説明

光輝性塗装物

【課題】 光輝性をより効果的に発現させるためには、乾燥塗膜中における光輝性顔料やメタリック顔料濃度を高くする必要があり、結果的に塗膜の耐性を維持するためのバインダー樹脂濃度が低下し、手の脂汗や環境中の水分等の浸透により塗膜の耐性や密着性が低下する問題があった。
【解決手段】 光輝性塗膜を形成した塗装物において、少なくとも前記光輝性塗膜の上層部に吸油及び/又は吸水性がある物質を添加した塗膜を形成し、前記光輝性塗膜は、メタリック顔料を添加した塗料より形成した光輝性塗装物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも手で直接及び/又は間接的に触れる部分に塗膜を設けた光輝性塗装物に関するものであり、例えば万年筆やボールペンやシャープペンシルなどの筆記具や、口紅やアイライナーなどの容器、釣り竿、ドアノブ、手摺りなどが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
光輝性塗装物は、外観の意匠性を向上させるために様々な発明がなされている。特に蒸着金属膜を粉砕したメタリック顔料を用いた光輝性塗膜は、金属光沢を有することから新規高輝度メタリック塗装物として様々な分野で使用されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−80620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、光輝性をより効果的に発現させるためには、乾燥塗膜中における光輝性顔料やメタリック顔料濃度を高くする必要があり、結果的に塗膜の耐性を維持するためのバインダー樹脂濃度が低下し、手の脂汗や環境中の水分等の浸透により塗膜の耐性や密着性が低下する問題があった。
II
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、光輝性塗膜を形成した塗装物において、少なくとも前記光輝性塗膜の上層部に吸油及び/又は吸水性がある物質を添加した塗膜を形成したことを第1の要旨とし、前記光輝性塗膜は、メタリック顔料を添加した塗料より形成したことを第2の要旨とし、前記メタリック顔料が蒸着金属膜を粉砕して金属片としたことを第3の要旨とし、前記メタリック顔料の乾燥塗膜中での重量濃度が、15wt%以上であることを第4の要旨とするものである。
【0006】
被塗物の材質は、塗装できる材料であればよく特に限定されない。具体的には、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金、鉄またはその合金、亜鉛またはその合金、マグネシウムまたはその合金、チタンまたはその合金、金またはその合金、銀またはその合金、白金またはその合金、スズまたはその合金、ニッケルまたはその合金などの金属材料、塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアミド、ナイロン、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂材料、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー、シリコーン、スチレンブタジエン、ウレタン、ブタジエン、イソプレン、フッ素などの合成ゴムと天然ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂などの熱硬化樹脂材料、アルミナ、ジルコニア、陶磁器などのセラミック材料、木材、紙、石などの天然材料などを用いることができる。
また、これらの材料は1種または2種以上の混合物であってもよい。さらに、これらの材質には、予め湿式めっき法や乾式めっき法、塗装、印刷などの公知の方法により、ニッケルやクロムなどの金属めっき層、あるいは金や銀やパラジウムなどの貴金属めっき層、塗膜層、印刷層などの下地処理層を形成してもよい。
【0007】
光輝性塗膜を形成する塗料は、少なくとも光輝性を有する粉体と液媒体を含んでいればよく、液媒体として有機溶剤を使用した有機溶剤系塗料や、水または水と有機溶剤を混合した溶液を使用した水系塗料であれば特に限定しない。また、光輝性を有する粉体として、蒸着金属膜を粉砕した金属片をメタリック顔料とすることにより、金属調の外観を有し、且つ金属光沢の優れた光輝性塗膜を形成することが出来る
光輝性を有する粉体として、鱗片状雲母の表面を二酸化チタンなどの金属もしくは金属酸化物で被覆したパール顔料や、ガラスフレークやガラスフレークの表面をニッケルや銀などの金属もしくは金属酸化物で被覆した特殊顔料や、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金、鉄またはその合金、亜鉛またはその合金、マグネシウムまたはその合金、チタンまたはその合金、金またはその合金、銀またはその合金、白金またはその合金、スズまたはその合金、ニッケルまたはその合金、クロムまたはその合金、コバルトまたはその合金などの金属や、前記金属の酸化物や窒化物などを公知の方法により粉砕したメタリック顔料などが使用できる。
