説明

入力端末装置及び入力情報取得方法

【課題】モニタの表示画面上に表示された選択情報を、表示画面に接触することなく選択することが可能な入力端末装置及び入力情報取得方法を提供する。
【解決手段】入力端末装置10に、入力情報判定制御部、表示制御部、座標検出制御部、モニタ11及びポインティングデバイス12を備えることにより、ユーザが直接モニタの表示画面に触れることなく、画面上に表示されている選択情報を選択することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力端末装置及び入力情報取得方法に関する。特に、モニタの表示画面上に
表示された選択情報を、表示画面に接触することなく選択することが可能な入力端末装置
及び入力情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業現場等において、コンピュータ等の知識がなくともユーザが容易に情報
を入力することができるような様々な入力端末装置が提案されている。例えば、キーボー
ド、マウス等の入力機器を使用せずに、表示画面上に表示された選択情報を選択する手段
として、タッチパネル式入力端末装置が存在する。タッチパネル式入力端末装置は、表示
画面上の所定領域を、ユーザが指やペン等により接触させることにより、接触された領域
に対応付けられた情報を入力する。
【0003】
また、ナビゲーション装置等においては、ユーザが経路案内を容易に操作できるような
入力操作の提案されている。特許文献1では、画面とユーザの指先との距離を計測する距
離計測手段と、距離計測手段によって測定した距離により画像を拡大表示させる表示制御
手段を備えたナビゲーション装置が提案されている。
【特許文献1】特開平11−64026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、飲食店等において、衛生面への配慮から、食材の調理工程において、ユ
ーザの指等により、タッチパネル式入力端末装置を直接触れる操作には嫌悪感がもたれて
いるという問題点があった。
【0005】
そのため、カウンタ越しに直接、お客様から注文を受けたときに、調理をしているユー
ザがタッチパネル式入力端末装置を使用して、受け付けた注文を入力したり、注文個数を
カウントしたりする作業を実行することが困難であった。即ち、食材の調理工程を行って
いる現場において、タッチパネル式入力端末装置を導入することが難しかった。
【0006】
また、タッチパネル式入力端末装置は、ユーザの手が汚れ等を伴う作業現場においては
、表示画面をユーザが直接触ることにより、画面を汚してしまう問題点もあった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、モニタの表示画面上
に表示された選択情報を、表示画面に接触することなく選択することが可能な入力端末装
置及び入力情報取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した従来の問題点を解決すべく下記の発明を提供する。
【0009】
本発明の第1の態様にかかる入力端末装置は、所定の選択情報を表示するモニタと、光
線の発光素子と受光素子とが互いに向かい合うように内壁近傍に複数配置された、前記発
光素子から前記受光素子へ発せられた前記光線が遮られることにより物体の位置を検出す
る、前記モニタに着脱自在に装着されたポインティングデバイスと、前記モニタの表示画
面上に前記選択情報を表示させる表示制御手段と、前記ポインティングデバイスに前記物
体の位置を検出させるとともに、検出した前記物体の位置に基づいて、前記モニタの表示
画面に平行または概ね平行な面上の位置座標を検出する座標検出制御手段と、前記表示制
御手段によって表示された前記選択情報と、前記座標検出制御手段によって検出された前
記位置座標とに基づいて、有効な前記選択情報を判定し、判定した有効な前記選択情報に
基づいて、所定の情報を入力情報として取得する入力情報判定制御手段と、を備え、前記
ポインティングデバイスは、前記光線が、前記モニタの表示画面に平行または概ね平行な
面に、平行または概ね平行でかつ所定範囲内の距離だけ離れているように、前記発光素子
及び前記受光素が備えられていることを特徴とする。
【0010】
