説明

免疫応答が向上したトランスジェニック動物及びその作製方法

【課題】抗原接種に対し応答した結果、大幅に向上した特異的体液性免疫反応レベルを示すトランスジェニック動物を提供する。
【解決手段】本発明は、同一種の非トランスジェニック対照動物に比べて、抗原に対して向上した体液性免疫応答を発現することができるトランスジェニック(Tg)非ヒト動物の作製方法であって、向上したMHCクラスI関連新生児型Fc受容体(FcRn)活性を提供する遺伝子構築物を前記非ヒト動物に導入することを含む作製方法である。本発明はまた、向上したFcRn活性を提供する遺伝子構築物を含むTg非ヒト動物及びこれら動物の非治療的方法における使用である。本発明はまた、治療用遺伝子構築物及び治療方法である。更に本発明は免疫グロブリンの製造方法である。


Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一種の非トランスジェニック対照動物に比べて、抗原に対して向上した体液性免疫応答を発現することができるトランスジェニック(Tg)非ヒト動物の作製方法であって、向上したMHCクラスI関連新生児型Fc受容体(FcRn)活性を提供する遺伝子構築物を前記非ヒト動物に導入することを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
向上したFcRn活性を提供する遺伝子構築物を含むことを特徴とするTg非ヒト動物であって、
前記動物がFVB/Nマウスである場合には、前記遺伝子構築物はバクテリア人工染色体(BAC)クローン#128E04のウシのインサートの全部は含まず、
前記FcRnがヒトFcRn(hFcRn)である場合には、前記遺伝子構築物は10kbの5’フランキング配列と10kbの3’フランキング配列とを有する完全hFcRn遺伝子を含む33kbのヒトコスミドクローンと;サイトメガロウィルス(CMV)エンハンサーとトリβ−アクチンプロモーターとを有し、且つクローン化されたhFcRnα鎖を有するベクターEと;ヒト由来BACライブラリーから取得した完全hFcRn遺伝子を含む34kbXhoI断片のいずれでもなく、
前記FcRnがウシFcRn(bFcRn)である場合には、前記遺伝子構築物はbFcRnのα鎖をコードする配列を含む、pBC1−bFcRnのNotI−SalI断片と;bFcRnの軽鎖をコードする、pBC1−bb2mのNotI−SalI断片のいずれでもなく、
前記FcRnがネズミ科のFcRn(mFcRn)である場合には、前記遺伝子構築物はIFABP−mFcRnとIFABP−mb2mのいずれでもない、Tg非ヒト動物。
【請求項3】
向上したFcRn活性を提供する遺伝子構築物を含むTg非ヒト動物の非治療的方法における使用であって、目的の抗原に対する向上した体液性免疫応答を前記動物に発現させるステップを含むことを特徴とする使用。
【請求項4】
免疫グロブリンの製造を可能とする確立された任意のプロトコールに従って、向上したFcRn活性を提供する遺伝子構築物を含むTg動物を使用するステップを含むことを特徴とする免疫グロブリンを製造する方法。
【請求項5】
体液性免疫応答の向上が、抗原による免疫感作時の免疫グロブリン産生レベルを向上させることを含み、前記免疫グロブリンに特異的な親和性を有するFcRnが前記免疫感作時に前記動物によって産生される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項6】
体液性免疫応答の向上が抗原特異的なB細胞のクローンの増殖の向上を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項7】
体液性免疫応答の向上が好中球の二次リンパ器官への流入を刺激することを含む、請求項6に記載の方法、使用又は動物。
【請求項8】
体液性免疫応答の向上が、樹状細胞及びマクロファージの少なくともいずれかの二次リンパ器官への流入を刺激することを含む、請求項6に記載の方法、使用又は動物。
【請求項9】
二次リンパ器官が脾臓を含む、請求項7から8のいずれかに記載の方法、使用又は動物。
【請求項10】
抗原が弱免疫原である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項11】
向上したFcRn活性を提供する遺伝子構築物を含むTg動物を使用することを含む免疫グロブリン製造方法であって、前記Tg動物が、同一種の非トランスジェニック対照動物に比べてより少ない抗原接種回数でこれと同一レベルの体液性免疫応答を発現するように、適用されるプロトコールを調整する少なくとも一のステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
向上したFcRn活性を提供する遺伝子構築物を含むTg動物を使用することを含む免疫グロブリン製造方法であって、前記Tg動物が、同一種の非トランスジェニック対照動物に比べてより早くこれと同一レベルの体液性免疫応答を発現するように、適用されるプロトコールを調整する少なくとも一のステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
動物が哺乳動物である、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項14】
動物がげっ歯類である、請求項13に記載の方法、使用又は動物。
【請求項15】
げっ歯類がマウスである、請求項14に記載の方法、使用又は動物。
【請求項16】
哺乳動物がウサギである、請求項13に記載の方法、使用又は動物。
【請求項17】
哺乳動物がウシ、ブタ、ラクダ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ロバ及びウマからなる群から選択される、請求項13に記載の方法、使用又は動物。
【請求項18】
トランスジェニック哺乳動物が、モノクローナル抗体産生に有用な系統及びモノクローナル抗体産生により適するように遺伝子的に改変された系統のいずれかから得られる、請求項13から16のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項19】
請求項18に記載の動物から得られる細胞から作製されるか、又は請求項18に記載の方法若しくは使用に従って作製される若しくは使用される動物から得られる細胞から作製されることを特徴とするハイブリドーマ細胞株。
