説明

光量モニタリング装置、および光量モニタリング方法

【課題】装置コストを抑制しつつ、検出光の光量低下を抑制可能な光量モニタリング装置および光量モニタリング方法を提供すること。
【解決手段】LEDモジュール1と、LEDモジュール1からの光Lの一部を参照光Lrとして分光する分光手段と、参照光Lrを受光する受光モジュール2Bと、を備える、光量モニタリング装置Aであって、上記分光手段は、LEDモジュール1からの光Lの一部を通過光Lpとして通過させるとともに、LEDモジュール1からの光Lのうち通過光Lp以外の部分の少なくとも一部が入射する入射面41a、およびこの光が参照光Lrとして出射する出射面42aを有する導光体4である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光量モニタリング装置、および光量モニタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の光量モニタリング装置の一例を示している(特許文献1参照)。同図に示された光量モニタリング装置Xは、反応検出装置に組み込まれており、この反応検出装置に装填されたマイクロチップ91に対して検査用の光を照射し、透過光を受光する機能と、検査用の光の一部を参照光として受光することにより検査用の光の光量をモニタリングする機能とを有する。マイクロチップ91は、たとえば血液などの検体、希釈液、試薬を注入または保持可能に構成されており、透明な基材に微細な流路およびこの流路につながる検出部91aが形成されている。検出部91aは、たとえば所定の濃度に希釈された検体と試薬とを混合することにより互いを反応させた後に、その反応度合いを光学的に検出するための場である。
【0003】
光量モニタリング装置Xは、LEDモジュール92、ミラー93、レンズ94、ビームスプリッタ95、参照光受光モジュール96、および検出光受光モジュール97を備えている。LEDモジュール92は、LEDが内蔵されたモジュールであり、所定の波長の光を発する。LEDモジュール92からの光は、ミラー93によって反射された後にレンズ94によって集光される。集光された光は、ビームスプリッタ95によって、参照光受光モジュール96へと向かう参照光と、検出部91aへと向かう検出光とに分光される。検出部91aを透過した上記検出光は、検出光受光モジュール97によって受光される。検出光受光モジュール97からの信号を解析することにより、検出部91aにおける反応の度合いを検出することができる。一方、参照光受光モジュール96の起電力を監視することにより、上記参照光の輝度を検出する。これにより、LEDモジュール92が適切な輝度で発光していることを確認することが可能であり、LEDモジュール92への投入電力をフィードバック制御することができる。したがって、たとえばLEDモジュール92からの光量が不足した状態で反応度合いの検出を不適切に行ってしまうことを防止することができる。
【0004】
しかしながら、LEDモジュール92からの光がビームスプリッタ95によって分光されることにより、検出部91aへと向かう検出光の光量が減じられてしまう。検出部91aにおける反応度合いを正確に検出するには、上記検出光の光量が大きいほど好ましい。この点において、光量モニタリング装置Xは、いまだ改善の余地があった。また、参照光受光モジュール96が上記参照光を適切に受光できるように、ビームスプリッタ95および参照光受光モジュール96を、正確な位置に配置する必要がある。さらに、ビームスプリッタ95は、光量モニタリング装置Xの製造コストを増大させる一因となる。また、参照光取得方式には、上記以外にバンドルファイバによる測定光と参照光の分配方式もあるが、高額かつ規模が大きくなるという欠点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2007−225555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、装置コストを抑制しつつ、検出光の光量低下を抑制可能な光量モニタリング装置および光量モニタリング方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される光量モニタリング装置は、発光手段と、上記発光手段からの光の一部を参照光として分光する分光手段と、上記参照光を受光する受光手段と、を備える、光量モニタリング装置であって、上記分光手段は、上記発光手段からの光の一部を通過光として通過させるとともに、上記発光手段からの光のうち上記通過光以外の部分の少なくとも一部が入射する入射面、およびこの光が上記参照光として出射する出射面を有する導光体であることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、上記発光手段からの光を上記通過光と上記参照光とに分光する過程において、上記通過光は、ほとんど光量が低下しない。