説明

免疫学的ストレス低減のための酵素

動物中の陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、動物中の陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効な量の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む、動物への経口投与に適した組成物を提供し、そのような組成物を使用する方法も提供する。その組成物には、動物飼料組成物、動物飼料以外の液体組成物、および動物飼料以外の固体組成物が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫学的ストレスを低減し、動物の肥育能力を改善する組成物および方法を提供する。具体的には、本発明は、免疫学的ストレスを低減するのに有効であり、または感染症を治療もしくは予防するのに有効であり、または動物の肥育能力を改善するのに有効である酵素を含む組成物を提供する。本発明はまた、その組成物を使用する方法をも提供する。
【背景技術】
【0002】
動物は、動物の免疫系によって認識される抗原への曝露を含めたいくつかの理由で免疫学的ストレスを受ける可能性がある。抗原は、適応免疫応答または自然免疫応答である免疫応答を誘発することができる。免疫応答が誘発されたとき、動物は、認知された脅威にその免疫系が応答するのに伴って免疫学的ストレスを受ける。しばしば、免疫学的ストレスは動物の肥育能力を妨げる。
【0003】
急性期タンパク質(APP)は1群の血液タンパク質であり、その血中濃度は、動物が感染症、炎症、外科的外傷や他の内外の誘発刺激などのストレスを受けているときに変化する。例えば、Murataら、Vet.J.168:28(2004)を参照されたい。APPは、動物の自然免疫応答において役割を果たすと考えられる。例えば、APPは、獲得免疫が発達するまでの恒常性の維持および微生物増殖の抑制に関与する可能性がある。
【0004】
APPには、その濃度がストレスとともに低下する「陰性」タンパク質、およびその濃度がストレスとともに増大する「陽性」タンパク質が含まれる。例えば、Murataら、上記を参照されたい。陰性APPには、アルブミンおよびトランスフェリンがある。陽性APPには、ハプトグロビン、C反応性タンパク質、血清アミロイドA、セルロプラスミン、フィブリノーゲン、α-1-酸性糖タンパク質(AGP)など、炎症促進性サイトカインによる刺激後に肝細胞によって合成され血流中に放出されたタンパク質がある。APPの肝外産生も、ほとんどの哺乳動物種で報告されている(同上)。インターロイキン-6(IL-6)や腫瘍壊死因子α(TNF-α)などの炎症促進性サイトカインは、肝でのAPP合成の主要な媒介物質であると考えられる。炎症、感染または組織損傷は防御指向性細胞によるサイトカイン放出を誘発し、それによってAPP合成が誘導される。陽性APPの誘導はまた、陰性APPの合成の低下とも関係する(同上)。
【0005】
APPを定量する方法は確立されており、循環中のAPP濃度(例えば、APPの血清レベル)は、動物の状態の重症度と相関している(同上)。したがって、APP濃度は、動物の免疫ストレスレベルの指標として使用することができる。
【0006】
動物の免疫系は、動物飼料組成物中の植物および動物由来成分など、動物の健康にとって現実の脅威を有さない抗原を認識することができる。これらの抗原は、自然免疫応答などの免疫応答を誘発することができ、それによって動物が免疫学的ストレスを受ける。このストレス応答は、血清APP濃度を介して同定しモニターすることができる。
【0007】
免疫を誘発する抗原が動物の健康にとって現実の脅威を有さなかったときでさえ、そのストレス応答は有害な効果を有する可能性がある。これは、例えば、飼料効率の低下、体重増加率の低下もしくは体重の減少、感染に対する感受性の増大、または体温の上昇として観察することができる。
【0008】
動物における胃腸の炎症を低減するための、抗ホスホリパーゼA2抗体などの抗体の使用が記載されている。例えば、米国特許第6,383,485号を参照されたい。飼料効率を高めるために、エンド-1,4-β-マンナナーゼなど、β-マンナン含有ヘミセルロースを分解することができるヘミセルラーゼ(例えば、β-マンナナーゼ型ヘミセルラーゼ)、またはホスホリパーゼA2などのホスホリパーゼを含む飼料組成物が記載されている。例えば、WO97/41739、米国特許第6,162,473号、および米国特許第6,183,739号を参照されたい。
【0009】
結合を切断しそれによって細胞表面タンパク質または炭水化物を放出するPI-PLCなどの酵素からなる、消化管感染症を治療または予防するための飼料組成物が同様に記載されている。例えば、WO01/41785を参照されたい。Walshら、J.Anim.Sci.73:1074(1995)は、混合β-1,3、β-1,4-基質を切断する1,4-β-グルカナーゼなど、混合結合グルカン基質を切断するグルカナーゼ酵素を含む飼料組成物について論じている。しかし、本発明者らの試験では、PI-PLCも1,4-β-グルカナーゼも免疫ストレスを低減する活性を示さなかった。
【0010】
β-マンナナーゼ型ヘミセルラーゼまたはホスホリパーゼ以外であり、免疫学的ストレスを低減するのに有効な量存在する酵素からなる飼料組成物の記載はこれまでになかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、動物の免疫学的ストレスを低減する組成物および方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要旨
一実施形態は、経口的に許容される担体中に免疫ストレス低減酵素を含む、動物への経口投与に適した組成物を提供する。組成物は、(i)動物中の陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、動物中の陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効な量の酵素を含む動物飼料;(ii)酵素を少なくとも40,000IU/L含む、動物飼料以外の液体組成物;および(iii)酵素を少なくとも40,000IU/kg含む、動物飼料以外の固体組成物からなる群から選択される。酵素はβ-マンナナーゼ型ヘミセルラーゼまたはホスホリパーゼ以外であり、酵素が1,3-β-グルカナーゼを含む場合、組成物は、(i)飼料1kg当たり少なくとも20IUの1,3-β-グルカナーゼを含む動物飼料;(ii)1,3-β-グルカナーゼを少なくとも155,000IU/L含む、動物飼料以外の液体組成物;および(iii)1,3-β-グルカナーゼを少なくとも300,000IU/kg含む、動物飼料以外の固体組成物からなる群から選択される。
【0013】
一実施形態では、組成物は、飼料1kg当たり少なくとも20IUの酵素を含む動物飼料である。他の実施形態では、組成物は、酵素を少なくとも80,000IU/kg含み、または酵素を少なくとも160,000IU/kg含む、動物飼料以外の固体組成物である。
【0014】
一実施形態では、組成物は、動物中で免疫応答を誘導する成分を含む動物飼料であり、酵素は、前記成分を分解する酵素を含む。一実施形態では、成分は、病原性微生物によって提示される抗原である。
【0015】
一実施形態では、酵素は1,3-β-グルカナーゼを含む。一実施形態では、酵素は1,3-β-グルカナーゼを含み、組成物は、(i)飼料1kg当たり少なくとも30IUの1,3-β-グルカナーゼを含む動物飼料;(ii)1,3-β-グルカナーゼを少なくとも230,000IU/L含む、動物飼料以外の液体組成物;および(iii)1,3-β-グルカナーゼを少なくとも450,000IU/kg含む、動物飼料以外の固体組成物からなる群から選択される。
【0016】
他の実施形態は、2つ以上の免疫ストレス低減酵素を含む、動物への経口投与に適した組成物を提供し、組成物は、1,4-β-マンナナーゼおよび1,3-β-グルカナーゼ以外の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む。組成物は、(i)前記動物中の陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、前記動物中の陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効な量の前記免疫ストレス低減酵素を含む動物飼料;(ii)少なくとも40,000IU/Lの酵素量の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む、動物飼料以外の液体組成物;および(iii)少なくとも40,000IU/kgの酵素量の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む、動物飼料以外の固体組成物からなる群から選択される。
【0017】
一実施形態では、組成物は、飼料1kg当たり少なくとも20IUの酵素量の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む動物飼料である。他の実施形態では、組成物は、少なくとも酵素80,000IU/kg、または少なくとも酵素160,000IU/kgの量の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む、動物飼料以外の固体組成物である。
【0018】
具体的な実施形態では、組成物は、(i)1,4-β-マンナナーゼおよびキタナーゼを含む組成物;(ii)1,4-β-マンナナーゼおよびキシログルカナーゼを含む組成物;(iii)1,4-β-マンナナーゼおよびアラビナナーゼを含む組成物;(iv)1,3-β-グルカナーゼおよびキタナーゼを含む組成物;(v)1,3-β-グルカナーゼおよびキシログルカナーゼを含む組成物;(vi)1,3-β-グルカナーゼおよびアラビナナーゼを含む組成物、ならびに(vii)1,4-β-マンナナーゼ、1,3-β-グルカナーゼおよびアラビナナーゼを含む組成物からなる群から選択される。
【0019】
他の実施形態は、1,4-β-マンナナーゼおよび1,3-β-グルカナーゼを含む、動物への経口投与に適した組成物を提供する。組成物は、(i)1,4-β-マンナナーゼおよび飼料1kg当たり少なくとも20IUの1,3-β-グルカナーゼを含む動物飼料、(ii)1,4-β-マンナナーゼおよび少なくとも155,000IU/Lの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の液体組成物、ならびに(iii)1,4-β-マンナナーゼおよび少なくとも300,000IU/kgの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の固体組成物からなる群から選択される。一実施形態では、組成物は、(i)1,4-β-マンナナーゼおよび飼料1kg当たり少なくとも30IUの1,3-β-グルカナーゼを含む動物飼料;(ii)1,4-β-マンナナーゼおよび少なくとも230,000IU/Lの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の液体組成物、ならびに(iii)1,4-β-マンナナーゼおよび少なくとも450,000IU/kgの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の固体組成物からなる群から選択される。一実施形態では、組成物は、1つまたは複数のさらなる免疫ストレス低減酵素をさらに含む。
【0020】
他の実施形態は、動物の肥育能力を改善し、かつ/または動物中の免疫ストレスを低減する方法を提供し、その方法は、上記に記載した組成物のいずれかを動物に経口投与するステップを含む。
【0021】
一実施形態では、動物中で免疫応答を誘導する成分を動物に投与し、組成物は、その成分を分解する少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む。一実施形態では、その成分および酵素を同じ組成物中に含めて投与する。一実施形態では、組成物は動物飼料である。一実施形態では、その成分は病原性微生物によって提示される抗原である。
【0022】
他の実施形態は、抗原を提示する病原性微生物と関係する感染症を予防または治療する方法を提供し、その方法は、上記に記載した組成物のいずれかを、それを必要とする動物に経口投与するステップを含み、組成物は、抗原を分解する少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
下記の論述において、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、別段の指定がない限り、1つまたは複数を包含することが理解されるはずである。
【0024】
本明細書において、「動物」という用語は、ヒト、ならびにイヌやネコなどの伴侶動物、乳牛および他の反芻動物やスイギュウ、ウマ、ブタ、ヒツジなどの家畜、家禽(例えば、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、およびガチョウ)および水産養殖動物(例えば、魚および小エビおよびウナギ)を含めた非ヒト動物などの他の動物を含めた任意の動物を指す。
【0025】
本説明において、「抗原を分解する酵素」および「成分を分解する酵素」という語句は、酵素が、抗原または成分を、動物の免疫系によって認識されない形態に転換することを意味する。抗原または成分を分解する酵素の能力は、動物の血清APP濃度を測定することによって同定することができ、それにより、陽性APPの血清濃度の低下、または陰性APPの血清濃度の増大から、酵素が抗原または成分を分解したことが示唆される。
【0026】
上述の通り、「APP」という用語には、その濃度がストレスとともに低下する「陰性」タンパク質、およびその濃度がストレスとともに増大する「陽性」タンパク質が含まれる。本発明は、その濃度が通常ストレスとともに低下する陰性急性期タンパク質の濃度を増大させる組成物および方法、ならびにその濃度が通常ストレスとともに増大する陽性急性期タンパク質の濃度を低下させる組成物および方法を含む。便宜上、下記の論述では、陽性急性期タンパク質に対する組成物および方法の効果に関して本発明を例示する。したがって、下記の論述中の「APP」という用語は一般に、動物のストレス応答と関係する任意の1つまたは複数の陽性急性期タンパク質を指す。(陽性急性期タンパク質に関して)「APP」の濃度を低下させると本明細書で記載した組成物および方法が、陰性急性期タンパク質の濃度を増大させることにも有用であることが理解されるはずである。
【0027】
本発明の一態様は、動物が受ける免疫学的ストレスを低減するのに有効な酵素を含む組成物に関する。便宜上、本明細書においてこれらの酵素を「免疫ストレス低減」酵素と称する。本明細書において、「免疫ストレス低減酵素」という用語は、動物の免疫系によって認識される抗原または分子パターン、例えば、免疫応答を誘発し、それによって動物が免疫学的ストレスを受ける抗原または分子パターン、を分解する任意の酵素を意味する。本明細書において「分子パターン(molecular pattern)」という用語は、病原体と通常関係する分子パターンなど、自然免疫系との関連で受容体に結合した一般的な分子パターンを含む。
【0028】
一実施形態によれば、免疫ストレス低減酵素は、β-マンナナーゼ型ヘミセルラーゼではない。その実施形態によれば、免疫ストレス低減酵素はエンド-1,4-β-D-マンナナーゼではない。他の実施形態によれば、酵素はホスホリパーゼではない。他の実施形態によれば、免疫ストレス低減酵素は1,4-β-D-グルカナーゼではない。他の実施形態によれば、免疫ストレス低減酵素はPI-PLCではない。他の実施形態によれば、免疫ストレス低減酵素はβ-マンナナーゼ型ヘミセルラーゼまたはホスホリパーゼではない。さらに他の実施形態によれば、免疫ストレス低減酵素はβ-マンナナーゼ型ヘミセルラーゼではなく、1,4-β-グルカナーゼではなく、ホスホリパーゼではない。さらなる実施形態では、免疫ストレス低減酵素はβ-マンナナーゼ型ヘミセルラーゼではなく、1,4-β-グルカナーゼではなく、ホスホリパーゼではなく、PI-PLCではない。上記に記載した実施形態のいずれかの一態様によれば、酵素は1,3-β-グルカナーゼではない。
【0029】
任意の理論に拘泥するものではないが、免疫ストレス低減酵素による抗原または分子パターンの分解により、抗原または分子パターンによって誘発された免疫応答が阻害されまたは低減し、それによって動物の免疫学的ストレスが低減すると考えられる。免疫学的ストレスの低下は、APPの定量について当技術分野で知られている方法を使用して動物の血清APP濃度を測定することによって同定しモニターすることができる。そのような方法の例は、Murataら、上記で言及され、Hultenら、Vet.Microbiol.95:75(2003)およびHoltら、上記、ならびに下記の実施例1で記載され言及されている。
【0030】
関連する実施形態では、本発明は、動物中の免疫学的ストレスを低減する方法を提供し、その方法は、動物中のAPPのレベルを低減するのに有効な量の免疫ストレス低減酵素を含む組成物を動物に投与するステップを含む。
【0031】
α-1-酸性糖タンパク質(AGP)、セルロプラスミン(Cp)、コレクチンファミリーのタンパク質(例えば、肺サーファクタントタンパク質、コングルチニンおよびマンナン結合レクチン)、フィブリノーゲン(Fb)、C反応性タンパク質(CRP)、ハプトグロビン、プロテアーゼ阻害物質(例えば、α-1-アンチトリプシン、α-1-アンチキモトリプシン、およびα-2-マクログロブリン)、および血清アミロイドA(SAA)を含めて、いくつかの異なる陽性急性期タンパク質が同定されている。他の潜在的なAPPには、リポ多糖結合タンパク質(LPB)、アネキシンなどのリン脂質結合タンパク質および主要急性期タンパク質(MAP)が含まれる。Murataら、上記。本発明に従って、これらのうちいずれか1つまたは他のAPPの血清濃度を使用して、酵素活性を同定し、測定しモニターすることができる。
【0032】
異なるAPPは、異なる動物のストレス応答においてより重大な役割を果たす可能性がある。例えば、AGPは、畜牛において臨床的に重要であることが知られ、ブタ、イヌ、ネコおよび(雌鶏を含めた)ニワトリにおける感染症と関係する。Cpは、畜牛、ウマ、およびニワトリにおける感染症の指標であることが報告されている。CRPは反芻動物、ウマ、ブタ、イヌ、およびネコにおいて同定されているが、CRPが畜牛においてAPPであることは実証されていない。CRPは、ウマおよびブタにおける感染症と関係することが示されている。Fbは、畜牛およびヒツジにおける炎症、細菌感染症または外科的外傷についての信頼性のある指標であり、ウマにおける感染症と関係する。Hpは、畜牛やヒツジなどの反芻動物、ブタ、ウマ、およびイヌを含めたいくつかの畜産用動物および伴侶動物においてAPPである。SAAは、畜牛における炎症および感染症と、ウマ、ブタ、イヌなどの伴侶動物、およびニワトリにおける感染症と関係している。SAAの乳汁レベルの増大が、乳腺炎を伴う乳牛および雌ヒツジで認められている。血清LBPは、畜牛における感染症と関係し、(感染した畜牛の肺における分泌上皮の表面上での)局所レベルのアネキシンにも関係する。MAPは、ブタにおける感染症の指標であることが報告されている。さらに、トランスフェリンは通常は陰性急性期タンパク質と考えられるが、ニワトリでは陽性急性期タンパク質として役割を果たすと思われる。Murataら、上記;Holtら、Poultry Sci.81:1295-1300(2002)。他の文献では、SAAおよびHp、ならびにCRPおよびMAPがブタにおける感染症と関係することも報告されている。Hultenら、上記。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、動物中のAPPの血清濃度を低下させるのに有効な量の免疫ストレス低減酵素を含む。その量は、動物および免疫ストレス低減酵素に応じて様々である可能性があり、当技術分野で知られている方法を使用して当業者によって容易に決定することができる。例えば、酵素の投与の前後に動物の血清APPレベルを測定することもでき、または対等の治療動物および対照動物の血清APPレベルを比較することもできる。(これに関して、APPレベルが齢数とともに変化する可能性があるので、同じ齢数の治療動物および対照動物を比較すると有利となる可能性がある。例えば、血清AGPレベルはニワトリの齢数とともに増大することを本発明者らは見出した。)酵素の投与と関係する血清APP濃度の低下から、有効量の酵素が投与されたことが示唆される。
