説明

光電変換装置及び太陽電池

【課題】コンパクトで、かつ、様々な形状の色素増感型太陽電池を形成することができ、高い光電変換効率を有する光電変換装置及びこれを備える太陽電池を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、セル本体とこのセル本体内にそれぞれ配置される線状の第一電極、第二電極、セル本体外から導いた光をセル本体内で出射する光拡散体、及びセル本体内を充填する電解質とを備え、上記第一電極が光拡散体に近接し、かつ、増感色素を担持した多孔質状の金属酸化物半導体によって被覆されている光電変換装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置及び太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素を発生しないクリーンなエネルギーとして太陽光発電が注目されている。係る太陽光発電に用いられる装置としては、シリコン系の太陽電池が実用化されている。しかしながら、シリコン系の太陽電池は、高純度のシリコン材料が必要であること、その製造に高温・高真空条件を要すること、大面積基板の製造には巨大な生産設備が必要となること等によって、発電コストを下げにくい状況にあるため、広く普及するまでには至っていない。
【0003】
係る状況の中、可視光領域の光線を吸収する増感色素を用いて光電変換を行う色素増感型太陽電池の開発が進められている。この色素増感型太陽電池51は、一般的に図6に示すように、増感色素52が担持された多孔性チタニア53及び電解質54が、導電膜55を備えた2枚のガラス基板56によって挟まれ、シール材57により封止された構造を有している。この構造によって、可視光を吸収して励起した増感色素52から生じた電子が、多孔性チタニア53に注入せしめられ、導電膜55を介して集電されて電流として外部に取り出される。係る色素増感型太陽電池は、使用する材料が安価であること、及び比較的シンプルな工程によって製造できること等の利点からその実用化が期待されている。しかしながら、この色素増感型太陽電池においては、ガラス基板上に形成される導電膜の内部抵抗を透光性を確保しつつ低く抑えることは困難であるため、高い光電変換効率を得にくい状況にある。
【0004】
一方、より安価に薄膜化及び軽量化が可能であり、さらに種々の色素を選択することによってカラフルな外観を呈し得るフィルム型色素太陽電池が提案されている。しかしながら、係るフィルム型色素太陽電池は、透明導電性膜のシート抵抗が、従来のガラス基板上に形成した場合に比べて高くなるため(例えば10〜20Ω/□)、光電変換効率を高めることが難しく、大面積太陽電池への適用は困難である。更に、フィルム型色素太陽電池では、チタニアをフィルム上に形成する必要があるが、フィルムの耐熱性の観点から形成温度を約150℃以上に上げることができない。その結果、従来の約450℃でのチタニアペーストの焼結処理に比べてネッキング(結合)が不十分になり、多孔質チタニア自体の内部抵抗を十分に下げることができない。また、通常、レアメタルを使用する透明導電膜は、コストが高く、低コスト化への障壁となっている。
【0005】
かかる状況において、金属線状体の表面に半導体層を設けることによってガラス基板上に導電膜を形成することを回避し、よって光電変換効率を高めた色素増感型太陽電池が提案されている(特開2005−196982号公報)。しかしながら、この色素増感型太陽電池は、アノード電極とカソード電極とを各々対向する平面状に配置する必要があるため、太陽電池の形状が平板状に限定される。よって、コンパクトな、また、多様な形状な色素増感型太陽電池を構成することが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−196982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、コンパクトで、かつ、様々な形状の色素増感型太陽電池を形成することができ、高い光電変換効率を有する光電変換装置及びこれを備える太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、
セル本体と、
このセル本体内にそれぞれ配置される線状の第一電極、第二電極、セル本体外から導いた光をセル本体内で出射する光拡散体、及びセル本体内を充填する電解質と
を備え、
上記第一電極が光拡散体に近接し、かつ、増感色素を担持した多孔質状の金属酸化物半導体によって被覆されている光電変換装置である。
【0009】
当該光電変換装置は、セル本体内に配置された光拡散体及びこの光拡散体に近接配置された線状の第一電極を備える。このため、当該光電変換装置によれば、セル本体外からの光をセル本体内に導き、セル本体内から表面積の広い第一電極に光を照射することができるので、高い光電変換効率を有する。また、電極を透明とする必要がないため、抵抗の低い電極を任意に用いることができることからも、光電変換効率を高めることができる。加えて、当該光電変換装置によれば、セル本体内に配置される各部品において、第一電極が線状であること及び第一電極と光拡散体とが近接配置されること以外は、形状及び配置の自由度が高いため、セル本体の形状が平板状に限定されることがない。従って、本発明によれば、コンパクトで、かつ、様々な形状(例えば管状等)の光電変換装置を形成することができる。
【0010】
上記光拡散体が円柱状であるとよい。当該光電変換装置によれば、光拡散体を円柱形状とすることで、光を側面から均一に出射させることができるため、例えばこの側面に第一電極を配置させることなどにより、光電変換効率をより高めることができる。
【0011】
上記第一電極が上記光拡散体の側面に巻回されているとよい。上記第一電極が上記光拡散体の側面に巻回されていることで、光拡散体からの出射光を効率的に第一電極に照射することができ、光電変換効率をより高めることができる。
【0012】
上記第一電極が上記光拡散体と並行に配置されていることも好ましい。上記第一電極を上記光拡散体と並行に配置することによっても、光拡散体からの出射光を効率的に第一電極に照射することができるため、光電変換効率をより高めることができる。
【0013】
上記セル本体が円筒形状であり、上記光拡散体がセル本体の軸方向に配置されているとよい。当該光電変換装置は上記構成をとることで円筒形状を有し、例えば複数を平行に配置することでフレキシブルなシート状太陽電池を得ることができる。
【0014】
上記セル本体の内面側の光に対する反射率が60%以上であるとよい。セル本体のこの反射率を60%以上とすることで、光拡散体からの出射光を効率的に利用することができるため当該光電変換装置の光電変換効率がさらに向上する。
【0015】
上記光拡散体の長さ1mmにおける波長589.6nmの光に対する光透過率が70%以上であるとよい。当該光電変換装置は、セル本体外からの光を光透過性の優れる光拡散体を介して効率的にセル本体内に取り込むことができる。
【0016】
本発明の太陽電池は、上記光電変換装置を備える。当該太陽電池は、高い光電変換効率を有し、コンパクトで、かつ様々な形状とすることができる。
【0017】
当該太陽電池においては、上記光電変換装置が直列又は並列に接続されることで、大型化等を可能にし、得られる電力量等を適宜調整することができる。
【0018】