このような構成であれば、入力端末装置は、表示制御手段によって、モニタの表示画面
上に選択情報が表示される。また、座標検出制御手段によって、ポインティングデバイス
により検出された物体の位置に基づいて、モニタの表示画面に平行または概ね平行な面上
の位置座標が検出される。また、入力情報判定制御手段によって、選択情報と位置座標と
に基づいて、有効な選択情報を判定し、判定した有効な選択情報に基づいて、所定の情報
を入力情報として取得される。
【0011】
これにより、ユーザが直接モニタの表示画面に触れることなく、画面上に表示されてい
る選択情報を選択することが可能である。また、着脱自在によりモニタとポインティング
デバイスとを個々にメンテナンスすることが容易に可能である。例えば、モニタだけが壊
れた場合に、モニタだけを交換することが可能である。また、モニタとポインティングデ
バイスとを個々に清掃することも可能である。
【0012】
本発明の別の態様にかかる入力端末装置は、上述した本発明の態様にかかる入力端末装
置の前記ポインティングデバイスは、前記発光素子及び前記受光素の設置位置を、前記モ
ニタ方向へ手動または自動で移動させて、前記光線と前記モニタの表示画面との距離を前
記所定範囲内の中で調整する光線位置調整手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
このような構成であれば、ポインティングデバイスは、光線位置調整手段によって、発
光素子及び受光素の設置位置が、モニタ方向へ手動または自動で移動されて、光線とモニ
タの表示画面との距離を所定範囲内の中で調整される。
【0014】
これにより、ユーザの利用しやすい距離(光線とモニタの表示画面との距離)に、発光
素子及び受光素を配置することが可能である。例えば、厨房等で使用する場合に、飛び散
った水滴による誤った選択が発生しないように調整することも可能である。
【0015】
本発明の別の態様にかかる入力端末装置は、上述した本発明の態様にかかる入力端末装
置において、前記モニタの表示画面に平行または概ね平行な面の座標軸を、直行するX軸
及びY軸とし、X軸及びY軸の両軸に直行する直線をZ軸としたとき、前記ポインティン
グデバイスは、X軸方向へ前記光線を発するための前記発光素子及び前記受光素と、Y軸
方向へ前記光線を発するための前記発光素子及び前記受光素とを有し、前記光線位置調整
手段は、X軸方向へ前記光線を発するための前記発光素子及び前記受光素のZ軸方向の設
置位置をX軸設置位置とし、Y軸方向へ前記光線を発するための前記発光素子及び前記受
光素のZ軸方向の設置位置をY軸設置位置としたとき、X軸設置位置とY軸設置位置とを
同時または別々に移動させることを特徴とする。
【0016】
これにより、ユーザの利用しやすい距離(光線とモニタの表示画面との距離)に、発光
素子及び受光素を配置することが可能である。
【0017】
本発明の別の態様にかかる入力端末装置は、上述した本発明の態様にかかる入力端末装
置の前記表示制御手段によって表示されている複数の前記選択情報は、前記選択情報毎に
前記モニタの表示画面上の有効領域が予め対応付けられており、前記入力情報判定制御手
段は、前記選択情報に対応付けられた前記有効領域内の座標位置を、前記座標検出制御手
段によって、所定の回数だけ連続して検出した場合に、当該選択情報が有効に選択された
と判定することを特徴とする。
【0018】
これにより、ユーザが選択した情報の操作確認をすることが可能である。例えば、所定
の回数を2回としたとき、マウスのダブルクリックに相当するような操作確認をすること
が可能である。また、操作確認をした選択情報の色を反転させたり、所定の色に表示した
り、ブザーやLED等を利用したりして、ユーザに操作確認した選択情報を識別させるこ
とも可能である。
【0019】
本発明の別の態様にかかる入力端末装置は、上述した本発明の態様にかかる入力端末装
置の前記選択情報に対応付けられた前記有効領域の情報、前記選択情報が有効であると判
定するための前記所定の回数の情報、及び、連続して検出したと判定するための時間間隔
の情報を、少なくとも含む設定情報を変更する設定情報変更手段を備えていることを特徴
とする。
【0020】
本発明の別の態様にかかる入力端末装置は、上述した本発明の態様にかかる入力端末装
