免疫化学的に同等なHIV薬類似体
親化合物と免疫化学的に同等なHIVプロテアーゼインヒビター類似体および非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター類似体を提供する。これらの類似体化合物は、サンプル中のHIVプロテアーゼインヒビターおよび非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを測定するためのアッセイにおける校正用物質および陽性対照として有用である。該類似体を使用する検量線の作成方法、および該類似体を含む試験キットも提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2006年10月30日付け出願の米国仮出願第60/863,442号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、治療薬のモニタリングの分野、特に、生物学的サンプル中のHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの存在または量を決定するためのイムノアッセイ方法に関する。より詳しくは、本開示は、サンプル中に存在する親薬物の量を測定するためのイムノアッセイにおける陽性対照として又は校正用物質として有用であるHIVプロテアーゼインヒビターおよび非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの類似体を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
後天性免疫不全症候群(エイズ)を有する患者の臨床ケアは、HIVプロテアーゼインヒビターおよびHIV逆転写酵素インヒビターの導入により相当に改善されている。
【0004】
現在、アンプレナビル(amprenavir)、フォスアンプレナビル(fosamprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)を含む多数のHIVプロテアーゼインヒビターがエイズ患者の治療のために米国食品医薬品局(FDA)により承認されている。HIVプロテアーゼインヒビターおよびHIV逆転写酵素インヒビターを含む併用療法が、HIV感染に対する現在推奨されている療法の基軸となっている。HIV逆転写酵素インヒビターは、それらがヌクレオシドまたは非ヌクレオシド類似体であるか否かに応じて、2つの一般クラスに分類される。ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI)は、それらの活性ヌクレオチド形態へと細胞内で変換されるプロドラッグである。一方、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)は、患者に投与される活性薬物形態である。現在、デラビルジン(delavirdine)、エファビレンツ(efavirenz)およびネビラピン(nevirapine)の3つのNNRTIがエイズ患者の治療のために米国食品医薬品局により承認されている。すべてのエイズ患者が併用療法計画に対して同じ最適応答を示すわけではなく、個々の患者の間で薬物応答における大きなばらつきが存在する。臨床情報を蓄積することにより、プロテアーゼインヒビターまたはNNRTIに対する全身曝露とそれらの抗ウイルス効果との間の関係が裏付けられている。併用療法計画を患者に施す場合、潜在的な薬物動態学的薬物-薬物相互作用が治療を改善し又はその効果を弱めうる。適度な薬物レベルの維持に直接関連する患者のコンプライアンスも治療の結果に影響を及ぼしうる。
【0005】
したがって、薬物曝露が、エイズ患者における抗ウイルス活性を維持するのに十分なものであることを保証するために、患者におけるHIVプロテアーゼインヒビターおよびNNRTIの濃度を測定することが望ましい。そのような定量的測定方法は、親薬物を含む校正用物質または参照用標準物質を使用して注意深く校正され、品質管理される必要がある。これは、測定方法がイムノアッセイである場合に特に言えることである。しかし、そのような標準物質は、しばしば、商業的に入手可能でないか、または常套的測定に適さないことが問題である。HIV薬を検出し測定するためのイムノアッセイ法の場合において、驚くべきことに、対応親薬物と免疫化学的に同等であり校正用物質および陽性対照として該親薬物の代わりに使用されうるHIVプロテアーゼおよびNNRTIの類似体が製造されうることが見出された。
【発明の概要】
【0006】
発明の要旨
本明細書に開示されているとおり、親HIVプロテアーゼインヒビターおよびNNRTI化合物のそれぞれに対して産生された抗体に対して親薬物と免疫化学的に同等な結合アフィニティーを示す、HIVプロテアーゼインヒビターおよびNNRTIの類似体を提供する。したがって、アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)またはサキナビル(saquinavir)のプロテアーゼインヒビター類似体を提供し、ここで、該親薬物の中央のヒドロキシル基は、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2COOR3および-OCH2CONHR3から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである。したがって、C1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化されている、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの類似体も提供する。そのようなHIVプロテアーゼインヒビターおよびNNRTI類似体は、それぞれ親プロテアーゼインヒビターおよびNNRTI化合物と免疫化学的に同等である。
【0007】
より詳しくは、1つの実施形態においては、アタザナビル(atazanavir)(ATV)の免疫化学的に同等な類似体を提供し、ここで、該類似体は、構造:
【化1】
[式中、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する。
【0008】
もう1つの特定の実施形態においては、ロピナビル(lopinavir)(LPV)の免疫化学的に同等な類似体を提供し、ここで、該類似体は、構造:
【化2】
[式中、R1は、Hおよび-CONHR3からなる群から選ばれ、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する。
【0009】
もう1つの特定の実施形態においては、エファビレンツ(efavirenz)(EFV)の免疫化学的に同等な類似体を提供し、ここで、該類似体は、構造:
【化3】
[式中、RはC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHである]
を有する。
【0010】
免疫化学に基づく実験において使用するための陽性対照としての、又はイムノアッセイにおいて使用するためのHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターについての検量線(校正曲線)を確立または作成するための、本明細書に開示されている免疫化学的に同等な類似体の使用方法も提供する。1つの特定の実施形態においては、本明細書に開示されているプロテアーゼインヒビター類似体を使用して、アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれるプロテアーゼインヒビターについての検量線を作成する。そのような検量線の作成方法は、該プロテアーゼインヒビターの免疫化学的に同等な類似体であって、ここで該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基が、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2CONHR3および-OCH2COOR3から選ばれる基で置換されており、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、R5はHまたはC1-C6アルキルである類似体を含む、一連のサンプルを調製することを含む。ついで各サンプルを一定量の抗体、および該HIV薬の標識コンジュゲートと、接触させる。限られた数の抗体結合部位に関して、該標識コンジュゲートと該HIV薬物類似体との間で競合が生じる。一定の反応時間の後、該抗体に結合した標識コンジュゲートの量を検出する。(あるいは、遊離状態、すなわち未結合状態のままの標識コンジュゲートの量を検出できることも当業者は認識するであろう。)ついで、該標識コンジュゲートからのシグナルと、存在する薬物類似体の量との間で反比例関係を示す検量線を構築する。そのような検量線は、親薬物から得られる曲線と実質的に同等である。
【0011】
もう1つの特定の実施形態においては、HIV非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターであるエファビレンツ(efavirenz)の検量線を確立する方法を提供する。該方法は、C1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化されている、所定範囲の濃度の、該非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの免疫化学的に同等な類似体を含む、一連のサンプルまたは1組の校正用物質を調製する工程を含む。ついで各サンプルを一定量の抗体、およびNNRTIとシグナル生成部分または標識とを含むコンジュゲートと、接触させる。限られた数の抗体結合部位に関して、該標識コンジュゲートと該NNRTI薬物類似体との間で競合が生じる。一定の反応時間の後、該抗体に結合した標識コンジュゲートを検出し、測定する。ついで、該標識コンジュゲートからのシグナルと、存在する薬物類似体の量との間で反比例関係を示す検量線を構築する。そのような検量線は、親薬物から得られる曲線と実質的に同等である。
【0012】
さらに、サンプル中に存在するHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの量を決定または測定するための試験キットを提供する。1つの実施形態に従う該キットは、HIVプロテアーゼインヒビターに特異的に結合する抗体、および該プロテアーゼインヒビターの免疫化学的に同等な類似体であって該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基は、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2CONHR3および-OCH2COOR3から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである類似体、を含む。
【0013】
より詳しくは、1つの実施形態においては、サンプル中のロピナビル(lopinavir)を測定するためのキットを提供し、ここで、該キットは、ロピナビルに特異的に結合する抗体、および構造:
【化4】
[式中、R1は、Hおよび-CONHR3からなる群から選ばれ、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]を有する免疫化学的に同等なロピナビル類似体、
を含む。
【0014】
もう1つの特定の実施形態においては、生物学的サンプル中のアタザナビル(atazanavir)を測定するための試験キットを提供し、ここで、該キットは、アタザナビルに特異的に結合する抗体、および構造:
【化5】
[式中、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する免疫化学的に同等なアタザナビル類似体、
を含む。
【0015】
もう1つの特定の実施形態における該キットは、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターに特異的に結合する抗体、および該非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの免疫化学的に同等な類似体を含み、ここで、該類似体はC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化されている。特定の実施形態においては、エファビレンツ(efavirenz)に特異的に結合する抗体、および構造:
【化6】
[式中、RはC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHである]
を有するエファビレンツ類似体、を含む、サンプル中のエファビレンツの量を測定するためのキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本明細書に記載されている種々のHIVプロテアーゼインヒビター化合物の構造を示す。矢印は各構造中の該当する中央のヒドロキシル基を示す。
【図2】図2は、ロピナビル-Oc-メチルエーテル(2)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図3】図3は、ロピナビル-Oc-(メトキシカルボニルメチル)エーテル(3)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図4】図4は、ロピナビル-Oc-(N-tert-ブチルカルバモイルメチル)エーテル(6)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図5】図5は、ロピナビル-Oc-カルバマート(8)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図6】図6は、N-カルバモイル-ロピナビル-Oc-カルバマート(10)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図7】図7は、N-カルバモイル-ロピナビル(13)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図8】図8は、N-アルキル化エファビレンツ類似体14、15、16、16a、17および17aの合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図9】図9は、N-(ヒドロキシプロピル)エファビレンツ(19)およびN-(ヒドロキシエチル)エファビレンツ(19a)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図10】図10は、アタザナビル-Oc-エチルカルバマート(21)、アタザナビル-Oc-イソプロピルカルバマート(22)、アタザナビル-Oc-tert-ブチルカルバマート(23)、アタザナビル-Oc-カルバマート(25)およびアタザナビル-Oc-(3-ピリジル)カルバマート(41)の合成のための合成スキームの概要図である。
【図11】図11は、アタザナビル-Oc-メチルエーテル(26)およびアタザナビル-Oc-(ヒドロキシエチル)エーテル(28)の合成のための合成スキームの概要図である。
【図12】図12aは、ロピナビルおよびN-カルバモイル-ロピナビル(13)を校正用物質として使用して得たロピナビル抗体LPV 1.1.85についての検量線を示す。図12bは、ロピナビルおよびN-カルバモイル-ロピナビル(13)を校正用物質として使用して得たロピナビル抗体LPV 1.7.90についての検量線を示す。
【図13】図13は、アタザナビル-Oc-カルボニル-アミノブチロイル-アミノメチル安息香酸NHSエステル(33)の合成のための合成スキームの概要図である。
【図14】図14は、3-(2-ヨード-アセトアミド)-プロピオン酸エチルエステル(34)の合成のための合成スキームの概要図である。
【図15】図15は、4-[3-(ロピナビル-Oc)-アセトアミド)プロピオンアミド]メチル安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(40)の合成のための合成スキームの概要図である。
【図16】図16は、アタザナビルおよびアタザナビル-Oc-カルバマートを校正用物質として使用するアタザナビル微粒子イムノアッセイについての検量線を示す。
【図17】図17は、アタザナビルでスパイクされアタザナビル-Oc-カルバマート検量線に対してアッセイされた血清サンプルを使用するアタザナビル微粒子イムノアッセイのスパイク回収試験を示す。
【図18】図18は、ロピナビルでスパイクされN-カルバモイル-ロピナビル検量線に対してアッセイされた血清サンプルを使用するロピナビル微粒子イムノアッセイのスパイク回収試験を示す。
【図19】図19は、エファビレンツアミノデキストラン・コンジュゲート(45)の合成のための合成スキームの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書中で用いる「特異的に結合」なる語は、例えばリガンド/標的ペア、酵素/基質ペア、受容体/アゴニストペア、抗体/抗原ペアおよびレクチン/糖鎖ペアを含む、ペアになった2種間の、高いアビディティおよび/または高いアフィニティでの結合を意味する。該結合相互作用は、共有性もしくは非共有性相互作用、または共有性相互作用と非共有性相互作用の組合せにより媒介されうる。
【0018】
本明細書中で用いる「抗体」なる語は、少なくとも1つの結合ドメインから構成されるポリペプチドを意味する。抗原の抗原決定基の特徴に相補的な内部表面形状および電荷分布を有する三次元結合空間を形成し、該抗原との免疫反応を可能にする、抗体分子の可変ドメインのフォールディングから、抗体結合ドメインが形成される。特に示さない限り、抗体に対する一般的言及はポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を包含する。「抗体」なる語は、結合ドメインを含む組換えタンパク質、ならびに抗体のフラグメント、例えばFab、Fab'、F(ab)2およびF(ab')2をも含む。
【0019】
本明細書中で用いる「免疫化学的に同等」なる語は、同様のアフィニティで単一の抗体に結合する2以上の関連化合物に関して言及するものであり、ここで、該抗体は、免疫化学的に同等な化合物群のメンバーの1つに対して産生されたものであって、該メンバーに特異的に結合するものである。より詳しくは、免疫化学的に同等な化合物は、抗体の産生相手である化合物を使用して得られる場合の約70%〜約130%の範囲内で、イムノアッセイにおいて該抗体と交差反応する。
【0020】
「C1-Cnアルキル」なる語は、1個〜特定個数の炭素原子を有する分枝状または直鎖状アルキル基を表す。典型的なC1-C6アルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書中で用いる「アリール」なる語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなど(これらに限定されるものではない)を含む、1個または2個の芳香環を有する単環式または二環式炭素環系を意味する。アリール基(二環式アリール基を含む)は置換されていなくてもよいし、または、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、ハロおよびニトロから独立して選ばれる1個、2個または3個の置換基で置換されていてもよい。また、置換されたアリール基には、テトラフルオロフェニルおよびペンタフルオロフェニルが含まれる。
【0022】
本明細書中で用いる「ヘテロアリール」なる語は、1個または2個の芳香環を含有し少なくとも1つの窒素、酸素または硫黄原子を芳香環内に含有する単環式または二環式環系を意味する。ヘテロアリール基(二環式ヘテロアリール基を含む)は置換されていなくてもよいし、または、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、ハロおよびニトロから独立して選ばれる1個、2個または3個の置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基の具体例には、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラゾール、トリアゾール、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、チアジアゾール、オキサゾール、ピロール、イミダゾールおよびイソオキサゾールが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本明細書中で用いる「ヘテロアルキル」なる語は、アルキル鎖の骨格内に1以上の窒素、酸素または硫黄原子を含有するアルキル鎖を意味する。
【0024】
「好ましくは」、「一般に」および「典型的には」のような語は、本明細書においては、特許請求されている本発明の範囲を限定するために、あるいは、ある特徴が、特許請求されている本発明の構造または機能にとって決定的に重要、必須または更には重要であることを示唆するために用いられているものでもないことに留意されたい。むしろ、これらの語は単に、本発明の特定の実施形態において用いられても用いられなくてもよい代替的または追加的特徴を強調することを意図したものである。
【0025】
本発明を記載し定義する目的において、「実質的」なる語は、本明細書においては、いずれかの定量的な比較、値、測定または他の表示に起因すると考えられうる本来的な不確実度を表すために用いられていることに留意されたい。「実質的」なる語は、本明細書においては、定量的な表示が、問題の対象物の基本的機能の変化をもたらすことなく、示されている基準から変動しうる度合を表すためにも用いられる。
【0026】
より詳しくは、「実質的に同等」なる語は、1組の校正用物質において個々のサンプルに関して得た結果、または個々の校正用物質に関して測定した吸光度、またはそのような結果もしくは吸光度の測定から作成した曲線が、該アッセイの精度の限度内であることを意味する。特に、類似体校正用物質を使用して得たスパイクおよび回収曲線の傾きが理想値の10%以内であれば、類似体化合物を使用して製造した校正用物質または標準物質は、親薬物を使用して製造した校正用物質または標準物質と実質的に同等であるとみなされる。すなわち、親薬物を使用して作成した曲線の傾きが1.0である場合、類似体校正用物質を使用して作成したスパイクおよび回収曲線の傾きは0.9〜1.1であるべきである。
【0027】
本明細書中で用いる、HIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの「類似体」は、該HIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターに特異的に結合する抗体の結合アフィニティに関して該HIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターと実質的に同じ様態で挙動する、該HIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターに由来する化学的化合物を意味する。
【0028】
「誘導体」なる語は、1以上の化学的反応により「親」化合物または分子から製造された化学的化合物または分子を意味する。本発明においては、親化合物はHIVプロテアーゼインヒビターおよび非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターであり、類似体は、それぞれ、該HIVプロテアーゼインヒビターおよび非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの誘導体である。
【0029】
本明細書中で用いる「シグナル生成部分」は、担体物質または分子に結合している場合にHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターのようなアナライトを検出するために使用されうる同定用タグまたは標識である。標識は、その担体物質に、直接的に、または連結もしくは架橋部分により間接的に結合されうる。シグナル生成部分の具体例には、酵素、例えばβ-ガラクトシダーゼおよびペルオキシダーゼ、蛍光化合物、例えばローダミンおよびフルオレセインイソチオシアナート(FITC)、発光化合物、例えばジオキセタンおよびルシフェリン、放射性同位体、例えば125I、および微粒子が含まれる。
【0030】
関心のあるHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを含有することが合理的に疑われる任意のサンプルが本発明の方法により分析されうる。該サンプルは、典型的には、水溶液、例えば宿主からの体液、例えば尿、全血、血漿、血清、唾液、精液、糞便、喀痰、脳脊髄液、涙、粘液などであるが、好ましくは、血漿または血清である。所望により、該サンプルは前処理されてもよく、アッセイを妨げない任意の簡便な媒体中で調製されうる。水性媒体が好ましい。
【0031】
「校正用物質」は、測定すべきHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの既知量を含有する任意の標準または参照(基準)物質を意味する。関心のあるHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを含有する疑いのあるサンプルおよび一般には1組の校正用物質を同様の条件下でアッセイする。ついで、未知サンプルに関して得られた結果を、校正用物質または1組の校正用物質に関して得られた結果と比較することにより、サンプル中のHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの濃度を決定する。これは一般に、例えば図12aおよび12bのような検量線を作成することにより行われる。
【0032】
「陽性対照」は、関心のあるHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの既知量を含有するサンプルである。関心のあるHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを含有する疑いのあるサンプルを同様の条件下でアッセイし、未知サンプルに関して得られたアッセイ結果の精度を、陽性対照において得られた回収率により決定する。
【0033】
種々のHIVプロテアーゼインヒビターに関して本明細書中で用いられている略語は、当分野において用いられる標準に現在なりつつある略語であり、例えば、ATVはアタザナビル(atazanavir)を表し、LPVはロピナビル(lopinavir)を表し、EFVはエファビレンツ(efavirenz)を表す。参照により本明細書に組み入れる特定の特許出願は、同じHIVプロテアーゼインヒビターに関して旧略語を用いている可能性がある(例えば、アタザナビルを表すATZ、ロピナビルを表すLOPIN、およびエファビレンツを表すEFA)。しかし、それらの新旧両方の略語は同じHIVプロテアーゼインヒビターを示す。
【0034】
本発明のもう1つの態様は、HIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターについての検量線を確立するため、およびサンプル中のHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの測定のためのアッセイを行うために有用な試験キットに関する。本発明の方法において有用な試薬は、それらの試薬の比率が該方法およびアッセイの十分な最適化をもたらすように、パッケージングされた組合せで、同じ又は別々の容器中に、液体または凍結乾燥形態で、便利に提供されうる。それらの試薬はそれぞれ、別々の容器内に存在してもよく、あるいは種々の試薬を、該試薬の交差反応性および安定性に応じて、1以上の容器中に組合せてもよい。該試験キットは一般には、適当な校正用物質、対照および使用のための説明書を含む。
【0035】
1つの実施形態においては、親薬物化合物と免疫化学的に同等なHIVプロテアーゼインヒビター薬の類似体を提供する。より詳しくは、1つの実施形態においては、抗体に基づくイムノアッセイにおいて薬物校正用物質および/または陽性対照として使用されうるように、親プロテアーゼインヒビターと免疫化学的に同等なHIVプロテアーゼインヒビター類似体を提供する。1つの実施形態においては、HIVプロテアーゼインヒビター類似体は、その親化合物を使用して得られた場合に比して約80%〜約120%の、イムノアッセイにおける交差反応性を有する。もう1つの実施形態においては、HIVプロテアーゼインヒビター類似体は、その親化合物を使用して得られた場合に比して、イムノアッセイにおいて約90%〜約115%の交差反応性を有する。もう1つの実施形態においては、プロテアーゼインヒビターが、アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれ、該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基が、エーテルまたはカルバマートを形成するよう誘導体化されている、HIVプロテアーゼインヒビター類似体を提供する。
【0036】
もう1つの実施形態においては、アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれるプロテアーゼインヒビターを含み、該インヒビターは、その中央のヒドロキシル基を-O(C1-C10アルキル)、-CH2COOR3、-CONHR3または-CH2CONHR3で置換することにより修飾されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである。
【0037】
1つの実施形態においては、ロピナビル(lopinavir)の免疫化学的に同等な類似体を提供する。ロピナビルの構造は以下のとおりである。
【化7】
【0038】
1つの実施形態においては、ロピナビル(lopinavir)の中央のヒドロキシル基が、エーテルもしくはカルバマートを形成するよう誘導体化されており、および/またはN-カルバマート基が末端環状尿素に付加されている、ロピナビルの免疫化学的に同等な類似体を提供する。1つの実施形態においては、免疫化学的に同等なロピナビル類似体は、構造:
【化8】
[式中、R1は、Hおよび-CONHR3からなる群から選ばれ、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する。
【0039】
ロピナビル(lopinavir)に関する抗体に基づくアッセイのための薬物校正用物質および/または陽性対照としての使用に適したロピナビル類似体の具体例には、以下の化合物が含まれる。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0040】
1つの実施形態においては、アタザナビル(atazanavir)の免疫化学的に同等な類似体を提供する。アタザナビルの構造は以下のとおりである。
【化15】
【0041】
1つの実施形態においては、構造:
【化16】
[式中、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する、アタザナビル(atazanavir)の免疫化学的に同等な類似体を提供する。別の実施形態においては、R4は、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、HまたはC1-C4アルキルである。別の実施形態では、R4は、-CONHR3であり、R3は、HまたはCH2CH3である。
【0042】
もう1つの実施形態においては、アタザナビル(atazanavir)の中央のヒドロキシル基が、カルバマートを形成するよう誘導体化されている、アタザナビルの免疫化学的に同等な類似体を提供する。1つの実施形態においては、アタザナビルの免疫化学的に同等な類似体は、構造:
【化17】
[式中、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する。
【0043】
アタザナビル(atazanavir)を測定するための、抗体に基づくアッセイにおいて、校正用物質または陽性対照として使用するアタザナビル類似体の具体例には、以下の化合物が含まれる。
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【0044】
1つの実施形態により、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)の免疫化学的に同等な類似体を提供する。より詳しくは、1つの実施形態においては、サンプル中のNNRTIを測定するための、抗体に基づくイムノアッセイにおいて校正用物質および/または陽性対照として使用されうるように、親NNRTIと免疫化学的に同等なNNRTI類似体を提供する。1つの実施形態においては、NNRTI類似体は、親NNRTI化合物を使用して得られた場合に比して、イムノアッセイにおいて約80%〜約120%の交差反応性を有する。もう1つの実施形態においては、NNRTI類似体は、親NNRTIを使用して得られた場合に比して、イムノアッセイにおいて約90%〜約115%の交差反応性を有する。1つの実施形態においては、NNRTI類似体はエファビレンツ(efavirenz)である。1つの実施形態においては、エファビレンツのN-アルキル化類似体を提供する。エファビレンツの構造は以下のとおりである。
【化22】
【0045】
サンプル中のエファビレンツ(efavirenz)を測定するための、抗体に基づくアッセイにおいて薬物校正用物質および/または陽性対照としての使用に適したエファビレンツ類似体の具体例には、以下の化合物が含まれる。
【化23】
【0046】
本発明はまた、サンプル中のHIVプロテアーゼインヒビターおよび非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを測定するためのアッセイ試薬を含有する試験キットを含む。該キットは更に、該アッセイを行うために使用する試薬を含む、パッケージングされた組合せでの、種々の容器、例えばバイアル、チューブ、ボトルなどを含む。好ましくは、該キットはまた、使用説明書を含む。1つの実施形態においては、該試験キットは、サンプル中の検出すべきHIV薬に特異的に結合する抗体および検出すべきHIV薬の免疫化学的に同等な類似体を含む。1つの実施形態においては、キットは、ロピナビル(lopinavir)に特異的に結合する抗体およびロピナビル類似体であるロピナビル-Oc-(N-tert-ブチルカルバモイルメチル)エーテル (6)を含む。もう1つの実施形態においては、キットは、ロピナビル抗体およびロピナビル類似体であるN-カルバモイル-ロピナビル(13)を含む。1つの実施形態においては、キットは、アタザナビル(atazanavir)に特異的に結合する抗体および類似体アタザナビル-Oc-カルバマート (25)を含む。もう1つの実施形態においては、キットは、アタザナビルに特異的な抗体および類似体アタザナビル-Oc-エチルカルバマート (21)を含む。したがって、本明細書に開示されているキットは、そのキットで供給される薬物類似体を使用して検出または測定すべきHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターについて検量線を確立または作成するために使用されうる。該類似体は親薬物の阻害活性を有していても有していなくてもよい。しかし、該類似体は親薬物と免疫化学的に同等であるため、薬物類似体を使用して確立された検量線は、イムノアッセイ由来の検出シグナルに基づいて、所与のサンプル中の当該薬物の濃度を決定するために用いられうる。
【0047】
これらのプロテアーゼインヒビターならびにNNRTI類似体および誘導体は、後記方法および当業者に公知の方法を用いて合成されうる。ロピナビル(lopinavir)の場合、該分子も、中央のヒドロキシル基に加えて、環状テトラヒドロピリミジノン部分上に酸性窒素原子を含有する。該窒素での選択的修飾は該中央のヒドロキシル基の保護を要する。多数の適当な保護基が当技術分野でよく知られている。例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”, 2nd edition, T. GreeneおよびP. Wuts, Wiley-Interscience, 1991を参照されたい。
【0048】
該中央のヒドロキシル基は、シリル保護基、例えばTBDMS(t-ブチルジメチルシリル)またはTBDPS(t-ブチルジフェニルシリル)基として保護されうる。ロピナビル(lopinavir)の中央のヒドロキシル官能性を保護するために、エステル基も用いることができ、塩基(好ましくはピリジン)の存在下でのアセタート基(図7の化合物11を参照されたい)]も好ましい。ロピナビルの中央のヒドロキシル基の保護は、溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)中、典型的には0.5時間〜7日間に及ぶ時間にわたって行われる。該中央のヒドロキシル基の保護の後、保護されたイソシアナート、最も好ましくはトリクロロアセチルイソシアナートを使用して、該環状テトラヒドロピリミジノン部分上の酸性窒素を修飾してもよい。トリクロロアセチルイソチオシアナートは、ロピナビルN-チオカルバモイル類似体を製造するためにも使用されうる。塩基性条件下の加水分解は該中央のアセタート基ならびに保護されたN-カルバモイル基の両方を脱保護して、所望のロピナビルN-カルバモイル類似体(図7の化合物13)を与える。
