光電変換装置及び光電変換モジュール
【課題】本発明は、放熱性に優れた光電変換装置及び光電電変換モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】光電変換装置2であって、素子搭載基板5と、素子搭載基板5の上面の中央領域に設けられる光電変換素子7と、素子搭載基板5の上面に設けられ、光電変換素子7を取り囲むとともに、下部が中央領域から中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して素子搭載基板5の上面と接合される枠体10と、枠体10の上部と接合されるとともに、光電変換素子7と重なる領域に設けられる集光部材9と、素子搭載基板5の下面に設けられ、平面透視して枠体10と重なる領域に設けられる導電性部材11と、を備え、枠体10と導電性部材11の熱膨張係数が、素子搭載基板5の熱膨張係数よりも大きいことを特徴とする光電変換装置。
【解決手段】光電変換装置2であって、素子搭載基板5と、素子搭載基板5の上面の中央領域に設けられる光電変換素子7と、素子搭載基板5の上面に設けられ、光電変換素子7を取り囲むとともに、下部が中央領域から中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して素子搭載基板5の上面と接合される枠体10と、枠体10の上部と接合されるとともに、光電変換素子7と重なる領域に設けられる集光部材9と、素子搭載基板5の下面に設けられ、平面透視して枠体10と重なる領域に設けられる導電性部材11と、を備え、枠体10と導電性部材11の熱膨張係数が、素子搭載基板5の熱膨張係数よりも大きいことを特徴とする光電変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置及びその光電変換装置を用いる光電変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光電変換素子を有する光電変換装置の開発が進められている。例示的な光電変換装置としては、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池装置がある。特に、発電効率の向上を目的として、集光型の太陽電池装置の開発が進められている。この太陽電池装置の場合、光電変換素子は、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池素子である。集光された太陽光を効率良く太陽電池素子に照射する構造が、例えば、特許文献1に、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−147155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽電池装置の構造では、太陽電池セルが実装された基板の熱を効率良く放熱する技術が開発されている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、放熱性に優れた光電変換装置及び光電変換モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る光電変換装置は、素子搭載基板と、光電変換素子と、枠体と、集光部材と、導電性部材と、を備え、前記枠体と前記導電性部材の熱膨張係数が、前記素子搭載基板の熱膨張係数よりも大きいことを特徴とする。前記光電変換素子は、前記素子搭載基板の上面の中央領域に設けられている。前記枠体は、前記素子搭載基板の上面に設けられ、前記光電変換素子を取り囲むとともに、下部が前記中央領域から前記中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して前記素子搭載基板の上面と接合されている。前記集光部材は、前記枠体の上部と接合されるとともに、前記光電変換素子と重なる領域に設けられている。前記導電性部材は、前記素子搭載基板の下面に設けられ、平面透視して前記枠体と重なる領域に設けられている。
【0007】
また、本発明に係る光電変換モジュールは、前記光電変換装置と、前記光電変換装置上に設けられ、前記集光部材に光を集める受光部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、放熱性に優れた光電変換装置及び光電変換モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る光電変換モジュールの概観を示す分解斜視図である。
【図2】本実施形態に係る光電変換装置の概観斜視図である。
【図3】図2に示す光電変換装置をA−A線で切断したときの断面図である。
【図4】本実施形態の変形例1に係る光電変換装置の概観斜視図である。
【図5】図4に示す光電変換装置をB−B線で切断したときの断面図である。
【図6】本実施形態の変形例2に係る光電変換装置の断面図である。
【図7】本実施形態の変形例3に係る光電変換装置の断面図である。
【図8】本実施形態の変形例4に係る光電変換装置の断面図である。
【図9】本実施形態の変形例5に係る光電変換装置の断面図である。
【図10】本実施形態の変形例6に係る光電変換装置の断面図である。
【図11】本実施形態に係る光電変換モジュールの概観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る光電変換装置及び光電変換モジュールについて、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<実施形態>
<光電変換モジュール及び光電変換装置の構成>
本実施形態に係る光電変換モジュール1は、太陽光エネルギーを電力に変換する太陽光発電モジュールである。また、本実施形態に係る光電変換装置2は、光エネルギーを電力に変換する光電変換素子5を含んでいる。かかる光電変換素子7は、例えば、太陽光エネルギーを電力に変換する機能を備えている太陽電池素子である。
【0012】
光電変換モジュール1は、複数の光電変換装置2と、複数の光電変換装置2の上方に設けられた受光部材3と外部基板4を含んで構成される。受光部材3は、外部からの光を受光するとともに、受光した光を集光部材9に集める機能を備えている。また、受光部材3は、複数個のレンズ部材3bが矩形のフレーム部材3aに固定されることにより構成されている。受光部材3のレンズ部材3bは、例えば、ドーム状のフレネルレンズであり、例えば、アクリル樹脂等の光学的特性に優れた樹脂材料からなる。複数の光電変換装置2は、外部基板4に固定されている。そして、受光部材3は、外部基板4に固定された複数の光電変換装置2を覆っている。
【0013】
受光部材3に入射された光は、光電変換装置2の集光部材9の上端部に集められる。すなわち、集光部材9は、受光部材3によって集められた光を光電変換素子7に導く機能を備えている。集光部材9に入射された光は、集光部材9の下端部から光電変換素子7の上面の受光面8に入射される。そして、光電変換素子7は、光エネルギーを電力に変換する。外部基板4は、光電変換装置2から発せられる熱を放散させる機能を備えている。外部基板4は、例えば、アルミニウム、銅、炭素−金属複合材等の金属材料からなる。なお、外部基板4の熱伝導率は、例えば、100(W/m・K)以上500(W/m・K)以下に設定されている。
【0014】
光電変換装置2は、図3に示すように、素子搭載基板5と、素子搭載基板5の上面の中央領域に設けられる光電変換素子7と、素子搭載基板5の上面に設けられ、光電変換素子7を取り囲むとともに、下部が中央領域から中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して素子搭載基板5の上面と接合される枠体10と、枠体10の上部と接合されるとともに、光電変換素子7と重なる領域に設けられる集光部材9と、素子搭載基板5の下面に設けられ、平面透視して枠体10と重なる領域に設けられる導電性部材11と、を備えている。
【0015】
素子搭載基板5は、平面透視したとき、矩形状に形成された部材である。素子搭載基板5は、絶縁性の材料からなり、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体又はガラスセラミック等のセラミックス材料からなる。または、素子搭載基板5は、これらの材料のうちの複数の材料を混合した複合系からなる。また、素子搭載基板5の厚みは、例えば、0.05mm以上1.0mm以下に設定されている。
【0016】
また、素子搭載基板5の熱伝導率は、例えば、15(W/m・K)以上250(W/m・K)以下に設定されている。また、素子搭載基板5の熱膨張係数は、5(ppm/℃)以上10(ppm/℃)以下に設定されている。なお、平面透視したときの素子搭載基板5の形状は、矩形状に限らず、円形状等の形状にすることができる。
【0017】
また、素子搭載基板5は、図3に示すように、光電変換素子7と導電性部材11に電気的に接続される導電層6が設けられている。すなわち、光電変換素子7と電気的に接続される導電層6が、素子搭載基板5の上面の中央領域に設けられている。また、光電変換素子7及び導電性部材11と電気的に接続される導電層6が、素子搭載基板5の内部のビア部に設けられている。導電層6は、例えば、銅、銀、金、鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、タングステン、モリブデン又はマンガン等の金属材料、或いはそれらの合金からなる。例えば、スクリーン印刷法によるメタライズ形成技術を用いて形成される。
【0018】