したがって、たとえば光を用いた分析を行う分析装置に上記光量モニタリング装置を適用した場合に、検体の分析をより正確に行うことができる。また、上記導光体は、たとえば従来技術におけるビームスプリッタと比べて設置スペースが格段に小さいものとしやすい。したがって、上記光量モニタリング装置の小型化に適している。また、上記導光体は、一般的なプリズムの一種であるため、たとえばビームスプリッタと比べて安価に製造することが可能である。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導光体には、上記通過光を通過させるための通過窓が形成されている。このような構成によれば、上記発光手段からの光のうち所望の領域を上記通過光として通過させることができる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記通過窓は、上記導光体の一端部において上記発光手段からの光の進行方向に延びる溝として形成されており、上記入射面は、上記通過窓を囲む形状とされている。このような構成によれば、上記発光手段からの光のうち上記通過光の光量をモニタリングするのに適した領域を、上記参照光として分光することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記通過窓は、上記発光手段からの光のうち光量が最大となる部分を上記通過光として通過させる。このような構成によれば、この通過光を用いたたとえば血液の分析をより正確に行うことができる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記入射面は、上記発光手段からの光の上記通過光以外の部分のうち、上記発光手段が継続して発光するときに時間的な光量の増減が上記通過光と正比例する光量相関光を入射させる。このような構成によれば、上記発光手段からの光の光量分布が時間的に変動しても、上記参照光の光量は上記通過光の光量と常に比例する。これにより、上記通過光の光量を常に正確にモニタリングすることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記入射面は、上記発光手段からの光の上記通過光以外の部分のうち、上記発光手段が継続して発光するときに時間的な光量の増減が上記通過光と正比例しない光量非相関光を入射させない。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導光体には、上記入射面よりも上記通過窓から離間した領域を覆う遮蔽膜が設けられている。このような構成によれば、上記通過光の光量をより正確にモニタリングすることが可能である。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導光体には、上記入射面から入射した光を、上記通過窓から遠ざかる方向に反射する反射面が設けられている。このような構成によれば、上記入射面に入射した光が上記通過光から離間する方向に進行する。これにより、上記受光手段を、たとえば上記通過光を受光するための別の受光手段に対して不当に近接した位置に配置することが強いられることを回避することができる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導光体は、上記入射面から入射した光をその全体に拡散させうる半透明とされている。このような構成によっても、上記光量モニタリング装置の小型化および低コスト化を図りつつ、分光による上記通過光の光量低下を回避することができる。
【0017】
本発明の第2の側面によって提供される光量モニタリング方法は、発光手段からの光の一部を分光手段によって参照光として分光し、この参照光を受光手段によって受光することにより、上記発光手段からの光量をモニタリングする、光量モニタリング方法であって、上記分光手段として、上記発光手段からの光の一部を通過光として通過させるとともに、上記発光手段からの光のうち上記通過光以外の部分の少なくとも一部が入射する入射面、およびこの光が上記参照光として出射する出射面を有する導光体を用いることを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、上記発光手段からの光を上記通過光と上記参照光とに分光する過程において、上記通過光は、ほとんど光量が低下しない。したがって、たとえば光を用いた分析を行う分析方法に上記光量モニタリング方法を適用した場合に、検体の分析をより正確に行うことができる。