説明

光音響撮像装置およびそれに用いられるプローブユニット

【課題】複数の光ファイバを用いてレーザ光を導光して実施する光音響イメージングにおいて、複数の分岐光と複数の光ファイバとの位置合わせを容易にすることを可能とする。
【解決手段】光音響撮像装置10において、入射したレーザ光を分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめる分岐回折光学素子40を有する光分岐部12と、レーザ光の複数の入射位置Px、Py、Pzを切り替える切替部16と、複数の分岐光Lxd、Lyd、Lzdをそれぞれ導光する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバ14とを備え、光分岐部12が、複数の入射位置に対応した互いに異なる複数の出射位置Qx、Qy、Qzから複数の分岐光を出射せしめるものであり、複数の光ファイバが、光ファイバ群Fx、Fy、Fzごとに、複数の分岐光の分岐パターンに対応して端面が配列するように配置されたものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光が被検体に照射されることにより被検体内で発生した光音響波を検出して光音響画像を生成する光音響撮像装置およびそれに用いられるプローブユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体の内部の断層画像を取得する方法としては、超音波が被検体内に照射されることにより被検体内で反射した超音波を検出して超音波画像を生成し、被検体内の形態的な断層画像を得る超音波イメージングが知られている。一方、被検体の検査においては形態的な断層画像だけでなく機能的な断層画像を表示する装置の開発も近年進められている。そして、このような装置の一つに光音響分析法を利用した装置がある。この光音響分析法は、所定の波長を有する光(例えば、可視光、近赤外光又は中間赤外光)を被検体に照射し、被検体内の特定物質がこの光のエネルギーを吸収した結果生じる弾性波である光音響波を検出して、その特定物質の濃度を定量的に計測するものである。被検体内の特定物質とは、例えば血液中に含まれるグルコースやヘモグロビンなどである。このように光音響波を検出しその検出信号に基づいて光音響画像を生成する技術は、光音響イメージング(PAI:Photoacoustic Imaging)或いは光音響トモグラフィーと呼ばれる。
【0003】
従来、上記のような光音響効果を利用した光音響イメージングにおいて、次のような課題がある。被検体に照射された光の強度は、被検体内を伝播する過程で吸収や散乱によって著しく減衰する。また、照射された光に基づいて被検体内で発生した光音響波の強度も、被検体内を伝播する過程で吸収や散乱によって減衰する。したがって、光音響イメージングでは、被検体の深部の情報を得ることが難しい。この課題を解決するため、例えば被検体内に照射される光のエネルギー量を増やすことにより、発生する光音響波を大きくすることが考えられる。
【0004】
しかし、光音響イメージングにおいて必要とされる高エネルギー(1mJ以上)のパルスレーザ光を単一の光ファイバによって導光することは困難である。その光ファイバの端面が破壊されてしまう可能性が高いためである。そのため、パルスレーザ光を複数の光ファイバで分岐せしめて導光することができれば好ましい。
【0005】
また、光音響イメージングを利用した光音響撮像装置では、光学系と超音波検出用のプローブとが一体的に組み合わされたプローブユニットが使用される。したがって、使用者のハンドリング性能の観点から、プローブユニットのコード部分は可撓性が求められる。
【0006】
そこで、例えば特許文献1に、コアおよびクラッドを有する構造(コア/クラッド構造)の細い石英光ファイバを多数本束ねたバンドルファイバを用いて、パルスレーザ光をプローブユニット先端まで導光する方法が開示されている。ただし、パルスレーザ光をバンドルファイバ中の光ファイバそれぞれへ入射せしめる具体的な方法は開示されていない。
【0007】
一方、複数の光ファイバに入射せしめるための複数の分岐光を生成する方法として、例えば特許文献2に、n−1個のビームスプリッタを用いて1本のレーザ光をn分岐せしめる方法、および回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Elements)を用いて1本のレーザ光を複数本に分岐せしめる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−12295号公報
【特許文献2】特開2005−308967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2における前者の方法では、多数本(例えば16本以上)のレーザ光を得るためには、多数個(例えば15個以上)のビームスプリッタが必要であり、光学系の配置が複雑となる、装置が大型化してしまうといった問題があり、さらに、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとを別個に位置合わせしなければならないといった問題がある。一方、特許文献2における後者の方法では、回折光学素子を用いて一括してレーザ光を分岐せしめることが可能であるものの、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとを別個に位置合わせしなければならない点に変わりはない。複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとを別個に位置合わせする作業は、非常に煩雑である。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、複数の光ファイバを用いてレーザ光を導光して実施する光音響イメージングにおいて、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせを容易にすることを可能とする光音響撮像装置およびそれに用いられるプローブユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る光音響撮像装置は、
被検体内に測定光を照射する光照射部と、測定光の照射により被検体内で発生した光音響波を検出してこの光音響波を電気信号に変換する電気音響変換部と、電気信号に基づいて光音響画像を生成する画像生成部とを備える光音響撮像装置において、
光学系の上流側から入射したレーザ光を所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめる少なくとも1つの分岐回折光学素子を有する光分岐部と、
レーザ光が入射する分岐回折光学素子上の複数の入射位置を切り替える切替部と、
コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、このバンドルファイバの一方の端面から複数の光ファイバに入射した複数の分岐光を、バンドルファイバの他方の端面において接続された光照射部に導光するように配置されたバンドルファイバとを備え、
光分岐部が、複数の入射位置のそれぞれに対応した互いに異なる複数の出射位置から複数の分岐光を出射せしめるものであり、
複数の光ファイバが、複数の光ファイバの一部であり2以上の光ファイバを包含する複数の光ファイバ群から構成されるものであり、
バンドルファイバの上記一方の端面における複数の光ファイバの一方の端面が、光ファイバ群ごとに、複数の出射位置のそれぞれに対向して配置され、対向する出射位置から出射する複数の分岐光の分岐パターンに対応して配列し、かつこの複数の分岐光のそれぞれがその光ファイバ群に属する光ファイバのコアのそれぞれに入射するように配置されたものであり、
バンドルファイバが、複数の分岐光を光ファイバ群ごとに導光するものであり、
光照射部が、光ファイバ群ごとに導光された複数の分岐光を、複数の分岐光ごとに互いに異なる照射領域に測定光として照射するものであることを特徴とするものである。
【0012】
本明細書において、「分岐パターン」とは、分岐回折光学素子によって分岐したレーザ光(分岐光)についての、分岐前のレーザ光の進行方向に垂直なある仮想平面上の輝点のパターンを意味する。なお、このような分岐パターンは、分岐したレーザ光が拡がり角を有するため、上記仮想平面をどの位置に取るかによってパターンのスケールが異なってくる。そこで、一般にこのようなスケールの情報を含むパターン(後述の配列パターンを含む)からそのスケールの情報を取り除いて規格化(例えば最も離れた2点間の長さを1とする)したパターンをそのパターンの「標準パターン」という。
