説明

免疫性血小板減少症及びループス腎炎における治療有用性が改善されたC反応性タンパク質突然変異体の開発

本発明は、本明細書に別に開示される多数のものの中でも特に、皮膚の狼瘡(円板状のもの)、関節、肺及び腎臓の全身性狼瘡などのSLEと関連する種々の病状及び状態、溶血性貧血及び低リンパ球数などの血液状態、リンパ節腫脹、並びに記憶喪失、発作及び精神病などのCNS作用の治療のための、チロシン175がロイシンによって置換されている(Y175L CRP)又はロイシン176がグルタミン酸によって置換されている(L176E CRP)突然変異体CRP分子の使用に関する。本発明の別の態様では、SLEと関連する病状又は状態を発症する危険がある患者が発症する可能性の低減が、本発明の更なる態様である。本発明は、全身性狼瘡のSLEのために二次的に生じる多くの病状又は状態の治療における、突然変異体Y175L CRP又はL176E CRPの使用に関する。本発明はまた、免疫性血小板減少症紫斑病の治療に関する。これらの突然変異体CRP分子に基づいた医薬組成物もまた、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書に別に開示される多数のものの中でも特に、皮膚の狼瘡(円板状のもの)、関節、肺及び腎臓の全身性狼瘡などのSLEと関連する種々の病状及び状態、溶血性貧血及び低リンパ球数などの血液状態、リンパ節腫脹、並びに記憶喪失、発作及び精神病などのCNS(中枢神経)作用の治療のための突然変異体CRP分子の使用に関する。本発明の別の態様では、SLEと関連する病状又は状態を発症する危険がある患者が発症する可能性の抑制又は低減が、本発明の更なる態様である。本発明は、全身性狼瘡のSLEのために二次的に生じる多くの病状又は状態の治療における、突然変異体Y175L CRP及び/又はL176E CRPの使用に関する。本発明はまた、免疫性血小板減少症紫斑病の治療に関する。これらの突然変異体CRP分子に基づいた医薬組成物もまた、開示される。
【0002】
関連出願/優先権の主張
本出願は、2008年6月3日に出願された米国仮出願番号US61/130,749号、発明の名称「免疫性血小板減少症及びループス腎炎における治療有用性が改善されたC反応性タンパク質突然変異体の開発(Development of a C−reactive Protein Mutant with Improved Therapeutic Benefit in Immune Thrombocytopenia and Lupus Nephritis)」の優先権の利益を主張し、参照により本明細書にその全文が援用される。
【背景技術】
【0003】
C反応性タンパク質(CRP)は、怪我、感染又は炎症後に血清中に著しく増加した濃度で見られる急性期タンパク質である((1)参照)。CRPの生物学的活性は、IgGのFc受容体(FcγR)とのリガンド結合及び相互作用、又は補体系の活性化によって媒介される。これらの生物学的活性として、損傷を受けた細胞、核抗原及び微生物病原体の除去を認識し、促進することが挙げられる。
【0004】
CRPはまた、抗炎症活性を有し、これが本発明者らの最近の研究及び特許の焦点である。本発明者らは、精製CRPの単回注射が、SLEの2種のマウスモデル(2、3)、腎毒性腎炎(NTN)(3)、及び免疫性血小板減少症(ITP)のモデルにおいて(5)保護的であるということを示した。これらの疾患モデルの共通する特徴は、FcγRによる炎症細胞の免疫複合体活性化である。本発明者らは、これらの疾患では、CRP治療における初期事象は、抑制性マクロファージの誘発であるということを見出している。これは、その受容体の一つ、FcγRIを介したCRP結合及びシグナル伝達に続いて起こる。ITPの実験では、CRP誘発抑制性マクロファージの移入は、レシピエントマウスを疾患から保護するのに十分である(5)。マウスでは、ヒトと同様に、CRPは、FcγRIに加えてFcγRIIと結合するが、この相互作用は、NTN又はITPモデルのいずれでも必須ではない。CRPは、アテローム性動脈硬化症及び心血管疾患に関与する可能性があるという他の実験による証拠がある。CRPが動脈にアテロームを起こす作用のほとんどは、内皮細胞でのFcγRIIとの相互作用に起因する。また、CRPは、虚血部位で補体を活性化することによって心筋再潅流傷害を増大するという実験証拠もある。このように、CRPの潜在的な心血管副作用は、補体活性化及びFcγRII結合に起因するが、その抗炎症活性は、FcγRIによって媒介される。したがって、FcγRIとのその結合を増加し、補体及びFcγRIIとの相互作用を低減するようなCRPの修飾は、その抗炎症活性を増大すること及び炎症性活性を低減することが期待される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、本明細書に別に開示される多数のものの中でも特に、皮膚の狼瘡(円板状のもの)、関節、肺及び腎臓の全身性狼瘡などのSLEと関連する種々の病状及び状態、溶血性貧血及び低リンパ球数などの血液状態、リンパ節、腫脹並びに記憶喪失、発作及び精神病などのCNS作用の治療のための、チロシン175がロイシンによって置換されている(Y175L CRP)又はロイシン176がグルタミン酸によって置換されている(L176E CRP)突然変異体CRP分子の使用に関する。本発明の別の態様では、SLEと関連する病状又は状態を発症する危険がある患者が発症する可能性の抑制又は低減が、本発明の更なる態様である。本発明は、SLEのために二次的に生じる多くの病状又は状態の治療における、突然変異体Y175L CRP又はL176E CRPの使用に関する。本発明の特定の態様では、漿膜炎、頬部発疹(頬及び鼻筋にわたる発疹)、円板状発疹(顔、首及び胸の鱗状、円板状の痛む所)、痛む所又は潰瘍(舌上、口若しくは鼻中)、関節炎、溶血性貧血、リンパ節腫脹、低リンパ球数、低血小板数、血液中の抗核抗体の存在、皮膚病変、CNS作用(記憶喪失、発作、脳卒中及び精神病など)、肺の症状/作用(炎症(胸膜炎)、慢性肺炎、慢性びまん性間質性肺疾患及び肺の瘢痕など)、脱毛、レイノー症候群、ループス腎炎及び光に対する感受性、疲労、発熱、嘔気、嘔吐、下痢、腺の肥大、食欲不振、冷気に対する感受性(レイノー現象)及び体重減少などの、SLEの二次的状態、病状又は徴候のいずれか1つ以上が、本発明の化合物及び医薬組成物を用いて治療される。本発明はまた、免疫性血小板減少症紫斑病の治療に関する。Y175L CRP又はL176E CRP(特に、Y175L CRP)の選択的結合の特徴により、これらの突然変異体CRP分子を使用する治療方法は、上記の病状及び状態の1つ以上の治療において高い有効性を提供し、CRPが使用される場合に生じる副作用(毒性及び望ましくない炎症)の発生率が比較的低い。
【0006】
