説明

光量調節装置及びそれを搭載したカメラ

【課題】簡単な構成で光軸方向の薄型化を達成でき且つ複数の光学的開口を得ることができる光量調整装置を提供する。
【解決手段】絞り装置21の押さえ板22は光学系の開放Fナンバー相当の大きさよりも大きな光学的開口26を有し、基板25と共にスペーサ24を前後から挟んで接着等により固定され、スペーサ24の枠内に収容された遮光幕23を移動可能に保持している。遮光幕23は予め所定のピッチで電気的に分極されたエレクトレットを施され、第1、第2及び第3の光学的開口27、28及び29を備えている。第1の光学的開口27の大きさは光学系の開放Fナンバー相当の大きさであり、第2及び第3の光学的開口28及び29は順次小さく形成されている。基板25には光学的開口31を除く全面に遮光幕23を駆動するための帯状電極32が設けられている。この絞り装置21は遮光幕23を所定の位置に移動させて遮光幕23の第1、第2又は第3の光学的開口27、28又は29による3種類の光学的開口を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構成で光軸方向の薄型化を達成でき且つ複数の光学的開口を得ることができる光量調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学レンズなどを用いて結像させた被写体像をCCD(Charge Coupled Device )などの撮像素子で電気信号に変換し、記録媒体に撮像画像として記録する電子カメラが広く普及している。
【0003】
一般に、カメラには銀塩フィルム用カメラや電子カメラのいずれにおいても、被写体からの光路上の光学的開口部に、被写体からの光量を調節するための絞りや被写体の瞬時の像を捉えるためのシャッタを設けることが必要である。またシャッタの動作は連続撮影に即応できるほど良いことも、つとに知られている。
【0004】
そのようなカメラのシャッタや絞りのような光量調節装置の駆動制御に誘導電荷型アクチュエータを用いる例も提案されている。その光量調節装置としては、1個のステータ(固定子、基板)に対しスライダ(移動子、遮光幕)が1個のものと2個のものがあり、いずれもスライダをシャッタ羽根又は絞り羽根として機能させるべく基板上にスライダ駆動用の帯状電極を設けた技術が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、回転電磁アクチュエータに組み込まれた1枚の絞り羽根に、複数の光学的開口が設けられている光量調整装置も開示されている。(例えば、特許文献2参照。)
【特許文献1】特開平08−220592号公報([要約]、図1、[0011]、図2)
【特許文献2】特開平10−274795号公報([要約]、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の技術では、誘導電荷型アクチュエータを応用して2枚のシャッタ羽根をそれぞれ個別に駆動して所望の開口径を得る絞り装置が開示されている。しかしこの特許文献1の技術構成では、帯状電極、シャッタ羽根、及び駆動制御等の構成が少なくとも2組必要となる。
【0006】
また、特許文献2の技術は、複数の光学的開口が設けられている1枚の絞り羽根を回転電磁アクチュエータで駆動制御しているが、電磁アクチュエータの構成が複雑になるとともに、電磁アクチュエータを用いていることにより全体として光軸方向の薄型化の妨げになっている。
【0007】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、簡単な構成で、光軸方向の薄型化を達成でき且つ複数の光学的開口を得ることができる光量調整装置及びそれを搭載したカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
先ず、第1の発明の光量調節装置は、予め所定の間隔で分極された遮光幕と、該遮光幕を駆動するための帯状電極と、で構成される光量調節装置にであって、1枚の遮光幕に大きさの異なる複数の光学的開口を設けて構成される。
【0009】
この光量調節装置において、上記遮光幕に設けられた複数の光学的開口は、例えば上記遮光幕の移動方向と平行で且つ直線状に並んでいるように構成され、また、例えば光学系の開放Fナンバーに相当する大きさの光学的開口が含まれるように構成される。
【0010】
