説明

入力表示システム

【課題】大型の曲面ディスプレイと光学式タッチパネルとを備えた入力表示システムを実現する。
【解決手段】入力表示システム10は、曲面ディスプレイ12と、赤外線ビーム22を出射する発光素子と、発光側光導波路13と、受光側光導波路14と、光電変換素子を備える。表示画面11は1本の線分15が軸方向16一定の状態で、軸方向に直交する方向に移動した軌跡からなる曲面17である。表示画面11は、一対の曲線状の辺18、19と、一対の直線状の辺20、21を有する。発光側光導波路13は、表示画面11の一方の曲線状の辺18に沿って配置され、表示画面11の直線状の辺20、21に平行な赤外線ビーム22を出射する。受光側光導波路14は、表示画面11の他方の曲線状の辺19に沿って配置され、発光側光導波路13から出射された赤外線ビーム22を受光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入力表示システムに関する。本発明の入力表示システムは、大型の曲面ディスプレイと、大型の曲面ディスプレイに適したタッチパネルを含む。
【背景技術】
【0002】
曲面ディスプレイと、その曲面ディスプレイの表面に配置されたタッチパネルとを備えた電子機器は既に知られている(特許文献1:特開2002−6293)。特許文献1の電子機器は携帯電話のサイズを想定したものである。曲面状のタッチパネルも知られている(特許文献2:特開平11−184631)。特許文献2のタッチパネルは抵抗膜式タッチパネルである。
【0003】
可撓性のある基板(例えばプラスチック基板)を用いた液晶ディスプレイによっても、曲面ディスプレイが実現される。可撓性のある基板(例えばプラスチック基板)を用いた有機ELディスプレイによっても、曲面ディスプレイが実現される。可撓性のある基板(例えばプラスチック基板)を用いたマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ(いわゆる電子ペーパー)によっても、曲面ディスプレイが実現される。
【0004】
大型の曲面ディスプレイとしてプラズマチューブアレイが知られている(特許文献3:特開2009−282066)。プラズマチューブアレイにおいては、直線状の細長いガラス管からなるプラズマチューブが、「すだれ」のように平行に並んで結合されている。プラズマチューブアレイは、プラズマチューブの軸方向に曲げることはできないが、プラズマチューブの軸と直交する方向には曲げることができる。このためプラズマチューブアレイは、プラズマチューブの軸と直交する方向に湾曲させ、曲面ディスプレイとしても使用される。
【0005】
プラズマチューブアレイにおいては、例えば1m×1mの表示ユニットを複数結合して、大きいものでは、3m×4mの曲面ディスプレイが実現される。このような巨大な曲面ディスプレイに、抵抗膜式あるいは静電容量式のタッチパネルを搭載すると、タッチ位置の精度を確保することが難しい。その上、コストや生産性の問題も生じる。そのため、大型(例えば対角1m)の曲面ディスプレイに、抵抗膜式あるいは静電容量式のタッチパネルを搭載することは、実用的でない。
【0006】
上記の理由により、大型の曲面ディスプレイに適したタッチパネルは実用化されていない。そのため大型の曲面ディスプレイを含む入力表示システムも実用化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−6293号公報
【特許文献2】特開平11−184631号公報
【特許文献3】特開2009−282066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、大型(例えば対角1m以上)の曲面ディスプレイに適した光学式タッチパネルを実現し、大型の曲面ディスプレイと、それに適した光学式タッチパネルとを備えた入力表示システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の入力表示システムは、曲面ディスプレイと、発光素子と、発光側光導波路と、受光側光導波路と、光電変換素子を備える。
発光素子は赤外線ビームを出射する。
曲面ディスプレイの表示画面は、1本の線分が軸方向一定の状態で、前記軸方向に直交する方向に移動した軌跡からなる曲面である。
曲面ディスプレイの表示画面は、相対する一対の曲線状の辺と、相対する一対の直線状の辺を有する。
発光側光導波路は、表示画面の一方の曲線状の辺に沿って配置される。