【0049】
もう1つの実施形態においては、二置換ロピナビル類似体である保護N-カルバモイルロピナビルOc-カルバマートが、ロピナビルを過剰の保護イソシアナート試薬、好ましくはトリクロロアセチルイソシアナートと反応させることにより製造されている。塩基性条件下(好ましくは水性炭酸カリウムを使用)での加水分解は所望のN-カルバモイルロピナビルOc-カルバマート(図6の化合物10)を与える。
【0050】
もう1つの実施形態においては、ロピナビル保護Oc-カルバマートが、ロピナビルを限定量のトリクロロアセチルイソシアナートと反応させることにより製造されている。塩基性条件下(好ましくは水性炭酸カリウムを使用)の加水分解は所望のロピナビルOc-カルバマート(図5の化合物8)を与える。
【0051】
もう1つの実施形態においては、ロピナビルの中央のヒドロキシル基はエーテル結合により修飾されうる。制御された条件下、種々のハロアルキル化剤を使用して、例えば、溶媒(好ましくはDMF)中、0℃〜室温の範囲の温度で、限定量の塩基(好ましくは水素化ナトリウム)の存在下で限定量のアルキル化剤を使用して、ロピナビルの中央のヒドロキシル官能性を修飾することが可能である。ロピナビル類似体である、図2の化合物2および図3の化合物3を参照されたい。
【0052】
ロピナビル類似体のエステル基の加水分解は、酸性または塩基性条件下、好ましくは塩基性条件下、例えば0℃〜室温で水酸化リチウム下で、達成されうる(図4)。得られた酸性官能性は、種々の活性化剤、好ましくは1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-3-エチル-カルボジイミド (EDC)またはN-ヒドロキシスクシンイミドを使用することにより活性化されうる。得られた活性化エステルを、アミン、好ましくはt-ブチルアミンと反応させて、ロピナビルt-ブチルアミド類似体(図4の化合物6)を得ることが可能である。
【0053】
アタザナビル(atazanavir)も、他のプロテアーゼインヒビターで認められる中央のヒドロキシル基を有するが、アタザナビルにおいては、該基は、その特異的構造特性、例えば、その近傍にある立体的に必要なフェニル-ピリジル部分(これに限定されるものではない)、により影響される反応性を有する。ヒドロキシル基における置換を行って、アルキル化類似体、例えばメチル、エチルまたはアルキル類似体を得ることが可能である。そのような置換は、ハロゲン化アルキルとの反応により、該アルキル部分上に存在する他の適切に保護された官能性の存在下または非存在下、触媒または媒介試薬、例えば遷移金属塩、例えばロージウム塩または酸化銀の存在下、適当な溶媒(例えば、DMF、THFなど)中で、典型的には室温〜約100℃の温度で行われうる。アルキル化剤、例えば、適切に保護されたα-ハロアセタート、アジ化アルキル、アジドアセタート、アジドアルカノアート、ジアゾアセタート、ジアゾアルカノアート、アルキルトシラートなどが想定されうるが、他の試薬も当業者には示唆されるであろう。例えば、DMFのような溶媒中、酸化銀の存在下、ハロゲン化アルキル、例えばヨウ化メチルとの反応は、実施例20に示すとおり、Oc-メチルエーテル26を与えるし、テトラヒドロピラン保護ブロモエタノールとの反応は、実施例21に記載のとおり、Oc-エチレンアルコール28を与える。それほど好ましくはないが、水素化金属のような塩基を使用して、ヒドロキシル基を脱プロトン化し、ついで適当なアルキル化試薬、例えばハロゲン化アルキル、アジド、トシラートなどと反応させることも可能であり、この場合、副生成物または転位生成物が生成する可能性がある。
【0054】
もう1つのアプローチは、アタザナビル(atazanavir)または他のプロテアーゼインヒビターのヒドロキシル基をアルキルまたはアリールイソシアナートまたはイソチオシアナートと反応させて、該ヒドロキシルの位置にカルバマート結合を有する単純な類似体を得ることであり、この場合、該酸素は今や、該カルバマート結合の一部を含む。多数の適当なイソシアナートまたはイソチオシアナート、例えばC1-C10アルキル、フェニルおよびヘテロアリールイソシアナートまたはイソチオシアナートが、この目的に使用されうる。好ましくは、C1-C4アルキルイソシアナートが使用される。例えば、エチルイソシアナート、イソプロピルイソシアナートまたはtert-ブチルイソシアナートとの反応は、実施例15、16および17に記載されているとおり、化合物21、22および23により例示される対応アルキルカルバマートを与える。非置換カルバマート、例えば化合物25は、保護されたイソシアナート、例えばトリクロロアセチルイソシアナート(これに限定されるものではない)との反応、およびそれに続く、弱塩基性条件下(例えば、水-アルコール混合物中でカルボナートを添加)での脱保護により「裸(bare)」のカルバマートを得ることにより合成されうる。代替手段を用いてもよく、例えば、該ヒドロキシルをホスゲンと反応させて該Oc-カルボニルクロリドを得、ついでアンモニアと反応させることにより、同じ類似体が得られ、また、ホスゲン等価体、例えばニトロフェニルクロロホルマートと反応させた後にアンモニアと反応させてもよい。
【0055】
あるいは、例えばUS 7,157,561(その開示を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているとおり、置換アルキルまたはアリールイソシアナートまたはイソチオシアナートを使用して、更なる精緻化に適したその官能性を有するカルバマート基からのアルキルまたはアリールリンカーを有する該中央のヒドロキシル位のカルバマート結合を有する類似体および誘導体を得ることが可能である。好ましくは、C1-C10アルキル、フェニルおよびヘテロアリールイソシアナートまたはイソチオシアナート、より好ましくは、C1-C6イソシアナートが使用され、ここで、そのアルキルまたはアリール基は、別の適当な官能性、例えば、保護カルボキシ、保護アミン、保護チオール、またはマレイミド基を有する。そのような反応は、任意の適当な溶媒、例えばDMFまたはTHF中、塩基、例えば第三級アミン、例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンを添加して又は添加せずに、行われうる。そのような反応は、典型的には0℃〜100℃の温度、頻繁には周囲温度〜60℃で行われうる。このアプローチの非限定的な例示として、実施例22に記載されているようなカルバマート-ブチラート誘導体(29)の合成、および実施例23〜26に記載され図13に示されているようなNHSエステル(33)へのその精緻化が挙げられる。同等な化合物を合成するためのこのアプローチの他の適用も当業者には示唆されるであろう。
【0056】
他のカルバマート形成の同等物も用いられうる。例えば、アタザナビル(atazanavir)の中央のヒドロキシルを、ホスゲン、カルボニルジイミダゾール、ジスクシンイミジルカルボナートまたはニトロフェニルクロロホルマートと反応させると、活性中間体が得られ、これを、適当なアルキルまたはアリールアミンと反応させると、対応する置換カルバマートが得られる。他のプロテアーゼインヒビターもこのようにして誘導体化に改変可能であろう。
【0057】
また、アミノデキストランへのコンジュゲート化のために、ロピナビル(lopinavir)の活性化誘導体(40)を製造した。ロピナビル抗体を産生させるために使用するロピナビル免疫原はロピナビルの中央のヒドロキシル基において修飾したため[US 7,193,065(その開示を参照により本明細書に組み入れることとする)における化合物6F]、それは同じ位置から出ているロピナビル標識を有することが好ましかった。ロピナビル誘導体40においては、ロピナビルの中央のヒドロキシル基を、エーテル結合を用いて連結基に結合させた。エーテル結合は一般に、エステルまたはカルバマート結合より安定である。0℃〜室温の温度で、好ましくはDMF中、ハロ-アルキル化剤を使用して、塩基、好ましくは水素化ナトリウムの存在下、ロピナビルのアルキル化反応を行った。該ハロ-アルキル化剤は、1以上のヘテロ原子を含むC1-C10原子を含有してもよい。好ましくは、該アルキル化剤は化合物34であり、これはヨード酢酸から製造されうる(図14)。得られるロピナビル酸誘導体(35)を、加水分解後のロピナビルのアルキル化の後、活性エステル基に変換することが可能である。酸誘導体から活性化エステルへの変換は当業者に公知であり、好ましくは、カルボジイミド、例えばEDC・HClおよびN-ヒドロキシスクシンイミドを使用して達成されうる。活性化エステル(37)を、例えば第三級アミンの存在下でのメチルアミノメチルベンゾアートとの反応により、更に伸長して(図15)、ロピナビルメチルエステル誘導体38を得ることが可能であり、これを酸性または塩基性条件下で加水分解することが可能である。この場合、加水分解は、THFとメタノールとの混合物中で水性水酸化リチウムを使用する塩基性加水分解により行った。前記のように、カルボジイミドおよびN-ヒドロキシスクシンイミドを使用することにより、ロピナビル酸(39)を活性エステルに変換することができる。また、ロピナビル誘導体(40)を得るために、種々の活性化剤を使用することにより、この場合には、好ましくは、O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラートを、第三級アミン、好ましくはジイソプロピルエチルアミンの存在下、THF中で使用することにより、活性エステルを製造することが可能である。
【0058】
活性化ハプテン誘導体に対する安定な合成前駆体も、類似体としての使用に適している。例えば、標識コンジュゲートの製造の過程で単離される安定な合成前駆体は、薬物校正および品質管理のための類似体としての二重の目的を果たしうる。これらの安定な合成前駆体には、カルボン酸、例えば化合物30、32、35および39、ならびに安定なエステル、例えば化合物29および38が含まれる。
【0059】
エファビレンツ(efavirenz)類似体の合成はエファビレンツの直接的なアルキル化を含む。該アルキル化は、ハロアルキル試薬との反応により行うことが可能であり、この場合、相間移動触媒、例えばクラウンエーテルの存在下、塩基としてアルカリ金属カルボナートを使用する。1つの実施形態においては、炭酸カリウムを18-クラウン-6と組合せて使用した。該反応は、溶媒、例えばDMF中、室温〜150℃の温度範囲で1〜24時間行われうる(図8の化合物14、15、16および17を参照されたい)。
【0060】
もう1つの実施形態においては、ヒドロキシルアルキルエファビレンツ類似体を提供する。エファビレンツのアルキル化は、保護されたヒドロキシル官能性、好ましくはシリル保護基を有するハロアルキル化試薬を使用して行われうる。得られるシリル化エファビレンツ中間体は、好ましくは、THF中のテトラブチルアンモニウムフルオリドの存在下で脱保護されうる(化合物19、図9)。
【0061】
本発明の1つの実施形態においては、HIVプロテアーゼインヒビターについての検量線を確立または作成するための方法を提供し、ここで、該プロテアーゼインヒビターは、アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれる。該方法は、該プロテアーゼインヒビターの免疫化学的に同等な類似体を含む1組の校正用物質を調製する工程を含み、ここで、該類似体においては、該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基が、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2CONHR3および-OCH2COOR3から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルであり、ここで、各校正用物質は所定範囲の濃度の該類似体の1つを含む。ついで、その組中の各校正用物質からのサンプルを、該プロテアーゼインヒビター類似体に特異的に結合する抗体と接触させる。ついで各サンプルを、類似体親物質に特異的な一定量の抗体、およびHIVプロテアーゼインヒビターとシグナル生成部分とを含むコンジュゲートと、接触させる。限られた数の抗体結合部位に関して、サンプル中のHIV薬物類似体と該コンジュゲートとの間で競合が生じる。1つの好ましい形態においては、該コンジュゲートはアミノデキストラン-類似体コンジュゲートであり、該抗体は微粒子に結合している。一定の反応時間の後、該抗体と該コンジュゲートとの反応から生じたシグナルの量を測定する。好ましい微粒子の様式においては、該シグナルは、粒子凝集による可視領域における吸光度の変化により生じる。ついで、例えばグラフの一方の軸に沿って類似体濃度を、そして他方の軸に沿って該シグナルをプロットすることにより、検量線を構築する。この検量線は、該標識コンジュゲートからのシグナルと、該サンプル中の薬物類似体の量との間で反比例関係を示すであろう。そのような検量線は、該類似体の代わりに親薬物を使用して得られるその曲線と実質的に同等である。前記の組中のサンプルの最小数は2であるが、一般には、データ点の数を増加させ、それにより、そのようにして得られる検量線の精度を高めるために、サンプルを追加するのが好ましい。典型的には、サンプルの濃度の1つはゼロである。
【0062】
同様にして、NNRTIエファビレンツ(efavirenz)を含むHIV非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターについての検量線も作成されうる。この実施形態においては、関心のある非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの所定範囲の濃度の免疫化学的に同等な類似体を含む1組の校正用物質を提供し、ここで、該類似体は、C1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化された該非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを含む。ついでその組中の各校正用物質からのサンプルを、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターに特異的な一定量の抗体および類似体、および該非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターとシグナル生成部分とを含むコンジュゲートと接触させる。限られた数の抗体結合部位に対して、サンプル中の非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター類似体と該コンジュゲートとの間で競合が生じる。好ましいアッセイ様式においては、該コンジュゲートはアミノデキストラン-NNRTIコンジュゲートであり、該抗体は微粒子に結合している。一定の反応時間の後、該抗体と該コンジュゲートとの結合から生じたシグナルの量を検出する。この微粒子の様式においては、該シグナルは、粒子凝集による可視領域における吸光度の変化によるものであり、該変化は光度測定により検出可能である。ついで、前記のようにして検量線を構築するが、その検量線は、該標識コンジュゲートからのシグナルと、該サンプル中に存在する薬物類似体の量との間で反比例関係を示す。そのような検量線は、親薬物から得られるその曲線と実質的に同等である。
【0063】
もう1つの実施形態においては、HIV薬(プロテアーゼインヒビターまたはNNRTI)のコンジュゲートを不均一イムノアッセイ様式、例えば酵素結合免疫吸着アッセイまたはELISA様式で、固相に結合させる。ついで種々の量のHIV薬の類似体を含む一連のサンプルを、該薬物に特異的な一定量の抗体および該薬物コンジュゲートと接触させる。限られた数の抗体結合部位に対して、該コンジュゲートと該HIV薬類似体の間で競合が生じる。一定の反応時間の後、固相に結合した抗体の量を、シグナル生成部分で標識された二次抗体を使用して検出する。該二次抗体は該薬物特異的抗体に特異的に結合し、それにより、該薬物特異的抗体への結合に際して、検出可能なシグナルを生成する。ついで、前記のようにして検量線を構築するが、その検量線は、固相コンジュゲートに結合した抗体の量と、溶液中に存在する薬物類似体の量との間で反比例関係を示す。そのような検量線は、親薬物を使用して得られるその曲線と実質的に同等である。
【実施例】
【0064】
具体的な実施形態
特に示さない限り、試薬はSigma-Aldrich Chemical Companyから得た。特に示さない限り、すべての溶媒はJ.T. Bakerから得、ACS等級またはHPLC等級以上のものであった。トリエチルアミンはFluka Chemical Co.から得た。ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、ジメチルホルムアミド(DMF)および無水ジメチルスルホキシド(DMSO)はAldrich Chemical Co.から得た。テトラヒドロフラン(THF)は、アルゴン下、ナトリウム/ベンゾフェノンの存在下の煮沸および蒸留により乾燥させた。塩化メチレン(CH2Cl2)は、アルゴン下、水素化カルシウムの存在下の煮沸および蒸留により乾燥させた。カラムクロマトグラフィーは、陽圧の窒素下、E.M. Scienceのフラッシュ等級のシリカゲル(シリカゲル60; 230-400メッシュASTM)を使用して行った。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、E.M. Scienceのシリカゲルプレート(厚さ0.025 cm)を使用して行った。混合溶媒は、体積%で示す体積として表されている(例えば、10% MeOH-CHCl3は、体積で10%のメタノールを含有するクロロホルムである)。HPLC分析は、ダイオードアレイ検出器および四元(quaternary)ポンプで構成されたAgilent 1100 LC/MS系上で行った。LC分析は、カラム後にMS検出器内に入るクロマトグラフィー流を伴うPhenomenexガードモジュール(Phenomenex KJO-4282/C18 ODS 5μ)を備えたVydac 218TP54カラム(RP-C18; 300Å, 5μ)を使用して行った。使用したMSDは、ES+モード(エレクトロスプレー、正モード)で稼動させた。特に示さない限り、分析の実施は、1mL/分の流速で、0.1% TFA/H2O中の5%または0%(0分 = 出発)から100%(20分の時点)までの0.1% TFA/MeCNの勾配を用いて行った。分取RP-HPLCは、Varian Dynamax UV-C可変波長検出器を備えた2つのSD1チタンヘッド2000 psiポンプを使用するVarian Dynamax(Rainin)系上で行った。分離は、ガードモジュール(R00083221G; C18, 8μ)を備えた250×21.4mm(R00083221C; Microsorb 60-8, C18)カラム、またはガードモジュール(R00083241G; C18, 8μ)を備えた250×41.4 mmカラム(R00083241C; Microsorb 60-8, C18,)のいずれかと共に、モジュラーVarian Dynamax円形圧縮(radial compression)カラム上で行った。1H-NMRスペクトルは、それぞれSun/Sparcステーションを備えた、Varian Gemini 2000を200MHzで、あるいはVarian XL-400分光計を400MHzで使用して得た。
【0065】
実施例1: ロピナビル-Oc-メチルエーテル(2)の合成
16 mg (0.040 mmol)の水素化ナトリウム (油中、60%)に3 mLのヘキサンを加え、上清をデカント除去した。残渣に3 mLの無水THF (新たに蒸留したもの)を加え、ついで50 mg (0.079 mmol)のロピナビルを固体として加えた。1mLのTHF中の45μLのヨードメタンのストック溶液を調製し、THF中のこのヨードメタン溶液45μL (0.31 mmol)を前記反応混合物に室温で加えた。該反応混合物を室温で30分間攪拌し、5 mLの50 mM リン酸カリウム (pH 7.5)を加え、ロータリーエバポレーター内で濃縮して、可能な限り多くのTHFを除去した。水性残渣を6×10 mLのクロロホルムで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ (無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、7 mg (0.01 mmol, 14%)のロピナビル-Oc-メチルエーテル (2)を白色固体として得た。LC/MS: M+H 643.3。
【0066】
実施例2: ロピナビル-Oc-(メトキシカルボニルメチル)エーテル(3)の合成
112 mg (2.8 mmol)の水素化ナトリウム (油中、60%)に10 mLのヘキサンを加え、上清をデカント除去した。残渣に10 mLの無水THF (新たに蒸留したもの)を加え、ついで200 mg (0.31 mmol)のロピナビルを固体として加えた。該反応混合物を室温で15分間攪拌し、380μL (4.0 mmol)のメチルブロモアセタートを加えた。該反応混合物を室温で2時間攪拌し、該反応を20 mLの飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチした。得られた反応混合物をロータリーエバポレーター内で濃縮して、可能な限り多くのTHFを除去し、水性残渣を6×30 mLのクロロホルムで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、61 mg (0.087 mmol, 27%)のロピナビル-Oc-(メトキシカルボニルメチル)エーテル(3)を白色固体として得た。LC/MS: (M+H) 701.3。
【0067】
実施例3: Oc ロピナビル酢酸 (4)の合成
新たに蒸留されたTHF 5 mL中の262 mg (6.5 mmol)の水素化ナトリウム (油中、60%)の懸濁液に、新たに蒸留されたTHF 5 mL中の250 mg (0.39 mmol)のロピナビルの溶液を室温で加えた。該混合物を室温で1時間攪拌した。該反応混合物に、80μL (0.84 mmol)のメチルブロモアセタートを加え、得られた反応混合物を室温で3日間攪拌した。該反応混合物に5 mLの50 mM リン酸カリウム (pH 7.5)を加え、100 mg (2.3 mmol)の水酸化リチウム一水和物を固体として加えた。得られた反応混合物を室温で18時間攪拌し、ロータリーエバポレーター内で濃縮した。水性残渣を希リン酸でpH 5〜6に酸性化し、5×50 mLのクロロホルムで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ (無水Na2SO4)、濃縮して、白色ゴム状固体を得た。これを、クロロホルム中の20% メタノールを使用する分取薄層クロマトグラフィーにより精製して、43 mg (0.068 mmol)の回収ロピナビルおよび109 mg (0.16 mmol, 40%)のOc ロピナビル酢酸 (4)を白色固体として得た。LC-MS: (M+H) 687.4。
【0068】
実施例4: ロピナビル-Oc-(N-tert-ブチルカルバモイルメチル)エーテル(6)の合成
30 mLの新たに蒸留されたジクロロメタン(CaH2上で蒸留されたもの)中の259 mg (0.37 mmol)のロピナビル酢酸(4)の溶液に、152 mg (1.32 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミドおよび253 mg (1.32 mmol)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩 (EDC・HCl)を加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌した。in situで調製した粗NHSエステル(5)を、単離することなく次工程で使用した。前記反応混合物に、930μLの新たに蒸留されたジクロロメタン (CaH2上で蒸留されたもの)中の70μL (0.65 mmol)のt-ブチルアミンの溶液を加え、該反応物を室温で2時間攪拌した。該反応混合物に30 mLの水を加え、有機層を分離した。該有機層を30 mLの飽和重炭酸ナトリウム、ついで30 mLの水で洗浄し、乾燥し (無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、137 mg (0.18 mmol, 49%)のロピナビル-Oc-(N-tert-ブチルカルバモイルメチル)エーテル(6)を白色固体として得た。LC/MS (M+H) 742.5。
【0069】
実施例5: ロピナビル-Oc-カルバマート (8)の合成
氷浴内で冷却された新たに蒸留されたジクロロメタン(CaH2上で蒸留されたもの)中の160 mg (0.25 mmol)のロピナビルの溶液に、50μL (0.42 mmol)のトリクロロアセチルイソシアナートを加えた。得られた反応混合物を0℃で4時間攪拌し、減圧下で濃縮して、ロピナビル-Oc-トリクロロアセチルカルバマート (7)を含有する粗生成物混合物を得た。これを、更に精製することなく、次工程においてin situで使用した。粗生成物7に720 mg (5.2 mmol)の炭酸カリウム、7 mLのメタノールおよび2 mLの水を0℃で加えた。得られた反応混合物を0℃で1時間および室温で18時間攪拌した。これを減圧下で濃縮し、残渣に150 mLのクロロホルムおよび50 mLの水を加えた。有機層を分離し、水層を3×50 mLのクロロホルムで抽出した。有機層を全て合わせ、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、130 mg (0.19 mmol, 76%)のロピナビル-Oc-カルバマート (8)を得た。LC-MS: M+H 672.4。
【0070】
実施例6: N-カルバモル-ロピナビル-Oc-カルバマート (10)の合成
8 mLの新たに蒸留されたジクロロメタン (CaH2上で蒸留されたもの)中の200 mg (0.32 mmol)のロピナビルの溶液に、1.08 g (7.8 mmol)の炭酸カリウムおよび100μL (0.83 mmol)のトリクロロアセチルイソシアナートを加えた。これを0℃で3時間攪拌し、濃縮して、N-(トリクロロアセチルアミノ-カルボニル)-ロピナビル-Oc-トリクロロアセチルカルバマート (9)を含有する粗反応混合物を得た。これを、更に精製することなく、次工程においてin situで使用した。残渣に16 mLのメタノールおよび4 mLの水を0℃で加えた。これを0℃で1時間および室温で18時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣に150 mLのクロロホルムおよび50 mLの水を加えた。有機層を分離し、水層を3×50 mLのクロロホルムで抽出した。有機層の全てを合わせ、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、145 mg (0.20 mmol, 83%)のN-カルバモイル-ロピナビル-Oc-カルバマート (10)を白色固体として得た。LC/MS: M+H 715.3。
【0071】
実施例7: Oc ロピナビルアセタート (11)の合成
3.0 g (4.7 mmol)のロピナビルに210 mg (1.71 mmol)の4-(ジメチルアミノ) ピリジンを加え、ついで90 mLの新たに蒸留されたTHF (ナトリウムおよびベンゾフェノン上で蒸留されたもの)を加えた。該反応混合物を氷浴内で冷却し、750μL (9.2 mmol)のピリジンを加えた。この後、750μL (10.5 mmol)の塩化アセチルを加えた。該反応混合物を室温に加温し、室温で72時間攪拌した。該反応混合物が濁った。これを濃縮し、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、2.48 g (3.69 mmol, 78%)のOc-ロピナビルアセタート (11)を白色固体として得た。LC-MS: (M+H) 671.3。
【0072】
実施例8: N-カルバモイルロピナビル (13)の合成
0℃の100 mLのTHF中の2.48 g (3.69 mmol)のロピナビルアセタート (11)に1 mL (8.39 mmol)のトリクロロアセチルイソシアナートを加えた。該混合物を4℃で18時間攪拌した。該溶液は淡黄色に変色した。これをロータリーエバポレーターで濃縮し、ホフホワイト色の固体を得た。該反応をLC/MSでモニターし、生成物は、LC/MS (M+H 858.3)により、所望の中間体生成物としてのN-(トリクロロアセチルカルバモイル)-ロピナビル-Oc-アセタート (12)と同定された。該反応混合物に160 mLのメタノールおよび40 mLの水を加え、ついで4.8 g (36 mmol)の炭酸カリウムを加えた。該混合物を室温で4時間攪拌し、白色スラリーを得た。これを減圧下で濃縮し、400 mLの水を加えた。得られた反応混合物を4×400 mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、白色固体を得た。これを、酢酸エチルで溶出することによりシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固体を得た。1H NMRは、高度真空下で乾燥された後でさえも酢酸エチルの存在を示した。該物質の全てを1:1の水/アセトニトリルに溶解し、凍結乾燥して、1.8 g (2.6 mmol, 72%)のN-カルバモイルロピナビル (13)を白色固体として得た。LC/MS: (M+H) 672.3。
【0073】
実施例9: N-メチルエファビレンツ (14)の合成
2 mLの無水DMF中の40 mg (0.13 mmol)のエファビレンツの溶液に、33 mg (0.24 mmol)の無水炭酸カリウム、1 mg (3.78×10-3 mmol)の18-クラウン-6および16μL (0.25 mmol)のヨードメタンを加えた。該反応混合物を80℃に1.5時間加熱し、ついで冷却し、減圧下で濃縮した。残渣に10 mLのジクロロメタンを加え、該混合物を濾過した。濾液を分液漏斗に移し、2×5 mLの水で洗浄した。有機層を乾燥させ (無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、30 mg (0.090 mmol, 73%)のN-メチルエファビレンツ (14)を得た。LC-MS: (M+H) 330.0。
【0074】
実施例10: N-エチルエファビレンツ (15)の合成
1.1 g (3.49 mmol)のエファビレンツに、40 mLの無水DMF、40 mg (0.15 mmol)の18-クラウン-6、2.65 g (19.2 mmol)の無水炭酸カリウム、210 mg (1.40 mmol)のヨウ化ナトリウムおよび2.6 mL (34.7 mmol)のブロモエタンを加えた。該反応混合物を125℃で2時間攪拌した。該反応混合物の色がオレンジ色に変化し、反応フラスコの底に白色固体が生じた。該反応混合物を室温に冷却し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣に200 mLのクロロホルムを加え、2×100 mLの水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して、1.3 gのオレンジ色油を得た。これを、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、884 mg (2.57 mmol, 74%)のN-エチルエファビレンツ (15)を白色粉末として得た。LC-MS: M+H 344.0。
【0075】
実施例11: N-プロピルエファビレンツ (16)の合成
60 mg (0.19 mmol)のエファビレンツに、2 mLの無水DMFを加え、ついで50 mg (0.36 mmol)の無水炭酸カリウム、10 mg (0.06 mmol)のヨウ化ナトリウム、39 mg (0.31 mmol)の1-ブロモプロパンおよび2 mg (7.5×10-3 mmol)の18-クラウン-6を加えた。得られた反応混合物を125℃で1時間攪拌し、ついで室温に冷却した。これを濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣に50 mLのクロロホルムを加え、有機層を2×25 mLの水で洗浄し、乾燥させ (無水 Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、溶離液としてヘキサン中の10% 酢酸エチル、ついでヘキサン中の40% 酢酸エチルを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、32 mg (0.089 mmol, 49%)のN-プロピルエファビレンツ (16)を白色固体として得た。LC-MS (M+H) 358.0。
【0076】
実施例12: N-ブチルエファビレンツ (17)の合成
2 mLの無水DMF中の40 mg (0.12 mmol)のエファビレンツの溶液に300 mg (2.1 mmol)の無水炭酸カリウム、1 mg (3.78×10-3 mmol)の18-クラウン-6および68μL (0.62 mmol)の1-ブロモブタンを加えた。該混合物を60℃に4時間加熱し、ついで120℃に1時間加熱した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、10 mLのジクロロメタンを加え、該混合物を濾過した。濾液を分液漏斗に移し、2×5 mLの水で洗浄した。有機層を乾燥させ (無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、33 mg (0.088 mmol, 70%)のN-ブチルエファビレンツ (17)を無色油として得た。LC/MS (M+H) 372.0。
【0077】
実施例13: N-(tert-ブチルジメチルシリルオキシプロピル)エファビレンツ (18)の合成
5 mLの蒸留アセトン中の50 mg (0.16 mmol)のエファビレンツの溶液に、48 mg (0.19 mmol)の(3-ブロモプロポキシ)-tert-ブチル-ジメチルシラン、32 mg (0.23 mmol)の炭酸カリウム、3 mg (0.011 mmol)の18-クラウン-6、100μLの無水DMFおよび10 mg (0.06 mmol)のヨウ化ナトリウムを加えた。該反応混合物を18時間還流し、該反応の進行をLC/MSによりモニターした。これは、未反応の出発エファビレンツと共に、ほんの微量の所望の生成物を示した。該反応混合物を減圧下で濃縮し、2 mLの無水DMFを加え、ついで35 mg (0.25 mmol)の無水炭酸カリウムおよび40 mg (0.15 mmol)の(3-ブロモプロポキシ)-tert-ブチル-ジメチルシランを加えた。得られた反応混合物を125℃で2時間加熱し、室温に冷却し、濾過した。残渣を50 mLの酢酸エチルで洗浄した。合わせた濾液を濃縮し、50 mLのクロロホルムを加え、有機相を25 mLの水で洗浄した。有機層を乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下で濃縮して、ゴム状固体を得た。これを、ヘキサン中の20% 酢酸エチルを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、49 mg (0.10 mmol, 63%)のN-(tert-ブチルジメチルシリルオキシプロピル)エファビレンツ (18)を白色半固体として得た。LC-MS: M+H 488.0。
【0078】
実施例14: N-ヒドロキシプロピルエファビレンツ (19)の合成
43 mg (0.13 mmol)のN-(tert-ブチルジメチルシリルオキシプロピル)エファビレンツ (18)に100μLの新たに蒸留されたTHFを加え、500μL (0.49 mmol)の1M テトラブチルアンモニウムフルオリドを加えた。得られた反応混合物を室温で18時間攪拌し、減圧下で濃縮した。残渣に50 mLのクロロホルムを加え、有機層を2×25 mLの水で洗浄した。有機層を乾燥させ (無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル中の30% ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。単離された生成物は幾らかの不純物を示したので、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより更に精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、30 mg (0.080 mmol, 93%)のN-ヒドロキシプロピルエファビレンツ (19)を白色粉末として得た。LC-MS: M+H 374.0。
【0079】
実施例15: アタザナビル-Oc-エチルカルバマート (21)の合成