当該太陽電池において、上記光電変換装置が平面状に配列されており、この平面状に配列された光電変換装置の両面を被覆する一対のフィルムを備えるとよい。当該太陽電池は、フレキシブルなシート形状とすることができ、任意の場所及び形状に設置することができるなど、多様性に優れる。
【0019】
上記一対のフィルムの一方に積層される反射膜を備え、上記セル本体が透明であるとよい。当該太陽電池によれば、上記反射膜によりセル本体内及び本体外からの光を共に効率的に活用することができ、光電変換能を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の光電変換装置は、コンパクトで、かつ、様々な形状の色素増感型太陽電池を形成することができ、高い光電変換効率を有する。また、当該光電変換装置を備える太陽電池は、光電変換効率が高く、また、例えばフレキシブルなシート形状とすることができるなど、様々な形状やサイズとすることができ、多様性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一実施形態に係る光電変換装置を示す模式的断面図(a)及び模式的斜視図(b)である。
【図2】本発明の第二実施形態に係る光電変換装置を示す模式的斜視図である。
【図3】本発明の第三実施形態に係る光電変換装置を示す模式的斜視図である。
【図4】図1の光電変換装置を備える太陽電池を示す模式的斜視図である。
【図5】図1の光電変換装置を備え、図4の太陽電池とは異なる実施形態に係る太陽電池を示す模式的斜視図である。
【図6】従来の色素増感型太陽電池を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の光電変換装置及び太陽電池の実施の形態を詳説する。
<光電変換装置:第一実施形態>
図1の光電変換装置1は、管(セル本体)2と、この管2内にそれぞれ配置される光拡散体3、第一電極4、第二電極5、及び電解質6とを備える。なお、第一電極4は、増感色素を担持した多孔質状の金属酸化物半導体によって被覆されている。
【0023】
(管2)
管(セル本体)2は、円筒形状を有している。この管2は、単位セルを構成する外壁に相当する。管2の材質としては特に限定されないが、透湿性及び吸湿性が低く電解液耐食性を有するものが好ましい。この管2の具体的材質としては、ガラスやポリエチレン、PTFE等の樹脂、ステンレス、チタン等の金属等を挙げることができる。樹脂製の管2を用いることで、例えば光電変換装置1自体に柔軟性を付与することもできる。また、金属製の管2を用いることで、導電線としても機能する。なお、この光電変換装置1における管2は、透明であっても、不透明であってもよい。
【0024】
管2の内径及び外径としては、特に制限はなく、管2内に配置される光拡散体5等のサイズや用途に応じて適宜選択することができる。例えば、複数の光電変換装置(単位セル)1を平面状に並べてシート状の太陽電池を構成する場合は、外径が5cm以下が好ましく、1cm以下がよりに好ましく、0.5cm以下がさらに好ましい。なお、この場合、内径としては、例えば3cm以下が好ましく、0.5cm以下がより好ましく、0.3cm以下がさらに好ましい。一方、この内径の下限としては、製造性の点から例えば0.1mmである。なお、当該光電変換装置1が壁埋め込みや地中埋め込み用途である場合は、外径5cm以上でも対応可能である。
【0025】
管2の長さも特に制限されず、用途等に応じて適宜設定することができ、例えば10cm以上1m以下とすることができる。
【0026】
(光拡散体3)
光拡散体3は、線状形状、具体的には細長い円柱形状を有する。この光拡散体3は、管(セル本体)2内に貫通するように、管2の軸方向に配置されている。
【0027】
この光拡散体3の一端は、図示しない光ファイバ等を介して、公知の採光装置と連結されることができる。光拡散体3は、管2外から導いた光を管2内で出射し、第一電極4に光を照射する。
【0028】
光拡散体3のサイズとしては、管2内に配置され、管2外からの光を管2内で出射することができれば特に限定されない。具体的には、光拡散体3の外径は、例えば0.01mm以上2mm以下のものを用いることができる。また、光拡散体3の長さとしては、管2の長さと同等及びそれ以上であることが好ましい。なお、図1の光電変換装置1においては、光拡散体3の両端が管2の両端の外側に設けられているが、光拡散体の一端は、管の内部にあってもよい。
【0029】
この光拡散体3は、透明な材質である限り特に限定されないが、電解液耐食性が高い材質からなることが好ましい。光拡散体3としては透明なファイバを好適に用いることができ、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、無アルカリガラスを紡糸したガラスファイバや、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の低極性樹脂を紡糸したガラスファイバなどを挙げることができる。
【0030】
光拡散体3は管2内(電解質6)への水分持ち込みを回避するため、脱水乾燥処理がされているものが好ましい。なお、水分持ち込みの観点からはガラスファイバよりも樹脂ファイバが好ましいが、耐食性、耐溶剤性に関してはガラスファイバの方が優れており、前処理効果と、目的とする寿命性能等により材質を選択することができる。
【0031】
光拡散体3は、後述する電解質6が含む高分子化合物(A)で被覆されていることが好ましい。この被覆がされていることにより、製造工程において光拡散体3を管2の内部に嵌め込む際、光拡散体3の第一電極4との接触に伴う金属酸化物半導体の剥がれを防止することができる。さらに、電解液(電解質)を管2に注入する際には、この高分子化合物(A)が電解液の呼び水として作用するため電解液で管2内を満たす作業が軽減される。
【0032】
光拡散体3の長さ1mmにおける波長589.6nmの光に対する光透過率としては、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。当該光電変換装置1は、管2外からの光を光透過性の優れる光拡散体3を介して効率的に管2内に取り込むことができる。
【0033】
(第一電極4)
第一電極4は、線状形状、具体的には細長い円柱状形状を有する。また、第一電極4は、増感色素を担持した多孔質状の金属酸化物半導体によって被覆されている。第一電極4は、上記光拡散体3の側面に巻回されている。また、この第一電極4の一端は管2の外に延出しており、電極端子として機能する。
【0034】
第一電極4としては、上記金属酸化物半導体との接着が良好であり、電解質(電解液)に対して耐食性を有するものであって、かつ、抵抗が10−6Ωm以下であるものが好ましい。このような第一電極4としては、ステンレス細線、チタン細線、チタン合金(Pdを微量含むASTM GRADE7等)細線、ニッケル合金(ハステロイC−276等)細線、白金細線などの金属細線や、炭素線などが挙げられる。これらの中でも、金属細線が好ましく、ステンレス細線及びチタン細線が上記性能及び入手性の観点からも好ましく、特にSUS304、SUS316、Ti(JIS3種規格品)の細線が好ましい。
【0035】
第一電極4の直径は特に制限ないが、金属酸化物半導体を被覆する面積を広くする目的から細いものが好ましく、具体的には0.5mm以下が好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。なお、この直径の下限としては、成形性及び耐久性等を考慮すると、例えば0.001mmが好ましく、0.005mmがさらに好ましい。
