説明

光通信装置及びプログラム

【課題】送信手段と撮像手段との相対関係を示す情報を、装置単体で高精度に取得する。
【解決手段】受信制御部14で、発光部52の高さHを示す通信情報Cを光信号で送信する光信号送信装置50の発光部52を含む領域を撮像した所定数のフレーム画像を取得し、各フレーム画像上から発光部領域を検出し、フレーム間での発光部領域の輝度値の変化を観測して、通信情報Cが示す発光部52の高さHを取得する。画像情報抽出部16で、フレーム画像Iから発光部領域を検出し、画像情報iとして、発光部領域の縦画素数nを抽出し、相対情報算出部18で、発光部52の高さH、発光部領域の縦画素数n、既知の値であるレンズの焦点距離f、及び既知の値である撮像素子の1画素分のサイズaを用いて、光信号送信装置50と光通信装置10との距離Lを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信装置及びプログラムに係り、特に、画像及び光信号が示す通信情報を同時に取得する光通信装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光信号を送信する送信手段を撮像手段で撮像することにより、画像及び光信号が示す通信情報を同時に取得することができる光通信装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。特許文献1記載の光通信装置では、通信情報として、送信部の移動速度または加速度を取得している。
【0003】
また、カメラで撮像された画像上から検出された対象物までの距離を計測するシステムとして、2台以上のカメラを用いて撮像された画像に基づいて、三角測量などの手法により対象物までの距離を計測するシステムが提案されている(例えば、特許文献3及び4)。また、より高精度の距離計測を行うために、カメラ以外にレーザレーダやミリ波レーダなどの測距装置を用いて、対象物までの距離を計測する対象物検出装置も提案されている(例えば、特許文献5及び6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−27480号公報
【特許文献2】国際公開第2010/032842号パンフレット
【特許文献3】特許第4341564号公報
【特許文献4】特許第4586571号公報
【特許文献5】特開2006−234513号公報
【特許文献6】特開2007−240208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1及び2に記載の光通信装置では、取得した画像と通信情報とは関連することなく個別に利用されており、画像と通信情報とを統合して利用することは考慮されていない。
【0006】
また、特許文献3〜6に記載の技術では、対象物までの距離のような、カメラと対象物との相対関係を示す情報を計測するために、2台以上のカメラや、カメラ以外の測距装置を用いる必要があり、システムの大型化及び高コスト化を招く、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、送信手段と撮像手段との相対関係を示す情報を、装置単体で高精度に取得することができる光通信装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明の光通信装置は、発光部を制御することにより、該発光部の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す通信情報を光信号により送信する送信手段を含む領域を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された複数のフレーム画像のフレーム間の画素値の変化に基づいて、前記送信手段により送信された光信号が示す通信情報を抽出する通信情報抽出手段と、前記複数のフレーム画像の少なくとも1つのフレーム画像から、前記発光部を示す発光部領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す画像情報を抽出する画像情報抽出手段と、前記通信情報抽出手段により抽出された通信情報と、前記画像情報抽出手段により抽出された画像情報とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出する算出手段と、を含んで構成されている。
【0009】
第1の発明の光通信装置によれば、撮像手段が、発光部を制御することにより、発光部の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す通信情報を光信号により送信する送信手段を含む領域を撮像する。そして、通信情報抽出手段が、撮像手段により撮像された複数のフレーム画像のフレーム間の画素値の変化に基づいて、送信手段により送信された光信号が示す通信情報を抽出する。これにより、通信情報と画像とを同時に取得することができる。
【0010】
また、画像情報抽出手段が、複数のフレーム画像の少なくとも1つのフレーム画像から、発光部を示す発光部領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す画像情報を抽出し、算出手段が、通信情報抽出手段により抽出された通信情報と、画像情報抽出手段により抽出された画像情報とに基づいて、送信手段と撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出する。
【0011】
このように、送信手段から送信される発光部に関する正確な情報である通信情報と、発光部を含む領域を撮像して得られた画像上の発光部領域から抽出される画像情報とに基づいて、送信手段と撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出するため、装置単体で高精度に相対情報を取得することができる。
【0012】
また、第2の発明の光通信装置は、受光量に応じた信号を出力する複数の第1画素と、受光量に応じた信号を出力し、かつ前記受光量の変化に対する応答速度が前記第1画素より速い複数の第2画素とを、一つの基板上に二次元配列した撮像素子を含む撮像手段であって、発光部を制御することにより、該発光部の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す通信情報を光信号により送信する送信手段を含む領域を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の前記第1画素を用いて撮像されたフレーム画像上の前記発光部を示す発光部領域に対応する位置の前記第2画素から出力される信号に基づいて、前記送信手段により送信された光信号が示す通信情報を抽出する通信情報抽出手段と、前記フレーム画像から、前記発光部を示す発光部領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す画像情報を抽出する画像情報抽出手段と、前記通信情報抽出手段により抽出された通信情報と、前記画像情報抽出手段により抽出された画像情報とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出する算出手段と、を含んで構成されている。
【0013】
第2の発明の光通信装置によれば、撮像手段は、受光量に応じた信号を出力する複数の第1画素と、受光量に応じた信号を出力し、かつ受光量の変化に対する応答速度が第1画素より速い複数の第2画素とを、一つの基板上に二次元配列した撮像素子を含んで構成されている。この撮像手段が、発光部を制御することにより、該発光部の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す通信情報を光信号により送信する送信手段を含む領域を撮像する。そして、通信情報抽出手段が、撮像手段の第1画素を用いて撮像されたフレーム画像上の発光部を示す発光部領域に対応する位置の第2画素から出力される信号に基づいて、送信手段により送信された光信号が示す通信情報を抽出する。これにより、第2画素を用いて得られた通信情報と、第1画素を用いて撮像された画像とを同時に取得することができる。
【0014】
また、画像情報抽出手段が、フレーム画像から、発光部を示す発光部領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す画像情報を抽出し、算出手段が、通信情報抽出手段により抽出された通信情報と、画像情報抽出手段により抽出された画像情報とに基づいて、送信手段と撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出する。
【0015】
このように、送信手段から送信される発光部に関する正確な情報である通信情報と、発光部を含む領域を撮像して得られた画像上の発光部領域から抽出される画像情報とに基づいて、送信手段と撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出するため、装置単体で高精度に相対情報を取得することができる。また、通信情報の取得に複数フレームの画像を要しないため、高速な処理が可能となる。
【0016】
