説明

入力器及び入力装置

【課題】操作パネルに複数の操作体が設けられた入力装置において、アクチュエータを利用して、使用したい幾つかの操作体のみを操作パネル表面から突出させる方法が知られている。しかしながら、操作体を操作した際の押圧感覚が弱いと言う課題があった。
【解決手段】昇動時に頭部が操作面の表面から突出するよう所定の上部点と下部点との間を昇降動可能な操作体と、操作体を押圧して操作体を昇動するアクチュエータと、アクチュエータを動作させ操作体が昇動された状態において、操作体の降動を阻害する位置に移動可能とされた可動部材と、を有した構成とし、可動部材は、操作体が頭部を降動する方向に押圧されたときに、操作体を押し戻す方向の付勢力を発現する弾性部材からなることを特徴としている。これによって、操作面から突出させた操作体を操作した際に、強い押圧感覚が得られる入力器及び入力装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータを利用して、操作体を操作面から突出させる入力装置に関し、特に、操作体を操作するときの操作感を変化させる入力器及び入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、操作パネルに複数の操作体が設けられた入力装置において、アクチュエータを利用して、使用したい幾つかの操作体のみを操作パネル表面から突出させる方法が知られている。特許文献1では、図14(a)に示すように、パネルケース803にキートップ815と選択スイッチ810が複数組設けられている入力装置801が提案されている。図14(b)に示すように、パネルケース803の内部には、スライド動作する底面金具812が設けられており、選択スイッチ810のいずれかを押した時に、底面金具812がスライドして、キースイッチ814を隆起させる回転金具813が回転し、いずれかの組のキートップ815とキースイッチ814とがパネルケース803の表面から突出する。
【0003】
しかしながら、特許文献1では、選択スイッチ810の数のパターン数でしか(図14(a)では5パターンの選択スイッチ810が表示されている)、キートップ815を操作パネル表面から突出させられないと言う問題があった。そこで、特許文献2では、図15に示すように、高分子層942に曲げ変形を生じさせる高分子アクチュエータ941を利用して、使用したい幾つかのキー951のみを操作パネル946の表面から突出させる操作装置901が提案されている。図15(a)は、第1の電極層943と第2の電極層944に電圧が印加されていない状態(非駆動状態)を示していて、図15(b)は、第1の電極層943と第2の電極層944に電圧が印加されている状態(駆動状態)を示していている。図15(b)に示すように、第1の電極層943と第2の電極層944に電圧が印加されると、第1の電極層943と第2の電極層944間に挟まれている高分子層942に電荷が帯電し、その高分子層942の静電作用によって、拘束されていない高分子層942が、その伸び歪みによって上方に変形する。これにより、キー951が、操作パネル946の表面から突出されるようになる。各々のキー951に対応する第1の電極層943と第2の電極層944に電圧印加するだけで、任意のキー951を操作パネル946の表面から突出できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−287284号公報
【特許文献2】特開2010−41860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の背景技術では、使用したい幾つかの操作体のみを操作パネルの表面から突出させることはできるものの、突出させる手段に高分子アクチュエータを利用しているので、その反発力の弱さ故に、操作体を操作した際の押圧感覚が弱いと言う課題があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するもので、操作面から突出させた操作体を操作した際に、強い押圧感覚が得られる入力器及び入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明の入力器は、昇動時に頭部が操作面の表面から突出するよう所定の上部点と下部点との間を昇降動可能な操作体と、前記操作体を押圧して前記操作体を昇動するアクチュエータと、前記アクチュエータを動作させ前記操作体が昇動された状態において、前記操作体の降動を阻害する位置に移動可能とされた可動部材と、を有し、前記可動部材は、前記操作体が前記頭部を降動する方向に押圧されたときに、前記操作体を押し戻す方向の付勢力を発現する弾性部材からなることを特徴としている。
【0008】
これによれば、本発明の入力器は、操作体を押し下げる操作が行われた際に、押し下げる途中で可動部材に操作体が当接し、アクチュエータのみの反発力に加え、可動部材からの反発力が加わるので、操作体の押し下げ操作を行った際の強い押圧感覚が得られるようになる。
【0009】
本発明の入力器は、前記操作体が、前記操作体が前記下部点にある際に、前記可動部材の一部を収める第一の切欠部を有し、前記第一の切欠部は、前記可動部材の一部を収めた際に前記操作体が昇動可能な形状であることを特徴としている。
【0010】
これによれば、操作体に設けられた第一の切欠部が可動部材の一部を収めた際に、第一の切欠部の形状は、操作体が昇動可能な形状なので、操作体の昇動のために、可動部材を動かす必要がない。この事により、可動部材のストロークを小さくでき、可動部材が操作体からはみ出るスペースを小さくできるので、入力器全体のフットプリントを小さくすることができる。
【0011】
本発明の入力器は、前記操作体が、前記操作体が前記下部点にある際に、前記可動部材の一部を収める第一の切欠部を有し、前記第一の切欠部は、前記可動部材の一部を収めた際に前記操作体の昇動を阻害する形状であることを特徴としている。
【0012】
これによれば、操作体が下部点にあり可動部材の一部を収めている際に、その可動部材の一部が操作体の昇動を阻害しているので、入力器を上下反転したような場合、他に突出防止機構を設けなくても、下部点にある操作体が操作面の表面から突出しないようにすることができる。この事により、容易な設計が可能となる。
