はポリエステルを含有してよい。更に、慣用の助剤及び添加剤、特に光安定剤及び/又は熱安定剤、光反射性の充填剤、例えば二酸化チタンなどの充填剤並びに補強性充填剤、例えばガラス繊維、ウォラストナイトもしくは雲母などの充填剤が含まれていてよい。
【0011】
前記e)の層の成形材料は、上述のポリアミドの1つを又は複数を混合物として含んでよい。更に、成形材料の全ポリマー割合に対して、40質量%までは、別の熱可塑性樹脂、例えば衝撃強さを与えるゴムが含まれていてよい。場合により含まれるゴムは、好ましくは、技術水準に相応して、ポリアミドマトリクスとの相容性が得られる官能基を含む。更に、ポリアミドについて慣用の助剤及び添加剤、特に光安定剤及び/又は熱安定剤が含まれていてよい。充填剤に関しては、前記c)の層の成形材料についてと同じことが当てはまる。更に、前記e)の層の成形材料は、着色されていてよく、かつ/又は艶消し剤を含有してよい。
【0012】
前記b)の層の付着媒介剤は、前記c)の層の性質に依存する。この層が、ポリアミド、ポリエステル及び/又はポリオレフィンをベースとする成形材料からなる場合に、該付着媒介剤は、少なくとも35質量%の、好ましくは少なくとも40質量%の、特に好ましくは少なくとも45質量%の、殊に好ましくは少なくとも50質量%の、より特に好ましくは少なくとも55質量%のポリオレフィンであって、0.1〜5質量%の、好ましくは0.3〜4質量%の、特に好ましくは0.5〜4質量%の酸無水物基を有するものを含む成形材料であってよい。他の好適な付着媒介剤は、特に前記c)の層が、ポリアミドもしくはポリエステルを基礎として構成されている場合には、ポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーを、場合によりEVOHと相容性のポリアミド、例えばPA6と組み合わせて、又は第二のポリアミドの組み合わせと組み合わせて含有する。好適な組成は、例えばEP1065048号A2並びにEP1216826号A1に開示されている。前記b)の層の成形材料は、付加的に、光安定剤及び/又は熱安定剤並びに光反射性の充填剤、例えば二酸化チタンなどの充填剤を含有してよい(W2011066595号)。
【0013】
前記d)の層の付着媒介剤は、あらゆる好適な組成を有してよい。例えば、前記b)の層の付着媒介剤について上述したのと同じ系が適している。
【0014】
EVOHは以前から公知である。EVOHは、エチレン及びビニルアルコールからのコポリマーであり、時としてEVALとも呼ばれる。該コポリマー中のエチレン含有量は、一般に25〜60モル%、特に28〜45モル%である。多数のタイプが市販されている。例えば、Kuraray EVAL Europe社のパンフレット"Introduction to Kuraray EVAL(商標)Resins"バージョン1.2/9810に記載されている。
【0015】
前記ポリアミドは、部分晶質ポリアミド、例えばPA6、PA66、PA610、PA612、PA10、PA810、PA106、PA1010、PA11、PA1011、PA1012、PA1210、PA1212、PA814、PA1014、PA618、PA512、PA613、PA813、PA914、PA1015、PA11、PA12などのポリアミド又は部分芳香族ポリアミド、いわゆるポリフタルアミド(PPA)であってよい。(ポリアミドの符号は国際規格に相応しており、その際、1つ以上の最初の数字は出発ジアミンのC原子数を示し、1つ以上の最後の数字はジカルボン酸のC原子数を示す。数字が1つだけ挙げられている場合、これは、α,ω−アミノカルボン酸から、もしくはα,ω−アミノカルボン酸から誘導されたラクタムから出発していることを意味し;その他の点はH.Domininghaus,Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften,第272頁以降,VDI−Verlag,1976を参照のこと)。好適なPPAは、例えばPA66/6T、PA6/6T、PA6T/MPMDT(MPMDは、2−メチルペンタメチレンジアミンを表す)、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA14T並びに最後のタイプと、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との又はω−アミノカルボン酸もしくはラクタムとの共重縮合物である。部分晶質ポリアミドは、ISO 11357によるDSC法で2回目の昇温時に融解ピークの積分により測定される25J/gより高い溶融エンタルピーを有する。
【0016】
しかしながら、そのポリアミドは、半晶質のポリアミドであってもよい。半晶質ポリアミドは、ISO 11357によるDSC法で2回目の昇温時に融解ピークの積分により測定される4〜25J/gの溶融エンタルピーを有する。好適な半晶質ポリアミドのための例は、
− 1,10−デカン二酸もしくは1,12−ドデカン二酸と4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとからなるポリアミド(PA PACM10及びPA PACM12)であって、35〜65%のトランス,トランス−異性体割合を有する4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンに由来するもの;
− 上述の部分晶質ポリアミドを基礎とするコポリマー;並びに
− 上述の部分晶質ポリアミドと、それと相容性の非晶質ポリアミドとからなるブレンド
である。