また、第2の発明において、前記撮像素子を、第1光電変換素子及び該第1光電変換素子で生成された電荷を画像用信号として処理する第1回路を有する第1画素と、第2光電変換素子及び該第2光電変換素子で生成された電荷を通信用信号として処理する第2回路を有する第2画素とを含んで構成するか、または、共通光電変換素子及び該共通光電変換素子で生成された電荷を画像用信号として処理する第3回路を有する第1画素と、前記共通光電変換素子及び該共通光電変換素子で生成された電荷を通信用信号として処理する第4回路を有する第1画素とを含んで構成することができる。
【0017】
また、第1及び第2の発明における前記算出手段は、前記通信情報抽出手段により抽出した前記発光部の大きさと、前記画像情報抽出手段により抽出した前記発光部領域の大きさとに基づいて、もしくは前記通信情報抽出手段により抽出した前記発光部の位置と、前記画像情報抽出手段により抽出した前記発光部領域の位置とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との距離を算出するか、または前記通信情報抽出手段により抽出した前記発光部の形状と、前記画像情報抽出手段により抽出した前記発光部領域の形状とに基づいて、前記撮像手段に対する前記送信手段の傾きを算出することができる。
【0018】
また、第1及び第2の発明における前記送信手段が複数の発光部を備える場合において、前記通信情報として、前記複数の発光部間の間隔を送信し、前記画像情報抽出手段は、前記フレーム画像上から複数の発光部領域を検出し、該複数の発光部領域間の間隔を抽出することができる。複数の発光部を1つの発光部とみなせば、発光部間の間隔は、発光部の大きさということができ、発光部各々に着目すれば、発光部間の間隔は、一の発光部に対する他の発光部の位置ということができる。
【0019】
また、第1及び第2の発明における前記通信情報は、前記送信手段の移動速度を示す情報をさらに含み、前記撮像手段の移動速度を検出する検出手段により検出された前記撮像手段の移動速度と、前記通信情報抽出手段により抽出された前記送信手段の移動速度とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との相対速度を算出し、算出された相対速度と、前記相対情報とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との衝突を予測する予測手段を更に含んで構成することができる。
【0020】
また、前記予測手段は、前記相対速度と、前記相対情報として算出された前記送信手段と前記撮像手段との距離とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との衝突予測時間を算出することができる。
【0021】
また、第1及び第2の発明の光通信装置は、前記相対情報に基づいて、前記撮像手段による撮像、及び撮像された画像に対する画像処理の少なくとも一方を制御するためのパラメータを設定する設定手段を含んで構成することができる。
【0022】
また、第1及び第2の発明における前記通信情報は、前記発光部を基準とした、前記送信手段が搭載された対象物の大きさを示す情報をさらに含み、前記通信情報抽出手段により抽出された前記対象物の大きさを示す情報、前記画像情報抽出手段により抽出された発光部領域の位置、及び前記算出手段により算出された相対情報に基づいて、前記フレーム画像上の前記対象物を示す対象物領域を検出する検出手段を含んで構成することができる。発光部を基準とした対象物の大きさは、例えば、発光部から対象物上辺または下辺までの高さとすることができる。
【0023】
また、第1及び第2の発明における前記通信情報は、前記対象物の色を示す情報を含み、前記通信情報抽出手段により抽出された前記対象物の色を示す情報、及び前記検出手段により検出された対象物領域の色情報に基づいて、前記撮像手段のホワイトバランス及び露出制御値の少なくとも一方を調整する調整手段を含んで構成することができる。
【0024】
また、第1及び第2の発明における前記通信情報は、前記送信手段が搭載された移動体の幅を示す情報をさらに含み、前記通信情報抽出手段により抽出された前記移動体の幅を示す情報、前記フレーム画像上の前記移動体を示す移動体領域の幅、及び前記算出手段により算出された相対情報に基づいて、前記光通信装置が搭載された移動体が、前記送信手段が搭載された移動体を回避して移動するための移動方向の角度を決定する決定手段を含んで構成することができる。
【0025】
また、第1及び第2の発明における前記算出手段により算出された前記撮像手段に対する前記送信手段の傾きがなくなるように、前記光通信装置が搭載された移動体の移動方向を制御する制御手段を含んで構成することができる。
【0026】
また、第3の発明の光通信プログラムは、コンピュータを、発光部を制御することにより、該発光部の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す通信情報を光信号により送信する送信手段を含む領域を撮像する撮像手段により撮像された複数のフレーム画像のフレーム間の画素値の変化に基づいて、前記送信手段により送信された光信号が示す通信情報を抽出する通信情報抽出手段、前記複数のフレーム画像の少なくとも1つのフレーム画像から、前記発光部を示す発光部領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す画像情報を抽出する画像情報抽出手段、及び前記通信情報抽出手段により抽出された通信情報と、前記画像情報抽出手段により抽出された画像情報とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出する算出手段として機能させるためのプログラムである。
【0027】
また、第4の発明の光通信プログラムは、コンピュータを、受光量に応じた信号を出力する複数の第1画素と、受光量に応じた信号を出力し、かつ前記受光量の変化に対する応答速度が前記第1画素より速い複数の第2画素とを、一つの基板上に二次元配列した撮像素子を含み、発光部を制御することにより、該発光部の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す通信情報を光信号により送信する送信手段を含む領域を撮像する撮像手段の前記第1画素を用いて撮像されたフレーム画像上の前記発光部を示す発光部領域に対応する位置の前記第2画素から出力される信号に基づいて、前記送信手段により送信された光信号が示す通信情報を抽出する通信情報抽出手段、前記フレーム画像から、前記発光部を示す発光部領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す画像情報を抽出する画像情報抽出手段、及び前記通信情報抽出手段により抽出された通信情報と、前記画像情報抽出手段により抽出された画像情報とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出する算出手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明の光通信装置及びプログラムによれば、送信手段から送信される発光部に関する正確な情報である通信情報と、発光部を含む領域を撮像して得られた画像上の発光部領域から抽出される画像情報とに基づいて、送信手段と撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出するため、装置単体で高精度に相対情報を取得することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施の形態に係る光通信システム及び光通信装置の構成を示す概略図である。
【図2】(a)第1の実施の形態に係る光通信装置の撮像素子の構成を示す概略図、及び(b)撮像されたフレーム画像上の発光部領域を説明するための図である。
【図3】フレーム画像からの発光部領域の検出、及び通信情報の抽出を説明するための図である。
【図4】第1の実施の形態に係る光通信装置における光通信処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態に係る光通信システムの光信号送信装置の構成を示す概略図である。
【図6】第2の実施の形態における画像情報の抽出を説明するための図である。
【図7】第3の実施の形態に係る光通信システム及び光通信装置の構成を示す概略図である。
【図8】第3の実施の形態における画像情報の抽出を説明するための図である。
【図9】第4の実施の形態に係る光通信システム及び光通信装置の構成を示す概略図である。
【図10】第4の実施の形態に係る光通信装置における光通信処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図11】第5の実施の形態に係る光通信システム及び光通信装置の構成を示す概略図である。
【図12】第5の実施の形態に係る光通信装置における光通信処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図13】第6の実施の形態に係る光通信システム及び光通信装置の構成を示す概略図である。
