光量調整装置
【課題】シャッタ羽根とNDフィルタとを共通の電磁駆動源で動作させ、NDフィルタの開閉動作時にシャッタ羽根の開閉動作で開口部からの入射光量を途絶えさせない光量調整装置を提供する。
【解決手段】開口部3aにNDフィルタ4が進入した状態でカム溝3gに保持され、第3の位置でのアクチュエータ1への正方向通電により、カム軸7aがカム面を第4の位置に移動して、NDフィルタ4が回動し、第4の位置でアクチュエータ1を非通電とすることで、ばね8の付勢力により、カム軸7aがカム面を第1の位置に移動し、NDフィルタ4が開口部3aから退避する方向に回動する。シャッタ羽根5,6は、アクチュエータ1への逆方向通電により、開口部3aを閉じる方向に回動する。
【解決手段】開口部3aにNDフィルタ4が進入した状態でカム溝3gに保持され、第3の位置でのアクチュエータ1への正方向通電により、カム軸7aがカム面を第4の位置に移動して、NDフィルタ4が回動し、第4の位置でアクチュエータ1を非通電とすることで、ばね8の付勢力により、カム軸7aがカム面を第1の位置に移動し、NDフィルタ4が開口部3aから退避する方向に回動する。シャッタ羽根5,6は、アクチュエータ1への逆方向通電により、開口部3aを閉じる方向に回動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に搭載される光量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に搭載される光量調整装置では、シャッタ羽根および絞り羽根にそれぞれ独立の電磁駆動源を備えていたため、装置の高コスト化、大型化、重量化、および消費電力の増加等の問題があった。
【0003】
そこで、シャッタ羽根と絞り羽根とを共通の電磁駆動源で動作させる光量調整装置として、例えば図14に示すものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
この光量調整装置は、2極のマグネットを有する回転子104がコイルへの通電方向に対応して所定の角度だけ回転可能とされている。シャッタ羽根118,119は、回転子104の駆動ピン104bによってシャッタ地板101の開口部101aを開閉する動作を行う。ばね117は、絞り羽根120に連結された絞り作動部材115をその係合部115aが駆動ピン104bに接するように付勢し、駆動ピン104bをばね116との間に挟持する。
【0005】
そして、回転子104は、固定子コイルに通電されていなくても、開口部101aの全開状態、絞り羽根120の開口部120aによる口径規制状態、および開口部101aの閉じ状態でそれぞれ停止状態が維持される。
【0006】
具体的には、開口部101aの全開状態では、不図示の磁気的保持手段の保持力により、回転子104の停止状態が維持され、絞り羽根120の開口部120aによる口径規制状態では、係合部115aとばね116とにより、回転子104の停止状態が維持される。また、開口部101aの閉じ状態では、上記磁気的保持手段の保持力により、回転子104の停止状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−117135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1では、絞り羽根120の開閉動作のみを行いたい場合でも、シャッタ羽根118,119が開閉動作するため、開口部101aからの入射光量が一瞬途絶えてしまう問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、シャッタ羽根と光量調節部材とを共通の電磁駆動源で動作させ、光量調節部材を開口部に対して進退させる動作時にシャッタ羽根の開閉動作で開口部からの入射光量を途絶えさせることのない光量調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の光量調整装置は、通電制御により回転軸が正逆方向に回転駆動されるアクチュエータと、露光用の開口部を有するシャッタ地板と、前記シャッタ地板に回動動作が可能に支持され、前記回動動作により、前記開口部を開閉するシャッタ羽根と、前記シャッタ地板に回動動作が可能に支持され、前記回動動作により、前記開口部に対して進退する光量調節部材と、前記回転軸に基端が固定されると共に、先端に前記回転軸と平行な軸線を有する駆動軸が突設され、前記回転軸の回転に連動して回動することにより、前記駆動軸に係合する前記シャッタ羽根を前記開口部を開閉する方向に回動動作させるシャッタ羽根駆動部材と、前記駆動軸がスライド可能に係合する係合部、及び前記光量調節部材にスライド可能に係合して、前記シャッタ地板に形成されたカム溝のカム面に対して光軸方向に当接するカム軸を有する光量調節部材駆動部材と、前記光量調節部材駆動部材を、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向、及び前記カム軸が前記カム面に光軸方向に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記アクチュエータの正方向への通電により、前記光量調節部材に係合する前記カム軸が前記カム面を第1の位置から前記第1の位置と異なる第2の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部に進入する方向に回動し、前記第2の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第2の位置から前記第2の位置と異なる第3の位置に移動して、前記開口部に前記光量調節部材が進入した状態で前記カム溝に保持され、前記第3の位置での前記アクチュエータの正方向への通電により、前記カム軸がカム面を前記第3の位置から前記第3の位置と異なる第4の位置に移動して、前記光量調節部材が回動し、前記第4の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第4の位置から前記第1の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向に回動し、前記シャッタ羽根は、前記アクチュエータへの逆方向の通電により、前記開口部を閉じる方向に回動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シャッタ羽根と光量調節部材とを共通の電磁駆動源で動作させ、光量調節部材を開口部に対して進退させる動作時にシャッタ羽根の開閉動作で開口部からの入射光量を途絶えさせることのない光量調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の一例である光量調整装置を軸方向からみた図である。