【請求項20】
請求項18に記載の方法、使用又は動物により産生されることを特徴とするモノクローナル抗体。
【請求項21】
トランスジェニック動物が、ポリクローナル抗体産生に有用な系統又はポリクローナル抗体産生により適するように遺伝子的に改変された系統から得られる、請求項13から17のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項22】
請求項21に記載の方法、使用又は動物により産生されることを特徴とするポリクローナル抗体。
【請求項23】
免疫グロブリンがIgGである、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項24】
免疫グロブリンがIgMである、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項25】
動物がヒト又はヒト化免疫グロブリンの産生のために形質転換されている、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項26】
遺伝子構築物がFcRnタンパク質のα鎖をコードする核酸配列の発現を提供する、請求項1から25のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項27】
FcRnタンパク質のα鎖をコードする核酸配列が突然変異している、請求項26に記載の方法、使用又は動物。
【請求項28】
突然変異によりFcRnタンパク質のアルブミン結合部位の機能が失われる、請求項27に記載の方法、使用又は動物。
【請求項29】
核酸配列がキメラFcRnタンパク質をコードする、請求項27に記載の方法、使用又は動物。
【請求項30】
請求項2に記載のTg動物又は請求項1に記載の方法によって得られるTg動物から得られる動物繁殖材料であって、向上したFcRn活性を提供する遺伝子構築物を含むことを特徴とする動物繁殖材料。
【請求項31】
精子、精原細胞、卵子、卵巣組織、胚及び体細胞クローニング用組織サンプルから成る群から選択される、請求項30に記載の動物繁殖材料。
【請求項32】
向上したFcRn活性が、FcRnをコードする核酸配列の一個より大の機能的コピーを動物のゲノムに組み込むことにより提供される、請求項1から31のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項33】
遺伝子構築物がBACクローン#128E04のウシのインサート及びBACクローン#262E02のウサギのインサートのいずれかを含む、請求項1から32のいずれか1項に記載の方法、使用又は動物。
【請求項34】
アルブミンの製造を可能とする確立された任意のプロトコールに従って、向上したFcRn活性を提供する遺伝子構築物を含むTg動物を使用するステップを含むことを特徴とするアルブミンの製造方法。
【請求項35】
遺伝子構築物がFcRnタンパク質のα鎖をコードする核酸配列の発現を提供し、前記FcRnタンパク質の免疫グロブリン結合活性が除かれている、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
体液性免疫応答を向上させる必要のある患者の遺伝子治療に使用する遺伝子構築物であって、向上したFcRn活性を提供することを特徴とする遺伝子構築物。
【請求項37】
体液性免疫応答を向上させる必要のある患者を治療する方法であって、向上したFcRn活性を提供する遺伝子構築物を前記患者に導入することを含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
天然の免疫グロブリン産生により内因的にもたらされるか又は治療手段により外因的にもたらされる血清免疫グロブリンレベルを上昇させる必要のある患者の遺伝子治療に使用する遺伝子構築物であって、前記遺伝子構築物は向上したFcRn活性を提供し、前記FcRnは、前記患者によって産生されるか又は前記患者に投与される免疫グロブリンに特異的な親和性を有することを特徴とする遺伝子構築物。
【請求項39】
血清免疫グロブリンレベルを上昇させる必要のある患者を治療する方法であって、向上したFcRn活性を提供する遺伝子構築物を前記患者に導入することを含み、前記FcRnは、患者により産生されるか又は患者に投与される免疫グロブリンに特異的な親和性を有することを特徴とする方法。
【請求項40】
患者がヒトである、請求項36から39のいずれか1項に記載の遺伝子構築物又は方法。
【請求項41】
遺伝子構築物がFcRnタンパク質のα鎖をコードする核酸配列の発現を提供する、請求項36から40のいずれかに記載の遺伝子構築物又は方法。
【請求項42】
向上したFcRn活性が、FcRnをコードする核酸配列の一個より大の機能的コピーを患者のゲノムに組み込むことにより提供される、請求項36から41のいずれかに記載の遺伝子構築物又は方法。
【請求項43】
FcRnタンパク質のα鎖をコードする核酸配列が突然変異している、請求項36から42のいずれかに記載の遺伝子構築物又は方法。
【請求項44】
突然変異により前記FcRnタンパク質のアルブミン結合部位の機能が失われる、請求項43に記載の遺伝子構築物又は方法。
【請求項45】
免疫応答の変化に関する条件について試験するのに有用なモデル動物の体液性免疫応答を向上させる方法であって、向上したFcRn活性を提供する遺伝子構築物を前記動物に導入するステップを含むことを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2010−510773(P2010−510773A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537748(P2009−537748)
【出願日】平成19年11月23日(2007.11.23)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054770
【国際公開番号】WO2008/062383
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509144225)アグリカルチュラル バイオテクノロジー センター (1)
【出願人】(509144236)エトヴェシュ ロラーンド ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】