【0013】
本発明の入力器は、前記可動部材が、前記操作体の前記頭部を前記降動する方向に押圧したときに、クリック感を発生させるクリック部を有することを特徴としている。
【0014】
これによれば、操作体を押し下げる操作が行われた際に、クリック部の作用により、クリック感覚が得られるので、操作する人が、入力器を確実に操作したと言う押圧感覚が得られる。
【0015】
本発明の入力器は、前記アクチュエータが、対向配置された第一の電極層及び第二の電極層と、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に設けられた電解質層と、を有し、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間の電界に応じて変形する高分子アクチュエータであることを特徴としている。
【0016】
これによれば、高分子アクチュエータに電界をかけるだけで、複雑な機構を設けることなく、高分子アクチュエータを動作させ、操作体を昇降動させることが容易にできる。
【0017】
この課題を解決するために、本発明の入力装置は、請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の前記入力器を複数設けており、前記各入力器の前記可動部材が一体となって前記移動するよう形成されており、前記各入力器のそれぞれに対応する複数の前記アクチュエータの一群を動作させ、前記一群の各アクチュエータに対応する前記操作体の一群が前記上部点に昇動された状態であるとともに、前記各入力器のそれぞれに対応する複数の前記操作体の他群が前記下部点に降動された状態の際に、前記操作体の一群に対応する前記可動部材の一群が前記操作体の一群の降動を阻害する位置に配置されるよう移動するとともに、前記操作体の他群に対応する前記可動部材の他群が前記第一の切欠部に収められるよう移動することを特徴としている。
【0018】
これによれば、本発明の入力装置は、複数の操作体を備えた入力装置に好適に用いられ、所望の操作体のみを突出させたり、筐体内におさめたりすることができる。また、可動部材が一体となって移動するよう形成されていることで、可動部材の全てを同時に移動させることができるので、それぞれの操作体に対して複雑な機構を設ける必要がない。また、可動部材の他群が昇動されない操作体の他群の第一の切欠部に収められるようにしているので、昇動された操作体の一群の降動を阻害する位置に可動部材の一群を移動することができる。また、昇動した幾つかの使用したい操作体を操作した際に、押圧感覚またはクリック感覚が得られるようになる。
【0019】
本発明の入力装置は、前記入力器の前記操作体が、前記操作体が前記下部点にあって、前記可動部材が隣接する前記操作体の前記第一の切欠部から退避する際に、前記可動部材の一部を収める第二の切欠部を有していることを特徴としている。
【0020】
これによれば、可動部材が移動する際に、可動部材の一部を隣接する操作体の第二の切欠部に収めるので、可動部材の可動範囲を第二の切欠部に含めることができ、隣接する各操作体間の間隔を狭くすることができる。この事により、入力装置全体のサイズを小さくできる。
【0021】
本発明の入力装置は、前記各アクチュエータと前記一体となって移動する前記複数の可動部材との動きを制御する制御部を有し、前記制御部は、前記可動部材を移動させ、前記可動部材を前記操作体の前記第一の切欠部から退避させ、前記アクチュエータの一群を動作させ、前記各アクチュエータの一群に対応する前記操作体の一群を前記上部点に昇動された状態にし、前記可動部材の一群を前記各操作体の一群の降動を阻害する位置に配置させるとともに、前記各操作体の他群に対応する前記可動部材の他群を前記各操作体の他群の前記第一の各切欠部に収めるよう前記複数の可動部材を一体となって移動するよう制御することを特徴としている。
【0022】
これによれば、制御部がアクチュエータ及び可動部材を制御するので、使用したい幾つかの操作体のみを突出させたり、筐体内におさめたりすることができる。また、突出させた幾つかの使用したい操作体を操作した際に、押圧感覚またはクリック感覚が得られるようになる。
【0023】
本発明の入力装置は、前記アクチュエータは、前記アクチュエータに電力を加えて前記操作体を前記上部点に昇動するものであって、前記制御部は、前記可動部材の一群を前記各操作体の一群の降動を阻害する位置に配置させた後、前記アクチュエータの一群への電力印加を停止した際、前記可動部材の一群により前記操作体の一群が昇動された状態にされていることを特徴としている。
【0024】
これによれば、可動部材により操作体を支えるので、アクチュエータへの電力を停止することができ、入力装置の省電力化が図られる。
【0025】
本発明の入力装置を用いた電子機器は、請求項8ないし請求項11のいずれか一項に記載の入力装置と、複数の前記操作体の組み合わせを決めるモード切替部と、前記モード切替部により決められた組み合わせに応じて該当する複数の前記操作体を昇動する駆動制御部と、を有することを特徴としている。
【0026】
これによれば、本発明の電子機器は、モード切替部及び駆動制御部により、突出させた幾つかの使用したい操作体の組み合わせを選択できるので、操作したいあるいは操作できる操作体が一目で確認できるようになる。この事により、操作者が迷うことなく操作体を操作できるので、煩雑な入力を必要とする電子機器に好適に用いることができる。また、本発明の入力器及び入力装置を用いているので、突出させた幾つかの使用したい操作体を操作した際に、押圧感覚またはクリック感覚が得られる電子機器を提供できる。
【発明の効果】
【0027】