発光側光導波路は、表示画面の直線状の辺に平行な赤外線ビームを出射する。
受光側光導波路は、表示画面の他方の曲線状の辺に沿って配置され、発光側光導波路から出射された赤外線ビームを受光する。
光電変換素子は、受光側光導波路から出射された赤外線ビームを受光し、電気信号に変換する。
(2)本発明の入力表示システムに用いられる発光側光導波路は、発光側クラッドと、発光側クラッドに埋設された発光側コアを有する。発光側コアの出射側端部は発光側クラッドの一辺に沿って配置される。発光側コアの出射側端部は凸レンズである。
(3)本発明の入力表示システムにおいて、発光側光導波路の発光側コアの入射側端部は1個である。発光側コアは入射側端部から出射側端部に向かう途中で分岐する。そのため発光側コアの出射側端部は複数個である。
(4)本発明の入力表示システムに用いられる受光側光導波路は、受光側クラッドと、受光側クラッドに埋設された受光側コアを有する。受光側コアの入射側端部は受光側クラッドの一辺に沿って配置される。受光側コアの入射側端部は凸レンズである。
(5)本発明の入力表示システムにおいて、軸方向一定の状態で移動する1本の線分の軸方向は、鉛直方向である。発光側光導波路は表示画面の曲線状の下辺に沿って配置される。受光側光導波路は表示画面の曲線状の上辺に沿って配置される。
(6)本発明の入力表示システムにおいて、表示画面上の複数のタッチ位置は、赤外線ビームと直交する方向に、互いに5mm以上ずらして表示される。
(7)本発明の入力表示システムにおいて、表示画面の形状は、円筒の側面の外面の一部または全部である。あるいは、表示画面の形状は、円筒の側面の内面の一部または全部である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、大型(例えば対角1m以上)の曲面ディスプレイに適した光学式タッチパネルが実現される。さらに本発明により、大型の曲面ディスプレイと、大型の曲面ディスプレイに適した光学式タッチパネルを備えた入力表示システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)本発明の入力表示システムの第1例の斜視図、(b)本発明の入力表示システムの第1例の表示画面の形成図、(c)本発明の入力表示システムの第1例の表示画面の斜視図
【図2】本発明の入力表示システムにおいて、ずらしたタッチ位置の説明図
【図3】(a)本発明の入力表示システムの第2例の斜視図、(b)本発明の入力表示システムの第2例の表示画面の形成図、(c)本発明の入力表示システムの第2例の表示画面の斜視図
【図4】(a)本発明の入力表示システムの第3例の斜視図、(b)本発明の入力表示システムの第3例の表示画面の形成図、(c)本発明の入力表示システムの第3例の表示画面の斜視図
【図5】本発明に用いられる発光側光導波路の平面図
【図6】本発明に用いられる受光側光導波路の平面図
【図7】本発明の入力表示システムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の入力表示システム]
[第1例]
本発明の入力表示システム10の第1例は、図1(a)に示すように、曲面ディスプレイ12と、発光側光導波路13と、受光側光導波路14を備える。曲面ディスプレイ12の表示画面11の形状は、円筒の側面の外面の一部である。換言すると、表示画面11は、図1(b)に示すように、1本の線分15が軸方向16一定の状態で(図1(b)の場合は鉛直方向で)、円筒の外面に沿って、軸方向16に直交する方向に移動した軌跡からなる曲面17である。
【0013】
図1(a)の曲面ディスプレイ12の表示画面11は、図1(c)に示すように、相対する一対の曲線状の辺(下辺18、上辺19)と、相対する一対の直線状の辺(左辺20、右辺21)を有する。図1(c)の場合、相対する一対の曲線状の辺(下辺18、上辺19)は、円筒の下辺と上辺に相当する。相対する一対の直線状の辺(左辺20、右辺21)は、円筒を縦に分割した場合の左辺と右辺に相当する。
【0014】
表示画面11は、任意の静止画あるいは動画の画像や文字を表示することができる。本発明の入力表示システム10が、例えば大型の曲面電子看板(デジタルサイネージ)として用いられるとき、表示画面11には、商品の画像や文字、およびタッチ位置が表示される。表示画面11のタッチ位置に触れることにより、商品のより詳しい説明や動画が表示される。
【0015】