この場合、光学系の開放Fナンバーに相当する大きさの上記光学的開口は、例えば該光学的開口と異なる大きさの他の光学的開口に挟まれて配置されるように構成される。そして、光学系の開放Fナンバーに相当する大きさの上記光学的開口と異なる大きさの他の上記光学的開口は、例えばいずれも光学系の開放Fナンバーに相当する大きさよりも小さいように構成されることが好ましい。
【0011】
また、この光量調節装置において、上記遮光幕を上記基板との間に移動可能に保持する押さえ板を具備するように構成される。この場合、上記押さえ板は、例えば光学系の開放Fナンバーに相当する大きさの光学的開口を備えているように構成される。
【0012】
この場合、上記遮光幕は、例えば複数の光学的開口の間に上記押さえ板の光学的開口を完全に遮光する大きさの部位を備えているように構成してもよく、また、上記遮光幕に設けられた複数の上記光学的開口は、例えばいずれもその大きさが、光学系の開放Fナンバーに相当する大きさよりも小さいように構成することが好ましい。
【0013】
次に、第2の発明のカメラは、上記構成の光量調節装置を光学系のシャッタ位置又は絞り位置に設けて構成される。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明によれば、簡単な構成で複数の光学的開口を選択できる光量調節装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施例1〜3)
図1は、本発明の光量調節装置を搭載したデジタルカメラの概略構成を示す図であり、上にデジタルカメラの前面からの外観を示す斜視図を示し、下にデジタルカメラ内部の主要部の配置状態を透視的に示す斜視図を示している。
【0016】
図1の上に示すように、デジタルカメラ1は、前面右上隅に撮影レンズ窓2を備え、その左方にストロボ照射窓3を備えている。また、上面の左端部にはレリーズボタン4が設けられている。
【0017】
そして、図1の下に示すように、デジタルカメラ1の内部は、全体の左方ほぼ2/3を占めて、各種の電子部品を搭載した回路基板5からなる制御装置や着脱交換自在な電池6などが配置されている。そして、その右方の全体のほぼ1/3を占める部分には、ユニット化されたレンズ装置7が配設されている。
【0018】
レンズ装置7は、図1の上に示す撮影レンズ窓2から図1の下に示す撮影光軸O1に沿って入射する被写体からの光束を、その撮影光軸O1がほぼ直角に下方に折り曲がるように反射させ、その下方に折り曲げられた後述する第2の光軸O2に沿って、上記の入射光束を、レンズ装置7の下端部に配設されている例えばCCDなどからなる撮像素子まで導いて撮像画像を生成する。
【0019】
図2は、図1の下に示すレンズ装置7のA−A´矢視断面をそのデジタルカメラ1の左方から見た図であり、レンズユニット各部の概略の構成を示している。図1の下に示したレンズ装置7の内部には、この図2に示すように上記下方に折り曲げられた第2の光軸O2に沿って、第1の固定鏡枠部8にレンズ群が保持された第1の固定レンのズ部9、第1の移動鏡枠11にレンズ群が保持された第1の移動レンズ部12、第2の移動鏡枠13にレンズ群が保持された第2の移動レンズ部14、第3の移動鏡枠15にレンズが保持された第3の移動レンズ部16、第2の固定鏡枠部17にレンズが保持され第2の固定レンズ部18及びこれらのレンズ部の終端には配置さえた撮像素子19とで構成されている。
【0020】
上記第1の移動レンズ部12及び第2の移動レンズ部14は、このレンズ装置7の光学系の第2の光軸O2に沿って入射する被写体の光束の焦点距離を変化させる、つまりズーム比調節用のために設けられ、第3の移動レンズ部16は、上記の光束が撮像素子19上に結像する焦点調節のために設けられている。そして、上記第1の移動レンズ部12と第2の移動レンズ部14の間には、シャッタ位置(絞り位置でもある)20が設けられている。
【0021】
図3は、図1の下に示したレンズ装置7をデジタルカメラ1の図1の下の背面側から見た拡大斜視図である。図3には、レンズ装置7の右に、レンズ装置7に組み付けられている絞り装置(又は絞りシャッタ装置)を単独に示している。
【0022】
図3に示すように、レンズ装置7には、図2に示したシャッタ位置(絞り位置)20に絞り装置(又は絞りシャッタ装置)21が組み込まれている。絞り装置(又は絞りシャッタ装置)21は、図3の右に示すように、長辺aと短辺bからなる矩形の平らな板状体をなす装置であり、詳しくは後述するが第2の光軸O2の透過路となる光学的開口部を備えている。そして、この絞り装置(又は絞りシャッタ装置)21の光学的開口部を透過する第2の光軸O2の終端すなわちレンズ装置7の下端部には、図2にも示した撮像素子19が配置されている。