本発明の方法は、SLEを患っている患者に、有効量のY175L CRP(突然変異体CRP)又はL176ECRP(突然変異体CRP)を、単独で又はヒト血清アルブミンなどの天然若しくは合成キャリヤと組み合わせ、任意でSLE、特に、本明細書に別に記載されるその患者のその二次的病状、状態又は症状のうちのいずれか1つ以上を治療するのに有効な量の医薬的に許容可能な添加剤、キャリヤ又は賦形剤の存在下で、投与することを含む。本発明の任意の実施形態では、CRP又は本明細書に開示される他の化合物の1つを、ループス腎炎などの腎臓関連疾患又は状態において、SLEがもたらす場合又はそれ自体が発現する場合を含め、SLEを患っている患者に投与する。本発明はまた、免疫性血小板減少症紫斑病の治療に関する。有効量のY175L CRP又はL176E CRPを、単独で又は医薬的に許容可能な添加剤、キャリヤ若しくは賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物が、本発明の更なる態様である。
【0007】
本発明の別の実施形態では、単独又は活性キャリヤと組み合わせた本発明の化合物(Y175L CRP又はL176E CRP)が、SLEの治療において従来使用されている少なくとも1つの更なる薬剤の有効量と同時投与されてもよい。これらの薬剤としては、例えば、特に、従来のNSAIDであるCOX−2阻害剤及びサリチル酸(アスピリンなど)を含む非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、抗マラリア薬(ヒドロキシクロロキン、キナクリンなど)、コルチコステロイド(プレドニゾン(デルタゾン)、ベタメタゾン(セレストン)、酢酸メチルプレドニゾロン(メドロール、デポ−メドロール)、ヒドロコルチゾン(コルテフ、ハイドロコートン)及びデキサメタゾン(デカドロン、ヘキサドロール)など)、並びに免疫抑制剤(メトトレキサート(リウマトレックス)、シクロホスファミド(シトキサン)、アザチオプリン(イムラン)及びミコフェノール酸モフェチル(MMF、そしてセルセプト)等)などを挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】CRP、Y175L CRP(突然変異体CRP)のアミノ酸配列及びL176E CRP(別の突然変異体CRP)のアミノ酸配列を示す図である。
【図2】図2A〜Cは、突然変異体CRPと共に培養したヒト単球のサイトカイン反応の増大を示す図である。ヒト末梢血単球は、抗CD14マイクロビーズでの正の選択によって精製された。細胞は、ヒトCRP又は組み換えY175L突然変異体CRPと共に24時間培養された。上清を回収し、サイトカインについてELISAによって分析した(平均±SEM、n=3)。
【図3】図3A〜Bは、マウスのマクロファージでの突然変異体CRPのFcγRIへの結合の増加を示す図である。腹腔滲出細胞を単離し、精製ヒト又は突然変異体CRPと共に培養した。マクロファージとのCRP結合を、2色フローサイトメトリーによって検出した。A.FcγRIを発現するマクロファージ(FcγRIIb-/-マウス由来)。B.FcγRIIbを発現するマクロファージ(FcR γ鎖-/-マウス由来)。
【図4】図4A〜Bは、CRP処理脾臓細胞の移入が、ITPにおいて血小板減少症を低減することを示す図である。脾臓細胞を、CRP(200μg/ml)又はIVIG(18mg/ml)を用い、インビトロで30分間処理した。BSA処理した細胞を、細胞移入なしに相当する対照として使用した。1×106個の洗浄細胞を、レシピエントマウスに静脈注射した。レシピエントを、2μgの抗CD41で24時間後に処理した。注射の前(正常)及び24時間後に血小板を計数した。結果は、平均±SEM、n=3、*p<.05、**p<.01である。
【図5】CRP前処理が、TNF−αを阻害し、LPSに対する単球のIL−10応答を増大することを示す図である。ヒト末梢血単球を、CRPと共に20時間培養し、次いで、単独又はLPS(10ng/ml)と共に4時間培養した。培養上清を、サイトカインについてELISAによって分析した。左.TNF−α。右.IL−10。3試料(triplicate)のウェルの平均±SEMが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を説明するために、以下の用語が使用される。
【0010】
用語「患者」とは、本発明の化合物を使用して治療可能な、SLEと関連する状態又は病状を治療するために本発明の化合物が投与される、治療又は療法を必要とする動物、好ましくは哺乳類、さらにより好ましくはヒトを指す。
【0011】
用語「化合物」は、本明細書において、本明細書に開示されるいずれかの特定の化合物を指すために使用される。文脈におけるその使用の範囲内で、この用語は、通常は単一化合物、通常は種々の長さのポリペプチドを指す。
【0012】
用語「全身性紅斑性狼瘡」、「SLE」又は「狼瘡」は、免疫系が身体の細胞及び組織を攻撃し、炎症及び組織損傷をもたらす慢性潜在的衰弱性疾患又は致死的自己免疫疾患を述べるために使用される。LSEとは、関節、皮膚、筋肉、顔及び口、腎臓、中枢神経系及び身体のその他の部分に影響を及ぼす免疫疾患のいくつかの形態を指す。SLEは、潜在的に致死的になり得る、慢性及び炎症性疾患である。SLEは、自己免疫疾患又はリウマチ性疾患のいずれかとして分類され得る。症状の変化は、再燃及び寛解と呼ばれる。再燃は、症状が増大するSLEがより活性な期間であり、寛解は、狼瘡の症状がわずかな又は全く存在しない期間である。米国だけで、推定270,000〜1,500,000人以上がSLEを有しており、世界中で、推定5,000,000人がこの疾患を有している。嚢胞性繊維症又は脳性麻痺よりも、よく見られる。
【0013】
SLEの具体的な原因は分かっていない。遺伝的因子及び環境因子の両方が関与している多因子疾患であると考えられている。多因子疾患では、未知の環境因子に加えて、両親からの遺伝子の組み合わせが、形質、状態又は疾患を引き起こす。ヒト白血球抗原をコードする染色体6上の遺伝子の群が、この疾患に対するヒトの感受性又は耐性において主要な役割を果たすことが分かっている。SLEと関連する特定のHLA抗原は、DR2及びDR3である。免疫系が適切に機能しない場合には、免疫系は、自分の身体の細胞と異質(外来)細胞とを区別するその能力を失う。抗核抗体は、SLEを有するヒトにおいて産生される自己抗体(自分の身体の細胞と戦う抗体)である。それらは、SLEを有する患者の血液中によく現れる。
【0014】
研究によって、一部のヒトは、SLEになる傾向を受け継ぎ得ることが示唆されており、新たな調査は、SLEの新たな患者は、1人が既にこの疾患を有している家族中でよりよく見られるということを示唆している。しかし、SLEが、親から子へ直接的に受け継がれるということを支持する証拠はない。妊娠可能な時期(18〜45歳)の女性は、男性よりも8〜10倍SLEにかかる可能性が高く、子供及び高齢者もまた、この疾患にかかり得る。
【0015】
SLEは、予測不可能であり、二人として、この疾患の全く同じ徴候を有するものはいない。医師が、SLEを有するヒトと他の結合組織疾患を有するヒトとを区別するのに役立つ11の判定基準がある。ヒトが、次の11の判定基準の中の4つ以上を示す場合には、そのヒトは、SLE診断の必要条件を満たす。
【0016】
1.頬部発疹−頬及び鼻筋にわたる蝶形発疹;
2.円板状発疹−顔、首及び胸上の鱗状、円板状の痛む所;