【図2】図1に示す光量調整装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示す光量調整装置の側面図である。
【図4】ハートカム溝をシャッタ地板の軸方向からみた図である。
【図5】(a)はハートカム溝の直線展開図、(b)はアクチュエータの駆動電圧のタイミングチャート図である。
【図6】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図7】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図8】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図9】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図10】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図11】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図12】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図13】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図14】従来の光量調整装置を光軸方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態の一例である光量調整装置を軸方向からみた図、図2は図1に示す光量調整装置の分解斜視図、図3は図1に示す光量調整装置の側面図である。
【0015】
本実施形態の光量調整装置は、図1〜図3に示すように、電磁駆動源としてのアクチュエータ1、シャッタ地板3、NDフィルタ4、NDフィルタ駆動部材7、シャッタ羽根5,6、シャッタ羽根駆動部材2、及びばね部材8を備える。ここで、NDフィルタ4は、光量調節部材として機能し、NDフィルタ駆動部材7は、光量調節部材駆動部材として機能する。アクチュエータ1は、通電制御により回転軸1aが正逆方向に回転駆動される。シャッタ羽根駆動部材2は、アクチュエータ1の径方向に長い矩形板状に形成され、長手方向の一端(基端)に形成された穴部2aが回転軸1aに嵌合固定されて、回転軸1aの回転に連動して回動する。
【0016】
また、シャッタ羽根駆動部材2の長手方向の他端(先端)には、回転軸1aと平行な軸線を有する駆動軸2bが突設されている。駆動軸2bは、シャッタ地板3に形成された円弧状の穴部3c、シャッタ羽根5に形成された長穴部5b、シャッタ羽根6に形成された穴部6b、及びNDフィルタ駆動部材7に形成された長穴部7cにそれぞれ挿通されて係合する。
【0017】
シャッタ地板3は、例えば合成樹脂材料で形成され、中央部に露光用の開口部3aを有する。シャッタ地板3には、シャッタ羽根6に形成された穴部6aが回転可能に支持される軸部3b、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する円弧状の穴部3cが形成される。
【0018】
また、シャッタ地板3には、シャッタ羽根5に形成された穴部5aが回転可能に支持される軸部3d、NDフィルタ4に形成された穴部4aが回転可能に支持される軸部3e、及びばね部材8の掛止部8bが掛止される軸部3fが形成される。軸部3fの周面には、ばね部材8の掛止部8bが掛止される溝部3kが形成されている。
【0019】
更に、シャッタ地板3には、ハートカム溝3gが形成されている。図4はハートカム溝3gをシャッタ地板3の軸方向からみた図、図5(a)はハートカム溝3gの直線展開図である。
【0020】
図4及び図5(a)に示すように、ハートカム溝3gは、光軸方向の高さが異なる3つの平面状のカム面3h−1,3h−2,3h−3を有する。カム面3h−1とカム面3h−2との間に、カム面3h−1が高く、カム面3h−2が低くなる段差3i−1が設けられる。
【0021】
また、カム面3h−2とカム面3h−3との間には、カム面3h−2が高く、カム面3h−3が低くなる段差3i−2が設けられる。従って、3つのカム面3h−1,3h−2,3h−3のうち、カム面3h−1が最も高い位置に配置され、カム面3h−3が最も低い位置に配置されることになる。カム面3h−3とカム面3h−1とは、斜面状のカム面3j及び段差3i−3により接続される。
【0022】
図1〜図3に戻って、NDフィルタ4には、シャッタ地板3の軸部3eに回転可能に支持される穴部4aと、NDフィルタ駆動部材7に設けられたカム軸7aがスライド可能に係合する長穴部4bとが形成される。そして、NDフィルタ駆動部材7の駆動によりシャッタ地板3の開口部3aに対してNDフィルタ4が開閉方向に回動することで、光量調整を行う。
【0023】
シャッタ羽根5には、シャッタ地板3の軸部3dに回転可能に支持される穴部5aと、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する長穴部5bとが形成されている。また、シャッタ羽根6には、シャッタ地板3の軸部3bに回転可能に支持される穴部6aと、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bに係合する穴部6bとが形成されている。
【0024】
そして、シャッタ羽根駆動部材2の回動動作によりシャッタ地板3の開口部3aに対してシャッタ羽根5,6を開閉動作させることで、光量規制を行う。
【0025】
NDフィルタ駆動部材7は、矩形板状に形成され、シャッタ地板3のハートカム溝3gにカム係合するカム軸7aと、カム軸7aと反対方向に突出する軸部7bとを有する。軸部7bの周面には、ばね部材8の掛止部8aが掛止される溝部7dが形成されている。また、NDフィルタ駆動部材7には、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する長穴部7cが形成されている。ここで、長穴部7cは、本発明の係合部の一例に相当する。