アルゴン下の8.1 mLの乾燥ジメチルホルムアミド (DMF)中の102 mgのアタザナビル (20)の溶液に、22.5μL (2当量)のエチルイソシアニド (Sigma-Aldrich)を加え、該反応物を室温で攪拌した。約29時間後、追加的な11μLのエチルイソシアナートを翌日に加え、攪拌を一晩継続した。LC/MSによる分析は、該反応が完了したことを示した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去し、残渣を1:1のアセトニトリル(MeCN)/水 (H2O)に再溶解し、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物画分を集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、77 mgの生成物(21)を部分TFA塩および綿毛状白色固体として得た。LC/MS: M+H (親) 776.3; HR-MS: 計算値 M+H (親) 776.4342, 実測値 776.4330; 1H-NMR: 適合; 微量分析 (MA): C41H57N7O8・0.33CF3COOHに合致。
【0080】
実施例16: アタザナビル-Oc-イソプロピルカルバマート (22)の合成
アルゴン下の2 mLの乾燥DMF中の52 mgのアタザナビル (20)の溶液に、14.2μL (約1.1当量)のDIEAを加え、8.6μL (約1.2当量)のイソプロピルイソシアナート (Sigma-Aldrich)を加え、該反応を室温で一晩攪拌した。翌日、追加的な3μLのDIEAおよび2μLのイソプロピルイソシアナートを加え、攪拌を一晩継続した。LC/MSによる分析は、反応が完了したことを示した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去し、残渣を1:1のアセトニトリル(MeCN)/水 (H2O)に再溶解し、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物画分を集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、53 mgの生成物(22)を部分TFA塩および綿毛状白色固体として得た。LC/MS: M+H (親) 790.5; HR-MS: 計算値 M+H 790.4498, 実測値 790.4495; 1H-NMR: 適合; 微量分析 (MA): C42H59N7O8・1.25CF3COOHに合致。
【0081】
実施例17: アタザナビル-Oc-tert-ブチルカルバマート (23)の合成
アルゴン下の0.75 mLの乾燥DMF中の57 mgのアタザナビル (20)の溶液に28.5μL (約2当量)のDIEAを加え、ついで95.5μL (約10当量)のtert-ブチルイソシアナート (Sigma-Aldrich)を加え、該反応を室温で4時間攪拌した。LC/MSによる分析は、反応が完了したことを示した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去した。残渣を1:1のアセトニトリル(MeCN)/水 (H2O)に再溶解し、同様の第2の反応(53 mgのアタザナビル、26.5μLのDIEAおよび89μLのtert-ブチルイソシアナートを使用)からの残渣と合わせ、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物画分を集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、118 mgの生成物(23)を部分TFA塩および綿毛状白色固体として得た。LC/MS: M+H (親) 804.4; HR-MS: 計算値 M+H (親) 804.4655, 観測値 804.4646; 1H-NMR: 適合; 微量分析 (MA): C43H61N7O8・1.4CF3COOHと合致。
【0082】
実施例18: アタザナビル-Oc-トリクロロアセチルカルバマート (24)の合成
アルゴン下の1 mLの乾燥DMF中の52 mgのアタザナビル (20)の溶液に、70μL (約8当量)のトリクロロアセチルイソシアナート (Sigma-Aldrich)を加え、該反応を室温で約1時間攪拌した。LC/MSによる分析は、反応が実質的に完了したことを示した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去した。残渣を1:1のアセトニトリル(MeCN)/水 (H2O)に再溶解し、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物画分の中央カットを集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、52 mgの生成物(24)を、TFA塩として割り当てられる綿毛状白色固体として得た。LC/MS: M+H (親) 892.2 (3つの塩素同位体パターン); 1H-NMR: 適合。
【0083】
実施例19: アタザナビル-Oc-カルバマート (25)の合成
アルゴン下の20 mLの乾燥DMF中の1.0 gのアタザナビル (20)の溶液に1.345 mL (約8当量)のトリクロロアセチルイソシアナート (Sigma-Aldrich)を加え、該反応を室温で約1時間攪拌した。LC/MSによる分析は、反応が実質的に完了したことを示した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去し、残渣を高真空下で更に乾燥させて粗生成物24を得た。粗生成物24の全てを58 mLのメタノール (MeOH)に再溶解し、該溶液を14.5 mLの水で希釈し、ついで4.96 g (>25当量)の炭酸カリウムを加えた。若干不均一な反応混合物をアルゴン下で激しく、約4時間攪拌した。MeOHを減圧(rotovap)下で除去し、水性残渣を50 mLの水で希釈し、該混合物を酢酸エチル (EtOAc) (2×150 mL)で抽出した。該抽出物を硫酸ナトリウム (Na2SO4)で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を得、これを小体積のEtOAcに再溶解し、EtOAcで溶出するフラッシュ等級のシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物画分(TLCによる分析)を合わせ、蒸発させて、EtOAcを尚も含有する白色固体としての及び遊離塩基としての相当に純粋な生成物 (25) 888 mgを得た。この物質を5:1 MeCN:H2Oに再溶解し、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより再精製した。生成物ピークの主要カットを集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、870 mgの25を白色固体として及びTFA塩水和物として得た。LC/MS: M+H (親) 748.3; HR-MS: 計算値 M+H 748.4029, 実測値 748.4031; 1H-NMR: 適合; 微量分析 (MA): C39H53N7O8・1.5CF3COOH・1.5H2Oに合致。
【0084】
実施例20: アタザナビル-Oc-メチルエーテル(26)の合成
テフロン(登録商標)で裏打ちされたネジ蓋を備えた小さな反応バイアル(Wheaton Science Products)内の0.8 mLの乾燥DMF中の10 mgのアタザナビル (20)の溶液に、10 mgの酸化銀(I)、ついで10μL (約11.5当量)のヨードメタン (Sigma-Aldrich)を加え、該バイアルに蓋をし、該反応を室温で2日間攪拌した。追加的な21 mgの酸化銀(I)を加え、該バイアルに蓋をし、攪拌を更に1日間継続した。LC/MSによる分析は、複数の生成物ピーク(主要ピークはOc-メチルエーテルの予想分子イオンおよびUVスペクトルを有する)の出現を伴う、アタザナビルの実質的な消費を示した。該反応物を少量のDMFで希釈し、銀塩から濾過した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で該濾液から除去し、残渣をMeCN/水に再溶解し、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。最も優勢な生成物ピーク画分の中央カットを集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥し、それにより得た物質を、同様に0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出するセミ分取C18 RP-HPLC (Vydac 218TP510; 250×10 mm, 300Å, 5μ)により再精製した。生成物画分を集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、少量の生成物26を無定形固体として得た。LC/MS: M+H (親) 719.3; アタザナビルと同じUVスペクトル。
【0085】
実施例21: アタザナビル-Oc-(2'-ヒドロキシエチル)エーテル(28)の合成
小さな反応バイアル内の0.8 mLの乾燥DMF中の10 mgのアタザナビルの溶液に、10 mgの酸化銀(I)を加え、ついで23 mL (約11.5当量)の2-(2-ブロモエトキシ)-テトラヒドロ-2H-ピラン (Sigma-Aldrich)を加えた。室温で2日間攪拌した後、更に30 mgの酸化銀(I)を30 mgのヨウ化ナトリウムと共に加え、該バイアルに再び蓋をし、該濃厚スラリーを室温で更に2日間攪拌した。LC/MSはアタザナビルの消費、および3つの主要生成物ピーク(および他のピーク)の出現を示し、中央の主要ピークがテトラヒドロピラン誘導体(27)の833.3の予想M+HおよびUVを有していた。該反応混合物をDMFで希釈し、銀およびナトリウム塩から濾過(0.45m)[遅い]した。濾液を塩化メチレンで更に希釈し、再濾過(0.45μ)した。濾液を減圧下で蒸発乾固させた。残渣を1:1 MeCN/水に再溶解し、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。所望のピークを集め、MeCNを除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、1.2 mgの無定形半固体を得た。この物質を2 mLの1:1 MeCN/水中の0.1%TFAに再溶解し、室温で5時間放置し、ついで、LC/MSは28への実質的に完全な変換を示した。該溶液を濃縮し、同様に0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出するセミ分取C18 RP-HPLC (Vydac 218TP510; 250×10 mm, 300Å, 5μ)により精製した。生成物画分を集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、1.1 mgの生成物(28)を無定形固体として得た。LC/MS: M+H (親) 749.2; アタザナビルと同じUVスペクトル。
【0086】
実施例22: 4-[(アタザナビル-Oc)-カルボニルアミノ]酪酸エチルエステル(29)の合成
2.5 mLの乾燥DMF中の97.4 mgのアタザナビル(atazanavir)(20)の溶液に55μL (2.7当量)のエチル 4-イソシアナトブチラート (Sigma-Aldrich)を加え、ついで23μL (1.2当量)の無水トリエチルアミン (TEA)を加えた。該溶液をアルゴン下で攪拌し、油浴を約60℃に維持して一晩加熱した。ついで該反応を室温に冷却し、DMFを真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去し、残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物ピークの主要カットを合わせ、MeCNを除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、116 mgの生成物(29)を無定形の若干粘着性の固体として及びTFA塩水和物として得た。LC/MS: M+H (親) 862.5; HR-MS: 計算値 M+H 862.4709, 実測値 862.4708; 1H-NMR: 適合; 微量分析 (MA): C45H63N7O10・2CF3COOH・2H2Oに合致。
【0087】
実施例23: 4-[(アタザナビル-Oc)-カルボニルアミノ]酪酸(30)の合成
1.25 mLのMeOHおよび1.25 mLの水中の40.6 mgの29 の溶液に21.2 mg (10.7当量)の水酸化リチウム一水和物を加え、透明な反応溶液をアルゴン下、室温で約2時間攪拌した。LC/MSの分析は、該加水分解が完了したことを示した。これを、もう1つの同じく完了した、2.5 mLのMeOHおよび2.5 mLの水中の86.4 mgの29 と42.2 mgのLiOH・H2Oとの反応物と合わせた。該反応混合物を1N HClで約pH 6〜7に中和し、溶媒をロトバップ(rotovap)で除去した。残渣をMeCN/水に再溶解し、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物ピークの主要カットを合わせ、MeCNを除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、124 mgの生成物(30)を白色固体として及びTFA塩水和物として得た。LC/MS: M+H (親) 834.4; HR-MS: 計算値 M+H 834.4396, 実測値 834.4386; 1H-NMR: 適合。
【0088】
実施例24: 4-[(アタザナビル-Oc)-カルボニルアミノ]酪酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル (31)の合成
アルゴン下の9 mLの新たに蒸留された乾燥塩化メチレン中の123.4 mgの30 の攪拌溶液/懸濁液に、91.5 mg (6.1当量)のN-ヒドロキシスクシンイミド (NHS) を加え、ついで151.9 mg (6.1当量)の1-[(3-ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩 (EDC・HCl)を加え、透明なその反応物を室温で約2時間攪拌した。LC/MSによる分析は、m/z 931.5の所望のM+Hを有する単一のアタザナビル生成物ピークを示した。該反応を蒸留CH2Cl2で希釈し、0.1N HCl (×1)、0.1N NaOH (×1)、飽和ブライン (×1)で順次かつ迅速に洗浄し、有機相を乾燥させ (Na2SO4)、濾過し、蒸発(rotovap)させて、粗製であるが相当に純粋なNHSエステル (31)を得た。該物質を直ちに32の合成 (実施例25)において使用した。
【0089】
もう1つの実施において、2 mLのCH2Cl2中の34.5 mgの30 と27.3 mgのNHSおよび42.4 mgのEDC・HClとの反応は、LC/MS分析により、m/z 931.5のM+Hを有する同じ生成物ピークを示した。溶媒を除去し(rotovap)、残渣を2:1 MeCN/水に再溶解し、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより直接的に精製した。生成物ピークの主要カットを直ちに凍結(ドライアイス/アセトン)し、MeCNの大部分を除去し(高真空rotovapのドライアイス/アセトン冷却フィンガー上への昇華)、凍結した残渣を20℃未満で凍結乾燥して、23.3 mgの精製NHSエステル (31)を白色固体として及びTFA塩として得た。LC/MS: M+H (親) 931.5; HR-MS: 計算値 M+H 931.4560, 実測値 931.4553; 1H-NMR: 適合。
【0090】
実施例25: 4-[4-[(アタザナビル-Oc)-カルボニルアミノ]ブチルアミド)]メチル安息香酸 (32)の合成
1.5 mLの水中の22.1 mgの4-(アミノメチル)安息香酸 (Sigma-Aldrich)の溶液(溶解のために加熱し、ついで室温に冷却した)を小体積の0.1N NaOHでpH 約10に調整した。ついでこの溶液を、11 mLの新たに蒸留された乾燥テトラヒドロフラン (THF)中の、実施例24の第1段落由来の粗NHSエステル (31)全ての溶液を加え、該反応混合物をアルゴン下、室温で一晩攪拌した。LC/MSによる分析は、NHSエステルの消費、およびm/z 967.5のM+Hの所望の生成物の生成を示した。生成物混合物を少量の0.1N HClで中和し、蒸発乾固(高真空rotovap)させた。残渣を酢酸エチル (EtOAc)中の10% MeOHに取り、シリカゲルカラムの上部にアプライし、ついでこれをEtOH中の10%〜20% MeOHの勾配で溶出した。生成物画分を合わせ、蒸発させ(rotovap)、残渣を乾燥CH2Cl2に再溶解し、濾過し、再蒸発(rotovap)させて、79 mgの生成物 (32)を白色粉末として得た。LC/MS: M+H 967.5; HR-MS: 計算値 M+H 967.4924, 実測値 967.4921; 1H-NMR: 適合。
【0091】
実施例26: 4-[4-[(アタザナビル-Oc)-カルボニルアミノ]ブチルアミド)]メチル安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル (33)の合成
4.5 mLの新たに蒸留された乾燥CH2Cl2中の62 mgの安息香酸生成物 (32)の溶液に9.0 mg (1.12当量)のNHSを加え、ついで15.4 mg (1.15当量)のEDC・HClを加え、該反応をアルゴン下、室温で攪拌した。約4時間後のLC/MS分析は、該反応が完了したことを示した。溶媒を除去した(rotovap)。残渣を2:1 MeCN/水に再溶解し、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物ピークの主要カットを直ちに凍結し(ドライアイス/アセトン)し、MeCNの大部分を除去し(高真空rotovapのドライアイス/アセトン冷却フィンガー上への昇華)、凍結した残渣を20℃未満で凍結乾燥して、40.2 mgの精製NHSエステル (33)を白色固体として及びTFA塩として得た。LC/MS: M+H (親) 1064.5; 1H-NMR: 適合。
【0092】
実施例27: 3-(2-ヨード-アセトアミド)-プロピオン酸エチルエステル (34)の合成
90 mLの蒸留ジクロロメタン (CaH2で蒸留)中の7.4 g (39.7 mmol)のヨード酢酸を0℃に冷却した。該反応混合物に4.4 mL (39.9 mmol)のN-メチルモルホリンを加え、5.18 mL (39.9 mmol)のイソブチルクロロホルマートを加えた。該反応混合物を0℃で20分間攪拌した。該反応混合物を0℃で20分間攪拌した。該反応混合物は、N-メチルモルホリンを加えた際には透明であったが、イソブチルクロロホルマートの添加後に暗黄色となった。
【0093】
前記反応混合物に、60 mLのジクロロメタンおよび4.4 mL (39.9 mmol)のN-メチルモルホリン中のβ-アラニンエチルエステル塩酸塩 (6.14 g, 39.9 mmol, Sigma-Aldrich)の混合溶液を5分間にわたって加え、該反応混合物を0℃で30分間攪拌した。該反応混合物を室温に18時間加温した。該反応混合物は赤色に変色した。該反応混合物を分液漏斗内に移し、有機層を2×75 mLの20%クエン酸、2×75 mLの飽和NaHCO3および1×50 mLの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥 (MgSO4)させ、濾過した。濾液に3 gの活性炭を加え、セライト (10 g)で濾過した。得られた濾液は淡黄色を示した。これを減圧下で濃縮して淡黄色油を得た。この油に2×20 mLのヘキサンを加え、該混合物ををかき混ぜ、沈降させ、ヘキサン層を毎回、パスツールピペットで取り除いた。得られた油に40 mLの蒸留アセトン (無水炭酸カリウムで蒸留したもの)および15 g (100 mmol)のヨウ化ナトリウムを加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌し、ついで濾過した。濾液を濃縮し、黄色油を得た。これを90 mLのジクロロメタンに溶解した。有機層を30 mLの水、30 mLの2%チオ硫酸ナトリウム溶液、30 mLの水および30 mLの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄して、8.7 g (30.5 mmol, 77%)の生成物 (34)を淡黄色油として得、これは4℃での保存に際して固化して淡黄色固体となった。LC-MS (M+Na): 307.9。
【0094】
実施例28: 3-[(ロピナビル-Oc)-アセトアミド]-プロピオン酸 (35)の合成
500 mg (0.79 mmol)のロピナビル(lopinavir)に10 mLの無水トルエンを加え、該混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した。この工程を1回繰返した。残渣に4 mLの新たに蒸留されたTHFを加えた。もう1つのフラスコに130 mg (3.25 mmol)の水素化ナトリウム (油中、60%)および4 mLの新たに蒸留されたTHFを加えた。THF中の水素化ナトリウムのこの攪拌懸濁液に、THF中のロピナビルの溶液(前記で調製したもの)を滴下し、該反応混合物を室温で2時間攪拌した。4 mLの新たに蒸留されたTHF中のヨードアセトアミドリンカー (34) (250 mg, 0.87 mmol)の溶液を該反応混合物に加え、該反応を室温で3時間攪拌した。該反応フラスコを氷中で冷却し、該反応を10 mLの50 mM リン酸カリウム (pH 7.5)でクエンチし、室温で30分間攪拌した。得られた混合物に、4 mLの水を加え、ついで250 mg (5.95 mmol)のLiOH・H2Oを加え、該混合物を4℃で18時間攪拌した。該反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣のpHを3〜4に調整し、得られた水性混合物を6×50 mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ (無水Na2SO4)、ロータリーエバポレーターで濃縮して、淡黄色油を得た。LC/MSは生成物の存在を示した。この油を3:1 アセトニトリル/水に溶解し、分取RP-HPLCにより精製して、286 mg (0.37 mmol, 36%)のロピナビル酸誘導体35および83 mgの回収ロピナビル出発物質を得た。ロピナビル酸誘導体35の収率は回収出発ロピナビルに対して53%であった。LC/MS (M+H): 758.3。
【0095】
実施例29: 4-[3-(ロピナビル-Oc)-アセトアミド)-プロピオンアミド]メチル安息香酸メチルエステル (38)の合成
19 mLのジクロロメタン中の255 mg (0.33 mmol)のロピナビル(lopinavir)酸 (35)の溶液を調製した。この磁気攪拌された反応混合物に、264 mg (1.37 mmol)の1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩 (EDC・HCl)を加え、ついで163 mg (1.4 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミドを加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌した。LC/MS分析はm/z 855.3の(M+H)の生成物の生成を示した。この活性化エステル (37)を、単離することなく次工程において使用した。
【0096】
5.6 mLの無水DMF中の210 mg (1.04 mmol)のメチル4-(アミノメチル)ベンゾアート塩酸塩 (Sigma-Aldrich)の磁気攪拌された溶液に、0.76 mL (5.4 mmol)のトリエチルアミンを加え、ついで、前記からin situで調製されたロピナビル脂肪族NHSエステル (37)溶液を加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌し、ついでロータリーエバポレーター、ついで高真空下で濃縮した。残渣を35 mLの水に溶解し、4×100 mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ (Na2SO4)、濃縮した。残渣を2:1 アセトニトリル/水に溶解し、分取RP-HPLCにより精製して、254 mg (0.28 mmol, 83%)の38 を白色固体として得た。LC/MS (M+H): 905.3。
【0097】
実施例30: 4-[3-(ロピナビル-Oc)-アセトアミド)-プロピオンアミド]メチル安息香酸 (39)の合成
10 mLのメタノールおよび10 mLの新たに蒸留されたTHF中のロピナビル(lopinavir)メチルエステル (38, 302 mg, 0.33 mmol)の溶液を調製した。これに、22 mLの水中の22 mg (0.52 mmol)の水酸化リチウム一水和物の溶液を加えた。該反応混合物を室温で3日間攪拌した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、pHを3〜4に調整した。白色固体の形成が観察された。水性混合物を4×60 mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。残渣を2:1 アセトニトリル/水に溶解し、分取RP-HPLCにより精製して、245 mg (0.27 mmol, 82%)のロピナビル安息香酸誘導体39 を白色固体として得た。LC/MS (M+H): 891.3。
【0098】
実施例31: 4-[3-(ロピナビル-Oc)-アセトアミド)プロピオンアミド]メチル安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル (40)の合成
6.8 mLの新たに蒸留されたTHF (ナトリウムおよびベンゾフェノン上で蒸留されたもの)中の128 mg (0.14 mmol)のロピナビル酸39 の溶液に130 mg (0.43 mmol)のO-(N-スクシンイミジル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート (Sigma-Aldrich)および75μL (0.42 mmol)のジイソプロピルエチルアミンを加えた。該反応混合物を室温で3時間攪拌し、ついで減圧下で濃縮した。残渣に5 mLの水を加え、水層を4×10 mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を2:1 アセトニトリル/水に溶解し、分取RP-HPLCにより精製して、102 mg (0.103 mmol, 72%)のロピナビル誘導体 40 を白色固体として得た。LC/MS (M+H): 988.3。
【0099】
実施例32: アタザナビル-Oc-(3-ピリジル)カルバマート (41)の合成
1.0 mLの乾燥DMF中の100 mgのアタザナビル(atazanavir)(20)の溶液に50μL (ちょうど2当量を超える量)のDIEAを加え、ついで45 mg (約2.65当量)の3-イソシアナトピリジン (Oakwood Products Inc., West Columbia, SC 29172; 受領したままの物質を使用)を加え、蓋をしたフラスコ内で該反応を室温で一晩攪拌した。追加的な125 mgの3-イソシアナトピリジン (約7.35当量; 合計 = 10当量)を加え、該反応混合物をヒートガンで加温して、試薬の溶解を引き起こさせ、該反応を一晩攪拌した。LC/MSによる分析は生成物と出発物質との約1:1混合物を示した。溶媒および揮発性物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去した。残渣を1:1 アセトニトリル (MeCN)/水 (H2O)に再溶解し、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物画分を集め、MeCNを除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、白色固体として及び部分TFA塩として割り当てられる生成物 41 を得た。LC/MS: tR 約10.9分, M+H (親) 825.4; 1H-NMR: 適合。
【0100】
実施例33: 4-(6-クロロ-4-シクロプロピルエチニル-2-オキソ-4-トリフルオロメチル-4H-ベンゾ-[d] [1,3]オキサジン-1-イル)-[4-ブチルアミドメチル]安息香酸 (43)の合成
US 2004/0214251(その開示を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている方法により、エファビレンツ(efavirenz)誘導体42 を製造した。91 mg (0.60 mmol)のアミノメチル安息香酸に3 mLの水、650μLの1N NaOH、ついで10 mLの新たに蒸留されたTHFを加えた。この反応混合物に、室温で、7 mLの新たに蒸留されたTHF中の282 mg (0.56 mmol)のエファビレンツNHSエステル (42)の溶液を加えた。該反応のpHを9に2時間維持し、濃縮して、可能な限り多くのTHFを除去した。残渣に150 mLの水を加え、得られた溶液のpHをpH 5に調整した。これを2×100 mLのクロロホルムで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、74 mg (0.14 mmol, 24%)のエファビレンツNHSエステル (43)を白色粉末として得た。LC-MS (M+H) 535.2。
【0101】
実施例34: 4-(6-クロロ-4-シクロプロピルエチニル-2-オキソ-4-トリフルオロメチル-4H-ベンゾ-[d][1,3]オキサジン-1-イル)-[4-ブチルアミドメチル]安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(44)の合成
6 mLのジクロロメタン中の63 mg (0.12 mmol)のエファビレンツ(efavirenz)誘導体43の溶液に47 mg (0.25 mmol)の1-エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を加え、ついで21 mg (0.18 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミドを加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌し、40 mLのジクロロメタンを加えた。有機層を15 mLの水および15 mLの飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、ついで15 mLの水で洗浄した。これを乾燥させ(無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、70 mg (0.11 mmol, 94%)のエファビレンツNHSエステル (44)を白色粉末として得た。LC-MS (M+H) 632.0。
【0102】
実施例35:エファビレンツ-アミノデキストランコンジュゲート (45)
US 6,653,456(その内容を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている方法により、アミノデキストラン (MW 40,000)を製造した。65 mgのアミノデキストランに室温で4.5 mLのDMSOを加えた。すべてのアミノデキストランが溶液中に溶解するまで、該混合物を室温で攪拌した。該反応混合物に19.5μL (0.138 mmol)のトリエチルアミンを加えた。24.6 mg (0.037 mmol)のエファビレンツ誘導体44を3 mLの無水DMSOに溶解し、1 mlのこの溶液を該攪拌アミノデキストラン溶液に滴下した。該混合物を室温で44時間攪拌し、SPECTRAPOR透析管 (Spectrum Medical Industries, 分子量カットオフ2000)内に移し、室温で以下の計画に従い (1 L容量, それぞれ少なくとも8時間)透析 (各透析は1 Lの体積を使用)した: 脱イオン水中の80% DMSO、60% DMSO、40% DMSOおよび20% DMSOならびにそれに続く脱イオン水。該溶液を該透析管から取り出し、凍結乾燥して、60 mgのエファビレンツ-デキストランコンジュゲート45を白色粉末として得た。
【0103】
実施例36: N-(tert-ブチルジメチルシリルオキシエチル)エファビレンツ (18a)の合成
4 mLの無水DMF中の300 mg (0.95 mmol)のエファビレンツ(efavirenz)の溶液に408μL (1.88 mmol)の(2-ブロモエトキシ)-tert-ブチル-ジメチルシラン、275 mg (1.98 mmol)の炭酸カリウム、5 mgの18-クラウン-6および50 mg (0.33 mmol)のヨウ化ナトリウムを加えた。残渣を2×5 mLの酢酸エチルで洗浄し、濃縮した。同じ反応を100 mgのエファビレンツで繰返した。両方のバッチからの粗生成物を合わせ、150 mLの酢酸エチルに溶解した。有機層を3×50 mLの水で洗浄し、乾燥させ(無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、ヘキサン中の20% 酢酸エチルを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、600 mg (1.22 mmol, 97%)のN-(tert-ブチルジメチルシリルオキシエチル)エファビレンツ (18a)を無色ガムとして得た。
【0104】
実施例37: N-ヒドロキシエチルエファビレンツ (19a)の合成
3 mL中の380 mg (0.80 mmol)のN-(tert-ブチルジメチルシリルオキシエチル)エファビレンツ (18a)に、3 mLの新たに蒸留されたTHFを加え、ついで800μLの1M テトラブチルアンモニウムフルオリドを加えた。得られた反応混合物を室温で18時間攪拌し、減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル中の50% ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。単離された生成物は幾らかの不純物を示した。それを更に、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、180 mg (0.50 mmol, 63%)のN-ヒドロキシエチルエファビレンツ (19a)を白色粉末を得た。LC-MS (M+H) 360.0。
【0105】
実施例38: N-イソプロピルエファビレンツ (16a)の合成
300 mg (0.95 mmol)のエファビレンツ(efavirenz)に5 mLの無水DMFを加え、ついで263 mg (1.95 mmol)の無水炭酸カリウム、60 mg (0.040 mmol)のヨウ化ナトリウム、178μL (1.90 mmol)の2-ブロモプロパンおよび5 mgの18-クラウン-6を加えた。得られた反応混合物を120℃で2時間攪拌し、ついで室温に冷却した。該反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。同じ反応を100 mgのエファビレンツで繰返した。両方のバッチからの粗生成物を合わせ、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、295 mg (0.82 mmol, 87%)のN-イソプロピルエファビレンツ (16a)を得た。LC-MS (M+H) 358.0。
【0106】
実施例39: N-イソブチルエファビレンツ (17a)の合成
5 mLの無水DMF中の300 mg (0.95 mmol)のエファビレンツ(efavirenz)の溶液に、272 mg (1.96 mmol)の無水炭酸カリウム、5 mgの18-クラウン-6および225μL (1.94 mmol)の2-ブロモ-2-メチルプロパンを加えた。該混合物を120℃に2時間加熱し、室温に冷却し、濾過した。残渣を2×5 mLの酢酸エチルで洗浄した。すべての濾液を合わせ、減圧下で濃縮した。同じ反応を100 mgのエファビレンツで繰返した。両方のバッチからの粗生成物を合わせ、該残渣を0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、270 mg (0.72 mmol, 57%)のN-イソブチルエファビレンツ (17a)を得た。LC/MS (M+H) 372.0。
【0107】
実施例40: ロピナビルに対する抗体の産生
ロピナビルに対する抗体を、US 7,193,065に記載されているようにして産生させた。
【0108】
実施例41: ロピナビルアミノデキストランコンジュゲートの製造