【0034】
他の実施形態では、本発明の組成物は、動物の肥育能力(特に家禽の分野では「生育能力(live performance)」とも称される)を改善するのに有効な量の免疫ストレス低減酵素を含む。本明細書において、「動物の肥育能力」という語句は、飼料要求率、水分吸収率、糞便含水量、動物の群れまたは集団内での体重の均一性、生存率、および死亡率を含めた動物の肥育を反映する任意のパラメータを含む。任意の理論に拘泥するものではないが、いくつかの条件下では、APP濃度に対する免疫ストレス低減酵素の効果が、動物の集団中での低レベルの感染症の存在やストレスの多い生存状態など免疫ストレスを誘導するファクターなどのファクターによって遮蔽されると考えられる。そのような条件下で、免疫ストレス低減酵素はそれでもなお動物の肥育能力を改善するのに有効である可能性がある。したがって、動物の肥育能力は、本発明の組成物および方法の有効性の代替尺度となる。
【0035】
組成物は、動物への投与に適した任意の組成物でよい。一実施形態では、組成物は経口投与に適する。具体的な一実施形態では、経口投与に適した組成物は、動物への経口投与にとって安全であると一般に認識されている。他の具体的な実施形態では、経口投与に適した組成物は、動物への経口投与にとって安全であると一般に認識されている成分のみ、およびその量の前記成分を含有する。他の具体的な実施形態では、経口投与に適した組成物は、動物への経口投与にとって安全であると一般に認識されていない成分、またはその量の前記成分を含有しない。他の具体的な実施形態では、経口投与に適した組成物は、動物への経口投与を許可され、または禁止されていない成分のみ、およびその量の前記成分を含有する。他の具体的な実施形態では、経口投与に適した組成物は、動物への経口投与を許可されず、もしくは禁止されている成分、またはその量の前記成分を含有しない。
【0036】
いくつかの実施形態では、組成物は、経口的に許容される酵素用の担体を含む。本明細書において、「経口的に許容される担体」には、経口投与に適した、生理的に許容される任意の担体が含まれる。経口的に許容される担体には、それだけに限らないが、動物飼料製品での使用、および/または動物への経口投与に適した動物飼料組成物、水性組成物、ならびに液体および固体組成物が含まれる。適切な担体は当業者に知られ、それには米国特許第6,780,628号に記載のものが含まれる。
【0037】
いくつかの実施形態では、組成物は動物飼料である。本明細書において、「動物飼料」という用語は、畜産の分野におけるその従来の意味を有する。例えば、動物飼料には、その栄養的価値のために家畜により消費される食用物質が含まれる。動物飼料には、配給飼料、例えば動物の栄養的要求を満たす組成物が含まれ、動物の栄養的要求を満たさない組成物も含まれる。
【0038】
そのような実施形態の具体例では、酵素の量は、飼料1米国トン当たり少なくとも約50,000国際単位(IU)、飼料1トン当たり少なくとも約60,000IU、飼料1トン当たり少なくとも約70,000IU、飼料1トン当たり少なくとも約80,000IU、飼料1トン当たり少なくとも約90,000IU、飼料1トン当たり少なくとも約100,000IU、飼料1トン当たり少なくとも約200,000IU、または飼料1トン当たり少なくとも約500,000IU以上である。
【0039】
他の具体例では、本発明は、飼料1kg当たり少なくとも20IU、飼料1kg当たり少なくとも25IU、飼料1kg当たり少なくとも30IU、飼料1kg当たり少なくとも35IU、飼料1kg当たり少なくとも40IU、飼料1kg当たり少なくとも45IU、飼料1kg当たり少なくとも50IU以上など、飼料1kg当たり少なくとも約20IUの量の免疫ストレス低減酵素を含む動物飼料を提供する。任意の理論に拘泥するものではないが、飼料1kg当たり少なくとも約20IUの量の免疫ストレス低減酵素を含む動物飼料は、前記動物中の陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、前記動物中の陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効であると考えられる。
【0040】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、動物中の陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、動物中の陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効な量の免疫ストレス低減酵素を含む動物飼料を提供する。
【0041】
当技術分野で知られている方法によって飼料組成物を調製することができる。例えば、当業者により適当であると見なされているように、製造工程の間の任意の段階で免疫ストレス低減酵素を他の飼料成分に添加することができる。一実施形態では、製造工程の間に他の飼料成分に添加する液体酵素濃縮物などの溶液として酵素を提供する。あるいは、実質的に最終形態の動物飼料上に酵素含有溶液を噴霧する。他の実施形態では、製造工程の間に他の飼料成分に添加する固体組成物などの固体組成物(粉末など)として酵素を提供する。酵素含有飼料を製造する例示的な方法は、WO97/41739に記載されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、組成物は動物飼料以外のものである。例えば、組成物は、動物飼料以外の液体組成物でもよく、または動物飼料以外の固体組成物でもよい。そのような組成物は、動物への直接投与に適する可能性もあり、または飼料添加物(例えば、給餌前に飼料に添加する添加物)もしくは飼料補充物(給餌前に他の飼料構成成分で希釈した補充物、および自由選択で別個に動物に提供される補充物を含む)として使用することもできる。動物飼料以外の液体組成物の例には、動物への経口投与前に他の成分で通常希釈しまたはそれと混合する液体酵素濃縮物を含めた液体酵素濃縮物が含まれる。
【0043】
組成物が酵素溶液など動物飼料以外の液体組成物である実施形態では、液体組成物または溶液は、少なくとも40,000IU/L、少なくとも50,000IU/L、少なくとも60,000IU/L、少なくとも70,000IU/L、少なくとも80,000IU/L、少なくとも90,000IU/L、少なくとも100,000IU/L、少なくとも約500,000IU/L、少なくとも約600,000IU/L、少なくとも約700,000IU/L、少なくとも約800,000IU/L、少なくとも約900,000IU/L、少なくとも約1,000,000IU/L、少なくとも約2,000,000IU/Lや少なくとも約5,000,000IU/Lなど、溶液1リットル当たり少なくとも約40,000国際単位(IU)含みうる。
【0044】
いくつかの実施形態では、約500mLの溶液など、動物飼料以外の液体組成物の量を、1トンの飼料までなどの飼料の量に加えまたはそれと混合して、上記に記載の酵素レベルを有する飼料調合剤にする。他の実施形態では、動物飼料以外の液体組成物の量を、飼料の量に加えまたはそれと混合して、動物中の陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、動物中の陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効な酵素の量を有する動物飼料を調製する。
【0045】
経口投与に適した(下記で論じる1,3-β-グルカナーゼ組成物以外の)現在入手可能な液体酵素濃縮組成物は、少し含んでいたとしても、少なくとも約40,000IU/Lよりはるかに少ない量の免疫ストレス低減酵素しか含まず、その説明書に従って使用したとき、それは陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効でないと考えられる。
【0046】
組成物が動物飼料以外の固体組成物である実施形態では、組成物は、少なくとも40,000IU/kg、少なくとも50,000IU/kg、少なくとも60,000IU/kg、少なくとも70,000IU/kg、少なくとも80,000IU/kg、少なくとも90,000IU/kg、少なくとも100,000IU/kg、少なくとも120,000IU/kg、少なくとも140,000IU/kg、少なくとも160,000IU/kg、少なくとも180,000IU/kg、少なくとも200,000IU/kg以上など、少なくとも約40,000IU/kg含みうる。
【0047】
いくつかの実施形態では、動物飼料以外の固体組成物の量を飼料の量に加えまたはそれと混合して、上記に記載の酵素レベルを有する飼料調合剤にする。他の実施形態では、動物飼料以外の固体組成物の量を飼料の量と混合して、動物中の陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、動物中の陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効な酵素の量を有する動物飼料を調製する。
【0048】
経口投与に適した現在入手可能な固体酵素粉末組成物は、少し含んでいたとしても、少なくとも約40,000IU/kgよりはるかに少ない量の免疫ストレス低減酵素しか含まず、その説明書に従って使用したとき、それは陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効でないと考えられる。
【0049】
当技術分野において従来通り、「IU」または「国際単位」という用語は、酵素にとって最適な条件下で1分当たりに基質1マイクロモルの変換を触媒する酵素の量を指す。免疫ストレス低減酵素の国際単位に対する当量は当技術分野で周知であり、標準的なアッセイを使用して決定することができる。代表的な免疫ストレス低減酵素の例示的な標準アッセイの概略を下記で示す。
【0050】
一実施形態では、動物飼料で使用する植物によって酵素を発現させる。例えば、トウモロコシを遺伝子工学により改変して、免疫ストレス低減酵素を発現させることができ、得られた遺伝子改変トウモロコシ産物を飼料中で使用することができる。細菌、例えば、大腸菌(E.coli)、バシラス(Bacillus)種、ラクトバシラス(Lactobacillus);酵母、例えば、ピキア(Pichia)、ヤロウ(Yarrow)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)(例えば、分裂酵母(Schizosaccharomyces pomb)、ハンゼヌラ(Hansenula)、クリヴェロミセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida))、およびアスペルギルス(Aspergillus)、クモノスカビ(Rhizopus)、トリコデルマ(Tricoderma)、フミコーラ(Humicola)、ペニシリウム(Penicillium)やフミコーラなどの他の菌類など、他の遺伝子改変系または古典的改変系を用いて産生を行うこともできる。
【0051】
他の実施形態によれば、経口摂取用のカプセル型または錠剤型として免疫ストレス低減酵素を提供する。本発明はまた、静脈内、腹腔内や皮下などの他の経路により、既知の薬学上の慣習に従ってそのような投与用に調合された組成物の構成成分として酵素を投与する実施形態をも包含する。
【0052】
動物の免疫系は、動物の健康にとって現実の脅威を有さない飼料組成物の特定の成分を、抗原または分子パターンとして認識することができる。それにもかかわらず、その成分は、動物に免疫学的ストレスを引き起こす免疫応答を誘発し、その免疫応答は、1つまたは複数のAPPの血清濃度の増大によって同定およびモニターすることができる。任意の理論に拘泥するものではないが、この「不必要かつ逆効果の」免疫応答には、自然免疫系に関与するものなどのパターン認識受容体(PRR)が関与する可能性があると考えられる。
【0053】
自然免疫系は、特定の抗原認識に依存しない免疫応答をもたらす。例えば、Tosi,J.Allergy Clin.Immunol.116:241(2005)を参照されたい。自然免疫系の1つの側面には、病原体関連分子パターンを認識しそれと結合し、免疫応答シグナルを伝達するPRRが関与する。例えば、Fabrickら、J.Biol.Chem.279:26605(2004)を参照されたい。PRRの例には、一連の分子パターンを認識し、一連の宿主応答を活性化する細胞内シグナルを発生させるToll様受容体(TLR)が含まれる。例えば、Tosi、上記;Blach-Olszewska、Arch.Immunol.Ther.Exp.53:245(2005)を参照されたい。マンノース(例えば、Blach-Olszewska、上記)、1,3-β-グルカン(例えば、Riceら、J.Leukoc.Biol.72:140(2002))、リポ多糖およびホスホリルコリン(例えば、Baumgarthら、Semin.Immunopathol.26:347(2005))、リポタイコ酸、フェノール可溶性モジュリン、ムラミルジペプチドおよびペプチドグリカン(例えば、Fournierら、Clin.Microbiol.Rev.18:521(2005)、マンナンの免疫調節性受容体(例えば、Klabundeら、Parasitol.Res.88:113(2002)(マンナン結合レクチン))、ならびにN-アセチル-D-グルコサミンおよびN-アセチル-D-マンノサミン(例えば、Hansenら、J.Immunol.169:5726(2002))を認識するPRR/TLRが同定されている。二本鎖RNA(例えば、Bellら、Proc.Nat'l Acad.Sci.USA 102:10976(2005))および内因性DNAと異なるメチル化パターンを有するDNA(例えば、Huang at al.、J.Immunol.175:3964(2005);Nonnemacherら、Infect.Immun.71:850(2003))のTLRも同定されている。
【0054】
これらの分子パターンは病原性微生物(例えば、細菌、ウイルス、菌類および原虫)と関係するが、それらはまた、動物飼料成分などの一部の非病原性分子によっても提示されている。これらの分子パターンを提示する非病原性分子に対する自然免疫応答は、不必要に動物を免疫学的ストレスにさらし、動物の飼料効率に有害な影響を及ぼし、動物の体重増加率を低下させもしくは体重を減少させ、感染に対して動物をより感受性にし、動物の体温を上昇させ、またはその他の形で動物の健康または食物エネルギー(カロリー)利用効率に対して負の影響を及ぼす可能性がある。MBL(マンノース結合レクチン)から生じる自然免疫応答の機能は、例えば強力な応答を誘導する。マウスにおけるマンノース結合タンパク質の遺伝子の1つに突然変異を起こすと、逆説的にも、通常では致死となる急性敗血性腹膜炎の誘発刺激から生き残ることが可能となることが示されている(Takahashi,K.ら、Microbes Infect.4(8):773-784、2002)。この場合、攻撃的な自然免疫応答由来の免疫ストレスは感染よりも致死的である。
【0055】
β-マンナンは、ダイズ製品およびダイズに基づく動物飼料の構成成分である。動物飼料中に存在する高分子量型のβ-マンナンは、「不必要かつ逆効果の」自然免疫応答を誘発することができ、それによって動物が免疫学的ストレスにさらされる。本発明者らは、β-マンナナーゼ型ヘミセルラーゼ、エンド-1,4-β-D-マンナナーゼ、β-マンナン(例えば、β-ガラクトマンナン、β-グルコマンナン)を分解する酵素を使用してこの免疫学的ストレスを低減または予防することができ、それによってβ-マンナンに対する免疫応答が低減しまたは予防されることを見出した。下記の実施例で示すように、免疫学的ストレスの低減は、血清APP濃度の低下において反映される。
【0056】
α-マンナンを分解するα-マンナナーゼは、本発明による免疫ストレス低減酵素として有用である。α-マンナンは、ヘミセルロースの特徴的な特性を有さないので、ヘミセルロースであると見なされていない。
【0057】
工業用酵素の分野では、「ヘミセルラーゼ」という用語は、β-マンナナーゼについての商品名として使用されている。同様に、本発明者らによる共著の特許および刊行物では、エンド-1,4-β-D-マンナナーゼを含めたβ-マンナナーゼを指すのに「ヘミセルラーゼ」の用語を使用している。例えば、米国特許第6,162,473号を参照されたい。他の文脈では、「ヘミセルラーゼ」の用語は広く、下記で説明するように、マンナナーゼに加えてグルカナーゼおよびキシラナーゼを包含する可能性がある。
【0058】
「ヘミセルロース」という用語は、セルロースより容易に加水分解される、希釈アルカリ性溶液での抽出によって得られた炭水化物植物物質を示すのに作り出された。例えば、Schulze,E.、Berichte der Deutschen Botanischen Gesellschaf、24:2277(1891);Schulze,E.、Z.Physiol.Chem.16:387(1892)を参照されたい。それ以来、「ヘミセルロース」は、希釈アルカリ性溶液に可溶性であるペクチンおよびデンプンならびに植物樹液中の多糖以外の、セルロースと関係する不水溶性植物多糖を特定するものとなった。例えば、Whislerら、「Hemicelluloses」、IV POLYSACCHARIDE CHEMISTRY 112(Academic Press、1953)を参照されたい。キシラン、β-マンナンおよびガラクタンはヘミセルロースであると一般に見なされているが、ローカストビーンガム(Locust bean gum)およびグアーガム(guar gum)ガラクトマンナンのような一部のβ-マンナンは易溶性である。針葉樹の木は、そのセルロースと関係する大量のβ-マンナンを有し、広葉樹は大量のキシランを有する。
【0059】
ヘミセルロースと対照的に、α-マンナンは、サッカロミセスなどの菌類細胞壁と関係し、木の構造的構成成分ではなく、一般に水溶性である真核生物糖タンパク質中に均一に認められる。したがって、α-マンナンはヘミセルロースであると見なされず、α-マンナナーゼはヘミセルラーゼではない。α-マンナナーゼは、動物の免疫系によって認識されるが病原体と関係しないα-マンナンを分解するので、本発明による免疫ストレス低減酵素として有用である。マンノースを含有するポリマーが多数の病原体の表面上に認められるので、自然免疫系はマンナンに感受性である。
【0060】
動物の免疫系によって認識される可能性がある他の飼料成分には、β-1,3-グルカン(植物物質の一般的な構造的構成成分)、(例えば、ダイズ製品中に認められる)N-結合糖タンパク質複合体、植物、動物または微生物由来の二本鎖RNA、および外来(内因性でない)メチル化パターンを有する微生物、植物または動物由来のDNAが含まれる。したがって、一実施形態によれば、本発明は、1つまたは複数のこれらまたは他の飼料成分を分解する1つまたは複数の免疫ストレス低減酵素を含む組成物を提供する。関連する実施形態では、本発明は、動物中の免疫学的ストレスを低減する方法を提供し、その方法は、有効量のそのような1つまたは複数の酵素を含む組成物を動物に投与するステップを含む。免疫ストレス低減酵素およびその酵素が分解する抗原の具体例を下記の表に示す。本発明は、同じまたは異なる抗原を分解する他の免疫ストレス低減酵素を含む組成物、ならびに免疫学的ストレスを低減するためのそのような他の酵素の使用を包含する。
【表1】