【0026】
ばね部材8は、本実施形態では、引っ張りコイルばねとされており、NDフィルタ駆動部材7の軸部7bの溝部7dに掛止される掛止部8aと、シャッタ地板3の軸部3fの溝部3kに掛止される掛止部8bとを有する。
【0027】
ここで、図3を参照して、ばね部材8は、NDフィルタ駆動部材7の軸部7bの溝部7dに対する掛止部8aの掛止位置が、シャッタ地板3の軸部3fの溝部3kに対する掛止部8aの掛止位置に比べてシャッタ地板3から光軸方向に離れるように傾斜して配置される。
【0028】
これにより、NDフィルタ駆動部材7は、ばね部材8により、NDフィルタ4がシャッタ地板3の開口部3aから退避する方向、及びカム軸7aがシャッタ地板3のハートカム溝3gのカム面に当接する方向(光軸方向)に付勢される。
【0029】
次に、NDフィルタ4の開閉動作について説明する。図5(b)はアクチュエータ1の駆動電圧のタイミングチャート図、図6〜図9はNDフィルタ4の開閉動作を説明するための図である。
【0030】
まず、NDフィルタ4の閉動作について説明する。図6に示すNDフィルタ4の開状態では、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aがハートカム溝3gのカム面3h−1上(図4、図5(a))で、ばね部材8の付勢力によりハートカム溝3gの側壁3n−1と側壁3n−2に当接して停止している。
【0031】
これにより、NDフィルタ駆動部材7及びシャッタ羽根駆動部材2の光軸と直交する方向の移動が規制され、NDフィルタ4とシャッタ羽根5,6が開状態で保持される。ここでのカム軸7aの停止位置9aは、本発明の第1の位置の一例に相当する。
【0032】
次に、アクチュエータ1の正方向への通電をON(図5(b)参照)にすると、回転軸1aが図6の反時計回りに回転する。そして、この回転軸1aの回転に連動してシャッタ羽根駆動部材2が同方向に回動し、シャッタ羽根駆動部材2に駆動軸2bを介して係合するNDフィルタ駆動部材7がばね部材8の付勢力に抗して移動する。
【0033】
これにより、図4及び図5(a)を参照して、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ハートカム溝3gのカム面3h−1に沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−1を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−2の位置9bに光軸方向に当接し、図7に示す状態となる。ここで、位置9bは、本発明の第2の位置の一例に相当する。
【0034】
次に、アクチュエータ1を非通電(図5(b)参照)にすると、カム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりカム面3h−2に沿って移動し、ハートカム溝3gの側壁3n−3,3n−4に当接して停止し、図8に示す状態となる。ここでのカム軸7aの停止位置9cは、本発明の第3の位置の一例に相当する。
【0035】
このように、NDフィルタ4の長穴部4bに係合するカム軸7aがハートカム溝3gの位置9aから位置9bを経て位置9cまで移動することで、NDフィルタ4は、シャッタ地板3の軸部3eに嵌合された穴部4aを中心として時計回りに回転する。これにより、NDフィルタ4は、開口部3aに進入する。また、カム軸7aが位置9aから位置9cまで移動する際には、シャッタ羽根5,6は開口部3aの外側で開閉動作する。
【0036】
次に、NDフィルタ4の開動作について説明する。NDフィルタ4の閉状態では、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりシャッタ地板3のハートカム溝3gの側壁3n−3,3n−4に当接して位置9cに保持されている。
【0037】
この状態で、アクチュエータ1の正方向への通電をON(図5(b)参照)にすると、シャッタ羽根駆動部材2が図8の反時計回りに移動して、シャッタ羽根駆動部材2に駆動軸2bを介して係合するNDフィルタ駆動部材7がばね部材8の付勢力に抗して移動する。
【0038】
これにより、図4及び図5(a)を参照して、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ハートカム溝3gのカム面3h−2に沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−2を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−3の位置9dに光軸方向に当接し、図9に示す状態となる。ここで、位置9cは、本発明の第4の位置の一例に相当する。
【0039】
次に、アクチュエータ1を非通電にすると、カム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりカム面3h−3及び斜面状のカム面3jに沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−3を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−1の位置9aで光軸方向に当接して停止し、図6に示す状態となる。
【0040】
このとき、上述したように、カム軸7は、ばね部材8の付勢力によりハートカム溝3gの側壁3n−1と側壁3n−2に当接して保持される。
【0041】
このように、NDフィルタ4の長穴部4bに係合するカム軸7aがハートカム溝3gの位置9cから位置9dを経て位置9aまで移動することで、NDフィルタ4は、シャッタ地板3の軸部3eに嵌合された穴部4aを中心として反時計回りに回転する。これにより、NDフィルタ4は、開口部3aから退避する。また、カム軸7aが位置9cから位置9aまで移動する際には、シャッタ羽根5,6は開口部3aの外側で開閉動作する。
【0042】
次に、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開閉する動作について説明する。図10〜図13は、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開閉する動作を説明するための図である。
【0043】