100mgのアミノデキストラン (AMD)を10 mLの無水ジメチルスルホキシド (DMSO)に溶解した。この溶液に、30μLのトリエチルアミンを加えた。該アミノデキストラン溶液を連続的に攪拌した。無水DMSO (1 mL)中の19.8 mgのロピナビル誘導体40 の溶液を該アミノデキストラン溶液にゆっくり加え、該反応混合物を室温で48時間攪拌した。48時間後、該溶液全体を透析管 (分子量カットオフ = 2000)に移し、DMSOの量を漸減させながらDMSO:水に対して5日間にわたって室温で透析した。水に対する最終透析の後、ロピナビル-アミノデキストランコンジュゲート (LPV-AMD)を凍結乾燥して乾固状態にした。ε250 = 16,495 M-1cm-1を使用し、AMDがその波長でのUV吸光度に有意には寄与しなかったと仮定して、UV-Vis分光法により、LPV:AMDの化学量を決定した。該LPV-AMDコンジュゲートにおけるAMDに対するLPVの比は3.75であることが判明した。
【0109】
実施例42: ロピナビル抗体微粒子の製造
ロピナビル(lopinavir)に対する5つのモノクローナル抗体 (LPV Ab) (1.1.85、1.12.0、1.7.90、1.50.0および1.39.0)をイムノアッセイの開発の際にスクリーニングした。ラテックス微粒子へのモノクローナルロピナビル抗体の共有結合を後記のとおりに行った。
【0110】
1% ラテックス微粒子 (カルボキシ基の数 = 0.21 mmol/g ラテックス, Seradyne Inc.)を、50 mM 2-モルホリノ-エタンスルホン酸 (MES)(pH 5.5)で洗浄することにより、元の保存溶液を含有しないようにした。50 mM MES (pH 5.5)中の所望の体積の1% 微粒子を計り取り、N-ヒドロキシスルホスクシンイミド (スルホ-NHS)を加え、ついで直ちにN-エチル-N'-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (EDC・HCl)を加えることにより、該微粒子を活性化した。各試薬のモル数が、該微粒子の表面上に存在するカルボキシラートの数の10倍となるように、スルホ-NHSおよびEDCの両方を加えた。室温で2時間攪拌した後、該混合物を遠心分離し(15,000 rpm、4℃、45〜60分間)、上清をデカントした。該活性化微粒子を、濃度1%となるよう、音波処理により50 mM 3-モルホリノプロパンスルホン酸 (MOPS)(pH 6.4)に再懸濁させた。COBAS MIRA分析装置での光散乱測定により、音波処理後の単分散が確認された。
【0111】
ラテックス1mg当たりに10μgの抗体が存在するように、50 mM MOPSバッファー (pH 6.4)中のロピナビルモノクローナル抗体の溶液を該再懸濁微粒子に加えた。該抗体-ラテックス混合物を室温で2時間攪拌した。2時間後、50 mM MOPS (pH 6.4)中の50 mg/mLのBSAの溶液を該ラテックス混合物 (2.5 mg BSA/mgラテックス)に加えた。2時間後、0.09%(w/v) NaN3を含有する50 mM MOPS(pH 8.5)中の840 mM 2-アミノエトキシエタノールの溶液を該ラテックス混合物に加えた。一晩攪拌した後、該混合物を遠心分離し (15,000 rpm、4℃、45〜60分間)、該ラテックスを保存バッファー (50 mM MOPS, pH 7.2, 0.1% ウシ血清アルブミン(BSA), 0.09% アジド)に音波処理により再懸濁させた。この後、さらに遠心分離および音波処理を行って、最終的に1% ラテックスを得、これを保存バッファー (50 mM MOPS, pH 7.2, 0.1% BSA, 0.09% アジド)中、2〜8℃で保存した。
【0112】
実施例43: ロピナビル抗体に対するロピナビル類似体の交差反応性
Roche/Hitachi 917臨床化学分析装置 (Roche Diagnostics GmbH)により、37℃でアッセイを行った。該反応混合物 (296μL)は3μLのロピナビル校正用物質またはサンプル(後記のとおり)、実施例34由来の0.05% (w/v) 微粒子、0.4μg/mL LPV-AMDコンジュゲート、0.6〜0.8% (w/v) ポリアクリル酸 (PAA)、50 mM KSCN、5 mM トリエタノールアミン、1.25 mM エチレンジアミン四酢酸、0.5% (w/v) BSA、0.09% (w/v) NaN3、90 mM ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)、25 mM MOPS (pH 7.3)を含有していた。600 nmの波長で該微粒子の凝集を追跡することにより、アッセイを分光光度的にモニターした。
【0113】
0.1%(w/v)D-α-トコフェリルポリエチレングリコール-1000スクシナート (TPGS, Eastman Chemical Co)を含有する治療薬モニター用ヒト血清 (TDM血清)(Valley Biomedical Products and Services, Inc., Winchester, VA)中に0、0.8、1.6、3.2、6.4および12.8μg/mLの濃度でロピナビルを含有する校正用物質のマルチアナライトセットに対して、試薬を校正した。ロピナビル、ロピナビルM-1代謝産物およびそれぞれのロピナビル類似体のエタノールストック溶液を重量測定法により調製した。該エタノールストック溶液からの各薬物を、0.8、1.6、3.2、6.4および12.8μg/mLの濃度へと、TDM血清中にスパイク(spike)することにより、該アッセイ用のサンプルを調製した。各サンプルを3回重複してアッセイした。ロピナビルに対して、該類似体の交差反応性を計算した。得られた結果を以下の表1に示す。
【0114】
別法として、ロピナビル抗体LPV 1.1.85およびLPV 1.7.90を含有するロピナビルイムノアッセイ試薬を、N-カルバモイル-ロピナビル類似体(13)のみを含有する校正用物質に対して校正した。ロピナビルまたはN-カルバモイル-ロピナビル (13)を校正用物質として使用した場合に得られた、ロピナビル抗体LPV 1.1.85およびLPV 1.7.90についての検量線を図12aおよび12bに示す。以下の表1は、ロピナビルと比較した場合の、ロピナビル抗体に対するロピナビル類似体および代謝産物の交差反応性を示す。示されている値は百分率である。
【表1】
【0115】
実施例44: アタザナビルに対する抗体の産生
特許出願公開US 2005/0064517に記載されているようにして、アタザナビルに対する抗体を産生させた。
【0116】
実施例45: アタザナビル-アミノデキストラン・コンジュゲートの製造
US 6,653,456(その開示を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているようにして、アミノデキストラン (AMD)を合成した。そのアミノデキストランは、分子量約40,000で、1モル当たり6個のアミノ基を含有していた。実施例26に記載されているようにして、ATV-N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル誘導体33 を合成した。トリエチルアミン(0.3μL TEA/1mg AMD)の存在下の無水ジメチルスルホキシド (DMSO)中のAMDと8倍〜16倍過剰のATV-NHSエステル誘導体33との反応により、ATV-AMDコンジュゲートを調製した。該反応混合物を室温で23時間攪拌し、ついで、次第に低下するDMSO含量を含有するDMSO-H2O混合物に対して透析した。該最終水溶液を凍結乾燥して乾固状態にした。ε250 = 16,495 M-1cm-1を使用し、AMDがその波長のUV吸光度に有意には寄与しないと仮定して、UV-Vis分光法により、ATV:AMDの化学量を決定した。Virtis Freezemobile 25ES凍結乾燥器で凍結乾燥を行った。UV-可視(UV-Vis)スペクトルをCary 50 Bio分光光度計 (Varian)で記録した。
【0117】
実施例46: アタザナビル抗体微粒子の製造
カルボキシル化ポリスチレン微粒子(Part No. 83000520100390)をSeradyn Inc. (Indianapolis, IN)から10%(w/v)水性懸濁液として得た。平均微粒子直径は約200 nmであり、カルボキシル基の表面電荷密度は0.29 mmol/g (微粒子)であった。DuPont Sorvall RC-5B遠心機で4℃で遠心分離を行った。該微粒子を、使用前に、遠心分離、ならびに水へのおよびそれに続く50 mM 2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)(pH 5.5)への再懸濁を少なくとも3サイクル行うことにより、十分に洗浄した。Homogenizer 4710 Seriesソニケーター(Cole-Parmer)を25〜45%の出力で使用して、超音波の20〜120秒のバーストにより、冷却微粒子の再懸濁を行った。微粒子単分散度および濃度の決定を、複数の波長の光散乱により、COBAS MIRA分析装置で行った。洗浄され再懸濁された微粒子を、必要となるまで、50 mM MES (pH 5.5)中、4℃で保存した。
【0118】
ATV抗体 (クローン5.1、14.3、28.3、36.3、62.1.1、71.1.1からのもの)を以下のとおりに微粒子表面に共有結合させた。50 mM MES (pH 5.5)中の180 mLの1.00% (w/v)微粒子に、同じバッファー中の22.55 mLの50 mg/mL N-ヒドロキシスルホスクシンイミドを加え、次いで20.04 mLの50 mg/mL 水性N-エチル-N'-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライドを加えた。該混合物を室温で1時間攪拌した後、遠心分離(15,000 rpm、4℃、45分間)を行った。該微粒子を50 mM 3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、0.09% (w/v) NaN3(pH 6.4)(バッファーA)に再懸濁して1.0% (w/v)とし、10 mLのアリコートに分割した。バッファーA中に0.25〜1.5 mgのATV Abを含有する2 mLの溶液を各アリコートに加えた。室温で1.5時間攪拌した後、バッファーA中の5 mLの50 mg/mL ウシ血清アルブミン (BSA)を加え、該混合物を室温で更に1.5時間攪拌した後、50 mM MOPS、0.09%(w/v) NaN3 (pH 8.5)中の6.9 mLの840 mM 2-アミノエトキシエタノールを加えた。該混合物を室温で一晩攪拌し、ついで遠心分離 (15,000 rpm、4℃、45分間)に付した。該微粒子を50 mM MOPS、0.1%(w/v) BSA、0.09%(w/v) NaN3 (pH 7.5) (バッファーB)に再懸濁させ、遠心分離 (15,000 rpm、4℃、45分間)により集めた。ペレットをバッファーBに再懸濁させて1.0%(w/v)とし、必要となるまで、4℃で保存した。
【0119】
実施例47: アタザナビル抗体に対するアタザナビル類似体の交差反応性
アタザナビル親薬物および類似体のストック溶液をEtOH中で調製し、各化合物の濃度を、ε250 = 14,520 M-1cm-1 (遊離塩基)を用いて確認した。該EtOHストックを使用して、0.1% (w/v) D-α-トコフェリルポリエチレングリコール-1000スクシナート(TPGS) (Eastman Chemical Co., Kingsport, TN)を含有する購入した治療薬モニター用ヒト血清 (TDM)(Valley Biomedical Products and Services, Inc., Winchester, VA)中の該化合物の0.10〜3.35μg/mL (遊離塩基)のサンプルを調製した。独立して調製したエタノールストックから、同様にして、0.00、0.15、0.33、0.75、1.50および3.00μg/mLのアタザナビル親薬物を含有する1組の校正用物質を調製した。ポリアクリル酸 (PAA, 分子量225,000)をPolysciences Inc. (Warrington, PA)から購入した。Roche/Hitachi 917臨床化学分析装置で37℃でアッセイを行った。該反応混合物 (296μL)は3μLのATV校正用物質、アタザナビル親薬物またはアタザナビル類似体(前記と同様にして調製したもの)、0.05%(w/v) 感作微粒子、0.05〜0.15μg/mL ATV-AMDコンジュゲート、0.5〜1.0%(w/v) PAA、50 mM KSCN、5 mMトリエタノールアミン、1.25 mM エチレンジアミン四酢酸、0.1%(w/v) BSA、0.09%(w/v) NaN3、90 mM ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)および25 mM MOPS (pH 7.3)を含有していた。600nmの波長で微粒子の凝集を追跡することにより、アッセイを分光光度的にモニターした。該類似体の応答を同等濃度の親薬物のものと比較することにより、交差反応性を決定した。各抗体に対するアタザナビルおよびアタザナビル類似体の交差反応性を表2に示す。その交差反応性は、少なくとも3つの独立したセットの測定から得られたものである。該類似体の交差反応性は、親薬物アタザナビルと比較して計算した。示されている値は百分率である。
【表2】
【0120】
実施例48: アタザナビルまたはアタザナビル-Oc-カルバマート(25)を使用した場合の微粒子イムノアッセイ検量線
実施例47に記載されているようにして、0.1%(w/v)TPGSを含有するTDM用ヒト血清中にアタザナビルまたはアタザナビル-Oc-カルバマート (25)の校正用物質を調製した。アタザナビルまたはアタザナビル-Oc-カルバマートの遊離塩基濃度は0.00、0.15、0.33、0.75、1.50および3.00μgml-1であった。抗体ATV5.1で感作された微粒子を使用して、実施例47に記載されているようにしてアッセイを行って、図16に示す検量線を得た。
【0121】
両方の化合物で得られたほぼ重ね合わせられる検量線は、表2における抗体ATV5.1に対するアタザナビル-Oc-カルバマートの交差反応性データを裏付けており、これは、アタザナビルTDMイムノアッセイのための校正用物質としてアタザナビルまたはアタザナビル-Oc-カルバマートのいずれかを使用することにより、アタザナビルを含有する臨床サンプルをアッセイした場合と同様の結果が得られることの更なる確証を提供するものである。
【0122】
実施例49: アタザナビル-Oc-カルバマート校正用物質を使用するアタザナビル微粒子イムノアッセイスパイク回収試験
10人の健常献血者からの個々の血清サンプルを、エタノールストック溶液からのアタザナビルでスパイク(spike)して、0.04〜3.00μgml-1の範囲のアタザナビル濃度を含む55個の異なる血清サンプルを得た。実施例47に記載されているようにして得たアタザナビル-Oc-カルバマート検量線に対するアタザナビル微粒子イムノアッセイにより、各サンプルを定量した。抗体ATV 5.1で感作された微粒子を使用して、最終反応混合物が0.07% (w/v) BRIJ-35 (Croda Uniqema Inc.)を更に含有すること以外は実施例47に記載されているとおりに、該アッセイを行った。スパイク濃度に対するアタザナビルの測定濃度のプロットを、該データの線形回帰分析と共に図17に示す。
【0123】
傾き(0.91)および相関係数(0.994)の両方が必要範囲(それぞれ0.90〜1.10および>0.90)内に含まれる線形回帰分析は、ヒト血漿または血清中のアタザナビルを定量するための校正用物質としてのアタザナビル-Oc-カルバマートの使用の適合性を証明している。
【0124】
実施例50: N-カルバモイル-ロピナビル(13)校正用物質を使用するロピナビル微粒子イムノアッセイスパイク回収試験
10人の健常献血者からの個々の血清サンプルを、エタノールストック溶液からのロピナビルでスパイク(spike)して、0.21〜12.80μgml-1の範囲のロピナビル濃度を含む55個の異なる血清サンプルを得た。実施例43に記載されているようにして得たN-カルバモイル-ロピナビル(13)検量線に対するロピナビル微粒子イムノアッセイにより、各サンプルを定量した。抗体LPV 1.7.90で感作された微粒子を使用して、最終反応混合物が0.08% (w/v) BRIJ-35を更に含有する以外は実施例43に記載されているとおりに、該アッセイを行った。スパイク濃度に対するロピナビルの測定濃度のプロットを、該データの線形回帰分析と共に図18に示す。
【0125】
傾き(1.00)および相関係数(0.994)の両方が必要範囲(それぞれ0.90〜1.10および>0.90)内に含まれる線形回帰分析は、ヒト血漿または血清中のロピナビルを定量するための校正用物質としてのN-カルバモイル-ロピナビルの使用の適合性を証明している。
【0126】
実施例51:エファビレンツに対する抗体の産生
16週齢の雌Balb/cマウスをエファビレンツ-KLH免疫原46を用いて免疫した。エファビレンツ-KLH免疫原46の製造はEP1470 825 A1(その開示を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている。フロイント完全アジュバント中に乳化させた100μgの免疫原による初回免疫化を腹腔内経路により行った。免疫化の間に約3週間の間隔をあけた。すべての後続の免疫化は、同様に腹腔内注射による、フロイント不完全アジュバント中に乳化した同じ投与量によるものであった。合計4回の免疫化を行った。
【0127】
融合
最終免疫化の4日後、該マウスを頚部脱臼により殺し、脾臓を摘出した。脾臓を、加温された細胞培養培地内で無菌すりガラススライドの間で破砕することにより処理した。遊離した細胞を無菌15mL遠心管内に取り、大きな断片を1〜2分間沈降させた。該懸濁細胞を別の無菌15mL遠心管内にピペットで取り、計数のためにサンプルを採取した。F0株(ATCC)の骨髄腫細胞を脾細胞5個当たり骨髄腫細胞1個の割合で加え、得られた混合物を遠心分離して該細胞を小型ペレット内に沈降させた。融合は、骨髄腫細胞(リンパ球の1/5)の添加、遠心分離による洗浄、無血清加温イスコベ改変ダルベッコ培地 (Iscove’s Modified Dulbecco’s Media)(IMDM, Irvine Scientific)への再懸濁、および再遠心分離を含むものであった。得られたペレットを含有する遠心管を穏やかに叩いて該細胞をほぐし、ついで1mLの加温PEG/DMSO溶液 (Sigma Chemicals)を、穏やかに混合しながらゆっくり加えた。該細胞を加温状態で1.5分間維持し、ついで、予め加温された無血清IMDMを1 mL/分、2 mL/分、4 mL/分および10mL/分の速度で加え、ついで該管を50mLまで満たし、密封し、15分間インキュベートした。該細胞懸濁液を遠心分離し、上清をデカントし、10%ウシ胎児血清(Summit Biologicals)を含有するIMDMを加えた。該細胞をもう1度遠心分離し、完全クローニング培地に再懸濁させた。これはIMDM、10% FCS、10% Condimed H1 (Roche Molecular Systems)、4 mM グルタミン、50μM 2-メルカプトエタノール、40μM エタノールアミンおよびpen/strep抗生物質 (すべてSigmaから)を含有していた。該細胞を4×105 リンパ球/mLの密度で懸濁させ、100μL/ウェルで無菌96ウェルミクロ培養プレート内に分配し、5% CO2中、37℃で24時間インキュベートした。翌日、100μLのHMT選択培地(クローニング培地 + 1:25 HMT補充剤 (Sigma Chemicals))を加えた。インキュベーションの6日目の時点で、低真空源に接続された無菌8分岐 (8-place) マニホルドを使用して約150μLの培地を各ウェルから抜き取った。ついで150μLのHT培地を加えた。これはクローニング培地 + 1:50 HT補充剤 (Sigma Chemicals)を含有していた。該プレートをインキュベーターに戻し、増殖の徴候に関して毎日観察した。増殖が十分であると判断されたら、抗体産生に関してELISAによりウェルをスクリーニングした。
【0128】
ELISAスクリーニング
マイクロタイタープレートを0.1M炭酸バッファー (pH 9.5)中の100μLのエファビレンツ-BSAコンジュゲート 47 で37℃ (加湿)で1時間コートした。エファビレンツ-BSAコンジュゲート 47 の製造はEP1470 825 A1に記載されている。ついで該プレートを空にし、Trisバッファー、1% ゼラチン加水分解物、2% スクロースおよび0.17% TWEEN 20 (すべての試薬はSigma Chemicalsから得た)からなるコート後溶液で満たした。該プレートを37℃(加湿)で更に1時間インキュベートし、ついで、0.1% TWEEN 20を含有するリン酸緩衝食塩水で洗浄した。ついで該プレートを手短に0.15M Tris (pH 7.2〜7.4)中の2% スクロース溶液で満たし、ついで空にし、室温で風乾させた。乾燥したら、該プレートを、幾つかの乾燥包剤を含むZIPLOC袋内に入れ、密封し、使用するまで4℃で保存した。
【0129】
増殖中のクローンが試験に十分なものであると判断されたら、該ウェルから25μLの上清を取り、96ウェル可撓性プレートに移した。培養培地を各ウェルに加えて該培地サンプルの1:10希釈物を得た。25μLのPBS-TWEENを1個のコート化プレートの各ウェルに加え、PBS-TWEEN中の800 ng/mL キラルエファビレンツ溶液25μLを別のコート化プレートのウェルに加えた。25μLの該希釈培地サンプルを該コート化プレートのそれぞれに移した。該プレートを、覆われた状態で、37℃で1時間インキュベートし、ついでPBS-TWEENで洗浄した。ついで該ウェルを、PBS-TWEEN中で希釈された100μLのヤギ抗マウスIgG-HRPコンジュゲート (Zymed Labs)で満たし、該プレートを1時間再インキュベートした。ついで該プレートを再洗浄し、100μLのK-BLUE基質 (Neogen Corp)を各ウェルに加えた。5〜15分間にわたって発色させ、100μLの1N HClの添加により該反応を停止させた。マイクロプレートリーダーにより450nmで色を読取り、結果を、解析のためにコンピューターにより収集した。選択の基準は、該PBS-TWEENを受けたエファビレンツ-BSAコンジュゲートコート化ウェルへの結合、および遊離エファビレンツ薬を含有するコート化ウェルへの結合の低下であった。
【0130】
実施例52:エファビレンツ抗体微粒子の製造
カルボキシル化ポリスチレン微粒子(Part No. 83000520100390)をSeradyn Inc. (Indianapolis, IN)から10%(w/v)水性懸濁液として得た。平均微粒子直径は約200 nmであり、カルボキシル基の表面電荷密度は0.21 mmol/g (微粒子)であった。DuPont Sorvall RC-5B遠心機で4℃で遠心分離を行った。該微粒子を、使用前に、遠心分離、ならびに水へのおよびそれに続く50 mM 2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)(pH 5.5)への再懸濁の少なくとも3サイクルにより、十分に洗浄した。Homogenizer 4710 Seriesソニケーター(Cole-Parmer)を25〜45%の出力で使用して、超音波の20〜120秒のバーストにより、冷却微粒子の再懸濁を行った。微粒子単分散度および濃度の決定を、複数の波長の光散乱により、COBAS MIRA分析装置で行った。洗浄され再懸濁された微粒子を、必要となるまで、50 mM MES (pH 5.5)中、4℃で保存した。
【0131】
エファビレンツ (EFV) 抗体 (クローン129.1.1.1、137.1.1.1、142.1.1.1.1、143.1および149.1.3)を以下のとおりに微粒子表面に共有結合させた。50 mM MES (pH 5.5)中の140 mLの1.00% (w/v)微粒子に、同じバッファー中の12.7 mLの50 mg/mL N-ヒドロキシスルホスクシンイミドを加え、11.29 mLの50 mg/mL 水性N-エチル-N'-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライドを加えた。該混合物を室温で1時間攪拌した後、遠心分離(15,000 rpm、4℃、50分間)を行った。該微粒子を50 mM 3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、0.09% (w/v) NaN3(pH 6.4)(バッファーA)に再懸濁して1.00% (w/v)とし、10 mLのアリコートに分割した。バッファーA中に0.25〜1.5 mgのEFV Abを含有する2 mLの溶液を各アリコートに加えた。室温で1.5時間攪拌した後、バッファーA中の5 mLの50 mg/mL ウシ血清アルブミン (BSA)を加え、該混合物を室温で更に1.5時間攪拌した後、50 mM MOPS、0.09%(w/v) NaN3 (pH 8.5)中の5.0 mLの840 mM 2-アミノエトキシエタノールを加えた。該混合物を室温で一晩攪拌し、ついで遠心分離 (15,000 rpm、4℃、50分間)に付した。該微粒子を50 mM MOPS、1.0%(w/v) BSA、0.09%(w/v) NaN3 (pH 7.5) (バッファーB)に再懸濁させ、遠心分離 (15,000 rpm、4℃、50分間)により集めた。ペレットをバッファーBに再懸濁させて1.00%(w/v)とし、必要となるまで、4℃で保存した。
【0132】
実施例53:エファビレンツ抗体に対するエファビレンツ類似体の交差反応性
エファビレンツ親薬物および類似体のストック溶液をEtOH中で調製し、各化合物の濃度を、ε250 = 14,806 M-1cm-1 (遊離塩基)を用いて確認した。該EtOHストックを使用して、0.1% (w/v) D-α-トコフェリルポリエチレングリコール-1000スクシナート(TPGS) (Eastman Chemical Co., Kingsport, TN)を含有する購入した治療薬モニター用ヒト血清 (TDM)(Valley Biomedical Products and Services, Inc., Winchester, VA)中の該化合物の1.00〜7.00μg/mL (遊離塩基)のサンプルを調製した。独立して調製したエタノールストックから、同様にして、0.00、0.60、1.20、2.40、4.80および9.60μg/mLのエファビレンツ親薬物を含有する1組の校正用物質を調製した。Roche/Hitachi 917臨床化学分析装置で37℃でアッセイを行った。該反応混合物 (296μL)は3μLのエファビレンツ校正用物質、エファビレンツ親薬物またはエファビレンツ類似体(前記と同様にして調製したもの)、0.05%(w/v) 感作微粒子、0.10〜0.20μg/mL EFV-アミノデキストランコンジュゲート45、0.7〜1.1%(w/v) ポリアクリル酸(PAA, 分子量225,000, Polysciences Inc. (Warrington, PA)から購入)、50 mM KSCN、5 mMトリエタノールアミン、1.25 mM エチレンジアミン四酢酸、0.1%(w/v) BSA、0.09%(w/v) NaN3、90 mM ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)、25 mM MOPS (pH 7.2)、および表3に示すとおりの界面活性剤を含有していた。600nmの波長で微粒子の凝集を追跡することにより、アッセイを分光光度的にモニターした。該類似体の応答を同等濃度の親薬物のものと比較することにより、交差反応性を決定した。各抗体に対するエファビレンツおよびエファビレンツ類似体の交差反応性を表3に示す。
【表3】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2006年10月30日付け出願の米国仮出願第60/863,442号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、治療薬のモニタリングの分野、特に、生物学的サンプル中のHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの存在または量を決定するためのイムノアッセイ方法に関する。より詳しくは、本開示は、サンプル中に存在する親薬物の量を測定するためのイムノアッセイにおける陽性対照として又は校正用物質として有用であるHIVプロテアーゼインヒビターおよび非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの類似体を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
後天性免疫不全症候群(エイズ)を有する患者の臨床ケアは、HIVプロテアーゼインヒビターおよびHIV逆転写酵素インヒビターの導入により相当に改善されている。
【0004】
現在、アンプレナビル(amprenavir)、フォスアンプレナビル(fosamprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)を含む多数のHIVプロテアーゼインヒビターがエイズ患者の治療のために米国食品医薬品局(FDA)により承認されている。HIVプロテアーゼインヒビターおよびHIV逆転写酵素インヒビターを含む併用療法が、HIV感染に対する現在推奨されている療法の基軸となっている。HIV逆転写酵素インヒビターは、それらがヌクレオシドまたは非ヌクレオシド類似体であるか否かに応じて、2つの一般クラスに分類される。ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI)は、それらの活性ヌクレオチド形態へと細胞内で変換されるプロドラッグである。一方、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)は、患者に投与される活性薬物形態である。現在、デラビルジン(delavirdine)、エファビレンツ(efavirenz)およびネビラピン(nevirapine)の3つのNNRTIがエイズ患者の治療のために米国食品医薬品局により承認されている。すべてのエイズ患者が併用療法計画に対して同じ最適応答を示すわけではなく、個々の患者の間で薬物応答における大きなばらつきが存在する。臨床情報を蓄積することにより、プロテアーゼインヒビターまたはNNRTIに対する全身曝露とそれらの抗ウイルス効果との間の関係が裏付けられている。併用療法計画を患者に施す場合、潜在的な薬物動態学的薬物-薬物相互作用が治療を改善し又はその効果を弱めうる。適度な薬物レベルの維持に直接関連する患者のコンプライアンスも治療の結果に影響を及ぼしうる。
【0005】
したがって、薬物曝露が、エイズ患者における抗ウイルス活性を維持するのに十分なものであることを保証するために、患者におけるHIVプロテアーゼインヒビターおよびNNRTIの濃度を測定することが望ましい。そのような定量的測定方法は、親薬物を含む校正用物質または参照用標準物質を使用して注意深く校正され、品質管理される必要がある。これは、測定方法がイムノアッセイである場合に特に言えることである。しかし、そのような標準物質は、しばしば、商業的に入手可能でないか、または常套的測定に適さないことが問題である。HIV薬を検出し測定するためのイムノアッセイ法の場合において、驚くべきことに、対応親薬物と免疫化学的に同等であり校正用物質および陽性対照として該親薬物の代わりに使用されうるHIVプロテアーゼおよびNNRTIの類似体が製造されうることが見出された。
【発明の概要】
【0006】
発明の要旨
本明細書に開示されているとおり、親HIVプロテアーゼインヒビターおよびNNRTI化合物のそれぞれに対して産生された抗体に対して親薬物と免疫化学的に同等な結合アフィニティーを示す、HIVプロテアーゼインヒビターおよびNNRTIの類似体を提供する。したがって、アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)またはサキナビル(saquinavir)のプロテアーゼインヒビター類似体を提供し、ここで、該親薬物の中央のヒドロキシル基は、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2COOR3および-OCH2CONHR3から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである。したがって、C1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化されている、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの類似体も提供する。そのようなHIVプロテアーゼインヒビターおよびNNRTI類似体は、それぞれ親プロテアーゼインヒビターおよびNNRTI化合物と免疫化学的に同等である。
【0007】
より詳しくは、1つの実施形態においては、アタザナビル(atazanavir)(ATV)の免疫化学的に同等な類似体を提供し、ここで、該類似体は、構造:
【化1】
[式中、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する。
【0008】
もう1つの特定の実施形態においては、ロピナビル(lopinavir)(LPV)の免疫化学的に同等な類似体を提供し、ここで、該類似体は、構造:
【化2】
[式中、R1は、Hおよび-CONHR3からなる群から選ばれ、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する。
【0009】
もう1つの特定の実施形態においては、エファビレンツ(efavirenz)(EFV)の免疫化学的に同等な類似体を提供し、ここで、該類似体は、構造:
【化3】
[式中、RはC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHである]
を有する。
【0010】
免疫化学に基づく実験において使用するための陽性対照としての、又はイムノアッセイにおいて使用するためのHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターについての検量線(校正曲線)を確立または作成するための、本明細書に開示されている免疫化学的に同等な類似体の使用方法も提供する。1つの特定の実施形態においては、本明細書に開示されているプロテアーゼインヒビター類似体を使用して、アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれるプロテアーゼインヒビターについての検量線を作成する。そのような検量線の作成方法は、該プロテアーゼインヒビターの免疫化学的に同等な類似体であって、ここで該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基が、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2CONHR3および-OCH2COOR3から選ばれる基で置換されており、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、R5はHまたはC1-C6アルキルである類似体を含む、一連のサンプルを調製することを含む。ついで各サンプルを一定量の抗体、および該HIV薬の標識コンジュゲートと、接触させる。限られた数の抗体結合部位に関して、該標識コンジュゲートと該HIV薬物類似体との間で競合が生じる。一定の反応時間の後、該抗体に結合した標識コンジュゲートの量を検出する。(あるいは、遊離状態、すなわち未結合状態のままの標識コンジュゲートの量を検出できることも当業者は認識するであろう。)ついで、該標識コンジュゲートからのシグナルと、存在する薬物類似体の量との間で反比例関係を示す検量線を構築する。そのような検量線は、親薬物から得られる曲線と実質的に同等である。
【0011】
もう1つの特定の実施形態においては、HIV非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターであるエファビレンツ(efavirenz)の検量線を確立する方法を提供する。該方法は、C1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化されている、所定範囲の濃度の、該非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの免疫化学的に同等な類似体を含む、一連のサンプルまたは1組の校正用物質を調製する工程を含む。ついで各サンプルを一定量の抗体、およびNNRTIとシグナル生成部分または標識とを含むコンジュゲートと、接触させる。限られた数の抗体結合部位に関して、該標識コンジュゲートと該NNRTI薬物類似体との間で競合が生じる。一定の反応時間の後、該抗体に結合した標識コンジュゲートを検出し、測定する。ついで、該標識コンジュゲートからのシグナルと、存在する薬物類似体の量との間で反比例関係を示す検量線を構築する。そのような検量線は、親薬物から得られる曲線と実質的に同等である。
【0012】