これによれば、本発明の入力器は、操作体を押し下げる操作が行われた際に、押し下げる途中で可動部材に操作体が当接し、アクチュエータのみの反発力に加え、可動部材からの反発力が加わるので、操作体の押し下げ操作を行った際の強い押圧感覚が得られるようになる。また、本発明の入力装置は、複数の操作体を備えた入力装置に好適に用いられ、所望の操作体のみを突出させたり、収めたりすることができる。また、可動部材が一体に形成されていることで、一回の動作で、可動部材の全てを移動させることができるので、それぞれの操作体に対して複雑な機構を設ける必要がない。また、可動部材が昇動されない操作体の第一の切欠部に収められるようにしているので、昇動された操作体を阻害する位置に可動部材を移動することができ、操作面から突出させた幾つかの使用したい操作体を操作した際に、押圧感覚またはクリック感覚が得られるようになる。したがって、本発明は、操作面から突出させた幾つかの使用したい操作体を操作した際に、押圧感覚またはクリック感覚が得られる入力器及び入力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態の入力器の構成を説明する図であり、操作面側から見た平面図である。
【図2】図2(a)は、図1に示すI-I線の断面図であり、図2(b)は、図1に示すII-II線の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の入力器の動作状態の一例を説明する図であり、図3(a)は、操作体が下部点にある状態を示す構成図で、図3(b)は、操作体が上部点にある状態を示す構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態の入力器に用いられるアクチュエータであって、高分子アクチュエータついて説明した模式図である。
【図5】本発明の第1実施形態の入力器の動作状態の一例を説明する図であり、図5(a)は、操作体が上部点にある状態を示す構成図で、図5(b)は、操作体が降動され可動部材に当接した状態を示す構成図で、図5(c)は、操作体が更に降動され可動部材が変形した状態を示す構成図である。
【図6】本発明の第2実施形態の入力器の構成を説明する図であり、操作面側から見た平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の入力器の動作状態の一例を説明する図であり、図7(a)は、操作体が降動され可動部材が変形した状態を示す構成図で、図7(b)は、図7(a)から更に操作体が降動され可動部材が反転した状態を示す構成図で、図7(c)は、操作体が上部点にある状態を示す構成図である。
【図8】本発明の第3実施形態の入力器の構成を説明する図であり、図8(a)は、操作面側から見た平面図で、図8(b)は、図8(a)に示すVIII-VIII線の断面図であり、操作体が下部点にある状態を示す構成図である。
【図9】本発明の第4実施形態の入力器の構成を説明する図であり、図9(a)は、操作面側から見た平面図で、図9(b)は、図9(a)に示すIX-IX線の断面図であり、操作体が下部点にある状態を示す構成図である。
【図10】本発明の第5実施形態の入力装置の構成を説明するための構成図で、その一部を示した斜視図である。
【図11】本発明の第5実施形態の入力装置の動作状態の一例を説明する図であり、図11(a)は、操作体が下部点にある状態を示す構成図で、図11(b)は、可動部材の一部が操作体の第一の切欠部から退避した状態を示す構成図で、図11(c)は、アクチュエータの一群を動作させ操作体の一群が上部点に昇動された状態を示す構成図で、図11(d)は、可動部材の一群が操作体の一群の降動を阻害する位置に移動し、可動部材の他群が操作体の他群の第一の切欠部に移動した状態を示す構成図である。
【図12】本発明の第6実施形態の入力装置の動作状態の一例を説明する図であり、図12(a)は、操作体が下部点にある状態を示す構成図で、図12(b)は、可動部材の一部が操作体の第一の切欠部から退避した状態を示す構成図で、図12(c)は、アクチュエータの一群を動作させ操作体の一群が上部点TDCに昇動された状態を示す構成図で、図12(d)は、可動部材の一群が操作体の一群の降動を阻害する位置に移動し、可動部材の他群が操作体の他群の第一の切欠部に移動した状態を示す構成図で、図12(e)は、アクチュエータの一群への電力印加を停止した際、可動部材の一群により操作体の一群が昇動を保持された状態を示す構成図である。
【図13】本発明の第7実施形態で、第6実施形態の入力装置を用いた電子機器を説明する構成図である。
【図14】従来例1のスイッチ隆起式リモコン装置の構成図で、図15(a)は、全体の構成を示す斜視図で、図15(b)は、隆起構造の詳細断面図である。
【図15】従来例2の高分子アクチュエータを利用した操作装置の断面図で、図16(a)は、高分子アクチュエータの非駆動の状態を示していて、図16(b)は、高分子アクチュエータの駆動の状態を示していている。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の入力器101の構成を説明する図であり、操作面15側から見た平面図である。図2(a)は、図1に示すI-I線のX1側から見た断面図であり、図2(b)は、図1に示すII-II線のY2側から見た断面図である。図3は、本発明の第1実施形態の入力器101の動作状態の一例を説明する図であり、図3(a)は、操作体11が下部点BDCにある状態を示す構成図で、図3(b)は、操作体11が上部点TDCにある状態を示す構成図である。
【0031】
図1ないし図3に示す様に、入力器101は、操作体11とアクチュエータ2と可動部材14とを有していて、合成樹脂製或いは金属製の外装体である筐体8に収められている。操作体11は、アクチュエータ2によって支えられ、アクチュエータ2の可動によって、図3(a)に示す下部点BDCから、図3(b)に示す上部点TDCへ昇降動可能になっており、図3(b)に示す上部点TDCでは、操作体11の頭部11hが、操作パネル5の操作面15より突出している。
【0032】
操作体11は、スイッチ操作のために指等で押圧できる形状、サイズを有しており、直方体形状になっている。また、操作体11の材質は、ABS樹脂、ポリエチレン(PE)等の汎用のプラスチックスを用いている。操作体11の形状や材質は、スイッチ操作の良好性が確保され充分な強度が得られれば良く、直方体形状や汎用のプラスチックスに限るものではない。また、操作体11とアクチュエータ2との間にストッパー7を設けて、ストッパー7と操作パネル5とが当接し、操作体11が筐体8から外れるのを防止している。
