説明

光路切替型光信号送受信装置および光信号の光路切替方法

【課題】 制御光に係る光源の発光スペクトル帯域、制御光吸収層の吸収スペクトル帯域を有効に活用し、信号光とは波長の異なる複数の制御光を波長多重方式に基づき当該信号光と同一の光路を伝搬させ、光制御方式の複数の光路切替装置を組み合わせる。
【解決手段】 本発明に係る光路切替型光信号送受信装置は、1対7対応の光制御型光路切替装置120,220,320を3段階で組合せ、各段階毎、波長の異なる6個の制御光1001〜1016,1021〜1026,1031〜1036を用いて、光制御方式により、制御光とは波長の異なる1種類の信号光1001の光路を7個の異なる方向1201〜1207へ切り替える。各段階で、制御光および信号光と分離する分波器110等と、制御光を分配する分配器130等と、7個の合波器141〜147等とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信や光情報処理等の光エレクトロニクスやフォトニクスの各分野において活用され、波長多重された複数の制御光の各々を利用して光路の切替を行う光路切替型光信号送受信装置、および光信号の光路切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者等は、先に、新しい原理に基づく光路切替の装置および方法を発明した(特許文献1参照)。この光路切替装置等では、熱レンズ形成素子内の制御光吸収領域に対して、制御光吸収領域が吸収する波長帯域の制御光と、制御光吸収領域が吸収しない波長帯域の信号光とを、各光軸が一致するように収束させて照射し得る構成を有している。この構成によれば、熱レンズ形成素子内の制御光吸収領域への信号光の照射に対して、制御光の照射は選択的に行われる。制御光の照射が信号光の照射と同時に行われないときには信号光が穴付きミラーの穴を通して直進し、他方、制御光の照射が信号光の照射と同時に行われるときには信号光の進行方向に対して傾けて設けた穴付きミラーで反射して光路を変更させる。特許文献1には、1種類の波長の制御光によって制御光の進行方向を2方向に切り替えることができる光制御型光路切替装置が開示されている。この光制御型光路切替装置は以下では「1対2対応光制御型光路切替装置」と記す。
【0003】
さらに、本発明者等は、熱レンズ形成素子および穴付きミラーを複数組み合わせて用いて構成した光制御式の光路切替型光信号伝送装置および光信号光路切替方法を発明した(特許文献2参照)。この光路切替型光信号伝送装置等では、制御光吸収領域が吸収する波長帯域と制御光の波長とを1対1に対応させており、さらに、例えば吸収波長帯域の異なる色素を用いた3種類の制御光吸収領域の熱レンズ形成素子を合計7個組み合わせて使用し、併せて、3種類の波長の制御光の各々の明滅を制御することにより、例えばサーバのデータを8箇所に光制御方式で切り替えて配信するシステムが開示されている。
【0004】
なお上記の特許文献1,2に開示された光路切替の方式では、制御光を照射した場合、熱レンズ効果によって信号光のビーム断面形状はリング状に変化する。そこで、この光路切替方式を以下では「リングビーム方式」と記すこととする。
【0005】
さらに本発明者等は、その後、特許文献3〜6に開示される通り、光路変更方法および光路切替装置を提案した。これらの光路変更方法および光路切替装置によれば、熱レンズ形成光素子中の制御光吸収領域に、制御光吸収領域が吸収する波長帯域の制御光、および制御光吸収領域が吸収しない波長帯域の信号光を入射させ、制御光および信号光は、制御光収領域にて収束するように照射されかつ各々の光の収束点の位置が異なるように照射される。このため、制御光および信号光は、光の進行方向で制御光吸収領域の入射面またはその近辺で収束し、その後、拡散する。これにより、制御光吸収領域内で制御光を吸収した領域およびその周辺領域に温度上昇が起き、当該温度上昇に起因して可逆的に熱レンズの構造が変化し、屈折率が変化し、信号光の進行方向を変化させることができる。特許文献3〜6に記載される光路変更の方式では、制御光を照射しても信号光のビーム断面形状はほぼ円形に保たれる。そこで、当該光路変更の方式を以下では「丸ビーム方式」と記すこととする。
【0006】
特許文献4,5には、1種類の波長の制御光によって制御光の進行方向を2方向に切り替える1対2対応光制御型光路切替装置が開示されている。また特許文献6には、例えば、7芯光ファイバーの中心ファイバーから出射する信号光の光路を、中心ファイバーの周辺に設けられた光ファイバーから出射する制御光によって7方向に切り替える光制御型光路切替装置が開示されている。この光制御型光路切替装置を以下では「1対7対応光制御型光路切替装置」と記す。また特許文献7には、1対7対応光制御型光路切替装置に用いられる端面近接多芯光ファイバーおよびその製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3809908号公報
【特許文献2】特許第3906926号公報
【特許文献3】特開2007−225825号公報
【特許文献4】特開2007−225826号公報
【特許文献5】特開2007−225827号公報
【特許文献6】特開2008−083095号公報
【特許文献7】特開2008−076685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特に、上記の特許文献2に開示された光路切替型光信号伝送装置等の構成によれば、制御光吸収領域が吸収する波長帯域と制御光の波長とを1対1に対応させているため、制御光波長を例えば5nm刻みに細かく、組み合わせて使用することが困難であるという課題があった。
【0009】
そこで、近年、制御光の波長が例えば5nm刻みに細かく設定された多数の制御光を用意し、これらの制御光を組み合わせて利用することにより多数段階の光制御型光路切替装置を構築し、送信側の1種類以上の信号光の光路を、受信側の複数個の異なる方向へ切り替えるようにできる制御光波長多重方式に基づく光路切替型光信号送受信システムが要望されている。
【0010】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、制御光に係る光源の発光スペクトル帯域、および制御光吸収層の吸収スペクトル帯域を有効に活用し、信号光とは波長の異なる複数の制御光を波長多重方式に基づき当該信号光と同一の光路を伝搬させ、光制御方式の複数の光路切替装置を組み合わせてなる制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置および光信号の光路切替方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光路切替型光信号送受信装置および光信号の光路切替方法は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0012】
請求項1の本発明に係る光路切替型光信号送受信装置は、
Nを1以上の整数としかつMを2以上の整数とするとき、波長の異なるN個の制御光を用いて、光制御方式により、制御光とは波長の異なる1種類以上の信号光の光路を、(N+1)個の異なる方向へ切り替えるM段階の光制御型光路切替装置を備える光路切替型光信号送受信装置であって、
送信側に配置される1以上の光信号送受信装置と、
受信側に配置される1以上の光信号送受信装置と、
KをM×Nとするとき、K種類の波長の制御光を出力するK個の制御光光源と、
送信側の光信号送受信装置と制御光光源の動作を電子制御配線を介して制御する電子制御装置と、
K種類の波長の制御光と信号光を混合して出力する合波器と、
を備え、
M段階の前記光制御型光路切替装置の各段階で、
前段の合波器から出力される信号光と制御光を同一経路で伝搬させる光路と、
Lを1以上でかつM以下の整数とするとき、L段目の光制御型光路切替装置を制御するためのN種類の波長の制御光を、L段目以降の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光および信号光と分離する分波器と、
RLを0以上でかつ(N+1)以下の整数とするとき、L段目の光制御型光路切替装置で光路切替された信号光の光路に接続されるRL個の受信側の光信号送受信装置と、
前記分波器で分離された、L段目以降の光制御型光路切替装置を制御するための波長を有する制御光を((N+1)−RL)個に分配する分配器と、
L段目の光制御型光路切替装置で(N+1)個の異なる方向に光路が切り替えられ、L段目以降への光路を進む信号光の各々と、((N+1)−RL)個に分配された、L段目以降の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光を混合して光路に導くための合波器と、を備える、
ことで特徴づけられる。
【0013】
上記の構成において、Nを6とし、Mを3とし、Kを18とし、Lを1〜3のうちいずれかの整数とし、RLを0〜7のいずれかの整数とし、かつ信号光を1種類であるとするとき、光制御型光路切替装置は3段階で構成される。
【0014】
上記の構成において、Pを2以上の整数とするとき、M段階の光制御型光路切替装置の各々は1対P対応光制御型光路切替装置である。
【0015】
上記の構成において、Pは2または7である。
【0016】
上記の構成において、1対7対応の光制御型光路切替装置は、信号光透過・制御光吸収層を有する熱レンズ形成素子を含み、制御光出射側および信号光受光側の光路は7芯光ファイバーである。
【0017】
上記の構成において、信号光は1500〜1600nmの範囲に含まれる波長の光であり、5nm毎に波長の異なる光を波長多重で用い、制御光は、1260〜1400nmの範囲に含まれる波長の光であり、5nm毎に波長の異なる光を波長多重で用いることを特徴とする。
【0018】
請求項7の本発明に係る光路切替型光信号送受信装置は、
各段階毎、波長の異なる6個の制御光を用いて、光制御方式により、制御光とは波長の異なる1種類の信号光の光路を7個の異なる方向へ切り替える3段階の1対7対応の光制御型光路切替装置を備える光路切替型光信号送受信装置であって、
送信側に配置され、信号光を出力する光信号送受信装置と、
受信側に配置される1以上の光信号送受信装置と、
各段階毎、6種類の波長の制御光を出力する6個の制御光光源と、
送信側の光信号送受信装置と制御光光源の動作を電子制御配線を介して制御する電子制御装置と、
6種類の波長の制御光と1種類の信号光を混合して出力する合波器と、
を備え、
3段階の光制御型光路切替装置のうち1段目と2段目の段階で、
前段の合波器から出力される信号光と制御光を同一経路で伝搬させる光路と、
当該段階の光制御型光路切替装置を制御するための6種類の波長の制御光を、当該段階以降の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光および信号光と分離する分波器と、
分波器で分離された、後段の光制御型光路切替装置を制御するための波長を有する制御光を7個に分配する分配器と、
当該段階での光制御型光路切替装置で7個の異なる方向に光路が切り替えられ、さらに後段への光路を進む信号光の各々と、7個に分配された、後段の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光を混合して光路に導くための7個の合波器とを備え、
3段階の光制御型光路切替装置のうち第3段目の段階で、
前段の合波器から出力される信号光と制御光を同一経路で伝搬させる光路と、
当該段階の光制御型光路切替装置を制御するための6種類の波長の制御光を信号光と分離する分波器と、を備え、
当該段階での光制御型光路切替装置で、分波器から出力される6種類の波長の制御光を用いて、7個の異なる方向に光路が切り替えられ、これらの7個の光路のそれぞれに光信号送受信装置が接続される、ことで特徴づけられる。
【0019】
請求項8の本発明に係る光路切替型光信号送受信装置は、
各段階毎、波長の異なる2個の制御光を用いて、光制御方式により、制御光とは波長の異なる1種類の信号光の光路を2個の異なる方向へ切り替える2段階の1対2対応の光制御型光路切替装置を備える光路切替型光信号送受信装置であって、
送信側に配置され、信号光を出力する光信号送受信装置と、
受信側に配置される1以上の光信号送受信装置と、
各段階毎、2種類の波長の制御光を出力する2個の制御光光源と、
送信側の光信号送受信装置と制御光光源の動作を電子制御配線を介して制御する電子制御装置と、
2種類の波長の制御光と1種類の信号光を混合して出力する合波器と、
を備え、
2段階の前記光制御型光路切替装置の各段階で、
前段の合波器から出力される信号光と制御光を同一経路で伝搬させる光路と、
当該段階の光制御型光路切替装置を制御するための制御光を、後段の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光および信号光と分離する分波器と、
当該段階の光制御型光路切替装置で2個の異なる方向に光路が切り替えられ、さらに後段への光路を進む信号光と、分配された、後段の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光を混合して光路に導くための合波器と、を備える、
ことで特徴づけられる。
【0020】
請求項9の本発明に係る光路切替型光信号送受信装置は、
各段階毎、波長の異なる6個の制御光を用いて、光制御方式により、制御光とは波長の異なる1種類の信号光の光路を7個の異なる方向へ切り替える3段階の1対7対応の光制御型光路切替装置を備える光路切替型光信号送受信装置であって、
送信側に配置され、信号光を出力する光信号送受信装置と、
受信側に配置される1以上の光信号送受信装置と、
各段階毎、6種類の波長の制御光を出力する6個の制御光光源と、
送信側の光信号送受信装置と制御光光源の動作を電子制御配線を介して制御する電子制御装置と、