置において、前記モニタの表示画面上に表示された複数の前記選択情報の中に、選択処理
を有効終了するための確定選択情報、及び、無効終了するためのキャンセル選択情報が備
えられていることを特徴とする。
【0021】
これにより、選択処理における誤操作、誤入力等を防止することが可能である。
【0022】
本発明の第1の態様にかかる入力情報取得方法は、所定の選択情報を表示するモニタと
、光線の発光素子及び受光素子を複数有した前記モニタに着脱自在に装着されたポインテ
ィングデバイスとを備えた入力端末装置の入力情報取得方法であって、(a)前記モニタ
の表示画面上に前記所定の選択情報を表示させる工程と、(b)前記ポインティングデバ
イスの前記発光素子から前記受光素子へ発せられた前記光線が遮られることにより物体の
位置を検出する工程と、(c)前記工程(b)によって検出された位置に基づいて、前記
モニタの表示画面に平行または概ね平行な面上の位置座標を検出する工程と、(d)前記
工程(a)によって表示された前記選択情報と、前記工程(c)によって検出された前記
位置座標とに基づいて、有効な前記選択情報を判定する工程と、(e)前記工程(d)に
よって判定された有効な前記選択情報に基づいて、所定の情報を入力情報として取得する
工程と、を備えていることを特徴とする。
【0023】
これにより、上述した本発明の態様にかかる入力端末装置と同等の効果が得られる。
【0024】
本発明の別の態様にかかる入力情報取得方法は、上述した本発明の態様にかかる入力情
報取得方法において、前記選択情報は、前記選択情報毎に前記モニタの表示画面上の有効
領域が予め対応付けられており、前記工程(d)は、前記選択情報に対応付けられた前記
有効領域内の座標位置を、上述した本発明の態様にかかる入力情報取得方法の前記工程(
c)によって、所定の回数だけ連続して検出した場合に、当該選択情報が有効に選択され
たと判定することを特徴とする。
【0025】
これにより、上述した本発明の態様にかかる入力端末装置と同等の効果が得られる。
【0026】
本発明の別の態様にかかる入力情報取得方法は、上述した本発明の態様にかかる入力情
報取得方法において、(f)前記選択情報に対応付けられた前記有効領域の情報、前記選
択情報が有効であると判定するための前記所定の回数の情報、及び、連続して検出したと
判定するための時間間隔の情報を、少なくとも含む設定情報を変更する工程を、更に備え
ていることを特徴とする。
【0027】
これにより、上述した本発明の態様にかかる入力端末装置と同等の効果が得られる。
【0028】
本発明の別の態様にかかる入力情報取得方法は、上述した本発明の態様にかかる入力情
報取得方法において、前記モニタの表示画面上に表示された複数の前記選択情報の中に、
選択処理を有効終了するための確定選択情報、及び、無効終了するためのキャンセル選択
情報が備えられていることを特徴とする。
【0029】
これにより、上述した本発明の態様にかかる入力端末装置と同等の効果が得られる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ユーザが直接モニタの表示画面に触れることなく、画面上に表示され
ている選択情報を選択することが可能である。また、着脱自在によりモニタとポインティ
ングデバイスとを個々にメンテナンスすることが容易に可能である。また、選択処理にお
ける誤操作、誤入力等を防止することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
この発明の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施態
様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者で
あればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なもので置換した実施態様を採用する
ことが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
【0032】
図1は、本発明を適用可能な入力端末装置の斜視図の一例である。図1に示すように、
入力端末装置10のポインティングデバイス12は、ガイド部13により、モニタ11に