【0033】
アクチュエータ2は操作体11を支え、アクチュエータ2を動作させることによって、操作体11を押圧して操作体11を昇降動可能とされている。アクチュエータ2の動作は、別に設けた制御回路部(図示しない)で行なっている。また、スイッチ操作のために指等で操作体11が下方向に押圧された際に、アクチュエータ2は、操作体11を押圧する反発力を増しながら弾性変形をする。アクチュエータ2は、操作体11を昇降動させるための簡易な機構と、操作体11が下方向に押圧された際に弾性変形をするようなアクチュエータが良く、特に、高分子アクチュエータが好適に用いられる。
【0034】
図4は、高分子アクチュエータの中で、イオン導電型の高分子アクチュエータ2Pの一例を説明した模式図である。図4(a)に示すように、イオン導電型の高分子アクチュエータ2Pは、対向配置された第一の電極層12及び第二の電極層22と、第一の電極層12と前記第二の電極層22との間に設けられた電解質層32とを有している。電解質層32は、ベースポリマーにイオン液体を混合したゲル状のフィルムであり、第一の電極層12及び第二の電極層22は、電解質層32と同じベースポリマー及びイオン液体と、導電性フィラーを混合しゲル状としたものである。例えば、ベースポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。また、導電性フィラーとしては、カーボンナノチューブやカーボンファイバーなどを用いることができる。
【0035】
図4(b)に示すように、第一の電極層12と第二の電極層22に電圧が印加されると、第一の電極層12と第二の電極層22間に挟まれている電解質層32内に電界が発生して、第一の電極層12に陽イオンCAが移動するとともに、第二の電極層22に陰イオンANが移動するため、高分子アクチュエータ2Pの電界の方向に応じて、高分子アクチュエータ2Pが変位する。また、高分子アクチュエータ2Pへの電界の強さを変えることで、電界に応じて変形する変形量を変えることができる。
【0036】
本発明の第1実施形態の入力器101のアクチュエータ2に、高分子アクチュエータ2Pを適用した場合、高分子アクチュエータ2Pは、図3に示すように、高分子アクチュエータ2Pの中心を固定し支点とすることで、両端が上方向に向けて撓み変形する。これにより、操作体11を動かすことができ、電界の強さを変えることで、任意の位置に操作体11を昇降動させることができる。この事により、高分子アクチュエータ2Pに電界をかけるだけで、複雑な機構を設けることなく、高分子アクチュエータ2Pを動作させ、操作体11を昇降動させることが容易にできる。
【0037】
可動部材14は、図2に示すように、操作体11が昇動された状態において、操作体11の降動を阻害する位置に配置される。また、操作面15より操作体11を突出させるため、操作体11を昇動する際には、可動部材14は、操作体11の昇動を妨げない位置に移動し、スイッチ操作以外で操作体11を降動する際にも、可動部材14は、操作体11の降動を妨げない位置に移動する。これら一連の動作は、アクチュエータ2の動作を制御する制御回路部と連動して、可動部材14を駆動する、例えばモータ等の駆動部を動作制御部で制御することで行っている。
【0038】
また、可動部材14は、スイッチ操作のために操作体11の頭部11hが押圧されて操作体11が降動し可動部材14に当接した際に、操作体11を押し戻す方向の付勢力を発現する弾性部材からなっている。可動部材14の形状は、図1及び図2に示すように、板状の形状が好適に用いられるが、棒状やドーム状やコの字状等、様々な形状を用いることができる。また、可動部材14の材質は、合成樹脂や金属等を用いるが、板バネ材として通常用いられるステンレス、リン青銅、鋼等が好適に用いられる。
【0039】
図5は、本発明の第1実施形態の入力器101の動作状態の一例を説明する図であり、図5(a)は、操作体11が上部点TDCにある状態を示す構成図で、図5(b)は、スイッチ操作のために指等で操作体11が下方向に降動され、可動部材14に当接した状態を示す構成図で、図5(c)は、操作体11が更に降動され可動部材14が変形した状態を示す構成図である。
【0040】
使用できる操作体11を操作面15から突出させるため、図3(a)に示す下部点BDCから、アクチュエータ2を動作させ操作体11を昇動する際に、可動部材14は、操作体11の昇動を妨げない位置に移動する。そして、図3(b)に示す上部点TDCに操作体11が昇動された際に、図5(a)に示すように、可動部材14は、操作体11の降動を阻害する位置に移動する。そして、図5(a)に示す上部点TDCから、スイッチ操作のために指等で操作体11が下方向に押圧された際に、アクチュエータ2は、操作体11を押圧する反発力を増しながら弾性変形をする。さらに、操作体11が下方向に降動され、図5(b)に示すように、操作体11が可動部材14に当接する。さらに、操作体11が下方向に降動されると、可動部材14は、図5(c)に示すように、操作体11を押圧する反発力を増しながら弾性変形をする。そして、スイッチがON或いはOFFされた後、操作体11にかけられていた下方向への押圧が解放されると、可動部材14とアクチュエータ2の反発力により、操作体11が押し戻され、図5(a)に示す上部点TDCの状態に操作体11が戻る。
【0041】
以上の動作により、スイッチ操作のために指等で操作体11が下方向に押圧された際に、最初のアクチュエータ2の反発力に加え、途中から可動部材14の反発力が加わるようになる。この事により、操作体11を押し下げる操作が行われた際に、押し下げる途中で可動部材14に操作体11が当接し、アクチュエータ2のみの反発力に加え、可動部材14からの反発力が加わるので、操作体11の押し下げ操作を行った際の強い押圧感覚が得られるようになる。例えば、アクチュエータ2に7mm幅の高分子アクチュエータ2Pを用い、可動部材14に0.5mm厚みのステンレス製バネ材を用いた場合、最初の反発力が約200mNに対し、途中からの反発力は、1000mN以上になった。