【0036】
第一電極4の表面は、サンドブラスト法等により凹凸加工がされているとよい。第一電極4の表面に凹凸が施されていることで、表面積が拡大し、金属酸化物半導体との密着性が高まると共に、光電変換効率を高めることができる。
【0037】
(金属酸化物半導体)
第一電極4の表面を被覆する金属酸化物半導体は、多孔質状であれば特に限定されず、公知の材料を用いることができるが、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム等を用いることができる。これらの半導体は、2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中でも、変換効率、安定性、安全性の点から酸化チタン及び酸化亜鉛が好ましく、酸化チタンがさらに好ましい。この酸化チタンの例としては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの種々の酸化チタン、含酸化チタン複合体などが挙げられ、これらの1種類又は2種類以上が適宜使用可能である。
【0038】
上記金属酸化物半導体は、(a)水や有機溶剤に半導体微粒子を分散させたペーストを第一電極4に塗布等による付着・焼成して形成する方法、(b)ゾルゲル法により合成した半導体ゾルを付着・焼成する方法、(c)CVD、蒸着などの真空プロセスを用いる方法、(d)陽極酸化法などの方法で第一電極4の表面に積層させることで得ることができる。これらの方法の中でも、(b)及び(d)の方法がプロセスが容易で、得られる光電変換装置の光電変換効率が高くなる点で好ましい。
【0039】
この金属酸化物半導体の厚みとしては、特に限定されないが、0.1μm以上50μm以下が好ましい。厚みが上記範囲外となると、第一電極4との密着性の低下や、電気抵抗の上昇が生じるおそれがある。
【0040】
金属酸化物半導体も、後述する電解質6が含む高分子化合物(A)で被覆されていることが好ましい。この被覆がされていることにより、製造工程において光拡散体3を管2の内部に嵌め込む際、光拡散体3の第一電極4との接触に伴う金属酸化物半導体の剥がれを防止することができる。さらに、電解液(電解質)を管2に注入する際には、この高分子化合物(A)が電解液の呼び水として作用するため電解液で管2内を満たす作業が軽減される。
【0041】
(増感色素)
上記増感色素としては、光増感剤として機能し、種々の可視光領域及び赤外光領域に吸収を持つものであれば特に限定されないが、金属酸化物半導体に強固に担持される点から、色素分子中にカルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基などのインターロック基を有するものが好ましい。
【0042】
インターロック基は、励起状態の色素と半導体の導電体との間の電子移動を容易にする電気的結合を供給するものである。これらインターロック基を含有する色素としては、例えば、ルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。
【0043】
また、本発明では特開2000−191729号公報に開示された金属錯体色素及び/又はポリメチン色素を好適に使用することができる。使用する増感色素が金属錯体色素の場合、ルテニウム錯体色素が好ましく、下記式(I)で表される色素がさらに好ましい。
【0044】
(YRuB (I)
式(I)中、pは0〜2の整数であり、好ましくは2である。Ruはルテニウムを表す。YはCl、SCN、HO、Br、I、CN、NCO及びSeCNから選択される配位子である。B、B、Bは、それぞれ独立して、以下のB−1〜B−8から選択される有機配位子である。
【0045】
【化1】

【0046】
ここで、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数(以下C数という)1〜12個のアルキル基、C数7〜12個のアラルキル基、またはC数6〜12個のアリール基を表す。上記アルキル基、アラルキル基のアルキル部分は直鎖状であっても分岐状であってもよく、アリール基、アラルキル基のアリール部分は単環であっても多環(縮合環、環集合)であってもよい。また、上記アルキル基、アラルキル基及びアリール基の水素原子は置換基で置換されていてもよい。
【0047】
本発明に用いられるルテニウム錯体色素としては、例えば米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、及び特開平7−249790号明細書に記載の錯体色素が挙げられる。
【0048】
本発明に使用する色素がポリメチン色素である場合、下記式(II)又は式(III)で表される色素が好ましい。
【0049】
【化2】

【0050】
式(II)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表す。R〜Rは、互いに結合して環を形成してもよい。X11及びX12は、それぞれ独立して、窒素、酸素、硫黄、セレン、テルルを表す。n11及びn13は、それぞれ独立して、0〜2の整数を表し、n12は1〜6の整数を表す。式(II)で表される化合物は分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。
【0051】
上記アルキル基、アリール基、複素環基は、置換基を有していてもよい。アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、アリール基、複素環基は、単環でも、多環(縮合環、環集合)であってもよい。また、R〜Rによって形成される環は、置換基を有していてもよく、単環であっても縮合環であってもよい。
【0052】
【化3】

【0053】
式(III)中、Zは含窒素複素環を形成するに必要な非金属原子群を表す。Rはアルキル基又はアリール基を表す。Qは式(IV)で表される化合物がメチン色素を形成するのに必要なメチン基又はポリメチン基を表す。X13は電荷均衡対イオンを表し、n14は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の整数を表す。
【0054】
上記のZで形成される含窒素複素環は置換基を有していてもよく、単環であっても縮合環であってもよい。また、アルキル基、アリール基は置換基を有していてもよく、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、アリール基は単環であっても多環(縮合環、環集合)であってもよい。
【0055】
(第二電極5)
第二電極5は、上記第一電極4の対向電極(還元電極)であり、管2の内面全面に薄膜状に積層して形成されている。この第二電極5の材質としては、炭素や白金等を用いることができる。なお、この第二電極5は、図示しない公知の導線と連結されて用いられる。
【0056】
この第二電極5(薄膜)の厚みとしては、特に限定されず、例えば0.001μm以上1μm以上である。
【0057】
(電解質6)
電解質6は、管2内に充填されている。この電解質6は、通常色素増感型太陽電池の電解質として用いられる公知のものを用いることができる。
【0058】
電解質6としては、具体的には、水系電解液、有機溶媒電解液、イオン性液体電解液(溶融塩電解液)などを用いることができる。
【0059】