また、上記導光体は、たとえば従来技術におけるビームスプリッタと比べて設置スペースが格段に小さいものとしやすい。したがって、上記光量モニタリング方法に用いる光量モニタリング装置の小型化に適している。また、上記導光体は、一般的なプリズムの一種であるため、たとえばビームスプリッタと比べて安価に製造することが可能である。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導光体には、上記通過光を通過させるための通過窓が形成されている。このような構成によれば、上記発光手段からの光のうち所望の領域を上記通過光として通過させることができる。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記通過窓は、上記導光体の一端部において上記発光手段からの光の進行方向に延びる溝として形成されており、上記入射面は、上記通過窓を囲む形状とされている。このような構成によれば、上記発光手段からの光のうち上記通過光の光量をモニタリングするのに適した領域を、上記参照光として分光することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記通過窓を通して、上記発光手段からの光のうち光量が最大となる部分を上記通過光として通過させる。このような構成によれば、この通過光を用いたたとえば血液の分析をより正確に行うことができる。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記発光手段からの光の上記通過光以外の部分のうち、上記発光手段が継続して発光するときに時間的な光量の増減が上記通過光と正比例する光量相関光を、上記入射面に入射させる。このような構成によれば、上記発光手段からの光の光量分布が時間的に変動しても、上記参照光の光量は上記通過光の光量と常に比例する。これにより、上記通過光の光量を常に正確にモニタリングすることができる。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記発光手段からの光の上記通過光以外の部分のうち、上記発光手段が継続して発光するときに時間的な光量の増減が上記通過光と正比例しない光量非相関光を、上記入射面に入射させない。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導光体には、上記入射面よりも上記通過窓から離間した領域を覆う遮蔽膜が設けられている。このような構成によれば、上記通過光の光量をより正確にモニタリングすることが可能である。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導光体には、上記入射面から入射した光を、上記通過窓から遠ざかる方向に反射する反射面が設けられている。このような構成によれば、上記入射面に入射した光が上記通過光から離間する方向に進行する。これにより、上記受光手段を、たとえば上記通過光を受光するための別の受光手段に対して不当に近接した位置に配置することが強いられることを回避することができる。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導光体は、上記入射面から入射した光をその全体に拡散させうる半透明とされている。このような構成によっても、この光量モニタリング方法に用いる光量モニタリング装置の小型化および低コスト化を図りつつ、分光による上記通過光の光量低下を回避することができる。
【0027】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0029】
図1および図2は、本発明に係る光量モニタリング装置の第1実施形態を示している。本実施形態の光量モニタリング装置A1は、光を用いた分析方法を実現する分析装置に組み込まれるものであり、LEDモジュール1、検出光受光モジュール2A、参照光受光モジュール2B、レンズ3、および導光体4を備えている。上記分析装置には、血液、唾液、尿などの検体を分析するためのカートリッジ5が装填される。
【0030】
LEDモジュール1は、光量モニタリング装置A1の発光手段であり、LEDチップを光源として備えている。このLEDチップは、所定の波長の光Lを発する。
【0031】
レンズ3は、LEDモジュール1と導光体4との間に配置されている。レンズ3は、LEDモジュール1からの光Lを分析に適したスポット径となるように集光する。本実施形態においては、上記スポット径は、およそ0.6mmである。また、レンズ3とカートリッジ5との距離は、9〜10mmである。
【0032】