本発明の入力表示システム10が、例えば大型の曲面電子観光案内看板として用いられるとき、表示画面11には、地図や風景写真(静止画あるいは動画)や文字、およびタッチ位置が表示される。表示画面11のタッチ位置に触れることにより、観光地のより詳しい地図や説明や動画が表示される。
【0016】
図1(a)に示すように、発光側光導波路13は、図1(c)に示す表示画面11の下辺18に沿って配置される。発光側光導波路13は、図1(c)に示す表示画面11の左辺20および右辺21と平行な赤外線ビーム22を出射する。
【0017】
図1(a)に示すように、受光側光導波路14は、図1(c)に示す表示画面11の上辺19に沿って配置される。受光側光導波路14は、発光側光導波路13から出射された赤外線ビーム22を受光する。
【0018】
図1(a)に示す本発明の入力表示システム10において、赤外線ビーム22の進行方向は表示画面11と平行なので、赤外線ビーム22が表示画面11により遮断されることはない。
【0019】
図1(a)に示す本発明の入力表示システム10において、赤外線ビーム22は長距離を減衰せず直線状に進むため、曲面ディスプレイ12の高さが例えば3mと長大でも、タッチ入力の精度、感度に問題は生じない。
【0020】
図1(a)に示す本発明の入力表示システム10においては、発光側光導波路13と受光側光導波路14が組み合わされて、光学式タッチパネルが形成される。
【0021】
図1(a)に示す本発明の入力表示システム10においては、受光側光導波路14が曲面ディスプレイ12の表示画面11の上辺19(図1(c))に沿って配置されているため、太陽光や照明が受光側光導波路14に侵入しにくい。そのため、本発明の入力表示システム10においては、太陽光や照明による誤動作が発生しにくい。
【0022】
図1(a)に示す本発明の入力表示システム10においては、鉛直方向に走る赤外線ビーム22を、指やペンなどの入力手段(以下、「指」と総称)で遮ることにより、表示画面11上の指の横方向(赤外線ビーム22に直交する方向)の座標を検知することができる。横方向(赤外線ビーム22に直交する方向)の座標は、湾曲した表示画面11の上辺19あるいは下辺18に沿って測定される。
【0023】
従来の、XY座標を検知する光学式タッチパネルにおいては、タッチ位置がY方向に重なっていても(すなわちX座標が同一でも)、Y座標が異なれば別のタッチ位置と検知される。そのため、タッチ位置がY方向に重ならないように配慮する必要はない。
【0024】
しかし、図1(a)に示す本発明の入力表示システム10においては、指の縦方向(赤外線ビーム22の進行方向)の座標を検知することはできない。本発明の入力表示システム10のこの弱点は、表示画面11上で、複数のタッチ位置が縦方向(赤外線ビーム22の進行方向)に重ならないように配置することにより、克服することができる。
【0025】
具体的に説明すると、図2に示すように、タッチ位置Aがタッチ位置Bと縦方向(赤外線ビーム22の進行方向)に重なっている場合、タッチ位置Aとタッチ位置Bは区別できない。このような場合、タッチ位置Bを横方向(赤外線ビーム22と直交する方向)にずらして、タッチ位置Cに配置することにより、タッチ位置Aとタッチ位置Cが区別できるようになる。タッチ位置Bとタッチ位置Cのずれ量は、ペンの太さ程度(約5mm)以上あればよい。
【0026】
大型ディスプレイの場合、図2に示すように、タッチ位置が、横方向(赤外線ビーム22と直交する方向)に5mm程度ずらして配置されても、表示画面11の大きさ(1m以上)に比べてずれ量が小さいため、タッチ位置のずれはほとんど視認できない。従って、本発明の入力表示システム10において、指の縦方向(赤外線ビーム22の進行方向)の座標を検知することができない弱点は、実用上、問題にならない。
【0027】
[第2例]
本発明の入力表示システム30の第2例は、図3(a)に示すように、曲面ディスプレイ32と、発光側光導波路33と、受光側光導波路34を備える。曲面ディスプレイ32の表示画面31の形状は、円筒の側面の内面の一部である。換言すると、表示画面31は、図3(b)に示すように、1本の線分35が軸方向36一定の状態で(図3(b)の場合は鉛直方向で)、円筒の内面に沿って、軸方向36と直交する方向に移動した軌跡からなる曲面37である。
【0028】
図3(a)の曲面ディスプレイ32の表示画面31は、図3(c)に示す、相対する一対の曲線状の辺(下辺38、上辺39)と、相対する一対の直線状の辺(左辺40、右辺41)を有する。図3(c)の場合、相対する一対の曲線状の辺(下辺38、上辺39)は、円筒の下辺と上辺に相当する。相対する一対の直線状の辺(左辺40、右辺41)は、円筒を縦に分割した場合の左辺と右辺に相当する。