【実施例1】
【0023】
図4は、左上に実施例1としての絞り装置21の分解斜視図を示し、右にその組み上がり後の動作状態を三段に分けて示している。図4の左上に示すように、絞り装置21は、押さえ板22、遮光幕23、スペーサ24、及び基板25が積層されて構成される。
【0024】
押さえ板22は、例えば金属又はセラミック等からなり、光学系の開放Fナンバー相当の大きさよりも大きな光学的開口26を有し、基板25と共にスペーサ24を前後から挟んで接着等により固定されている。スペーサ24の枠内には、遮光幕23が収容され移動可能に保持される。
【0025】
遮光幕23には、図では定かに見えないが予め所定のピッチで電気的に分極された後述するエレクトレットが施されており、更に第1の光学的開口27、第2の光学的開口28、及び第3の光学的開口29が設けられている。
【0026】
本実施例では、上記遮光幕23に設けられる第1の光学的開口27の大きさを、光学系の開放Fナンバー相当の大きさに設定しており、また、第2の光学的開口28は第1の光学的開口27よりも小さく、更に第3の光学的開口29は第2の光学的開口28の大きさよりも小さくなるように設定されている。
【0027】
基板25は、例えば透明な部材(例えばガラス板)から成り、押さえ板22の光学的開口26に対応する位置に設定されている光学的開口31を除く全面に、遮光幕23を駆動するための帯状電極32が設けられている。
【0028】
この絞り装置21は、組み上がり後において、図4の右に示すように、遮光幕23を所定の位置に移動させることにより、遮光幕23に形成されている第1、第2又は第3の光学的開口27、28又は29による3種類の光学的開口が得られる。
【0029】
上述したように、押さえ板22に設けられた光学的開口26の大きさは、光学系の開放Fナンバー相当の大きさ即ち遮光幕23に設けられた第1の光学的開口27の大きさよりも大きく設定してあり、したがって、光学系の開放Fナンバーは、遮光幕23の第1の光学的開口27によって決定される構成となっている。
【0030】
尚、本実施例では、開口径切り替えの速度を考慮して、遮光幕23のほぼ中央部に光学系の開放Fナンバー相当の光学的開口27を設け、その両側に光学系の開放Fナンバー相当よりも小さな光学的開口28及び29を配置したが、これら3種類の光学的開口の配置については、これに限定されるものではない。
【0031】
ここで、本発明における絞り装置(又は絞りシャッタ装置)における遮光幕を駆動する駆動原理を説明する。
図5は、本発明の絞り装置(又は絞りシャッタ装置)の駆動原理を説明する図である。尚、以下の駆動原理の説明では、基板25に代えて固定子25と言い、遮光幕23に代えて移動子23と言うことにする。また、遮光幕を駆動する機構をシャッタ機構ということにする。
【0032】
本シャッタ機構は、基本的に固定子25と移動子23とを備え、移動子23は、固定子25に対して図5の上と下に示すように左右方向に移動自在に構成されている。そして、固定子25には、被写体からの光像を撮像素子(図2、図3の撮像素子19参照)に導くための開口部(光学的開口部33)が設けられ、更に、複数の帯状電極34が所定の間隔で並べて形成されている。他方の移動子23は、遮光性を有する部材であり、永久分極された誘電体の部位を備えている。このような移動子23の構成はエレクトレットと呼ばれている。
【0033】
一般に、エレクトレットとは、電気を通しにくい例えばテフロン(登録商標)、ポリプロピレン、マイラーなどの高分子材料を加熱溶融し、これに直流の高電圧を加えながら電極の間で固化させたあとで電極を取り去ると、電極に接していた面が正または負に帯電し、これらの分極(正と負の電気に分かれた状態)が半永久的に保持されているもののことを称する用語である。
【0034】
上記のシャッタ機構において、帯状電極34に正負の電圧を周期的に印加すると、帯状電極34と移動子23の上記エレクトレットとの間に吸引力又は反発力が発生し、結果的に移動子23が固定子25に対して相対移動する。
【0035】
したがって、移動子23が固定子25の開口部(光学的開口部33)を開放又は遮蔽するように移動可能にすることによってシャッタ機構を構成することができる。図5の上はシャッタが開の状態を示し、図5の下はシャッタが閉の状態を示している。以下、本構成に係るシャッタ機構を「エレクトレットシャッタ」と称することにする。
【0036】
なお、固定子25の開口部(光学的開口部33)は、必ずしも貫通孔のような物理的な開口部とする必要はなく、固定子25を透過部材とし、開口部に相当する位置に帯状電極34が設けられていない透過領域を形成するようにしても良い。