3.漿膜炎−痛み及び息切れを引き起こす、心臓、肺、腹部の周りの内膜の炎症;
4.光線過敏症−日光に対する異常反応としての皮膚発疹;
5.舌、口、又は鼻中の痛む所又は潰瘍;
6.関節炎;
7.腎臓障害−尿中の持続性タンパク質又は細胞嚢胞;
8.発作及び精神病などの中枢神経系の問題;
9.低白血球数、低リンパ球数、低血小板数又は溶血性貧血などの血液の問題;
10.免疫系の問題(免疫機能障害/調節不全)−血液中の二本鎖DNA、Sm抗原又はリン脂質に対する異常な自己抗体の存在;
11.血液中の異常な抗核抗体の存在。
【0017】
SLEのその他の症状/徴候として、炎症性の肺の問題、リンパ節腫脹、発熱、嘔気、嘔吐、下痢、腺の肥大、食欲不振、冷気に対する感受性(レイノー現象)、体重減少及び脱毛が挙げられる。
【0018】
SLEと関連する多数の病状、状態及び/又は徴候にもかかわらず、ヒトがこの疾患を有するかどうかを決定する単一の兆候及び症状の組がないので、診断することが困難である。SLEを診断できる単一の試験はない。SLEを診断するために使用されるいくつかの試験として、腎臓の問題を検出するための尿検査、血液中の補体タンパク質の量を測定するための試験、血液疾患を検出するための全血球計算及び血液中の抗核抗体を検出するためのANA試験が挙げられる。さらに、肺及び心臓の問題を調べるために、X線を指示することができる。
【0019】
用語「有効」とは、文脈内で、意図される効果を生じる、期間に対しての化合物、組成物又は成分の量を意味する(治療される、又は発生する可能性が低減される病状、状態又は徴候に応じて極めて大幅に変わり得る)。2つ以上の化合物が投与される(同時投与)、又は1つの成分が使用される場合には、化合物又は成分は、所望の又は意図される効果、多くの場合において、好ましい治療結果をもたらすのに有効な量で使用される。
【0020】
用語「治療」又は「治療する」は、有益な又は所望の結果、好ましくは臨床結果を得るための方法を述べるために使用される。本発明の目的として、有益な又は所望の臨床結果は、それらに限定されないが、次のうちの1以上を含む:1つ以上の症状の軽減、疾患の広がりの減少又は阻害、疾患の安定可(すなわち、悪化しない)状態、疾患の蔓延の可能性の阻害、防止又は低減、疾患の発現又は再発の阻害又は可能性の低減、「再燃」の発現の可能性の低下、遅延、阻害又は低減、病状の改善、寛解のもたらし(部分又は完全を問わず)、疾患及び/又は症状の発生率の低下、免疫若しくは腎機能の安定化(すなわち、悪化しないこと)又は免疫若しくは腎機能の改善。
【0021】
「再燃」とは、特定の組織における活性、通常は炎症活性の増大を指す。SLEの「治療」は、SLEの症状が存在しない場合に施されてもよく、このような治療(「治療」の定義が示すように)は、再燃の発生率又は可能性を低減させる。また、皮膚発疹(頬及び円板状のもの)、関節炎、漿膜炎(心臓、肺、腹部の周りの内膜の炎症)、痛む所(口、鼻及び舌)、免疫機能障害/調節不全、中枢神経系の問題(精神病、発作及び脳卒中など)、血液の問題(低白血球数、低血小板数又は貧血など)、血液中の抗核抗体の存在及び腎臓疾患/機能障害(特に、SLE関連腎炎)などの、SLE又はいずれの関連病状若しくは状態の、いずれの態様の病理学的帰結の低減も、「治療」に包含される。
【0022】
ITPの場合には、本発明の化合物は、ITPを治療又は阻害、特に出血、皮膚上の赤い斑点、口の膜の赤い斑点、紫色の口の膜の領域、鼻出血、歯肉出血、消化管出血、尿出血及び脳出血の症状を低減又は阻害するために、有効な量で投与できる。これらの症状の1つ以上の低減は、ITPの治療における成功の尺度である。さらに、ITPの場合には、治療の成功によって血小板数の増加が見られる。
【0023】
「SLE再燃」とは、本明細書において、SLEを有する患者において起こる再燃(すなわち、急性臨床事象)を指すために使用される。SLE再燃は、それらに限定されないが、腎臓、脳、肺、心臓、肝臓、結合組織及び皮膚などの種々の主要な臓器であり得る。再燃は、SLEによって影響を受けることがあるすべての組織における活性を含み得る。寛解は、狼瘡症状がほとんど又は全くない期間を指すために使用される用語である。
【0024】
SLEを有する個体における腎再燃の「発生率の低減」とは、個体における腎再燃の重篤度の低減(例えば、高用量コルチコステロイド及び/又はシクロホスファミドなどの、この状態のために通常使用される他の薬物の必要性及び/又は量(例えば、それの摂取)の低減を含み得る)、期間及び/又は頻度の低減(治療を受けていないものと比較しての遅延又は腎再燃までの時間の増大など)のいずれも意味する。当業者によって理解されるように、個体は、治療に対するその反応において異なるかもしれず、そのため、例えば、「個体において腎再燃の発生率を低減する方法」は、その特定の個体において、そのような投与がそのような発生率の低減を引き起こす可能性が高いであろうという妥当な予想に基づいて、本明細書に記載される複合体を投与することをもたらす。
【0025】
用語「免疫性血小板減少症紫斑病」又は「ITP」は、本明細書を通じて、病原性血小板特異的抗体によって媒介される血小板クリアランスを特徴とする自己免疫疾患を述べるために使用される。この疾患は、血小板の減少を特徴とし、これは、出血又は挫傷による目に見える皮膚の染みを引き起こす。症状として、次のものを挙げることができる:出血、皮膚上の赤い斑点、口の膜の赤い斑点、紫色の口の膜の領域、鼻出血、歯肉出血、消化管出血、尿出血及び脳出血。免疫性血小板減少症紫斑病(ITP)は、循環血小板数の減少(血小板減少症)が、出血傾向、あざができやすいこと(紫斑病)、又は毛細血管から皮膚及び粘膜への血液溢出(点状出血)として現れる臨床症候群である。
【0026】
ITPを有するヒトでは、血小板は、血小板膜抗原に対する自己抗体で被覆されており、脾臓血球貯留、及び単核マクロファージによる食作用をもたらす。結果として生じる循環血液中の血小板の寿命短縮は、骨髄巨核球による血小板産生の増加によって不完全にしか補償されず、血小板数の減少をもたらす。
【0027】
ITPの診断を確かめるために、白血病、骨髄癆性骨髄浸潤、脊髄形成異常症、再生不良性貧血又は薬物有害反応などの血小板減少の他の原因が除かれる。血小板の凝集による偽性血小板減少症も、診断上考慮される。ITPの診断を確かめる単一の検査結果又は臨床所見はなく、それは除外診断である。
【0028】
病態生理学:異常な自己抗体(通常は1つ以上の血小板膜糖タンパク質(GP)に対して特異性を有する免疫グロブリンG(IgG))は、循環血小板膜と結合する。自己抗体によって被覆された血小板は、限定ではないが、主に脾臓においてマクロファージによるFc受容体を介した食作用を誘発する。脾臓は、血小板自己抗体が、白髄において形成されるからだけでなく、赤髄中のマクロファージが、免疫グロブリンによって被覆された血小板を破壊することからも、ITPの病態生理学において重要な臓器である。
【0029】
骨髄巨核球が、増産して正常な数の循環血小板を維持できない場合には、血小板減少症及び紫斑病が生じる。血小板産生障害は、トロンボポエチンの代償性増加の不全及び巨核球アポトーシスが原因である。
【0030】