【0013】
複数の光ファイバの一方の端面が「分岐パターンに対応して配列し」とは、当該端面の配列パターンの標準パターンと上記分岐パターンの標準パターンとが実質的に一致するように、複数の当該端面が同一平面内で配列することを意味する。端面の「配列パターン」とは、複数の光ファイバの一方の端面に関するそれぞれの代表点(例えば端面の中心)の配列のパターンを意味する。2つのパターンが「実質的に一致する」とは、これらのパターンが異なっていたとしても、複数の分岐光のそれぞれが複数の光ファイバのコアのそれぞれに入射することができる範囲であれば、一致しているとして取り扱うことを意味する。
【0014】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、バンドルファイバの上記一方の端面と光分岐部との位置関係を調整する位置調整部を備えたことが好ましい。
【0015】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、光分岐部は分岐回折光学素子の光学系の下流側に複数の集光レンズ系を有し、
複数の集光レンズ系は、それぞれの焦点が複数の入射位置のそれぞれに対応するように配置されたものであることが好ましい。
【0016】
この場合において、光分岐部は、集光レンズ系の光軸方向における複数の集光レンズ系のそれぞれの位置を調整するレンズ位置調整部を有することが好ましい。
【0017】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、光分岐部は、分岐回折光学素子の光学系の上流側にホモジナイザを有することが好ましい。
【0018】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、光分岐部は、分岐回折光学素子の光学系の下流側にホログラフィック拡散板を有することが好ましい。
【0019】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、光分岐部は、分岐回折光学素子の光学系の上流側に可変ビームエキスパンダを有することが好ましい。
【0020】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、分岐パターンは六方形構造を有し、
複数の光ファイバの上記一方の端面が光ファイバ群ごとに最密充填構造で配列したものであることが好ましい。
【0021】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、バンドルファイバの上記一方の端面は、この端面におけるコアが露出するようにこの端面上に反射マスクを有することが好ましい。
【0022】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、分岐回折光学素子は1つであることが好ましい。
【0023】
そして、本発明に係る光音響撮像装置において、光照射部は複数の光ファイバの他方の端面であり、
この他方の端面は間隔を置いてライン状に配列されたものであることが好ましい。
【0024】
さらに、本発明に係るプローブユニットは、
被検体内に測定光を照射する光照射部と、
測定光の照射により被検体内で発生した光音響波を検出して光音響波を電気信号に変換する電気音響変換部と、
光学系の上流側から入射したレーザ光を所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめる少なくとも1つの分岐回折光学素子を有する光分岐部と、
レーザ光が入射する分岐回折光学素子上の複数の入射位置を切り替える切替部と、
コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、このバンドルファイバの一方の端面から複数の光ファイバに入射した複数の分岐光を、バンドルファイバの他方の端面において接続された光照射部に導光するように配置されたバンドルファイバとを備え、
光分岐部が、複数の入射位置のそれぞれに対応した互いに異なる複数の出射位置から複数の分岐光を出射せしめるものであり、
複数の光ファイバが、複数の光ファイバの一部であり2以上の光ファイバを包含する複数の光ファイバ群から構成されるものであり、
バンドルファイバの上記一方の端面における複数の光ファイバの一方の端面が、光ファイバ群ごとに、複数の出射位置のそれぞれに対向して配置され、対向する出射位置から出射する複数の分岐光の分岐パターンに対応して配列し、かつこの複数の分岐光のそれぞれがその光ファイバ群に属する光ファイバのコアのそれぞれに入射するように配置されたものであり、
バンドルファイバが、複数の分岐光を光ファイバ群ごとに導光するものであり、
光照射部が、光ファイバ群ごとに導光された複数の分岐光を、複数の分岐光ごとに互いに異なる照射領域に測定光として照射するものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る光音響撮像装置およびプローブユニットは、特に、光学系の上流側から入射したレーザ光を所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめる少なくとも1つの分岐回折光学素子を有する光分岐部と、レーザ光が入射する分岐回折光学素子上の複数の入射位置を切り替える切替部と、コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、このバンドルファイバの一方の端面から複数の光ファイバに入射した複数の分岐光を、バンドルファイバの他方の端面において接続された光照射部に導光するように配置されたバンドルファイバとを備え、光分岐部が、複数の入射位置のそれぞれに対応した互いに異なる複数の出射位置から複数の分岐光を出射せしめるものであり、複数の光ファイバが、複数の光ファイバの一部であり2以上の光ファイバを包含する複数の光ファイバ群から構成されるものであり、バンドルファイバの上記一方の端面における複数の光ファイバの一方の端面が、光ファイバ群ごとに、複数の出射位置のそれぞれに対向して配置され、対向する出射位置から出射する複数の分岐光の分岐パターンに対応して配列し、かつこの複数の分岐光のそれぞれがその光ファイバ群に属する光ファイバのコアのそれぞれに入射するように配置されたものであることを特徴とする。したがって、複数の光ファイバの一方の端面が光ファイバ群ごとに分岐パターンに対応して配列したバンドルファイバを用いることにより、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせを光ファイバ群ごとに一括して行うことができる。この結果、複数の光ファイバを用いてレーザ光を導光して実施する光音響イメージングにおいて、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の光音響撮像装置の一実施形態の構成を示す概略図である。
【図2】図1における画像生成部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の切替部、光分岐部およびバンドルファイバの第1の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図4】バンドルファイバの入射端面における複数の光ファイバの端面の配列の例を示す概略図である。
【図5】複数の分岐光の分岐パターンのスケールを調整可能とする光学系の構成の例を示す概略断面図である。
【図6】バンドルファイバの入射端面に設けられた反射マスクを示す概略図である。
【図7】第1の実施形態のプローブユニットの先端部の構成を示す概略図である。
【図8】図3において光分岐部が、さらに光分岐部とバンドルファイバとの位置関係を調整する位置調整部を備えたときの構成を示す概略断面図である。
【図9】図3において光分岐部が、さらにホモジナイザ光学素子を備えたときの構成を示す概略断面図である。
【図10】図3において光分岐部が、さらにホログラフィック拡散板を備えたときの構成を示す概略断面図である。
【図11】図3において光分岐部が、さらに可変ビームエキスパンダを備えたときの構成を示す概略断面図である。