光電変換素子7は、例えば、III−V族化合物半導体を含んでいる太陽電池素子である。光電変換素子7は、光起電力効果により、受けた光エネルギーを即時に電力に変換して出力することができる。例えば、太陽電池素子は、InGaP/GaAs/Ge3接合型セルの構造を有している。インジウムガリウムリン(InGaP)トップセルは、660nm以下の波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。ガリウムヒ素(GaAs)ミドルセルは、660nmから890nmまでの波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。ゲルマニウム(Ge)ボトムセルは、890nmから2000nmまでの波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。3つのセルは、トンネル接合を介して直列に接続されている。開放電圧は、3つのセルの起電圧の和である。また、集光部材9から集光された光を受光する受光面8が、光電変換素子7の上面に形成されている。
【0019】
また、光電変換素子7の下面には下面電極が形成されている。光電変換素子7の下面電極は、例えば、銀、アルミニウム等により形成されている。光電変換素子7は、低融点半田、導電性エポキシ樹脂等の接合材を介して、素子搭載基板5の上面の中央領域に設けられている導電層6上に搭載され、光電変換素子7の下面電極と導電層6とが電気的に接続されている。
【0020】
また、光電変換素子7の上面には上面電極が設けられている。光電変換素子7の上面電極は、例えば、銀、アルミニウム等により形成されている。光電変換素子7は、導電性ワイヤで、光電変換素子7の上面電極とビア部の導電層6とが電気的に接続されている。なお、光電変換素子7の上面電極と導電層6との接続箇所は、複数箇所以上にすることにより、導電性ワイヤの1本あたりの電流が低減し、導電性ワイヤの熱の発生を抑制することができる。結果として、導電性ワイヤの信頼性を向上することができる。
【0021】
また、導電性ワイヤの接続箇所を複数とすることにより、複数の接続個所で、電気的な接続が維持されるため、光電変換装置2が不良となることを防ぐことができる。また、光電変換装置2の電気的な接続を確保する点においても、光電変換素子7と導電層6との接続箇所は、複数個所とすることが好ましい。
【0022】
集光部材9は、平面透視したときに矩形状に形成された部材である。集光部材9は、枠体10の上部と接合されるとともに、光電変換素子9と重なる領域に設けられている。集光部材9は、光電変換素子7に光を集光する機能を備えている。また、集光部材9は、透光性を有しており、受光部材3から届いた光を光電変換素子7に導く機能を備えている。集光部材9の透光性とは、光電変換素子7が、太陽電池素子である場合は、太陽光の少なくとも一部の波長領域に含まれる光が透過できることをいう。なお、集光部材9は、例えば、ホウ珪酸ガラス、プラスチック又は透光性樹脂等からなる。
【0023】
また、集光部材9の側面は、枠体10との接合のために、全周にわたって金属層が形成される。また、側面の金属層は、蒸着法やスパッタ法等の薄膜形成技術によって形成される。金属層は、例えば、チタン、白金、金、クロム、ニッケル、金、銀、銅、或いはそれらの合金等の金属材料からなる。集光部材9の側面の金属層が、例えば、ロウ材、半田、低融点ガラス又はエポキシ樹脂等からなる接合部材を介して、枠体10の全周にわたって枠体10と接合される。接合方法は、例えば、ロウ接合、半田接合又は樹脂接合等の方法からなる。
【0024】
ロウ材は、例えば、銀−銅ロウ等からなる。半田は、金−錫系、金−ゲルマニウム系又は錫−鉛系等からなる。また、低融点ガラスとは、ガラス転移点が600℃以下のガラスのことをいう。また、集光部材9は、枠体10の上部で、枠体10と接合されている。また、集光部材9は、枠体10の傾斜部10aの位置で、光電変換素子7に集光することができる位置で有れば、枠体10の傾斜部10aのどの位置で接合されてもよい。枠体10については、後述する。
【0025】
また、集光部材9は、光の反射によって断面積内の光エネルギーの強度分布を均等化する機能を有していればよい。
【0026】
枠体10は、平面透視したときに、矩形状に形成された部材である。枠体10は、素子搭載基板5の上面に設けられ、光電変換素子7を取り囲むとともに、下部が中央領域から中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して素子搭載基板5の上面と接合されている。枠体10は、上部が、素子搭載基板5の上方に延在し、集光部材9と接合される傾斜部10aと、下部が素子搭載基板5の中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して素子搭載基板5の上面に接合される延在部10bとを備えている。また、枠体10は、集光部材9を支持する機能を備えている。枠体10は、枠体10の上部で、集光部材9が接合される。枠体10は、平面透視したときに、矩形状に形成された部材であるが、矩形状に限らず、円形状等の形状にすることができる。
【0027】
また、枠体10は、例えば、アルミニウム、銅又は銀等の金属材料、或いはこれらの金属材料を含有する合金、或いは焼結タングステンに銅を含浸したような複合材料、銅含浸タングステンに設けられた複数の貫通孔に銅を充填したような複合材料又は各種金属を層状に積層した複合材料等からなる。なお、枠体10の熱伝導率は、例えば、100(W/m・K)以上500(W/m・K)以下に設定されている。また、枠体10の熱膨張係数は、10(ppm/℃)以上25(ppm/℃)以下に設定されている。これにより、光電変換素子7の周辺で発生した熱が、枠体10に熱伝導して効率よく外部に放熱される。
【0028】
また、枠体10は、素子搭載基板5の上方に延在する傾斜部10aの内面が鏡面加工されている。枠体10は、鏡面加工によって光の反射効率を向上することができる。また、枠体10は、温度上昇を抑制することができる。鏡面加工は、研削することにより平滑に仕上げるように加工しても、メッキを施して加工してもよい。また、枠体10の傾斜部10aの厚みは、光電変換素子7で反射した光の外部への光漏れを抑制するために、例えば、0.3mm以上3.0mm以下に設定されている。また、枠体10の延在部10bの厚みは、例えば、0.3mm以上3.0mm以下に設定される。
【0029】
また、枠体10は、集光部材9の側面のみで接合されているので、枠体10と集光部材9の接合面積を小さくすることできる。結果として、枠体10から集光部材9への圧縮応力が低減でき、集光部材9の屈折率の変化による光電変換素子7の受光面8への照射光の位置ずれを抑制することができ、集光性を向上することができる。
【0030】
また、枠体10は、枠体10の全周にわたって集光部材9と接合されるとともに、光電変換素子7の上方に空間20を介して設けられている。結果として、光電変換素子7は、素子搭載基板5、枠体10及び集光部材9で囲まれる空間20内に設けられ、気密封止される。光電変換素子7が、内部の空間20に設けられることによって、光電変換素子7を気密封止することができるため、光電変換素子7の耐湿性が向上し、光電変換素子7を長期にわたって信頼性良く作動させることができる。
【0031】
導電性部材11は、例えば、アルミニウム、銅又は銀等の金属材料、或いはこれらの金属材料を含有する合金、或いは焼結タングステンに銅を含浸したような複合材料、銅含浸タングステンに設けられた複数の貫通孔に銅を充填したような複合材料又は各種金属を層状に積層した複合材料等からなる。導電性部材11は、素子搭載基板5の下面に設けられ、平面透視して枠体10と重なる領域に設けられている。また、導電性部材11は、熱伝導性を良好にし、素子搭載基板5に搭載された光電変換素子7から発生する熱を効率よく外部に放熱させる機能を備えている。すなわち、光電変換素子7の周辺の熱が導電性部材11に熱伝導して効率よく外部に放熱される。
【0032】
また、導電性部材11の熱伝導率は、例えば、100(W/m・K)以上500(W/m・K)以下に設定されている。また、導電性部材11の熱膨張係数は、10(ppm/℃)以上25(ppm/℃)以下に設定されている。また、導電性部材11の厚みは、例えば、0.3mm以上3.0mm以下に設定される。また、枠体10と導電性部材11の熱膨張係数は、素子搭載基板5の熱膨張係数より大きく設定されている。なお、導電性部材11は、光電変換装置2が外部へ電気を取り出すための出力端子の機能を備えている。
【0033】
また、第1の導電性部材11a及び第2の導電性部材11bは、接合材を介して、導電層6と電気的に接続されている。接合材は、例えば、銀−銅ロウ、低融点半田又は導電性エポキシ樹脂等からなる。
【0034】
また、第1の導電性部材11aは、例えば、正極として機能する。また、第2の導電性部材11bは、例えば、負極として機能する。そして、光電変換素子7は、第1の導電性部材11a及び第2の導電性部材11bに電気的に接続されており、第1の導電性部材11a及び第2の導電性部材11bを介して外部に電気を取り出すことができる。
【0035】
また、導電性部材11は、例えば、溶融した金属材料を型枠に鋳込んで作製したインゴットを周知の切削加工や打ち抜き加工等の金属加工法を用いて所定形状にして形成される。
【0036】
ここで、光電変換素子収納用パッケージについて説明する。光電変換素子収納用パッケージは、素子搭載基板5、枠体10及び導電性部材11で構成され、光電変換素子7及び集光部材9が未搭載の状態である。すなわち、光電変換素子収納用パッケージは、光電変換素子7が搭載される搭載部を有した素子搭載基板5と、素子搭載基板5上の搭載部を取り囲むように設けられる枠体10と、を備えている。なお、枠体10には、光電変換素子7の搭載予定位置より上方位置に設けられる予定の集光部材9が接合される。