【0061】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、2つ以上の免疫ストレス低減酵素を含む組成物を提供する。一実施形態では、2つ以上の酵素のうち少なくとも1つは、1,4-β-マンナナーゼまたは1,3-β-グルカナーゼでない。他の実施形態では、組成物は1,4-β-マンナナーゼおよび1,3-β-グルカナーゼを含む。
【0062】
具体的な一実施形態では、組成物は、1,4-β-マンナナーゼ、および飼料1kg当たり少なくとも20IU、飼料1kg当たり少なくとも25IU、飼料1kg当たり少なくとも30IU、飼料1kg当たり少なくとも35IU、飼料1kg当たり少なくとも40IU、飼料1kg当たり少なくとも45IU、飼料1kg当たり少なくとも50IU以上など、飼料1kg当たり少なくとも約20IUの1,3-β-グルカナーゼを含む動物飼料である。
【0063】
他の具体的な実施形態では、組成物は、1,4-β-マンナナーゼ、および少なくとも155,000IU/L、少なくとも230,000IU/L、少なくとも300,000IU/L、少なくとも380,000IU/L以上の1,3-β-グルカナーゼなど、少なくとも約155,000IU/Lの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の液体組成物である。
【0064】
他の具体的な実施形態では、組成物は、1,4-β-マンナナーゼ、および少なくとも300,000IU/kg、少なくとも450,000IU/kg、少なくとも600,000IU/kg、少なくとも750,000IU/kg、少なくとも900,000IU/kg以上の1,3-β-グルカナーゼなど、少なくとも約300,000IU/kgの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の固体組成物である。
【0065】
他の実施形態では、組成物は1,4-β-マンナナーゼおよびキシログルカナーゼを含む。他の実施形態では、組成物は1,3-β-グルカナーゼおよびキシログルカナーゼを含む。他の実施形態では、組成物は1,4-β-マンナナーゼおよびキチナーゼを含む。他の実施形態では、組成物は1,3-β-グルカナーゼおよびキタナーゼを含む。他の実施形態では、組成物は1,4-β-マンナナーゼおよびアラビナナーゼを含む。他の実施形態では、組成物は1,3-β-グルカナーゼおよびアラビナナーゼを含む。他の実施形態では、組成物は1,4-β-マンナナーゼ、1,3-β-グルカナーゼおよびアラビナナーゼを含む。
【0066】
これらの組合せが例示的なものに過ぎないことが理解されるであろう。本発明は、他の組合せの免疫ストレス低減酵素を含む組成物を含む。例えば、本発明は、上記で列挙しかつ/または下記で論じるいずれか1つまたは複数の免疫ストレス低減酵素、および1,4-β-マンナナーゼを含む組成物を含む。
【0067】
飼料成分によって引き起こされる免疫ストレスは、常に自然免疫系の応答であるとは限らない。ダイズタンパク質を基礎とするヒト乳置換調合乳を与えられた特定の小さな割合の幼児に、免疫を基礎とする強く有害な腸の反応が発生することがよく知られている(the Committee on nutrition、American Academy of Pediatrics、Pediatrics 101(1):p 148、(1998)の報告を参照されたい)。ダイズ中のN-結合糖タンパク質、例えば時折7Sグロブリンと称されるβ-コングリシニン(Ogawa Tら、Biosci.Biotechnol.Biochem.59(5):831-833、1995;Burks AWら、J Pediatr.Gastroenterol.Nutr.8(2):195-203、1989)は強い抗原となり得、抗栄養性を有すると認識されている。β-コングリシニンは、タンパク質全体へのその寄与にもかかわらず、栄養補助剤に使用するダイズタンパク質単離調製物から意図的に除去される。加水分解は抗原性を破壊する。さらに、雄鶏の給餌で使用する濃縮した7Sダイズ糖タンパク質分画が、他の低グリコシル化ダイズタンパク質分画より十分に消化されていないことを本発明者らは見出した。
【0068】
N-結合糖タンパク質中の炭水化物を分解するのに適した酵素の例には、α-1,2-フコシダーゼやα-1,3-1,4-フコシダーゼなどのα-フコシダーゼ、α-1,6-マンノシダーゼ、α-1,2-マンノシダーゼやα-1,3-マンノシダーゼなどのα-マンノシダーゼ、β-1,4-ガラクトシダーゼ、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼF(エンドF)、ペプチド-N-(N-アセチル-ベータ-グルコサミニル)アスパラギンアミダーゼF(PNGアーゼF)、PNGアーゼA、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼH(エンドH)、エンドD、エンドC、α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ、β-1,3-ガラクトシダーゼ、エンド-N-アシル-ノイラミニダーゼ(エンドN)、α-2,3-ノイラミニダーゼ、α-2,6-ノイラミニダーゼ、α-2,8-ノイラミニダーゼ、β-N-アセチルヘキソサミニダーゼ、エンド-β-N-ガラクトシダーゼ、エンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ、エンド-α-1,6-D-マンナナーゼ、アラビノガラクタナーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼがある。
【0069】
これらの酵素は当技術分野で知られ、一部は商業的供給元から入手可能である。あるいは、細菌、菌類や酵母などの酵素を産生する微生物から免疫ストレス低減酵素を得ることもできる。さらに、当技術分野で知られている組換え技法を使用して、例えば、酵素を産生する、例えば酵素をコードする遺伝子の転写および翻訳を引き起こす宿主細胞を遺伝子工学で作製することによって酵素を得ることができる。上記で示したいくつかの酵素のアミノ酸配列は当技術分野で知られている。その配列またはその配列をコードする既知のヌクレオチド配列を使用すると、当業者は酵素の組換え発現に適した遺伝子を設計することができる。さらにまたはあるいは、既知の免疫ストレス低減酵素をコードするヌクレオチド配列を使用して、DNAライブラリーを探索して免疫ストレス低減酵素をコードする他のヌクレオチド配列を同定することができる。当技術分野で知られているように、そのようなDNAライブラリーは、確定した生物もしくは生物の集団に由来するものでもよく、または天然の供給源から得られ、したがって培養が難しい微生物由来のDNAに相当するものでもよい。
【0070】
組成物が酵素の組合せを含む実施形態では、酵素は別々の生物により個々に産生することもでき、または2つ以上の酵素を単一の生物により産生することもできる。例えば、当技術分野で知られている方法によって、2つ以上の酵素を産生する単一の生物を組換え法により工学的に作製することができる。
【0071】
上記で論じたように、動物の免疫系は、(例えば、グラム陰性細菌と関係する)リポ多糖、保存されているタンパク質フラジュリンを含有する細菌の鞭毛、(例えば、グラム陽性細菌と関係する)ペプチドグリカン、C型レクチンのL-フィコリンと結合した(例えば、グラム陽性細菌と関係する)リポタイコ酸(Lynch,N.J.ら、J.Immunology 172:1198-1202、2004)、(例えば、グラム陽性およびグラム陰性細菌と関係する)ホスホリルコリン、DNA(CpG非メチル化モチーフを有する細菌DNAなど、Van UdenおよびRaz,J、Allergy Clin Immunol.104(5):902-10、1999を参照されたい)、ならびに二本鎖RNAおよび3pRNA(Hornungら、Science 314:994-997、2006)を含めて、病原性微生物によって提示されるいくつかの異なる分子パターンを認識する。これらの分子に対する免疫応答には血清APPの増大が含まれる。
【0072】
他の病原性分子パターンには、N-アセチルグルコサミン含有分子およびN-アセチルマンノサミン含有分子が含まれる。すべてのコレクチン(マンノース結合レクチンはコレクチンまたはC型レクチンである)の正確な結合特異性は知られていないかもしれないが、いくつかの異なる細菌性病原体との結合が、例えば、H-フィコリン、表面活性物質関連タンパク質A(SP-A)、およびコングルチニンによって観察される。N-アセチルグルコサミンおよびN-アセチルマンノサミン様の化合物はその結合を阻害することができ、したがって、パターン認識結合特異性の一部であると推定される(Haurum,J.S.ら、Biochemical J.293(3):873-878、1993)。
【0073】
本発明による酵素分解の標的となり得る他の抗原および分子パターンの例には、細菌リポタンパク質(Hacker,H.ら、J.Exper.Med.192(4):595-600、2000);コレクチンのDectin-1によるβ-1,3-グルカン結合(Adachi,Y.ら、Infection and Immunity 72(7):4159-4171、2004);(TLF5と結合する)フラジェリン(Honko,A.N.およびMizel,S.B.、Immunol.Res.33(1):83-101、2005);フコシル複合糖質;α-Gal-セラミド;フィブリノーゲン;ヘパリン硫酸;硫酸化gal-糖;キトサン、N-アセチルグルコサミン;アシアロ糖タンパク質;およびβ-ガラクトシドがある。
【0074】
スカベンジャー受容体(SR)と呼ばれるクラスの受容体は、いくつかの自然免疫応答受容体と構造的に関係があり、免疫ストレスを引き起こす可能性がある。SRはアポトーシスまたはその他の形で損傷した細胞の再循環および清浄化に関与すると考えられる。マクロファージおよび樹状細胞によって発現されるスカベンジャー受容体(SR)はまた、自然免疫系の受容体でもある。さらに、いくつかのSRは病原体を認識し、いくつかの自然免疫受容体はアポトーシスにとって重要であることが示されている。したがって、本発明の一実施形態によれば、SRの分子パターン結合標的は、酵素分解を標的とする。
【0075】
1つのそのようなSR分子パターン結合標的は酸化低密度リポタンパク質(LDL)である。LOX-1(Peiser,L.ら、Current Opinion in Immunology 14:123-128、2002)、SR-PSOX/CXCL-16(Fukumoto,N.ら、J.Immunol.173(3):1620-1627、2004)およびCD36(Bruni,F.ら、Clin.Appl.Thromb.Hemost.119(4):417-28、2005)と呼ばれる受容体は、一部の飼料、特に血粉などの動物の副産粉餌を含有する飼料中に存在する可能性がある酸化LDLと結合する。
【0076】
他のSR分子パターン結合標的はホスファチジルセリン(PS)およびリゾホスファチジルセリン(リゾPS)である。PSについてのSRには、SR-PSOX/CXCL-16および他のPS受容体が含まれる(Schlegel,R.A.およびWilliamson,P.、Cell Death Differ.8(6):545-548、2001)。ホスファチジルセリンリン脂質にさらすと炎症反応が生じる可能性があり、ホスファチジルセリンリン脂質は、ほとんどの飼料中にいくらかのレベルで存在すると考えられる。
【0077】
ヒアルロナンは動物の細胞外液中に豊富にあるが、例えば、創傷治癒ではそれはまた自然免疫/スカベンジャー系の機構によって認識される。例えば、Jamesonら、J.Expt.Medicine 210(8):1269-1279、2005を参照されたい。ニワトリのとさかはヒアルロナンの商業的供給源であり、通常は精製された形のヒアルロン酸として使用される。したがって、食肉加工の副産物から作られた家禽粉餌はヒアルロナンをしばしば多量に含有し得る。ヒアルロナンおよびヒアルロン酸を分解するヒアルロニダーゼ(EC 3.2.1.35)は、特に家禽粉餌を給餌される動物との関連で、本発明による免疫ストレス低減酵素として有用である。例えば、ヒアルロニダーゼは、家禽粉餌の給餌と関係する免疫ストレスの低減に有用である。
【0078】
これらの分子パターンのいずれかを分解する酵素は、それによって免疫応答を阻害または低減し、したがって動物の免疫学的ストレスを低減する。例えば、二本鎖RNAおよび細菌DNAを分解するDNAアーゼおよび非特異的ヌクレアーゼが知られている。非哺乳動物DNAにおけるメチル化CGモチーフに特異的な制限エンドヌクレアーゼ酵素が知られている。ホスホリルコリンを分解する酵素には、ホスホリルコリンヒドロリアーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、ホスホリルコリンエステラーゼ、およびホスホリルコリンホスファターゼが含まれる。
【0079】
上記に記載のように、血清APPのレベルを測定することによって、このストレス低減を同定しモニターすることができ、血清APP濃度の低下は免疫学的ストレスの低減を反映する。
【0080】
上記で述べた通り、組成物は、動物中の急性期タンパク質のレベルを低下させるのに有効な量の免疫ストレス低減酵素を含む。この量は、動物ごと、酵素ごとに様々となり得るが、上記に記載のように、APPレベルを測定することにより、当業者によって容易に決定することができる。例えば、酵素の投与の前後に動物の血清APPレベルを測定することもでき、または治療動物および対照動物の血清APPレベルを比較することもできる。酵素の投与の前後に血清APPレベルを測定することにより有効量を評価する実施形態では、その後の測定は、酵素の最初の投与から少なくともおよそ1日から少なくともおよそ数日以上の後に行うことができる。酵素の投与と関係する血清APP濃度の低下から、有効量の酵素が投与されたことが示唆される。しかし、動物の適応免疫応答が効果を現すにつれて、APPレベルが一般に低下することを理解されたい。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、前記動物中の陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、前記動物中の陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効な量の1,3-β-グルカナーゼを含む組成物を提供する。具体的な一実施形態では、組成物は、飼料1kg当たり少なくとも20IU、飼料1kg当たり少なくとも25IU、飼料1kg当たり少なくとも30IU、飼料1kg当たり少なくとも35IU、飼料1kg当たり少なくとも40IU、飼料1kg当たり少なくとも45IU、飼料1kg当たり少なくとも50IU以上の1,3-β-グルカナーゼなど、飼料1kg当たり少なくとも約20IUの1,3-β-グルカナーゼを含む動物飼料である。他の具体的な実施形態では、組成物は、少なくとも155,000IU/L、少なくとも230,000IU/L、少なくとも300,000IU/L、少なくとも380,000IU/L以上の1,3-β-グルカナーゼなど、少なくとも約155,000IU/Lの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の液体組成物である。他の具体的な実施形態では、組成物は、少なくとも300,000IU/kg、少なくとも450,000IU/kg、少なくとも600,000IU/kg、少なくとも750,000IU/kg、少なくとも900,000IU/kg以上の1,3-β-グルカナーゼなど、少なくとも約300,000IU/kgの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の固体組成物である。
【0082】
酵素が1,3-β-グルカナーゼを含むいくつかの動物飼料の実施形態では、酵素は、飼料1トン当たり少なくとも約100,000IUの量で存在してよい。
【0083】
これらの量は市販飼料酵素添加物および市販飼料の1,3-β-グルカナーゼ含量よりはるかに高く、それらは、本発明者らが分析して、最大でも飼料1トン当たり約10,000IU、飼料でない液体組成物1L当たり約72,500IU、または飼料でない固体組成物1kg当たり約150,000IUしか提供されないことが分かっている。本発明者らは、飼料1トン当たり約10,000IUの1,3-β-グルカナーゼではAPPを低減するのに有効とならないと考え、この考えを実験的に確認した。本発明者らはまた、Avizyme(Danisco A/S、Langebrogade 1、Dk-1001、Copenhagen、Denmark)やRovobio(Adisseo France SAS、42、Avenue Aristide Briand、BP100、92164 Antony Cedex)などの市販品、ならびに標準量のβ-1,3-1,4-グルカナーゼ(Brewzyme BG plus、Dyadic International、140 Intracoastal Pointe Drive、Suite 404、Jupiter、Florida 33477-5094)、キシラナーゼ(Multifect XL、Genencor International,Inc.、925 Page Mill Road、カリフォルニア州Palo Alto)、PI-PLC(ChemGen Corp.、211 Perry Parkway、メリーランド州Gaithersburg)およびアミラーゼ(Amylase FRED、Genencor International,Inc.、925 Page Mill Road、カリフォルニア州Palo Alto)を含む市販飼料がAPPを低減しないことも実験的に決定した。下記の実施例3および図3を参照されたい。1,3-β-グルカナーゼ活性が存在する場合、それは上記で述べた低い範囲内であり、AGPを低減させるのに有効でない。
【0084】
他の実施形態では、酵素によって分解される化合物を含有する抗原または分子パターンも含む組成物の構成成分として、免疫ストレス低減酵素を提供する。例えば、本発明は、β-1,3-グルカンおよび1,3-β-グルカナーゼを含む動物飼料;DNAまたは二本鎖RNAならびにDNAアーゼおよび/または非特異的ヌクレアーゼ;N-結合糖タンパク質およびエンドもしくはエキソカルボヒドラーゼ、N-グリカナーゼ、またはPNGアーゼ、あるいは上記で示した任意の他の酵素を含む動物飼料を含む。抗原と免疫ストレス低減酵素の他の適切な組合せは当業者には明らかであり、本発明に包含される。
【0085】
この実施形態では、組成物を投与する限り血清APPレベルが高いままとなることが予想される。したがって、酵素の投与の前後に免疫ストレス低減酵素の有効量を評価する場合、その後の測定は、酵素の最初の投与から数日または数週間後に行うことができる。
【0086】
上記で述べた通り、本発明は、動物中の免疫学的ストレスを低減する方法を含み、その方法は、動物中の急性期タンパク質のレベルを低減するのに有効な量の免疫ストレス低減酵素を含む組成物を動物に投与するステップを含む。組成物は、動物飼料などの経口用組成物、動物飼料以外の液体組成物、または動物飼料以外の固体組成物を含めて、上記に記載の任意の組成物でよい。動物は、ヒトを含めた任意の動物でよく、健常な動物あるいは感染症または他の疾患もしくは状態を患う動物でよい。
【0087】
本発明はまた、動物の肥育能力を改善する方法をも含み、その方法は、免疫ストレス低減酵素を含む組成物を動物に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、動物の肥育能力を改善するのに有効な量の免疫ストレス低減酵素を含む。組成物は、経口用組成物、動物飼料、動物飼料以外の液体組成物、または動物飼料以外の固体組成物を含めて、上記に記載の任意の組成物でよい。動物は、ヒトを含めた任意の動物でよく、健常な動物あるいは感染症または他の疾患もしくは状態を患う動物でよい。
【0088】
一実施形態では、動物飼料で使用する植物によって酵素を発現させる。例えば、トウモロコシを遺伝子工学により改変して、免疫ストレス低減酵素を発現させることができ、得られた遺伝子改変トウモロコシ産物を飼料中で使用することができる。
【0089】
一実施形態では、動物に免疫ストレス低減酵素を投与し、抗原(例えば、酵素によって分解されるパターン含有分子)も投与する。酵素および抗原は、同じまたは異なる組成物の一部として別々にまたは同時に投与することができる。一実施形態では、動物に抗原またはパターン含有分子を含む飼料を投与し、免疫ストレス低減酵素を含む組成物を別々に投与する。他の実施形態では、抗原またはパターン含有分子を含む飼料および酵素を含む飼料補充物を動物に投与する。他の実施形態では、抗原と酵素をどちらも含む飼料を動物に投与する。
【0090】
本発明の他の態様は、病原性微生物によって生じる感染症を予防および治療することによって免疫学的ストレスを低減する組成物および方法を提供する。時折、動物は病原性微生物(例えば、細菌、ウイルス、菌類および原虫)を含む水や動物飼料などの組成物を消費し、または他の形でそのような病原体にさらされる。本発明は、感染を、したがって感染に反応して動物中で発現されるAPPのレベルを低下させるのに有効な量の、病原性微生物の重要な構成成分(すなわち、「病原性構成成分」)を分解する酵素を含む組成物を提供する。その組成物は、感染を予防しまたは最小限に抑え、それによって病原体により直接生じた免疫学的ストレスを低下させることを介して免疫学的ストレスを低減するのに有用である。この実施形態の特定の一態様では、本発明は消化管感染症を予防および治療する方法を提供する。
【0091】
病原体構成成分を分解することにより、酵素は感染症を治療または予防することもできる。すなわち、病原性構成成分が分解されるので、病原体は、宿主に感染するその能力を喪失し得る。この現実の感染の低下によって、上記に記載のものと異なるが観察されるAPP低減に関して実際には区別できない機構により免疫ストレスが低減され、血清APPが低減される。酵素治療が肯定的な結果を有し得る筋書きが少なくとも3つ存在する。酵素によって分解される病原体の分子構造が、病原体と宿主細胞の結合、感染に必要となる最初のステップ、または感染の成功に必要な任意の他の重要なステップに関与する場合、酵素治療は助けとなり得る。あるいは、宿主細胞上の結合構造を改変することもできる。例えば、いくつかの細菌または原虫病原体は、真核宿主細胞表面上にあるプロテオグリカン、特に硫酸化プロテオグリカンと相互作用することが示されている(Flekenstein,J.M.ら、Infection and Immunity 70(3):1530-1537、2002)。ヘパリナーゼ、N-アセチルグルコサミン-4-スルファターゼやアリールスルファターゼなどの酵素を適用すると、その相互作用および感染が低減され得る。
【0092】
第2の筋書きでは、分解される病原体の分子構造は、標的細胞の代謝機能を破壊する毒素であり得る。第3の筋書きでは、酵素によって分解される病原性構成成分は、宿主の免疫応答を回避する病原体の機構に関与する可能性がある。宿主細胞の外観の模倣から、免疫応答、例えば補体反応またはアポトーシスの阻害に至るまで、多数の免疫応答回避機構が病原体において進化している。感染の低減または予防はまた、血清APPを測定することによって評価することもでき、高いAPPレベルは感染と関係する。
【0093】
上記に記載のものなど、病原性構成成分を分解する酵素は、当技術分野で知られている。例えば、バクテリオファージに由来するエンドシアリダーゼは、細菌表面上のPSA(ポリシアル酸)莢膜を分解することによりラットの大腸菌K1全身感染の致死性を防止することが示された。莢膜の炭水化物の分解はin vitroで大腸菌の生存能に影響を及ぼさないが、in vivoでの莢膜の消失によって、致死性を排除する宿主の免疫系による感染の認識および調節が可能となる(Mushtaq,N.らAntimicrobial Agents and ChemoTherapy 48(5):1503-1508、2004)。PSA莢膜によって大腸菌の表面が宿主細胞のように見え、それによって宿主の自然免疫応答を回避している。本発明で有用な他の既知の酵素はヘパリナーゼI(Neutralase、Ibex Technologies、カナダ)である。多数の酵素が商業的供給元から入手可能であり、または細菌や酵母を含めた菌類などの酵素を産生する微生物から得ることもでき、または上記で論じたように組換えにより産生することもできる。
【0094】
所望の酵素は、その酵素をコードする遺伝子が知られているとき、組換えDNA技術によって産生することができる。迅速DNA配列決定法の進歩の結果、NCBI Genbankなど、タンパク質およびその遺伝子コード配列の大きな公共データベースが生じた。例えば、454 Life Sciences(454 Life Sciences、20 Commercial Street、Branford、CT 06405)の迅速配列決定技術を使用すると、典型的な細菌ゲノムは4時間で配列決定することができる。新たな所望の酵素のこれまで知られていない遺伝子を、例えば、商業的または公共データベース中に記載されている同じ型または類似した型の酵素由来の以前に同定されているコード配列を使用して、Blastなどの容易に利用可能なコンピュータプログラムを用いてゲノムを探索することによって、ゲノムから得ることができる。当業者は、既知の配列との閾値レベルの相同性、および遺伝子コード領域の他の特性を有するゲノム中のDNAを同定し、次いで、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用してその遺伝子を単離し増幅することができる。次いで、宿主中で遺伝子を発現させることができ、その所望のタンパク質の酵素的特性を確認することができる。
【0095】
所望の酵素活性がこれまで知られていない場合、基質上での増殖について選択する標準的な微生物学的濃縮技術を使用してそれを位置付けることができる。単独の炭素源または窒素源として基質を使用する微生物は、標的化合物を分解することができる酵素を発現しなければならない。経済的生産を発達させるために、産生用微生物を用いた古典的な突然変異/選択または濃縮方法を使用して、または当技術分野で周知の組換えDNA発現の方法を介してその酵素の産生を向上させることを選択する。
【0096】
病原性微生物を分解する免疫ストレス低減酵素を含む組成物は、上記に記載のように、動物への経口投与に適した組成物を含めて、動物への投与に適した任意の組成物でよい。上記で述べた通り、組成物は、動物中の陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ(または陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ)、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効な量の酵素を含んでよい。この量は、動物ごと、酵素ごとに様々となり得るが、上記に記載され当技術分野で知られているように、例えば、APPレベルを測定しかつ/または動物の肥育能力をモニターすることにより、当業者によって容易に決定することができる。
【0097】
一実施形態では、動物飼料の構成成分として病原性抗原を標的とする免疫ストレス低減酵素を提供する。この実施形態の一例では、酵素の量は、飼料1トン当たり少なくとも約100,000IUである。
【0098】
他の実施形態では、病原性抗原も含む組成物の構成成分として、病原性抗原を標的とする免疫ストレス低減酵素を提供する。例えば、本発明は、(A)リポ多糖、ペプチドグリカン、リポタイコ酸、ホスホリルコリン、二本鎖RNAおよびDNAなどの抗原を提示する病原性微生物、ならびに(B)抗原を分解する酵素を含む動物飼料を含む。病原性生物は、生産の状況における動物の密集状態での発育によって起こる不衛生な状態の固有の性質により、飼料中へ入る経路を見つけることができる。
【0099】
上記で述べた通り、本発明は、動物中の免疫ストレスを低減し、かつ/または動物の肥育能力を改善する方法を含み、その方法は、免疫ストレス低減酵素を含む組成物を動物に投与するステップを含む。一実施形態では、動物に病原性抗原を分解する免疫ストレス低減酵素を投与し、病原性抗原も投与する。酵素および抗原は、同じまたは異なる組成物の一部として別々にまたは同時に投与することができる。一実施形態では、動物に抗原を含む飼料を投与し、酵素を含む組成物を別々に投与する。他の実施形態では、抗原を含む飼料および酵素を含む飼料補充物を動物に投与する。他の実施形態では、抗原と酵素をどちらも含む飼料を動物に投与する。
【0100】
以下の実施例が、本発明をさらに例証するが、本発明は、特定のものとして例示された実施形態に限定されない。
【実施例1】
【0101】
以下に詳細を示す通り、ヘミセルラーゼ(エンド-1,4-β-マンナナーゼ)を含有する動物飼料を調製してニワトリに投与し、AGP濃度を測定した。
【0102】
1日齢の雄Cobb×Cobbニワトリ全4000例を、無作為に8つの試験投与法に割り当て、各投与法を10回ずつ反復した:
試験デザイン: 8投与法
飼育檻総数: 80
投与法総数: 8
飼育檻当たりのニワトリ数: 50
投与法当たりの飼育檻数: 10
投与法当たりのニワトリ数: 500
8つの投与法中、以下の2つが、本発明に基づくストレス低減酵素を含有した:投与法3(基礎飼料中に約100MU/トンで添加した、バチルス・レンタス(B.lentus)発酵による全細胞培養液の濃縮形態でのマンナナーゼ)および投与法6(基礎飼料中に約30MU/トンで添加した、バチルス・レンタス発酵培養液の無細胞の遠心分離上清形態でのマンナナーゼ)。投与法8は、酵素添加なしの対照であった。(1MU=4000IU)。
【0103】
基礎飼料バッチを8等分し、各々適量の被験物質を噴霧した。離乳飼料および肥育飼料は、90g/トンのコーボン(イオノフォア型の抗コクシジウム剤)および50g/トンのBMD(抗生剤)を含有した。仕上げ飼料には、投薬しなかった。
【0104】
1日齢から21日齢までのすべてのニワトリには離乳飼料、22〜35日齢には肥育飼料、36〜42日齢には仕上げ飼料を与えた。飼料および水は、不断給餌で与えた。全給餌期間において、飼料は粉末/ペレットにしてニワトリに与えた。飲用水には水道水を用い、飼育場内給水ネットワークにより給水した。
【表2】