着脱自在に装着されている。また、モニタ11の表示画面14に平行または概ね平行な面
の座標軸をX軸とY軸とする。ここで、X軸とY軸とは直行する軸とする。また、X軸及
びY軸に直行する軸をZ軸とする。
【0033】
ポインティングデバイス12は、赤外線発光素子15と赤外線受光素子16とが互いに
向かい合うように内壁近傍に配置されている。ここでは、赤外線発光素子15から赤外線
受光素子16へ発せられた赤外線の方向が、X軸方向とY軸方向となるように、さらに、
ユーザの指、ペン等が、赤外線を遮ったときに、遮った物体の位置(X軸及びY軸の位置
)を判定できるような、配置間隔に複数の赤外線発光素子15と赤外線受光素子16が配
置されている。即ち、物体により、X軸方向及びY軸方向の赤外線が少なくとも1本づつ
遮られるような配置間隔に複数の赤外線発光素子15と赤外線受光素子16が配置されて
いる。
【0034】
また、赤外線発光素子15及び赤外線受光素子16のZ軸方向の配置位置は、X軸素子
調整ノブ17及びY軸素子調整ノブ18により、高さ調整有効範囲内を、Z軸方向に移動
させることにより調整する。ここで、X軸素子調整ノブ17を手動にて回転させることに
より、X軸方向の赤外線を発生させるための赤外線発光素子15及び赤外線受光素子16
のZ軸方向の配置位置の移動が行われる。また、Y軸素子調整ノブ18を手動にて回転さ
せることにより、Y軸方向の赤外線を発生させるための赤外線発光素子15及び赤外線受
光素子16のZ軸方向の配置位置の移動が行われる。これにより、指やペンを入れる際に
適切な深さに調整することができる。
【0035】
X軸方向の赤外線とY軸方向の赤外線とを交差するように、X軸素子調整ノブ17及び
Y軸素子調整ノブ18を設定してもよい。指やペンを入れたとき、X軸方向及びY軸方向
の赤外線の遮断がほぼ同時に起きるので、即座に検出でき素早い処理が可能となる。
【0036】
X軸方向の赤外線とY軸方向の赤外線とが、互い違いになるように、X軸素子調整ノブ
17及びY軸素子調整ノブ18を設定してもよい。指やペンを入れたとき、まず上位にあ
る軸方向の赤外線の遮断が検出されつつ、次に下位にある軸方向の赤外線の遮断が検出さ
れる。このような配置を適切に調整することにより、厨房などで水滴などの液体の飛沫が
入っても、いずれかの軸方向の赤外線のみ遮断され、同時に遮断状態となることはない。
一方のみ遮断が検出された場合を無効にすれば、飛沫による誤検出を防止することができ
る。
【0037】
図2は、本発明を適用可能な入力端末装置10の概略構成図の一例である。図2に示す
ように、入力端末装置10は、CPU21、ROM22、RAM23、通信インタフェー
ス24、入力情報判定制御部25、表示制御部26、座標検出制御部27、モニタ11及
びポインティングデバイス12を備えている。
【0038】
表示制御部26は、モニタ11の表示画面14に選択情報を表示させる。また、座標検
出制御部27は、ポインティングデバイス12に、赤外線を遮った物体の位置を検出させ
るとともに、検出した物体の位置に基づいたモニタ11の表示画面14に平行または概ね
平行な面上の位置座標を検出する。
【0039】
入力情報判定制御部25は、表示制御部26によって表示された選択情報と、座標検出
制御部27によって検出された位置座標とに基づいて、ユーザの指やペン等によって選択
された有効な選択情報を判定し、判定した有効な選択情報に基づいて、所定の情報を入力
情報として取得する。
【0040】
通信インタフェース24は、サーバ30との通信を、ネットワーク(例えば、無線ネッ
トワーク)35を介して実行する。CPU21は、通信インタフェース24を介して受信
した制御処理プログラム、制御処理情報等の各種処理制御情報に基づいて、入力情報判定
制御部25、表示制御部26及び座標検出制御部27に、所要の情報を転送する。
【0041】
また、座標検出制御部27によって検出した位置座標及び表示制御部26によって表示
されている選択情報の有効領域の情報を入力情報判定制御部25に転送する。また、入力
情報判定制御部25によって取得した入力情報を、通信インタフェース24を介してサー
バ30へ送信する。
【0042】
また、ROM22は、入力端末装置10の各種機能を実現するためのソフトウェア(フ
ァームウェアを含む)およびデータを記憶しており、CPU21がこれを読み出し、実行