【0037】
本実施形態によれば、素子搭載基板5の上面は、枠体10の延在部10bが当接して設けられ、素子搭載基板5の下面は、導電性部材11が当接して設けられているので、光電変換装置2は、光電変換素子7の周辺の熱を枠体10及び導電性部材11を介して光電変換装置2の外部に効率よく放熱することができ、素子搭載基板5及び光電変換素子7の温度上昇を抑制することができる。結果として、光電変換素子7の変換効率の低下を抑制することができる。
【0038】
また、枠体10の延在部10b及び導電性部材11が、素子搭載基板5の上面及び下面に当接して設けられ、導電性部材11が、平面透視して枠体10の延在部10bと素子搭載基板5の上面とが接合される領域と重なる領域に設けられているので、素子搭載基板5の反りを抑制することができる。つまり、枠体10の延在部10bが素子搭載基板5よりも熱膨張係数が大きく、かつ、導電性部材11が素子搭載基板5よりも熱膨張係数が大きいので、素子搭載基板5に接合された枠体10の延在部10bによる素子搭載基板5の上方に向かって変形する熱変形を、素子搭載基板5に接合された導電性部材11によって、素子搭載基板5の下方に向かって変形させることで、素子搭載基板5の応力の均衡が崩れるのを抑制することができ、ひいては、素子搭載基板5の反りを小さくすることができる。したがって、光電変換装置2は、素子搭載基板5の熱変形が抑制されることで、光電変換素子7の受光面8の反りが抑制され、光電変換素子7に対する集光部材9の位置ずれを低減することができ、集光効率を向上することができる。
【0039】
また、枠体10の延在部10b及び導電性部材11の熱膨張係数が同一な場合は、素子搭載基板5の反りを抑制するという点で、延在部10bと導電性部材11の厚みを同一に、かつ、素子搭載基板5に接合されている延在部10bと導電性部材11の領域を同一に設定することが好ましい。光電変換素子7の受光面8の反りを抑制することができ、集光効率を向上することができる。
【0040】
また、枠体10の延在部10b及び導電性部材11の熱膨張係数が異なる場合は、素子搭載基板5の反りを抑制するという点で、熱膨張係数の大きい方の厚みを、熱膨張係数の小さい方の厚みよりも薄くし、素子搭載基板5に対する応力が均衡となるように素子搭載基板5に延在部10b及び導電性部材11を接合することによって素子搭載基板5の反りを抑制することができる。
【0041】
また、光電変換装置2は、光電変換素子7の周辺部の熱を素子搭載基板5の内部に設けられたビア部の導電層6を経由して効率よく導電性部材11に熱伝導し外部に放熱することができる。
【0042】
<光電変換装置及び光電変換モジュールの製造方法>
ここで、図1に示す光電変換モジュール1及び図2に示す光電変換装置2の製造方法を説明する。
【0043】
まず、素子搭載基板5を準備する。素子搭載基板5は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体からなる場合、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の原料粉末に、有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加し、混合して得られた混合物によってグリーンシートを成型する。また、金属ペーストは、タングステン又はモリブデン等の高融点金属粉末を準備し、この粉末に有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加し、混合して作製する。また、素子搭載基板5は、図3に示すように、例えば、第1の素子搭載基板5a及び第2の素子搭載基板5bと2分割にして作製する。
【0044】
グリーンシートの状態の素子搭載基板5aは、光電変換素子7が搭載される領域に、例えば、スクリーン印刷法を用い、金属ペーストを印刷して、導電層6となるメタライズ層を形成する。同様にして、グリーンシートの状態の素子搭載基板5aは、枠体10と接合される領域に、メタライズ層を形成する。また、素子搭載基板5bと電気的な接続をするためのビア部に、例えば、スクリーン印刷法を用い、金属ペーストを充填して、導電層6となるメタライズ層を形成する。
【0045】
また、グリーンシートの状態の素子搭載基板5bは、素子搭載基板5aと電気的な接続をするために導電層6となるメタライズ層を、例えば、スクリーン印刷法を用い、金属ペーストを印刷して形成する。また、熱伝導性部材11a及び熱伝導性部材11bと当接する領域に、例えば、スクリーン印刷法を用い、金属ペーストを印刷して、導電層6となるメタライズ層を形成する。また、素子搭載基板5bの上面及び下面に形成されるメタライズ層と電気的な接続をするためにビア部に、例えば、スクリーン印刷法を用い、金属ペーストを充填して、導電層6となるメタライズ層を形成する。
【0046】
さらに、焼結体の素子搭載基板5は、グリーンシート状態の素子搭載基板5b上に、グリーンシート状態の素子搭載基板5aを積層して、約1600℃の温度で同時に焼成することにより、焼成後に、素子搭載基板5a及び素子搭載基板5bを一体化して作製する。
【0047】
次に、枠体10は、アルミニウムからなる金属板を素子搭載基板5の上方に延在する傾斜部10a及び素子搭載基板5に接合する延在部10bを有するように成型することで作製する。また、素子搭載基板の上方に延在する傾斜部10a及び素子搭載基板5に接合する延在部10bを有している金型にアルミニウムからなる金属材料を入れて金型成型することで作製してもよい。
【0048】
そして、枠体10は、例えば、Au−Cuロウ材、半田、ガラス又は樹脂等を介して、素子搭載基板5の上面に形成されたメタライズ層と接合する。
【0049】
また、第1の導電性部材11a及び第2の導電性部材11bは、例えば、Au−Cuロウ材、半田、ガラス又は樹脂等を介して、素子搭載基板5に形成されたメタライズ層と接合する。
【0050】
また、素子搭載基板5は、素子搭載基板5に露出しているメタライズ層に、電解メッキ又は無電解メッキ等のメッキ形成方法によって、ニッケルメッキ層を形成する。更に、ニッケルメッキ層上に金メッキ層を形成する。これによって、素子搭載基板5、枠体10及び導電性部材11で構成され、光電変換素子7及び集光部材9が未搭載の状態である光電変換素子収納用パッケージを作製する。
【0051】
次に、素子搭載基板5は、枠体10で取り囲まれる領域であって、素子搭載基板5の一主面上に形成された金メッキ層からなる導電層6上に、例えば、Au−Sn半田によって光電変換素子7を搭載し、光電変換素子7の下面電極と導電層6を電気的に接続する。また、光電変換素子7は、光電変換素子7の上面電極に対して、導電性ワイヤを介して、光電変換素子7の上面電極とビア部の金メッキ層からなる導電層6とを電気的に接続する。
【0052】
集光部材9は、モールド成形技術によって作製する。具体的には、集光部材9の金型内に、ホウ珪酸ガラスを投入し、加熱、プレスして成形する。さらに、当該成形品を冷却して金型から成形品を取り出すことで、集光部材9を作製する。そして、集光部材9の側面の全周にわたって、例えば、蒸着法によって、クロムの金属層を形成する。
【0053】
そして、集光部材9は、半田等を介して、枠体10に接合する。なお、集光部材9は、集光部材9を枠体10に接合した後、枠体10を素子搭載基板5に接合してもよい。このようにして、光電変換装置2を作製する。
【0054】
ここで、光電変換モジュール1の作製方法について説明する。複数個の光電変換装置2と、外部基板4を準備する。光電変換装置2は、外部基板4に絶縁層を介して固定される。なお、絶縁層としては、例えば、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂又はシリコーン樹脂等の熱伝導性の優れた樹脂、或いは、アルミナ又は窒化アルミニウム等のセラミック材料からなる。また、絶縁層は、光電変換装置2の導電性部材11からの伝導する熱を放散する機能を備えている。
【0055】
ここでは、二つの光電変換装置2の接続方法について説明する。
【0056】
まず、図11に示すように、一方の光電変換素子2と他方の光電変換装置2とが隣り合うように、例えば、絶縁層を介して、両者を外部基板4上に固定する。そして、配置した二つの光電変換装置2の素子搭載基板5に当接された導電性部材11をそれぞれ延在して、互いに電気的に接続する。導電性部材11を延在して、隣り合う光電変換装置2を互いに電気的に接続することができるので、光電変換モジュールを小型化することができる。また、導電性部材11を延在して、互いの導電性部材11を導電性ワイヤ等の接続部材を介して電気的に接続してもよい。同様にして、複数の光電変換装置2を外部基板4に配置して固定し、電気的に接続する。そして、外部基板4に配置した複数の光電変換装置2上に受光部材3を設けることで、光電変換モジュール1を作製することができる。
【0057】
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。以下、本実施形態の変形例について説明する。なお、本実施形態の変形例に係る光電変換装置のうち、本実施形態に係る光電変換装置2と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0058】
<変形例1>
本実施形態の変形例1に係る光電変換装置2では、本実施形態に係る光電変換装置2と比較して、枠体10の延在部10bの厚みが変更されたものになっている。
【0059】
