説明

免疫測定におけるB/F分離装置および方法

【課題】小型軽量で高勾配磁場が得られる磁石を用いた免疫測定におけるB/F分離装置および方法を提供する。
【解決手段】磁性体を固相に用い、固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)の間、及び目的の抗原(または抗体)と標識抗体(または標識抗原)の間で抗原抗体反応させた後、固相抗体(または固相抗原)を磁石装置を用いてB/F分離する際に、反発し合う同極同士を対向配置させた磁石対を用い、その磁極間の空隙に近接させて分離容器を配置することにより、固相抗体(または固相抗原)をB/F分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫測定法において、固相抗体(または固相抗原)に結合しなかった目的の抗原(または抗体)、及び目的の抗原(または抗体)に結合しなかった標識抗体(または標識抗原)を反応容器から分離除去するB/F分離技術に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素免疫測定法(Enzyme immunoassay法、EIA法)は、「鍵と鍵穴」に例えられる特異的な抗原抗体反応を利用して、生体内の特定の抗原または抗体を定量する免疫測定法の一つである。検出感度が極めて高いので、癌マーカー、各種感染症の抗原、ホルモン等、生体内に微量に存在する物質の定量に幅広く利用されている。測定対象となる試料は、血液(特に血清)、尿、唾液、髄液などの体液である。
【0003】
図1は、EIA法の原理の一例を示したものである。図1(a)は、EIA法の最初の状態を示している。図中1は磁性粒子固相である。例えば、強磁性体などで作られた磁性粒子が用いられる。磁性粒子固相1の表面には、抗体(たんぱく質の一種)が吸着されていて、固相抗体2を形成している。そこに、測定したい抗原3を含んだ試料を添加して、磁性粒子固相1と一定時間反応させると、抗原3は固相抗体2と抗原抗体反応を起こして、磁性粒子固相1の表面に結合し、図1(b)のように、抗原-抗体複合物4を形成する。この状態の抗原を、結合型抗原5(Bound form、Bと略す)と呼び、磁性粒子固相1の洗浄によっても結合が切られることはない。一方、固相抗体2に対して未結合の抗原3は遊離型抗原(Free form、Fと略す)と呼ばれ、磁性粒子固相1を洗浄することによって容易に反応容器の中から取り除くことができる。この結合型抗原5と遊離型抗原3を洗浄によって分ける操作をB/F分離と呼ぶ。B/F分離後は、図1(c)に示すように、結合型抗原5のみが反応容器中に残ることになる。
【0004】
次に、EIA法では、抗原-抗体複合物4を形成している結合型抗原5に対して、適当な酵素(例えば、HRP、即ち、西洋ワサビペルオキシダーゼ)によって標識された抗体(酵素標識抗体)6を抗原抗体反応で結合させ、結合型抗原5を酵素で標識する操作を行なう。図1(d)は、その様子を示したものである。標識酵素7で標識された酵素標識抗体6を反応容器に添加し、磁性粒子固相1と一定時間反応させると、酵素標識抗体6は、結合型抗原5を固相抗体2との間でサンドイッチ状に挟んで、酵素標識抗体-抗原-抗体複合物8を形成する。このとき、EIA法では、固相抗体2に結合した結合型抗原5を十分に標識化するために、過剰量の酵素標識抗体6を添加するのを通例としている。従って、結合型抗原5と酵素標識抗体6の抗原抗体反応によって結合型抗原5の標識化を行なった後には、抗原に結合した酵素標識抗体9と抗原に結合しなかった余分の遊離型酵素標識抗体6とを分ける操作、即ちB/F分離を再び行なう必要がある。このB/F分離後は、図1(e)に示すように、酵素によって標識化された酵素標識抗体-抗原-抗体複合物8のみが磁性粒子固相1の表面に残ることになる。これは、磁性粒子固相1の表面に残った結合型抗原5の数だけ標識酵素7が残っていることを意味する。
【0005】
磁性粒子固相1の表面に結合された標識酵素7の量は、図1(f)に示すように、該酵素の基質となり得る発色試薬(例えば、OPDA、即ち、オルトフェニレンジアミン)10を加えて標識酵素7と反応させ、生成する発色後の発色試薬11の量を測定することにより、定量することができる。
【0006】