【0037】
図6は、エレクトレットシャッタとその駆動回路を模式的に示す図である。同図は右にエレクトレットシャッタの断面を模式的に示し、左に駆動回路をブロック図で示している。同図に示すように、固定子25に並べられたそれぞれの帯状電極34には、駆動(電圧印加)回路35からの電圧信号線が接続されている。この電圧信号線には4相の電圧信号が印加され、従って、帯状電極34には、4本毎に同一の電圧信号が印加される。図6では、帯状電極34にA、B、C、Dの符号を付してこの電圧信号を区別している。
【0038】
この固定子25の帯状電極34の配設面に対向して移動子23が配置されている。移動子23は、固定子25との対向面に永久分極された上述した誘電体(エレクトレット)36を複数備えている。
【0039】
同図の左に示す駆動回路35では、パルス発生回路37で矩形波列(駆動パルス信号)が生成され、この駆動パルス信号が昇圧回路38と位相器39に供給される。昇圧回路38では、入力した駆動パルス信号を100V程度まで昇圧するとともに、2つの極性を有する電圧信号に分岐して、駆動電極A及びCに供給する。
【0040】
他方、位相器39に入力した駆動パルス信号は、90°位相が遅れた波形となり、その後、昇圧回路38に入力されて、上述と同様の2つの極性を有する電圧信号に分岐されて駆動電極B及びDに供給される。
【0041】
図7は、駆動回路35によって生成されて帯状電極34に印加される電圧信号列を示す図である。帯状電極34(A、B、C、D)の電圧の状態は、期間Tにおけるt1〜t4の4つの状態変化が時間tにおける期間Tごとの経過に対応して繰り返される。
【0042】
図8は、上記のエレクトレットシャッタの動作を更に説明する図である。図8の(1) は図7において各帯状電極34(A,B,C,D)の電圧状態が、図7に示したt1の印加電圧の状態に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極との対応関係を示している。
【0043】
エレクトレット36aは、駆動電極Aから反発力を受け、駆動電極Bから吸引力を受ける。また、エレクトレット36bは、駆動電極Cから反発力を受け、駆動電極Dから吸引力を受ける。このため、移動子23は図の右方向に力を受けて、1つの駆動電極ピッチdだけ移動する。
【0044】
図8の(2) は、上記に続いて図7に示したt2の印加電圧の状態に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極との対応関係を示している。エレクトレット36aは、駆動電極Bから反発力を受け、駆動電極Cから吸引力を受ける。また、エレクトレット36bは、駆動電極Dから反発力を受け、駆動電極Aから吸引力を受ける。このため、移動子23は図の右方向に力を受けて、再び1つの駆動電極ピッチdだけ移動する。
【0045】
図8の(3) は、上記に続いて図7に示したt3の印加電圧の状態に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極との対応関係を示し、図8の(4) は、図8の(3) に続いて図7に示したt4の印加電圧の状態に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極との対応関係を示している。図8の(1) 及び(2) で説明した動作と同様に、移動子23は、1つの駆動電極ピッチdだけ順次移動する。
【0046】
そして、この動作が繰り返されることにより、移動子23は図8の右方向に移動する。なお、移動子23を図8の左方向に移動するためには、帯状電極34に印加する電圧の極性を逆に切り替えればよい。
【0047】
このように、本例の移動子23は、それ自体が半永久的な分極帯電部を備えているので、例えば誘導電荷形アクチュエータのように、電圧印加、電荷蓄電及び静電誘導を繰り返す手数と時間を要することなく、単に駆動電圧の印加だけで移動子を迅速に駆動することができる。
【実施例2】
【0048】
図9は、左上に実施例2としての絞り装置21´の分解斜視図を示し、右にその組み上がり後の動作状態を三段に分けて示している。図9の左上に示すように、この絞り装置21´も、押さえ板41、遮光幕42、スペーサ43、及び基板44が積層されて構成される。
【0049】