【図12】切替部の他の構成を示す概略断面図である。
【図13】本発明の切替部、光分岐部およびバンドルファイバの第2の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図14】第2の実施形態のプローブユニットの先端部の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。なお、視認しやすくするため、図面中の各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
【0028】
「光音響撮像装置およびプローブユニットの第1の実施形態」
本発明の光音響撮像装置10の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態における光音響撮像装置10全体の構成を示す概略図である。図2は、図1の画像生成部2の構成を示すブロック図である。図3は、本発明の切替部16、光分岐部12およびバンドルファイバ14の第1の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【0029】
本実施形態による光音響撮像装置10は、特定波長成分を含む測定光Lを発生させこの測定光Lを被検体7に照射する光送信部1と、この測定光Lが被検体7に照射されることにより被検体7内で発生する光音響波Uを検出して任意断面の光音響画像データを生成する画像生成部2と、音響信号と電気信号の変換を行う電気音響変換部3と、この光音響画像データを表示する表示部6と、操作者が患者情報や装置の撮影条件を入力するための操作部5と、これら各ユニットを統括的に制御するシステム制御部4とを備えている。
【0030】
そして、本実施形態のプローブユニット70は、電気音響変換部3、切替部16、光分岐部12、バンドルファイバ14および光照射部15を備えている。
【0031】
光送信部1は、波長の異なる複数の光源を備える光源部11と、光源部11から出力されたレーザ光Loの出力方向を切り替える切替部16と、切替部16を経てある入射位置(Px、PyもしくはPz)に入射するレーザ光(Lx、LyもしくはLz)を複数の分岐光(Lxd、LydもしくはLzd)として分岐する光分岐部12と、複数の分岐光を光照射部15まで導光するバンドルファイバ14と、測定光Lを被検体7の体表面へ照射する光照射部15とを備えている。
【0032】
光源部11は、例えば所定の波長の光を発生する1以上の光源を有する。光源として、特定の波長成分又はその成分を含む単色光を発生する半導体レーザ(LD)、固体レーザ、ガスレーザ等の発光素子を用いることができる。光源部11は、レーザ光として1〜100nsecのパルス幅を有するパルス光を出力するものであることが好ましい。レーザ光の波長は、計測の対象となる被検体内の物質の光吸収特性によって適宜決定される。生体内のヘモグロビンは、その状態(酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、メトヘモグロビン、炭酸ガスヘモグロビン、等)により光学的な吸収特性が異なるが、一般的には600nmから1000nmの光を吸収する。したがって、例えば計測対象が生体内のヘモグロビンである場合(つまり、血管を撮像する場合)には、一般的には600〜1000nm程度とすることが好ましい。さらに、被検体7の深部まで届くという観点から、上記レーザ光の波長は700〜1000nmであることが好ましい。そして、上記レーザ光の出力は、レーザ光と光音響波の伝搬ロス、光音響変換の効率および現状の検出器の検出感度等の観点から、10μJ/cm〜数10mJ/cmであることが好ましい。さらに、パルス光出力の繰り返しは、画像構築速度の観点から、10Hz以上であることが好ましい。また、レーザ光は上記パルス光が複数並んだパルス列とすることもできる。
【0033】
より具体的には例えば、被検体7のヘモグロビン濃度を測定する場合には、固体レーザの一種であるNd:YAGレーザ(発光波長:約1000nm)や、ガスレーザの一種であるHe-Neガスレーザ(発光波長:633nm)を用い、10nsec程度のパルス幅を有したレーザ光を形成する。また、LD等の小型発光素子を用いる場合には、InGaAlP(発光波長:550〜650nm)、GaAlAs(発光波長:650〜900nm)、InGaAsもしくはInGaAsP(発光波長:900〜2300nm)などの材料を用いた素子を使用することができる。また最近では、波長が550nm以下で発光するInGaNを用いた発光素子も使用可能になりつつある。更には、波長可変可能な非線形光学結晶を用いたOPO(Optical Parametrical Oscillators)レーザを用いることもできる。
【0034】
切替部16は、光源部11から出力されたレーザ光Loの進行方向を制御して、光分岐部12の分岐回折光学素子40(分岐DOE)上のレーザ光Loが入射する入射位置を切り替えるものである。切替部16は、単位時間ごとに入射位置を切り替えるように構成してもよいし、任意のタイミングで入射位置を切り替えるように構成してもよい。本実施形態では、切替部16は、ミラー80と集光レンズ81から構成される。ミラー80が回転することにより、ミラー80に入射したレーザ光Loはこの回転に伴い互いに異なる方向へ反射する。本実施形態では図3に示されるように、t=t1のとき反射光Lxが生成され反射光Lxは分岐DOE40上の入射位置Pxに入射し、t=t2のとき反射光Lyが生成され反射光Lyは分岐DOE40上の入射位置Pyに入射し、t=t3のとき反射光Lzが生成され反射光Lzは分岐DOE40上の入射位置Pzに入射する。集光レンズ81は、これらの反射光がそれぞれ分岐DOE40に垂直に入射するようにするものである。
【0035】
光分岐部12は、分岐DOE40を用いて切替部16を経て入射するレーザ光を分岐せしめものである。
【0036】
本明細書において分岐DOEとは、光の回折現象を利用して互いに異なる進行方向を有する複数の分岐光を生じせしめる光学素子を意味する。分岐本数は特に限定されないが、効果的にレーザ光のパワーを分散させる観点から、16本以上に分岐せしめることが好ましい。本実施形態において、光分岐部12は、分岐DOE40、複数の集光レンズ系としての集光レンズアレイ44およびレンズ位置調整部44aから構成される。分岐DOE40のレーザ光の入射位置の対面には所定の加工が施されており、この加工の内容により所定の分岐パターンが規定される。分岐DOE40は、分岐パターンの標準パターンが入射位置により異なるように構成されてもよいが、光学系の調整が複雑にならないよう当該標準パターンはすべての入射位置において実施的に一致するように構成されることが好ましい。より好ましくは、分岐DOE40は、それぞれの入射位置における複数の分岐光の分岐パターンであって同一の仮想平面上の分岐パターンそのものが一致するように構成されることが好ましい。これにより、入射端面が1つにまとめられたバンドルファイバを用いても複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせがより容易となる。分岐DOE40は、分岐DOE40に入射したレーザ光をそれぞれの入射位置で分岐せしめる。つまり本実施形態では図3に示されるように、t=t1のとき入射位置Pxに入射した反射光Lxは入射位置Pxにおいて複数の分岐光Lxdとして分岐し、t=t2のとき入射位置Pyに入射した反射光Lyは入射位置Pyにおいて複数の分岐光Lydとして分岐し、t=t3のとき入射位置Pzに入射した反射光Lzは入射位置Pzにおいて複数の分岐光Lzdとして分岐する。分岐するレーザ光の波長に依存して分岐パターンが変化するため、分岐DOE40は分岐するレーザ光の波長を考慮して適宜選択される。分岐パターンは特に限定されるものではないが、集光レンズ系での収差の低減の観点から、正方形構造または六方形構造であることが好ましく、六方形構造であることがより好ましい。
【0037】