さらに、サンプル中に存在するHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの量を決定または測定するための試験キットを提供する。1つの実施形態に従う該キットは、HIVプロテアーゼインヒビターに特異的に結合する抗体、および該プロテアーゼインヒビターの免疫化学的に同等な類似体であって該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基は、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2CONHR3および-OCH2COOR3から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである類似体、を含む。
【0013】
より詳しくは、1つの実施形態においては、サンプル中のロピナビル(lopinavir)を測定するためのキットを提供し、ここで、該キットは、ロピナビルに特異的に結合する抗体、および構造:
【化4】
[式中、R1は、Hおよび-CONHR3からなる群から選ばれ、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]を有する免疫化学的に同等なロピナビル類似体、
を含む。
【0014】
もう1つの特定の実施形態においては、生物学的サンプル中のアタザナビル(atazanavir)を測定するための試験キットを提供し、ここで、該キットは、アタザナビルに特異的に結合する抗体、および構造:
【化5】
[式中、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する免疫化学的に同等なアタザナビル類似体、
を含む。
【0015】
もう1つの特定の実施形態における該キットは、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターに特異的に結合する抗体、および該非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの免疫化学的に同等な類似体を含み、ここで、該類似体はC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化されている。特定の実施形態においては、エファビレンツ(efavirenz)に特異的に結合する抗体、および構造:
【化6】
[式中、RはC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHである]
を有するエファビレンツ類似体、を含む、サンプル中のエファビレンツの量を測定するためのキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本明細書に記載されている種々のHIVプロテアーゼインヒビター化合物の構造を示す。矢印は各構造中の該当する中央のヒドロキシル基を示す。
【図2】図2は、ロピナビル-Oc-メチルエーテル(2)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図3】図3は、ロピナビル-Oc-(メトキシカルボニルメチル)エーテル(3)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図4】図4は、ロピナビル-Oc-(N-tert-ブチルカルバモイルメチル)エーテル(6)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図5】図5は、ロピナビル-Oc-カルバマート(8)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図6】図6は、N-カルバモイル-ロピナビル-Oc-カルバマート(10)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図7】図7は、N-カルバモイル-ロピナビル(13)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図8】図8は、N-アルキル化エファビレンツ類似体14、15、16、16a、17および17aの合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図9】図9は、N-(ヒドロキシプロピル)エファビレンツ(19)およびN-(ヒドロキシエチル)エファビレンツ(19a)の合成のための合成スキームの概要図を示す。
【図10】図10は、アタザナビル-Oc-エチルカルバマート(21)、アタザナビル-Oc-イソプロピルカルバマート(22)、アタザナビル-Oc-tert-ブチルカルバマート(23)、アタザナビル-Oc-カルバマート(25)およびアタザナビル-Oc-(3-ピリジル)カルバマート(41)の合成のための合成スキームの概要図である。
【図11】図11は、アタザナビル-Oc-メチルエーテル(26)およびアタザナビル-Oc-(ヒドロキシエチル)エーテル(28)の合成のための合成スキームの概要図である。
【図12】図12aは、ロピナビルおよびN-カルバモイル-ロピナビル(13)を校正用物質として使用して得たロピナビル抗体LPV 1.1.85についての検量線を示す。図12bは、ロピナビルおよびN-カルバモイル-ロピナビル(13)を校正用物質として使用して得たロピナビル抗体LPV 1.7.90についての検量線を示す。
【図13】図13は、アタザナビル-Oc-カルボニル-アミノブチロイル-アミノメチル安息香酸NHSエステル(33)の合成のための合成スキームの概要図である。
【図14】図14は、3-(2-ヨード-アセトアミド)-プロピオン酸エチルエステル(34)の合成のための合成スキームの概要図である。
【図15】図15は、4-[3-(ロピナビル-Oc)-アセトアミド)プロピオンアミド]メチル安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(40)の合成のための合成スキームの概要図である。
【図16】図16は、アタザナビルおよびアタザナビル-Oc-カルバマートを校正用物質として使用するアタザナビル微粒子イムノアッセイについての検量線を示す。
【図17】図17は、アタザナビルでスパイクされアタザナビル-Oc-カルバマート検量線に対してアッセイされた血清サンプルを使用するアタザナビル微粒子イムノアッセイのスパイク回収試験を示す。
【図18】図18は、ロピナビルでスパイクされN-カルバモイル-ロピナビル検量線に対してアッセイされた血清サンプルを使用するロピナビル微粒子イムノアッセイのスパイク回収試験を示す。
【図19】図19は、エファビレンツアミノデキストラン・コンジュゲート(45)の合成のための合成スキームの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書中で用いる「特異的に結合」なる語は、例えばリガンド/標的ペア、酵素/基質ペア、受容体/アゴニストペア、抗体/抗原ペアおよびレクチン/糖鎖ペアを含む、ペアになった2種間の、高いアビディティおよび/または高いアフィニティでの結合を意味する。該結合相互作用は、共有性もしくは非共有性相互作用、または共有性相互作用と非共有性相互作用の組合せにより媒介されうる。
【0018】
本明細書中で用いる「抗体」なる語は、少なくとも1つの結合ドメインから構成されるポリペプチドを意味する。抗原の抗原決定基の特徴に相補的な内部表面形状および電荷分布を有する三次元結合空間を形成し、該抗原との免疫反応を可能にする、抗体分子の可変ドメインのフォールディングから、抗体結合ドメインが形成される。特に示さない限り、抗体に対する一般的言及はポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を包含する。「抗体」なる語は、結合ドメインを含む組換えタンパク質、ならびに抗体のフラグメント、例えばFab、Fab'、F(ab)2およびF(ab')2をも含む。
【0019】
本明細書中で用いる「免疫化学的に同等」なる語は、同様のアフィニティで単一の抗体に結合する2以上の関連化合物に関して言及するものであり、ここで、該抗体は、免疫化学的に同等な化合物群のメンバーの1つに対して産生されたものであって、該メンバーに特異的に結合するものである。より詳しくは、免疫化学的に同等な化合物は、抗体の産生相手である化合物を使用して得られる場合の約70%〜約130%の範囲内で、イムノアッセイにおいて該抗体と交差反応する。
【0020】
「C1-Cnアルキル」なる語は、1個〜特定個数の炭素原子を有する分枝状または直鎖状アルキル基を表す。典型的なC1-C6アルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書中で用いる「アリール」なる語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなど(これらに限定されるものではない)を含む、1個または2個の芳香環を有する単環式または二環式炭素環系を意味する。アリール基(二環式アリール基を含む)は置換されていなくてもよいし、または、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、ハロおよびニトロから独立して選ばれる1個、2個または3個の置換基で置換されていてもよい。また、置換されたアリール基には、テトラフルオロフェニルおよびペンタフルオロフェニルが含まれる。
【0022】
本明細書中で用いる「ヘテロアリール」なる語は、1個または2個の芳香環を含有し少なくとも1つの窒素、酸素または硫黄原子を芳香環内に含有する単環式または二環式環系を意味する。ヘテロアリール基(二環式ヘテロアリール基を含む)は置換されていなくてもよいし、または、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、ハロおよびニトロから独立して選ばれる1個、2個または3個の置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基の具体例には、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラゾール、トリアゾール、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、チアジアゾール、オキサゾール、ピロール、イミダゾールおよびイソオキサゾールが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本明細書中で用いる「ヘテロアルキル」なる語は、アルキル鎖の骨格内に1以上の窒素、酸素または硫黄原子を含有するアルキル鎖を意味する。
【0024】
「好ましくは」、「一般に」および「典型的には」のような語は、本明細書においては、特許請求されている本発明の範囲を限定するために、あるいは、ある特徴が、特許請求されている本発明の構造または機能にとって決定的に重要、必須または更には重要であることを示唆するために用いられているものでもないことに留意されたい。むしろ、これらの語は単に、本発明の特定の実施形態において用いられても用いられなくてもよい代替的または追加的特徴を強調することを意図したものである。
【0025】
本発明を記載し定義する目的において、「実質的」なる語は、本明細書においては、いずれかの定量的な比較、値、測定または他の表示に起因すると考えられうる本来的な不確実度を表すために用いられていることに留意されたい。「実質的」なる語は、本明細書においては、定量的な表示が、問題の対象物の基本的機能の変化をもたらすことなく、示されている基準から変動しうる度合を表すためにも用いられる。
【0026】
より詳しくは、「実質的に同等」なる語は、1組の校正用物質において個々のサンプルに関して得た結果、または個々の校正用物質に関して測定した吸光度、またはそのような結果もしくは吸光度の測定から作成した曲線が、該アッセイの精度の限度内であることを意味する。特に、類似体校正用物質を使用して得たスパイクおよび回収曲線の傾きが理想値の10%以内であれば、類似体化合物を使用して製造した校正用物質または標準物質は、親薬物を使用して製造した校正用物質または標準物質と実質的に同等であるとみなされる。すなわち、親薬物を使用して作成した曲線の傾きが1.0である場合、類似体校正用物質を使用して作成したスパイクおよび回収曲線の傾きは0.9〜1.1であるべきである。
【0027】
本明細書中で用いる、HIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの「類似体」は、該HIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターに特異的に結合する抗体の結合アフィニティに関して該HIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターと実質的に同じ様態で挙動する、該HIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターに由来する化学的化合物を意味する。
【0028】
「誘導体」なる語は、1以上の化学的反応により「親」化合物または分子から製造された化学的化合物または分子を意味する。本発明においては、親化合物はHIVプロテアーゼインヒビターおよび非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターであり、類似体は、それぞれ、該HIVプロテアーゼインヒビターおよび非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの誘導体である。
【0029】
本明細書中で用いる「シグナル生成部分」は、担体物質または分子に結合している場合にHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターのようなアナライトを検出するために使用されうる同定用タグまたは標識である。標識は、その担体物質に、直接的に、または連結もしくは架橋部分により間接的に結合されうる。シグナル生成部分の具体例には、酵素、例えばβ-ガラクトシダーゼおよびペルオキシダーゼ、蛍光化合物、例えばローダミンおよびフルオレセインイソチオシアナート(FITC)、発光化合物、例えばジオキセタンおよびルシフェリン、放射性同位体、例えば125I、および微粒子が含まれる。
【0030】
関心のあるHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを含有することが合理的に疑われる任意のサンプルが本発明の方法により分析されうる。該サンプルは、典型的には、水溶液、例えば宿主からの体液、例えば尿、全血、血漿、血清、唾液、精液、糞便、喀痰、脳脊髄液、涙、粘液などであるが、好ましくは、血漿または血清である。所望により、該サンプルは前処理されてもよく、アッセイを妨げない任意の簡便な媒体中で調製されうる。水性媒体が好ましい。
【0031】
「校正用物質」は、測定すべきHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの既知量を含有する任意の標準または参照(基準)物質を意味する。関心のあるHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを含有する疑いのあるサンプルおよび一般には1組の校正用物質を同様の条件下でアッセイする。ついで、未知サンプルに関して得られた結果を、校正用物質または1組の校正用物質に関して得られた結果と比較することにより、サンプル中のHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの濃度を決定する。これは一般に、例えば図12aおよび12bのような検量線を作成することにより行われる。
【0032】
「陽性対照」は、関心のあるHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの既知量を含有するサンプルである。関心のあるHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを含有する疑いのあるサンプルを同様の条件下でアッセイし、未知サンプルに関して得られたアッセイ結果の精度を、陽性対照において得られた回収率により決定する。
【0033】
種々のHIVプロテアーゼインヒビターに関して本明細書中で用いられている略語は、当分野において用いられる標準に現在なりつつある略語であり、例えば、ATVはアタザナビル(atazanavir)を表し、LPVはロピナビル(lopinavir)を表し、EFVはエファビレンツ(efavirenz)を表す。参照により本明細書に組み入れる特定の特許出願は、同じHIVプロテアーゼインヒビターに関して旧略語を用いている可能性がある(例えば、アタザナビルを表すATZ、ロピナビルを表すLOPIN、およびエファビレンツを表すEFA)。しかし、それらの新旧両方の略語は同じHIVプロテアーゼインヒビターを示す。
【0034】
本発明のもう1つの態様は、HIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターについての検量線を確立するため、およびサンプル中のHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの測定のためのアッセイを行うために有用な試験キットに関する。本発明の方法において有用な試薬は、それらの試薬の比率が該方法およびアッセイの十分な最適化をもたらすように、パッケージングされた組合せで、同じ又は別々の容器中に、液体または凍結乾燥形態で、便利に提供されうる。それらの試薬はそれぞれ、別々の容器内に存在してもよく、あるいは種々の試薬を、該試薬の交差反応性および安定性に応じて、1以上の容器中に組合せてもよい。該試験キットは一般には、適当な校正用物質、対照および使用のための説明書を含む。
【0035】
1つの実施形態においては、親薬物化合物と免疫化学的に同等なHIVプロテアーゼインヒビター薬の類似体を提供する。より詳しくは、1つの実施形態においては、抗体に基づくイムノアッセイにおいて薬物校正用物質および/または陽性対照として使用されうるように、親プロテアーゼインヒビターと免疫化学的に同等なHIVプロテアーゼインヒビター類似体を提供する。1つの実施形態においては、HIVプロテアーゼインヒビター類似体は、その親化合物を使用して得られた場合に比して約80%〜約120%の、イムノアッセイにおける交差反応性を有する。もう1つの実施形態においては、HIVプロテアーゼインヒビター類似体は、その親化合物を使用して得られた場合に比して、イムノアッセイにおいて約90%〜約115%の交差反応性を有する。もう1つの実施形態においては、プロテアーゼインヒビターが、アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれ、該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基が、エーテルまたはカルバマートを形成するよう誘導体化されている、HIVプロテアーゼインヒビター類似体を提供する。
【0036】
もう1つの実施形態においては、アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれるプロテアーゼインヒビターを含み、該インヒビターは、その中央のヒドロキシル基を-O(C1-C10アルキル)、-CH2COOR3、-CONHR3または-CH2CONHR3で置換することにより修飾されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである。
【0037】
1つの実施形態においては、ロピナビル(lopinavir)の免疫化学的に同等な類似体を提供する。ロピナビルの構造は以下のとおりである。
【化7】
【0038】
1つの実施形態においては、ロピナビル(lopinavir)の中央のヒドロキシル基が、エーテルもしくはカルバマートを形成するよう誘導体化されており、および/またはN-カルバマート基が末端環状尿素に付加されている、ロピナビルの免疫化学的に同等な類似体を提供する。1つの実施形態においては、免疫化学的に同等なロピナビル類似体は、構造:
【化8】
[式中、R1は、Hおよび-CONHR3からなる群から選ばれ、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する。
【0039】
ロピナビル(lopinavir)に関する抗体に基づくアッセイのための薬物校正用物質および/または陽性対照としての使用に適したロピナビル類似体の具体例には、以下の化合物が含まれる。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0040】
1つの実施形態においては、アタザナビル(atazanavir)の免疫化学的に同等な類似体を提供する。アタザナビルの構造は以下のとおりである。
【化15】
【0041】
1つの実施形態においては、構造:
【化16】
[式中、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する、アタザナビル(atazanavir)の免疫化学的に同等な類似体を提供する。別の実施形態においては、R4は、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、HまたはC1-C4アルキルである。別の実施形態では、R4は、-CONHR3であり、R3は、HまたはCH2CH3である。
【0042】
もう1つの実施形態においては、アタザナビル(atazanavir)の中央のヒドロキシル基が、カルバマートを形成するよう誘導体化されている、アタザナビルの免疫化学的に同等な類似体を提供する。1つの実施形態においては、アタザナビルの免疫化学的に同等な類似体は、構造:
【化17】
[式中、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する。
【0043】
アタザナビル(atazanavir)を測定するための、抗体に基づくアッセイにおいて、校正用物質または陽性対照として使用するアタザナビル類似体の具体例には、以下の化合物が含まれる。
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【0044】
1つの実施形態により、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)の免疫化学的に同等な類似体を提供する。より詳しくは、1つの実施形態においては、サンプル中のNNRTIを測定するための、抗体に基づくイムノアッセイにおいて校正用物質および/または陽性対照として使用されうるように、親NNRTIと免疫化学的に同等なNNRTI類似体を提供する。1つの実施形態においては、NNRTI類似体は、親NNRTI化合物を使用して得られた場合に比して、イムノアッセイにおいて約80%〜約120%の交差反応性を有する。もう1つの実施形態においては、NNRTI類似体は、親NNRTIを使用して得られた場合に比して、イムノアッセイにおいて約90%〜約115%の交差反応性を有する。1つの実施形態においては、NNRTI類似体はエファビレンツ(efavirenz)である。1つの実施形態においては、エファビレンツのN-アルキル化類似体を提供する。エファビレンツの構造は以下のとおりである。
【化22】
【0045】
サンプル中のエファビレンツ(efavirenz)を測定するための、抗体に基づくアッセイにおいて薬物校正用物質および/または陽性対照としての使用に適したエファビレンツ類似体の具体例には、以下の化合物が含まれる。
【化23】
【0046】
本発明はまた、サンプル中のHIVプロテアーゼインヒビターおよび非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを測定するためのアッセイ試薬を含有する試験キットを含む。該キットは更に、該アッセイを行うために使用する試薬を含む、パッケージングされた組合せでの、種々の容器、例えばバイアル、チューブ、ボトルなどを含む。好ましくは、該キットはまた、使用説明書を含む。1つの実施形態においては、該試験キットは、サンプル中の検出すべきHIV薬に特異的に結合する抗体および検出すべきHIV薬の免疫化学的に同等な類似体を含む。1つの実施形態においては、キットは、ロピナビル(lopinavir)に特異的に結合する抗体およびロピナビル類似体であるロピナビル-Oc-(N-tert-ブチルカルバモイルメチル)エーテル (6)を含む。もう1つの実施形態においては、キットは、ロピナビル抗体およびロピナビル類似体であるN-カルバモイル-ロピナビル(13)を含む。1つの実施形態においては、キットは、アタザナビル(atazanavir)に特異的に結合する抗体および類似体アタザナビル-Oc-カルバマート (25)を含む。もう1つの実施形態においては、キットは、アタザナビルに特異的な抗体および類似体アタザナビル-Oc-エチルカルバマート (21)を含む。したがって、本明細書に開示されているキットは、そのキットで供給される薬物類似体を使用して検出または測定すべきHIVプロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターについて検量線を確立または作成するために使用されうる。該類似体は親薬物の阻害活性を有していても有していなくてもよい。しかし、該類似体は親薬物と免疫化学的に同等であるため、薬物類似体を使用して確立された検量線は、イムノアッセイ由来の検出シグナルに基づいて、所与のサンプル中の当該薬物の濃度を決定するために用いられうる。
【0047】
これらのプロテアーゼインヒビターならびにNNRTI類似体および誘導体は、後記方法および当業者に公知の方法を用いて合成されうる。ロピナビル(lopinavir)の場合、該分子も、中央のヒドロキシル基に加えて、環状テトラヒドロピリミジノン部分上に酸性窒素原子を含有する。該窒素での選択的修飾は該中央のヒドロキシル基の保護を要する。多数の適当な保護基が当技術分野でよく知られている。例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”, 2nd edition, T. GreeneおよびP. Wuts, Wiley-Interscience, 1991を参照されたい。
【0048】
該中央のヒドロキシル基は、シリル保護基、例えばTBDMS(t-ブチルジメチルシリル)またはTBDPS(t-ブチルジフェニルシリル)基として保護されうる。ロピナビル(lopinavir)の中央のヒドロキシル官能性を保護するために、エステル基も用いることができ、塩基(好ましくはピリジン)の存在下でのアセタート基(図7の化合物11を参照されたい)]も好ましい。ロピナビルの中央のヒドロキシル基の保護は、溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)中、典型的には0.5時間〜7日間に及ぶ時間にわたって行われる。該中央のヒドロキシル基の保護の後、保護されたイソシアナート、最も好ましくはトリクロロアセチルイソシアナートを使用して、該環状テトラヒドロピリミジノン部分上の酸性窒素を修飾してもよい。トリクロロアセチルイソチオシアナートは、ロピナビルN-チオカルバモイル類似体を製造するためにも使用されうる。塩基性条件下の加水分解は該中央のアセタート基ならびに保護されたN-カルバモイル基の両方を脱保護して、所望のロピナビルN-カルバモイル類似体(図7の化合物13)を与える。
【0049】
もう1つの実施形態においては、二置換ロピナビル類似体である保護N-カルバモイルロピナビルOc-カルバマートが、ロピナビルを過剰の保護イソシアナート試薬、好ましくはトリクロロアセチルイソシアナートと反応させることにより製造されている。塩基性条件下(好ましくは水性炭酸カリウムを使用)での加水分解は所望のN-カルバモイルロピナビルOc-カルバマート(図6の化合物10)を与える。
【0050】
もう1つの実施形態においては、ロピナビル保護Oc-カルバマートが、ロピナビルを限定量のトリクロロアセチルイソシアナートと反応させることにより製造されている。塩基性条件下(好ましくは水性炭酸カリウムを使用)の加水分解は所望のロピナビルOc-カルバマート(図5の化合物8)を与える。
【0051】
もう1つの実施形態においては、ロピナビルの中央のヒドロキシル基はエーテル結合により修飾されうる。制御された条件下、種々のハロアルキル化剤を使用して、例えば、溶媒(好ましくはDMF)中、0℃〜室温の範囲の温度で、限定量の塩基(好ましくは水素化ナトリウム)の存在下で限定量のアルキル化剤を使用して、ロピナビルの中央のヒドロキシル官能性を修飾することが可能である。ロピナビル類似体である、図2の化合物2および図3の化合物3を参照されたい。
【0052】
ロピナビル類似体のエステル基の加水分解は、酸性または塩基性条件下、好ましくは塩基性条件下、例えば0℃〜室温で水酸化リチウム下で、達成されうる(図4)。得られた酸性官能性は、種々の活性化剤、好ましくは1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-3-エチル-カルボジイミド (EDC)またはN-ヒドロキシスクシンイミドを使用することにより活性化されうる。得られた活性化エステルを、アミン、好ましくはt-ブチルアミンと反応させて、ロピナビルt-ブチルアミド類似体(図4の化合物6)を得ることが可能である。
【0053】
アタザナビル(atazanavir)も、他のプロテアーゼインヒビターで認められる中央のヒドロキシル基を有するが、アタザナビルにおいては、該基は、その特異的構造特性、例えば、その近傍にある立体的に必要なフェニル-ピリジル部分(これに限定されるものではない)、により影響される反応性を有する。ヒドロキシル基における置換を行って、アルキル化類似体、例えばメチル、エチルまたはアルキル類似体を得ることが可能である。そのような置換は、ハロゲン化アルキルとの反応により、該アルキル部分上に存在する他の適切に保護された官能性の存在下または非存在下、触媒または媒介試薬、例えば遷移金属塩、例えばロージウム塩または酸化銀の存在下、適当な溶媒(例えば、DMF、THFなど)中で、典型的には室温〜約100℃の温度で行われうる。アルキル化剤、例えば、適切に保護されたα-ハロアセタート、アジ化アルキル、アジドアセタート、アジドアルカノアート、ジアゾアセタート、ジアゾアルカノアート、アルキルトシラートなどが想定されうるが、他の試薬も当業者には示唆されるであろう。例えば、DMFのような溶媒中、酸化銀の存在下、ハロゲン化アルキル、例えばヨウ化メチルとの反応は、実施例20に示すとおり、Oc-メチルエーテル26を与えるし、テトラヒドロピラン保護ブロモエタノールとの反応は、実施例21に記載のとおり、Oc-エチレンアルコール28を与える。それほど好ましくはないが、水素化金属のような塩基を使用して、ヒドロキシル基を脱プロトン化し、ついで適当なアルキル化試薬、例えばハロゲン化アルキル、アジド、トシラートなどと反応させることも可能であり、この場合、副生成物または転位生成物が生成する可能性がある。
【0054】
もう1つのアプローチは、アタザナビル(atazanavir)または他のプロテアーゼインヒビターのヒドロキシル基をアルキルまたはアリールイソシアナートまたはイソチオシアナートと反応させて、該ヒドロキシルの位置にカルバマート結合を有する単純な類似体を得ることであり、この場合、該酸素は今や、該カルバマート結合の一部を含む。多数の適当なイソシアナートまたはイソチオシアナート、例えばC1-C10アルキル、フェニルおよびヘテロアリールイソシアナートまたはイソチオシアナートが、この目的に使用されうる。好ましくは、C1-C4アルキルイソシアナートが使用される。例えば、エチルイソシアナート、イソプロピルイソシアナートまたはtert-ブチルイソシアナートとの反応は、実施例15、16および17に記載されているとおり、化合物21、22および23により例示される対応アルキルカルバマートを与える。非置換カルバマート、例えば化合物25は、保護されたイソシアナート、例えばトリクロロアセチルイソシアナート(これに限定されるものではない)との反応、およびそれに続く、弱塩基性条件下(例えば、水-アルコール混合物中でカルボナートを添加)での脱保護により「裸(bare)」のカルバマートを得ることにより合成されうる。代替手段を用いてもよく、例えば、該ヒドロキシルをホスゲンと反応させて該Oc-カルボニルクロリドを得、ついでアンモニアと反応させることにより、同じ類似体が得られ、また、ホスゲン等価体、例えばニトロフェニルクロロホルマートと反応させた後にアンモニアと反応させてもよい。
【0055】
あるいは、例えばUS 7,157,561(その開示を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているとおり、置換アルキルまたはアリールイソシアナートまたはイソチオシアナートを使用して、更なる精緻化に適したその官能性を有するカルバマート基からのアルキルまたはアリールリンカーを有する該中央のヒドロキシル位のカルバマート結合を有する類似体および誘導体を得ることが可能である。好ましくは、C1-C10アルキル、フェニルおよびヘテロアリールイソシアナートまたはイソチオシアナート、より好ましくは、C1-C6イソシアナートが使用され、ここで、そのアルキルまたはアリール基は、別の適当な官能性、例えば、保護カルボキシ、保護アミン、保護チオール、またはマレイミド基を有する。そのような反応は、任意の適当な溶媒、例えばDMFまたはTHF中、塩基、例えば第三級アミン、例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンを添加して又は添加せずに、行われうる。そのような反応は、典型的には0℃〜100℃の温度、頻繁には周囲温度〜60℃で行われうる。このアプローチの非限定的な例示として、実施例22に記載されているようなカルバマート-ブチラート誘導体(29)の合成、および実施例23〜26に記載され図13に示されているようなNHSエステル(33)へのその精緻化が挙げられる。同等な化合物を合成するためのこのアプローチの他の適用も当業者には示唆されるであろう。
【0056】
他のカルバマート形成の同等物も用いられうる。例えば、アタザナビル(atazanavir)の中央のヒドロキシルを、ホスゲン、カルボニルジイミダゾール、ジスクシンイミジルカルボナートまたはニトロフェニルクロロホルマートと反応させると、活性中間体が得られ、これを、適当なアルキルまたはアリールアミンと反応させると、対応する置換カルバマートが得られる。他のプロテアーゼインヒビターもこのようにして誘導体化に改変可能であろう。
【0057】
また、アミノデキストランへのコンジュゲート化のために、ロピナビル(lopinavir)の活性化誘導体(40)を製造した。ロピナビル抗体を産生させるために使用するロピナビル免疫原はロピナビルの中央のヒドロキシル基において修飾したため[US 7,193,065(その開示を参照により本明細書に組み入れることとする)における化合物6F]、それは同じ位置から出ているロピナビル標識を有することが好ましかった。ロピナビル誘導体40においては、ロピナビルの中央のヒドロキシル基を、エーテル結合を用いて連結基に結合させた。エーテル結合は一般に、エステルまたはカルバマート結合より安定である。0℃〜室温の温度で、好ましくはDMF中、ハロ-アルキル化剤を使用して、塩基、好ましくは水素化ナトリウムの存在下、ロピナビルのアルキル化反応を行った。該ハロ-アルキル化剤は、1以上のヘテロ原子を含むC1-C10原子を含有してもよい。好ましくは、該アルキル化剤は化合物34であり、これはヨード酢酸から製造されうる(図14)。得られるロピナビル酸誘導体(35)を、加水分解後のロピナビルのアルキル化の後、活性エステル基に変換することが可能である。酸誘導体から活性化エステルへの変換は当業者に公知であり、好ましくは、カルボジイミド、例えばEDC・HClおよびN-ヒドロキシスクシンイミドを使用して達成されうる。活性化エステル(37)を、例えば第三級アミンの存在下でのメチルアミノメチルベンゾアートとの反応により、更に伸長して(図15)、ロピナビルメチルエステル誘導体38を得ることが可能であり、これを酸性または塩基性条件下で加水分解することが可能である。この場合、加水分解は、THFとメタノールとの混合物中で水性水酸化リチウムを使用する塩基性加水分解により行った。前記のように、カルボジイミドおよびN-ヒドロキシスクシンイミドを使用することにより、ロピナビル酸(39)を活性エステルに変換することができる。また、ロピナビル誘導体(40)を得るために、種々の活性化剤を使用することにより、この場合には、好ましくは、O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラートを、第三級アミン、好ましくはジイソプロピルエチルアミンの存在下、THF中で使用することにより、活性エステルを製造することが可能である。
【0058】
活性化ハプテン誘導体に対する安定な合成前駆体も、類似体としての使用に適している。例えば、標識コンジュゲートの製造の過程で単離される安定な合成前駆体は、薬物校正および品質管理のための類似体としての二重の目的を果たしうる。これらの安定な合成前駆体には、カルボン酸、例えば化合物30、32、35および39、ならびに安定なエステル、例えば化合物29および38が含まれる。
【0059】
エファビレンツ(efavirenz)類似体の合成はエファビレンツの直接的なアルキル化を含む。該アルキル化は、ハロアルキル試薬との反応により行うことが可能であり、この場合、相間移動触媒、例えばクラウンエーテルの存在下、塩基としてアルカリ金属カルボナートを使用する。1つの実施形態においては、炭酸カリウムを18-クラウン-6と組合せて使用した。該反応は、溶媒、例えばDMF中、室温〜150℃の温度範囲で1〜24時間行われうる(図8の化合物14、15、16および17を参照されたい)。