導光体4は、光Lを通過光Lpと参照光Lrとに分光する分光手段であり、通過窓4a、上面41、下面42、傾斜面43,44、入射面41a、出射面42a、遮蔽膜48、および反射膜49を有している。なお、図1においては、理解の便宜上、反射膜49を省略している。導光体4は、たとえばポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)やガラスなどの透明な材料からなり、上面41および下面42が離間する方向の寸法が顕著に小とされた扁平な略直方体形状である。傾斜面43,44は、レンズ3の光軸方向と直角である方向に互いに離間しており、レンズ3の光軸方向においてレンズ3から遠ざかるほどレンズ3の光軸方向と直角である方向においてレンズ3から離間するような傾斜とされている。本実施形態においては、導光体4は、厚さが2mm程度、幅が10mm程度、長さが30mm程度とされている。但し、検出光受光モジュール2Aおよび参照光受光モジュール2Bの位置や通過光Lpのスポットサイズを考慮して小さくしても大きくしてもよい。導光体4の厚さおよび形状は上述したものに限定されないが、2mm程度の薄い形状が好ましく、反射面としての傾斜面43,44が形成できるものが望ましい。
【0033】
導光体4のうち傾斜面43側の端部には、通過窓4aが形成されている。通過窓4aは、レンズ3の光軸方向に延びる断面半円形状の溝である。通過窓4aの半径は、たとえば0.5mmである。本実施形態においては、通過窓4aの断面半円形状の中心が、レンズ3の光軸と一致するように配置されている。
【0034】
反射膜49は、上面41および下面42の一部ずつと、傾斜面43,44とを覆うように形成されている。反射膜49は、たとえばアルミ蒸着によって形成されたアルミ薄膜であり、導光体4内を進行する光が導光体4外へと漏れないように反射させるためのものである。遮蔽膜48は、反射膜49のうち上面41に形成された部分に重ねられており、たとえば黒色の樹脂薄膜である。なお、反射膜49のみを備え、遮蔽膜48を備えない構成としてもよい。この場合、反射膜49が遮蔽膜48の機能を兼ねる。また、遮蔽膜48のみを備え、反射膜49を備えない構成としてもよい。この場合、後述する導光体4内における光の反射は、導光体4と空気との屈折率の差による全反射によってなされる。
【0035】
遮蔽膜48および反射膜49のうち上面41に形成された部分は、上面41のうち通過窓4aを囲む半ドーナツ状領域を露出させる形状およびサイズとされている。上面41のうち遮蔽膜48および反射膜49から露出した領域が、入射面41aとされている。入射面41aの外縁の半径は、たとえば1mmである。反射膜49は、下面42のうち傾斜面44に近い領域を露出させている。この露出した領域が、出射面42aとされている。
【0036】
検出光受光モジュール2Aは、レンズ3の光軸上に配置されており、導光体4の通過窓4aの下方に配置されている。検出光受光モジュール2Aは、カートリッジ5を透過してきた検出光Ldを受光することにより、上記検体の分析に供する信号を出力するものであり、たとえばPINフォトダイオードを内蔵している。本実施形態においては、検出光受光モジュール2Aは、導光体4に対して1〜2mm下方に配置されている。
【0037】
参照光受光モジュール2Bは、導光体4の出射面42aの下方に配置されている。参照光受光モジュール2Bは、導光体4から出射された参照光Lrを受光することにより、光Lの光量モニタリングに供する信号を出力する。参照光受光モジュール2Bからの出力信号から得られる光Lの光量に応じて、分析結果を補正する、あるいはLEDモジュール1の投入電力をフィードバック制御するといった処理がなされる。本実施形態においては、参照光受光モジュール2Bは、導光体4に対して1〜2mm下方に配置されている。
【0038】
光量モニタリング装置A1を用いた光量モニタリング方法について、カートリッジ5に保持された検体の分析を例として以下に説明する。
【0039】
カートリッジ5は、たとえば血液、唾液、尿などの検体を、必要に応じて所定濃度に希釈した後に、試薬とともに反応させる場であり、ケース51および基板52を備えている。ケース51はたとえばアクリル樹脂などの透明な材質からなり、微細な溝や凹部が形成されている。基板52は、たとえばPETなどの透明な樹脂からなる板状部材であり、ケース51に貼り付けられている。ケース51に形成された上記溝や凹部は、基板52によって覆われることにより微細流路や反応槽53を形成する。反応槽53においては、必要に応じて希釈された検体と試薬とが反応した状態で保持される。
【0040】