【0017】
そのポリアミドは、非晶質のポリアミドであってもよい。非晶質ポリアミドは、ISO 11357によるDSC法で2回目の昇温時に融解ピークの積分により測定される4J/gより低い溶融エンタルピーを有する。非晶質ポリアミドのための例は、
− テレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンからなる異性体混合物とからのポリアミド、
− イソフタル酸と1,6−ヘキサメチレンジアミンからのポリアミド、
− テレフタル酸/イソフタル酸と1,6−ヘキサメチレンジアミンとからなる、場合により4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとの混合物における混合物からのコポリアミド、
− テレフタル酸及び/又はイソフタル酸、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン及びラウリンラクタムもしくはカプロラクタムからのコポリアミド、
− 1,12−ドデカン二酸もしくはセバシン酸、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン及び場合によりラウリンラクタムもしくはカプロラクタムからの(コ)ポリアミド、
− イソフタル酸、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン及びラウリンラクタムもしくはカプロラクタムからのコポリアミド、
− 1,12−ドデカン二酸と、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(低いトランス,トランス異性体割合で)とからのポリアミド、
− テレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、アルキル置換されたビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン同族体とからの、場合によりヘキサメチレンジアミンとの混合物での(コ)ポリアミド、
− ビス(4−アミノ−3−メチル−5−エチル−シクロヘキシル)メタンと場合により一緒の更なるジアミンと、イソフタル酸と場合により一緒の更なるジカルボン酸とからなるコポリアミド、
− m−キシリレンジアミン及び更なるジアミン、例えばヘキサメチレンジアミンと、イソフタル酸と場合により一緒の更なるジカルボン酸、例えばテレフタル酸及び/又は2,6−ナフタリンジカルボン酸などのジカルボン酸との混合物からのコポリアミド、
− ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン及びビス(4−アミノ−3−メチル−シクロヘキシル)メタンと、8〜14個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸との混合物からのコポリアミド、並びに
− 1,14−テトラデカン二酸と、芳香族の、芳香脂肪族のもしくは脂環式のジアミンとを含む混合物からのポリアミドもしくはコポリアミド
である。
【0018】
これらの例は、更なる成分(例えばカプロラクタム、ラウリンラクタム又はジアミン/ジカルボン酸の組み合わせ)を添加することによって又は出発成分を別の成分に部分的にもしくは完全に置き換えることによって非常に広範囲に変更することができる。
【0019】
ポリエーテルエステルアミドは、例えばDE−A−2523991号及びDE−A−2712987号から公知であり、それらは、コモノマーとしてポリエーテルジオールを含む。ポリエーテルアミドは、例えばDE−A−3006961号から公知であり、それらは、コモノマーとしてポリエーテルジアミンを含む。
【0020】
ポリエーテルジオールもしくはポリエーテルジアミンでは、そのポリエーテル単位は、例えば1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール又は1,3−ブタンジオールを基礎としうる。ポリエーテル単位は、また混合型の構成であってもよく、例えばジオールに由来する単位のランダム分布もしくはブロック状分布で構成されていてよい。ポリエーテルジオールもしくはポリエーテルジアミンのモル質量の質量平均は、200〜5000g/モル、好ましくは400〜3000g/モルであり、そのポリエーテルエステルアミドもしくはポリエーテルアミドの割合は、好ましくは4〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。好適なポリエーテルジアミンは、相応のポリエーテルジオールを、還元的アミノ化又はアクリルニトリルへのカップリングと引き続いての水素化によって転化させることによって得られ、それらは、例えばHuntsman Corp.によるJEFFAMIN(登録商標)D型もしくはED型又はELASTAMINE(登録商標)型の形で、又はBASF SEによるポリエーテルアミンDシリーズの形で市販されている。より少量で、ポリエーテルトリアミンを一緒に使用してもよく、例えば分枝鎖状のポリエーテルアミドが使用されるべき場合にはJEFFAMIN(登録商標)T型のものを使用してよい。好ましくは、ポリエーテルジアミンもしくはポリエーテルトリアミンであって、エーテル酸素原子1個当たりに平均して少なくとも2.3個の炭素原子が鎖中に含まれるものが使用される。本発明によれば、ポリエーテルアミドが、より良好な耐加水分解性のため好ましい。
【0021】