【0029】
図3(a)に示すように、発光側光導波路33は、図3(c)に示す表示画面31の下辺38に沿って配置される。発光側光導波路33は、図3(c)に示す表示画面31の左辺40および右辺41と平行な赤外線ビーム42を出射する。
【0030】
図3(a)に示すように、受光側光導波路34は、図3(c)に示す表示画面31の上辺39に沿って配置される。受光側光導波路34は、発光側光導波路33から出射された赤外線ビーム42を受光する。
【0031】
図3(a)に示す本発明の入力表示システム30において、赤外線ビーム42は表示画面31と平行なので、赤外線ビーム42が表示画面31により遮断されることはない。
【0032】
図3(a)に示す本発明の入力表示システム30において、赤外線ビーム42は長距離を減衰せず直線状に進むため、曲面ディスプレイ32の高さが例えば3mと長大でも、タッチ入力の精度、感度に問題が生じることはない。
【0033】
図3(a)に示す本発明の入力表示システム30においては、発光側光導波路33と受光側光導波路34が組み合わされて、光学式タッチパネルが形成される。
【0034】
図3(a)に示す本発明の入力表示システム30においては、受光側光導波路34が曲面ディスプレイ32の表示画面31の上辺39(図3(c))に沿って配置されているため、太陽光や照明が受光側光導波路34に侵入しにくい。そのため、図3(a)に示す本発明の入力表示システム30においては、太陽光や照明による誤動作が発生しにくい。
【0035】
図3(a)に示す本発明の入力表示システム30においては、鉛直方向に走る赤外線ビーム42を指で遮ることにより、表示画面31上における指の横方向(赤外線ビーム42と直交する方向)の座標を検知することができる。横方向(赤外線ビーム42と直交する方向)の座標は、図3(c)に示す湾曲した表示画面31の上辺39あるいは下辺38に沿って測定される。
【0036】
図3(a)に示す本発明の入力表示システム30においては、指の縦方向(赤外線ビーム42の進行方向)の座標を検知することはできない。しかし、本発明の入力表示システム30のこの弱点は、表示画面31上で、複数のタッチ位置を、横方向(赤外線ビーム42と直交する方向)に互いに5mm程度ずらして配置することにより、避けることができる。従って、本発明の入力表示システム30において、指の縦方向(赤外線ビーム42の進行方向)の座標を検知することができない弱点は、実用上、問題にならない。
【0037】
[第3例]
本発明の入力表示システム50の第3例は、図4(a)に示すように、曲面ディスプレイ52と、発光側光導波路53と、受光側光導波路54を備える。曲面ディスプレイ52は、椅子形(椅子の背もたれから座面に至る形状)の内面の形状の表示画面51をもつ。表示画面51は、図4(b)に示すように、1本の線分55が軸方向56一定の状態で(図4(b)の場合は水平方向で)、椅子形の内面に沿って、軸方向56に直交する方向に移動した軌跡からなる曲面57である。
【0038】
図4(a)に示す曲面ディスプレイ52の表示画面51は、図4(c)に示すように、相対する一対の曲線状の辺(左辺58、右辺59)と、相対する一対の直線状の辺(上辺60、下辺61)を有する。図4(c)の場合、相対する一対の曲線状の辺(左辺58、右辺59)は、椅子形の左辺と右辺に相当する。相対する一対の直線状の辺(上辺60、下辺61)は、椅子形の上辺と下辺に相当する。
【0039】
発光側光導波路53は、図4(a)に示すように、表示画面51の左辺58(図4(c))に沿って配置される。発光側光導波路53は、図4(c)に示す表示画面51の上辺60および下辺61と平行な赤外線ビーム62を出射する。
【0040】
受光側光導波路54は、図4(a)に示すように、表示画面51の右辺59(図4(c))に沿って配置される。受光側光導波路54は、発光側光導波路53から出射された赤外線ビーム62を受光する。
【0041】
図4(a)に示す本発明の入力表示システム50において、赤外線ビーム62の進行方向は表示画面51と平行なので、赤外線ビーム62が表示画面51により遮断されることはない。
【0042】
図4(a)に示す本発明の入力表示システム50においては、赤外線ビーム62が長距離を減衰せず直線状に進むため、曲面ディスプレイ52の幅が例えば3mと長大でも、タッチ入力の精度、感度に問題が生じることはない。
【0043】