6種類の波長の制御光と1種類の信号光を混合して出力する合波器と、
を備え、
3段階の光制御型光路切替装置のうち1段目と2段目の段階で、
前段の合波器から出力される信号光と制御光を同一経路で伝搬させる光路と、
当該段階の光制御型光路切替装置を制御するための6種類の波長の制御光を、当該段階以降の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光および信号光と分離する分波器と、
分波器で分離された、後段の光制御型光路切替装置を制御するための波長を有する制御光を7より小さい数で分配する分配器と、
光制御型光路切替装置で光路切替された信号光の一部の光路に接続される1以上の受信側の光信号送受信装置と、
光制御型光路切替装置で7個の異なる方向に光路が切り替えられ、さらに後段への光路を進む信号光の各々と、後段の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光を混合して光路に導くための複数の合波器と、を備える、
ことで特徴づけられる。
【0021】
請求項11の本発明に係る光信号の光路切替方法は、
Nを1以上の整数としかつMを2以上の整数とするとき、波長の異なるN個の制御光を用いて、光制御方式により、制御光とは波長の異なる1種類以上の信号光の光路を、(N+1)個の異なる方向へ切り替える光制御型光路切替装置をM段階組み合わせる光路切替方法であって、
KをM×Nとするとき、K種類の波長の制御光光源を、信号光の目的とする光路に導くために所定時間で明滅させ、
M段階の各段階で、
信号光と制御光とを同一の光路で伝搬させ、
K種類の波長の制御光を混合して光路に導き、
Lを1以上であってM以下の整数とするとき、L段目の光制御型光路切替装置を制御するためのN種類の波長の制御光を、L段目以降の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光および信号光と分波し、
L段目の光制御型光路切替装置を制御するためのN種類の波長の制御光のいずれか1つの波長の制御光を点灯することによってL段目の信号光の光路をN種類の方向のいずれか1つに切り替え、
分波された、L段目以降の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光を(N+1)個に分配し、
RLを0以上かつ(N+1)以下の整数として、L段目で光路切替された信号光の光路をRL個の光信号送受信装置に接続して送受信を行わせ、
L段目の光制御型光路切替装置でN種類の方向に光路が切替られた信号光の各々と、((N+1)−RL)個に分配された、L段目以降の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光を合波して次段への光路に導き、
送信側の光信号送受信装置と受信側の光信号送受信装置と間の光路を選択的に切替接続させる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る光路切替型光信号送受信装置および光信号の光路切替方法は、次の効果を奏する。
【0023】
第1に、代表的に1対7対応光制御型光路切替装置または1対2対応光制御型光路切替装置等を利用して多段構造で、制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置を構築したため、制御光の波長が例えば5nm刻みに細かく設定された多数の制御光を利用でき、制御光に係る光源の発光スペクトル帯域、および制御光吸収層の吸収スペクトル帯域を有効に活用することができる。
【0024】
第2に、制御光送信側の光信号送受信装置、制御光光源、信号光および制御光の電子制御装置、および終端側の光信号送受信装置等の各々については電子回路との接続があるが、その他の光信号伝送路および光路切替装置部分については、電気信号を一切用いず、光信号の光路切替伝送を行うことができる。特に、終端側の光信号送受信装置が電気信号を用いない受動型光センサー等の場合、制御光送信側の光信号送受信装置、制御光光源、信号光および制御光の電子制御装置の部分以外は、一切、電気信号を用いない光信号送受信システムを構築することができる。
【0025】
第3に、光路切替に要する時間を、丸ビーム方式の1対7対応光制御型光路切替装置を用いる場合、10ミリ秒以内、リングビーム方式の1対2対応光制御型光路切替装置を用いる場合、250マイクロ秒以内とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置における第1段目の光路切替装置を示すブロック構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置における第2段目の光路切替装置を示すブロック構成図である。
【図3】第1の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置における第3段目の光路切替装置を示すブロック構成図である。
【図4】第1の実施形態において使用される丸ビーム方式光路切替装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】図4におけるA−A’線断面図であり、7芯光ファイバーの光出射側端面を模式的に示す図である。
【図6】図4におけるB−B’線断面図であり、7芯光ファイバーの受光側端面を模式的に示す図である。
【図7】第1の実施形態の光路切替型光信号送受信装置に用いられる制御光光源の半導体レーザーの発振スペクトルを示すグラフである。
【図8】本発明の第1の実施形態の光路切替型光信号送受信装置に用いられる光制御型光路切替装置の熱レンズ形成素子の信号光透過・制御光吸収層の吸収スペクトルを示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施形態の制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置を概念的に示すブロック構成図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置における第1段目の光路切替装置を示すブロック構成図である。
【図11】第3の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置における第2段目の光路切替装置を示すブロック構成図である。
【図12】第3の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置における第3段目の光路切替装置を示すブロック構成図である。
【図13】本発明の第4の実施形態の制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置における第1段目の光路切替装置を示すブロック構成図である。
【図14】第4の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置における第2段目の光路切替装置を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0028】
〔第1の実施形態〕
図1〜図8を参照して本発明の第1の実施形態に係る制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置を説明し、併せて光信号の光路切替方法を説明する。第1の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置は、複数の光路切替装置を組合せ、例えば3段構造のような多段構造を有している。この場合、制御光送信側の光信号送受信装置と他端の光信号送受信装置の間を伝搬する信号光が経由する光路切替装置の個数は光路切替された全ての経路において3である。第1の実施形態に係る光路切替装置の各々には、特許文献6に記載された前述の1対7対応光制御型光路切替装置を使用しており、第1段目では光路切替装置を1個、第2段目では光路切替装置を7個、第3段目では光路切替装置を49個、用いている。制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受装置は、波長の異なる複数の制御光を多重にして使用し、例えば、信号光の光路を第1段目の光路切替装置では7方向に切り替え、第2段目の光路切替装置では合計49(7×7)方向に切り替え、第3段目の光路切替装置では合計343(7×7×7)方向に切り替えることにより、送信側(起点側)と受信側(最終段側)との間で光信号の送受信を行う。なお多段構造は、3段構造が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0029】
図1は1組の第1段目の光路切替装置の構成を示し、図2は7組が用いられる第2段目の光路切替装置のうちの1組の構成を示し、図3は49組が用いられる第3段目の光路切替装置のうちの1組の構成を示す。第1段目から第3段目の光路切替装置はいずれも1対7対応光制御型光路切替装置である。図4は、合計57組が用いられる1対7対応光制御型光路切替装置の具体的な構成例を示す。また図5は、図4のA−A’線に沿った断面図を示し、7芯光ファイバーの光出射側端面を模式的に示す。図6は図4のB−B’線に沿った断面図を示し、7芯光ファイバーの受光側端面を模式的に示す。さらに図7は第1の実施形態の光路切替型送受信装置に用いられる制御光光源の半導体レーザーの発振スペクトルを示す。図8は第1の実施形態の光路切替型信号送受信装置に用いられる光制御型光路切替装置の熱レンズ形成素子の信号光透過・制御光吸収層の吸収スペクトルを示す。
【0030】
なお本実施形態では、特許文献7に記載した端面近接多芯光ファイバーのうち、図4〜図6に示したように7芯光ファイバーを用いた1対7対応光制御型光路切替装置を複数組み合わせて用いている。
【0031】
ここで、特許文献6に記載のように7芯光ファイバーの中心光ファイバー・コアに信号光を、6本の周辺光ファイバー・コアに制御光(N種類制御光のNが6の場合に相当)を伝搬させるが、6本の周辺光ファイバー・コア全てに制御光を伝搬させる必要はなく、周辺光ファイバー・コアのいずれか特定の1,2,3,4,5本にのみ制御光(N種類制御光のNが1,2,3,4,5の場合に相当)を伝搬させることで、各々、1対N足す1、すなわち、1対2、1対3、1対4、1対5、および、1対6対応光制御型光路切替装置として作動させることができる。
【0032】
また、特許文献7に記載の端面近接多芯光ファイバーは、同じクラッド径のシングルモード光ファイバーを19芯、37芯、61芯等、最密充填構成で束ねて構成することができるが、その中心光ファイバー・コアに信号光を、周辺光ファイバー・コアに制御光を伝搬させることで、特許文献6に記載の1対7対応光制御型光路切替装置の場合と同様にして、19芯光ファイバーを用いて1対8〜20対応、37芯光ファイバーを用いて1対21〜38対応、61芯光ファイバーを用いて1対39〜62対応の光制御型光路切替装置を構成し、作動させることが可能である。
【0033】
まず光路切替型光信号送受信装置およびその光路切替方法を説明し、次いで、光路切替型光信号送受信装置を構成する個々の部品の詳細について説明する。
【0034】
図1〜図3において、第1の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置は、光ファイバー等からなる光路1001の制御光送信側の一端に接続された1つの光信号送受信装置1と、多数の光路3201等の各々の終端に接続された複数の光信号送受信装置3301等との接続を、3段に組み合わされた光制御型光路切替装置120,220,320などによって切り替えるものである。
【0035】
光信号送受信装置1は例えば送信側(起点側)の光信号送受信装置であり、その個数は1に限定されず、1以上であっても良い。複数の光信号送受信装置3301等は例えば受信側(最終段側)の光信号送受信装置である。以上の送信側と受信側は逆の役割にすることもできる。
なお、図1では光信号送受信装置1を1基のみ図示しているが、複数の光信号送受信装置から信号光1001として複数の波長の信号光を多重に送信し、受信時に分波して各々受信しても良い。また、複数の光信号送受信装置が各々用いる、複数の異なる波長の信号光を分波した後、切り替えて送受信しても良い。
【0036】
ここで「光路」とは、空間、光ファイバー、または光導波路等の光伝送経路のことを意味する。
【0037】
なお、伝搬する「光」そのものを図示することはできないので「空間を伝搬する光の光路」や「光ファイバーのコアを伝搬する光路」を図示することで、その光路を伝搬する「光」を表現するものとし、「光およびその光路」という表現をする。
【0038】
光制御型光路切替装置120,220,320を駆動し、信号光の光路を予め選択された特定の組合せに切り替えるための複数の波長の制御光は、複数の制御光光源11〜16,21〜26,31〜36から選択的に発振される。光路の両端にある光信号送受信装置1および光信号送受信装置3301等との信号光のやり取りに同期するよう、信号光および制御光の電子制御装置10から、信号光および制御光の電子制御配線101を通じて送られる制御電子信号によって、複数の制御光光源11〜16,21〜26,31〜36の明滅の組合せが選択される。制御光光源11〜16は第1段目(光制御型光路切替装置120)の光路切替用の制御光光源であり、制御光光源21〜26は第2段目(光制御型光路切替装置220)の光路切替用の制御光光源であり、制御光源31〜36は第3段目(光制御型光路切替装置320)の光路切替用の制御光光源である。
【0039】