尚、上記の例では、固相抗体と酵素標識抗体を用いて抗原を定量する方法について説明したが、固相抗体と酵素標識抗体の代わりに固相抗原と酵素標識抗原を用いて同様の操作を行なえば、試料中の抗体を定量することもできる。
【0007】
以上に説明したように、EIA法においては、抗原抗体反応によって磁性粒子固相に結合した抗原(または抗体)と未結合の遊離した抗原(または抗体)を分離するB/F分離、及び、抗原抗体複合物に結合した標識抗体(または標識抗原)と未結合の遊離した標識抗体(または標識抗原)を分離するB/F分離が測定の精度を決める重要な鍵となっている。
【0008】
磁気分離固相法のB/F分離装置の構成を図2に示す。図中12は、磁性粒子固相である。通常、磁気分離固相法では、分離容器13の側壁外側のA位置に磁石14を配置し、磁性粒子固相12に磁界を与えて磁化し、磁性粒子固相12を磁気的に吸引して、分離容器13の内壁側面に集合保持させる。そこへ給排水ノズル15を分離容器13内に挿入して、遊離した抗原(または抗体)を含んだ溶液を吸引除去する。次に、磁石14をB位置に遠ざけ、新たな洗浄液を注入して、磁性粒子固相12を再懸濁して洗浄する。その後、再び、磁石14をA位置に戻して磁性粒子固相12を分離容器13の内壁側面に集合保持させ、洗浄液を吸引除去する。これを複数回繰り返し、B/F分離を行なう。
【0009】
【特許文献1】特開平7−181188号公報
【特許文献2】特開平8−62224号公報
【特許文献3】特開平8−178931号公報
【特許文献4】特開平9−218201号公報
【特許文献5】特開平9−325148号公報
【特許文献6】特開平10−96732号公報
【特許文献7】特開平10−123136号公報
【特許文献8】特開平11−262678号公報
【特許文献9】特開平11−326338号公報
【特許文献10】特開2001−91521号公報
【特許文献11】特表平11−502625号公報
【特許文献12】特表2001−510893号公報
【特許文献13】特表2002−528705号公報
【特許文献14】特表2002−531811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、磁性分別の効率(磁力F)は、式(1)で示されるように、第1項の粒子質量[m]×加速度と、第2項の粒子断面積[S]×速度×粘性係数[σ]の和として与えられる。
【0011】
【数1】

【0012】
式(1)の磁気モーメント[M]は、真空の透磁率[μ0]と磁化率[Xm]と磁界[H]の積として、式(2)で与えられる。ここで、真空の透磁率[μ0]と磁化率[Xm]は、定数である。
【0013】
【数2】

【0014】
磁性ビーズ径がサブミクロンから数ミクロンのものを高速で磁性分別するためには、式(1)の第3項、磁界グラディエント[dH/dX]が大きい磁気回路を設計すれば良いことになる。ハイスループットのB/F分離装置を提供するためには、磁性粒子を短時間で集合させる必要がある。そのためには、磁性分別の原理で示されるように、磁界グラディエント[dH/dX]の大きい、高い磁場勾配の磁石が必要である。それは、分離容器と磁束方向を図3に示すように、磁石(●)よりZ方向の高勾配磁場が必要ということである。
【0015】
一例として、ネオジム磁石の重ね枚数と磁石表面の磁場強度との関係を図4に示す。図から明らかなように、ネオジム磁石を1枚から10枚と重ねても、表面磁場の増加率は、ネオジム磁石の枚数を増やすにつれて低下し、効率の良い磁場強度の増加が得られない。したがって、高勾配磁場の磁石を構成するためには、大型の磁石が必要となる。
【0016】
実験では、入手可能な最も高い磁場強度を持つネオジム磁石を10枚用いても、液層5mmφの分離容器中の磁性粒子を5秒以内に集合させ得る強度の高勾配磁場は得られなかった。
【0017】
この問題の解決のためには、より大型の重い磁石が必要となり、スペースファクターが劣るという新たな問題が発生する。また、大型の重い磁石は、高速駆動がむつかしく、トラブル発生を誘発する恐れが大きい。
【0018】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、磁性粒子を5秒以内に集合させ、ハイスループットを可能とする、小型軽量で高勾配磁場が得られる磁石を用いた免疫測定におけるB/F分離装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的を達成するため、