反応槽53における反応結果を検出するために、LEDモジュール1から光Lが出射される。この光Lは、LEDモジュール1に内蔵されたLEDチップによってその波長が決まるものである。また、上記LEDチップの熱特性などから、LEDモジュール1が点灯している期間において、光Lの光量分布が時間とともに不可避的に変動することが多い。図3は、レンズ3の光軸を中心とした半径Dと上面41に相当する位置における相対光量ILとの関係を示している。本図においては、光Lの光量分布変化が最も顕著となった状態を2つの光L1,L2として表している。相対光量ILは、光L1の光軸上(D=0)における光量を100%とした相対値である。光L1,L2ともに、D=0において相対光量ILが最大となるガウス分布に近似した光量分布を呈している。D=0における相対光量ILは、光L1の方が光L2よりも大である。一方、光L2の方が光L1よりも裾野が広い光量分布となっており、D=±2〜4の領域においては、光L2の光量が光L1の光量を上回っている。
【0041】
本発明においては、光Lのうち、光L1,L2の交点よりも光軸(D=0)に近い領域を、光量相関光Lyと呼ぶ。また、光Lのうち光L1,L2の交点よりも光軸から遠い領域を、光量非相関光Lnと呼ぶ。すなわち、光量相関光Lyは、光Lのうち光軸上にある最大光量部分と、光量変動が常に正比例するものであり、光量非相関光Lnは、光Lのうち光軸上にある最大光量部分と、光量変動が常に反比例するものである。
【0042】
本実施形態においては、通過窓4aは、光Lのうち最大光量部分を含むD=0〜0.5mmの領域を通過光Lpとして通過させる。この通過光Lpは、カートリッジ5のケース51に入射した後に、反応槽53に収容された反応済みの検体を透して検出光Ldとして出射する。検出光Ldは、検出光受光モジュール2Aによって受光される。
【0043】
光LのうちD=0.5〜1.0の領域は、入射面41aに入射する。この領域は、光量相関光Lyから通過光Lpを除いた領域から、さらに光量非相関光Lnに近い領域を除いた領域である。この光は、上面41、下面42、および傾斜面43,44を覆う反射膜49によって反射されながら、導光体4内を進行する。そして、この光は、出射面42aから、参照光Lrとして出射し、参照光受光モジュール2Bによって受光される。
【0044】
光LのうちD>1の領域は、遮蔽膜48によって遮蔽されるため、入射面41aに入射することは無い。この領域は、光量相関光Lyのうち光量非相関光Lnに近い領域と、光量非相関光Lnとを含んでいる。
【0045】
参照光Lrの光量は、参照光受光モジュール2Bの出力信号によってモニタリング可能である。参照光Lrの光量に応じて、たとえば検出光受光モジュール2Aの出力信号を補正する。あるいは、参照光Lrの光量を示す参照光受光モジュール2Bの出力信号をフィードバック信号として、LEDモジュール1への投入電力をフィードバック制御する。これにより、反応槽53における反応状態をより正確に検出することが可能であり、上記検体の分析を適切に行うことができる。
【0046】
次に、光量モニタリング装置A1およびこれを用いた光量モニタリング方法の作用について説明する。
【0047】
本実施形態によれば、通過光Lpは、レンズ3を出射した後にカートリッジ5に直接入射する。すなわち、光Lを通過光Lpと参照光Lrとに分光する過程において、通過光Lpは、ほとんど光量が低下しない。したがって、反応槽53の反応状態をより明瞭に検出することが可能であり、上記検体の分析をより正確に行うことができる。
【0048】
通過窓4aを設けることにより、光Lのうち検出に適した所望の領域を通過光Lpとして通過させることができる。この通過光Lpに光Lの光量最大部分を含ませているため、上記検体の分析を正確に行うのに好適である。
【0049】
入射面41aを通過窓4aを囲む形状とすることにより、光Lのうち通過光Lpの光量をモニタリングするのに適した領域を、参照光Lrとして分光することができる。特に、光量相関光Lyを入射可能なように入射面41aの形状、サイズ、および配置を設定することにより、光Lの光量分布が時間的に変動しても、参照光Lrの光量は通過光Lpの光量と常に比例する。これにより、通過光Lpの光量を常に正確にモニタリングすることができる。さらに、遮蔽膜48によって、光量非相関光Lnが入射面41aに入射しない構成とすることにより、通過光Lpの光量をより正確にモニタリングすることが可能である。
【0050】
傾斜面43を設けることにより、入射面41aに入射した光がレンズ3の光軸から離間する方向に進行する。これにより、検出光受光モジュール2Aと参照光受光モジュール2Bとを不当に近接した位置に配置することが強いられることを回避することができる。また、傾斜面44を設けることにより、検出光受光モジュール2Aと参照光受光モジュール2Bとを同じ向きに配置することができる。これは、たとえば検出光受光モジュール2Aと参照光受光モジュール2Bとを同一の基板に実装するといった合理的な部品配置に適している。
【0051】