これらの電解液には酸化還元剤を配合することが好ましい。この酸化還元剤としては、Iとヨウ化物との組合せ(ヨウ化物としてはLiI、NaI、KIなどの金属ヨウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど第四級アンモニウム化合物のヨウ素塩など);Brと臭化物との組合せ(臭化物としてはLiBr、NaBr、KBrなどの金属臭化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど第四級アンモニウム化合物の臭素塩など);フェロシアン酸塩とフェリシアン酸塩との組み合わせやフェロセンとフェリシニウムイオンとの組み合わせ等の金属錯体;ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオールとアルキルジスルフィドとの組み合わせ等の硫黄化合物;ビオロゲン色素;ヒドロキノンとキノンとの組み合わせなどを用いることができる。この中でもIとLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど第四級アンモニウム化合物のヨウ素塩を組み合わせた電解質が太陽電池として高い性能を出す点で好ましい。
【0060】
有機溶媒電解液の溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、エチルアルコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、γ‐ブチロラクトン、α‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、β‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、3‐メチル‐γ‐バレロラクトン、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、3‐メチル‐2‐オキサゾリジノンなどが用いられる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上混合して用いてもよい。
【0061】
イオン性液体電解液としては、不揮発性と不燃性の点から、溶融塩電解液が最も好ましい。この溶融塩電解液に含まれる溶融塩としては、室温付近において液状となる室温溶融塩が好ましく、アルキルイミダゾリウム塩(例;ジメチルイミダゾリウム、メチルプロピルイミダゾリウム、メチルブチルイミダゾリウム、メチルヘキシルイミダゾリウム)とそのヨウ化物などを挙げることができる。
【0062】
その他、電解質として公知のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩なども用いることができる。
【0063】
上記電解質に、ポリアクリロニトリルやポリフッ化ビニリデン等の高分子化合物(A)、又はオイルゲル化剤を添加することで電解質をゲル化もしくは固体化してもよい。また、上記電解質中でこの電解質中に含まれ得る高分子化合物(A)の架橋反応を行わせることにより電解質をゲル化もしくは固体化して使用することもできる。
【0064】
上記高分子化合物(A)としては、例えば、下記式(A-1a−1)で示される重合性モノマー、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、及びγ−ブチロラクロンを共重合させて得られるものを挙げることができる。
【0065】
【化4】

【0066】
オイルゲル化剤の添加によりゲル化する方法としては、分子構造中にアミド構造を有する化合物を用いる方法が好ましく、電解液をゲル化した例(特開平11−185863号公報)、溶融塩電解質をゲル化した例(特開2000−58140号公報)が知られているが、本発明においては、これらの公知方法の中から任意に選んで用いることができる。
【0067】
上記電解質には、n型半導体、p型半導体などの固体材料を混合して用いることもできる。これらの固体材料は、両極間の短絡防止層として機能させることもできる。
【0068】
上記電解質には、さらに、電荷輸送材料として、本発明の効果を損なわない範囲で、正孔輸送材料を併用することもでき、この正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体が好ましい。このp型無機化合物半導体として好ましいのは一価の銅を含む化合物半導体であり、CuI、CuSCN、CuInSe、Cu(In,Ga)Se、CuGaSe、CuO、CuS、CuGaS、CuInS、CuAlSeなどが挙げられる。この中でもCuI及びCuSCNが好ましく、CuIが特に好ましい。このほかのp型無機化合物半導体として、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi、MoO、Crなどを用いることもできる。これらのp型無機化合物半導体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0069】
(シール材7)
管2の両開口部は、電解質6等を密封するためのシール材7でシールされている。なお、図1(b)においては、シール材7を省略している。このシール材7としては、公知のものを用いることができ、電解質6に対する耐性、電解質6の保持性等の観点から、極性の低い樹脂成分を含み、更に管2との接着性に優れる材料を適宜選定して用いることができる。このシール材7としては、具体的には、特開2010−180258、特開2006−185646、特開2004−311036に示された接着剤が好適に用いることができる。
【0070】
当該光電変換装置1は、このように管2内に配置された光拡散体3及びこの光拡散体3に近接配置された線状の第一電極4を備える。このため、当該光電変換装置1によれば、管2外からの光を管2内に導き、管2内から表面積の広い第一電極4に光を照射することができるので、高い光電変換効率を有する。また、電極を透明とする必要がないため、抵抗の低い電極を任意に用いることができることからも、光電変換効率を高めることができる。また、当該光電変換装置によれば、光拡散体3を円柱形状とすることで、光を側面から均一に出射させることができる。
【0071】
<第二実施形態>
図2の光電変換装置11は、管(セル本体)2と、この管2内にそれぞれ配置される光拡散体3、第一電極14、第二電極5、及び電解質6とを備える。なお、第一電極14は、増感色素を担持した多孔質状の金属酸化物半導体によって被覆されている。
【0072】
管2、光拡散体3、第二電極5及び電解質6は、図1の光電変換装置1と同様であるので、同一番号を付して説明を省略する。また、光電変換装置11の管2の両端は、図1の光電変換装置1と同様に図示しないシール材でシールされている。
【0073】
第一電極14は、光拡散体3の側面表面に、この光拡散体3の軸方向に沿って並行に配置されている。なお、第一電極14の材質等は、図1の第一電極4と同様である。第一電極14をこのように光拡散体3と並行に配置することによっても、光拡散体3からの出射光を効率的に第一電極14に照射することができるため、光電変換効率をより高めることができる。
【0074】
<第三実施形態>
図3の光電変換装置21は、管(セル本体)22と、この管22内にそれぞれ配置される複数の光拡散体3、第一電極24、第二電極25及び電解質6とを備える。なお、第一電極24は、増感色素を担持した多孔質状の金属酸化物半導体によって被覆されている。
【0075】