本実施形態によれば、枠体10の延在部10bは、図4に示すように、素子搭載基板5の素子搭載基板5の中央領域から周辺領域の全方位に向かって延在している。光電変換装置2は、枠体10が素子搭載基板5との接合領域が広く設定されているので、光電変換素子7の周辺の熱を効率よく外部に放熱することができ、素子搭載基板5及び光電変換素子7の温度上昇を抑制することができる。結果として、光電変換装置2は、光電変換素子7の変換効率の低下を抑制することができる。
【0060】
また、枠体10の延在部10bと素子搭載基板5とが接合している領域が広く設定され、図5に示すように、延在部10bよりも導電性部材11の厚みが厚く設定されているので、素子搭載基板5に対する応力が均衡となり、素子搭載基板5の反りを抑制することができる。導電性部材11の厚み及び素子搭載基板5との接合する領域を調整することによって、素子搭載基板5の反りを抑制することができる。なお、延在部10b及び導電性部材11のそれぞれの厚みは、延在部10bよりも導電性部材11の厚みが厚くなるように、例えば、0.3mm以上3.0mm以下の範囲でそれぞれに設定される。
【0061】
また、素子搭載基板5に対する効力が均衡となるように、枠体10の延在部10b又は導電性部材11の厚み、又は、枠体10の延在部10b又は導電性部材11と素子搭載基板5と接合する領域を調整することによって、素子搭載基板5の反りを抑制することができる。
【0062】
<変形例2>
上記実施形態に係る光電変換装置2は、枠体10は、枠体10の傾斜部10a及び延在部10bで構成されているが、これに限らない。図6に示すように、断面視したときに、枠体10が、枠体10の傾斜部10aと延在部10bの間に光電変換素子7を取り囲むように光電変換素子7よりも高い位置で光電変換素子7の外方に向かって屈曲するとともに光電変換素子7に近接して設けられる屈曲部10cを有する構成としてもよい。光電変換素子7の周辺の熱によって、素子搭載基板5と枠体10の接合応力が高まってとしても、屈曲部10cを有しているので、枠体10の屈曲部10cが撓むことによって、素子搭載基板5と枠体10の延在部10bの接合性の低下を抑制することができる。また、接合性の低下によって生じる枠体10の変形による光電変換素子7への集光効率の低下を抑制することができる。
【0063】
また、素子搭載基板5と延在部10bとの接合応力が高まり、素子搭載基板5が反ったとしても、枠体10の屈曲部10cが撓むことによって、枠体10の傾斜部10aの変形を抑制することができる。結果として、枠体10の傾斜部10aの変形による光電変換素子7への集光効率の低下を抑制することができる。
【0064】
また、光電変換装置2は、屈曲部10cを有しているので、屈曲部10cを経由して、光電変換素子7の周辺の熱を枠体10へ熱伝導し効率よく外部に放熱することができる。
【0065】
<変形例3>
また、図7のように、集光部材9から光電変換素子7へ光が入射する光入射部40の領域の形状を光電変換素子7の受光面8の領域の形状と合わせる構成としてもよい。すなわち、平面透視したときに、光入射部40の形状が、光電変換素子7の受光面8の形状に合わせて形成される。光入射部40の形状が、光電変換素子7の受光面8の形状に合わせて形成されることによって、集光部材9から光入射部40を通過して、光電変換素子7の受光面8へ照射される照射光の集光性を向上させることができる。例えば、光電変換素子7の受光面8が円形状で有れば、光入射部40の形状は、円形状として一致させることが好ましく、また、光電変換素子7の受光面7が矩形状で有れば、光入射部40の形状は、矩形状として一致させることが好ましい。
【0066】
また、光電変換装置2は、光電変換素子7と枠体10の屈曲部10cとが接近して設けられており、屈曲部10cを経由して、光電変換素子7の周辺の熱を枠体10へ熱伝導して効率よく外部に放熱することができる。
【0067】
また、光電変換素子7と導電層6とを電気的に接続している導電性ワイヤが、光電変換素子7の受光面8の外周に形成されている場合には、光電変換素子7への入射光が導電性ワイヤ部での光反射による光の損失を抑制することができ、集光効率を向上することができる。
【0068】
<変形例4>
また、図8のように、素子搭載基板5に設けられた凹部30の内部に光電変換素子7を搭載する構成としてもよい。光電変換素子7が素子搭載基板5の凹部30に光電変換素子7が設けられているので、光電変換素子7は導電性部材11との距離が短くなり、熱導電性部材11への熱伝導性を向上することができ、枠体10に伝導する熱量を低減することができる。結果として、光電変換素子7の周辺の熱が、枠体10及び導電性部材11に効率よく熱伝導し外部に放熱することができ、素子搭載基板5の温度上昇を抑制にすることができる。
【0069】
また、この構成とすることにより、枠体10が、屈曲部10cを有する形状を不要とする構成とすることができるので、枠体10の構造が簡素化され、製造プロセスを削減することができる。
【0070】
<変形例5>
上記実施形態に係る光電変換装置2は、集光部材9が平板形状で構成されているが、これに限らない。図9に示すように、集光部材9が、角錐台形状を有し、光電変換素子9に近接する構成としてもよい。集光部材9が、光電変換素子9に近接して設けられるため、光電変換装置2は、集光部材9から光電変換素子7への集光効率を向上することができる。また、集光部材9の光電変換素子9と対向する下面部の領域が、平面透視したときに、光電変換素子7の受光面8の領域に合わせて形成されているので、集光部材9の下面部から光電変換素子7の受光面8へ照射される照射光の集光性を向上させることができる。
【0071】
また、集光部材9は、断面視したときに、集光部材9の側面の傾斜角度を枠体10の傾斜部10aに合わせて形成されているので、集光部材9と枠体10を滑らかに接合することができる。
【0072】
また、集光部材9に入射された光は、集光部材9で反射を繰り返しながら集光部材9の上面部から下面部へ進み、集光部材9の下面部から光電変換素子7の受光面8に入射される。集光部材9からの漏れ光は、集光部材9に接合された枠体10の傾斜部10aで反射されるので、光電変換装置2は集光効率の低下を抑制することができる。
【0073】
また、集光部材9は、枠体10の形状に合わせて、例えば、枠体10が、平面透視したときに、矩形状で有れば、矩形状の角錐台形状に、円形状で有れば、円形状の円錐台形状で構成される。また、集光部材9は、集光部材9の側面部で枠体10の傾斜部10aと接合されているが、枠体10の傾斜部10aは、集光部材9の上面部まで延在して集光部材9と接合してもよい。
【0074】
<変形例6>
また、図10のように、集光部材9が、角錐台形状を有し、光電変換素子9に近接して設け、枠体10の傾斜部10aの一部と接合する構成としてもよい。集光部材9が、枠体10の傾斜部10aの一部と接合されているので、枠体10から集光部材9に対する圧縮応力を緩和することができる。光電変換装置2は、枠体10から集光部材9への圧縮応力が低減され、集光部材9の屈折率の変化による光電変換素子7の受光面8への照射光の位置ずれを抑制することができ、集光性を向上することができる。
【0075】
また、集光部材9は、枠体10の傾斜部10aと空隙を介して、枠体10の傾斜部10aの一部と接合されているので、枠体10からの熱伝導が低減される。光電変換装置2は、枠体10からの熱による集光部材9の位置すれを抑制することができ、集光性を向上することができる。
【0076】
また、集光部材9からの漏れ光は、集光部材9に接合された枠体10の傾斜部10aで反射されるので、光電変換装置2は集光効率の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 光電変換モジュール
2 光電変換装置
3 受光部材
3a フレーム部材
3b レンズ部材
4 外部基板
5 素子搭載基板
5a 第1の素子搭載基板
5b 第2の素子搭載基板
6 導電層
7 光電変換素子
8 受光面
9 集光部材
10 枠体
10a 傾斜部
10b 延在部
10c 屈曲部
11 導電性部材
11a 第1の導電性部材
11b 第2の導電性部材
20 空間
30 凹部
40 光入射部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置及びその光電変換装置を用いる光電変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光電変換素子を有する光電変換装置の開発が進められている。例示的な光電変換装置としては、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池装置がある。特に、発電効率の向上を目的として、集光型の太陽電池装置の開発が進められている。この太陽電池装置の場合、光電変換素子は、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池素子である。集光された太陽光を効率良く太陽電池素子に照射する構造が、例えば、特許文献1に、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−147155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽電池装置の構造では、太陽電池セルが実装された基板の熱を効率良く放熱する技術が開発されている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、放熱性に優れた光電変換装置及び光電変換モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る光電変換装置は、素子搭載基板と、光電変換素子と、枠体と、集光部材と、導電性部材と、を備え、前記枠体と前記導電性部材の熱膨張係数が、前記素子搭載基板の熱膨張係数よりも大きいことを特徴とする。前記光電変換素子は、前記素子搭載基板の上面の中央領域に設けられている。前記枠体は、前記素子搭載基板の上面に設けられ、前記光電変換素子を取り囲むとともに、下部が前記中央領域から前記中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して前記素子搭載基板の上面と接合されている。前記集光部材は、前記枠体の上部と接合されるとともに、前記光電変換素子と重なる領域に設けられている。前記導電性部材は、前記素子搭載基板の下面に設けられ、平面透視して前記枠体と重なる領域に設けられている。