図4(a)に示す本発明の入力表示システム50においては、発光側光導波路53と受光側光導波路54が組み合わされて、光学式タッチパネルが形成される。
【0044】
図4(a)に示す本発明の入力表示システム50においては、水平方向に走る赤外線ビーム62を指で遮ることにより、表示画面51上における指の縦方向(赤外線ビーム62と直交する方向)の座標を検知することができる。縦方向(赤外線ビーム62と直交する方向)の座標は、湾曲した表示画面51の左辺58あるいは右辺59に沿って測定される。
【0045】
図4(a)に示す本発明の入力表示システム50においては、指の横方向(赤外線ビーム62の進行方向)の座標を検知することはできない。しかし、本発明の入力表示システム50のこの弱点は、表示画面51上で、複数のタッチ位置を、縦方向(赤外線ビーム62と直交する方向)に5mm程度ずらして配置することにより、避けることができる。従って、本発明の入力表示システム50において、指の横方向(赤外線ビーム62の進行方向)の座標を検知することができない弱点は、実用上、問題にならない。
【0046】
[曲面ディスプレイ]
本発明に用いられる曲面ディスプレイ12、32、52の表示画面11、31、51は、図1(b)、図3(b)、図4(b)に示すように、1本の線分15、35、55が、軸方向一定の状態で、軸方向に直交する方向に移動した軌跡からなる曲面17、37、57である。
【0047】
本発明に用いられる曲面ディスプレイ12、32、52としては、可撓性のある基板(例えばプラスチック基板)を用いた液晶ディスプレイ、可撓性のある基板(例えばプラスチック基板)を用いた有機ELディスプレイ、可撓性のある基板(例えばプラスチック基板)を用いたマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ(いわゆる電子ペーパー)、あるいは、プラズマチューブアレイなどが挙げられる。
【0048】
本発明に用いられる曲面ディスプレイ12、32の大きさは、例えば、円柱形電子看板として用いる場合、縦0.5m〜3m、周囲1m〜6m、直径0.5m〜3m程度である。円柱形電子看板として用いる場合、曲面ディスプレイ12、32の形状は円柱の外周あるいは内周の、一部または全部である。
【0049】
[発光側光導波路]
本発明に用いられる発光側光導波路13、33、53は、表示画面11、31、51の一方の曲線状の辺(下辺18、下辺38、左辺58)に沿って配置される。発光側光導波路13、33、53は、表示画面11、31、51の直線状の辺(左辺20、右辺21、左辺40、右辺41、上辺60、下辺61)と平行な赤外線ビーム22、42、62を出射する。
【0050】
本発明に用いられる発光側光導波路13、33、53は、図5に示すように、好ましくは短冊状であり、短冊の長手の辺が、表示画面11、31、51の一方の曲線状の辺(下辺18、下辺38、左辺58)に沿って配置される。「短冊状」とは、厚さが薄くて細長い長方形の形状をいい、好ましくは、長さが、幅および厚さの5倍以上のものをいう。
【0051】
本発明に用いられる発光側光導波路13、33、53は、好ましくは、図5に示すように、発光側クラッド71と、発光側クラッド71に埋設された発光側コア72を有する。発光側コア72の出射側端部73は複数個あり、発光側クラッド71の一辺に沿って配置される。発光側コア72の出射側端部73は凸レンズとなっている。
【0052】
図5に示すように、発光側コア72の入射側端部74には発光素子75が光結合される。発光側コア72の入射側端部74の数は、コスト上、好ましくは1個である。
【0053】
図5に示すように、発光側コア72の入射側端部74は1個であるが、発光側コア72は入射側端部74から出射側端部73に向かう途中で分岐し、出射側端部73は複数個となる。出射側端部73における発光側コア72の数は、赤外線ビーム22、42、62の本数と等しい。出射側端部73における発光側コア72の数は、曲面ディスプレイ12、32、52のサイズおよび光学式タッチパネルの分解能により、適宜決定される。
【0054】
発光素子75から出射された赤外線ビーム22、42、62は、発光側コア72に入射後、発光側コア72内を分岐しながら伝播し、複数の出射側端部73の凸レンズから出射する。出射側端部73の凸レンズは、出射する赤外線ビーム22、42、62の拡がり角度を調整し、赤外線ビーム22、42、62がほぼ平行光の状態で出射されるようにする。
【0055】
発光側コア72の厚さは、好ましくは10μm〜100μmである。発光側コア72の出射側端部73(凸レンズ)の配列ピッチは、光学式タッチパネルの分解能に応じて、適宜決定される。