することにより、各種機能を実現する。また、RAM23は、入力端末装置10の各種機
能を実現するときに必要なデータの一時記憶装置として機能する。
【0043】
尚、CPU21、ROM22、RAM23及び通信インタフェース24は、情報を転送
するための信号線であるバスにより相互にかつ情報授受可能に接続されている。また、C
PU21、情報判定制御部25、表示制御部26及び座標検出制御部27は、情報を転送
するための信号線であるバスにより相互にかつ情報授受可能に接続されている。
【0044】
次に、モニタ11の表示画面14上に表示されている選択情報を選択して入力情報とし
て取得する入力情報取得処理について説明する。図3は、入力端末装置10のROM22
に予め格納されている制御プログラムにより実行される、入力情報取得処理の手順を示す
フローチャート図の一例である。
【0045】
まず、モニタ11の表示画面14上に初期情報となる選択情報を表示する(S102)
。次に、表示された選択情報が、ユーザの指やペン等によりポインティングデバイス12
の赤外線を遮ることにより、所望の選択情報が有効に選択されたか否かを判定する(S1
04)。
【0046】
所望の選択情報が有効に選択された場合(S104;Yes)は、選択された選択情報
を判定する(S106)。ここで、選択された選択情報は、(a)一連の選択処理を有効
終了するための確定選択情報、(b)一連の有効選択処理を無効終了するためのキャンセ
ル選択情報、(c)入力情報、(d)次頁選択、前頁選択等のその他の選択情報の4つに
、例えば分類する。
【0047】
選択された選択情報が、確定選択情報であった場合(S106;「確定」)は、一連の
選択処理が有効終了したことをユーザに認識させるために、表示画面14上に所定の情報
を表示したり、ブザーやLED等を利用したりする処理を実行する(S108)。次に、
一連の有効選択処理によって選択された入力情報をサーバ30に送信し(S110)、ス
テップS102に戻る。
【0048】
選択された選択情報が、キャンセル選択情報であった場合(S106;「キャンセル」
)は、一連の選択処理によって選択された入力情報を無効にする処理を実行し(S112
)、ステップS102に戻る。
【0049】
選択された選択情報が、入力情報であった場合(S106;「入力情報」)は、選択さ
れた選択情報を入力情報として所定の記憶部に記憶し(S114)、選択された選択情報
の色を反転させたり、所定の色に表示したり、ブザーやLED等を利用したりして、ユー
ザに選択した情報を識別させるための処理を実行し(S116)、ステップS104に戻
り、次の有効選択を待つ。
【0050】
選択された選択情報が、その他の選択情報であった場合(S106;「その他」)は、
選択された選択情報に基づいた処理を実行し(S118)、ステップS104に戻り、次
の有効選択を待つ。例えば、次頁選択の選択情報である場合は、次頁の選択情報を表示画
面14上に表示したり、1回前の有効選択処理を無効にする選択情報である場合は、1回
前の有効選択処理によって選択された選択情報を入力情報として無効したりする。
【0051】
最後に、所望の選択情報が有効に選択されなかった場合(S104;No)は、有効な
選択があるまで、ステップS104を繰り返す。
【0052】
次に、図3のステップS104における、有効選択の判定処理について説明する。図4
は、図3におけるステップS104の有効選択の判定処理の手順を示すフローチャート図
の一例である。ここでは、有効選択回数を2回に予め設定した場合を示す。
【0053】
まず、ポインティングデバイス12の赤外線の遮断があったか否かを判定する(S20
2)。赤外線の遮断があった場合(S202;Yes)は、遮断した赤外線を発光する赤
外線発光素子15、または、赤外線を受光する赤外線受光素子16の、X軸方向およびY
軸方向の位置を検出する(S204)。
【0054】
次に、検出した赤外線発光素子15または赤外線受光素子16のX軸方向およびY軸方
向の位置に基づいて、モニタ11の表示画面14に平行または概ね平行な面上の位置座標
(以下、1回目検出位置座標と呼ぶ)を検出する(S206)。赤外線の遮断がない場合
(S202;No)は、赤外線の遮断が発生するまで、ステップS202で待機する。