米国では、慢性ITPの年間発生率は、100,000人あたり5.8〜6.6件であると推定されるが、これらのデータは、大集団を基にした調査から得たものではない。急性ITPのほとんどの患者は、特に小児では、軽度で自己限定的であり、治療を受けていない場合がある。したがって、急性ITPの推定される発生率は調べることが難しく、この疾患の規模を少なく述べていると思われる。
【0031】
長期の罹病率及び死亡率の一番の原因は、出血である。ITPと関連する最も多い死因は、血小板数が10×109/L(<10×103/mL)未満の患者での自然又は偶発性外傷誘発性頭蓋内出血である。この状況は、患者の1%未満で起こる。
【0032】
慢性治療抵抗性ITPを有する患者において血小板数を安全な範囲に維持するために、コルチコステロイド、その他の免疫抑制薬の長期投薬又は脾臓摘出が必要であり得る。この疾患を有する患者では、罹病率及び死亡率は、治療と関連し、コルチコステロイドを用いる治療又は脾臓摘出の合併症を反映し得る。
【0033】
小児では、有病率は、男児及び女児の間で同じである。成人では、女性は、男性の約3倍の罹患率である。小児は、どの年齢でも罹患する可能性はあるが、小児における有病率のピークは、3〜5歳である。成人は、どの年齢でも罹患する可能性はあるが、ほとんどの場合、30〜40歳の女性において診断される。60歳を超える高齢の患者における発病は珍しく、血小板減少症のその他の原因を調べるのが当然とされる。これらの患者における最もあり得る原因は、骨髄異形成症候群、急性白血病及び骨髄浸潤(骨髄癆)である。
【0034】
用語「C反応性タンパク質」又は「CRP」は、本明細書において、その濃度が体内で生じている炎症過程の間に著しく上昇する、急性相反応物の分類のメンバーである206個のアミノ酸のタンパク質を述べるのに使用される。損傷を受けた細胞の除去を補助し、疾患に対する体液性反応に影響を及ぼすと考えられている。また、感染に対する初期防御系として、自然免疫において重要な役割を果たすと考えられている。CRPは、炎症のマーカーとして、そしてSLE並びに関連病状及び/又は状態の治療のために主に使用される。CRPは、ヒトにおける原型急性相反応物であり、自然免疫系の成分である。CRPは、SLEを有する患者の自己抗体の標的である核抗原、並びに損傷を受けた膜及び微生物抗原と結合する。CRPは、従来の補体経路を活性化し、FcγRを介して食細胞と相互作用する。CRPは、内毒素性ショック及び炎症性肺胞炎などの種々の炎症状態に対して保護的である。内毒素性ショックに対するCRPの保護は、FcγRを必要とし、マクロファージによるインターロイキン−10(IL−10)合成のFcγR依存性誘導と関連する。
【0035】
CRPは、自然免疫認識、オプソニン作用、並びに自己免疫及び炎症の調節を提供する急性相血清タンパク質である。CRPは、SLEにおけるいくつかの自己抗原、例えば、Sm及びRNPのSmDl及び70Kタンパク質、ヒストン及びクロマチンと結合し得る。CRPは、補体を活性化でき、ヒト及びマウスにおいてFcγRI及びFcγRIIと結合し得る。CRPは、ヒトの血清中に見られる天然物であり、非毒性であると考えられている。
【0036】
CRPは、206個のアミノ酸単位を有する。C反応性タンパク質の全配列は、図1に示される(配列識別番号1)。CRPのポリペプチド配列はまた、次の受入番号:BC125135、NM000567、BC070257、BC020766、M11880、M11725、X56214及びX56692を有し、その配列のすべては、参照により本明細書に援用される。配列識別番号1はまた、次のように表される:
【0037】
【化1】

(配列識別番号:1)
【0038】
Y175L突然変異体CRPは、上記のようなCRPの206個のアミノ酸を含有し、チロシン175がロイシンによって置換される。
【0039】
【化2】

(配列識別番号:2)
【0040】
L176E突然変異体CRPは、上記のようなCRPの206個のアミノ酸を含有し、ロイシン176がグルタミン酸によって置換される。全配列は、以下に示される。
【0041】
【化3】

(配列識別番号:3)
【0042】
本発明の一態様では、Y175L又はL176E突然変異体C反応性タンパク質は、全身性紅斑性狼瘡(SLE)又はSLEを有する患者に生じる二次的病状、状態若しくは症状のいずれか1つ以上を治療するために、ヒト患者に送達するための投与製剤として調製され、投与される。
【0043】
本発明のY175L又はL176E突然変異体C反応性タンパク質ポリペプチドは、医薬的に許容可能な添加剤、キャリヤ又は賦形剤と組み合わせて医薬組成物として直接投与されてもよく、あるいは、キャリヤと組み合わせて(本明細書において別に記載されるキャリヤに吸着又は共有結合されて)使用されてもよい。これらは、SLE及びその二次的病状、状態及び徴候、特にループス腎炎及びITP並びに本明細書において別に記載されるようなものなどの治療において有用である。
【0044】
用語「キャリヤ」又は「活性キャリヤ」は、本明細書において、本発明のY175L又はL176E突然変異体C反応性タンパク質ポリペプチドと組み合わせて使用できるポリマーなどの複合体分子を述べるために本文中で使用される。キャリヤは、オリゴリシン若しくはポリリシン、オリゴアルギニン若しくはポリアルギニン、又はそれらの混合物(通常、約5〜1000マー以上であるが、約10〜約100マーの範囲もある)、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ポリアスパラギン、ポリグルタミンなどのオリゴマーポリペプチド、あるいは援用によりその全文が本明細書に組み込まれる、Chun Liらの米国特許公報2003/0232968において別に開示されるようなデンドリマーであり得る。さらなるデンドリマーは、Sigma−Aldrich(米国)又はDendritic Nano Technologies,Inc.(米国,Michigan,Mount Please)から入手可能である。デンドリマーとしては、多くのものの中でも特に、PAMAMデンドリマー、亜リン酸デンドリマー、ポリプロピレンイミンデンドリマー、リシンデンドリマーを挙げることができる。また、デンドリマーは、カスケード分子とも呼ばれ、コア、通常は炭素コアから出る多数の分岐を有するポリマーである。これらのデンドリマーの多くは、Sigma−Aldrich又はDendritic Nano Technologiesから市販されている。
【0045】
タンパク質又はポリペプチドを結合するその他の方法として、適した連結基の吸着又は共有結合による粒子表面の修飾が挙げられ、続いて連結基にタンパク質が結合され得る。更なるキャリヤの例として、特に、ポリエチレングリコール(約100〜約2000の範囲の平均分子量を有する)、ポリエチレングリコールと同様の分子量のポリエチレングリコール共(co−)ポリプロピレングリコール共重合体(ランダム又はブロック共重合体)、アルブミン(好ましくは、ヒト治療のためのヒト血清アルブミン)、コラーゲン(好ましくは、ヒト組み換えコラーゲン)、ゼラチン、デキストラン(シクロデキストリンなど)、アルギネート、ポリラクチド/グリコリド、ポリヒドロキシブチレート、ポリビニルアルコール、ポリ酸無水物ミクロスフェア及びリポソームが挙げられる。当業者は、当技術分野で周知の技術及び方法を用いて、本治療用ポリペプチドをキャリヤと複合体化又は結合する方法を容易に分かるであろう。