【図14】第6の実施の形態における車両領域の検出を説明するための図である。
【図15】第6の実施の形態に係る光通信装置における光通信処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図16】第7の実施の形態に係る光通信システム及び光通信装置の構成を示す概略図である。
【図17】第7の実施の形態における光信号送信装置の発光部の配置を説明するための図である。
【図18】第7の実施の形態における回避操舵角の算出を説明するための図である。
【図19】第7の実施の形態に係る光通信装置における光通信処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図20】第7の実施の形態における回避操舵角の算出の他の例を説明するための図である。
【図21】第8の実施の形態に係る光通信装置における光通信処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図22】第8の実施の形態における光通信装置に対する光信号送信装置の傾きの有無の判定を説明するための図である。
【図23】第9の実施の形態に係る光通信システム及び光通信装置の構成を示す概略図である。
【図24】第9の実施の形態に係る光通信装置における光通信処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図25】第9の実施の形態における操舵制御の他の例を説明するための図である。
【図26】画像用画素のみで構成された光通信装置の撮像素子の構成を示す概略図である。
【図27】第10の実施の形態に係る光通信装置の撮像素子の構成を示す概略図である。
【図28】第10の実施の形態に係る光通信装置における光通信処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図29】第11の実施の形態に係る光通信装置の撮像素子の構成を示す概略図である。
【図30】第11の実施の形態に係る光通信装置における光通信処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、前方車両に搭載された光信号送信装置から送信された光信号を、自車両に搭載された光通信装置により撮像して、光信号送信装置と光通信装置との相対関係を示す相対情報を算出する光通信システムに用いられる光通信装置に本発明を適用した場合を例に説明する。
【0031】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る光通信システム1は、光信号送信装置50と光通信装置10とを含んでいる。
【0032】
光信号送信装置50は、例えば、LEDから構成される発光部52と、通信情報Cを示すデータ列に応じて、発光部52をオンオフさせる送信制御部54とを備えている。なお、送信制御部54は、データ列に応じて、発光部52の光強度を変更するようにしてもよい。送信される光信号は、情報伝達が可能な変調方式であれば、デジタル波形でもよいし、アナログ波形でもよい。
【0033】
第1の実施の形態における光信号送信装置50により光信号として送信される通信情報Cは、発光部52の大きさを示す情報とすることができる。発光部52の大きさを示す情報は、例えば、発光部52の高さや幅とすることができる。
【0034】
光通信装置10は、撮像素子12と、CPU、後述する光通信処理ルーチンのプログラムを記憶したROM、データ等を記憶するRAM、及びこれらを接続するバスを含むコンピュータとで構成されている。このコンピュータをハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、撮像素子12の駆動制御を行うと共に、撮像素子12で受信した画素データに基づいて、フレーム画像I及び通信情報Cを取得するための処理を行う受信制御部14と、フレーム画像I上の発光部52を示す発光部領域の画像情報iを抽出する画像情報抽出部16と、画像情報iと通信情報Cとに基づいて、光信号送信装置50と光通信装置10との相対関係を示す相対情報を算出する相対情報算出部18とを含んだ構成で表すことができる。なお、受信制御部14が、本発明の通信情報抽出手段の一例である。
【0035】
撮像素子12は、図2(a)に示すように、レンズ(図示省略)を介して受光した光の受光量に応じた信号を出力する複数の画素を、基板上に二次元に配列して構成されている。
【0036】
受信制御部14は、図3(a)に示すように、所定数のフレーム画像を取得し、同図(b)に示すように、各フレーム画像上から高輝度領域を検出することにより、フレーム画像上の発光部52を示す発光部領域を検出する。高輝度領域の検出は、例えば、各フレーム画像内で最も明るい領域を検出してもよいし、所定値以上の輝度値の領域を検出してもよいし、フレーム間で輝度値の変化が大きい領域を検出してもよい。そして、検出した発光部領域をフレーム間で追跡すると共に、同図(c)に示すように、フレーム間での発光部領域の輝度値の変化を観測して、通信情報Cとして取得する。
【0037】
また、受信制御部14は、上記の所定数のフレーム画像の少なくとも1つのフレーム画像をフレーム画像Iとして取得する。受信制御部14で取得するフレーム画像の所定数は、光信号の長さに応じて適切に定めることができる。また、フレーム画像Iとして取得するフレーム画像は、所定数のフレーム画像のうち、最後に撮像されたフレーム画像を選択することが望ましい。
【0038】
画像情報抽出部16は、受信制御部14で取得されたフレーム画像Iから発光部領域を検出し、発光部領域の大きさを示す画像情報iを抽出する。例えば、発光部領域の大きさは、発光部領域の縦または横サイズを画素単位で抽出することができる。
【0039】
相対情報算出部18は、画像情報抽出部16で抽出された画像情報iと、受信制御部14で抽出された通信情報Cとに基づいて、光信号送信装置50と光通信装置10との相対関係を示す相対情報を算出する。第1の実施の形態における相対情報は、光信号送信装置50と光通信装置10との距離とすることができる。
【0040】
次に、図4を参照して、第1の実施の形態の光通信装置10で実行される光通信処理ルーチンについて説明する。ここでは、通信情報Cとして、発光部52の高さHが送信され、相対情報として、光信号送信装置50と光通信装置10との距離、すなわち前方車両と自車両との距離を算出する場合について説明する。
【0041】
ステップ100で、所定数のフレーム画像を取得し、次に、ステップ102で、上記ステップ100で取得した各フレーム画像上から高輝度領域を検出することにより、フレーム画像上の発光部52を示す発光部領域を検出する。そして、検出した発光部領域をフレーム間で追跡して、フレーム間での発光部領域の輝度値の変化を観測し、通信情報Cとして発光部52の高さHを取得する。
【0042】
次に、ステップ104で、上記ステップ100で取得した所定数のフレーム画像の最終フレームであるフレーム画像Iから発光部領域を検出し、画像情報iとして、発光部領域の縦画素数n(図2(b))を抽出する。
【0043】
次に、ステップ106で、上記ステップ102で取得した発光部52の高さH、上記ステップ104で抽出したフレーム画像I上の発光部領域の縦画素数n、既知の値であるレンズの焦点距離f、及び既知の値である撮像素子の1画素分のサイズa(図2(a))を用いて、下記(1)式により、光信号送信装置50と光通信装置10との距離Lを算出して出力し、処理を終了する。
【0044】
【数1】

【0045】
以上説明したように、第1の実施の形態の光通信装置によれば、光通信装置から送信される発光部の大きさを示す正確な情報である通信情報と、発光部を含む領域を撮像して得られた画像から抽出される画像情報とに基づいて、光信号送信装置と光通信装置との距離を算出するため、装置単体で高精度に光信号送信装置と光通信装置との距離を取得することができる。
【0046】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態の光通信システムは、第1の実施の形態の光通信システム1と同様に、光信号送信装置と光通信装置とを含んでいるが、光通信装置については、第1の実施の形態の光通信装置10と同様であるため、第1の実施の形態と異なる光信号送信装置について説明する。なお、第2の実施の形態の光信号送信装置50と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略する。
【0047】
図5に示すように、第2の実施の形態の光信号送信装置250は、2つの発光部252a及び252bと送信制御部54とを含んで構成されている。
【0048】
第2の実施の形態における光信号送信装置250により光信号として送信される通信情報Cは、発光部252aと発光部252bとの間隔Hとすることができる。この場合、通信情報Cとあわせて、各発光部252a及び252bを識別すると共に、発光部252aと発光部252bとの対応関係を示す識別情報も送信するようにするとよい。また、通信情報Cは、発光部252aまたは発光部252bのいずれか一方のみから送信してもよいし、両方から送信してもよい。
【0049】