また、これらの光輝性を有する粉体は1種または2種以上の混合物であってもよい。特に金属調の外観を有する光輝性塗膜を得るためには、アルミニウム、金、白金などの粉体が好適に使用できる。
さらに前記金属を合成樹脂からなるフィルム状の支持基板上に蒸着やスパッタリングやイオンプレーティングなどの公知の方法に薄膜を形成し、その後薄膜を支持基板からはく離して粉砕した金属片のメタリック顔料を使用することにより、金属調の外観を有し、且つ金属光沢の優れた光輝性塗膜を形成することが出来る。
メタリック顔料の重量濃度は、乾燥塗膜中に1wt%以上で、特に15wt%以上で優れた金属調の外観を有する光輝性塗膜が得られる。また1wt%以下では、金属調の外観は得られず、外観特性が悪化する。また前記金属片のメタリック顔料の重量濃度を100wt%にすることで、金属調の外観を有し、且つ金属光沢の優れた光輝性塗膜が得られる。
【0008】
吸油及び/又は吸水性がある物質を添加した塗膜を形成する塗料は、少なくとも吸油及び/又は吸水性がある物質とバインダー樹脂と液媒体を含んでいればよく、例えば、有機溶剤を使用した有機溶剤系塗料に吸油及び/又は吸水性がある物質を分散したものや、水、または、水と有機溶剤を混合した溶液を使用した水系塗料に吸油及び/又は吸水性がある物質を分散したものなどが使用でき特に限定しない。また、有機溶剤系塗料や水系塗料は、色材を含まないクリヤー塗料であってもよいし、色材として染料や顔料、金属粉体やパール顔料などを含有したカラークリヤー塗料やエナメル塗料であってもよい。
前記塗料に使用される樹脂は、一般に塗膜形成用として用いられる樹脂であえばよく特に限定されない。例えばアクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂であればよい。また添加剤として、ポリイソシアネートなどの硬化剤、ポリエチレンやポリプロピレンなどのワックス類、可塑剤、ポリエステルやポリカーボネートやポリウレタンなどの塗膜改質剤、分散剤などを適宜添加してもよい。
【0009】
吸油及び/又は吸水性がある物質は、化粧品に使用される物質、オイルの除去に使用される物質、家庭内で防臭、清浄効果に使用される物質と多岐にわたり、その種類や形状は数多くある。例えば、木材や繊維、コルク、炭、皮革などの天然材料、シリカゲルや活性炭といった吸着素材、ゼオライトやけい藻土といった無機鉱物、架橋ポリアクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド多孔質体などを始めとした高分子吸油・吸水剤、紡錘状中空多孔質シリカ、多孔質シリカ、多孔質シリコーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムいった無機化合物、多孔質セラミック等が挙げられる。また、表面に多孔質シリカ等の吸油性および/または吸水性を有する被膜を形成することで、物質に吸油性および/または吸水性の機能を発揮、向上させてもよい。吸油および/または吸水した際に、これら吸油および/または吸水性がある物質の大きさが変化しないことが望ましいことから、無機鉱物、無機化合物が特に好ましい。これら吸油および/または吸水性がある物質は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0010】
吸油および/または吸水性がある物質は、その機能を十分に発揮させるために、微粒子粉体として塗料に添加することが望ましい。これは粒径が細かい程、単位重量当たりの表面積が増大することから、油および/または水の吸収効率を高める効果が期待できる。しかし、その粒径は目的とする外観特性(光沢塗膜や半光沢塗膜など)に応じて適宜選択すればよい。また、吸油および/または吸水性がある無機粉体を使用することにより、油および/または水を吸収した際にも化学変化にともなう塗膜の劣化を防止することができる。
【0011】
また、吸油及び/又は吸水性がある物質を添加した塗膜の上層部に、クリヤー塗膜やカラークリヤー塗膜を形成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、光輝性塗膜の上層部に吸油および/または吸水性がある物質を添加した塗膜を形成することにより、手の脂汗や環境中の水分を吸油および/または吸水性がある物質が吸収し保持することによって、光輝性塗膜の耐性の悪化を防止することができる。
さらに、メタリック顔料として蒸着金属膜を粉砕した金属片を使用し、乾燥塗膜中に前記顔料が15wt%以上含む光輝性塗膜においては、従来の光輝性塗膜では得られない金属調の外観を有し、且つ、金属光沢の優れた塗膜が形成出来るとともに、バインダー樹脂濃度の低下にともなう光輝性塗膜と被塗物(または下地処理層)との層間で発生する密着不良等のはく離現象を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、光輝性塗膜の上層部に吸油および/または吸水性がある物質を添加した塗膜を形成したこと最も主要な特徴し、光輝性塗膜の上層塗膜で手の脂汗や環境中の水分を積極的に吸収することで、光輝性塗膜の耐性の劣化を抑制する目的を実現した。
【0014】
(実施例1)
アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の白色の材料を、イソプロピルアルコールで脱脂処理し被塗物とした。次にメタリック・アクリルウレタン樹脂塗料(下記の組成物A)をスプレー塗装した後、80℃、10分の条件で乾燥した。次に吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー・アクリルウレタン樹脂塗料(下記の組成物B)をスプレー塗装した後、80℃、60分の条件で乾燥し光輝性塗装物を得た。
<メタリック塗料の配合(組成物A)>
naxマイティラックG−IIクリヤー(合成樹脂塗料:日本ペイント(株)製)
42.11wt%
naxマイティラックG−IIハードナー(硬化剤:日本ペイント(株)製)
10.53wt%
naxマイティラックG−IIシンナー(有機溶剤:日本ペイント(株)製)
42.10wt%
MS−750(メタリック顔料:東洋アルミニウム(株)製) 5.26wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、メタリック・アクリルウレタン樹脂塗料を得た。
<吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー塗料の配合(組成物B)>
naxマイティラックG−IIクリヤー(合成樹脂塗料:日本ペイント(株)製)
44.34wt%
naxマイティラックG−IIハードナー(硬化剤:日本ペイント(株)製)
11.09wt%
naxマイティラックG−IIシンナー(有機溶剤:日本ペイント(株)製)
44.35wt%
SILICA SHELLS(中空多孔質シリカ:日光ケミカルズ(株)製)
0.22wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー・アクリルウレタン樹脂塗料を得た。
【0015】
(実施例2)
ポリカーボネート樹脂製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の白色の材料を、イソプロピルアルコールで脱脂処理した後に、塗布面に酸化炎処理(榮製機(株)製、BT−20VX)を施し、後に塗装する塗料に対して親塗料化し被塗物とした。次に実施例1と同じメタリック・アクリルウレタン樹脂塗料(組成物A)をスプレー塗装した後、80℃、10分の条件で乾燥した。次に吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー・アクリルウレタン樹脂塗料(下記の組成物C)をスプレー塗装した後、80℃、60分の条件で乾燥し光輝性塗装物を得た。
<吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー塗料の配合(組成物C)>
naxマイティラックG−IIクリヤー(合成樹脂塗料:日本ペイント(株)製)
44.14wt%
naxマイティラックG−IIハードナー(硬化剤:日本ペイント(株)製)
11.04wt%
naxマイティラックG−IIシンナー(有機溶剤:日本ペイント(株)製)
44.14wt%
トリアゼット(皮革粉体:昭和電工(株)製) 0.68wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー・アクリルウレタン樹脂塗料を得た。
【0016】
(実施例3)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。次にメタリック・メラミン樹脂塗料(下記の組成物D)をスプレー塗装した後、140℃、5分の条件で乾燥した。次に吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー・アクリル樹脂塗料(下記の組成物E)をスプレー塗装した後、150℃、30分の条件で乾燥し光輝性塗装物を得た。
<メタリック塗料の配合(組成物D)>
オルガセレクト100クリヤー(合成樹脂塗料:日本ペイント(株)製)
8.99wt%
オルガセレクト510シンナー(有機溶剤:日本ペイント(株)製)
89.89wt%
6360NS(メタリック顔料:東洋アルミニウム(株)製) 1.12wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、メタリック・メラミン樹脂塗料を得た。
<吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー塗料の配合(組成物E)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製)
49.35wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 49.35wt%
塩基性炭酸マグネシウムの管状の凝集粒子(特開2003−306325)
1.30wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー・アクリル樹脂塗料を得た。
【0017】