【0105】
投与法3、6、8における10の飼育檻の各々から、無作為に2羽ずつを選び、投与法当たり500羽中20羽について、42日目終了時の体重測定後に血液検査を行った。抗凝固剤ヘパリンを含有する氷上の血液採取管中に試料を採取し、遠心分離により血漿を得た。
【0106】
Cardiotech Services社(ケンタッキー州、ルイスビル)製の免疫拡散法に基づくアッセイキットを用いて、血漿試料を、ニワトリα-1-酸糖タンパク質について分析した。2羽/飼育檻から採取した血清試料を試験プレート(ウェル当たり5μL)に添加し、1000μg/mLを上限とする濃度範囲で、標準品の純AGPを一部のウェルに添加した。プレシピチンリングは、プレシピチンリング測定スケールを用いて、直径0.1mmまで測定した。
【0107】
図1に示す通り、多項式を用いてデータとの最適近似曲線を与えることで、AGP濃度の迅速な計算を可能にした。
【0108】
回収したニワトリの全血清試料についてのプレシピチンリング直径の測定値、およびニワトリ各例のAGP濃度の計算値を、以下の表に示す。マンナナーゼを摂取したニワトリは平均して、対照のニワトリと比べ、統計学的にきわめて有意な平均AGP濃度の低下を示す。
【表3】