まず、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態でのシャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作について説明する。図10に示すシャッタ羽根5,6が開口部3aを開いた状態で前記アクチュエータ1への逆方向の通電をONにすると、回転軸1aに連動してシャッタ羽根駆動部材2が時計回りに回転する。
【0044】
ここで、上述したように、シャッタ羽根5,6の長穴部5b及び穴部6bには、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bが係合している。従って、シャッタ羽根駆動部材2の時計回りの回転により、シャッタ羽根5,6が互いに閉じる方向に穴部5a,6aを中心に回動して開口部3aを閉じ、図11に示す状態となる。
【0045】
シャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作を行う際には、ばね部材8による光軸方向の付勢力によりカム軸7aがハートカム溝3gにカム面3h−1の位置9aに保持された状態でカム軸7aを中心にNDフィルタ駆動部材7が反時計回りに回動する。従って、シャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作を行う際には、NDフィルタ4は、開口部3aに対して進退動作を行わない。
【0046】
次に、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開く動作について説明する。図11の状態でアクチュエータ1への正方向の通電をONにし、かつ、アクチュエータ1の駆動力がばね部材8の付勢力より弱くなるように電流または電圧を制御する。
【0047】
これにより、カム軸7aがハートカム溝3gにカム面3h−1の位置9aに保持された状態、すなわちNDフィルタ4が開口部3aから退避した状態で、NDフィルタ駆動部材7の長穴部7cに係合するシャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bが反時計回りに回動する。この結果、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bに係合するシャッタ羽根5,6が互いに開く方向に穴部5a,6aを中心に回動して開口部3aを開き、図10に示す状態となる。
【0048】
その後、アクチュエータ1を非通電にすることで、シャッタ羽根5,6は、長穴部7cに駆動軸2bが係合することでNDフィルタ駆動部材7にシャッタ羽根駆動部材2が保持されて開口部3aを開いた状態に維持される。なお、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態でのシャッタ羽根5,6の開(図12)から閉(図13)への動作、及び閉から開への動作も上記と同様である。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、シャッタ羽根5,6とNDフィルタ4を共通のアクチュエータ1で動作させ、NDフィルタ4の進退動作時にシャッタ羽根5,6の開閉動作で開口部3aからの入射光量を途絶えさせることのない光量調整装置を提供できる。本実施形態では、NDフィルタ4を駆動する例を説明したが、NDフィルタ4に代えて、ターレット絞り板を駆動しても同様の作用効果を奏することができる。
【0050】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 アクチュエータ
2 シャッタ羽根駆動部材
3 シャッタ地板
3a 開口部
3g ハートカム溝
4 NDフィルタ
5,6 シャッタ羽根
7 NDフィルタ駆動部材
7a カム軸
8 ばね部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に搭載される光量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に搭載される光量調整装置では、シャッタ羽根および絞り羽根にそれぞれ独立の電磁駆動源を備えていたため、装置の高コスト化、大型化、重量化、および消費電力の増加等の問題があった。
【0003】
そこで、シャッタ羽根と絞り羽根とを共通の電磁駆動源で動作させる光量調整装置として、例えば図14に示すものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
この光量調整装置は、2極のマグネットを有する回転子104がコイルへの通電方向に対応して所定の角度だけ回転可能とされている。シャッタ羽根118,119は、回転子104の駆動ピン104bによってシャッタ地板101の開口部101aを開閉する動作を行う。ばね117は、絞り羽根120に連結された絞り作動部材115をその係合部115aが駆動ピン104bに接するように付勢し、駆動ピン104bをばね116との間に挟持する。
【0005】
そして、回転子104は、固定子コイルに通電されていなくても、開口部101aの全開状態、絞り羽根120の開口部120aによる口径規制状態、および開口部101aの閉じ状態でそれぞれ停止状態が維持される。
【0006】
具体的には、開口部101aの全開状態では、不図示の磁気的保持手段の保持力により、回転子104の停止状態が維持され、絞り羽根120の開口部120aによる口径規制状態では、係合部115aとばね116とにより、回転子104の停止状態が維持される。