(実施例4)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し、次に熱可塑性ポリエステル系ホットメルト接着剤(アロンメルトPES360S30、東亜合成(株)製)にポリイソシアネトート(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)を重量比で10:1に配合し、さらに有機溶剤(トルエン)にて2倍に希釈したポリエステル樹脂塗料をスプレー塗装した後、140℃、20分の条件で乾燥し被塗物とした。次に蒸着金属膜を粉砕して金属片としたメタリック顔料を乾燥塗膜中に1wt%となるように配合したメタリック・アクリル樹脂塗料(下記の組成物F)をスプレー塗装した後、140℃、5分の条件で乾燥した。次に実施例3と同じ吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー・アクリル樹脂塗料(組成物E)をスプレー塗装した後、160℃、30分の条件で乾燥し光輝性塗装物を得た。
<蒸着金属膜を粉砕して金属片としたメタリック塗料の配合(組成物F)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製)
9.09wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 90.86wt%
Ciba METASHEEN 41−0010(メタリック顔料:Ciba Specialty Chemicals,PLC製) 0.05wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、メタリック・アクリル樹脂塗料を得た。
【0018】
(実施例5)
実施例4と同様の被塗物を用いた。次に蒸着金属膜を粉砕して金属片としたメタリック顔料を乾燥塗膜中に15wt%となるように配合したメタリック・アクリル樹脂塗料(下記の組成物G)をスプレー塗装した後、140℃、5分の条件で乾燥した。次に実施例3と同じ吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー・アクリル樹脂塗料(組成物E)をスプレー塗装した後、160℃、30分の条件で乾燥し光輝性塗装物を得た。
<蒸着金属膜を粉砕して金属片としたメタリック塗料の配合(組成物G)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製)
9.02wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 90.18wt%
Ciba METASHEEN 41−0010(メタリック顔料:Ciba Specialty Chemicals,PLC製) 0.80wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、メタリック・アクリル樹脂塗料を得た。
【0019】
(実施例6)
実施例4と同様の被塗物を用いた。次に蒸着金属膜を粉砕して金属片としたメタリック顔料を乾燥塗膜中に50wt%となるように配合したメタリック・アクリル樹脂塗料(下記の組成物H)をスプレー塗装した後、140℃、5分の条件で乾燥した。次に実施例3と同じ吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー・アクリル樹脂塗料(組成物E)をスプレー塗装した後、160℃、30分の条件で乾燥し光輝性塗装物を得た。
<蒸着金属膜を粉砕して金属片としたメタリック塗料の配合(組成物H)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製)
8.70wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製)
86.95wt%
Ciba METASHEEN 41−0010(メタリック顔料:Ciba Specialty Chemicals,PLC製) 4.35wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、メタリック・アクリル樹脂塗料を得た。
【0020】
(実施例7)
実施例4と同様の被塗物を用いた。次に蒸着金属膜を粉砕して金属片としたメタリック顔料を乾燥塗膜中に100wt%となるように配合したメタリック顔料塗料(下記の組成物I)をスプレー塗装した後、140℃、5分の条件で乾燥した。次に実施例3と同じ吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー・アクリル樹脂塗料(組成物E)をスプレー塗装した後、160℃、30分の条件で乾燥し光輝性塗装物を得た。
<蒸着金属膜を粉砕して金属片としたメタリック塗料の配合(組成物I)>
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 99.0wt%
Ciba METASHEEN 41−0010(メタリック顔料:Ciba Specialty Chemicals,PLC製) 1.0wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、メタリック顔料塗料を得た。
【0021】
(実施例8)