【0055】
次に、X軸方向およびY軸方向の全ての赤外線が透過状態であるか否かを判定する(S
208)。全ての赤外線が透過状態である場合(S208;Yes)は、次にステップS
210に移行し、全ての赤外線が透過状態でない場合(S208;No)は、全ての赤外
線が透過状態になるまで、ステップS208で待機する。
【0056】
次に、ステップS202の赤外線の遮断発生からの経過時間が所定の時間(以下、有効
選択時間間隔と呼ぶ)以内であるか否かを判定する(S210)。ステップS202の赤
外線の遮断発生からの経過時間が所定の時間以内である場合(S210;Yes)は、次
にステップS212に移行し、ステップS202の赤外線の遮断発生からの経過時間が所
定の時間を過ぎた場合(S210;No)は、ステップS222に移行する。
【0057】
次に、ポインティングデバイス12の赤外線の遮断があったか否かを判定する(S21
2)。赤外線の遮断があった場合(S212;Yes)は、遮断した赤外線を発光する赤
外線発光素子15、または、赤外線を受光する赤外線受光素子16の、X軸方向およびY
軸方向の位置を検出する(S214)。
【0058】
次に、検出した赤外線発光素子15または赤外線受光素子16のX軸方向およびY軸方
向の位置に基づいて、モニタ11の表示画面14に平行または概ね平行な面上の位置座標
(以下、2回目検出位置座標と呼ぶ)を検出する(S216)。赤外線の遮断がない場合
(S212;No)は、赤外線の遮断が発生するまで、ステップS212で待機する。
【0059】
次に、1回目検出位置座標と2回目検出位置座標がともに、同一の所定の選択情報の有
効領域内の位置座標である否かを判定する(S218)。ここで、有効領域は、選択情報
毎に予め設定しておく。1回目検出位置座標と2回目検出位置座標がともに、同一の所定
の選択情報の有効領域内の位置座標である場合(S218;Yes)は、所定の選択情報
が有効選択された情報であると判定し(S220)、1回目検出位置座標と2回目検出位
置座標がともに、同一の所定の選択情報の有効領域内の位置座標でない場合(S218;
No)は、所定の選択情報が無効選択された情報であると判定し(S222)、図3のス
テップ104を終了する。誤って、指やペンを検出可能エリアに入れてしまった場合、無
効とすることができる。また同一箇所に2回指やペンを入れることにより、マウスにおけ
る選択確定する機能、いわゆるダブルクリックの機能とすることもできる。
【0060】
図5は、選択情報が表示されているモニタ11の表示画面14の一例である。ここでは
、鮨ネタと数量を選択し入力情報とする。例えば、イクラを2貫選択する場合、イクラの
有効領域41内に、1回目検出位置座標と2回目検出位置座標が検出されるように、ユー
ザの指やペン等によりポインティングデバイス12の赤外線を遮り、次に、2貫の有効領
域42内に、1回目検出位置座標と2回目検出位置座標が検出されるように、ユーザの指
やペン等によりポインティングデバイス12の赤外線を遮り、次に、確定の有効領域43
内に、1回目検出位置座標と2回目検出位置座標が検出されるように、ユーザの指やペン
等によりポインティングデバイス12の赤外線を遮る操作により、イクラの情報と2貫の
情報を入力情報として、入力端末装置10は取得する。
【0061】
上述したように、入力端末装置10に、CPU21、ROM22、RAM23、通信イ
ンタフェース24、入力情報判定制御部25、表示制御部26、座標検出制御部27、モ
ニタ11及びポインティングデバイス12を備えることにより、ユーザが直接モニタの表
示画面に触れることなく、画面上に表示されている選択情報を選択することが可能である
。また、着脱自在によりモニタとポインティングデバイスとを個々にメンテナンスするこ
とが容易に可能である。また、選択処理における誤操作、誤入力等を防止することが可能
である。
【0062】
また、上述した入力端末装置10では、X軸素子調整ノブ17及びY軸素子調整ノブ1
8により、赤外線発光素子15及び赤外線受光素子16のZ軸方向の配置位置を、手動で
調整するようにしているが、不図示のモータ等を備えて自動で調整できるようにすること
も可能である。ステップモータの場合は所定ステップ数を、DCモータの場合はエンコー
ダを備えて所定パルス数を駆動することにより、所定位置まで移動することができる。モ