【0042】
以上により、本発明の入力器101は、スイッチ操作のために操作体11の頭部11hが押圧されて操作体11が降動し可動部材14に当接した際に、操作体11を押し戻す方向の付勢力を発現する弾性部材からなっているので、アクチュエータ2のみの反発力に加え、可動部材14からの反発力が加わるので、操作体11の押し下げ操作を行った際の強い押圧感覚が得られるようになる。
【0043】
また、アクチュエータ2が、対向配置された第一の電極層12及び第二の電極層22と、第一の電極層12と第二の電極層22との間に設けられた電解質層32と、を有し、第一の電極層12と第二の電極層22との間の電界に応じて変形する高分子アクチュエータ2Pなので、高分子アクチュエータ2Pに電界をかけるだけで、複雑な機構を設けることなく、高分子アクチュエータ2Pを動作させ、操作体11を昇降動させることが容易にできる。
【0044】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態の入力器102の構成を説明する図であり、操作面15側から見た平面図である。また、図7は、本発明の第2実施形態の入力器102の動作状態の一例を説明する図であり、図7(a)は、操作体11が降動され可動部材24が変形した状態を示す構成図で、図7(b)は、図7(a)から更に操作体11が降動され可動部材24が反転した状態を示す構成図で、図7(c)は、操作体11が上部点TDCにある状態を示す構成図である。本発明の第2実施形態の入力器102は、第1実施形態の入力器101に対し、可動部材24が異なっている。なお、第1実施形態と同じ部材は同じ符号を付しており、説明を省略する。
【0045】
可動部材24には、図6に示すように、アクチュエータ2の両側にアクチュエータ2を挟むようにしてクリック部24cがあり、操作体11の降動を阻害する位置に配置されている。また、クリック部24cは、長手方向に直交する幅方向に対して中央部が下側に凸状の緩やかな曲面をしており(図示しない)、上側からある一定以上の負荷がかかると反転するようになっている。
【0046】
本発明の第2実施形態の入力器102は、本発明の第1実施形態の入力器101の図5(a)ないし図5(c)に示す動作と同様な動作が行われ、可動部材24は、図7(a)に示すように、操作体11を押圧する反発力を増しながら弾性変形をしている。そして、更に下方向に押圧されると、図7(b)に示すように、可動部材24のクリック部24cが反転し、反発力が一時低下する。そして、スイッチがON或いはOFFされた後、操作体11にかけられていた下方向への押圧が解放されると、可動部材24とアクチュエータ2の反発力により、操作体11が押し戻され、図7(c)に示す上部点TDCの状態に操作体11が戻る。また、可動部材24のクリック部24cが逆反転し、可動部材24の弾性変形もなくなる。
【0047】
以上の動作により、スイッチ操作のために指等で操作体11が下方向に押圧された際に、最初のアクチュエータ2の反発力に加え、途中から可動部材24の反発力が加わり、更に、クリック部24cの反転により、反発力が一時低下するようになる。この事により、操作体11を押し下げる操作が行われた際に、押し下げる途中でクリック部24cの作用により、クリック感覚が得られる。
【0048】
以上により、本発明の入力器102は、可動部材24が、操作体11の頭部11hを降動する方向に押圧したときに、クリック感を発生させるクリック部24cを有しているので、クリック部24cの作用により、クリック感覚が得られるので、操作する人が、入力器102を確実に操作したと言う押圧感覚が得られる。
【0049】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態の入力器103の構成を説明する図であり、図8(a)は、操作面15側から見た平面図で、図8(b)は、図8(a)に示すVIII-VIII線の断面図であり、操作体31が下部点BDCにある状態を示す構成図である。本発明の第3実施形態の入力器103は、第1実施形態の入力器101に対し、操作体31と可動部材34とが異なっている。なお、第1実施形態と同じ部材は同じ符号を付しており、説明を省略する。
【0050】
操作体31は、図8に示すように、可動部材の一部34pを収める凹状の第一の切欠部31aが設けられている。第一の切欠部31aの形状は、操作体31が下部点BDCにあり、可動部材の一部34pを収めている際に、可動部材の一部34pにより操作体31の昇動を阻害するような形状になっている。この事により、入力器103を上下反転したような場合、他に突出防止機構を設けない構成でも、下部点BDCにある操作体31が操作面15の表面から突出しないようにすることができる。
【0051】
以上により、本発明の入力器103は、操作体31が下部点BDCにあり可動部材の一部34pを収めている際に、その可動部材の一部34pが操作体31の昇動を阻害しているので、入力器103を上下反転したような場合、他に突出防止機構を設けなくても、下部点BDCにある操作体31が操作面15の表面から突出しないようにすることができる。この事により、容易な設計が可能になる。
【0052】
[第4実施形態]
図9は、本発明の第4実施形態の入力器104の構成を説明する図であり、図9(a)は、操作面15側から見た平面図で、図9(b)は、図9(a)に示すIX-IX線の断面図であり、操作体41が下部点BDCにある状態を示す構成図である。本発明の第4実施形態の入力器104は、第1実施形態の入力器101に対し、操作体41と可動部材44とが異なっている。なお、第1実施形態と同じ部材は同じ符号を付しており、説明を省略する。
【0053】
操作体41は、図9に示すように、可動部材の一部44pを収める第一の切欠部41aが設けられている。第一の切欠部41aの形状は、操作体41が下部点BDCにあり可動部材の一部44pを収めている際に、操作体41が昇動可能な形状になっている。この事により、操作体41の昇動のために、可動部材44を動かす必要がない。
【0054】