導光体4は、たとえば従来技術におけるビームスプリッタ95と比べて設置スペースが格段に小さい。したがって、光量モニタリング装置A1、ひいては上記分析装置の小型化に適している。また、導光体4は、一般的な材質であるPMMAやガラスからなるプリズムの一種であるため、たとえばビームスプリッタ95と比べて安価に製造することが可能である。
【0052】
図4および図5は、本発明に係る光量モニタリング装置の第2実施形態を示している。なお、本図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。本実施形態の光量モニタリング装置A2は、導光体4の構成が上述した実施形態と異なっている。
【0053】
本実施形態においては、導光体4は、入射面41aから入射した光をその全体に向けて拡散し、かつこれらの光を略全表面から出射することが可能とされたたとえば乳白色の半透明樹脂からなる矩形板状部材を用いて構成されている。このような矩形板状部材は、たとえばアクリサンデー株式会社製アクリサンデー板(乳白色)を、適宜裁断することにより形成することができる。導光体4には、上述した実施形態と同様に断面半円形状の通過窓4aが形成されている。また、導光体4には、入射面41a、出射面42a、および通過窓4aを構成する部分を露出させる一方、これら以外の領域を覆うように遮蔽膜48が形成されている。
【0054】
このような実施形態によっても、通過光Lpのモニタリングを適切に行うことができる。導光体4が、その内部において光を拡散させる機能を果たすことにより、上述した実施形態における反射膜49や傾斜面43,44を設けることなく、任意の位置に入射面41aおよび出射面42aを設定することができる。また、導光体4自体の形状を、たとえば光量モニタリング装置A2の小型化に適した形状としやすいという利点がある。さらに、導光体4を透過することにより、参照光Lrが若干減衰することはあっても、通過光Lpは分光によってほとんど減衰しない。したがって、カートリッジ5の反応槽53における上記検体の反応をより正確に検出するのに好ましい。
【0055】
本発明に係る光量モニタリング装置および光量モニタリング方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る光量モニタリング装置および光量モニタリング方法の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0056】
通過窓4aは、断面円形状であることが、一般的なLEDモジュール1およびレンズ3から向かってくる光Lの所望の領域を通過させるのに適しているが、これに限定されず、通過光Lpを通過させる形状であればよい。たとえば、導光体4を、光Lのすべてを遮りうる形状、サイズ、および配置とした上で、導光体4に貫通孔を設けることにより通過窓4aを構成してもよい。入射面41aは通過窓4aを囲む形状とすることが好ましいがこれに限定されない。入射面41aには、光量相関光Lyのみを入射させることが好ましいが、通過光Lpの光量を適切にモニタリングできる範囲で、たとえば光量非相関光Lnの一部が入射する構成であってもよい。さらに、通過窓4aを設けることなく、導光体4の端部の位置を光Lに対して正確に設定することにより、通過光Lpを通過させてもよい。
【0057】
本発明で言う分光手段としての導光体は、カートリッジ5と別体とされた導光体4に限定されず、たとえばカートリッジ5の材質および構造を適切に設定することにより、カートリッジ5の一部によって本発明で言う導光体が構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る光量モニタリング装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】光Lの光量分布を示すグラフである。
【図4】本発明に係る光量モニタリング装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】従来の光量モニタリング装置の一例を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0059】
A1,A2 光量モニタリング装置
L 光
Lp 直接通過光
Ly 光量相関光
Ln 光量非相関光
Lr 参照光
1 LEDモジュール(発光手段)
2A 検出光受光モジュール
2B 参照光受光モジュール(受光手段)
3 レンズ
4 導光体(分光手段)
5 カートリッジ
4a 通過窓
41a 入射面
42a 出射面
41 上面
42 下面
43 傾斜面(反射面)
44 傾斜面
48 遮蔽膜
49 反射膜
51 ケース
52 基板