【実施例2】
【0109】
ヘミセルラーゼ(エンド-1,4-β-マンナナーゼ)を用いる別の試験を行った。本試験では、ニワトリ群(各群10ずつの飼育檻で、飼育檻当たり50羽ずつのニワトリ)に、以下の4つの飼料のうち1つを与えた:
投与法1(対照):対照調合剤、および褐色の食用着色剤入りの35%ソルビトールを、ペレット化後に噴霧して対飼料比100ml/トンで添加する、BMD抗生剤含有飼料。
【0110】
投与法2(対照):褐色の食用着色剤入りの35%ソルビトールを含有する対照調合剤を、ペレット化後に噴霧して対飼料比100ml/トンで添加する、BMDなしの飼料。
【0111】
投与法3:バチルス・レンタス由来ヘミセルラーゼ(エンド-1,4-β-マンナナーゼ)を含有する調合剤を、ペレット化後に噴霧して対飼料比100ml/トンで添加する飼料。
【0112】
投与法4:バチルス・レンタス由来ヘミセルラーゼ(エンド-1,4-β-マンナナーゼ)を含有する粉末配合剤(ペレット化前にミキサーへ添加)を、対飼料配合剤比100MU/トンを与える454g/トンで添加して調合する飼料(1MU=4000IU)。
【0113】
ニワトリは、試験開始時に1日齢であった。
【0114】
飼料は不断給餌で与えた。以下の配合剤による離乳飼料(1〜21日齢)、肥育飼料(22〜35日齢)、仕上げ飼料(36〜42日齢)を、基本飼料として用いた。
【表4】

【0115】
【表5】

【0116】
21日目に、飼育檻当たり3羽のニワトリ(群当たり30例)から約3mlの血液を採取した。ヘパリン処理済み試験管に血液を入れ、軽く混合する。試験管をゆっくりと遠心分離した後、血清を除去した。密栓付きで飼育檻番号を表示した試験管に血清試料を入れた。前出の実施例1で記述した通り、後続のAGP分析用に血清を凍結させた。ニワトリα-1-酸糖タンパク質を定量するために用いる免疫拡散リングは、測定が容易で、再現性が高く、変動係数が4%以下である。
【0117】
投与法当たり30例の21日間の平均結果を、以下の表に示し、図2にグラフ表示する。飼料から抗生剤(BMD)を取り去ると、血漿AGP濃度が大幅かつ顕著に上昇することが見られる(投与法1および2を比較せよ)。BMD非含有飼料(投与法3および4)にいずれかのヘミセルラーゼ(エンド-1,4-β-マンナナーゼ)調合剤を添加すると、AGPが抗生剤使用時に見られる濃度にまで回復し、免疫学的ストレスの顕著な低下を示した。
【表6】

【0118】
ニワトリの肥育能力も評価し、以下の表に結果をまとめる。
【表7】

【0119】
こうして、21日目における飼料要求率および体重調整済み飼料要求率のいずれもが、β-マンナナーゼを投与するニワトリにおいて、統計学的に有意に改善された。これは、血清AGPの低下が、ニワトリ肥育能力についての現実的重要性を帯び得ることを示す。
【実施例3】
【0120】
ニワトリ飼料によく用いられるその他の酵素の効能も、AGPに対する潜在的効果について評価した。市販型のニワトリ離乳飼料(低代謝エネルギー)に、米国でよく用いられる飼料を調合した。ニワトリの試験組み入れ日から21日目まで、これら飼料(マッシュまたは粉末形態)を不断給餌で与えた。被験投与飼料は、この基礎離乳飼料から調製した。各被験物質が一様に分布するよう、投与飼料を混合した。
【表8】

【0121】
BMD 50g/トンおよびサリノマイシン60g/トンをすべての飼料に添加した。
【表9】

【0122】
【表10】

【0123】
試験期間中、飼料および水は、不断給餌が可能であった。15日目に、投与法17、18、19、20、21のニワトリに、アイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)のオーシストを1羽当たり約30,000個、アイメリア・マキシマ(E.maxima)のオーシストを1羽当たり約2,500個、およびアイメリア・テネラ(E.tenella)のオーシストを1羽当たり約25,000個含有する混合接種取材料を、ニワトリに経口接種した。コクシジウムのオーシスト接種手順は、SPR SOP:IN1.002に述べてある。
【0124】
飼育檻別の体重増加、飼料消費量、および飼料要求率の平均を求めた。結果を以下に示す。試料17を投与するニワトリのみが感染した。
【表11】