電解質6は図1の光電変換装置1と同様であり、光拡散体3も複数あること以外は図1の光電変換装置1と同様であるので、同一番号を付して説明を省略する。また、光電変換装置21の管22の両端は、図1の光電変換装置1と同様に図示しないシール材でシールされている。
【0076】
管22は、絶縁性の材質からなる。また、管22は、透明であっても不透明であってもよいが、透明である場合、管22外からの光を管22の側面を透過して採り入れることができ、好ましい。管22の長さ1mmにおける波長589.6nmの光に対する光透過率としては、上記機能を効果的に発揮させるために、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0077】
光電変換装置21においては、第二電極25(対向電極)が、管22の内面には設けられておらず、第一電極24と同様の線状形状を有している。第二電極25は、金属細線の表面に、炭素や白金が被覆された構造を有している。上記金属細線としては、第一電極として例示したものと同様のものを挙げることができる。具体的には、ステンレス細線表面にアニリンを電解重合することでポリアニリン薄膜を形成し、この被覆細線を還元雰囲気で700℃、15時間程度熱処理して得られるグラファイトライクカーボン被覆された電極線を用いることができる。
【0078】
光電変換装置21において、それぞれ複数の光拡散体3、第一電極24及び第二電極25は、全て線状形状を有しており、これらを並行に管2内に挿入することによって形成されている。また、当該光電変換装置21によれば、上述のとおり、管22が透明である場合は、光拡散体3経由の光線と管22の側面を透過する光線との両方を利用することができる。
【0079】
<その他の実施形態>
本発明の光電変換装置においては、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、管(セル本体)の内面又は外面に形成された反射膜を有するセル本体を用いることもできる。セル本体が不透明である場合は、内面に、透明である場合は外面に反射膜(アルミニウム膜など)を形成することが好ましい。このような反射膜を有する場合、光拡散体から照射される光が反射膜にて反射され、効率的に光を利用することができる。なお、反射膜を別に設けなくとも、表面の反射性の高い材質からなるセル本体を用いたり、セル本体の内面に第二電極を被覆させる場合、この第二電極の反射性を利用することもできる。
【0080】
なお、反射膜を有する又は有さないにかかわらず、上記セル本体の内面側の光に対する反射率が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。セル本体のこの反射率をこのような値以上とすることで、光拡散体からの出射光を効率的に利用することができるため当該光電変換装置の光電変換効率がさらに向上する。
【0081】
当該光電変換装置においては、セル本体内に嵌め込む電極同士の接触に伴う短絡防止、半導体の剥がれ防止などを目的に、絶縁ファイバや布をセル本体内に適宜配置してもよい。この場合、予め電極にファイバや、布を巻き付けて電極を束ねたり、保護したりしてからセル本体(管等)に嵌め込む工程に進む。このような絶縁ファイバや、布の具体例としては、上述した耐食性に優れるPTFEなどの樹脂材料ファイバや、ガラスファイバ、その他フィルター用布材などが挙げられる。また、ガラスリボンを用いることもできる。
【0082】
なお、線状の第一電極や、線状である場合の第二電極としては、細長い円柱形状に限定されず、例えば断面が扁平のリボン状であってもよい。また、線状の電極を撚り併せて用いてもよい。
【0083】
さらには、セル本体は、円筒形状に限定されない。用途等に応じて様々な形状のセル本体を採用することができる。また、材質の設定により、セル本体自体を第二電極として機能させてもよい。
【0084】
<太陽電池>
本発明の太陽電池は、上記光電変換装置を備える。当該太陽電池は、高い光電変換効率を有し、コンパクトで、かつ様々な形状とすることができる。当該太陽電池においては、複数の上記光電変換装置が直列又は並列に接続されることで、大型化等を可能にし、得られる電力量等を適宜調整することができる。
【0085】
図4の太陽電池(モジュール)31は、複数の光電変換装置1を直列に並べて配線し、これらを平行に平面状に並べた状態で各セルが配置されている。太陽電池31は、この平面状に配列された複数の光電変換装置1の両面を被覆(封止)する一対の基板32を備える。各光電変換装置1の光拡散体3、第一電極4及び第二電極5はセル本体から引き出され、それぞれまとめられている。また、一対の基板32間は、図示しないシリコンゴムなどを充填して隙間を埋めてもよい。基板32の貼り合わせは熱ラミネートやシール剤による封止を用いることができる。
【0086】
上記基板32としては、ガラスやフィルムを用いることができるが、フィルムを用いた場合は、フレキシブルなシート形状とすることができ、任意の場所及び形状に設置することができるなど、多様性に優れる。
【0087】
なお、上記一対の基板32(フィルム等)の一方の内面又は外面に積層される反射膜を備え、この際、上記セル本体が透明であるとよい。当該太陽電池によれば、上記反射膜によりセル本体内及び本体外からの光を共に効率的に活用することができ、光電変換能を高めることができる。上記反射膜としては、例えばアルミニウム膜などを挙げることができる。
【0088】
また、上記一対の基板32の一方に集光機能を備えることもできる。この集光機能は、例えば基板の表面に凹凸の加工を施すことによって付与することができる。この場合、集光機能と共に基板に入射した光を閉じ込めることができ、光を効率的に活用することで光電変換能を高めることができる。また、基板32に集光機能を有するユニットを接続してもよく、例えば(株)光エネルギー研究所製の採光シート(SOH−02)を接続することによって外からの光を効率的に活用することができ、光電変換機能を高めることができる。
【0089】
図5の太陽電池(モジュール)41は、複数の光電変換装置1を直線状に連結し、これらを束にし、この束が円筒状の透明管42内に挿入された構成を有する。この透明管42内も図示しないシリコンゴムなどを充填して隙間を埋めてもよい。上記透明管42としては、樹脂フィルムを巻いて形成したものや、ガラス管等を用いることができる。本発明の光電変換装置を用いることで、このように様々な形状の太陽電池を得ることができる。
【0090】
<製造方法>
本発明の光電変換装置及び太陽電池(モジュール)の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の方法で好適に製造することができる。
【0091】
(1)第一電極の形成
(1−1)金属等細線に金属酸化物半導体膜を被覆する。被覆する方法としては上述のとおり(b)ゾルゲル法により合成した半導体ゾルをディップコート、スプレーコートなどの塗工方法、又は、(d)金属等細線を陽極にして電解層に浸して電界印加して細線表面を電解酸化することで成膜する陽極酸化法が好ましく、塗工と陽極酸化を組み合わせてもよい。形成された塗膜は300℃から600℃の温度で焼成して分散剤などの余剰物を焼失し、半導体同士のネッキング、細孔形成を行う。形成される半導体の厚みは細線の外径より薄いことが望ましく、通常は0.1μmから50μmであり、50μmを越えると細線を曲げた際に半導体が剥がれ落ちるおそれがあり好ましくない。
【0092】