集光レンズアレイ44は、上記入射位置に対応した複数の集光レンズ系44x、44yおよび44zから構成される。集光レンズ系とは、集光を目的として1つの光軸に沿って配置された1以上のレンズの集合を意味する。本実施形態では、要素44x、44yおよび44zのそれぞれが1つの集光レンズ系である。そして、集光レンズアレイ44は、複数の集光レンズ系44x、44yおよび44zを用いて、分岐DOE40により生成された複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdがバンドルファイバ14に入射しやすくするため、および複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdのそれぞれとバンドルファイバ14との位置合わせを容易にするため、複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdを平行化する。集光レンズアレイ44は、複数の集光レンズ系44x、44yおよび44zのそれぞれの焦点が分岐DOE40上における上記入射位置Px、PyおよびPzのそれぞれに対応するように配置されている。集光レンズ系の焦点が分岐DOEにおけるレーザ光の「入射位置に対応する」とは、集光レンズ系の焦点が、分岐DOEの所定の部分であってレーザ光が入射してから分岐光として出射するまでに当該光が通過しうる部分に含まれることを意味する。そして、特に出射面のビーム中心に集光レンズ系の焦点を合わせることが一般的である。また、光分岐部12は、集光レンズアレイ44を有する場合、集光レンズアレイ44の位置の微調整を可能にするため、集光レンズアレイ44をその光軸方向に移動せしめるレンズ位置調整部44aを有することが好ましい。レンズ位置調整部44aは、制御部44bによって制御される。複数の集光レンズ系44x、44yおよび44zのそれぞれは、1つの集光レンズから構成されるものであってもよいし、2以上の集光レンズから構成される結合系レンズとすることもできる。なお、集光レンズアレイ44に関して、複数の集光レンズ系44x、44yおよび44zのそれぞれの前側焦点を分岐DOE40の分岐光出射位置に、後側焦点面をバンドルファイバ14xの端面14eに合わせて配置することが好ましい。
【0038】
以上のような構成では、複数の集光レンズ系44x、44yおよび44zのそれぞれの出射面Qx、QyおよびQzが、入射位置Px、PyおよびPzのそれぞれに対応した互いに異なる光分岐部における出射位置となる。
【0039】
バンドルファイバ14は、光分岐部12によって分岐したレーザ光Lx、LyおよびLzを後述する光ファイバ群ごとに光照射部15に導光するものである。バンドルファイバ14は、コアFaおよびクラッドFbを有する複数の光ファイバFを包含している。光ファイバFは、特に限定されないが石英ファイバであることが好ましい。また、複数の光ファイバFは、当該複数の光ファイバFの一部であり2以上の光ファイバFを包含するいくつかの光ファイバ群に機能的に分けられる。ここで「機能的に分けられる」とは、発生源が同一の分岐光を導光するという機能に基づいて区別できることを意味する。例えば本実施形態では図3に示されるように、光ファイバF1〜F3は発生源が同一である複数の分岐光Lxdを導光するため光ファイバ群Fxに属し、光ファイバF4〜F6は発生源が同一である複数の分岐光Lydを導光するため光ファイバ群Fyに属し、光ファイバF7〜F9は発生源が同一である複数の分岐光Lzdを導光するため光ファイバ群Fzに属する。
【0040】
そして、バンドルファイバ14の入射端面14eにおける複数の光ファイバFの端面Feは、光ファイバ群Fx、Fy、およびFzごとに、複数の出射位置Qx、QyおよびQzのそれぞれに対向して配置されている。さらに当該複数の光ファイバFの端面Feは、光ファイバ群Fx、Fy、およびFzごとに、対向する出射位置Qx、QyおよびQzから出射する複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdの分岐パターンに対応して配列し、かつこの複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdのそれぞれがその光ファイバ群に属する光ファイバFのコアFaのそれぞれに入射するように配置されている。つまり、光ファイバ群Fxに属する複数の光ファイバF1〜3の端面Feは、対向する出射位置Qxから出射する複数の分岐光Lxdの分岐パターンに対応して配列し、かつこの複数の分岐光Lxdのそれぞれがその光ファイバ群Fxに属する光ファイバF1〜3のコアFaのそれぞれに入射するように配置されている。また、光ファイバ群Fyに属する複数の光ファイバF4〜6の端面Feは、対向する出射位置Qyから出射する複数の分岐光Lydの分岐パターンに対応して配列し、かつこの複数の分岐光Lydのそれぞれがその光ファイバ群Fyに属する光ファイバF4〜6のコアFaのそれぞれに入射するように配置されている。光ファイバ群Fzに属する複数の光ファイバF7〜9の端面Feについても同様である。
【0041】
バンドルファイバ14の入射端面14eにおける複数の光ファイバFの端面Feの配列パターンは、バンドルファイバ14中での配列のしやすさ、および集光レンズアレイ44での収差の低減の観点から、正方形構造または六方形構造であることが好ましく、六方形構造であることがより好ましい。そして、複数の光ファイバFの当該端面Feは少なくとも光ファイバ群ごとに最密充填構造で配列することが特に好ましい。これは以下に示す理由による。図4は、バンドルファイバ14の入射端面14eにおける複数の光ファイバFの端面Feの配列の例を示す概念図である。図4aは64本の光ファイバFの端面Feの配列が正方形構造を有する場合、および図4bは61本の光ファイバFの端面Feの配列が最密充填構造を有する場合を示す。このように、同程度の本数の光ファイバFが正方形構造で配列した場合と最密充填構造で配列した場合とを考える。このとき、配列パターンの中心から最も離れた光ファイバの端面までの距離(図4中のそれぞれW1およびW2)を互いに比較すると、最密充填構造の上記距離W2の方が、正方形構造の上記距離W1よりも短くなることが分かる。上記距離が長くなると、これに伴い複数の分岐光の拡がり角も大きくなるよう設定されるため、集光レンズ系の収差が増大する。この結果、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせの精度が低下する。したがって、バンドルファイバ14の入射端面14eにおける複数の光ファイバFの端面Feの配列は、最密充填構造であることが特に好ましい。バンドルファイバ14の入射端面14eにおける複数の光ファイバFの端面Feの配列は、光ファイバ群ごとに異なるようにしてもよい。
【0042】
また、上記観点とは別に、バンドルファイバ14中の複数の光ファイバFの配列精度を高めることが特に重要な場合には、V溝基板を用いてラインごとに分割して配列してもよい。精度良くV溝加工されたガラスや金属面を基準にして各ラインを配置することで、複数の光ファイバFの配列精度をより高めることができる。このような場合、複数の光ファイバFのライン配列に合わせて分岐DOE40が設計される。
【0043】
光ファイバ群ごとに、対向する出射位置から出射する複数の分岐光のそれぞれをその光ファイバ群に属する光ファイバFのコアFaのそれぞれに実際に入射せしめるときは、当該複数の分岐光の分岐パターンと当該光ファイバ群に属する複数の光ファイバFの端面Feの配列パターンとを実質的に一致させることが必要である。つまり、分岐パターンおよび配列パターンのそれぞれの標準パターンのみではなく、スケールも含めたこれらのパターンを実質的に一致させることが必要である。そこで、集光レンズ系を下記のような構成にすることにより、これらのパターンを実質的に一致させるための調整を行えるように光学系が設定されることが好ましい。
【0044】
図5は、複数の分岐光の分岐パターンのスケールを調整可能とする光学系の構成の例を示す概略断面図である。なお図5では、1つの集光レンズ系に着目した場合について説明するが、集光レンズアレイを利用した場合においても当然に適用することができる。分岐DOE90から生じる複数の分岐光Ldの焦点面上でのパターン間隔y(焦点を通り光軸に垂直な仮想平面上での隣接する輝点同士の間隔)は、分岐DOE90およびバンドルファイバ94の間にある集光レンズ系の焦点距離に比例する性質がある。例えば図5に示されるように、分岐DOE90およびバンドルファイバ94の間にある集光レンズ系が、集光レンズ91と集光レンズ92とから構成される結合系レンズである場合を考える。集光レンズ91の焦点距離がfであり、集光レンズ92の焦点距離がfであり、集光レンズ91および集光レンズ92の距離がdであるとすると、当該結合系レンズの合成焦点距離fは、f=f・f/(f+f−d)で与えられる。さらに、基準面Pから集光レンズ91の第2主面H”までの距離s”は、s”=f(f−d)/(f+f−d)で与えられる。なお、詳細には、距離dは集光レンズ91の第1主面Hから集光レンズ92の第2主面H”までの距離を意味し、基準面Pは分岐DOE90のレンズ側の表面、つまり複数の分岐光の出射面を意味する。また、当該結合系レンズの合成焦点距離fは基準面Pから当該結合系レンズの第1主面Hまでの距離を意味する。