【0007】
また、本発明に係る光電変換モジュールは、前記光電変換装置と、前記光電変換装置上に設けられ、前記集光部材に光を集める受光部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、放熱性に優れた光電変換装置及び光電変換モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る光電変換モジュールの概観を示す分解斜視図である。
【図2】本実施形態に係る光電変換装置の概観斜視図である。
【図3】図2に示す光電変換装置をA−A線で切断したときの断面図である。
【図4】本実施形態の変形例1に係る光電変換装置の概観斜視図である。
【図5】図4に示す光電変換装置をB−B線で切断したときの断面図である。
【図6】本実施形態の変形例2に係る光電変換装置の断面図である。
【図7】本実施形態の変形例3に係る光電変換装置の断面図である。
【図8】本実施形態の変形例4に係る光電変換装置の断面図である。
【図9】本実施形態の変形例5に係る光電変換装置の断面図である。
【図10】本実施形態の変形例6に係る光電変換装置の断面図である。
【図11】本実施形態に係る光電変換モジュールの概観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る光電変換装置及び光電変換モジュールについて、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<実施形態>
<光電変換モジュール及び光電変換装置の構成>
本実施形態に係る光電変換モジュール1は、太陽光エネルギーを電力に変換する太陽光発電モジュールである。また、本実施形態に係る光電変換装置2は、光エネルギーを電力に変換する光電変換素子5を含んでいる。かかる光電変換素子7は、例えば、太陽光エネルギーを電力に変換する機能を備えている太陽電池素子である。
【0012】
光電変換モジュール1は、複数の光電変換装置2と、複数の光電変換装置2の上方に設けられた受光部材3と外部基板4を含んで構成される。受光部材3は、外部からの光を受光するとともに、受光した光を集光部材9に集める機能を備えている。また、受光部材3は、複数個のレンズ部材3bが矩形のフレーム部材3aに固定されることにより構成されている。受光部材3のレンズ部材3bは、例えば、ドーム状のフレネルレンズであり、例えば、アクリル樹脂等の光学的特性に優れた樹脂材料からなる。複数の光電変換装置2は、外部基板4に固定されている。そして、受光部材3は、外部基板4に固定された複数の光電変換装置2を覆っている。
【0013】
受光部材3に入射された光は、光電変換装置2の集光部材9の上端部に集められる。すなわち、集光部材9は、受光部材3によって集められた光を光電変換素子7に導く機能を備えている。集光部材9に入射された光は、集光部材9の下端部から光電変換素子7の上面の受光面8に入射される。そして、光電変換素子7は、光エネルギーを電力に変換する。外部基板4は、光電変換装置2から発せられる熱を放散させる機能を備えている。外部基板4は、例えば、アルミニウム、銅、炭素−金属複合材等の金属材料からなる。なお、外部基板4の熱伝導率は、例えば、100(W/m・K)以上500(W/m・K)以下に設定されている。
【0014】
光電変換装置2は、図3に示すように、素子搭載基板5と、素子搭載基板5の上面の中央領域に設けられる光電変換素子7と、素子搭載基板5の上面に設けられ、光電変換素子7を取り囲むとともに、下部が中央領域から中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して素子搭載基板5の上面と接合される枠体10と、枠体10の上部と接合されるとともに、光電変換素子7と重なる領域に設けられる集光部材9と、素子搭載基板5の下面に設けられ、平面透視して枠体10と重なる領域に設けられる導電性部材11と、を備えている。
【0015】
素子搭載基板5は、平面透視したとき、矩形状に形成された部材である。素子搭載基板5は、絶縁性の材料からなり、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体又はガラスセラミック等のセラミックス材料からなる。または、素子搭載基板5は、これらの材料のうちの複数の材料を混合した複合系からなる。また、素子搭載基板5の厚みは、例えば、0.05mm以上1.0mm以下に設定されている。
【0016】
また、素子搭載基板5の熱伝導率は、例えば、15(W/m・K)以上250(W/m・K)以下に設定されている。また、素子搭載基板5の熱膨張係数は、5(ppm/℃)以上10(ppm/℃)以下に設定されている。なお、平面透視したときの素子搭載基板5の形状は、矩形状に限らず、円形状等の形状にすることができる。
【0017】
また、素子搭載基板5は、図3に示すように、光電変換素子7と導電性部材11に電気的に接続される導電層6が設けられている。すなわち、光電変換素子7と電気的に接続される導電層6が、素子搭載基板5の上面の中央領域に設けられている。また、光電変換素子7及び導電性部材11と電気的に接続される導電層6が、素子搭載基板5の内部のビア部に設けられている。導電層6は、例えば、銅、銀、金、鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、タングステン、モリブデン又はマンガン等の金属材料、或いはそれらの合金からなる。例えば、スクリーン印刷法によるメタライズ形成技術を用いて形成される。
【0018】
光電変換素子7は、例えば、III−V族化合物半導体を含んでいる太陽電池素子である。光電変換素子7は、光起電力効果により、受けた光エネルギーを即時に電力に変換して出力することができる。例えば、太陽電池素子は、InGaP/GaAs/Ge3接合型セルの構造を有している。インジウムガリウムリン(InGaP)トップセルは、660nm以下の波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。ガリウムヒ素(GaAs)ミドルセルは、660nmから890nmまでの波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。ゲルマニウム(Ge)ボトムセルは、890nmから2000nmまでの波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。3つのセルは、トンネル接合を介して直列に接続されている。開放電圧は、3つのセルの起電圧の和である。また、集光部材9から集光された光を受光する受光面8が、光電変換素子7の上面に形成されている。
【0019】
また、光電変換素子7の下面には下面電極が形成されている。光電変換素子7の下面電極は、例えば、銀、アルミニウム等により形成されている。光電変換素子7は、低融点半田、導電性エポキシ樹脂等の接合材を介して、素子搭載基板5の上面の中央領域に設けられている導電層6上に搭載され、光電変換素子7の下面電極と導電層6とが電気的に接続されている。
【0020】
また、光電変換素子7の上面には上面電極が設けられている。光電変換素子7の上面電極は、例えば、銀、アルミニウム等により形成されている。光電変換素子7は、導電性ワイヤで、光電変換素子7の上面電極とビア部の導電層6とが電気的に接続されている。なお、光電変換素子7の上面電極と導電層6との接続箇所は、複数箇所以上にすることにより、導電性ワイヤの1本あたりの電流が低減し、導電性ワイヤの熱の発生を抑制することができる。結果として、導電性ワイヤの信頼性を向上することができる。
【0021】
また、導電性ワイヤの接続箇所を複数とすることにより、複数の接続個所で、電気的な接続が維持されるため、光電変換装置2が不良となることを防ぐことができる。また、光電変換装置2の電気的な接続を確保する点においても、光電変換素子7と導電層6との接続箇所は、複数個所とすることが好ましい。
【0022】
集光部材9は、平面透視したときに矩形状に形成された部材である。集光部材9は、枠体10の上部と接合されるとともに、光電変換素子9と重なる領域に設けられている。集光部材9は、光電変換素子7に光を集光する機能を備えている。また、集光部材9は、透光性を有しており、受光部材3から届いた光を光電変換素子7に導く機能を備えている。集光部材9の透光性とは、光電変換素子7が、太陽電池素子である場合は、太陽光の少なくとも一部の波長領域に含まれる光が透過できることをいう。なお、集光部材9は、例えば、ホウ珪酸ガラス、プラスチック又は透光性樹脂等からなる。
【0023】
また、集光部材9の側面は、枠体10との接合のために、全周にわたって金属層が形成される。また、側面の金属層は、蒸着法やスパッタ法等の薄膜形成技術によって形成される。金属層は、例えば、チタン、白金、金、クロム、ニッケル、金、銀、銅、或いはそれらの合金等の金属材料からなる。集光部材9の側面の金属層が、例えば、ロウ材、半田、低融点ガラス又はエポキシ樹脂等からなる接合部材を介して、枠体10の全周にわたって枠体10と接合される。接合方法は、例えば、ロウ接合、半田接合又は樹脂接合等の方法からなる。