本発明にかかる免疫測定におけるB/F分離装置および方法は、
磁性体を固相に用い、固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)を抗原抗体反応させた後、標識物質によって標識された過剰量の標識抗体(または標識抗原)を添加して抗原(または抗体)の標識化を行なう免疫測定法において、
固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)の間、及び目的の抗原(または抗体)と標識抗体(または標識抗原)の間で抗原抗体反応させた後、固相抗体(または固相抗原)を磁石装置を用いてB/F分離する際に、
反発し合う同極同士を対向配置させた磁石対を用い、その磁極間の空隙に近接させて分離容器を配置することにより、固相抗体(または固相抗原)をB/F分離することを特徴としている。
【0020】
また、前記対向配置させた磁極間の距離(空隙距離)と、該対向軸方向の磁石の長さとの比は、0.001〜0.5であることを特徴としている。
【0021】
また、反発し合う同極同士を対向配置させた磁石を分離容器の移動方向に合わせて複数個連続配置させ、複数の分離容器でB/F分離を一度に行なうことを特徴としている。
【0022】
また、磁性体を固相に用い、固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)を抗原抗体反応させた後、標識物質によって標識された過剰量の標識抗体(または標識抗原)を添加して抗原(または抗体)の標識化を行なう免疫測定法において、
固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)の間、及び目的の抗原(または抗体)と標識抗体(または標識抗原)の間で抗原抗体反応させた後、固相抗体(または固相抗原)を磁石装置を用いてB/F分離する際に、
磁石の周りを分離容器の反対側端面から分離容器の対向面側に向けてヨークで取り囲んで漏洩磁場を抑えるとともに、磁石の分離容器側端面の周囲をヨークの先端で囲んで磁束を集中させた磁石装置を用いて固相抗体(または固相抗原)をB/F分離することを特徴としている。
【0023】
また、前記磁石装置において、磁石の分離容器とは反対側の端面と、磁石の分離容器側端面の周囲を囲むヨ−クの先端とは同極性、また、磁石の分離容器側端面と、磁石の分離容器側端面の周囲を囲むヨ−クの先端とは逆極性であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の免疫測定におけるB/F分離装置および方法によれば、
磁性体を固相に用い、固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)を抗原抗体反応させた後、標識物質によって標識された過剰量の標識抗体(または標識抗原)を添加して抗原(または抗体)の標識化を行なう免疫測定法において、
固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)の間、及び目的の抗原(または抗体)と標識抗体(または標識抗原)の間で抗原抗体反応させた後、固相抗体(または固相抗原)を磁石装置を用いてB/F分離する際に、
反発し合う同極同士を対向配置させた磁石対を用い、その磁極間の空隙に近接させて分離容器を配置することにより、固相抗体(または固相抗原)をB/F分離することを特徴とするので、
磁性粒子を5秒以内に集合させ、ハイスループットを可能とする、小型軽量で高勾配磁場が得られる磁石を用いたB/F分離装置および方法を提供することができる。
【0025】
また、磁性体を固相に用い、固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)を抗原抗体反応させた後、標識物質によって標識された過剰量の標識抗体(または標識抗原)を添加して抗原(または抗体)の標識化を行なう免疫測定法において、
固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)の間、及び目的の抗原(または抗体)と標識抗体(または標識抗原)の間で抗原抗体反応させた後、固相抗体(または固相抗原)を磁石装置を用いてB/F分離する際に、