【0045】
上記式より、距離dが変化すると、合成焦点距離fおよび距離s”も変化することがわかる。つまり、距離dをレンズ位置調整部91aおよび/または92aによって光軸方向に移動させて調整することにより、その結合系レンズの合成焦点距離fを調整することができる。この結果、複数の分岐光Ldの焦点面上でのパターン間隔y、つまり分岐パターンのスケールを調整することが可能となる。その他の結合系レンズについても、合成焦点距離を調整することにより分岐パターンのスケールを調整することができる。合成焦点距離は、結合系レンズを構成する要素によって異なるものであるが、合成焦点距離を求めることは既知の方法により当業者にとって容易である。なお、結合系レンズについても、結合系レンズの前側合成焦点を分岐DOE90の分岐光出射位置(基準面P)に、後側合成焦点をバンドルファイバ94の端面に合わせて配置することが好ましい。
【0046】
バンドルファイバ14において、バンドルファイバ14の入射端面14eは、図6に示されるように、この端面14eにおけるコアFaが露出するようにこの端面14e上に反射マスクMを有することが好ましい。バンドルファイバ14は通常、複数の光ファイバFの互いの間隙を接着剤で固定することにより製造される。しかしながら、接着剤は石英等の光ファイバの素材に比べレーザ光に対する耐久性が低い。そこで、上記のような反射マスクMによって、複数の分岐光がそれぞれ入射するコアFaの領域を除いた領域にレーザ光が照射されることを防止することができる。このような反射マスクMは、例えばコアFaの配列パターンに合わせて穴あけ加工された薄いガラス板上に誘電体多層膜を蒸着し、その後コアFaと上記穴とが対応して合わさるように当該ガラス板をバンドルファイバ14の上記一方の端面14eに張り付けることにより形成することが可能である。
【0047】
光照射部15は、複数の光ファイバFの複数の他方の端面Feから構成される。図7は、本実施形態のプローブユニットの先端部の構成を示す概略図である。光照射部15は、図7に示されるように、光ファイバ群Fx、FyおよびFzごとに導光された複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdを、当該複数の分岐光ごとに互いに異なる照射領域に測定光L1、L2およびL3として照射する。例えば本実施形態では、図7に示されるように、t=t1のとき複数の分岐光Lxdは、光ファイバ群Fxによって光照射部15である光ファイバの他方の端面Feまで導光され、当該端面Feから測定光L1として所定の照射領域に照射され、t=t2のとき複数の分岐光Lydは、光ファイバ群Fyによって光照射部15である光ファイバの他方の端面Feまで導光され、当該端面Feから測定光L2としてt=t1における照射領域とは異なる所定の照射領域に照射され、t=t3のとき複数の分岐光Lzdは、光ファイバ群Fzによって光照射部15である光ファイバの他方の端面Feまで導光され、当該端面Feから測定光L3としてt=t1およびt2における照射領域とは異なる所定の照射領域に照射される。光照射部15を構成する複数の光ファイバFの複数の出射端面Feは、例えば電気音響変換部3の周囲に沿って配列される。また、電気音響変換部3を構成する複数の変換素子54が透明材料である場合には、光照射部15は変換素子54の上方から変換素子全体を照射できるように配置してもよい。なお、複数の光ファイバFの複数の出射端面Feは、電気音響変換部3を構成する複数の変換素子54とともに、平面、凸面あるいは凹面を形成する。ここでは平面とする。
【0048】
光照射部15は、図7に示されるように、複数の光ファイバFの他方の端面Feが間隔を置いてライン状に配列されたものであるように構成することができる。このように構成することで、プローブユニット先端部71に複雑な構造の光学系を設ける必要がなく、均一なライン状光源を得ることができる。また、複数の光ファイバFのそれぞれから出射する分岐光の強度を勘案して上記間隔を調整することにより、より均一なライン状光源を得ることができる。例えば、分岐光の強度が強い場合には上記間隔を広く、弱い場合には狭くする等して調整することが好ましい。
【0049】
電気音響変換部3は、例えば1次元状或いは2次元状に配列された微小な複数の変換素子54から構成される。変換素子54は、例えば、圧電セラミクス、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)のような高分子フィルムから構成される圧電素子である。電気音響変換部3は、光照射部15からの光の照射により被検体内に発生する光音響波Uを受信する。この変換素子54は、受信時において光音響波Uを電気信号に変換する機能を有している。電気音響変換部3は、小型、軽量に構成されており、多チャンネルケーブルによって後述する受信部22に接続される。この電気音響変換部3は、セクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等の中から診断部位に応じて選択される。電気音響変換部3は、光音響波Uを効率よく伝達するために音響整合層を備えてもよい。一般に圧電素子材料と生体では音響インピーダンスが大きく異なるため、圧電素子材料と生体が直接接した場合は、界面での反射が大きくなり光音響波を効率よく伝達することができない。このため、圧電素子材料と生体の間に中間的な音響インピーダンスを有する物質で構成した音響整合層を挿入することにより、光音響波を効率よく伝達することができる。音響整合層を構成する材料の例としては、エポキシ樹脂や石英ガラスなどが挙げられる。
【0050】
光音響撮像装置10の画像生成部2は、電気音響変換部3を構成する複数の変換素子54を選択駆動するとともに、また電気音響変換部3からの電気信号に所定の遅延時間を与え、整相加算を行うことにより受信信号を生成する受信部22と、変換素子54の選択駆動や受信部22の遅延時間を制御する走査制御部24と、受信部22から得られる受信信号に対して各種の処理を行う信号処理部25とを備えている。
【0051】
受信部22は、図2に示すように、電子スイッチ53と、プリアンプ55と、受信遅延回路56と、加算器57とを備えている。
【0052】
電子スイッチ53は、光音響走査における光音響波の受信に際して、連続して隣接する所定数の変換素子54を選択する。例えば、電気音響変換部3がアレイ型の192個の変換素子CH1〜CH192から構成される場合、このようなアレイ型変換素子は、電子スイッチ53によってエリア0(CH1〜CH64までの変換素子の領域)、エリア1(CH65〜CH128までの変換素子の領域)およびエリア2(CH129〜CH192までの変換素子の領域)の3つの領域に分割されて取り扱われる。このようにN個の変換素子から構成されるアレイ型変換素子をn(n<N)個の隣接する振動子のまとまり(エリア)として取り扱い、このエリアごとにイメージング作業を実施した場合には、すべてのチャンネルの変換素子にプリアンプやA/D変換ボードを接続する必要がなくなり、プローブユニット70の構造を簡素化できコストの増大を防ぐことができる。また、それぞれのエリアを個別に光照射することができるように、複数の光ファイバを配置した場合には、1回あたりの光出力が大きくならずに済むので、大出力の高価な光源を用いる必要がないといった利点もある。そして、変換素子54によって得られるそれぞれの電気信号はプリアンプ55に供給される。
【0053】
プリアンプ55は、上記のように選択された変換素子54によって受信された微小な電気信号を増幅し、充分なS/Nを確保する。
【0054】
受信遅延回路56は、電子スイッチ53によって選択された変換素子54から得られる光音響波Uの電気信号に対して、所定の方向からの光音響波Uの位相を一致させて収束受信ビームを形成するための遅延時間を与える。
【0055】
加算器57は、受信遅延回路56により遅延された複数チャンネルの電気信号を加算することによって1つの受信信号にまとめる。この加算によって所定の深さからの音響信号は整相加算され、受信収束点が設定される。