(1−2)この被覆細線に上記増感色素を吸着させる。吸着方法は、例えば、色素を溶解した溶液に浸漬する方法や、色素溶液を塗布、乾燥させた後に余剰色素を洗浄除去が挙げられる。増感色素を溶解するために用いる溶媒の例としては、エタノールなどのアルコール系、アセトンなどのケトン系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどの窒素化合物、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。溶液中の増感色素濃度は、使用する増感色素及び溶媒の種類により適宜調整することができ、吸着機能を向上させるためには、ある程度高濃度である方が好ましい。例えば、5×10−5mol/L以上の濃度が好ましい。
【0093】
増感色素を溶解した溶液中に被覆細線を浸漬する際の、溶液および雰囲気の温度及び圧力は特に限定されるものではなく、室温、大気圧下であってもよい。また、浸漬時間は、使用する増感色素、溶媒の種類、溶液の濃度などにより適宜調整することが好ましい。なお、浸漬する色素溶液の温度が高いほど吸着が効率よく進行する。
【0094】
上記プロセスを経て増感色素を担持した金属酸化物半導体によって被覆された線状の第一電極が完成する。なお、第一電極が透明ファイバ(光拡散体)に巻き付けられた形態(図1の光電変換装置1)とする場合には、透明ファイバに予め金属細線を巻き付けた状態で半導体を被覆し、その後、焼成して、色素吸着させた方が、剥がれるおそれが少なく好ましい。
【0095】
(2)第二電極の形成
管(セル本体)の内面又は金属細線に、対向電極とすべく、第二電極の層を形成する。第二電極としては、例えば、白金の場合はスパッタ成膜など真空プロセスを経ないと管の内面への成膜が困難である。一方、炭素の場合はアニリン電解重合膜を焼成して成膜できることから、第二電極として炭素を用いるプロセスが簡易である。すなわち、アニリンを含有する硫酸水溶液中に、管又は金属細線を陽極に、対極に炭素棒を浸して−0.2〜+0.8V程度の範囲で電位を掃引する電位掃引法にてポリアニリン膜を成膜する。これを還元雰囲気で700℃、15時間程度熱処理することでグラファイトライクカーボン被覆された管又は細線を得る。このカーボン膜(第二電極)の厚みは0.001μmから1μm程度の薄膜でよく、膜厚が厚いと導電性が損なわれるおそれがあり好ましくない。
【0096】
(3)組み立て
(3−1)光拡散体(透明ファイバ等)、第一電極及び必要に応じ第二電極を管に嵌め込む。このとき、管へスムーズに挿入できるように予め透明ファイバや電極の表面を上記高分子化合物(A)で被覆していてもよい。この被覆を行うことにより、電極を管の内側に嵌め込む際の電極同士の接触に伴う半導体層の剥がれを防止することができ、かつ、電解質を管に注入する際には、この高分子化合物(A)が電解質の呼び水として作用するため電解質で管内を満たす作業効率が高まる。なお、この嵌め込みを容易にするため、管には予め電解液を満たしておいてもよい。
【0097】
(3−2)電解質を管内に注入する。上記(3−1)の嵌め込みが済んだ管の内部に上記電解質を毛細管注入方式で注入する。注入する電解質は表面張力を下げるため、加温されているとよい。電解質は、ゲル状態であることが液漏れの不具合が少なく好ましいため、上述のとおり電解質には高分子化合物(A)などゲル化を促す成分が含まれていることが好ましい。この場合、上述のように(3−1)の工程で予め電極細線及び透明ファイバに塗布しておくことで導入することもできる。電解質注入後、ゲル化を進めるため、管全体を40℃から100℃に加温する。
【0098】
(3−3)管の両端をシールする。管の両端に上記シール材を塗布し硬化させて管内を密閉する。シール材の硬化にはUV硬化や加熱硬化が用いられるが、この際、シール材以外の部分にUV光や熱が影響しないように予め養生しておくことが好ましい。シール材は管からはみ出さず、管の端0.1cmから2cmの部分に埋め込まれていることが好ましい。
【0099】
(3−4)配線を行う。管からはみ出させた第一電極、第二電極又はこの第二電極に通電する導線、透明ファイバは、複数ある場合は、各々1本に束ねる。なお、図1の光電変換装置1のように光拡散体(透明ファイバ)、第一電極等が単数の場合は束ねる必要はない。
【0100】
以上のように工程(1)及び(2)で各パーツの予備加工を行い、工程(3)で組み立てを行う工程を経て、光電変換装置(単位セル)が完成する。
【0101】
(4)モジュール化
得られた光電変換装置(単位セル)を連結させてモジュール化することで、太陽電池を得る。各光電変換装置の連結は直列又は並列若しくはこの組み合わせいずれでもよい。例えば、図4の太陽電池31の場合、2枚の基材に光電変換装置(単位セル)を並べたものをサンドイッチして封止し、結線した電極と光ファイバを基材の外側へ引き出すことで太陽電池(モジュール)が完成する。モジュール内には上述のとおり、シリコンゴムなどを充填して隙間を埋めてもよい。基材の貼り合わせは熱ラミネートやシール剤による封止を用いることができる。
【実施例】
【0102】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0103】
[調製例1]酸化チタン塗布液の調製
純水1,000mLに50質量%四塩化チタン溶液(住友シチックス(株)製)20gを添加し純水を加え2,000mLにした溶液を準備した。これに25質量%アンモニア水(高杉製薬(株)製)を10倍希釈したアンモニア水を滴下してpH7.0に調整して水酸化チタンを沈殿させた。この沈殿物を純水でデカンテーションにより洗浄し、上澄み液の導電率が0.738mS/mとし、0.73質量%濃度の水酸化物の含有液を860g作製した。次いで、この含有液を1〜5℃に冷却しながら35質量%過酸化水素(タイキ薬品工業(株)製)を25g添加し、16時間攪拌すると淡黄褐色で透明な0.86質量%固形分濃度のアモルファス型過酸化チタンの分散液900gが得られた。この分散液100gを計量し、これに単糖類であるD−ソルビトール(製品名ネオソルブ)0.05質量%を添加し、攪拌しながら100℃で5時間加熱した。その結果、アナターゼ型過酸化チタン分散液(酸化チタン塗布液)が1.52質量%の濃度で55g得られた。
【0104】
[調製例2]電解質の調製
ユニオールTG−1000(ポリオキシプロピレングリセリルエーテルトリオール、日油製)1g、ジブチル錫ジラウレート0.01gをγ−ブチロラクトン14.3gで希釈混合した。この溶液に0.05Mのヨウ素及び0.1Mのヨウ化リチウムを加え、電解質(1)を調整した。
【0105】
[合成例1]高分子化合物の合成
下記式(A−1a−1)で示される重合性モノマー20g、カレンズMOI(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、昭和電工製)20g、及びγ−ブチロラクロン160gを入れた三つ口フラスコをオイルバスで60℃に加熱した後、2、2’―アゾビスイソブチロニトリル1gを投入し、80℃で6時間反応させ、高分子化合物(1)を得た。得られた高分子溶液の固形分は20%であった。また得られた高分子化合物(1)の重量平均分子量は(Mw)は10,000であった。
【0106】
【化5】

【0107】
[試作例1]第一電極の形成