【0046】
用語「同時投与」又は「併用療法」は、SLE、関連病状、状態又は症状を治療するために、有効量の少なくとも2つの活性化合物が同時に使用される治療を述べるために使用される。用語同時投与は、好ましくは、同時に患者へ2つの活性化合物を投与することを含むが、個々の化合物の有効量が同時に患者中に存在すれば、化合物が患者に同時に投与される必要はない。
【0047】
種々の実施形態によれば、本発明のY175L又はL176E突然変異体C反応性タンパク質ポリペプチド化合物を、治療又は予防/阻害のために、医薬組成物の形態で使用できる。この医薬組成物は、本明細書で別に記載される活性キャリヤ、特に、ポリペプチドキャリヤと任意で組み合わされる、上記で開示される突然変異体ポリペプチドを含む。別に開示されるCRP突然変異体の活性代謝物も使用できる。例えば、医薬組成物の実施形態は、Y175L及び/又はL176E突然変異体CRPの混合物及びCRPの代謝産物を含み得る。経口投与形態は、固体、半固体及び液体から選択される形態にし得る。
【0048】
医薬組成物はまた、医薬的に許容可能な賦形剤、添加剤又は不活性キャリヤ(本明細書での活性ポリペプチドと複合体化されている活性キャリヤと区別できるもの)も含み得る。医薬的に許容可能な賦形剤、添加剤又は不活性キャリヤは、固体、半固体及び液体から選択される形態にし得る。医薬的に許容可能な賦形剤又は添加剤は、デンプン、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スクロース、ゼラチン、ケイ酸、ポリエチレングリコール、水、アルコール、プロピレングリコール、植物油、コーンオイル、ピーナッツオイル、オリーブオイル、界面活性剤、滑沢剤、崩壊剤、防腐剤、香料添加剤、色素剤及びその他の従来の添加剤から選択できる。医薬組成物は、活性物質を医薬的に許容可能な賦形剤又は添加剤と混合することによって製剤され得る。ポリペプチドキャリヤが使用される場合には、薬剤投与形態の調製において、ポリペプチドをポリペプチドキャリヤと組み合わせ、その後に他の成分と組み合わせることが好ましい。
【0049】
医薬組成物は、滅菌等張水溶液、丸剤、点滴剤、ペースト、クリーム、噴霧剤(エアロゾルなど)、カプセル剤、錠剤、糖衣錠剤、顆粒剤、坐剤、液体、ローション、懸濁液、乳剤、軟膏、ゲルなどから選択される形態にできる。投与経路は、皮下、静脈内、腸内、非経口、経口、経肺(特に肺疾患治療のため)、口内、経鼻、筋肉内、経皮(transcutaneous)、経皮(transdermal)、鼻腔内、腹腔内及び局所(特に、特定の皮膚発疹及び皮膚状態のため)から選択できる。
【0050】
対象又は患者は、例えば、ヒト、家畜などの哺乳類、又はその他の動物から選択できる。対象は、本明細書において別に記載される、SLE又はITPと関連する1つ以上の病状、状態又は症状を有する。
【0051】
本発明の化合物は、SLE、SLEと関連するいずれか1つ以上の病状又は状態、例えば、漿膜炎、頬部発疹(頬及び鼻筋にわたる発疹)、円板状発疹(顔、首及び胸の鱗状、円板状の痛む所)、痛む所又は潰瘍(舌上、口若しくは鼻中の)、関節炎、溶血性貧血、
低リンパ球数、低血小板数、血液中の抗核抗体の存在、皮膚病変、CNS作用(記憶喪失、発作、脳卒中及び精神病など)、肺の症状/作用(炎症(胸膜炎)、慢性肺炎、慢性びまん性間質性肺疾患及び肺の瘢痕など)、脱毛、レイノー症候群、ループス腎炎及び光に対する感受性、疲労、発熱、嘔気、嘔吐、下痢、腺の肥大、食欲不振、冷気に対する感受性(レイノー現象)及び体重減少を治療又はその可能性を低減するのに有効な量で投与できる。ITPの場合には、薬剤投与形態の本発明の化合物を、ITPを治療又は阻害する量で、特に出血、皮膚上の赤い斑点、口の膜の赤い斑点、紫色の口の膜の領域、鼻出血、歯肉出血、消化管出血、尿出血及び脳出血の症状を低減又は阻害する量で投与できる。これらのそれぞれは、ITPの治療における成功の尺度である。さらに、ITPの場合には、治療の成功によって血小板数の増加が見られる。
【0052】
当業者は、これらに限定されないが、動物対象、年齢、性別、体重、患者における病態又は病状の部位、これまでの病歴、その他の医薬などのいくつかの可変要素を考慮することによって、治療及び/又は予防/可能性の低減、又は阻害との関連の中で、本発明の1つ以上の化合物の有効量を容易に決定できるであろう。
【0053】
例えば、ヒト患者のための化合物の用量は、有効量であり、わずか50〜100μgから少なくとも約500mg〜1グラム以上の範囲とでき、薬物の送達及び治療される病状又は状態と合致する方法で投与できる。経口投与の場合には、活性物質は、通常、毎日1〜4回以上投与される。経皮パッチ又はその他の局所投与は、活性物質の吸収率及び患者の皮膚への送達に応じて、1日に1回以上又は1日に1回より少ない頻度で薬物を連続して投与できる。もちろん、非経口投与が好ましい治療選択肢に相当する場合には、活性物質を投与するために筋肉内投与又は遅いIV点滴静注を用いてもよい。ヒト患者に1日あたり投与されるCRPの量は、好ましくは、約0.05mg/kg〜約10mg/kg以上、約0.1mg/kg〜約7.5mg/kg、約0.25mg/kg〜約6mg/kg、約1.25〜約5.7mg/kgの範囲である。
【0054】
本発明の化合物の用量は、SLEの発生に先立って、SLE再燃の際に、又は予想される再燃の前の寛解の間に投与されてもよい。例えば、用量は、漿膜炎、頬部発疹(頬及び鼻筋にわたる発疹)、円板状発疹(顔、首及び胸の鱗状、円板状の痛む所)、痛む所又は潰瘍(舌上、口若しくは鼻中)、関節炎、溶血性貧血、低リンパ球数、低血小板数、血液中の抗核抗体の存在、皮膚病変、CNS作用(記憶喪失、発作、脳卒中及び精神病など)、慢性肺炎及び肺の瘢痕などの肺作用、脱毛、レイノー症候群、ループス腎炎、光に対する感受性、疲労、発熱、嘔気、嘔吐、下痢、腺の肥大、食欲不振、冷気に対する感受性(レイノー現象)、体重減少及び脱毛などの、これらの病状若しくは状態のいずれか1つ以上を治療する目的で、並びに/又はそれらが生じ、若しくは現れる可能性を低減する目的で投与されてもよい。用量は、SLEを予測又は再燃を予測して以外に、診断に先立って投与してもよい。用量はまた、再燃の間に投与されてその重篤度を低減することが好ましい。ITPの場合には、最初にITPと診断された時点、又は、出血、皮膚上の赤い斑点、口の膜の赤い斑点、紫色の口の膜の領域、鼻出血、歯肉出血、消化管出血、尿出血及び脳出血の症状などのITP症状の最初の徴候が見られた時点で化合物が投与され、これらの症状のうち1つ以上の低減が、成功の尺度である。さらに、治療は、血小板数減少の最初の徴候の時点で、本発明の化合物の投与を含めることができる。本化合物を使用するITPの場合には、治療の成功によって血小板数の増加が見られる。
【0055】