【0056】
発光側光導波路13、33、53の厚さは、好ましくは50μm〜5mmである。発光側光導波路13、33、53の長さと幅は、曲面ディスプレイ12、32、52のサイズに応じて適宜決定される。
【0057】
[受光側光導波路]
本発明に用いられる受光側光導波路14、34、54は、表示画面11、31、51の他方の曲線状の辺(上辺19、上辺39、右辺59)に沿って配置される。受光側光導波路14、34、54は、発光側光導波路13、33、53から出射された赤外線ビーム22、42、62を受光する。
【0058】
本発明に用いられる受光側光導波路14、34、54は、図6に示すように、短冊状であり、短冊の長手の辺が、表示画面11、31、51の他方の曲線状の辺(上辺19、上辺39、右辺59)に沿って配置される。「短冊状」とは、厚さが薄くて細長い長方形の形状をいい、好ましくは、長さが、幅および厚さの5倍以上のものをいう。
【0059】
本発明に用いられる受光側光導波路14、34、54は、好ましくは、図6に示すように、受光側クラッド81と、受光側クラッド81に埋設された受光側コア82を有する。受光側コア82の入射側端部83は複数個あり、受光側クラッド81の一辺に沿って配置される。受光側コア82の入射側端部83は凸レンズとなっている。
【0060】
図6に示すように、受光側コア82の出射側端部84には、光電変換素子85が光結合される。受光側コア82の出射側端部84の数は入射側端部83の数と等しい。
【0061】
受光側コア82においては、図6に示すように、ある入射側端部83と、その入射側端部83に対応する出射側端部84が、1本のコア86で結ばれる。従って、ある入射側端部83に入射した赤外線ビーム22、42、62は、その入射側端部83とコア86で結ばれた出射側端部84から出射する。ある入射側端部83に入射した赤外線ビーム22、42、62が、その入射側端部83とコア86で結ばれていない出射側端部84から出射することはない。
【0062】
受光側コア82の本数は赤外線ビーム22、42、62の本数と等しい。すなわち、受光側コア82の本数および入射側端部83の個数は、発光側コア72の出射側端部73の数と等しい。受光側コア82の本数は、曲面ディスプレイ12、32、52のサイズおよび光学式タッチパネルの分解能に応じて、適宜決定される。
【0063】
受光側コア82の入射側端部83の凸レンズに入射した赤外線ビーム22、42、62は、受光側コア82内を伝播し、出射側端部84から出射して、出射側端部84に光結合した光電変換素子85に入射する。
【0064】
受光側コア82の入射側端部83の凸レンズは、ほぼ平行光の入射赤外線ビーム22、42、62を屈折させて、各受光側コア82の中心に収束させる。
【0065】
受光側コア82の厚さは、好ましくは10μm〜100μmである。受光側コア82の入射側端部83(凸レンズ)の配列ピッチは、光学式タッチパネルの分解能に応じて、適宜決定される。受光側コア82の入射側端部83(凸レンズ)の配列ピッチは、発光側コア72の出射側端部73(凸レンズ)の配列ピッチと等しい。
【0066】
受光側光導波路14、34、54の厚さは、好ましくは50μm〜5mmである。受光側光導波路14、34、54の長さと幅は、曲面ディスプレイ12、32、52のサイズに応じて適宜決定される。
【0067】
[ブロック構成]
図7は本発明の入力表示システム10、30、50のブロック構成の好ましい一例である。図7に示すように、本発明の入力表示システム10、30、50は、発光素子75と、発光側光導波路13、33、53と、曲面ディスプレイ12、32、52と、受光側光導波路14、34、54と、光電変換素子85を備える。さらに、本発明の入力表示システム10、30、50は、中央演算装置91と、コントローラIC92と、メモリ93を備える。
【0068】