複数の制御光光源11〜16,21〜26,31〜36からの複数の波長の制御光1011〜1016,1021〜1026,1031〜1036と、光路1001を正方向および逆方向に進む信号光は、合波器100によって合波され、その後、共通の1つの光路1100を進行し、分波器110にて、信号光1101および第1段目光路切替用の制御光1111〜1116の各々と、第2段目および第3段目光路切替用の制御光の一群1300とに分波される。
【0040】
分波器110にて独立に分波された信号光1101は、第1段目の光制御型光路切替装置120の中心の光ファイバー・コア(図5に示した符号400に相当する)に接続される。また、分波器110にて波長別に分波された第1段目光路切替用の制御光1111〜1116の各々は、第1段目の光制御型光路切替装置120の周辺の光ファイバー・コア(図5に示された符号401〜406の各々に相当する)に接続される。第1段目光路切替用の制御光光源11〜16に対応した制御光1111〜1116の明滅に応じて、信号光1101は第1段目の光制御型光路切替装置120の7本の出射側光ファイバー・コア(図6の符号421〜426,420に相当する)のいずれかに光路切替され、信号光1201〜1207のいずれかとして第2段目に進む。
【0041】
ここで、分波器110で分波された第2段目および第3段目の光路切替用の制御光の一群1300は分配器130によって制御光群1301〜1307の7つのビームに等分され、さらに、7基の合波器141〜147によって、上記の信号光1201〜1207と合波され、第2段目への光路1411,1421,1431,1441,1451,1461,1471を進む。第2段目の光路への切替は、第1段目の制御光光源11〜16のいずれかが点灯する6通りに加え、全てが消灯した状態の1通りの合計7通りが選択される。
【0042】
第2段目への7系統の光路を進む光の内容は、光路切替された信号光と7分割された制御光群であり、同等である。そこで、以下の説明は、図2に示すように、7系統の光路の1つである光路1411が接続する第2段目の装置について述べる。他の6本の光路についても、以下同様にして第2段目以降の光路切替が行われる。
【0043】
一筋の光路1411を進む信号光および制御光群は、分波器210にて、信号光2101および第2段目光路切替用の制御光2121〜2126の各々と、第3段目光路切替用の制御光の一群2300に分波される。
【0044】
分波器210にて独立に分波された信号光2101は、第2段目の光制御型光路切替装置220の中心の光ファイバー・コア(図5の符号400に相当する)に接続される。また、分波器210にて波長別に分波された第2段目光路切替用の制御光2121〜2126の各々は、第2段目の光制御型光路切替装置220の周辺の光ファイバー・コア(図5の符号401〜406に相当する)に接続される。第2段目光路切替用の制御光源21〜26に対応した制御光2121〜2126の明滅に応じて、信号光2101は第2段目の光制御型光路切替装置220の7本の出射側光ファイバー・コア(図6の符号421〜426,420に相当する)のいずれかに光路切替され、信号光2201〜2207のいずれかとして第3段目に進む。
【0045】
ここで、分波器210で分波された第3段目光路切替用の制御光の一群2300は分配器230によって制御光群2301〜2307の7つのビームに等分され、さらに、7基の合波器241〜247によって、信号光2201〜2207と合波され、第3段目への光路2411,2421,2431,2441,2451,2461,2471を進む。第3段目の光路への切替は、第2段目の制御光光源21〜26のいずれかが点灯する6通りに加え、全てが消灯状態の1通りの合計7通りが選択される。
【0046】
第2段目の1対7対応光制御型光路切替装置220と同等のものが、全部で7個設けられ、各々で7方向の光路切替が行われる。従って、第1段目に続く第2段目では、7×7、すなわち49通りの光路が合計12個の制御光光源11〜16,21〜26の明滅の組合せで選択され、切り替えられる。
【0047】
第3段目への49系統の光路を進む光の内容は、光路切替された信号光と合計49分割された制御光群であり、同等である。そこで、以下の説明は、図3に示すように、49本の光路の1つである光路2411が接続する第3段目の装置について述べる。他の48本の光路についても、以下同様にして第3段目の光路切替が行われる。
【0048】
一筋の光路2411を進む信号光および制御光群は、分波器310にて、信号光3101および第2段目光路切替用の制御光3131〜3136の各々に分波される。
【0049】
分波器310にて独立に分波された信号光3101は第3段目の1対7対応光制御型光路切替装置320の中心の光ファイバー・コア(図5の符号400に相当する)に接続される。また、分波器310にて波長別に分波された第3段目の光路切替用の制御光3131〜3136の各々は、第3段目の1対7対応光制御型光路切替装置320の周辺の光ファイバー・コア(図5の符号401〜406に相当する)に接続される。第3段目光路切替用の制御光源31〜36に対応した制御光3131〜3136の明滅に応じて、信号光3101は第3段目の光制御型光路切替装置320の7本の出射側光ファイバー・コア(図6の符号421〜426,420に相当する)のいずれかに光路切替され、信号光3201〜3207のいずれかとして各々、終端の光信号送受信装置3301〜3307に進む。
【0050】
第3段目の光制御型光路切替装置320と同等のものが合わせて49個設けられ、各々で7方向の光路切替が行われる。従って、第1段目から第3段目では、7の3乗、すなわち343通りの光路が合計18個の制御光光源の明滅の組合せで選択され、切り替えられる。
【0051】
以下、個々の装置構成要素の詳細について説明する。
【0052】
制御光光源11〜16,21〜26,31〜36と同じ側(送信側または起点)に設けられる光信号送受信装置1と、光路切替された終端(受信側または最終段)に設けられる光信号送受信装置3301等の仕様は、相補的に決定され、以下のような組合せを例示することができる。
【0053】
(1) 制御光光源と同じ側に設けられる光信号送受信装置1、および、光路切替された終端に設けられる光信号送受信装置3301等、いずれも電気信号を光信号に変換して送信および受信を行うことのできる装置である。
具体的には、電気信号に対応して明滅する信号光光源、受光した信号光を電気信号に変換する受光部、自分が送信する信号光と受信する信号光とを、波長の違いによって分離するダイクロマティックミラー、信号光光源の温度を制御するためのペルチェ素子およびその制御電子回路等からなる光信号送受信装置である。
(2) 制御光光源と同じ側に設けられる光信号送受信装置1は、光信号を送信する機能のみを有し、光路切替された終端に設けられる光信号送受信装置3301等は光信号を受信する機能のみを有する。
(3) 制御光光源と同じ側に設けられる光信号送受信装置1は、光信号を受信する機能のみを有し、光路切替された終端に設けられる光信号送受信機3301等は光信号を送信する機能のみを有する。
(4) 制御光光源と同じ側に設けられる光信号送受信装置1は、光信号を送信する機能および受信する機能を有し、光路切替された終端に設けられる光信号送受信装置3301等はミラーを設けた光ファイバーセンサーである。
この場合、光路切替された終端に設けられる光信号送受信装置3301等は光学的受動素子であり、電気信号による制御および電力を必要としない。
【0054】
ここで、光ファイバーセンサーとしては、例えば、光ファイバー末端のミラー部近傍の光ファイバー外周に回折格子を設け、温度変化による回折格子の寸法の変化を信号光の波長変化として検出する光ファイバー温度センサー、末端端面にミラーを設け、光ファイバーの屈曲状態変化をドップラー効果による波長変化として検出する光ファイバードップラーセンサー、光ファイバー末端のミラー部近傍の光ファイバー内部に放射線によって、当該光ファイバーを透過する波長の蛍光ないし燐光を放射する光ファイバー型シンチレーター等が用いられる。
【0055】
信号光の波長としては、制御光の波長帯域とは異なる波長である。光制御型光路切替装置の熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層40を透過する波長であれば、光路の透過特性に応じて、任意の波長を用いることができる。光路として光通信用シングルモード光ファイバーを用いる場合、シングルモードで伝送可能な波長は概ね1260nmから1600nmの間にある。例えば、制御光の波長帯域として1260nmから1400nmを使用する場合、熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層として波長1200nmから1450nmの光を吸収する色素を用いると、信号光として1500nmから1600nmの波長の光を用いることができる。
【0056】
従って、信号光として、例えば5nm毎に波長の異なる光を波長多重で用いることができる。信号光の光源としては、例えば、温度制御された半導体レーザーを好適に用いることができる。
【0057】
制御光の波長としては、信号光の波長帯域とは異なる波長である。光制御型光路切替装置の熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層に吸収される波長であれば、光路の透過特性に応じて、任意の波長を用いることができる。光路として光通信用シングルモード光ファイバーを用いる場合、シングルモードで伝送可能な波長は概ね1260nmから1600nmの間にある。例えば、信号光の波長帯域として1500nmから1600nmを使用する場合、熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層として波長1200nmから1450nmの光を吸収する色素を用いると、制御光として1260nmから1400nmの波長の光を用いることができる。
【0058】
従って、制御光として、例えば5nm毎に波長の異なる光を波長多重で用いることができる。
【0059】
制御光の光源としては、例えば、InAs/GaAs量子ドット構造半導体レーザーを好適に用いることができる。半導体レーザーは素子中のレーザー発振キャビティの寸法に応じた波長で発振するため、発振波長を安定化させるためには温度制御を精密に行う必要がある。温度センサーとペルチェ素子を用いた温度制御装置によって制御光光源の温度を0℃近辺から50℃程度の温度範囲において、±0.1℃よりも高精度で制御することができる。半導体レーザーの発振波長帯域は半導体素子に流す電流によっても変化する。制御光光源の半導体レーザーの温度および電流を適切に制御することによって、例えば5nm毎に波長の異なる制御光を発信させることができる。
【0060】
また、半導体レーザーの構造によっては、複数の波長の光を安定して、同時に発振可能である。図7に制御光光源の半導体レーザーの発振スペクトルの例を示す。この半導体レーザー1個から、波長5nm毎に、平均出力28mWで波長1260nmおよび1275nm、および、平均出力58mWで波長1265nmおよび1270nmの4種類の波長の制御光を取り出して使用することができる。1つの制御光光源から複数の波長の制御光が発振する場合、異なる波長の制御光を各々明滅するためには、制御光光源からの波長多重制御光を、波長選択透過フィルターにて分波し、波長毎に、例えば電気光学効果光スイッチにてオン・オフする。
制御光の強度については後に分波器130等に関連して述べる。
【0061】
光制御型光路切替装置120等の熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層40としては、例えば、赤外線吸収色素として、日本カーリット製CIR−1081やCIR−1085をシクロヘキサノン溶液として好適に用いることができる。第1の実施形態の光路切替型光信号送受信装置に用いられる光制御型光路切替装置120等の熱レンズ形成素子の信号光透過・制御光吸収層の吸収スペクトルの一例を図8に示す。制御光および信号光と吸収スペクトルの関係を図8中に白矢印および点線で示す。波長1260,1265,1270,1275nmの4種類の制御光は、図8内の左側の白矢印が示すように、光制御型光路切替装置120等の熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層40の吸収帯域にある。一方、波長1550nmの信号光は図8内の右側の白矢印が示すように光制御型光路切替装置120等の熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層40の透過帯域にある。
【0062】
第1の実施形態の光路切替型光信号送受信装置では、信号光の波長として、例えば、第1段目の光制御型光路切替装置120の1台を駆動するために、6種類の波長1260nm、1265nm、1270nm、1275nm、1280nm、1285nmの1群の制御光を使用する。第2段目の光制御型光路切替装置220等、合計7台を駆動するために6種類の波長1290nm、1295nm、1300nm、1305nm、1310nm、1315nmの1群の制御光を使用する。さらに、第3段目の光制御型光路切替装置320等、合計49台を駆動するために6種類の波長1320nm、1325nm、1330nm、1335nm、1340nm、1345nmの1群の制御光を使用する。制御光の波長は合計18種類である。これら3群の制御光帯域の吸収スペクトル特性に応じて、第1の実施形態の光路切替型光信号送受信装置で用いられる第1段目、第2段目、第3段目の光制御型光路切替装置120,220,230の各々の熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層40における色素の濃度は、当該制御光群の波長に応じ、吸光度2ないし3の範囲になるよう、適宜、調整することが好ましい。例えば、図8に示すような吸収スペクトル特性の熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層40を有する光制御型光路切替装置は第1段目には好適に用いられる。