上記いずれの部材も、素材及び組み上げ方法においては、図4に示した絞り装置21と同様であるが、スペーサ43以外の各部材の構成が、図4の場合とやや異なる。すなわち押さえ板41は、光学系の開放Fナンバー相当の大きさの光学的開口45を中央よりもやや図の右側に片寄った位置に形成されている。
【0050】
また、基板44も、押さえ板41の光学的開口45に対応して、中央よりもやや図の右側に片寄った位置に設定されている光学的開口46を除く全面に、遮光幕42を駆動するための帯状電極47が設けられている。
【0051】
そして、遮光幕42は、図4の場合よりも長手方向が短く、押さえ板41又は基板44のほぼ1/2の長さに形成されており、第1の光学的開口48と第2の光学的開口49の2つの光学的開口を備えている。この絞り装置21´における遮光幕42の第1の光学的開口48及び第2の光学的開口49は、それぞれ図4の絞り装置21における遮光幕23の第2の光学的開口28及び第3の光学的開口29に対応している。
【0052】
すなわち、この絞り装置21´における遮光幕42の第1の光学的開口48は、押さえ板41に形成されている光学系の開放Fナンバー相当の光学的開口45よりも小さく、第2の光学的開口49は、第1の光学的開口48よりも更に小さく形成されている。
【0053】
この絞り装置21´は、組み上がり後において、図9の右上段に示すように、光学系の開放Fナンバー相当の光学的開口が選択され場合は、遮光幕42は、押さえ板41に設けられた光学系の開放Fナンバー相当の光学的開口45から図の左側に完全に退避した状態となる。
【0054】
そして、図の右中段に示すように、第1の光学的開口48が選択されたときは遮光幕42が押さえ板41の中央に位置し、第2の光学的開口49が選択されたときは遮光幕42が押さえ板41の右端に位置することによって、図4の場合と同様に3種類の光学的開口が得られるようになっている。
【実施例3】
【0055】
図10は、左上に実施例3としての絞りシャッタ装置21″の分解斜視図を示し、右にその組み上がり後の動作状態を三段に分けて示している。尚、図10の左上に示す分解斜視図には、図4の構成と同一構成部分には図4と同一の番号を付与して示している。
【0056】
図10の左上に示すように、本実施例における絞りシャッタ装置21″は、押さえ板22、遮光幕51、スペーサ24、及び基板25が積層されて構成される。すなわち、この絞りシャッタ装置21″は、図4の絞り装置21に比較して遮光幕51の構成のみが異なる。
【0057】
本実施例における遮光幕51は、長手方向両端部に第1の光学的開口52と第2の光学的開口53を備え、これら複数(本例では2つ)の光学的開口の間に、押さえ板22の光学的開口26を完全に遮光する大きさの遮光部位54を備えている。
【0058】
この絞り装置21″は、組み上がり後において、図10の右上段に示すように、遮光幕51が押さえ板22の右方に寄ったときは、遮光幕51の第1の光学的開口52が押さえ板22の光学的開口26に重なって、第1の光学的開口52すなわち大径の光学的開口が選択された状態となり、遮光幕51が押さえ板22の中央に位置したときは、遮光幕51の遮光部位54が押さえ板22の光学的開口26を完全に遮光する状態となり、遮光幕51が押さえ板22の左方に寄ったときは、遮光幕51の第2の光学的開口53が押さえ板22の光学的開口26に重なって、第2の光学的開口53すなわち小径の光学的開口が選択された状態となる。
【0059】
このように構成することにより、1枚の遮光幕51で、2つの絞り径の選択、並びにシャッタ機能も有することができる。また、押さえ板22の光学的開口26を完全に塞ぐ遮光部位54を、第1の光学的開口52と第2の光学的開口53に挟まれる位置に配置したことにより、第1の光学的開口52が選択された場合でも、第2の光学的開口53が選択された場合であっても、押さえ板22の光学的開口26を塞く位置への切り替えが円滑に行われるようになる。
【0060】
尚、実施例1及び2では、光学系の開放Fナンバー相当を含む3種類の光学的開口を選択できる構成とし、実施例3では2種類の光学的開口と完全遮光状態を選択できる構成を示したが、これに限ることなく、必要に応じた任意の数の光学的開口や完全遮光部位を設けてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の光量調節装置を搭載したデジタルカメラの概略構成を示す前面からの外観斜視図及びカメラ内部の主要部の配置状態を透視的に示す斜視図である。
【図2】図1の下に示すレンズ装置のA−A´矢視断面をデジタルカメラの左方から見てレンズユニット各部の概略の構成を示す図である。