熱可塑性のポリエステルとしては、直鎖状に構成された熱可塑性のポリエステルが該当する。これらは、ジオールとジカルボン酸もしくはそのポリエステル形成性の、ジメチルエステルなどの誘導体との重縮合によって製造される。好適なジオールは、式HO−R−OHを有し、その式中、Rは、2〜40個の、好ましくは2〜12個の炭素原子を有する、二価の、分枝鎖状のもしくは非分枝鎖状の、脂肪族の及び/又は脂環式の基を表す。好適なジカルボン酸は、式HOOC−R′−COOHを有し、その式中、R′は、6〜20個の、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する、二価の、芳香族の基を意味する。
【0022】
ジオールのための例としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール並びにC36−ジオールの二量体ジオールが挙げられる。該ジオールは、単独でもしくはジオール混合物として使用できる。上述のジオールの25モル%までは、以下の一般式
【化1】

[式中、R′′は、2〜4個の炭素原子を有する二価の基を意味し、かつxは、2〜50の値をとりうる]を有するポリアルキレングリコールによって置き換えられてよい。
【0023】
芳香族のジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−、1,5−、2,6−もしくは2,7−ナフタリンジカルボン酸、ジフェン酸及びジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸が該当する。前記のジカルボン酸の30モル%までは、脂肪族のもしくは脂環式のジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸もしくはシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの酸によって置き換えられていてよい。
【0024】
好適なポリエステルのための例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレン−2,6−ナフタレート及びポリブチレン−2,6−ナフタレートである。
【0025】
前記のポリエステルの製造は、技術水準に該当する(DE−OSS 2407155号、同第2407156号;ウールマンの工業化学事典(Ullmans Encyclopaedie der technischen Chemie),第4版,第19巻,第65頁以降、Chemie出版,Weinheim,1980)。
【0026】
該ポリオレフィンは、例えばポリエチレン又は好ましくはポリプロピレンであってよい。該ポリプロピレンは、基本的にあらゆる商慣習のポリプロピレン型、例えばアイソタクチックなもしくはシンジオタクティックなホモポリプロピレン、プロペンとエテン及び/又はブテン−1とのランダムコポリマー、プロペン−エテン−ブロックコポリマーなどであってよい。該ポリプロピレンは、あらゆる公知の方法に従って、例えばチーグラー・ナッタ触媒反応又はメタロセン触媒反応に従って製造することができる。前記ポリプロピレンは、衝撃強さを与える成分、例えばEPMゴムもしくはEPDMゴム又はSEBSなどの成分を含有してよい。
【0027】
ポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーに関しては、EP1065048号A2の開示が指摘される。
【0028】
個々のシート層は、一般に、以下の厚さを有する:
・ 前記a)の層: 50〜250μm、好ましくは100〜200μm
・ 前記b)の層: 15〜100μm、好ましくは25〜50μm
・ 前記c)の層: 100〜500μm、好ましくは150〜400μm
・ 前記d)の層: 3〜40μm、好ましくは5〜25μm
・ 前記e)の層: 15〜100μm、好ましくは25〜50μm
本発明により使用される多層シートは、できる限り少ない数の層に対して、一般に良好な付着で最適化されている。該多層シートは、先行技術のあらゆる方法、例えば同時押出又は積層によって製造することができる。該シートは、ソーラーセルが埋め込まれているシール層と、例えば積層又は接着によって結合される。前記a)の層中のEVOH割合のため、積層に際して、該シール層に対して良好な付着性が得られる。シール層としては、先行技術により一般に用いられているあらゆる材料を使用できる。
【0029】
本発明の対象は、また、特許請求の範囲に記載の多層シートを使用して製造した光起電力モジュールである。
【0030】
本発明を以下で例示的に詳説する。このために、以下の成形材料を製造した。その際、"部"は、常に質量部である。
【実施例】
【0031】
層Aのためのコンパウンド(O2バリヤ)
95部の、Kuraray社製のEVAL(商標)F101 Bと、5部の二酸化チタンSachtleben R 420とを、二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer ZSK 25 WLE,36 L/D)を用いて220℃のシリンダ温度で混合した。ストランドを、水浴を用いて冷却し、そして切断し、その造粒物を、引き続き80℃で循環空気炉において12時間にわたり乾燥させた。
【0032】
層Bのためのコンパウンド(付着媒介剤)