磁石の周りをヨークで取り囲んで漏洩磁場を抑えるとともに、磁石の端面の周囲をヨークで取り囲ませて磁束を集中させた磁石装置を用いて固相抗体(または固相抗原)をB/F分離することを特徴とするので、
磁性粒子を5秒以内に集合させ、ハイスループットを可能とする、小型軽量で高勾配磁場が得られる磁石を用いたB/F分離装置および方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図5は、本発明にかかる免疫測定におけるB/F分離装置および方法の一実施例である。本実施例では、磁石のN極とN極、またはS極とS極を対向させてB/F分離用磁石を構成する。磁束方向は、磁石の対向軸に直交し、対向した磁石の空隙面に沿った矢印方向となる。磁石の対向面で挟まれた空隙の中心点の磁界強度は、理論的には2倍となる。また、磁石を対向させて配置し、裏面同士をヨークでつないだ場合も、中心点の磁界強度は、理論的に2倍になる。対向配置させた磁石間の距離(空隙距離)と、該対向軸方向の磁石の長さとの比は、0.001〜0.5、より好ましくは、0.01〜0.05に保つ。
【0027】
対向磁石と分離容器の構成例を図6に示す。Aはネオジム磁石、Bは磁石ホルダ、Cは分離容器、Dは磁性粒子である。分離容器Cは、2つのネオジム磁石Aの対向軸と平行に、空隙に近接して配置される。分離容器Cの内径は5mm、磁石Aの長さは10mm、空隙距離は0.5mmである。0.5mmの空隙をB/F分離用磁場発生源として用いた場合、得られた磁場勾配(液層5mmφ)の実測値は、単独磁石を使用した場合の1.5倍、磁性粒子の集合時間は3秒だった。
【0028】
同じ分離容器Cを用いて磁性粒子Dを集合させる実験では、ネオジム磁石5枚を単独に配置した場合で6秒、電磁石を用いて1600アンペア・ターンの電流を流した場合で5秒、電磁石を用いて2000アンペア・ターンの電流を流した場合でも3.5秒の集合時間を要するので、本実施例の効果は大きい。
【0029】
図7は、本発明にかかる免疫測定におけるB/F分離装置および方法の別の実施例である。本実施例では、直方体のネオジム磁石A−1の上に、角錐体の先端を平らに削平した台形状のネオジム磁石A−2を載せ、磁石の周りを分離容器の反対側端面から分離容器の対向面側に向けてヨークEで取り囲むことにより、漏洩磁場を抑えるとともに、ネオジム磁石A−2の先端面とヨークEの先端面を一致させながら、ネオジム磁石A−2の分離容器側端面の周囲をヨークEの先端で囲んで、ヨークEで磁束を集中させる。
【0030】
このときの磁極の極性は、磁石の分離容器とは反対側の端面と、磁石の分離容器側端面の周囲を囲むヨ−クの先端とは同極性、また、磁石の分離容器側端面と、磁石の分離容器側端面の周囲を囲むヨ−クの先端とは逆極性になるように配置される。すなわち、図7に基づいて説明すれば、ネオジム磁石A−1のヨークE側がN極、ネオジム磁石A−1の反対側、すなわちネオジム磁石A−2側がS極、ネオジム磁石A−2のネオジム磁石A−1側がN極、ネオジム磁石A−2の分離容器C側がS極、ネオジム磁石A−2の分離容器C側周囲を囲むヨークEの先端がN極である。尚、これらの磁極は、N極とS極が逆であっても良い。
【0031】
このような磁気回路を構成することにより、ネオジム磁石A−1、A−2からの漏洩磁場を抑えるとともに、ヨークEの先端でネオジム磁石A−2の分離容器C側に磁束を集中させるようにした。この方法により、得られた磁場勾配(液相5mm)の実測値は、単独磁石を使用した場合の1.2〜1.3倍となった。
【0032】
分離容器Cは、ヨークEの先端で磁束を集中させたネオジム磁石A−2の先端に対向させて、ネオジム磁石A−2の先端に近接する位置に配置させる。このとき、ネオジム磁石A−2の先端面とヨークEの先端面を予め一致させてあるので、ネオジム磁石A−2と分離容器Cとの距離を最小にすることができる。これにより、磁性粒子Dは、分離容器Cの内側壁面に容易に集合させることができる。
【0033】
尚、ネオジム磁石A−1は、直方体ではなく、円柱状であっても良い。また、ネオジム磁石A−2は、角錐体の先端を平らに削平した台形状ではなく、円錐体の先端を平らに削平したポールピース状であっても良い。