【図3】図1の下に示したレンズ装置をデジタルカメラの背面側から見た拡大斜視図である。
【図4】左上に絞り装置の分解斜視図を示し、右にその組み上がり後の動作状態を三段に分けて示している。
【図5】本発明の絞り装置(又は絞りシャッタ装置)の駆動原理を説明する図である。
【図6】本発明の絞り装置(又は絞りシャッタ装置)に係わるエレクトレットシャッタとその駆動回路を模式的に示す図である。
【図7】エレクトレットシャッタの駆動回路によって生成されて駆動電極に印加される電圧信号列を示す図である。
【図8】エレクトレットシャッタの動作を更に説明する図である。
【図9】左上に実施例2としての絞り装置の分解斜視図、右にその組み上がり後の動作状態を三段に分けて示す図である。
【図10】左上に実施例3としての絞りシャッタ装置の分解斜視図、右にその組み上がり後の動作状態を三段に分けて示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 デジタルカメラ
2 撮影レンズ窓
3 ストロボ照射窓
4 レリーズボタン
5 回路基板
6 電池
7 レンズ装置
8 第1の固定鏡枠部
9 第1の固定レンのズ部
O1 撮影光軸
O2 第2の光軸
11 第1の移動鏡枠
12 第1の移動レンズ部
13 第2の移動鏡枠
14 第2の移動レンズ部
15 第3の移動鏡枠
16 第3の移動レンズ部
17 第2の固定鏡枠部
18 第2の固定レンズ部
19 撮像素子
20 シャッタ位置(絞り位置)
21、21´ 絞り装置
21″ 絞りシャッタ装置
22 押さえ板
23 遮光幕
24 スペーサ
25 基板
27 第1の光学的開口
28 第2の光学的開口
29 第3の光学的開口
31 光学的開口
32 帯状電極
33 光学的開口部
34 帯状電極
35 駆動(電圧印加)回路
36 誘電体(エレクトレット)
37 パルス発生回路
38 昇圧回路
39 位相器
41 押さえ板
42 遮光幕
43 スペーサ
44 基板
45、46 光学的開口
47 帯状電極
48 第1の光学的開口
49 第2の光学的開口
51 遮光幕
52 第1の光学的開口
53 第2の光学的開口
54 遮光部位


【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め所定の間隔で分極された遮光幕と、該遮光幕を駆動するための帯状電極と、で構成される光量調節装置にであって、
1枚の遮光幕に大きさの異なる複数の光学的開口を設けたことを特徴とする光量調節装置。
【請求項2】
前記遮光幕に設けられた複数の光学的開口は、前記遮光幕の移動方向と平行で且つ直線状に並んでいることを特徴とする請求項1記載の光量調節装置。
【請求項3】
前記遮光幕に設けられた複数の光学的開口には、光学系の開放Fナンバーに相当する大きさの光学的開口が含まれることを特徴とする請求項1記載の光量調節装置。
【請求項4】
光学系の開放Fナンバーに相当する大きさの前記光学的開口は、該光学的開口と異なる大きさの他の光学的開口に挟まれて配置されていることを特徴とする請求項3記載の光量調節装置。
【請求項5】
光学系の開放Fナンバーに相当する大きさの前記光学的開口と異なる大きさの他の前記光学的開口は、いずれも光学系の開放Fナンバーに相当する大きさよりも小さいことを特徴とする請求項3記載の光量調節装置。
【請求項6】
前記遮光幕を前記基板との間に移動可能に保持する光学的開口を有する押さえ板を具備することを特徴とする請求項1記載の光量調節装置。
【請求項7】
前記押さえ板は、光学系の開放Fナンバーに相当する大きさの光学的開口を備えていることを特長する請求項6記載の光量調節装置。
【請求項8】
前記遮光幕は、複数の光学的開口の間に前記押さえ板の光学的開口を完全に遮光する大きさの部位を備えていることを特徴とする請求項6記載の光量調節装置。
【請求項9】
前記遮光幕に設けられた複数の前記光学的開口は、いずれもその大きさが、光学系の開放Fナンバーに相当する大きさよりも小さいことを特徴とする請求項7記載の光量調節装置。
【請求項10】
請求項1乃至9に記載の光量調節装置を光学系のシャッタ位置又は絞り位置に設けたことを特徴とするカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−38886(P2006−38886A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213833(P2004−213833)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】