【0056】
走査制御部24は、ビーム集束制御回路67と変換素子選択制御回路68とを備える。変換素子選択制御回路68は、電子スイッチ53によって選択される受信時の所定数の変換素子54の位置情報を電子スイッチ53に供給する。一方、ビーム集束制御回路67は、所定数個の変換素子54が形成する受信収束点を形成するための遅延時間情報を受信遅延回路56に供給する。
【0057】
信号処理部25は、フィルタ66と、信号処理器59と、A/D変換器60と、画像データメモリ62とを備えている。受信部22の加算器57から出力された電気信号は、信号処理部25のフィルタ66において不要なノイズを除去した後、信号処理器59にて受信信号の振幅を対数変換し、弱い信号を相対的に強調する。一般に、被検体7からの受信信号は、80dB以上の広いダイナミックレンジをもった振幅を有しており、これを23dB程度のダイナミックレンジをもつ通常のモニタに表示するためには弱い信号を強調する振幅圧縮が必要となる。なお、フィルタ66は、帯域通過特性を有し、受信信号における基本波を抽出するモードと高調波成分を抽出するモードを有している。また、信号処理器59は、対数変換された受信信号に対して包絡線検波を行う。そして、A/D変換器60は、この信号処理器59の出力信号をA/D変換し、1ライン分の光音響画像データを形成する。この1ライン分の光音響画像データは、画像データメモリ62に保存される。
【0058】
画像データメモリ62は、前述のように生成された光音響画像データを保存する記憶回路である。システム制御部4の制御のもとで、画像データメモリ62から断面のデータが読み出され、その読出しに際して空間的に補間されることにより、当該断面の光音響画像データが生成される。
【0059】
表示部6は、表示用画像メモリ63と、光音響画像データ変換器64と、モニタ65を備えている。表示用画像メモリ63は、モニタ65に表示する光音響画像データを一時的に保存するバッファメモリであり、画像データメモリ62からの1ライン分の光音響画像データは、この表示用画像メモリ63において1フレームに合成される。光音響画像データ変換器64は、表示用画像メモリ63から読み出された合成画像データに対してD/A変換とテレビフォーマット変換を行い、その出力はモニタ65において表示される。
【0060】
操作部5は、操作パネル上にキーボード、トラックボール、マウス等を備え、装置操作者が患者情報、装置の撮影条件、表示断面など必要な情報を入力するために用いられる。
【0061】
システム制御部4は、図示しないCPUと図示しない記憶回路を備え、操作部5からのコマンド信号に従って光送信部1、画像生成部2、表示部6などの各ユニットの制御やシステム全体の制御を統括して行う。特に、内部のCPUには、操作部5を介して送られる操作者の入力コマンド信号が保存される。
【0062】
次に、本発明の作用について説明する。
【0063】
本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は、図3に示されるように特に、光学系の上流側から入射したレーザ光Lx、LyおよびLzを所定の分岐パターンに従って複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdとして分岐せしめる少なくとも1つの分岐DOE40を有する光分岐部12と、レーザ光Lx、LyおよびLzが入射する分岐DOE40上の複数の入射位置Px、PyおよびPzを切り替える切替部16と、コアFa/クラッドFb構造を有する複数の光ファイバFを包含するバンドルファイバ14であって、このバンドルファイバ14の一方の端面14eから複数の光ファイバFに入射した複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdを、バンドルファイバ14の他方の端面14eにおいて接続された光照射部15に導光するように配置されたバンドルファイバ14とを備え、光分岐部12が、複数の入射位置Px、PyおよびPzのそれぞれに対応した互いに異なる複数の出射位置Qx、QyおよびQzから複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdを出射せしめるものであり、複数の光ファイバFが、複数の光ファイバFの一部であり2以上の光ファイバFを包含する複数の光ファイバ群Fx、FyおよびFzから構成されるものであり、バンドルファイバ14の上記一方の端面14eにおける複数の光ファイバFの一方の端面Feが、光ファイバ群Fx、FyおよびFzごとに、複数の出射位置Qx、QyおよびQzのそれぞれに対向して配置され、対向する出射位置Qx、QyおよびQzから出射する複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdの分岐パターンに対応して配列し、かつこの複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdのそれぞれがその光ファイバ群Fx、FyおよびFzに属する光ファイバFのコアFaのそれぞれに入射するように配置されたものであることを特徴とする。つまり本発明は、光ファイバ群Fx、FyおよびFzごとに、対向する出射位置から出射する複数の分岐光の分岐パターンと当該光ファイバ群に属する複数の光ファイバFの端面Feの配列パターンとを対応させることにより、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせを光ファイバ群Fx、FyおよびFzごとに、一括して行うことを可能にした。これにより、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとを別個に位置合わせする必要がなくなり、複数の分岐光のそれぞれと複数の光ファイバのそれぞれとの位置合わせが容易となる。
【0064】
その結果として、高エネルギーのパルスレーザ光が伝送可能となり、高画質の光音響画像を撮像することが可能となる。さらに、プローブユニットのコード部分の可撓性と耐久性とを容易に両立できる。
【0065】
さらに、上記のような本発明の構成によれば、レーザ光が入射する分岐回折光学素子上の入射位置を切り替え、互いに異なる位置で複数の分岐光を生じせしめ、当該複数の分岐光を光ファイバ群ごとに光照射部15に導光し、光ファイバ群Fx、FyおよびFzごとに導光された複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdを、当該複数の分岐光ごとに互いに異なる照射領域に測定光L1、L2およびL3として照射することが可能となる。これにより、測定光を走査することが可能となりエネルギーの小さなレーザ光を用いても広い視野の光音響画像を取得することが可能となる。また、切替部16が、レーザ光が特定の入射位置に留まるように設定された場合には、測定可能な領域のうち特定の領域にのみレーザ光の照射を行うことができるため、当該特定領域の光音響画像を高画質かつ高フレームレートで取得することができる。
【0066】
「光音響撮像装置およびプローブユニットの設計変更」
本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は、上記で説明した実施形態に限定されるものではない。
【0067】
例えば本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は図8に示されるように、バンドルファイバ14の上記一方の端面14eと光分岐部12との位置関係を調整する位置調整部14aおよび位置調整部14aを制御する制御部14bを備えるように構成することができる。或いは、分岐DOE40に位置調整部が備えられてもよい。この位置調整部14aは、プローブユニット70から出射した測定光Lを測定し、測定した光量が最大値となる位置関係に自動で調整するように構成することができる。これにより、複数の分岐光Lxdのそれぞれと複数の光ファイバ13のそれぞれとの位置合わせがより容易になる。
【0068】
また、例えば本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は図9に示されるように、光分岐部12が、分岐DOE40の光学系の上流側にホモジナイザ光学素子41を有するように構成することができる。このように配置されたホモジナイザ光学素子41により、複数の分岐光のビームの強度プロファイルが均一化される。したがって、局所的に高エネルギー密度の分岐光が光ファイバFへ入射して当該光ファイバFが損傷することを防止することができる。つまり、複数の分岐光の全体にわたって光ファイバFの損傷閾値エネルギー密度を超えないように複数の分岐光を導光することができる。