【0063】
しかるに第2段目の光制御型光路切替装置220等、合計7台を駆動するための6種類の波長のうち1305〜1315nmに関しては吸光度が2を下回る。この場合、第2段目の光制御型光路切替装置220における熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層40の色素濃度は、第1段目におけるよりも、1.1〜1.2倍高濃度にすることが好ましい。
【0064】
同様にして、第3段目の光制御型光路切替装置320等、合計49台を駆動するための6種類の波長1320〜1345nmに関しては第3段目の光制御型光路切替装置320における熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層40の色素濃度は、第1段目におけるよりも1.5〜1.6倍高濃度にすることが好ましい。
【0065】
合波器100としては、例えば波長1500〜1600nmの信号光を透過し、波長帯域1260〜1400nmの制御光を反射する特性の波長選択反射ミラーを用いることができる。
【0066】
合波器100に接続する光路1100としては、空間、光ファイバー、または光導波路等の光伝送経路を用いることができるが、第1の実施形態では、光通信用シングルモード光ファイバーを用いることとする。
【0067】
分波器110は、信号光1101および第1段目光路切替用の制御光1111〜1116の各々と、第2段目および第3段目光路切替用の制御光の一群1300に分波するものである。分波器110は具体的には、或る波長よりも長い波長は透過し、当該波長よりも短い波長は反射する波長選択透過・反射ミラー(エッジ・フィルター)または或る波長よりも長い波長は反射し、当該波長よりも短い波長は透過するエッジ・フィルター、および、特定の波長のみを選択的に反射または透過するミラー(バンドパス・フィルター)を適宜に組み合わせたものである。その動作は、例えば、まず、1500nmよりも長波長を選択的に反射(または透過)するエッジ・フィルターによって信号光1101を分離し、次いで波長1290〜1400nmの光を選択的に反射(または透過)するエッジ・フィルターによって第2段目以降への制御光群1300を分離し、さらに、第1段目の光制御型光路切替装置120のための制御光1111〜1116(例えば波長1260〜1285nm)を各々の波長に対応するエッジ・フィルターで分波することができる。
【0068】
第1の実施形態の制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置で用いられる第1段目、第2段目、3段目の光制御型光路切替装置120,220,230の動作は同等であるので、以下、第1段目を例にとり、詳細を説明する。
【0069】
図4に示すように、第1段目の光制御型光路切替装置120において、信号光4200は、制御光の照射がない場合、制御光出射側の7芯光ファイバー440の中心コア400から出射し、直進して信号光受光側7芯光ファイバー450の中心コア420へ入射する。
【0070】
図4において、矢印4001は光制御型光路切替装置120での制御光の進行方向を示す。制御光4010または4020等、および信号光4200が、熱レンズ形成素子47の信号光透過・制御光吸収層40またはその近辺にて収束し、かつ制御光4010または4020等、および信号光4200の各々の収束点の位置が光軸に対し垂直方向で相異なるように照射される。制御光4010または制御光4020等の波長は、信号光透過・制御光吸収層40が吸収する波長帯域から選ばれる。信号光4200の波長は、信号光透過・制御光吸収層40が吸収しない波長帯域から選ばれる。制御光4010または制御光4020等と信号光4200は、信号光透過・制御光吸収層40またはその近辺に各々収束して入射され、1つ以上の制御光4010または制御光4020等の各々の照射の有無および各々の照射強度に応じ、信号光透過・制御光吸収層40内にて制御光を吸収した領域およびその周辺領域に起こる温度上昇に起因する屈折率変化により、信号光の進行方向を変える。進行方向が変えられた信号光4201または信号光4202等は、光路切替要求に応じ、受光側の光ファイバー・コア420〜426に選択的に入射される。光路切替された信号光は、受光側の光ファイバー以外に、後段の光学素子へ空間結合させても良い。
【0071】
第1段目の光制御型光路切替装置120の受光側の光ファイバー・コア420〜426に入射した、7方向に光路切替された信号光1201〜1207は、各々、合波器141〜147に導かれる。合波器141〜147に導かれる信号光は、光路として受光側の光ファイバーを用いず、空間を伝搬させても良い。
【0072】
一方、分波器110で分波された第2段目以降への制御光群1300は分配器130によって制御光群1301〜1307の7つのビームに等分され、さらに、7基の合波器141〜147によって、信号光1201〜1207と合波され、第2段目への光路1411,1421,1431,1441,1451,1451.1461,1471を進む。
【0073】
分配器130としては、公知のビームスプリッターを好適に用いることができる。1対7分岐のビームスプリッターだけでなく、既製の1対8分岐のビームスプリッターを7分岐用に用いても良い。
【0074】
第1の実施形態の光路切替型光信号送受信装置において、第1段目の1対7対応光制御型光路切替装置120に供給される制御光パワーは、制御光光源11〜16から合波器100、光路1100および分波器110における伝送ロスを考慮した上で、第1段目の1対7対応光制御型光路切替装置120の直前において10〜40mWであることが好ましく、20〜30mWであればより好ましい。制御光パワーが10mWよりも小さいと、充分な光路切替が行えない。また制御光パワーが40mWを越えると、信号光透過・制御光吸収層40を構成する色素溶液の溶剤が沸騰し信号光が遮断される。
【0075】
第1の実施形態の光路切替型光信号送受信装置において、第2段目の1対7対応光制御型光路切替装置220に供給される制御光は、制御光光源21〜26から合波器100、光路1100、分波器110を経由した後、分配器130にて7分割され、さらに光路1301等、合波器141等、光路1411等、分波器210等を経由する。そこで、第2段目の1対7対応光制御型光路切替装置220に供給される制御光パワーは、上記経路における伝送ロスおよび7分割を考慮した上で、第2段目の1対7対応光制御型光路切替装置220の各々の直前において10〜40mWであることが好ましく、20〜30mWであればより好ましい。制御光パワーが10mWよりも小さいと、充分な光路切替が行えない。また、制御光パワーが40mWを越えると、信号光透過・制御光吸収層40を構成する色素溶液の溶剤が沸騰し信号光が遮断される。特定の波長の制御光光源1基では必要とする制御光パワーに足りない場合は、同一波長で発振する半導体レーザーを複数、同期させて明滅させ、出射したレーザーを合波して用いれば良い。
【0076】
上記の光路切替型光信号送受信装置において、第3段目の1対7対応光制御型光路切替装置に供給される制御光は、制御光光源31〜36から合波器100、光路1100、分波器110を経由した後、分配器130にて7分割され、次に光路1301等、合波器141等、光路1411等、分波器210等、光路2300を経由し、次に分配器230にて7分割され、さらに光路2301等、合波器241等、光路2411等を経由する。そこで、第3段目の1対7光制御型光路切替装置320に供給される制御光パワーは経路における伝送ロスおよび2回の7分割すなわち49分割を考慮した上で、第3段目の1対7対応光制御型光路切替装置320の各々の直前において10〜40mWであることが好ましく、20〜30mWであればより好ましい。制御光パワーが10mWよりも小さいと、充分な光路切替が行えない。また、制御光パワーが40mWを越えると、信号光透過・制御光吸収層40を構成する色素溶液の溶剤が沸騰し信号光が遮断される。特定の波長の制御光光源1基では必要とする制御光パワーに足りない場合は、同一波長で発振する半導体レーザーを複数、同期させて明滅させ、出射したレーザーを合波して用いれば良い。
【0077】
合波器141〜147としては、例えば波長1500〜1600nmの信号光を透過し、波長帯域1260〜1400nmの制御光を反射する特性の波長選択反射ミラーを用いることができる。合波器141〜147として2本のシングルモード光ファイバーのコア部分を融着させた光ファイバー型合波器を用いることもできる。
【0078】
前述のように第2段目への7系統の光路1411,1421,1431,1441,1451,1461,1471を進む光の内容は、光路切替された上記信号光と7分割された上記制御光群であり、同等である。そこで、以下の説明は、図2に示すように、7系統の光路の1つである光路1411が接続する第2段目の装置について述べる。他の6本の光路についても、以下同様にして第2段目以降の光路切替が行われる。
【0079】
合波器141に接続する光路1411としては、空間、光ファイバー、または光導波路等の光伝送経路を用いることができるが、第1の実施形態では、光通信用シングルモード光ファイバーを用いることとする。
【0080】
分波器210は、信号光2101および第2段目光路切替用の制御光2121〜2126の各々と、第3段目光路切替用の制御光の一群2300に分波するものであり、第1段目の分波器110と同様なものを用いることができる。すなわち、分波器210は、或る波長よりも長い波長は透過し、当該波長よりも短い波長は反射する波長選択透過・反射ミラー(エッジ・フィルター)または或る波長よりも長い波長は反射し、当該波長よりも短い波長は透過するエッジ・フィルター、および、特定の波長のみを選択的に反射または透過するミラー(バンドパス・フィルター)を適宜に組み合わせたものである。その動作は、例えば、まず、1500nmよりも長波長を選択的に反射(または透過)するエッジ・フィルターによって信号光2101を分離し、次いで、波長1320〜1400nmの光を選択的に反射(または透過)するエッジ・フィルターによって第3段目への制御光群2300を分離し、さらに、第2段目の光制御型光路切替装置220のための制御光2201〜2206(例えば波長1290〜1315nm)を各々の波長に対応するエッジ・フィルターで分波することができる。
【0081】
光路切替型光信号送受信装置で用いられる第2段目の光制御型光路切替装置220の動作は第1段目の光制御型光路切替装置120と全く同等であるので、説明は省略する。
【0082】
光路切替型光信号送受信装置で用いられる第2段目の光制御型光路切替装置220の受光側の光ファイバー・コア(図6の符号420〜426に相当する)に入射した、7方向に光路切替された信号光2201〜2207は、各々、合波器241〜247に導かれる。合波器241〜247に導かれる信号光は、光路として受光側の光ファイバーを用いず、空間を伝搬させても良い。
【0083】
一方、分波器210で分波された第3段目への制御光群2300は分配器230によって制御光群2301〜2307の7つのビームに等分され、さらに、7基の合波器241〜247によって、信号光2201〜2207と合波され、第2段目への光路2411,2421,2431,2441,2451,2461,2471を進む。
【0084】
分配器230としては、公知のビームスプリッターを好適に用いることができる。1対7分岐のビームスプリッターだけでなく、既製の1対8分岐のビームスプリッターを7分岐用に用いても良い。
【0085】
合波器241〜247としては、例えば波長1500〜1600nmの信号光を透過し、波長帯域1260〜1400nmの制御光を反射する特性の波長選択反射ミラーを用いることができる。合波器241〜247として2本のシングルモード光ファイバーのコア部分を融着させた光ファイバー型合波器を用いることもできる。
【0086】
前述のように第3段目への7系統の光路2411,2421,2431,2441,2451,2461,2471を進む光の内容は、光路切替された信号光と7分割された制御光群であり、同等である。そこで、以下の説明は、図3に示すように、7系統の光路の1つである2411が接続する第3段目の装置について述べる。他の6本の光路についても、以下同様にして第3段目の光路切替が行われる。
【0087】
合波器241に接続する光路2411としては、空間、光ファイバー、または光導波路等の光伝送経路を用いることができるが、第1の実施形態では、光通信用シングルモード光ファイバーを用いることとする。
【0088】
分波器310は、信号光3101および第3段目光路切替用の制御光3131〜3136の各々を分波するものである。すなわち、分波器310は、或る波長よりも長い波長は透過し、当該波長よりも短い波長は反射する波長選択透過・反射ミラー(エッジ・フィルター)または或る波長よりも長い波長は反射し、当該波長よりも短い波長は透過するエッジ・フィルター、および、特定の波長のみを選択的に反射または透過するミラー(バンドパス・フィルター)を適宜に組み合わせたものである。その動作は、例えば、まず、1500nmよりも長波長を選択的に反射(または透過)するエッジ・フィルターによって制御光2101を分離し、次いで、例えば波長1345〜1320nmの光を選択的に反射(または透過)するエッジ・フィルターによって第3段目への制御光3131〜3136(例えば1345,1340,1335,1330,1325,1320nm)を順次、分離する。
【0089】
光路切替型光信号送受信装置で用いられる第3段目の光制御型光路切替装置320の動作は第1段目の光制御型光路切替装置120と全く同等であるので、説明は省略する。
【0090】