次に、第2の実施の形態における光通信処理ルーチンについて説明する。第2の実施の形態の光通信処理ルーチンは、第1の実施の形態の光通信処理ルーチン(図4)と、ステップ104の処理が異なるだけであるので、この点について説明する。
【0050】
ステップ104では、フレーム画像I上から複数の発光部領域を検出し、各発光部領域から取得される識別情報に基づいて、発光部252aを示す発光部領域と、発光部252bを示す発光部領域との対応を取る。そして、図6に示すように、発光部領域間の画素数nを、画像情報iとして抽出する。
【0051】
以上説明したように、第2の実施の形態の光通信装置によれば、光通信装置から送信される2つの発光部間の間隔を示す正確な情報である通信情報と、発光部を含む領域を撮像して得られた画像から抽出される画像情報とに基づいて、光信号送信装置と光通信装置との距離を算出するため、装置単体で高精度に光信号送信装置と光通信装置との距離を取得することができる。
【0052】
また、第1の実施の形態では、1つの発光部の大きさを通信情報として用いるため、1つの発光部を複数のLEDで構成するなど、発光部自体にある程度の大きさが必要である。一方、第2の実施の形態では、発光部間の間隔を通信情報として用いるため、複数の発光部の各々を1つのLEDで構成したような点光源とすることもできる。
【0053】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、図7に示すように、第3の実施の形態の光通信システム3は、第1の実施の形態の光通信システム1と同様に、光信号送信装置350と光通信装置10とを含んでいるが、光通信装置については、第1の実施の形態の光通信装置10と同様であるため、第1の実施の形態と異なる光信号送信装置350について説明する。なお、第1の実施の形態の光信号送信装置50と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略する。
【0054】
図7に示すように、第3の実施の形態の光信号送信装置350は、発光部352と送信制御部54とを含んで構成されている。
【0055】
第3の実施の形態における光信号送信装置350により光信号として送信される通信情報Cは、発光部352と所定の基準位置との間隔Hとすることができる。所定の基準位置は、例えば、光通信装置10のレンズ中心(光軸)とすることができる。また、光信号送信装置350が搭載される車両の上辺または下辺等を基準位置としてもよい。
【0056】
次に、第3の実施の形態における光通信処理ルーチンについて説明する。第3の実施の形態の光通信処理ルーチンは、第1の実施の形態の光通信処理ルーチン(図4)と、ステップ104の処理が異なるだけであるので、この点について説明する。
【0057】
ステップ104では、フレーム画像I上から発光部領域を検出し、図8に示すように、発光部領域と基準位置(画像中心)との間の画素数nを、画像情報iとして抽出する。なお、この場合、カメラの姿勢角に応じてフレーム画像上の基準位置を補正するようにするとよい。また、基準位置として車両の上辺または下辺等を用いる場合には、フレーム画像Iに画像処理を施して基準位置を検出してから、発光部領域と基準位置との間の画素数を抽出するようにするとよい。
【0058】
以上説明したように、第3の実施の形態の光通信装置によれば、光通信装置から送信される発光部と基準位置との間隔を示す正確な情報である通信情報と、発光部を含む領域を撮像して得られた画像から抽出される画像情報とに基づいて、光信号送信装置と光通信装置との距離を算出するため、装置単体で高精度に光信号送信装置と光通信装置との距離を取得することができる。また、第2の実施の形態と同様に、発光部を1つのLEDで構成したような点光源とすることもできる。
【0059】
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態の光通信システム1と同一の構成については、同一符号を付して、説明を省略する。
【0060】
図9に示すように、第4の実施の形態に係る光通信システム4は、光信号送信装置450と光通信装置410とを含んでいる。
【0061】
光信号送信装置450は、通信信号Cとして、発光部52の大きさを示す情報に加え、光信号送信装置450が搭載された車両(前方車両)の速度Vaを送信する。
【0062】
光通信装置410は、撮像素子12と、コンピュータとで構成されており、このコンピュータは、受信制御部14と、画像情報抽出部16と、相対情報算出部18と、通信情報Cに含まれる速度Vaと光通信装置410が搭載された車両(自車両)の速度Vbとに基づいて前方車両と自車両との相対速度ΔVを算出する相対速度算出部20と、相対情報と相対速度ΔVとに基づいて、自車両と前方車両との衝突予測に関する衝突予測情報を算出する衝突予測算出部22とを含んだ構成で表すことができる。なお、相対速度算出部20及び衝突予測算出部22が、本発明の予測手段の一例である。
【0063】
相対速度算出部20は、受信制御部14で抽出された通信情報Cに含まれる前方車両の速度Vaと、自車両の速度を検出する速度センサ(図示省略)で検出された自車両の速度Vbとの差分(Vb−Va)を、自車両と前方車両との相対速度ΔVとして算出する。相対速度ΔVがマイナスの値の場合には、自車両に対して前方車両が遠ざかっていることを表している。
【0064】
衝突予測算出部22は、相対情報算出部18で算出された相対情報である前方車両と自車量との距離Lと、相対速度算出部20で算出された相対速度ΔVとに基づいて、自車両と前方車両との衝突予測に関する衝突予測情報を算出する。衝突予測情報は、例えば、自車両と前方車両との衝突可能性を示す情報や、衝突時間とすることができる。
【0065】
次に、図10を参照して、第4の実施の形態の光通信装置410で実行される光通信処理ルーチンについて説明する。ここでは、通信情報Cとして、発光部52の高さH及び前方車両の速度Vaが送信され、衝突予測情報として、前方車両と自車両との衝突時間を算出する場合について説明する。なお、第1の実施の形態の光通信処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0066】
ステップ100で、所定数のフレーム画像を取得し、次に、ステップ400で、上記ステップ100で取得した各フレーム画像上から高輝度領域を検出することにより、フレーム画像上の発光部52を示す発光部領域を検出する。そして、検出した発光部領域をフレーム間で追跡して、フレーム間での発光部領域の輝度値の変化を観測し、通信情報Cとして発光部52の高さH及び前方車両の速度Vaを取得する。
【0067】
次に、ステップ104で、画像情報iとして、発光部領域の縦画素数nを抽出し、次に、ステップ106で、光信号送信装置50と光通信装置10との距離Lを算出する。
【0068】
次に、ステップ402で、速度センサから自車両の速度Vbを取り込み、上記ステップ400で取得した前方車両の速度Vaと、自車両の速度Vbとの差分(Vb−Va)を、自車両と前方車両との相対速度ΔVとして算出する。
【0069】
次に、ステップ404で、上記ステップ106で算出した距離Lと、上記ステップ402で算出した相対速度ΔVとに基づいて、衝突時間t(L/ΔV)を算出して出力し、処理を終了する。
【0070】
なお、上記の光通信処理ルーチンでは、衝突予測情報として、衝突時間を算出する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、相対情報として、光通信装置10に対する光信号送信装置50の傾きを算出した場合には、算出した相対速度情報と合わせて、自車両と前方車両とが衝突する可能性があるか否かを示す情報を算出するようにしてもよい。
【0071】
以上説明したように、第4の実施の形態の光通信装置によれば、第1の実施の形態と同様に、装置単体で高精度に取得された相対情報を用いて自車両と前方車両との衝突予測情報を算出するため、衝突予測情報についても、装置単体で高精度に算出することができる。
【0072】
なお、第4の実施の形態では、第1の実施の形態の光通信システムにおいて算出された相対情報を用いて衝突予測情報を算出する場合について説明したが、第2または第3の実施の形態の光通信システムに適用してもよい。
【0073】
次に、第5の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態の光通信システム1と同一の構成については、同一符号を付して、説明を省略する。
【0074】
図11に示すように、第5の実施の形態に係る光通信システム5は、光信号送信装置50と光通信装置510とを含んでいる。
【0075】
光通信装置510は、撮像素子12と、コンピュータとで構成されており、このコンピュータは、受信制御部14と、画像情報抽出部16と、相対情報算出部18と、相対情報に基づいて、受信制御部14のパラメータを設定するパラメータ設定部24とを含んだ構成で表すことができる。
【0076】
パラメータ設定部24は、相対情報算出部18で算出された相対情報に基づいて、受信制御部14による撮像素子の駆動制御、及び画像処理に必要なパラメータを設定する。パラメータは、例えば、撮像素子12で受信した信号に対する増幅度、撮像周期、レンズの画角等とすることができる。