【0024】
ロウ材は、例えば、銀−銅ロウ等からなる。半田は、金−錫系、金−ゲルマニウム系又は錫−鉛系等からなる。また、低融点ガラスとは、ガラス転移点が600℃以下のガラスのことをいう。また、集光部材9は、枠体10の上部で、枠体10と接合されている。また、集光部材9は、枠体10の傾斜部10aの位置で、光電変換素子7に集光することができる位置で有れば、枠体10の傾斜部10aのどの位置で接合されてもよい。枠体10については、後述する。
【0025】
また、集光部材9は、光の反射によって断面積内の光エネルギーの強度分布を均等化する機能を有していればよい。
【0026】
枠体10は、平面透視したときに、矩形状に形成された部材である。枠体10は、素子搭載基板5の上面に設けられ、光電変換素子7を取り囲むとともに、下部が中央領域から中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して素子搭載基板5の上面と接合されている。枠体10は、上部が、素子搭載基板5の上方に延在し、集光部材9と接合される傾斜部10aと、下部が素子搭載基板5の中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して素子搭載基板5の上面に接合される延在部10bとを備えている。また、枠体10は、集光部材9を支持する機能を備えている。枠体10は、枠体10の上部で、集光部材9が接合される。枠体10は、平面透視したときに、矩形状に形成された部材であるが、矩形状に限らず、円形状等の形状にすることができる。
【0027】
また、枠体10は、例えば、アルミニウム、銅又は銀等の金属材料、或いはこれらの金属材料を含有する合金、或いは焼結タングステンに銅を含浸したような複合材料、銅含浸タングステンに設けられた複数の貫通孔に銅を充填したような複合材料又は各種金属を層状に積層した複合材料等からなる。なお、枠体10の熱伝導率は、例えば、100(W/m・K)以上500(W/m・K)以下に設定されている。また、枠体10の熱膨張係数は、10(ppm/℃)以上25(ppm/℃)以下に設定されている。これにより、光電変換素子7の周辺で発生した熱が、枠体10に熱伝導して効率よく外部に放熱される。
【0028】
また、枠体10は、素子搭載基板5の上方に延在する傾斜部10aの内面が鏡面加工されている。枠体10は、鏡面加工によって光の反射効率を向上することができる。また、枠体10は、温度上昇を抑制することができる。鏡面加工は、研削することにより平滑に仕上げるように加工しても、メッキを施して加工してもよい。また、枠体10の傾斜部10aの厚みは、光電変換素子7で反射した光の外部への光漏れを抑制するために、例えば、0.3mm以上3.0mm以下に設定されている。また、枠体10の延在部10bの厚みは、例えば、0.3mm以上3.0mm以下に設定される。
【0029】
また、枠体10は、集光部材9の側面のみで接合されているので、枠体10と集光部材9の接合面積を小さくすることできる。結果として、枠体10から集光部材9への圧縮応力が低減でき、集光部材9の屈折率の変化による光電変換素子7の受光面8への照射光の位置ずれを抑制することができ、集光性を向上することができる。
【0030】
また、枠体10は、枠体10の全周にわたって集光部材9と接合されるとともに、光電変換素子7の上方に空間20を介して設けられている。結果として、光電変換素子7は、素子搭載基板5、枠体10及び集光部材9で囲まれる空間20内に設けられ、気密封止される。光電変換素子7が、内部の空間20に設けられることによって、光電変換素子7を気密封止することができるため、光電変換素子7の耐湿性が向上し、光電変換素子7を長期にわたって信頼性良く作動させることができる。
【0031】
導電性部材11は、例えば、アルミニウム、銅又は銀等の金属材料、或いはこれらの金属材料を含有する合金、或いは焼結タングステンに銅を含浸したような複合材料、銅含浸タングステンに設けられた複数の貫通孔に銅を充填したような複合材料又は各種金属を層状に積層した複合材料等からなる。導電性部材11は、素子搭載基板5の下面に設けられ、平面透視して枠体10と重なる領域に設けられている。また、導電性部材11は、熱伝導性を良好にし、素子搭載基板5に搭載された光電変換素子7から発生する熱を効率よく外部に放熱させる機能を備えている。すなわち、光電変換素子7の周辺の熱が導電性部材11に熱伝導して効率よく外部に放熱される。
【0032】
また、導電性部材11の熱伝導率は、例えば、100(W/m・K)以上500(W/m・K)以下に設定されている。また、導電性部材11の熱膨張係数は、10(ppm/℃)以上25(ppm/℃)以下に設定されている。また、導電性部材11の厚みは、例えば、0.3mm以上3.0mm以下に設定される。また、枠体10と導電性部材11の熱膨張係数は、素子搭載基板5の熱膨張係数より大きく設定されている。なお、導電性部材11は、光電変換装置2が外部へ電気を取り出すための出力端子の機能を備えている。
【0033】
また、第1の導電性部材11a及び第2の導電性部材11bは、接合材を介して、導電層6と電気的に接続されている。接合材は、例えば、銀−銅ロウ、低融点半田又は導電性エポキシ樹脂等からなる。
【0034】
また、第1の導電性部材11aは、例えば、正極として機能する。また、第2の導電性部材11bは、例えば、負極として機能する。そして、光電変換素子7は、第1の導電性部材11a及び第2の導電性部材11bに電気的に接続されており、第1の導電性部材11a及び第2の導電性部材11bを介して外部に電気を取り出すことができる。
【0035】
また、導電性部材11は、例えば、溶融した金属材料を型枠に鋳込んで作製したインゴットを周知の切削加工や打ち抜き加工等の金属加工法を用いて所定形状にして形成される。
【0036】
ここで、光電変換素子収納用パッケージについて説明する。光電変換素子収納用パッケージは、素子搭載基板5、枠体10及び導電性部材11で構成され、光電変換素子7及び集光部材9が未搭載の状態である。すなわち、光電変換素子収納用パッケージは、光電変換素子7が搭載される搭載部を有した素子搭載基板5と、素子搭載基板5上の搭載部を取り囲むように設けられる枠体10と、を備えている。なお、枠体10には、光電変換素子7の搭載予定位置より上方位置に設けられる予定の集光部材9が接合される。
【0037】
本実施形態によれば、素子搭載基板5の上面は、枠体10の延在部10bが当接して設けられ、素子搭載基板5の下面は、導電性部材11が当接して設けられているので、光電変換装置2は、光電変換素子7の周辺の熱を枠体10及び導電性部材11を介して光電変換装置2の外部に効率よく放熱することができ、素子搭載基板5及び光電変換素子7の温度上昇を抑制することができる。結果として、光電変換素子7の変換効率の低下を抑制することができる。
【0038】
また、枠体10の延在部10b及び導電性部材11が、素子搭載基板5の上面及び下面に当接して設けられ、導電性部材11が、平面透視して枠体10の延在部10bと素子搭載基板5の上面とが接合される領域と重なる領域に設けられているので、素子搭載基板5の反りを抑制することができる。つまり、枠体10の延在部10bが素子搭載基板5よりも熱膨張係数が大きく、かつ、導電性部材11が素子搭載基板5よりも熱膨張係数が大きいので、素子搭載基板5に接合された枠体10の延在部10bによる素子搭載基板5の上方に向かって変形する熱変形を、素子搭載基板5に接合された導電性部材11によって、素子搭載基板5の下方に向かって変形させることで、素子搭載基板5の応力の均衡が崩れるのを抑制することができ、ひいては、素子搭載基板5の反りを小さくすることができる。したがって、光電変換装置2は、素子搭載基板5の熱変形が抑制されることで、光電変換素子7の受光面8の反りが抑制され、光電変換素子7に対する集光部材9の位置ずれを低減することができ、集光効率を向上することができる。
【0039】
また、枠体10の延在部10b及び導電性部材11の熱膨張係数が同一な場合は、素子搭載基板5の反りを抑制するという点で、延在部10bと導電性部材11の厚みを同一に、かつ、素子搭載基板5に接合されている延在部10bと導電性部材11の領域を同一に設定することが好ましい。光電変換素子7の受光面8の反りを抑制することができ、集光効率を向上することができる。
【0040】
また、枠体10の延在部10b及び導電性部材11の熱膨張係数が異なる場合は、素子搭載基板5の反りを抑制するという点で、熱膨張係数の大きい方の厚みを、熱膨張係数の小さい方の厚みよりも薄くし、素子搭載基板5に対する応力が均衡となるように素子搭載基板5に延在部10b及び導電性部材11を接合することによって素子搭載基板5の反りを抑制することができる。
【0041】
また、光電変換装置2は、光電変換素子7の周辺部の熱を素子搭載基板5の内部に設けられたビア部の導電層6を経由して効率よく導電性部材11に熱伝導し外部に放熱することができる。
【0042】
<光電変換装置及び光電変換モジュールの製造方法>
ここで、図1に示す光電変換モジュール1及び図2に示す光電変換装置2の製造方法を説明する。
【0043】
まず、素子搭載基板5を準備する。素子搭載基板5は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体からなる場合、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の原料粉末に、有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加し、混合して得られた混合物によってグリーンシートを成型する。また、金属ペーストは、タングステン又はモリブデン等の高融点金属粉末を準備し、この粉末に有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加し、混合して作製する。また、素子搭載基板5は、図3に示すように、例えば、第1の素子搭載基板5a及び第2の素子搭載基板5bと2分割にして作製する。