【0125】
出願者らは、標準量のアミラーゼ、1,3-グルカナーゼ、1,4-グルカナーゼ、キシラナーゼ、およびPI-PLCを含有する市販試料が、AGP濃度を低下させないことを見出した。実際、ヘミセルラーゼ(エンド-1,4-β-マンナナーゼ)のみが、AGP濃度に対して顕著な効果を示した。さらに、投与法1および17の比較は、感染がAGP濃度を82μg/mL上昇させたことから、AGPがニワトリにおける高反応性APPであることを示す。図3も参照のこと。
【実施例4】
【0126】
飼料トン当たり400,000IU(100ChemGen MU)の濃度で1,3-β-グルカナーゼを含むように、1,3-β-グルカン含有の被験ニワトリ試料を調合した。被験ニワトリに被験ニワトリ飼料を投与する一方、対照ニワトリには1,3-β-グルカナーゼなしの同じニワトリ飼料(1,3-β-グルカン含有)を与える。このレジメンでの21および42日後に、上述の手順で血清AGP濃度を評価する。酵素調合ニワトリ飼料を投与するニワトリは、対照ニワトリよりもAGP濃度が顕著に低い。被験ニワトリは、対照ニワトリと比べ、より高い飼料効率および体重増加の改善を示す。
【実施例5】
【0127】
最も活性の高い非特異的ヌクレアーゼの1つとして知られる(Meiss,G.ら、Eur.J.Biochem.251(3):924-934、1998)、シアノバクテリアであるアナベナ(Anabaena)・エスピー7120(NucA)由来の非特異的ヌクレアーゼを含むように、細菌DNA源(Biolys(登録商標)リシン、または細胞産物を含む他の発酵産物)含有の被験ニワトリ飼料を調合する。対飼料酵素濃度1×107Kunitz Unit、または飼料1kg当たり約1mg(純品ベース)で、該酵素を添加する。被験ニワトリに被験ニワトリ飼料を投与する一方、対照ニワトリには非特異的ヌクレアーゼなしの同じニワトリ飼料(細菌DNA含有)を与える。このレジメンでの21および42日後に、上述の手順で血清AGP濃度を評価する。酵素調合ニワトリ飼料を投与するニワトリは、対照ニワトリよりもAGP濃度が顕著に低い。
【実施例6】
【0128】
対飼料濃度400,000IU/トンでホスファチジルセリン脱炭酸酵素を含むように、肉骨粉、血粉、その他の動物由来副産物含有の被験ニワトリ試料を調合する。被験ニワトリに被験ニワトリ飼料を投与する一方、対照ニワトリにはホスファチジルセリン脱炭酸酵素なしの同じニワトリ飼料を与える。このレジメンでの21および42日後に、上述の手順で血清AGP濃度を評価する。酵素調合ニワトリ飼料を投与するニワトリは、対照ニワトリよりもAGP濃度が顕著に低い。
【実施例7】
【0129】
各対飼料濃度400,000IU/トンで、バチルス・レンタス由来の酵素、α-マンナナーゼおよび/または1,3-β-グルカナーゼを含むように、ダイズ粉または他の植物由来粉末の被験ニワトリ試料を調合する。被験ニワトリに被験ニワトリ飼料を投与する一方、対照ニワトリにはα-マンナナーゼまたは1,3-β-グルカナーゼなしの同じニワトリ飼料を与える。このレジメンでの21および42日後に、上述の手順で血清AGP濃度を評価する。酵素調合ニワトリ飼料を投与するニワトリは、対照ニワトリよりもAGP濃度が顕著に低い。
【実施例8】
【0130】
本実施例では、飼料(常套的なトウモロコシダイズ飼料)に添加したHemicell(登録商標)マンナナーゼが、七面鳥血清中のα-1-酸糖タンパク質(AGP)を低下させる一方、肥育能力も改善することを示した。試験は、トムターキー11羽ずつの48個の飼育檻からからなる(初回配置)。6つの投与法を6個の飼育檻ずつの各ブロック内で無作為化し、8ブロックで反復した:
投与法当たりの七面鳥数: 88
投与法当たりの反復数: 8
投与法総数: 6
飼育檻総数: 48
七面鳥総数: 528
本発明に基づくストレス低減酵素を含有する1つの投与法として、投与法1(飼料当たり100MU/トンの市販Hemicell(登録商標))をAGPについて分析した(1MU=4000IU)。投与法2は、酵素を添加しない対照飼料であった。
【0131】
投与法間で基礎飼料の分布が一様となるよう、飼料を混合した。被験酵素の分布が一様となり、飼料条件が投与法間で同等となるよう、すべての酵素を混合(噴霧)した。投与飼料を作製するたびに、各投与飼料の初め、中、終わりからの試料を混合して、複合試料を作成した。投与法ごとに、酵素濃度検証のための複合試料から、1つずつ試料を採取した。
【0132】
本試験の投与法1および2で与える七面鳥飼料については、以下の表中で詳細に述べる。表は、成分配合、養分濃度計算値、および最後に、回収飼料による一部の養分実測値を示す。該飼料は商用七面鳥の肥育業務で用いると考えられる代表的なものであるため、20週間の試験期間中に複数回飼料の調整を行う。6、9、12、15、18週目に飼料配合剤を変更した。
【0133】
各時点における飼料配合剤は、投与法1および2で若干異なる。Hemicell(登録商標)マンナナーゼに、飼料の有効エネルギー含量を増加させる効果があることは、よく知られている(米国特許第6,162,473号を参照のこと)。この理由で、本試験の目的に沿って投与法1と2との間で肥育の差を最小化するため、投与法1の飼料を、投与法2の飼料よりも少ないカロリーを有するように調合する。
【表12】

【0134】
【表13】

【0135】
【表14】

【0136】
【表15】

【0137】
【表16】

【0138】
糖タンパク質の測定:
試験終了時に、投与法1、2、および5から無作為に選んだ飼育檻当たり4羽の七面鳥から血液を採取した。EDTA抗凝固剤入りの試験管内に血液を採取し、混合してから遠心分離し、全細胞を沈殿させた。
【0139】
七面鳥のAGP試験プレートは、Cardiotech Services社(ケンタッキー州、ルイスビル)から入手した。AGP試験は、免疫拡散法に基づく試験である。製造元の推奨する手順で免疫拡散法プレートのウェルに等量の被験試料または血清試料を添加してから室温で2日間のインキュベーション後、得られる免疫沈降リングの直径を測定した。
【0140】
該キットが提供する、精製済み七面鳥AGP標準液の試料を複数の濃度で調べ、図4に示す標準曲線を描く。標準液から展開した曲線近似多項式を用いて、被験試料中の七面鳥血漿AGP濃度を計算した。
【表17】

【0141】
酵素投与群の平均血漿AGPは、非投与対照よりも顕著に低かった。この分析のため、各群から1つずつの異常値を分析外とした。これらは、外傷または感染症により、異常量のストレスを受けた七面鳥であると考えられる。酵素投与がもたらすAGPの低下は、以下に示す投与法2と対比した投与法1におけるように、肥育能力の統計学的に有意な改善と相関した。
【表18】

【0142】
マンナナーゼ入りの飼料を与える七面鳥は、平均体重増加が3.7%上昇し、飼料要求率が2.3%低下し、体重一様性のCV(変動係数=標準偏差/平均)が低下した。血清AGP濃度の低下が示す免疫ストレスの低下は、肥育改善の複数の測定値と相関した。
【実施例9】
【0143】
本実施例では、バチルス・レンタスからの1,4-β-マンナナーゼ、バチルス・レンタスからの1,3-β-グルカナーゼ、および以上2つの酵素の併用剤を飼料(常套的なトウモロコシダイズ飼料)に添加した。各酵素の投与が、6週齢のNicholas 700雌七面鳥の肥育能力を改善し、併用剤により得た結果は、酵素単剤を用いる投与で得た結果よりも、予測を超えて良好であった。
【0144】
試験では、雌七面鳥40羽からなる80の飼育檻を用いた。投与法は、各ブロック内で8つの投与法(7つの酵素投与法および1つの陰性対照)を無作為化し、10ブロックで反復した。
【0145】
投与法3では、本発明に基づく免疫ストレス低減酵素である1,4-β-マンナナーゼを、対飼料比100MU/トンで含有する配合剤を用いた。投与法6では、本発明に基づく免疫ストレス低減酵素である1,3-β-グルカナーゼを、対飼料比60MU/トンで含有する配合剤を用いた。投与法8では、1,4-β-マンナナーゼを対飼料比100MU/トン、1,3-β-グルカナーゼを対飼料比60MU/トンで含有する、本発明に基づく併用配合剤を用いた投与法1は、酵素を添加しない対照試料であった(1MU=4000IU)。
【0146】
投与法間で基礎飼料の分布が一様となるよう、飼料を混合した。投与法間で被験酵素の分布が一様となり、飼料条件が同等となるよう、すべての酵素を混合(噴霧)した。投与飼料を作製するたびに、各投与飼料の初め、中、終わりからの試料を混合して、複合試料を作成した。投与法ごとに、酵素濃度検証のための複合試料から、1つずつ試料を採取した。
【0147】
本試験で給餌する七面鳥飼料は、典型的な市販七面鳥飼料である。該飼料は、商用七面鳥の肥育業務で用いると考えられる代表的なものであるため、3週間後に飼料の調整を行った。投与法1、3、6、および8の肥育結果を以下の表に示す。
【表19】

【0148】
投与法1(対照)と比べ、投与法3(1,4-β-マンナナーゼ入り飼料)を与える雌七面鳥では、平均生体重が実数で改善され、飼料要求率も実数で改善(低減)された。同様に、投与法6(1,3-β-グルカナーゼ入り飼料)を与える雌七面鳥では、平均生体重が統計学的に有意に改善され、飼料要求率も統計学的に有意に改善(低減)された。
【0149】
驚くべきことに、投与法8(1,4-β-マンナナーゼおよび1,3-β-グルカナーゼの組み合わせを含む飼料)を与える雌七面鳥では、平均生体重が統計学的に異例なほど有意に改善され、飼料要求率も統計学的に異例なほど有意に改善(低減)された。投与法8で得られた結果は、個別に投与した2種類の酵素の相加効果では説明できないほど良好であった。こうして、1,4-β-マンナナーゼおよび1,3-β-グルカナーゼを含有する併用投与は、肥育能力を予測を超えて大きく改善した。
【実施例10】
【0150】
本実施例では、バチルス・レンタスからの1,3-β-グルカナーゼ、バチルス・レンタスからのキシログルカナーゼ、および2つの酵素の併用剤を飼料(常套的なトウモロコシダイズ飼料)に添加した。各酵素の投与が、35日齢の雄ブロイラーニワトリの肥育能力を改善し、併用剤により得た結果は、酵素単剤を用いる投与で得た結果よりも良好であった。
【0151】
試験では、Cobb×Cobb雄ニワトリ44羽からなる49の飼育檻を用いた。投与法は、各ブロック内で7つの投与法(6つの酵素投与法および1つの陰性対照)を無作為化し、7ブロックで反復した。
【0152】
投与法4では、本発明に基づく免疫ストレス低減酵素である1,3-β-グルカナーゼを、対飼料比70MU/トンで含有する配合剤を用いた。投与法5では、本発明に基づく免疫ストレス低減酵素であるキシログルカナーゼを対飼料比100MU/トンで含有する配合剤を用いた。投与法6では、キシログルカナーゼを対飼料比100MU/トン、および1,3-β-グルカナーゼを同60MU/トンで含有する、本発明に基づく併用配合剤を用いた投与法1は、酵素を添加しない対照試料であった(1MU=4000IU)。
【0153】
投与法間で基礎飼料の分布が一様となるよう、飼料を混合した。投与法間で被験酵素の分布が一様となり、飼料条件が同等となるよう、すべての酵素を混合(噴霧)した。投与飼料を作製するたびに、各投与飼料の初め、中、終わりからの試料を混合して、複合試料を作成した。投与法ごと、酵素濃度検証のための複合試料から、1つずつ試料を採取した。
【0154】
本試験で与える七面鳥飼料は、典型的なブロイラーニワトリ飼料である。該飼料は、商用ブロイラーの肥育業務で用いると考えられる代表的なものであるため、3週間後に飼料の調整を行った。肥育35日後における、投与法1、4、5、および6の肥育結果を以下の表に示す。
【表20】

【0155】
投与法1(対照)と比べ、投与法4(1,3-β-グルカナーゼ入り飼料)を与えるニワトリでは、平均生体重が実数で改善され、飼料要求率も実数で改善(低減)された。同様に、投与法5(キシログルカナーゼ入り飼料)を与えるニワトリでは、平均生体重が実数で改善され、飼料要求率も実数で改善(低減)された。
【0156】
投与法6(1,3-β-グルカナーゼおよびキシログルカナーゼの組み合わせを含む飼料)を与えるニワトリでは、平均生体重が改善され、飼料要求率も、酵素を個別に投与した場合に観察されるよりも良好な効果を示した。こうして、1,3-β-グルカナーゼおよびキシログルカナーゼを含有する併用投与は、肥育能力を顕著に改善した。
【実施例11】
【0157】
飼料への酵素添加によるニワトリ血清APPの低減
1〜14日目にニワトリブロイラーを肥育し、各種酵素を添加(以下の酵素表にまとめる)した常套的なトウモロコシダイズ離乳飼料(以下の試料配合表に示す)を与えた。酵素種類ごとのサンプルサイズは、飼育檻当たり8羽で3つの飼育檻からなった。
【表21】