外径0.02mmのSUS304ワイヤー30cmをアルカリ電解脱脂し、アセトン洗浄により前処理して乾燥させた。ワイヤーの片側10cmをテープでマスキングして、調製例1で得られた酸化チタン塗布液にディップ−引き上げ−乾燥を繰り返してして酸化チタン塗布膜(金属酸化物半導体)を10μm成膜した。次に、550℃下0.5L/hrでエアーフローしながらクリーンオーブンにてワイヤーを20分焼成した。焼成後のワイヤーの外径は0.034mmで、0.8mmの曲率で曲げても酸化チタン膜が剥がれることはなかった。次いで、Ru錯体色素N719(Solaronix社製 商品名:Ruthenizer 535−bisTBA)をn−ブタノールに溶解し、濃度2×10−4モル/リットルの増感色素溶液を得た。この増感色素溶液中に、酸化チタンを被覆したSUS304ワイヤーを室温で24時間浸漬し、Ru色素が吸着された電極を得た。更に、この電極を合成例1で得られた高分子化合物(1)の溶液にディップコートによる表面被覆を施した。得られた色素増感電極が設けられた細線を第一電極(1)とした。
【0108】
[試作例2]第一電極(2)の形成
外径0.034mmのチタン線を用いた以外は試作例1と同様に酸化チタン被覆を行った。焼成処理後の酸化チタン膜厚は8μmであった。Ru錯体色素black dye(Solaronix社製 商品名:Ruthenizer 620−1H3TBA)をエタノールに溶解し、濃度2×10−3モル/リットルの増感色素溶液を得た。この増感色素溶液に酸化チタン膜被覆したチタン線を40℃で10分浸漬し、Ru色素が吸着された色素増感電極を得た。得られた色素増感電極細線を第一電極(2)とした。
【0109】
[試作例3]第二電極(1)の形成
外径0.05mmのSUS304ワイヤー30cmをアニリン0.1mol/L含む硫酸水溶液中に陽極として浸し、対極に炭素棒を浸して−0.2〜+0.8V程度の範囲で電位を掃引する電位掃引法にて、膜厚0.03μmのポリアニリン薄膜を成膜被覆した。これを還元雰囲気で700℃、15時間熱処理しグラファイトライクカーボン被覆されたワイヤーを得た。得られた電極ワイヤーを第二電極(1)とした。
【0110】
[試作例4]第二電極付き管(1)の形成
外径1.5mm、内径1mmのSUS304、20cmの管の中をアニリン0.1mol/L含む硫酸水溶液で満たし、その管の中心線の位置に白金線を対極として浸し、管を陽極として−0.2〜+0.8V程度の範囲で電位を掃引する上記試作例3と同じ印加条件の電位掃引法にて、膜厚約0.03μm相当のポリアニリン薄膜を成膜被覆した。これを還元雰囲気で700℃、15時間熱処理し、内面がグラファイトライクカーボン被覆されたSUS管を得た。これを第二電極付き管(1)とした。なお、電解重合中、管内の硫酸水溶液は表面張力によって管内に保持されており、白金線が管内を貫通していても漏れ出ることはなく、管の端を封じることなくポリアニリン膜の形成が可能であった。
【0111】
[性能評価]
光ファイバの端部と光電変換装置の光拡散体(透明ファイバ)の端部とを透明アクリル接着剤を介して接続した。光電変換装置(単位セル)の電極(第一電極及び第二電極(1)又は管(1))をクリップで導線に接続し、ソーラーシミュレーター(ウシオ電機 Mini USS−40 照度100mW/cm)より発する擬似太陽光を照射した。なお、発生した電気を電流電圧測定装置(ADVANTEST R6240A)にて測定した。この計測値より太陽電池の開放電圧(VOC)、及び変換効率(η)の初期値を求めた。
【0112】
[実施例1]光電変換装置A(図2の形状)の作製
試作例1で得られた第一電極(1)を30cmの長さに切断し、これを複数用意した。外径0.8mm、30cmの石英ガラス棒(光拡散体)の外周を覆うように、上記複数の第一電極(1)を並行に並べて図2の配置とした。なお、全ての第一電極(1)は、石英ガラス棒に対して、色素増感電極が設けられていない領域がはみ出すように10cm同一の方向にずらして配置した。この外側から0.02mm径のPTFE糸を巻いて仮止めしてから、試作例4で得られた第二電極付き管(1)(内径約1mm、長さ20cm)に嵌め込んだ。このとき、第二電極付き管(1)の内部には、予め調製例2で調製した電解質(1)が毛細管注入により満たしてあり、電解質を押し出しながら嵌め込むことで作業はスムーズに行えた。管(1)の左端からは石英ガラス棒が10cm突き出し、右端からは電極(1)の細線の色素増感電極が設けられていない領域が10cmはみだしており、第一電極(1)は、ひとまとめに結線して色素増感電極とし、第二電極に通電する管(1)の外壁を評価装置のクリップで挟んで評価装置へ配線した。石英ガラス棒の端部は、ソーラーシミュレーターにつながる光ファイバに接続した。不足した電解液を補うべく、管(1)の端から80℃に加温した電解質(1)を毛細管注入法にて補充した。管(1)全体を100℃のオーブンで1時間加熱し、電解質(1)のゲル化処理を行った。この後、管(1)の端部からシール材(スリーボンド社製 31X−167)を4mm滲入させ、この4mm部分にスポットUV照射、次いで赤外光照射にて加熱硬化を行った。光ファイバにつながない方のセル端はアルミ箔で覆った。このようにして、光電変換装置Aを得た。
【0113】
[実施例2]光電変換装置B(図1の形状:第二電極は線状)の作製
外径0.8mm、30cmの石英ガラス棒(光拡散体)の外周に外径0.02mmのSUS304ワイヤーと外径0.01mmのポリエチレン糸とが交互になるように、隙間なく重ならないように一重に左端から20cm巻き付け、残り10cmはガラス棒に沿わせて固定した。400℃のオーブンで空気フロー下、20分焼成処理してポリエチレン糸を焼失させ、SUSワイヤー表面の洗浄を行った。このSUSワイヤーを巻き線したガラス棒の右端10cmをテープでマスキングし、調製例1で調製した酸化チタン塗布液にディップ−引き上げ−乾燥を繰り返してして酸化チタン塗布膜(金属酸化物半導体)を10μm成膜した。以降、実施例1と同様に焼成、色素吸着、表面コーティングを行い、色素増感電極が設けられたSUSワイヤーが石英ガラス棒に巻回された第一電極を得た。第一電極と試作例3で得られた第二電極を、予め電解質(1)で内部を満たしたガラス管(1)に嵌め込んだ。ガラス管(1)の一方の端部から色素増感電極が設けられていないSUSワイヤーがはみ出すようにガラス棒が10cm突き出ており、ガラス管の他方の端部からは、第二電極(1)が突き出るように配置され、かつガラス棒の端部がガラス管の端が同じ位置となるように配置した。次に、ガラス管の両端にシール材(スリーボンド社製 31X−167)を4mm滲入させ、この4mm部分にスポットUV照射、次いで赤外光照射にて加熱硬化を行うことで封止をおこなった。次に電解質(1)等が封止されたガラス管(1)全体を100℃のオーブンで1時間加熱し、電解質(1)のゲル化処理を行った。石英ガラス棒の端部はソーラーシミュレーターにつながる光ファイバに接続した。また、ガラス管の右端から10cmはみ出た第二電極はまとめて結線して1本とした。他方、ガラス管の左端から10cmはみ出た第一電極は、まとめて結線して1本とした。このようにして、光電変換装置Bを得た。得られた光電変換装置の結線した第一電極と第二電極とを評価装置に接続した。
【0114】
[実施例3]光電変換装置C(図3の形状:内外両面受光型)の作製