【0060】
もう1つの実施形態においては、ヒドロキシルアルキルエファビレンツ類似体を提供する。エファビレンツのアルキル化は、保護されたヒドロキシル官能性、好ましくはシリル保護基を有するハロアルキル化試薬を使用して行われうる。得られるシリル化エファビレンツ中間体は、好ましくは、THF中のテトラブチルアンモニウムフルオリドの存在下で脱保護されうる(化合物19、図9)。
【0061】
本発明の1つの実施形態においては、HIVプロテアーゼインヒビターについての検量線を確立または作成するための方法を提供し、ここで、該プロテアーゼインヒビターは、アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれる。該方法は、該プロテアーゼインヒビターの免疫化学的に同等な類似体を含む1組の校正用物質を調製する工程を含み、ここで、該類似体においては、該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基が、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2CONHR3および-OCH2COOR3から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルであり、ここで、各校正用物質は所定範囲の濃度の該類似体の1つを含む。ついで、その組中の各校正用物質からのサンプルを、該プロテアーゼインヒビター類似体に特異的に結合する抗体と接触させる。ついで各サンプルを、類似体親物質に特異的な一定量の抗体、およびHIVプロテアーゼインヒビターとシグナル生成部分とを含むコンジュゲートと、接触させる。限られた数の抗体結合部位に関して、サンプル中のHIV薬物類似体と該コンジュゲートとの間で競合が生じる。1つの好ましい形態においては、該コンジュゲートはアミノデキストラン-類似体コンジュゲートであり、該抗体は微粒子に結合している。一定の反応時間の後、該抗体と該コンジュゲートとの反応から生じたシグナルの量を測定する。好ましい微粒子の様式においては、該シグナルは、粒子凝集による可視領域における吸光度の変化により生じる。ついで、例えばグラフの一方の軸に沿って類似体濃度を、そして他方の軸に沿って該シグナルをプロットすることにより、検量線を構築する。この検量線は、該標識コンジュゲートからのシグナルと、該サンプル中の薬物類似体の量との間で反比例関係を示すであろう。そのような検量線は、該類似体の代わりに親薬物を使用して得られるその曲線と実質的に同等である。前記の組中のサンプルの最小数は2であるが、一般には、データ点の数を増加させ、それにより、そのようにして得られる検量線の精度を高めるために、サンプルを追加するのが好ましい。典型的には、サンプルの濃度の1つはゼロである。
【0062】
同様にして、NNRTIエファビレンツ(efavirenz)を含むHIV非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターについての検量線も作成されうる。この実施形態においては、関心のある非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターの所定範囲の濃度の免疫化学的に同等な類似体を含む1組の校正用物質を提供し、ここで、該類似体は、C1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化された該非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを含む。ついでその組中の各校正用物質からのサンプルを、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターに特異的な一定量の抗体および類似体、および該非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターとシグナル生成部分とを含むコンジュゲートと接触させる。限られた数の抗体結合部位に対して、サンプル中の非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター類似体と該コンジュゲートとの間で競合が生じる。好ましいアッセイ様式においては、該コンジュゲートはアミノデキストラン-NNRTIコンジュゲートであり、該抗体は微粒子に結合している。一定の反応時間の後、該抗体と該コンジュゲートとの結合から生じたシグナルの量を検出する。この微粒子の様式においては、該シグナルは、粒子凝集による可視領域における吸光度の変化によるものであり、該変化は光度測定により検出可能である。ついで、前記のようにして検量線を構築するが、その検量線は、該標識コンジュゲートからのシグナルと、該サンプル中に存在する薬物類似体の量との間で反比例関係を示す。そのような検量線は、親薬物から得られるその曲線と実質的に同等である。
【0063】
もう1つの実施形態においては、HIV薬(プロテアーゼインヒビターまたはNNRTI)のコンジュゲートを不均一イムノアッセイ様式、例えば酵素結合免疫吸着アッセイまたはELISA様式で、固相に結合させる。ついで種々の量のHIV薬の類似体を含む一連のサンプルを、該薬物に特異的な一定量の抗体および該薬物コンジュゲートと接触させる。限られた数の抗体結合部位に対して、該コンジュゲートと該HIV薬類似体の間で競合が生じる。一定の反応時間の後、固相に結合した抗体の量を、シグナル生成部分で標識された二次抗体を使用して検出する。該二次抗体は該薬物特異的抗体に特異的に結合し、それにより、該薬物特異的抗体への結合に際して、検出可能なシグナルを生成する。ついで、前記のようにして検量線を構築するが、その検量線は、固相コンジュゲートに結合した抗体の量と、溶液中に存在する薬物類似体の量との間で反比例関係を示す。そのような検量線は、親薬物を使用して得られるその曲線と実質的に同等である。
【実施例】
【0064】
具体的な実施形態
特に示さない限り、試薬はSigma-Aldrich Chemical Companyから得た。特に示さない限り、すべての溶媒はJ.T. Bakerから得、ACS等級またはHPLC等級以上のものであった。トリエチルアミンはFluka Chemical Co.から得た。ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、ジメチルホルムアミド(DMF)および無水ジメチルスルホキシド(DMSO)はAldrich Chemical Co.から得た。テトラヒドロフラン(THF)は、アルゴン下、ナトリウム/ベンゾフェノンの存在下の煮沸および蒸留により乾燥させた。塩化メチレン(CH2Cl2)は、アルゴン下、水素化カルシウムの存在下の煮沸および蒸留により乾燥させた。カラムクロマトグラフィーは、陽圧の窒素下、E.M. Scienceのフラッシュ等級のシリカゲル(シリカゲル60; 230-400メッシュASTM)を使用して行った。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、E.M. Scienceのシリカゲルプレート(厚さ0.025 cm)を使用して行った。混合溶媒は、体積%で示す体積として表されている(例えば、10% MeOH-CHCl3は、体積で10%のメタノールを含有するクロロホルムである)。HPLC分析は、ダイオードアレイ検出器および四元(quaternary)ポンプで構成されたAgilent 1100 LC/MS系上で行った。LC分析は、カラム後にMS検出器内に入るクロマトグラフィー流を伴うPhenomenexガードモジュール(Phenomenex KJO-4282/C18 ODS 5μ)を備えたVydac 218TP54カラム(RP-C18; 300Å, 5μ)を使用して行った。使用したMSDは、ES+モード(エレクトロスプレー、正モード)で稼動させた。特に示さない限り、分析の実施は、1mL/分の流速で、0.1% TFA/H2O中の5%または0%(0分 = 出発)から100%(20分の時点)までの0.1% TFA/MeCNの勾配を用いて行った。分取RP-HPLCは、Varian Dynamax UV-C可変波長検出器を備えた2つのSD1チタンヘッド2000 psiポンプを使用するVarian Dynamax(Rainin)系上で行った。分離は、ガードモジュール(R00083221G; C18, 8μ)を備えた250×21.4mm(R00083221C; Microsorb 60-8, C18)カラム、またはガードモジュール(R00083241G; C18, 8μ)を備えた250×41.4 mmカラム(R00083241C; Microsorb 60-8, C18,)のいずれかと共に、モジュラーVarian Dynamax円形圧縮(radial compression)カラム上で行った。1H-NMRスペクトルは、それぞれSun/Sparcステーションを備えた、Varian Gemini 2000を200MHzで、あるいはVarian XL-400分光計を400MHzで使用して得た。
【0065】
実施例1: ロピナビル-Oc-メチルエーテル(2)の合成
16 mg (0.040 mmol)の水素化ナトリウム (油中、60%)に3 mLのヘキサンを加え、上清をデカント除去した。残渣に3 mLの無水THF (新たに蒸留したもの)を加え、ついで50 mg (0.079 mmol)のロピナビルを固体として加えた。1mLのTHF中の45μLのヨードメタンのストック溶液を調製し、THF中のこのヨードメタン溶液45μL (0.31 mmol)を前記反応混合物に室温で加えた。該反応混合物を室温で30分間攪拌し、5 mLの50 mM リン酸カリウム (pH 7.5)を加え、ロータリーエバポレーター内で濃縮して、可能な限り多くのTHFを除去した。水性残渣を6×10 mLのクロロホルムで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ (無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、7 mg (0.01 mmol, 14%)のロピナビル-Oc-メチルエーテル (2)を白色固体として得た。LC/MS: M+H 643.3。
【0066】
実施例2: ロピナビル-Oc-(メトキシカルボニルメチル)エーテル(3)の合成
112 mg (2.8 mmol)の水素化ナトリウム (油中、60%)に10 mLのヘキサンを加え、上清をデカント除去した。残渣に10 mLの無水THF (新たに蒸留したもの)を加え、ついで200 mg (0.31 mmol)のロピナビルを固体として加えた。該反応混合物を室温で15分間攪拌し、380μL (4.0 mmol)のメチルブロモアセタートを加えた。該反応混合物を室温で2時間攪拌し、該反応を20 mLの飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチした。得られた反応混合物をロータリーエバポレーター内で濃縮して、可能な限り多くのTHFを除去し、水性残渣を6×30 mLのクロロホルムで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、61 mg (0.087 mmol, 27%)のロピナビル-Oc-(メトキシカルボニルメチル)エーテル(3)を白色固体として得た。LC/MS: (M+H) 701.3。
【0067】
実施例3: Oc ロピナビル酢酸 (4)の合成
新たに蒸留されたTHF 5 mL中の262 mg (6.5 mmol)の水素化ナトリウム (油中、60%)の懸濁液に、新たに蒸留されたTHF 5 mL中の250 mg (0.39 mmol)のロピナビルの溶液を室温で加えた。該混合物を室温で1時間攪拌した。該反応混合物に、80μL (0.84 mmol)のメチルブロモアセタートを加え、得られた反応混合物を室温で3日間攪拌した。該反応混合物に5 mLの50 mM リン酸カリウム (pH 7.5)を加え、100 mg (2.3 mmol)の水酸化リチウム一水和物を固体として加えた。得られた反応混合物を室温で18時間攪拌し、ロータリーエバポレーター内で濃縮した。水性残渣を希リン酸でpH 5〜6に酸性化し、5×50 mLのクロロホルムで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ (無水Na2SO4)、濃縮して、白色ゴム状固体を得た。これを、クロロホルム中の20% メタノールを使用する分取薄層クロマトグラフィーにより精製して、43 mg (0.068 mmol)の回収ロピナビルおよび109 mg (0.16 mmol, 40%)のOc ロピナビル酢酸 (4)を白色固体として得た。LC-MS: (M+H) 687.4。
【0068】
実施例4: ロピナビル-Oc-(N-tert-ブチルカルバモイルメチル)エーテル(6)の合成
30 mLの新たに蒸留されたジクロロメタン(CaH2上で蒸留されたもの)中の259 mg (0.37 mmol)のロピナビル酢酸(4)の溶液に、152 mg (1.32 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミドおよび253 mg (1.32 mmol)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩 (EDC・HCl)を加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌した。in situで調製した粗NHSエステル(5)を、単離することなく次工程で使用した。前記反応混合物に、930μLの新たに蒸留されたジクロロメタン (CaH2上で蒸留されたもの)中の70μL (0.65 mmol)のt-ブチルアミンの溶液を加え、該反応物を室温で2時間攪拌した。該反応混合物に30 mLの水を加え、有機層を分離した。該有機層を30 mLの飽和重炭酸ナトリウム、ついで30 mLの水で洗浄し、乾燥し (無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、137 mg (0.18 mmol, 49%)のロピナビル-Oc-(N-tert-ブチルカルバモイルメチル)エーテル(6)を白色固体として得た。LC/MS (M+H) 742.5。
【0069】
実施例5: ロピナビル-Oc-カルバマート (8)の合成
氷浴内で冷却された新たに蒸留されたジクロロメタン(CaH2上で蒸留されたもの)中の160 mg (0.25 mmol)のロピナビルの溶液に、50μL (0.42 mmol)のトリクロロアセチルイソシアナートを加えた。得られた反応混合物を0℃で4時間攪拌し、減圧下で濃縮して、ロピナビル-Oc-トリクロロアセチルカルバマート (7)を含有する粗生成物混合物を得た。これを、更に精製することなく、次工程においてin situで使用した。粗生成物7に720 mg (5.2 mmol)の炭酸カリウム、7 mLのメタノールおよび2 mLの水を0℃で加えた。得られた反応混合物を0℃で1時間および室温で18時間攪拌した。これを減圧下で濃縮し、残渣に150 mLのクロロホルムおよび50 mLの水を加えた。有機層を分離し、水層を3×50 mLのクロロホルムで抽出した。有機層を全て合わせ、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、130 mg (0.19 mmol, 76%)のロピナビル-Oc-カルバマート (8)を得た。LC-MS: M+H 672.4。
【0070】
実施例6: N-カルバモル-ロピナビル-Oc-カルバマート (10)の合成
8 mLの新たに蒸留されたジクロロメタン (CaH2上で蒸留されたもの)中の200 mg (0.32 mmol)のロピナビルの溶液に、1.08 g (7.8 mmol)の炭酸カリウムおよび100μL (0.83 mmol)のトリクロロアセチルイソシアナートを加えた。これを0℃で3時間攪拌し、濃縮して、N-(トリクロロアセチルアミノ-カルボニル)-ロピナビル-Oc-トリクロロアセチルカルバマート (9)を含有する粗反応混合物を得た。これを、更に精製することなく、次工程においてin situで使用した。残渣に16 mLのメタノールおよび4 mLの水を0℃で加えた。これを0℃で1時間および室温で18時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣に150 mLのクロロホルムおよび50 mLの水を加えた。有機層を分離し、水層を3×50 mLのクロロホルムで抽出した。有機層の全てを合わせ、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、145 mg (0.20 mmol, 83%)のN-カルバモイル-ロピナビル-Oc-カルバマート (10)を白色固体として得た。LC/MS: M+H 715.3。
【0071】
実施例7: Oc ロピナビルアセタート (11)の合成
3.0 g (4.7 mmol)のロピナビルに210 mg (1.71 mmol)の4-(ジメチルアミノ) ピリジンを加え、ついで90 mLの新たに蒸留されたTHF (ナトリウムおよびベンゾフェノン上で蒸留されたもの)を加えた。該反応混合物を氷浴内で冷却し、750μL (9.2 mmol)のピリジンを加えた。この後、750μL (10.5 mmol)の塩化アセチルを加えた。該反応混合物を室温に加温し、室温で72時間攪拌した。該反応混合物が濁った。これを濃縮し、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、2.48 g (3.69 mmol, 78%)のOc-ロピナビルアセタート (11)を白色固体として得た。LC-MS: (M+H) 671.3。
【0072】
実施例8: N-カルバモイルロピナビル (13)の合成
0℃の100 mLのTHF中の2.48 g (3.69 mmol)のロピナビルアセタート (11)に1 mL (8.39 mmol)のトリクロロアセチルイソシアナートを加えた。該混合物を4℃で18時間攪拌した。該溶液は淡黄色に変色した。これをロータリーエバポレーターで濃縮し、ホフホワイト色の固体を得た。該反応をLC/MSでモニターし、生成物は、LC/MS (M+H 858.3)により、所望の中間体生成物としてのN-(トリクロロアセチルカルバモイル)-ロピナビル-Oc-アセタート (12)と同定された。該反応混合物に160 mLのメタノールおよび40 mLの水を加え、ついで4.8 g (36 mmol)の炭酸カリウムを加えた。該混合物を室温で4時間攪拌し、白色スラリーを得た。これを減圧下で濃縮し、400 mLの水を加えた。得られた反応混合物を4×400 mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、白色固体を得た。これを、酢酸エチルで溶出することによりシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固体を得た。1H NMRは、高度真空下で乾燥された後でさえも酢酸エチルの存在を示した。該物質の全てを1:1の水/アセトニトリルに溶解し、凍結乾燥して、1.8 g (2.6 mmol, 72%)のN-カルバモイルロピナビル (13)を白色固体として得た。LC/MS: (M+H) 672.3。
【0073】
実施例9: N-メチルエファビレンツ (14)の合成
2 mLの無水DMF中の40 mg (0.13 mmol)のエファビレンツの溶液に、33 mg (0.24 mmol)の無水炭酸カリウム、1 mg (3.78×10-3 mmol)の18-クラウン-6および16μL (0.25 mmol)のヨードメタンを加えた。該反応混合物を80℃に1.5時間加熱し、ついで冷却し、減圧下で濃縮した。残渣に10 mLのジクロロメタンを加え、該混合物を濾過した。濾液を分液漏斗に移し、2×5 mLの水で洗浄した。有機層を乾燥させ (無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、30 mg (0.090 mmol, 73%)のN-メチルエファビレンツ (14)を得た。LC-MS: (M+H) 330.0。
【0074】
実施例10: N-エチルエファビレンツ (15)の合成
1.1 g (3.49 mmol)のエファビレンツに、40 mLの無水DMF、40 mg (0.15 mmol)の18-クラウン-6、2.65 g (19.2 mmol)の無水炭酸カリウム、210 mg (1.40 mmol)のヨウ化ナトリウムおよび2.6 mL (34.7 mmol)のブロモエタンを加えた。該反応混合物を125℃で2時間攪拌した。該反応混合物の色がオレンジ色に変化し、反応フラスコの底に白色固体が生じた。該反応混合物を室温に冷却し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣に200 mLのクロロホルムを加え、2×100 mLの水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して、1.3 gのオレンジ色油を得た。これを、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーター内で濃縮し、凍結乾燥して、884 mg (2.57 mmol, 74%)のN-エチルエファビレンツ (15)を白色粉末として得た。LC-MS: M+H 344.0。
【0075】
実施例11: N-プロピルエファビレンツ (16)の合成
60 mg (0.19 mmol)のエファビレンツに、2 mLの無水DMFを加え、ついで50 mg (0.36 mmol)の無水炭酸カリウム、10 mg (0.06 mmol)のヨウ化ナトリウム、39 mg (0.31 mmol)の1-ブロモプロパンおよび2 mg (7.5×10-3 mmol)の18-クラウン-6を加えた。得られた反応混合物を125℃で1時間攪拌し、ついで室温に冷却した。これを濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣に50 mLのクロロホルムを加え、有機層を2×25 mLの水で洗浄し、乾燥させ (無水 Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、溶離液としてヘキサン中の10% 酢酸エチル、ついでヘキサン中の40% 酢酸エチルを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、32 mg (0.089 mmol, 49%)のN-プロピルエファビレンツ (16)を白色固体として得た。LC-MS (M+H) 358.0。
【0076】
実施例12: N-ブチルエファビレンツ (17)の合成
2 mLの無水DMF中の40 mg (0.12 mmol)のエファビレンツの溶液に300 mg (2.1 mmol)の無水炭酸カリウム、1 mg (3.78×10-3 mmol)の18-クラウン-6および68μL (0.62 mmol)の1-ブロモブタンを加えた。該混合物を60℃に4時間加熱し、ついで120℃に1時間加熱した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、10 mLのジクロロメタンを加え、該混合物を濾過した。濾液を分液漏斗に移し、2×5 mLの水で洗浄した。有機層を乾燥させ (無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、33 mg (0.088 mmol, 70%)のN-ブチルエファビレンツ (17)を無色油として得た。LC/MS (M+H) 372.0。
【0077】
実施例13: N-(tert-ブチルジメチルシリルオキシプロピル)エファビレンツ (18)の合成
5 mLの蒸留アセトン中の50 mg (0.16 mmol)のエファビレンツの溶液に、48 mg (0.19 mmol)の(3-ブロモプロポキシ)-tert-ブチル-ジメチルシラン、32 mg (0.23 mmol)の炭酸カリウム、3 mg (0.011 mmol)の18-クラウン-6、100μLの無水DMFおよび10 mg (0.06 mmol)のヨウ化ナトリウムを加えた。該反応混合物を18時間還流し、該反応の進行をLC/MSによりモニターした。これは、未反応の出発エファビレンツと共に、ほんの微量の所望の生成物を示した。該反応混合物を減圧下で濃縮し、2 mLの無水DMFを加え、ついで35 mg (0.25 mmol)の無水炭酸カリウムおよび40 mg (0.15 mmol)の(3-ブロモプロポキシ)-tert-ブチル-ジメチルシランを加えた。得られた反応混合物を125℃で2時間加熱し、室温に冷却し、濾過した。残渣を50 mLの酢酸エチルで洗浄した。合わせた濾液を濃縮し、50 mLのクロロホルムを加え、有機相を25 mLの水で洗浄した。有機層を乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下で濃縮して、ゴム状固体を得た。これを、ヘキサン中の20% 酢酸エチルを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、49 mg (0.10 mmol, 63%)のN-(tert-ブチルジメチルシリルオキシプロピル)エファビレンツ (18)を白色半固体として得た。LC-MS: M+H 488.0。
【0078】
実施例14: N-ヒドロキシプロピルエファビレンツ (19)の合成
43 mg (0.13 mmol)のN-(tert-ブチルジメチルシリルオキシプロピル)エファビレンツ (18)に100μLの新たに蒸留されたTHFを加え、500μL (0.49 mmol)の1M テトラブチルアンモニウムフルオリドを加えた。得られた反応混合物を室温で18時間攪拌し、減圧下で濃縮した。残渣に50 mLのクロロホルムを加え、有機層を2×25 mLの水で洗浄した。有機層を乾燥させ (無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル中の30% ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。単離された生成物は幾らかの不純物を示したので、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより更に精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、30 mg (0.080 mmol, 93%)のN-ヒドロキシプロピルエファビレンツ (19)を白色粉末として得た。LC-MS: M+H 374.0。
【0079】
実施例15: アタザナビル-Oc-エチルカルバマート (21)の合成
アルゴン下の8.1 mLの乾燥ジメチルホルムアミド (DMF)中の102 mgのアタザナビル (20)の溶液に、22.5μL (2当量)のエチルイソシアニド (Sigma-Aldrich)を加え、該反応物を室温で攪拌した。約29時間後、追加的な11μLのエチルイソシアナートを翌日に加え、攪拌を一晩継続した。LC/MSによる分析は、該反応が完了したことを示した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去し、残渣を1:1のアセトニトリル(MeCN)/水 (H2O)に再溶解し、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物画分を集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、77 mgの生成物(21)を部分TFA塩および綿毛状白色固体として得た。LC/MS: M+H (親) 776.3; HR-MS: 計算値 M+H (親) 776.4342, 実測値 776.4330; 1H-NMR: 適合; 微量分析 (MA): C41H57N7O8・0.33CF3COOHに合致。
【0080】
実施例16: アタザナビル-Oc-イソプロピルカルバマート (22)の合成
アルゴン下の2 mLの乾燥DMF中の52 mgのアタザナビル (20)の溶液に、14.2μL (約1.1当量)のDIEAを加え、8.6μL (約1.2当量)のイソプロピルイソシアナート (Sigma-Aldrich)を加え、該反応を室温で一晩攪拌した。翌日、追加的な3μLのDIEAおよび2μLのイソプロピルイソシアナートを加え、攪拌を一晩継続した。LC/MSによる分析は、反応が完了したことを示した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去し、残渣を1:1のアセトニトリル(MeCN)/水 (H2O)に再溶解し、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物画分を集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、53 mgの生成物(22)を部分TFA塩および綿毛状白色固体として得た。LC/MS: M+H (親) 790.5; HR-MS: 計算値 M+H 790.4498, 実測値 790.4495; 1H-NMR: 適合; 微量分析 (MA): C42H59N7O8・1.25CF3COOHに合致。
【0081】
実施例17: アタザナビル-Oc-tert-ブチルカルバマート (23)の合成
アルゴン下の0.75 mLの乾燥DMF中の57 mgのアタザナビル (20)の溶液に28.5μL (約2当量)のDIEAを加え、ついで95.5μL (約10当量)のtert-ブチルイソシアナート (Sigma-Aldrich)を加え、該反応を室温で4時間攪拌した。LC/MSによる分析は、反応が完了したことを示した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去した。残渣を1:1のアセトニトリル(MeCN)/水 (H2O)に再溶解し、同様の第2の反応(53 mgのアタザナビル、26.5μLのDIEAおよび89μLのtert-ブチルイソシアナートを使用)からの残渣と合わせ、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物画分を集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、118 mgの生成物(23)を部分TFA塩および綿毛状白色固体として得た。LC/MS: M+H (親) 804.4; HR-MS: 計算値 M+H (親) 804.4655, 観測値 804.4646; 1H-NMR: 適合; 微量分析 (MA): C43H61N7O8・1.4CF3COOHと合致。
【0082】
実施例18: アタザナビル-Oc-トリクロロアセチルカルバマート (24)の合成
アルゴン下の1 mLの乾燥DMF中の52 mgのアタザナビル (20)の溶液に、70μL (約8当量)のトリクロロアセチルイソシアナート (Sigma-Aldrich)を加え、該反応を室温で約1時間攪拌した。LC/MSによる分析は、反応が実質的に完了したことを示した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去した。残渣を1:1のアセトニトリル(MeCN)/水 (H2O)に再溶解し、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物画分の中央カットを集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、52 mgの生成物(24)を、TFA塩として割り当てられる綿毛状白色固体として得た。LC/MS: M+H (親) 892.2 (3つの塩素同位体パターン); 1H-NMR: 適合。
【0083】
実施例19: アタザナビル-Oc-カルバマート (25)の合成
アルゴン下の20 mLの乾燥DMF中の1.0 gのアタザナビル (20)の溶液に1.345 mL (約8当量)のトリクロロアセチルイソシアナート (Sigma-Aldrich)を加え、該反応を室温で約1時間攪拌した。LC/MSによる分析は、反応が実質的に完了したことを示した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去し、残渣を高真空下で更に乾燥させて粗生成物24を得た。粗生成物24の全てを58 mLのメタノール (MeOH)に再溶解し、該溶液を14.5 mLの水で希釈し、ついで4.96 g (>25当量)の炭酸カリウムを加えた。若干不均一な反応混合物をアルゴン下で激しく、約4時間攪拌した。MeOHを減圧(rotovap)下で除去し、水性残渣を50 mLの水で希釈し、該混合物を酢酸エチル (EtOAc) (2×150 mL)で抽出した。該抽出物を硫酸ナトリウム (Na2SO4)で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を得、これを小体積のEtOAcに再溶解し、EtOAcで溶出するフラッシュ等級のシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物画分(TLCによる分析)を合わせ、蒸発させて、EtOAcを尚も含有する白色固体としての及び遊離塩基としての相当に純粋な生成物 (25) 888 mgを得た。この物質を5:1 MeCN:H2Oに再溶解し、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより再精製した。生成物ピークの主要カットを集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、870 mgの25を白色固体として及びTFA塩水和物として得た。LC/MS: M+H (親) 748.3; HR-MS: 計算値 M+H 748.4029, 実測値 748.4031; 1H-NMR: 適合; 微量分析 (MA): C39H53N7O8・1.5CF3COOH・1.5H2Oに合致。
【0084】
実施例20: アタザナビル-Oc-メチルエーテル(26)の合成
テフロン(登録商標)で裏打ちされたネジ蓋を備えた小さな反応バイアル(Wheaton Science Products)内の0.8 mLの乾燥DMF中の10 mgのアタザナビル (20)の溶液に、10 mgの酸化銀(I)、ついで10μL (約11.5当量)のヨードメタン (Sigma-Aldrich)を加え、該バイアルに蓋をし、該反応を室温で2日間攪拌した。追加的な21 mgの酸化銀(I)を加え、該バイアルに蓋をし、攪拌を更に1日間継続した。LC/MSによる分析は、複数の生成物ピーク(主要ピークはOc-メチルエーテルの予想分子イオンおよびUVスペクトルを有する)の出現を伴う、アタザナビルの実質的な消費を示した。該反応物を少量のDMFで希釈し、銀塩から濾過した。溶媒および揮発物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で該濾液から除去し、残渣をMeCN/水に再溶解し、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。最も優勢な生成物ピーク画分の中央カットを集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥し、それにより得た物質を、同様に0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出するセミ分取C18 RP-HPLC (Vydac 218TP510; 250×10 mm, 300Å, 5μ)により再精製した。生成物画分を集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、少量の生成物26を無定形固体として得た。LC/MS: M+H (親) 719.3; アタザナビルと同じUVスペクトル。
【0085】
実施例21: アタザナビル-Oc-(2'-ヒドロキシエチル)エーテル(28)の合成
小さな反応バイアル内の0.8 mLの乾燥DMF中の10 mgのアタザナビルの溶液に、10 mgの酸化銀(I)を加え、ついで23 mL (約11.5当量)の2-(2-ブロモエトキシ)-テトラヒドロ-2H-ピラン (Sigma-Aldrich)を加えた。室温で2日間攪拌した後、更に30 mgの酸化銀(I)を30 mgのヨウ化ナトリウムと共に加え、該バイアルに再び蓋をし、該濃厚スラリーを室温で更に2日間攪拌した。LC/MSはアタザナビルの消費、および3つの主要生成物ピーク(および他のピーク)の出現を示し、中央の主要ピークがテトラヒドロピラン誘導体(27)の833.3の予想M+HおよびUVを有していた。該反応混合物をDMFで希釈し、銀およびナトリウム塩から濾過(0.45m)[遅い]した。濾液を塩化メチレンで更に希釈し、再濾過(0.45μ)した。濾液を減圧下で蒸発乾固させた。残渣を1:1 MeCN/水に再溶解し、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。所望のピークを集め、MeCNを除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、1.2 mgの無定形半固体を得た。この物質を2 mLの1:1 MeCN/水中の0.1%TFAに再溶解し、室温で5時間放置し、ついで、LC/MSは28への実質的に完全な変換を示した。該溶液を濃縮し、同様に0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出するセミ分取C18 RP-HPLC (Vydac 218TP510; 250×10 mm, 300Å, 5μ)により精製した。生成物画分を集め、MeCNを室温で除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、1.1 mgの生成物(28)を無定形固体として得た。LC/MS: M+H (親) 749.2; アタザナビルと同じUVスペクトル。