【0077】
次に、図12を参照して、第5の実施の形態の光通信装置510で実行される光通信処理ルーチンについて説明する。ここでは、相対情報として算出された光信号送信装置50と光通信装置510との距離Lに基づいて、パラメータとして、受信信号の増幅度を決定する場合について説明する。なお、第1の実施の形態の光通信処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0078】
ステップ100〜106を実行して、光信号送信装置50と光通信装置510との距離Lを算出する。
【0079】
次に、ステップ500で、上記ステップ106で算出した距離Lに応じて受信信号の増幅度を設定する。受信制御部14に入力できる信号振幅の範囲は有限であるが、距離Lによって受信信号の振幅は変動するため、その範囲を逸脱する場合が生じる。そこで、距離Lに応じて受信信号の増幅度を決定することにより、受信制御部14に最も性能を発揮することができる最適な範囲の受信信号が入力されるように調整する。具体的には、距離Lが大きいほど増幅度を大きくし、距離Lが小さいほど増幅度を小さくする。
【0080】
なお、上記の光通信処理ルーチンでは、パラメータとして受信信号の増幅度を設定する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、距離Lが小さい場合には、前方車両と自車両とが接近しており、危険度が高い状況であるといえる。このような状況では、状況変化に即応できるように、より多くの情報が頻繁に必要になる。そこで、距離Lが小さい場合には、撮像周期を増加するようにパラメータを設定することができる。一方、距離Lが大きい場合には、状況変化に対する即応性が低いため、撮像周期を低下するようにパラメータを設定することができる。低下させる場合の撮像周期は、例えば、光信号の認識に必要最低限の周期とすることができ、これにより演算負荷を軽減することができる。
【0081】
また、距離Lが小さい場合に、レンズの画角が望遠になっていると、フレーム画像I上をほとんど発光部領域が占めてしまう可能性がある。一方、距離Lが大きい場合に、画角が広角になっていると、フレーム画像I上の発光部領域が小さくなりすぎ、適切に通信情報Cや画像情報iを抽出することができない場合がある。そこで、距離Lが小さい場合には、画角を広角側に調整し、距離Lが大きい場合には、画角を望遠側に調整するようにパラメータを設定することで、フレーム画像I上での発光部領域が適切な大きさとなるように調整することができる。
【0082】
以上説明したように、第5の実施の形態の光通信装置によれば、第1の実施の形態と同様に、装置単体で高精度に相対情報を取得することができ、さらに、この相対情報を用いて、撮像素子の駆動制御、及び画像処理に必要なパラメータを設定するため、相対情報を算出するための画像の精度が向上し、より高精度に相対情報を算出することができる。
【0083】
なお、第5の実施の形態では、第1の実施の形態の光通信システムにおいて算出された相対情報を用いてパラメータを決定する場合について説明したが、第4の実施の形態で算出した衝突予測時間を用いてパラメータを決定するようにしてもよい。
【0084】
次に、第6の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態の光通信システム1と同一の構成については、同一符号を付して、説明を省略する。
【0085】
図13に示すように、第6の実施の形態に係る光通信システム6は、光信号送信装置650と光通信装置610とを含んでいる。
【0086】
光信号送信装置650は、2つの発光部652a、652bを備えており、通信情報Cとして、図14(a)に示すように、発光部652aと発光部652bとの間隔H、発光部652a、652bから車両上辺までの高さD、及び発光部652a、652bから車両下辺までの高さDを送信する。
【0087】
光通信装置610は、撮像素子12と、コンピュータとで構成されており、このコンピュータは、受信制御部14と、画像情報抽出部616と、相対情報算出部618と、領域検出部26とを含んだ構成で表すことができる。
【0088】
画像情報抽出部616は、図14(b)に示すように、受信制御部14で取得されたフレーム画像Iから2つの発光部領域を検出し、発光部領域間の画素数n、及び各発光部領域の中心画素の画素座標L(x,y)、R(x,y)を、画像情報iとして抽出する。
【0089】
相対情報算出部618は、距離算出部618a及び高さ算出部618bで表すことができる。距離算出部618aは、第2の実施の形態の相対情報算出部18と同様の処理により、光信号送信装置650と光通信装置610との距離Lを算出する。
【0090】
また、高さ算出部618bは、受信制御部14で取得されたD、D、距離算出部618aで算出された距離L、既知の値であるレンズの焦点距離f、及び既知の値である撮像素子の1画素分のサイズaを用いて、下記(2)式及び(3)式により、フレーム画像I上での発光部領域から車両上辺までの高さd、及び発光部領域から車両下辺までの高さdを算出する。
【0091】
【数2】

【0092】
領域検出部26は、画像情報抽出部616で抽出された発光部領域の画素座標L(x,y)、R(x,y)、及び高さ算出部618bで算出された高さd、dを用いて、図14(c)に示すように、画素座標A(x,y−d)、B(x,y−d)、C(x,y+d)、D(x,y+d)を算出する。ここでは、座標の原点(0,0)を、フレーム画像Iの左上に設定している。同図(d)に示すように、算出された画素座標A,B,C,Dで囲まれた領域を、最終的な車両領域として出力する。最終出力は、ABCDの各座標値でもよいし、フレーム画像IにABCDで示される矩形枠を描画した画像としてもよい。
【0093】
次に、図15を参照して、第6の実施の形態の光通信装置610で実行される光通信処理ルーチンについて説明する。なお、第1の実施の形態の光通信処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0094】
ステップ100で、所定数のフレーム画像を取得し、次に、ステップ600で、上記ステップ100で取得した各フレーム画像上から発光部領域を検出して、通信情報Cとして、発光部652aと発光部652bとの間隔H、発光部652a、652bから車両上辺までの高さD、及び発光部652a、652bから車両下辺までの高さDを取得する。
【0095】
次に、ステップ602で、画像情報iとして、発光部領域間の画素数n、及び各発光部領域の中心画素の画素座標L(x,y)、R(x,y)を抽出し、次に、ステップ106で、光信号送信装置650と光通信装置610との距離Lを算出する。
【0096】
次に、ステップ604で、上記ステップ600で取得されたD、D、上記ステップ106で算出された距離L、既知の値であるレンズの焦点距離f、及び既知の値である撮像素子の1画素分のサイズaを用いて、(2)式及び(3)式により、フレーム画像I上での発光部領域から車両上辺までの高さd、及び発光部領域から車両下辺までの高さdを算出する。
【0097】
次に、ステップ606で、上記ステップ602で抽出された発光部領域の画素座標L(x,y)、R(x,y)、及び上記ステップ604で算出された高さd、dを用いて、画素座標A(x,y−d)、B(x,y−d)、C(x,y+d)、D(x,y+d)を算出し、算出された画素座標A,B,C,Dで囲まれた領域を、車両領域として出力して、処理を終了する。
【0098】
以上説明したように、第6の実施の形態の光通信装置によれば、第1の実施の形態と同様に、装置単体で高精度に相対情報を取得することができ、さらに、この相対情報、及びフレーム画像上の発光部領域の情報を用いて、画像上の対象物領域を精度良く検出することができる。
【0099】
なお、第6の実施の形態では、発光部領域を2つ備えた光信号送信装置を用いた場合について説明したが、発光部が1つの場合でも適用可能である。
【0100】
また、第6の実施の形態では、算出された相対情報に基づいて、画像から検出された対象物領域を出力する場合について説明したが、この検出結果の出力に代えて、または検出結果の出力と共に、検出された対象物領域の色情報を用いて、光通信装置で撮像される画像のホワイトバランスを調整するようにしてもよい。例えば、白い車体色の前方車両に夕日が当たると、カメラで撮像した際に、前方車両の車体が赤く撮像される。つまり、照明(ここでは太陽)の色合いによって、本来の対象物の色をカメラで適切に捉えることができなくなる。このような現象を解消するために、ホワイトバランスの調整を行う。
【0101】
この場合、光信号送信装置から送信される通信情報Cとして、車体色(白、赤、青など)の情報を付加する。そして、上記実施の形態における処理において画像上から検出された対象物領域の色情報と、通信情報Cに含まれる車体色とを比較する。比較した結果、色が異なる場合には、ホワイトバランスの調整を行う。例えば、通信情報Cに含まれる車体色が”白”であるのに対して、画像上の対象物領域の色が”赤”であった場合には、対象物領域内の色情報が”白”となるように、ホワイトバランスを調整する。
【0102】