第3段目の光制御型光路切替装置320によって7方向に光路切替された信号光3201〜3207は、各々の光路を伝搬し、光信号送受信装置3301〜3307の各々に導かれる。
【0091】
第1段目、第2段目、第3段目の光制御型光路切替装置120,220,320の光路切替の組合せによって選択的に接続された制御光送信側の光信号送受信装置1と終端側の343基中1基の光信号送受信装置3301等との間の光路が開通されたときには、双方向での光送受信が可能である。
【0092】
終端側の343基の光信号送受信装置3301等から制御光送信側の光信号送受信装置1へ光路開放の要求を伝えるタイミングは、光信号送受信装置1との光路が開通したときに限られる。終端側の343基の光信号送受信装置3301等がミラーを設けた光ファイバーセンサーのような受動光素子の場合は、信号光および制御光の電子制御装置10によって「時間分割多重」の制御方式によって、343基の光信号送受信装置3301等との接続を一定時間毎に切り替え、定期的に光信号のやり取りを行うことができる。例えば、光路切替に要する時間を10ミリ秒、光信号の送受信に要する時間を20ミリ秒と仮定すると、10.29秒で終端側の343基の光信号送受信装置全てと光信号の送受信が可能である。
【0093】
前述した第1の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置および光路切替方法によれば、次の効果を奏する。
第1に、制御光送信側の光信号送受信装置、制御光光源、信号光および制御光の電子制御装置、および終端側の光信号送受信装置等については電子回路との接続があるが、その他の光信号伝送路および光路切替装置部分については、電気信号を一切用いず、光信号の光路切替伝送を行うことができる。
特に、終端側の光信号送受信装置が電気信号を用いない受動型光センサー等の場合、制御光送信側の光信号送受信装置、制御光光源、信号光および制御光の電子制御装置の部分以外は、一切、電気信号を用いない光信号送受信システムを構築することができる。
第2に、光路切替に要する時間を、丸ビーム方式の1対7対応光制御型光路切替装置を用いる場合、10ミリ秒以内、リングビーム方式の1対2対応光制御型光路切替装置を用いる場合、250マイクロ秒以内とすることができる。
【0094】
〔第2の実施形態〕
図9を参照して、本発明の第2の実施形態に係る制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置とその光路切替方法を説明する。第2の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置は、前述した特許文献1および特許文献2に記載のリングビーム方式、または、前述した特許文献4および特許文献5に記載の丸ビーム方式の1対2対応光制御型光路切替装置を複数組み合わせて使用し、複数の波長の制御光を多重に用い、1対2対応光制御型光路切替装置の各々において1つの光信号送受信装置への接続または後段への接続を選択して切り替えて光信号の送受信を行う。第2の実施形態においては、第1の実施形態で用いられた、後段への制御光群を分配する分配器は不要である。
【0095】
図9において、第2の実施形態の光路切替型光信号送受信装置では、2基の制御光光源51,52および2基の1対2対応光制御型光路切替装置512,522を用い、制御光送信側の光信号送受信装置5と3基の光信号送受信装置514,523,524との光路を切り替えて開通させる。用語の定義については第1の実施形態の場合と同様である。
【0096】
まず、第2の実施形態の光路切替型光信号送受信装置およびその光路切替方法の概要を説明し、次いで装置を構成する個々の部品を詳述する。
【0097】
本発明の第2の実施形態の光路切替型光信号送受信装置は、1つの光信号送受信装置5に接続された光路を伝搬する信号光5001と、複数(第2の実施形態の場合、例えば2基)の制御光光源51,52からの制御光5011および5012とを、合波器500で合波して光路5100を伝搬させる。次の段には単位装置55を備える。単位装置55は、光路5100,5101,5110,5111,5112,5151,5200、分波器511、1対2対応光制御型光路切替装置512、合波器513、および光信号送受信装置514からなる光路切替方式光信号送受信装置の繰り返し単位装置である。合波器500から出力される合波光は、単位装置55を通過する。第2の実施形態の場合には1段のみ通過させる。単位装置55からの光路5200は、分波器521、光路5201,5211,5212,5252、光信号送受信装置523,524からなる光路切替方式光信号送受信装置の終端ユニットに接続される。信号光および制御光の電子制御装置50からの制御信号を、信号光および制御光の電子制御配線501を通じて、制御光光源側の光信号送受信装置5の送受信を、制御光光源51または52の明滅と同期させることによって、制御光光源側の光信号送受信装置5の接続先光路を切替先の光信号送受信装置514,523,524のいずれか任意のものと切り替えて開通させ、光信号の送受信を行わせるものである。
【0098】
なお容易に理解できるように、光路5100,5101,5110,5111,5112,5151,5200、分波器511、1対2対応光制御型光路切替装置512、合波器513、および光信号送受信装置514からなる光路切替方式光信号送受信装置の繰り返し単位装置55、および、制御光光源51等を各々1組毎増設することで、システムに接続される光信号送受信装置の数を1つずつ増やすことができる。第2の実施形態では光路切替方式光信号送受信装置の繰り返しの単位装置55が1つの場合について説明する。
【0099】
複数の制御光光源51,52からの複数の波長の制御光5011,5012と、光路5001を正方向および逆方向に進む信号光とは、合波器500によって合波される。その後、制御光と信号光は、共通の1筋の光路5100を進行し、分波器511にて、信号光5101、第1段目光路切替用の制御光5151、および、第2段目光路切替用の制御光5110に分波される。なお、光路切替方式光信号送受信装置の繰り返し単位装置55および制御光光源51,52等を第2の実施形態の場合よりも多く設けた場合は、第2段目以降の光路切替用の制御光として、複数の波長の制御光が光路5110を伝搬する。
【0100】
分波器511にて独立に分波された信号光5101および第1段目光路切替用の制御光5151は、第1段目の1対2対向光制御型光路切替装置512の信号光ポートおよび制御光ポートに各々接続される。第1段目光路切替用の制御光光源51に対応した制御光5151の明滅に応じて、信号光5101は第1段目の1対2対応光制御型光路切替装置512にて直進する光路5111または光路変更された光路5112のいずれかに光路切替される。制御光5011〜5151が点灯し光路切替が行われた場合、信号光は光路5112を通じて光信号送受信装置514に接続され、光信号送受信装置5と光信号送受装置514との間で光信号の送受信が行われる。
【0101】
制御光5011〜5151が点灯しない場合、信号光は光路5111を通じて合波器513に導かれ、第2段目光路切替用の制御光5110と合波され、光路5200を伝搬し分波器521へ到達する。
【0102】
分波器521にて独立に分波された信号光5201および第2段目光路切替用の制御光5252は、第2段目の1対2対応光制御型光路切替装置522の信号光ポートおよび制御光ポートに各々接続される。第2段目光路切替用の制御光光源52に対応した制御光5252の明滅に応じて、信号光5201は第2段目の1対2対応光制御型光路切替装置522にて直進する光路5211または光路変更された光路5212のいずれかに光路切替される。制御光5252が点灯し光路切替が行われた場合、信号光は光路5212を通じて光信号送受信装置524に接続され、光信号送受信装置5と光信号送受装置524との間で光信号の送受信が行われる。
【0103】
制御光5012〜5252が点灯しない場合、信号光は光路5211を通じて光信号送受信装置523に接続され、光信号送受信装置5と光信号送受装置523との間で光信号の送受信が行われる。
【0104】
次に、個々の装置構成要素の詳細について説明する。
【0105】
制御光光源と同じ側に設けられる光信号送受信装置5と、光路切替された終端に設けられる光信号送受信装置514,523,524の仕様は、第1の実施形態の場合と同じである。
【0106】
信号光および制御光の波長および光源の仕様については、第1の実施形態の場合と同様である。例えば、信号光として波長1550nmのレーザー、制御光として図7に示すような発振特性の半導体レーザーからの、例えば波長1265nmおよび1270nmのレーザーを用いることができる。
【0107】
光制御型光路切替装置512,522の熱レンズ形成素子の信号光透過・制御光吸収層としては、第1の実施形態の場合と同様に、例えば、赤外線吸収色素として、日本カーリット製CIR−1081やCIR−1085をシクロヘキサノン溶液として、第1の実施形態の場合と同様に好適に用いることができる。第2の実施形態の場合、光制御型光路切替装置は2段で用いるため、光制御型光路切替装置512,522において色素濃度は同一でさしつかえない。
【0108】
合波器500としては、例えば波長1500〜1600nmの信号光を透過し、波長帯域1260〜1400nmの制御光を反射する特性の波長選択反射ミラーを用いることができる。
【0109】
合波器500に接続する光路5100としては、空間、光ファイバー、または光導波路等の光伝送経路を用いることができるが、第2の実施の形態では、光通信用シングルモード光ファイバーを用いることとする。
【0110】
分波器511は、信号光5101(例えば波長1550nm)、第1段目光路切替用の制御光5151(例えば波長1265nm)、および、第2段目光路切替用の制御光5110(例えば波長1270nm)を分波するものである。分波器511は、具体的には、或る波長よりも長い波長は透過し、当該波長よりも短い波長は反射する波長選択透過・反射ミラー(エッジ・フィルター)を2種類、組み合わせることで構成できる。その動作は、例えば、1500nmよりも長波長を選択的に反射(または透過)するエッジ・フィルターによって制御光5101(波長1550nm)を分離し、次いで、波長1270nmよりも長波長の光を選択的に反射(または透過)するエッジ・フィルターによって第2段目への制御光5110(波長1270nm)を分離すると第1段目の光制御型光路切替装置522のための制御光5110(波長1265nm)を分波することができる。
【0111】
特許文献1,2に記載されたリングビーム方式光制御式光路切替装置を用いる場合、第2の実施形態の光路切替型光信号送受信装置において、第1段目の1対2対応光制御型光路切替装置に供給される制御光パワーは、制御光光源51から合波器500、光路5100および分波器511における伝送ロスを考慮した上で、第1段目の1対2対応光制御型光路切替装置の直前において2ないし40mWであることが好ましく、5ないし10mWであればより好ましい。制御光パワーが2mWよりも小さいと、充分な光路切替が行えない。また、制御光パワーが40mWを越えると、信号光透過・制御光吸収層40を構成する色素溶液の溶剤が沸騰し信号光が遮断される。
【0112】
特許文献1,2に記載されたリングビーム方式光制御式光路切替装置を用いる場合、第2の実施形態の光路切替型光信号送受信装置において、第2段目の1対2対応光制御型光路切替装置に供給される制御光は、制御光光源52から合波器500、光路5100、分波器511、光路5110、合波器513、光路5200、および、分波器521における伝送ロスを考慮した上で、第2段目の1対2対応光制御型光路切替装置の直前において2〜40mWであることが好ましく、5〜10mWであればより好ましい。制御光パワーが2mWよりも小さいと、充分な光路切替が行えない。また、制御光パワーが40mWを越えると、信号光透過・制御光吸収層40を構成する色素溶液の溶剤が沸騰し信号光が遮断される。
【0113】
特許文献4,5に記載された丸ビーム方式光制御式光路切替装置を用いる場合、第2の実施形態の制御光波長多重方式光路切替型光信号送受信装置において、第1段目の1対2対応光制御型光路切替装置に供給される制御光パワーは、制御光光源51から合波器500、光路5100および分波器511における伝送ロスを考慮した上で、第1段目の1対2対応光制御型光路切替装置の直前において10〜40mWであることが好ましく、20〜30mWであればより好ましい。制御光パワーが10mWよりも小さいと、充分な光路切替が行えない。また、制御光パワーが40mWを越えると、信号光透過・制御光吸収層40を構成する色素溶液の溶剤が沸騰し信号光が遮断される。
【0114】
特許文献4,5に記載された丸ビーム方式光制御式光路切替装置を用いる場合、第2の実施形態の制御光波長多重方式光路切替型光信号送受信装置において、第2段目の1対2対応光制御型光路切替装置に供給される制御光は、制御光光源52から合波器500、光路5100、分波器511、光路5110、合波器513、光路5200、および、分波器521における伝送ロスを考慮した上で、第2段目の1対2対応光制御型光路切替装置の直前において10〜40mWであることが好ましく、10〜30mWであればより好ましい。制御光パワーが10mWよりも小さいと、充分な光路切替が行えない。また、制御光パワーが40mWを越えると、信号光透過・制御光吸収層40を構成する色素溶液の溶剤が沸騰し信号光が遮断される。
【0115】
合波器513としては、例えば波長1500〜1600nmの信号光を透過し、波長帯域1260〜1400nmの制御光を反射する特性の波長選択反射ミラーを用いることができる。合波器141〜147として2本のシングルモード光ファイバーのコア部分を融着させた光ファイバー型合波器を用いることもできる。
【0116】