発光素子75は赤外線ビームを出射する。発光素子75として、例えばVCSEL(垂直共振器面発光レーザ)や発光ダイオードが用いられる。発光側光導波路13、33、53は、赤外線ビーム22、42、62を曲面ディスプレイ12、32、52の表示画面の一方の曲線状の辺に導き、出射する。受光側光導波路14、34、54は、曲面ディスプレイ12、32、52の表示画面を縦断した赤外線ビーム22、42、62を受光して、光電変換素子85に導く。光電変換素子85は、入射した赤外線ビーム22、42、62を電気信号に変換する。光電変換素子85として、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。メモリ93には文字データ、映像データ、プログラムなどが格納される。中央演算装置91(CPU)は、メモリ93からプログラムを読み込んで実行する。コントローラIC92は、光電変換素子85が検知した赤外線ビーム22、42、62の遮断信号を、符号化して中央演算装置91に伝達する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の入力表示システムは、大型の曲面電子看板(デジタルサイネージ)に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0070】
10 入力表示システム
11 表示画面
12 曲面ディスプレイ
13 発光側光導波路
14 受光側光導波路
15 線分
16 軸方向
17 曲面
18 下辺
19 上辺
20 左辺
21 右辺
22 赤外線ビーム
30 入力表示システム
31 表示画面
32 曲面ディスプレイ
33 発光側光導波路
34 受光側光導波路
35 線分
36 軸方向
37 曲面
38 下辺
39 上辺
40 左辺
41 右辺
42 赤外線ビーム
50 入力表示システム
51 表示画面
52 曲面ディスプレイ
53 発光側光導波路
54 受光側光導波路
55 線分
56 軸方向
57 曲面
58 左辺
59 右辺
60 上辺
61 下辺
62 赤外線ビーム
71 発光側クラッド
72 発光側コア
73 出射側端部
74 入射側端部
75 発光素子
81 受光側クラッド
82 受光側コア
83 入射側端部
84 出射側端部
85 光電変換素子
86 コア
91 中央演算装置
92 コントローラIC
93 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本の線分が軸方向一定の状態で、前記軸方向に直交する方向に移動した軌跡である曲面からなり、相対する一対の曲線状の辺と、相対する一対の直線状の辺を有する表示画面を備えた曲面ディスプレイと、
赤外線ビームを出射する発光素子と、
前記表示画面の一方の曲線状の辺に沿って配置され、前記表示画面の直線状の辺に平行な赤外線ビームを出射する発光側光導波路と、
前記表示画面の他方の曲線状の辺に沿って配置され、前記発光側光導波路から出射された赤外線ビームを受光する受光側光導波路と、
前記受光側光導波路から出射された赤外線ビームを受光し、電気信号に変換する光電変換素子を備えた入力表示システム。
【請求項2】
前記発光側光導波路は、発光側クラッドと、前記発光側クラッドに埋設された発光側コアを有し、
前記発光側コアの出射側端部は前記発光側クラッドの一辺に沿って配置され、
前記発光側コアの出射側端部は凸レンズである請求項1に記載された入力表示システム。
【請求項3】
前記発光側光導波路の発光側コアの入射側端部は1個であり、
前記発光側コアは前記入射側端部から出射側端部に向かう途中で分岐し、
前記発光側コアの出射側端部は複数個である請求項2に記載された入力表示システム。
【請求項4】
前記受光側光導波路は、受光側クラッドと、前記受光側クラッドに埋設された受光側コアを有し、
前記受光側コアの入射側端部は前記受光側クラッドの一辺に沿って配置され、
前記受光側コアの入射側端部は凸レンズである請求項1から3のいずれかに記載された入力表示システム。
【請求項5】
前記1本の線分の軸方向が鉛直方向であり、
前記発光側光導波路が前記表示画面の曲線状の下辺に沿って配置され、
前記受光側光導波路が前記表示画面の曲線状の上辺に沿って配置された請求項1から4のいずれかに記載された入力表示システム。
【請求項6】
前記表示画面上の複数のタッチ位置が、前記赤外線ビームと直交する方向に、互いに5mm以上ずらして配置された請求項1から5のいずれかに記載された入力表示システム。
【請求項7】
前記表示画面の形状が、円筒の側面の外面の一部または全部、あるいは、円筒の側面の内面の一部または全部である請求項1から6のいずれかに記載された入力表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−58084(P2013−58084A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196080(P2011−196080)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】