また、ホワイトバランスの調整だけでなく、通信情報Cとして送信された車体色と対象物領域の色とを比較して、露出制御等を行うようにしてもよい。
【0103】
次に、第7の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態の光通信システム1と同一の構成については、同一符号を付して、説明を省略する。
【0104】
図16に示すように、第7の実施の形態に係る光通信システム7は、光信号送信装置750と光通信装置710とを含んでいる。
【0105】
光信号送信装置750は、2つの発光部752a、752bを備えており、通信情報Cとして、発光部752aと発光部752bとの間隔Hを送信する。また、図17に示すように、発光部752a、752bは、光通信装置710側から見て、前方車両の車幅方向の両端位置に各々配置する。すなわち、通信情報Cとして送信する間隔Hが、前方車両の車幅を示す情報となるように、発光部752a、752bを配置する。
【0106】
光通信装置710は、撮像素子12と、コンピュータとで構成されており、このコンピュータは、受信制御部14と、画像情報抽出部16と、相対情報算出部18と、回避操舵角決定部28とを含んだ構成で表すことができる。
【0107】
回避操舵角決定部28は、相対情報算出部18で算出された光信号送信装置750と光通信装置710との距離L、受信制御部14で取得された前方車両の車幅Hを用いて、緊急時に前方車両に衝突しないための基準となる回避操舵角θを算出する。例えば、光通信装置710と前方車両との中心軸が揃っている場合には、距離L、車両幅H、及び回避操舵角θの関係は、図18に示す通りとなる。また、回避操舵角θは、下記(4)式により、距離L及び車幅Hを用いて算出される。算出された回避操舵角θは、自車両の操舵角を制御する操舵制御装置に出力される。
【0108】
【数3】

【0109】
次に、図19を参照して、第7の実施の形態の光通信装置710で実行される光通信処理ルーチンについて説明する。なお、第1の実施の形態の光通信処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0110】
ステップ100で、所定数のフレーム画像を取得し、次に、ステップ700で、上記ステップ100で取得した各フレーム画像上から発光部領域を検出して、通信情報Cとして、前方車両の車幅(発光部652aと発光部652bとの間隔)Hを取得する。
【0111】
次に、ステップ702で、画像情報iとして、発光部領域間の画素数nを抽出し、次に、ステップ106で、光信号送信装置750と光通信装置710との距離Lを算出する。
【0112】
次に、ステップ704で、上記ステップ700で取得された車幅H、及び上記ステップ106で算出された距離Lを用いて、(4)式により、回避操舵角θを算出して出力して、処理を終了する。
【0113】
なお、図20(a)に示すように、光通信装置710と前方車両との中心軸にズレが生じている場合には、同図(b)に示すように、フレーム画像Iの画像中心から発光部領域までの画素数mを抽出し、下記(5)式により回避操舵角θを算出することができる。
【0114】
【数4】

【0115】
また、算出された回避操舵角θに±αの調整を行ってもよい。また、前方車両の左側から回避する場合の回避操舵角θ、及び前方車両の右側から回避する場合の回避操舵角θの両方を算出することもできる。この場合、回避操舵角が大きくなると急ハンドルとなるため、回避操舵角が小さい方を選択して出力することが好ましい。
【0116】
以上説明したように、第7の実施の形態の光通信装置によれば、第1の実施の形態と同様に、装置単体で高精度に相対情報を取得することができ、さらに、この相対情報を用いて、回避操舵角を精度良く算出することができる。
【0117】
なお、第7の実施の形態では、2つの発光部を前方車両の車幅方向の両端位置に各々配置して、フレーム画像上の発光部領域の間隔を、車幅に相当する間隔として抽出する場合について説明したが、フレーム画像から画像処理により前方車両を検出して、車幅を抽出するようにしてもよい。この場合、発光部の配置を考慮する必要がなくなる。
【0118】
次に、第8の実施の形態について説明する。なお、第8の実施の形態の光通信システムは、第1の実施の形態の光通信システム1と同様に、光信号送信装置と光通信装置とを含んでいる。各装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。なお、第8の実施の形態の形態では、光信号送信装置50から送信される通信情報Cとして、発光部52の形状(正方形、長方形、丸、楕円、正三角形、直角三角形など)を示す情報を送信する。また、光通信装置10の相対情報算出部18において、相対情報として、光通信装置10に対する発光部52の傾きの有無、すなわち、自車両に対する前方車両の傾きの有無を算出する。
【0119】
次に、図21を参照して、第8の実施の形態の光通信装置10で実行される光通信処理ルーチンについて説明する。ここでは、通信情報Cで送信される発光部52の形状が「正方形」の場合について説明する。
【0120】
ステップ100で、所定数のフレーム画像を取得し、次に、ステップ800で、上記ステップ100で取得した各フレーム画像上から発光部領域を検出し、通信情報Cとして発光部52の形状を取得する。
【0121】
次に、ステップ802で、上記ステップ100で取得した所定数のフレーム画像の最終フレームであるフレーム画像Iから発光部領域を検出し、画像情報iとして、例えば、図22(a)〜(c)に示すように、発光部領域の形状を抽出する。より具体的には、発光部領域の各辺の長さ(画素数)を発光部領域の形状として抽出する。
【0122】
次に、ステップ804で、上記ステップ802で抽出した発光部領域の形状に基づいて、光通信装置10に対する発光部52の傾きの有無を算出して、出力する。例えば、図22(d)に示すように、発光部領域のA辺(左辺)の画素数とB辺(右辺)の画素数とを比較する。A辺の画素数=B辺の画素数の場合、またはA辺の画素数とB辺の画素数との差がほぼ0のみなせる所定範囲内の場合には、同図(a)に示すように、フレーム画像上の発光部領域は正方形に見えており、傾きなしと判定する。また、A辺の画素数とB辺の画素数との差が所定値以上の場合には、同図(b)または(c)に示すように、フレーム画像上の発光部領域は台形に見えており、傾きありと判定する。
【0123】
以上説明したように、第8の実施の形態の光通信装置によれば、光通信装置から送信される発光部の形状を示す正確な情報である通信情報と、発光部を含む領域を撮像して得られた画像から抽出される画像情報とに基づいて、光通信装置に対する光信号送信装置の傾きの有無を算出するため、装置単体で高精度に光通信装置に対する光信号送信装置の傾きを取得することができる。
【0124】
なお、第8の実施の形態では、発光部領域の左右方向の傾きの有無を判定する場合について説明したが、上下方向の傾きの有無も同様の方法で判定することができる。
【0125】
次に、第9の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態の光通信システム1と同一の構成については、同一符号を付して、説明を省略する。
【0126】
図23に示すように、第9の実施の形態に係る光通信システム9は、光信号送信装置950と光通信装置910とを含んでいる。
【0127】
光信号送信装置950は、通信情報Cとして、発光部52の形状を送信する。
【0128】
光通信装置910は、撮像素子12と、コンピュータとで構成されており、このコンピュータは、受信制御部14と、画像情報抽出部16と、相対情報算出部18と、追従制御部30とを含んだ構成で表すことができる。
【0129】
相対情報算出部18では、第8の実施の形態と同様に、光通信装置910に対する光信号送信装置950の傾きの有無を算出する。
【0130】
追従制御部30は、相対情報算出部18で算出された傾きの有無に基づいて、前方車両を追従走行するための制御信号を生成して、操舵装置等を駆動する追従制御装置へ出力する。
【0131】
次に、図24を参照して、第9の実施の形態の光通信装置910で実行される光通信処理ルーチンについて説明する。なお、第1及び第8の実施の形態の光通信処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0132】
ステップ100、800〜804を経て、光通信装置910に対する光信号送信装置950の傾きの有無を算出する。
【0133】
次に、ステップ900で、上記ステップ804の算出結果が、傾きありか否かを判定する。傾きありの場合には、ステップ902へ移行して、傾きが左方向か右方向かに応じて、左方向または右方向へ操舵するための制御信号を生成して、追従制御装置へ出力する。一方、傾きなしの場合には、ステップ904へ移行して、操舵を制御するための制御信号の生成を停止する。
【0134】
次に、ステップ906で、光通信装置910により次のフレーム画像が取得されたか否かを判定する。取得された場合には、ステップ802へ戻って、新たに取得されたフレーム画像から発光部領域の形状を抽出し、以降の処理を繰り返す。次のフレーム画像が取得されなかった場合には、処理を終了する。