また、開口部101aの閉じ状態では、上記磁気的保持手段の保持力により、回転子104の停止状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−117135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1では、絞り羽根120の開閉動作のみを行いたい場合でも、シャッタ羽根118,119が開閉動作するため、開口部101aからの入射光量が一瞬途絶えてしまう問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、シャッタ羽根と光量調節部材とを共通の電磁駆動源で動作させ、光量調節部材を開口部に対して進退させる動作時にシャッタ羽根の開閉動作で開口部からの入射光量を途絶えさせることのない光量調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の光量調整装置は、通電制御により回転軸が正逆方向に回転駆動されるアクチュエータと、露光用の開口部を有するシャッタ地板と、前記シャッタ地板に回動動作が可能に支持され、前記回動動作により、前記開口部を開閉するシャッタ羽根と、前記シャッタ地板に回動動作が可能に支持され、前記回動動作により、前記開口部に対して進退する光量調節部材と、前記回転軸に基端が固定されると共に、先端に前記回転軸と平行な軸線を有する駆動軸が突設され、前記回転軸の回転に連動して回動することにより、前記駆動軸に係合する前記シャッタ羽根を前記開口部を開閉する方向に回動動作させるシャッタ羽根駆動部材と、前記駆動軸がスライド可能に係合する係合部、及び前記光量調節部材にスライド可能に係合して、前記シャッタ地板に形成されたカム溝のカム面に対して光軸方向に当接するカム軸を有する光量調節部材駆動部材と、前記光量調節部材駆動部材を、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向、及び前記カム軸が前記カム面に光軸方向に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記アクチュエータの正方向への通電により、前記光量調節部材に係合する前記カム軸が前記カム面を第1の位置から前記第1の位置と異なる第2の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部に進入する方向に回動し、前記第2の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第2の位置から前記第2の位置と異なる第3の位置に移動して、前記開口部に前記光量調節部材が進入した状態で前記カム溝に保持され、前記第3の位置での前記アクチュエータの正方向への通電により、前記カム軸がカム面を前記第3の位置から前記第3の位置と異なる第4の位置に移動して、前記光量調節部材が回動し、前記第4の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第4の位置から前記第1の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向に回動し、前記シャッタ羽根は、前記アクチュエータへの逆方向の通電により、前記開口部を閉じる方向に回動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シャッタ羽根と光量調節部材とを共通の電磁駆動源で動作させ、光量調節部材を開口部に対して進退させる動作時にシャッタ羽根の開閉動作で開口部からの入射光量を途絶えさせることのない光量調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の一例である光量調整装置を軸方向からみた図である。
【図2】図1に示す光量調整装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示す光量調整装置の側面図である。
【図4】ハートカム溝をシャッタ地板の軸方向からみた図である。
【図5】(a)はハートカム溝の直線展開図、(b)はアクチュエータの駆動電圧のタイミングチャート図である。
【図6】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図7】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図8】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図9】NDフィルタの開口部に対しての進退動作を説明するための図である。
【図10】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図11】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図12】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図13】シャッタ羽根の開閉動作を説明するための図である。
【図14】従来の光量調整装置を光軸方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態の一例である光量調整装置を軸方向からみた図、図2は図1に示す光量調整装置の分解斜視図、図3は図1に示す光量調整装置の側面図である。
【0015】
本実施形態の光量調整装置は、図1〜図3に示すように、電磁駆動源としてのアクチュエータ1、シャッタ地板3、NDフィルタ4、NDフィルタ駆動部材7、シャッタ羽根5,6、シャッタ羽根駆動部材2、及びばね部材8を備える。ここで、NDフィルタ4は、光量調節部材として機能し、NDフィルタ駆動部材7は、光量調節部材駆動部材として機能する。アクチュエータ1は、通電制御により回転軸1aが正逆方向に回転駆動される。シャッタ羽根駆動部材2は、アクチュエータ1の径方向に長い矩形板状に形成され、長手方向の一端(基端)に形成された穴部2aが回転軸1aに嵌合固定されて、回転軸1aの回転に連動して回動する。
【0016】
また、シャッタ羽根駆動部材2の長手方向の他端(先端)には、回転軸1aと平行な軸線を有する駆動軸2bが突設されている。駆動軸2bは、シャッタ地板3に形成された円弧状の穴部3c、シャッタ羽根5に形成された長穴部5b、シャッタ羽根6に形成された穴部6b、及びNDフィルタ駆動部材7に形成された長穴部7cにそれぞれ挿通されて係合する。
【0017】
シャッタ地板3は、例えば合成樹脂材料で形成され、中央部に露光用の開口部3aを有する。シャッタ地板3には、シャッタ羽根6に形成された穴部6aが回転可能に支持される軸部3b、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する円弧状の穴部3cが形成される。
【0018】
また、シャッタ地板3には、シャッタ羽根5に形成された穴部5aが回転可能に支持される軸部3d、NDフィルタ4に形成された穴部4aが回転可能に支持される軸部3e、及びばね部材8の掛止部8bが掛止される軸部3fが形成される。軸部3fの周面には、ばね部材8の掛止部8bが掛止される溝部3kが形成されている。
【0019】
更に、シャッタ地板3には、ハートカム溝3gが形成されている。図4はハートカム溝3gをシャッタ地板3の軸方向からみた図、図5(a)はハートカム溝3gの直線展開図である。