53 反応槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光手段と、
上記発光手段からの光の一部を参照光として分光する分光手段と、
上記参照光を受光する受光手段と、
を備える、光量モニタリング装置であって、
上記分光手段は、上記発光手段からの光の一部を通過光として通過させるとともに、上記発光手段からの光のうち上記通過光以外の部分の少なくとも一部が入射する入射面、およびこの光が上記参照光として出射する出射面を有する導光体であることを特徴とする、光量モニタリング装置。
【請求項2】
上記導光体には、上記通過光を通過させるための通過窓が形成されている、請求項1に記載の光量モニタリング装置。
【請求項3】
上記通過窓は、上記導光体の一端部において上記発光手段からの光の進行方向に延びる溝として形成されており、
上記入射面は、上記通過窓を囲む形状とされている、請求項2に記載の光量モニタリング装置。
【請求項4】
上記通過窓は、上記発光手段からの光のうち光量が最大となる部分を上記通過光として通過させる、請求項2または3に記載の光量モニタリング装置。
【請求項5】
上記入射面は、上記発光手段からの光の上記通過光以外の部分のうち、上記発光手段が継続して発光するときに時間的な光量の増減が上記通過光と正比例する光量相関光を入射させる、請求項1ないし4のいずれかに記載の光量モニタリング装置。
【請求項6】
上記入射面は、上記発光手段からの光の上記通過光以外の部分のうち、上記発光手段が継続して発光するときに時間的な光量の増減が上記通過光と正比例しない光量非相関光を入射させない、請求項5に記載の光量モニタリング装置。
【請求項7】
上記導光体には、上記入射面よりも上記通過窓から離間した領域を覆う遮蔽膜が設けられている、請求項6に記載の光量モニタリング装置。
【請求項8】
上記導光体には、上記入射面から入射した光を、上記通過窓から遠ざかる方向に反射する反射面が設けられている、請求項7に記載の光量モニタリング装置。
【請求項9】
上記導光体は、上記入射面から入射した光をその全体に拡散させうる半透明とされている、請求項1ないし7のいずれかに記載の光量モニタリング装置。
【請求項10】
発光手段からの光の一部を分光手段によって参照光として分光し、この参照光を受光手段によって受光することにより、上記発光手段からの光量をモニタリングする、光量モニタリング方法であって、
上記分光手段として、上記発光手段からの光の一部を通過光として通過させるとともに、上記発光手段からの光のうち上記通過光以外の部分の少なくとも一部が入射する入射面、およびこの光が上記参照光として出射する出射面を有する導光体を用いることを特徴とする、光量モニタリング方法。
【請求項11】
上記導光体には、上記通過光を通過させるための通過窓が形成されている、請求項10に記載の光量モニタリング方法。
【請求項12】
上記通過窓は、上記導光体の一端部において上記発光手段からの光の進行方向に延びる溝として形成されており、
上記入射面は、上記通過窓を囲む形状とされている、請求項11に記載の光量モニタリング方法。
【請求項13】
上記通過窓を通して、上記発光手段からの光のうち光量が最大となる部分を上記通過光として通過させる、請求項11または12に記載の光量モニタリング方法。
【請求項14】
上記発光手段からの光の上記通過光以外の部分のうち、上記発光手段が継続して発光するときに時間的な光量の増減が上記通過光と正比例する光量相関光を、上記入射面に入射させる、請求項10ないし13のいずれかに記載の光量モニタリング方法。
【請求項15】
上記発光手段からの光の上記通過光以外の部分のうち、上記発光手段が継続して発光するときに時間的な光量の増減が上記通過光と正比例しない光量非相関光を、上記入射面に入射させない、請求項14に記載の光量モニタリング方法。
【請求項16】
上記導光体には、上記入射面よりも上記通過窓から離間した領域を覆う遮蔽膜が設けられている、請求項15に記載の光量モニタリング方法。
【請求項17】
上記導光体には、上記入射面から入射した光を、上記通過窓から遠ざかる方向に反射する反射面が設けられている、請求項16に記載の光量モニタリング方法。
【請求項18】
上記導光体は、上記入射面から入射した光をその全体に拡散させうる半透明とされている、請求項10ないし16のいずれかに記載の光量モニタリング方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−91441(P2010−91441A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262356(P2008−262356)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】