【0034】
図8は、本発明にかかる免疫測定におけるB/F分離装置および方法の別の実施例である。本実施例では、反発し合う同極同士を磁石の両端部で対向配置させた磁石を分離容器Cの移動方向に合わせて複数個連続配置させ、それを1つの磁石ホルダB―2で固定した構成となっている。B/F分離は、通常、複数回繰り返して行なわれる。そこで、分離容器Cが位置a→位置b→位置c→位置dに逐次進むごとにB/F分離が行なわれる構成とした。このような構成とすることで、複数本の分離容器Cを一度にB/F分離させることができ、スペースファクタの高いB/F分離装置を提供することができる。
【0035】
対向磁石と分離容器Cの移動方法は、等間隔で並んだ対向磁石を固定している磁石ホルダB−2側を動かすようにしても良いが、逆に、等間隔で並んだ分離容器C側を動かすようにしても良い。
【0036】
尚、図8の例では、対向磁石と分離容器Cは平面状に並んでいるが、これは、数十本ないし数百本の分離容器が円周方向に並んで載った反応回転テーブル、あるいは、数本の分離容器が載った円盤状のB/F分離ユニットの外周または内周に沿って、分離容器と同心円状に対向磁石ホルダを配置させるようにしても良い。分離容器群と対向磁石群とが相互に回転できる構成にすることで、効果的なB/F分離機構を備えた自動免疫分析装置を提供することができる。
【0037】
尚、図8の対向磁石のN極とS極の並びは、同じ極を対向させてあれば、どちらの極が先頭であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
自動免疫分析装置および方法に、広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】EIA法の測定原理を示す図である。
【図2】従来のB/F分離装置の一例を示す図である。
【図3】分離容器と磁場方向の関係を示す図である。
【図4】ネオジム磁石の重ね枚数と磁石表面の磁場強度との関係を示す図である。
【図5】本発明にかかるB/F分離装置の一実施例を示す図である。
【図6】本発明にかかるB/F分離装置の対向磁石と分離容器の構成例である。
【図7】本発明にかかるB/F分離装置の別の実施例を示す図である。
【図8】本発明にかかるB/F分離装置の別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1:固相(磁性ビーズ固相)、2:固相抗体、3:固相抗体に未結合の抗原、4:抗原-抗体複合物、5:固相抗体に結合した抗原、6:抗原-抗体複合物に未結合の酵素標識抗体、7:標識酵素、8:酵素標識抗体-抗原-抗体複合物、9:抗原-抗体複合物に結合した酵素標識抗体、10:発色試薬(発色前)、11:発色試薬(発色後)、12:磁性粒子固相、13:分離容器、14:磁石、15:給排水ノズル、A:磁石、B:磁石ホルダ、C:分離容器、D:磁性粒子、E:ヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体を固相に用い、固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)を抗原抗体反応させた後、標識物質によって標識された過剰量の標識抗体(または標識抗原)を添加して抗原(または抗体)の標識化を行なう免疫測定法において、
固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)の間、及び目的の抗原(または抗体)と標識抗体(または標識抗原)の間で抗原抗体反応させた後、固相抗体(または固相抗原)を磁石装置を用いてB/F分離する際に、
反発し合う同極同士を対向配置させた磁石対を用い、その磁極間の空隙に近接させて分離容器を配置することにより、固相抗体(または固相抗原)をB/F分離することを特徴とする免疫測定におけるB/F分離装置。
【請求項2】
前記対向配置させた磁極間の距離(空隙距離)と、該対向軸方向の磁石の長さとの比は、0.001〜0.5であることを特徴とする請求項1記載の免疫測定におけるB/F分離装置。
【請求項3】
反発し合う同極同士を対向配置させた磁石を分離容器の移動方向に合わせて複数個連続配置させ、複数の分離容器でB/F分離を一度に行なうことを特徴とする請求項1または2記載の免疫測定におけるB/F分離装置。