【0020】
図4及び図5(a)に示すように、ハートカム溝3gは、光軸方向の高さが異なる3つの平面状のカム面3h−1,3h−2,3h−3を有する。カム面3h−1とカム面3h−2との間に、カム面3h−1が高く、カム面3h−2が低くなる段差3i−1が設けられる。
【0021】
また、カム面3h−2とカム面3h−3との間には、カム面3h−2が高く、カム面3h−3が低くなる段差3i−2が設けられる。従って、3つのカム面3h−1,3h−2,3h−3のうち、カム面3h−1が最も高い位置に配置され、カム面3h−3が最も低い位置に配置されることになる。カム面3h−3とカム面3h−1とは、斜面状のカム面3j及び段差3i−3により接続される。
【0022】
図1〜図3に戻って、NDフィルタ4には、シャッタ地板3の軸部3eに回転可能に支持される穴部4aと、NDフィルタ駆動部材7に設けられたカム軸7aがスライド可能に係合する長穴部4bとが形成される。そして、NDフィルタ駆動部材7の駆動によりシャッタ地板3の開口部3aに対してNDフィルタ4が開閉方向に回動することで、光量調整を行う。
【0023】
シャッタ羽根5には、シャッタ地板3の軸部3dに回転可能に支持される穴部5aと、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する長穴部5bとが形成されている。また、シャッタ羽根6には、シャッタ地板3の軸部3bに回転可能に支持される穴部6aと、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bに係合する穴部6bとが形成されている。
【0024】
そして、シャッタ羽根駆動部材2の回動動作によりシャッタ地板3の開口部3aに対してシャッタ羽根5,6を開閉動作させることで、光量規制を行う。
【0025】
NDフィルタ駆動部材7は、矩形板状に形成され、シャッタ地板3のハートカム溝3gにカム係合するカム軸7aと、カム軸7aと反対方向に突出する軸部7bとを有する。軸部7bの周面には、ばね部材8の掛止部8aが掛止される溝部7dが形成されている。また、NDフィルタ駆動部材7には、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bがスライド可能に係合する長穴部7cが形成されている。ここで、長穴部7cは、本発明の係合部の一例に相当する。
【0026】
ばね部材8は、本実施形態では、引っ張りコイルばねとされており、NDフィルタ駆動部材7の軸部7bの溝部7dに掛止される掛止部8aと、シャッタ地板3の軸部3fの溝部3kに掛止される掛止部8bとを有する。
【0027】
ここで、図3を参照して、ばね部材8は、NDフィルタ駆動部材7の軸部7bの溝部7dに対する掛止部8aの掛止位置が、シャッタ地板3の軸部3fの溝部3kに対する掛止部8aの掛止位置に比べてシャッタ地板3から光軸方向に離れるように傾斜して配置される。
【0028】
これにより、NDフィルタ駆動部材7は、ばね部材8により、NDフィルタ4がシャッタ地板3の開口部3aから退避する方向、及びカム軸7aがシャッタ地板3のハートカム溝3gのカム面に当接する方向(光軸方向)に付勢される。
【0029】
次に、NDフィルタ4の開閉動作について説明する。図5(b)はアクチュエータ1の駆動電圧のタイミングチャート図、図6〜図9はNDフィルタ4の開閉動作を説明するための図である。
【0030】
まず、NDフィルタ4の閉動作について説明する。図6に示すNDフィルタ4の開状態では、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aがハートカム溝3gのカム面3h−1上(図4、図5(a))で、ばね部材8の付勢力によりハートカム溝3gの側壁3n−1と側壁3n−2に当接して停止している。
【0031】
これにより、NDフィルタ駆動部材7及びシャッタ羽根駆動部材2の光軸と直交する方向の移動が規制され、NDフィルタ4とシャッタ羽根5,6が開状態で保持される。ここでのカム軸7aの停止位置9aは、本発明の第1の位置の一例に相当する。
【0032】
次に、アクチュエータ1の正方向への通電をON(図5(b)参照)にすると、回転軸1aが図6の反時計回りに回転する。そして、この回転軸1aの回転に連動してシャッタ羽根駆動部材2が同方向に回動し、シャッタ羽根駆動部材2に駆動軸2bを介して係合するNDフィルタ駆動部材7がばね部材8の付勢力に抗して移動する。
【0033】
これにより、図4及び図5(a)を参照して、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ハートカム溝3gのカム面3h−1に沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−1を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−2の位置9bに光軸方向に当接し、図7に示す状態となる。ここで、位置9bは、本発明の第2の位置の一例に相当する。
【0034】
次に、アクチュエータ1を非通電(図5(b)参照)にすると、カム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりカム面3h−2に沿って移動し、ハートカム溝3gの側壁3n−3,3n−4に当接して停止し、図8に示す状態となる。ここでのカム軸7aの停止位置9cは、本発明の第3の位置の一例に相当する。
【0035】
このように、NDフィルタ4の長穴部4bに係合するカム軸7aがハートカム溝3gの位置9aから位置9bを経て位置9cまで移動することで、NDフィルタ4は、シャッタ地板3の軸部3eに嵌合された穴部4aを中心として時計回りに回転する。これにより、NDフィルタ4は、開口部3aに進入する。また、カム軸7aが位置9aから位置9cまで移動する際には、シャッタ羽根5,6は開口部3aの外側で開閉動作する。
【0036】
次に、NDフィルタ4の開動作について説明する。NDフィルタ4の閉状態では、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりシャッタ地板3のハートカム溝3gの側壁3n−3,3n−4に当接して位置9cに保持されている。
【0037】