実施例1における組成物AのMS−750(メタリック顔料:東洋アルミニウム(株)製)を、PEARL−GLAZE MF−100(パール顔料:日本光研工業(株)製)が代えた以外同様の光輝性塗装物を得た。
【0022】
(実施例9)
実施例1における組成物AのMS−750(メタリック顔料:東洋アルミニウム(株)製)を、METASHINE 1080TA(酸化鉄被覆ガラスフレーク:日本板硝子(株)製)が代えた以外同様の光輝性塗装物を得た。
【0023】
(比較例1)
実施例1から吸油および/または吸水性がある物質を添加しないこと以外は同様の光輝性塗装物を得た。
【0024】
(比較例2)
実施例6から吸油および/または吸水性がある物質を添加しないこと以外は同様の光輝性塗装物を得た。
【0025】
(比較例3)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し、次に熱可塑性ポリエステル系ホットメルト接着剤(アロンメルトPES360S30、東亜合成(株)製)にポリイソシアネトート(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)を重量比で10:1に配合し、さらに有機溶剤(トルエン)にて2倍に希釈したポリエステル樹脂塗料をスプレー塗装した後、140℃、20分の条件で乾燥し被塗物とした。次に蒸着金属膜を粉砕して金属片としたメタリック顔料を乾燥塗膜中に0.5wt%となるように配合したメタリック・アクリル樹脂塗料(下記の組成物J)をスプレー塗装した後、140℃、5分の条件で乾燥した。次に実施例3と同じ吸油および/または吸水性がある物質を添加したクリヤー・アクリル樹脂塗料(組成物E)をスプレー塗装した後、160℃、30分の条件で乾燥し光輝性塗装物を得た。
<蒸着金属膜を粉砕して金属片としたメタリック塗料の配合(組成物J)>
マジクロン1000クリヤー(合成樹脂塗料:関西ペイント(株)製)
9.09wt%
カンペ焼付用シンナーNo4(有機溶剤:関西ペイント(株)製) 90.89wt%
Ciba METASHEEN 41−0010(メタリック顔料:Ciba Specialty Chemicals,PLC製) 0.02wt%
上記成分をボールミルにて60分間分散し、メタリック・アクリル樹脂塗料を得た。
【0026】
<手の脂汗に対する塗膜耐性評価(人工油汗試験)>
下記の組成の人工油汗を染みこませた布または紙を、実施例及び比較例で得た光輝性塗装物の塗装面に密着させるように貼り、温度70℃、湿度95%の環境下に2時間放置した後、塗装物から前記布または紙を除去する。次にJIS K 5600−5−6「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に規定されているクロスカット法(1mmの正方形を10×10コマ(計100コマ))にて密着性を評価する。尚、評価は、100コマの碁盤目内で塗膜が残ったコマ数とした。
<人工油汗の組成>
オリーブ油 40wt%
イソプロピルミリステアレート 20wt%
オレイン酸 13wt%
その他添加剤 27wt%
【0027】
<水に対する塗膜耐性評価(沸騰水試験)>
2級の純度の水(ISO3696)を沸騰状態にし、実施例及び比較例で得た光輝性塗装物を前記沸騰状態の水に25分間浸漬した後、塗装物を沸騰状態の水の中から取りだし常温に戻す。次にJIS K 5600−5−6「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に規定されているクロスカット法(1mmの正方形を10×10コマ(計100コマ))にて密着性を評価する。尚評価は、100コマの碁盤目内で塗膜が残ったコマ数とした。
【0028】
<外観特性(光輝性)の評価>
JIS K 5600−4−3:1999「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第3節:色の目視比較」に準じた色観察用照明(自然昼光照明)下で目視にて光輝性塗膜の外観特性を評価した。なお評価は、光輝性の有無とした。
【0029】
前記3項目による評価結果を表1に示す。
【0030】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝性塗膜を形成した塗装物において、少なくとも前記光輝性塗膜の上層部に吸油及び/又は吸水性がある物質を添加した塗膜を形成したことを特徴とする光輝性塗装物。
【請求項2】
前記光輝性塗膜は、メタリック顔料を添加した塗料より形成したことを特徴とする請求項1記載の光輝性塗装物。
【請求項3】
前記メタリック顔料が蒸着金属膜を粉砕して金属片としたことを特徴とする請求項2記載の光輝性塗装物。
【請求項4】
前記メタリック顔料の乾燥塗膜中での重量濃度が、15wt%以上であることを特徴とする請求項2〜3記載の光輝性塗装物。

【公開番号】特開2009−18212(P2009−18212A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180448(P2007−180448)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】