合波器513に接続する光路5200としては、空間、光ファイバー、または光導波路等の光伝送経路を用いることができるが、第2の実施形態では、光通信用シングルモード光ファイバーを用いることとする。
【0117】
分波器521は、信号光5201(例えば波長1550nm)、および、第2段目光路切替用の制御光5252(例えば波長1270nm)を分波するものである。分波器521は具体的には、或る波長よりも長い波長は透過し、当該波長よりも短い波長は反射する波長選択透過・反射ミラー(エッジ・フィルター)を1種類用いることで構成できる。その動作は、例えば、1500nmよりも長波長を選択的に反射(または透過)するエッジ・フィルターによって制御光5201(波長1550nm)を分離すると第2段目の光制御型光路切替装置522のための制御光5252(波長1270nm)を分波することができる。
【0118】
第2段目の1対2対応光制御型光路切替装置522によって2方向に光路切替された信号光5211〜5212は、各々の光路を伝搬し、光信号送受信装置523〜524に導かれる。
【0119】
第1段目および第2段目の光制御型光路切替装置の光路切替の組合せによって選択的に接続された制御光送信側の光信号送受信装置5と終端側の光信号送受信装置514,523,524との間の光路が開通されたときには、双方向での光送受信が可能である。
【0120】
終端側の光信号送受信装置514,523,524から制御光送信側の光信号送受信装置5へ光路開放の要求を伝えるタイミングは、光信号送受信装置5との光路が開通したときに限られる。終端側の光信号送受信装置514,523,524がミラーを設けた光ファイバーセンサーのような受動光素子の場合は、信号光および制御光の電子制御装置50によって「時間分割多重」の制御方式によって、3基の光信号送受信装置514,523,524との接続を一定時間毎に切り替え、定期的に光信号のやり取りを行うことができる。例えば、光路切替に要する時間を10ミリ秒、光信号の送受信に要する時間を20ミリ秒と仮定すると、90ミリ秒で終端側の3基の光信号送受信装置全てと光信号の送受信が可能である。
【0121】
前述した第2の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置および光路切替方法によれば、次の効果を奏する。
第1に、制御光送信側の光信号送受信装置5、制御光光源51〜52、信号光および制御光の電子制御装置50、および、終端側の光信号送受信装置514,523,524については電子回路との接続があるが、その他の光信号伝送路および光路切替装置部分については、電気信号を一切用いず、光信号の光路切替伝送を行うことができる。
特に、終端側の光信号送受信装置514,523,524が電気信号を用いない受動型光センサー等の場合、制御光送信側の光信号送受信装置5、制御光光源51〜52、信号光および制御光の電子制御装置10の部分以外は、一切、電気信号を用いない光信号送受信システムを構築することができる。
第2に、光路切替に要する時間を、丸ビーム方式の1対2対応光制御型光路切替装置を用いる場合、10ミリ秒以内、リングビーム方式の1対2対応光制御型光路切替装置を用いる場合、250マイクロ秒以内とすることができる。
【0122】
〔第3の実施形態〕
図10〜図12を参照して本発明の第3の実施形態に係る制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置およびその光路切替方法を説明する。
【0123】
第3の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置は、本発明の第1の実施形態で説明された当該装置において、第1段目および第2段目の1対7対応光制御型光路切替装置にて選択された光路の接続先の一部を、次段への接続ではなく、光信号送受信装置へ直接的に接続するものである。
【0124】
図10は、第3の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置における第1段目光路切替装置の構成の一例を示し、図11は第3の実施形態の光路切替型光信号送受信装置において7組未満の組数で用いられる第2段目光路切替装置の1組について構成の一例を示し、図12は第3の実施形態の光路切替型光信号送受信装置において49組未満の組数で用いられる第3段目光路切替装置の1組について構成を示している。
【0125】
以下、第3の実施形態の光路切替型光信号送受信装置およびその光路切替方法を説明する。なお、装置を構成する個々の部品の詳細については第1の実施形態の場合と全く同等であるので、その説明は省略する。
【0126】
第3の実施形態の光路切替型光信号送受信装置は、光ファイバー等からなる光路6001の一端に接続された1つの光信号送受信装置6と、多数の光路6206,6207,7205,7206,7207,8201〜8207等の終端に接続された複数の光信号送受信装置646,647,745,746,747,8301〜8307等との接続を、複数の、多段に組み合わされた光制御型光路切替装置によって切り替える。
【0127】
ここで「光路」とは空間、光ファイバー、または光導波路等の光伝送経路のことである。前述の光制御型光路切替装置を駆動し、信号光の光路を予め選択された特定の組合せに切り替えるための複数の波長の制御光は、複数の制御光光源61〜66,71〜76,81〜86から選択的に発振される。光路の両端にある光信号送受信装置6および光信号送受信装置646,647,745,746,747,8301〜8307等との信号光のやり取りに同期するよう信号光および制御光の電子制御装置60から信号光および制御光の電子制御配線601通じて送られる制御電子信号によって複数の制御光光源61〜66,71〜76,81〜86の明滅の組合せが選択される。
【0128】
複数の制御光光源61〜66,71〜76,81〜86からの複数の波長の制御光6061〜6066,7071〜7076,8081〜8086と、光路6001を正方向および逆方向に進む信号光とは、合波器600によって合波される。合波された信号光と制御光は、共通の1筋の光路6100を進行し、分波器610にて、信号光6101および第1段目光路切替用の制御光6161〜6166の各々と、第2段目および第3段目の光路切替用の制御光の一群6300に分波される。
【0129】
分波器610にて独立に分波された信号光6101は第1段目の1対7対応光制御型光路切替装置620の中心の光ファイバー・コア(図5の符号400に相当する)に接続される。また、分波器610にて波長別に分波された第1段目光路切替用の制御光6161〜6166の各々は、第1段目の1対7対応光制御型光路切替装置620の周辺の光ファイバー・コア(図5の符号401〜406に相当する)に接続される。第1段目光路切替用の制御光光源61〜66に対応した制御光6161〜6166の明滅に応じて、信号光6101は第1段目の1対7対応光制御型光路切替装置620の7本の出射側光ファイバー・コア(図6の符号421〜426,420に相当する)のいずれかに光路切替され、信号光6201〜6207のいずれかとして第2段目または第1段目の光信号送受信装置、例えば2基の光信号送受信装置646,647に進む。
【0130】
ここで、分波器610で分波された第2段目および第3段目の光路切替用の制御光の一群6300は分配器630によって、第1段目の1対7対応光制御型光路切替装置620の光路切替数7から第1段目の光信号送受信装置の基数、第3の実施形態の場合、例えば2を差し引いた数、すなわち、第3の実施形態の場合、例えば5に分岐される。
【0131】
分波器610で分波された第2段目および第3段目の光路切替用の制御光の一群6300は分配器630によって、例えば制御光群6301〜6305の5つのビームに等分され、さらに、例えば5基の合波器641〜645によって、信号光6201〜6205と合波され、第2段目への光路6411,6421,6431,6441,6451等を進む。第2段目への光路または第1段目の光信号送受信装置への切替は、第1段目の制御光光源61〜66のいずれかが点灯する6通りに加え、全てが消灯状態の1通りの合計7通りが選択される。
【0132】
第2段目への光路、例えば光路6411〜6451を進む光の内容は、光路切替された信号光と例えば5分割された制御光群であり、それぞれ同等である。そこで、以下の説明は、図11に示すように、例えば5系統の光路の1つである6411が接続する第2段目の装置について述べる。他の光路についても、以下同様にして第2段目以降の光路切替が行われる。
【0133】
一筋の光路6411を進む信号光および制御光群は、分波器710にて、信号光7101および第2段目光路切替用の制御光7171〜7176の各々と、第3段目光路切替用の制御光の一群7300に分波される。
【0134】
分波器710にて独立に分波された信号光7101は、第2段目の1対7対応光制御型光路切替装置720の中心の光ファイバー・コア(図5の符号400に相当する)に接続される。また、分波器710にて波長別に分波された第2段目光路切替用の制御光7171〜7176の各々は、第2段目の1対7対応光制御型光路切替装置720の周辺の光ファイバー・コア(図5の符号401〜406に相当する)に接続される。第2段目光路切替用の制御光源71〜76に対応した制御光7171〜7176の明滅に応じて、信号光7101は第2段目の1対7対応光制御型光路切替装置720の7本の出射側光ファイバー・コア(図6の符号421〜426,420に相当する)のいずれかに光路切替され、信号光7201〜7207のいずれかとして第3段目への合波器、例えば741〜744の4基、または、第2段目の光信号送受信装置745〜747の3基へと進行する。
【0135】
ここで、分波器710で分波された第3段目光路切替用の制御光の一群7300は分配器730によって、例えば制御光群7301〜7304の4つのビームに等分され、さらに、4基の合波器741〜744によって、信号光7201〜7204と合波され、第3段目への光路、例えば信号光7411,7421,7431,7441を進む。第3段目の光路または第2段目の光信号送受信装置745〜747への切替は、第2段目の制御光光源71〜76のいずれかが点灯する6通りに加え、全てが消灯状態の1通りの合計7通りが選択される。
【0136】
第2段目の1対7対応光制御型光路切替装置720と同等のものが例えば5基設けられ、各々で7方向の光路切替が行われる。従って、第1段目に続く第2段目では、7掛ける例えば5、すなわち35通りの光路が合計12個の制御光光源の明滅の組合せで選択的され、切り替えられる。
【0137】
第3段目への例えば35系統の光路を進む光の内容は、光路切替された信号光と合計35分割された制御光群であり、同等である。そこで、以下の説明は、図12に示すように、複数の光路の1つである7411が接続する第3段目の装置について述べる。他の光路についても、以下同様にして第3段目の光路切替が行われる。
【0138】
一筋の光路7411を進む信号光および制御光群は、分波器810にて、信号光8101および第3段目光路切替用の制御光8181〜8186の各々に分波される。
【0139】
分波器810にて独立に分波された信号光8101は第3段目の1対7対応光制御型光路切替装置820の中心の光ファイバー・コア(図5の符号400に相当する)に接続される。また、分波器810にて波長別に分波された第3段目光路切替用の制御光8181〜8186の各々は、第3段目の1対7対応光制御型光路切替装置820の周辺の光ファイバー・コア(図5の符号401〜406に相当する)に接続される。第3段目光路切替用の制御光源81〜86に対応した制御光8181〜8186の明滅に応じて、信号光8101は第3段目の1対7対応光制御型光路切替装置820の7本の出射側光ファイバー・コア(図6の符号421〜426,420に相当する)のいずれかに光路切替され、信号光8201〜8207のいずれかとして各々、終端の光信号送受信装置8301〜8307に進む。
【0140】
前述した第3の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置および光路切替方法によれば、第1の実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0141】
〔第4の実施形態〕
図13〜図14を参照して本発明の第4の実施形態に係る制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置およびその光路切替方法を説明する。
【0142】
第4の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置は、本発明の第1の実施形態で説明された当該装置において、第1段目の1対7対応光制御型光路切替装置にて選択された光路を各々、第2段目においては1対2対応光制御型光路切替装置にて2方向に切り替え、合計14基の光信号送受信装置へ接続するものである。第4の実施形態においては、第1段目に1対7対応光制御型光路切替装置を設け、第2段目に1対2対応光制御型光路切替装置を設置した場合を例示したが、各段における光路切替方向の数に特に制約はない。例えば、第1段目に1対2対応光制御型光路切替装置を設け、第2段目に1対7対応光制御型光路切替装置を設け、さらに、第3段目に1対2対応光制御型光路切替装置を設けても良い。
【0143】
図13は、第4の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置における第1段目光路切替装置の構成の一例を示し、図14は第4の実施形態の光路切替型光信号送受信装置において7組用いられる第2段目光路切替装置の1組について構成の一例を示している。
【0144】
以下、第4の実施形態の光路切替型光信号送受信装置およびその光路切替方法を説明する。なお、装置を構成する個々の部品の詳細については第1の実施形態の場合と全く同等であるので、その説明は省略する。