【0044】
グリーンシートの状態の素子搭載基板5aは、光電変換素子7が搭載される領域に、例えば、スクリーン印刷法を用い、金属ペーストを印刷して、導電層6となるメタライズ層を形成する。同様にして、グリーンシートの状態の素子搭載基板5aは、枠体10と接合される領域に、メタライズ層を形成する。また、素子搭載基板5bと電気的な接続をするためのビア部に、例えば、スクリーン印刷法を用い、金属ペーストを充填して、導電層6となるメタライズ層を形成する。
【0045】
また、グリーンシートの状態の素子搭載基板5bは、素子搭載基板5aと電気的な接続をするために導電層6となるメタライズ層を、例えば、スクリーン印刷法を用い、金属ペーストを印刷して形成する。また、熱伝導性部材11a及び熱伝導性部材11bと当接する領域に、例えば、スクリーン印刷法を用い、金属ペーストを印刷して、導電層6となるメタライズ層を形成する。また、素子搭載基板5bの上面及び下面に形成されるメタライズ層と電気的な接続をするためにビア部に、例えば、スクリーン印刷法を用い、金属ペーストを充填して、導電層6となるメタライズ層を形成する。
【0046】
さらに、焼結体の素子搭載基板5は、グリーンシート状態の素子搭載基板5b上に、グリーンシート状態の素子搭載基板5aを積層して、約1600℃の温度で同時に焼成することにより、焼成後に、素子搭載基板5a及び素子搭載基板5bを一体化して作製する。
【0047】
次に、枠体10は、アルミニウムからなる金属板を素子搭載基板5の上方に延在する傾斜部10a及び素子搭載基板5に接合する延在部10bを有するように成型することで作製する。また、素子搭載基板の上方に延在する傾斜部10a及び素子搭載基板5に接合する延在部10bを有している金型にアルミニウムからなる金属材料を入れて金型成型することで作製してもよい。
【0048】
そして、枠体10は、例えば、Au−Cuロウ材、半田、ガラス又は樹脂等を介して、素子搭載基板5の上面に形成されたメタライズ層と接合する。
【0049】
また、第1の導電性部材11a及び第2の導電性部材11bは、例えば、Au−Cuロウ材、半田、ガラス又は樹脂等を介して、素子搭載基板5に形成されたメタライズ層と接合する。
【0050】
また、素子搭載基板5は、素子搭載基板5に露出しているメタライズ層に、電解メッキ又は無電解メッキ等のメッキ形成方法によって、ニッケルメッキ層を形成する。更に、ニッケルメッキ層上に金メッキ層を形成する。これによって、素子搭載基板5、枠体10及び導電性部材11で構成され、光電変換素子7及び集光部材9が未搭載の状態である光電変換素子収納用パッケージを作製する。
【0051】
次に、素子搭載基板5は、枠体10で取り囲まれる領域であって、素子搭載基板5の一主面上に形成された金メッキ層からなる導電層6上に、例えば、Au−Sn半田によって光電変換素子7を搭載し、光電変換素子7の下面電極と導電層6を電気的に接続する。また、光電変換素子7は、光電変換素子7の上面電極に対して、導電性ワイヤを介して、光電変換素子7の上面電極とビア部の金メッキ層からなる導電層6とを電気的に接続する。
【0052】
集光部材9は、モールド成形技術によって作製する。具体的には、集光部材9の金型内に、ホウ珪酸ガラスを投入し、加熱、プレスして成形する。さらに、当該成形品を冷却して金型から成形品を取り出すことで、集光部材9を作製する。そして、集光部材9の側面の全周にわたって、例えば、蒸着法によって、クロムの金属層を形成する。
【0053】
そして、集光部材9は、半田等を介して、枠体10に接合する。なお、集光部材9は、集光部材9を枠体10に接合した後、枠体10を素子搭載基板5に接合してもよい。このようにして、光電変換装置2を作製する。
【0054】
ここで、光電変換モジュール1の作製方法について説明する。複数個の光電変換装置2と、外部基板4を準備する。光電変換装置2は、外部基板4に絶縁層を介して固定される。なお、絶縁層としては、例えば、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂又はシリコーン樹脂等の熱伝導性の優れた樹脂、或いは、アルミナ又は窒化アルミニウム等のセラミック材料からなる。また、絶縁層は、光電変換装置2の導電性部材11からの伝導する熱を放散する機能を備えている。
【0055】
ここでは、二つの光電変換装置2の接続方法について説明する。
【0056】
まず、図11に示すように、一方の光電変換素子2と他方の光電変換装置2とが隣り合うように、例えば、絶縁層を介して、両者を外部基板4上に固定する。そして、配置した二つの光電変換装置2の素子搭載基板5に当接された導電性部材11をそれぞれ延在して、互いに電気的に接続する。導電性部材11を延在して、隣り合う光電変換装置2を互いに電気的に接続することができるので、光電変換モジュールを小型化することができる。また、導電性部材11を延在して、互いの導電性部材11を導電性ワイヤ等の接続部材を介して電気的に接続してもよい。同様にして、複数の光電変換装置2を外部基板4に配置して固定し、電気的に接続する。そして、外部基板4に配置した複数の光電変換装置2上に受光部材3を設けることで、光電変換モジュール1を作製することができる。
【0057】
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。以下、本実施形態の変形例について説明する。なお、本実施形態の変形例に係る光電変換装置のうち、本実施形態に係る光電変換装置2と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0058】
<変形例1>
本実施形態の変形例1に係る光電変換装置2では、本実施形態に係る光電変換装置2と比較して、枠体10の延在部10bの厚みが変更されたものになっている。
【0059】
本実施形態によれば、枠体10の延在部10bは、図4に示すように、素子搭載基板5の素子搭載基板5の中央領域から周辺領域の全方位に向かって延在している。光電変換装置2は、枠体10が素子搭載基板5との接合領域が広く設定されているので、光電変換素子7の周辺の熱を効率よく外部に放熱することができ、素子搭載基板5及び光電変換素子7の温度上昇を抑制することができる。結果として、光電変換装置2は、光電変換素子7の変換効率の低下を抑制することができる。
【0060】
また、枠体10の延在部10bと素子搭載基板5とが接合している領域が広く設定され、図5に示すように、延在部10bよりも導電性部材11の厚みが厚く設定されているので、素子搭載基板5に対する応力が均衡となり、素子搭載基板5の反りを抑制することができる。導電性部材11の厚み及び素子搭載基板5との接合する領域を調整することによって、素子搭載基板5の反りを抑制することができる。なお、延在部10b及び導電性部材11のそれぞれの厚みは、延在部10bよりも導電性部材11の厚みが厚くなるように、例えば、0.3mm以上3.0mm以下の範囲でそれぞれに設定される。
【0061】
また、素子搭載基板5に対する効力が均衡となるように、枠体10の延在部10b又は導電性部材11の厚み、又は、枠体10の延在部10b又は導電性部材11と素子搭載基板5と接合する領域を調整することによって、素子搭載基板5の反りを抑制することができる。
【0062】
<変形例2>
上記実施形態に係る光電変換装置2は、枠体10は、枠体10の傾斜部10a及び延在部10bで構成されているが、これに限らない。図6に示すように、断面視したときに、枠体10が、枠体10の傾斜部10aと延在部10bの間に光電変換素子7を取り囲むように光電変換素子7よりも高い位置で光電変換素子7の外方に向かって屈曲するとともに光電変換素子7に近接して設けられる屈曲部10cを有する構成としてもよい。光電変換素子7の周辺の熱によって、素子搭載基板5と枠体10の接合応力が高まってとしても、屈曲部10cを有しているので、枠体10の屈曲部10cが撓むことによって、素子搭載基板5と枠体10の延在部10bの接合性の低下を抑制することができる。また、接合性の低下によって生じる枠体10の変形による光電変換素子7への集光効率の低下を抑制することができる。
【0063】
また、素子搭載基板5と延在部10bとの接合応力が高まり、素子搭載基板5が反ったとしても、枠体10の屈曲部10cが撓むことによって、枠体10の傾斜部10aの変形を抑制することができる。結果として、枠体10の傾斜部10aの変形による光電変換素子7への集光効率の低下を抑制することができる。
【0064】
また、光電変換装置2は、屈曲部10cを有しているので、屈曲部10cを経由して、光電変換素子7の周辺の熱を枠体10へ熱伝導し効率よく外部に放熱することができる。
【0065】
<変形例3>
また、図7のように、集光部材9から光電変換素子7へ光が入射する光入射部40の領域の形状を光電変換素子7の受光面8の領域の形状と合わせる構成としてもよい。すなわち、平面透視したときに、光入射部40の形状が、光電変換素子7の受光面8の形状に合わせて形成される。光入射部40の形状が、光電変換素子7の受光面8の形状に合わせて形成されることによって、集光部材9から光入射部40を通過して、光電変換素子7の受光面8へ照射される照射光の集光性を向上させることができる。例えば、光電変換素子7の受光面8が円形状で有れば、光入射部40の形状は、円形状として一致させることが好ましく、また、光電変換素子7の受光面7が矩形状で有れば、光入射部40の形状は、矩形状として一致させることが好ましい。