本発明の別の実施形態では、薬剤投与形態での本発明のY175L及び/又はL176E突然変異体CRP化合物(単独、又は本明細書において別に記載される活性キャリヤと組み合わせて)を、全身性紅斑性狼瘡又は免疫性血小板減少症紫斑病(ITP)の治療において従来使用される少なくとも1つのさらなる薬剤の有効量と同時投与してもよい。これらの薬剤としては、例えば、特に、COX−2阻害剤及びサリチル酸(アスピリン、トルメチン、アスピリン、ジクロフェナク、エトドラック、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、セレコキシブ、スリンダック等)などの従来のNSAIDを含む非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、抗マラリア薬(ヒドロキシクロロキン、キナクリンなど)、コルチコステロイド(プレドニゾン(デルタゾン)、ベタメタゾン(セレストン)、酢酸メチルプレドニゾロン(メドロール、デポ−メドロール)、ヒドロコルチゾン(コルテフ、ハイドロコートン)及びデキサメタゾン(デカドロン、ヘキサドロール)など)、並びに免疫抑制剤(メトトレキサート(リウマトレックス)、シクロホスファミド(シトキサン)、アザチオプリン(イムラン)及びミコフェノール酸モフェチル(MMF、そしてセルセプト)等)などを挙げることができる。ITPの場合には、治療は、コルチコステロイド(上記の通り)又は免疫抑制剤を含むことができる。一つの実施形態では、ITP治療に使用される好ましい薬剤として、デキサメタゾン又はプレドニゾンが挙げられる。
【0056】
本発明はまた、患者において自己抗体産生を抑制する方法に関し、この方法は、Y175L及び/又はL176E突然変異体CRP化合物の有効量を、医薬的に許容可能な添加剤、賦形剤又はキャリヤと組み合わせ、任意で活性キャリヤと組み合わせて患者に投与することを含む。
【0057】
FcγRとのCRP相互作用についての結晶構造は解明されている(6)。CRPとFcγRとの間の接触残基は同定されており、少数の突然変異体CRP分子は、ヒトFcγRとの結合について表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して試験されている。チロシン175がロイシンによって置換されている(Y175L CRP)これらの突然変異体の1つは、FcγRII及びFcγRIIIとの結合が減少しているが、FcγRIとの結合は保持している(表1)。Y175L CRPはまた、補体を活性化する能力を失っている(7)。
【0058】
【表1】

【0059】
本発明者らはまた、Y175L CRPを、ヒト単球によるサイトカイン合成の誘導について試験した(図2)。末梢血単球は、突然変異体タンパク質と共に24時間培養した後に数種のサイトカインを放出した。精製されたヒトCRPに対するサイトカイン反応は、かなり低かった。サイトカインは、抗炎症性サイトカイン、IL−10及びIL−1RAを含んでいたが、FcγRIの刺激と関連するその他のサイトカイン(IL−6、IL−8、IL−1b、TNF−a)も含んでいた。夾雑エンドトキシンのあらゆる寄与を防ぐために、培養物にポリミキシンB(10μg/ml)を加えた。突然変異体タンパク質の活性の増大についての1つの説明は、それが阻害性受容体であるFcγRIIbと結合できないことであろう(2)。Y175L CRP及びFcgRIIbの直接結合実験は行っていないが、細胞外領域でのFcγRIIa及びFcγRIIbの配列は、ほぼ同一である。
【0060】
Y175L CRPが選択的抗炎症活性の候補であるので、本発明者らは、マウスマクロファージとのその結合を試験した。結果は、Y175L CRPは、マウスマクロファージ上のFcγRIとの結合が増加し、FcγRIIbと通常に結合することを示している(図3)。したがって、Y175L CRPの分析は、ヒト及びマウスの両方において、FcγRIIと比べてFcγRIとの相互作用の増大を示す。本発明者らは、Y175L CRPは、自己免疫及び炎症性疾患の抑制において天然CRPよりも有効であろうと予測する。インビボ検査によるこの立証は、SPRの精製受容体との結合分析を用いる有用な突然変異体のスクリーニングの方法を支持するであろう。
【0061】
実験的取り組み
目的1。研究は、Y175L CRPを特徴とする突然変異体CRPは、自己免疫及び免疫複合体疾患モデルにおけるより大きな有効性を有し、有害な心血管作用の可能性は少ないであろうと予測する。治療上有用なCRP突然変異体の開発は、治療薬としてのCRPにおける商業的関心を増大させるであろう。マウスITPモデルにおいて試験するために、高度に精製された低エンドトキシンY175L CRPの十分な量を調製する。このモデルは、マクロファージ上のFcγRIとのCRP結合によって開始され、迅速な結果を提供するので選択された。突然変異体は、このモデルにおいて、野生型CRPよりもより有効なものとなると予測される。
【0062】
実験計画は、過去の結果に基づく。マウス脾臓細胞又はインターフェロン(IFN)−γ処理された骨髄マクロファージ(BMM)を、インビトロで漸増濃度(50〜400μg/ml)のCRP又はY175L CRPで処理し、洗浄し、未処置のレシピエントに注入する。24時間後、レシピエントにおいて、ラットmAb(抗CD41)の注射によってマウス血小板に血小板減少症が誘発される。抗血小板抗体の注射の24時間後に血液中の血小板を計数する。マクロファージの移入無しで、又は対照タンパク質(BSA)で処理されたマクロファージの使用で、24時間の時点で血小板数は最小となり、血小板減少症が観察される。この血小板減少症は、CRP処理した、又は静脈内免疫グロブリン(IVIg)処理したマクロファージの移入によって防ぐことができる(図4)。抗血小板抗体の注射1時間前におけるCRPの静脈内への直接注射も、マウスを実験的ITPから保護する。高用量のCRPを用いた場合でさえ、受身伝達も、直接注射も、血小板数の完全な回復は提供しない。Y175L CRPは、未修飾CRPよりも低濃度でより有効であろうと考えられる。残存の血小板クリアランスが、Y175L CRPを使用して治療されるであろう可能性がある。
【0063】
心血管疾患におけるこの突然変異体の有用性を評価するには、さらなる研究が必要とされる。ループス腎炎が、提案されるCRPの治療への応用であるので、本発明者らは、ループス(狼瘡)の関連で見られる心血管疾患に焦点を当てる計画である。SLEを有する患者及びマウスは、アテローム性動脈硬化症及び冠動脈脈管炎が増大した。本発明者らはまた、MRL/lpr SLEマウスモデルにおいて、短期間高用量CRP治療及び長期間低用量CRPを受けることの効果を研究することも計画している。これらのマウスは、高脂質食を与えられた場合にアテローム発生及び心筋梗塞が増大した。Y175L CRPは、これらのモデルにおいて試験されるが、これはSTC Gap基金の1年間では完了しないであろう。
【0064】