以上により、本発明の入力器104は、操作体41に設けられた第一の切欠部41aが可動部材の一部44pを収めた際に、第一の切欠部41aの形状は、操作体41が昇動可能な形状なので、操作体41の昇動のために、可動部材44を動かす必要がない。この事により、可動部材44のストロークを小さくでき、可動部材44が筐体8からはみ出るスペースを小さくできるので、入力器全体のフットプリントを小さくすることができる。
【0055】
[第5実施形態]
入力装置501は、本発明の第3実施形態の入力器103を複数設けたものである。図10は、本発明の第5実施形態の入力装置501の構成を説明するための構成図で、その一部を示した斜視図である。また、図11は、本発明の第5実施形態の入力装置501の動作状態の一例を説明する図であり、図11(a)は、操作体31が下部点BDCにある状態を示す構成図で、図11(b)は、可動部材の一部34pが操作体31の第一の切欠部31aから退避した状態を示す構成図で、図11(c)は、アクチュエータの一群52Aを動作させ操作体の一群31Aが上部点TDCに昇動された状態を示す構成図で、図11(d)は、可動部材の一群34Aが操作体の一群31Aの降動を阻害する位置に移動し、可動部材の他群34Bが操作体の他群31Bの第一の切欠部31aに移動した状態を示す構成図である。なお、第3実施形態と同じ部材は同じ符号を付しており、説明を省略する。
【0056】
入力装置501は、図10及び図11に示すように、複数の操作体31と、各操作体31に対応したアクチュエータ2と、一体となって移動する複数の可動部材34と、を有していて、合成樹脂製或いは金属製の外装体である筐体58に収められている。また、各アクチュエータ2と複数の可動部材34との動きを制御する制御部57も有している。図10は、制御部57の制御によって、複数の可動部材34とアクチュエータ2を動作させ、操作体31の頭部を操作パネル55の操作面15より突出させている状態を示している。
【0057】
図10に示すような操作体31が突出した状態までの動作を、図11を用いて説明する。先ず、図11(a)に示すように、操作体31が下部点BDCにあって、操作体31の第一の切欠部31aに可動部材の一部34pが収まっている。次に、制御部57の制御によって、可動部材34を一体となって移動させ、図11(b)に示すように、可動部材の一部34pを操作体31の第一の切欠部31aから退避させている。そして、アクチュエータの一群52Aを動作させ、図11(c)に示すように、各アクチュエータの一群52Aに対応した各操作体の一群31Aを上部点TDCに昇動させている。動作しない各アクチュエータの他群52Bに対応した各操作体の他群31Bは、下部点BDCにとどまっている。そして、図11(d)に示すように、可動部材の一群34Aを各操作体の一群31Aの降動を阻害する位置に配置させるとともに、操作体の他群31Bに対応した可動部材の他群34Bの一部を操作体の他群31Bの第一の切欠部31aに収めている。また、可動部材34を一体となって移動させ、アクチュエータの一群52Aを動作させることによって、図11(a)に示す状態に戻すこともできる。なお、可動部材34は、一体となって移動するが、可動部材34を一体で作製しても良いし、別体で作製しても良い。
【0058】
以上により、本発明の入力装置501は、制御部57の制御によって、複数の可動部材34とアクチュエータ2を動作させているので、使用したい幾つかの操作体31の頭部のみを操作パネル55の操作面15より突出させたり、筐体58内に収めたりすることができる。この事により、使用したい幾つかの操作体31のみを操作パネル55の操作面15から突出させることができる入力装置を提供できる。
【0059】
また、アクチュエータの一群52Aに対応する操作体の一群31Aが上部点TDCに昇動された際に、可動部材の一群34Aを各操作体の一群31Aの降動を阻害する位置に配置させているので、突出させた幾つかの使用したい操作体31を操作した際に、押圧感覚またはクリック感覚が得られるようになる。
【0060】
また、可動部材34の全てを同時に移動させることができるので、それぞれの操作体31に対して複雑な機構を設ける必要がない。この事により、容易な設計が可能になる。
【0061】
また、可動部材の他群34Bが昇動されない操作体の他群31Bの第一の切欠部31aに収められるようにしているので、可動部材34を一体となって移動させても、昇動された操作体の一群31Aの降動を阻害する位置に可動部材の一群34Aを移動することができる。この事により、容易な設計で、使用したい幾つかの操作体31のみの操作を行える入力装置を提供できる。
【0062】
[第6実施形態]
図12は、本発明の第6実施形態の入力装置601の動作状態の一例を説明する図であり、図12(a)は、操作体61が下部点BDCにある状態を示す構成図で、図12(b)は、可動部材の一部64pが操作体61の第一の切欠部61aから退避した状態を示す構成図で、図12(c)は、アクチュエータの一群62Aを動作させ操作体の一群61Aが上部点TDCに昇動された状態を示す構成図で、図12(d)は、可動部材の一群64Aが操作体の一群61Aの降動を阻害する位置に移動し、可動部材の他群64Bが操作体の他群61Bの第一の切欠部61aに移動した状態を示す構成図で、図12(e)は、アクチュエータの一群62Aへの電力印加を停止した際、可動部材の一群64Aにより操作体の一群61Aが昇動を保持された状態を示す構成図である。また、本発明の第6実施形態の入力装置601は、第5実施形態の入力装置501に対し、操作体61が異なっている。なお、第5実施形態と同じ部材は同じ符号を付しており、説明を省略する。また、操作体61が筐体58から外れるのを防止しているストッパーは、操作体61の紙面の表裏面側に設けられているが、入力装置601の動作の説明を容易にするため、図12では省略している。
【0063】