ニタ11にモータ制御部が接続され、モニタ11上から制御可能に構成してもよい。
【0063】
また、上述した入力端末装置10では、選択情報の有効領域、有効選択回数及び有効選
択時間間隔の情報が予め設定されているようにしているが、各種設定情報を変更する設定
情報変更部を備えることとも可能である。
【0064】
また、上述した図3及び図4のフローチャートに示す処理を実行する場合に、入力端末
装置10のROM22に予め格納されている制御プログラムを実行する場合について説明
したが、これらの各工程を実行させるプログラムを記録した情報記録媒体から、そのプロ
グラムをRAM23に読み込んで実行するようにしても良い。
【0065】
ここで、情報記録媒体とは、RAM、ROM等の半導体記録媒体、FD、HD等の磁気
記憶型記録媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記録媒体、MO等の磁
気記憶型/光学的読取方式記録媒体であって、電子的、磁気的、光学等の読み取り方法の
いかんにかかわらず、コンピュータによって読み取り可能な情報記録媒体であれば、あら
ゆる情報記録媒体を含むものである。また、プログラムを、ネットワークを経由してダウ
ンロードして実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明を適用可能な入力端末装置の斜視図の一例である。
【図2】本発明を適用可能な入力端末装置10の概略構成図の一例である。
【図3】入力端末装置10のROM22に予め格納されている制御プログラムにより実行される、入力情報取得処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【図4】図3におけるステップS104の有効選択の判定処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【図5】選択情報が表示されているモニタ11の表示画面14の一例である。
【符号の説明】
【0067】
10 入力端末装置
11 モニタ
12 ポインティングデバイス
13 ガイド部
14 表示画面
15 赤外線発光素子
16 赤外線受光素子
17 X軸素子調整ノブ
18 Y軸素子調整ノブ
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 通信インタフェース
25 入力情報判定制御部
26 表示制御部
27 座標検出制御部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の選択情報を表示するモニタと、
光線の発光素子と受光素子とが互いに向かい合うように内壁近傍に複数配置された、前
記発光素子から前記受光素子へ発せられた前記光線が遮られることにより物体の位置を検
出する、前記モニタに着脱自在に装着されたポインティングデバイスと、
前記モニタの表示画面上に前記選択情報を表示させる表示制御手段と、
前記ポインティングデバイスに前記物体の位置を検出させるとともに、検出した前記物
体の位置に基づいて、前記モニタの表示画面に平行または概ね平行な面上の位置座標を検
出する座標検出制御手段と、
前記表示制御手段によって表示された前記選択情報と、前記座標検出制御手段によって
検出された前記位置座標とに基づいて、有効な前記選択情報を判定し、判定した有効な前
記選択情報に基づいて、所定の情報を入力情報として取得する入力情報判定制御手段と、
を備え、
前記ポインティングデバイスは、
前記光線が、前記モニタの表示画面に平行または概ね平行な面に、平行または概ね平行
でかつ所定範囲内の距離だけ離れているように、前記発光素子及び前記受光素が備えられ
ていることを特徴とする入力端末装置。
【請求項2】
前記ポインティングデバイスは、
前記発光素子及び前記受光素の設置位置を、前記モニタ方向へ手動または自動で移動さ
せて、前記光線と前記モニタの表示画面との距離を前記所定範囲内の中で調整する光線位
置調整手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の入力端末装置。
【請求項3】
前記モニタの表示画面に平行または概ね平行な面の座標軸を、直行するX軸及びY軸と
し、X軸及びY軸の両軸に直行する直線をZ軸としたとき、