目的2。本発明者らはまた、ヒト単球を使用して2つのインビトロモデルを研究する。第1のモデルでは、ヒト単球は、細菌単独と比較して、細菌(肺炎球菌)と結合しているCRPと共に培養した後に炎症性サイトカイン(TNF−α及びIL−1)放出の増大を示す(4)。この反応は、FcγRIIa依存性である。第2のモデルでは、リガンドのない高濃度のCRPに24時間曝された単球は、炎症性刺激に対して無応答性となる。この無応答性は、人間でのマウスにおける抑制性マクロファージの誘発に対応するものであると考えられる。しかし、関与する受容体は同定されていない。ヒトFcγRI及びFcγRIIa受容体によって使用されるシグナル伝達経路は重複しており、受容体遮断抗体を使用する研究は、確実なものではない。FcγRIと結合するがFcγRIIaとは結合しないY175L突然変異体を、FcγRIIaと結合するがFcγRIとは結合しない前記L176E突然変異体と一緒に使用することによって、この経路を明確にすることが可能である。成功すれば、これらの研究は、マウスモデルに直接対応するヒトのシステムを確立する。これらの知見は、狼瘡のマウスモデルにおけるCRPの効果が、ヒト疾患の治療につながるという証拠を提供することによって、本発明者らの技術の市場性を増大する。
【0065】
実験計画は、ヒト対象から末梢血単球を単離することである。次いで、本発明者らは、CRP結合に影響を及ぼすので、FcγRIIaの2つの対立形質の形態(His又はArgl31)のどちらを、各個体が発現するのかを明らかにする。細胞を、先に述べた肺炎球菌と結合しているCRPで、又は、そのアテローム発生に対する関連性のために本発明者らが開発するモデルである酸化低密度リポタンパク質(oxLDL)で刺激する。単球サイトカイン応答を、24時間後に測定する。肺炎球菌と結合しているCRPは、炎症性サイトカイン、TNF−α及びIL−1bの放出を増大する。本発明者らは、FcgRIIaと不十分にしか結合しないY175L CRPは、FcγRIIaと結合しないためにこれらのサイトカインを誘導せず、そしてFcγRIと不十分にしか結合しないL176E CRPは、野生型CRPに相当するか、又はより大きな効果を有すると考える。
【0066】
第2の実験のセットでは、末梢血単球を、種々の濃度のCRP、Y175L CRP又はL176E CRPと共に20時間培養する。この前培養の後、培養物をリポ多糖類(LPS、標準炎症刺激)又は免疫複合体を用いて刺激する。本発明者らは、20〜200μg/mlの濃度でのCRPの前培養は、LPS刺激に対するTNF−α応答を低減させるが、抗炎症性IL−10反応を増大させることを見出した(図5)。本発明者らは、この試験において突然変異体CRP分子を比較する。本発明者らは、Y175L CRPは、天然CRPと比較して、無応答性を誘導する同等以上の能力を有し、L176E CRPは、活性が減少すると考える。
【0067】
総括
本発明は、自己免疫障害、例えばSLE及び免疫性血小板減少症紫斑病(ITP)を治療するための新規生物因子の必要性に向けられる。ITPは、比較的よくある障害であり、本来、急性又は慢性のいずれでもあり得る。小児期の患者及び一部の成人の患者では、血小板減少症は、ウイルス感染に続いて起こり、ウイルス症候群が消散した後は自己限定性である。慢性ITPは、ほとんどの病状に関与し、主に女性に見られる。ITPは、より深刻な全身性疾患であるSLE発症の前兆であり得る。ITPはまた、AIDSの合併症でもあり、免疫抑制が禁忌であるので治療が困難である。ITPの従来の治療は、SLEと同様にコルチコステロイド治療を用いることが多く、それは、骨粗しょう症、白内障形成、糖尿病の悪化又は発症、及び多数のその他の問題などの多くの重度の副作用を有する。SLE同様、新しい有効な生物学的方法が有効であることは明らかである。SLE及びITPの両方で、モノクローナル抗体であるリツキシマブは有望であるが、この治療は、抗体形成細胞の免疫系を最大1年間低下させる。IVIG治療は、SLE及びITPにおいて相当な有効性を有する生物学的治療であるが、高価であり、一時的にしか有効でない。これらの関連疾患に対する新しい方法は、全身性副作用の少ない、より直接的で有効な治療を提供する。
【0068】
これらの実験は、改善された有効性を有すると予想され、副作用を低減する可能性がある有望なCRP突然変異体を迅速に評価することを補助する。本明細書に記載される研究はまた、有用な突然変異体の予備的確認を、SPRを使用しての種々のFcgRとの結合の親和性によって行うことができるという原理の証明を提供する。ヒト単球におけるさらなる研究は、マウスの研究成果のヒトへの転換をさらに支持する。
【0069】
本明細書において参照又は言及されるすべての特許及び刊行物は、本発明が属する技術分野における当業者のレベルを示し、このような参照される特許又は刊行物はそれぞれ、個別にその全文が参照により本明細書に援用されるか、又はその全文が本明細書に記されるのと同程度に、参照により本明細書に援用される。
【0070】
本明細書に記載される特定の方法及び組成物は、好ましい実施形態を代表するものであり、例示であって、本発明の範囲の限定を意図しない。その他の目的、態様及び実施形態は、この明細書を検討する当業者に思い浮かぶであろうが、それらは特許請求の範囲によって定められる本発明の趣旨に包含される。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明に多種多様な置換及び修飾がなされるであろうことは、当業者に容易に理解される。本明細書に例示的に記載される本発明は、本明細書に必須と明確に記載されていないいずれかの要素又は制限なしで、適宜実施できる。本明細書において例示的に記載される方法及び過程は、異なる順序のステップで適宜実施でき、それらは、本明細書において、又は特許請求の範囲において示されるステップの順序に必ずしも限定されない。
【0071】
使用されている用語及び表現は、限定ではなく説明するために使用され、このような用語及び表現の使用において、示され及び記述されたいずれの特徴の等価物、又はその一部も除外する意図はなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書において開示される概念の変更及び変形は、当業者によって行われることができ、このような変更及び変形は、特許請求の範囲に定められる本発明の範囲内にあると考えられることは理解されるであろう。
【0072】
本発明は、本明細書において広く、一般的に記載されている。属の開示の範囲内に入るより狭い種及び亜属の分類はそれぞれ、本発明の一部を同様に形成する。これは、属からいずれかの対象を除去する条件又は否定の限定を伴った本発明の属の記載を含み、除外される事項が本明細書に具体的に列挙されているかどうかを問わない。
【0073】
さらに、本発明の特徴又は態様が、マーカッシュグループに関して記載される場合には、当業者は、それにより本発明はまた、マーカッシュグループのいずれの個々の要素又は要素のサブグループに関して記載されることを認識するであろう。
【0074】
参考文献
1.Marnell, L., Mold, C, and Du Clos, T. W. 2005年 C-reactive protein: ligands, receptors and role in inflammation. Clin Immunol 1 17:104-1 11.