本発明の第6実施形態の入力装置601の動作の一例について、図12を用いて説明する。先ず、図12(a)に示すように、入力装置601は、入力装置501と同様、操作体61が下部点BDCにあって、操作体61の第一の切欠部61aに可動部材の一部64pが収まっている。次に、制御部57の制御によって、可動部材64を一体となって移動させ、図12(b)に示すように、可動部材の一部64pを操作体61の第一の切欠部61aから退避させている。可動部材の一部64pを退避させた際に、操作体61は、隣接する操作体61に対応する可動部材の一部64rを収める第二の切欠部61rを有しているので、可動部材64のもう一方の他端である可動部材の一部64rは、隣接する操作体61の第二の切欠部61rに収まるようになる。この事により、可動部材64の可動範囲を第二の切欠部61rに含めることができるので、隣接する各操作体61間の間隔を狭くすることができる。
【0064】
次に、アクチュエータの一群62Aを動作させ、図12(c)に示すように、各アクチュエータの一群62Aに対応した各操作体の一群61Aを上部点TDCに昇動させている。動作しない各アクチュエータの他群62Bに対応した各操作体の他群61Bは、下部点BDCにとどまっている。そして、図12(d)に示すように、可動部材の一群64Aを各操作体の一群61Aの降動を阻害する位置に配置させるとともに、操作体の他群61Bに対応した可動部材の他群64Bの一部を操作体の他群61Bの第一の切欠部61aに収めている。また、制御部57の制御によって、図12(e)に示すように、アクチュエータの一群62Aへの電力印加を停止し、可動部材の一群64Aにより操作体の一群61Aを支えることにより、操作体の一群61Aの昇動を保持された状態にすることもできる。この事により、アクチュエータ62への電力を停止することができるので、入力装置の省電力化が図られる。
【0065】
また、可動部材64を一体となって移動させ、アクチュエータの一群62Aを動作させることによって、図12(a)に示す状態に戻すこともできる。なお、入力装置601の可動部材64は、一体となって移動するが、入力装置501と同様に、可動部材64を一体で作製しても良いし、別体で作製しても良い。
【0066】
以上により、本発明の入力装置601は、制御部57の制御によって、複数の可動部材64とアクチュエータ62を動作させているので、使用したい幾つかの操作体61の頭部のみを操作パネル55の操作面15より突出させたり、筐体58内に収めたりすることができる。この事により、使用したい幾つかの操作体61のみを操作パネル55の操作面15から突出させることができる入力装置を提供できる。
【0067】
また、アクチュエータの一群62Aに対応する操作体の一群61Aが上部点TDCに昇動された際に、可動部材の一群64Aを各操作体の一群61Aの降動を阻害する位置に配置させているので、突出させた幾つかの使用したい操作体61を操作した際に、押圧感覚またはクリック感覚が得られるようになる。
【0068】
また、操作体61の第一の切欠部61aから可動部材の一部64pを退避させた際に、操作体61は、隣接する操作体61に対応する可動部材の一部64rを収める第二の切欠部61rを有しているので、可動部材64のもう一方の他端である可動部材の一部64rは、隣接する操作体61の第二の切欠部61rに収まるようになる。この事により、可動部材64の可動範囲を第二の切欠部61rに含めることができるので、隣接する各操作体61間の間隔を狭くすることができる。従って、入力装置全体のサイズを小さくできる。
【0069】
また、制御部57の制御によって、可動部材の一群64Aを各操作体の一群61Aの降動を阻害する位置に配置させた後、アクチュエータの一群62Aへの電力印加を停止した際、可動部材の一群64Aにより操作体の一群61Aを支えることにより、操作体の一群61Aの昇動が保持された状態になる。この事により、アクチュエータ62への電力を停止することができるので、入力装置の省電力化が図られる。
【0070】
[第7実施形態]
図13は、本発明の第7実施形態で、第6実施形態の入力装置601を用いた電子機器771を説明する構成図である。電子機器771は、図13に示すように、複数の操作体61と制御部57とを備えた入力装置601と、複数の操作体61の頭部を操作面15の表面から突出させる組み合わせを決めるモード切替部16と、モード切替部16により決められた組み合わせに応じて該当する複数の操作体61を昇動する駆動制御部19と、を有している。他に各種情報を表示する表示部779等も備えていて、合成樹脂製或いは金属製の外装体である筐体78及び操作パネル75に収められて構成されている。
【0071】
図13は、モード切替部16aのスイッチをONにした時の操作体61の状態を示したもので、操作体61の頭部が操作面15の表面から突出している操作体の一群61Aと、下部点BDCにとどまった操作体の他群61Bとの組み合わせを示している。図中に、モード切替部16のスイッチは3つ示されているが、3つに限るものではなく、用途に応じて幾つあっても構わない。本発明の第7実施形態の電子機器771は、モード切替部16を有しているので、操作したいあるいは操作できる操作体61が一目で確認できる。この事により、操作者が迷うことなく操作体61を操作することができるようになる。また、本発明の入力器及び入力装置を用いているので、突出させた幾つかの使用したい操作体61を操作した際に、押圧感覚またはクリック感覚が得られる。
【0072】
以上により、本発明の入力装置を用いた電子機器771は、モード切替部16及び駆動制御部19により、突出させた幾つかの使用したい操作体61の組み合わせを選択できるので、操作したいあるいは操作できる操作体61が一目で確認できるようになる。この事により、操作者が迷うことなく操作体61を操作できるので、煩雑な入力を必要とする電子機器に好適に用いることができる。また、本発明の入力器及び入力装置を用いているので、突出させた幾つかの使用したい操作体61を操作した際に、押圧感覚またはクリック感覚が得られる電子機器を提供できる。
【0073】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
11、31、41、61 操作体
31A、61A 操作体の一群
31B、61B 操作体の他群
31a、41a、61a 第一の切欠部
61b 第二の切欠部
11h、21h、31h、41h 頭部
2、62 アクチュエータ