【0086】
実施例22: 4-[(アタザナビル-Oc)-カルボニルアミノ]酪酸エチルエステル(29)の合成
2.5 mLの乾燥DMF中の97.4 mgのアタザナビル(atazanavir)(20)の溶液に55μL (2.7当量)のエチル 4-イソシアナトブチラート (Sigma-Aldrich)を加え、ついで23μL (1.2当量)の無水トリエチルアミン (TEA)を加えた。該溶液をアルゴン下で攪拌し、油浴を約60℃に維持して一晩加熱した。ついで該反応を室温に冷却し、DMFを真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去し、残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物ピークの主要カットを合わせ、MeCNを除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、116 mgの生成物(29)を無定形の若干粘着性の固体として及びTFA塩水和物として得た。LC/MS: M+H (親) 862.5; HR-MS: 計算値 M+H 862.4709, 実測値 862.4708; 1H-NMR: 適合; 微量分析 (MA): C45H63N7O10・2CF3COOH・2H2Oに合致。
【0087】
実施例23: 4-[(アタザナビル-Oc)-カルボニルアミノ]酪酸(30)の合成
1.25 mLのMeOHおよび1.25 mLの水中の40.6 mgの29 の溶液に21.2 mg (10.7当量)の水酸化リチウム一水和物を加え、透明な反応溶液をアルゴン下、室温で約2時間攪拌した。LC/MSの分析は、該加水分解が完了したことを示した。これを、もう1つの同じく完了した、2.5 mLのMeOHおよび2.5 mLの水中の86.4 mgの29 と42.2 mgのLiOH・H2Oとの反応物と合わせた。該反応混合物を1N HClで約pH 6〜7に中和し、溶媒をロトバップ(rotovap)で除去した。残渣をMeCN/水に再溶解し、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物ピークの主要カットを合わせ、MeCNを除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、124 mgの生成物(30)を白色固体として及びTFA塩水和物として得た。LC/MS: M+H (親) 834.4; HR-MS: 計算値 M+H 834.4396, 実測値 834.4386; 1H-NMR: 適合。
【0088】
実施例24: 4-[(アタザナビル-Oc)-カルボニルアミノ]酪酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル (31)の合成
アルゴン下の9 mLの新たに蒸留された乾燥塩化メチレン中の123.4 mgの30 の攪拌溶液/懸濁液に、91.5 mg (6.1当量)のN-ヒドロキシスクシンイミド (NHS) を加え、ついで151.9 mg (6.1当量)の1-[(3-ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩 (EDC・HCl)を加え、透明なその反応物を室温で約2時間攪拌した。LC/MSによる分析は、m/z 931.5の所望のM+Hを有する単一のアタザナビル生成物ピークを示した。該反応を蒸留CH2Cl2で希釈し、0.1N HCl (×1)、0.1N NaOH (×1)、飽和ブライン (×1)で順次かつ迅速に洗浄し、有機相を乾燥させ (Na2SO4)、濾過し、蒸発(rotovap)させて、粗製であるが相当に純粋なNHSエステル (31)を得た。該物質を直ちに32の合成 (実施例25)において使用した。
【0089】
もう1つの実施において、2 mLのCH2Cl2中の34.5 mgの30 と27.3 mgのNHSおよび42.4 mgのEDC・HClとの反応は、LC/MS分析により、m/z 931.5のM+Hを有する同じ生成物ピークを示した。溶媒を除去し(rotovap)、残渣を2:1 MeCN/水に再溶解し、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより直接的に精製した。生成物ピークの主要カットを直ちに凍結(ドライアイス/アセトン)し、MeCNの大部分を除去し(高真空rotovapのドライアイス/アセトン冷却フィンガー上への昇華)、凍結した残渣を20℃未満で凍結乾燥して、23.3 mgの精製NHSエステル (31)を白色固体として及びTFA塩として得た。LC/MS: M+H (親) 931.5; HR-MS: 計算値 M+H 931.4560, 実測値 931.4553; 1H-NMR: 適合。
【0090】
実施例25: 4-[4-[(アタザナビル-Oc)-カルボニルアミノ]ブチルアミド)]メチル安息香酸 (32)の合成
1.5 mLの水中の22.1 mgの4-(アミノメチル)安息香酸 (Sigma-Aldrich)の溶液(溶解のために加熱し、ついで室温に冷却した)を小体積の0.1N NaOHでpH 約10に調整した。ついでこの溶液を、11 mLの新たに蒸留された乾燥テトラヒドロフラン (THF)中の、実施例24の第1段落由来の粗NHSエステル (31)全ての溶液を加え、該反応混合物をアルゴン下、室温で一晩攪拌した。LC/MSによる分析は、NHSエステルの消費、およびm/z 967.5のM+Hの所望の生成物の生成を示した。生成物混合物を少量の0.1N HClで中和し、蒸発乾固(高真空rotovap)させた。残渣を酢酸エチル (EtOAc)中の10% MeOHに取り、シリカゲルカラムの上部にアプライし、ついでこれをEtOH中の10%〜20% MeOHの勾配で溶出した。生成物画分を合わせ、蒸発させ(rotovap)、残渣を乾燥CH2Cl2に再溶解し、濾過し、再蒸発(rotovap)させて、79 mgの生成物 (32)を白色粉末として得た。LC/MS: M+H 967.5; HR-MS: 計算値 M+H 967.4924, 実測値 967.4921; 1H-NMR: 適合。
【0091】
実施例26: 4-[4-[(アタザナビル-Oc)-カルボニルアミノ]ブチルアミド)]メチル安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル (33)の合成
4.5 mLの新たに蒸留された乾燥CH2Cl2中の62 mgの安息香酸生成物 (32)の溶液に9.0 mg (1.12当量)のNHSを加え、ついで15.4 mg (1.15当量)のEDC・HClを加え、該反応をアルゴン下、室温で攪拌した。約4時間後のLC/MS分析は、該反応が完了したことを示した。溶媒を除去した(rotovap)。残渣を2:1 MeCN/水に再溶解し、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物ピークの主要カットを直ちに凍結し(ドライアイス/アセトン)し、MeCNの大部分を除去し(高真空rotovapのドライアイス/アセトン冷却フィンガー上への昇華)、凍結した残渣を20℃未満で凍結乾燥して、40.2 mgの精製NHSエステル (33)を白色固体として及びTFA塩として得た。LC/MS: M+H (親) 1064.5; 1H-NMR: 適合。
【0092】
実施例27: 3-(2-ヨード-アセトアミド)-プロピオン酸エチルエステル (34)の合成
90 mLの蒸留ジクロロメタン (CaH2で蒸留)中の7.4 g (39.7 mmol)のヨード酢酸を0℃に冷却した。該反応混合物に4.4 mL (39.9 mmol)のN-メチルモルホリンを加え、5.18 mL (39.9 mmol)のイソブチルクロロホルマートを加えた。該反応混合物を0℃で20分間攪拌した。該反応混合物を0℃で20分間攪拌した。該反応混合物は、N-メチルモルホリンを加えた際には透明であったが、イソブチルクロロホルマートの添加後に暗黄色となった。
【0093】
前記反応混合物に、60 mLのジクロロメタンおよび4.4 mL (39.9 mmol)のN-メチルモルホリン中のβ-アラニンエチルエステル塩酸塩 (6.14 g, 39.9 mmol, Sigma-Aldrich)の混合溶液を5分間にわたって加え、該反応混合物を0℃で30分間攪拌した。該反応混合物を室温に18時間加温した。該反応混合物は赤色に変色した。該反応混合物を分液漏斗内に移し、有機層を2×75 mLの20%クエン酸、2×75 mLの飽和NaHCO3および1×50 mLの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥 (MgSO4)させ、濾過した。濾液に3 gの活性炭を加え、セライト (10 g)で濾過した。得られた濾液は淡黄色を示した。これを減圧下で濃縮して淡黄色油を得た。この油に2×20 mLのヘキサンを加え、該混合物ををかき混ぜ、沈降させ、ヘキサン層を毎回、パスツールピペットで取り除いた。得られた油に40 mLの蒸留アセトン (無水炭酸カリウムで蒸留したもの)および15 g (100 mmol)のヨウ化ナトリウムを加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌し、ついで濾過した。濾液を濃縮し、黄色油を得た。これを90 mLのジクロロメタンに溶解した。有機層を30 mLの水、30 mLの2%チオ硫酸ナトリウム溶液、30 mLの水および30 mLの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄して、8.7 g (30.5 mmol, 77%)の生成物 (34)を淡黄色油として得、これは4℃での保存に際して固化して淡黄色固体となった。LC-MS (M+Na): 307.9。
【0094】
実施例28: 3-[(ロピナビル-Oc)-アセトアミド]-プロピオン酸 (35)の合成
500 mg (0.79 mmol)のロピナビル(lopinavir)に10 mLの無水トルエンを加え、該混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した。この工程を1回繰返した。残渣に4 mLの新たに蒸留されたTHFを加えた。もう1つのフラスコに130 mg (3.25 mmol)の水素化ナトリウム (油中、60%)および4 mLの新たに蒸留されたTHFを加えた。THF中の水素化ナトリウムのこの攪拌懸濁液に、THF中のロピナビルの溶液(前記で調製したもの)を滴下し、該反応混合物を室温で2時間攪拌した。4 mLの新たに蒸留されたTHF中のヨードアセトアミドリンカー (34) (250 mg, 0.87 mmol)の溶液を該反応混合物に加え、該反応を室温で3時間攪拌した。該反応フラスコを氷中で冷却し、該反応を10 mLの50 mM リン酸カリウム (pH 7.5)でクエンチし、室温で30分間攪拌した。得られた混合物に、4 mLの水を加え、ついで250 mg (5.95 mmol)のLiOH・H2Oを加え、該混合物を4℃で18時間攪拌した。該反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣のpHを3〜4に調整し、得られた水性混合物を6×50 mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ (無水Na2SO4)、ロータリーエバポレーターで濃縮して、淡黄色油を得た。LC/MSは生成物の存在を示した。この油を3:1 アセトニトリル/水に溶解し、分取RP-HPLCにより精製して、286 mg (0.37 mmol, 36%)のロピナビル酸誘導体35および83 mgの回収ロピナビル出発物質を得た。ロピナビル酸誘導体35の収率は回収出発ロピナビルに対して53%であった。LC/MS (M+H): 758.3。
【0095】
実施例29: 4-[3-(ロピナビル-Oc)-アセトアミド)-プロピオンアミド]メチル安息香酸メチルエステル (38)の合成
19 mLのジクロロメタン中の255 mg (0.33 mmol)のロピナビル(lopinavir)酸 (35)の溶液を調製した。この磁気攪拌された反応混合物に、264 mg (1.37 mmol)の1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩 (EDC・HCl)を加え、ついで163 mg (1.4 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミドを加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌した。LC/MS分析はm/z 855.3の(M+H)の生成物の生成を示した。この活性化エステル (37)を、単離することなく次工程において使用した。
【0096】
5.6 mLの無水DMF中の210 mg (1.04 mmol)のメチル4-(アミノメチル)ベンゾアート塩酸塩 (Sigma-Aldrich)の磁気攪拌された溶液に、0.76 mL (5.4 mmol)のトリエチルアミンを加え、ついで、前記からin situで調製されたロピナビル脂肪族NHSエステル (37)溶液を加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌し、ついでロータリーエバポレーター、ついで高真空下で濃縮した。残渣を35 mLの水に溶解し、4×100 mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ (Na2SO4)、濃縮した。残渣を2:1 アセトニトリル/水に溶解し、分取RP-HPLCにより精製して、254 mg (0.28 mmol, 83%)の38 を白色固体として得た。LC/MS (M+H): 905.3。
【0097】
実施例30: 4-[3-(ロピナビル-Oc)-アセトアミド)-プロピオンアミド]メチル安息香酸 (39)の合成
10 mLのメタノールおよび10 mLの新たに蒸留されたTHF中のロピナビル(lopinavir)メチルエステル (38, 302 mg, 0.33 mmol)の溶液を調製した。これに、22 mLの水中の22 mg (0.52 mmol)の水酸化リチウム一水和物の溶液を加えた。該反応混合物を室温で3日間攪拌した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、pHを3〜4に調整した。白色固体の形成が観察された。水性混合物を4×60 mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。残渣を2:1 アセトニトリル/水に溶解し、分取RP-HPLCにより精製して、245 mg (0.27 mmol, 82%)のロピナビル安息香酸誘導体39 を白色固体として得た。LC/MS (M+H): 891.3。
【0098】
実施例31: 4-[3-(ロピナビル-Oc)-アセトアミド)プロピオンアミド]メチル安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル (40)の合成
6.8 mLの新たに蒸留されたTHF (ナトリウムおよびベンゾフェノン上で蒸留されたもの)中の128 mg (0.14 mmol)のロピナビル酸39 の溶液に130 mg (0.43 mmol)のO-(N-スクシンイミジル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート (Sigma-Aldrich)および75μL (0.42 mmol)のジイソプロピルエチルアミンを加えた。該反応混合物を室温で3時間攪拌し、ついで減圧下で濃縮した。残渣に5 mLの水を加え、水層を4×10 mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残渣を2:1 アセトニトリル/水に溶解し、分取RP-HPLCにより精製して、102 mg (0.103 mmol, 72%)のロピナビル誘導体 40 を白色固体として得た。LC/MS (M+H): 988.3。
【0099】
実施例32: アタザナビル-Oc-(3-ピリジル)カルバマート (41)の合成
1.0 mLの乾燥DMF中の100 mgのアタザナビル(atazanavir)(20)の溶液に50μL (ちょうど2当量を超える量)のDIEAを加え、ついで45 mg (約2.65当量)の3-イソシアナトピリジン (Oakwood Products Inc., West Columbia, SC 29172; 受領したままの物質を使用)を加え、蓋をしたフラスコ内で該反応を室温で一晩攪拌した。追加的な125 mgの3-イソシアナトピリジン (約7.35当量; 合計 = 10当量)を加え、該反応混合物をヒートガンで加温して、試薬の溶解を引き起こさせ、該反応を一晩攪拌した。LC/MSによる分析は生成物と出発物質との約1:1混合物を示した。溶媒および揮発性物質を真空(高真空ロトバップ(rotovap))下で除去した。残渣を1:1 アセトニトリル (MeCN)/水 (H2O)に再溶解し、濾過し、濾液を、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/水中の0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)/MeCNの勾配で溶出する分取RP-HPLCにより精製した。生成物画分を集め、MeCNを除去し(rotovap)、残渣を凍結し、凍結乾燥して、白色固体として及び部分TFA塩として割り当てられる生成物 41 を得た。LC/MS: tR 約10.9分, M+H (親) 825.4; 1H-NMR: 適合。
【0100】
実施例33: 4-(6-クロロ-4-シクロプロピルエチニル-2-オキソ-4-トリフルオロメチル-4H-ベンゾ-[d] [1,3]オキサジン-1-イル)-[4-ブチルアミドメチル]安息香酸 (43)の合成
US 2004/0214251(その開示を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている方法により、エファビレンツ(efavirenz)誘導体42 を製造した。91 mg (0.60 mmol)のアミノメチル安息香酸に3 mLの水、650μLの1N NaOH、ついで10 mLの新たに蒸留されたTHFを加えた。この反応混合物に、室温で、7 mLの新たに蒸留されたTHF中の282 mg (0.56 mmol)のエファビレンツNHSエステル (42)の溶液を加えた。該反応のpHを9に2時間維持し、濃縮して、可能な限り多くのTHFを除去した。残渣に150 mLの水を加え、得られた溶液のpHをpH 5に調整した。これを2×100 mLのクロロホルムで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、74 mg (0.14 mmol, 24%)のエファビレンツNHSエステル (43)を白色粉末として得た。LC-MS (M+H) 535.2。
【0101】
実施例34: 4-(6-クロロ-4-シクロプロピルエチニル-2-オキソ-4-トリフルオロメチル-4H-ベンゾ-[d][1,3]オキサジン-1-イル)-[4-ブチルアミドメチル]安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(44)の合成
6 mLのジクロロメタン中の63 mg (0.12 mmol)のエファビレンツ(efavirenz)誘導体43の溶液に47 mg (0.25 mmol)の1-エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を加え、ついで21 mg (0.18 mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミドを加えた。該反応混合物を室温で18時間攪拌し、40 mLのジクロロメタンを加えた。有機層を15 mLの水および15 mLの飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、ついで15 mLの水で洗浄した。これを乾燥させ(無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、70 mg (0.11 mmol, 94%)のエファビレンツNHSエステル (44)を白色粉末として得た。LC-MS (M+H) 632.0。
【0102】
実施例35:エファビレンツ-アミノデキストランコンジュゲート (45)
US 6,653,456(その内容を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている方法により、アミノデキストラン (MW 40,000)を製造した。65 mgのアミノデキストランに室温で4.5 mLのDMSOを加えた。すべてのアミノデキストランが溶液中に溶解するまで、該混合物を室温で攪拌した。該反応混合物に19.5μL (0.138 mmol)のトリエチルアミンを加えた。24.6 mg (0.037 mmol)のエファビレンツ誘導体44を3 mLの無水DMSOに溶解し、1 mlのこの溶液を該攪拌アミノデキストラン溶液に滴下した。該混合物を室温で44時間攪拌し、SPECTRAPOR透析管 (Spectrum Medical Industries, 分子量カットオフ2000)内に移し、室温で以下の計画に従い (1 L容量, それぞれ少なくとも8時間)透析 (各透析は1 Lの体積を使用)した: 脱イオン水中の80% DMSO、60% DMSO、40% DMSOおよび20% DMSOならびにそれに続く脱イオン水。該溶液を該透析管から取り出し、凍結乾燥して、60 mgのエファビレンツ-デキストランコンジュゲート45を白色粉末として得た。
【0103】
実施例36: N-(tert-ブチルジメチルシリルオキシエチル)エファビレンツ (18a)の合成
4 mLの無水DMF中の300 mg (0.95 mmol)のエファビレンツ(efavirenz)の溶液に408μL (1.88 mmol)の(2-ブロモエトキシ)-tert-ブチル-ジメチルシラン、275 mg (1.98 mmol)の炭酸カリウム、5 mgの18-クラウン-6および50 mg (0.33 mmol)のヨウ化ナトリウムを加えた。残渣を2×5 mLの酢酸エチルで洗浄し、濃縮した。同じ反応を100 mgのエファビレンツで繰返した。両方のバッチからの粗生成物を合わせ、150 mLの酢酸エチルに溶解した。有機層を3×50 mLの水で洗浄し、乾燥させ(無水Na2SO4)、濃縮した。残渣を、ヘキサン中の20% 酢酸エチルを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、600 mg (1.22 mmol, 97%)のN-(tert-ブチルジメチルシリルオキシエチル)エファビレンツ (18a)を無色ガムとして得た。
【0104】
実施例37: N-ヒドロキシエチルエファビレンツ (19a)の合成
3 mL中の380 mg (0.80 mmol)のN-(tert-ブチルジメチルシリルオキシエチル)エファビレンツ (18a)に、3 mLの新たに蒸留されたTHFを加え、ついで800μLの1M テトラブチルアンモニウムフルオリドを加えた。得られた反応混合物を室温で18時間攪拌し、減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル中の50% ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。単離された生成物は幾らかの不純物を示した。それを更に、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、180 mg (0.50 mmol, 63%)のN-ヒドロキシエチルエファビレンツ (19a)を白色粉末を得た。LC-MS (M+H) 360.0。
【0105】
実施例38: N-イソプロピルエファビレンツ (16a)の合成
300 mg (0.95 mmol)のエファビレンツ(efavirenz)に5 mLの無水DMFを加え、ついで263 mg (1.95 mmol)の無水炭酸カリウム、60 mg (0.040 mmol)のヨウ化ナトリウム、178μL (1.90 mmol)の2-ブロモプロパンおよび5 mgの18-クラウン-6を加えた。得られた反応混合物を120℃で2時間攪拌し、ついで室温に冷却した。該反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。同じ反応を100 mgのエファビレンツで繰返した。両方のバッチからの粗生成物を合わせ、0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、295 mg (0.82 mmol, 87%)のN-イソプロピルエファビレンツ (16a)を得た。LC-MS (M+H) 358.0。
【0106】
実施例39: N-イソブチルエファビレンツ (17a)の合成
5 mLの無水DMF中の300 mg (0.95 mmol)のエファビレンツ(efavirenz)の溶液に、272 mg (1.96 mmol)の無水炭酸カリウム、5 mgの18-クラウン-6および225μL (1.94 mmol)の2-ブロモ-2-メチルプロパンを加えた。該混合物を120℃に2時間加熱し、室温に冷却し、濾過した。残渣を2×5 mLの酢酸エチルで洗浄した。すべての濾液を合わせ、減圧下で濃縮した。同じ反応を100 mgのエファビレンツで繰返した。両方のバッチからの粗生成物を合わせ、該残渣を0.1% トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配流を用いる分取RP-HPLCにより精製した。所望の生成物を含有する画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して、270 mg (0.72 mmol, 57%)のN-イソブチルエファビレンツ (17a)を得た。LC/MS (M+H) 372.0。
【0107】
実施例40: ロピナビルに対する抗体の産生
ロピナビルに対する抗体を、US 7,193,065に記載されているようにして産生させた。
【0108】
実施例41: ロピナビルアミノデキストランコンジュゲートの製造
100mgのアミノデキストラン (AMD)を10 mLの無水ジメチルスルホキシド (DMSO)に溶解した。この溶液に、30μLのトリエチルアミンを加えた。該アミノデキストラン溶液を連続的に攪拌した。無水DMSO (1 mL)中の19.8 mgのロピナビル誘導体40 の溶液を該アミノデキストラン溶液にゆっくり加え、該反応混合物を室温で48時間攪拌した。48時間後、該溶液全体を透析管 (分子量カットオフ = 2000)に移し、DMSOの量を漸減させながらDMSO:水に対して5日間にわたって室温で透析した。水に対する最終透析の後、ロピナビル-アミノデキストランコンジュゲート (LPV-AMD)を凍結乾燥して乾固状態にした。ε250 = 16,495 M-1cm-1を使用し、AMDがその波長でのUV吸光度に有意には寄与しなかったと仮定して、UV-Vis分光法により、LPV:AMDの化学量を決定した。該LPV-AMDコンジュゲートにおけるAMDに対するLPVの比は3.75であることが判明した。
【0109】
実施例42: ロピナビル抗体微粒子の製造
ロピナビル(lopinavir)に対する5つのモノクローナル抗体 (LPV Ab) (1.1.85、1.12.0、1.7.90、1.50.0および1.39.0)をイムノアッセイの開発の際にスクリーニングした。ラテックス微粒子へのモノクローナルロピナビル抗体の共有結合を後記のとおりに行った。
【0110】
1% ラテックス微粒子 (カルボキシ基の数 = 0.21 mmol/g ラテックス, Seradyne Inc.)を、50 mM 2-モルホリノ-エタンスルホン酸 (MES)(pH 5.5)で洗浄することにより、元の保存溶液を含有しないようにした。50 mM MES (pH 5.5)中の所望の体積の1% 微粒子を計り取り、N-ヒドロキシスルホスクシンイミド (スルホ-NHS)を加え、ついで直ちにN-エチル-N'-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (EDC・HCl)を加えることにより、該微粒子を活性化した。各試薬のモル数が、該微粒子の表面上に存在するカルボキシラートの数の10倍となるように、スルホ-NHSおよびEDCの両方を加えた。室温で2時間攪拌した後、該混合物を遠心分離し(15,000 rpm、4℃、45〜60分間)、上清をデカントした。該活性化微粒子を、濃度1%となるよう、音波処理により50 mM 3-モルホリノプロパンスルホン酸 (MOPS)(pH 6.4)に再懸濁させた。COBAS MIRA分析装置での光散乱測定により、音波処理後の単分散が確認された。
【0111】
ラテックス1mg当たりに10μgの抗体が存在するように、50 mM MOPSバッファー (pH 6.4)中のロピナビルモノクローナル抗体の溶液を該再懸濁微粒子に加えた。該抗体-ラテックス混合物を室温で2時間攪拌した。2時間後、50 mM MOPS (pH 6.4)中の50 mg/mLのBSAの溶液を該ラテックス混合物 (2.5 mg BSA/mgラテックス)に加えた。2時間後、0.09%(w/v) NaN3を含有する50 mM MOPS(pH 8.5)中の840 mM 2-アミノエトキシエタノールの溶液を該ラテックス混合物に加えた。一晩攪拌した後、該混合物を遠心分離し (15,000 rpm、4℃、45〜60分間)、該ラテックスを保存バッファー (50 mM MOPS, pH 7.2, 0.1% ウシ血清アルブミン(BSA), 0.09% アジド)に音波処理により再懸濁させた。この後、さらに遠心分離および音波処理を行って、最終的に1% ラテックスを得、これを保存バッファー (50 mM MOPS, pH 7.2, 0.1% BSA, 0.09% アジド)中、2〜8℃で保存した。
【0112】
実施例43: ロピナビル抗体に対するロピナビル類似体の交差反応性
Roche/Hitachi 917臨床化学分析装置 (Roche Diagnostics GmbH)により、37℃でアッセイを行った。該反応混合物 (296μL)は3μLのロピナビル校正用物質またはサンプル(後記のとおり)、実施例34由来の0.05% (w/v) 微粒子、0.4μg/mL LPV-AMDコンジュゲート、0.6〜0.8% (w/v) ポリアクリル酸 (PAA)、50 mM KSCN、5 mM トリエタノールアミン、1.25 mM エチレンジアミン四酢酸、0.5% (w/v) BSA、0.09% (w/v) NaN3、90 mM ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)、25 mM MOPS (pH 7.3)を含有していた。600 nmの波長で該微粒子の凝集を追跡することにより、アッセイを分光光度的にモニターした。
【0113】
0.1%(w/v)D-α-トコフェリルポリエチレングリコール-1000スクシナート (TPGS, Eastman Chemical Co)を含有する治療薬モニター用ヒト血清 (TDM血清)(Valley Biomedical Products and Services, Inc., Winchester, VA)中に0、0.8、1.6、3.2、6.4および12.8μg/mLの濃度でロピナビルを含有する校正用物質のマルチアナライトセットに対して、試薬を校正した。ロピナビル、ロピナビルM-1代謝産物およびそれぞれのロピナビル類似体のエタノールストック溶液を重量測定法により調製した。該エタノールストック溶液からの各薬物を、0.8、1.6、3.2、6.4および12.8μg/mLの濃度へと、TDM血清中にスパイク(spike)することにより、該アッセイ用のサンプルを調製した。各サンプルを3回重複してアッセイした。ロピナビルに対して、該類似体の交差反応性を計算した。得られた結果を以下の表1に示す。
【0114】
別法として、ロピナビル抗体LPV 1.1.85およびLPV 1.7.90を含有するロピナビルイムノアッセイ試薬を、N-カルバモイル-ロピナビル類似体(13)のみを含有する校正用物質に対して校正した。ロピナビルまたはN-カルバモイル-ロピナビル (13)を校正用物質として使用した場合に得られた、ロピナビル抗体LPV 1.1.85およびLPV 1.7.90についての検量線を図12aおよび12bに示す。以下の表1は、ロピナビルと比較した場合の、ロピナビル抗体に対するロピナビル類似体および代謝産物の交差反応性を示す。示されている値は百分率である。
【表1】
【0115】
実施例44: アタザナビルに対する抗体の産生
特許出願公開US 2005/0064517に記載されているようにして、アタザナビルに対する抗体を産生させた。
【0116】
実施例45: アタザナビル-アミノデキストラン・コンジュゲートの製造
US 6,653,456(その開示を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているようにして、アミノデキストラン (AMD)を合成した。そのアミノデキストランは、分子量約40,000で、1モル当たり6個のアミノ基を含有していた。実施例26に記載されているようにして、ATV-N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル誘導体33 を合成した。トリエチルアミン(0.3μL TEA/1mg AMD)の存在下の無水ジメチルスルホキシド (DMSO)中のAMDと8倍〜16倍過剰のATV-NHSエステル誘導体33との反応により、ATV-AMDコンジュゲートを調製した。該反応混合物を室温で23時間攪拌し、ついで、次第に低下するDMSO含量を含有するDMSO-H2O混合物に対して透析した。該最終水溶液を凍結乾燥して乾固状態にした。ε250 = 16,495 M-1cm-1を使用し、AMDがその波長のUV吸光度に有意には寄与しないと仮定して、UV-Vis分光法により、ATV:AMDの化学量を決定した。Virtis Freezemobile 25ES凍結乾燥器で凍結乾燥を行った。UV-可視(UV-Vis)スペクトルをCary 50 Bio分光光度計 (Varian)で記録した。
【0117】
実施例46: アタザナビル抗体微粒子の製造
カルボキシル化ポリスチレン微粒子(Part No. 83000520100390)をSeradyn Inc. (Indianapolis, IN)から10%(w/v)水性懸濁液として得た。平均微粒子直径は約200 nmであり、カルボキシル基の表面電荷密度は0.29 mmol/g (微粒子)であった。DuPont Sorvall RC-5B遠心機で4℃で遠心分離を行った。該微粒子を、使用前に、遠心分離、ならびに水へのおよびそれに続く50 mM 2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)(pH 5.5)への再懸濁を少なくとも3サイクル行うことにより、十分に洗浄した。Homogenizer 4710 Seriesソニケーター(Cole-Parmer)を25〜45%の出力で使用して、超音波の20〜120秒のバーストにより、冷却微粒子の再懸濁を行った。微粒子単分散度および濃度の決定を、複数の波長の光散乱により、COBAS MIRA分析装置で行った。洗浄され再懸濁された微粒子を、必要となるまで、50 mM MES (pH 5.5)中、4℃で保存した。
【0118】
ATV抗体 (クローン5.1、14.3、28.3、36.3、62.1.1、71.1.1からのもの)を以下のとおりに微粒子表面に共有結合させた。50 mM MES (pH 5.5)中の180 mLの1.00% (w/v)微粒子に、同じバッファー中の22.55 mLの50 mg/mL N-ヒドロキシスルホスクシンイミドを加え、次いで20.04 mLの50 mg/mL 水性N-エチル-N'-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライドを加えた。該混合物を室温で1時間攪拌した後、遠心分離(15,000 rpm、4℃、45分間)を行った。該微粒子を50 mM 3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、0.09% (w/v) NaN3(pH 6.4)(バッファーA)に再懸濁して1.0% (w/v)とし、10 mLのアリコートに分割した。バッファーA中に0.25〜1.5 mgのATV Abを含有する2 mLの溶液を各アリコートに加えた。室温で1.5時間攪拌した後、バッファーA中の5 mLの50 mg/mL ウシ血清アルブミン (BSA)を加え、該混合物を室温で更に1.5時間攪拌した後、50 mM MOPS、0.09%(w/v) NaN3 (pH 8.5)中の6.9 mLの840 mM 2-アミノエトキシエタノールを加えた。該混合物を室温で一晩攪拌し、ついで遠心分離 (15,000 rpm、4℃、45分間)に付した。該微粒子を50 mM MOPS、0.1%(w/v) BSA、0.09%(w/v) NaN3 (pH 7.5) (バッファーB)に再懸濁させ、遠心分離 (15,000 rpm、4℃、45分間)により集めた。ペレットをバッファーBに再懸濁させて1.0%(w/v)とし、必要となるまで、4℃で保存した。