【0158】
【表22】

【0159】
投与法Jの「エステラーゼ」は、バチルス・レンタス遺伝子中の、キシラナーゼと同じオペロンからの未同定酵素である。この酵素の基質は、同定されなかった。「エステラーゼ」と称する根拠は、この遺伝子のDNA配列が、他の既知のエステラーゼ遺伝子と類似することである。エステラーゼ活性は測定しなかったが、キシラナーゼと同様の特異的活性を示すとすれば、キシラナーゼ濃度と同等であると思われる。
【0160】
ペクチン基質による還元糖法を用いて、1,4-β-ガラクタナーゼおよび1,3-β-ガラクタナーゼを測定した。
【0161】
14日目に、ブロイラー全例から血清を採取し、上述の手順でα-1-酸糖タンパク質(AGP)含量について飼料を分析した。各投与群からの平均α-1-酸糖タンパク質濃度を前出の表に示す。
【0162】
投与法A(酵素なし)に関する該表が反映する通り、投与法H、I、Jの結果、血清AGPが低下した。
【0163】
投与法H(キチナーゼおよび1,4-β-マンナナーゼ)は、わずか2週間の肥育後に顕著な結果を生じた。酵素量が他の投与法(同等量のキチナーゼを含む投与法G、および同等量の1,4-β-マンナナーゼを含む投与法EおよびFと比較)では効果を示さなかった濃度であったにもかかわらず、キチナーゼおよび1,4-β-マンナナーゼの併用は、1種類の酵素を用いた場合に得られる結果からは予測し得ないほどの、顕著なAGPの低下を生じた。
【0164】
投与法I(1,3-β-グルカナーゼおよび1,4-β-マンナナーゼ)も、本試験においては統計学的に有意といえるほど明らかではない(P値0.125)が、顕著な結果を生じた。より長期にわたる他の試験においては、1,3-β-グルカナーゼおよび1,4-β-マンナナーゼ投与が、AGP濃度に対する顕著な効果を示した。
【0165】
投与法J(キシラナーゼ、1,4-β-マンナナーゼ、エステラーゼ;投与法A対照との対比でP=0.083)の投与法F(「エステラーゼ」なしのキシラナーゼ+1,4-β-マンナナーゼ)との比較は、投与法FがAGPの低下を示さなかったのに対し、投与法Jは顕著な効果を生じたことを明らかにする。
【実施例12】
【0166】
本実施例は、自然免疫系を刺激する成分を含むように飼料配合剤を変更すると、血清APP濃度が上昇するという仮説を検証する。
【0167】
ダイズ油高エネルギー飼料を対照とし、基礎トウモロコシダイズ飼料を用いる21日間のニワトリブロイラー試験を実施した。被験飼料を得るため、対照飼料の養分値をほぼ同等に保ちながら、免疫刺激成分を有すると推測される実績ある材料を含むよう改変した。被験飼料には、以下の変化を含めた:
トウモロコシ/ダイズ/ダイズ油対照
AVブレンド油(動植物ブレンド油)含有、
ダイズレシチン含有、
鶏肉粉含有、
ダイズ皮つきの5% DDGS(エタノール生産からの穀類蒸留粕および可溶分副産物)含有、
ダイズ皮なしの15% DDGS
以下の表で、該飼料をより詳細に述べる。
【0168】
AVブレンドおよびダイズレシチンは、自然免疫系の刺激剤であるホスファチジルセリンを含有するリン脂質を含むと予測される。鶏肉粉は、ホスファチジルセリン、ヒアルロナン、および、加工前に生じ得る該内臓または二次的細菌増殖由来の各種細菌刺激剤を含むと考えられる。DDGSは、α-マンナン、1,3-β-グルカン、およびキチンを含有する他、もとの発酵基質からの非発酵炭水化物ポリマーを刺激する可能性もある細胞壁など、豊富なイースト残留物を含むと予測される。
【表23】

【0169】
各飼料につき、ケージ当たり8羽(1羽当たり0.631平方フィート)のニワトリを擁する、3つのPetersime社製バタリーケージ内で、ニワトリブロイラー(Cobb×Cobb)を肥育した。21日後に、前出の実施例に述べた手順で、各例の血清AGP濃度を分析した。
【0170】
改変済み飼料は、以下の表に示す通り、21日後における血清AGPの顕著な上昇に基づく、自然免疫系刺激の明瞭な証拠を示した。データは、免疫ストレス誘発成分の分解酵素を含有する配合剤を用いるなどの方法で、本発明に基づく飼料成分がもたらす免疫ストレス低下の可能性をも裏付ける。
【表24】

【実施例13】
【0171】
本実施例は、1,3-β-グルカナーゼを含有する配合剤が、飼料中に存在し、真菌細胞壁との会合によりニワトリの自然免疫系が一般に認識すると考えられる分子パターンを示す1,3-β-グルカンに関連した免疫ストレスの低減において有効であることを示す。結果は、1,4-β-マンナナーゼと同様、1,3-β-グルカナーゼも、血清APP濃度を低下させ、ニワトリの肥育能力を改善することを示す。
【0172】
1〜21日目において、以下の表に示す典型的な低脂肪トウモロコシ/ダイズ飼料により、ニワトリブロイラー(Cobb×Cobb)を肥育した。バチルス・レンタス発酵から調製した液体酵素濃縮液を一様に噴霧して、400,000IU/トン1,4-β-マンナナーゼまたは264,000IU/トン1,3-β-グルカナーゼのいずれか2つの場合に分けて添加することにより、飼料を補充した(ここでのトンは、2000lbまたは907.4kgを表す)。
【表25】

【0173】
各飼料種類につき、ケージ当たり8羽(1羽当たり0.631平方フィート)のニワトリを擁する、3つのPetersime社製バタリーケージ内で、ニワトリブロイラー(Cobb×Cobb)を肥育した。21日後に、前出の実施例に述べた手順で、各例の血清AGP濃度を分析した。標準的手順を用いてニワトリの体重および飼料消費量を測定し、飼料要求量を計算した。結果を以下の表に示す。
【0174】
WAFC(体重調整済み飼料要求量)は、以下の手順で計算した:
WAFC=FC-2.204*((W-Wa)/3)
ここで、
FC=飼料消費量/体重増加
Wa=被験ニワトリ全例の平均体重
W=ケージ当たりの平均増体量
【表26】

【0175】
1,4-β-マンナナーゼおよび1,3-β-グルカナーゼのいずれもが、α-1-酸糖タンパク質(AGP)の血清濃度を低下させた。いずれの酵素投与とも、体重調整済み飼料要求率を低下させ、1,3-β-グルカナーゼ給餌群における低下は、統計学的に有意であった。
【実施例14】
【0176】
以下の表にまとめた異なる酵素投与を行うこと以外は前出の実施例13で述べた飼料および方法によって、Petersime社製バタリーケージ内で、ニワトリブロイラー試験を行った。
【0177】
ミズーリ州セントルイスのSigma Chemical社から、アースロバクター・ルテウス(Arthrobacter luteus)の発酵により得られる生の1,3-β-グルカナーゼ産物であるリチカーゼを入手した。以下に記す通りの還元糖法によりリチカーゼ活性を測定し、60MU/トン(240,000IU/トンと等量)を添加した。製造元によれば、この産物は、測定しなかったキチナーゼ活性など、他の活性をも含む。
【表27】