【0069】
また、例えば本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は図10に示されるように、光分岐部12が、分岐DOE40の光学系の下流側にホログラフィック拡散板42を有するように構成することができる。図10においては、ホログラフィック拡散板42を集光レンズアレイ44とバンドルファイバ14の入射端面14eとの間に設けた場合の構成が示されているが、ホログラフィック拡散板42は分岐DOE40と集光レンズアレイ44との間に設けた構成としてもよい。ただし、距離を変えて集光スポット径を制御する際の調整の容易さの観点から、ホログラフィック拡散板42は、集光レンズアレイ44とバンドルファイバ14の入射端面14eとの間に設けられることが好ましい。このように配置されたホログラフィック拡散板42により、複数の分岐光の集光スポット径が大きくなる方向に変化し、バンドルファイバ14の入射端面14eにおけるコアFaに入射する際の複数の分岐光のビーム径が最適化される。したがって、光ファイバFの損傷閾値エネルギー密度を超えないように複数の分岐光を導光することができる。
【0070】
また、例えば本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は図11に示されるように、光分岐部12が、分岐DOE40の光学系の上流側に入射位置Px、PyおよびPzのそれぞれに対応して可変ビームエキスパンダ43x、43yおよび43zを有するように構成することができる。このように配置された可変ビームエキスパンダ43x、43yおよび43zにより、光音響イメージングにおいて使用されるレーザ光Lx、LyおよびLzの波長毎にそのビーム径を適宜変えることができるため、複数の分岐光の集束径(バンドルファイバ14の入射端面14eにおけるコアFaに入射する際の径)を制御することができる。また、プローブユニット70から出射した測定光Lを測定し、測定した光量が最大値となるように、レーザ光の波長毎にそのビーム径を自動制御することも可能となる。
【0071】
また、例えば本発明の光音響撮像装置10およびプローブユニット70は図12に示されるように、切替部16は、ミラー80を並進移動させて入射位置を切り替えるように構成してもよい。
【0072】
「光音響撮像装置およびプローブユニットの第2の実施形態」
本発明の光音響撮像装置10の第2の実施形態について説明する。本実施形態の光音響撮像装置10は、分岐DOEおよび集光レンズがレーザ光の入射位置ごとに分かれている点、並びにバンドルファイバの入射端面側の部分が分岐DOEおよび集光レンズに対応して分岐している点において、第1の実施形態の光音響撮像装置10と異なる。したがって、第1の実施形態と同様の構成要素についての詳細な説明は、特に必要がない限り省略する。図13は、本発明の切替部16、光分岐部12およびバンドルファイバ14の第2の実施形態の構成を示す概略断面図である。図14は、第2の実施形態のプローブユニットの先端部の構成を示す概略図である。
【0073】
本実施形態による光音響撮像装置10は、特定波長成分を含む測定光Lを発生させこの測定光Lを被検体7に照射する光送信部1と、この測定光Lが被検体7に照射されることにより被検体7内で発生する光音響波Uを検出して任意断面の光音響画像データを生成する画像生成部2と、音響信号と電気信号の変換を行う電気音響変換部3と、この光音響画像データ表示する表示部6と、操作者が患者情報や装置の撮影条件を入力するための操作部5と、これら各ユニットを統括的に制御するシステム制御部4とを備えている。
【0074】
そして、本実施形態のプローブユニット70は、電気音響変換部3、切替部16、光分岐部12、バンドルファイバ14および光照射部15を備えている。
【0075】
光分岐部12は、3つの分岐DOE40x、40yおよび40zと、それぞれ独立した3つの集光レンズ系44x、44yおよび44zとから構成される。入射位置Px、PyおよびPzは、3つの分岐DOE40x、40yおよび40z上の表面に設定される。3つの分岐DOE40x、40yおよび40zのそれぞれに規定される分岐パターンは、異なっていてもよいが同一であることが好ましい。集光レンズ系44xは、分岐DOE40xにより生成された複数の分岐光Lxdのそれぞれを、バンドルファイバ14に包含される光ファイバ群Fxに属する複数の光ファイバのコアのそれぞれに導光するものである。また、集光レンズ系44yは、分岐DOE40yにより生成された複数の分岐光Lydのそれぞれを、バンドルファイバ14に包含される光ファイバ群Fyに属する複数の光ファイバのコアのそれぞれに導光するものである。集光レンズ系44zについても同様である。
【0076】
バンドルファイバ14は、その入射端面側の部分が分岐DOE40x、40yおよび40z、並びに複数の集光レンズ系44x、44yおよび44zに対応して分岐している。分岐した部分の一部14xに包含される複数の光ファイバによって光ファイバ群Fxが構成され、分岐した部分の一部14yに包含される複数の光ファイバによって光ファイバ群Fyが構成され、分岐した部分の一部14zに包含される複数の光ファイバによって光ファイバ群Fzが構成される。バンドルファイバ14の入射端面14eにおける複数の光ファイバFの端面Feは、光ファイバ群Fx、Fy、およびFzごとに、複数の出射位置Qx、QyおよびQzのそれぞれに対向して配置されている。
【0077】
つまり本実施形態においても図13および図14に示されるように、t=t1のとき入射位置Pxに入射した反射光Lxは入射位置Pxにおいて複数の分岐光Lxdとして分岐する。そして、複数の分岐光Lxdは、光ファイバ群Fxによって光照射部15である光ファイバFの他方の端面Feまで導光され、当該端面Feから測定光L1として所定の照射領域に照射される。また、t=t2のとき入射位置Pyに入射した反射光Lyは入射位置Pyにおいて複数の分岐光Lydとして分岐する。そして、複数の分岐光Lydは、光ファイバ群Fyによって光照射部15である光ファイバFの他方の端面Feまで導光され、当該端面Feから測定光L2としてt=t1における照射領域とは異なる所定の照射領域に照射される。また、t=t3のとき入射位置Pzに入射した反射光Lzは入射位置Pzにおいて複数の分岐光Lzdとして分岐する。そして、複数の分岐光Lzdは、光ファイバ群Fzによって光照射部15である光ファイバFの他方の端面Feまで導光され、当該端面Feから測定光L3としてt=t1およびt2における照射領域とは異なる所定の照射領域に照射される。
【0078】
以上のように本実施形態の光音響撮像装置10およびプローブユニット70も、図13に示されるように特に、光学系の上流側から入射したレーザ光Lx、LyおよびLzを所定の分岐パターンに従って複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdとして分岐せしめる少なくとも1つの分岐DOE40x、40yおよび40zを有する光分岐部12と、レーザ光Lx、LyおよびLzが入射する分岐DOE40x、40yおよび40z上の複数の入射位置Px、PyおよびPzを切り替える切替部16と、コアFa/クラッドFb構造を有する複数の光ファイバFを包含するバンドルファイバ14であって、このバンドルファイバ14の一方の端面14eから複数の光ファイバFに入射した複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdを、バンドルファイバ14の他方の端面14eにおいて接続された光照射部15に導光するように配置されたバンドルファイバ14とを備え、光分岐部12が、複数の入射位置Px、PyおよびPzのそれぞれに対応した互いに異なる複数の出射位置Qx、QyおよびQzから複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdを出射せしめるものであり、複数の光ファイバFが、複数の光ファイバFの一部であり2以上の光ファイバFを包含する複数の光ファイバ群Fx、FyおよびFzから構成されるものであり、バンドルファイバ14の上記一方の端面14eにおける複数の光ファイバFの一方の端面Feが、光ファイバ群Fx、FyおよびFzごとに、複数の出射位置Qx、QyおよびQzのそれぞれに対向して配置され、対向する出射位置Qx、QyおよびQzから出射する複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdの分岐パターンに対応して配列し、かつこの複数の分岐光Lxd、LydおよびLzdのそれぞれがその光ファイバ群Fx、FyおよびFzに属する光ファイバFのコアFaのそれぞれに入射するように配置されたものであることを特徴とする。したがって、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0079】