各試作例で得られた第一電極(2)及び第二電極(1)並びに外径0.05mm、長さ30cmの石英ガラスファイバ(光拡散体)をガラスリボンで束ねた。この際、第一電極(2)の酸化チタンが被覆されていない部分と、第二電極(1)とが接触しないようにした。このようにして得られた束を1セットとし、これら100セット分をさらにガラスリボンで束ねた。これを内径0.3cm、長さ20cmのガラス管(1)に嵌め込んだ。第一電極(2)は色素増感電極が設けられていないチタン細線がはみ出すようにガラス管(1)の左から10センチ、第二電極(1)はガラス管(1)の右から10cm、石英ファイバは管(1)の左右から各々5cmはみだすように配置した。ついでガラス管(1)の端部より電解質(1)を毛細管注入し、セル端部をシール封止した。セルを100℃で1時間加熱して電解液をゲル化させた。シール材(スリーボンド社製 31X−167)を4mm滲入させ、この4mm部分にスポットUV照射、次いで赤外光照射にて加熱硬化を行うことで封止をおこなった。次に、電解質(1)等が封止されたガラス管(1)全体を100℃のオーブンで1時間加熱し、電解質のゲル化処理を行った。ガラス管(1)の右端から10cmはみ出た第二電極(1)はまとめて結線して1本とし、5cmはみ出た石英ファイバはSUSリングで束ねて片側の端部に反射用のアルミ箔を貼った。他方、ガラス管(1)の左端から10cmはみ出た第一電極(2)は、まとめて結線して1本とし、石英ファイバはSUSリングで束ね、石英ファイバの端部はソーラーシミュレーターにつながる光ファイバに接続した。このようにして光電変換装置C(図3に示す構造のセル)を得た。
【0115】
[実施例4]光電変換装置D(図3の形状:内外両面受光型)の作製
各試作例で得られた第一電極(2)及び第二電極(1)並びに外径0.05mm、長さ30cmの石英ガラスファイバ(光拡散体)をガラスリボンで束ねた。この際、第一電極(2)の酸化チタンが被覆されていない部分と、第二電極(1)とが接触しないようにした。このようにして得られた束を1セットとし、これら100セット分をさらにガラスリボンで束ねた。これを内径0.3cm、長さ20cmのガラス管に嵌め込んだ。以降は、実施例3と同様にして、管(セル本体)が透明であり、管の内外から光を捕捉できる光電変換装置D(図3に示す構造のセル)を得た。
【0116】
[実施例5]太陽電池モジュールA(図4の形状)の作製
光電変換装置D(単位セル)を用いて平面型の太陽電池モジュールAを作製した。この単位セル20本を直列に結線し、これを1セットとして15セット準備し、セット同士は並列に結線した。これらを30cm角、厚み100μmのPETフィルムを用意し、PETフィルム上に互いの単位セルが重ならないように並べた。モジュールの下面となるPETフィルムにはアルミ箔を貼り付け反射防止膜とし、上面となるPETフィルムには高低差0.5mmの凹凸加工を施した。ラミネートシート上に互いの単位セルが重ならないように1重に並べた。シリコンゴムを隙間に充填したのち、熱ラミネートで貼り合わせを行った。このようにして平面型の太陽電池モジュールAを得た。石英ガラス棒の端部をソーラーシミュレーターにつながる光ファイバに接続し、結線して集められた電極を電流電圧装置に接続し、性能評価を行った。
【0117】
[実施例6]太陽電池モジュールB(図5の形状)の作製
光電変換装置D(単位セル)を用いてロッド型の太陽電池モジュールを作製した。この単位セル20本を束ねて直列に結線し、これを1セットとして15セット準備し、さらにセット同士を束ねて並列に結線した。これらをガラス管の中に嵌め込んだ。この時、結線した第一及び第二電極と光ファイバがガラス管の外側にはみ出るようにした。ガラス管の中にシリコンゴムを充填し、このガラス管の両端をシール剤で封止した。このようにしてロッド型の太陽電池モジュールBを得た。石英ガラス棒の端部はソーラーシミュレーターにつながる光ファイバに接続し、結線して集められた第一及び第二電極は電流電圧装置に接続し、性能評価を行った。
【0118】
実施例1〜6で得られた光電変換装置及び太陽電池モジュールの評価結果を下記表1に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
表1に示される結果から、以下のことがわかる。(1)それぞれの変換効率は概ね7%程度であり、従来の平面型のセルに対して遜色ない性能を有している。(2)発電部分に光が当たらなくとも、ユニット内部に導いた光で光電変換することができること(実施例1)、又はユニットの内外両方から導いた光を利用できること(実施例2〜6)が示された。すなわち太陽電池の新たな用途展開を示唆することができた。(3)従来のレアメタルを用いた透明導電基板を使用せずにエネルギー変換効率の高い太陽電池を提供することができ、安価に太陽電池を提供できる可能性を示唆することができた。
【産業上の利用可能性】
【0121】
以上のように本発明の光電変換装置によれば、例えば従来の透明導電基板を使用せずとも、変換効率の高い太陽電池を提供することができる。
【符号の説明】
【0122】
1、11、21 光電変換装置
2、22 管(セル本体)
3 光拡散体
4、14、24 第一電極
5、25 第二電極
6 電解質
7 シール材
31、41 太陽電池(モジュール)
32 基板
42 透明管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル本体と、
このセル本体内にそれぞれ配置される線状の第一電極、第二電極、セル本体外から導いた光をセル本体内で出射する光拡散体、及びセル本体内を充填する電解質と
を備え、
上記第一電極が光拡散体に近接し、かつ、増感色素を担持した多孔質状の金属酸化物半導体によって被覆されている光電変換装置。
【請求項2】
上記光拡散体が円柱状である請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
上記第一電極が上記光拡散体の側面に巻回されている請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
上記第一電極が上記光拡散体と並行に配置されている請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項5】
上記セル本体が円筒形状であり、上記光拡散体がセル本体の軸方向に配置されている請求項2、請求項3又は請求項4に記載の光電変換装置。
【請求項6】
上記セル本体の内面側からの光に対する反射率が60%以上である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
上記光拡散体の長さ1mmにおける波長589.6nmの光に対する光透過率が70%以上である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光電変換装置を備える太陽電池。
【請求項9】
上記光電変換装置が直列又は並列に接続されている請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
上記光電変換装置が平面状に配列されており、この平面状に配列された光電変換装置の両面を被覆する一対のフィルムを備える請求項8又は請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
上記一対のフィルムの一方に積層される反射膜を備え、上記セル本体が透明である請求項10に記載の太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−185945(P2012−185945A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46974(P2011−46974)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】