2P 高分子アクチュエータ
12 第一の電極層
22 第二の電極層
32 電解質層
52A、62A アクチュエータの一群
52B、62B アクチュエータの他群
14、24、34、44、64 可動部材
34A、64A 可動部材の一群
34B、64B 可動部材の他群
24c クリック部
34p、44p、64p、64r 可動部材の一部
15 操作面
16a、16b、16c モード切替部
57 制御部
19 駆動制御部
101、102、103、104 入力器
501、601 入力装置
771 電子機器
TDC 上部点
BDC 下部点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇動時に頭部が操作面の表面から突出するよう所定の上部点と下部点との間を昇降動可能な操作体と、
前記操作体を押圧して前記操作体を昇動するアクチュエータと、
前記アクチュエータを動作させ前記操作体が昇動された状態において、前記操作体の降動を阻害する位置に移動可能とされた可動部材と、を有し、
前記可動部材が、前記操作体が前記頭部を降動する方向に押圧されたときに、前記操作体を押し戻す方向の付勢力を発現する弾性部材からなることを特徴とする入力器。
【請求項2】
前記操作体は、前記操作体が前記下部点にある際に、前記可動部材の一部を収める第一の切欠部を有し、
前記第一の切欠部は、前記可動部材の一部を収めた際に前記操作体が昇動可能な形状であることを特徴とする請求項1に記載の入力器。
【請求項3】
前記操作体は、前記操作体が前記下部点にある際に、前記可動部材の一部を収める第一の切欠部を有し、
前記第一の切欠部は、前記可動部材の一部を収めた際に前記操作体の昇動を阻害する形状であることを特徴とする請求項1に記載の入力器。
【請求項4】
前記可動部材が、前記操作体の前記頭部を前記降動する方向に押圧したときに、クリック感を発生させるクリック部を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の入力器。
【請求項5】
前記アクチュエータは、対向配置された第一の電極層及び第二の電極層と、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に設けられた電解質層と、を有し、
前記第一の電極層と前記第二の電極層との間の電界に応じて変形する高分子アクチュエータであることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の入力器。
【請求項6】
前記可動部材が、前記操作体の前記頭部を前記降動する方向に押圧したときに、クリック感を発生させるクリック部を有することを特徴とする請求項1に記載の入力器。
【請求項7】
前記アクチュエータは、対向配置された第一の電極層及び第二の電極層と、前記第一の電極層と前記第二の電極層との間に設けられた電解質層と、を有し、
前記第一の電極層と前記第二の電極層との間の電界に応じて変形する高分子アクチュエータであることを特徴とする請求項1または請求項6に記載の入力器。
【請求項8】
請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の前記入力器を複数設けており、
前記各入力器の前記可動部材が一体となって前記移動するよう形成されており、
前記各入力器のそれぞれに対応する複数の前記アクチュエータの一群を動作させ、前記一群の各アクチュエータに対応する前記操作体の一群が前記上部点に昇動された状態であるとともに、前記各入力器のそれぞれに対応する複数の前記操作体の他群が前記下部点に降動された状態の際に、
前記操作体の一群に対応する前記可動部材の一群が前記操作体の一群の降動を阻害する位置に配置されるよう移動するとともに、前記操作体の他群に対応する前記可動部材の他群が前記第一の切欠部に収められるよう移動することを特徴とする入力装置。
【請求項9】
前記入力器の前記操作体は、
前記操作体が前記下部点にあって、前記可動部材が隣接する前記操作体の前記第一の切欠部から退避する際に、前記可動部材の一部を収める第二の切欠部を有していることを特徴とする請求項8に記載の入力器装置。
【請求項10】
前記各アクチュエータと前記一体となって移動する前記複数の可動部材との動きを制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記可動部材を移動させ、前記可動部材を前記操作体の前記第一の切欠部から退避させ、前記アクチュエータの一群を動作させ、前記各アクチュエータの一群に対応する前記操作体の一群を前記上部点に昇動された状態にし、
前記可動部材の一群を前記各操作体の一群の降動を阻害する位置に配置させるとともに、
前記各操作体の他群に対応する前記可動部材の他群を前記各操作体の他群の前記第一の各切欠部に収めるよう前記複数の可動部材を一体となって移動するよう制御することを特徴とする請求項8または請求項9に載の入力装置。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータに電力を加えて前記操作体を前記上部点に昇動するものであって、
前記制御部は、前記可動部材の一群を前記各操作体の一群の降動を阻害する位置に配置させた後、前記アクチュエータの一群への電力印加を停止した際、
前記可動部材の一群により前記操作体の一群が昇動された状態にされていることを特徴とする請求項10に記載の入力装置
【請求項12】
請求項8ないし請求項11のいずれか一項に記載の入力装置と、複数の前記操作体の組み合わせを決めるモード切替部と、前記モード切替部により決められた組み合わせに応じて該当する複数の前記操作体を昇動する駆動制御部と、を有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−124010(P2012−124010A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273513(P2010−273513)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】