【請求項4】
磁性体を固相に用い、固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)を抗原抗体反応させた後、標識物質によって標識された過剰量の標識抗体(または標識抗原)を添加して抗原(または抗体)の標識化を行なう免疫測定法において、
固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)の間、及び目的の抗原(または抗体)と標識抗体(または標識抗原)の間で抗原抗体反応させた後、固相抗体(または固相抗原)を磁石装置を用いてB/F分離する際に、
磁石の周りを分離容器の反対側端面から分離容器の対向面側に向けてヨークで取り囲んで漏洩磁場を抑えるとともに、磁石の分離容器側端面の周囲をヨークの先端で囲んで磁束を集中させた磁石装置を用いて固相抗体(または固相抗原)をB/F分離することを特徴とする免疫測定におけるB/F分離装置。
【請求項5】
前記磁石装置において、磁石の分離容器とは反対側の端面と、磁石の分離容器側端面の周囲を囲むヨ−クの先端とは同極性、また、磁石の分離容器側端面と、磁石の分離容器側端面の周囲を囲むヨ−クの先端とは逆極性であることを特徴とする請求項4記載の免疫測定におけるB/F分離装置。
【請求項6】
磁性体を固相に用い、固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)を抗原抗体反応させた後、標識物質によって標識された過剰量の標識抗体(または標識抗原)を添加して抗原(または抗体)の標識化を行なう免疫測定法において、
固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)の間、及び目的の抗原(または抗体)と標識抗体(または標識抗原)の間で抗原抗体反応させた後、固相抗体(または固相抗原)を磁石装置を用いてB/F分離する際に、
反発し合う同極同士を対向配置させた磁石対を用い、その磁極間の空隙に近接させて分離容器を配置することにより、固相抗体(または固相抗原)をB/F分離することを特徴とする免疫測定におけるB/F分離方法。
【請求項7】
前記対向配置させた磁極間の距離(空隙距離)と、該対向軸方向の磁石の長さとの比は、0.001〜0.5であることを特徴とする請求項6記載の免疫測定におけるB/F分離方法。
【請求項8】
反発し合う同極同士を対向配置させた磁石を分離容器の移動方向に合わせて複数個連続配置させ、複数の分離容器でB/F分離を一度に行なうことを特徴とする請求項6または7記載の免疫測定におけるB/F分離方法。
【請求項9】
磁性体を固相に用い、固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)を抗原抗体反応させた後、標識物質によって標識された過剰量の標識抗体(または標識抗原)を添加して抗原(または抗体)の標識化を行なう免疫測定法において、
固相抗体(または固相抗原)と目的の抗原(または抗体)の間、及び目的の抗原(または抗体)と標識抗体(または標識抗原)の間で抗原抗体反応させた後、固相抗体(または固相抗原)を磁石装置を用いてB/F分離する際に、
磁石の周りを分離容器の反対側端面から分離容器の対向面側に向けてヨークで取り囲んで漏洩磁場を抑えるとともに、磁石の分離容器側端面の周囲をヨークの先端で囲んで磁束を集中させた磁石装置を用いて固相抗体(または固相抗原)をB/F分離することを特徴とする免疫測定におけるB/F分離方法。
【請求項10】
前記磁石装置において、磁石の分離容器とは反対側の端面と、磁石の分離容器側端面の周囲を囲むヨ−クの先端とは同極性、また、磁石の分離容器側端面と、磁石の分離容器側端面の周囲を囲むヨ−クの先端とは逆極性であることを特徴とする請求項9記載の免疫測定におけるB/F分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−218442(P2006−218442A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35877(P2005−35877)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】