59.3部のPA612と、18部のPA6と、2部のポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマー(EP1065236号A2に従って、87.063質量%のラウリンラクタムと、0.164質量%のドデカン二酸と、8.205質量%のLupasol(登録商標)G 100(50%)と、0.010質量%の次亜リン酸(50%)と、4.558質量%の完全脱塩水とから製造される)と、0.5部のIRGANOX(登録商標)1098(立体障害フェノール系酸化防止剤)と、0.2部のTINUVIN(登録商標)312(紫外線吸収剤)と、20部の二酸化チタンSachtleben R 420とを、二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer ZSK 25 WLE,36 L/D)を用いて240℃のシリンダ温度で混合した。ストランドを、水浴を用いて冷却し、そして切断し、その造粒物を、引き続き80℃で循環空気炉において12時間にわたり乾燥させた。
【0033】
層Cのためのコンパウンド(中間層)
75.6部のHostalen(登録商標)EPD60R(プロピレン−エチレン−ブロックコポリマー)、4部のLOTADER(登録商標)AX 8900(エチレンと、メチルアクリレートと、グリシジルメタクリレートとからのターポリマー)と、20部のカオリンTEC 110と、0.4部のIRGANOX(登録商標)1010(立体障害フェノール系酸化防止剤)とを、二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer ZSK 25 WLE,36 L/D)を用いて200℃のシリンダ温度で混合した。ストランドを、水浴を用いて冷却し、そして切断し、その造粒物を、引き続き80℃で循環空気炉において12時間にわたり乾燥させた。
【0034】
層Dのためのコンパウンド(付着媒介剤)
55.6部のHostalen(登録商標)EPD60Rと、40部のVESTAMID(登録商標)L1901(PA12)と、4部のLOTADER(登録商標)AX 8900と、0.4部のIRGANOX(登録商標)1010とを、二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer ZSK 25 WLE,36 L/D)を用いて200℃のシリンダ温度で混合した。ストランドを、水浴を用いて冷却し、そして切断し、その造粒物を、引き続き80℃で循環空気炉において12時間にわたり乾燥させた。
【0035】
層Eのためのコンパウンド(外側層、モジュール裏側)
79.3部のVESTAMID(登録商標)L1901 nfと、0.5部のIRGANOX(登録商標)1098と、0.2部のTINUVIN(登録商標)312と、20部の二酸化チタンSachtleben R 420とを、二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer ZSK 25 WLE,36 L/D)を用いて220℃のシリンダ温度で混合した。ストランドを、水浴を用いて冷却し、そして切断し、その造粒物を、引き続き80℃で循環空気炉において12時間にわたり乾燥させた。
【0036】
多層シートの押出
Collin社製の多層シート装置(5層シートのための同時押出フィードブロック)を用いて、5層シート及び4層シートを製造した(加工温度 約230℃)。層厚分布は、以下のとおり調整した:
A/B/C/D/E: 100μm/50μm/150μm/20μm/50μm
B/C/D/E: 50μm/150μm/20μm/50μm(層Aを有さない比較)
結果は、第1表中に示されている。
【0037】
第1表: 例; ISO 15105−2による、23℃及び50%相対湿度でのO2透過性[cm3/(m2・d・バール)]
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層シートを光起電力モジュールの裏面カバーとして用いる使用であって、前記多層シートが、以下の直接順次連続した層:
a)ソーラーセルと向かい合った、成形材料からなる層であって、該成形材料は、少なくとも70質量%が、エチレン−ビニルアルコール−コポリマー(EVOH)からなる前記層と、
b)付着媒介層と、
c)熱可塑性の成形材料からなる中間層と、
d)任意に、付着媒介層と、
e)成形材料からなる外側層であって、該成形材料は、その成形材料に対して、少なくとも35質量%のポリアミド割合を有する前記層と、
を含む前記使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、
− 前記a)の層が、50〜250μmの厚さを有し、
− 前記b)の層が、15〜100μmの厚さを有し、
− 前記c)の層が、100〜500μmの厚さを有し、
− 前記d)の層が、3〜40μmの厚さを有し、かつ
− 前記e)の層が、15〜100μmの厚さを有することを特徴とする、前記使用。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多層シートの使用により得られる光起電力モジュール。

【公開番号】特開2013−86512(P2013−86512A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228282(P2012−228282)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【出願人】(512266187)エボニック インダストリーズ アクチエンゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Industries AG
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】