【0178】
約30MU/トン(120,000IU/トン)までは、1,3-β-グルカナーゼ濃度が上昇すると、AGP濃度に対する効果(例えば、用量効果)も増大した。約30MU/トン(120,000IU/トン)の1,3-β-グルカナーゼを含むこの種のニワトリ飼料を与えることで、血清AGP濃度の低下および/またはニワトリ肥育能力の改善が反映する通り、免疫ストレスを低下させると予測される。
【0179】
結果は、キシログルカナーゼが、血清AGP濃度の低下に有効であったことをも示す。キシログルカナーゼ(EC 3.2.2.151)は、植物の構造ポリマーであるキシログルカンへの特異性を有する、1,4-β-グルカナーゼの1つである。
【0180】
リチカーゼを例外として、本実施例で使用する酵素のすべては、バチルス・レンタスにより産生した。リチカーゼは、セルロシミクロビウム・セルランス(Cellulosimicrobium cellulans)として再分類されている、アースロバクター・ルテウスにより産生した。アースロバクター・ルテウスの発酵は、複数種の1,3-β-グルカナーゼを産生すると示されている。例えば、(Ferrer,P.Microb Cell Factories 5:10、2006、オンラインでは2006年3月17日に公刊。doi:10.1186/1475-2859-5-10)を参照のこと。上記の結果は、リチカーゼが、少なくともバチルス・レンタス1,3-β-グルカナーゼ調合剤と同等にニワトリ血清AGPを低下させたことから、酵素の源泉は重要でないことを示す。すなわち、本発明に基づく任意の源泉からの酵素を用いることができる。キチナーゼ(Sigma社がリチカーゼ中に存在すると報告)が、リチカーゼ投与の能力を改善したと考えることも可能である。
【実施例15】
【0181】
以下のアッセイを用いて、酵素活性を評価することができる。
【0182】
(I)キシログルカナーゼ
キシログルカナーゼ活性は、以下のプロトコールを用いて測定することができる:
DNS試薬:10g/L NaOH、2g/Lフェノール、10g/Lジニトロサリチル酸、1200g/L酒石酸ナトリウムカリウム四水和物を毎日調製する。使用直前に0.5g/L無水亜硫酸ナトリウムを添加する。
【0183】
標準液と標準曲線:水により濃度範囲0.1〜0.5g/リットルで溶解される一連のD-(+)-マンノース標準液を調製する。13×100mmのガラス製試験管中の1.5mL DNS作業溶液に、各マンノース標準液を0.6mLずつ(デュプリケートまたはトリプリケートで)添加する。水の0.6mL分注試料を、分光光度計をゼロ調整するブランク試薬として用いることができる。溶液を沸騰水浴中で5分間加熱し、雰囲気温度に冷却して、550nmで吸光度を測定する。推定結果は、0.20〜1.2O.D.単位における用量反応直線である。標準曲線の傾き(対マンノース濃度比O.D.550/g/L)は、該曲線の直線部分のみから計算する。この傾きにより、酵素反応中の還元糖値をg/L単位で測定する。
【0184】
キシログルカン基質:キシログルカン(タマリンド)は、アイルランド、Megazyme International Ireland社、Bray社から入手し、0.05%グルコース入りの50mMトリスバッファー(pH7.5)中に5g/Lで溶解した。
【0185】
反応条件:5g/Lキシログルカン基質0.25mLを、50mMトリスバッファー中の0.05mL酵素希釈液とともに用いて、反応混合液を40℃でインキュベートした。0.75mL DNS試薬を添加して反応を停止させ、反応停止した混合液を沸騰水浴中で5分間加熱してから、冷却の後550nmで吸光度を測定した。酵素溶液によるゼロ時点を、背景濃度の測定に用いる。
【0186】
計算:ChemGenキシログルカナーゼMUを、1分当たり0.72グラムの還元糖産生能(還元糖である純マンノースを標準品として用いる)として定義する。1ChemGen MUは、4000IUと等量である。言い換えれば、1CG Uは、250IU(IU=1.0μモル/分)と等量である。
【0187】
(II)B-1,3-グルカナーゼ
B-1,3-グルカナーゼ活性は、以下のプロトコールを用いて測定できる:
本アッセイは、前出のキシログルカナーゼアッセイで述べたのと同じDNS試薬、標準溶液、標準曲線、および酵素単位計算、および希釈量を用いる。使用したバッファーは、pH6.5の50mM MOPS(4-モルホリンプロパンスルホン酸、FW=209.26)バッファーである。
【0188】
CMパキマン基質:カルボキシメチルパキマン(CMパキマン、CMP)は、アイルランド、Megazyme International Ireland社、Bray社から入手する。CMP基質は、90℃ですばやく攪拌する50mM MOPSバッファー(pH6.5)にCMPをゆっくり添加し、5g/Lに調製する。酵素粉末をよく分散させ、容器を覆うか密栓する一方、懸濁液をゆっくり加熱し沸騰させ、加熱攪拌プレート上で攪拌しながら30分間煮沸し、溶液中に微小な非水和ゲルが見られない十分に水和済みのゲルを得る。該溶液を室温まで冷却し、非使用時は4℃で保管し、保管後使用前に十分に混合する。
【0189】
反応条件:5g/L CMパキマン基質0.25mLを、MOPSバッファーによる0.05mL酵素希釈液とともに用い、最長45分間の各時間にわたり、40℃で反応混合液をインキュベートする。0.75mL DNS試薬を添加して、反応を停止させる。反応停止した混合液を沸騰水浴中で5分間加熱してから、冷却後に550nmで吸光度を測定した。酵素溶液によるゼロ時点を、背景濃度の測定に用いる。
【0190】
(III)キチナーゼ
キチナーゼ活性は、Thompsonら、Appl.Environ.Microbiol.67:4001-008(2001)が述べる発光性キチン基質である、4-メチルアンベリフェリル-ベータ-D-N,N',N",N"'-テトラアセチルキトテトラオシドを用いて測定することができる。該基質は、2.5mMのDMSO中に溶解する。
【0191】
アッセイ例では、20μLのキチン基質(2.5mM)を150μLトリス(20.0mM、pH7.5)とともに用いる。基質混合液を黒色98ウェルマイクロ滴定プレートに分注し、37℃で10分間あらかじめ加熱する。30μL酵素希釈液の添加により複数回の反応を開始させ、37℃でインキュベーションを継続する。2、4、6、8、10分後に50μLの3M Na2CaO3で各反応を停止させる。355nmの励起バンド通過フィルター波長、および460nmの発光バンド通過フィルター波長を用いるマイクロ滴定プレート(Fluoroscan II)により、発光を測定する。反応時間中直線的な割合で、しかも酵素なしで基質ありという以外は酵素アッセイと同じ条件下で作成する標準曲線の範囲内において4-メチルアンベリフェロンを産生するよう、該酵素を希釈する。1分間当たり1マイクロモルの4-メチルアンベリフェロンの放出を、1IUと定義する。200μL反応バッファー中に0〜1×10-4マイクロモルの複数濃度の4-メチルアンベリフェロンにより標準曲線を作成した後、50μLの3M Na2CaO3を添加する。
【0192】
専門家が本発明を実施し使用するのに十分な程度に詳しく本発明について述べ、例を挙げてきたが、本発明の精神および適用範囲から逸脱しない限り、各種の代案、変更、および改善は自明のことである。ここに提示した実施例は、望ましい実施形態を代表し典型的なものではあるが、本発明の適用範囲に対する制限となることを意図するものではない。専門家は、実施形態の変更および他の使用法に想到するであろう。これら変更を本発明の精神のうちに包摂し、請求項の適用範囲と定義する。
【0193】
本発明の適用範囲および精神から逸脱しない限り、本実施例で開示する本発明に各種の代替および変更が可能であることは、当業者にとってまさに自明であろう。
【0194】
本明細書で言及するすべての特許および刊行物が、本発明が属する分野の技術者の水準を示す。あたかも各個の刊行物を参照により特殊および個別に組み入れると表示するかのごとくに、すべての特許および刊行物を参照により本実施例に組み入れる。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】実施例1でデータの得られる被験ニワトリの血漿試料における、ニワトリα-1-酸糖タンパク質(AGP)濃度を計算するための最適近似曲線(および根拠となる多項式)を示す図である。
【図2】実施例2で述べる通り、被験ニワトリからのニワトリ血清中のAGP濃度をグラフ表示する、ボックスアンドウィスカープロットを示す図である。縦線がデータの範囲を表す。ボックスが平均の1標準偏差内のデータ範囲を表す。横線がデータ平均を示す。
【図3】実施例3で述べる通り、本発明に基づく飼料および先行技術による飼料を含む、複数の異なる飼料の1つを与えるニワトリからの血清AGP濃度を示す図である。
【図4】実施例8でデータの得られる被験七面鳥の血漿試料における、AGP濃度を計算するための最適近似曲線(および根拠となる多項式)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口的に許容される担体中に免疫ストレス低減酵素を含む、動物への経口投与に適した組成物であって、
(i)前記動物中の陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、前記動物中の陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効な量の前記酵素を含む動物飼料;
(ii)酵素を少なくとも40,000IU/L含む、動物飼料以外の液体組成物;および
(iii)酵素を少なくとも40,000IU/kg含む、動物飼料以外の固体組成物
からなる群から選択され、
(a)前記酵素がβ-マンナナーゼ型ヘミセルラーゼまたはホスホリパーゼ以外であり、
(b)前記酵素が1,3-β-グルカナーゼを含む場合、(i)飼料1kg当たり少なくとも20IUの1,3-β-グルカナーゼを含む動物飼料;(ii)1,3-β-グルカナーゼを少なくとも155,000IU/L含む、動物飼料以外の液体組成物、および(iii)1,3-β-グルカナーゼを少なくとも300,000IU/kg含む、動物飼料以外の固体組成物からなる群から選択される組成物。
【請求項2】
飼料1kg当たり少なくとも20IUの酵素を含む動物飼料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
酵素を少なくとも80,000IU/kg含む、動物飼料以外の固体組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
酵素を少なくとも160,000IU/kg含む、動物飼料以外の固体組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が動物において免疫応答を誘導する成分を含む動物飼料であり、酵素が前記成分を分解する酵素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記成分が、病原性微生物によって提示される抗原である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
酵素が、β-グルコシダーゼ、キシログルカナーゼ、DNAアーゼ、非特異的ヌクレアーゼ、RNアーゼL、dsRNA特異的アデノシンデアミナーゼ、CG特異的制限エンドヌクレアーゼ、N-グリカナーゼ、細胞内酵素、PNGアーゼ、カルボヒドラーゼ、α-1,2-フコシダーゼ、α-1,3-1,4-フコシダーゼ、α-1,6-マンノシダーゼ、α-1,2-マンノシダーゼ、α-1,3-マンノシダーゼ、β-1,4-ガラクトシダーゼ、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼF(エンドF)、ペプチド-N-(N-アセチル-ベータ-グルコサミニル)アスパラギンアミダーゼF(PNGアーゼF)、PNGアーゼA、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼH(エンドH)、エンドD、エンドC、α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ、β-1,3-ガラクトシダーゼ、エンド-N-アシル-ノイラミニダーゼ(エンドN)、α-2,3-ノイラミニダーゼ、α-2,6-ノイラミニダーゼ、α-2,8-ノイラミニダーゼ、β-N-アセチルヘキソサミニダーゼ、エンド-β-N-ガラクトシダーゼ、エンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ、エンド-α-1,6-D-マンナナーゼ、アラビノガラクタナーゼ、α-マンナナーゼ、α-マンノシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、キチナーゼ、キチンデアセチラーゼ、炭水化物デアセチラーゼ、N-アセチルグルコサミニダーゼ、ホスファチジルセリンデカルボキシラーゼ、スルファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、アラビナナーゼ、ヒアルロニダーゼ、α-アラビノフラノシダーゼ、コンドロイチナーゼ、グルコセレブロシダーゼ、メチルエステラーゼ、フェルラ酸エステラーゼ、フルロイルエステラーゼ(furuloyl esterase)、アセチルエステラーゼ、および炭水化物デアセチラーゼからなる群から選択される酵素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記酵素が1,3-β-グルカナーゼを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
(i)飼料1kg当たり少なくとも30IUの1,3-β-グルカナーゼを含む動物飼料;(ii)1,3-β-グルカナーゼを少なくとも230,000IU/L含む、動物飼料以外の液体組成物;および(iii)1,3-β-グルカナーゼを少なくとも450,000IU/kg含む、動物飼料以外の固体組成物からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
酵素がキチナーゼ、キシログルカナーゼおよびアラビナナーゼからなる群から選択される酵素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
2つ以上の免疫ストレス低減酵素を含む、動物への経口投与に適した組成物であって、1,4-β-マンナナーゼおよび1,3-β-グルカナーゼ以外の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含み、
(i)前記動物中の陽性急性期タンパク質のレベルを低下させ、前記動物中の陰性急性期タンパク質のレベルを増大させ、かつ/または動物の肥育能力を改善するのに有効な量の前記免疫ストレス低減酵素を含む動物飼料;
(ii)少なくとも40,000IU/Lの酵素量の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む、動物飼料以外の液体組成物;および
(iii)少なくとも40,000IU/kgの酵素量の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む、動物飼料以外の固体組成物
からなる群から選択される組成物。
【請求項12】
飼料1kg当たり少なくとも20IUの酵素量の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む動物飼料である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも80,000IU/kgの酵素量の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む、動物飼料以外の固体組成物である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
酵素を少なくとも160,000IU/kg含む、動物飼料以外の固体組成物である、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
1,4-β-マンナナーゼおよび1,3-β-グルカナーゼのうち少なくとも1つを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
β-グルコシダーゼ、キシログルカナーゼ、DNAアーゼ、非特異的ヌクレアーゼ、RNアーゼL、dsRNA特異的アデノシンデアミナーゼ、CG特異的制限エンドヌクレアーゼ、N-グリカナーゼ、細胞内酵素、PNGアーゼ、カルボヒドラーゼ、α-1,2-フコシダーゼ、α-1,3-1,4-フコシダーゼ、α-1,6-マンノシダーゼ、α-1,2-マンノシダーゼ、α-1,3-マンノシダーゼ、β-1,4-ガラクトシダーゼ、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼF(エンドF)、ペプチド-N-(N-アセチル-ベータ-グルコサミニル)アスパラギンアミダーゼF(PNGアーゼF)、PNGアーゼA、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼH(エンドH)、エンドD、エンドC、α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ、β-1,3-ガラクトシダーゼ、エンド-N-アシル-ノイラミニダーゼ(エンドN)、α-2,3-ノイラミニダーゼ、α-2,6-ノイラミニダーゼ、α-2,8-ノイラミニダーゼ、β-N-アセチルヘキソサミニダーゼ、エンド-β-N-ガラクトシダーゼ、エンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ、エンド-α-1,6-D-マンナナーゼ、アラビノガラクタナーゼ、α-マンナナーゼ、α-マンノシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、キチナーゼ、キチンデアセチラーゼ、炭水化物デアセチラーゼ、N-アセチルグルコサミニダーゼ、ホスファチジルセリンデカルボキシラーゼ、スルファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、アラビナナーゼ、ヒアルロニダーゼ、α-アラビノフラノシダーゼ、コンドロイチナーゼ、グルコセレブロシダーゼ、メチルエステラーゼ、フェルラ酸エステラーゼ、フルロイルエステラーゼ、アセチルエステラーゼ、および炭水化物デアセチラーゼからなる群から選択される少なくとも1つの酵素を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
(i)1,4-β-マンナナーゼおよびキタナーゼを含む組成物;(ii)1,4-β-マンナナーゼおよびキシログルカナーゼを含む組成物;(iii)1,4-β-マンナナーゼおよびアラビナナーゼを含む組成物;(iv)1,3-β-グルカナーゼおよびキタナーゼを含む組成物;(v)1,3-β-グルカナーゼおよびキシログルカナーゼを含む組成物;(vi)1,3-β-グルカナーゼおよびアラビナナーゼを含む組成物、ならびに(vii)1,4-β-マンナナーゼ、1,3-β-グルカナーゼおよびアラビナナーゼを含む組成物からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項18】
1,4-β-マンナナーゼおよび1,3-β-グルカナーゼを含む、動物への経口投与に適した組成物であって、(i)1,4-β-マンナナーゼおよび飼料1kg当たり少なくとも20IUの1,3-β-グルカナーゼを含む動物飼料、(ii)1,4-β-マンナナーゼおよび少なくとも155,000IU/Lの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の液体組成物、ならびに(iii)1,4-β-マンナナーゼおよび少なくとも300,000IU/kgの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の固体組成物からなる群から選択される組成物。
【請求項19】
(i)1,4-β-マンナナーゼおよび飼料1kg当たり少なくとも30IUの1,3-β-グルカナーゼを含む動物飼料;(ii)1,4-β-マンナナーゼおよび少なくとも230,000IU/Lの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の液体組成物、ならびに(iii)1,4-β-マンナナーゼおよび少なくとも450,000IU/kgの1,3-β-グルカナーゼを含む、動物飼料以外の固体組成物からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
1つまたは複数のさらなる免疫ストレス低減酵素をさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
動物の肥育能力を改善し、かつ/または動物中の免疫ストレスを低減する方法であって、請求項1、11または18のいずれかに記載の組成物を前記動物に経口投与するステップを含む方法。
【請求項22】
動物の肥育能力を改善し、かつ/または動物中の免疫ストレスを低減する方法であって、請求項2〜4、9、12〜14または19のいずれかに記載の組成物を前記動物に経口投与するステップを含む方法。
【請求項23】
動物中で免疫応答を誘導する成分を前記動物に投与し、前記組成物が、前記成分を分解する少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記成分および前記酵素を同じ組成物中に含めて投与する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が動物飼料である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記成分が病原性微生物によって提示される抗原である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
組成物が、β-グルコシダーゼ、キシログルカナーゼ、DNAアーゼ、非特異的ヌクレアーゼ、RNアーゼL、dsRNA特異的アデノシンデアミナーゼ、CG特異的制限エンドヌクレアーゼ、N-グリカナーゼ、細胞内酵素、PNGアーゼ、カルボヒドラーゼ、α-1,2-フコシダーゼ、α-1,3-1,4-フコシダーゼ、α-1,6-マンノシダーゼ、α-1,2-マンノシダーゼ、α-1,3-マンノシダーゼ、β-1,4-ガラクトシダーゼ、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼF(エンドF)、ペプチド-N-(N-アセチル-ベータ-グルコサミニル)アスパラギンアミダーゼF(PNGアーゼF)、PNGアーゼA、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼH(エンドH)、エンドD、エンドC、α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ、β-1,3-ガラクトシダーゼ、エンド-N-アシル-ノイラミニダーゼ(エンドN)、α-2,3-ノイラミニダーゼ、α-2,6-ノイラミニダーゼ、α-2,8-ノイラミニダーゼ、β-N-アセチルヘキソサミニダーゼ、エンド-β-N-ガラクトシダーゼ、エンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ、エンド-α-1,6-D-マンナナーゼ、アラビノガラクタナーゼ、α-マンナナーゼ、α-マンノシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、キチナーゼ、キチンデアセチラーゼ、炭水化物デアセチラーゼ、N-アセチルグルコサミニダーゼ、ホスファチジルセリンデカルボキシラーゼ、スルファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、アラビナナーゼ、ヒアルロニダーゼ、α-アラビノフラノシダーゼ、コンドロイチナーゼ、グルコセレブロシダーゼ、メチルエステラーゼ、フェルラ酸エステラーゼ、フルロイルエステラーゼ、アセチルエステラーゼ、および炭水化物デアセチラーゼからなる群から選択される少なくとも1つの酵素を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物が1,4-β-マンナナーゼおよび1,3-β-グルカナーゼを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
抗原を提示する病原性微生物と関係する感染症を予防または治療する方法であって、請求項1、11または18のいずれかに記載の組成物を、それを必要とする動物に経口投与するステップを含み、組成物が、前記抗原を分解する少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む、方法。
【請求項30】
抗原を提示する病原性微生物と関係する感染症を予防または治療する方法であって、請求項2〜4、9、12〜14または19のいずれかに記載の組成物を、それを必要とする動物に経口投与するステップを含み、組成物が、前記抗原を分解する、β-マンナナーゼ型ヘミセルラーゼ以外の少なくとも1つの免疫ストレス低減酵素を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−519712(P2009−519712A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545775(P2008−545775)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/047592
【国際公開番号】WO2007/075343
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(502207792)ケムゲン コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】