【0119】
実施例47: アタザナビル抗体に対するアタザナビル類似体の交差反応性
アタザナビル親薬物および類似体のストック溶液をEtOH中で調製し、各化合物の濃度を、ε250 = 14,520 M-1cm-1 (遊離塩基)を用いて確認した。該EtOHストックを使用して、0.1% (w/v) D-α-トコフェリルポリエチレングリコール-1000スクシナート(TPGS) (Eastman Chemical Co., Kingsport, TN)を含有する購入した治療薬モニター用ヒト血清 (TDM)(Valley Biomedical Products and Services, Inc., Winchester, VA)中の該化合物の0.10〜3.35μg/mL (遊離塩基)のサンプルを調製した。独立して調製したエタノールストックから、同様にして、0.00、0.15、0.33、0.75、1.50および3.00μg/mLのアタザナビル親薬物を含有する1組の校正用物質を調製した。ポリアクリル酸 (PAA, 分子量225,000)をPolysciences Inc. (Warrington, PA)から購入した。Roche/Hitachi 917臨床化学分析装置で37℃でアッセイを行った。該反応混合物 (296μL)は3μLのATV校正用物質、アタザナビル親薬物またはアタザナビル類似体(前記と同様にして調製したもの)、0.05%(w/v) 感作微粒子、0.05〜0.15μg/mL ATV-AMDコンジュゲート、0.5〜1.0%(w/v) PAA、50 mM KSCN、5 mMトリエタノールアミン、1.25 mM エチレンジアミン四酢酸、0.1%(w/v) BSA、0.09%(w/v) NaN3、90 mM ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)および25 mM MOPS (pH 7.3)を含有していた。600nmの波長で微粒子の凝集を追跡することにより、アッセイを分光光度的にモニターした。該類似体の応答を同等濃度の親薬物のものと比較することにより、交差反応性を決定した。各抗体に対するアタザナビルおよびアタザナビル類似体の交差反応性を表2に示す。その交差反応性は、少なくとも3つの独立したセットの測定から得られたものである。該類似体の交差反応性は、親薬物アタザナビルと比較して計算した。示されている値は百分率である。
【表2】
【0120】
実施例48: アタザナビルまたはアタザナビル-Oc-カルバマート(25)を使用した場合の微粒子イムノアッセイ検量線
実施例47に記載されているようにして、0.1%(w/v)TPGSを含有するTDM用ヒト血清中にアタザナビルまたはアタザナビル-Oc-カルバマート (25)の校正用物質を調製した。アタザナビルまたはアタザナビル-Oc-カルバマートの遊離塩基濃度は0.00、0.15、0.33、0.75、1.50および3.00μgml-1であった。抗体ATV5.1で感作された微粒子を使用して、実施例47に記載されているようにしてアッセイを行って、図16に示す検量線を得た。
【0121】
両方の化合物で得られたほぼ重ね合わせられる検量線は、表2における抗体ATV5.1に対するアタザナビル-Oc-カルバマートの交差反応性データを裏付けており、これは、アタザナビルTDMイムノアッセイのための校正用物質としてアタザナビルまたはアタザナビル-Oc-カルバマートのいずれかを使用することにより、アタザナビルを含有する臨床サンプルをアッセイした場合と同様の結果が得られることの更なる確証を提供するものである。
【0122】
実施例49: アタザナビル-Oc-カルバマート校正用物質を使用するアタザナビル微粒子イムノアッセイスパイク回収試験
10人の健常献血者からの個々の血清サンプルを、エタノールストック溶液からのアタザナビルでスパイク(spike)して、0.04〜3.00μgml-1の範囲のアタザナビル濃度を含む55個の異なる血清サンプルを得た。実施例47に記載されているようにして得たアタザナビル-Oc-カルバマート検量線に対するアタザナビル微粒子イムノアッセイにより、各サンプルを定量した。抗体ATV 5.1で感作された微粒子を使用して、最終反応混合物が0.07% (w/v) BRIJ-35 (Croda Uniqema Inc.)を更に含有すること以外は実施例47に記載されているとおりに、該アッセイを行った。スパイク濃度に対するアタザナビルの測定濃度のプロットを、該データの線形回帰分析と共に図17に示す。
【0123】
傾き(0.91)および相関係数(0.994)の両方が必要範囲(それぞれ0.90〜1.10および>0.90)内に含まれる線形回帰分析は、ヒト血漿または血清中のアタザナビルを定量するための校正用物質としてのアタザナビル-Oc-カルバマートの使用の適合性を証明している。
【0124】
実施例50: N-カルバモイル-ロピナビル(13)校正用物質を使用するロピナビル微粒子イムノアッセイスパイク回収試験
10人の健常献血者からの個々の血清サンプルを、エタノールストック溶液からのロピナビルでスパイク(spike)して、0.21〜12.80μgml-1の範囲のロピナビル濃度を含む55個の異なる血清サンプルを得た。実施例43に記載されているようにして得たN-カルバモイル-ロピナビル(13)検量線に対するロピナビル微粒子イムノアッセイにより、各サンプルを定量した。抗体LPV 1.7.90で感作された微粒子を使用して、最終反応混合物が0.08% (w/v) BRIJ-35を更に含有する以外は実施例43に記載されているとおりに、該アッセイを行った。スパイク濃度に対するロピナビルの測定濃度のプロットを、該データの線形回帰分析と共に図18に示す。
【0125】
傾き(1.00)および相関係数(0.994)の両方が必要範囲(それぞれ0.90〜1.10および>0.90)内に含まれる線形回帰分析は、ヒト血漿または血清中のロピナビルを定量するための校正用物質としてのN-カルバモイル-ロピナビルの使用の適合性を証明している。
【0126】
実施例51:エファビレンツに対する抗体の産生
16週齢の雌Balb/cマウスをエファビレンツ-KLH免疫原46を用いて免疫した。エファビレンツ-KLH免疫原46の製造はEP1470 825 A1(その開示を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている。フロイント完全アジュバント中に乳化させた100μgの免疫原による初回免疫化を腹腔内経路により行った。免疫化の間に約3週間の間隔をあけた。すべての後続の免疫化は、同様に腹腔内注射による、フロイント不完全アジュバント中に乳化した同じ投与量によるものであった。合計4回の免疫化を行った。
【0127】
融合
最終免疫化の4日後、該マウスを頚部脱臼により殺し、脾臓を摘出した。脾臓を、加温された細胞培養培地内で無菌すりガラススライドの間で破砕することにより処理した。遊離した細胞を無菌15mL遠心管内に取り、大きな断片を1〜2分間沈降させた。該懸濁細胞を別の無菌15mL遠心管内にピペットで取り、計数のためにサンプルを採取した。F0株(ATCC)の骨髄腫細胞を脾細胞5個当たり骨髄腫細胞1個の割合で加え、得られた混合物を遠心分離して該細胞を小型ペレット内に沈降させた。融合は、骨髄腫細胞(リンパ球の1/5)の添加、遠心分離による洗浄、無血清加温イスコベ改変ダルベッコ培地 (Iscove’s Modified Dulbecco’s Media)(IMDM, Irvine Scientific)への再懸濁、および再遠心分離を含むものであった。得られたペレットを含有する遠心管を穏やかに叩いて該細胞をほぐし、ついで1mLの加温PEG/DMSO溶液 (Sigma Chemicals)を、穏やかに混合しながらゆっくり加えた。該細胞を加温状態で1.5分間維持し、ついで、予め加温された無血清IMDMを1 mL/分、2 mL/分、4 mL/分および10mL/分の速度で加え、ついで該管を50mLまで満たし、密封し、15分間インキュベートした。該細胞懸濁液を遠心分離し、上清をデカントし、10%ウシ胎児血清(Summit Biologicals)を含有するIMDMを加えた。該細胞をもう1度遠心分離し、完全クローニング培地に再懸濁させた。これはIMDM、10% FCS、10% Condimed H1 (Roche Molecular Systems)、4 mM グルタミン、50μM 2-メルカプトエタノール、40μM エタノールアミンおよびpen/strep抗生物質 (すべてSigmaから)を含有していた。該細胞を4×105 リンパ球/mLの密度で懸濁させ、100μL/ウェルで無菌96ウェルミクロ培養プレート内に分配し、5% CO2中、37℃で24時間インキュベートした。翌日、100μLのHMT選択培地(クローニング培地 + 1:25 HMT補充剤 (Sigma Chemicals))を加えた。インキュベーションの6日目の時点で、低真空源に接続された無菌8分岐 (8-place) マニホルドを使用して約150μLの培地を各ウェルから抜き取った。ついで150μLのHT培地を加えた。これはクローニング培地 + 1:50 HT補充剤 (Sigma Chemicals)を含有していた。該プレートをインキュベーターに戻し、増殖の徴候に関して毎日観察した。増殖が十分であると判断されたら、抗体産生に関してELISAによりウェルをスクリーニングした。
【0128】
ELISAスクリーニング
マイクロタイタープレートを0.1M炭酸バッファー (pH 9.5)中の100μLのエファビレンツ-BSAコンジュゲート 47 で37℃ (加湿)で1時間コートした。エファビレンツ-BSAコンジュゲート 47 の製造はEP1470 825 A1に記載されている。ついで該プレートを空にし、Trisバッファー、1% ゼラチン加水分解物、2% スクロースおよび0.17% TWEEN 20 (すべての試薬はSigma Chemicalsから得た)からなるコート後溶液で満たした。該プレートを37℃(加湿)で更に1時間インキュベートし、ついで、0.1% TWEEN 20を含有するリン酸緩衝食塩水で洗浄した。ついで該プレートを手短に0.15M Tris (pH 7.2〜7.4)中の2% スクロース溶液で満たし、ついで空にし、室温で風乾させた。乾燥したら、該プレートを、幾つかの乾燥包剤を含むZIPLOC袋内に入れ、密封し、使用するまで4℃で保存した。
【0129】
増殖中のクローンが試験に十分なものであると判断されたら、該ウェルから25μLの上清を取り、96ウェル可撓性プレートに移した。培養培地を各ウェルに加えて該培地サンプルの1:10希釈物を得た。25μLのPBS-TWEENを1個のコート化プレートの各ウェルに加え、PBS-TWEEN中の800 ng/mL キラルエファビレンツ溶液25μLを別のコート化プレートのウェルに加えた。25μLの該希釈培地サンプルを該コート化プレートのそれぞれに移した。該プレートを、覆われた状態で、37℃で1時間インキュベートし、ついでPBS-TWEENで洗浄した。ついで該ウェルを、PBS-TWEEN中で希釈された100μLのヤギ抗マウスIgG-HRPコンジュゲート (Zymed Labs)で満たし、該プレートを1時間再インキュベートした。ついで該プレートを再洗浄し、100μLのK-BLUE基質 (Neogen Corp)を各ウェルに加えた。5〜15分間にわたって発色させ、100μLの1N HClの添加により該反応を停止させた。マイクロプレートリーダーにより450nmで色を読取り、結果を、解析のためにコンピューターにより収集した。選択の基準は、該PBS-TWEENを受けたエファビレンツ-BSAコンジュゲートコート化ウェルへの結合、および遊離エファビレンツ薬を含有するコート化ウェルへの結合の低下であった。
【0130】
実施例52:エファビレンツ抗体微粒子の製造
カルボキシル化ポリスチレン微粒子(Part No. 83000520100390)をSeradyn Inc. (Indianapolis, IN)から10%(w/v)水性懸濁液として得た。平均微粒子直径は約200 nmであり、カルボキシル基の表面電荷密度は0.21 mmol/g (微粒子)であった。DuPont Sorvall RC-5B遠心機で4℃で遠心分離を行った。該微粒子を、使用前に、遠心分離、ならびに水へのおよびそれに続く50 mM 2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)(pH 5.5)への再懸濁の少なくとも3サイクルにより、十分に洗浄した。Homogenizer 4710 Seriesソニケーター(Cole-Parmer)を25〜45%の出力で使用して、超音波の20〜120秒のバーストにより、冷却微粒子の再懸濁を行った。微粒子単分散度および濃度の決定を、複数の波長の光散乱により、COBAS MIRA分析装置で行った。洗浄され再懸濁された微粒子を、必要となるまで、50 mM MES (pH 5.5)中、4℃で保存した。
【0131】
エファビレンツ (EFV) 抗体 (クローン129.1.1.1、137.1.1.1、142.1.1.1.1、143.1および149.1.3)を以下のとおりに微粒子表面に共有結合させた。50 mM MES (pH 5.5)中の140 mLの1.00% (w/v)微粒子に、同じバッファー中の12.7 mLの50 mg/mL N-ヒドロキシスルホスクシンイミドを加え、11.29 mLの50 mg/mL 水性N-エチル-N'-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライドを加えた。該混合物を室温で1時間攪拌した後、遠心分離(15,000 rpm、4℃、50分間)を行った。該微粒子を50 mM 3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、0.09% (w/v) NaN3(pH 6.4)(バッファーA)に再懸濁して1.00% (w/v)とし、10 mLのアリコートに分割した。バッファーA中に0.25〜1.5 mgのEFV Abを含有する2 mLの溶液を各アリコートに加えた。室温で1.5時間攪拌した後、バッファーA中の5 mLの50 mg/mL ウシ血清アルブミン (BSA)を加え、該混合物を室温で更に1.5時間攪拌した後、50 mM MOPS、0.09%(w/v) NaN3 (pH 8.5)中の5.0 mLの840 mM 2-アミノエトキシエタノールを加えた。該混合物を室温で一晩攪拌し、ついで遠心分離 (15,000 rpm、4℃、50分間)に付した。該微粒子を50 mM MOPS、1.0%(w/v) BSA、0.09%(w/v) NaN3 (pH 7.5) (バッファーB)に再懸濁させ、遠心分離 (15,000 rpm、4℃、50分間)により集めた。ペレットをバッファーBに再懸濁させて1.00%(w/v)とし、必要となるまで、4℃で保存した。
【0132】
実施例53:エファビレンツ抗体に対するエファビレンツ類似体の交差反応性
エファビレンツ親薬物および類似体のストック溶液をEtOH中で調製し、各化合物の濃度を、ε250 = 14,806 M-1cm-1 (遊離塩基)を用いて確認した。該EtOHストックを使用して、0.1% (w/v) D-α-トコフェリルポリエチレングリコール-1000スクシナート(TPGS) (Eastman Chemical Co., Kingsport, TN)を含有する購入した治療薬モニター用ヒト血清 (TDM)(Valley Biomedical Products and Services, Inc., Winchester, VA)中の該化合物の1.00〜7.00μg/mL (遊離塩基)のサンプルを調製した。独立して調製したエタノールストックから、同様にして、0.00、0.60、1.20、2.40、4.80および9.60μg/mLのエファビレンツ親薬物を含有する1組の校正用物質を調製した。Roche/Hitachi 917臨床化学分析装置で37℃でアッセイを行った。該反応混合物 (296μL)は3μLのエファビレンツ校正用物質、エファビレンツ親薬物またはエファビレンツ類似体(前記と同様にして調製したもの)、0.05%(w/v) 感作微粒子、0.10〜0.20μg/mL EFV-アミノデキストランコンジュゲート45、0.7〜1.1%(w/v) ポリアクリル酸(PAA, 分子量225,000, Polysciences Inc. (Warrington, PA)から購入)、50 mM KSCN、5 mMトリエタノールアミン、1.25 mM エチレンジアミン四酢酸、0.1%(w/v) BSA、0.09%(w/v) NaN3、90 mM ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)、25 mM MOPS (pH 7.2)、および表3に示すとおりの界面活性剤を含有していた。600nmの波長で微粒子の凝集を追跡することにより、アッセイを分光光度的にモニターした。該類似体の応答を同等濃度の親薬物のものと比較することにより、交差反応性を決定した。各抗体に対するエファビレンツおよびエファビレンツ類似体の交差反応性を表3に示す。
【表3】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれるHIVプロテアーゼインヒビターを含んでなる化合物であって、該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基が、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2COOR3および-OCH2CONHR3からなる群から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである、化合物。
【請求項2】
構造:
【化1】
[式中、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する化合物。
【請求項3】
構造:
【化2】
[式中、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する化合物。
【請求項4】
R3がHまたはC1-C4アルキルである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
構造:
【化3】
[式中、R4は、-(C1-C10アルキル)、-CONHR3、-CH2COOR3および-CH2CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する化合物。
【請求項6】
R4が-CONHR3または-CH2COOR3であり、R3が、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、nが1〜6であり、XがCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、R5がHまたはC1-C6アルキルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
構造:
【化4】
[式中、R1は、Hおよび-CONHR3からなる群から選ばれ、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する化合物。
【請求項8】
R1がHであり、R4が、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、R3がHまたはC1-C6アルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R1がHであり、R4が-CONHR3または-CH2COOR3であり、R3がC1-C6アルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項10】
R1が-CONHR3であり、R4がHであり、R3がHまたはC1-C6アルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項11】
R1が-CONHR3であり、R4が-CONHR2であり、R3およびR2がそれぞれC1-C4アルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項12】
構造:
【化5】
[式中、RはC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHである]
を有する化合物。
【請求項13】
サンプル中のプロテアーゼインヒビターの量を測定するための試験キットであって、該プロテアーゼインヒビターが、サンプル中に存在するアンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれ、該キットが、パッケージされた組合せとして、以下:
該プロテアーゼインヒビターに特異的に結合する抗体、
該プロテアーゼインヒビターと免疫化学的に同等な、該プロテアーゼインヒビターの類似体であって、該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基が、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2COOR3および-OCH2CONHR3からなる群から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである、該プロテアーゼインヒビターの類似体、ならびに
サンプル中の該プロテアーゼインヒビターの量を測定するための使用説明書、
を含んでなる、試験キット。
【請求項14】
該プロテアーゼインヒビターがアタザナビル(atazanavir)であり、該類似体が、構造:
【化6】
[式中、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する、請求項13記載の試験キット。
【請求項15】
R3がHまたはC1-C4アルキルである、請求項14記載の試験キット。
【請求項16】
該プロテアーゼインヒビターがロピナビル(lopinavir)であり、該類似体が、構造:
【化7】
[式中、R4は-CONHR3または-CH2COOR3であり、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する、請求項13記載の試験キット。
【請求項17】
サンプル中のエファビレンツ(efavirenz)の量を測定するための試験キットであって、該キットが、パッケージされた組合せとして、以下:
エファビレンツに特異的に結合する抗体、
エファビレンツと免疫化学的に同等である、C1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化されているエファビレンツ誘導体を含むエファビレンツの類似体、および
該サンプル中のエファビレンツの量を測定するための使用説明書、
を含んでなる試験キット。
【請求項18】
該類似体が、構造:
【化8】
[式中、RはC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHである]
を有する、請求項17記載の試験キット。
【請求項19】
アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれるHIVプロテアーゼインヒビターについて検量線を作成する方法であって、以下:
各校正用物質が該プロテアーゼインヒビターの免疫化学的に同等な類似体の所定範囲の濃度の1つを含有する、1組の校正用物質を調製する工程であって、ここで、該類似体は該プロテアーゼインヒビターの誘導体を含み、ここで、該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基は、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2CONHR3および-OCH2COOR3からなる群から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである、工程、
該校正用物質のそれぞれを、該プロテアーゼインヒビターおよび類似体に特異的に結合するモノクローナル抗体、ならびに該類似体への該抗体の結合に際してシグナルを生成する部分と該プロテアーゼインヒビターとを含むコンジュゲートと接触させる工程、
各校正用物質により生成されたシグナルを測定する工程、および
各校正用物質に関して測定されたシグナルに対して該類似体の濃度をプロットすることにより検量線を確立する工程、
を含んでなる方法。
【請求項20】
該プロテアーゼインヒビターがアタザナビル(atazanavir)であり、該類似体が、構造:
【化9】
[式中、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
R3がHまたはC1-C4アルキルである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
該プロテアーゼインヒビターがロピナビル(lopinavir)であり、該類似体が、構造:
【化10】
[式中、R4は-CONHR3または-CH2COOR3であり、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する、請求項19記載の方法。
【請求項23】
エファビレンツ(efavirenz)について検量線を確立する方法であって、以下:
各校正用物質がエファビレンツの免疫化学的に同等な類似体の所定範囲の濃度の1つを含有する、1組の校正用物質を調製する工程であって、ここで、該類似体は、C1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化されているエファビレンツの誘導体を含む、工程、
該校正用物質のそれぞれを、エファビレンツおよび該類似体に特異的に結合するモノクローナル抗体、ならびに該類似体への該抗体の結合に際してシグナルを生成する部分とエファビレンツとを含むコンジュゲートと接触させる工程、
各校正用物質により生成されたシグナルを測定する工程、および
各校正用物質について測定されたシグナルに対して該類似体の濃度をプロットすることにより検量線を確立する工程
を含んでなる方法。
【請求項24】
該類似体が、構造:
【化11】
[式中、RはC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHである]
を有する、請求項23記載の方法。
【請求項1】
アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれるHIVプロテアーゼインヒビターを含んでなる化合物であって、該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基が、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2COOR3および-OCH2CONHR3からなる群から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである、化合物。
【請求項2】
構造:
【化1】
[式中、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する化合物。
【請求項3】
構造:
【化2】
[式中、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する化合物。
【請求項4】
R3がHまたはC1-C4アルキルである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
構造:
【化3】
[式中、R4は、-(C1-C10アルキル)、-CONHR3、-CH2COOR3および-CH2CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する化合物。
【請求項6】
R4が-CONHR3または-CH2COOR3であり、R3が、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、nが1〜6であり、XがCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、R5がHまたはC1-C6アルキルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
構造:
【化4】
[式中、R1は、Hおよび-CONHR3からなる群から選ばれ、R4は、C1-C10アルキル、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する化合物。
【請求項8】
R1がHであり、R4が、-CH2COOR3、-CH2CONHR3および-CONHR3からなる群から選ばれ、R3がHまたはC1-C6アルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R1がHであり、R4が-CONHR3または-CH2COOR3であり、R3がC1-C6アルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項10】
R1が-CONHR3であり、R4がHであり、R3がHまたはC1-C6アルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項11】
R1が-CONHR3であり、R4が-CONHR2であり、R3およびR2がそれぞれC1-C4アルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項12】
構造:
【化5】
[式中、RはC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHである]
を有する化合物。
【請求項13】
サンプル中のプロテアーゼインヒビターの量を測定するための試験キットであって、該プロテアーゼインヒビターが、サンプル中に存在するアンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれ、該キットが、パッケージされた組合せとして、以下:
該プロテアーゼインヒビターに特異的に結合する抗体、
該プロテアーゼインヒビターと免疫化学的に同等な、該プロテアーゼインヒビターの類似体であって、該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基が、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2COOR3および-OCH2CONHR3からなる群から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである、該プロテアーゼインヒビターの類似体、ならびに
サンプル中の該プロテアーゼインヒビターの量を測定するための使用説明書、
を含んでなる、試験キット。
【請求項14】
該プロテアーゼインヒビターがアタザナビル(atazanavir)であり、該類似体が、構造:
【化6】
[式中、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する、請求項13記載の試験キット。
【請求項15】
R3がHまたはC1-C4アルキルである、請求項14記載の試験キット。
【請求項16】
該プロテアーゼインヒビターがロピナビル(lopinavir)であり、該類似体が、構造:
【化7】
[式中、R4は-CONHR3または-CH2COOR3であり、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する、請求項13記載の試験キット。
【請求項17】
サンプル中のエファビレンツ(efavirenz)の量を測定するための試験キットであって、該キットが、パッケージされた組合せとして、以下:
エファビレンツに特異的に結合する抗体、
エファビレンツと免疫化学的に同等である、C1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化されているエファビレンツ誘導体を含むエファビレンツの類似体、および
該サンプル中のエファビレンツの量を測定するための使用説明書、
を含んでなる試験キット。
【請求項18】
該類似体が、構造:
【化8】
[式中、RはC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHである]
を有する、請求項17記載の試験キット。
【請求項19】
アンプレナビル(amprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、チプラナビル(tipranavir)、インジナビル(indinavir)、ダルナビル(darunavir)、ロピナビル(lopinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)およびサキナビル(saquinavir)からなる群から選ばれるHIVプロテアーゼインヒビターについて検量線を作成する方法であって、以下:
各校正用物質が該プロテアーゼインヒビターの免疫化学的に同等な類似体の所定範囲の濃度の1つを含有する、1組の校正用物質を調製する工程であって、ここで、該類似体は該プロテアーゼインヒビターの誘導体を含み、ここで、該プロテアーゼインヒビターの中央のヒドロキシル基は、-O(C1-C10アルキル)、-OCONHR3、-OCH2CONHR3および-OCH2COOR3からなる群から選ばれる基で置換されており、ここで、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである、工程、
該校正用物質のそれぞれを、該プロテアーゼインヒビターおよび類似体に特異的に結合するモノクローナル抗体、ならびに該類似体への該抗体の結合に際してシグナルを生成する部分と該プロテアーゼインヒビターとを含むコンジュゲートと接触させる工程、
各校正用物質により生成されたシグナルを測定する工程、および
各校正用物質に関して測定されたシグナルに対して該類似体の濃度をプロットすることにより検量線を確立する工程、
を含んでなる方法。
【請求項20】
該プロテアーゼインヒビターがアタザナビル(atazanavir)であり、該類似体が、構造:
【化9】
[式中、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
R3がHまたはC1-C4アルキルである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
該プロテアーゼインヒビターがロピナビル(lopinavir)であり、該類似体が、構造:
【化10】
[式中、R4は-CONHR3または-CH2COOR3であり、R3は、H、C1-C6アルキル、フェニル、ヘテロアリールおよび-(CH2)n-Xからなる群から選ばれ、ここで、nは1〜6であり、XはCOOR5またはNH-CH2-フェニル-COOR5であり、ここで、R5はHまたはC1-C6アルキルである]
を有する、請求項19記載の方法。
【請求項23】
エファビレンツ(efavirenz)について検量線を確立する方法であって、以下:
各校正用物質がエファビレンツの免疫化学的に同等な類似体の所定範囲の濃度の1つを含有する、1組の校正用物質を調製する工程であって、ここで、該類似体は、C1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHでN-アルキル化されているエファビレンツの誘導体を含む、工程、
該校正用物質のそれぞれを、エファビレンツおよび該類似体に特異的に結合するモノクローナル抗体、ならびに該類似体への該抗体の結合に際してシグナルを生成する部分とエファビレンツとを含むコンジュゲートと接触させる工程、
各校正用物質により生成されたシグナルを測定する工程、および
各校正用物質について測定されたシグナルに対して該類似体の濃度をプロットすることにより検量線を確立する工程
を含んでなる方法。
【請求項24】
該類似体が、構造:
【化11】
[式中、RはC1-C6アルキルまたは(C1-C6アルキル)OHである]
を有する、請求項23記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2010−508250(P2010−508250A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533751(P2009−533751)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009389
【国際公開番号】WO2008/052737
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009389
【国際公開番号】WO2008/052737
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
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