この状態で、アクチュエータ1の正方向への通電をON(図5(b)参照)にすると、シャッタ羽根駆動部材2が図8の反時計回りに移動して、シャッタ羽根駆動部材2に駆動軸2bを介して係合するNDフィルタ駆動部材7がばね部材8の付勢力に抗して移動する。
【0038】
これにより、図4及び図5(a)を参照して、NDフィルタ駆動部材7のカム軸7aは、ハートカム溝3gのカム面3h−2に沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−2を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−3の位置9dに光軸方向に当接し、図9に示す状態となる。ここで、位置9cは、本発明の第4の位置の一例に相当する。
【0039】
次に、アクチュエータ1を非通電にすると、カム軸7aは、ばね部材8の付勢力によりカム面3h−3及び斜面状のカム面3jに沿って移動する。そして、カム軸7aは、段差3i−3を超えると、ばね部材8の光軸方向の付勢力によりカム面3h−1の位置9aで光軸方向に当接して停止し、図6に示す状態となる。
【0040】
このとき、上述したように、カム軸7は、ばね部材8の付勢力によりハートカム溝3gの側壁3n−1と側壁3n−2に当接して保持される。
【0041】
このように、NDフィルタ4の長穴部4bに係合するカム軸7aがハートカム溝3gの位置9cから位置9dを経て位置9aまで移動することで、NDフィルタ4は、シャッタ地板3の軸部3eに嵌合された穴部4aを中心として反時計回りに回転する。これにより、NDフィルタ4は、開口部3aから退避する。また、カム軸7aが位置9cから位置9aまで移動する際には、シャッタ羽根5,6は開口部3aの外側で開閉動作する。
【0042】
次に、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開閉する動作について説明する。図10〜図13は、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開閉する動作を説明するための図である。
【0043】
まず、NDフィルタ4が開口部3aから退避した状態でのシャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作について説明する。図10に示すシャッタ羽根5,6が開口部3aを開いた状態で前記アクチュエータ1への逆方向の通電をONにすると、回転軸1aに連動してシャッタ羽根駆動部材2が時計回りに回転する。
【0044】
ここで、上述したように、シャッタ羽根5,6の長穴部5b及び穴部6bには、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bが係合している。従って、シャッタ羽根駆動部材2の時計回りの回転により、シャッタ羽根5,6が互いに閉じる方向に穴部5a,6aを中心に回動して開口部3aを閉じ、図11に示す状態となる。
【0045】
シャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作を行う際には、ばね部材8による光軸方向の付勢力によりカム軸7aがハートカム溝3gにカム面3h−1の位置9aに保持された状態でカム軸7aを中心にNDフィルタ駆動部材7が反時計回りに回動する。従って、シャッタ羽根5,6が開口部3aを閉じる動作を行う際には、NDフィルタ4は、開口部3aに対して進退動作を行わない。
【0046】
次に、シャッタ羽根5,6が開口部3aを開く動作について説明する。図11の状態でアクチュエータ1への正方向の通電をONにし、かつ、アクチュエータ1の駆動力がばね部材8の付勢力より弱くなるように電流または電圧を制御する。
【0047】
これにより、カム軸7aがハートカム溝3gにカム面3h−1の位置9aに保持された状態、すなわちNDフィルタ4が開口部3aから退避した状態で、NDフィルタ駆動部材7の長穴部7cに係合するシャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bが反時計回りに回動する。この結果、シャッタ羽根駆動部材2の駆動軸2bに係合するシャッタ羽根5,6が互いに開く方向に穴部5a,6aを中心に回動して開口部3aを開き、図10に示す状態となる。
【0048】
その後、アクチュエータ1を非通電にすることで、シャッタ羽根5,6は、長穴部7cに駆動軸2bが係合することでNDフィルタ駆動部材7にシャッタ羽根駆動部材2が保持されて開口部3aを開いた状態に維持される。なお、NDフィルタ4が開口部3aに進入した状態でのシャッタ羽根5,6の開(図12)から閉(図13)への動作、及び閉から開への動作も上記と同様である。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、シャッタ羽根5,6とNDフィルタ4を共通のアクチュエータ1で動作させ、NDフィルタ4の進退動作時にシャッタ羽根5,6の開閉動作で開口部3aからの入射光量を途絶えさせることのない光量調整装置を提供できる。本実施形態では、NDフィルタ4を駆動する例を説明したが、NDフィルタ4に代えて、ターレット絞り板を駆動しても同様の作用効果を奏することができる。
【0050】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 アクチュエータ
2 シャッタ羽根駆動部材
3 シャッタ地板
3a 開口部
3g ハートカム溝
4 NDフィルタ
5,6 シャッタ羽根
7 NDフィルタ駆動部材
7a カム軸
8 ばね部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電制御により回転軸が正逆方向に回転駆動されるアクチュエータと、
露光用の開口部を有するシャッタ地板と、
前記シャッタ地板に回動動作が可能に支持され、前記回動動作により、前記開口部を開閉するシャッタ羽根と、
前記シャッタ地板に回動動作が可能に支持され、前記回動動作により、前記開口部に対して進退する光量調節部材と、
前記回転軸に基端が固定されると共に、先端に前記回転軸と平行な軸線を有する駆動軸が突設され、前記回転軸の回転に連動して回動することにより、前記駆動軸に係合する前記シャッタ羽根を前記開口部を開閉する方向に回動動作させるシャッタ羽根駆動部材と、
前記駆動軸がスライド可能に係合する係合部、及び前記光量調節部材にスライド可能に係合して、前記シャッタ地板に形成されたカム溝のカム面に対して光軸方向に当接するカム軸を有する光量調節部材駆動部材と、