2.Rodriguez, W., Mold, C., Kataranovski, M., Hurt, J., Marnell, L.L., and Du Clos, T. W. 2005年 Reversal of ongoing proteinuria in autoimmune mice by treatment with C-reactive protein. Arthritis Rheum 52:642-650.
3.Rodriguez, W., Mold, C., Marnell, L.L., Hutt, J., Silverman, GJ., Tran, D., and Du Clos, T. W. 2006年 Prevention and reversal of nephritis in MRL/lpr mice with a single injection of C- reactive protein. Arthritis Rheum 54:325-335.
4.Mold, C., and Du Clos, T. W. 2006年 C-reactive protein increases cytokine responses to Streptococcus pneumoniae through interactions with Fc gamma receptors. J Immunol 176:7598-7604.
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5.Bang, R., L.L. Marnell, C. Mold, MP. Stein, K. Du Clos, C. Chivington-Buck, and T.W.Du Clos. 2005年 Overlap of Human Fc綵ochRI, Fc綵ochRlla, and C1q binding sites in C-reactive protein as determined by site-directed mutagenesis. Journal of Biological Chemistry 280:25095-25102.
6.Lu, J., L. L. Marnell, K.D. Marjon, C. Mold, T.W. Du Clos, and P.D. Sun. 2008年 Structural recognition and functional activation of Fc綵ochR by innate pentraxins. Nature, 456:989-992.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における全身性紅斑性狼瘡(SLE)、SLEと関連する二次的病状、状態若しくは徴候、又は免疫性血小板減少症紫斑病を治療、阻害又はその可能性を低減する方法であって、前記患者に、Y175L CRP及びL176E CRPからなる群から選択される少なくとも1つの化合物の有効量を、キャリヤ、添加剤又は賦形剤と組み合わせて、さらに任意で天然又は合成活性キャリヤと組み合わせて投与することを含む方法。
【請求項2】
前記二次的病状、状態又は徴候が、漿膜炎、頬部発疹、円板状発疹、舌上、口若しくは鼻中の痛む所又は潰瘍、関節炎、溶血性貧血、リンパ節腫脹、低リンパ球数、低血小板数、血液中の抗核抗体の存在、皮膚病変、CNS作用、肺作用、脱毛、レイノー症候群、ループス腎炎及び光に対する感受性、疲労、発熱、嘔気、嘔吐、下痢、腺の肥大、食欲不振及び体重減少からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二次的病状、状態又は徴候が、漿膜炎である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記二次的病状、状態又は徴候が、ループス腎炎である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記二次的病状、状態又は徴候が、ループス腎炎以外である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記二次的病状、状態又は徴候が、関節炎である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記CNS作用が、精神病の記憶喪失である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記病状、状態又は徴候が、頬部発疹又は円板状発疹である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記病状、状態又は徴候が、リンパ節腫脹である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
免疫性血小板減少症紫斑病を治療するために用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記治療が、前記患者における出血、皮膚上の赤い斑点、口の膜の赤い斑点、紫色の口の膜の領域、鼻出血、歯肉出血、消化管出血、尿出血及び脳出血の少なくとも1つを低減する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記治療が、循環血小板を増加させる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、Y175L CRPである、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、L176E CRPである、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が、L175L CRP及びL176E CRPの組み合わせである、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、天然又は合成活性キャリヤと組み合わされる、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
Y175L CRP、L176E CRP又はそれらの混合物からなる群から選択されるCRP突然変異体ポリペプチドの有効量を、医薬的に許容可能なキャリヤ、添加剤又は賦形剤と組み合わせて、さらに任意で活性キャリヤと組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項18】
前記CRP突然変異体ポリペプチドが、Y175L CRPである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記CRP突然変異体ポリペプチドが、L176E CRPである、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記CRP突然変異体ポリペプチドが、Y175L CRP及びL176E CRPの混合物である、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
活性キャリヤと組み合わせて製剤される、請求項17から20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、抗マラリア薬、コルチコステロイド、免疫抑制剤及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの薬剤をさらに含む、請求項17から21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記NSAIDが、アスピリン、トルメチン、アスピリン、ジクロフェナク、エトドラック、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、セレコキシブ、スリンダック及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記コルチコステロイドが、プレドニゾン、ベタメタゾン、酢酸メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記免疫抑制剤が、メトトレキサート、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト)及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
全身性紅斑性狼瘡(SLE)、SLEと関連する二次的病状、状態若しくは徴候、又は免疫性血小板減少症紫斑病の治療のための医薬の製造における、医薬的に許容可能なキャリヤ、添加剤又は賦形剤と組み合わせた、さらに任意で活性キャリヤと組み合わせた、Y175L CRP、L176E CRP又はそれらの混合物からなる群から選択されるCRP突然変異体ポリペプチドの使用。
【請求項27】
前記二次的病状、状態又は徴候が、漿膜炎、頬部発疹、円板状発疹、舌上、口若しくは鼻中の痛む所又は潰瘍、関節炎、溶血性貧血、リンパ節腫脹、低リンパ球数、低血小板数、血液中の抗核抗体の存在、皮膚病変、CNS作用、肺作用、脱毛、レイノー症候群、ループス腎炎及び光に対する感受性、疲労、発熱、嘔気、嘔吐、下痢、腺の肥大、食欲不振及び体重減少からなる群から選択される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記二次的病状、状態又は徴候が、漿膜炎である、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
前記二次的病状、状態又は徴候が、ループス腎炎である、請求項27に記載の使用。
【請求項30】
前記二次的病状、状態又は徴候が、ループス腎炎以外である、請求項27に記載の使用。
【請求項31】
前記二次的病状、状態又は徴候が、関節炎である、請求項27に記載の使用。
【請求項32】
前記二次的病状、状態又は徴候が、CNS作用である、請求項27に記載の使用。
【請求項33】
前記CNS作用が、精神病の記憶喪失である、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記二次的病状、状態又は徴候が、頬部発疹又は円板状発疹である、請求項27に記載の使用。
【請求項35】
前記二次的病状、状態又は徴候が、リンパ節腫脹である、請求項27に記載の使用。
【請求項36】
前記突然変異体CRP化合物が、免疫性血小板減少症紫斑病(ITP)を治療するために使用される、請求項27に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−522044(P2011−522044A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512464(P2011−512464)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/003338
【国際公開番号】WO2009/148566
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(503128320)
【氏名又は名称原語表記】STC.UNM
【Fターム(参考)】