1 光送信部
2 画像生成部
3 電気音響変換部
4 システム制御部
5 操作部
6 表示部
7 被検体
10 光音響撮像装置
11 光源部
12 光分岐部
14 バンドルファイバ
14a バンドルファイバの位置調整部
15 光照射部
16 切替部
22 受信部
24 走査制御部
25 信号処理部
40、40x、40y、40z 分岐回折光学素子(分岐DOE)
41 ホモジナイザ光学素子
42 ホログラフィック拡散板
43 可変ビームエキスパンダ
44 集光レンズアレイ
44x、44y、44z 集光レンズ系
44a レンズ位置調整部
70 プローブユニット
71 プローブユニット先端部
F 光ファイバ
Fa 光ファイバのコア
Fb 光ファイバのクラッド
Fx、Fy、Fz 光ファイバ群
L、L1、L2、L3 測定光
Lxd、Lyd、Lzd 分岐光
M 反射マスク
U 光音響波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に測定光を照射する光照射部と、前記測定光の照射により前記被検体内で発生した光音響波を検出して該光音響波を電気信号に変換する電気音響変換部と、前記電気信号に基づいて光音響画像を生成する画像生成部とを備える光音響撮像装置において、
光学系の上流側から入射したレーザ光を所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめる少なくとも1つの分岐回折光学素子を有する光分岐部と、
レーザ光が入射する前記分岐回折光学素子上の複数の入射位置を切り替える切替部と、
コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、該バンドルファイバの一方の端面から前記複数の光ファイバに入射した前記複数の分岐光を、前記バンドルファイバの他方の端面において接続された前記光照射部に導光するように配置された前記バンドルファイバとを備え、
前記光分岐部が、前記複数の入射位置のそれぞれに対応した互いに異なる複数の出射位置から前記複数の分岐光を出射せしめるものであり、
前記複数の光ファイバが、前記複数の光ファイバの一部であり2以上の前記光ファイバを包含する複数の光ファイバ群から構成されるものであり、
前記バンドルファイバの前記一方の端面における前記複数の光ファイバの一方の端面が、前記光ファイバ群ごとに、前記複数の出射位置のそれぞれに対向して配置され、対向する前記出射位置から出射する前記複数の分岐光の分岐パターンに対応して配列し、かつ該複数の分岐光のそれぞれが該光ファイバ群に属する前記光ファイバのコアのそれぞれに入射するように配置されたものであり、
前記バンドルファイバが、前記複数の分岐光を前記光ファイバ群ごとに導光するものであり、
前記光照射部が、前記光ファイバ群ごとに導光された前記複数の分岐光を、該複数の分岐光ごとに互いに異なる照射領域に前記測定光として照射するものであることを特徴とする光音響撮像装置。
【請求項2】
前記バンドルファイバの前記一方の端面と前記光分岐部との位置関係を調整する位置調整部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光音響撮像装置。
【請求項3】
前記光分岐部が前記分岐回折光学素子の光学系の下流側に複数の集光レンズ系を有し、
該複数の集光レンズ系が、それぞれの焦点が前記複数の入射位置のそれぞれに対応するように配置されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の光音響撮像装置。
【請求項4】
前記光分岐部が、集光レンズの光軸方向における前記複数の集光レンズ系のそれぞれの位置を調整するレンズ位置調整部を有することを特徴とする請求項3に記載の光音響撮像装置。
【請求項5】
前記光分岐部が、前記分岐回折光学素子の光学系の上流側にホモジナイザを有することを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の光音響撮像装置。
【請求項6】
前記光分岐部が、前記分岐回折光学素子の光学系の下流側にホログラフィック拡散板を有することを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の光音響撮像装置。
【請求項7】
前記光分岐部が、前記分岐回折光学素子の光学系の上流側に可変ビームエキスパンダを有することを特徴とする請求項1から6いずれかに記載の光音響撮像装置。
【請求項8】
前記分岐パターンが六方形構造を有し、
前記複数の光ファイバの前記一方の端面が前記光ファイバ群ごとに最密充填構造で配列したものであることを特徴とする請求項1から7に記載の光音響撮像装置。
【請求項9】
前記バンドルファイバの前記一方の端面が、該端面における前記コアが露出するように該端面上に反射マスクを有することを特徴とする請求項1から8いずれかに記載の光音響撮像装置。
【請求項10】
前記分岐回折光学素子が1つであることを特徴とする請求項1から9いずれかに記載の光音響撮像装置。
【請求項11】
前記光照射部が前記複数の光ファイバの前記他方の端面であり、
該他方の端面が間隔を置いてライン状に配列されたものであることを特徴とする請求項1から10いずれかに記載の光音響撮像装置。
【請求項12】
被検体内に測定光を照射し、該測定光の照射により前記被検体内で発生した光音響波を検出して該光音響波を電気信号に変換し、該電気信号に基づいて光音響画像を生成する光音響撮像装置に用いられるプローブユニットにおいて、
被検体内に測定光を照射する光照射部と、
前記測定光の照射により前記被検体内で発生した光音響波を検出して該光音響波を電気信号に変換する電気音響変換部と、
光学系の上流側から入射したレーザ光を所定の分岐パターンに従って複数の分岐光として分岐せしめる少なくとも1つの分岐回折光学素子を有する光分岐部と、
レーザ光が入射する前記分岐回折光学素子上の複数の入射位置を切り替える切替部と、
コア/クラッド構造を有する複数の光ファイバを包含するバンドルファイバであって、該バンドルファイバの一方の端面から前記複数の光ファイバに入射した前記複数の分岐光を、前記バンドルファイバの他方の端面において接続された前記光照射部に導光するように配置された前記バンドルファイバとを備え、
前記光分岐部が、前記複数の入射位置のそれぞれに対応した互いに異なる複数の出射位置から前記複数の分岐光を出射せしめるものであり、
前記複数の光ファイバが、前記複数の光ファイバの一部であり2以上の前記光ファイバを包含する複数の光ファイバ群から構成されるものであり、
前記バンドルファイバの前記一方の端面における前記複数の光ファイバの一方の端面が、前記光ファイバ群ごとに、前記複数の出射位置のそれぞれに対向して配置され、対向する前記出射位置から出射する前記複数の分岐光の分岐パターンに対応して配列し、かつ該複数の分岐光のそれぞれが該光ファイバ群に属する前記光ファイバのコアのそれぞれに入射するように配置されたものであり、
前記バンドルファイバが、前記複数の分岐光を前記光ファイバ群ごとに導光するものであり、
前記光照射部が、前記光ファイバ群ごとに導光された前記複数の分岐光を、該複数の分岐光ごとに互いに異なる照射領域に前記測定光として照射するものであることを特徴とするプローブユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−168094(P2012−168094A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30744(P2011−30744)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】