前記光量調節部材駆動部材を、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向、及び前記カム軸が前記カム面に光軸方向に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備え、
前記アクチュエータの正方向への通電により、前記光量調節部材に係合する前記カム軸が前記カム面を第1の位置から前記第1の位置と異なる第2の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部に進入する方向に回動し、
前記第2の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第2の位置から前記第2の位置と異なる第3の位置に移動して、前記開口部に前記光量調節部材が進入した状態で前記カム溝に保持され、
前記第3の位置での前記アクチュエータの正方向への通電により、前記カム軸がカム面を前記第3の位置から前記第3の位置と異なる第4の位置に移動して、前記光量調節部材が回動し、
前記第4の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第4の位置から前記第1の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向に回動し、
前記シャッタ羽根は、前記アクチュエータへの逆方向の通電により、前記開口部を閉じる方向に回動することを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
前記カム溝は、ハートカム溝であることを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項3】
前記ハートカム溝は、光軸方向の高さが異なる3つの平面状のカム面と、最も低い平面状のカム面と最も高い平面状のカム面とを接続する斜面状のカム面と、を有することを特徴とする請求項2に記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記光量調節部材駆動部材及び前記シャッタ地板に掛止される引っ張りコイルばねであり、
前記引っ張りコイルばねは、前記光量調節部材駆動部材に対する掛止位置が前記シャッタ地板に対する掛止位置に比べて前記シャッタ地板から光軸方向に離れるように傾斜して配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光量調整装置。
【請求項1】
通電制御により回転軸が正逆方向に回転駆動されるアクチュエータと、
露光用の開口部を有するシャッタ地板と、
前記シャッタ地板に回動動作が可能に支持され、前記回動動作により、前記開口部を開閉するシャッタ羽根と、
前記シャッタ地板に回動動作が可能に支持され、前記回動動作により、前記開口部に対して進退する光量調節部材と、
前記回転軸に基端が固定されると共に、先端に前記回転軸と平行な軸線を有する駆動軸が突設され、前記回転軸の回転に連動して回動することにより、前記駆動軸に係合する前記シャッタ羽根を前記開口部を開閉する方向に回動動作させるシャッタ羽根駆動部材と、
前記駆動軸がスライド可能に係合する係合部、及び前記光量調節部材にスライド可能に係合して、前記シャッタ地板に形成されたカム溝のカム面に対して光軸方向に当接するカム軸を有する光量調節部材駆動部材と、
前記光量調節部材駆動部材を、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向、及び前記カム軸が前記カム面に光軸方向に当接する方向に付勢する付勢手段と、を備え、
前記アクチュエータの正方向への通電により、前記光量調節部材に係合する前記カム軸が前記カム面を第1の位置から前記第1の位置と異なる第2の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部に進入する方向に回動し、
前記第2の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第2の位置から前記第2の位置と異なる第3の位置に移動して、前記開口部に前記光量調節部材が進入した状態で前記カム溝に保持され、
前記第3の位置での前記アクチュエータの正方向への通電により、前記カム軸がカム面を前記第3の位置から前記第3の位置と異なる第4の位置に移動して、前記光量調節部材が回動し、
前記第4の位置で前記アクチュエータを非通電とすることにより、前記付勢手段の付勢力により、前記カム軸が前記カム面を前記第4の位置から前記第1の位置に移動して、前記光量調節部材が前記開口部から退避する方向に回動し、
前記シャッタ羽根は、前記アクチュエータへの逆方向の通電により、前記開口部を閉じる方向に回動することを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
前記カム溝は、ハートカム溝であることを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項3】
前記ハートカム溝は、光軸方向の高さが異なる3つの平面状のカム面と、最も低い平面状のカム面と最も高い平面状のカム面とを接続する斜面状のカム面と、を有することを特徴とする請求項2に記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記光量調節部材駆動部材及び前記シャッタ地板に掛止される引っ張りコイルばねであり、
前記引っ張りコイルばねは、前記光量調節部材駆動部材に対する掛止位置が前記シャッタ地板に対する掛止位置に比べて前記シャッタ地板から光軸方向に離れるように傾斜して配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光量調整装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−255991(P2012−255991A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130116(P2011−130116)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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