【0145】
第4の実施形態の光路切替型光信号送受信装置は、光ファイバー等からなる光路9001の一端に接続された1つの光信号送受信装置9と、多数の光路9611〜9612等の終端に接続された複数の光信号送受信装置971〜972等との接続を、複数の、多段に組み合わされた光制御型光路切替装置によって切り替える。
【0146】
ここで「光路」とは空間、光ファイバー、または光導波路等の光伝送経路のことである。前述の光制御型光路切替装置を駆動し、信号光の光路を予め選択された特定の組合せに切り替えるための複数の波長の制御光は、第1段目光路切替用の制御光光源91〜96および第2段目光路切替用の制御光光源97から選択的に発振される。光路の両端にある光信号送受信装置9および光信号送受信装置971〜972等との信号光のやり取りに同期するよう信号光および制御光の電子制御装置90から信号光および制御光の電子制御配線901通じて送られる制御電子信号によって複数の制御光光源91〜96および97の明滅の組合せが選択される。
【0147】
複数の制御光光源91〜96および97からの複数の波長の制御光9011〜9016および9021と、光路9001を正方向および逆方向に進む信号光とは、合波器900によって合波される。合波された信号光と制御光は、共通の1筋の光路9100を進行し、分波器910にて、信号光9101および第1段目光路切替用の制御光9111〜9116の各々と、第2段目の光路切替用の制御光9300に分波される。
【0148】
分波器910にて独立に分波された信号光9101は第1段目の1対7対応光制御型光路切替装置920の中心の光ファイバー・コア(図5の符号400に相当する)に接続される。また、分波器910にて波長別に分波された第1段目光路切替用の制御光9111〜9116の各々は、第1段目の1対7対応光制御型光路切替装置920の周辺の光ファイバー・コア(図5の符号401〜406に相当する)に接続される。第1段目光路切替用の制御光光源91〜96に対応した制御光9111〜9116の明滅に応じて、信号光9101は第1段目の1対7対応光制御型光路切替装置920の7本の出射側光ファイバー・コア(図6の符号421〜426,420に相当する)のいずれかに光路切替され、信号光9201〜9207のいずれかとして第2段目に進む。
【0149】
ここで、分波器910で分波された第2段目の光路切替用の制御光9300は分配器930によって制御光群9301〜9307の7つのビームに等分され、さらに、7基の合波器941〜947によって、上記の信号光9201〜9207と合波され、第2段目への光路9411,9421,9431,9441,9451,9461,9471を進む。第2段目の光路への切替は、第1段目の制御光光源91〜96のいずれかが点灯する6通りに加え、全てが消灯した状態の1通りの合計7通りが選択される。
【0150】
第2段目への光路、例えば光路9411〜9471を進む光の内容は、光路切替された信号光と例えば7分割された制御光であり、それぞれ同等である。そこで、以下の説明は、図14に示すように、7系統の光路の1つである9411が接続する第2段目の装置について述べる。他の光路についても、以下同様にして第2段目の光路切替が行われる。
【0151】
一筋の光路9411を進む信号光および制御光は、分波器950にて、信号光9501および第2段目光路切替用の制御光9511に分波される。
【0152】
分波器950にて独立に分波された信号光9501および第2段目光路切替用の制御光9511は、第2段目の1対2対向光制御型光路切替装置960の信号光ポートおよび制御光ポートに各々接続される。第2段目光路切替用の制御光光源97に対応した制御光9511の明滅に応じて、信号光9501は第2段目の1対2対応光制御型光路切替装置960にて直進する光路9611または光路変更された光路9612のいずれかに光路切替される。制御光9511の光源97が点灯し光路切替が行われた場合、信号光は光路9612を通じて光信号送受信装置972に接続され、光信号送受信装置9と光信号送受装置972との間で光信号の送受信が行われる。
【0153】
制御光9511の光源97が点灯しない場合、信号光は光路9611を通じて光信号送受信装置971に接続され、光信号送受信装置9と光信号送受装置971との間で光信号の送受信が行われる。
【0154】
このようにして、第1段目用の制御光光源91〜96の明滅に応じて、第1段目の1対7対応光制御型光路切替装置910によって7方向に光路切替された信号光の光路が9411〜9471が各々、第2段目用の制御光光源97の明滅に応じて、第2段目の1対2対応光制御型光路切替装置950などによって2方向に光路切替され、光信号素受信装置9と、合計14基の光信号送受信装置971,972などとの光路が切り替えられ、光信号の送受信が行われる。
【0155】
前述した第4の実施形態に係る光路切替型光信号送受信装置および光路切替方法によれば、第1の実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0156】
以上の実施形態で説明された構成および配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また各構成の組成(材質)等については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明に係る制御光波長多重方式の光路切替型光信号送受信装置等は、例えば工場内に設けられた複数の光ファイバーセンサーを適宜切り替えて測定する温度センシングシステム、構造物に密着して取り付けられた複数の光ファイバードップラーセンサーを切り替えて測定することによって構造物の特定位置の変形や破断を検知する光ファイバーセンシングシステム、放射性物質取り扱いないし貯蔵場所の所定位置に設けられた複数の光ファイバー型シンチレーターを切り替えて測定することによって特定位置の放射線強度を監視する光ファイバーセンシングシステム、コンピュータサーバとクライアントマシン間の情報送受信を全光で行う光情報伝送システム等に利用される
【符号の説明】
【0158】
1,5,6,9 光信号送受信装置、
10 信号光および制御光の電子制御装置、
11〜16 第1段目光路切替用の制御光光源、
21〜26 第2段目光路切替用の制御光光源、
31〜36 第3段目光路切替用の制御光光源、
40 信号光透過・制御光吸収層、
43 光学平板44に設けられた穴、
44 光学平板、
45〜49 集光レンズ、
47 熱レンズ形成素子、
50 信号光および制御光の電子制御装置、
51 第1段目光路切替用の制御光光源、
52 第2段目光路切替用の制御光光源、
55 光路切替方式光信号送受信装置の単位装置、
60 信号光および制御光の電子制御装置、
61〜66 第1段目光路切替用の制御光光源、
71〜76 第2段目光路切替用の制御光光源、
81〜86 第3段目光路切替用の制御光光源、
90 信号光および制御光の電子制御装置、
91〜96 第1段目光路切替用の制御光光源、
97 第2段目光路切替用の制御光光源、
100,141〜147,241〜247 合波器、
101 信号光および制御光の電子制御配線、
110,210,310 分波器、
120,220,320 光制御式光路切替装置、
130,230 分配器、
400 7芯光ファイバー440の中心コア、
401〜406 7芯光ファイバー440の周辺コア、
410 中心コア400のクラッド、
411〜416 7芯光ファイバー440の周辺クラッド、
420 7芯光ファイバー450の中心コア、
421〜426 7芯光ファイバー450の周辺コア、
430 中心コア420のクラッド、
431〜436 7芯光ファイバー450の周辺クラッド、
440 制御光出射側7芯光ファイバー、
441 7芯光ファイバー440のフェルール、
442,452 接着剤、
450 信号光受光側7芯光ファイバー、
451 7芯光ファイバー450のフェルール、
500,513 合波器、
501 信号光および制御光の電子制御配線、
511,521 分波器、
512,522 光制御式光路切替装置、
514,523,524 信号光送受信装置、
600,641〜645,741〜744 合波器、
601 信号光および制御光の電子制御配線、
610,710,810 分波器、
620,720,820 光制御式光路切替装置、
630,730 分配器、
646,647,745〜747 光信号送受信装置、
900,941〜947 合波器、
901 信号光および制御光の電子制御配線、
910,950 分波器、
920 1対7対応の光制御式光路切替装置、
930 分配器、
960 1対2対応の光制御式光路切替装置、
971,972 信号光送受信装置、
1001 信号光およびその光路、
1011〜1016 第1段目光路切替用の制御光およびその光路、
1021〜1026 第2段目光路切替用の制御光およびその光路
1031〜1036 第3段目光路切替用の制御光およびその光路
1100 信号光と全制御光とが合波された光およびその光路、
1101 分波された第1段目における光路切替前の信号光およびその光路、
1111〜1116 異なる波長毎に分波された第1段目光路切替用の個々の制御光およびその光路、
1201〜1207 第1段目光路切替された信号光およびその光路、
1300 分波された第2段目以降用の制御光およびその光路、
1301〜1307 分配された第2段目以降用の制御光およびその光路、
1411,1421,1431、1441,1451,1461,1471 第1段目で光路切替された信号光と分波・分配された第2段目以降光路切替用の制御光とが合波された光およびその光路、
2101 分波された第2段目における光路切替前の信号光およびその光路、
2121〜2126 異なる波長毎に分波された第2段目光路切替用の個々の制御光およびその光路、
2201〜2207 第2段目光路切替された信号光およびその光路、
2300 分波された第3段目以降用の制御光およびその光路、
2301〜2307 分配された第3段目以降用の制御光およびその光路、
2411,2421,2431,2441,2451,2461,2471 第2段目で光路切替された信号光と分波・分配された第3段目光路切替用の制御光とが合波された光およびその光路、
3101 分波された第3段目における光路切替前の信号光およびその光路、
3131〜3136 分波された第3段目光路切替用の制御光およびその光路、
3201〜3207 第3段目光路切替された信号光およびその光路、
3301〜3307 光信号送受信装置、
4001 制御光の進行方向、
4010,4020 制御光出射側7芯光ファイバー440の周辺コア401,402から各々出射した制御光、
4100 制御光出射側7芯光ファイバー440の中心コア400から出射した信号光、
4200 制御光出射側7芯光ファイバー440の中心コア400から出射し、直進して信号光受光側7芯光ファイバー450の中心コア420へ入射する信号光、
4201,4202 熱レンズ形成素子47によって光路変更された信号光、
5001 信号光およびその光路、
5011 第1段目光路切替用の制御光およびその光路、
5012 第2段目光路切替用の制御光およびその光路、
5100 信号光と全制御光とが合波された光およびその光路、
5101 分波された第1段目における光路切替前の信号光およびその光路、
5110 分波された第2段目以降用の制御光およびその光路、
5111 1対2対応光制御型光路切替装置を直進する信号光およびその光路、
5112 1対2対応光制御型光路切替装置で光路変更
された信号光およびその光路、
5151 分波された第1段目光路切替用の制御光およびその光路、
5200 第1段目で光路切替された信号光(直進)と分波・分配された第2段目以降の光路切替用の制御光とが合波された光およびその光路、
5201 分波された第2段目における光路切替前の信号光およびその光路、
5252 分波された第2段目(最終段)の制御光およびその光路、
5211 第2段目光路切替された信号光およびその光路(直進)、
5212 第2段目光路切替された信号光およびその光路(光路変更)、
6001 信号光およびその光路、
6061〜6066 第1段目光路切替用の制御光およびその光路、
6100 信号光と全制御光とが合波された光およびその光路、
6101 分波された第1段目における光路切替前の信号光およびその光路、
6161〜6166 異なる波長毎に分波された第1段目光路切替用の個々の制御光およびその光路、
6201〜6207 第1段目光路切替された信号光およびその光路、
6300 分波された第2段目以降用の制御光およびその光路、
6301〜6305 分配された第2段目以降用の制御光およびその光路、
6411,6421,6431,6441,6451 第1段目で光路切替され第2段目に進む信号光と分波・分配された第2段目以降光路切替用の制御光とが合波された光およびその光路、
7071〜7076 第2段目光路切替用の制御光およびその光路
7101 分波された第2段目における光路切替前の信号光およびその光路、
7171〜7176 異なる波長毎に分波された第2段目光路切替用の個々の制御光およびその光路、
7201〜7207 第2段目光路切替された信号光およびその光路、
7300 分波された第3段目以降用の制御光およびその光路、
7301〜7304 分配された第3段目以降用の制御光およびその光路、
7411,7421,7431,7441 第2段目で光路切替され第3段目へ進信号光と分波・分配された第3段目光路切替用の制御光とが合波された光およびその光路、
8081,8082,8083,8084,8035,8036 第3段目光路切替用の制御光およびその光路
8101 分波された第3段目における光路切替前の信号光およびその光路、