【0066】
また、光電変換装置2は、光電変換素子7と枠体10の屈曲部10cとが接近して設けられており、屈曲部10cを経由して、光電変換素子7の周辺の熱を枠体10へ熱伝導して効率よく外部に放熱することができる。
【0067】
また、光電変換素子7と導電層6とを電気的に接続している導電性ワイヤが、光電変換素子7の受光面8の外周に形成されている場合には、光電変換素子7への入射光が導電性ワイヤ部での光反射による光の損失を抑制することができ、集光効率を向上することができる。
【0068】
<変形例4>
また、図8のように、素子搭載基板5に設けられた凹部30の内部に光電変換素子7を搭載する構成としてもよい。光電変換素子7が素子搭載基板5の凹部30に光電変換素子7が設けられているので、光電変換素子7は導電性部材11との距離が短くなり、熱導電性部材11への熱伝導性を向上することができ、枠体10に伝導する熱量を低減することができる。結果として、光電変換素子7の周辺の熱が、枠体10及び導電性部材11に効率よく熱伝導し外部に放熱することができ、素子搭載基板5の温度上昇を抑制にすることができる。
【0069】
また、この構成とすることにより、枠体10が、屈曲部10cを有する形状を不要とする構成とすることができるので、枠体10の構造が簡素化され、製造プロセスを削減することができる。
【0070】
<変形例5>
上記実施形態に係る光電変換装置2は、集光部材9が平板形状で構成されているが、これに限らない。図9に示すように、集光部材9が、角錐台形状を有し、光電変換素子9に近接する構成としてもよい。集光部材9が、光電変換素子9に近接して設けられるため、光電変換装置2は、集光部材9から光電変換素子7への集光効率を向上することができる。また、集光部材9の光電変換素子9と対向する下面部の領域が、平面透視したときに、光電変換素子7の受光面8の領域に合わせて形成されているので、集光部材9の下面部から光電変換素子7の受光面8へ照射される照射光の集光性を向上させることができる。
【0071】
また、集光部材9は、断面視したときに、集光部材9の側面の傾斜角度を枠体10の傾斜部10aに合わせて形成されているので、集光部材9と枠体10を滑らかに接合することができる。
【0072】
また、集光部材9に入射された光は、集光部材9で反射を繰り返しながら集光部材9の上面部から下面部へ進み、集光部材9の下面部から光電変換素子7の受光面8に入射される。集光部材9からの漏れ光は、集光部材9に接合された枠体10の傾斜部10aで反射されるので、光電変換装置2は集光効率の低下を抑制することができる。
【0073】
また、集光部材9は、枠体10の形状に合わせて、例えば、枠体10が、平面透視したときに、矩形状で有れば、矩形状の角錐台形状に、円形状で有れば、円形状の円錐台形状で構成される。また、集光部材9は、集光部材9の側面部で枠体10の傾斜部10aと接合されているが、枠体10の傾斜部10aは、集光部材9の上面部まで延在して集光部材9と接合してもよい。
【0074】
<変形例6>
また、図10のように、集光部材9が、角錐台形状を有し、光電変換素子9に近接して設け、枠体10の傾斜部10aの一部と接合する構成としてもよい。集光部材9が、枠体10の傾斜部10aの一部と接合されているので、枠体10から集光部材9に対する圧縮応力を緩和することができる。光電変換装置2は、枠体10から集光部材9への圧縮応力が低減され、集光部材9の屈折率の変化による光電変換素子7の受光面8への照射光の位置ずれを抑制することができ、集光性を向上することができる。
【0075】
また、集光部材9は、枠体10の傾斜部10aと空隙を介して、枠体10の傾斜部10aの一部と接合されているので、枠体10からの熱伝導が低減される。光電変換装置2は、枠体10からの熱による集光部材9の位置すれを抑制することができ、集光性を向上することができる。
【0076】
また、集光部材9からの漏れ光は、集光部材9に接合された枠体10の傾斜部10aで反射されるので、光電変換装置2は集光効率の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 光電変換モジュール
2 光電変換装置
3 受光部材
3a フレーム部材
3b レンズ部材
4 外部基板
5 素子搭載基板
5a 第1の素子搭載基板
5b 第2の素子搭載基板
6 導電層
7 光電変換素子
8 受光面
9 集光部材
10 枠体
10a 傾斜部
10b 延在部
10c 屈曲部
11 導電性部材
11a 第1の導電性部材
11b 第2の導電性部材
20 空間
30 凹部
40 光入射部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子搭載基板と、
前記素子搭載基板の上面の中央領域に設けられる光電変換素子と、
前記素子搭載基板の上面に設けられ、前記光電変換素子を取り囲むとともに、下部が前記中央領域から前記中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して前記素子搭載基板の上面と接合される枠体と、
前記枠体の上部と接合されるとともに、前記光電変換素子と重なる領域に設けられる集光部材と、
前記素子搭載基板の下面に設けられ、平面透視して前記枠体と重なる領域に設けられる導電性部材と、を備え、
前記枠体と前記導電性部材の熱膨張係数が、前記素子搭載基板の熱膨張係数よりも大きいことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光電変換装置であって、
前記枠体の下部は、前記中央領域から前記周辺領域の全方位に向かって延在していることを特徴とする光電変換装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光電変換装置であって、
前記導電性部材の厚みは、断面視したときに、前記接合領域の前記枠体の厚みよりも厚いことを特徴とする光電変換装置。
【請求項4】
請求項1乃至又は請求項3に記載の光電変換装置であって、
前記枠体は、鏡面加工された内面を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光電変換装置であって、
前記枠体は、断面視したときに、前記光電変換素子よりも高い位置で前記光電変換素子の外方に向かって屈曲するとともに前記光電変換素子に近接して設けられる屈曲部を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光電変換装置であって、
前記素子搭載基板は、前記光電変換素子を搭載する凹部を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置上に設けられ、前記集光部材に光を集める受光部材と、
を備えたことを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項1】
素子搭載基板と、
前記素子搭載基板の上面の中央領域に設けられる光電変換素子と、
前記素子搭載基板の上面に設けられ、前記光電変換素子を取り囲むとともに、下部が前記中央領域から前記中央領域の外周に位置する周辺領域に向かって延在して前記素子搭載基板の上面と接合される枠体と、
前記枠体の上部と接合されるとともに、前記光電変換素子と重なる領域に設けられる集光部材と、
前記素子搭載基板の下面に設けられ、平面透視して前記枠体と重なる領域に設けられる導電性部材と、を備え、
前記枠体と前記導電性部材の熱膨張係数が、前記素子搭載基板の熱膨張係数よりも大きいことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光電変換装置であって、
前記枠体の下部は、前記中央領域から前記周辺領域の全方位に向かって延在していることを特徴とする光電変換装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光電変換装置であって、
前記導電性部材の厚みは、断面視したときに、前記接合領域の前記枠体の厚みよりも厚いことを特徴とする光電変換装置。
【請求項4】
請求項1乃至又は請求項3に記載の光電変換装置であって、
前記枠体は、鏡面加工された内面を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光電変換装置であって、
前記枠体は、断面視したときに、前記光電変換素子よりも高い位置で前記光電変換素子の外方に向かって屈曲するとともに前記光電変換素子に近接して設けられる屈曲部を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光電変換装置であって、
前記素子搭載基板は、前記光電変換素子を搭載する凹部を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置上に設けられ、前記集光部材に光を集める受光部材と、
を備えたことを特徴とする光電変換モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−151276(P2011−151276A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12648(P2010−12648)
【出願日】平成22年1月23日(2010.1.23)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月23日(2010.1.23)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]