【0135】
以上説明したように、第9の実施の形態の光通信装置によれば、第1の実施の形態と同様に、装置単体で高精度に相対情報を取得することができ、さらに、この相対情報を用いて、前方車両に追従走行する追従制御を行うことができる。
【0136】
なお、第9の実施の形態では、光信号送信装置の発光部が1つの場合について説明したが、複数の発光部を設けるようにしてもよい。この場合、図25に示すように、フレーム画像から抽出された発光部領域各々の大きさ(総画素数)を比較して、傾きの有無を算出することができる。例えば、同図(a)に示すように、左の発光部領域の方が右の発光部領域より大きい場合には、左方向へ操舵するための制御信号を生成して、追従制御装置へ出力する。次のフレーム画像で、同図(b)に示すように、まだ、左の発光部領域の方が右の発光部領域より大きい場合には、引き続き左方向へ操舵するための制御信号を生成して、追従制御装置へ出力する。次のフレーム画像で、同図(c)に示すように、左右の発光部領域の大きさが同一となった場合には、操舵を制御するための制御信号の生成を停止する。
【0137】
次に、第10の実施の形態について説明する。なお、第10の実施の形態の光通信システムは、第1の実施の形態の光通信システム1と同様に、光信号送信装置と光通信装置とを含んでいる。各装置の構成は、光通信装置の撮像素子の構成が異なるだけであるので、その点について説明する。
【0138】
図26(a)に示すように、通常の撮像素子では、レンズ(図示省略)を介して受光した光の受光量に応じた信号を出力する複数の画素を、一つの基板上に二次元に配列して構成されている。この画素は、同図(b)に示すように、受光した光を電荷に変換する光電変換部と、光電変換部で生成された電荷に対して、電圧に変換したり、電流に変換したり、増幅したり等の様々な処理を行って読み出し回路等に送るための画素内回路とで構成されている。
【0139】
図27(a)に示すように、第10の実施の形態の光通信装置の撮像素子は、レンズを介して受光した光の受光量に応じた信号を出力する複数の第1画素と、受光量に応じた信号を出力し、かつ受光量の変化に対する応答速度が第1画素より速い複数の第2画素を、一つの基板上に二次元に交互に配列して構成されている。第1画素は、フレームで光の変化を捉える通常の画像用画素であり、第2画素は、連続的に光の変化を捉える通信用画素である。
【0140】
同図(b)に示すように、第1画素は、画像用光電変換素子及び画像用光電変換素子で生成された電荷を処理する画像用画素内回路を有している。画像用光電変換素子で生成された電荷は、画像用画素内回路で処理されて、画像信号として読み出し線に送出される。また、第2画素は、通信用光電変換素子及び通信用光電変換素子で生成された電荷を処理する通信用画素内回路を有している。通信用光電変換素子で生成された電荷は、通信用画素内回路で処理されて、通信信号として読み出し線に送出される。
【0141】
上記第1〜第9の実施の形態では、複数のフレーム画像から輝度値の変化を検出することにより通信情報Cを取得した。一方、第10の実施の形態の光通信装置10では、画像用画素を用いて撮像された1枚のフレーム画像から発光部領域を抽出し、その発光部領域の座標に対応する通信用画素で取得した光信号に基づいて、通信情報Cを取得する。
【0142】
次に、図28を参照して、第10の実施の形態の光通信装置10で実行される光通信処理ルーチンについて説明する。
【0143】
ステップ1000で、1枚のフレーム画像Iを取得し、次に、ステップ1002で、上記ステップ1000で取得したフレーム画像I上から発光部領域を検出する。次に、ステップ1004で、上記ステップ1002で検出した発光部領域の座標に対応する通信用画素を選択する。次に、ステップ1006で、上記ステップ1004で選択された通信用画素で取得された光信号に基づいて、通信情報Cを取得する。
【0144】
次に、ステップ1008で、上記ステップ1002で検出したフレーム画像Iの発光部領域に基づいて、画像情報iを抽出する。次に、ステップ1010で、上記ステップ1006で取得した通信情報C、及び上記ステップ1008で抽出した画像情報iに基づいて、光通信装置と光信号送信装置との相対情報を算出して出力し、処理を終了する。
【0145】
以上説明したように、第10の実施の形態の光通信装置によれば、上記第1〜第9の実施の形態の効果に加えて、より高速に相対情報を算出することができる。
【0146】
次に、第11の実施の形態について説明する。なお、第11の実施の形態の光通信システムは、第1の実施の形態の光通信システム1と同様に、光信号送信装置と光通信装置とを含んでいる。各装置の構成は、光通信装置の撮像素子の構成が異なるだけであるので、その点について説明する。なお、第10の実施の形態における撮像素子の構成と共通する箇所は、詳細な説明を省略する。
【0147】
図29(a)に示すように、第11の実施の形態の光通信装置の撮像素子は、第10の実施の形態で説明した画像用画素と通信用画素とが一体となった画像・通信一体画素を、一つの基板上に二次元に配列して構成されている。
【0148】
同図(b)に示すように、画像・通信一体画素は、画像用画素と通信用画素とで共通に使用される共通光電変換素子、画像用画素内回路、及び通信用画素内回路を有している。すなわち、共通光電変換素子及び画像用画素内回路で画像用画素を構成し、共通光電変換素子及び通信用画素内回路で通信用画素を構成している。画像・通信一体画素では、受信制御部14からの制御信号により、撮像モードと通信モードとが切り替わる。制御信号により、撮像モードでの動作が指示されている場合には、共通光電変換素子で生成された電荷は、画像用画素内回路で処理されて、画像信号として読み出し線に送出される。また、制御信号により、通信モードでの動作が指示されている場合には、共通光電変換素子で生成された電荷は、通信用画素内回路で処理されて、通信信号として読み出し線に送出される。
【0149】
次に、図30を参照して、第11の実施の形態の光通信装置10で実行される光通信処理ルーチンについて説明する。なお、第10の実施の形態の光通信処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0150】
ステップ1100で、全ての画像・通信一体画素に対して撮像モードで動作するように制御信号を送信し、撮像モードにて、1枚のフレーム画像Iを取得する。次に、ステップ1002で、上記ステップ1000で取得したフレーム画像I上から発光部領域を検出する。次に、ステップ1102で、上記ステップ1002で検出した発光部領域の座標に対応する画像・通信一体画素に対して通信モードで動作するように制御信号を切り替える。次に、ステップ1104で、上記ステップ1102で通信モードに切り替えられた画像・通信一体画素で取得された光信号に基づいて、通信情報Cを取得する。次に、ステップ1008及び1010を実行して、相対情報を算出する。
【0151】
以上説明したように、第11の実施の形態の光通信装置によれば、上記第10の実施の形態と同様に、より高速に相対情報を算出することができる。
【0152】
なお、上記実施の形態では、光通信装置を車両に搭載した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、工場のライン等に適用してもよい。
【0153】
また、上記各実施形態を適宜組み合わせた構成としてもよい。
【0154】
また、上記実施の形態では、プログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムをCDROM等の記憶媒体に格納して提供することも可能である。また、各機能を実現するハードウエアにより構成してもよい。
【符号の説明】
【0155】
1、3、4、5、6、7、9 光通信システム
10、410、510、610、710、910 光通信装置
12 撮像素子
14 受信制御部
16、616 画像情報抽出部
18、618 相対情報算出部
20 相対速度算出部
22 衝突予測算出部
24 パラメータ設定部
26 領域検出部
28 回避操舵角決定部
30 追従制御部
50、250、350、450、650、750、950 光信号送信装置
52、252、352、652、752 発光部
54 送信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を制御することにより、該発光部の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す通信情報を光信号により送信する送信手段を含む領域を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された複数のフレーム画像のフレーム間の画素値の変化に基づいて、前記送信手段により送信された光信号が示す通信情報を抽出する通信情報抽出手段と、
前記複数のフレーム画像の少なくとも1つのフレーム画像から、前記発光部を示す発光部領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す画像情報を抽出する画像情報抽出手段と、