8181〜8186 分波された第3段目光路切替用の制御光およびその光路、
8201〜8207 第3段目光路切替された信号光およびその光路、
8301〜8307 光信号送受信装置、
9001 信号光およびその光路、
9011〜9016 第1段目光路切替用の制御光およびその光路、
9021 第2段目光路切替用の制御光およびその光路、
9100 信号光と全制御光とが合波された光およびその光路、
9101 分波された第1段目における光路切替前の信号光およびその光路、
9111〜9116 異なる波長毎に分波された第1段目光路切替用の個々の制御光およびその光路、
9201〜9207 第1段目光路切替された信号光およびその光路、
9300 分波された第2段目以降用の制御光およびその光路、
9301〜9307 分配された第2段目以降用の制御光およびその光路、
9411,9421,9431、9441,9451,9461,9471 第1段目で光路切替された信号光と分波・分配された第2段目以降光路切替用の制御光とが合波された光およびその光路、
9501 分波された第2段目における光路切替前の信号光およびその光路、
9511 分波された第2段目光路切替用の制御光およびその光路、
9611 第2段目光路切替された信号光およびその光路(直進)、
9612 第2段目光路切替された信号光およびその光路(光路変更)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nを1以上の整数としかつMを2以上の整数とするとき、波長の異なるN個の制御光を用いて、光制御方式により、前記制御光とは波長の異なる1種類以上の信号光の光路を、(N+1)個の異なる方向へ切り替えるM段階の光制御型光路切替装置を備える光路切替型光信号送受信装置であって、
送信側に配置される1以上の光信号送受信装置と、
受信側に配置される1以上の光信号送受信装置と、
KをM×Nとするとき、K種類の波長の前記制御光を出力するK個の制御光光源と、
送信側の前記光信号送受信装置と前記制御光光源の動作を電子制御配線を介して制御する電子制御装置と、
K種類の波長の前記制御光と前記信号光を混合して出力する合波器と、
を備え、
M段階の前記光制御型光路切替装置の各段階で、
前段の合波器から出力される前記信号光と前記制御光を同一経路で伝搬させる光路と、
Lを1以上でかつM以下の整数とするとき、L段目の前記光制御型光路切替装置を制御するためのN種類の波長の前記制御光を、L段目以降の光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光および前記信号光と分離する分波器と、
RLを0以上でかつ(N+1)以下の整数とするとき、L段目の前記光制御型光路切替装置で光路切替された前記信号光の光路に接続されるRL個の受信側の前記光信号送受信装置と、
前記分波器で分離された、L段目以降の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長を有する前記制御光を((N+1)−RL)個に分配する分配器と、
L段目の前記光制御型光路切替装置で(N+1)個の異なる方向に光路が切り替えられ、L段目以降への光路を進む信号光の各々と、((N+1)−RL)個に分配された、L段目以降の光制御型光路切替装置を制御するための波長の前記制御光を混合して光路に導くための合波器と、を備える、
ことを特徴とする光路切替型光信号送受信装置。
【請求項2】
Nを6とし、Mを3とし、Kを18とし、Lを1〜3のうちいずれかの整数とし、RLを0〜7のいずれかの整数とし、かつ前記信号光を1種類であるとするとき、前記光制御型光路切替装置は3段階で構成されることを特徴とする請求項1記載の光路切替型光信号送受信装置。
【請求項3】
Pを2以上の整数とするとき、前記M段階の光制御型光路切替装置の各々は1対P対応光制御型光路切替装置であることを特徴とする請求項1または2記載の光路切替型光信号送受信装置。
【請求項4】
前記Pは2または7であることを特徴とする請求項3記載の光路切替型光信号送受信装置。
【請求項5】
1対7対応の前記光制御型光路切替装置は、信号光透過・制御光吸収層を有する熱レンズ形成素子を含み、制御光出射側および信号光受光側の前記光路は7芯光ファイバーであることを特徴とする請求項4記載の光路切替型光信号送受信装置。
【請求項6】
前記信号光は、1500〜1600nmの範囲に含まれる波長の光であり、
前記制御光は、1260〜1400nmの範囲に含まれる波長の光であり、5nm毎に波長の異なる光を波長多重で用いる、
ことを特徴とする請求項1記載の光路切替型光位信号送受装置。
【請求項7】
各段階毎、波長の異なる6個の制御光を用いて、光制御方式により、前記制御光とは波長の異なる1種類の信号光の光路を7個の異なる方向へ切り替える3段階の1対7対応の光制御型光路切替装置を備える光路切替型光信号送受信装置であって、
送信側に配置され、前記信号光を出力する光信号送受信装置と、
受信側に配置される1以上の光信号送受信装置と、
各段階毎、6種類の波長の前記制御光を出力する6個の制御光光源と、
送信側の前記光信号送受信装置と前記制御光光源の動作を電子制御配線を介して制御する電子制御装置と、
6種類の波長の前記制御光と1種類の前記信号光を混合して出力する合波器と、
を備え、
3段階の前記光制御型光路切替装置のうち第1段目と第2段目の段階で、
前段の合波器から出力される前記信号光と前記制御光を同一経路で伝搬させる光路と、
当該段階の前記光制御型光路切替装置を制御するための6種類の波長の前記制御光を、当該段階以降の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長の前記制御光および前記信号光と分離する分波器と、
前記分波器で分離された、後段の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長を有する前記制御光を7個に分配する分配器と、
当該段階での前記光制御型光路切替装置で7個の異なる方向に光路が切り替えられ、さらに後段への光路を進む信号光の各々と、7個に分配された、当該段階の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長の前記制御光を混合して光路に導くための7個の合波器と、を備え、
3段階の前記光制御型光路切替装置のうち第3段目の段階で、
前段の合波器から出力される前記信号光と前記制御光を同一経路で伝搬させる光路と、
当該段階の前記光制御型光路切替装置を制御するための6種類の波長の前記制御光を前記信号光と分離する分波器と、を備え、
当該段階での前記光制御型光路切替装置で、前記分波器から出力される6種類の波長の前記制御光を用いて、7個の異なる方向に光路が切り替えられ、これらの7個の光路のそれぞれに前記光信号送受信装置が接続される、
ことを特徴とする光路切替型光信号送受信装置。
【請求項8】
各段階毎、波長の異なる2つの制御光を用いて、光制御方式により、前記制御光とは波長の異なる1種類の信号光の光路を2つの異なる方向へ切り替える2段階の1対2対応の光制御型光路切替装置を備える光路切替型光信号送受信装置であって、
送信側に配置され、前記信号光を出力する光信号送受信装置と、
受信側に配置される1以上の光信号送受信装置と、
各段階毎、2種類の波長の前記制御光を出力する2個の制御光光源と、
送信側の前記光信号送受信装置と前記制御光光源の動作を電子制御配線を介して制御する電子制御装置と、
2種類の波長の前記制御光と1種類の前記信号光を混合して出力する合波器と、を備え、
2段階の前記光制御型光路切替装置の各段階で、
前段の合波器から出力される前記信号光と前記制御光を同一経路で伝搬させる光路と、
当該段階の前記光制御型光路切替装置を制御するための前記制御光を、後段の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長の前記制御光および前記信号光と分離する分波器と、
当該段階の前記光制御型光路切替装置で2個の異なる方向に光路が切り替えられ、さらに後段への光路を進む信号光と、分配された、後段の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長の前記制御光を混合して光路に導くための合波器と、を備える、
ことを特徴とする光路切替型光信号送受信装置。
【請求項9】
各段階毎、波長の異なる6個の制御光を用いて、光制御方式により、前記制御光とは波長の異なる1種類の信号光の光路を7個の異なる方向へ切り替える3段階の1対7対応の光制御型光路切替装置を備える光路切替型光信号送受信装置であって、
送信側に配置され、前記信号光を出力する光信号送受信装置と、
受信側に配置される1以上の光信号送受信装置と、
各段階毎、6種類の波長の前記制御光を出力する6個の制御光光源と、
送信側の前記光信号送受信装置と前記制御光光源の動作を電子制御配線を介して制御する電子制御装置と、
6種類の波長の前記制御光と1種類の前記信号光を混合して出力する合波器と、
を備え、
3段階の前記光制御型光路切替装置のうち1段目と2段目の段階で、
前段の合波器から出力される前記信号光と前記制御光を同一経路で伝搬させる光路と、
当該段階の前記光制御型光路切替装置を制御するための6種類の波長の前記制御光を、当該段階以降の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長の前記制御光および前記信号光と分離する分波器と、
前記分波器で分離された、後段の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長を有する前記制御光を7より小さい数で分配する分配器と、
前記光制御型光路切替装置で光路切替された前記信号光の一部の光路に接続される1以上の受信側の前記光信号送受信装置と、
前記光制御型光路切替装置で7個の異なる方向に光路が切り替えられ、さらに後段への光路を進む信号光の各々と、後段の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長の前記制御光を混合して光路に導くための複数の合波器と、を備える、
ことを特徴とする光路切替型光信号送受信装置。
【請求項10】
前記信号光は1500〜1600nmの範囲に含まれる波長の光であり
前記制御光は、1260〜1400nmの範囲に含まれる波長の光であり、5nm毎に波長の異なる光を波長多重で用いる、
ことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の光路切替型光位信号送受装置。
【請求項11】
Nを1以上の整数としかつMを2以上の整数とするとき、波長の異なるN個の制御光を用いて、光制御方式により、前記制御光とは波長の異なる1種類以上の信号光の光路を、(N+1)個の異なる方向へ切り替える光制御型光路切替装置をM段階組み合わせる光路切替方法であって、
KをM×Nとするとき、K種類の波長の制御光光源を、前記信号光の目的とする光路に導くために所定時間で明滅させ、
前記M段階の各段階で、
前記信号光と前記制御光とを同一の光路で伝搬させ、
K種類の波長の制御光を混合して前記光路に導き、
Lを1以上であってM以下の整数とするとき、L段目の前記光制御型光路切替装置を制御するためのN種類の波長の制御光を、L段目以降の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光および前記信号光と分波し、
L段目の前記光制御型光路切替装置を制御するためのN種類の波長の制御光のいずれか1つの波長の制御光を点灯することによってL段目の信号光の光路をN種類の方向のいずれか1つに切り替え、
前記分波された、L段目以降の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長の制御光を(N+1)個に分配し、
RLを0以上かつ(N+1)以下の整数として、L段目で光路切替された信号光の光路をRL個の光信号送受信装置に接続して送受信を行わせ、
L段目の前記光制御型光路切替装置でN種類の方向に光路が切替られた信号光の各々と、((N+1)−RL)個に分配された、L段目以降の前記光制御型光路切替装置を制御するための波長の前記制御光を合波して次段への光路に導き、
送信側の光信号送受信装置と受信側の光信号送受信装置と間の光路を選択的に切替接続させる、
ことを特徴とする光信号の光路切替方法。
【請求項12】
Nを6とし、Mを3とし、Kを18とし、Lを1〜3のうちいずれかの整数とし、RLを0〜7のいずれかの整数とし、かつ前記信号光を1種類であるとするとき、前記光制御型光路切替装置は3段階の構成を有することを特徴とする請求項11記載の光信号の光路切替方法。
【請求項13】
Pを2以上の整数とするとき、前記M段階の光制御型光路切替装置の各々は1対Pの対応関係で光路を切り替えることを特徴とする請求項11または12記載の光信号の光路切替方法。
【請求項14】
前記Pは2または7であることを特徴とする請求項13記載の光信号の光路切替方法。
【請求項15】
前記信号光は、1500〜1600nmの範囲に含まれる波長の光であり、
前記制御光は、1260〜1400nmの範囲に含まれる波長の光であり、5nm毎に波長の異なる光を波長多重で用いる、
ことを特徴とする請求項11記載の光信号の光信号の光路切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−176008(P2010−176008A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20482(P2009−20482)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(503184234)株式会社インターエナジー (20)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】