前記ポインティングデバイスは、X軸方向へ前記光線を発するための前記発光素子及び
前記受光素と、Y軸方向へ前記光線を発するための前記発光素子及び前記受光素とを有し

前記光線位置調整手段は、
X軸方向へ前記光線を発するための前記発光素子及び前記受光素のZ軸方向の設置位置を
X軸設置位置とし、
Y軸方向へ前記光線を発するための前記発光素子及び前記受光素のZ軸方向の設置位置
をY軸設置位置としたとき、
X軸設置位置とY軸設置位置とを同時または別々に移動させることを特徴とする請求項
2に記載の入力端末装置。
【請求項4】
前記表示制御手段によって表示されている複数の前記選択情報は、前記選択情報毎に前
記モニタの表示画面上の有効領域が予め対応付けられており、
前記入力情報判定制御手段は、前記選択情報に対応付けられた前記有効領域内の座標位
置を、前記座標検出制御手段によって、所定の回数だけ連続して検出した場合に、当該選
択情報が有効に選択されたと判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に
記載の入力端末装置。
【請求項5】
前記選択情報に対応付けられた前記有効領域の情報、前記選択情報が有効であると判定
するための前記所定の回数の情報、及び、連続して検出したと判定するための時間間隔の
情報を、少なくとも含む設定情報を変更する設定情報変更手段を備えていることを特徴と
する請求項4に記載の入力端末装置。
【請求項6】
前記モニタの表示画面上に表示された複数の前記選択情報の中に、選択処理を有効終了
するための確定選択情報、及び、無効終了するためのキャンセル選択情報が備えられてい
ることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の入力端末装置。
【請求項7】
所定の選択情報を表示するモニタと、光線の発光素子及び受光素子を複数有した前記モ
ニタに着脱自在に装着されたポインティングデバイスとを備えた入力端末装置の入力情報
取得方法であって、
(a)前記モニタの表示画面上に前記所定の選択情報を表示させる工程と、
(b)前記ポインティングデバイスの前記発光素子から前記受光素子へ発せられた前記
光線が遮られることにより物体の位置を検出する工程と、
(c)前記工程(b)によって検出された位置に基づいて、前記モニタの表示画面に平
行または概ね平行な面上の位置座標を検出する工程と、
(d)前記工程(a)によって表示された前記選択情報と、前記工程(c)によって検
出された前記位置座標とに基づいて、有効な前記選択情報を判定する工程と、
(e)前記工程(d)によって判定された有効な前記選択情報に基づいて、所定の情報
を入力情報として取得する工程と、
を備えていることを特徴とする入力情報取得方法。
【請求項8】
前記選択情報は、前記選択情報毎に前記モニタの表示画面上の有効領域が予め対応付け
られており、
前記工程(d)は、前記選択情報に対応付けられた前記有効領域内の座標位置を、前記
工程(c)によって、所定の回数だけ連続して検出した場合に、当該選択情報が有効に選
択されたと判定することを特徴とする請求項7に記載の入力情報取得方法。
【請求項9】
(f)前記選択情報に対応付けられた前記有効領域の情報、前記選択情報が有効である
と判定するための前記所定の回数の情報、及び、連続して検出したと判定するための時間
間隔の情報を、少なくとも含む設定情報を変更する工程を、更に備えていることを特徴と
する請求項7または8に記載の入力情報取得方法。
【請求項10】
前記モニタの表示画面上に表示された複数の前記選択情報の中に、選択処理を有効終了
するための確定選択情報、及び、無効終了するためのキャンセル選択情報が備えられてい
ることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の入力情報取得方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−40786(P2008−40786A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214190(P2006−214190)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】