前記通信情報抽出手段により抽出された通信情報と、前記画像情報抽出手段により抽出された画像情報とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出する算出手段と、
を含む光通信装置。
【請求項2】
受光量に応じた信号を出力する複数の第1画素と、受光量に応じた信号を出力し、かつ前記受光量の変化に対する応答速度が前記第1画素より速い複数の第2画素とを、一つの基板上に二次元配列した撮像素子を含む撮像手段であって、発光部を制御することにより、該発光部の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す通信情報を光信号により送信する送信手段を含む領域を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の前記第1画素を用いて撮像されたフレーム画像上の前記発光部を示す発光部領域に対応する位置の前記第2画素から出力される信号に基づいて、前記送信手段により送信された光信号が示す通信情報を抽出する通信情報抽出手段と、
前記フレーム画像から、前記発光部を示す発光部領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す画像情報を抽出する画像情報抽出手段と、
前記通信情報抽出手段により抽出された通信情報と、前記画像情報抽出手段により抽出された画像情報とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出する算出手段と、
を含む光通信装置。
【請求項3】
前記撮像素子を、第1光電変換素子及び該第1光電変換素子で生成された電荷を画像用信号として処理する第1回路を有する第1画素と、第2光電変換素子及び該第2光電変換素子で生成された電荷を通信用信号として処理する第2回路を有する第2画素とを含んで構成するか、または、共通光電変換素子及び該共通光電変換素子で生成された電荷を画像用信号として処理する第3回路を有する第1画素と、前記共通光電変換素子及び該共通光電変換素子で生成された電荷を通信用信号として処理する第4回路を有する第1画素とを含んで構成した請求項2記載の光通信装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記通信情報抽出手段により抽出した前記発光部の大きさと、前記画像情報抽出手段により抽出した前記発光部領域の大きさとに基づいて、もしくは前記通信情報抽出手段により抽出した前記発光部の位置と、前記画像情報抽出手段により抽出した前記発光部領域の位置とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との距離を算出するか、または前記通信情報抽出手段により抽出した前記発光部の形状と、前記画像情報抽出手段により抽出した前記発光部領域の形状とに基づいて、前記撮像手段に対する前記送信手段の傾きを算出する請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の光通信装置。
【請求項5】
前記送信手段は、該送信手段が複数の発光部を備える場合において、前記通信情報として、前記複数の発光部間の間隔を送信し、
前記画像情報抽出手段は、前記フレーム画像上から複数の発光部領域を検出し、該複数の発光部領域間の間隔を抽出する
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の光通信装置。
【請求項6】
前記通信情報は、前記送信手段の移動速度を示す情報をさらに含み、
前記撮像手段の移動速度を検出する検出手段により検出された前記撮像手段の移動速度と、前記通信情報抽出手段により抽出された前記送信手段の移動速度とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との相対速度を算出し、算出された相対速度と、前記相対情報とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との衝突を予測する予測手段を含む
請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の光通信装置。
【請求項7】
前記予測手段は、前記相対速度と、前記相対情報として算出された前記送信手段と前記撮像手段との距離とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との衝突予測時間を算出する請求項6記載の光通信装置。
【請求項8】
前記相対情報に基づいて、前記撮像手段による撮像、及び撮像された画像に対する画像処理の少なくとも一方を制御するためのパラメータを設定する設定手段を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の光通信装置。
【請求項9】
前記通信情報は、前記発光部を基準とした、前記送信手段が搭載された対象物の大きさを示す情報をさらに含み、
前記通信情報抽出手段により抽出された前記対象物の大きさを示す情報、前記画像情報抽出手段により抽出された発光部領域の位置、及び前記算出手段により算出された相対情報に基づいて、前記フレーム画像上の前記対象物を示す対象物領域を検出する検出手段を含む
請求項1〜請求項8のいずれか1項記載の光通信装置。
【請求項10】
前記通信情報は、前記対象物の色を示す情報をさらに含み、
前記通信情報抽出手段により抽出された前記対象物の色を示す情報、及び前記検出手段により検出された対象物領域の色情報に基づいて、前記撮像手段のホワイトバランス及び露出制御値の少なくとも一方を調整する調整手段を含む
請求項9記載の光通信装置。
【請求項11】
前記通信情報は、前記送信手段が搭載された移動体の幅を示す情報をさらに含み、
前記通信情報抽出手段により抽出された前記移動体の幅を示す情報、前記フレーム画像上の前記移動体を示す移動体領域の幅、及び前記算出手段により算出された相対情報に基づいて、前記光通信装置が搭載された移動体が、前記送信手段が搭載された移動体を回避して移動するための移動方向の角度を決定する決定手段を含む
請求項1〜請求項10のいずれか1項記載の光通信装置。
【請求項12】
前記算出手段により算出された前記撮像手段に対する前記送信手段の傾きがなくなるように、前記光通信装置が搭載された移動体の移動方向を制御する制御手段を含む請求項1〜請求項11のいずれか1項記載の光通信装置。
【請求項13】
コンピュータを、
発光部を制御することにより、該発光部の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す通信情報を光信号により送信する送信手段を含む領域を撮像する撮像手段により撮像された複数のフレーム画像のフレーム間の画素値の変化に基づいて、前記送信手段により送信された光信号が示す通信情報を抽出する通信情報抽出手段、
前記複数のフレーム画像の少なくとも1つのフレーム画像から、前記発光部を示す発光部領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す画像情報を抽出する画像情報抽出手段、及び
前記通信情報抽出手段により抽出された通信情報と、前記画像情報抽出手段により抽出された画像情報とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出する算出手段
として機能させるための光通信プログラム。
【請求項14】
コンピュータを、
受光量に応じた信号を出力する複数の第1画素と、受光量に応じた信号を出力し、かつ前記受光量の変化に対する応答速度が前記第1画素より速い複数の第2画素とを、一つの基板上に二次元配列した撮像素子を含み、発光部を制御することにより、該発光部の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す通信情報を光信号により送信する送信手段を含む領域を撮像する撮像手段の前記第1画素を用いて撮像されたフレーム画像上の前記発光部を示す発光部領域に対応する位置の前記第2画素から出力される信号に基づいて、前記送信手段により送信された光信号が示す通信情報を抽出する通信情報抽出手段、
前記フレーム画像から、前記発光部を示す発光部領域の位置、大きさ、及び形状の少なくとも1つを示す画像情報を抽出する画像情報抽出手段、及び
前記通信情報抽出手段により抽出された通信情報と、前記画像情報抽出手段により抽出された画像情報とに基づいて、前記送信手段と前記撮像手段との相対関係を示す相対情報を算出する算出手段
として機能させるための光通信プログラム。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1〜請求項12のいずれか1項記載の光通信装置を構成する各手段として機能させるための光通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−81145(P2013−81145A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221304(P2011−221304)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】